(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】構造的エンボス加工を使用する燃料水分離の強化
(51)【国際特許分類】
B01D 17/02 20060101AFI20221108BHJP
B01D 17/022 20060101ALI20221108BHJP
B01D 17/04 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B01D17/02 503
B01D17/02 501D
B01D17/02 501C
B01D17/022 501
B01D17/04 501D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512393
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2020047438
(87)【国際公開番号】W WO2021041229
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テイト,ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ボッカ,スリーヴァリ
(57)【要約】
フィルタ媒体、フィルタ要素、フィルタシステム、および方法を提供する。フィルタ媒体は、水分離効率を含む、改善されたフィルタ特性を提供する。フィルタ媒体は、増大した表面粗さおよび/またはエンボス加工のうち1つまたは複数を含んでよい。フィルタ媒体は、ひだ状フィルタ媒体により提供されてよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひだ状フィルタ要素であって、
間隔を置いた上流および下流のフィルタ表面を提供するために、ひだをつけて、連続するひだ側面の間で、選択された深さおよび間隔の複数の長手方向に伸展する隣接して相対する連続するひだ側面になった濾過媒体であって、前記隣接するひだ側面は、対応する折り線により接続される濾過媒体
を備え、
前記連続するひだ側面の各々は、
第1の側および第2の側と、
隣接する前記側面上で前記第1の面および前記第2の側のうち少なくとも一方の中に形成された複数の構造的エンボス加工とを
有し、前記構造的エンボス加工は、
i)前記側面上の隣接する前記構造的エンボス加工間で異なる幾何形状、
ii)前記側面上の隣接する前記エンボス加工間で前記濾過媒体の長手方向軸に対して前記第1の側および前記第2の側のうち前記少なくとも一方に沿った突出部の異なる角度、
iii)多角形以外の構成、
iv)涙形幾何形状、および
v)第1の端部および第2の端部であって、前記第1の端部と前記第2の端部の間で伸展するエンボス加工軸を画定し、前記エンボス加工軸は、対応する前記ひだ側面に接続された前記折り線に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する第1の端部および第2の端部
のうち少なくとも1つを有するひだ状フィルタ要素。
【請求項2】
ひだ状フィルタ要素であって、
上流表面を形成する第1の側および下流表面を形成する第2の側を有し、複数のひだ側面および複数の折り目を含むひだ状フィルタ媒体であって、隣接する前記ひだ側面は、前記複数の折り目の対応する1つにより接続されるひだ状フィルタ媒体と、
第1の端部および第2の端部をそれぞれ有する、前記ひだ側面の前記第1の側および前記第2の側の少なくとも一方の中に形成された複数の構造的エンボス加工であって、前記第1の端部および前記第2の端部は、前記構造的エンボス加工のエンボス加工軸を画定し、前記エンボス加工軸は、対応する前記ひだ側面に接続された前記折り目に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する複数の構造的エンボス加工と
を備えるひだ状フィルタ要素。
【請求項3】
前記ひだ状フィルタ媒体は、長手方向の中心軸を画定するフィルタ媒体の管を形成し、前記折り目は、前記長手方向の中心軸に平行に伸展し、
各前記構造的エンボス加工は、前記構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸に沿って細長い、
請求項2に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項4】
前記複数の構造的エンボス加工の中の第1の構造的エンボス加工および前記複数の構造的エンボス加工の中の第2の構造的エンボス加工は、前記複数のひだ側面の中の第1のひだ側面内に形成され、前記第1の構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸は、前記第2の構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸と異なる角度で伸展する、請求項2または3に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項5】
前記ひだ状フィルタ媒体は、重力最上部および重力最下部を有し、前記重力最上部は、前記重力最下部の垂直上方にあり、前記折り目は、前記重力最上部と前記重力最下部の間で伸展し、前記第1の構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸は、前記第2の構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸よりも重力と整列せず、前記第1の構造的エンボス加工は、前記第2の構造的エンボス加工よりも前記重力最上部の近くに位置する、請求項4に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項6】
前記ひだ状フィルタ媒体は、上流面および下流面を画定するフィルタ媒体のブロックを形成し、前記フィルタ媒体のブロックは、濾過すべき流体が前記上流面から前記下流面に流れる流れの方向を有し、前記流れの方向は、前記複数の折り目に概して垂直である、請求項5に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項7】
前記エンボス加工軸は、前記上流面から前記下流面に向けて前記流れの方向に移動するとき、前記エンボス加工軸が前記ひだ状フィルタ媒体の前記重力最上部に向けて上方に移動するように、前記折り目に対して角度をなす、請求項6に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項8】
前記複数の構造的エンボス加工の中の第3の構造的エンボス加工は、前記複数のひだ側面の中の第2のひだ側面内に形成され、前記複数の折り目の中の第1の折り目は、前記第1のひだ側面と前記第2のひだ側面の間で形成され、前記第3の構造的エンボス加工の前記第1の端部は、前記第1の折り目に沿って前記第1の構造的エンボス加工の前記第1の端部と前記第2の構造的エンボス加工の前記第1の端部の間で軸方向に位置決めされ、前記第2の構造的エンボス加工の前記第1の端部は、前記第3の構造的エンボス加工の前記第1の端部と前記第2の端部の間で軸方向に位置決めされ、前記第1の構造的エンボス加工、前記第2の構造的エンボス加工、および前記第3の構造的エンボス加工は、折り重なるように配置された配向を形成する、請求項4または5に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項9】
前記複数の構造的エンボス加工は、それぞれ前記エンボス加工軸に概して垂直な幅を有し、前記幅は、前記第1の端部から前記第2の端部に向けて移動するときに増大する、請求項2~8のいずれか一項に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項10】
