(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】胆管癌の処置のためのパノビノスタットを含む併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4045 20060101AFI20221108BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221108BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221108BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20221108BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20221108BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/166 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20221108BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
A61K31/4045
A61P1/16
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/282
A61K33/24
A61K31/519
A61K31/661
A61K31/4745
A61K31/4545
A61K31/506
A61K31/704
A61K31/337
A61K31/166
A61K31/517
A61K31/5377
A61K31/5517
A61K31/404
A61K31/4706
A61K31/352
A61K31/343
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516195
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020075556
(87)【国際公開番号】W WO2021048412
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522096972
【氏名又は名称】シールド・アクシェセルスカプ
【氏名又は名称原語表記】Seald AS
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス,テレサ
(72)【発明者】
【氏名】ガーデ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ホーヴィグ,アイヴィン
(72)【発明者】
【氏名】クラーヴェネス,ヨー
(72)【発明者】
【氏名】ランスクロン,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】タスケン,シェーティ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーベ,トーヴェ セシリエ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
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(57)【要約】
本発明は、胆管癌の処置のための組成物および方法および特に胆管癌の処置に使用するための、他の細胞毒性剤、例えばパノビノスタットの効果を増強する薬剤と組み合わせてパノビノスタット組成物を含む併用療法に関する。パノビノスタットおよび他の細胞毒性剤を含む医薬組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における胆管癌の処置に使用するためのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および細胞毒性剤を含む製品であって、ここで、細胞毒性剤がカルボプラチン、BI2536、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブ、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の何れか1以上から選択される、製品。
【請求項2】
パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および細胞毒性剤が別々の、同時のまたは逐次の使用もしくは投与のためである、請求項1の使用のための製品。
【請求項3】
細胞毒性剤がカルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物のいずれか1以上から選択される、請求項1または2の使用のための製品。
【請求項4】
該胆管癌が肝内胆管癌である、請求項1~3の何れかの使用のための製品。
【請求項5】
該胆管癌が肝外胆管癌である、請求項1~3の何れかの使用のための製品。
【請求項6】
該パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩が薬理学的に許容される添加物と共に医薬組成物に提供される、請求項1~5の何れかの使用のための製品。
【請求項7】
医薬組成物が経口投与のために製剤化される、請求項6の使用のための製品。
【請求項8】
医薬組成物が錠剤またはカプセル剤の形態である、請求項6または7の使用のための製品。
【請求項9】
医薬組成物がダサチニブ、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブ、BI2536、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩の何れか1以上から選択される追加の細胞毒性剤を含む、請求項6~8の何れかの使用のための製品。
【請求項10】
追加の細胞毒性剤がダサチニブ、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブ、BI2536、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩の何れか1以上から選択される、請求項6~9の何れかの使用のための製品。
【請求項11】
細胞毒性剤が非経腸投与用に製剤化される、請求項1~7の何れかの使用のための製品。
【請求項12】
細胞毒性剤が注射または点滴、好ましくは静脈内注射または点滴による投与のために製剤化される、請求項11の使用のための製品。
【請求項13】
非経腸投与のための細胞毒性剤がカルボプラチン、BI2536、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の何れか1以上から選択される、請求項11または12の使用のための製品。
【請求項14】
パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩およびカルボプラチン、BI2536、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の何れか1以上から選択される細胞毒性剤を含む、キット。
【請求項15】
該パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および該細胞毒性剤が対象における胆管癌の処置のための同時の、別々のまたは逐次使用のためである、請求項14のキット。
【請求項16】
該パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩、細胞毒性剤または胆管癌が請求項4~13の何れかに定義されている、請求項14または15のキット。
【請求項17】
パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩およびダサチニブまたはその薬学的に許容される塩、メトトレキサートまたはその薬学的に許容される塩、トポテカンまたはその薬学的に許容される塩、BI2536またはその薬学的に許容される塩、コンブレタスタチンA4またはその薬学的に許容される塩、ダクトリシブまたはその薬学的に許容される塩、ダポリナドまたはその薬学的に許容される塩、エレスクロモールまたはその薬学的に許容される塩、イスピネシブまたはその薬学的に許容される塩、ルミネスピブまたはその薬学的に許容される塩、モリブレシブまたはその薬学的に許容される塩、オバトクラックスまたはその薬学的に許容される塩、ペリチニブまたはその薬学的に許容される塩、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩およびこれらの組み合わせから選択される細胞毒性剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
組成物が経口投与のために製剤化される、請求項17の医薬組成物。
【請求項19】
組成物が錠剤またはカプセル剤の形態である、請求項17または18の医薬組成物。
【請求項20】
対象における胆管癌の処置に使用するための、請求項17~19の何れかの医薬組成物。
【請求項21】
カルボプラチン、BI2536、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブ、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の何れか1以上から選択される細胞毒性剤と組み合わせて対象における胆管癌の処置に使用するための、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および細胞毒性剤が別々の、同時のまたは逐次的使用もしくは投与のためである、請求項21の使用のためのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
細胞毒性剤がカルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物のいずれか1以上から選択される、請求項21または22の使用のためのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、胆管癌の処置のための組成物および方法に関する。より具体的に、本発明は、胆管癌の処置に使用するための他の細胞毒性剤、例えばパノビノスタットの効果を増強する薬剤と組み合わせてパノビノスタット組成物を含む併用療法およびパノビノスタットを他の細胞毒性剤、例えばパノビノスタットの効果を増強する薬剤と組み合わせて投与することによる、胆管癌の処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
種々の臓器や組織の特定の細胞型に由来する100を超える癌の形態がある。National Cancer Institute(NCI)は、癌の主なタイプをリストしており(https://www.cancer.gov/types)、その各々は、分子マーカーの発現、遺伝子発現プロファイル、遺伝子変異量および形質転換発癌性変異に基づいてさらにグループ分けおよび分類することができる。そのような例の1つは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体およびHER2受容体の発現に従ってさらに分類される乳癌である。さらに、トリプルネガティブ乳癌は、上記の受容体のいずれも発現しない。
【0003】
ほとんど全ての形態の癌について、腫瘍が疾患進行の初期段階で診断され、癌がその進展の病期に従ってグループ分けもされるならば、予後ははるかに良好となる。癌の種々の形態と病期には、一般に異なる処置プロトコルがある。
【0004】
処置が確立されかつ利用可能な治療レジメに基づいているならば、どのような診断に対しても、癌処置はさらに第一選択、第二選択、第三選択に分けられる。種々の形態の癌の好ましい処置法は、国によって多少異なる場合もある。
【0005】
胆管癌(CCA、胆道癌とも呼ばれる)は、ヨーロッパおよび北アメリカで稀な原発性悪性腫瘍の1つである。しかしながら、アジア諸国では多く見られる(Boris Blechacz: Cholangiocarcinoma: Current Knowledge and New Developments in Gut Liver. 2017 Jan; 11(1): 13-26)。
【0006】
胆管癌では、癌細胞は、肝内または肝外のいずれかで、胆管に発生する。したがって、CCAは肝内CCAと肝外CCAに分けることができる。CCAの60~80%を占める肝外CCAは、肺門周囲CCAおよび遠位CCAに細分される。ノルウェーにおける胆管癌の主な処置は手術である。しかしながら、肝外CCAの70~80%は治癒的切除の候補ではない。放射線療法は治療プロトコルに追加され、価値がある。患者が転移性胆管癌を有するならば、薬物処置は、一般に、オキサリプラチン、カペシタビンまたはシスプラチンと組み合わせたゲムシタビンである。
【0007】
近年、胆管癌を複数薬物および複数の配合剤で処置するための種々の臨床研究が科学文献およびデータベースで報告されている。これらの処置研究には、モノクローナル抗体(「Mab」)、キナーゼ阻害剤(「Nib」)およびその他の薬物などの標的療法が含まれる。
【0008】
例えば、WO2017/202806は、胆嚢癌および胆管癌ならびに他の癌に対する免疫療法で使用するためのペプチドおよびペプチドの組み合わせに関する。
【0009】
WO2017/037299は、治療有効量のバリチニブを投与することにより、胆管癌などの胆道管の癌を処置する方法を提供する。
【0010】
W02008/023947は、LICAM活性阻害剤または発現抑制剤を含む、胆管癌の増殖または転移を阻害するための医薬組成物およびその組成物を使用する処置方法を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、新規治療法の開発にもかかわらず、胆管癌は依然として、化学療法に対する応答が低く、かつ抵抗性を示す致命的な合併症を伴う壊滅的な悪性腫瘍であると考えられている。
【0012】
胆管癌を有する患者の予後は一般的に極めて不良であり、胆管癌における薬物処置の臨床的価値は限られている。5年生存率は5%未満であり、腫瘍が手術不能のとき、0%である。平均生存期間は12カ月である。したがって、改善された治療法に対する喫緊の医学的必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明に至る研究において、本発明者らは、いくつかの胆管癌細胞株に対するそれらの効果を単独でおよび組み合わせて広範に評価するために、380種を超える既知の抗癌関連原薬(例えば、細胞毒性剤)を選択した。胆管癌細胞株に対する活性と組み合わせた物質の低用量での有効性、良性の副作用、既知の作用機序などの既知の特性に基づいた選択のラウンドの後、本発明者らは、パノビノスタットが肝内および肝外胆管癌細胞株の両方に対して特に有効であることを見出した。試験した薬物および薬物の組み合わせのごく一部のみが細胞アッセイで活性であったことを考えると、これは特に驚くべきことであった。
【0014】
さらに、本発明者らは、いくつかの選択された原薬(例えば、細胞毒性剤)が、1以上の胆管癌細胞株に対するパノビノスタットの抗癌活性を増強できることを決定した。
【0015】
したがって、最も広い範囲で、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を投与することおよび該対象に治療有効量のパノビノスタットの治療効果を増強(すなわち強化)する細胞毒性剤またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、ここで、該細胞毒性剤が治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与される、方法を含む。
【0016】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するための、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩およびパノビノスタットの治療効果を増強(すなわち強化)する細胞毒性剤またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0017】
他の実施態様において、本発明は、パノビノスタットの治療効果を増強(すなわち強化)する細胞毒性剤またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて、対象における胆管癌の処置に使用するための、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
さらなる実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するための、対象に別々の、同時のまたは逐次的使用もしくは投与するための細胞毒性剤との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。ある実施態様において、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および細胞毒性剤を含む合剤(combined preparation)、例えば医薬組成物を提供するために、細胞毒性剤と製剤化し得る。
【0019】
本発明はまた対象における胆管癌の処置のために対象に別々の、同時のまたは逐次的使用もしくは投与するための細胞毒性剤との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。ある実施態様において、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および細胞毒性剤を含む合剤、例えば医薬組成物を提供するために、細胞毒性剤と製剤化し得る。
【0020】
発明の詳細な説明
パノビノスタット((E)-N-ヒドロキシ-3-[4-[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)エチルアミノ]メチル]フェニル]プロプ-2-エンアミド)は、下記構造を持つヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の酵素阻害剤である。パノビノスタットはNovartisから入手できる。あるいは、パノビノスタットは、引用により本明細書に包含させる、WO02/22577に記載のとおり製造され得る。ここでのパノビノスタットの記載は、その塩を含む。
【化1】
【0021】
薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される塩基付加塩および酸付加塩、例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属塩などの金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩およびアミノ酸付加塩、ならびにスルホン酸塩が含まれる。酸付加塩には、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸付加塩およびアルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩などの有機酸付加塩が含まれる。金属塩の例は、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩および亜鉛塩である。アンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。有機アミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペリジンとの塩である。アミノ酸付加塩の例は、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸およびリジンとの塩である。スルホン酸塩には、メシル酸塩、トシル酸塩およびベンゼンスルホン酸塩が含まれる。
【0022】
好ましい塩には、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩および乳酸塩などの有機酸付加塩が含まれる。乳酸塩が特に好ましい。
【0023】
上記の薬学的に許容される塩のリストは、特に断らない限り、ここに記載する全ての原薬(例えば、パノビノスタットおよび下記細胞毒性剤)に適用される。
【0024】
ここに記載の「薬学的に許容される」とは、本発明の方法または使用において使用される他の成分と適合性であり、かつレシピエントに生理学的に許容される成分をいう。
【0025】
「胆管癌」または「CCA」は、肝内または肝外(肺門周囲および遠位であり得る)であり得る胆管癌である。CCAの90%以上が腺癌である。ある実施態様において、処置されるCCAは転移性CCAである。ある実施態様において、処置されるCCAは肝内CCAである。ある実施態様において、処置されるCCAは、肝外CCAである。
【0026】
実施例に詳述するとおり、本発明者らは、本発明の併用療法が種々の細胞株に種々の効果を有することを決定した。これに関し、細胞株は個々の腫瘍に由来し、CCAの種々の形態を代表していると見なすことができる。例えば、各細胞株は、CCA腫瘍で共通して見られる1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度、細胞形態またはこれらの組み合わせを有し得る。従って、特定の細胞株の増殖阻害または殺細胞に特に有効であるとされるここに開示する併用療法は、CCA細胞株に関連する1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー(例えば変異)、増殖速度および/または細胞形態、例えばCCA細胞株に特異的な1以上の特徴を有するCCA腫瘍の処置に特に有用である。
【0027】
例えば、EGI-1(CVCL_1193)およびTFK-1(CVCL_2214)細胞株は、男性対象の肝外CCA腫瘍の外植片に由来する(引用によりここに包含させるShimizuetal. Int. J. Cancer 52:252-260(1992))。したがって、ある実施態様において、ここに開示する併用療法は、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特性、例えば1以上の遺伝子マーカー、成長速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍(例えば肝外CCA腫瘍)を有する対象を治療するために使用することができる。
【0028】
CC-SW-1細胞株は、女性対象の肝内CCA腫瘍の外植片に由来する。したがって、ある実施態様において、ここに開示する併用療法は、CC-SW-1細胞株に特異的な1以上の特性、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍(例えば肝内CCA腫瘍)を有する対象を処置するために使用することができる。
【0029】
HuCC-T1細胞株は、転移性肝内CCA腫瘍を有する男性対象の腹水に由来する。したがって、ある実施態様において、ここに開示する併用療法は、HuCC-T1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば、1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有する肝内胆管腫瘍を有する対象(例えば、肝内CCA腫瘍、例えば、転移性肝内胆管を有する対象)を処置するために使用され得る。
【0030】
実施例のセクションでは、どの併用療法が各細胞株で有効であり、したがってどの治療が上記で定義されたCCA腫瘍の処置に有効である可能性があるかを説明する。代表的な例では、実施例26および27は、トラメチニブおよびドキソルビシンが、CC-SW-1細胞株におけるパノビノスタットの効果を増強するのに特に効果的であることを示している。したがって、ある実施態様において、本発明は、CC-SW-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍(例えば肝内CCA腫瘍)を有する対象の処置に使用する、パノビノスタットおよびトラメチニブまたはドキソルビシンとの併用療法(例えば、ここに定義するとおり、その塩等を含む)を提供する。
【0031】
いくつかの併用療法は1を超える細胞株に対して効果的であるため、例えば、トラメチニブは、CC-SW-1、EGI-1、HuCC-T1およびTFK-1細胞株におけるパノビノスタットの効果を増強し、複数の特定の細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍、例えばCC-SW-1細胞株に特異的な特徴およびHuCC-TI細胞株に特異的な特徴を有するCCA腫瘍を有する対象の処置に有用であり得る。
【0032】
CCA細胞株に特異的な特徴または特徴の組み合わせ(例えば、変異などの遺伝子マーカーの組み合わせ)は、CCA細胞株に存在し、正常(すなわち、健常)胆管細胞および/または1以上の他のCCA細胞株には見られない特徴または特徴の組み合わせをいう。
【0033】
これに関し、実施例29は、上記のCCA細胞株の遺伝子分析および各細胞株における同定された変異を記載する。したがって、ある実施態様において、EGI-1細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、KRAS、TP53、ASXL1、PDGFRA、MYH11、E2F1、AHNAK、SAFB2、NOTCH1、PEG3、CADM3、SPI1、AR、HCAR2、PPP1R1Bまたはこれらの組み合わせから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。ある実施態様において、これらの遺伝子の変異は、実施例29に記載されている通りである。ある実施態様において、EGI-1細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、KRASおよび/またはTP53、特にKRASのGly12Aspおよび/またはTP53のArg273Hisから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。
【0034】
