(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】歪み緩和構造を組み込んだLED前駆体
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20221108BHJP
H01L 33/12 20100101ALI20221108BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20221108BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20221108BHJP
H01L 33/14 20100101ALI20221108BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20221108BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/12
H01L33/22
H01L33/24
H01L33/14
H01L33/32
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514734
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020074302
(87)【国際公開番号】W WO2021043748
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
【テーマコード(参考)】
5F045
5F241
【Fターム(参考)】
5F045AA04
5F045AA05
5F045AB14
5F045AB17
5F045AF02
5F045AF09
5F045AF13
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5F241CA05
5F241CA40
5F241CA60
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA73
5F241CA74
5F241CB03
5F241CB05
5F241CB22
5F241FF06
(57)【要約】
発光ダイオード(LED)前駆体およびLED前駆体を形成する方法が提供される。LED前駆体は、第1の半導体層と、第1の半導体層の成長表面上に設けられたモノリシックLED構造とを備える。第1の半導体層はIII族窒化物を備える。第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含む。第1の半導体層は、第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層と、歪み緩和副層とを備える。歪み緩和副層は、第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備え、歪み緩和副層は、メサ構造のメサ表面を提供し、結果、メサ表面は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する。モノリシックLED構造は、メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上に設けられ、モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備える。モノリシックLED構造は、メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分と、第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
前記基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成すること、および
前記基板に対して前記第1の半導体副層の反対側で前記第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成することであって、前記歪み副層は、前記歪み副層と前記第1の半導体副層との間の界面において、前記界面における前記歪み副層の面内格子定数が前記第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、歪み副層を形成すること
を備える、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)前記第1の半導体層がバルク半導体層表面から延在するメサ構造を画定するように、前記第1の半導体層の前記バルク半導体層表面を露出させるために前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)前記歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、前記歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、前記メサ構造は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する前記歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、加熱するステップと、
(d)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、前記モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
前記メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分、および
前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分
を有する、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップは、前記バルク半導体層表面が前記第1の半導体副層内に形成されるように、前記歪み副層の一部分を、前記歪み副層の厚さおよび前記第1の半導体副層の対応する部分を通じて除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歪み副層はIn
XGa
1-XNを備え、0<X≦1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歪み副層は、GaNを備える第1の歪み層とIn
XGa
1-XNを備える第2の歪み層とが交互になっている複数の層を備え、0<X≦1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記歪み副層のIn含有量(X)は、前記第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記モノリシックLED構造は、
前記第1の半導体層の前記メサ表面および前記バルク半導体層表面の上に設けられた第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に設けられた複数のIII族窒化物層を備える活性層と、
前記活性層上に形成されたIII族窒化物を備えるp型半導体層と
を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の半導体層は、GaNまたはIn
YGa
1-YNを備え、0<Y≦1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記活性層が、少なくとも500nmの波長を有する光を出力するように構成されている、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記活性層が、少なくとも前記第2の面内格子定数に等しい第3の面内格子定数を有するIn
ZGa
1-ZNを備える少なくとも1つの量子井戸層を備え、0<Z≦1である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の第1の部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を囲む、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記歪み緩和温度が少なくとも800°Cである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)前駆体であって、
III族窒化物を備える第1の半導体層であって、前記第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように前記第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含み、前記第1の半導体層は、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層、および
前記第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備える歪み緩和副層であって、前記歪み緩和副層は、前記メサ構造の前記メサ表面を提供し、前記メサ表面は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する、歪み緩和副層
を備える、第1の半導体層と、
前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLED構造であって、前記モノリシックLED構造は、複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
前記メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分と、
前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分と
を有する、モノリシックLED構造と
を備える、発光ダイオード(LED)前駆体。
【請求項13】
LEDアレイ前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成するステップ、および
前記基板に対して前記第1の半導体副層の反対側の前記第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成するステップであって、前記歪み副層と前記第1の半導体副層との間の界面における前記歪み副層は、前記界面における前記歪み副層の面内格子定数が前記第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、ステップと、
(b)前記第1の半導体層がバルク半導体層表面からそれぞれ延在する複数のメサ構造を画定するように、前記第1の半導体層の前記バルク半導体層表面を露出させるために前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)前記歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、前記歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、各メサ構造は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する前記歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、ステップと、
(d)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、前記モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
複数の第1のモノリシックLED構造部分であって、各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられる、複数の第1のモノリシックLED構造部分、および
複数の第2のモノリシックLED構造部分であって、各々が前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれの前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する、複数の第2のモノリシックLED構造部分と、を有する、ステップと、を備える方法。
【請求項14】
LEDアレイ前駆体であって、
複数のメサ構造を含む第1の半導体層であって、各メサ構造は、バルク半導体表面および複数のメサ表面を含む成長表面を画定するように前記第1の半導体層の主面から延在し、前記第1の半導体層は、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層、および
前記第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備える歪み緩和副層であって、前記歪み緩和副層は、各メサ構造の前記メサ表面を提供し、前記メサ表面は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する、歪み緩和副層
を備える、第1の半導体層と、
各メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLED構造であって、前記モノリシックLED構造は、複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられている複数の第1のモノリシックLED構造部分と、
各々が前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれの前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する複数の第2のモノリシックLED構造部分と
を有する、モノリシックLED構造と