前記第1の構造的エンボス加工および前記第2の構造的エンボス加工は、前記ひだ状フィルタ媒体の前記第1の側で突出部を、前記ひだ状フィルタ媒体の前記第2の側でくぼみを形成し、
前記第3の構造的エンボス加工は、前記第2のひだ側面の前記第2の側で突出部を、前記第2のひだ側面の前記第1の側でくぼみを形成する、
請求項8に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項11】
濾過媒体は、中心の長手方向軸を画定するひだ状フィルタ媒体の管の中に形成され、
前記構造的エンボス加工の各々は、前記対応するひだ側面の前記第1の側および前記第2の側のうち一方で突出物を、前記対応するひだ側面の前記第1の側および前記第2の側のうち他方でくぼみを形成し、
前記対応するひだ側面に概して垂直に測定した前記突出部の幅および前記くぼみの深さは、前記ひだ状フィルタ媒体の管の中心の長手方向軸から放射状に離れて前記エンボス加工軸に沿って移動するときに増大する、
請求項2~10のいずれか一項に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項12】
前記ひだ状フィルタ媒体は、前記ひだ状フィルタ媒体の管の中に形成され、前記ひだ状フィルタ媒体の管は、前記中心の長手方向軸を画定し、前記ひだ状フィルタ媒体の管は、濾過すべき流体が濾過されるときに前記ひだ状フィルタ媒体の管を通して放射状に流れるように構成され、
前記ひだ状フィルタ媒体の管は、重力最上部および重力最下部を有し、前記重力最上部は、前記重力最下部の垂直上方にあり、前記中心の長手方向軸および前記折り目は、前記重力最上部と前記重力最下部の間で伸展し、前記構造的エンボス加工の前記エンボス加工軸は、前記エンボス加工軸に沿って前記重力最下部に向けて移動するときに前記エンボス加工軸が放射状に外側に、前記長手方向軸から離れるように前記長手方向軸に対して配向される、
請求項2~11のいずれか一項に記載のひだ状フィルタ要素。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルタ要素を作る方法であって、
フィルタ媒体を提供するステップと、
複数の構造的エンボス加工を用いて前記フィルタ媒体をエンボス加工するステップと、
複数の折り目で前記フィルタ媒体を折って、複数のひだ側面を形成するステップと
を備える方法。
【請求項14】
燃料の流れから水を濾過する方法であって、
前記燃料が請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタ要素の注入口から前記フィルタ要素の排出口に流れるときに前記フィルタ要素のフィルタ媒体に前記燃料の流れを通すステップ
を備える方法。
【請求項15】
濾過システムであって、
注入口および排出口を有するフィルタヘッドと、
排水受け領域を画定する筐体と、
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタ要素であって、前記筐体内部で少なくとも一部は前記排水受け領域の垂直上方に位置決めされ、流体的に前記注入口と前記排出口の間に置かれたフィルタ要素と
を備える濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に濾過に関し、より具体的にはたとえば炭化水素燃料システムおよびその用途で使用する凝集濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
凝集濾過システムは多くの場合、第1段階として炭化水素流体、たとえば燃料のためのフィルタ/分離器の容器で採用される。そのようなシステムは、濾過して特定の汚染物質を取り除き、高度に分散し乳化した水粒子を凝集させて(結合して)より大きな水滴にする。次いでこれらのより大きな水滴を収集し、システムから取り除く。
【0003】
そのような凝集を達成するためにさまざまな方法論が採用されてきた。たとえば、燃料内に混入した、水の小さな液滴は、フィルタ媒体(たとえば、ガラス繊維)の撚り糸に接触して付着できる。システム内の動作圧、および流体の流れは、他の液滴と結合する撚り糸の交差点に液滴が到達して、すなわち凝集して大きな液滴になるまで、これらの撚り糸に沿って液滴を推し動かす。
【0004】
エンボス加工パターンは、多くの場合フィルタ媒体の中に圧縮成形される。これらのパターンは多くの場合、流れ方向に平行に伸びて、流体の流れをエンボス加工に平行にし、水滴とのより低いエンボス加工接触領域に導く。たとえば、垂直な中心軸を有するフィルタ媒体の管を使用する放射状流れフィルタでは、細長いエンボス加工は典型的には、中心軸に垂直なフィルタ媒体の管の半径に平行な細長い軸を有する。この細長い軸はまたこの場合、一般にフィルタ媒体のブロックを通してフィルタ媒体のブロックの上流面からフィルタ媒体のブロックの下流面に至る流体の流れに平行である。
【0005】
使用時、凝集した水滴は、フィルタ媒体に沿って、たとえばフィルタ媒体の管の中心軸に平行に、水収集ボウルに流れ出る。不都合なことに、これにより、フィルタ媒体の管の最上部からフィルタ媒体の管の最下部まで移動するとき、水濃度は連続的に増大し、水滴が水収集ボウル内で収集される前に、要素の最下部で高い水濃度になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のシステムは満足のいくものであることがわかったが、改善の余地は残っている。実際は、フィルタ要素の両端の圧力降下を低減する要望が絶えず存在し、そのような圧力降下は、典型的にはフィルタ要素で使用するフィルタ媒体により駆動される。したがって、濾過要素、および燃料水分離という、すなわち水凝集という有利な点を依然として提供しながら低減した圧力差を示す関連濾過媒体が、当技術分野で必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、そのようなフィルタ要素および関連フィルタ媒体だけではなく、それらを形成する方法も提供する。本出願は、現在の最新技術に対する改善を提供する。
【0008】
一実施形態では、構造的エンボス加工を伴うひだ側面を有する濾過媒体を含むひだ状フィルタ要素を提供する。濾過媒体にひだをつけて、連続するひだ側面の間で、選択された深さおよび間隔の複数の長手方向に伸展する隣接して相対する連続するひだ側面にして、間隔を置いて配置された上流フィルタ表面および下流フィルタ表面を提供する。隣接するひだ側面は、対応する折り線により接続される。前記連続するひだ側面の各々は、第1の側および第2の側を有する。隣接する側面上の第1の側および第2の側のうち少なくとも一方に複数の構造的エンボス加工を形成する。構造的エンボス加工は、側面上の隣接する構造的エンボス加工間で異なる幾何形状、側面上の隣接するエンボス加工間で濾過媒体の長手方向軸に対して第1の側および第2の側のうち少なくとも一方に沿った突出部の異なる角度、多角形以外の構成、涙形幾何形状、ならびに/または第1の端部および第2の端部であって、第1の端部と第2の端部の間で伸展するエンボス加工軸を画定し、対応するひだ側面に接続された折り線に対して非平行かつ非垂直な配向でエンボス加工軸が伸展する第1の端部および第2の端部のうち少なくとも1つを有する。
【0009】
一例では、複数のひだ側面および複数の構造的エンボス加工を有するひだ状フィルタ媒体を備えるひだ状フィルタ要素を提供する。ひだ状フィルタ媒体は、上流表面を形成する第1の側および下流表面を形成する第2の側を有する。ひだ状フィルタ媒体は、複数のひだ側面および複数の折り目を含む。複数の折り目のうち対応する1つにより、隣接するひだ側面を接続する。ひだ側面の第1の側および第2の側のうち少なくとも一方の中に複数の構造的エンボス加工を形成する。各構造的エンボス加工は、構造的エンボス加工のエンボス加工軸を画定する第1の端部および第2の端部を有する。エンボス加工軸は、対応するひだ側面に接続された折り目に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する。
