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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】積層液晶構造
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20221108BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20221108BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577360
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2020049086
(87)【国際公開番号】W WO2021050338
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/900,123
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/733,705
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ペン, フェンリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジュンレン
(72)【発明者】
【氏名】ジャマリ, アフスーン
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ルー
(72)【発明者】
【氏名】ランマン, ダグラス ロバート
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H199
【Fターム(参考)】
2H088EA42
2H088EA47
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA15
2H088HA18
2H088HA27
2H088HA30
2H088JA05
2H088JA09
2H088JA17
2H088KA02
2H088KA07
2H189AA22
2H189AA24
2H189JA05
2H189JA07
2H189JA08
2H189JA10
2H189JA19
2H189KA01
2H189LA01
2H189LA03
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA18
2H189LA19
2H189MA15
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA43
2H199CA45
2H199CA65
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA74
2H199CA87
2H199CA92
2H199CA96
(57)【要約】
積層LC構造の第1のタイプ(1000)が、隣接する液晶(LC)セル間で共通基板(1012)を共有する光学直列において配列された少なくとも2つのLCセル(1005a、1005b)を含む。積層LC構造の第2のタイプ(900)が、隣接するLCセル間で共通電極層(918)を共有する光学直列において配列された少なくとも2つのLCセル(905a、905b)を含む。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)において使用するための光学アセンブリが、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。隣接するLCセル間で共通基板または共通電極層を共有することによって、積層LC構造の総厚さが低減され得、これは、サイズと重量との対応する低減、およびHMDについてのユーザ快適さの改善につながり得る。
【選択図】図9及び図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層液晶(LC)構造であって、
下部基板と、
共通基板と、
上部基板と、
前記下部基板と前記共通基板との間に配設された第1のLCセルと、
前記共通基板と前記上部基板との間に配設された第2のLCセルと
を備え、
前記共通基板が、2つの前記LCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または前記少なくとも1つの導電層でコーティングされ、
前記積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、
前記第1の状態において、前記積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、
前記第2の状態において、前記積層LC構造が、入射光を、前記入射光の偏光を変更することなしに透過する、積層液晶(LC)構造。
【請求項2】
前記共通基板が入力表面と出力表面とを含み、前記共通基板が、前記第1のLCセルのための電極として働く、前記入力表面上に配設された第1の導電層と、前記第2のLCセルのための電極として働く、前記出力表面上に配設された第2の導電層とを含み、好ましくは、前記下部基板が、前記第1のLCセルに隣接する第3の導電層を含み、前記上部基板が、前記第2のLCセルに隣接する第4の導電層を含み、前記第1の導電層と前記第3の導電層とが、前記第1のLCセルのための電極ペアとして働き、前記第2の導電層と前記第4の導電層とが、前記第2のLCセルのための電極ペアとして働く、請求項1に記載の積層LC構造。
【請求項3】
前記積層LC構造が、前記少なくとも1つの導電層への電圧の印加によって前記第1の状態または前記第2の状態になるように構成可能である、請求項1または2に記載の積層LC構造。
【請求項4】
前記第1の状態が、前記少なくとも1つの導電層への第1の電圧の印加に関連付けられ、前記第2の状態が、前記少なくとも1つの導電層への第2の電圧の印加に関連付けられ、前記第1の電圧が前記第2の電圧とは異なり、好ましくは、前記第1の電圧が実質的に0に等しい、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項5】
前記第1の偏光の前記光が右円偏光された光であり、前記第2の偏光の前記光が左旋円偏光された光である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項6】
前記導電層が、光学的に透明な導電性ポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項7】
前記光学的に透明な導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であり、前記基板が別個の導電層でコーティングされない、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項8】
前記第1の状態において、前記積層LC構造が、公称4分の1波長板または公称半波長板のうちの1つとして機能する、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項9】
前記上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、前記光学要素の挙動が、前記光学要素に入射する光の偏光に依存する、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項10】
積層液晶(LC)構造であって、
下部基板と、
上部基板と、
共通導電層と、
前記下部基板の出力表面と前記共通導電層との間に配設された第1のLCセルと、
前記上部基板の入力表面と前記共通導電層との間に配設された第2のLCセルと
を備え、
前記積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、
前記第1の状態において、前記積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、
前記第2の状態において、前記積層LC構造が、入射光を、前記入射光の偏光を変更することなしに透過する、積層液晶(LC)構造。
【請求項11】
前記共通導電層が、前記第1のLCセルと前記第2のLCセルとのための電極として働き、好ましくは、前記下部基板が、前記第1のLCセルに隣接する第1の導電層を含み、前記上部基板が、前記第2のLCセルに隣接する第2の導電層を含み、前記第1の導電層と前記共通導電層とが、前記第1のLCセルのための電極ペアとして働き、前記第2の導電層と前記共通導電層とが、前記第2のLCセルのための電極ペアとして働く、請求項12に記載の積層LC構造。
【請求項12】
前記積層LC構造が、前記共通導電層への電圧の印加によって前記第1の状態または前記第2の状態になるように構成可能である、請求項10または11に記載の積層LC構造。
【請求項13】
前記共通導電層が導電性ポリマーを備え、および/または好ましくは、前記上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、前記光学要素の挙動が、前記光学要素に入射する光の偏光に依存する、請求項10から12のいずれか一項に記載の積層LC構造。
【請求項14】
ヘッドマウントディスプレイであって、
画像光を放出するように構成されたディスプレイと、
前記画像光を透過するように構成された光学アセンブリと
を備え、前記光学アセンブリが、
積層液晶(LC)構造
を備え、前記積層LC構造は、
下部基板と、
共通基板と、
上部基板と、
前記下部基板と前記共通基板との間に配設された第1のLCセルと、
前記共通基板と前記上部基板との間に配設された第2のLCセルと
を備え、
前記共通基板が、2つの前記LCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または前記少なくとも1つの導電層でコーティングされ、
前記積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、
前記第1の状態において、前記積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、
前記第2の状態において、前記積層LC構造が、入射光を、前記入射光の偏光を変更することなしに透過する、ヘッドマウントディスプレイ。
【請求項15】
前記導電層が光学的に透明な導電性ポリマーであり、および/または好ましくは、前記積層LC構造が前記上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、前記光学要素の挙動が、前記光学要素に入射する光の偏光に依存する、請求項14に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ヘッドマウントディスプレイの光学アセンブリに組み込まれ得る積層液晶(LC)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
人工現実システムは、コンピュータゲーム、健康および安全、工業、ならびに教育などの多くの分野における適用例を有する。いくつかの例として、人工現実システムは、モバイルデバイス、ゲーミングコンソール、パーソナルコンピュータ、映画館、およびテーマパークに組み込まれている。概して、人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された形式の現実であり、これは、たとえば、仮想現実、拡張現実、複合現実、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。
【0003】
一般的な人工現実システムは、ユーザに対してコンテンツをレンダリングおよび表示するための1つまたは複数のデバイスを含む。一例として、人工現実システムは、ユーザによって装着され、ユーザに人工現実コンテンツを出力するように構成された、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を組み込み得る。人工現実コンテンツは、完全に、システムによって生成されたコンテンツからなり得るか、あるいは現実世界のコンテンツ(たとえば、ユーザの物理的環境のパススルービューあるいはキャプチャされた現実世界のビデオおよび/または画像)と組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。動作中に、ユーザは、一般に、コンテンツを選択し、アプリケーションを起動し、システムを構成し、概して、人工現実環境を経験するために、人工現実システムと対話する。
【発明の概要】
【0004】
概して、本開示は、ヘッドマウントディスプレイの光学アセンブリに組み込まれ得る積層液晶(LC)構造について説明する。いくつかの例によれば、本開示は積層液晶(LC)構造を対象とし、積層LC構造は、下部基板と、共通基板と、上部基板と、下部基板と共通基板との間に配設された第1のLCセルと、共通基板と上部基板との間に配設された第2のLCセルとを備え、共通基板は、2つのLCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または少なくとも1つの導電層でコーティングされ、積層LC構造は、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造は、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0005】
共通基板は入力表面と出力表面とを含み得、共通基板は、第1のLCセルのための電極として働く、入力表面上に配設された第1の導電層と、第2のLCセルのための電極として働く、出力表面上に配設された第2の導電層とを含み得る。下部基板は、第1のLCセルに隣接する第3の導電層を含み得、上部基板は、第2のLCセルに隣接する第4の導電層を含み得、第1の導電層と第3の導電層とは、第1のLCセルのための電極ペアとして働き、第2の導電層と第4の導電層とは、第2のLCセルのための電極ペアとして働く。
【0006】
積層LC構造は、少なくとも1つの導電層への電圧の印加によって第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり得る。第1の状態は、少なくとも1つの導電層への第1の電圧の印加に関連付けられ得、第2の状態は、少なくとも1つの導電層への第2の電圧の印加に関連付けられ得、第1の電圧は第2の電圧とは異なる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の電圧は実質的に0に等しい。いくつかの実施形態では、第1の偏光の光は右円偏光された光(right circularly polarized light)であり、第2の偏光の光は左旋円偏光された光(left hand circularly polarized light)である。いくつかの実施形態では、導電層は、光学的に透明な導電性ポリマーである。いくつかの実施形態では、光学的に透明な導電性ポリマーはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であり、基板は別個の導電層でコーティングされない。いくつかの実施形態では、第1の状態において、積層LC構造は、公称4分の1波長板または公称半波長板のうちの1つとして機能する。いくつかの実施形態では、積層LC構造は、上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、光学要素の挙動は、光学要素に入射する光の偏光に依存する。
【0008】
他の例によれば、本開示は積層液晶(LC)構造を対象とし、積層LC構造は、下部基板と、上部基板と、共通導電層と、下部基板の出力表面と共通導電層との間に配設された第1のLCセルと、上部基板の入力表面と共通導電層との間に配設された第2のLCセルとを備え、積層LC構造は、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造は、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0009】