を備える、LEDアレイ前駆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、III族窒化物半導体に関する。特に、本開示は、III族窒化物半導体を備える発光ダイオード(LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLEDアレイは、一般に、100×100μm2以下のサイズを有するLEDのアレイとして定義される。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、およびピコプロジェクタなどの様々なデバイスにおける使用に適した自己発光マイクロディスプレイ/プロジェクタである。
【0003】
多くの用途において、さまざまな波長を有する光を出力することができるマイクロディスプレイ/プロジェクタを提供することが望ましい。例えば、多くのカラーディスプレイでは、赤色、緑色、および青色光の組み合わせを出力する能力を各ピクセルに提供することが一般的である。
【0004】
1つの既知の形態のマイクロLEDアレイは、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、活性発光領域内にGaNならびにInNおよびAlNとのその合金を含む無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば発光層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光パワー密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放出される光の量として定義されるより高いルミナンス(輝度)が、マイクロLEDを、高い輝度を必要とする、またはそれから恩恵を受ける用途に適したものにする。例えば、高輝度から恩恵を受ける用途は、高輝度環境のディスプレイまたはプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDは、他の従来の大面積LEDと比較して、ルーメン毎ワット(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0005】
III族窒化物からマイクロLED、特にマイクロLEDアレイを形成するための1つの方法は、米国特許第7,087,932号に記載されているような選択領域成長(SAG)である。SAG技術では、バッファ層上にマスクがパターニングされる。マスク内の材料は、成長条件において、追加の材料がマスク上に直接成長せず、下にあるバッファ層の表面の一部分を露出させる開口の内側のみに成長するようなものである。
【0006】
方向に沿って成長させたIII族窒化物の選択領域成長の別の注目すべき特徴は、成長温度、圧力、およびV/III比などの成長パラメータに応じて、c面としても知られる(0001)面に対する傾斜ファセットが、パターニングされたマスクの開口領域によって画定されるc面半導体の成長部分の周縁周りに得られることである。傾斜ファセットは、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0007】
【0008】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
1つの既知のタイプのIII族窒化物LEDは、In-Ga-N合金系を利用してLEDの活性領域内に複数の量子井戸を画定する。典型的には、GaNおよびInxGa1-xNの交互の層が量子井戸を画定するために提供される。青色LEDの場合、インジウムモル分率Xは、典型的には0.2未満である。InxGa1-xN層に組み込まれるインジウムの量を増加させると、ポテンシャル井戸の深さが増加し、それによってLEDによって放出される光の波長が増加する。
【0009】
しかしながら、例えば、天然の緑色および赤色LEDを提供するために、インジウムモル分率Xを0.2より大きくすると、LEDの効率が大幅に低下することが知られている。基本的な問題の1つは、緩和または圧縮歪みGaN上に堆積された場合のインジウムの低い取り込み効率である。高In分率層は、一般に、低成長温度の使用を必要とし、IQEに有害な影響を及ぼす相分離を起こしやすい(例えば、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 123,160901(2018))。
【0010】
「InGaN lattice constant engineering via growth on(In,Ga)N/GaN nanostripe arrays」(Keller S.他,Semicond.Sci.Technol.,vol.30,(2015))は、InGaN/GaN多重量子井戸からなるナノストライプアレイ上に成長させた平面(In,Ga)N層を開示している。ナノストライプアレイは、パターン作製後にストライプ方向に垂直な弾性緩和を示し、ストライプ方向に垂直なa┴格子定数がGaNベース層よりも大きくなった。
【0011】
米国特許第8,492,244号明細書は、中間基板上に歪み緩和材料層のアイランドを形成し、第1の熱処理によって歪み材料アイランドを少なくとも部分的に緩和し、少なくとも部分的に、歪み材料アイランドをターゲット基板に転写する方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、LED前駆体を形成するための改善された方法、ならびに従来技術の方法およびアレイに関連する問題の少なくとも1つに対処する改善されたLED前駆体、または少なくともそれに対する商業的に有用な代替物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、SAG方法が、製造される層/デバイスの幾何学的形状に大きく依存することを認識した。したがって、異なるマスク形状を有する基板に対して同じSAG製造プロセスを実行すると、開口サイズの局所的な変動に起因してドーピングプロファイルおよび層組成の望ましくない局所的な変動が生じる可能性がある。さらに、レイアウトの違いに起因して、異なる基板にわたるドーピングプロファイルおよび層組成の変動もあり得る。すなわち、SAGによって形成されたLEDデバイスの各層のドーピングプロファイル/合金組成は、デバイスの幾何学的形状に依存し得る。その結果、デバイスまたはデバイスのアレイの幾何学的形状のわずかな変化が、デバイスの各層のSAGプロセスが再度較正されることを必要とし得る。
【0014】
さらに、本発明者らは、SAGプロセス中に、マスク層からの材料が堆積構造に組み込まれ得ることを認識した。例えば、マスキング層内の要素が、製造中にSAGによって成長した材料に拡散し、成長したLED構造の望ましくないドーピングをもたらす可能性がある。特に、SiまたはO(例えば、SiNx、SiO2)を含むマスキング層は、SAGによって成長させたIII族窒化物層のSiまたはOドーパントの供給源をもたらし得る。
【0015】
本開示の第1の態様によれば、発光ダイオード(LED)前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成すること、および
基板に対して第1の半導体副層の反対側で第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成することであって、歪み副層は、歪み副層と第1の半導体副層との間の界面において、界面における歪み副層の面内格子定数が第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、歪み副層を形成すること
を備える、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)第1の半導体層がバルク半導体層表面から延在するメサ構造を画定するように、第1の半導体層のバルク半導体層表面を露出させるために第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、メサ構造は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、加熱するステップと、
(d)メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、モノリシックLED構造は、
メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分、および
第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分
を有する、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備える。
【0016】
SAG方法では、モノリシックLED構造をバッファ層の露出部分上に成長させることができる。モノリシックLED構造は、マスク層によって覆われたバッファ層の部分上には成長しない。第1の態様の方法では、モノリシックLED構造は、マスク層の存在なしに第1の半導体層の成長表面上に過成長される。したがって、モノリシックLED構造を製造する方法は、マスクレス過成長方法である。
【0017】
第1の態様の方法は、マスク層の存在なしにモノリシックLED構造を成長表面上に形成することを可能にする。したがって、第1の態様の方法は、材料のリサイクルおよびマスク層の汚染に関連する問題を低減または排除する。
【0018】
成長表面上のメサ構造形成部分は、モノリシックLED構造の幾何学的形状を規定するのに役立つ。したがって、既知のSAG方法とは対照的に、モノリシックLED構造の選択的成長のための開口を画定するためにマスク層は必要とされない。むしろ、モノリシックLED構造は、メサ構造を覆うように成長表面の上に成長される。メサ構造を覆うことによって、形成されたモノリシックLED構造は、メサ表面を覆う第1の実質的に平坦な部分と、当該技術分野で知られているSAG法によって成長されたモノリシックLED構造と同様の傾斜した側壁を有するメサ表面を取り囲む第2の部分とを有する。
【0019】
重要なことに、メサ表面は、歪み緩和副層の歪み緩和表面の一部分から形成される。歪み緩和副層を第1の半導体層に組み込むことによって、メサ表面は、より高いIn含有量の活性層を有するモノリシックLED構造の成長のために構成され得る。すなわち、メサ表面とモノリシックLED構造との間の格子不整合が低減されるような、メサ表面の面内格子定数を提供することができる。
【0020】
さらに、第1の態様の方法は、メサ表面およびバルク半導体表面を含む成長表面全体にわたるモノリシックLED構造の層の形成を含む。モノリシックLED構造の層は、SAGと同様の製造プロセスを使用して形成することができる。しかしながら、第1の態様の方法では、モノリシックLED構造の層は、成長表面全体にわたって形成される(すなわち、マスク層が存在しない)。したがって、モノリシックLED構造の層の形成は、形成されるLED前駆体の幾何学的形状の変動に対する感受性が低い。その結果、LED前駆体を形成する方法は、デバイスの幾何学的形状が変更されるたびにモノリシックLED前駆体の層を形成するために実行される必要があり得る較正プロセスを低減または排除することができる。
【0021】
第1の態様の方法は、傾斜した側壁によって囲まれた実質的に平坦な上面を有するモノリシックLED構造をもたらすことが理解されよう。したがって、モノリシックLED構造は、実質的に台形の断面を有することができる。そのような台形断面は、台形断面の傾斜した側壁がLED前駆体の発光面に向けてより大きい割合の光を導くことができるため、光抽出効率を高めることができる。
【0022】
さらに、第1の態様の方法は、メサ表面およびバルク半導体層表面全体にわたるモノリシックLED構造の層の形成を含む。モノリシックLED構造の層は、SAGと同様の製造プロセスを使用して形成することができる。しかしながら、第1の態様の方法では、モノリシックLED構造の層は、成長表面全体にわたって形成される(すなわち、マスク層が存在しない)。したがって、モノリシックLED構造の層の形成は、形成されるLED前駆体の幾何学的形状の変動に対する感受性が低い。その結果、LED前駆体を形成する方法は、デバイスの幾何学的形状が変更されるたびにモノリシックLED前駆体の層を形成するために実行される較正プロセスを低減または排除することができる。
【0023】
特に、第1の態様の方法では、LED前駆体の幾何学的形状は、形成されるメサ構造の幾何学的形状によって影響され得る。例えば、台形断面を有するLED前駆体を形成する場合、メサ構造の高さおよび表面積は、形成されるLED前駆体の所望の高さおよび表面積を制御するために変化させることができる。したがって、形成されるLED前駆体のアスペクト比は、選択的除去ステップを使用して調整することができる。モノリシックLED構造がメサ構造の上に堆積される後続のステップは、LED前駆体のアスペクト比に関係なく、一定に保つことができる。対照的に、SAGプロセスでは、LED構造の台形断面のアスペクト比を変更すると、堆積ステップのうちの1つ以上を再較正する必要があり得る。
【0024】
LED前駆体における「前駆体」という用語では、記載されているLED前駆体が必ずしも、光の放出を可能にするようなLEDの電気接点も、関連する回路も含まないことに留意されたい。無論、第1の態様のLED前駆体を形成する方法は、さらなる電気接点および関連する回路の追加を排除するものではない。したがって、本開示における前駆体という用語の使用は、最終製品(すなわち、LED、LEDアレイなど)を含むことを意図している。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップは、バルク半導体層表面が第1の半導体副層内に形成されるように、歪み副層の一部分を、歪み副層の厚さおよび第1の半導体副層の対応する部分を通じて除去することを含む。いくつかの実施形態では、第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップは、その厚さを通じて部分的に歪み副層の一部分を除去することを含む(すなわち、第1の半導体副層の一部分は除去しない)。したがって、バルク半導体層表面は、いくつかの実施形態では歪み副層によって、他の実施形態では第1の半導体副層によって提供されてもよいことが理解されよう。
【0026】
