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特表2022-547672車両のセンサを洗浄するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】車両のセンサを洗浄するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
B60S1/62 100
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514747
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2020073511
(87)【国際公開番号】W WO2021047892
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019124099.9
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ツェラーホフ・マルク
(72)【発明者】
【氏名】ピンゼル・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】パロリーニ・ルカ
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AC02
3D225AC04
3D225AD22
(57)【要約】
本開示は、車両のセンサを洗浄するシステムであって、車両の多数のセンサを洗浄するように構成されている少なくとも一つの洗浄装置と、少なくとも一つの洗浄装置を制御するように構成されている制御装置とを有し、制御装置はさらに、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて、多数のセンサから洗浄すべき幾つかのセンサを選択し、選択された幾つかのセンサをどの順番で洗浄すべきかを決定するように構成されているシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のセンサ(10)を洗浄するシステム(100)であって、
車両(1)の多数のセンサ(10)を洗浄するように構成されている少なくとも一つの洗浄装置(110)と、
少なくとも一つの洗浄装置(110)を制御するように構成されている制御装置(120)とを有し、
制御装置(120)はさらに、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて、多数のセンサ(10)から洗浄すべき幾つかのセンサを選択し、選択された幾つかのセンサをどの順番で洗浄すべきかを決定するように構成されている
システム。
【請求項2】
制御装置(120)はさらに、多数のセンサ(10)からの幾つかのセンサの選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番とを車両(1)の走行中に動的に更新するように構成されている
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
制御装置(120)はさらに、多数のセンサ(10)からの幾つかのセンサの選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定とを走行方針に基づいて実行するように構成されている
請求項1または2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
制御装置(120)はさらに、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定を、幾つかのセンサの、走行方針に関する優先度に基づいて実行するように構成されている
請求項3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
少なくとも一つの状況パラメータは、走行状態と、車両状態と、多数のセンサ(10)の汚れの程度と、車両(1)の周辺状況とからなる一群の中から選択されている
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項6】
走行状態は、車両(1)の位置と、車両(1)の速度と、交通状況と、走行ルートとからなる一群の中から選択されているか、或いは、
車両状態は、洗剤の蓄えと、少なくとも一つの洗浄装置の利用可能性と、車両(1)のエネルギー消費とからなる一群の中から選択されているか、或いは、
車両(1)の周辺状況は、気象条件と、外気温とからなる一群の中から選択されているかの少なくともいずれかである
請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(100)を有する車両(1)、特に自動車。
【請求項8】
自動運転のための運転支援システム(200)をさらに有し、運転支援システム(200)は、多数のセンサ(10)の少なくとも幾つかを使用する請求項7に記載の車両(1)。
【請求項9】
少なくとも一つの状況パラメータに基づいて洗浄すべき多数のセンサを選択(310)すること、
選択された幾つかのセンサをどの順番で洗浄すべきかを決定(320)すること、
その幾つかのセンサを決定された順番で洗浄(330)すること
