IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ハウシス・リミテッドの特許一覧

特表2022-547683熱可塑性高分子粒子及びその製造方法
<>
  • 特表-熱可塑性高分子粒子及びその製造方法 図1
  • 特表-熱可塑性高分子粒子及びその製造方法 図2
  • 特表-熱可塑性高分子粒子及びその製造方法 図3
  • 特表-熱可塑性高分子粒子及びその製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】熱可塑性高分子粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/10 20060101AFI20221108BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20221108BHJP
   B29B 13/04 20060101ALI20221108BHJP
   B29B 13/10 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B29B9/10
C08J3/12 Z CER
C08J3/12 CEZ
B29B13/04
B29B13/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515899
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 KR2020012291
(87)【国際公開番号】W WO2021049901
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112897
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510244710
【氏名又は名称】エルエックス・ハウシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ホ・リム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヨン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ギョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・ゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ハン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ジェ・コン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ファン・ファン
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AA47
4F070AA53
4F070AA54
4F070AA58
4F070AB22
4F070DA13
4F070DC07
4F201AA11
4F201AA24
4F201AA29
4F201AA31
4F201AA32
4F201AK02
4F201AR06
4F201AR08
4F201AR14
4F201BA02
4F201BA04
4F201BC01
4F201BC03
4F201BD05
4F201BL10
4F201BL42
4F201BL50
4F201BN12
4F201BN32
(57)【要約】
本発明は(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階;(2)押し出された高分子樹脂を不活性気体で粒子化する段階;及び(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階、を含む熱可塑性高分子粒子の製造方法及びその熱可塑性高分子粒子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階;
(2)押し出された熱可塑高分子樹脂を、不活性気体で粒子化する段階;及び
(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階
を含む熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項2】
(4)冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階
をさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項3】
段階(1)と段階(2)との間に、
(1-1)押し出された熱可塑性高分子樹脂をメッシュ網に通過させる段階
をさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性高分子樹脂は、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項5】
段階(1)の熱可塑性高分子樹脂は、1kg/時ないし20kg/時の押出速度で押し出されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項6】
段階(1)において、押出機内に不活性気体を注入することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項7】
前記不活性気体は押出機の先端に注入され、押出機の末端から抜け出ることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項8】
前記不活性気体は4ないし64L/分の流量で注入されることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項9】
複数個の噴射機で噴射される前記不活性気体がノズルの吐出部から吐出される熱可塑性高分子樹脂に向かって噴射され、
第1噴射気体の温度は250℃ないし600℃であり、
第2噴射気体の温度は第1噴射気体と±10℃の差があることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項10】
第3噴射気体の温度は第1噴射気体より0℃ないし50℃さらに高いことを特徴とする、請求項9に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項11】
第4噴射気体の温度は第1噴射気体より0℃ないし20℃さらに高いことを特徴とする、請求項9に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項12】
段階(2)において、
前記熱可塑性高分子樹脂がノズルにより噴射される前に、ノズルから流れ出る熱可塑性高分子樹脂の溶融物に第4噴射気体を噴射することを特徴とする、請求項9に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項13】
段階(2)において、
前記不活性気体の噴射速度が100ないし200m/秒になるように噴射することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第1噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして20~70゜の角度になるように噴射し、第2噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして70ないし80゜の角度で噴射することを特徴とする、請求項9に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項15】
前記第3噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして-5ないし-10゜の角度で噴射し、第4噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向と平行に噴射することを特徴とする、請求項10に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項16】
段階(3)において、ノズルと冷却チャンバーとの間の距離が0.1ないし1.0mであることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項17】
段階(3)において、前記粒子化された熱可塑性高分子樹脂が25ないし40℃の内部温度を持つ冷却チャンバーによって冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項18】
前記冷却チャンバーは-30ないし-10℃の外部空気が流入される外部空気注入口を備えることを特徴とする、請求項17に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項19】
前記冷却チャンバーは前記外部空気注入口を複数個備え、前記複数個の外部空気注入口は熱可塑性高分子粒子の自由落下の流れに邪魔にならないように取り付けられることを特徴とする、請求項18に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項20】
前記冷却チャンバーの上部に外部空気注入口を複数個備え、前記外部空気注入口は冷却チャンバーの同心円を基準にして1/2ないし3/4の地点に設けられることを特徴とする、請求項19に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項21】
前記冷却チャンバーの側面に外部空気注入口を複数個備え、前記外部空気注入口の空気流入速度は0.5~10m/秒であることを特徴とする、請求項19に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項22】
段階(4)は、複数のサイクロンを直列または並列に使用して粒子を捕集することを特徴とする、請求項2に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項23】
前記複数のサイクロンは、互いに圧力条件を異にして粒子の捕集を調節することを特徴とする、請求項22に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項24】
段階(1-1)のメッシュ網は60ないし100メッシュであることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項25】
前記不活性気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン及びネオンからなる群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項26】