歪み副層は、所望の面内格子定数を有する歪み緩和表面を形成するために、いくつかの異なる形態で設けられてもよい。歪み副層は、第1の面内格子定数を有する第1の半導体副層と、より高い面内格子定数を有するモノリシックLED構造(特に、モノリシックLED構造の活性領域)との間の界面を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、歪み副層は、InXGa1-XNを備え、0<X≦1である。例えば、いくつかの実施形態では、第1の半導体副層は、第1の面内格子定数を有するGaNを備え、歪み副層は、InXGa1-XNを備え、歪み副層のIn含有量の増加は、GaN層に対して面内格子定数を増加させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、歪み副層は、均一な組成の単一層(例えば、単一のInXGa1-XN層)として提供される。すなわち、InXGa1-XN副層の組成は、副層全体にわたって実質的に同じである。
【0028】
いくつかの実施形態では、歪み副層は、GaNを備える第1の歪み層とInXGa1-XNを備える第2の歪み層とが交互になっている複数の層を備え、0<X≦1である。
【0029】
いくつかの実施形態では、歪み副層のIn含有量(X)は、厚さ方向に変化する(例えば、増加または減少する)。例えば、いくつかの実施形態では、歪み副層のIn含有量(X)は、厚さ方向に変化し、第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する。例えば、いくつかの実施形態では、歪み副層はInXGa1-XNの単一層であってもよく、組成(すなわち、In含有量X)は厚さ方向において漸変する。いくつかの実施形態では、歪み副層が、第1の歪み層備えると第2の歪み層とが交互になっている複数の層を備える場合、第2の歪み層の各々のIn含有量は異なっていてもよい(すなわち、第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する)。第1の半導体層に向かってより高いIn含有量を有する歪み副層を提供することによって、歪み緩和副層を形成するときのミスフィット転位の形成が、歪み緩和表面から離れた領域で促進され得る。すなわち、最大の格子不整合が第1の半導体層の成長表面から離れて提供され、それによって、LED前駆体の電気的特性に対する格子不整合(転位)の影響が低減される。
【0030】
いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造は、第1の半導体層のメサ表面およびバルク半導体層表面の上に設けられた第2の半導体層を備える。いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造は、第2の半導体層上に設けられた複数のIII族窒化物層を備える活性層を備える。いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造は、活性層上に形成されたIII族窒化物を備えるp型半導体層を備える。重要なことに、モノリシックLED構造層の各々は、第1の半導体層の成長表面の上に実質的に連続した層として形成されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層はGaNを備える。いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、InYGa1-YNを備え、0<Y≦1である。例えば、いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、InYGa1-YNを備え、0<Y≦0.15である。いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、n型ドーパントを備えてもよい(すなわち、第2の半導体層はn型ドープされてもよい)。
【0032】
いくつかの実施形態において、活性層は、少なくとも500nmの波長を有する光を出力するように構成されてもよい。すなわち、LED前駆体は、実質的に緑色光または赤色光である波長を有する可視光を生成するように構成されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、活性層は、InZGa1-ZNを備える少なくとも1つの量子井戸層を備え、0<Z≦0.5である。量子井戸層のIn含有量(Z)、および/または少なくとも1つの量子井戸層の厚さは、LEDによって出力される光の所望の波長を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、活性層は複数の量子井戸層を備え、各層はGaNの層によって分離されている。特に、いくつかの実施形態では、量子井戸層はInZGa1-ZNを備え、0.2≦Z≦0.5である。
【0034】
いくつかの実施形態では、量子井戸層は、少なくとも第2の面内格子定数に等しい第3の面内格子定数を有することができる。したがって、歪み緩和表面は、その上に第2の半導体層および活性領域を格子不整合を低減して形成することができる中間表面を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態において、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分を囲む。
【0036】
SAG技術とは異なり、モノリシックLED構造は、バルク半導体層表面全体を含む成長表面全体にわたって成長することが理解されよう。メサ構造によって画定されるモノリシックLED構造の部分内に電荷担体を閉じ込めるために、モノリシックLED構造のp型層にポテンシャル障壁が設けられる。p型層は、p型層の第1の部分を通って流れる電荷担体を閉じ込める(すなわち、電荷担体をメサ構造内に閉じ込める)ために、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分とバルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分との間に設けられる。
【0037】
いくつかの実施形態では、歪み緩和副層を形成するステップは、歪み副層が(室温から)少なくとも800°Cの温度に加熱される熱処理工程を含む。加熱することにより、歪み副層が緩和するにつれて、歪み副層転位が歪み副層を通って伝播することができる。これにより、上記の歪み緩和表面の歪みが減少し、以て、歪み緩和表面の面内格子定数が増加する。このように、熱処理工程を使用して歪み緩和表面の格子定数を制御(増加)することができる。
【0038】
本開示の第2の態様によれば、発光ダイオード(LED)前駆体が提供される。LED前駆体は、第1の半導体層と、モノリシックLED構造とを備える。第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含む。第1の半導体層は、第1の半導体副層および歪み緩和副層を備える。第1の半導体副層は、第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える。歪み緩和副層は、第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備え、歪み緩和副層は、メサ構造のメサ表面を提供し、メサ表面は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する。モノリシックLED構造は、モノリシックLED構造がメサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上に設けられる。モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備える。モノリシックLED構造は、メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分と、第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分とを有する。
【0039】
第2の態様によるLED前駆体は、第1の態様の方法によって形成され得るLED前駆体を提供する。したがって、第2の態様によるLED前駆体は、上述した第1の態様の重要な特徴のすべてに対応する特徴を組み込むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、LED前駆体は、第1の半導体層が上に設けられた基板を備える。いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、基板上に設けられない。例えば、基板を第1の半導体層から除去して、モノリシックLED構造に対して第1の半導体層の反対側の第1の半導体層の表面を露出させることができる。
【0041】
本開示の第3の態様によれば、LEDアレイ前駆体を形成する方法が提供される。本方法は、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成すること、および
基板に対して第1の半導体副層の反対側で第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成することであって、歪み副層は、歪み副層と第1の半導体副層との間の界面において、界面における歪み副層の面内格子定数が第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、歪み副層を形成すること
を備える、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)第1の半導体層が、各々がバルク半導体層表面から延在する複数のメサ構造を画定するように、第1の半導体層のバルク半導体層表面を露出させるために第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、各メサ構造は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、加熱するステップと、
(d)メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、モノリシックLED構造は、
各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられている複数の第1のモノリシックLED構造部分、および
各々が第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれのメサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する複数の第2のモノリシックLED構造部分
を有する、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備える。
【0042】
本開示の第3の態様による方法は、基板上に複数のモノリシックLED構造を形成する方法を提供し、形成されるモノリシック構造の各々は、本開示の第1の態様の方法によって形成されるものと同様である。したがって、第3の態様による方法は、第1の態様に関して上述したすべての重要な特徴を含むことができる。
【0043】
本開示の第4の態様によれば、LEDアレイ前駆体が提供される。LEDアレイ前駆体は、第1の半導体層と、モノリシックLEDアレイ構造とを備える。第1の半導体層は、複数のメサ構造を含む。各メサ構造は、バルク半導体表面および複数のメサ表面を含む成長表面を画定するように第1の半導体層の主面から延在する。第1の半導体層は、第1の半導体副層および歪み緩和副層を備える。第1の半導体副層は、第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える。歪み緩和副層は、第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備え、歪み緩和副層は、各メサ構造のメサ表面を提供し、メサ表面は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する。各メサ構造は、歪み緩和表面のそれぞれの部分から形成されたメサ表面を有する。モノリシックLED構造は、モノリシックLED構造が各メサ表面およびバルク半導体表面を覆うように、第1の半導体層の成長表面上に設けられる。モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備える。モノリシックLED構造は、各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられている複数の第1のモノリシックLED構造部分と、各々が第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれのメサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する複数の第2のモノリシックLED構造部分とを有する。
【0044】
本開示の第1の態様~第4の態様によるLED前駆体、LEDアレイ前駆体、およびそれらの形成方法は、いくつかの実施形態では、マイクロLED前駆体およびマイクロLEDアレイ前駆体を提供してもよい。マイクロLEDアレイ前駆体は、マイクロLED前駆体のアレイである。マイクロLED前駆体は各々、100μm×100μm未満の寸法を有してもよい。すなわち、各マイクロLEDの少なくともメサ部分は、100μm×100μm未満の寸法を有するメサ表面を有する。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロLED前駆体のメサ表面は、10-8m2未満の表面積を有する。
【0045】
ここで、本開示を、以下の非限定的な図面に関連して説明する。本開示のさらなる利点は、図面と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1の半導体副層および歪み副層を備える第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
【
図2】メサ構造を含む第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
【
図3】過成長した第2の半導体層を有する第1の半導体層が設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
【
図4】モノリシックLED構造が第1の半導体層上に設けられる、本開示の一実施形態によるLED前駆体の図である。
【