を含む車両のセンサを洗浄する方法(300)。
【請求項10】
一つまたは複数のプロセッサ上で実行されることにより請求項9に記載の方法(300)を実施するように構成されているソフトウェアプログラムを含む記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のセンサを洗浄するシステム、そのようなシステムを備えた車両および車両のセンサを洗浄する方法に関する。本開示は特に、センサの汚れ、例えば自動運転、特に自律走行の際に使用されるカメラの視野などにおける汚れの効果的な除去に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の車両は、例えばLiDAR(ライダー)システム、レーダシステム、カメラおよび超音波システムなどの多数の異なるセンサシステムを有している。この種のセンサシステムは、例えば、自動運転のための運転支援システムなど、多数の異なる用途に使用することができる。自動運転は、例えば高速道路での長時間の運転または駐車や操車の一環としての限られた時間の運転である場合もある。そのような運転支援システムは、センサシステムのデータを使用して車両を制御する。この場合、車両の周辺を一義的かつできるだけ正確に特定することが不可欠である。
【0003】
気象条件次第では、センサが汚れてしまってセンサの検出エリアや視野が損なわれることになる場合がある。センサによる周辺の確実な検出を保証するために、センサの検出エリアや視野の汚れを効率的に除去することが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、センサによる周辺の検出を保証することができる、車両のセンサを洗浄するシステム、そのようなシステムを備えた車両および車両のセンサを洗浄する方法を提供することである。特に、本開示の課題は、自動運転、特に自律走行のための運転支援機能をより安全に整えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本開示の独立した態様により、車両、特に自動車のセンサを洗浄するシステムが提示されている。このシステムは、車両の多数のセンサを洗浄するように構成されている少なくとも一つの洗浄装置と、少なくとも一つの洗浄装置を制御するように構成されている制御装置とを有している。この制御装置はさらに、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて、多数のセンサから洗浄すべき幾つかのセンサを選択し、選択された幾つかのセンサをどの順番で若しくはいかなる優先順位を付けて洗浄すべきかを決定するように設けられるよう構成されている。ここで、優先順位を付けるのは、少なくとも部分的に、選択と同じ少なくとも一つの状況パラメータ、選択とは別の少なくとも一つの状況パラメータまたは選択とは別の仕方で行なうことができる。
【0007】
本発明によれば、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて先ず幾つかのセンサが選択され、それらが次に優先順に並べられる。この結果、洗浄すべきセンサの数を最小限に抑えることができるため、洗浄における資源と時間を節約することができる。例えば、現在の状況または差し迫った状況において必要とされないセンサは、不必要に洗浄されない。しかも、センサを優先順に並べることに基づいて資源を有効活用できるため、例えば、自動運転機能の安全性を改善することができる。
【0008】
本開示の範囲において、“状況パラメータ”という用語は、車両の現在の状況または差し迫った状況において現れ、および/または関わる一つの様態を指す。従って、センサの洗浄は、状況に応じて行なうことができる。特に、洗浄プロセスは、臨機応変に適合化できるので、効率的且つ省資源的に車両のセンサの洗浄を行なうことができるようになる。
【0009】
好ましくは、制御装置はさらに、多数のセンサからの幾つかのセンサの選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番とを車両の走行中に動的に更新するように構成されている。換言すれば、洗浄すべきセンサの選択と順番は、継続的に適合化される。これにより、様態の変化に柔軟に対応できるため、あらゆる状況で最適且つ省資源的なセンサの洗浄を行なうことができる。
【0010】
好ましくは、制御装置はさらに、多数のセンサからの幾つかのセンサの選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定とを走行方針に基づいて実行するように構成されている。
【0011】
自動運転中の車両は、独力で走行方針に基づいて操舵および/または制動および/または加速を行う。走行方針は、周辺センサ類の周辺データ、道路状況、交通状況、気象状況などに基づいて決定することができる。決定された走行方針は、駆動装置、ステアリングおよび/またはブレーキにより実行に移される。走行方針に基づくセンサの洗浄により、決定された走行方針を実行に移すのに必要なセンサが、高精度で正確なデータを提供することを保証することができる。その結果、走行方針を確実に実行に移すことができ、安全性を改善することができる。
【0012】