ある実施態様において、TFK-1細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、BAP1、PBRM1、IKZF3、PAWR、FGFR3、STIL、SEMA3F、PCM1、FGF5、WHSC1、TP53(例えばTrp91Ter、272G>A)またはこれらの組み合わせから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。ある実施態様において、これらの遺伝子の変異は、実施例29に記載するとおりである。
【0035】
ある実施態様において、HuCC-TI細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、KRAS、TP53、FBXW7、LETMD1、SETD2、KDM5A、MYO18B、RB1、DNAJA3、CDT1、ZFP36L2、MAF、GMPS、NPAS2、CNTNAP2、MSH6(例えばLys1358fs*2、コード配列4071_4072insGATT)またはこれらの組み合わせから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。ある実施態様において、これらの遺伝子の変異は、実施例29に記載するとおりである。ある実施態様において、HuCC-TI細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、KRASおよび/またはTP53、特にKRASのGly12Aspおよび/またはTP53のArg175Hisから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。
【0036】
ある実施態様において、CC-SW-1細胞株に関連する1以上の特徴を有するCCA腫瘍は、PDGFRA、CCAR2、RECK、ZNF292、PYHIN1、DSPまたはこれらの組み合わせから選択される遺伝子に1以上の変異を有し得る。ある実施態様において、これらの遺伝子の変異は、実施例29に記載するとおりである。
【0037】
ここに定義するとおり、本明細書で使用される「処置」または「処置する」は、臨床状態または障害の管理に有益な何らかの効果またはステップ(または介入)を広くいう。したがって、処置は、処置されている胆管癌(CCA)の1以上の症状を、処置前の症状と比較して、軽減、緩和、改善、進展遅延または除去またはいずれにしても対象の臨床状態を改善することを指し得る。処置には、処置プログラムまたはレジメンに寄与するまたはその一部である臨床段階または介入が含まれ得る。特に、前記処置は、処置されるCCAのサイズまたは体積の減少を含み得る。
【0038】
処置は、例えば、処置前のCCAまたは症状と比較して、CCAの1以上の症状の発症を遅延、制限、軽減または予防することを含み得る。したがって、処置には、CCAの症状の発生または発症の絶対的な予防およびCCAまたは症状の発症の何らかの遅延またはCCAまたは症状の発症または進行の軽減または制限の両方が明示的に含まれる。
【0039】
したがって、本発明による処置には、CCA細胞の死滅、阻害または増殖遅延、あるいはCCA細胞の本体または集団(例えば、組織、腫瘍または成長における)のサイズの増加、CCA細胞数の減少またはCCA細胞の(例えば、別の解剖部位への)拡散の防止、細胞増殖サイズの減少等が含まれる。用語「処置」は、必ずしも、CCA細胞増殖またはCCA細胞の増殖の治癒または完全な根絶または排除を意味するものではない。
【0040】
「対象」または「患者」は、動物(すなわち、あらゆるヒトまたは非ヒト動物)、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
【0041】
ここに記載する治療剤または原薬(例えば、パノビノスタット、細胞毒性剤)は、何等かの適切な手段を使用して対象に投与することができ、投与経路は治療剤に依存する。ある実施態様において、治療剤は全身投与される。
【0042】
「全身投与」には、CCAに直接隣接するかまたは局所的に近接する以外の部位で薬剤が身体に投与され、その結果、全身が投与される薬剤を受け取る、あらゆる形態の非局所投与が含まれる。好都合なことに、全身投与は、経腸送達(例えば、経口)または非経腸送達(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)を介することができる。
【0043】
パノビノスタットは、あらゆる適切な医薬形態で投与することができる。例えば、パノビノスタットは、パノビノスタットまたはその塩を薬理学的に(または薬学的に)許容される賦形剤と共に含む医薬組成物として提供され得る。
【0044】
添加物は、当分野で知られるあらゆる添加物、例えば、あらゆる担体または希釈剤またはあらゆる他の成分または薬剤、例えば、緩衝剤、抗酸化剤、キレート剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤、風味剤、着色剤、流動促進剤、潤滑剤、防腐剤、吸着剤および/または甘味剤などを含み得る。
【0045】
添加物は、例えば、乳酸、デキストロース、メタ重硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、微結晶性セルロース、ラクトース、デンプン、キトサン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、デキストリン、デキストリン、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、ゼラチン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、粉末セルロース、アルファ化デンプン、塩化ナトリウム、ソルビトール、プロピレングリコールおよび/またはタルクから選択することができる。添加物には一般に、二酸化チタンや種々の酸化鉄などの着色剤も含まれる。
【0046】
上記の添加物のリストは、特に断らない限り、本明細書に記載されている全ての原薬(例えば、以下に記載されているパノビノスタットおよび細胞毒性剤)に適用される。
【0047】
ここに記載する医薬組成物は、当技術分野で知られている任意の形態、例えば、錠剤、カプセル剤、コーティング錠剤、液剤、懸濁液剤、タブ剤、サシェ剤、インプラント、散剤、ペレット剤、エマルジョン剤、凍結乾燥剤、発泡剤またはそれらの何等かの混合物として提供することができる。例えば、胃液抵抗性製剤としておよび/または持続作用型で提供され得る。
【0048】
好ましい実施態様において、パノビノスタット、例えばパノビノスタットまたはその塩を含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。すなわち、パノビノスタットは、本発明の方法および使用において対象に経口投与される。
【0049】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットの最も好ましい剤形は、錠剤またはカプセル剤の形態である。錠剤はコーティング錠であり得る。
【0050】
胆管癌の処置のためのさらに最も好ましい剤形の1つは、カプセルの形態である。
【0051】
パノビノスタットまたはその塩は、何等かの適切な投与計画を使用して、何等かの適切な投与量範囲で投与することができる。当業者は、パノビノスタットの適切な投与量範囲を認識する。ある実施態様において、パノビノスタットまたはその塩は、医薬組成物中に存在し、その典型的な用量範囲で対象に投与される。これは、治療有効量のパノビノスタットと見なすことができる。
【0052】
上記のとおり、パノビノスタットは、別の治療剤、例えば、パノビノスタットの効果を増強する細胞毒性剤との併用療法で使用される。したがって、ある実施態様において、パノビノスタットは、その典型的な用量範囲よりも低い用量範囲で投与され得る。しかしながら、低用量のパノビノスタットが併用療法で使用されるとき、それはそれ自体で高用量のパノビノスタットと同一または同等の治療効果を有する。したがって、ある実施態様において、本発明は、パノビノスタットに対する寛容性が低いまたは平均よりも低い対象、例えば、高齢者、乳幼児、または疾患、栄養失調などによる虚弱者などを処置することを可能にするものでもある。
【0053】
代表的な実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットの臨床用量は、連日または少なくとも週2回、例えば週2~6回、2~5回または2~4回投与で約5~50mg、より好ましくは10~30mgである。好ましい実施態様において、臨床用量は、単回用量製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。
【0054】
上記のとおり、そして実施例において詳述するとおり、本発明者らは、他の様々な細胞毒性剤、例えば抗癌剤と併用することにより、パノビノスタットのCCAに対する効果が増強される可能性があることを見出した。
【0055】
故に、本発明は、パノビノスタットを他の細胞毒性剤、例えば抗癌薬物と組み合わせる、胆管癌の処置のための治療レジメに関する。
【0056】
故に、ここに記載する追加の細胞毒性剤(例えば、抗癌剤)は、増感効果を提供するために、すなわち、(例えば、CCAの処置において)パノビノスタットの効果を増強する(または、代わりに、増加、増大または強化する)ためにまたは対象(またはより具体的には対象に存在するCCA細胞または腫瘍)をパノビノスタットの影響を受けやすくするために使用され得る。したがって、ある実施態様において、パノビノスタットは一次薬物(治療剤)と見なすことができ、追加の細胞毒性剤は二次薬物(治療剤)と見なすことができる。
【0057】
用語「一次薬物」および「一次治療剤」は、「二次薬物」または「二次治療剤」と比較してより高い相対用量で投与される薬物をいう。例えば、一次薬物は、その最大耐量(例えば、最大耐量の少なくとも70%、80%または90%、例えば、100%)でまたはそれに近い用量で投与され、二次薬物は、その最大耐量よりも実質的により少ない用量(例えば、最大耐量の70%、60%または50%未満)で投与される。例えば、二次薬物は、IC20用量でまたはその近くで投与され得る。異なる薬剤は異なる投与量範囲を有するので、それがその最大耐量より実質的に少ない用量で投与される場合でさえ、二次薬剤が一次薬剤よりも高い絶対用量で投与され得ることは明らかである。
【0058】
最大耐量(MTD)は、許容できない毒性を伴わず、望ましい効果を生み出す薬理学的処置の最高用量をいう。当業者は、ここに開示するある細胞毒性剤のMTDを認識する。
【0059】
ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、パノビノスタット単独のIC50と比較して、パノビノスタットのIC50値を低下させるあらゆる薬剤であり得る。IC50は、実施例に記載されているインビトロ法などの何らかの適切な方法を使用して決定することができる。
【0060】
下記実施例は、特定の用量のパノビノスタットと組み合わせて使用すると、一部の細胞毒性薬のIC50が低下する可能性があることを示している。したがって、ある実施態様において、パノビノスタットは、追加の細胞毒性剤の治療効果を増強し得る、例えば、追加の細胞毒性薬のIC50を低減し得る。すなわち、ある実施態様において、パノビノスタットを二次薬物として使用(すなわち、投与)することができ(例えば、その最大耐量よりも実質的に少ない用量で)、追加の細胞毒性剤を一次薬物として(例えば、最大耐量またはそれに近い用量で)投与し得る。ある実施態様において、追加の細胞毒性剤の治療効果に対するパノビノスタットの効果、例えば、追加の細胞毒性剤のIC50の低下は、パノビノスタットに対する追加の細胞毒性剤の効果に加えられ得る。
【0061】
好ましい実施態様において、パノビノスタットは、ここに開示する組み合わせにおける一次薬物として使用される。
【0062】
用語「IC50」は、特定の生物学的または生化学的機能を阻害する物質の有効性の尺度である。したがって、本発明の文脈において、IC50は、インビトロでのCCA細胞生存率の50%の阻害(減少)に必要とされる薬物(例えば、パノビノスタット)の濃度を表す。同様に、用語「IC20」は、インビトロでのCCA細胞生存率の20%阻害(減少)に必要な薬物の濃度を表する。したがって、阻害濃度(IC)は、物質の致死濃度(LC)または致死量(LD)と見なすことができる。これらの用語は、インビボ試験で投与量を説明するために使用される。
【0063】
ここに記載する細胞毒性剤(すなわち、抗癌薬物)は、一般に、臨床使用で有害事象を伴う。毒性ならびに有害事象の頻度および重症度は、一般に、用量に相関する。用量が高ければ、副作用はより頻繁でありかつより深刻である。抗癌剤は、一般に、有効性を最大化するために、可能な限り最高の臨床用量(最大耐量)で使用される。したがって、可能であれば、抗癌薬物の癌細胞のIC50を低下させることは臨床的に重要である。
【0064】
細胞毒性剤がCCA細胞における一次薬物(例えば、パノビノスタット)のIC50を低下させる能力は、デルタ(Δ)IC50を提供するための特定の細胞株のIC50用量の変化を測定することによって決定され得る。デルタIC50は、特定の物質の単剤療法曲線が、第二化合物との組み合わせ処置によってどのように影響を受けるかに関するものである。本明細書のいくつかの実施例において、様々な細胞株において、二次薬物(追加の細胞毒性剤)は、それらのIC20濃度で、様々な濃度の一次薬物(例えば、パノビノスタット)に追加される。二次薬剤が一次薬剤のIC50を低下させるならば、二次薬剤は一次薬剤の効果を増強すると見なし得る。上記のとおり、併用の臨床転帰は、一次薬剤の用量を減らし、副作用の頻度および/または副作用の重症度を減らすことができるということである。別の選択肢は、CCAの処置のための薬剤の臨床的有効性を改善するために一次薬剤の通常の用量を維持することである。ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、パノビノスタットのIC50値を少なくとも約10%、例えば、少なくとも約12%、15%、20%、25%、30%、40%または50%減少させ得る。ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、パノビノスタットのIC50値を少なくとも約60%、70%、80%、90%または100%減少させ得る。
【0065】
ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、パノビノスタットと組み合わせて使用されるならば、同じ用量または濃度のパノビノスタットに対して、パノビノスタット単独よりもCCAの処置においてより効果的(例えば、相加的または相乗的)であるあらゆる薬剤である。
【0066】
「組み合わせ指数」(CI)は、2種の原薬の組み合わせの有効性の定量的評価を提供する。例えば、2つの薬の組み合わせは相乗的(有効性は2種の薬物の相加効果よりも大きい、例えば2+2=5)、相加的(有効性は個々の薬物の有効性の合計、例えば2+2=4)または拮抗的(有効性は個々の薬物の有効性の合計よりも小さい、例えば2+2=3)に機能する可能性がある。CIは、CalcuSynソフトウェア(Biosoft, Ferguson, MO)を使用してChou-Talalayの原理を使用して計算できる(全て引用によりここに包含させるChou TC, Talalay P. Adv Enzyme Regul.1984;22:27-55; Lu Huang et al. Nature, Volume 7, Article number: 40752 (2017);およびAshkan Zandi et al. Middle East Journal of Cancer; January 2017; 8(1): 31-38も参照)。1未満のCI値は、相乗効果を示す。CI値1は、相加効果を示す;1を超えるCIは、拮抗作用を示す。ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、単独で使用されるならば、CCA細胞の生存能を阻害する(例えば、殺す)(例えば、対象においてCCAを処置する)のに有効であり得る。したがって、ある実施態様において、パノビノスタットと追加の細胞毒性剤の組み合わせが、CCA細胞の生存能の阻害(例えば、対象におけるCCAの処置)に対する効果は相加的であり、すなわち、組み合わせは、1のCIを有する。
【0067】
相加的相互作用とは、パノビノスタットと追加の細胞毒性薬の効果が、同じ用量でのそれらの別々の効果の合計に等しいことを意味し、効果は、例えば、実施例に記載されているインビトロアッセイを使用して評価されるCCA細胞の生存能を阻害する(例えば、殺す)物質の能力である。
【0068】
ある実施態様において、パノビノスタットと追加の細胞毒性剤との組み合わせが、CCA細胞の生存能の阻害に対する(例えば、対象においてCCAを処置する)効果は相乗的である。
【0069】
相乗的相互作用とは、パノビノスタットおよび追加の細胞毒性薬の効果が、同じ用量での別々の効果の合計よりも大きいことを意味する、例えば、効果は、CCA細胞の生存を阻害する(例えば、殺す)物質の能力であり、すなわち、実施例に記載されているインビトロアッセイを使用して評価されるとおり、組み合わせは、1未満、例えば、約0.95、0.90、0.85、0.80、0.75以下のCIを有する。
【0070】
ある実施態様において、追加の細胞毒性剤とパノビノスタットの併用は、CCAの処置に使用するためのパノビノスタット単独の使用と比較して、CCAの処置に使用するためのパノビノスタットの安全率を改善する。
【0071】
「安全率」は、対象に毒性効果および/または重篤な副作用をもたらす用量と有効用量(例えば、治療有効量)の間の比である。したがって、ある実施態様において、ここに開示するパノビノスタットの組み合わせの安全率は、胆管癌の処置のためにパノビノスタットのみを使用するときの安全率よりも高い。あるいは、ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、パノビノスタットの安全率を改善する薬剤である。
【0072】
ある実施態様において、追加の細胞毒性剤とパノビノスタットの併用は、CCAの処置に使用するためのパノビノスタット単独の使用と比較して、CCAの処置に使用するためのパノビノスタットの治療指数を改善する。
【0073】
治療指数(TI)は、毒性用量(TD50)と有効用量(ED50)の比として測定される薬物の相対的な安全性の定量的測定値である。ED50は患者の50%である治療効果をもたらす用量であり、TD50は患者の50%である毒性効果をもたらす用量である。これらの値は、用量反応曲線から抽出できる。臨床的観点から、治療指数が可能な限り高いことは利点である。治療指数の値が高いということは、その薬物が安全であり、重篤な副作用の可能性が低いことを示す。他方、治療指数が低い場合(例えば、1に近い場合)、患者は、ある臨床用量を使用して重篤な副作用を有する確率がはるかに高くなる。臨床で使用されている薬物の場合、TIは薬物毎に異なる。細胞毒性薬物(例えば、抗癌薬物)のTIは通常低く、他方ペニシリンおよびパラセタモールのTIははるかに高い。
【0074】
TIは、実施例に示されるとおり、正常細胞と癌細胞の間のIC50の間の比に基づくインビトロデータを使用して計算され得る。したがって、ある実施態様において、追加の細胞毒性剤とパノビノスタットの併用は、実施例で計算されるとおり治療指数、すなわちインビトロTIを改善する。ある実施態様において、組み合わせのインビトロTIは、少なくとも1.5、好ましくは2.0、2.5、3.0以上または5、6、7、8、9、10またはそれ以上である。
【0075】
用語「薬物感受性スコア(DSS)」は、単一のパラメータにおける薬物または配合剤の特徴評価のための定量的尺度をいう。DDSは、1から100の単一値でマルチパラメトリック用量反応関係を記述し、ここで、値が高いほど、より効果的な治療法を示す。DDSは、癌細胞と対照細胞の間の選択的薬物または薬物併用反応を特定する(Yadavetal. ScientificReports(Nature)Volume 4, Article number:5193(2014)を参照)。したがって、ある実施態様において、ここに開示する併用療法は、単剤療法、例えば、パノビノスタットだけよりよりも高いDSSを有する。
【0076】
「細胞毒性剤」とは、動物細胞の成長、生存能および/または増殖(複製/増殖)を阻害、抑制することができる薬剤を意味する。ある実施態様において、細胞毒性剤は、CCA細胞、好ましくはヒトCCA細胞の成長、生存能および/または増殖(複製/増殖)を阻害、抑制する(例えば、殺す)ことができる。
【0077】
細胞毒性剤として含まれるのは、抗腫瘍剤および腫瘍学的用途に適応となる可能性のあるあらゆる薬剤である。したがって、化学療法処置プロトコルで使用される薬剤(「化学療法剤」または「抗癌剤」)が含まれる。
【0078】
細胞毒性剤は、一般に、それらの作用機序に従って異なるクラスに分類され、これらのクラスの全てが本明細書で意図される。したがって、細胞毒性剤は、例えば、アルキル化剤、架橋剤、挿入剤、ヌクレオチド類似体、紡錘体形成の阻害剤および/またはトポイソメラーゼIおよび/またはII阻害剤であり得る。他のタイプまたはクラスの薬剤には、代謝拮抗剤、植物アルカロイドおよびテルペノイドまたは抗腫瘍抗生物質が含まれる。
【0079】
アルキル化剤は、ヌクレオシドをアルキル化することによってDNAを修飾し、これは正しいDNA複製の妨害に至る。ヌクレオチド類似体は複製中にDNAに組み込まれ、DNA合成を阻害する。紡錘体形成阻害剤は紡錘体形成を妨害し、中期の間の有糸分裂の停止に至る。挿入剤はDNA塩基間に挿入し、それによってDNA合成を阻害する。トポイソメラーゼIまたはII阻害剤は、DNAのねじれに影響を与え、それによってDNA複製を妨害する。
【0080】
適当な細胞毒性剤は当分野で知られるが、例として、アクチノマイシンD、ボルテゾミブ、BCNU(カルムスチン)、BI2536、ブパルリシブ、カルボプラチン、CCNU、カンポテシン(CPT)、カンタリジン、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、CUDC-907、シクロホスファミド、シタラビン、ダサチニブ、ダカルバジン、ダクトリシブ、ダポリナド、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュベリシブ、DTIC、エレスクロモール、エピルビシン、エトポシド、ゲフィニチブ、ゲムシタビン、イデラリシブ、イフォスファミド、イスピネシブ、イリノテカン、イオノマイシン、ルミネスピブ、メルファラン、メトトレキサート、マイトマイシンC(MMC)、ミトキサントロン、メルカプトプリン、モリブレシブ、オキサリプラチン、オバトクラックス、パクリタキセル(タキソール)、PARP-1阻害剤、ペリチニブ、ペリホシン、PX-866、セパントロニウム臭化物、SB-743921、タセリシブ、タキソテール、テモゾロミド(TZM)、テニポシド、トポテカン、トラメチニブ、トレオスルファン、トリプトリド、ウムブラリシブ、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ボラセルチブ、ボクスタリシブ、5-アザシチジン、5,6-ジヒドロ-5-アザシチジンおよび5-フルオロウラシルが本発明の併用療法で使用され得る。
【0081】
特に好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、ボルテゾミブ、BI2536、カルボプラチン、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、エレスクロモール、ゲムシタビン、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブおよびトリプトリドから選択される。
【0082】
さらに好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、BI2536、カルボプラチン、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブおよびトリプトリドから選択される。
【0083】
他の好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、ドキソルビシン、ダクトリシブ、SB-743921、トラメチニブ、エレスクロモール、モリブレシブ、メトトレキサート、ダポリナド、トポテカン、シスプラチン、ダサチニブ、カルボプラチンおよびルミネスピブから選択される。
【0084】
さらに他の好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、カルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブ、ダクトリシブ、ダポリナド、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、トラメチニブおよびトリプトリド、好ましくはカルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブから選択される。
【0085】
パノビノスタットと組み合わせて使用するための細胞毒性剤は、上で定義された医薬組成物で提供され得て、上およびさらに下で定義されるとおり投与され得る。ある実施態様において、細胞毒性剤を含む医薬組成物は、非経腸投与のために製剤化され得る。したがって、組成物は、そのような製剤、例えば、静脈内ボーラスまたは注入に適した薬学的に許容される添加物、溶媒および希釈剤を含み得る。
【0086】
当業者は、所与の細胞毒性剤に適した投与量範囲を知っている。好ましい実施態様において、細胞毒性剤は、その典型的な用量範囲で、医薬組成物中に存在するかまたは対象に投与される。
【0087】
しかしながら、下記実施例に示しかつ上記のとおり、いくつかの細胞毒性剤は、低用量でCCA細胞に対するパノビノスタットの効果を増強することができる。したがって、ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、医薬組成物中に存在するかまたは以下に記載される典型的な用量範囲よりも低い用量範囲で対象に投与され得る。例えば、ある実施態様において、追加の細胞毒性剤は、典型的な用量範囲の70%以下、例えば、典型的な用量範囲(例えば、最大耐容量)の60%、50%、40%または30%以下である用量範囲、例えば、医薬組成物中に存在するかまたは対象に投与され得る。したがって、ある実施態様において、追加の細胞毒性剤の治療有効量は、上記で定義された典型的な用量範囲よりも低い。