前記不活性気体は、窒素、ヘリウム、アルゴン及びネオンからなる群から選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項6に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項27】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、重量平均分子量(Mw)が40,000ないし70,000g/molである、ポリプロピレン粒子。
【請求項28】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、重量平均分子量(Mw)が50,000ないし80,000g/molである、熱可塑性ポリウレタン粒子。
【請求項29】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、重量平均分子量(Mw)が35,000ないし60,000g/molである、ポリ乳酸粒子。
【請求項30】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、重量平均分子量(Mw)が50,000ないし65、000g/molである、ポリアミド粒子。
【請求項31】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、重量平均分子量(Mw)が35,000ないし50,000g/molである、ポリエーテルスルホン粒子。
【請求項32】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、粒子のb*値が1.0以下である、ポリプロピレン粒子。
【請求項33】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、粒子のb*値が10.0以下である、熱可塑性ポリウレタン粒子。
【請求項34】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、粒子のb*値が8.0以下である、ポリ乳酸粒子。
【請求項35】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、粒子のb*値が12.0以下である、ポリアミド粒子。
【請求項36】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成された、粒子のb*値が10.0以下である、ポリエーテルスルホン粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年9月11日付韓国特許出願第10-2019-0112897号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
本発明は熱可塑性高分子粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子形態の高分子樹脂は産業全般にわたって多様に利用されている。このような高分子樹脂粒子は、高分子樹脂原料を粒子化する工程を通じて製造される。
【0003】
一般に、熱可塑性高分子樹脂を粒子化する方法として、凍結粉砕で代表される粉砕法;高温の溶媒に溶解した後で冷却して析出させたり、溶媒に溶解したりした後で貧溶媒を添加して析出させる溶媒溶解析出法;及び混合機内で熱可塑性樹脂及び非常用樹脂を混合して熱可塑性樹脂を分散相に、熱可塑性樹脂と非常用樹脂を連続相に持つ組成物を形成させた後、非常用樹脂を取り除くことで熱可塑性樹脂粒子を得る溶融混錬法などが存在する。
【0004】
前記粉砕法によって粒子を製造する場合、製造された熱可塑性高分子樹脂粒子の粒子均一性を確保しにくいという問題点がある。また、粉砕法の冷却時に液体窒素を使用するため、粒子収得工程に対比して高費用が要される。熱可塑性高分子樹脂原料に対して顔料、酸化防止剤などを添加するコンパウンディング工程が加えられる場合はバッチ式で進められるので、連続的な粒子収得工程に比べて生産性が低くなる。前記溶媒溶解析出法及び溶融混錬法を通じて粒子を製造する場合、熱可塑性樹脂粒子以外に溶媒などの他の成分が不純物として検出されるという問題点がある。加工過程で不純物が混入される場合は、純粋に熱可塑性高分子樹脂のみからなる粒子を製造しにくいだけでなく、粒子の物性及び形状の変形をもたらす恐れが高く、これを微細に制御することも難しい。
【0005】
上述した問題点のため、従来の方法では製品に適用するに適する物性を持つ熱可塑性高分子樹脂粒子を製造することができない。したがって、当技術分野では従来の方法を改善して粒子の物性が改善された熱可塑性高分子樹脂粒子が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本公開特許公報第2001-288273号
【特許文献2】日本公開特許公報第2000-007789号
【特許文献3】日本公開特許公報第2004-269865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は新しい製造工程を用いて、粒径が小さくて、粒度分布、分子量分布及び色差範囲が広くない熱可塑性高分子粒子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階;(2)押し出された高分子樹脂を不活性気体で粒子化する段階;及び(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階、を含む熱可塑性高分子粒子の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は40,000ないし70,000g/molであるポリプロピレン粒子を提供する。
【0010】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は50,000ないし80,000g/molである熱可塑性ポリウレタン粒子を提供する。
【0011】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は35,000ないし60,000g/molであるポリ乳酸粒子を提供する。
【0012】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は50,000ないし65,000g/molであるポリアミド粒子を提供する。
【0013】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は35,000ないし50,000g/molであるポリエーテルスルホン粒子を提供する。
【0014】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子のb*値は1.0以下のポリプロピレン粒子を提供する。
【0015】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子のb*値は10.0以下の熱可塑性ポリウレタン粒子を提供する。
【0016】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子のb*値は8.0以下のポリ乳酸粒子を提供する。
【0017】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子のb*値は12.0以下のポリアミド粒子を提供する。
【0018】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子のb*値は10.0以下のポリエーテルスルホン粒子を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による熱可塑性高分子粒子は、平均粒径が小さくて、粒度分布、分子量分布及び色差範囲が広くないため、流れ性を要するパウダー型化粧品に適用され、塗り性などの化粧効果を極大化させ、粒度分布が広くないので、無機物などと混合する時に無機物の間の空隙を適当に満たしてコンポジットの機能を最大限に発揮できるようにして、バインダーの役目をよく遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の熱可塑性高分子粒子の形状を簡略に示すイメージである。
図2】本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法を簡略に示す工程フローチャートである。
図3】本発明の具体例によるノズルの熱可塑性高分子樹脂及び空気の供給位置を示すノズル吐出部の断面図である。
図4】本発明の具体例によってノズルの空気供給位置を具体的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によって提供される具体例は下記説明によって全て達成されることができる。下記説明は本発明の好ましい具体例を記述するものとして理解しなければならず、本発明が必ずしもこれに限定されないことを理解しなければならない。
【0022】
以下、明細書における数値範囲に対して「ないし」の表現は範囲の上限と下限をいずれも含む意味として使用され、上限または下限を含まない場合は含か否かを具体的に示すために「未満」、「超」、「以下」または「以上」の表現が使われる。
【0023】
本発明は従来の粒子製造方法によっては収得することができなかった熱可塑性高分子粒子及びこの製造方法を提供する。以下では、本発明による熱可塑性高分子粒子に対して具体的に説明する。
【0024】
熱可塑性高分子粒子
本発明は熱可塑性高分子樹脂を押出した後、空気と接触させて微粒化して製造された熱可塑性高分子粒子を提供する。本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法は、既存の粉砕法、溶媒溶解析出法、及び溶融混錬法に比べて改善された方法であって、具体的な製造方法は下記の「熱可塑性高分子粒子の製造方法」部分で説明する。
【0025】
本発明で使用する熱可塑性高分子樹脂は熱可塑性を持つ高分子樹脂であれば特に制限せずに使用することができ、好ましくはポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエーテルスルホンなどを使用することができる。
【0026】
本発明による熱可塑性高分子粒子は、従来方法で製造された熱可塑性高分子粒子に比べて累積体積90%の粒径(D90)の値が25ないし30μm小さく製造される。具体的に、累積体積90%の粒径(D90)の値が80ないし130μm程度の値を持つ。
【0027】