共通導電層は、第1のLCセルと第2のLCセルとのための電極として働き得る。下部基板は、第1のLCセルに隣接する第1の導電層を含み得、上部基板は、第2のLCセルに隣接する第2の導電層を含み得、第1の導電層と共通導電層とは、第1のLCセルのための電極ペアとして働き、第2の導電層と共通導電層とは、第2のLCセルのための電極ペアとして働く。
【0010】
いくつかの実施形態では、共通導電層は導電性ポリマーを備える。いくつかの実施形態では、積層LC構造は、上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、光学要素の挙動は、光学要素に入射する光の偏光に依存する。
【0011】
積層LC構造は、共通導電層への電圧の印加によって第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり得る。
【0012】
他の例によれば、本開示は、画像光を放出するように構成されたディスプレイと、画像光を透過するように構成された光学アセンブリとを備えるヘッドマウントディスプレイを対象とし、光学アセンブリは、積層液晶(LC)構造を備え、積層LC構造は、下部基板と、共通基板と、上部基板と、下部基板と共通基板との間に配設された第1のLCセルと、共通基板と上部基板との間に配設された第2のLCセルとを備え、共通基板は、2つのLCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または少なくとも1つの導電層でコーティングされ、積層LC構造は、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造は、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0013】
いくつかの実施形態では、導電層は、光学的に透明な導電性ポリマーである。
【0014】
上記の例のいずれかでは、(1つまたは複数の)積層LC構造は、上部基板の出力表面上の光学要素をさらに含み得、光学要素の挙動は、光学要素に入射する光の偏光に依存する。
【0015】
本発明の1つまたは複数の態様または実施形態への組込みに好適であるものとして本明細書で説明される任意の特徴は、本開示の任意のおよびすべての態様および実施形態にわたって一般化可能であるものとすることが諒解されよう。
【0016】
1つまたは複数の例の詳細は、添付の図面および以下の説明において記載される。他の特徴および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示で説明される技法による、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の光学アセンブリが1つまたは複数の積層LC構造を含む例示的な人工現実システムを示す図である。
図2A】本開示で説明される技法による、1つまたは複数の積層LC構造を含む光学アセンブリを有する例示的なHMDを示す図である。
図2B】本開示で説明される技法による、別の例示的なHMDを示す図である。
図3】本開示で説明される技法による、図1のマルチデバイス人工現実システムのコンソールとHMDと周辺デバイスとの例示的な実装形態を示すブロック図である。
図4】本開示で説明される技法による、ジェスチャー検出機能とユーザインターフェース生成機能と仮想表面機能とが図1の人工現実システムのHMDによって実施される一例を示すブロック図である。
図5】本開示で説明される技法による、1つまたは複数のデバイス(たとえば、周辺デバイスおよびHMD)が各デバイス内の1つまたは複数のシステムオンチップ(SoC)集積回路を使用して実装される、マルチデバイス人工現実システムのための分散アーキテクチャのより詳細な例示的な実装形態を示すブロック図である。
図6】いくつかの実施形態による、Piセルとして構成された2つのLCセルを含む例示的な積層LC構造を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、逆平行整列(alignment)をもつ2つのLCセルを含む例示的な積層LCセル構造を示す図である。
図8A】いくつかの実施形態による、垂直整列をもつ2つのLCセルを含む例示的な積層LCセル構造を示す図である。
図8B】いくつかの実施形態による、代替構成における図8Aに示される例示的な積層LC構造を示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、共通電極層を有する例示的な積層LC構造を示す図である。
図10】いくつかの実施形態による、光学段を形成するために光学要素と組み合わせた図6図9に示されている積層LC構造のいずれかの例示的な積層LC構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)112と、1つまたは複数のコントローラ114Aおよび114B(まとめて、「コントローラ114」)と、コンソール106とを含む例示的な人工現実システム10を示す図である。HMD112は、一般に、ユーザ110によって装着され、ユーザ110に人工現実コンテンツ122を提示するための電子ディスプレイと光学アセンブリとを含む。HMD112の光学アセンブリは、本開示で説明される技法による、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、HMD112の光学アセンブリは、調整可能な光学パワー(optical power)を有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部として、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。
【0019】
HMD112は、HMD112の動きを追跡するための1つまたは複数のセンサー(たとえば、加速度計)を含み、周囲の物理的環境の画像データをキャプチャするための1つまたは複数の撮像デバイス138(たとえば、カメラ、ラインスキャナ)を含み得る。ヘッドマウントディスプレイとして示されているが、ARシステム10は、代替または追加として、ユーザ110に人工現実コンテンツ122を提示するための眼鏡または他のディスプレイデバイスを含み得る。
【0020】
(1つまたは複数の)各コントローラ114は、ユーザ110が、コンソール106、HMD112、または人工現実システム10の別の構成要素への入力を提供するために使用し得る、入力デバイスである。コントローラ114は、プレゼンスセンシティブ表面のロケーションにタッチするかまたはそのロケーション上をホバリングする1つまたは複数のオブジェクト(たとえば、フィンガー(finger)、スタイラス)の存在を検出することによってユーザ入力を検出するための1つまたは複数のプレゼンスセンシティブ表面を含み得る。いくつかの例では、(1つまたは複数の)コントローラ114は、プレゼンスセンシティブディスプレイであり得る出力ディスプレイを含み得る。いくつかの例では、(1つまたは複数の)コントローラ114は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、個人情報端末(PDA)、または他のハンドヘルドデバイスであり得る。いくつかの例では、(1つまたは複数の)コントローラ114は、スマートウォッチ、スマートリング、または他のウェアラブルデバイスであり得る。(1つまたは複数の)コントローラ114はまた、キオスク、あるいは他の固定または移動システムの一部であり得る。代替または追加として、(1つまたは複数の)コントローラ114は、ユーザが、人工現実システム10によってユーザ110に提示される人工現実コンテンツ122の態様と対話し、および/またはその態様を制御することを可能にするための、1つまたは複数のボタン、トリガ、ジョイスティック、Dパッドなど、他のユーザ入力機構を含み得る。
【0021】
この例では、コンソール106は、ゲーミングコンソール、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、またはラップトップなど、単一のコンピューティングデバイスとして示されている。他の例では、コンソール106は、分散コンピューティングネットワーク、データセンター、またはクラウドコンピューティングシステムなど、複数のコンピューティングデバイスにわたって分散され得る。コンソール106、HMD112、およびセンサー90は、この例に示されているように、ネットワーク104を介して通信可能に結合され得、ネットワーク104は、Wi-Fi、メッシュネットワークまたは短距離ワイヤレス通信媒体、あるいはそれらの組合せなど、ワイヤードまたはワイヤレスネットワークであり得る。HMD112は、この例では、コンソール106と通信しているものとして、たとえば、コンソール106にテザリングされるかまたはコンソール106とワイヤレス通信しているものとして示されているが、いくつかの実装形態では、HMD112は、スタンドアロンモバイル人工現実システムとして動作し、人工現実システム10はコンソール106を省略し得る。
【0022】
概して、人工現実システム10は、HMD112においてユーザ110への表示のために人工現実コンテンツ122をレンダリングする。図1の例では、ユーザ110は、HMD112および/またはコンソール106上で実行する人工現実アプリケーションによって、構築およびレンダリングされた人工現実コンテンツ122を観察する。いくつかの例では、人工現実コンテンツ122は、完全に人工的であり、すなわち、ユーザ110が位置する環境に関係しない画像であり得る。いくつかの例では、人工現実コンテンツ122は、複合現実および/または拡張現実を作り出すために、現実世界の像(たとえば、ユーザ110の手、(1つまたは複数の)コントローラ114、ユーザ110の近くの他の環境オブジェクト)と仮想オブジェクトとの混合物を備え得る。いくつかの例では、仮想コンテンツアイテムが、たとえば、現実世界の像に対する人工現実コンテンツ122内の位置にマッピング(たとえば、ピニング、ロック、配置)され得る。仮想コンテンツアイテムについての位置は、たとえば、壁または地面のうちの1つに対するものとして固定され得る。仮想コンテンツアイテムについての位置は、たとえば、(1つまたは複数の)コントローラ114またはユーザに対するものとして可変であり得る。いくつかの例では、人工現実コンテンツ122内の仮想コンテンツアイテムの位置は、現実世界の、物理的環境内の(たとえば、物理的オブジェクトの表面上の)位置に関連付けられる。
【0023】
動作中に、人工現実アプリケーションは、基準系、一般にHMD112の観察パースペクティブについてのポーズ情報を追跡および計算することによって、ユーザ110への表示のための人工現実コンテンツ122を構築する。基準系としてHMD112を使用して、およびHMD112の現在の推定されたポーズによって決定された現在の視野に基づいて、人工現実アプリケーションは3D人工現実コンテンツをレンダリングし、3D人工現実コンテンツは、いくつかの例では、少なくとも部分的に、ユーザ110の現実世界の3D物理的環境上にオーバーレイされ得る。このプロセス中、人工現実アプリケーションは、ユーザ110による動きおよび/またはユーザ110に関する特徴追跡情報など、現実世界の物理的環境内の3D情報をキャプチャするために、移動情報およびユーザコマンドなど、HMD112から受信された検知されたデータと、いくつかの例では、外部カメラなど、任意の外部センサー90からのデータとを使用する。検知されたデータに基づいて、人工現実アプリケーションは、HMD112の基準系についての現在のポーズを決定し、現在のポーズに従って、人工現実コンテンツ122をレンダリングする。
【0024】
人工現実システム10は、ユーザ110のリアルタイム視線追跡によって決定され得るようなユーザ110の現在の視野130または他の条件に基づいて、仮想コンテンツアイテムの生成およびレンダリングをトリガし得る。より詳細には、HMD112の撮像デバイス138は、撮像デバイス138の視野130内にある、現実世界の物理的環境中のオブジェクトを表す画像データをキャプチャする。視野130は、一般に、HMD112の観察パースペクティブと対応する。いくつかの例では、人工現実アプリケーションは、複合現実および/または拡張現実を備える人工現実コンテンツ122を提示する。図1Aに示されているように、人工現実アプリケーションは、人工現実コンテンツ122内でなど、仮想オブジェクトに沿った視野130内にある、ユーザ110の周辺デバイス136、手132、および/または腕134の部分など、現実世界のオブジェクトの画像をレンダリングし得る。他の例では、人工現実アプリケーションは、人工現実コンテンツ122内で、視野130内にあるユーザ110の周辺デバイス136、手132、および/または腕134の部分の仮想表現をレンダリング(たとえば、現実世界のオブジェクトを仮想オブジェクトとしてレンダリング)し得る。いずれの例でも、ユーザ110は、人工現実コンテンツ122内で、視野130内にあるユーザの手132、腕134、周辺デバイス136の部分および/または任意の他の現実世界のオブジェクトを観察することが可能である。他の例では、人工現実アプリケーションは、ユーザの手132または腕134の表現をレンダリングしないことがある。
【0025】
図2Aは、例示的なHMD112を示す図である。HMD112は、図1の人工現実システム10など、人工現実システムの一部であり得るか、または、本明細書で説明される技法を実装するように構成されたスタンドアロンモバイル人工現実システムとして動作し得る。HMD112は、本開示で説明される技法による、1つまたは複数の積層LC構造を有する光学アセンブリを含む。
【0026】
この例では、HMD112は、HMD112をユーザに固定するための前面剛体とバンドとを含む。さらに、HMD112は、光学アセンブリ205を介してユーザに人工現実コンテンツを提示するように構成された内向き(interior-facing)電子ディスプレイ203を含む。電子ディスプレイ203は、液晶ディスプレイ(LCD)、量子ドットディスプレイ、ドットマトリックスディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)ディスプレイ、e-ink、あるいは視覚出力を生成することが可能なモノクロ、カラー、または、任意の他のタイプのディスプレイなど、任意の好適なディスプレイ技術であり得る。いくつかの例では、電子ディスプレイは、ユーザの各眼に別個の画像を提供するための立体視ディスプレイである。いくつかの例では、HMD112の前面剛体に対するディスプレイ203の知られている配向(orientation)および位置は、HMD112およびユーザの現在の観察パースペクティブに従って人工現実コンテンツをレンダリングするためにHMD112の位置および配向を追跡するとき、ローカル原点とも呼ばれる基準系として使用される。他の例では、HMD112は、眼鏡またはゴーグルなど、他の装着可能なヘッドマウントディスプレイの形態をとり得る。
【0027】
光学アセンブリ205は、HMD112のユーザ(たとえば、図1のユーザ110)によって観察するための電子ディスプレイ203によって出力された光を管理するように構成された光学要素を含む。光学要素は、たとえば、電子ディスプレイによって出力された光を操作する(たとえば、集束させること、焦点をぼかすこと、反射すること、屈折させること、回折することなどを行う)1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の回折光学要素、1つまたは複数の反射光学要素、1つまたは複数の導波路などを含み得る。本開示の技法によれば、光学アセンブリ205は、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、光学アセンブリ205は、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部として、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。積層LC構造は、2つのLCセル間で共通基板を共有する光学直列において配列された2つのLCセルを含み得る。いくつかの前の積層LC構造では、各LCセルは、対応する第1の基板および第2の基板(たとえば、LCセルの第1の側の1つの基板、およびLCセルの第2の側の1つの基板)によって囲まれる。共通の中間基板を共有することによって、積層LC構造の総厚さは低減され得る。これは、光学アセンブリ205のサイズまたは厚さを低減し得る。光学アセンブリ205のサイズまたは厚さを低減することは、HMD112のサイズおよび重量の低減を可能にし得、これは、ユーザ110の快適さを改善し得る。