【0088】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびボルテゾミブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のボルテゾミブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0089】
ボルテゾミブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0090】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ボルテゾミブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0091】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ボルテゾミブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0092】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびボルテゾミブの併用療法は、肝内CCAの処置のために使用される。
【0093】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびボルテゾミブの併用療法は、CC-SW-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍(例えば肝内CCA腫瘍)を有する対象の処置のために使用される。
【0094】
ボルテゾミブ([(1R)-3-メチル-1-({(2S)-3-フェニル-2-[(ピラジン-2-イルカルボニル)アミノ]プロパノイル}アミノ)ブチル]ボロン酸)は、下に示す構造を有するプロテアソーム阻害剤である。ボルテゾミブはJanssenから入手できる。用語「ボルテゾミブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。
【化2】
【0095】
ボルテゾミブの安定な液体医薬組成物はWO2016/166653(引用により本明細書に包含させる)に記載され、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0096】
ある実施態様において、ボルテゾミブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のボルテゾミブを含む「即時使用(ready to use)」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0097】
好ましい実施態様において、ボルテゾミブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0098】
適当な溶媒は、グリセリン、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、炭酸ジメチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、炭酸プロピレン(PC)、ジメチルイソソルビド、水およびこれらの混合物などの、水性および非水性溶媒から選択され得るが、これらに限定されない。好ましい溶媒は、エタノール、グリセリンおよび水である。
【0099】
本発明において使用するボルテゾミブ製剤は、糖およびアミノ酸などの安定化剤を含み得る。適当な安定化剤は、グルコース、トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、アルギニン、グリシン、プロリン、メチオニン、リシンなどを含む。
【0100】
本発明において使用するボルテゾミブ製剤は、キレート剤を含み得る。適当なキレート剤は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ODDA(1,4,10,13-テトラオキサ-7,16-ジアザシクロオクタデカン-7)、TTTA(1,7,13-トリアザ-4,10,16-トリオキサシクロオクタデカン-N,N’,N”-トリアセテート)、DOTRP(テトラエチレングリコール-1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”,-トリス(メチレンホスホン酸)、EGTA(エチレングリコール-ビス(P-アミノエチルエーテル)-四酢酸)などを含む。
【0101】
本発明において使用するボルテゾミブ製剤は、1以上の抗酸化剤も含み得る。適当な抗酸化剤は、モノチオグリセロール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、L-システイン、チオグリコール酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、グルコン酸、チオジプロピオン酸を含むが、これらに限定されない。最も好ましい抗酸化剤はモノチオグリセロールである。
【0102】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットおよびボルテゾミブの組み合わせの投与の最も好ましい態様は、皮下または静脈内注射の形態のボルテゾミブである。
【0103】
本発明で使用するボルテゾミブ注射は、好ましくは水可溶性ボロン酸エステルの形態であり、最も好まししいエステルはマンニトールボロン酸エステルである。
【0104】
ボロン酸エステル製剤、好ましいマンニトールエステルは、一般に無菌乾燥粉末製剤の形態である。粉末は、一般に凍結乾燥粉末である。粉末は、投与前に無菌水、一般に無菌等張水性塩化ナトリウム溶液に溶解される。
【0105】
本発明において使用するボルテゾミブ製剤は、所望により緩衝剤、pH調節剤、防腐剤、張性修飾剤などの他の薬学的に許容されるアジュバントを含み得る。
【0106】
上記の溶媒、安定剤、キレート剤および抗酸化剤のリストは、特に断らない限り、ここに記載する他の細胞毒性剤を含む医薬組成物においても使用することができる。
【0107】
上記ボルテゾミブベースの製剤は、好ましくはマンニトールを含み、窒素雰囲気下で注射バイアルまたは充填済シリンジで提供される。
【0108】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとボルテゾミブの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、ボルテゾミブを注射の形態で投与することである。
【0109】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのボルテゾミブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0110】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたボルテゾミブの臨床用量は、一般に0.5~3mg/m2体表面積(BSA)を少なくとも週1回、好ましくは1~2mg/m2体表面積(BSA)を少なくとも週1回である。
【0111】
パノビノスタットおよびボルテゾミブの組み合わせを胆管癌の処置に投与する本発明の好ましい態様は、糖質コルチコステロイド、一般にデキサメサゾンの共投与にである。
【0112】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびカルボプラチンの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のカルボプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0113】
カルボプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と、別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0114】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、カルボプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0115】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、カルボプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0116】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびカルボプラチンの併用療法は、肝外CCAの処置のために使用される。
【0117】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびカルボプラチンの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0118】
カルボプラチン(cis-(1,1-シクロブタンジカルボキシラト)ジアミン白金(II))は下に示す構造を有する白金含有抗癌薬物である。カルボプラチンは広く入手可能である。用語「カルボプラチン」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。
【化3】
【0119】
カルボプラチンの液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0120】
ある実施態様において、カルボプラチンを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のカルボプラチンを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0121】
好ましい実施態様において、カルボプラチンを含む医薬製剤は、非経腸投与のために意図される。
【0122】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとカルボプラチンの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、カルボプラチンを注射または点滴の形態で投与することである。
【0123】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのカルボプラチンと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0124】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたカルボプラチンの臨床用量は、一般には、カルボプラチンを他の適応症に使用するときに現在使用されるのと同じ範囲、例えば、1~30mg/m2 BSAである。カルバート式を、正確な臨床用量の計算に使用すべきである。
【0125】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびシスプラチンの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のシスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0126】
シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0127】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくはは投与するための、シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0128】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、シスプラチンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0129】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびシスプラチンの併用療法は、肝外CCAの処置のために使用される。
【0130】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびシスプラチンの併用療法は、CC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0131】
シスプラチン((SP-4-2)-ジアミンジクロロ白金(II))は、下に示す構造を持つ白金含有抗癌剤である。シスプラチンは、ホスピーラ(Cisplatin Hospira)などから広く入手できる。用語「シスプラチン」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。
【化4】
【0132】
シスプラチンの液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0133】
ある実施態様において、シスプラチンを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のシスプラチンを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0134】
好ましい実施態様において、シスプラチンを含む医薬製剤は、非経腸投与のために意図される。
【0135】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとシスプラチンの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、シスプラチンを注射または点滴の形態で投与することである。
【0136】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのシスプラチンと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0137】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたシスプラチンの臨床用量は、一般には、シスプラチンを他の適応症に使用するときに現在使用されるのと同じ範囲、例えば、10~50mg/m2 BSA、好ましくは20~30mg/m2 BSAである。カルバート式を、正確な臨床用量の計算に使用すべきである。
【0138】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびダサチニブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のダサチニブまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0139】
ダサチニブまたはその薬学的に許容される塩は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0140】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダサチニブまたはその薬学的に許容される塩との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0141】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダサチニブまたはその薬学的に許容される塩との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0142】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダサチニブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびダサチニブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0143】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダサチニブの併用療法は、肝外CCAの処置のために使用される。
【0144】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダサチニブの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0145】
ダサチニブ(N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-({6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチルピリミジン-4-イル}アミノ)-1,3-チアゾール-5-カルボキサミド)は、タンパク質キナーゼ阻害剤であり、WO2000/062778に開示される(式I)。ダサチニブは、下に示す構造を有する。ダサチニブは、Bristol-Myers Squibbから入手可能である。用語「ダサチニブ」は、その薬学的に許容される塩および水和物を含む。
【化5】
【0146】
ダサチニブの医薬組成物は文献、例えば、WO2000/062778、WO2007/035874およびWO2015/181573(全て引用により本明細書に包含させる)で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0147】
好ましい実施態様において、ダサチニブを含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0148】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたパノビノスタットとダサチニブの組み合わせの好ましい実施態様は、パノビノスタットおよびダサチニブの両方を経口投与することである。
【0149】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびダサチニブは、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびダサチニブは、組み合わせ処方として一つの剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与され得る。
【0150】
胆管癌の処置のために同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)にパノビノスタットおよびダサチニブ両方を含む処方(ここに定義する医薬組成物)は、本発明の一態様である。
【0151】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットおよびダサチニブの組み合わせの投与の最も好ましい態様は、ダサチニブ一水和物を含む経口製剤の形態のダサチニブである。
【0152】
本発明により胆管癌を処置するためのダサチニブの典型的経口製剤は、次の添加物の少なくとも1つを含む:ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよび二酸化ケイ素。
【0153】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのダサチニブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0154】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのダサチニブの臨床用量は、一般に10~200mg/日である。
【0155】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびドキソルビシンの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のドキソルビシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0156】
ドキソルビシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0157】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的な使用もしくは投与するための、ドキソルビシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0158】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ドキソルビシンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0159】
パノビノスタットおよびドキソルビシンの併用療法は、肝内または肝外CCAの処置に使用され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびドキソルビシンの併用療法は、肝内CCAの処置のために使用される。
【0160】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびドキソルビシンの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EFI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0161】
ドキソルビシン((1S,3S)-3-グリコリル-3,5,12-トリヒドロキシ-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシド)は、下に示す構造を有する細胞毒性抗生物質原薬である。ドキソルビシンは、JanssenおよびPfizerなどから、広く入手可能である。用語「ドキソルビシン」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。
【化6】
【0162】
ドキソルビシンの液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0163】
ある実施態様において、ドキソルビシンを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のドキソルビシンを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0164】
好ましい実施態様において、ドキソルビシンを含む医薬組成物は、非経腸投与のために製剤化される。
【0165】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとドキソルビシンの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、ドキソルビシンを注射または点滴の形態で投与することである。
【0166】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのドキソルビシンと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与する。
【0167】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたドキソルビシンの臨床用量は、一般には、ドキソルビシンを他の適応症に使用するときに現在使用されるのと同じ範囲、例えば、10~100mg/m2体表面積(BSA)、好ましくは40~75mg/m2 BSAを2~4週毎に投与する。
【0168】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびゲムシタビンの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のゲムシタビンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0169】
ゲムシタビンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0170】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0171】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ゲムシタビンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0172】
パノビノスタットおよびゲムシタビンの併用療法は、肝内または肝外CCAの処置に使用され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびゲムシタビンの併用療法は、肝内CCAの処置のために使用される。
【0173】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびゲムシタビンの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはHuCC-T1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0174】
ゲムシタビン(4-アミノ-1-(2-デオキシ-2,2-ジフルオロ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)ピリミジン-2(1H)-オン)は、下に示す構造を有するヌクレオシドアナログである。ゲムシタビンは、Eli Lilly & Co(ジェムザール(登録商標))またはSigma-Aldrich, St. Louis, MO, USAなどから、広範に入手可能である。用語「ゲムシタビン」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおり、好ましくは塩酸塩である。
【化7】
【0175】
ゲムシタビンの液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0176】