図5】歪み副層が複数の第1の歪み層および第2の歪み層を備える、本開示の一実施形態によるLED前駆体の図である。
【
図6】マスク層が
図4のLED前駆体上に設けられる、本開示の一実施形態によるLED前駆体の図である。
【
図7】ポテンシャル障壁を含む、本開示の一実施形態によるLED前駆体の図である。
【
図8】モノリシックLED構造の活性層が第1の半導体層上に設けられる、本開示の一実施形態による方法の中間ステップの図である。
【
図9】ポテンシャル障壁を含む、本開示の別の実施形態によるLED前駆体の図である。
【
図10a】正方形充填アレイに構成されたメサ構造の例のSEM画像を示す図である。
【
図10b】正方形充填アレイに構成されたメサ構造の例のSEM画像を示す図である。
【
図10c】過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。
【
図10d】過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。
【
図11】六角形充填アレイ状に構成された過成長モノリシックLEDアレイ構造のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示の一実施形態によれば、LED前駆体1を形成する方法が提供される。ここで、LED前駆体の形成方法について
図1~
図4を参照して説明する。
【0048】
この説明は、LED前駆体1の各層の格子定数を参照する。特に明記しない限り、層の格子定数への言及は、層に垂直な寸法を表す格子定数(面外格子定数)ではなく、層の面内格子定数を指すと理解されるべきである。
【0049】
図1に示すように、その上にLED前駆体を形成するための基板10を設けることができる。基板は、III族窒化物電子デバイスの形成に適した任意の基板10であってもよい。例えば、基板10は、サファイア基板であってもよく、または、シリコン基板であってもよい。基板は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。
【0050】
基板表面上に第1の半導体層20が形成される。第1の半導体層20は複数の層を備える。
図1に示すように、第1の半導体層20は、第1の半導体副層21および歪み副層22を備える。
【0051】
第1の半導体副層21はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、第1の半導体副層は、n型ドープされてもよい。他の実施形態では、半導体層は意図的にドープされなくてもよい。例えば、
図1の実施形態では、第1の半導体副層21はGaNを備える。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。第1の半導体副層21は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。第1の半導体副層21は、基板10に対して第1の半導体副層21の反対側の、第1の半導体副層21の表面である第1の表面を有する。歪み副層22は、第1の半導体副層21の第1の表面上に形成されている。第1の半導体副層21は、基板10の表面全体にわたって連続した副層として形成されてもよい。
【0052】
第1の半導体副層21は、第1の面内格子定数を有する。第1の半導体層は、ウルツ鉱型結晶構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の半導体副層21は、基板10の表面に平行に設けられた(0001)結晶面を有する基板上に形成されてもよい。したがって、(0001)結晶面に配向した第1の表面を有する第1の半導体副層について、面内格子定数は、a(またはb)格子定数を反映する定数であってもよい。
【0053】
図1に示すように、歪み副層22は、第1の半導体副層21の第1の表面上に形成されている。歪み副層22はIII族窒化物を備える。歪み副層22は、基板10(および第1の半導体副層21)に対して歪み副層22の反対側に歪み表面を含む。
【0054】
歪み副層22は、第1の半導体副層21とコヒーレントであり得る結晶構造を有して形成される。したがって、第1の半導体副層21と歪み副層22との間の界面は、コヒーレント界面であり得る。熱処理工程(下記により詳細に説明する)後に、歪み副層22は緩和して歪み緩和副層22aを形成する。歪み緩和副層22aは、第2の面内格子定数を有する歪み緩和表面23を有する。第2の面内格子定数は、第1の半導体副層21の第1の面内格子定数よりも大きい。いくつかの実施形態では、歪み緩和副層22aは、第1の半導体副層21と同様のウルツ鉱型結晶構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、歪み緩和副層22aは、基板10の表面に平行に設けられた(0001)結晶面を有する基板上に形成されてもよい。歪み緩和表面23もまた、(0001)結晶面と配向してもよい。したがって、歪み緩和表面23の面内格子定数は、結晶構造のa面(またはb面)格子定数を反映した定数であってもよい。
【0055】
歪み緩和副層22a(歪み副層22から形成される)は、様々な方法で歪み緩和表面23を提供することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、歪み副層22は、単一の連続層として堆積されてもよい。例えば、歪み副層22は、均一な組成を有するIII族窒化物を備えてもよい。例えば、歪み副層22は、In
XGa
1-XNを備えてもよく、0<X≦1である。いくつかの実施形態では、歪み副層22は、In
XGa
1-XNを備えてもよく、0<X≦0.5、または0.1≦X≦0.4である。特に、歪み副層22は、第1の半導体副層21よりも高いIn含有量を有してもよい。例えば、
図1の実施形態では、第1の半導体副層21はGaNを備える。したがって、第1の半導体副層21に対する歪み副層22のIn含有量の増加は、歪み緩和表面23の面内格子定数の所望の増加と共に、歪み緩和副層22aの第2の格子定数までの緩和をもたらす。
【0057】
いくつかの実施形態では、歪み副層22は、単一の連続層として提供されてもよく、歪み副層22の組成は、副層の厚さを通して漸変する。例えば、歪み副層22は、InXGa1-XNを備えてもよく、歪み副層22のIn含有量(X)は、例えば、厚さ方向に増加または減少する。例えば、いくつかの実施形態では、歪み緩和副層のIn含有量(X)は、第1の半導体副層21から離れる(すなわち、歪み表面23に向かう)厚さ方向に減少する。したがって、歪み副層22はInXGa1-XNの単一副層であってもよく、組成(すなわち、In含有量X)は厚さ方向において漸変する。
【0058】
いくつかの実施形態では、歪み副層22は、複数の層(すなわち、副副層)から形成されてもよい。歪み副層22は、各々が第3の格子定数を有する複数の第1の歪み層と、各々が第4の格子定数を有する複数の第2の歪み層とを備えることができる。第1の歪み層および第2の歪み層は、歪み副層22を形成するために、互いの上に交互に配置することができる。このように、第1の歪み層および第2の歪み層の各々は、互いの上に連続層として形成することができる。歪み緩和表面を設けるために、第1の歪み層および第2の歪み層の第3の格子定数および第4の格子定数は異なる。いくつかの実施形態では、第4の格子定数は第3の格子定数よりも大きい。
【0059】
例えば、一実施形態では、第1の歪み層はGaNを備えてもよく(すなわち、第3の格子定数は、第1の格子定数に等しくてもよい)、第2の歪み層はInXGa1-XNを備えてもよく、0<X≦1、0<X≦0.5、または0.1≦X≦0.4である。歪み緩和表面は、第1の歪み層または第2の歪み層のいずれかによって提供することができる。他の実施形態では、第1の歪み層はInX1Ga1-X1Nを備えてもよく、0<X1≦1、0<X1≦0.5、または0.1≦X1≦0.4であり(すなわち、第3格子定数は、第1の格子定数と異なっていてもよい)、第2の歪み層はInX2Ga1-X2Nを備えてもよく、0<X2≦1、0<X2≦0.5、または0.1≦X2≦0.4である。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の歪み層および第2の歪み層のうちの1つまたは複数の組成は、歪み緩和副層の厚さ全体にわたって変化してもよい。例えば、第4の歪み層のIn含有量は、歪み副層22の厚さを通じて変化してもよい。
【0061】
重要なことに、歪み副層22と第1の半導体副層21との間の界面における圧縮歪みは、熱処理プロセス中に歪み副層22が緩和するときに転位の伝播をもたらし得る。歪み副層22のIn含有量を漸変させることによって、圧縮歪みは界面でより高くすることができ、歪み副層表面に向かって減少することができる。したがって、緩和中、転位は、厚さ方向ではなく、実質的に面内方向に優先的に伝播し得る。第1の半導体副層21に向かってより高いIn含有量を有する歪み緩和副層22aを提供することによって、歪み緩和副層22aにおけるミスフィット転位の形成が、歪み緩和表面23から離れた領域(すなわち圧縮歪みがより高い領域)で促進され得る。すなわち、転位の形成は、第1の半導体層20の成長表面25から離れた領域において伝播するように制御することができ、それによって、LED前駆体1の電気的特性に対する格子不整合(転位)の影響が低減される。
【0062】
歪み副層22は、III族窒化物を成長させるのに適した任意の成長方法によって第1の半導体副層21上に形成されてもよい。歪み副層22は、第1の半導体副層21の主面の実質的に全体を覆う連続層として形成することができる。歪み副層22は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0063】
第1の半導体層20の成長表面25は、その後、選択的除去プロセスを用いて成形されてもよい。したがって、第1の半導体層20の成長表面25がバルク半導体層表面26およびメサ表面27を備えるように、第1の半導体層20の部分が選択的に除去されて、メサ構造24が形成される。
【0064】
例えば、
図2において、成長表面25は、エッチングプロセスを使用して成形されている。エッチングプロセスにおいて、メサ画定マスク層(図示せず)を、第1の半導体層20の歪み表面上に堆積することができる。メサ画定マスク層は、成長表面25のメサ表面27をメサ構造24を形成するように意図された第1の半導体層20の部分をマスクするように構成される。次いで、第1の半導体層20のマスクされていない部分をエッチャントを用いて選択的に除去することができる。エッチャントは、第1の半導体層20の一部分をエッチング除去して、第1の半導体層20のバルク半導体層表面26を露出させることができる。すなわち、エッチャントは、第1の半導体層20の厚さを完全にエッチングして基板10を下方に露出させなくてもよい。次いで、メサ画定マスク層を第1の半導体層から除去することができる。上記のプロセスに従うことによって、第1の半導体層20は、例えば
図2に示すように、バルク半導体層表面26上にモノリシックに設けられたメサ構造24を提供するように成形することができる。
【0065】
メサ表面27は、歪み副層22の選択的に除去されない部分によって提供される。したがって、メサ表面27を形成する歪み副層22の部分の配向は、選択的除去ステップ後に基板10に対して不変であり得る。したがって、
図2に示すように、メサ表面27は、基板10の表面に平行であり得る。いくつかの実施形態では、バルク半導体表面26も基板10と実質的に平行になるように、第1の半導体副層21がエッチングされる。したがって、第1の半導体層20のメサ表面27およびバルク半導体表面26は両方とも、互いに実質的に平行な表面であり得る。いくつかの実施形態では、メサ表面27およびバルク半導体表面26は、第1の半導体層20を形成するIII族窒化物の(0001)面に配向することができる。
【0066】
図2に示す実施形態では、第1の半導体層20は、第1の半導体副層21のバルク半導体表面が露出するようにエッチングされる。このように、第1の半導体層20は、歪み副層22の厚さを通じて、かつ部分的に第1の半導体副層21の厚さを通じてエッチングされている。
【0067】
図2において、メサ構造24は、バルク半導体表面26およびメサ表面27に対して実質的に垂直な側壁を有して示されている。他の実施形態では、メサ構造24は、傾斜した側壁を有して形成されてもよい。例えば、異なるエッチャントを使用して、選択的除去プロセス中に形成される側壁の形状を制御することができる。
【0068】
第1の半導体層20の形成後に、歪み副層22に熱処理工程を施すことができる。熱処理工程は、歪み副層22の塑性変形を引き起こすのに十分な温度まで歪み副層22を加熱することを備えることができる。すなわち、歪み副層22は、第1の半導体副層21に対する歪み緩和副層22aの熱膨張が歪み副層22の塑性変形をもたらす温度まで加熱される。歪み副層22の塑性変形は、歪み副層22と第1の半導体副層21との間の界面に向かって転位の形成をもたらし得る。例えば、熱処理工程中に歪み副層22内に存在する圧縮応力が、歪み副層22の塑性変形をもたらし得る。塑性変形は、c面を横断する方向ではなく、実質的に歪み副層22のc面全体にわたって不整合転位が伝播する(すなわち、ミスフィット転位がc面内で漸変する)ことによって生じる。歪み副層22全体にわたる転位の伝播は、歪み副層22内の歪みの少なくとも一部分を緩和し、結果、歪み緩和副層22aが形成される。したがって、歪み緩和副層22bは、貫通転位ではなくミスフィット転位の伝播によって形成され得る。結果として、熱処理工程は、転位が伝搬する狭帯域の上方のメサ構造の領域において(すなわち、第1の半導体副層21と歪み緩和副層22aとの間の界面の上方のメサ構造の領域において)歪みを低減することができる。したがって、歪み緩和表面23を含む転位の帯域の上方の領域は、熱処理工程の前の表面に対して歪みが低減され得る。歪み緩和表面23の歪みの低減は、歪み緩和表面23の面内格子定数を増加させ得る。メサ構造の存在下でのミスフィット転位の伝播のさらなる議論は、少なくともMei他「Basal-plane slip in InGaN/GaN heterostructures in the presence of threading dislocations」(Applied Physics Letters,vol.90,2007)、およびFloro J.A.他「Misfit dislocation formation in the AlGaN / GaN heterointerface」(Journal of Applied Physics,Vol.96,2004)に見出すことができる。