【0010】
一例では、ひだ状フィルタ媒体は、長手方向の中心軸を画定するフィルタ媒体の管を形成する。折り目は、長手方向の中心軸に平行に伸展する。各構造的エンボス加工は、構造的エンボス加工のエンボス加工軸に沿って細長い。
【0011】
一例では、複数のひだ側面の中の第1のひだ側面内に複数の構造的エンボス加工の中の第1の構造的エンボス加工および複数の構造的エンボス加工の中の第2の構造的エンボス加工を形成する。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸と異なる角度で伸展する。
【0012】
一例では、ひだ状フィルタ媒体は、重力最上部および重力最下部を有する。重力最上部は(たとえば、使用時)重力最下部の垂直上方にある。折り目は、重力最上部と重力最下部の間で伸展する。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸よりも重力と整列していない。第1の構造的エンボス加工は、第2の構造的エンボス加工よりも重力最上部の近くに位置する。
【0013】
一例では、ひだ状フィルタ媒体は、上流面および下流面を画定するフィルタ媒体のブロックを形成する。フィルタ媒体のブロックは、濾過すべき流体が上流面から下流面に流れる流れの方向を有する。流れの方向は、一般に複数の折り目に垂直である。
【0014】
一例では、エンボス加工軸は、上流面から下流面に向けて流れの方向に移動するときにエンボス加工軸がひだ状フィルタ媒体の重力最上部に向けて上方に移動するように、折り目に対して角度をなす。
【0015】
一例では、複数のひだ側面の中の第2のひだ側面内に複数の構造的エンボス加工の中の第3の構造的エンボス加工を形成する。第1のひだ側面と第2のひだ側面の間に複数の折り目の中の第1の折り目を形成する。第1の折り目に沿って第1の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の構造的エンボス加工の第1の端部の間で第3の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めする。第3の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の端部の間で第2の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めする。
【0016】
一例では、第1の、第2の、および第3の構造的エンボス加工は、詳細には流体の流れの方向で見たときに重なり合うように配置された配向を形成する。
【0017】
一例では、複数の構造的エンボス加工の各々は、エンボス加工軸に概して垂直な幅を有する。幅は、第1の端部から第2の端部に向けて移動するときに増大する。
【0018】
一例では、構造的エンボス加工の深さ/高さは、第1の端部から第2の端部に向けて移動するときに増大する。
【0019】
一例では、第1の構造的エンボス加工および第2の構造的エンボス加工は、ひだ状フィルタ媒体の第1の側で突出部を、ひだ状フィルタ媒体の第2の側でくぼみを形成する。第3の構造的エンボス加工は、第2のひだ側面の第2の側で突出部を、第2のひだ側面の第1の側でくぼみを形成する。
【0020】
一例では、中心の長手方向軸を画定するひだ状フィルタ媒体の管の中に濾過媒体を形成する。構造的エンボス加工の各々は、対応するひだ側面の第1の側および第2の側のうち一方で突出物を、対応するひだ側面の第1の側および第2の側のうち他方でくぼみを形成する。構造的エンボス加工の対応する軸に概して垂直に測定した突出部の幅およびくぼみの深さは、ひだ状フィルタ媒体の管の中心の長手方向軸から放射状に離れてエンボス加工軸に沿って移動するときに増大する。
【0021】
一例では、構造的エンボス加工の対応する軸に概して垂直に測定した突出部の幅およびくぼみの深さは、ひだ状フィルタ媒体の管の中心の長手方向軸から放射状に離れてエンボス加工軸に沿って移動するときに増大する。
【0022】
一例では、ひだ状フィルタ媒体の管の中にひだ状濾過媒体を形成する。ひだ状フィルタ媒体の管は、中心の長手方向軸を画定する。ひだ状フィルタ媒体の管は、濾過すべき流体が濾過されるときにひだ状フィルタ媒体の管を通して放射状に流れるように構成される。分離された水は、中心の長手方向軸に概して平行に(より平行に)移動する。ひだ状フィルタ媒体の管は、重力最上部および重力最下部を有する。重力最上部は、重力最下部の垂直上方にある。中心の長手方向軸および折り目は、重力最上部と重力最下部の間で伸展する。構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、エンボス加工軸に沿って移動するときに重力最下部に向かうように長手方向軸に沿って配向する。エンボス加工軸は、放射状に外側に、長手方向軸から離れて移動する。しかしながら、他の実施形態は反対の配向を有してよい。
【0023】
一実施形態では、上記で概要を述べるフィルタ要素を作る方法を提供する。方法は、フィルタ媒体を提供するステップと、フィルタ媒体を複数の構造的エンボス加工を用いてエンボス加工するステップと、複数の折り目でフィルタ媒体を折って複数のひだ側面を形成するステップとを含む。
【0024】
一実施形態では、燃料の流れから水を濾過する方法を提供する。方法は、燃料がフィルタ要素の注入口からフィルタ要素の排出口に流れるときにフィルタ要素のフィルタ媒体に燃料の流れを通過させるステップを含む。
【0025】
一実施形態では、上記で概略を述べるように、フィルタヘッドと、筐体と、フィルタ要素とを含む濾過システムを提供する。フィルタヘッドは、注入口および排出口を有する。筐体は、排水受け領域を画定する。上記で記述するようなフィルタ要素を少なくとも一部は排水受け領域の垂直上方の筐体内部に位置決めし、流体的に注入口および排出口の間に置く。
【0026】
一実施形態では、フィルタ媒体を作る方法を提供する。方法は、所定の粗さを伴う表面を有する濾過媒体の層を提供するステップを含む。方法は、選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて、媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップを含む。
【0027】
機器はローラ、板、ベルト、または強化された表面粗さを与えるための他の構造であってよい。機器はまた、構造的エンボス加工を形成するための構造を含んでよい。
【0028】
一実施形態では、方法は、機器を用いて媒体を圧縮するステップを含む。これにより、強化された表面粗さまたは構造的エンボス加工を形成できる。
【0029】
一実施形態では、方法は、媒体が機器と接触した後に媒体にひだをつけるステップを含む。
【0030】
一実施形態では、方法は、媒体層の表面内に構造的エンボス加工を形成するステップを含む。
【0031】
一実施形態では、媒体にひだをつけるステップは、隣接するひだパネル間に折り線を形成するステップを含む。方法は、複数の構造的エンボス加工の各々が、第1の端部と第2の端部の間で伸展するエンボス加工軸を画定する第1の端部および第2の端部を有するように、細長い複数の構造的エンボス加工を形成するステップを含む。エンボス加工軸は、折り線に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する。
【0032】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工の中の第1の構造的エンボス加工および第2の構造的エンボス加工を第1のひだパネル内に形成する。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、折り線に対して第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸と異なる角度で伸展する。