ある実施態様において、ゲムシタビンを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のゲムシタビンを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0177】
好ましい実施態様において、ゲムシタビンを含む医薬組成物は、非経腸投与のために製剤化される。
【0178】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとゲムシタビンの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、ゲムシタビンを注射または点滴の形態で投与することである。
【0179】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのゲムシタビンと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0180】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたゲムシタビンの臨床用量は、一般には、ゲムシタビンを他の適応症に使用するときに現在使用されるのと同じ範囲、例えば、500~1500mg/m2(これは、体表面積、BSAm2あたりのゲムシタビンのmgをいう)である。好都合には、900~1100mg/m2の用量が使用される。好都合には、ゲムシタビンを1時間未満、例えば15~45分間、例えば約30分または長い時間枠にわたり、例えば1時間~12時間投与し得る。
【0181】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびメトトレキサートの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のメトトレキサートまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0182】
メトトレキサートまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0183】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしく投与するための、メトトレキサートまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0184】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、メトトレキサートまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0185】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびメトトレキサートの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびメトトレキサートを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0186】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびメトトレキサートの併用療法は、肝外CCAの処置のために使用される。
【0187】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびメトトレキサートの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0188】
メトトレキサート(N-[4-[[(2,4-ジアミノ-6-プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸)は、下に示す構造を有する葉酸誘導体(代謝拮抗剤)である。メトトレキサートは、Hospira, Inc.などから、広範に入手可能である。用語「メトトレキサート」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおり、好ましくはナトリウム塩である。
【化8】
【0189】
メトトレキサートの液体および固体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0190】
ある実施態様において、メトトレキサートを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のメトトレキサートを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0191】
故に、ある実施態様において、メトトレキサートを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。これらの実施態様において、メトトレキサートは、塩、好ましくはナトリウム塩の形態で提供され得る。
【0192】
しかしながら、ある実施態様において、メトトレキサートを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0193】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとメトトレキサートの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、メトトレキサートは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0194】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとメトトレキサートの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびメトトレキサートの両方が経口投与されるものである。
【0195】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびメトトレキサートを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびメトトレキサートを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0196】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびメトトレキサートの両方を含む処方(医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0197】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのメトトレキサートと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0198】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたメトトレキサートの臨床用量は、一般にメトトレキサートを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、メトトレキサートの用量範囲は、2.5~50mg/m2 BSA、例えば7.5~25mg/m2 BSAを毎週であり得る。
【0199】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびトポテカンの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のトポテカンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0200】
トポテカンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0201】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくはは投与するための、トポテカンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0202】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、トポテカンまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0203】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトポテカンの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびトポテカンを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0204】
パノビノスタットおよびトポテカンの併用療法は、肝内または肝外CCAの処置に使用され得る。
【0205】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトポテカンの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0206】
トポテカン(9-[(ジメチルアミノ)メチル]-10-ヒドロキシ-(4S)-カンプトテシン)は、下に示す構造を有するトポイソメラーゼ阻害剤である。トポテカンは、Actavisなどから、広く入手可能である。用語「トポテカン」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおり、好ましくは塩酸塩である。
【化9】
【0207】
トポテカンの液体および固体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0208】
ある実施態様において、トポテカンを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のトポテカンを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0209】
故に、ある実施態様において、トポテカンを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0210】
しかしながら、ある実施態様において、トポテカンを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0211】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとトポテカンの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、トポテカンは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0212】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとトポテカンの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびトポテカンの両方が経口投与されるものである。
【0213】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびトポテカンを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびトポテカンを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0214】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびトポテカンの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0215】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのトポテカンと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0216】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたトポテカンの臨床用量は、一般にトポテカンを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、トポテカンの用量範囲は、上に定義したとおり、0.25~3mg/m2 BSA、例えば0.75~1.50mg/m2 BSAを連日または少なくとも週2回であり得る。
【0217】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびトラメチニブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のトラメチニブまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0218】
トラメチニブまたはその薬学的に許容される塩は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0219】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、トラメチニブまたはその薬学的に許容される塩との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0220】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、トラメチニブまたはその薬学的に許容される塩との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0221】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトラメチニブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびトラメチニブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0222】
パノビノスタットおよびトラメチニブの併用療法は、肝外または肝内CCAの処置に使用され得る。
【0223】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトラメチニブの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0224】
トラメチニブは、下に示す構造を有するマイトージェン活性化タンパク質キナーゼに親和性を有するチロシンキナーゼ阻害剤である。トラメチニブは、Novartisから入手可能である。用語「トラメチニブ」は、本明細書の他の箇所に定義するとおり、その薬学的に許容される塩を含む。ある実施態様において、トラメチニブは、トラメチニブジメチルスルホキシドの形態で提供される。
【化10】
【0225】
トラメチニブの医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0226】
好ましい実施態様において、トラメチニブを含む医薬組成物は、経口投与(例えば錠剤またはカプセル剤)のために製剤化される。
【0227】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとトラメチニブの組み合わせの好ましい実施態様は、パノビノスタットおよびトラメチニブの両方を経口投与することである。
【0228】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびトラメチニブは、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびトラメチニブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0229】
胆管癌の処置のために同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)にパノビノスタットおよびトラメチニブ両方を含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0230】
パノビノスタットおよびトラメチニブの組み合わせが胆管癌の処置のために投与される本発明のある好ましい態様は、経口トラメチニブ製剤の使用に関し、ここで、トラメチニブは所望により硫酸ジメチル溶媒和物の形態であり、経口製剤は、次の添加物の1以上を含む:マンニトール、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよび二酸化ケイ素。
【0231】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのトラメチニブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0232】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたトラメチニブの臨床用量は、一般に0.1~10mg、より好ましくは0.5~5mgを連日または週に少なくとも2回、例えば2~6回、2~5回または2~4回である。好ましい実施態様において、臨床用量は、単回用量製剤、例えば錠剤またはカプセル剤である。
【0233】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のコンブレタスタチンA4またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0234】
コンブレタスタチンA4またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0235】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、コンブレタスタチンA4またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0236】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、コンブレタスタチンA4またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0237】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4を含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0238】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の併用療法は、肝内CCAの処置に使用され得る。
【0239】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の併用療法は、CC-SW-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0240】
コンブレタスタチンA4(2-メトキシ-5-[(Z)-2-(3,4,5-トリメトキシ-フェニル)-ビニル]-フェノール)は、下に示す構造を有するスチルベノイドである。アフリカ・ブッシュ・ウィロー(Combretum caffrum)から単離できる。用語「コンブレタスタチンA4」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物は、好ましくはここで先に定義したとおりである。ある実施態様において、コンブレタスタチンA4は、水可溶性エステル、例えば水可溶性リン酸エステルの形態で提供される。
【化11】
【0241】
コンブレタスタチンA4は、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0242】
ある実施態様において、コンブレタスタチンA4を含む組成物は、溶解または可溶化された形態のコンブレタスタチンA4を含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0243】
故に、ある実施態様において、コンブレタスタチンA4を含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0244】
しかしながら、ある実施態様において、コンブレタスタチンA4を含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0245】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとコンブレタスタチンA4の組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、コンブレタスタチンA4は注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0246】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとコンブレタスタチンA4の組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の両方が経口投与されるものである。
【0247】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4を、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4を、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0248】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0249】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのコンブレタスタチンA4と組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0250】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたコンブレタスタチンA4の臨床用量は、一般にコンブレタスタチンA4を他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、コンブレタスタチンA4の用量範囲は、上に定義したとおり、5~100mg/m2 BSA、例えば20~85mg/m2 BSAを連日または少なくとも週2回投与であり得る。
【0251】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびSB-743921の投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のSB-743921またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0252】
SB-743921またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0253】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、SB-743921またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0254】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的使用もしくは投与するための、SB-743921またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0255】
パノビノスタットおよびSB-743921の併用療法は、肝内または肝外CCAの処置に使用され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびSB-743921の併用療法は、肝外CCAの処置のために使用される。
【0256】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびSB-743921の併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはEGI-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0257】
SB-743921は、下に示す構造を有する細胞分裂キネシンKSP阻害剤である。コード名「SB-743921」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおり、好ましくは塩酸塩である。
【化12】
【0258】
SB-743921の液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0259】
ある実施態様において、SB-743921を含む組成物は、溶解または可溶化された形態のSB-743921を含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0260】
好ましい実施態様において、SB-743921を含む医薬組成物は、非経腸投与のために製剤化される。
【0261】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとSB-743921の組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、SB-743921を注射または点滴の形態で投与することである。
【0262】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのSB-743921と組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0263】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたSB-743921の臨床用量は、一般にSB-743921を他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、SB-743921の用量範囲は、1~10mg/m2 BSAを毎週または毎月、例えば1~4週毎であり得る。