【0028】
図2Aにさらに示されているように、この例では、HMD112は、HMD112の現在の加速度を示すデータを出力する(慣性測定ユニットまたは「IMU」とも呼ばれる)1つまたは複数の加速度計、HMD112のロケーションを示すデータを出力するGPSセンサー、様々なオブジェクトからのHMD112の距離を示すデータを出力するレーダーまたはソナー、あるいは、HMD112または物理的環境内の他のオブジェクトのロケーションまたは配向の指示を提供する他のセンサーなど、1つまたは複数の動きセンサー206をさらに含む。その上、HMD112は、物理的環境を表す画像データを出力するように構成された、ビデオカメラ、レーザースキャナ、ドップラーレーダースキャナ、深度スキャナなど、統合された撮像デバイス138Aおよび138B(まとめて、「撮像デバイス138」)を含み得る。より詳細には、撮像デバイス138は、一般にHMD112の観察パースペクティブと対応する、撮像デバイス138の視野130A、130B内にある、物理的環境中の(周辺デバイス136および/または手132を含む)オブジェクトを表す画像データをキャプチャする。HMD112は、検知されたデータを処理し、ディスプレイ203上に人工現実コンテンツを提示するためのプログラム可能な動作を実行するための動作環境を提供するために、内部電源と、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、およびハードウェアを有する1つまたは複数のプリント回路基板とを含み得る、内部制御ユニット210を含む。
【0029】
図2Bは、本開示で説明される技法による、別の例示的なHMD112を示す図である。図2Bに示されているように、HMD112は、眼鏡の形態をとり得る。図2AのHMD112は、図1Aおよび図1BのHMD112のいずれかの一例であり得る。HMD112は、図1A図1Bの人工現実システム10、20など、人工現実システムの一部であり得るか、または、本明細書で説明される技法を実装するように構成されたスタンドアロンモバイル人工現実システムとして動作し得る。
【0030】
この例では、HMD112は、HMD112がユーザの鼻に載っていることを可能にするブリッジと、HMD112をユーザに固定するためにユーザの耳にわたって延びるテンプル(または「アーム」)とを含む前面フレームを備える眼鏡である。さらに、図2BのHMD112は、ユーザに人工現実コンテンツを提示するように構成された1つまたは複数の内向き電子ディスプレイ203Aおよび203B(まとめて、「電子ディスプレイ203」)と、内向き電子ディスプレイ203Aおよび203Bによって出力された光を管理するように構成された1つまたは複数の光学アセンブリ205Aおよび205B(まとめて、「光学アセンブリ205」)とを含む。電子ディスプレイ203は、液晶ディスプレイ(LCD)、量子ドットディスプレイ、ドットマトリックスディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)ディスプレイ、e-ink、あるいは視覚出力を生成することが可能なモノクロ、カラー、または、任意の他のタイプのディスプレイなど、任意の好適なディスプレイ技術であり得る。図2Bに示されている例では、電子ディスプレイ203は、ユーザの各眼に別個の画像を提供するための立体視ディスプレイを形成する。いくつかの例では、HMD112の前面フレームに対するディスプレイ203の知られている配向および位置は、HMD112およびユーザの現在の観察パースペクティブに従って人工現実コンテンツをレンダリングするためにHMD112の位置および配向を追跡するとき、ローカル原点とも呼ばれる基準系として使用される。
【0031】
光学アセンブリ205は、HMD112のユーザ(たとえば、図1のユーザ110)によって観察するための電子ディスプレイ203によって出力された光を管理するように構成された光学要素を含む。光学要素は、たとえば、電子ディスプレイによって出力された光を操作する(たとえば、集束させること、焦点をぼかすこと、反射すること、屈折させること、回折することなどを行う)1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の回折光学要素、1つまたは複数の反射光学要素、1つまたは複数の導波路などを含み得る。本開示の技法によれば、光学アセンブリ205の各々は、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、各光学アセンブリ205は、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部として、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。
【0032】
図2Bにさらに示されているように、この例では、HMD112は、HMD112の現在の加速度を示すデータを出力する(慣性測定ユニットまたは「IMU」とも呼ばれる)1つまたは複数の加速度計、HMD112のロケーションを示すデータを出力するGPSセンサー、様々なオブジェクトからのHMD112の距離を示すデータを出力するレーダーまたはソナー、あるいは、HMD112または物理的環境内の他のオブジェクトのロケーションまたは配向の指示を提供する他のセンサーなど、1つまたは複数の動きセンサー206をさらに含む。その上、HMD112は、物理的環境を表す画像データを出力するように構成された、ビデオカメラ、レーザースキャナ、ドップラーレーダースキャナ、深度スキャナなど、統合された撮像デバイス138Aおよび138B(まとめて、「撮像デバイス138」)を含み得る。HMD112は、検知されたデータを処理し、ディスプレイ203上に人工現実コンテンツを提示するためのプログラム可能な動作を実行するための動作環境を提供するために、内部電源と、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、およびハードウェアを有する1つまたは複数のプリント回路基板とを含み得る、内部制御ユニット210を含む。
【0033】
図3は、本開示で説明される技法による、コンソール106とHMD112とを含む人工現実システムの例示的な一実装形態を示すブロック図である。図3の例では、コンソール106は、HMD112および/または外部センサーから受信された動きデータおよび画像データなど、検知されたデータに基づいて、HMD112のためのポーズ追跡と、ジェスチャー検出と、ユーザインターフェース生成およびレンダリングとを実施する。
【0034】
この例では、HMD112は、いくつかの例では、オペレーティングシステム305を実行するためのコンピュータプラットフォームを提供する1つまたは複数のプロセッサ302とメモリ304とを含み、オペレーティングシステム305は、たとえば埋込み型リアルタイムマルチタスキングオペレーティングシステム、または他のタイプのオペレーティングシステムであり得る。次に、オペレーティングシステム305は、アプリケーションエンジン340を含む1つまたは複数のソフトウェア構成要素307を実行するためのマルチタスキング動作環境を提供する。図2Aおよび図2Bの例に関して説明されるように、プロセッサ302は、電子ディスプレイ203と、動きセンサー206と、撮像デバイス138と、光学アセンブリ205とに結合される。いくつかの例では、プロセッサ302とメモリ304とは、別個の、個別構成要素であり得る。他の例では、メモリ304は、単一の集積回路内にプロセッサ302とコロケートされるオンチップメモリであり得る。
【0035】
概して、コンソール106は、HMD112のためにジェスチャー検出とユーザインターフェースおよび/または仮想コンテンツ生成とを実施するために、カメラ102(図1)および/またはHMD112の撮像デバイス138(図2Aおよび図2B)から受信された画像および追跡情報を処理するコンピューティングデバイスである。いくつかの例では、コンソール106は、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、またはゲーミングシステムなど、単一のコンピューティングデバイスである。いくつかの例では、プロセッサ312および/またはメモリ314など、コンソール106の少なくとも一部分は、クラウドコンピューティングシステムにわたって、データセンターにわたって、あるいは、インターネット、別のパブリックまたはプライベート通信ネットワーク、たとえば、ブロードバンド、セルラー、Wi-Fi、および/または、コンピューティングシステムとサーバとコンピューティングデバイスとの間でデータを送信するための、他のタイプの通信ネットワークなど、ネットワークにわたって分散され得る。
【0036】
図3の例では、コンソール106は、いくつかの例では、オペレーティングシステム316を実行するためのコンピュータプラットフォームを提供する1つまたは複数のプロセッサ312とメモリ314とを含み、オペレーティングシステム316は、たとえば埋込み型リアルタイムマルチタスキングオペレーティングシステム、または他のタイプのオペレーティングシステムであり得る。次に、オペレーティングシステム316は、1つまたは複数のソフトウェア構成要素317を実行するためのマルチタスキング動作環境を提供する。プロセッサ312は、1つまたは複数のI/Oインターフェース315に結合され、1つまたは複数のI/Oインターフェース315は、キーボード、(1つまたは複数の)ゲームコントローラ、(1つまたは複数の)ディスプレイデバイス、(1つまたは複数の)撮像デバイス、(1つまたは複数の)HMD、(1つまたは複数の)周辺デバイスなど、外部デバイスと通信するための1つまたは複数のI/Oインターフェースを提供する。その上、1つまたは複数のI/Oインターフェース315は、ネットワーク104など、ネットワークと通信するための1つまたは複数のワイヤードまたはワイヤレスネットワークインターフェースコントローラ(NIC)を含み得る。
【0037】
コンソール106のソフトウェアアプリケーション317は、人工現実アプリケーション全体を提供するように動作する。この例では、ソフトウェアアプリケーション317は、アプリケーションエンジン320と、レンダリングエンジン322と、ジェスチャー検出器324と、ポーズトラッカー326と、ユーザインターフェースエンジン328とを含む。
【0038】
概して、アプリケーションエンジン320は、人工現実アプリケーション、たとえば、遠隔会議アプリケーション、ゲーミングアプリケーション、ナビゲーションアプリケーション、教育アプリケーション、トレーニングまたはシミュレーションアプリケーションなどを提供および提示するための機能性を含む。アプリケーションエンジン320は、たとえば、1つまたは複数のソフトウェアパッケージ、ソフトウェアライブラリ、ハードウェアドライバ、および/またはコンソール106上に人工現実アプリケーションを実装するためのアプリケーションプログラムインターフェース(API)を含み得る。アプリケーションエンジン320による制御に応答して、レンダリングエンジン322は、HMD112のアプリケーションエンジン340によってユーザへの表示のための3D人工現実コンテンツを生成する。
【0039】
アプリケーションエンジン320およびレンダリングエンジン322は、ポーズトラッカー326によって決定された基準系、一般にHMD112の観察パースペクティブについての現在のポーズ情報に従って、ユーザ110への表示のための人工コンテンツを構築する。現在の観察パースペクティブに基づいて、レンダリングエンジン322は、いくつかの場合には、少なくとも部分的に、ユーザ110の現実世界の3D環境上にオーバーレイされ得る3D人工現実コンテンツを構築する。このプロセス中、ポーズトラッカー326は、ユーザ110による動きおよび/またはユーザ110に関する特徴追跡情報など、現実世界の環境内の3D情報をキャプチャするために、移動情報およびユーザコマンドなど、HMD112から受信された検知されたデータと、いくつかの例では、外部カメラなど、任意の外部センサー90(図1A図1B)からのデータとに対して動作する。検知されたデータに基づいて、ポーズトラッカー326は、HMD112の基準系についての現在のポーズを決定し、現在のポーズに従って、ユーザ110への表示のために、HMD112への、1つまたは複数のI/Oインターフェース315を介した通信のための人工現実コンテンツを構築する。
【0040】
ポーズトラッカー326は、HMD112についての現在のポーズを決定し得、現在のポーズに従って、任意のレンダリングされた仮想コンテンツに関連付けられたある機能性をトリガする(たとえば、仮想コンテンツアイテムを仮想表面上に配置する、仮想コンテンツアイテムを操作する、1つまたは複数の仮想マーキングを生成およびレンダリングする、レーザーポインタを生成およびレンダリングする)。いくつかの例では、ポーズトラッカー326は、仮想コンテンツのレンダリングをトリガするために、HMD112が仮想表面(たとえば、仮想ピンボード)に対応する物理的位置に近接しているかどうかを検出する。
【0041】
ユーザインターフェースエンジン328は、人工現実環境におけるレンダリングのための仮想ユーザインターフェースを生成するように構成される。ユーザインターフェースエンジン328は、仮想描画インターフェース、選択可能なメニュー(たとえば、ドロップダウンメニュー)、仮想ボタン、方向パッド、キーボードなどの1つまたは複数の仮想ユーザインターフェース要素329、または他のユーザ選択可能なユーザインターフェース要素、グリフ、ディスプレイ要素、コンテンツ、ユーザインターフェース制御などを含むように仮想ユーザインターフェースを生成する。
【0042】
コンソール106は、HMD112における表示のために、通信チャネルを介して、この仮想ユーザインターフェースと他の人工現実コンテンツとをHMD112に出力し得る。
【0043】
撮像デバイス138または102、あるいは他のセンサーデバイスのいずれかからの検知されたデータに基づいて、ジェスチャー検出器324は、ユーザ110によって実施された1つまたは複数のジェスチャーを識別するために、コントローラ114および/またはユーザ110のオブジェクト(たとえば、手、腕、手首、フィンガー、手のひら、親指)の追跡された動き、構成、位置、および/または配向を分析する。より詳細には、ジェスチャー検出器324は、HMD112の撮像デバイス138ならびに/またはセンサー90および外部カメラ102によってキャプチャされた画像データ内で認識されたオブジェクトを分析して、(1つまたは複数の)コントローラ114ならびに/あるいはユーザ110の手および/または腕を識別し、HMD112に対する(1つまたは複数の)コントローラ114、手、および/または腕の移動を追跡して、ユーザ110によって実施されたジェスチャーを識別する。いくつかの例では、ジェスチャー検出器324は、キャプチャされた画像データに基づいて、(1つまたは複数の)コントローラ114、手、指(digit)、および/または腕の位置および配向の変化を含む移動を追跡し、オブジェクトの動きベクトルをジェスチャーライブラリ330中の1つまたは複数のエントリと比較して、ユーザ110によって実施されたジェスチャーまたはジェスチャーの組合せを検出し得る。いくつかの例では、ジェスチャー検出器324は、(1つまたは複数の)コントローラ114の(1つまたは複数の)プレゼンスセンシティブ表面によって検出されたユーザ入力を受信し、ユーザ入力を処理して、(1つまたは複数の)コントローラ114に関してユーザ110によって実施された1つまたは複数のジェスチャーを検出し得る。