具体的に熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は粒子の粒径(D90)は80ないし105μmであって、好ましくは85ないし100μmであって、最も好ましくは85ないし95μmである。
【0028】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は粒子の粒径(D90)は80ないし110μmであって、好ましくは85ないし105μmであって、最も好ましくは95ないし100μmである。
【0029】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は粒子の粒径(D90)は20ないし40μmであって、好ましくは25ないし35μmであって、最も好ましくは25ないし30μmである。
【0030】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は粒子の粒径(D90)は80ないし115μmであって、好ましくは85ないし110μmであって、最も好ましくは95ないし105μmである。
【0031】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は粒子の粒径(D90)は80ないし130μmであって、好ましくは90ないし125μmであって、最も好ましくは100ないし120μmである。
【0032】
また、本発明による熱可塑性高分子粒子は粒度分布が小さくて、粒径の偏差が少ないため、製品に適用する時によく混合されて機械的強度が高くなる長所がある。本明細書において、熱可塑性高分子粒子の粒度分布は粒度分析機(Microtrac社、S3500)を使って湿式法で測定され、具体的な方法については以下の実施例で記載する。ここで、D10、D50、D90は粒子の累積体積分布において累積体積百分率がそれぞれ10%、50%、90%に相当する粒径を意味する。
【0033】
熱可塑性高分子粒子の粒度分布に関して、本発明による熱可塑性高分子粒子は5ないし20、より具体的には7ないし18のD値を有する。具体的にポリプロピレンの場合10ないし20、好ましくは13ないし18のD値を有し、熱可塑性ポリウレタンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を有し、ポリ乳酸の場合6ないし13、好ましくは8ないし11のD値を持ち、ポリアミドの場合7ないし15、好ましくは8ないし14のD値を有し、ポリエーテルスルホンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を有する。この時、前記D値は下記の数式Aによって計算される。
【数1】
【0034】
前記D値は平均粒径(D50)を持つ粒子を基準にして、より大きい累積体積90%の粒径(D90)を持つ粒子と、より小さい累積体積10%の粒径(D10)を持つ粒子がどこに位置するのかを数値化した値である。ここで、相対的に大きい粒径を持つ粒子は平均粒径を持つ粒子と一緒に適用する時、平均粒径を持つ粒子を支持する役目をし、相対的に小さい粒径を持つ粒子は平均粒径を持つ粒子と一緒に適用する時、平均粒径を持つ粒子の間の空隙を埋める役目をする。D値が小さいほど粒子の粒径は平均粒径に近く分布され、D値が大きいほど粒子の粒径は平均粒径から遠く分布される。D値が小さければ、平均粒径に近い粒子の割合が高くなって粒子の大きさの多様性による効果を得にくいし、一方、D値が大きければ、平均粒径から遠い粒子の割合が高くなって基準となる粒子の大きさを算定して適用しにくい。平均粒径の前記粒子が上述した範囲のD値を充たす場合、平均粒径を中心にして大きい粒子と小さい粒子が適当な割合で粒子が分布され、実際の製品に適用する時、優れる物性を示すことができる。
【0035】
本発明において、粒子の形状は下記のアスペクト比(aspect ratio)及び球形度(roundness)で評価され、アスペクト比及び球形度が1に近いほど粒子の形状は球形に近いものとして解釈される。前記アスペクト比は下記数式1によって計算される。
[数式1]
アスペクト比(aspect ratio)=長軸(major axis)/短縮(minor axis)
【0036】
また、前記球形度は下記の数式2によって計算される。
[数式2]
球形度(roundness)=4×面積(area)/(π×長軸^2)
【0037】
前記数式について具体的に説明するために、熱可塑性高分子粒子を簡略に示した図1を提供する。図1によると、前記数式1及び2において「長軸」は前記熱可塑性高分子粒子の2Dイメージ(断面)の平行な2つの接線の間の垂直距離(d)の中で一番長い距離を意味し、「短縮」は前記熱可塑性高分子粒子の2Dイメージ(断面)の平行な2つの接線の間の垂直距離(d)の中で一番短い距離を意味する。また、前記数式3において「面積」は前記熱可塑性高分子粒子の長軸を含む断面積を意味する。図1は前記熱可塑性高分子粒子の平行な2つの接平面の間の垂直距離(d)が長軸の場合の例示として、面積(A)を示すものである。
【0038】
本発明の一具体例によると、本発明による熱可塑性高分子粒子は1.00以上1.05未満、より具体的には1.02以上1.05未満のアスペクト比を持つことができるし、0.95ないし1.00、より具体的には0.98ないし1.00の球形度を持つことができる。前記熱可塑性高分子粒子の形状が上述したアスペクト比及び球形度の範囲を充たす場合、熱可塑性高分子粒子の流れ性及び均一度が高くなって、バイポーラープレートなどに適用するにあたり、粒子の取り扱いが容易で、前記粒子が適用されたバイポーラープレートなどは粒子の優れる流れ性及び分散性によって品質が向上されることができる。
【0039】
前記数式1及び2による数値は熱可塑性高分子粒子のイメージをImageJ(National Institutes of Health(NIH))を使用してイメージ処理(Binaryイメージに変換した後、個別粒子の球形化度合いを数値化)することで測定可能である。
【0040】
本発明による熱可塑性高分子粒子は、熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス(matrix)相に形成された粒子である。熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス相に形成されるということは、熱可塑性高分子樹脂を追加成分なしに連続的に密集された構造を形成することを意味する。熱可塑性高分子樹脂を押し出し、溶融した後溶融物を空気により粒子化することで熱可塑性高分子粒子は密集された構造を持って連続的に生成される。これと違って、従来の製造方法によると、追加成分を投入して粒子が形成されたり、冷却・粉砕の不連続的な過程を通じて粒子が形成されたりするので、連続的なマトリックス相に粒子が形成されない。
【0041】
熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス相に形成された粒子は、基本的に粒子の製造過程で不純物が混入されないため、高い純度を持つ。ここで、「不純物」は粒子製造の際に混入されることができる熱可塑性高分子以外の成分を意味する。例示的な不純物として、熱可塑性高分子樹脂を分散させるための溶媒、粉砕またはグラインディング過程で含まれる重金属成分、及び重合過程で含まれる未反応単量体などがある。本発明の一具体例によると、本発明の熱可塑性高分子粒子の不純物含量は50ppm以下、好ましくは20ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。
【0042】
また、前記粒子は純度だけでなく、他の特性をさらに持つことができる。このような特性の一つとして、前記熱可塑性高分子粒子は示差走査熱量計(DSC、Differential Scanning Calorimetry)によって10℃/分の昇温分析によって導き出されたDSC曲線において、ガラス転移温度(T)と融点(T)との間の温度で冷結晶化温度(Tcc)のピークが示される。熱可塑性高分子粒子は常温で球形の固体粒子である。このような粒子を示差走査熱量計を利用して昇温分析する場合、温度が上がることによって流動性が段々増加するようになる。この時、前記熱可塑性高分子粒子はガラス転移温度(T)と融点(T)の間の温度で冷結晶化温度(Tcc)のピークが示され、これはすなわち前記熱可塑性高分子粒子が溶融される前に発熱する特性を持つことを意味する。本発明の一具体例によると、前記冷結晶化温度(Tcc)はガラス転移温度(T)と融点(T)との間の30%ないし70%区間で示される。前記区間で0%はガラス転移温度(T)で、100%は融点(T)である。また、前記DSC曲線によると、前記熱可塑性高分子粒子は、吸熱量(△H1)と発熱量(△H2)との差(△H1-△H2)の値が3ないし100J/gである。このような特徴によって前記熱可塑性高分子粒子が加熱工程に活用される場合、同種の熱可塑性高分子粒子の加工温度に比べて低温で加工可能な利点を得ることができる。
【0043】
本発明の熱可塑性高分子粒子は、従来の熱可塑性高分子粒子に類似した水準の圧縮度を有する。前記圧縮度は下記数式3によって計算され得、本発明の一具体例によると、前記熱可塑性高分子粒子は10ないし20%の圧縮度を有する。
[数式3]
圧縮度=(P-R)/P×100
【0044】
前記数式3において、Pは圧縮バルク密度を意味し、Rは弛緩バルク密度を意味する。
【0045】
上述したように、本発明による熱可塑性高分子粒子は流れ性がよいため、粒子間の空隙をよく埋めることができるし、これによって一定水準以上の圧縮度が維持される。熱可塑性高分子粒子の圧縮度は粒子を通じた製品の製造時、製品の品質に影響を及ぼすことがある。本発明のように一定以上の圧縮度を持つ熱可塑性高分子粒子を使用する場合、成形品の場合は製品内で発生することができる空隙を最小化する効果を有し得る。本発明の一具体例によると、前記熱可塑性高分子粒子は0.20ないし0.6g/cmの圧縮バルク密度を持つ。
【0046】
具体的に、熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.6g/cmで、好ましくは0.4ないし0.5g/cmである。
【0047】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.5g/cmであり、好ましくは0.35ないし0.45g/cmである。
【0048】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.2ないし0.4g/cmであり、好ましくは0.25ないし0.3g/cmである。
【0049】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.6g/cmであり、好ましくは0.45ないし0.55g/cmである。