好ましくは、制御装置はさらに、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定を、幾つかのセンサの例えば走行方針に関する優先度に基づいて実行するように構成されている。本開示の範囲において、“優先度”という用語は、例えば、必要な洗浄に関するおよび/または自動運転機能などの車両機能に関するセンサの重要性を指す。例えば、汚れのひどいセンサは、優先度が高くなり得るため、汚れの少ないセンサよりも先に洗浄される可能性がある。代替的または補足的に、車両の機能にとって重要なセンサは、それほど重要でないセンサよりも先に或いはその代わりに洗浄される可能性がある。
【0013】
好ましくは、少なくとも一つの状況パラメータは、走行状態と、車両状態と、多数のセンサの汚れの程度(例えば、センサ表面が異物で覆われているなど)と、車両の周辺状況とを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。しかしながら、本開示はそれに限定されず、少なくとも一つの状況パラメータは、センサの洗浄に関する車両の状況を適切に記述するのに適したあらゆるパラメータを含み得る。
【0014】
好ましくは、走行状態は、(例えば、リアルタイムの、および/または、例えばどの車線を車両が走行しているかといった道路上の)車両の位置と、車両の速度と、交通状況(例えば、交通密度)と、走行ルートとを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。
【0015】
好ましくは、車両状態は、洗剤の蓄えと、少なくとも一つの洗浄装置の利用可能性と、車両のエネルギー消費とを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。洗浄装置が故障している場合或いは洗浄剤が使えない場合、少なくとも一つの洗浄装置の利用可能性は、例えば制限されている可能性がある。車両のエネルギー消費を考慮することで、例えば、空調のためのエネルギー消費が多い場合に洗浄時のエネルギーを節約するように洗浄に必要なエネルギー消費を適合化することができる。
【0016】
好ましくは、車両の周辺状況は、気象条件と、外気温とを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。気象条件は、例えば、日光、雨、雪、氷、霧、風などの気象状態であり得る。気象条件は例えば、ルート上の例えば2km以内の雨といった気象条件であってもよい。これにより、気象条件が変化したときに、予め最適に機能するセンサが用意されているように、センサを積極的に事前に洗浄することができる。
【0017】
本開示のさらなる独立した態様により、車両、特に自動車が提示されている。この車両は、本開示の実施形態による多数のセンサと、センサを洗浄するシステムとを有する。
【0018】
“車両”という用語には、人や物などを輸送するために使用される乗用車、トラック、バス、トレーラーハウス、オートバイなどが含まれる。特に、この用語には、旅客輸送用の自動車が含まれる。
【0019】
好ましくは、多数のセンサは、LiDAR(ライダー)センサと、レーダセンサと、カメラと、超音波センサとを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。多数のセンサは、“外界センサ類”とも呼ばれることもある。外界センサ類は、車両の外界領域を描写し、例えば車両を制御する運転支援システムで使用される周辺データ(“外界データ”とも呼ばれる)を提供することができる。
【0020】
好ましくは、車両は、自動運転のための運転支援システムをさらに有し、運転支援システムは、多数のセンサの少なくとも幾つかを使用する。
【0021】
本書面の文脈において、“自動運転”という用語は、進行方向または横方向の自動操縦による走行、または進行方向および横方向の自動操縦による自律走行を意味する。自動運転には、例えば、高速道路を比較的長い時間走行したり、駐車や操車の一環として限られた時間運転したりすることが含まれ得る。“自動運転”という用語には、あらゆる自動化レベルでの自動運転が含まれる。自動化レベルの例は、支援運転、部分自動運転、高度自動運転、完全自動運転および自律走行である。これらの自動化レベルの最初の四つは、連邦交通制度協会(Bundesanstalt fuer Strassenwesen)(BASt)によって定義がなされた(BASt公報「Forschung kompakt(リサーチコンパクト)」,20212年11月刊行を参照)。
【0022】
支援運転では、ドライバーが進行方向または横方向の操縦を継続的に実行しながら、システムが一定の制限内でそのつど他の機能を担う。半自動運転(TAF)では、システムが一定期間および/または特殊な状況のもとで進行方向および横方向の操縦を担うが、支援運転時のようにドライバーがシステムを常に監視していなければならない。高度自動運転(HAF)では、ドライバーがシステムを常に監視する必要なしにシステムが一定期間進行方向および横方向の操縦を担うが、ドライバーは、一定時間内に車両の操縦を引き継ぐことができなければならない。完全自動運転(VAF)では、或る特化した利用例についてシステムがいかなる状況でも自動で運転を管理し、この利用例についてはもはやドライバーを必要としない。