【0069】
熱処理工程は、材料をアニーリングするための任意の適切な方法によって提供されてもよい。例えば、熱処理工程は、基板10上の歪み緩和副層21を室温から第1の熱処理温度まで加熱することによって行うことができる。歪み緩和副層21は、第1の時間にわたって第1の熱処理温度に保持することができる。次いで、歪み緩和副層21を冷却して室温に戻すことができる。熱処理工程は、空気中で、例えばホットプレート上で、またはオーブン中で実施することができる。熱処理工程はまた、制御雰囲気下で実施することもできる。制御雰囲気では、酸素および水などの大気化合物は、大幅に低減または完全に排除され得る。例えば、制御雰囲気は、NH3、AgまたはN2雰囲気であってもよい。いくつかの実施形態では、熱処理工程は、N2およびNH3を備える制御雰囲気下で実施することができる。制御雰囲気下で熱処理工程を実施することにより、熱処理工程中に歪み副層22の表面上で発生する任意の望ましくない化学反応を低減または排除することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、熱処理工程は、歪み副層22を少なくとも500°Cの第1の熱処理温度まで加熱することができる。いくつかの実施形態では、第1の熱処理温度は、少なくとも800°C、950°C、1000°C、または1050°Cであってもよい。第1の期間は、少なくとも5分であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも10分、20分、30分、または1時間であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、熱処理工程は、歪み緩和副層を800°Cに加熱し、歪み緩和副層をこの温度で1時間にわたって保持し、続いて室温に冷却することを備えてもよい。より高い第1の熱処理温度では、第1の期間を短縮することができる(例えば、1050°Cの熱処理温度については5分間の第1の期間)。
【0071】
重要なことに、歪み緩和副層22aが、その厚さを介して漸変するか、または可変の含有量を備える場合、熱処理工程は、より低い熱処理温度で、より低い格子不整合を有する歪み緩和副層の領域よりも高い格子不整合を有する歪み緩和副層の領域を通じて転位を伝播させることができる。したがって、漸変するかまたは可変の組成を有する歪み緩和副層22aを提供することによって、歪み緩和副層22aを通る転位の伝播は、歪み緩和副層22の特定の領域または帯域内で発生するようにさらに促進され得る。この効果の例は、
図5に関連して下記により詳細に説明される。
【0072】
いくつかの実施形態では、熱処理工程は、第1の半導体層20の形成後にin situで実行されてもよい。他の実施形態では、熱処理工程は、メサ構造24の形成後に行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、熱処理工程は、第2の半導体層30の堆積の前にin situで実行されてもよい。
【0073】
次に、第1の半導体層20の成長表面25上にモノリシックLED構造を形成することができる。モノリシックLED構造は、メサ表面27およびバルク半導体層表面26を覆う。モノリシックLED構造は複数の層を備え、各層はIII族窒化物を備える。いくつかの実施形態では、III族窒化物は、AlInGaN、AlGaN、InGaNおよびGaNのうちの1つ以上を備える。
【0074】
モノリシックLED構造は、単一部品として形成されたLED構造の提供を参照する。すなわち、モノリシックLED構造は、第1の半導体層上に単一部品として形成される。
【0075】
本開示の一実施形態では、
図3に示すように、第2の半導体層30を第1の半導体層20上に堆積させることができる。第2の半導体層30は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側で、第1の半導体層20上に形成される。したがって、第2の半導体層30は、モノリシックLED構造の複数の層のうちの第1の層を形成する。
【0076】
第2の半導体層30は、III族窒化物を成長させるための任意の適切な成長方法によって成長表面25上に形成されてもよい。
図2の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面25の上にモノリシックに形成される(すなわち、過成長方法)。第2の半導体層30は、成長表面25の実質的に全体を覆う連続層として形成されてもよい。第2の半導体層30は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0077】
第2の半導体層30はIII族窒化物を備える。
図3において、第2の半導体層30はGaNを備える。第2の半導体層は、n型ドープされていてもよい。GaNは、適切なドーパント、例えばSiまたはGeを使用してn型ドープされてもよい。
図3において、第2の半導体層30は意図的にドープされていない。したがって、第2の半導体層30は、(実質的に)ドープされていない層であってもよい。実質的にドープされないことにより、III族窒化物層は、有意な量のドーパント元素を含まないが、製造プロセスの結果としていくらかの不純物が存在し得ることが理解される。したがって、実質的にドープされていないIII族窒化物は、意図的にドープされなくてもよい。ドープされていない半導体から第2の半導体層30を形成することにより、LEDを通る電荷担体の流れをメサ構造24内により効率的に閉じ込めることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の半導体層30は、InYGa1-YNを備えてもよく、0<Y≦1である。例えば、いくつかの実施形態では、第2の半導体層30は、InYGa1-YNを備え、0<Y≦0.15である。いくつかの実施形態では、第2の半導体層30は、n型ドーパントを備えてもよい(すなわち、第2の半導体層はn型ドープされてもよい)。第2の半導体層30にInを含有させることによって、GaNの面内格子定数に対して第2の半導体層30の面内格子定数を大きくすることができる。このような増加は、第2の半導体層30と活性層40との間の格子不整合を低減することができる。例えば、活性層40が少なくとも620nmの波長を有する光を出力するように構成されるいくつかの実施形態では、第2の半導体層30はInYGa1-YNを備えてもよく、0.05≦Y≦0.15である。
【0079】
第1の半導体層20上に第2の半導体層30を成長させることにより、第2の半導体層30は、第1の半導体層20の結晶構造に対応する結晶構造を有することができる。特に、メサ表面27上に形成される第2の半導体層の第1の部分34は、メサ表面27を形成する歪み緩和表面23の面内格子定数の影響を受ける結晶構造を有することができる。例えば、第1の半導体層20のメサ表面27がIII族窒化物の(0001)面に配向している場合、第2の半導体層30も同様の結晶方位で成長することができる。
【0080】
図3の実施形態では、第2の半導体層30は、成長表面25上に形成されて、第1の半導体層のメサ表面27上の第2の半導体層の第1の部分34と、第1の半導体層のバルク半導体表面26上の第2の半導体層の第2の部分36との間に延在する傾斜した側壁部分38を提供する。したがって、第2の半導体層30を第1の半導体層20のメサ構造24上に過成長させて、第2の半導体層のメサ表面37を備え、傾斜した側壁部分38によって囲まれたIII族窒化物半導体層を提供することができる。実効的に、第2の半導体層30は、基板に垂直な規則的な台形断面を有する柱を形成するためにメサ構造24上に過成長することができ、第2の半導体層のメサ表面37は台形断面の実質的に平坦な上面を形成する。第2の半導体層のメサ表面37は、層が上に形成される基板表面に平行な面に配向することができる。
【0081】
「規則的な台形断面」とは、柱が底部(バルク半導体表面26に向かう)よりも上面(メサ表面27を覆う)で狭く、傾斜した直線状の側面を有して、実質的に平坦な上面を有することを意味する。これは、円錐台形状、またはより大きい可能性として、3つ以上の側面、典型的には6つの側面を有する切頭角錐形状をもたらし得る。台形断面は、第1の半導体層のメサ構造24、第2の半導体層の第1の部分34、およびメサ構造24の上に成長した第2の半導体層38の傾斜した側壁部分(複数可)から形成される。したがって、規則的な台形断面が、第2の半導体層の連続した平坦な第2の部分36の上方に延在する。柱の台形断面の先細の側面が、本明細書においては傾斜した側壁部分38として参照される。
【0082】
いくつかの実施形態では、柱の傾斜した側壁部分38は、第1の半導体層に平行な面に対して実質的に一定の角度(α)を有する。すなわち、柱の側面と第1の半導体に平行な面との間の角度は大きく変化しない。例えば、角度αは50°~70°であり、より好ましくは58°~64°であり、最も好ましくは約62°である。
【0083】
したがって、いくつかの実施形態では、柱の傾斜した側壁部分38は、第1の半導体層20の結晶構造の(0001)面に対して傾斜することができる。傾斜した側壁は、SAGによって生成される構造と同様に、一般に、ウルツ鉱型結晶の
【0084】
【0085】
に沿って配向され、c面(半極性面)と比較して低減した分極場を呈する。
いくつかの実施形態では、第2の半導体層30の柱は、切頭六角錐である。
【0086】
第2の半導体層30の形成後、モノリシックLED構造のさらなる層がその上に形成されてもよい。
図4は、モノリシックLED構造のさらなる層が
図3の中間構造上に形成されたLED前駆体の一例を示す。
【0087】
このとき、
図4に示すように、第2の半導体層30上に活性層40を形成することができる。活性層40は、モノリシックLED構造の一部分として第1の波長の光を生成するように構成されている。
【0088】
図4の実施形態では、活性層40は、1つ以上の量子井戸層(図示せず)を備えることができる。したがって、活性層40は多重量子井戸層であってもよい。活性層40内の量子井戸層は、III族窒化物半導体、好ましくはInを備えるIII族窒化物合金を備えることができる。例えば、
図2の実施形態では、活性層40は、GaNとIn
zGa
1-zNとが交互になった層を備えることができ、0<Z≦1である。特に、いくつかの実施形態では、活性層はIn
ZGa
1-ZN層を備えてもよく、0.2≦Z≦0.5である。したがって、いくつかの実施形態におけるLEDの活性層40は、少なくとも540nmの波長を有する光を出力するように構成されてもよい。量子井戸層の厚さおよびIn含有量は、活性層によって生成される光の波長を制御するために制御され得る。活性層40は、第2の半導体層30の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。活性層40は、III族窒化物薄膜を製造するための任意の適切なプロセス、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)または分子線エピタキシ(MBE)を使用して堆積されてもよい。
【0089】
活性層40は、歪み界面層(図示せず)を備えることができる。
第2の半導体層30上への活性層40の堆積は、メサ表面27上の第2の半導体層35の第1の部分上では比較的高い堆積速度で、かつ傾斜した側壁上では著しく低い堆積速度で行われ得る。この効果は、様々な表面の異なる結晶面配向から生じ、傾斜側壁35上よりもメサ表面27の上がより厚い活性層40をもたらす。この効果は、英国特許第1811190.6号明細書にさらに詳細に記載されている。
【0090】
次いで、モノリシックLED構造のさらなる層を、第2の半導体層30に対して活性層40の反対側で、活性層40上に堆積させることができる。
図4は、第1の半導体層20の成長表面25上に形成されているモノリシックLED構造を形成する複数の層の例を示す。モノリシックLED構造の複数の層は、各々、連続層として形成されてもよい。
【0091】
図4の実施形態では、活性層40上に電子ブロック層50が設けられている。電子ブロック層50は、第2の半導体層30が設けられた活性層40の側面とは反対側で、活性層40の側面上に設けられている。電子ブロック層50はIII族窒化物を備える。電子ブロック層50は、活性層40の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。電子ブロック層50は、活性層30からモノリシックLED構造のp型半導体層60への電子の流れを低減するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、電子ブロック層50はAl
wGa
1-wNを備えてもよく、0<w≦1である。適切な電子ブロック層50のさらなる詳細は、少なくともAPPLIED PHYSICS LETTERS 103,061104(2013)に見出すことができる。
【0092】
図3に示すように、活性層40の上には、p型半導体層60が設けられている。p型半導体層60は、活性層40が設けられた電子ブロック層50の側面とは反対側で、電子ブロック層50の側面上に設けられている。p型半導体層60はIII族窒化物を備える。p型半導体層60は、適切な電子受容体、例えばMgでドープされる。p型半導体層60は、活性層40(または存在する場合は電子ブロック層50)の露出表面の相当部分(例えば、すべて)を覆う連続層として形成されてもよい。
【0093】
したがって、p型半導体層60は、メサ構造24と実質的に位置合わせされた第1の部分64を備えてもよい。すなわち、p型半導体層の第1の部分67の表面は、メサ表面27の上に設けられている(すなわち、それぞれの表面27、67の中心が位置合わせされている)p型半導体層60はまた、メサ表面24から離れたバルク半導体表面26の少なくとも一部分を覆う第2の部分66を備える。したがって、モノリシックLED構造は、一般に、メサ表面27の上に設けられた第1の部分と、メサ表面27から離れたバルク半導体表面26の少なくとも一部分を覆う第2の部分とを有すると考えられ得る。
