(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ヒートポンプ及びヒートポンプ用ハウジング
(51)【国際特許分類】
F25B 23/00 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
F25B23/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022506736
(86)(22)【出願日】2020-08-02
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020071752
(87)【国際公開番号】W WO2021023686
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516357166
【氏名又は名称】エクサジン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EXERGYN LIMITED
【住所又は居所原語表記】DCU Cleantech Innovation Campus,Old Finglas Road,Glasnevin,Dublin 11, IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローラ フォックス
(72)【発明者】
【氏名】フィンタン マクドネル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー モーハン
(57)【要約】
【課題】コア材料の寿命を延ばすことが可能なヒートポンプシステム用ハウジングを提供することを目的とする。
【解決手段】ヒートポンプシステムは、ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体との構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体との構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記支持体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成である、請求項1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項1または2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項1または2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記コアのうちの一端に係合する第1スロットを有する構成である、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記コアのうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記支持体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されている構成である、請求項5または6に記載のヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて静止ドラムを形成する構成である、請求項5または6に記載のヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて回転ドラムを形成する構成である、請求項5または6に記載のヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記回転ドラムは、前記ハウジングの内部で回転する構成である、請求項9に記載のヒートポンプシステム。
【請求項11】
前記コアのうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの内部に入力された第1温度の第1流体に応答して熱を吸収しエネルギーを蓄積する構成である、請求項8~10のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項12】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体および前記上部支持体に接続された1つ以上の細長い支持体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、冷却システム。
【請求項13】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項12または13に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記コアのうちの一端に係合する第1スロットを有する構成である、請求項12~14のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記コアのうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記支持体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されている構成である、請求項15または16に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒートポンプに関する。特に、本開示は、空調システムなどの加熱システムおよび/または冷却システムのためのヒートポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ(“HP”)技術は、暖房、換気および空調(“HVAC”)用途において、商業的に支持を得ている。それらは、エネルギーの節約および排出低減を提供でき、典型的には、建物や自動車用途などでの加熱および冷却システムのために設けられている。
【0003】
ヒートポンプにはいくつかの種類がある。ほとんどの既存の技術は、膨張/圧縮サイクルで冷媒を利用しており、多くのヒートポンプは、熱源、一例として、空気熱源ヒートポンプまたは地中熱源ヒートポンプなどに分類される。ヒートポンプで使用される基本的な技術についても同様である。空気熱源ヒートポンプは、低温での性能が制限される(-18℃では、CoPは、(カルノーによって)1近くになる傾向にある。そのため、電気抵抗加熱がより効果的であり、より高い動作温度では、CoPは4に達し得る)。地中熱源ヒートポンプは、より安定した入口温度になるが、従来技術は成績係数CoPによって制限される。