【0033】
一実施形態では、フィルタ要素は、重力最上部および重力最下部を有する。重力最上部は、重力最下部の垂直上方にある。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸よりも重力と整列していない。
【0034】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工の中の第3の構造的エンボス加工を第2のひだパネル内に形成する。第1のひだパネルと第2のひだパネルの間に折り線を形成する。第1の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の構造的エンボス加工の第1の端部の間で折り線に沿って第3の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めし、第3の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の端部の間で第2の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めする。
【0035】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工は、それぞれ構造的エンボス加工軸に概して垂直な幅を有する。幅は、第1の端部から第2の端部に向けて移動するときに増大する。いくつかの実施形態では、これは、ひだ状フィルタ媒体の管の中にフィルタ媒体を形成するとき、放射状に内側の方向である。他の実施形態では、これは、単にパネルフィルタ要素内などで概して下流方向であってよく、たとえば、フィルタ媒体パックの上流面から下流面に至ってよい。
【0036】
一実施形態では、第1の構造的エンボス加工および第2の構造的エンボス加工は、フィルタ媒体の層の第1の側で突出部を、フィルタ媒体の第2の側でくぼみを形成する。第3の構造的エンボス加工は、フィルタ媒体の第2の側で突出部を、フィルタ媒体の第1の側で凹部を形成する。
【0037】
一実施形態では、選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて、媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップは、構造的エンボス加工を含まないフィルタ媒体の少なくとも80%で、より好ましくは少なくとも90%で行われる。
【0038】
一実施形態では、増大した表面粗さ、折り線、および/または構造的エンボス加工のうち少なくとも1つを含むように濾過媒体の表面の少なくとも95%を操作した。
【0039】
一実施形態では、ローラまたは板は、少なくとも35μの、より好ましくは少なくとも190μの表面粗さを有する。
【0040】
一実施形態では、フィルタ媒体の強化された表面粗さは20μであり、より好ましくは少なくとも100μである。
【0041】
一実施形態では、選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて、媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップを、フィルタ媒体の材料を取り除くことなく遂行する。
【0042】
一実施形態では、選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて、媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップを、フィルタ媒体を圧縮してより大きな粗さを形成することにより遂行する。
【0043】
一実施形態では、フィルタ媒体の層の表面は、曝された表面である、フィルタ媒体の層の上流表面である。
【0044】
一実施形態では、フィルタ媒体の層は、複数の媒体層から形成された事前に積層された媒体である。選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて、媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップは、フィルタ媒体の層を形成するために複数の媒体層を同時に固定するわけではない。
【0045】
特定の実装形態では、フィルタ媒体は、任意の表面粗さ強化処理を遂行する前に、積層された状態にあるフィルタ媒体のロールから巻き戻される。
【0046】
一実施形態では、表面はその後、選択された粗さを有する機器と媒体の表面を接触させて媒体の表面に所定の粗さよりも大きな粗さを与えるステップの後にコートされことも、被覆されることもない。
【0047】
一実施形態では、フィルタ媒体層の表面粗さは、130°~140°の間の、好ましくは132°の水を使用して、ゴニオメータ(Goniometer)を使用して測定した接触角を有する。
【0048】
一実施形態では、フィルタ要素を提供する。フィルタ要素は、濾過媒体の層から形成されたひだ状フィルタ媒体パックを含む。濾過媒体の層は、複数の折り線により形成された複数のひだパネルを形成する。濾過媒体は、上流表面および下流表面を有する。所望の表面粗さを有するように上流表面を圧縮する。
【0049】
一実施形態では、上流表面の表面粗さは、下流表面の表面粗さよりも大きい。
【0050】
一実施形態では、濾過すべき流体が濾過媒体の層の上流表面と最初に接触するように、濾過媒体の層の上流表面を曝す。したがって、所望の粗さを提供する表面は、フィルタ媒体の異なる層間に位置しない。さらに、表面粗さを形成する裂け目または空隙は、他の材料で充填されない。
【0051】
一実施形態では、濾過媒体の層は、媒体層の上流表面内に構造的エンボス加工を含む。
【0052】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工は、複数の構造的エンボス加工の各々が、第1の端部と第2の端部の間で伸展するエンボス加工軸を画定する第1の端部および第2の端部を有するように細長い。エンボス加工軸は、折り線に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する。
【0053】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工の中の第1の構造的エンボス加工および第2の構造的エンボス加工を第1のひだパネル内に形成する。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、折り線に対して第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸と異なる角度で伸展する。
【0054】
一実施形態では、フィルタ要素は、重力最上部および重力最下部を有し、重力最上部は、重力最下部の垂直上方にある。第1の構造的エンボス加工のエンボス加工軸は、第2の構造的エンボス加工のエンボス加工軸よりも重力と整列していない。第1の構造的エンボス加工は、第2の構造的エンボス加工の垂直上方にある。
【0055】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工の中の第3の構造的エンボス加工を第2のひだパネル内に形成する。第1のひだパネルと第2のひだパネルの間に折り線を形成する。第1の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の構造的エンボス加工の第1の端部の間で折り線に沿って第3の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めし、第3の構造的エンボス加工の第1の端部と第2の端部の間で第2の構造的エンボス加工の第1の端部を軸方向に位置決めする。