【0264】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびダポリナドの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のダポリナドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0265】
ダポリナドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0266】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダポリナドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0267】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダポリナドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0268】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダポリナドの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびダポリナドを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0269】
パノビノスタットおよびダポリナドの併用療法は、肝内または肝外CCAの処置に使用され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびダポリナドの併用療法は、肝内CCAの処置のために使用される。
【0270】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダポリナドの併用療法は、CC-SW-1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0271】
ダポリナド((E)-N-[4-(1-ベンゾイルピペリジン-4-イル)ブチル]-3-ピリジン-3-イルプロプ-2-エンアミド)は、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NMPRTase)を阻害し、以下に示す構造を有する。用語「ダポリナド」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおり、好ましくは塩酸塩である。
【化13】
【0272】
ダポリナドは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0273】
ある実施態様において、ダポリナドを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のダポリナドを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0274】
故に、ある実施態様において、ダポリナドを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0275】
しかしながら、ある実施態様において、ダポリナドを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0276】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとダポリナドの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、ダポリナドは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0277】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとダポリナドの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびダポリナドの両方が経口投与されるものである。
【0278】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびダポリナドを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびダポリナドを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0279】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびダポリナドの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0280】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのダポリナドと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回投与である。
【0281】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたダポリナドの臨床用量は、一般にダポリナドを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、ダポリナドの用量範囲は、0.1~10mg/m2 BSAを毎週または毎月、例えば1~6週、1~5週、1~4週または1~3週毎であり得る。
【0282】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびイスピネシブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のイスピネシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0283】
イスピネシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0284】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、イスピネシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0285】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、イスピネシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0286】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびイスピネシブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびイスピネシブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0287】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびイスピネシブの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0288】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびイスピネシブの併用療法は、CC-SW-1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0289】
イスピネシブ(N-(3-アミノプロピル)-N-[(1R)-1-[7-クロロ-4-オキソ-3-(フェニルメチル)-2-キナゾリニル]-2-メチルプロピル]-4-メチルベンズアミド)はキナゾリノン由来であり、有糸分裂モータータンパク質、キネシンスピンドルタンパク質(KSP)を選択的に阻害する。イスピネシブ以下に示す構造を有する。用語「イスピネシブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。例えば、ある実施態様において、イスピネシブは、塩酸塩の形態であり得る。ある好ましい実施態様において、イスピネシブは、遊離化合物の形態である。
【化14】
【0290】
イスピネシブは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0291】
ある実施態様において、イスピネシブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のイスピネシブを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0292】
故に、ある実施態様において、イスピネシブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0293】
しかしながら、ある実施態様において、イスピネシブを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0294】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとイスピネシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、イスピネシブは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0295】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとイスピネシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびイスピネシブの両方が経口投与されるものである。
【0296】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびイスピネシブを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびイスピネシブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0297】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびイスピネシブの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0298】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのイスピネシブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0299】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたイスピネシブの臨床用量は、一般にイスピネシブを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、イスピネシブの用量範囲は、5~30mg/m2 BSAを毎週または毎月、例えば1~6週、1~5週、1~4週または1~3週毎であり得る。
【0300】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびルミネスピブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のルミネスピブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0301】
ルミネスピブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0302】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ルミネスピブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0303】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ルミネスピブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0304】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびルミネスピブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびルミネスピブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0305】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびルミネスピブの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0306】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびルミネスピブの併用療法は、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはEGI-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0307】
ルミネスピブ(5-(2,4-ジヒドロキシ-5-イソプロピル-フェニル)-N-エチル-4-[4-(モルホリノメチル)フェニル]イソキサゾール-3-カルボキサミド)は、下に示す構造を有するHSP90阻害剤である。用語「ルミネスピブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおりである。例えば、ある実施態様において、ルミネスピブは、塩酸塩またはメタンスルホン酸塩の形態であり得る。
【化15】
【0308】
ルミネスピブは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0309】
ある実施態様において、ルミネスピブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のルミネスピブを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0310】
故に、ある実施態様において、ルミネスピブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0311】
しかしながら、ある実施態様において、ルミネスピブを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0312】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとルミネスピブの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、ルミネスピブは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0313】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとルミネスピブの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびルミネスピブの両方が経口投与されるものである。
【0314】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびルミネスピブを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびルミネスピブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0315】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびルミネスピブの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0316】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのルミネスピブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0317】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたルミネスピブの臨床用量は、一般にルミネスピブを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、ルミネスピブの用量範囲は、5~150mg/m2 BSA、例えば40~70mg/m2 BSAを毎週、例えば、1~4週、1~3週または1~2週毎であり得る。
【0318】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびモリブレシブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のモリブレシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0319】
モリブレシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0320】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、モリブレシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0321】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、モリブレシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0322】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびモリブレシブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびモリブレシブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0323】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびモリブレシブの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0324】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびモリブレシブの併用療法は、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0325】
モリブレシブ(2-[(4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン-4-イル]-N-エチルアセトアミド)は、下に示す構造を有するブロモドメイン含有タンパク質のBET(ブロモドメインおよびエクストラターミナル)ファミリーの阻害剤である。用語「モリブレシブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおりである。例えば、ある実施態様において、モリブレシブは、塩酸塩またはメタンスルホン酸塩の形態であり得る。
【化16】
【0326】
モリブレシブは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0327】
ある実施態様において、モリブレシブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のモリブレシブを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0328】
故に、ある実施態様において、モリブレシブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0329】
しかしながら、ある実施態様において、モリブレシブを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0330】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとモリブレシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、モリブレシブは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0331】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとモリブレシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびモリブレシブの両方が経口投与されるものである。
【0332】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびモリブレシブを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびモリブレシブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0333】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびモリブレシブの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0334】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのモリブレシブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0335】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたモリブレシブの臨床用量は、一般にモリブレシブを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、モリブレシブの用量範囲は、5~150mg、例えば10~80mgを連日であり得る。
【0336】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびペリチニブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のペリチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0337】
ペリチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0338】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ペリチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0339】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ペリチニブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0340】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびペリチニブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびペリチニブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0341】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびペリチニブの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0342】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトラメチニブの併用療法は、TFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0343】
ペリチニブ((2E)-N-(4-((3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ)-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル)-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテナミド)は、下に示す構造を有する上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)の不可逆的阻害剤である。用語「ペリチニブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおりである。例えば、ある実施態様において、ペリチニブは、酸塩、例えば塩酸塩またはメタンスルホン酸塩の形態であり得る。
【化17】
【0344】
ペリチニブは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0345】
ある実施態様において、ペリチニブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のペリチニブを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0346】
故に、ある実施態様において、ペリチニブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0347】
しかしながら、ある実施態様において、ペリチニブを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0348】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとペリチニブの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、ペリチニブは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0349】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとペリチニブの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびペリチニブの両方が経口投与されるものである。