【0023】
上述した四つの自動化レベルは、SAE J3016規格(SAE-Society of Automotive Engineering(自動車技術者協会))のSAE-レベル1-4に対応する。例えば、高度自動運転(HAF)は、SAE J3016規格のレベル3に対応する。また、SAE J3016には、BAStの定義に含まれていない最高の自動化レベルとしてSAEレベル5が設けられている。SAEレベル5は無人運転に対応し、その場合には、システムは、全走行期間中、人間のドライバーであるかのようにあらゆる状況に自動で対処することができ、基本的にもはやドライバーを必要としない。本開示の実施形態は、全ての自動化レベル、特に上述した自動化レベルSAEレベル1から5に使用することができる。
【0024】
本開示のさらに独立した態様により、車両のセンサを洗浄する方法が提示されている。この方法は、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて洗浄すべき多数のセンサを選択すること、選択された幾つかのセンサを(例えば、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて)どの順番で洗浄すべきかを決定すること、その幾つかのセンサを決定された順番で洗浄することを含む。
【0025】
この方法は、本書面で述べられているシステムの態様が履行することができる。
【0026】
さらに独立した態様により、記憶媒体が提示されている。この記憶媒体は、一つまたは複数のプロセッサ上で実行されることにより本書面で述べられている方法を実施するように構成されているSW(ソフトウェア)プログラムを含むことができる。
【0027】
本開示の実施例を図に示し、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の実施形態による車両のセンサを洗浄するシステムを概略的に示す図である。
図2】本開示の実施形態による運転支援システムを備えた車両を概略的に示す図である。
図3】本開示の実施形態による車両のセンサを洗浄する方法のフローチャートを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、特に明記されていない限り、同等の効果を持つ同じ要素に対して同じ符号を用いる。
【0030】
一般に、自動運転は、幾つかの冗長なセンサシステムを使用しなければならない。最大の課題の一つは、例えばカメラのレンズに汚れが発生するような条件下にあっても、多くの道路状況でできるだけ鮮明な視界を確保することである。汚れ、雪、氷などによる機能低下の可能性は、センサの位置と空気力学に大きく依存するため、ほとんどのセンサは、高い利用可能性を実現できるように、洗浄システムを必要とする。
【0031】
図1は、本開示の実施形態による車両のセンサを洗浄するシステム100を概略的に示している。
【0032】
このシステム100は、車両の多数のセンサ10を洗浄するように構成されている少なくとも一つの洗浄装置110と、少なくとも一つの洗浄装置110を制御するように構成されている制御装置120とを有している。制御装置120はさらに、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて、多数のセンサ10から洗浄すべき幾つかのセンサを選択し、選択された幾つかのセンサをどの順番で若しくはいかなる優先順位を付けて洗浄すべきかを決定するように構成されている。
【0033】
その結果、センサの洗浄は、状況に応じて行なうことができる。特に、洗浄プロセスは、効率的且つ省資源的にセンサの洗浄が行なえるように、柔軟に適合化できる。実際の走行状況に応じて、自律型の車両は例えば、冗長なセンサを省略することができる。これにより、システムは、センサの表面を洗浄することで、これらのセンサが重要となるかもしれない後の状況に備えて再び利用できるようにしておくことができる。さまざまな走行状況を想定に含めるために、重要なセンサの優先度と、選択的にそれらの洗浄時刻とを指定する。この洗浄優先度は、走行中に変ってもよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、一つの洗浄装置110が単一のセンサに対して設けられていてもよいし若しくは単一のセンサを洗浄するのでもよい。さらに、一つの洗浄装置110が二つ以上のセンサに対して設けられていてもよいし若しくは二つ以上のセンサを洗浄するのでもよい。とはいえ、少なくとも一つの洗浄装置110と多数のセンサ10との間の割り当ては、これに限定されず、任意の適切な仕方で行なわれてもよい。
【0035】
少なくとも一つの洗浄装置110は、幾つかの実施形態において、空気、ガスおよび/または洗浄剤(例えば、選択的に洗浄剤および/または不凍液が添加されている水)により一つまたは複数の対象となるセンサを洗浄するように構成されていてもよい。この少なくとも一つの洗浄装置110は例えば、対象となるセンサに向けられているノズルを有していてもよい。
【0036】