【0056】
一実施形態では、上流折り線と下流折り線(たとえば、円筒状要素内の放射状に外側の折り線と放射状に内側の折り線)の間に第1の、第2の、および第3のエンボス加工を位置決めする。
【0057】
一実施形態では、上流折り線と下流折り線の間で同じ場所に第1の、第2の、および第3のエンボス加工を位置決めする。
【0058】
一実施形態では、第1の、第2の、および第3のエンボス加工は、折り線に沿って互いに軸方向にずれている。
【0059】
一実施形態では、複数の構造的エンボス加工は、それぞれエンボス加工軸に概して垂直な幅を有する。幅は、第1の端部から第2の端部に向けて移動するときに増大する。特定の一実施形態では、幅のこの増大は、下流折り線に向けて(たとえば、パネルフィルタ要素の上流面から下流面に向けて移動するときに円筒状フィルタ要素内で放射状に内側に、または媒体パックを通して)移動するときに発生する。
【0060】
一実施形態では、第1の構造的エンボス加工および第2の構造的エンボス加工は、フィルタ媒体の層の第1の側で突出部を、フィルタ媒体の第2の側でくぼみを形成する。第3の構造的エンボス加工は、フィルタ媒体の第2の側で突出部を、フィルタ媒体の第1の側で凹部を形成する。
【0061】
一実施形態では、構造的エンボス加工を含まない、フィルタ媒体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%は、構造的エンボス加工の表面粗さよりも大きな表面粗さを有する。
【0062】
一実施形態では、増大した表面粗さ、折り線、および/または構造的エンボス加工のうち少なくとも1つを含むようにフィルタ媒体の表面の少なくとも95%を操作した。
【0063】
一実施形態では、上流表面の表面粗さは、120グリッドの紙やすりに等価な少なくとも116μであり、より好ましくは80グリッドの紙やすりに等価な少なくとも190μであり、さらにより好ましくは40グリッドの紙やすりに等価な少なくとも425μである。
【0064】
一実施形態では、上流表面の表面粗さは、120グリッドの紙やすりの表面粗さに少なくとも等価であり、より好ましくは80グリッドの紙やすりの表面粗さに少なくとも等価であり、さらにより好ましくは40グリッドの紙やすりに少なくとも等価である。
【0065】
一実施形態では、操作されていない状態よりも少なくとも50%大きくなるように、より好ましくは操作されていない状態よりも少なくとも100%大きくなるように、さらにより好ましくは操作されていない状態よりも少なくとも400%大きくなるように上流表面の表面粗さを操作した。
【0066】
一実施形態では、上流面から材料を除去することによるのではなく、濾過媒体の層の上流面を圧縮することにより、フィルタ媒体の層の上流面の表面粗さを提供した。
【0067】
一実施形態では、濾過媒体の層の上流表面は、曝された表面であり、表面粗さを形成する上流表面内の空隙は、他の材料で充填されることも、他の材料により被覆されることもない。これは、ひだ折り目でフィルタ媒体を折ると、隣接するひだパネルが重なる可能性を必然的に伴うことはない。
【0068】
一実施形態では、濾過媒体の層は、上流面の表面粗さを提供する濾過媒体の構造とは無関係に互いに固定された複数の媒体層から形成された、事前に積層された媒体である。
【0069】
一実施形態では、濾過媒体層の表面粗さは、130°~140°の間の、好ましくは少なくとも132°の水を使用して、ゴニオメータを使用して測定した接触角を有する。
【0070】
ある実施形態では、燃料の流れから水を濾過する方法は、燃料の流れがフィルタ要素の注入口からフィルタ要素の排出口に流れるとき、上記で概略を述べる実施形態の任意の1つによるフィルタ要素の濾過媒体に燃料の流れを通過させるステップを含む。
【0071】
ある実施形態では、注入口および放出口を有するフィルタヘッドと、排水受け領域を画定する筐体と、先行する実施形態の任意の1つによるフィルタ要素とを含む濾過システムを提供する。フィルタ要素を少なくとも一部は排水受け領域の垂直上方の筐体内部に位置決めし、流体的に注入口と排出口の間に置く。
【0072】
本発明の他の様態、目的、および有利な点は、添付図面と併せて取り上げるとき、以下の詳細な記述からより明らかになるであろう。
【0073】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの様態を例示し、本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図2】
図1のフィルタ要素のフィルタ媒体で使用するための、処理後であるが折る(ひだをつける)前の1対のひだパネルの簡略化した図解である。
【
図3】線3-3に関して得た、
図2の簡略化した横断面図である。
【
図4】フィルタ媒体を操作して構造的エンボス加工および増大した表面粗さを含むひだ状配列を形成するためのシステムの簡略化した図解である。
【
図5】構造的エンボス加工および任意選択の強化された表面粗さを含む用途の実装に従ってひだをつける前のフィルタ媒体の写真である。
【
図6】構造的エンボス加工を含むが任意選択の強化された表面粗さのない用途の実装に従ってひだをつける(たとえば、折る)前のフィルタ媒体の写真である。
【
図7】
図5および
図6のフィルタ媒体のために使用した、強化された表面粗さもエンボス加工も含まないフィルタ媒体の対照試料の写真である。
【
図8】
図7のフィルタ媒体の対照試料上の水滴の接触角の画像である。
【
図9】
図5の試料の強化された表面粗さ領域上の水滴の接触角の画像である。
【
図13】フィルタヘッドおよび取外し可能な収集ボウルをさらに含む、
図1によるフィルタ要素を利用する簡略化した濾過システムである。
【
図14】本出願に従って形成したフィルタ媒体の区域を通して濾過すべき流体の流れだけではなく、流体から分離された水の流れにも関する簡略化した図解である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
ある種の好ましい実施形態に関連して本発明について記述するが、それらの実施形態に本発明を限定する意図はまったくない。反対に添付の特許請求の範囲により規定するような本発明の精神および範囲内に含まれるとしてすべての代替形態、修正形態、および均等形態を範囲に含むことが意図される。
【0076】
図1は、本出願の教示を組み入れ、簡略化したフィルタ要素100を例示する。フィルタ要素100は、ひだ状フィルタ媒体のブロック、詳細には円筒状の管の中に形成されたひだ状フィルタ媒体102(「濾過媒体」とも呼ばれる)を含む。この実施形態は、円筒状の管内のひだ状フィルタ媒体102を例示するが、本教示による他の実施形態は、平坦なパネルのフィルタ媒体の形をとるフィルタ媒体のブロックの中にフィルタ媒体を形成できる。
【0077】
フィルタ要素100は、燃料の流れなどの流体の流れから水を濾過処理する際に特に有益であり得る。フィルタ要素100はまた、流体の流れから特定の物質を濾過してよい。
【0078】
汚れた流体は、矢印104により例示する1つまたは複数の注入口を通してフィルタ要素100に入る。汚れた流体は、流体がフィルタ媒体102を通して流れるとき、フィルタ媒体102を通して上流側/上流面(フィルタ媒体の例示する円筒状の管内の放射状に外側)から下流側/下流面(フィルタ媒体の例示する円筒状の管内の放射状に内側)に流れる。フィルタ媒体102を通過後、きれいになった流体は、矢印106により例示する1つまたは複数の放出口を通して流れる。
【0079】
フィルタ媒体102は好ましくは、凝集した水滴110が流体から分離されるように、濾過されていない流体内部に混入した水を凝集させるように構成される。凝集した水滴110は、矢印112により例示するように、排水受け114または他の収集部位に流れる。水滴110の流れは(矢印124により例示する)重力に概して平行である。