【0044】
本明細書で説明される技法によれば、光学アセンブリ205Aおよび205Bは、各々、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、光学アセンブリ205は、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。積層LC構造は、2つのLCセル間で共通基板を共有する光学直列において配列された2つのLCセルを含み得る。いくつかの前の積層LC構造では、各LCセルは、対応する第1の基板および第2の基板(たとえば、LCセルの第1の側の1つの基板、およびLCセルの第2の側の1つの基板)によって囲まれる。共通の中間基板を共有することによって、積層LC構造の総厚さは低減され得る。これは、光学アセンブリ205Aおよび205Bのサイズまたは厚さを低減し得る。光学アセンブリ205Aおよび205Bのサイズまたは厚さを低減することは、HMD112のサイズおよび重量の低減を可能にし得、これは、ユーザ110の快適さを改善し得る。
【0045】
図4は、本開示で説明される技法による、HMD112がスタンドアロン人工現実システムである一例を示すブロック図である。
【0046】
この例では、図3のように、HMD112は、いくつかの例では、オペレーティングシステム305を実行するためのコンピュータプラットフォームを提供する1つまたは複数のプロセッサ302とメモリ304とを含み、オペレーティングシステム305は、たとえば埋込み型リアルタイムマルチタスキングオペレーティングシステム、または他のタイプのオペレーティングシステムであり得る。次に、オペレーティングシステム305は、1つまたは複数のソフトウェア構成要素417を実行するためのマルチタスキング動作環境を提供する。その上、(1つまたは複数の)プロセッサ302は、電子ディスプレイ203と、動きセンサー206と、撮像デバイス138とに結合される。
【0047】
図4の例では、ソフトウェア構成要素417は、人工現実アプリケーション全体を提供するように動作する。この例では、ソフトウェアアプリケーション417は、アプリケーションエンジン440と、レンダリングエンジン422と、ジェスチャー検出器424と、ポーズトラッカー426と、ユーザインターフェースエンジン428とを含む。様々な例では、ソフトウェア構成要素417は、ユーザ110への表示のための人工コンテンツ上に、または人工コンテンツの一部としてオーバーレイされる仮想ユーザインターフェースを構築するために、図3のコンソール106のカウンターパート構成要素(たとえば、アプリケーションエンジン320、レンダリングエンジン322、ジェスチャー検出器324、ポーズトラッカー326、およびユーザインターフェースエンジン328)と同様に動作する。
【0048】
図3に関して説明された例と同様に、撮像デバイス138または102、(1つまたは複数の)コントローラ114、あるいは他のセンサーデバイスのいずれかからの検知されたデータに基づいて、ジェスチャー検出器424は、ユーザ110によって実施された1つまたは複数のジェスチャーを識別するために、(1つまたは複数の)コントローラ114および/またはユーザのオブジェクト(たとえば、手、腕、手首、フィンガー、手のひら、親指)の追跡された動き、構成、位置、および/または配向を分析する。
【0049】
本明細書で説明される技法によれば、光学アセンブリ205は、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、光学アセンブリ205は、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部として、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。
【0050】
図5は、1つまたは複数のデバイス(たとえば、周辺デバイス136およびHMD112)が各デバイス内の1つまたは複数のシステムオンチップ(SoC)集積回路を使用して実装される、人工現実システムのための分散アーキテクチャのより詳細な例示的な実装形態を示すブロック図である。周辺デバイス136およびHMD112は、セキュアなプライバシー保護デバイス構成証明および相互認証を可能にするように設計および構成される。
【0051】
周辺デバイス136は、ARシステム10が仮想ユーザインターフェース137をその上にオーバーレイする表面を有する物理的な現実世界のデバイスである。周辺デバイス136は、プレゼンスセンシティブ表面のロケーションにタッチするかまたはそのロケーション上をホバリングする1つまたは複数のオブジェクト(たとえば、フィンガー、スタイラス)の存在を検出することによってユーザ入力を検出するための1つまたは複数のプレゼンスセンシティブ表面を含み得る。いくつかの例では、周辺デバイス136は、プレゼンスセンシティブディスプレイであり得る出力ディスプレイを含み得る。いくつかの例では、周辺デバイス136は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、個人情報端末(PDA)、または他のハンドヘルドデバイスであり得る。いくつかの例では、周辺デバイス136は、スマートウォッチ、スマートリング、または他のウェアラブルデバイスであり得る。周辺デバイス136はまた、キオスク、あるいは他の固定または移動システムの一部であり得る。周辺デバイス136は、コンテンツをスクリーンに出力するためのディスプレイデバイスを含むことも含まないこともある。
【0052】
概して、図5に示されているSoCは、各SoC集積回路が人工現実アプリケーションのための動作環境を提供するように構成された様々な特殊な機能ブロックを含む分散アーキテクチャにおいて配列された特殊な集積回路の集合を表す。図5は、SoC集積回路の1つの例示的な配列にすぎない。マルチデバイス人工現実システムのための分散アーキテクチャは、SoC集積回路の任意の集合および/または配列を含み得る。
【0053】
この例では、HMD112のSoC530Aは、セキュリティプロセッサ224と、追跡570と、暗号化/解読580と、コプロセッサ582と、インターフェース584とを含む機能ブロックを含む。追跡570は、眼追跡572(「眼572」)、手追跡574(「手574」)、深度追跡576(「深度576」)、ならびに/または同時位置特定およびマッピング(SLAM)578(「SLAM578」)のための機能ブロックを提供する。たとえば、HMD112は、HMD112の現在の加速度を示すデータを出力する(慣性測定ユニットまたは「IMU」とも呼ばれる)1つまたは複数の加速度計、HMD112のロケーションを示すデータを出力するGPSセンサー、様々なオブジェクトからのHMD112の距離を示すデータを出力するレーダーまたはソナー、あるいは、HMD112または物理的環境内の他のオブジェクトのロケーションまたは配向の指示を提供する他のセンサーから、入力を受信し得る。HMD112はまた、1つまたは複数の撮像デバイス588A~588N(まとめて、「撮像デバイス588」)から画像データを受信し得る。撮像デバイスは、物理的環境を表す画像データを出力するように構成された、ビデオカメラ、レーザースキャナ、ドップラーレーダースキャナ、深度スキャナなどを含み得る。より詳細には、撮像デバイスは、一般にHMD112の観察パースペクティブと対応する、撮像デバイスの視野内にある、物理的環境中の(周辺デバイス136および/または手を含む)オブジェクトを表す画像データをキャプチャする。検知されたデータおよび/または画像データに基づいて、追跡570は、たとえば、HMD112の基準系についての現在のポーズを決定し、現在のポーズに従って、人工現実コンテンツをレンダリングする。
【0054】
暗号化/解読580は、周辺デバイス136またはセキュリティサーバに通信される発信データを暗号化し、周辺デバイス136またはセキュリティサーバから通信された着信データを解読するための機能ブロックである。暗号化/解読580は、セッション鍵(たとえば、秘密対称鍵)でデータを暗号化/解読するために対称鍵暗号法をサポートし得る。
【0055】
コアプリケーションプロセッサ582は、ビデオ処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、エンコーダおよび/またはデコーダ、ならびに/あるいは他のものなど、様々なプロセッサを含む。
【0056】
インターフェース584は、SoC530Aの機能ブロックに接続するための1つまたは複数のインターフェースを含む機能ブロックである。一例として、インターフェース584は、周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe)スロットを含み得る。SoC530Aは、インターフェース584を使用してSoC530B、530Cと接続し得る。SoC530Aは、他のデバイス、たとえば、周辺デバイス136と通信するためにインターフェース584を使用して通信デバイス(たとえば、無線送信機)と接続し得る。
【0057】
セキュリティプロセッサ224は、AR環境内で連携して使用されるデバイス、たとえば、周辺デバイス136とペアリングするとき、HMD112のセキュアデバイス構成証明および相互認証を提供する。HMD112が電源投入され、セキュアブートを実施するとき、セキュリティプロセッサ224は、NVM534に記憶されたペアリング証明書に基づいてHMD112のSoC530A~530Cを認証し得る。ペアリング証明書が存在しないか、またはペアリングされるべきデバイスが変わった場合、セキュリティプロセッサ224は、セキュリティサーバに、構成証明についてSoC530A~530Cのデバイス証明書を送り得る。
【0058】
SoC530Bおよび530Cは、各々、人工現実コンテンツをそれぞれのディスプレイ、たとえば、ディスプレイ586A、586B(まとめて、「ディスプレイ586」)上に出力するためのディスプレイコントローラを表す。この例では、SoC530Bは、光学アセンブリ589Aを介してユーザの左眼587Aのための人工現実コンテンツを出力するための、ディスプレイ568Aのためのディスプレイコントローラを含み得る。たとえば、SoC530Bは、人工現実コンテンツをディスプレイ586A上に出力するための解読ブロック592A、デコーダブロック594A、ディスプレイコントローラ596A、および/またはピクセルドライバ598Aを含む。同様に、SoC530Cは、ユーザの右眼587Bのための人工現実コンテンツを出力するための、ディスプレイ568Bのためのディスプレイコントローラを含み得る。たとえば、SoC530Cは、人工現実コンテンツを生成し、ディスプレイ586B上に出力するための解読592B、デコーダ594B、ディスプレイコントローラ596B、および/またはピクセルドライバ598Bを含む。ディスプレイ568は、ARコンテンツを表示するための発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)、量子ドットLED(QLED)、電子ペーパー(E-ink)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、または他のタイプのディスプレイを含み得る。
【0059】
光学系アセンブリ589Aおよび589Bは、HMD112のユーザ(たとえば、図1のユーザ110)によって観察するための、それぞれ、電子ディスプレイ586Aおよび586Bによって出力された光を透過し、管理するように構成された光学要素を含む。光学要素は、たとえば、電子ディスプレイ586Aおよび586Bによって出力された光を操作する(たとえば、集束させること、焦点をぼかすこと、反射すること、屈折させること、回折すること、散乱させることなどを行う)1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の回折光学要素、1つまたは複数の反射光学要素、1つまたは複数の導波路などを含み得る。本開示の技法によれば、光学アセンブリ589Aおよび589Bの各々は、1つまたは複数の積層LC構造を含む。たとえば、光学アセンブリ589Aおよび589Bの各々は、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部として、連続光学段において光を透過するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。積層LC構造は、2つのLCセル間で共通基板を共有する光学直列において配列された2つのLCセルを含み得る。いくつかの前の積層LC構造では、各LCセルは、対応する第1の基板および第2の基板(たとえば、LCセルの第1の側の1つの基板、およびLCセルの第2の側の1つの基板)によって囲まれる。共通の中間基板を共有することによって、積層LC構造の総厚さは低減され得る。これは、光学アセンブリ589Aおよび589Bのサイズまたは厚さを低減し得る。光学アセンブリ589Aおよび589Bのサイズまたは厚さを低減することは、HMD112のサイズおよび重量の低減を可能にし得、これは、ユーザ110の快適さを改善し得る。
【0060】
いくつかの例では、積層LC構造は、積層LC構造が第1の光学状態(たとえば、「オフ」状態)または第2の光学状態(たとえば、「オン」状態)において構成され得る切替え可能波長板またはリターダであり得る。第1の光学状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光とは異なる偏光を有する透過光に変換するように構成され得る。異なる偏光は、円偏光された光への直線偏光された光の変換またはその逆(公称4分の1波長板)、直交直線偏光(linear polarization)への1つの直線偏光の光の変換、または直交円偏光(circular polarization)への1つの円偏光の光の変換(公称半波長板)などを含む、任意の好適な変更された偏光であり得る。第2の光学状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過するように構成され得る。このようにして、積層LC構造は、画像光が、偏光感応性または偏光依存光学要素を含み得る光学系アセンブリ589Aおよび589Bを通して透過されるとき、画像光の偏光を管理するために使用され得る。
【0061】
周辺デバイス136は、人工現実アプリケーションをサポートするように構成されたSoC510Aおよび510Bを含む。この例では、SoC510Aは、セキュリティプロセッサ226と、追跡540と、暗号化/解読550と、ディスプレイプロセッサ552と、インターフェース554とを含む機能ブロックを備える。追跡540は、眼追跡542(「眼542」)、手追跡544(「手544」)、深度追跡546(「深度546」)、ならびに/または同時位置特定およびマッピング(SLAM)548(「SLAM548」)を提供する機能ブロックである。たとえば、周辺デバイス136は、周辺デバイス136の現在の加速度を示すデータを出力する(慣性測定ユニットまたは「IMU」とも呼ばれる)1つまたは複数の加速度計、周辺デバイス136のロケーションを示すデータを出力するGPSセンサー、様々なオブジェクトからの周辺デバイス136の距離を示すデータを出力するレーダーまたはソナー、あるいは、周辺デバイス136または物理的環境内の他のオブジェクトのロケーションまたは配向の指示を提供する他のセンサーから、入力を受信し得る。周辺デバイス136は、いくつかの例では、物理的環境を表す画像データを出力するように構成された、ビデオカメラ、レーザースキャナ、ドップラーレーダースキャナ、深度スキャナなど、1つまたは複数の撮像デバイスから画像データをも受信し得る。検知されたデータおよび/または画像データに基づいて、追跡ブロック540は、たとえば、周辺デバイス136の基準系についての現在のポーズを決定し、現在のポーズに従って、HMD112に人工現実コンテンツをレンダリングする。
【0062】
暗号化/解読550は、HMD112またはセキュリティサーバに通信される発信データを暗号化し、HMD112またはセキュリティサーバから通信された着信データを解読する。
【0063】