【0350】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびペリチニブを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびペリチニブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0351】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびペリチニブの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0352】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのペリチニブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0353】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたペリチニブの臨床用量は、一般にペリチニブを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、ペリチニブの用量範囲は、10~100mg、例えば25~75mgを連日であり得る。
【0354】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびトリプトリドの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のトリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0355】
トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0356】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0357】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、トリプトリドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0358】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトリプトリドの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびトリプトリドを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0359】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトリプトリドの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0360】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびトリプトリドの併用療法は、TFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0361】
トリプトリドは、下に示す構造を有する、ジテルペノイドエポキシドである。用語「トリプトリド」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。ある実施態様において、トリプトリドは、水可溶性プロドラッグの形態で提供され得る
【化18】
【0362】
トリプトリドは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0363】
ある実施態様において、トリプトリドを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のトリプトリドを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0364】
故に、ある実施態様において、トリプトリドを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0365】
しかしながら、ある実施態様において、トリプトリドを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0366】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとトリプトリドの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、トリプトリドは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0367】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとトリプトリドの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびトリプトリドの両方が経口投与されるものである。
【0368】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびトリプトリドを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびトリプトリドを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0369】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびトリプトリドの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0370】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのトリプトリドと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0371】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたトリプトリドの臨床用量は、一般にトリプトリドを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、トリプトリドの用量範囲は、10~200mg、例えば25~150mgを連日であり得る。
【0372】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびBI2536の投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のBI2536またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0373】
BI2536またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0374】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、BI2536またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0375】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、BI2536またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0376】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびBI2536の組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびBI2536を含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0377】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびBI2536の併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0378】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびBI2536の併用療法は、TFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0379】
BI2536は、下に示す構造を有するPLK1(ポロ様キナーゼ1)タンパクの阻害剤である。コード名「BI2536」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくは先に定義されたとおりである。例えば、ある実施態様において、BI2536は、酸塩、例えば塩酸塩の形態であり得る。
【化19】
【0380】
BI2536は、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0381】
ある実施態様において、BI2536を含む組成物は、溶解または可溶化された形態のBI2536を含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0382】
故に、ある実施態様において、BI2536を含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0383】
しかしながら、ある実施態様において、BI2536を含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0384】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとBI2536の組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、BI2536は注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0385】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとBI2536の組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびBI2536の両方が経口投与されるものである。
【0386】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびBI2536を、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびBI2536を、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0387】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびBI2536の両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0388】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのBI2536と組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0389】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたBI2536の臨床用量は、一般にBI2536を他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、BI2536の用量範囲は、1~200mg、例えば25~150mgを連日であり得る。
【0390】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびダクトリシブの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のダクトリシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0391】
ダクトリシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0392】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダクトリシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0393】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ダクトリシブまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0394】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダクトリシブの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびダクトリシブを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0395】
パノビノスタットおよびダクトリシブの併用療法は、肝外または肝内CCAの処置に使用され得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびダクトリシブの併用療法は、肝外CCAの処置に使用される。
【0396】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびダクトリシブの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、最も好ましくはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0397】
ダクトリシブはホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤(PI3K阻害剤)であり、mTORも阻害する。ダクトリシブ以下に示す構造を有する。用語「ダクトリシブ」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。
【化20】
【0398】
ダクトリシブは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0399】
ある実施態様において、ダクトリシブを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のダクトリシブを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0400】
故に、ある実施態様において、ダクトリシブを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0401】
しかしながら、ある実施態様において、ダクトリシブを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0402】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとダクトリシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、ダクトリシブは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0403】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとダクトリシブの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびダクトリシブの両方が経口投与されるものである。
【0404】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびダクトリシブを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびダクトリシブを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0405】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびダクトリシブの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0406】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのダクトリシブと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0407】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたダクトリシブの臨床用量は、一般にダクトリシブを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、ダクトリシブの用量範囲は、100~1200mg、例えば200~800mgを連日であり得る。
【0408】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびオバトクラックスの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のオバトクラックスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0409】
オバトクラックスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0410】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、オバトクラックスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0411】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、オバトクラックスまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0412】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびオバトクラックスの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)でパノビノスタットおよびオバトクラックスを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0413】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびオバトクラックスの併用療法は、肝外CCAの処置に使用され得る。
【0414】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびオバトクラックスの併用療法は、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0415】
オバトクラックスは、下に示す構造を有するタンパク質のBcl-2ファミリーの阻害剤である。用語「オバトクラックス」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。薬学的に許容される塩は、好ましくはメシル酸オバトクラックスである。
【化21】
【0416】
オバトクラックスは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。
【0417】
ある実施態様において、オバトクラックスを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のオバトクラックスを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0418】
故に、ある実施態様において、オバトクラックスを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0419】
しかしながら、ある実施態様において、オバトクラックスを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0420】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとオバトクラックスの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、オバトクラックスは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0421】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとオバトクラックスの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびオバトクラックスの両方が経口投与されるものである。
【0422】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびオバトクラックスを、別々の剤形(例えば別々の錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびオバトクラックスを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0423】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびオバトクラックスの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0424】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのオバトクラックスと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0425】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたオバトクラックスの臨床用量は、一般にオバトクラックスを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、オバトクラックスの用量範囲は、5~50mg/m2 BSA、例えば10~20mg/m2 BSAを連日であり得る。
【0426】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびエレスクロモールの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物および治療有効量のエレスクロモールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0427】
エレスクロモールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0428】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、エレスクロモールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
【0429】
他の実施態様において、本本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、エレスクロモールまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
【0430】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびエレスクロモールの組み合わせ製品は、単一剤形(例えば注射または点滴)でパノビノスタットおよびエレスクロモールを含む合剤、例えば医薬組成物である。
【0431】
パノビノスタットおよびエレスクロモールの併用療法は、肝外または肝内CCAの処置に使用され得る。
【0432】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびエレスクロモールの併用療法は、CC-SW-1細胞株、HuCC-T1細胞株、EGI-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはTFK-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0433】
エレスクロモール(1-N’,3-N’-ビス(ベンゼンカルボノチオイル)-1-N’,3-N’-ジメチルプロパンジヒドラジド)は酸化ストレスを誘導し、高レベルの活性酸素種(ROS)、例えば過酸化水素を、癌細胞および正常細胞両方で産生する。エレスクロモール以下に示す構造を有する。用語「エレスクロモール」は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物および水和物を含む。ある実施態様において、エレスクロモールは、ナトリウム塩の形態で提供される。
【化22】
【0434】
エレスクロモールは、本発明の方法、組成物および使用において使用するために、液体または固体医薬組成物として提供され得る。エレスクロモールはWO2013071106に記載され、これは引用により本明細書に包含させる。
【0435】
ある実施態様において、エレスクロモールを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のエレスクロモールを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0436】
故に、ある実施態様において、エレスクロモールを含む医薬組成物は、非経腸投与、例えば注射または点滴のために製剤化される。
【0437】
しかしながら、ある実施態様において、エレスクロモールを含む医薬組成物は、経口投与、例えば錠剤またはカプセル剤のために製剤化される。