【0004】
世界的に、建物での加熱および冷却の脱炭素化をする必要がある。加熱は、一般に、炭素ベースの燃料を燃焼するので、大気中に炭素が放出される。冷却および空調は、より暖かい気候では主要な電気負荷になり得る。ヒートポンプは、潜在的に、単一のパッケージから加熱および冷却を提供し得る。ヒートポンプが再生可能な電力を使用する場合において、ヒートポンプは、ゼロ・エミッション技術になり得る。従来のヒートポンプ技術は、一般に、地球温暖化の可能性が高い冷媒を用いており、高い毒性を有し得るので、望ましいことではない。ファンおよびポンプは、邪魔となり得るノイズを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のHP技術は、3~4のCoPを有する。CoPを増加させることによって、電力消費が低減することができるので、これにより、再生可能でない電力が使用される場合の炭素排出が低減される。さらに、従来のHP技術は、周囲の空気温度によって影響を受けるCoPを有し得るので、それは望ましいことではない。米国特許出願公開第20160084544号(Radermacherら)には、SMAからなる材料チューブを使用するヒートポンプシステムが開示されており、それは、未知の材料の他のチューブまたはロッドで満たされて体積を占めており、したがって、デッドサーマルマスを除去してシステムの効率を高めるのに有用である。
【0006】
しかしながら、従来の構成は、熱効率が悪く、均一に膨張および/または収縮せず、生成されるCoP値が乏しいという問題がある。それに加えて、SMAからなる材料は、座屈しやすく、ヒートポンプシステムの故障につながる。圧縮時のSMAからなる材料の座屈を改善する方法として、例えば、SMAからなるロッドの直径を大きくすることが挙げられる。しかしながら、表面積対体積の比率が大きくなるので熱伝達率が低減し、一定の流速で達成可能なデルタTが低減することになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、コア材料の寿命を延ばすことが可能なヒートポンプシステム用ハウジングを提供することを目的とする。また、ヒートポンプにおける熱伝達の最適化を提供することを目的とする。
【0008】
特許請求の範囲で述べられているとおり、本発明に係るヒートポンプシステムは、ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体との構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成である。
【0009】
疲労寿命を長寿命にできるとともに、所望の温度上昇およびCoPを達成するのに必要な応力を生成するには、圧縮が基本的に必要となる。その支持構造で負荷に耐えることができるヒートポンプにするための個々のロッドおよび複数のロッドの両方を制御できなければ、圧縮時にHPサイクルを実行することができるヒートポンプにすることはできない。本発明に係るヒートポンプシステムを構成するヒートポンプ用ハウジングによれば、これらの課題が解決できる。
【0010】
一実施形態として、前記支持体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成である。
【0011】
一実施形態として、前記コアのうちの一端に係合するスロットを有する構成である。
【0012】
一実施形態として、前記支持体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成である。
【0013】
一実施形態として、前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて静止ドラムを形成する構成である。
【0014】
一実施形態として、前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて回転ドラムを形成する構成である。
【0015】
一実施形態として、前記回転ドラムは、前記ハウジングの内部で回転する構成である。
【0016】
一実施形態として、前記コアのうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの内部に入力された第1温度の第1流体に応答して熱を吸収しエネルギーを蓄積する構成である。
【0017】
本発明に係る他の実施形態として、冷却システムまたは冷凍システムは、ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体および前記上部支持体に接続された1つ以上の細長い支持体との構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成である。
【0018】
本発明に係るさらに他の実施形態として、ヒートポンプ用ハウジングは、ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体との構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成された応力モジュールまたは液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コア材料の寿命を延ばすことが可能なヒートポンプシステム用ハウジングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はSMAまたはNTEまたは熱弾性体からなる複数のコアから構成されるヒートポンプシステムを示す図である。
【
図2】
図2はヒートポンプの動作における異なる状態を示すワークフロー図である。
【
図3】
図3は本発明の一実施形態としてのSMAからなるロッドであって、支持システムに支持されたロッドによって形成されたコアを示す図である。
【
図4】
図4は実施形態の詳細として、圧縮力が加わるように構成された液圧回路と係合したコアを示す図である。
【
図5】
図5はヒートポンプ用ハウジングであって、複数のコアが挿入できる構成のハウジングを示す図である。
【
図6】
図6は
図5のハウジングの平面図であり、複数のスロットに挿入された複数対のコアを有する構成を示す図である。