【0080】
図13は、フィルタ要素100が特定の適用可能性を有することができる濾過システム115を例示する。この場合、フィルタヘッド121に取外し可能に接続された取外し可能なボウル117により排水受け114を提供する。フィルタヘッド121は、注入口104および放出口106を提供する。
【0081】
フィルタ媒体102は、フィルタ媒体の1つまたは複数の層であり、フィルタ媒体の1つまたは複数の層を折って、隣接するひだパネル122を分離する折り線を画定する複数の折り目120を有するフィルタ媒体のひだ状の層を形成する。折り目120は、(ひだ側面とも呼ばれる)ひだパネル122の隣接する対を相互接続する。好ましい実施形態では、折り目120は、
図1で矢印124により例示する重力に概して平行である。
【0082】
好ましくは、水の排水受け114は、フィルタ媒体102の最下部端部130にあり、一方では、放出口106は、最上部端部132にあり、ここで、「最上部」および「最下部」は、重力を基準にして画定される。このようにして、重力を使用して、凝集した水滴110を放出口106ではなく水の排水受け114に向けて流すようにすることができる。
【0083】
指摘するように、フィルタ媒体102は好ましくは、ひだ折り目120が複数のひだパネル122を分離するひだ状媒体から形成される。
【0084】
図2は、この実施形態で、製作処理中に切込線により提供された折り線120で折る前の1対のひだパネル122A、122Bの上面図である。折り目120は、ひだパネル122Bからひだパネル122Aを分離するが、さらにまた2つの隣接するひだパネル122A、122Bを相互接続する。
【0085】
図1などの管状フィルタ要素では、(折る前の切込線により提供されてよい)ひだ折り目120は、放射状に外側のひだ折り目120Aおよび放射状に内側のひだ折り目120Bを含む(たとえば、放射状に外側のひだ折り目120Aは、上流ひだ折り目と呼ばれることがあり、放射状に内側のひだ折り目120Bは、
図1で矢印104により例示するように放射状に外側から内側に向かう流体の流れを伴う下流ひだ折り目と呼ばれることがある)。ひだパネル122は、一般に外側のひだ折り目120Aと内側のひだ折り目120Bの間で(典型的には、完全に放射状にから少しの角度を有して)放射状に伸展する。外側のひだ折り目120Aは、フィルタ媒体の管の(点線119Aにより例示する)放射状に外側の周辺または上流面を形成すると考えることができ、一方では、内側のひだ折り目120Bは、フィルタ媒体の管の(点線119Bにより例示する)放射状に内側の周辺または下流面を形成する。
【0086】
パネルフィルタ要素では、ひだ折り目120Aは、パネルフィルタの上流面を形成し、一方では、ひだ折り目120Bは、パネルフィルタ要素の下流面を形成する。ひだパネル122は、一般に上流面と下流面の間で伸展する。
【0087】
図2を参照すると、フィルタ媒体はまた、複数の構造的エンボス加工140A、140Bを含む。構造的エンボス加工140Aをひだパネル122A内に形成し、一方では、構造的エンボス加工140Bをひだパネル122B内に形成する。
【0088】
図2は、折り線120で折る前のフィルタ媒体102の2つのひだパネル122A、122Bの上流表面142(
図3も参照のこと)を例示し、上流表面142は、下流表面144と反対側にある。動作時、汚れた流体は、最初に上流表面142と接触し、次いでフィルタ媒体102を通過し、きれいになった流体は、下流表面144を通してフィルタ媒体102を出る。
【0089】
フィルタ媒体は、本出願の実施形態による複数の操作を有する。第1の操作は、切込または畳み目とすることができるひだ折り目120を形成することである。
【0090】
第2の操作は、構造的エンボス加工140A、140Bを形成することである。
図2および
図3を参照すると、この実施形態では、エンボス加工140Aは、フィルタ媒体102の上流表面142内に複数のくぼみを、フィルタ媒体102の下流表面144内に複数の隆起部を形成するような凹状エンボス加工である。エンボス加工140Bは、上流表面142内に複数の隆起部を、下流表面144内に複数のくぼみを形成するような凸状エンボス加工である。
【0091】
この実施形態は、凸状エンボス加工と凹状エンボス加工の間で交替するひだパネル122を交替させることにより得られるエンボス加工を例示するが、いくつかの実施形態では、すべてのエンボス加工は凸状とすることができる、またはエンボス加工のすべては凹状とすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、単一ひだパネル122は、凸状エンボス加工と凹状エンボス加工の両方を有することができる。
【0092】
エンボス加工140の各々は、第1の端部146および第2の端部148を含む。エンボス加工140は、エンボス加工軸150に沿って第1の端部146と第2の端部148の間で長手方向に伸展する。
【0093】
図2の例示的実施形態では、エンボス加工は、第1の端部146と第2の端部148の間で先細になる。詳細には、エンボス加工軸150に垂直な、エンボス加工140の(
図2で両矢印により例示する)幅Wは、第1の端部146から第2の端部148に向けて移動するときに増大する。これにより、涙状の形状が得られる。他の実施形態では、幅は一定のままとすることができ、放射状に内側に移動するときに増大する必要はない。
【0094】
各エンボス加工140の少なくとも一部分は、フィルタ媒体の少なくとも2倍の厚さの、好ましくはフィルタ媒体の少なくとも3倍の厚さの幅Wを有する。いくつかの実施形態では、エンボス加工のいくつかまたはすべての少なくとも一部分は、フィルタ媒体の少なくとも4倍の厚さの幅Wを有する。
【0095】
いくつかの実装形態では、エンボス加工140の高さHは、エンボス加工軸150に沿ってエンボス加工の一方の端部から他方の端部に移動するときに増大する。
図3に例示するように、高さHは、エンボス加工軸150に沿って折り目120から離れて移動するときに増大する。高さHに関して記述するが、凹状エンボス加工の深さは、類似する配向を有することができる。各エンボス加工140の少なくとも一部分は、フィルタ媒体の少なくとも2倍の厚さの、好ましくはフィルタ媒体の少なくとも3倍の厚さの高さHを有する。いくつかの実施形態では、エンボス加工のいくつかまたはすべての少なくとも一部分は、フィルタ媒体の少なくとも4倍の厚さの高さHを有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、ひだパネル122は、エンボス加工140の第2の端部148が、フィルタ媒体102の管の中心軸150に放射状により近くに位置決めされるように、折り目120で互いに対して折られる。平坦なパネルフィルタでは、エンボス加工140は一般に、パネルの上流面から下流面に向けて(たとえば、フィルタ媒体パネルを通る流れの方向に)移動するときにより広くなる。しかしながら、他の実施形態では、第1の端部146および第2の端部148の配向は、エンボス加工140の第2の端部148が、第1の端部146よりもフィルタ媒体102の管の中心軸150から放射方向に離して位置決めされるように切り替えることができる。
【0097】
角度をなすこの配向は、汚れた流体がフィルタ媒体102の上流面142を、詳細にはエンボス加工140を横断して流れるので、混入した水を凝集するのに役立つ。エンボス加工はまた、折られると、隣接するひだパネル122Aと122Bの間で間隔を維持するのに役立つ。
【0098】
図2を参照すると、先細に加えて、いくつかの実施形態では、エンボス加工軸150は、折り目120および重力124に対して非平行かつ非垂直な配向で伸展する。好ましくは、非平行で非垂直な配向は、放射方向で見たときに重なり合うように配置されたパターンを生み出し、それにより、より多くの水滴110が媒体に入るのを拒絶するのに役立つ。