【0094】
図5は、本開示によるLED前駆体1の一実施形態を示す。
図4の実施形態と同様に、LED前駆体は、第1の半導体層20と、第2の半導体層30と、活性層40と、電子ブロック層50と、p型半導体層60とを備える。したがって、これらの層は、上述の方法に従って形成することができる。
【0095】
第1の半導体層20は、第1の半導体副層21および歪み緩和副層22aを備える。
図5に示すように、歪み緩和副層22aは複数の層を備える。上記の説明から、
図5の歪み緩和副層22aは、熱処理工程後に交互になった第1の歪み層および第2の歪み層を備える歪み副層22から形成されてもよいことが理解されよう。
【0096】
図5の歪み緩和副層22aは、複数の第1の歪み層101を備える。第1の歪み層101および第2の歪み層102は互いの上に交互になって配置されている。このように、第1の歪み層101および第2の歪み層102の各々は、互いの上に連続層として形成される。
【0097】
図5の実施形態では、第1の歪み層はGaNを備え(すなわち、第3の格子定数は、第1の格子定数に等しくてもよい)、第2の歪み層102はIn
XGa
1-XNを備え、0<X≦1、0<X≦0.5、または0.1≦X≦0.4である。歪み緩和表面は、第1の歪み層101または第2の歪み層102によって提供することができる。
図5の実施形態では、歪み緩和表面23は、第1の歪み層101によって提供される。
【0098】
図5の実施形態では、第2の歪み層102の組成は、歪み緩和副層22aの厚さ全体にわたって変化する。
図5の実施形態では、第2の歪み層の第1のセット104は第1の組成を与えられ、第2の歪み層の第2のセット106は第2の組成を与えられる。第1の組成および第2の組成は、第2の歪み層の第2のセット106の面内格子定数が第2の歪み層の第1のセット104の面内格子定数よりも低くなるように与えることができる。例えば、
図5の実施形態では、第2の歪み層の第1のセット104はIn
X3 Ga
1-X3 Nを備え、0.1≦X3≦0.4であり、第2の歪み層の第2のセット106はIn
X3Ga
1-X3Nを備え、0<X3≦0.15である。したがって、
図5の実施形態は、上述のように、漸変する組成を有する歪み緩和副層22a(歪み副層22から形成される)の例を提供することが理解されよう。
【0099】
したがって、第2の歪み層の第1のセット104は、第2の歪み層の第2のセット106が設けられたメサ構造24の領域よりも局所的に歪みが高いメサ構造24の領域を設けることができる。その結果、第2の歪み層の第1のセット104が位置するメサ構造の領域において、ミスフィット転位の形成が促進され得る。
図4に示すように、第2の歪み層の第1のセットは、第1の半導体副層21に向かって、歪み緩和表面23から離れて設けられる。したがって、転位(
図5に破線Dで示す)は、モノリシックLED構造から離れたメサ構造の領域内を伝播することができる。
【0100】
LEDのメサ表面27の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、本開示による方法は、メサ表面27を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を形成することができ、ポテンシャル障壁は、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分64を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面の上部接触表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0101】
そのようなポテンシャル障壁を形成するための1つの方法が
図3および
図4に概略的に示されている。
図6および
図7の実施形態は、
図4に示すデバイスの製造後のさらなる処理ステップを示す。
【0102】
図6において、電子ブロック層50に対してp型半導体層60の反対側で、p型半導体層60の表面上にマスク層70が形成される。
【0103】
マスク層70は、p型半導体層60上に選択的に設けられてもよい。マスク層70は、1つ以上の開口を画定するように設けることができる。開口は、選択的に除去されるべきp型半導体層60の領域を露出させるように構成することができる。例えば、開口は、メサ構造を覆うp型半導体層の第1の部分64を囲むp型半導体層の第3の部分61を画定することができる。次いで、ポテンシャル障壁を提供するために、p型半導体層の第3の部分61を、例えばエッチングによって選択的に除去することができる。例えば、
図6の実施形態では、p型半導体層の第3の部分61は、p型半導体層60の傾斜した側壁部分である。
【0104】
図6および
図7の実施形態では、異方性エッチャントを使用して、p型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することができる。異方性エッチャント、例えばKOHは、基板と平行に配向した平面(例えば、(0001)結晶面と配向した表面)よりも速い速度でIII族窒化物の傾斜した側壁領域を優先的にエッチングすることができる。したがって、マスク層70は、p型半導体層60の傾斜した側壁領域に対応するp型半導体層の第1の部分67およびp型半導体層の第3の部分61の表面と配向して露出させる開口を画定するように設けることができる。次いで、異方性エッチャントは、所望の量の材料を除去するために、傾斜した側壁領域内のp型半導体層60を著しく高い速度で優先的にエッチングすることができる。
【0105】
図7は、p型半導体層の第3の部分61の選択的除去によるポテンシャル障壁の形成後に得られたLED前駆体の概略図を示す。
図7に示すように、p型半導体層60が、層の厚さを通じて選択的に除去されて、下の層(
図7の実施形態における電子ブロック層50)が露出される。したがって、選択的除去ステップは、p型半導体層の第1の部分64を取り囲むモノリシックLED構造内にチャネルを形成する。これにより、p型半導体層60において、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分67と、バルク半導体表面26を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が形成される。ポテンシャル障壁は、動作中にメサ構造24を覆う活性層40の部分内の電荷担体の閉じ込めを増加させるために設けられる。
【0106】
本開示による方法の他の実施形態では、選択的に除去されるチャネルの深さを変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、チャネルは、p型半導体層の第3の部分61の厚さを部分的にのみ通って延在してもよい。上記の側壁表面上のモノリシックLED構造の堆積速度の変化と組み合わせて、p型半導体層の第3の部分61の厚さを減少させることによって、p型半導体層の第3の部分61の残りの部分は、p型半導体層の第1の部分64と第2の部分66との間に大きい抵抗を呈することができ、それによってポテンシャル障壁が効果的に提供される。他の実施形態では、チャネルは、モノリシックLED構造の他の層のうちの1つ以上の厚さを通じて少なくとも部分的に延在してもよい。
【0107】
そのようなポテンシャル障壁を形成するためのさらなる方法が
図8および
図9に概略的に示されている。
【0108】
図8は、第1の半導体層20、第2の半導体層30および活性層40を備える中間構造を示す。
図8の構造は、少なくとも
図1~
図4に関連して上述した方法ステップによって形成することができる。
【0109】
図8の中間構造の形成に続いて、
図9に示すように、活性層40上にp型半導体層60が形成される。p型半導体層60は、第2の半導体層30に対して活性層40の反対側に形成される。いくつかの実施形態では、
図3に示すように、p型半導体層60と活性層40との間に電子ブロック層50を設けることができる。
【0110】
図9の実施形態において、p型半導体層60はAlを含むIII族窒化物を備える。p型半導体層60は、p型半導体層の側壁部分68とp型半導体層の第1の部分64との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分68に組み込まれるように形成することができる。p型半導体層側壁部分68との第1の部分64とのAl組成の差は、第1の部分64と側壁部分68との間のバンドギャップの変化が室温においてkTeVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0111】
例えば、p型半導体層の側壁部分68は、p型AlxGa1-xNを備えてもよく、2≦x≦50%であり、p型半導体層の第1の部分64は、p型AlyGa1-yNを備えてもよく、1≦y≦15%である。
【0112】
上述したように、第2の半導体層30の傾斜した側壁は、成長表面が傾斜した側壁であるか、または基板に実質的に平行であるかに応じて、III族窒化物の堆積速度の変動をもたらす。p型半導体層60の成長について、成長速度の差は、p型半導体層60へのAlの取り込みにも影響する。したがって、傾斜した側壁部分68は、同じ堆積プロセスを使用して第1の部分64よりも高いAl含有量を有して形成することができる。したがって、モノリシックLED構造のp型半導体層の第1の部分64に電流を閉じ込めるための所望のポテンシャル障壁は、さらなるパターニング工程なしで形成することができる。
【0113】
上述したように、複数の層を有するLED前駆体を提供することができる。
第1の半導体層20は、100nm~8μm、好ましくは3μm~5μmの厚さ(基板表面に垂直な方向の)を有してもよい。第1の半導体層20の部分を選択的に除去して、バルク半導体表面26に垂直な高さが少なくとも100nm、200nm、300nm、または500nmのメサ構造を画定することができる。メサ構造の高さは、4μm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、メサ構造は、1μm~2μmの高さを有してもよい。メサ構造の高さは、上記表面に垂直な方向におけるバルク半導体表面26とメサ表面27との間の距離であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、歪み副層22は、少なくとも100nmの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、歪み副層22は、メサ構造24の意図された高さにほぼ等しい厚さを有することができる。
【0115】
第2の半導体層30は、第1の半導体層20のメサ表面27上に少なくとも5nmの厚さを有してもよい。第2の半導体層30の厚さは4μm以下であってもよい。
【0116】
活性層30の実質的に平坦な第1の部分34は、30nm~150nm、いくつかの実施形態では40nm~60nmの厚さを有してもよい。
【0117】
電子ブロック層50の実質的に平坦な第1の部分44は、5nm~50nm、いくつかの実施形態では20nm~40nmの厚さを有してもよい。例えば、
図3の実施形態では、電子ブロック層は33nmの厚さを有してもよい。堆積速度の変動に起因して、上述したように、電子ブロック層50の側壁領域内の電子ブロック層50の厚さは、少なくとも0.5nmから約25nmまでの厚さを有することができる。例えば、
図3の実施形態では、電子ブロック層50は側壁領域において約7nmの厚さを有してもよい。
【0118】
p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、少なくとも50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmの厚さを有してもよい。p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、300nm、250nm、または200nm以下の厚さを有してもよい。例えば、
図3の実施形態では、p型半導体層60の実質的に平坦な第1の部分64は、約100nmの厚さを有してもよい。
【0119】
本開示の一実施形態によれば、発光ダイオード前駆体1が提供される。本開示によるLED前駆体1の一実施形態を
図4に示す。
図4のLED前駆体は、第1の半導体層20と、第2の半導体層30と、活性層40と、電子ブロック層50と、p型半導体層60とを備える。
【0120】
図4に示すように、第1の半導体層20は、基板10上に設けることができる。基板10は、サファイア、シリコンまたはSiCを備えることができる。基板10は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。無論、いくつかの実施形態では、LED前駆体1は、上述の方法に従って製造することができ、その後、基板10を除去することができる。いくつかの実施形態では、LED前駆体1は、バックプレーン電子基板(図示せず)に接合されてもよい。バックプレーン電子基板は、LED前駆体1を制御し接触させるように構成された電気回路および接点を備えることができる。いくつかの実施形態では、バックプレーン電子基板は、p型半導体層60に接合されてもよい。
【0121】
図4に示すように、第1の半導体層20は、バルク半導体表面26およびメサ表面27を含む成長表面25を画定するように第1の半導体層20の主面から延在するメサ構造24を含む。主面とは、第1の半導体層20の全表面積の相当部分を形成する第1の半導体層20の表面を意味すると理解される。例えば、
図4において、成長表面25を形成する主面は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側に設けられた、第1の半導体層20の表面である。
【0122】
メサ構造24は、第1の半導体層20のバルク半導体表面26から延在する柱であると考えることができる。メサ構造24は、例えば、上記の方法で説明したように、第1の半導体層20のバルク半導体表面26とモノリシックに形成される。メサ構造24は、任意の断面形状(すなわち、第1の半導体層20を平面視したときの柱の形状)を有する柱であってもよい。例えば、メサ構造24は、断面が正多角形の柱であってもよい。特に、メサ構造24は、楕円(または円)柱、角柱、または六角柱であってもよい。