【
図7】
図7は液圧チャンバおよびピストンによって印加される圧縮力を受ける複数のプレートのスタックを示す図である。
【
図8】
図8は単一の構造内に含まれるコアの垂直の組合せを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のより明確な理解のために、本発明における一例としての実施形態について、図面を参照して、以下に詳しく説明する。本発明は、SMAまたはNTEまたは熱弾性体からなる材料における、相変態からの潜熱を利用する新規なヒートポンプサイクルに関する。以下、本発明の好ましい実施形態として、SMAの実施を記載しており、NTEまたは弾性熱量材料の実施においても同様に適用される。
【0022】
本発明は、コアを画定するために、複数のエレメントまたは複数のワイヤで構成されたSMAを近接配置して用いることができる。SMAの材料は、マルテンサイトとオーステナイトの2つの結晶状態になることができ、一方の相から他方の相へと可逆的に変態することができる。SMAにおけるオーステナイトからマルテンサイトへの変態は発熱を伴う。SMAにおけるマルテンサイトからオーステナイトへの変態は吸熱を伴う。相転移が起こる温度は、SMAの材料に対する応力の印加によって操作することができる。
【0023】
形状記憶合金(SMA)は、一度変形しても加熱時に変形前の形状に戻る形状記憶効果を示す合金である。この材料は、液圧、気圧、およびモータを基礎としたシステムなど従来のアクチュエータよりも軽量な固体状態の代替物である。
【0024】
本発明は、複数の形状記憶合金(SMAs)または複数の負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料のいずれかを用いることが可能なヒートポンプシステムおよびその方法に関する。一実施形態として、特に、SMAからなる材料で構成されたSMAシステムを用いることができる。一例として、コアを画定するために、複数のエレメント(もしくは複数のエレメント群)または複数のワイヤが、近接配されている。別の例では、ロッド、ブロック、リボン、細片またはプレート、3Dプリントされたエレメントなどのうちの1つ以上でコアを画定することができ、いずれにおいても、軸方向または横方向の圧縮、圧縮および自然負荷、ねじり応力を受けることでコアとして機能することができる。
【0025】
ヒートポンプには、2つのフェーズ、すなわち、熱吸収フェーズおよび熱放出フェーズがある。マシンサイクルは、完全な熱吸収フェーズ(吸熱)および完全な熱放出フェーズ(発熱)として定義される。
【0026】
熱吸収フェーズは、材料に印加される応力を、SMAからなる材料内への熱の伝達を許容可能な、サイクル動作で使用されるより低い適切な値に設定する。その結果、オーステナイト開始(As)とオーステナイト終了(Af)の活性化温度が、流体の流れの入力温度よりも低い値に設定される。熱勾配が存在することで、熱伝導および熱対流によってSMA内に熱伝達することが可能になる。一度、材料が完全にまたは部分的にオーステナイトに変態すると(つまり、SMAからなる材料の温度がAfよりも高くなると)、熱吸収フェーズが完了する。
【0027】
オーステナイト系SMAからなる材料に対する応力を増加させた後、熱放出フェーズが始まる。これにより、マルテンサイトに戻る逆変態のために、マルテンサイト開始(Ms)およびマルテンサイト終了(Mf)の活性化温度が上昇する。一度、Msの値が入力流体の流れの温度よりも上に上昇すると、逆変態が始まる。それは、Mfも流体の流れの温度よりも高くなったときにのみ完了する。次いで、潜熱が、SMAからなる材料によって流体の流れに放出され、その温度を高くする。熱の放出が起こる速度は、熱勾配や流速や乱流などの流体の流れの様々な熱力学的条件の関数である。
【0028】
単一の流体温度入力をシステムで用いることができ、熱放出フェーズからのより温かい流体を加熱対象へ向けつつ、熱吸収フェーズからのより冷たい流体の流れを流体源に戻すように、一連のバルブを流体チャンバからの出力で用いることができる。複数の流体温度入力を用いることもできる。
【0029】
図1は、SMA駆動システムとして知られている構成を組み込んだヒートポンプシステムではあるが、逆の操作をしており、Exergyn Limitedが出願し未公開のPCT特許出願第PCT/EP2019/052300号を参照し本明細書に組み込まれている。
図1に示すように、低圧アキュムレータ1は、マルテンサイト状態のSMAからなる材料に印加される。AsとAfよりも高い温度のSMAからなる材料を収容した流体チャンバに流体が入力されると、SMAからなる材料が熱を吸収することが可能になる。
【0030】
図2はSMAの動作における異なる状態を示すワークフロー図である。ワイヤに対して印加される低い圧力(つまり、低い応力)の結果、オーステナイト開始温度(As)とオーステナイト終了温度(Af)の両方が比例して低下し、マルテンサイトからオーステナイトへの変態がより低い入力流体温度で容易に達成できる。
図2に示すように、コア内の複数のSMAからなるワイヤは、Af点まで加熱される。Afは、ワイヤの最大収縮の点として設定され、部分的なまたは完全なマルテンサイトからオーステナイトへの変態を表している。
【0031】
図3は、ベース支持体11aと、上部支持体11bと、ベース支持体11aと上部支持体11bとに接続された1つ以上の細長い支持体11cとからなる構造体11と、SMAまたはNTEまたは熱弾性体からなる材料を有するコア10に圧縮応力が加わるように構成され、支持体11cは、前記圧縮応力が加わったときに前記コア10の座屈を防止するためにコア10と係合する構成の液圧システム13と、流体を受け取るための入口12aおよび前記流体を出すための出口12bと、入口12aおよび出口12bを制御するバルブと、を有する構成を示す図である。そして、
図4は、SMAヒートポンプのための液圧駆動圧縮コアを示す図である。液圧で応力を印加し、SMAからなる材料のロッドを圧縮して、熱を取り込むかまたは放出することによって、コアに出入りする流体の流れの温度を変化させる。このプロセスは、ヒートポンプサイクルを通じて個々のまたは複数のコアを配列して行われる。応力(圧縮応力)は、液圧サイクルを用いて加えられ、システムを通る流体の流れは、一連の流れ制御バルブおよび配管を用いて実施される。細長い支持体は、圧縮応力が印加されるときにSMAからなる材料の座屈を防止するようにSMAからなるコア10と係合するように構成されている。