【0050】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.4ないし0.6g/cmであり、好ましくは0.45ないし0.55g/cmである。
【0051】
また、具体的に、熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は40,000ないし70,000g/molであって、好ましくは52,000ないし70,000g/molである。
【0052】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は50,000ないし80,000g/molであって、好ましくは58,000ないし80,000g/molである。
【0053】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は35,000ないし60,000g/molであって、好ましくは40,000ないし60,000g/molである。
【0054】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は50,000ないし65,000g/molであって、好ましくは55,000ないし65、000g/molである。
【0055】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は、前記粒子の重量平均分子量(Mw)は35,000ないし50,000g/molであって、好ましくは39,000ないし50,000g/molである。
【0056】
また、具体的に、熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は、前記粒子のb*値は1.0以下であって、好ましくは-0.40以下であって、この時、b*値の下限線は-2.0以上である。
【0057】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は、前記粒子のb*値は10.0以下であって、好ましくは5.60以下であって、この時、b*値の下限線は-1.0以上である。
【0058】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は、前記粒子のb*値は8.0以下であって、好ましくは5.25以下であって、この時、b*値の下限線は2.0以上である。
【0059】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は、前記粒子のb*値は12.0以下であって、好ましくは6.60以下であって、この時、b*値の下限線は3.0以上である。
【0060】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は、前記粒子のb*値は10.0以下であって、好ましくは5.85以下であって、この時、b*値の下限線は2.5以上である。
【0061】
本発明による熱可塑性高分子粒子は20ないし30秒の流下時間を有する。前記流下時間は粉体の流動性を示す数値である。前記流下時間が短いということは、粒子間の摩擦抵抗が少ないことを意味し、粒子間の摩擦抵抗が少ないと前記粒子を取り扱いやすい。本発明による熱可塑性高分子粒子は従来の熱可塑性高分子粒子と対比して短い流下時間を有するので、流動性がよくて粒子の取り扱いが容易である。
【0062】
本発明による熱可塑性高分子粒子は5ないし10%の結晶化度を有する。前記熱可塑性高分子粒子の結晶化度はペレット形態の大口径粒子よりは低い値で、低い結晶化度によって本発明による熱可塑性高分子粒子は加工が容易である。
【0063】
上述した特徴を持つ熱可塑性高分子粒子は下記製造方法によって製造される。以下では本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法について具体的に説明する。
【0064】
熱可塑性高分子粒子の製造方法
図2は前記製造方法に対する工程フローチャートを簡略に示す。前記製造方法は熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階(S100);押し出された熱可塑性高分子樹脂をノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する段階(S200);及び粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階(S300)を含む。また、冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階をさらに含むことができる。また、段階(S100)と段階(S200)との間に、押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させる段階をさらに含むことができる。以下では前記製造方法の各段階について具体的に説明する。
【0065】
(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階
本発明によって熱可塑性高分子粒子を製造するために、先ず、原料の熱可塑性高分子樹脂を押出機に供給して押し出す。本発明で使用する熱可塑性高分子樹脂は、熱可塑性を持つ高分子樹脂であれば特に制限せずに使用することができ、好ましくは、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエーテルスルホンなどを使用することができる。
【0066】
熱可塑性高分子樹脂を押し出すことで、熱可塑性高分子樹脂はノズルでの粒子加工に適する物性を持つ。原料で使われる熱可塑性高分子樹脂は、製造された粒子の適切な物性を考慮して10,000ないし200,000g/molの重量平均分子量(Mw)を持つことが好ましい。
【0067】
前記熱可塑性高分子樹脂が供給される押出機は、熱可塑性高分子樹脂を加熱及び加圧して熱可塑性高分子樹脂の粘度などの物性を調節する。ノズルで粒子化するに適する物性で調節可能であれば、前記押出機の種類は特に限定されない。本発明の一具体例によると、前記押出機は効率的な押出のために二軸スクリュー押出機であってよい。前記押出機の内部は使用する熱可塑性高分子の種類によって異なるが、全体的に140ないし420℃で維持されることが好ましい。前記押出機の内部温度が低すぎると熱可塑性高分子樹脂の粘度が高くてノズルでの粒子化に適しないだけでなく、押出機内で熱可塑性高分子樹脂の流れ性が低くて押出に効率的ではない。また、前記押出機の内部温度が高すぎると熱可塑性高分子樹脂の流れ性が高くて効率的な押出が可能であるが、ノズルで熱可塑性高分子樹脂が粒子化される時、微細な物性調節が難しい。
【0068】
ただし、本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法では、押出機の温度プロファイルを調節することで、押出機内で熱可塑性高分子樹脂が受ける熱量を熱可塑性樹脂が押出機に投入される押出機の先端部から、押出機から出る末端部までの位置及び各位置の温度を調節して、最終的に製造される熱可塑性高分子粒子の物性を調節することができ、特に粒度分布の大きさを調節することができる。
【0069】
具体的に、前記熱可塑性高分子樹脂がポリプロピレンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし200℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を200℃から225℃に昇温することができる。
【0070】
また、前記熱可塑性高分子樹脂が熱可塑性ポリウレタンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を160℃から170℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を170℃ないし210℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を210℃から220℃に昇温することができる。
【0071】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリ乳酸である時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を150℃から160℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を160℃ないし190℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を190℃から200℃に昇温することができる。
【0072】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリアミドである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を240℃から250℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を250℃ないし300℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を300℃から320℃に昇温することができる。
【0073】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリエーテルスルホンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を370℃から380℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を380℃ないし400℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を400℃から420℃に昇温することができる。
【0074】