好ましくは、制御装置120はさらに、多数のセンサからの幾つかのセンサ10の選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番とを車両の走行中に動的に更新するように構成されている。換言すれば、洗浄すべきセンサの選択と順番は、継続的に適合化される。これにより、様態の変化に柔軟に対応できるため、あらゆる状況で最適且つ省資源的なセンサの洗浄を行なうことができる。
【0037】
制御装置120はさらに、多数のセンサからの幾つかのセンサ10の選択と、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定とを走行方針に基づいて実行するように構成されていてもよい。走行方針に基づくセンサの洗浄により、決定された走行方針を実行に移すのに必要なセンサが高精度で正確なデータを提供することを保証することができる。その結果、走行方針を確実に実行に移すことができ、安全性を改善することができる。
【0038】
通常、制御装置120はさらに、選択された幾つかのセンサの洗浄の順番の決定を、幾つかのセンサの例えば走行方針に関する優先度に基づいて実行するように構成されている。“優先度”という用語は、例えば、自動運転機能などの車両の機能に関するセンサの重要性または寄与度を指す。例えば、車両の機能にとって重要なセンサ若しくは車両の機能に大きく寄与するセンサは、最初に若しくはより高い優先度で洗浄される可能性がある。
【0039】
通常、少なくとも一つの状況パラメータは、走行状態と、車両状態と、多数のセンサの汚れの程度と、車両の周辺状況と、これらの組み合わせとを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。
【0040】
走行状態は、車両の位置と、車両の速度と、交通状況と、走行ルートとを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されていてもよい。
【0041】
車両状態は、洗剤の蓄えと、少なくとも一つの洗浄装置の利用可能性と、車両のエネルギー消費とを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。洗浄装置が故障している場合或いは洗浄剤が利用できない場合、少なくとも一つの洗浄装置の利用可能性は、例えば制限されている可能性がある。車両のエネルギー消費を考慮することで、例えば、空調のためのエネルギー消費が多い場合に洗浄時のエネルギーを節約するように洗浄に必要なエネルギー消費を適合化することができる。
【0042】
車両の周辺状況は、気象条件と、外気温とを含む一群の中から、或いはそれらからなる一群の中から選択されている。気象条件は、例えば、日光、雨、雪、氷、霧、風などの気象状態であり得る。
【0043】
図2は、本開示の実施形態による運転支援システム200を備えた車両1を概略的に示す。車両1は、特に自動車とすることができる。
【0044】
車両1は、運転支援システム200と、本開示の実施形態によるセンサを洗浄するシステムとを有することができる。運転支援システム200は、自動運転のために構成することができる。
【0045】
自動運転では、車両1の進行方向および横方向の操縦が自動的に行われる。つまり、運転支援システム200は、車両の操縦を引き受ける。この目的のために、運転支援システム200は、図示されていない中間ユニットを介して、駆動装置20、トランスミッション22、油圧常用ブレーキ24およびステアリング26を制御する。
【0046】
自動運転を計画および実行するために、車両の周辺を監視する周辺センサ類の周辺情報を運転支援システム200によって受信する。特に、車両1は、車両の周辺を示す周辺データを取得するように構成されている本開示の実施形態による多数のセンサ10を有することができる。多数のセンサ10は例えば、Lidar(ライダー)システム、レーダシステムおよび/またはカメラを含んでいてもよい。センサ10は、本開示のシステムによって動的に優先順に並べられ、それに従って洗浄される。
【0047】
図3は、本開示の実施形態による車両のセンサを洗浄する方法300のフローチャートを概略的に示す。方法300は、プロセッサ(例えばCPU)によって実行可能な然るべきソフトウェアによって履行することができる。
【0048】
この方法300は、ブロック310において少なくとも一つの状況パラメータに基づいて洗浄すべき多数のセンサを選択すること、ブロック320において選択された幾つかのセンサを(例えば、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて)どの順番で洗浄すべきかを決定すること、ブロック330においてその幾つかのセンサを決定された順番で洗浄することを含む。
【0049】
この方法300は、本書面で述べた車両のセンサを洗浄するシステムの態様が履行することができる。
【0050】
本発明によれば、少なくとも一つの状況パラメータに基づいて幾つかのセンサが選択され、優先順に並べられる。こうして、洗浄すべきセンサの数を最小限に抑えることができるので、洗浄時の資源と時間を節約することができる。例えば、現在の状況において必要とされないセンサは、不必要に洗浄されない。しかも、優先順に並べることに基づいて資源の有効活用が可能であるので、例えば、自動運転機能の安全性を改善することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】