【0032】
図4は、ロッドがSMAコア10として機能する単一のロッド圧縮を示す。SMAからなるロッドは、それぞれ支持構造体11とハウジングとで圧縮を受ける。構造体11は、サイクル中に受ける負荷を支持する。本実施形態は、それ自体または複数のコア/ロッドに基づいて実施される。複数のコアが別々に制御されながら同時に作動することによって実施できる。コアは、直列/カスケード/並列で作動させることができる。
図4の例では、液圧シリンダ13によって圧力が印加されるが、その他、気圧、リニア/電気機械式アクチュエータ、回転/ねじ式アクチュエータ、SMAアクチュエータなどの機構によって圧力を加えることも可能である。
【0033】
図5は、複数のコア10がベース支持体11aで単一のハウジングに挿入されることを可能にするヒートポンプ用ハウジングを示す図である。ハウジングは、複数の開口部またはスロットを備え、各々のスロット14aは、SMAまたはNTEまたは熱弾性体からなる材料を有するコア10を一端で係合可能な寸法形状である。また、コアの他端端に係合する第2スロット14bが設けられている。この構成によって、単一のハウジングで液圧回路13または他の好適なデバイスを用い複数のコアまたはロッドの圧縮が可能になる。
【0034】
ある縮尺の複数のコア構成は、いくつかの設定で達成され得、圧縮を受ける複数のコア10は、1つの構造内で、個々のハウジングで固定されるか、または圧縮を受ける複数のSMAコアは、1つの構造内で、束形式で固定される。
【0035】
図6は、
図5のハウジングの平面図であり、複数のスロットに挿入された複数対のコア10を有する構成を示す図である。
【0036】
共通のハウジングを1つの構造内に含ませることができる。本構造は、ヒートポンプに適用されて、ヒートポンプサイクル中に生じる負荷を支持する機能を有する。SMAコア用のハウジングとしては、異なる向きに配されて静止ドラムや回転ドラムを形成する構成がある。上記以外の構成として。互いに実質的に平行に配された複数のコアからなる静止ドラムまたは回転ドラムがある。回転ドラムは、SMAコア、流体供給部、液圧構成要素、または上記の任意の組合せのいずれかを回転させることによって回転する。
【0037】
複数のロッドからなる構成において、各々の単一のコアを個々に制御することができ、または、各々のコアを一緒に制御できる専用のバルブが用いられる。
【0038】
これらのロッドについてのアセンブリ構成、支持体/ハウジング構造、および圧縮形状は、SMAヒートポンプを提供する際の用途に応じて設定される。
【0039】
[マルチプレートの実施形態]
図7および
図8に示すようなマルチプレート構成が実施できる。
【0040】
図7は、コアを形成する垂直構造内のハウジングにおける液圧回路22と、ハウジングにおけるピストン配置によって印加される圧縮または応力を受ける複数のプレート21のスタック20とを示す図である。
【0041】
図8に示すコアの垂直の組合せ25は、液圧回路27によって圧縮または応力が印加される1つの構造体26内に含まれる。
図7および
図8に示す実施形態はモジュール方式であり、個々のスタックおよびコアの数は増減できる。ヒートポンプにおけるこの実施態様は、ヒートポンプサイクル中に生じる負荷を支持する機能を有する。これにより、各々の単一のコアを個々に制御することができ、または、各々のコアを一緒に制御できる。
【0042】
図7および
図8に示すプレート、支持体/ハウジング構造、流路、および圧縮形状のアセンブリ構成によって、圧縮時に効果的なヒートポンプを提供することができる。
【0043】
本明細書に記載されているヒートポンプシステムおよびその方法は、多くの用途が挙げられ、加熱(空間加熱、熱ボイラーシステムまたは熱水システム)、冷却(空調水冷装置、プロセス冷却)、(建物または自動車用途)での可逆的な加熱および冷却や冷凍(家庭用および商用/小売用)極低温冷却に適用可能である。ヒートポンプシステムおよびその方法は、任意の加熱システムまたは冷却システムに効果的に適用可能である。
【0044】
本明細書において、「備え、備える、構成される、構成されている」という語句またはその任意の変形、ならびに「含み、含む、含まれる、含んでいるという語句またはその任意の変形は、相互に置き換え可能であり、可能な限り広い解釈が与えられるべきである。
【0045】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、構成や詳細について種々変更が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体と
からなる構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成され
、前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成の液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項
1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項
1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記コア
における前記ベース支持体と前記上部支持体のうちの少なくとも1つに係合する第1スロットを有する構成である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記コアのうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項
4に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されている構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて静止ドラムを形成する構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて回転ドラムを形成する構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記回転ドラムは、前記ハウジングの内部で回転する構成である、請求項