熱可塑性高分子樹脂の押出量は、押出機のサイズを考慮して熱可塑性高分子樹脂の物性を調節しやすく設定されることができる。本発明の一具体例によると、熱可塑性高分子樹脂は1ないし20kg/時の速度で押し出される。押し出された熱可塑性高分子樹脂の粘度は熱可塑性樹脂の種類ごとに異なるが、全体的に0.5ないし25Pa・sの範囲であってよい。熱可塑性高分子樹脂の粘度が0.5Pa・s未満であればノズルで粒子を加工しにくいし、熱可塑性高分子樹脂の粘度が25Pa・s超であればノズルで熱可塑性高分子樹脂の流れ性が低くて加工効率が落ちる。押し出された熱可塑性高分子樹脂の温度は150ないし420℃である。前記熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す時、押出機内に不活性気体を注入することができる。本発明では前記不活性気体として、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどのような気体を使用することができる。この時、前記不活性気体は押出機の先端に注入され、押出機の末端から抜け出るようになる。また、前記不活性気体は4ないし64L/分の流量で注入することができる。前記不活性気体の流量が4L/分の流量未満であれば、押出機内部のバレル雰囲気を不活性気体に完全に置換することができず、局所的に酸素が存在して高分子押出物が酸化され、最終製品の高分子粒子の分子量と機械的物性を低下させる問題があって、64L/分の流量超であれば、高分子押出物に気泡が過多含まれ、高分子押出物が連続的にノズルに供給されることができないため、最終製品である高分子粒子が連続的に製造されない問題がある。本発明の高分子粒子の製造方法で前記のような不活性気体を使用する場合、押出機内の高分子樹脂が酸化されることを阻止し、最終製品である高分子粒子の分子量と機械的物性低下を最小化する長所がある。
【0075】
前記熱可塑性高分子樹脂を押出機へ押し出す段階を行った後、押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させることができる。前記メッシュ網は60ないし100メッシュのものを使用することができる。押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させると、高分子のゲル化が均一に行われるので、粒径の偏差が小くなり、粒度分布が広くなることを防ぐことができる。
【0076】
(2)押し出された高分子樹脂を不活性気体で粒子化する段階
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法は、押出機から押し出された熱可塑性高分子樹脂をノズルに供給する。
【0077】
本発明で使われるノズルは、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルである。
【0078】
また、本発明において前記ノズルは、熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部面積(B)の割合(A/B)が10ないし30のものを使用することができる。ノズルを設計する時、樹脂が投入される投入部の面積は変わらないので、樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が10未満で設計されたノズルを使用するようになれば、平均粒径が大きくなる問題がある。また、割合が(A/B)が30超に設計されたノズルを使用するようになれば、同量で投入される樹脂を基準にして、樹脂の厚さの偏差が大きくなって、結局製造される高分子粒子の粒径の偏差がひどくなって、粒度分布が広くなる問題が発生する。
【0079】
また、本発明において前記ノズルは、ノズルに投入されて噴射される熱可塑性高分子樹脂は15ないし45秒の滞留時間を持つものを使用することができる。前記ノズルの滞留時間が15秒未満であれば粒子が生成されないし、45秒を超えると粒子の物性が低下されることがある。
【0080】
また、本発明において前記ノズルは、ノズルの投入部と吐出部が複数個の流路で連結されたものを使用することができる。本発明のノズルは投入部と吐出部が複数個の流路で連結されることによって粒子の大きさの均一性が増加する長所がある。
【0081】
この時、前記複数個の流路の個数(n)は、下記数式4で表されるX値を基準にして、X≦n≦60Xを充たすことができ、具体的には2X≦n≦30Xを充たすことができる。
[数式4]
X=(吐出部の円周の長さ(mm))/(投入部の面積(mm))
【0082】
前記数式4でX値を求める時、使用する長さ及び面積は単位のディメンションは異なるが、長さはmm、面積はmmを基準にして数字のみを使って計算した値を使用して求める。本発明のノズルにおいて、ノズル内の流路数が減ると気体が樹脂に均一な速度でぶつかる確率が減るので粒径の偏差が大きくなって粒度分布が広くなる問題がある。
【0083】
前記熱可塑性高分子樹脂とともに、噴射用気体もノズルに供給される。本発明で使用する噴射用気体は不活性気体である。本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法では、複数個の噴射機で不活性気体を噴射して粒子化する。複数個の噴射機で噴射される不活性気体はノズルの吐出部から吐出される熱可塑性高分子樹脂に向かって噴射され、不活性気体はノズル内で熱可塑性高分子樹脂と接触して熱可塑性高分子樹脂を粒子化する。本発明では複数個の噴射機で不活性気体を噴射して粒子化することによって、一般空気(air)を使用して熱可塑性高分子粒子を製造する従来の方法と違って、高分子樹脂に空気を噴射して微粒化する過程で高分子と空気に含まれた酸素が酸化反応をすることによって高分子鎖が切れて、これによって高分子の重量平均分子量が低くなる問題が回避される。また空気に含まれた酸素が酸化反応をすることによってラジカルが形成され、鎖に二重結合が発生し、このような二重結合によって発色団が生成されて黄変が生じることを回避することができる長所がある。
【0084】
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法で使用する複数個の噴射機は2個であってもよく、3個であってもよく、4個以上であってもよい。
【0085】
噴射機が2個の場合、第1噴射気体の温度は250℃ないし600℃で、第2噴射気体の温度は第1噴射気体と±10℃の差があることを使用することができる。噴射機が3個である場合、第1噴射気体より0℃ないし50℃もっと高い第3噴射気体を噴射することができる。また、噴射機が4個の場合、第1噴射気体より0℃ないし20℃もっと高い第4噴射気体を噴射することができる。
【0086】
前記のような温度条件を充たす場合、熱可塑性高分子樹脂から熱可塑性高分子粒子が製造される時、空気と接触した表面の物性を好ましい方向に変化させることができるし、空気との接触面に過度な熱が供給されることを防いで粒子の表面で熱可塑性高分子の分解現象を防ぐことができる。
【0087】
また、前記第1噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして20~70゜の角度になるように噴射し、第2噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして70ないし80゜の角度で噴射することができる。また、前記第3噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして5ないし10゜の角度で噴射することができる。
【0088】
この時、前記第4噴射気体は、熱可塑性高分子がノズルで噴射される前に、ノズルから流れ出る熱可塑性高分子樹脂の溶融物に噴射することもでき、前記第4噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射することができる。
【0089】
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法において、前記不活性気体の噴射速度は100ないし200m/秒である。
【0090】
ノズルに供給される熱可塑性高分子樹脂及び空気は、熱可塑性高分子粒子が適切な大きさ及び形状を持つことができ、形成された粒子が均一に分散されるように供給位置が設定される。図3はノズル吐出部の断面図を示し、本発明の一具体例による熱可塑性高分子樹脂及び空気の供給位置は図3を通じて具体的に説明される。本明細書において、具体的な説明のために、ノズルの位置を「注入部」、「吐出部」及び「末端部」などで表現する。ノズルの「注入部」はノズルが始まる位置を意味し、ノズルの「吐出部」はノズルが終わる位置を意味する。また、ノズルの「末端部」はノズルの3分の2の地点から吐出部までの位置を意味する。ここで、ノズルの0の地点はノズルの注入部であり、ノズルの1の地点はノズルの吐出部である。
【0091】
図3で示すように、熱可塑性高分子樹脂及び空気の流れ方向と垂直の断面は円形である。前記第1噴射気体と第2噴射気体は第1の気体の流れ20を通じて供給され、前記第3噴射気体は第2の気体の流れ40を通じて供給される。前記熱可塑性高分子樹脂30は第1の気体の流れ20と第2の気体の流れ40の間で第4噴射気体と一緒に供給される。図3で示すように、熱可塑性高分子樹脂及び気体がノズルの注入部に供給される時からノズルの吐出部直前までの各供給の流れ(熱可塑性高分子樹脂と第4噴射気体の流れ30、第1の気体の流れ20及び第2の気体の流れ40)はノズル内部の構造によって分離される。図4に具体的に示すように、熱可塑性高分子樹脂が第4噴射気体50と遭遇して薄いフィルムを形成し、この時、第4噴射気体50は熱可塑性高分子樹脂が薄くひろがるようにする役目をする。この後、熱可塑性高分子樹脂が流れて、第1の気体の流れの中で第1噴射気体60に先に遭遇することになるが、第1噴射気体60はフィルム化された熱可塑性高分子樹脂を砕けて液滴を形成する役目をする。ノズルの吐出部の直前では液滴で形成された熱可塑性高分子樹脂が第1の気体の流れの中で第2噴射気体70と第2の気体の流れの第3噴射気体80に遭遇して、熱量を保存してノズルから吐出した後、冷却チャンバーに流入される前まで冷却されないため、繊維が形成されずに液滴の形態が維持される。また、第1の気体の流れの中で第2噴射気体70と第2の気体の流れの第3噴射気体80とは熱可塑性高分子樹脂液滴がノズルの吐出部に粘着されることを防ぎながら、第1噴射気体を通じて砕けることができなかった熱可塑性高分子樹脂を砕けて液滴を形成する補助的な役目もする。
【0092】
ノズルで熱可塑性高分子樹脂は粒子化されるので、ノズルの内部は熱可塑性高分子樹脂が粒子化されるに適した温度で調節される。急な温度の上昇は熱可塑性高分子の構造を変化させ得るため、押出機からノズルの吐出部までの温度は段階的に上昇させることができる。したがって、ノズルの内部温度は平均的に押出機の内部温度より高い範囲で設定される。ノズルの末端部に対する温度は以下で別途定義しているので、本明細書においてノズルの内部温度は、特に言及しない場合、ノズルの末端部を除いたノズルの残りの部分の平均温度を意味する。本発明の一具体例によると、ノズルの内部は250ないし350℃で維持されることができる。ノズルの内部温度が250℃未満であれば熱可塑性高分子樹脂に粒子化時の物性を充たすための十分な熱が伝達されず、ノズルの内部温度が350℃超であれば熱可塑性高分子樹脂に過度な熱が供給されて熱可塑性高分子の構造を変化させることができる。
【0093】
ノズルの末端部は、生成された粒子の外的及び内的物性を向上させるためにノズル内部の平均温度より高い温度で維持することができる。ノズルの末端部の温度は熱可塑性高分子のガラス転移温度(T)と熱分解温度(T)との間で決めることができるが、具体的には下記数式5によって決めることができる。