図8aは、第1の半導体層20の複数のメサ構造24の一例を示し、各メサ構造24は円柱である。
【0123】
第1の半導体層20は、第1の半導体副層21および歪み緩和副層22aを備える。第1の半導体副層21および歪み緩和副層22aの形成および構造については、上記で詳細に説明しており、したがって、ここでは繰り返さない。
【0124】
図4の実施形態において、メサ構造24は、バルク半導体表面26およびメサ表面27に対して実質的に垂直な側壁を有して示されている。他の実施形態では、メサ構造24は、傾斜した側壁を有して形成されてもよい。
【0125】
図4に示すように、モノリシックLED構造は、モノリシックLED構造がメサ表面27およびバルク半導体表面26を覆うように、第1の半導体層20の成長表面25上に設けられる。
【0126】
上述のように、モノリシックLED構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックLED構造は、第2の半導体層30と、活性層40と、p型半導体層60とを備える。いくつかの実施形態では、モノリシックLED構造はまた、電子ブロック層50も備えることができる。
【0127】
上述したように、第2の半導体層30は、成長表面25上に設けられて、第1の半導体層のメサ表面27上の第2の半導体層の第1の部分34と、第1の半導体層20のバルク半導体表面26上の第2の半導体層の第2の部分36との間に延在する傾斜した側壁38を提供する。したがって、第2の半導体層30が第1の半導体層20のメサ構造24上に過成長されて、第1の部分34を備え、傾斜した側壁33によって囲まれたIII族窒化物半導体層が提供される。したがって、第2の半導体層30は、基板に垂直な規則的な台形断面を有する柱を形成するためにメサ構造24上に過成長することができ、第2の半導体層の第1の部分35の表面は実質的に平坦である。第1の部分35の実質的に平坦な表面は、各層が形成される基板表面と平行な面内にあってもよい。
【0128】
活性層40、電子ブロック層50(存在する場合)、およびp型半導体層60は、モノリシックLED構造を形成するために、上述の方法に従って第2の半導体層30上に設けられてもよい。そのようなモノリシックLED構造の例は、少なくとも
図5、
図6、
図7、および
図9に見ることもできる。
【0129】
LEDのメサ表面27の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、本開示によるLED前駆体は、メサ表面27を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を備えることができ、ポテンシャル障壁は、メサ表面2を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0130】
図7および
図9に示すように、モノリシックLED構造は、メサ表面64を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が設けられるように形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分64を囲む。
図7および
図9の実施形態におけるポテンシャル障壁の形成は上記で詳細に説明されており、したがって、ここでは繰り返さない。
【0131】
したがって、本開示の一実施形態によるLED前駆体を提供することができる。
本開示の別の実施形態によれば、LEDアレイ前駆体を形成する方法を提供することができる。
【0132】
この方法によれば、III族窒化物を備える第1の半導体層20が基板10上に形成される。第1の半導体層は、基板10に対して第1の半導体層20の反対側に、成長表面25を有する。したがって、第1の半導体層20は、
図1~
図9の実施形態について上述したのと実質的に同じ方法で形成することができる。
【0133】
次に、第1の半導体層20の成長表面25が複数のメサ表面27およびバルク半導体層表面26を備えるように、第1の半導体層20の部分が選択的に除去されて複数のメサ構造24が形成される。したがって、本方法のこのステップは、LED前駆体を形成する方法の対応するステップと実質的に同じであり、複数のメサ構造24が形成される。
【0134】
複数のメサ構造24は、第1の半導体層20の基板成長表面25の全体にわたって規則的に離間していてもよい。例えば、メサ構造は、メサ構造24の六方最密充填アレイまたは正方形充填アレイで提供されてもよい。
図10aは、本開示による第1の半導体層20と同様の複数のメサ構造を含む典型的な層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。第1の半導体層20の一部分として、複数のメサ構造24を設けることができることが、
図10aから諒解されよう。メサ構造24の各々は、円柱形状(円形断面)の柱であり得る。
図8bは、
図10aに示すメサ構造24のうちの1つの拡大図を示す。
【0135】
次いで、モノリシックLEDアレイ構造が第1の半導体層20の成長表面25上に形成され、結果、モノリシックLEDアレイ構造の第1の部分がそれぞれのメサ表面27を覆い、モノリシックLEDアレイ構造の第2の部分がバルク半導体表面26を覆う。モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックアレイ構造は、第2の半導体層30と、第2の半導体層30上に設けられた活性層40と、活性層40上に設けられたp型半導体層60とを含むことができる。いくつかの実施形態では、モノリシックLEDアレイ構造はまた、活性層40と第2の半導体層60との間に設けられた電子ブロック層50も備えてもよい。
【0136】
モノリシックLEDアレイ構造は、単一部品として形成されたLEDアレイ構造の提供を参照する。すなわち、モノリシックLEDアレイ構造は、第1の半導体層上に単一部品として形成される。
【0137】
モノリシックLEDアレイ構造の層は、LED前駆体を形成する方法について上述したのと実質的に同じプロセスを使用して提供することができる。モノリシックLEDアレイ構造/モノリシックLED構造を形成するための実質的に同じプロセスを、製造されているLEDの数または形状にかかわらず使用することができることが理解されよう。したがって、本開示の過成長方法は、製造プロセスの相当部分がLEDアレイの幾何学的形状とは無関係であるLEDアレイ前駆体の形成方法を提供する。
【0138】
図10cおよび
図10dは、過成長モノリシックLEDアレイ構造を有する複数のメサ構造のSEM画像を示す。モノリシックLEDアレイ構造は、
図10aに示すものと同様の複数のメサ構造上に形成されている。
図10a~
図10dでは、メサ構造は正方形充填アレイパターンで形成されている。
図11は、過成長モノリシックLEDアレイ構造を有するメサ構造のさらなるアレイのSEM画像を示す。
図11において、メサ構造は、図示されているアレイ構造を提供するために、六方最密充填アレイパターンで構成されている。
【0139】
メサ表面27を覆うp型半導体層の各第1の部分64と、バルク半導体表面26を覆うp型半導体層のバルク部分66との間にポテンシャル障壁を設けることができる。ポテンシャル障壁は、それぞれのメサ表面27を覆うp型半導体層の各第1の部分64を取り囲む。
【0140】
各LEDの各メサ表面27の上の活性層40内の電荷担体閉じ込めを改善するために、各LED内で、メサ表面27を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁が形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面の上部接触表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0141】
LEDアレイの各モノリシックLED構造のポテンシャル障壁は、いくつかの方法で形成することができる。例えば、各モノリシックLED構造のポテンシャル障壁は、実質的に
図7を参照して上述したように、または実質的に
図9を参照して上述したように形成することができる。
【0142】
図7に示す構造と同様に、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の各第1の部分64を取り囲むp型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することによって形成することができる。
図7に示すように、p型半導体層60が、層の厚さを通じて選択的に除去されて、下の層(
図7の構造における電子ブロック層50)が露出される。
【0143】
図9の構造と同様に、ポテンシャル障壁は、Alを含むIII族窒化物を備えるp型半導体層60を提供することによって形成されてもよい。p型半導体層60は、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分64との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層の側壁部分63に組み込まれるように提供される。p型半導体層の側壁部分63との第1の部分64とのAl組成の差は、バンドギャップの変化が室温においてkTeVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0144】
したがって、LEDアレイ前駆体を形成する方法が提供される。
本開示のさらなる実施形態によれば、LEDアレイ前駆体が提供される。
【0145】
発光ダイオードアレイ前駆体は、第1の半導体層20と、モノリシックLEDアレイ構造とを備える。
【0146】
第1の半導体層20はIII族窒化物を備える。
図4に示すように、第1の半導体層20は、基板10上に設けることができる。基板10は、サファイア、シリコンまたはSiCを備えることができる。基板10は、III族窒化物層の形成に適した基板表面を提供するように構成された1つ以上のバッファ層を備えることができる。無論、いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体は、上述の方法に従って製造することができ、その後、基板10を除去することができる。いくつかの実施形態では、LEDアレイ前駆体は、バックプレーン電子基板に接合されてもよい。バックプレーン電子基板は、LEDアレイ前駆体のLEDを制御し接触させるように構成された電気回路および接点を備えることができる。いくつかの実施形態では、バックプレーン電子基板は、p型半導体層60に接合されてもよい。したがって、第1の半導体層20は、実質的に上で概説した方法に従って提供することができる。
【0147】
図4、
図5、
図7および
図9に示す実施形態と同様に、第1の半導体層20は、バルク半導体表面26およびメサ表面27を含む成長表面25を画定するように第1の半導体層の主面から延在する複数のメサ構造24を含む。上述のように、複数のメサ構造24を備える第1の半導体層の一例を
図8aに示す。
【0148】
図4、
図5、
図7および
図9に示す実施形態と同様に、モノリシックLEDアレイ構造は、モノリシックLEDアレイ構造がメサ表面27およびバルク半導体表面26を覆うように、第1の半導体層20の成長表面25上に設けられる。
【0149】
上述のように、モノリシックLEDアレイ構造は複数の層を備える。各層は、III族窒化物から形成される。モノリシックLEDアレイ構造は、第2の半導体層30と、活性層40と、電子ブロック層50と、p型半導体層60とを備えることができる。モノリシックLEDアレイ構造の層の各々は、連続層として形成されてもよい。したがって、モノリシックLEDアレイ構造の層の各々は、上述したモノリシックLED構造と同様の方法で提供することができる。
【0150】
LEDアレイ前駆体の各メサ表面27の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、アレイの各LED前駆体は、それぞれのメサ表面27を覆う各モノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆う各モノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を備え、ポテンシャル障壁は、それぞれのメサ表面27を覆う各p型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の各実質的に平坦な表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【0151】
図7および
図9を参照すると、各モノリシックLEDアレイ構造は、メサ表面64を覆うp型半導体層の第1の部分と、バルク半導体表面を覆うp型半導体層の第2の部分66との間にポテンシャル障壁が設けられるように形成され、ポテンシャル障壁は、メサ表面65を覆うp型半導体層の第1の部分を囲む。
【0152】
図7および上記の説明を参照すると、ポテンシャル障壁は、メサ表面を覆うp型半導体層の第1の部分67を取り囲むp型半導体層の第3の部分61を選択的に除去することによって形成することができる。
図5に示すように、p型半導体層60を、層の厚さを通じて選択的に除去して、下の層(
図5の実施形態における電子ブロック層50)が露出させることができる。
【0153】
図9を参照すると、ポテンシャル障壁は、Alを含むIII族窒化物を備えるp型半導体層60を提供することによって形成されてもよい。p型半導体層60は、LEDアレイ前駆体内の各LED前駆体について、p型半導体層の側壁部分63とp型半導体層の第1の部分67との間にポテンシャル障壁が提供されるように、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分64よりも高濃度のAlがp型半導体層60の側壁部分63に組み込まれるように提供される。p型半導体層の側壁部分68との第1の部分64とのAl組成の差は、バンドギャップの変化が室温においてkTeVより大きく(すなわち、約0.26eVより大きく)なるようなものとすることができる。
【0154】
例えば、p型半導体層の側壁部分68は、p型AlxGa1-xNを備えてもよく、2≦x≦50%であり、p型半導体層のメサ表面部分65は、p型AlyGa1-yNを備えてもよく、1≦y≦15%である。