【0438】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとエレスクロモールの組み合わせの使用は、パノビノスタットは経口投与され、エレスクロモールは注射または点滴の形態で投与されるものである。
【0439】
他の実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットとエレスクロモールの組み合わせの使用は、パノビノスタットおよびエレスクロモールの両方が経口投与されるものである。
【0440】
故に、ある実施態様において、パノビノスタットおよびエレスクロモールを別々の剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。ある実施態様において、パノビノスタットおよびエレスクロモールを、組み合わせ処方(すなわち医薬組成物)として単一剤形(例えば錠剤またはカプセル剤)で投与し得る。
【0441】
故に、胆管癌の処置のために、パノビノスタットおよびエレスクロモールの両方を同じ合剤(例えば錠剤またはカプセル剤)に含む処方(すなわち医薬組成物)は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0442】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのエレスクロモールと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0443】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたエレスクロモールの臨床用量は、一般にエレスクロモールを他の適応症に対して現在使用しているのと同じ範囲である。例えば、ある実施態様において、エレスクロモールの用量範囲は、50~300mg/m2 BSA、例えば100~200mg/m2 BSAを連日であり得る。
【0444】
ある実施態様において、併用療法は、パノビノスタットおよびドセタキセルの投与を含む。故に、本発明は、対象における胆管癌を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩および治療有効量のドセタキセルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0445】
ドセタキセルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物は、治療有効量のパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩と別々に、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0446】
別の見方をすれば、本発明は、対象における胆管癌の処置に使用するために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ドセタキセルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品としてのパノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0447】
他の実施態様において、本発明は、対象における胆管癌の処置のために対象に別々に、同時または逐次的に使用もしくは投与するための、ドセタキセルまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物との組み合わせ製品の製造における、パノビノスタットまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0448】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびドセタキセルの併用療法は、肝内CCAの処置のために使用される。
【0449】
ある実施態様において、パノビノスタットおよびドセタキセルの併用療法は、CC-SW-1細胞株および/またはTFK-1細胞株、好ましくはCC-SW-1細胞株に特異的な1以上の特徴、例えば1以上の遺伝子マーカー、増殖速度および/または細胞形態を有するCCA腫瘍を有する対象の処置のために使用される。
【0450】
ドセタキセル(N-デベンゾイル-N-(tert-ブトキシカルボニル)-10-デアセチルパクリタキセル)は、1:1化学量論比で高親和性でチューブリンに可逆性に結合する抗有糸分裂化学療法医薬である。ドセタキセルは下に示す構造を有し、Actavisなどから、広範に入手可能である。用語「ドセタキセル」は、その薬学的に許容される溶媒和物および水和物を含む。ある実施態様において、ドセタキセルは、ドセタキセル三水和物として提供される。
【化23】
【0451】
ドセタキセルの液体医薬組成物は当分野で周知であり、あらゆるこのような組成物を本発明の方法、組成物および使用に用い得る。
【0452】
ある実施態様において、ドセタキセルを含む組成物は、溶解または可溶化された形態のドセタキセルを含む「即時使用」製剤であり、それ自体でまたは静脈内希釈剤でさらに希釈して使用することが意図される。
【0453】
好ましい実施態様において、ドセタキセルを含む医薬組成物は、非経腸投与のために製剤化される。
【0454】
胆管癌の処置のためのパノビノスタットとドセタキセルの組み合わせの使用の好ましい実施態様は、パノビノスタットを経口で投与し、ドセタキセルを注射または点滴の形態で投与することである。
【0455】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのドセタキセルと組み合わせたパノビノスタットの臨床用量は、上に定義するとおり、一般に5~50mg、より好ましくは10~30mgを連日または少なくとも週2回である。
【0456】
ある実施態様において、胆管癌の処置のためのパノビノスタットと組み合わせたドセタキセルの臨床用量は、一般には、ドセタキセルを他の適応症に使用するときに現在使用されるのと同じ範囲、例えば、20~200mg/m2体表面積(BSA)、好ましくは40~75mg/m2 BSAを連日である。
【0457】
ここに開示する原薬(すなわちパノビノスタットおよび細胞毒性剤)は、本発明により、遊離薬物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の形態であり得る。このような塩、溶媒和物および水和物は、文献に十分に記載されている。ここに開示する原薬のあらゆる適当な医薬許容される塩、溶媒和物または水和物を、胆管癌の処置のために本発明に従い使用し得る。
【0458】
好ましい形態の原薬は、規制当局が承認した市販の医薬品に存在する形態の原薬である。
【0459】
これら薬物を、同時にまたは逐次的に投与し得る。これら薬物を逐次の形態で投与するならば、薬物投与の間隔は、原薬の性質および臨床状況に依存して、数分~数日で変わる。
【0460】
故に、パノビノスタットおよび追加の細胞毒性剤は、同時に、別々にまたは逐次的に使用され得る。同時に使用されるとき、同時に投与されるが、単一経路または別の経路により投与され得る(例えば経口で投与される混合物または同時にであるが、異なる経路、すなわち経口および静脈内により投与される、2種(またはそれ以上)の製剤)。別々に投与されるとき、同時にまたは逐次的に投与され得ておよび/または投与時期が重複し得る。ある実施態様において、複数薬剤、例えばパノビノスタットおよびダサチニブ、パノビノスタットおよびトポテカン、パノビノスタットおよびメトトレキサート、パノビノスタットおよびトラメチニブ、パノビノスタットおよびBI2536、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4、パノビノスタットおよびダクトリシブ、パノビノスタットおよびダポリナド、パノビノスタットおよびイスピネシブ、パノビノスタットおよびルミネスピブ、パノビノスタットおよびモリブレシブ、パノビノスタットおよびオバトクラックス、パノビノスタットおよびペリチニブ、パノビノスタットおよびエレスクロモールおよびパノビノスタットおよびトリプトリドを単一製剤(混合物)で一緒に投与する。
【0461】
本発明のある実施態様において、パノビノスタットおよび/または他の細胞毒性剤は、1回を超えて、例えば2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9または10回(例えば20回まで)投与される。この投与は一(または各)サイクルまたは合わせて複数サイクルであり得る。
【0462】
ここでいう「サイクル」は、特定の処置レジメが適用される期間であり、一般に周期的処置を提供するために反復される。各サイクルの処置は、同一でも異なってもよい(例えば異なる投与量、タイミングなどが使用され得る)。サイクルの長さは7~30日、例えば14日または21日サイクルである。ある実施態様において、サイクルは、約1~3カ月であり得る。複数サイクル、例えば少なくとも2サイクル、3サイクル、4サイクルまたは5サイクル、例えば6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクルまたは10サイクル(例えば最大8サイクル、9サイクル、10サイクルまたは20サイクル)が使用され得る。各サイクル内で、パノビノスタットおよび/または他の細胞毒性剤は、ここで先に記載するとおり、1回または1回を超えて投与され得る。
【0463】
組み合わせ薬物療法が別々にまたは逐次的に投与されるとき、2以上の異なる薬物(例えばパノビノスタットおよび他の細胞毒性剤)を、これら薬物が別々のおよび/または逐次的投与のための別々の製剤(例えば即時使用製剤)として提供される、組み合わせ製品として提供し得る。例えば、組み合わせ製品は、両製剤および所望により投与のための指示を含むキットまたはパッケージを含み得る。
【0464】
組み合わせ薬物療法が同時に投与されるとき、2以上の異なる薬物(例えばパノビノスタットおよび他の細胞毒性剤)を、いわゆる合剤で単一処方として一緒に投与し得る。
【0465】
故に、本発明のさらなる実施態様は、胆管癌の処置のための、パノビノスタットおよび1以上の細胞毒性剤を含む合剤(医薬組成物)に関する。好ましい実施態様において、1以上の細胞毒性剤は、ダサチニブ、トポテカン、メトトレキサート、トラメチニブ、BI2536、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、トリプトリドおよびこれらの組み合わせから選択される。このような合剤は、周知の製剤技術を使用して、容易に調製され得る。
【0466】
しかしながら、ある実施態様において、異なる薬物を、同時に別々の形態、例えば別々の錠剤で投与し得る。
【0467】
故に、さらなる実施態様において、本発明は、好ましくは患者における胆管癌の処置のための同時の別々のまたは逐次的使用のための、上に定義したパノビノスタットおよび細胞毒性剤を含むキットを提供すると考えることができ、ここで、好ましくは該使用はここで上に定義したとおりである。
【0468】
好ましい実施態様において、細胞毒性剤は、ボルテゾミブ、BI2536、カルボプラチン、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、ゲムシタビン、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブおよびトリプトリドならびにこれらの組み合わせから選択される。
【0469】
さらに好ましい実施態様において、細胞毒性剤は、BI2536、カルボプラチン、シスプラチン、コンブレタスタチンA4、ダクトリシブ、ダポリナド、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、メトトレキサート、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、SB-743921、トポテカン、トラメチニブおよびトリプトリドならびにこれらの組み合わせから選択される。
【0470】
他の好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、ドキソルビシン、ダクトリシブ、SB-743921、トラメチニブ、エレスクロモール、モリブレシブ、メトトレキサート、ダポリナド、トポテカン、シスプラチン、ダサチニブ、カルボプラチンおよびルミネスピブから選択される。
【0471】
さらに他の好ましい実施態様において、追加の細胞毒性剤は、カルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブ、ダクトリシブ、ダポリナド、エレスクロモール、イスピネシブ、ルミネスピブ、モリブレシブ、オバトクラックス、ペリチニブ、トラメチニブおよびトリプトリド、好ましくはカルボプラチン、シスプラチン、ダサチニブ、ドキソルビシン、ドセタキセル、メトトレキサート、トポテカン、トラメチニブから選択される。
【0472】
胆管癌の処置のための上記原薬および組み合わせに加えて、本発明の組成物、キットまたは治療レジメンは、他の薬物を含み得る。これら薬物は、他の抗癌薬物または癌処置レジメで投与されることが知られる薬物、例えばここに記載する他の細胞毒性剤であり得る。
【0473】
本発明のある実施態様において、対象(患者)は、本発明の処置の前に、同時にまたは後に他の処置に付され得る。例えば、ある実施態様において、対象(患者)は、当分野で知られる方法に従う放射線療法および/または手術で処置され得る。
【0474】
故に、ある実施態様において、本発明の方法は、対象を放射線療法および/または手術で処置するさらなる段階を含み得る。手術は、CCA腫瘍の切除を含み得る。
【0475】
ある実施態様において、本発明の併用療法は、第二選択処置として、すなわち、ゲムシタビンベースの治療に難治性の対象に使用され得る。故に、ある実施態様において、処置すべき対象は、ゲムシタビンベースの治療に難治性である。
【0476】
BSA(体表面積)は、例えば、モステラー式
【数1】
を使用して、計算し得る。必要であればこれを0.025mg/kg=1mg/m
2の平均成人のための変換係数を使用して、mg/kgに変換し得る。
【0477】
本発明の好ましい態様は、実施例に示され、そこで実施例で使用されるパラメータまたは要素の1以上が、上に記載した方法の好ましい特性として使用され得る。
【0478】
本発明を、次の非限定的実施例において、以下のとおりである図面を参照してさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0479】
【
図1】7種の胆管癌細胞株のパノビノスタットに対する濃度-応答-曲線を示す。A)肝内胆管癌細胞株。B)肝外胆管癌細胞株および複合胆管および肝細胞癌細胞株としてKMCH-1。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0480】
【
図2】細胞株HuCC-T1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびボルテゾミブ(三角)ならびにパノビノスタットと1.3nM ボルテゾミブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0481】
【
図3】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびカルボプラチン(三角)ならびにパノビノスタットと1000nM カルボプラチンの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0482】
【
図4】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびシスプラチン(三角)ならびにパノビノスタットと100nM シスプラチンの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0483】
【
図5】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびダサチニブ(三角)ならびにパノビノスタットと5nM ダサチニブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0484】
【
図6】細胞株(A)HuCCT-1および(B)TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびドキソルビシン(三角)ならびにパノビノスタットと87nMまたは100nM ドキソルビシンの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0485】
【
図7】細胞株(A)CC-SW-1および(B)TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびゲムシタビン(三角)ならびにパノビノスタットと12nMまたは1000nM ゲムシタビンの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0486】
【
図8】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびメトトレキサート(三角)ならびにパノビノスタットと24nM メトトレキサートの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0487】
【
図9】細胞株(A)HuCCT-1および(B)TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびトラメチニブ(三角)ならびにパノビノスタットと8.8nMまたは1000nM トラメチニブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0488】
【
図10】細胞株(A)CC-SW-1および(C)TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびトポテカン(三角)ならびにパノビノスタットと24nMまたは120nM トポテカンの組み合わせ(丸)としての効果を示す。(B)5.3nM パノビノスタット(丸)における、単独物質処置としてのトポテカン(四角)およびパノビノスタット(三角)ならびにトポテカンと5.3nM パノビノスタットの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0489】
【
図11】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびBI2536(三角)ならびにパノビノスタットと490nM BI2536の組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0490】
【
図12】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびトリプトリド(三角)ならびにパノビノスタットと30nM トリプトリドの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0491】
【
図13】それぞれ細胞株(A)EGI-1および(B)TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびダクトリシブ(三角)ならびにパノビノスタットと80または2nM ダクトリシブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0492】
【
図14】(A)細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびダポリナド(三角)ならびにパノビノスタットと23nM ダポリナドの組み合わせ(丸)としての効果;および(B)細胞株CC-SW-1における、単独物質処置としてのダポリナド(四角)およびパノビノスタット(三角)ならびにダポリナドと5.3nM パノビノスタットの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0493】
【
図15】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびメシル酸オバトクラックス(三角)ならびにパノビノスタットと16nM メシル酸オバトクラックスの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0494】
【
図16】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびSB-743921(三角)ならびにパノビノスタットと6.4nM SB-743921の組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0495】
【
図17】それぞれ細胞株(A)EGI-1および(B)HuCC-T1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびコンブレタスタチンA4(三角)ならびにパノビノスタットと1000nMまたは100nM コンブレタスタチンA4の組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0496】
【
図18】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびイスピネシブ(三角)ならびにパノビノスタットと75nM イスピネシブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0497】
【
図19】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびモリブレシブ(三角)ならびにパノビノスタットと1000nM モリブレシブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0498】
【
図20】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびルミネスピブ(三角)ならびにパノビノスタットと56nM ルミネスピブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0499】
【
図21】細胞株TFK-1における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびペリチニブ(三角)ならびにパノビノスタットと90nM ペリチニブの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【0500】
【
図22】(A)および(B)5.3nMまたは14nM パノビノスタット(丸)における、単独物質処置としてのエレスクロモール(四角)およびパノビノスタット(三角)ならびにエレスクロモールと5.3nMまたは14nM パノビノスタットの組み合わせ(丸)としての効果を示す。(C)および(D)7nMまたは70nM エレスクロモール(丸)における、単独物質処置としてのパノビノスタット(四角)およびエレスクロモール(三角)ならびにパノビノスタットと7nMまたは70nM エレスクロモールの組み合わせ(丸)としての効果を示す。細胞生存能を、薬物添加48時間後に測定した。IC
50値は、縦線で強調表示される。
【実施例】
【0501】
配合剤の実験法および分析概要
種々の胆管癌(CCA)細胞株を、この薬物スクリーニングで使用した。表1は、この実験で使用した培養培地および細胞数の詳細を提供する。
【表1】
【0502】
トリプシン処理および計数後、単一細胞を、10μLの適切な培地中、Greier 384ウェル組織培養処理ポリスチレンプレート(#781098)に播種した(正確な細胞数については表1参照)。播種細胞を、24時間にわたりプレートに付着させ、次いで適切な体積の化合物をアコースティックリキッドディスペンサー(Labcyte Echo 550)を使用して加えて、25μL総体積中、0.1nM~1000nMの単一薬物の濃度を得た(「用量応答」)。ウェルを15μLの適切な培地で満たし、上記のとおり48時間インキュベートした。48時間のインキュベーション後、細胞を25μLの0.5xCell TitreGlo発光生存率検出試薬で処理した。細胞を暗所で10分間インキュベートし、次いでSynergy Neo2プレートリーダーでオートゲインを用いてトップからの発光を読み取った。
【0503】
単一物質処置としてのパノビノスタットについて、7種の胆管癌細胞株を使用した。次いで、パノビノスタットを4種の胆管癌細胞株について、23種の他の薬物との組み合わせで試験した。単一濃度の組み合わせ薬物を、4種の細胞株の各々に単独で試験した組み合わせ薬物について予め決定されたIC20値に基づき加えた。細胞株TFK-1は、試験薬物の一部に非感受性であった。IC20値が計算できなければ、100~1000nMの用量を組み合わせ試験のために選択した(カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、トラメチニブに適用)。HuCCT-1細胞について、トラメチニブを、IC20ではなく、IC44=8.8nMの用量で加えた。
【0504】
データ分析
Cell TitreGloアッセイからの細胞生存能は、試験した各細胞株で576の用量応答曲線をもたらした(DMSOを含む24の単剤療法および552のIC20での配合剤)。
【0505】
実施例1:7種の胆管癌細胞株に対するパノビノスタットの効果
パノビノスタットを、上記方法セクションに詳述したとおり、DMSOとの比較として単一物質処置として7種の異なる胆管癌細胞株で試験した。これにより、全ての分析した細胞株がパノビノスタットに対する応答を示すことが確認された(
図1参照):5種の細胞株は約100nMのIC
50を示し、2種の細胞株(CC-SW-1およびEGI-1)は、12nMまたは36nMのIC
50でパノビノスタットに高感受性を示す(IC
50値は表2、そして用量-応答曲線は
図1参照)。
単一物質として有効であるが、パノビノスタット有効性は、下記のとおり他の抗癌薬物との組み合わせにより増加する(実施例2~22)。
【表2】
【0506】
実施例2:HuCCT-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびボルテゾミブの組み合わせ