【0099】
図14は、重なり合うように配置されたパターンをよりよく例示するフィルタ媒体102の簡略化した図解である。
【0100】
好ましい構成では、最上部端部132から最下部端部130に向けて移行するとき、一方のエンボス加工140から次のエンボス加工140へエンボス加工軸150の配向は変化する。詳細には、垂直下部のエンボス加工140の配向は、対応するエンボス加工140が最下部端部130に対して近く位置するほどそれだけ放射方向に対して急勾配になり、ひだ折り目120および重力124により近く平行になる。
【0101】
一方のエンボス加工から次のエンボス加工へエンボス加工軸150の角度が異なることを
図14にさらに例示する。この場合、2つの下部エンボス加工140A’および140B’のエンボス加工軸150’は、2つの上部エンボス加工140Aおよび140Bのエンボス加工軸150よりも急勾配である。特に、エンボス加工140B、140B’は、エンボス加工140A、140A’を形成するひだパネルの背後に隠れたひだパネル内に形成されるので破線で示されている。
【0102】
さらにまた、
図14のエンボス加工140は涙形ではなく、むしろ代替形状の楕円形である。
【0103】
最下部130に向けて移動するときに増大する急峻さは、エンボス加工140が水の進行を妨害する効果を増大させる。これにより、水滴110がフィルタ媒体の上流のひだ状区域に入るのを妨害し、その結果、濾過のための表面積全体を利用できるようになり、フィルタ要素100の最下部区域の性能はよりよくなる。これは、分離された水滴110が最下部端部130および排水受け114に向けて垂直下方に移動するときに特に好都合である。水の進行を妨害する性能が増大したことは、水の下降流112が原因で、排水受け114で水を収集する前にフィルタ要素100の最下部部分が高い水濃度を有するという結果になるという事実を相殺するのに役立つ。エンボス加工軸150と比較して、増大するエンボス加工軸150’の角度は、フィルタ媒体102の下側部分が水の進行を妨害する性能を高める。
【0104】
好ましい実施形態では、ひだパネル122Aのエンボス加工140Aは、折り目120に垂直に見たときにひだパネル122Aのエンボス加工140Bと重なる。したがって、エンボス加工140Bの第1の端部は、2つの隣接するエンボス加工140Aの第1の端部間で垂直に位置決めされる。しかしながら、エンボス加工140Aの第1の端部は、エンボス加工140Bの第1の端部146と第2の端部148の間で垂直に位置決めされることが好ましい。
【0105】
媒体102を通る流体の流れ(たとえば、一般に放射方向)に対するエンボス加工軸150の角度は、媒体102の中に再度導入されるのを妨害することにより、凝集した水滴の通り抜けを防止し、さらにまた重力を使用して水分離を支援する。
【0106】
図14に例示するように、一実施形態では、エンボス加工軸150は、流体の流れの方向に移動するときに最上部132に向けて伸びるように、折り目120および重力に対して角度をなす。この配向は、液滴110が重力124に起因して垂直下方に移動するので、水滴110を(矢印111により例示する)放射状に外側に動かす。これは、フィルタ処理されている流体からの水の除去をさらに促進する。
図13を参照すると、水滴は、ボウル117の垂直な壁に向けて外側に移動する。しかしながら、逆の配向を実装できる。
【0107】
複数のエンボス加工140A、140B、144に隣接して、フィルタ媒体102は、複数の平坦な表面領域160を有する。
【0108】
好ましくは、一方のひだパネル122Aの構造的エンボス加工140Aは、パネル122A、122Bが折り目120で互いに対して折られたときにエンボス加工140Bが折り目120に沿ってエンボス加工140Aの間で軸方向に位置決めされるように、折り目120に沿って、隣接するひだパネル122Bの構造的エンボス加工140Bから軸方向にずれている。これにより、エンボス加工140Bは、隣接するひだパネル122A、122Bの平坦な表面領域160と協働および/または整列できるようになる。これは、ひだパネル122Aと122Bの間で適切な間隔を維持するのに役立つ。
【0109】
好ましい実施形態では、増大した表面粗さを有するようにこれらの表面領域160を操作した。より詳細には、フィルタ媒体102は、一般に第1の表面粗さで形成され、次いでユーザは、フィルタ媒体102を、詳細にはこれらの平坦な表面領域160内で操作して表面粗さを増大させる。
【0110】
一実施形態では、上流表面の表面粗さは、120グリッドの紙やすりの表面粗さに等価な少なくとも116μであり、より好ましくは80グリッドの紙やすりの表面粗さに等価な少なくとも190μであり、さらにより好ましくは40グリッドの紙やすりに等価な少なくとも425μである。
【0111】
一実施形態では、表面粗さ160は、操作後に少なくとも116μの、より好ましくは少なくとも425μの表面粗さを有する。いくつかの好ましい実施形態では、エンボス加工140は、表面粗さよりも少なくとも3倍大きな高さを有することに留意されたい。
【0112】
いくつかの実施形態では、操作後のフィルタ媒体の表面粗さは、少なくとも50%だけ、より好ましくは100%だけ、さらにより好ましくは少なくとも400%だけ増大する。
【0113】
いくつかの実施形態では、上流表面142の表面粗さは、下流表面144の表面粗さよりも大きい。常にではないが典型的には、上流表面142だけの表面粗さは、この上流表面が、混入した水を有する汚れた流体が最初に接触する表面であるので操作される。表面粗さは、上流表面142の表面エネルギーを増大させ、その結果、上流表面142の水分離能力を高めるのに役立つ。
【0114】
図2では、増大した表面粗さをフィルタ媒体102の表面上に点描により概略的に例示する。この粗さを微小粗さと呼ぶことがある。
【0115】
図4は、簡略化したフィルタ媒体処理システム200を例示する。システムは、典型的にはフィルタ媒体102を形成するために使用するフィルタ媒体のロールであるフィルタ媒体供給源202を含む。フィルタ媒体は、ロールから巻き戻され、その後処理される。
【0116】
フィルタ媒体供給源202の下流には、フィルタ媒体の1つまたは複数の表面および/または領域に対して表面操作を遂行する1つまたは複数の媒体操作道具205、206を含む媒体操作ステーション204がある。
【0117】
特定の実装形態では、媒体操作ステーション204は、相対する圧縮ロールの形をとる媒体操作道具を含む。別の実装形態では、1対の相対するベルトにより媒体操作道具を提供する。他の実装形態では、媒体操作道具は、媒体操作ステーション204を通る流れの媒体に概して垂直な軸に沿って互いに向けて、および互いから離れて移動する1対の直線状に作動するスタンピング板により提供される。
【0118】
一実装形態では、媒体操作ステーション204は、フィルタ媒体の一方の側面だけを、詳細には上記で記述する上流表面142になるフィルタ媒体の側を操作する。そのような実施形態では、媒体のその側と協働する媒体操作道具205、206は、フィルタ媒体の対応する表面の表面粗さを操作して、フィルタ媒体の最初の表面粗さと比較して表面粗さを増大させる。
【0119】
好ましくは、媒体操作ステーション204は、フィルタ媒体のいずれも、または実質的にいずれも動かすことなく、たとえば媒体の研磨またはレーザエッチングなしに、表面粗さを修正する。むしろ、単にフィルタ媒体を圧縮することにより表面粗さを修正することが好ましい。除去方法は、とりわけフィルタ媒体上に残骸を残す可能性がある。
【0120】