【0155】
上述したように、第2の半導体層30の傾斜した側壁は、成長表面が傾斜した側壁であるか、または基板に実質的に平行であるかに応じて、III族窒化物の堆積速度の変動をもたらす。p型半導体層60の成長について、成長速度の差は、p型半導体層60へのAlの取り込みにも影響する。したがって、傾斜した側壁部分68は、同じ堆積プロセスを使用してp型半導体層の第1の部分64よりも高いAl含有量を有して形成することができる。したがって、モノリシックLED構造のメサ表面部分に電流を閉じ込めるための所望のポテンシャル障壁は、さらなるパターニング工程なしで形成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
前記基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成すること、および
前記基板に対して前記第1の半導体副層の反対側で前記第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成することであって、前記歪み副層は、前記歪み副層と前記第1の半導体副層との間の界面において、前記界面における前記歪み副層の面内格子定数が前記第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、歪み副層を形成すること
を備える、第1の半導体層を形成するステップと、
(b)前記第1の半導体層がバルク半導体層表面から延在するメサ構造を画定するように、前記第1の半導体層の前記バルク半導体層表面を露出させるために前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)前記歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、前記歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、前記メサ構造は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する前記歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、加熱するステップと、
(d)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、前記モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
前記メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分、および
前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分
を有する、モノリシックLED構造を形成するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップは、前記バルク半導体層表面が前記第1の半導体副層内に形成されるように、前記歪み副層の一部分を、前記歪み副層の厚さおよび前記第1の半導体副層の対応する部分を通じて除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記歪み副層はIn
XGa
1-XNを備え、0<X≦1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歪み副層は、GaNを備える第1の歪み層とIn
XGa
1-XNを備える第2の歪み層とが交互になっている複数の層を備え、0<X≦1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記歪み副層のIn含有量(X)は、前記第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記モノリシックLED構造は、
前記第1の半導体層の前記メサ表面および前記バルク半導体層表面の上に設けられた第2の半導体層と、
前記第2の半導体層上に設けられた複数のIII族窒化物層を備える活性層と、
前記活性層上に形成されたIII族窒化物を備えるp型半導体層と
を備える
、請求項1
~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の半導体層は、GaNまたはIn
YGa
1-YNを備え、0<Y≦1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記活性層が、少なくとも500nmの波長を有する光を出力するように構成されている、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記活性層が、少なくとも前記第2の面内格子定数に等しい第3の面内格子定数を有するIn
ZGa
1-ZNを備える少なくとも1つの量子井戸層を備え、0<Z≦1である、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の第1の部分と、前記バルク半導体表面を覆う前記p型半導体層の第2の部分との間にポテンシャル障壁が設けられており、前記ポテンシャル障壁は、前記メサ表面を覆う前記p型半導体層の前記第1の部分を囲む、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記歪み緩和温度が少なくとも800°Cである
、請求項
1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)前駆体であって、
III族窒化物を備える第1の半導体層であって、前記第1の半導体層は、バルク半導体表面およびメサ表面を含む成長表面を画定するように前記第1の半導体層の主面から延在するメサ構造を含み、前記第1の半導体層は、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層、および
前記第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備える歪み緩和副層であって、前記歪み緩和副層は、前記メサ構造の前記メサ表面を提供し、前記メサ表面は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する、歪み緩和副層
を備える、第1の半導体層と、
前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLED構造であって、前記モノリシックLED構造は、複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
前記メサ表面の上に設けられた第1のモノリシックLED構造部分と、
前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する第2のモノリシックLED構造部分と
を有する、モノリシックLED構造と
を備える、発光ダイオード(LED)前駆体。
【請求項13】
LEDアレイ前駆体を形成する方法であって、
(a)基板上に第1の半導体層を形成するステップであって、
基板の表面上に第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層を形成するステップ、および
前記基板に対して前記第1の半導体副層の反対側の前記第1の半導体副層上にIII族窒化物を備える歪み副層を形成するステップであって、前記歪み副層と前記第1の半導体副層との間の界面における前記歪み副層は、前記界面における前記歪み副層の面内格子定数が前記第1の面内格子定数であるように圧縮歪み下にある、ステップと、
(b)前記第1の半導体層がバルク半導体層表面からそれぞれ延在する複数のメサ構造を画定するように、前記第1の半導体層の前記バルク半導体層表面を露出させるために前記第1の半導体層の一部分を選択的に除去するステップと、
(c)前記歪み副層を歪み緩和温度まで加熱するステップであって、前記歪み副層は塑性変形によって緩和して歪み緩和副層を形成し、各メサ構造は、第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する前記歪み緩和副層の一部分から形成されたメサ表面を有する、ステップと、
(d)前記メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように前記第1の半導体層上にモノリシックLED構造を形成するステップであって、前記モノリシックLED構造は複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
複数の第1のモノリシックLED構造部分であって、各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられる、複数の第1のモノリシックLED構造部分、および
複数の第2のモノリシックLED構造部分であって、各々が前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれの前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する、複数の第2のモノリシックLED構造部分と、を有する、ステップと、を備える方法。
【請求項14】
LEDアレイ前駆体であって、
複数のメサ構造を含む第1の半導体層であって、各メサ構造は、バルク半導体表面および複数のメサ表面を含む成長表面を画定するように前記第1の半導体層の主面から延在し、前記第1の半導体層は、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物を備える第1の半導体副層、および
前記第1の半導体副層全体にわたって設けられたIII族窒化物を備える歪み緩和副層であって、前記歪み緩和副層は、各メサ構造の前記メサ表面を提供し、前記メサ表面は、前記第1の面内格子定数よりも大きい第2の面内格子定数を有する、歪み緩和副層
を備える、第1の半導体層と、
各メサ表面および前記バルク半導体表面を覆うように、前記第1の半導体層の前記成長表面上に設けられたモノリシックLED構造であって、前記モノリシックLED構造は、複数のIII族窒化物層を備え、前記モノリシックLED構造は、
各々がそれぞれのメサ表面の上に設けられている複数の第1のモノリシックLED構造部分と、
各々が前記第1のモノリシックLED構造部分を取り囲み、それぞれの前記メサ表面に対して傾斜した側壁表面を有する複数の第2のモノリシックLED構造部分と
を有する、モノリシックLED構造と
を備える、LEDアレイ前駆体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
いくつかの実施形態では、歪み副層のIn含有量(X)は、厚さ方向に変化する(例えば、増加または減少する)。例えば、いくつかの実施形態では、歪み副層のIn含有量(X)は、厚さ方向に変化し、第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する。例えば、いくつかの実施形態では、歪み副層はInXGa1-XNの単一層であってもよく、組成(すなわち、In含有量X)は厚さ方向において漸変する。いくつかの実施形態では、歪み副層が、第1の歪み層と第2の歪み層とが交互になっている複数の層を備える場合、第2の歪み層の各々のIn含有量は異なっていてもよい(すなわち、第1の半導体副層から離れる厚さ方向に減少する)。第1の半導体層に向かってより高いIn含有量を有する歪み副層を提供することによって、歪み緩和副層を形成するときのミスフィット転位の形成が、歪み緩和表面から離れた領域で促進され得る。すなわち、最大の格子不整合が第1の半導体層の成長表面から離れて提供され、それによって、LED前駆体の電気的特性に対する格子不整合(転位)の影響が低減される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
図5の実施形態では、第2の歪み層102の組成は、歪み緩和副層22aの厚さ全体にわたって変化する。
図5の実施形態では、第2の歪み層の第1のセット104は第1の組成を与えられ、第2の歪み層の第2のセット106は第2の組成を与えられる。第1の組成および第2の組成は、第2の歪み層の第2のセット106の面内格子定数が第2の歪み層の第1のセット104の面内格子定数よりも低くなるように与えることができる。例えば、
図5の実施形態では、第2の歪み層の第1のセット104はIn
X3 Ga
1-X3 Nを備え、0.1≦X3≦0.4であり、第2の歪み層の第2のセット106はIn
X4
Ga
1-X4
Nを備え、0<X
4≦0.15である。したがって、
図5の実施形態は、上述のように、漸変する組成を有する歪み緩和副層22a(歪み副層22から形成される)の例を提供することが理解されよう。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
LEDのメサ表面27の上の活性層内の電荷担体閉じ込めを改善するために、本開示によるLED前駆体は、メサ表面27を覆うモノリシックLED構造の第1の部分とバルク半導体表面26を覆うモノリシックLED構造の第2の部分との間にポテンシャル障壁を備えることができ、ポテンシャル障壁は、メサ表面27を覆うp型半導体層の第1の部分を取り囲む。すなわち、本開示による方法は、規則的な台形形状の実質的に平坦な表面とバルク半導体表面26の上に形成された層との間にポテンシャル障壁を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
複数のメサ構造24は、第1の半導体層20の基板成長表面25の全体にわたって規則的に離間していてもよい。例えば、メサ構造は、メサ構造24の六方最密充填アレイまたは正方形充填アレイで提供されてもよい。
図10aは、本開示による第1の半導体層20と同様の複数のメサ構造を含む典型的な層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。第1の半導体層20の一部分として、複数のメサ構造24を設けることができることが、
図10aから諒解されよう。メサ構造24の各々は、円柱形状(円形断面)の柱であり得る。図
10bは、
図10aに示すメサ構造24のうちの1つの拡大図を示す。
【国際調査報告】