8に記載のヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記コアのうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの内部に入力された第1温度の第1流体に応答して熱を吸収し
熱エネルギーを蓄積する構成である、請求項8~9のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項11】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体および前記上部支持体に接続された1つ以上の細長い支持体と
からなる構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成され
、前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成の液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、冷却システム。
【請求項12】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項
11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項
11または
12に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記コアのうちの一端に係合する第1スロットを有する構成である、請求項11~13のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記コア
における前記ベース支持体と前記上部支持体のうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項
14に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されている構成である、請求項
14または
15に記載の冷却システム。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-04-20
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体と前記上部支持体とに接続された1つ以上の細長い支持体と
からなる支持構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成され
、前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成の液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、ヒートポンプシステム。
【請求項2】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項
1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項
1に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記コア
における前記ベース支持体と前記上部支持体のうちの少なくとも1つに係合する第1スロットを有する構成である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記コアのうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項
4に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されています構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて静止ドラムを形成する構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記コアは、ハウジングの内部で異なる向きに配されて回転ドラムを形成する構成である、請求項
4または
5に記載のヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記回転ドラムは、前記ハウジングの内部で回転する構成である、請求項
8に記載のヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記コアのうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの内部に入力された第1温度の第1流体に応答して熱を吸収し
熱エネルギーを蓄積する構成である、請求項
1~9のいずれか一項に記載のヒートポンプシステム。
【請求項11】
ベース支持体と、上部支持体と、前記ベース支持体および前記上部支持体に接続された1つ以上の細長い支持体と
からなる支持構造体と、形状記憶合金(SMA)または負熱膨張材(NTE)または熱弾性体からなる材料を有するコアに圧縮応力が加わるように構成され
、前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わったときに前記コアの座屈を防止するために前記コアと係合する構成の液圧システムと、流体を受け取るための入口および前記流体を出すための出口と、前記入口および前記出口を制御するバルブとを有する構成の、冷却システム。
【請求項12】
前記コアにおける前記材料はロッド形状である、請求項
11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記コアにおける前記材料はブロック形状、リボン形状、細片、またはプレート形状のうちの1種以上である、請求項
11に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記コア
における前記ベース支持体と前記上部支持体のうちの一端に係合する第1スロットを有する構成である、請求項
11~
13のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記コア
のうちの他端に係合する第2スロットを有する構成である、請求項
14に記載のヒートポンプシステム。
【請求項16】
前記支持構造体は、前記圧縮応力が加わる際に前記コアを支持するように配されています構成である、請求項
14または
15に記載の冷却システム。
【国際調査報告】