一実装形態では、所望の表面粗さを画定する媒体操作道具205、206は、媒体操作道具205、206のその他の材料よりも剛性のある材料から形成される。いくつかの実装形態では、媒体操作道具205、206は、道具類の表面の中にレーザエッチングされた表面粗さプロファイルを有してよい。
【0121】
一実施形態では、同じ媒体操作道具205または206は、中に形成された構造的エンボス加工と表面粗さ特徴の両方を有する。いくつかの実施形態では、媒体操作ツール205、206は、表面粗さ特徴がまったくなく、構造的エンボス加工だけを提供する。
【0122】
いくつかの実施形態では、媒体操作道具205、206は、中に形成された構造的エンボス加工プロファイルを提供する剛性部材を有し、微小粗さの膜は、剛性部材に付着する。微小粗さの膜は、構造的エンボス加工を取り囲む。
【0123】
いくつかの実装形態では、媒体操作ステーション204は、一方の処理を最初に遂行し、次いで他方の処理を遂行するように連続的に整列した道具類の別個のセットを使用して粗さおよび構造的エンボス加工を形成する2段階処理を有する。典型的には、粗さ処理を最初に行う。この場合も、他のシステムは、さまざまな異なる媒体操作特徴の中の1つだけを有してよい。
【0124】
いくつかの実装形態では、構造的エンボス加工は、その表面を操作して表面粗さを増大させるのではなく、ひだパネルの残りの部分(フィルタ媒体の実質的に平面状の部分)だけを操作して、改善された表面粗さを提供する。
【0125】
好ましい実装形態では、媒体操作道具205、206は、整列して単一の構造的エンボス加工を形成する凸状の構造的エンボス加工特徴と凹状の構造的エンボス加工特徴の両方を有する。たとえば、道具205の突出部は、フィルタ媒体と整列し、協働する道具206の対応する凹部の中にフィルタ媒体を押しつけて、エンボス加工を形成する。しかしながら、好ましくは、協働する突出部/凹部特徴(たとえば、協働する凸状特徴および凹状特徴)を使用して構造的エンボス加工を形成してよいが、表面粗さ特徴は、典型的にはそのような凸状/凹状の配列を用いて形成されない。むしろ、表面粗さ特徴は、協働して表面粗さを形成する道具205と206の間で協働する特徴なしに、単に一方の道具205または他方の道具206により形成される。
【0126】
一実装形態では、フィルタ媒体は、フィルタ媒体の複数の層からなる積層物である。この積層物を形成し、媒体操作ステーション204を通過する前にこの積層物の層を互いに固定する。
【0127】
さらに、表面粗さを有していた表面を強化し増大させることが好ましく、これらの表面を実質的にコートしないことが好ましい。これは、フィルタ媒体に付加された表面粗さが、別個の層を一緒に固定するための手段として使用されないので特に当てはまる。実際は、表面粗さは、改善された水分離特徴が残るように、他の材料により邪魔されないままであるべきである。
【0128】
道具205、206の下流には、隣接するひだパネル122を対応するひだ折り目120で折る折り機207がある。
【0129】
図5は、ひだパネル322A、322Bを画定する折り目320、構造的エンボス加工340A、340B、および強化された粗さを伴う平坦な表面領域360を含むように操作されたフィルタ媒体302の写真である。
【0130】
図6は
図5に類似する写真である。しかしながら、フィルタ媒体は、構造的エンボス加工を取り囲む強化された表面粗さを含んでいなかった。
【0131】
図7は、
図5および
図6の配列用に使用するフィルタ媒体の操作されていない試料の写真である。
【0132】
本出願人らは、さまざまな試験を遂行して、
図5~
図7の3つの配列すべてのフィルタ媒体の動作パラメータを比較した。しかしながら、表面粗さを含まない試料に対してすべての試験を遂行したわけではなかった。
【0133】
図8および
図9は、
図7の対照フィルタ媒体および
図5の修正されたフィルタ媒体に関する接触角を比較している。対応する媒体の表面上の水の接触角を、ゴニオメータを使用して試験した。表面粗さが増大した試料はより大きな接触角を有することが確認された。より詳細には、対照試料は、129°±0.8°の平均接触角(2つの値の平均)を有し、一方では、表面粗さが増大した試料は、135°±0.6°の平均接触角(2つの値の平均)を有していた。
【0134】
図10は、SAE J905に基づく流れ流量制限と流量の比較を例示する。使用した流体は超低硫黄ディーゼル(ultralow sulfur diesel、ULSD)であった。例示するように、修正された試料は、それぞれ同じ流量で対照試料よりも低減された圧力降下を有していた。
【0135】
図11は、SAE J1488に従って試験した経時的水分離効率の比較を例示する。試験流量は1gpmであって。流れは、円筒状フィルタ要素を用いて外側から内側であった。
【0136】
図12は、SAE J1488に従って試験した3つの試料に関する経時的圧力降下をプロットする。試験流量は1gpmであった。流れは、円筒状フィルタ要素を用いて外側から内側であった。
【0137】
本明細書で引用する出版物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、まるで参考文献が参照により組み入れられるように個々にかつ具体的に示され、かつ全体が本明細書に示されるように、参照により同程度に本明細書に組み入れられる。
【0138】
本発明を記述する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)用語「a」および「an」および「the」、ならびに類似の参照を使用することは、本明細書で特に指定のない限り、または文脈が明確に矛盾しない限り、単数と複数の両方に及ぶと解釈すべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「包含する(containing)」は、特に指定のない限り非限定的用語(すなわち、「含むが限定しない」を意味する)として解釈すべきである。本明細書での値の引用は、本明細書で特に指定のない限り、範囲内に入る別個の値をそれぞれ個々に参照する簡潔な方法の役割を果たすことが単に意図され、別個の値はそれぞれ、まるで本明細書で個々に記載されているかのように本明細書の中に組み入れられる。本明細書で特に指定のない限り、または文脈がそうではないと明確に矛盾しない限り、本明細書で記述するすべての方法を任意の適切な順序で遂行できる。本明細書で提供する任意の例およびすべての例、または代表的言語(たとえば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく啓蒙することが意図され、特に特許請求されない限り本発明の範囲に制限をもたらさない。本明細書内のどの言語も、本発明の実施に欠かせないとして任意の特許請求されない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0139】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態について記述し、本発明を実行するために本発明者らに公知の最良の様式を含む。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記述を読むと同業者に明らかになることがある。本発明者らは、熟練した職人が適宜そのような変形形態を採用することを予期し、本発明が本明細書で具体的に記述する以外の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律により許可されるとして本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の修正形態および均等形態すべてを含む。その上、本発明は、本明細書で特に指定のない限り、または文脈が他の方法で明確に矛盾しない限り、本発明のすべての可能な変形形態で上述の要素の任意の組合せを包含する。
【国際調査報告】