ディスプレイプロセッサ552は、HMD112に人工現実コンテンツをレンダリングするための、ビデオ処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、エンコーダおよび/またはデコーダ、ならびに/あるいは他のものなど、1つまたは複数のプロセッサを含む。
【0064】
インターフェース554は、SoC510Aの機能ブロックに接続するための1つまたは複数のインターフェースを含む。一例として、インターフェース584は、周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe)スロットを含み得る。SoC510Aは、インターフェース584を使用してSoC510Bと接続し得る。SoC510Aは、他のデバイス、たとえば、HMD112と通信するためにインターフェース584を使用して1つまたは複数の通信デバイス(たとえば、無線送信機)と接続し得る。
【0065】
セキュリティプロセッサ226は、AR環境内で連携して使用されるデバイス、たとえば、HMD112とペアリングするとき、周辺デバイス136のセキュアデバイス構成証明および相互認証を提供する。周辺デバイス136が電源投入され、セキュアブートを実施するとき、セキュリティプロセッサ226は、NVM514に記憶されたペアリング証明書に基づいて周辺デバイス136のSoC510A、510Bを認証し得る。ペアリング証明書が存在しないか、またはペアリングされるべきデバイスが変わった場合、セキュリティプロセッサ226は、セキュリティサーバ140に、構成証明についてSoC510A、510Bのデバイス証明書を送り得る。
【0066】
SoC510Bは、コアプリケーションプロセッサ560とアプリケーションプロセッサ562とを含む。この例では、コアプリケーションプロセッサ560は、視覚処理ユニット(VPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、および/または中央処理ユニット(CPU)など、様々なプロセッサを含む。アプリケーションプロセッサ562は、たとえば、仮想ユーザインターフェースを生成し、周辺デバイス136の表面にレンダリングするための、および/または周辺デバイス136に関してユーザによって実施されたジェスチャーを検出するための、1つまたは複数の人工現実アプリケーションを実行するための処理ユニットを含み得る。
【0067】
本開示によれば、(図2A図2B図3および図4に示されている)光学アセンブリ205と、(図5に示されている)光学アセンブリ589Aおよび589Bとの各々は、位相調整を、積層LC構造の入力側に入射するブロードバンド光の偏光に適用するように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含む。位相調整の量は、ブロードバンド光の偏光が回転されるようなものである。いくつかの実施形態では、積層LC構造は、光学直列において配列された2つまたはそれ以上の液晶(LC)セルを含む。積層LC構造は、隣接するLCセル間の共通基板を含む1つまたは複数の基板層、および/または1つまたは複数の電極層をさらに含み得る。
【0068】
ブロードバンド光がスタック中の各LCセルを通過するとき、各LCセルは、ある量の位相調整をブロードバンド光の偏光に適用する。本明細書で使用される位相調整は、光の偏光ベクトル成分間の位相の変更、および/または偏光ベクトル成分の回転を指す。位相は0であり得、位相の変更は、位相を非0にすることであり、またはその逆も同様であり得ることに留意されたい。いくつかの例では、位相調整の量は、直線偏光された光の回転(たとえば、90度回転)、または円偏光された光についての掌性(handedness)の(たとえば、右円偏光された光から左円偏光された光への、またはその逆の)変更を引き起こし得る。したがって、いくつかの例では、積層LC構造は、半波長板として機能し得る。他の例では、積層LC構造は、直線偏光された光を円偏光された光におよびその逆に変換する4分の1波長板として働き得る。いくつかの例では、位相調整の総量は、ブロードバンド光の偏光を回転する(たとえば、直線偏光された光をいくらかの量だけ回転する)ように働く。他の例では、積層LC構造は、選択された偏光の変更を入射光に付与する波長板またはリターダとして働き得る。ブロードバンド光は、たとえば、可視スペクトル全体を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、たとえば、積層LC構造は、それぞれのコントローラを介して(たとえば、制御電圧の印加を介して)第1の光学状態(たとえば、「オフ」状態)または第2の光学状態(たとえば、「オン」状態)になるように構成可能であり得る。第1の光学状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光とは異なる偏光を有する透過光に変換するように構成され得る。第2の光学状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過するように構成され得る。たとえば、積層LC構造が第1の状態に設定され、半波長板であるように構成されたとき、積層LC構造に入射する左円偏光された(LCP)光は、右円偏光された(RCP)光として透過されることになり、その逆も同様である。対照的に、積層LC構造が第2の状態に設定され、0波長板または全波長板であるように構成されたとき、積層LC構造に入射する光は、その光の偏光の変更なしに透過されることになる(たとえば、LCP光はLCPのままであり、RCP光はRCPのままである)。このようにして、積層LC構造は、積層LC構造の光学透過特性が印加電圧に基づいて変更または制御され得るという点で「切替え可能」であると見なされ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、各積層LC構造は、第1のLCセルに入射し、第1のLCセルを通して透過される光が、第2のLCセルに入射し、第2のLCセルを通して透過されるように、光学直列において配列される2つのLCセルを含む。2つのLCセルは、互いに対して逆平行または垂直整列を有するように構成される。積層LC構造内のLCセルは、能動状態または受動状態になり得、いくらかの量の位相調整を、積層LC構造によって放出された光に与えるように構成される。積層LC構造は、入射角の広い範囲にわたるブロードバンド光を含む波長の範囲について波長非依存(wavelength independent)であり得る。
【0071】
積層LC構造は、積層LC構造の状態が1つまたは複数の電極層を使用して印加される電圧に基づいて制御され得るように、1つまたは複数の電極層を含み得る。たとえば、積層LC構造の入力側に入射するブロードバンド光の偏光に対する位相調整の量を制御するために、積層LC構造の1つまたは複数の電極層に制御電圧が印加され得る。このようにして、HMD112の光学アセンブリは、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリの一部であるように構成された1つまたは複数の積層LC構造を含み得る。
【0072】
例示的な可変焦点光学ディスプレイアセンブリは、2017年9月1日に出願された米国出願第15/693,839号、および2019年3月15日に出願された米国出願第16/355,612号、「Display Device with Varifocal Optical Assembly」において説明され、その両方は本明細書で説明される。可変焦点光学ディスプレイアセンブリは、位相調整が光の偏光に適用されるか、または光の偏光が波長の広い範囲にわたって、および入射角の広い範囲にわたって回転される、他のHMDおよび/または他のアプリケーションにおいても使用され得る。
【0073】
いくつかの例では、HMDの光学アセンブリは、1つまたは複数の積層LC構造に加えて1つまたは複数の光学要素を含み得る。1つまたは複数の光学要素は、1つまたは複数の積層LC構造と直列に配列され得、1つまたは複数の積層LC構造の前に(入力側に)、1つまたは複数の積層LC構造の後に(出力側に)、または1つまたは複数の積層LC構造のいずれかとの間にのいずれかで配列され得る。たとえば、(1つまたは複数の)光学要素は、1つまたは複数の積層LC構造のうちの1つに入射する光、または1つまたは複数の積層LC構造のうちの1つから出る光に対して何らかの光学調整を実施するように働き得る。別の例として、(1つまたは複数の)光学要素は、積層LC構造から放出される画像光における収差を補正するように働くこと、積層LC構造から放出された画像光に対してレンズとして働く(正または負の光学パワーを印加する)こと、積層LC構造から放出された画像光の何らかの他の光学調整を実施すること、またはそれらの何らかの組合せを行い得る。光学要素は、たとえば、開口、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、回折要素、導波路、フィルタ、偏光子、ディフューザ、ファイバーテーパ、1つまたは複数の反射面、偏光反射面、複屈折要素、(幾何学的位相レンズとも呼ばれる)パンチャラトナムベリー位相(PBP)レンズ、(幾何学的位相格子とも呼ばれる)PBP格子、偏光感応性ホログラム(PSH)レンズ、PSH格子、液晶光学位相アレイ、あるいは積層LC構造に入射するかまたは積層LC構造から放出される画像光に影響を及ぼす任意の他の好適な光学要素を含み得る。
【0074】
たとえば、可変焦点光学ディスプレイは、入射光の偏光に応じて正または負の焦点距離を呈する複数のPBPレンズを含み得る。可変焦点光学ディスプレイは、各PBPレンズの前に対応する積層LC構造を含み得る。積層LC構造は、後続のPBPレンズに入射する光の円偏光を選択し、したがって、それらのPBPレンズが正の焦点パワーを呈するのか負の焦点パワーを呈するのかを制御するように構成および制御され得る。
【0075】
積層LC構造におけるLCセルのうちの1つまたは複数は、たとえば、フィルムタイプLCセルまたは薄ガラスタイプLCセルを含み得る。積層LC構造における各LCセルは、電子制御複屈折(ECB)モード、垂直配向(VA:vertical alignment)モード、マルチドメイン垂直配向(MVA:multi-domain vertical alignment)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、光学補償ベンド(OCB)モード、または任意の他の液晶モードを含む複数の光学モードのうちの1つにおいて動作し得る。
【0076】
積層LC構造におけるLCセルは、能動であるか、受動であるか、またはそれらの何らかの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、LCセルのうちの少なくとも1つは、ネマチックLCセル、キラルドーパントをもつネマチックLCセル、キラルLCセル、一様配向らせん(ULH:uniform lying helix)LCセル、または強誘電性LCセルである。いくつかの実施形態では、LCセルは、電気的に駆動可能な複屈折性材料を含む。
【0077】
いくつかの例では、積層LC構造内の各LCセルは、積層LC構造において隣接するLCセルに垂直であるように整列され得る。垂直整列では、隣接するLCセルの平均分子整列は、互いに直交するように構成される。いくつかの例では、積層LC構造内の各LCセルは、積層LC構造において隣接するLCセルに対して逆平行整列を有し得る。逆平行整列では、第1のLCセルと、隣接する第2のLCセルの両方は、互いに平行になるが、反対の光学整列をもつ。すなわち、逆平行整列では、第1のLCセルの平均分子整列は、第2のLCセルの平均分子整列に逆平行であるように構成される。いくつかの例では、隣接するLCセルは、垂直でも平行でもなく、積層LC構造600の所望の光学挙動に応じて0~90度の間の平均分子整列を有するように設計され得る。
【0078】
図6は、例示的な積層LC構造600を示す。概して、本明細書で説明される積層LC構造は、入力側または表面616(入射光640を受光する側または表面)と、出力側または表面618(光650が透過される側または表面)とを有する。同様に、積層LC構造内の各層は、対応する入力(入射する光)側と出力(透過される光)側とを有する。この例では、積層LC構造600は、2つのLCセル605aおよび605bと、第1の下部基板610と、第2の共通基板612と、第3の上部基板614とを含む。第2の共通基板612を共有することによって、積層LC構造600の厚さは、各LCセル605a、605bが対応する上部基板および下部基板に関連付けられた積層LC構造と比較して低減され得る。他の例では、積層LC構造は、隣接するLCセル間で共通基板を共有する光学直列において配列された少なくとも2つの液晶(LC)セルを含み得る。したがって、2つのLCセルを含む積層LC構造が、説明の目的で図6図10に関して図示および説明されているが、本開示は、この点について限定されず、(1つまたは複数の)積層LC構造は、一般に、複数のLCセルを含み得ることを理解されたい。
【0079】
積層LC構造600は、共通基板612の入力側の第1の電極615bと共通基板612の出力側の第2の電極615cとを有する共通基板612を含み、さもなければ第1のLCセル605aと第2のLCセル605bとの間に存在するであろう基板層を省略し、積層LC構造600全体の低減された厚さを可能にする。これは、積層LC構造600が使用される光学アセンブリのサイズおよび重量を低減し得、これは、ヘッドマウントディスプレイのユーザ快適さのための重要な考慮事項である。積層LC構造における基板層をなくすことによって達成される低減された厚さは、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために連続光学段において複数の積層LC構造が使用されるとき、さらにより明らかになり得る。
【0080】
この例では、LCセル605aおよびLCセル605bの各々は、Piセルとして構成され、分散性媒質が電界および磁界に反応する高度に構造化された液体である、光学的等方コロイド系(optically isotropic colloidal system)からなる。LCセル605aおよび605bは、各々、複数のLC分子620を懸濁させる(suspend)。様々な例では、LCセル605aおよびLCセル605bの各々は、(光学伝搬方向に沿って)厚さ50マイクロメートル(μm)よりも小さい。たとえば、LCセル605aおよびLCセル605bの各々は、(光学伝搬方向に沿って)厚さ10μmよりも小さくなり得る。各LCセルの厚さは、たとえば、液晶材料の屈折率または液晶材料の複屈折(異なる偏光についての屈折率の差)に基づいて変動し得ることを理解されたい。
【0081】
図6の例では、LCセル605aおよび605bは、両方ともPi状態に安定させられる。すなわち、LCセル605aおよび605b内にカプセル化された複数のLC分子620は、Piセルを形成するように構成される。Piセルは、一般に、高速応答時間と増加された観察角とを必要とする適用例(たとえば、大きいスクリーンのテレビジョンおよび高速光学シャッター)において使用される。LCセル605aおよび605bでは、複数のLC分子620は、180°ツイスト角を有する。複数のLC分子620の各LC分子は、分子の軸に沿って双極子モーメントをもつ細長いロッド状分子である。1つまたは複数の例では、複数のLC分子620の各々は数ナノメートルのサイズを有し、配向および位置の順序(order)を可能にする剛性部分と可とう性部分の両方を含む。複数のLC分子は、外界(たとえば、印加電圧)などの外部条件に応じて光学複屈折を呈し得る。一般に、Piセルでは、電界がオフに切り替えられた(たとえば、0Vの印加)とき、LC分子620は、Piセルの電気光学応答を引き起こすトルクを経験する。したがって、LCセル(たとえば、LCセル605aまたはLCセル605b)への外界の変調は、そのLCセルの光学複屈折の修正を生じ得る。LCセル605aおよび605bは、図6の例ではPiセルとして説明されているが、LCセル605aおよび605b(ならびに、また、図7図10に関して図示および説明されるLCセルのいずれか)は、Piセル(平行摩擦)、逆平行、ツイステッドネマチック(TN)、強誘電体、当技術分野において知られている任意の他のタイプのLCセル、またはそれらの任意の組合せを含む、任意のタイプのLCセルであり得、本開示は、この点について限定されないことを理解されたい。