[数式5]
末端部温度=ガラス転移温度(T)+(熱分解温度(T)-ガラス転移温度(T))×B
【0094】
ここで、前記Bは使用する熱可塑性高分子の種類によって変わり得るが、全体的に0.5ないし1.5、具体的には0.85ないし1.45である。前記Bが0.5未満であればノズル末端部の温度上昇による粒子の外的及び内的物性の向上が期待し難いし、前記Bが1.5超であればノズルの末端部から熱可塑性高分子に実質的に伝達される熱が過度に増加して熱可塑性高分子の構造が変形される場合がある。前記ガラス転移温度及び熱分解温度は、高分子の種類、重合度、構造などによって変わり得る。本発明の一具体例によると、ノズルの末端部はノズルの平均温度より高く維持されるため、場合によってノズルの末端部にさらに加熱手段を備えてもよい。
【0095】
(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階
ノズルから吐出された熱可塑性高分子粒子は冷却チャンバーに供給される。ノズルと冷却チャンバーは離隔して位置させることができ、この場合、吐出された熱可塑性高分子粒子が冷却チャンバーに供給される前に周りの空気によって1次的に冷却される。ノズルからは熱可塑性高分子粒子だけでなく高温の空気も一緒に排出されるが、ノズルと冷却チャンバーを離隔させることで高温の空気を冷却チャンバーではなく外部へ排出することができるので、冷却チャンバーで冷却効率を高めることができる。本発明の一具体例によると、冷却チャンバーはノズルと0.1ないし1.0m、具体的には0.15ないし0.4m、より具体的には0.2ないし0.3m離隔して位置する。前記距離より離隔距離が短い場合は冷却チャンバー内に多量の高温の空気が注入されて冷却効率が低く、前記距離より離隔距離が長い場合は周りの空気によって冷却される量が多くなって冷却チャンバーによる急速な冷却が行われない。また、ノズルから熱可塑性高分子粒子を吐出する時、噴射角は10ないし60゜であるが、該当角度で熱可塑性高分子粒子を吐出する場合、ノズルと冷却チャンバーの離隔による効果を倍加することができる。
【0096】
冷却チャンバーは、冷却チャンバー内部に低温の外部空気を供給して前記空気と熱可塑性高分子粒子を接触させることにより、熱可塑性高分子粒子を冷却することができる。前記低温の外部空気は冷却チャンバー内で回転気流を形成し、前記回転気流によって冷却チャンバー内で熱可塑性高分子粒子の滞留時間を十分確保することができる。冷却チャンバーに供給される外部空気の流量は熱可塑性高分子粒子の供給量によって調節することができ、本発明の一具体例によると、前記外部空気を1ないし10m/minの流量で冷却チャンバーに供給することができる。前記冷却チャンバーは25ないし40℃の内部温度を持ち、このような温度を維持するために前記外部空気は-30ないし-10℃の温度を持つことが好ましい。前記冷却チャンバーは前記外部空気注入口を複数個備え、前記複数個の外部空気注入口は熱可塑性高分子粒子の自由落下の流れに邪魔にならないように取り付けることができる。また、冷却チャンバーの上部に外部空気注入口を複数個備えることができ、前記外部空気注入口は冷却チャンバーの同心円を基準にして1/2ないし3/4の地点に設けることができる。また、冷却チャンバーの側面に外部空気注入口を複数個備えることができ、前記外部空気注入口の空気流入速度が0.5~10m/秒になるように設定することができる。冷却チャンバーに供給される熱可塑性高分子粒子と対比して大幅に低い温度の外部空気を冷却チャンバー内に供給することによって、熱可塑性高分子粒子が急速に冷却されて吐出時に高温の熱可塑性高分子粒子の内部構造を適当に維持することができる。熱可塑性高分子粒子は、製品製造のために実際に適用する時には再び加熱されるが、この時、再加熱された熱可塑性高分子粒子は加工に有利な物性を持つ。
【0097】
(4)冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階
低温の外部空気によって冷却されたポリプロピレン粒子は40℃以下に冷却されて排出され、排出された粒子はサイクロンまたはバックフィルターを通して捕集される。この時、複数のサイクロンを直列または並列に使用して粒子を捕集することができる。また、前記複数のサイクロンは互いに圧力条件を異にして粒子の捕集を調節することができる。
【0098】
熱可塑性高分子粒子製造用ノズル
本発明は、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルであって、前記ノズルの投入部と吐出部は複数個の流路で連結されていることを特徴とする、熱可塑性高分子粒子製造用ノズルを提供する。
【0099】
前記熱可塑性高分子粒子製造用ノズルの具体的な内容は、前述した熱可塑性高分子粒子の製造方法で使用したノズルと同一である。
【実施例
【0100】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0101】
実施例1(ポリプロピレン樹脂)
ポリプロピレン樹脂(PolyMirae、MF650Y、Mw:約90,000g/mol、ガラス転移温度(T):約10℃、熱分解温度(T):約300℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし200℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を200℃から225℃に昇温するように設計し、約15kg/時の押出量の条件で設定して押し出した。また、前記押出機内に16L/分の流量の窒素気体を押出機の先端に注入した後、押出機の末端から抜け出せるようにした。押し出されたポリプロピレン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリプロピレン樹脂は約10Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリプロピレン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20と設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約300℃の内部温度及び約400℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.34である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ(数式4によるX値が9.2である)。また、約470℃の窒素空気を150m/秒の流量でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリプロピレン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔され、30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0102】
実施例2(熱可塑性ポリウレタン)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(Lubrizol、LZM-TPU-95A、Mw:約100,000g/mol、ガラス転移温度(T):約-19℃、熱分解温度(T):約330℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を160℃から170℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を170℃ないし210℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を210℃から220℃に昇温するように設計し、約15kg/時の押出量の条件で設定して押し出した。また、前記押出機内に16L/分の流量の窒素気体を押出機の先端に注入した後、押出機の末端から抜け出せるようにした。押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂は約5Pa・sの粘度を持ち、前記押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約280℃の内部温度及び約335℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.01である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約340℃の窒素気体を150m/秒の流量でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給された熱可塑性ポリウレタン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0103】
実施例3(ポリ乳酸)
ポリ乳酸樹脂(Total Corbion、L105、Mw:約120,000g/mol、ガラス転移温度(T):約62℃、熱分解温度(T):約340℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を150℃から160℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を160℃ないし190℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を190℃から200℃に昇温するように設計し、約5kg/時の押出量の条件で設定して押し出した。また、前記押出機内に16L/分の流量の窒素気体を押出機の先端に注入した後、押出機の末端から抜け出せるようにした。押し出されたポリ乳酸樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリ乳酸樹脂は約10Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリ乳酸樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約300℃の内部温度及び約400℃の末端部温度(数式5によるB値は約0.82である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約420℃の窒素気体を150m/秒の流量でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリ乳酸樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0104】
実施例4(ポリアミド)