【0082】
LCセル605aおよび605bの各々は、2つの光学的に透明な電極層の間に配置される。LCセル605aは電極層615aと電極層615bとの間に配置され、LCセル605bは電極層615cと電極層615dとの間に配置される。電極層615aは第1の下部基板610の出力側に適用され、電極層615dは第3の上部基板614の入力側に適用される。第2の共通基板612は、入力側と出力側の両方に電極層を含み、すなわち、電極層615bは第2の共通基板612の入力側に適用され、電極層615cは第2の共通基板612の出力側に適用される。このようにして、電極層615aおよび615bは、LCセル605aに電圧を印加するように構成された電極層ペア615a/615bであると見なされ得、電極層615cおよび615dは、LCセル605bに電圧を印加するように構成された電極層ペア615c/615dであると見なされ得る。
【0083】
基板610、612、および614は、たとえば、光学的に透明なガラスまたはプラスチック基板材料を備え得る。電極615a、615b、615c、および615dは、たとえば、光学的に透明な導電性ポリマー、金属、またはセラミックを備え得る。いくつかの実施形態では、光学的に透明な導電性ポリマー、金属、またはセラミックは、酸化インジウムスズ(ITO)である。いくつかの例では、基板610、612、および614は等方性であり、ブロードバンド光が基板を通過するとき、ブロードバンド光の偏光に影響を及ぼさない。いくつかの例では、基板610、612、および614のうちの1つまたは複数は、(1つまたは複数の)補償フィルムとして働くために異方性であり得る。基板610、612、および614と、電極615a、615b、615c、および615dとは、実質的に均一な電界がLCセル605aおよび605bを通して印加されるように構成される。LCセル605aおよびLCセル605bは、LCセルのうちの一方が積層LC構造600を駆動する(すなわち、積層LC構造600の総位相リターデーション(total phase retardation)を制御する)ように構成され、他方が、積層LC構造の角度応答を改善するために補償セルとして働くように構成される。図6に示されているように、LCセル605aおよび605bは、観察角を改善するのを助ける逆平行摩擦方向を有する。詳細には、ツイステッドネマチック液晶セルの例においてデュアルセルを使用する別の理由は、2つのセルが右旋円偏光された光を左に、およびその逆に変更するために必要とされるということである。その例では、両方のセルは、一方のセルがx偏光を回転し、他方のセルがy偏光を回転するように、電界と同時に駆動される。デュアルセルを使用するまた別の理由は、第1のセル605aが、0度から70度までのツイストを生成し、第2のセル605bが、反対の掌性で70度から0度までのツイストを生成するという点で、2つのセルを使用する積層LC構造600がデュアルツイストであると見なされ得るということであり、これは、スペクトルの可視範囲にわたって実質的に均一な性能を達成するのを助け得る。
【0084】
電極層ペア615a/615bおよび615c/615dは、それぞれ、LCセル615aおよび615bのうちの1つまたは複数に電圧を印加するように構成されたコントローラ(たとえば、図3および図4の(1つまたは複数の)プロセッサ302、あるいは図5のSOC530A、530B、または530C)にさらに結合される。電極層ペアへの電圧の印加は、対応するLCセルを通した電界の形成を引き起こす。様々な例では、生成された電界は、印加電圧に比例する。いくつかの例では、コントローラは、LCセルのうちの1つ(たとえば、LCセル605aまたはLCセル605b)の障害を決定し、それに応じて印加される電圧を調整するように構成される。たとえば、コントローラがLCセル605aの障害を検出した場合、コントローラは、LCセル605bが積層LC構造600の総位相リターデーションを駆動するように、LCセル605bに電圧を印加し得る。
【0085】
次に積層LC構造600を通した光の伝搬を参照すると、入射光640は、第1の下部基板610aを介してLCセル605aに透過される。光640がLCセル605aを通って伝搬するとき、LCセル605aの正常軸および異常軸に対応する光640の偏光が、LCセル605aを通る異なる経路をとる。正常軸および異常軸が異なる屈折率を有することに少なくとも部分的に基づいて、ある量の位相調整が行われる。したがって、LCセル605aは、光640がLCセル605aを通って伝搬するとき、第1の量の位相調整を光640に適用する。光640は、第2の共通基板612を介してLCセル605bに透過される。LCセル605bは、第2の量の位相調整を光640に適用するように構成される。光640は、第3の上部基板614を介して、透過光650として積層LC構造600を出る。透過光650は、光640の位相が第3の量だけ調整された後の光640であり、第3の量は、積層LC構造600によって適用される位相調整の総量を表す。すなわち、積層LC構造600は、第3の量の位相調整を入射光640に適用するように構成される。第3の量は、第1の量と第2の量との線形組合せでないことがある。いくつかの例では、透過光650は、右旋円偏光される(RCP)か、左旋円偏光される(LCP)か、水平方向に直線偏光されるか、垂直方向に直線偏光されるか、またはそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、たとえば、積層LC構造600は、第1の状態において、透過光がRCPされるようにLCP入射光の偏光を回転するかまたはその逆を行い、第2の状態において光をそのまま透過する。
【0086】
いくつかの例では、積層LC構造600の総位相リターデーションは、一方または両方のLCセル605aおよび/または605bへの電圧の印加を通して制御可能または構成可能であり得る。このようにして、積層LC構造は、積層LC構造の光透過(位相)特性が印加電圧に基づいて変更または制御され得るという点で「切替え可能」であると見なされ得る。言い換えれば、積層LC構造は、切替え可能位相変調器要素であると見なされ得る。いくつかの例では、積層LC構造600の総位相リターデーションは、積層LC構造600が公称4分の1波長板、公称半波長板、または公称全波長板として働くようなものであり得る。本明細書で使用される「公称」波長板は、入射光の少なくともいくつかの波長について公称波長板構造に近似的に関連付けられた偏光変更を付与する。波長板は、波長板が動作するように設計された範囲内でさえ、光のすべての波長に等しく影響を及ぼすとは限らないことがある。さらに、波長板は、ブロードバンド光よりも小さくなり得る、選択された波長または波長の範囲にわたって動作するように設計され得る。
【0087】
いくつかの例では、積層LC構造600は、HMD112のコントローラなど、それぞれのコントローラによる電極層605a~605dのうちの1つまたは複数への制御電圧の印加を介して、第1の光学状態または第2の光学状態になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造600は、第1または第2の偏光の入射光を、それぞれ、第2または第1の偏光の透過光に変換する。第1の偏光は第2の偏光に直交する。第2の光学状態において、積層LC構造600は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0088】
図7は、いくつかの例による、逆平行整列をもつ2つのLCセル705aおよび705bを含む例示的な積層LCセル構造700を示す。積層LCセル構造700は、LCセル705aと、LCセル705bと、第1の下部基板710と、第2の共通基板712と、第3の上部基板714とを含む。LCセル705aおよび705bの各々は複数のLC分子720を含む。
【0089】
LCセル705aおよび705bの各々は、2つの光学的に透明な電極層の間に配置される。LCセル705aは電極層715aと電極層715bとの間に配置され、LCセル705bは電極層715cと電極層715dとの間に配置される。電極層715aは第1の下部基板710の出力側に適用され、電極層715dは第3の上部基板714の入力側に適用される。第2の共通基板712は、両方の側に電極層を含み、すなわち、電極層715bは第2の共通基板712の入力側に適用され、電極層715cは第2の共通基板712の出力側に適用される。このようにして、電極層715aおよび715bは、LCセル705aに電圧を印加するように構成された電極層ペア715a/715bであると見なされ得、電極層715cおよび715dは、LCセル705bに電圧を印加するように構成された電極層ペア715c/715dであると見なされ得る。
【0090】
次に積層LC構造700を通した光の伝搬を参照すると、入射光740は、第1の下部基板710aに入射する。光740は、第1の下部基板710aを介してLCセル705aに透過される。LCセル705aは、光740がLCセル705aを通って伝搬するとき、第1の量の位相調整を光740に適用する。光740は、第2の共通基板712を介してLCセル705bに透過される。LCセル705bは、第2の量の位相調整を光740に適用するように構成される。光740は、第3の上部基板714を介して、透過光750として積層LC構造600を出る。透過光750は、光740の位相が第3の量だけ調整された後の光740であり、第3の量は、積層LC構造700によって適用される位相調整の総量を表す。第3の量は、第1の量と第2の量との線形組合せに等しくないことがある。いくつかの例では、LCセル705bは、積層LC構造の角度応答を改善するために補償セルとして働き得る。
【0091】
いくつかの例では、積層LC構造700の総位相リターデーションは、一方または両方のLCセル705aおよび/または705bへの電圧の印加を通して制御可能または構成可能であり得る。このようにして、積層LC構造700は、積層LC構造700の光透過特性が印加電圧に基づいて変更または制御され得るという点で「切替え可能」であると見なされ得る。いくつかの例では、積層LC構造700の総位相リターデーションは、積層LC構造700が4分の1波長板、半波長板、または全波長板として働くようなものであり得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、積層LC構造700は、HMD112のコントローラなど、それぞれのコントローラによる電極層705a~705dのうちの1つまたは複数への制御電圧の印加を介して、第1の光学状態または第2の光学状態になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造700は、第1または第2の偏光の光を、それぞれ、第2または第1の偏光の光に変換する。第1の偏光は第2の偏光に直交する。第2の光学状態において、積層LC構造700は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0093】
図8Aは、一実施形態による、垂直整列を有する2つのLCセル805aおよび805bを含む例示的な積層LCセル構造800Aを示す。垂直整列では、LCセル805aの分子820aの平均分子整列は、LCセル805bの分子820bの平均分子整列に直交する。図8Aの例では、LCセル805aに関連付けられた複数のLC分子820aの各々は、LC分子820aの双極子モーメントが電界の不在下でy軸に平行であるように配向される。一方、LCセル805bに関連付けられた複数のLCモジュール820bは、LCモジュール820bの双極子モーメントが分子820aの双極子モーメントに実質的に平行であるように配向される。たとえば、LCセル805bに関連付けられた複数のLC分子820bは、LC分子820bの双極子モーメントが電界の不在下でX-Z平面に垂直または平行でない(たとえば、LC分子820bの双極子モーメントが電界の不在下でX-Z平面に対して0.5°から89.5°の間の範囲内にある)ように配向され得る。LCセル805aおよび805bが正の誘電異方性を有するある例では、複数のLC分子820bは、X-Z平面に対して0.5°~10°の範囲内の角度を作る。LCセル805aおよび805bが負の誘電異方性を有するいくつかの例では、複数のLC分子820は、X-Z平面に対して80°~89.5°の範囲内の角度を作り得る。
【0094】
複数のLC分子820aおよび820bの各々の複屈折は、複数のLC分子820aおよび820bに関連付けられたLC分子の固有性質である。すなわち、複数のLC分子820aまたは820bのうちのLC分子の複屈折は、そのLC分子の配向に関係しない。様々な例では、LCセル805aおよび805bを通って伝搬する光が受ける位相リターデーションは、それぞれ、複数のLC分子820aおよび820bの配向に関係する。たとえば、正の誘電異方性をもつLCセル805aおよび805bを含む例では、リターデーションは、分子820aおよび820bの傾斜角の増加とともに減少する。負の誘電異方性をもつLCセル805aおよび805bを含むいくつかの他の例では、LCセル805aおよび805bを通過する光が受ける位相リターデーションは、傾斜角の減少とともに増加する。図8Aの例では、電極層ペア815a/815bによってLCセル805bに印加される電界が、電極層ペア815c/815dによってLCセル805aに印加される電界に逆平行に配向され得る。たとえば、電極層ペア815a/815bは、LCセル805aを通してz軸に逆平行に配向された均一な電界を生成するように構成され得、電極層ペア815c/815dは、LCセル805aを通して電界に逆平行に配向された均一な電界を生成するように構成され得る。
【0095】
次に積層LC構造800を通した光の伝搬を参照すると、入射光840は、第1の下部基板810aに入射する。光840は、第1の下部基板810aを介してLCセル805aに透過される。光840がLCセル805aを通って伝搬するとき、LCセル805aの正常軸および異常軸に対応する光840の偏光が、LCセル805aを通る異なる経路をとる。正常軸および異常軸が異なる屈折率を有することに少なくとも部分的に基づいて、ある量の位相調整が行われる。したがって、LCセル805aは、光840がLCセル805aを通って伝搬するとき、第1の量の位相調整を光840に適用する。光840は、第2の共通基板812を介してLCセル805bに透過される。LCセル805bは、第2の量の位相調整を光840に適用するように構成される。光840は、第3の上部基板814を介して、透過光850として積層LC構造800を出る。透過光850は、光840の位相が第3の量だけ調整された後の光840であり、第3の量は、積層LC構造800によって適用される位相調整の総量を表し、第3の量は、第1の量と第2の量との線形組合せに等しくないことがある。いくつかの例では、LCセル805bは、システムを駆動するためのバックアップセルとして利用され得る。たとえば、LCセル805aが、積層LC構造800の総位相リターデーションを駆動するために使用され、LCセル805aにおいて障害が検出された例では、LCセル805bは、代わりに駆動セルとして動作し得る。
【0096】
図8Bは、いくつかの実施形態による、代替の例示的な積層LC構造800Bを示す。積層LC構造800Bは、第1のLCセル805aと、第2のLCセル805dとを含む。LCセル805cの分子820cが、LCセル805aの分子820aと比較して実質的に垂直に配向され、LCセル805dの分子820dが、LCセル805bの分子820bと比較して実質的に垂直に配向される。
【0097】