ポリアミド樹脂(BASF、Ultramid(登録商標)8202C、Mw:約65,000g/mol、ガラス転移温度(T):約50℃、熱分解温度(T):約450℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を240℃から250℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を250℃ないし300℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を300℃から320℃に昇温するように設計し、約15kg/時の押出量の条件で設定して押し出した。また、前記押出機内に16L/分の流量の窒素気体を押出機の先端に注入した後、押出機の末端から抜け出せるようにした。押し出されたポリアミド樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリアミド樹脂は約20Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリアミド樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約430℃の内部温度及び約470℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.05である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約550℃の窒素を150m/秒の流量でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリアミド樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0105】
実施例5(ポリエーテルスルホン)
ポリエーテルスルホン樹脂(BASF、E1010、Mw:約45,000g/mol、ガラス転移温度(T):約220℃、熱分解温度(T):約460℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を370℃から380℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を380℃ないし400℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を400℃から420℃に昇温するように設計し、約15kg/時の押出量の条件で設定して押し出した。また、前記押出機内に16L/分の流量の窒素気体を押出機の先端に注入した後、押出機の末端から抜け出せるようにした。押し出されたポリエーテルスルホン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリエーテルスルホン樹脂は約20Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリエーテルスルホン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約440℃の内部温度及び約480℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.08である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約580℃の窒素気体を150m/秒の流量でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリエーテルスルホン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0106】
比較例1-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0107】
比較例1-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を130℃から140℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を140℃ないし170℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を170℃から200℃に昇温するように設定したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0108】
比較例1-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0109】
比較例1-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0110】
比較例1-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0111】
比較例1-6
押出機内部に窒素気体を注入しないことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0112】
比較例1-7
窒素気体の代わりに一般空気(air)を吐出部から吐出される高分子樹脂に噴射することを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0113】
比較例2-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0114】
比較例2-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし180℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を180℃から200℃に昇温するように設定したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0115】
比較例2-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0116】
比較例2-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0117】
比較例2-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0118】
比較例2-6
押出機内部に窒素気体を注入しないことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0119】
比較例2-7
窒素気体の代わりに一般空気(air)を吐出部から吐出される高分子樹脂に噴射することを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0120】
比較例3-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0121】
比較例3-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし170℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を170℃から180℃に昇温するように設定したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0122】
比較例3-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0123】
比較例3-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0124】
比較例3-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0125】
比較例3-6
押出機内部に窒素気体を注入しないことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0126】
比較例3-7
窒素気体の代わりに一般空気(air)を吐出部から吐出される高分子樹脂に噴射することを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0127】
比較例4-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0128】
比較例4-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を230℃から240℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を240℃ないし280℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を280℃から300℃に昇温するように設定したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0129】
比較例4-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0130】
比較例4-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0131】
比較例4-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0132】
比較例4-6
押出機内部に窒素気体を注入しないことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0133】
比較例4-7
窒素気体の代わりに一般空気(air)を吐出部から吐出される高分子樹脂に噴射することを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0134】
比較例5-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0135】
比較例5-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を360℃から370℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を370℃ないし390℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を390℃から400℃に昇温するように設定したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0136】
比較例5-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0137】
比較例5-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0138】