いくつかの例では、積層LC構造800Aおよび800Bの総位相リターデーションは、(積層LC構造800Aの場合)一方または両方のLCセル805aおよび/または805bへの、ならびに(積層LC構造800Bの場合)一方または両方のLCセル805cおよび/または805dへの、電圧の印加を通して制御可能または構成可能であり得る。このようにして、積層LC構造800Aおよび800Bは、積層LC構造800Aおよび800Bの光透過特性が印加電圧に基づいて変更または制御され得るという点で「切替え可能」であると見なされ得る。いくつかの例では、積層LC構造800Aおよび800Bの総位相リターデーションは、積層LC構造800Aおよび800Bが4分の1波長板、半波長板、または全波長板として働くようなものであり得る。
【0098】
いくつかの例では、積層LC構造800Aおよび800Bは、HMD112のコントローラなど、それぞれのコントローラによる電極層805a~805dのうちの1つまたは複数への制御電圧の印加を介して、第1の光学状態または第2の光学状態になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造800Aおよび/または800Bは、第1または第2の偏光の光を、それぞれ、第2または第1の偏光の光に変換する。第1の偏光は第2の偏光に直交する。第2の光学状態において、積層LC構造800Aおよび/または800Bは、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0099】
図6に関して上記で説明されたように、(図7に示されている積層LC構造700、および/または図8に示されている積層LC構造800A/800Bなどの)積層LC構造は、本明細書で説明される技法によれば、共通基板の入力側の第1の電極と共通基板の出力側の第2の電極とを有する(共通基板712および/または812などの)共通基板を含む。これにより、積層LC構造は、さもなければ第1のLCセルと第2のLCセルとの間に存在するであろう基板層を省略し、積層LC構造全体の低減された厚さを可能にする。これは、積層LC構造が使用される光学アセンブリのサイズおよび重量を低減し得、これは、ヘッドマウントディスプレイのユーザ快適さのための重要な考慮事項である。積層LC構造における基板層をなくすことによって達成される低減された厚さは、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために連続光学段において複数の積層LC構造が使用されるとき、さらにより明らかになり得る。
【0100】
いくつかの例では、入力側の電極と出力側の電極とを有する共通基板を含むのではなく、積層LC構造は、LCセル間の追加の基板なしに、2つのLCセル間の共通電極層を含み得る。図9は、共通電極層918を有する例示的な積層LC構造900を示す。積層LC構造900は、2つのLCセル905aおよび905bと、下部基板910と、共通電極層918と、上部基板914とを含む。この例では、LCセル905aおよびLCセル905bの各々は、本明細書で説明されるように、または当業者に知られているように任意のタイプのLCセルであり得る。他の例では、積層LC構造は、隣接するLCセル間で共通電極層を共有する光学直列において配列された少なくとも2つのLCセルを含む。したがって、2つのLCセルを含む積層LC構造が、説明の目的で図9に関して図示および説明されているが、本開示は、この点について限定されず、(1つまたは複数の)積層LC構造は、対応する複数の共通電極層が隣接するLCセル間に散在した複数のLCセルを含み得ることを理解されたい。
【0101】
本明細書の技法によれば、積層LC構造900は、それぞれ、図6図7、ならびに図8Aおよび図8Bに示されている基板612、712、および812など、入力表面と出力表面の両方の上に電極を有する共通基板の代わりに、共通電極層918を使用する。結果として、積層LC構造900において、LCセル905aは電極層915aと共通電極918との間に配置され、LCセル905bは電極層915dと共通電極層918との間に配置される。このようにして、電極層915aおよび共通電極918は、LCセル905aに電圧を印加するように構成された電極層ペア915a/918であると見なされ得、電極層915dおよび共通電極918は、LCセル905bに電圧を印加するように構成された電極層ペア915d/918であると見なされ得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、共通電極層918は、光学的に透明な導電性ポリマーを含み得る。たとえば、光学的に透明な導電性ポリマーはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であり得る。いくつかの例では、PEDOT:PSSを含む共通電極層918は、共通電極層918の導電率に影響を及ぼすために1つまたは複数の化合物とともに扱われ得る。たとえば、PEDOT:PSS層は、PEDOT:PSS層の導電率に影響を及ぼすために、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩、共溶媒、ポリビニルアルコール(PVA)などのアルコール、カーボンナノチューブ、銀ナノワイヤまたは粒子などとともに扱われ得る。共通電極層918は、スピンコーティングおよび乾燥を含む任意の好適な技法を使用して形成され得る。共通基板と2つの電極との代わりに共通電極層918を含むことによって、積層LC構造900は、いくつかの積層LCセルよりもさらに低減された厚さをさらに有し得る。さらに、PEDOT:PSSは、適切に準備され、扱われるとき、ITOよりも高い導電率を有し得る。
【0103】
基板910および914は、たとえば、光学的に透明なガラスまたはプラスチック基板材料を含み得る。電極層915aおよび915dは、たとえば、光学的に透明な導電性材料を備え得る。いくつかの実施形態では、光学的に透明な導電性材料は、酸化インジウムスズ(ITO)である。いくつかの例では、基板610および614は等方性であり、ブロードバンド光が基板を通過するとき、ブロードバンド光の偏光に影響を及ぼさない。
【0104】
入射光940は、下部基板910aを介してLCセル905aに透過される。LCセル905aは、光940がLCセル905aを通って伝搬するとき、第1の量の位相調整を光940に適用する。光940は、共通電極層918を通してLCセル905bに透過される。LCセル905bは、第2の量の位相調整を光940に適用するように構成される。光940は、上部基板914を介して、透過光950として積層LC構造900を出る。
【0105】
いくつかの例では、積層LC構造900の総位相リターデーションは、一方または両方のLCセル905aおよび/または905bへの電圧の印加を通して制御可能または構成可能であり得る。このようにして、積層LC構造は、積層LC構造の光透過特性が印加電圧に基づいて変更または制御され得るという点で「切替え可能」であると見なされ得る。いくつかの例では、積層LC構造900の総位相リターデーションは、積層LC構造900が4分の1波長板、半波長板、または全波長板として働くようなものであり得る。
【0106】
いくつかの例では、積層LC構造900は、HMD112のコントローラなど、それぞれのコントローラによる電極層905a、905d、および/または918のうちの1つまたは複数への制御電圧の印加を介して、第1の光学状態または第2の光学状態になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造900は、第1または第2の偏光の入射光を、それぞれ、第2または第1の偏光の透過光に変換する。第1の偏光は第2の偏光に直交する。第2の光学状態において、積層LC構造900は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0107】
本明細書で説明される技法による、隣接するLCセル間に(共通電極918などの)共通電極を含み、中間または共通基板を含まない、(図9に示されている積層LC構造900などの)積層LC構造は、さもなければ第1のLCセルと第2のLCセルとの間に存在するであろう2つの基板層を省略し、積層LC構造全体のさらに低減された厚さを可能にする。これは、積層LC構造が使用される光学アセンブリのサイズおよび重量を低減し得、これは、ヘッドマウントディスプレイのユーザ快適さのための重要な考慮事項である。積層LC構造における2つの基板層をなくすことによって達成される低減された厚さは、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために連続光学段において複数の積層LC構造が使用されるとき、さらにより明らかになり得る。
【0108】
いくつかの例では、可変焦点光学システムのさらなる厚さ低減は、上部基板、たとえば、上部基板914上に液晶光学要素を直接組み込むことによって達成され得る。これは、さもなければ液晶光学要素がその上に形成されるであろう別の基板の省略を可能にし得る。図10は、いくつかの例による、光学要素1030と組み合わせた例示的な積層LC構造1000を示す。図10の積層LC構造1000は、図6図8に関して図示および説明されたもののいずれかなどの3基板積層LC構造として示されているが、図9に関して図示および説明されたものなどの2基板積層LC構造が、3基板積層LC構造1000の代わりに使用され得、本開示は、この点について限定されないことを理解されたい。
【0109】
積層LCセル構造1000は、LCセル1005aと、LCセル1005bと、第1の下部基板1010と、第2の共通基板1012と、第3の上部基板1014とを含む。LCセル1005aおよび1005bの各々は複数のLC分子(図10に詳細に図示せず)を備える。
【0110】
本明細書の技法によれば、LCセル1005aおよび1005bの各々は、それぞれ、2つの光学的に透明な電極層1015aと電極層1015bとの間に、および電極層1015cと電極層1015dとの間に配置される。電極層1015aは第1の下部基板1010の出力側に適用され、電極層1015dは第3の上部基板1014の入力側に適用される。第2の共通基板1012は、両方の側に電極層を含み、すなわち、電極層1015bは第2の共通基板1012の入力側に適用され、電極層1015cは第2の共通基板1012の出力側に適用される。このようにして、電極層1015aおよび1015bは、LCセル1005aに電圧を印加するように構成された電極層ペア1015a/1015bであると見なされ得、電極層1015cおよび1015dは、LCセル1005bに電圧を印加するように構成された電極層ペア1015c/1015dであると見なされ得る。
【0111】
次に積層LC構造1000を通した光の伝搬を参照すると、入射光1040は、第1の下部基板1010aに入射する。光1040は、第1の下部基板1010aを介してLCセル1005aに透過される。光1040がLCセル1005aを通って伝搬するとき、LCセル1005aの正常軸および異常軸に対応する光1040の偏光が、LCセル1005aを通る異なる経路をとる。正常軸および異常軸が異なる屈折率を有することに少なくとも部分的に基づいて、ある量の位相調整が行われる。したがって、LCセル1005aは、光1040がLCセル1005aを通って伝搬するとき、第1の量の位相調整を光1040に適用する。光1040は、第2の共通基板1012を介してLCセル1005bに透過される。LCセル1005bは、第2の量の位相調整を光1040に適用するように構成される。光1040は、第3の上部基板1014を介して、透過光1050として積層LC構造1000を出る。透過光1050は、光1040の位相が第3の量だけ調整された後の光1040であり、第3の量は、積層LC構造1000によって適用される位相調整の総量を表し、第3の量は、第1の量と第2の量との線形組合せに等しくないことがある。
【0112】
いくつかの例では、積層LC構造1000は、HMD112のコントローラなど、それぞれのコントローラによる電極層1005a~1005dのうちの1つまたは複数への制御電圧の印加を介して、第1の光学状態または第2の光学状態になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造1000は、第1または第2の偏光の光を、それぞれ、第2または第1の偏光の光に変換する。第1の偏光は第2の偏光に直交し得る。第2の光学状態において、積層LC構造100は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する。
【0113】
いくつかの例では、積層LC構造1000および光学要素1030は、たとえば、可変焦点光学システムの光学段1060に対応する光学要素のペアを形成する。積層LC構造1000は、それぞれのコントローラを介して(たとえば、電極層1015a~1015dのうちの1つまたは複数の制御電圧の印加を介して)第1の光学状態(たとえば、「オフ」状態)または第2の光学状態(たとえば、「オン」状態)になるように構成可能である。第1の光学状態において、積層LC構造1000は、入射光を、入射光の偏光とは異なる偏光を有する透過光に変換するように構成される。第2の光学状態において、積層LC構造1000は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過するように構成される。たとえば、積層LC構造1000が第1の状態に設定されたとき、積層LC構造1000に入射する左円偏光された(LCP)光は、右円偏光された(RCP)光として透過されることになり、その逆も同様である。対照的に、積層LC構造1000が第2の状態に設定されたとき、積層LC構造1000への入射光は、その入射光の偏光の変更なしに透過されることになる(たとえば、LCP光はLCPのままであり、RCP光はRCPのままである)。いくつかの実施形態では、積層LC構造1000は、切替え可能半波長板など、切替え可能リターダまたは切替え可能波長板と見なされ得る。
【0114】
光学要素1030は、第1の偏光の光に対する第1の光学パワーと、第1の偏光に直交する第2の偏光の光に対する、第1の光学パワーとは異なる第2の光学パワーとを呈する光学要素であり得る。いくつかの例では、光学要素1030は、パンチャラトナムベリー位相(PBP)レンズである。PBPレンズは、能動PBPレンズまたは受動PBPレンズであり得る。受動PBPレンズは、2つの光学状態、すなわち、加法的状態(additive state)および減法的状態(subtractive state)を有する。受動PBP液晶レンズの状態は、受動PBP液晶レンズに入射する光の偏光の掌性によって決定される。受動PBP液晶レンズは、第1の円偏光(たとえば、RCP)をもつ入射光に応答して減法的状態(負の焦点パワー)において動作し、第2の円偏光(たとえば、LCP)をもつ入射光に応答して加法的状態(正の光学パワー)において動作する。受動PBP液晶レンズは、受動PBP液晶レンズに入力される光の掌性の反対の掌性を有する光を出力することに留意されたい。受動PBPレンズの場合、たとえば、RCPである入射光は、LCPで出力され、LCPである入射光は、RCPで出力される。
【0115】
能動PBPレンズは、3つの光学状態、すなわち、加法的状態、中間状態(neutral state)、および減法的状態を有する。加法的状態は、システムに光学パワーを加算し、中間状態は、システムの光学パワーに影響を及ぼさず(および能動PBPレンズを通過する光の偏光に影響を及ぼさず)、減法的状態は、システムから光学パワーを減算する。能動PBP液晶レンズの状態は、能動PBPレンズに入射する光の偏光の掌性と、PBPレンズに印加される電圧とによって決定される。能動PBPレンズは、第1の円偏光(たとえば、RCP)をもつ入射光と、あるしきい値を下回る印加電圧とに応答して、減法的状態において動作し、第2の直交円偏光(たとえば、LCP)をもつ入射光と、しきい値よりも小さい印加電圧とに応答して、加法的状態において動作し、しきい値電圧よりも大きい印加電圧に応答して(偏光にかかわらず)中間状態において動作し、これは、電界方向とともに正の誘電異方性をもつ液晶を整列させる。能動PBP液晶レンズが加法的状態または減法的状態にある場合、能動PBPレンズから出力された光は、能動PBPレンズに入力される光の掌性の反対の掌性を有することに留意されたい。対照的に、能動PBPレンズが中間状態にある場合、能動PBPレンズから出力された光は、能動PBPレンズに入力される光と同じ掌性を有する。PBP液晶レンズに関するさらなる詳細は、2016年12月29日に出願された米国出願第10,151,961号に記載されており、これは本明細書で説明される。
【0116】
いくつかの実施形態では、光学要素1030は、積層LC構造1000の表面上に形成された薄膜を含む。たとえば、光学要素1030は、第3の上部基板1014の出力側になど、積層LC構造1000の表面上に堆積されたコーティングまたは薄膜であり得る。たとえば、光学要素1030は、第3の上部基板1014の出力側に整列層を形成することと、次いで光学要素1030を形成する液晶層で整列層をコーティングすることとによって形成され得る。別の例として、光学要素1030は、第3の上部基板1014の出力側に第1の光学的に透明な電極を形成することと、光学的に透明な電極上に第1の整列層を形成することと、第1の整列層上に液晶層を形成することと、液晶層上に第2の整列層を形成することと、第2の整列層上に第2の光学的に透明な電極を形成することとによって形成され得る。
【0117】
いくつかの例では、第3の上部基板1014上に光学要素1030を直接形成するのではなく、光学要素1030は、別個の基板上に形成され、別個の基板から取り外され、たとえば、光学的に透明な接着剤を使用して、第3の上部基板1014に接合され得る。そのような技法は、整列層のうちの少なくとも1つの省略を可能にし得、これは、積層LC構造1000の厚さをさらに低減し得る。
【0118】
2つまたはそれ以上の光学段1060など、2つまたはそれ以上の光学段が、いくつかの実施形態によれば、可変焦点光学アセンブリを提供するために光学直列において配列され得る。各光学段は、本明細書で説明される積層LC構造と、選択された焦点パワーをもつPBPレンズなどのレンズとを含み得る。図3および図4の(1つまたは複数の)プロセッサ302、あるいは図5のSOC530A、530B、および/または530Cなど、HMDの制御電子回路は、積層LC構造、および随意に(PBPレンズが能動である例において)PBPレンズに印加される電圧を制御して、PBPレンズへの入射する光の掌性と(PBPレンズが能動である例において)PBPレンズに印加される電圧とに基づいて、光学段の焦点パワーを、正、負または0になるように制御し得る。異なる光学パワーを有する複数の光学段を組み合わせることによって、可変焦点光学アセンブリは、個々の光学段の光学パワーと光学段の数とに応じて、複数の有効光学パワーを用いて生成され得る。
【0119】
本明細書で説明される技法による、共通基板の入力側の第1の電極と共通基板の出力側の第2の電極とを有する(共通基板612、712および/または812などの)共通基板を備える(図6に示されている積層LC構造600、図7に示されている積層LC構造700、図8に示されている積層LC構造800A/800B、および/または図10に示されている積層LC構造1000などの)積層LC構造、あるいは(共通電極918などの)共通電極を有する(図9に示されている積層LC構造900などの)積層LC構造を含む、(光学段1060など)光学段が、さもなければ積層LC構造における隣接するLCセル間に存在するであろう1つまたは複数の基板層を省略し、積層LC構造全体の低減された厚さ、したがって、光学段全体の低減された厚さを可能にする、光学段を生じる。これは、積層LC構造/光学段が使用される光学アセンブリのサイズおよび重量を低減し得、これは、ヘッドマウントディスプレイのユーザ快適さのための重要な考慮事項である。積層LC構造および対応する光学段における1つまたは複数の基板層をなくすことによって達成される低減された厚さは、調整可能な光学パワーを有する可変焦点光学ディスプレイアセンブリを提供するために連続光学段において複数の積層LC構造が使用されるとき、さらにより明らかになり得る。
【0120】
本明細書で提示される設計は、例示的なものにすぎず、本明細書で説明される原理を使用して積層LC構造の他の設計が生成され得ることを理解されたい。当業者は、上記の開示を考慮して多くの修正および変形が可能であることを諒解することができる。
【0121】
本明細書の様々な例として説明されたように、本開示の技法は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。説明されたように、人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された形式の現実であり、これは、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされたコンテンツ(たとえば、現実世界の写真)と組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれも、(観察者に3次元効果をもたらすステレオビデオなどの)単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実は、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作成するために使用される、および/または人工現実において使用される(たとえば、人工現実におけるアクティビティを実施する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連し得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントデバイス(HMD)、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたはコンピューティングシステム、あるいは、1人または複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0122】
本開示で説明される技法は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組合せで実装され得る。たとえば、説明される技法の様々な態様が、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは任意の他の等価な集積論理回路または個別論理回路、ならびにそのような構成要素の任意の組合せを含む、1つまたは複数のプロセッサ内で実装され得る。「プロセッサ」または「処理回路」という用語は、概して、単独でまたは他の論理回路と組み合わせて、上記の論理回路のいずれか、あるいは任意の他の等価な回路を指し得る。ハードウェアを備える制御ユニットも、本開示の技法のうちの1つまたは複数を実施し得る。
【0123】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアは、本開示で説明される様々な動作および機能をサポートするために、同じデバイス内にまたは別個のデバイス内に実装され得る。さらに、説明されるユニット、モジュール、または構成要素のいずれかは、一緒に、または個別の、ただし相互運用可能な論理デバイスとして別個に、実装され得る。モジュールまたはユニットとしての異なる特徴の図は、異なる機能的態様を強調することが意図され、そのようなモジュールまたはユニットが別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも暗示するとは限らない。むしろ、1つまたは複数のモジュールまたはユニットに関連する機能性は、別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素によって実施されるか、あるいは共通のまたは別個のハードウェアまたはソフトウェア構成要素内に組み込まれ得る。
【0124】
本開示で説明される技法はまた、命令を含んでいる、コンピュータ可読記憶媒体など、コンピュータ可読媒体において具現されるかまたは符号化され得る。コンピュータ可読記憶媒体において埋め込まれるかまたは符号化される命令は、たとえば、命令が実行されるとき、プログラマブルプロセッサ、または他のプロセッサに方法を実施させ得る。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電子的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD-ROM、フロッピーディスク、カセット、磁気媒体、光媒体、または他のコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0125】
本明細書の様々な例として説明されたように、本開示の技法は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。説明されたように、人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された形式の現実であり、これは、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされたコンテンツ(たとえば、現実世界の写真)と組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれも、(観察者に3次元効果をもたらすステレオビデオなどの)単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実は、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作成するために使用される、および/または人工現実において使用される(たとえば、人工現実におけるアクティビティを実施する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連し得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントデバイス(HMD)、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたはコンピューティングシステム、あるいは、1人または複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0126】
【0127】
例1. 積層液晶(LC)構造であって、下部基板と、共通基板と、上部基板と、下部基板と共通基板との間に配設された第1のLCセルと、共通基板と上部基板との間に配設された第2のLCセルとを備え、共通基板が、2つのLCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または少なくとも1つの導電層でコーティングされ、積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造が、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する、積層液晶(LC)構造。
【0128】
例2. 共通基板が入力表面と出力表面とを含み、共通基板が、第1のLCセルのための電極として働く、入力表面上に配設された第1の導電層と、第2のLCセルのための電極として働く、出力表面上に配設された第2の導電層とを含む、例1に記載の積層LC構造。
【0129】
例3. 下部基板が、第1のLCセルに隣接する第3の導電層を含み、上部基板が、第2のLCセルに隣接する第4の導電層を含み、第1の導電層と第3の導電層とが、第1のLCセルのための電極ペアとして働き、第2の導電層と第4の導電層とが、第2のLCセルのための電極ペアとして働く、例2に記載の積層LC構造。
【0130】
例4. 積層LC構造が、少なくとも1つの導電層への電圧の印加によって第1の状態または第2の状態になるように構成可能である、例1に記載の積層LC構造。
【0131】
例5. 第1の状態が、少なくとも1つの導電層への第1の電圧の印加に関連付けられ、第2の状態が、少なくとも1つの導電層への第2の電圧の印加に関連付けられ、第1の電圧が第2の電圧とは異なる、例1に記載の積層LC構造。
【0132】
例6. 第1の電圧が実質的に0に等しい、例5に記載の積層LC構造。
【0133】
例7. 第1の偏光の光が右円偏光された光であり、第2の偏光の光が左旋円偏光された光である、例1に記載の積層LC構造。
【0134】
例8. 導電層が、光学的に透明な導電性ポリマーである、例1に記載の積層LC構造。
【0135】
例9. 光学的に透明な導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)であり、基板が別個の導電層でコーティングされない、例1に記載の積層LC構造。
【0136】
例10. 第1の状態において、積層LC構造が、公称4分の1波長板または公称半波長板のうちの1つとして機能する、例1に記載の積層LC構造。
【0137】
例11. 上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、光学要素の挙動が、光学要素に入射する光の偏光に依存する、例1に記載の積層LC構造。
【0138】
例12. 積層液晶(LC)構造であって、下部基板と、上部基板と、共通導電層と、下部基板の出力表面と共通導電層との間に配設された第1のLCセルと、上部基板の入力表面と共通導電層との間に配設された第2のLCセルとを備え、積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造は、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する、積層液晶(LC)構造。
【0139】
例13. 共通導電層が、第1のLCセルと第2のLCセルとのための電極として働く、例12に記載の積層LC構造。
【0140】
例14. 下部基板が、第1のLCセルに隣接する第1の導電層を含み、上部基板が、第2のLCセルに隣接する第2の導電層を含み、第1の導電層と共通導電層とが、第1のLCセルのための電極ペアとして働き、第2の導電層と共通導電層とが、第2のLCセルのための電極ペアとして働く、例13に記載の積層LC構造。
【0141】
例15. 積層LC構造が、共通導電層への電圧の印加によって第1の状態または第2の状態になるように構成可能である、例12に記載の積層LC構造。
【0142】
例16. 共通導電層が導電性ポリマーを備える、例12に記載の積層LC構造。
【0143】
例17. 上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、光学要素の挙動が、光学要素に入射する光の偏光に依存する、例12に記載の積層LC構造。
【0144】
例18. ヘッドマウントディスプレイであって、画像光を放出するように構成されたディスプレイと、画像光を透過するように構成された光学アセンブリとを備え、光学アセンブリが、積層液晶(LC)構造を備え、積層LC構造が、下部基板と、共通基板と、上部基板と、下部基板と共通基板との間に配設された第1のLCセルと、共通基板と上部基板との間に配設された第2のLCセルとを備え、共通基板が、2つのLCセルのうちの少なくとも1つのための電極として働く少なくとも1つの導電層を含むか、または少なくとも1つの導電層でコーティングされ、積層LC構造が、第1の状態または第2の状態になるように構成可能であり、第1の状態において、積層LC構造が、第1の偏光の入射光を第2の偏光の光に変換し、第2の状態において、積層LC構造が、入射光を、入射光の偏光を変更することなしに透過する、ヘッドマウントディスプレイ。
【0145】
例19. 導電層が、光学的に透明な導電性ポリマーである、例18に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0146】
例20. 積層LC構造が、上部基板の出力表面上の光学要素をさらに備え、光学要素の挙動が、光学要素に入射する光の偏光に依存する、例18に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0147】
様々な例が説明された。これらおよび他の例が、以下の特許請求の範囲内に入る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】