比較例5-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0139】
比較例5-6
押出機内部に窒素気体を注入しないことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0140】
比較例5-7
窒素気体の代わりに一般空気(air)を吐出部から吐出される高分子樹脂に噴射することを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0141】
実験例1
実施例1ないし5及び比較例1-1ないし5-5によって製造された高分子樹脂粒子の粒度分布を下記のような方法で測定して、下記表1ないし表2に示す。具体的に、実施例3及び比較例3-1ないし3-5の粒度分布は、下記1-2)方式でサンプルの前処理を行い、実施例3を除いた全ての実施例及び比較例3-1ないし3-5を除いた全ての比較例は1-1)方式でサンプルの前処理を行った。その後、2)方式によって粒度分布を測定した。
1-1)サンプル前処理:エタノールにパウダーサンプルを0.003wt%ぐらい入れて50Watt/30kHzの超音波分散機を利用して最大振幅の30%に設定、約120秒間超音波を励振してパウダーサンプルをエタノール相に分散させる。
1-2)サンプル前処理:分散剤でPEO/PPOエチレン誘導体を0.1wt%添加した蒸溜水にパウダーサンプルを0.003wt%ぐらい入れて、50Watt/30kHzの超音波分散機を利用して最大振幅の30%に設定、約120秒間超音波を励振してパウダーサンプルを蒸溜水相に分散させる。
2)粒度分布測定:ISO 13320規格にしたがって粒度分布を測定する。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
前記表1ないし表2によると、実施例1によって製造された粒子の粒径は、比較例1-1ないし1-5によって製造された粒子の粒径とは違って、D90平均粒径の値が25ないし30μm小さいことを確認することができる。実施例2ないし5によって製造された粒子の粒径も前記内容のような傾向を示す。
【0145】
先ず、実施例1ないし5と比較例1-1ないし比較例5-1とを比べると、第1噴射気体のみ使用する比較例1-1ないし比較例5-1の場合、第1~4噴射気体を使用する実施例1ないし5の場合より高分子が気体に遭遇する確率が(回数が)低くなるので、相対的に粒度分布が大きくなる傾向でパウダーが製造される。
【0146】
また、実施例1ないし5と比較例1-2ないし比較例5-2とを比べると、押出機温度条件が全般的に低くなった比較例1-2ないし比較例5-2の場合、押出機で樹脂が受ける熱量が相対的に小くなって実施例1ないし5と対比する時に粒度分布が大きくなる。
【0147】
また、実施例1ないし5と比較例1-3ないし比較例5-3とを比べると、高分子樹脂をメッシュ網を通過させずに粒子を製造した比較例1-3ないし比較例5-3の場合、高分子のゲル化が均一に行われないため、粒径の偏差が大きくなる。すなわち、粒度分布が広くなる。
【0148】
また、実施例1ないし5と比較例1-4ないし比較例5-4とを比べると、ノズルを設計する時、樹脂が投入される投入部の面積は変わらないので、樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)との割合(A/B)が35に設定された比較例1-4ないし比較例5-4のノズルを使用すれば、割合(A/B)が20に設定された実施例1ないし5と対比して大きいため、樹脂の投入量が同一である場合には樹脂の厚さの偏差が大きくなって粒径の偏差が大きくなる。したがって、粒度分布が広くなる。
【0149】
また、実施例1ないし5と比較例1-5ないし比較例5-5とを比べると、気体の流路数が減ると、気体が樹脂に均一な速度でぶつかる確率が低くなるので、粒径の偏差が大きくなって粒度分布が広くなる。
【0150】
また、実施例1ないし5と、比較例1-3ないし比較例5-3、比較例1-4ないし比較例5-4、および比較例1-5ないし比較例5-5とを比べてみると、実施例1ないし5の場合、5ないし20、より具体的には7ないし18のD値を持ち、具体的にポリプロピレンの場合10ないし20、好ましくは13ないし18のD値を持ち、熱可塑性ポリウレタンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を持ち、ポリ乳酸の場合6ないし13、好ましくは8ないし11のD値を持ち、ポリアミドの場合7ないし15、好ましくは8ないし14のD値を持ち、ポリエーテルスルホンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を持つことが分かる。平均粒径の前記粒子が上述した範囲のD値を充たすことによって、平均粒径を中心にして大きい粒子と小さい粒子とが適当な割合で粒子が分布され、実際製品に適用する時に優れた物性を示した。
【0151】
したがって、粒子が実施例1ないし実施例5によって製造された粒子と同じ粒径分布を持つ場合、製品に適用する時に平均粒径のみを調節する場合に持つ短所を効率的に補完することができる。
【0152】
実験例2
前記実施例1ないし5及び比較例1-6ないし1-7、2-6ないし2-7、3-6ないし3-7、4-6ないし4-7及び5-6ないし5-7によって製造された粒子の物性を測定して下記表3に示す。
【0153】
下記の重量平均分子量は、Agilent Technologies社の1200seriesの測定装置を使ってGPC法を利用して測定した。具体的に実施例1及び比較例1-6ないし1-7は1-1)の方式でサンプル前処理を行い、実施例3及び比較例3-6ないし3-7は1-2)の方式で、実施例1及び実施例3、比較例1-6ないし1-7、比較例3-6ないし3-7を除いた他の実施例及び比較例は1-3)の方式でサンプル前処理を行った。
1-1)サンプル前処理:パウダーサンプル30mgを10mlの0.04%濃度のブチル化ヒドロキシトルエン(butylylated hydroxytoluene)溶媒が添加された卜リクロロベンゼン(trichlorobenzene)溶媒を利用して完全に溶解させた後、0.45μmの気孔の大きさ(pore size)を持つポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)フィルターを利用してかける。
1-2)サンプル前処理:パウダーサンプル50mgを10mlのクロロホルム(chloroform)溶媒を利用して完全に溶解させた後、0.45μmの気孔の大きさ(pore size)を持つポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)フィルターを利用してかける。
1-3)サンプル前処理:パウダーサンプル50mgを10mlの0.05モル濃度の臭化リチウム(LiBr)が添加されたジメチルホルムアミド(dimethylformamide)溶媒を利用して完全に溶解させた後、0.45μmの気孔の大きさ(pore size)を持つポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene)フィルターを利用してかける。
【0154】
この後、実施例1及び比較例1-6ないし1-7は高温のGPC機器を利用して重量平均分子量を測定し、実施例2ないし5及び比較例2-6ないし5-7は一般のGPC機器を利用して重量平均分子量を測定し、その結果を下記表3に記載した。
【0155】
下記b*値は、物体の色相測定で黄色と青色の度合いを表現する指標であって、+値が大きいほど黄色を帯びるし、-値が大きいほど青色に近いことを意味する。パウダーをフレームに入れてパウダープレス機を利用して常温で1barで1分、7barで3分プレスしてb*測定用サンプルを作った後、BYK Gardner社のSpectro-guideという携帯用色差計を利用してb*を測定し、その結果を下記表3に記載した。
【0156】
【表3】
【0157】
前記表3によると、比較例1-7の粒子は実施例1粒子と対比して重量平均分子量が低いことが分かった。比較例1-7の場合、吐出部から吐出される高分子樹脂に空気を噴射して微粒化する過程で高分子と空気に含まれた酸素が酸化反応することによって高分子チェーンの鎖が切れ、これによって高分子分子量の重量平均分子量が小くなるためである。しかし、実施例1の場合、高分子樹脂に不活性気体である窒素ガスを噴射することによって酸化反応が起きないため、分子量が低減されないことが分かった。また、比較例1-6の粒子は実施例1と比べて分子量の変化が大きくないことが分かるが、これは押出機内に窒素を流入することより、ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂に窒素ガスを噴射して微粒化することが分子量低下を防ぐ方法としてもっと効果的であることを意味する。
【0158】
また、比較例1-7の粒子は実施例1の粒子と対比して色変化が起きることが分かった。これもまた比較例1-7の場合、吐出部から吐出される高分子樹脂に空気を噴射して微粒化する過程で高分子と空気に含まれた酸素が酸化反応することによってラジカルが形成され、チェーンの二重結合が発生し、このような二重結合によって発色団が生成されて黄変が起きる。しかし、実施例1の場合、高分子樹脂に不活性気体の窒素ガスを噴射することによってラジカルの形成が抑制され、二重結合発生による発色団の生成を防いで、黄変を防ぐことができた。また、比較例1-6の粒子は実施例1と比べてb*値の変化が大きくないことが分かるが、これは押出機内に窒素を流入するより、ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂に窒素ガスを噴射して微粒化することが黄変を最小化する方法としてもっと効果的であることを意味する。
【0159】
実施例2ないし5によって製造された粒子と比較例2-6ないし2-7、3-6ないし3-7、4-6ないし4-7及び5-6ないし5-7によって製造された粒子も前記内容と同様の傾向を示す。
【0160】
本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の領域に属することであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲によって明確になる。
【符号の説明】
【0161】
10・・・ノズル
20・・・第1の気体の流れ(第1噴射気体、第2噴射気体)
30・・・熱可塑性高分子樹脂と第4の噴射気体の流れ
40・・・第2の気体の流れ(第3噴射気体)
50・・・第4噴射気体
60・・・第1噴射気体
70・・・第2噴射気体
80・・・第3噴射気体
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】