細胞株HuCCT-1を、パノビノスタットおよび低用量ボルテゾミブ(1.3nM、単一物質曲線のIC
20用量)の組み合わせで処理した、
図2参照。組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。
実際、パノビノスタットおよびボルテゾミブの組み合わせは、単一物質処置としてのパノビノスタットのIC
50値90nMが、1.3nM ボルテゾミブとの組み合わせにより51nMまで低下することにより強調されるとおり、より効率的である。それ故に、パノビノスタットは、単一物質処置と比較して、ボルテゾミブとの組み合わせで高い有効性を示すと結論づけることができる。
【0507】
実施例3:TFK-1胆管癌細胞に対するパノビノスタットおよびカルボプラチンの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。興味深いことに、カルボプラチンは、単一物質処置としてTFK-1細胞の細胞生存能に影響しなかった(
図3、三角)。しかしながら、カルボプラチンを1000nMの用量でパノビノスタットに加えたとき(
図3、丸)、IC
50値の70nMから26nMへの低下により示されるとおり、パノビノスタットの有効性は増加した(
図3)。それ故に、パノビノスタットとカルボプラチンの組み合わせは、胆管癌処置にパノビノスタット単独より良好な効能を示すことが期待される。
【0508】
実施例4:TFK-1胆管癌細胞に対するパノビノスタットおよびシスプラチンの組み合わせ
シスプラチンは、単一物質処置としてTFK-1に効果を有しなかった(
図4、三角)。しかしながら、パノビノスタットへの100nM シスプラチンの追加(IC
50=42nM;
図4、丸)は、パノビノスタット単独より高い有効性を示した(IC
50=70nM;四角)、
図4参照。組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。故に、パノビノスタットとシスプラチンの組み合わせは、胆管癌の処置に高い有効性を有することが期待される。
【0509】
実施例5:TFK-1胆管癌細胞株に対するパノビノスタットおよびダサチニブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。単一物質としてのダサチニブは、TFK-1細胞において僅かな有効性しか示さなかった(
図5、三角)。興味深いことに、低用量ダサチニブ(5nM、単一物質曲線のIC
20用量)の追加は、パノビノスタットの効果を高めた。これは、パノビノスタット単独について70nM(
図5、四角)から組み合わせについて39nMへのIC
50値のシフトにより説明される(
図5、丸)。故に、治療これらの結果から、パノビノスタットおよびダサチニブの組み合わせは、胆管癌治療のためにパノビノスタット単独より高い有効性を有することが期待される。
【0510】
実施例6:HuCCT-1およびTFK-1胆管癌細胞に対するパノビノスタットおよびドキソルビシンの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株HuCCT-1は、それぞれ90nMおよび158nMのIC
50値でパノビノスタットおよびドキソルビシンに感受性であった。パノビノスタットとドキソルビシンの組み合わせ(
図6A、丸)は、パノビノスタット(四角)またはドキソルビシン(三角)単独と比較して、44nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図6A参照。
細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび123nMのIC
50値でパノビノスタットおよびドキソルビシンに感受性であった。パノビノスタットとドキソルビシンの組み合わせ(
図6B、丸)は、パノビノスタット(四角)またはドキソルビシン(三角)単独と比較して、40nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図6B参照。
それ故に、パノビノスタットおよびドキソルビシンの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0511】
実施例7:CC-SW-1およびTFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびゲムシタビンの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株CC-SW-1は、パノビノスタット(
図7A、四角)およびゲムシタビン(
図7A、三角)両方に感受性であるが、特に、パノビノスタットおよび12nM ゲムシタビンの組み合わせに対して感受性である(
図7A、丸)。組み合わせは、パノビノスタット単独の12nMと比較して、3nMの低いIC
50値を示した。
興味深いことに、細胞株TFK-1は、単一物質処置としてのゲムシタビンに感受性ではなかった。それにも関わらず、パノビノスタットへのゲムシタビンの追加(IC
50=46nM)は、パノビノスタットのみと比較して、有効性を増加させた(IC
50=70nM
図7B参照)。
それ故に、パノビノスタットへのゲムシタビンの追加は、胆管癌処置中の細胞生存能に対する効果の増加を導く。
【0512】
実施例8:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびメトトレキサートの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。メトトレキサートは、TFK-1細胞における細胞生存能に対して、わずかな効果しか有さなかった(
図8、三角)。パノビノスタットへの24nM メトトレキサートの追加(
図8、丸)は、それにも関わらず70nMのIC
50であるパノビノスタット単独(
図8、四角)と比較して、37nMのIC
50値で有効性の増加を示した(
図8参照)。胆管癌処置に対して類似の効果が期待される。
【0513】
実施例9:HuCCT-1およびTFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびトラメチニブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。トラメチニブは、HuCCT-1およびTFK-1細胞両方にわずかな有効性しか示さなかった(三角、
図9AおよびB)。しかしながら、HuCCT-1細胞におけるパノビノスタットへの低用量トラメチニブ(8.8nM)の追加は、細胞生存能に対するパノビノスタットの効果を増加させた。これは、パノビノスタット単独(
図9A、四角)の90nMから組み合わせ処置(丸、
図9A)の42nMへのIC
50値のシフトにより示される。
同様に、組み合わせトラメチニブおよびパノビノスタット処置は、TFK-1細胞において70nMから31nMへのIC
50値の低下により、パノビノスタット単独より高い効果も示した(
図9B)。
それ故に、パノビノスタットおよびトラメチニブでの組み合わせ処置は、胆管癌治療において高い効果を示すことが予測される。
【0514】
実施例10:CC-SW-1およびTFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびトポテカンの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株CC-SW-1は、それぞれ12nMおよび54nMのIC
50値でパノビノスタットおよびトポテカンの組み合わせに感受性であった。CC-SW-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量トポテカンの組み合わせ(
図10A、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、5.0nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図10A参照。さらに、CC-SW-1細胞におけるトポテカンと固定用量パノビノスタットの組み合わせ(
図10B、丸)も、トポテカン単独(四角)と比較して、37nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図10B参照。
細胞株TFK-1は、パノビノスタットおよびトポテカンの組み合わせにもそれぞれ70nMおよび373nMのIC
50値で感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量トポテカンの組み合わせ(
図10C、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、28nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図10C参照。
それ故に、パノビノスタットおよびトポテカンの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0515】
実施例11:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびBI2536の組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび80nMのIC
50値でパノビノスタットおよびBI2536に感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットとBI2536の組み合わせ(
図11、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、38nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図11参照。それ故に、パノビノスタットおよびBI2536の組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0516】
実施例12:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびトリプトリドの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび15nMのIC
50値でパノビノスタットおよびトリプトリドに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットとトリプトリドの組み合わせ(
図12、丸)は、パノビノスタット(四角)と比較して、64nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図12参照。それ故に、パノビノスタットおよびトリプトリドの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0517】
実施例13:EGI-1およびTFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびダクトリシブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株EGI-1は、それぞれ99nMおよび99nMのIC
50値でパノビノスタットおよびダクトリシブに感受性であった。EGI-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量ダクトリシブの組み合わせ(
図13A、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、34nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図13A参照。
細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび93nMのIC
50値でパノビノスタットおよびダクトリシブにも感受性であった。TFK-1細胞におけるTFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量ダクトリシブの組み合わせ(
図13B、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、30nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図13B参照。それ故に、パノビノスタットおよびダクトリシブの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0518】
実施例14:TFK-1およびCC-SW-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびダポリナドの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび73nMのIC
50値でパノビノスタットおよびダクトリシブに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量ダクトリシブの組み合わせ(
図14A、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、48nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図14A参照。
さらに、細胞株CC-SW-1は、それぞれ12nMおよび8nMのIC
50値でパノビノスタットおよびダポリナドに感受性であった。ダポリナドと固定用量パノビノスタットの組み合わせ(
図14B、丸)は、組み合わせの薬物感受性スコア(DSS)34で、ダポリナド単独(四角)で17のDSSと比較して、良好な応答を示した、
図14B参照。それ故に、パノビノスタットおよびダポリナドの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0519】
実施例15:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびメシル酸オバトクラックスの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび1523nMのIC
50値でパノビノスタットおよびメシル酸オバトクラックスに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量メシル酸オバトクラックスの組み合わせ(
図15、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、52nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図15参照。それ故に、パノビノスタットおよびメシル酸オバトクラックスの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0520】
実施例16:TFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびSB-743921の組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。
細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび8nMのIC
50値でパノビノスタットおよびSB-743921にも感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量SB-743921の組み合わせ(
図16、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、37nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図16参照。
それ故に、パノビノスタットおよびSB-743921の組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0521】
実施例17:EGI-1およびHuCC-T1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株EGI-1は、それぞれ99nMおよび>1000nMのIC
50値でパノビノスタットに感受性であったが、コンブレタスタチンA4には感受性はなかった。EGI-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量コンブレタスタチンA4の組み合わせ(
図17A、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、52nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図17A参照。
細胞株HuCC-T1は、それぞれ90nMおよび11nMのIC
50値でパノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4にも感受性であった。HuCC-T1細胞におけるパノビノスタットと固定用量コンブレタスタチンA4の組み合わせ(
図17B、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、53nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図17B参照。
それ故に、パノビノスタットおよびコンブレタスタチンA4の組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0522】
実施例18:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびイスピネシブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび11nMのIC
50値でパノビノスタットおよびイスピネシブに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量イスピネシブの組み合わせ(
図18、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、45nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図18参照。それ故に、パノビノスタットおよびイスピネシブの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0523】
実施例19:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびモリブレシブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび181nMのIC
50値でパノビノスタットおよびモリブレシブに感受性であった。HuCC-T1細胞におけるパノビノスタットと固定用量モリブレシブの組み合わせ(
図19、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、26nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図19参照。それ故に、パノビノスタットおよびモリブレシブの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0524】
実施例20:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびルミネスピブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび21nMのIC
50値でパノビノスタットおよび ルミネスピブに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量ルミネスピブの組み合わせ(
図20、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、11nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図20参照。それ故に、パノビノスタットおよびルミネスピブの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0525】
実施例21:TFK-1胆管癌細胞におけるパノビノスタットおよびペリチニブの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび0.08nMのIC
50値でパノビノスタットおよびペリチニブに感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量ペリチニブの組み合わせ(
図21、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、34nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図21参照。それ故に、パノビノスタットおよびペリチニブの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0526】
実施例22:CC-SW-1、EGI-1、HuCC-T1およびTFK-1胆管癌細胞株におけるパノビノスタットおよびエレスクロモールの組み合わせ
組み合わせ薬物試験の実験詳細については、上記方法セクションを参照されたい。細胞株CC-SW-1は、それぞれ12nMおよび50nMのIC
50値でパノビノスタットおよびエレスクロモールに感受性であった。CC-SW-1細胞におけるエレスクロモールと固定用量パノビノスタットの組み合わせ(
図22A、丸)は、エレスクロモール単独(四角)と比較して、19nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図22A参照。
細胞株EGI-1は、それぞれ99nMおよび34nMのIC
50値でパノビノスタットおよびエレスクロモールにも感受性であった。EGI-1細胞におけるエレスクロモールと固定用量パノビノスタットの組み合わせ(
図22B、丸)は、エレスクロモール単独(四角)と比較して、19nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図22B参照。
細胞株HuCC-T1は、それぞれ90nMおよび9nMのIC
50値でパノビノスタットおよびエレスクロモールにも感受性であった。HuCC-T1細胞におけるパノビノスタットと固定用量エレスクロモールの組み合わせ(
図22C、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、46nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図22C参照。
細胞株TFK-1は、それぞれ70nMおよび35nMのIC
50値でパノビノスタットおよびエレスクロモールにも感受性であった。TFK-1細胞におけるパノビノスタットと固定用量エレスクロモールの組み合わせ(
図22D、丸)は、パノビノスタット単独(四角)と比較して、24nMのIC
50値で良好な応答を示した、
図22D参照。それ故に、パノビノスタットおよびエレスクロモールの組み合わせは、胆管癌の処置に有益であると期待される。
【0527】
実施例23:パノビノスタットおよびダサチニブを含むカプセル剤
パノビノスタット(99%純度)は、中国のShandong Sunrise Technology Co., Ltd.から購入し得る。あるいは、乳酸パノビノスタットを、WO2007146716(引用により本明細書に包含させる)に従いパノビノスタットおよび乳酸から産生し得る。ダサチニブ一水和物(≧99.0%純度)は、中国のBeijing Yibai Biotechnology Co.,Ltd.から購入し得る。
【0528】
パノビノスタットおよびダサチニブを含むカプセル剤を、下記のとおり調製した。
成分
乳酸パノビノスタット(15g パノビノスタットに相当)
ダサチニブ一水和物(50g ダサチニブに相当)
ステアリン酸マグネシウム 1g
マンニトール 50g
微結晶セルロース500gまで適量
上記成分を、ミキサーで容量的に混合し、1000硬ゼラチンカプセルサイズ0に充填した。各カプセルは15mg パノビノスタットおよび50mg ダサチニブを含む。
【0529】
実施例24:2つの異なる処方を含む医薬品
パノビノスタット(99%純度)は、中国のShandong Sunrise Technology Co., Ltd.から購入し得る。あるいは、乳酸パノビノスタットを、WO2007146716(引用により本明細書に包含させる)に従いパノビノスタットおよび乳酸から産生し得る。
ファリーダック15mg(Novartis)に類似するカプセルが調製される。
カプセルをブリスターに包装する(6カプセル/ブリスター)。
ダサチニブ一水和物(≧99.0%純度)は、中国のBeijing Yibai Biotechnology Co.,Ltd.から購入し得る。
スプリセル50mg(Bristol-Myers Squibb)に類似する錠剤が調製される。
錠剤をブリスターに包装する(6錠剤/ブリスター)
ブリスター(5錠ブリスターおよび5カプセルブリスター)を、医薬品パッケージに添付文書と共に包装する。
【0530】
実施例25:パノビノスタット単剤療法と比較した細胞毒性剤との組み合わせにおけるパノビノスタットの正常胆管細胞における毒性減少
正常胆管細胞におけるパノビノスタットの毒性に対する種々の細胞毒性剤の効果を試験した。細胞株H69(CVCL_8121)を上記実験法において使用して、細胞にIC
20濃度で加えたときの細胞毒性剤(二次薬物)との組み合わせで使用したときの、これらの細胞に対するパノビノスタット(一次薬物)のIC
50値を決定した。
二次薬物の効果を、パノビノスタット単独のIC
50-パノビノスタット組み合わせのIC
50として計算した、デルタIC
50測定を使用して定量した。正の数値は、組み合わせがパノビノスタット単独よりも毒性であることを示す。差が大きいほど、組み合わせの毒性は大きい。負のデルタIC
50は、組み合わせが単剤療法より低毒性であることを示す。結果を、下に示す。
【表3】
結果は、試験二次薬物が正常胆管細胞におけるパノビノスタットの毒性を低減することを示す。
【0531】
実施例26:パノビノスタット単剤療法と比較した他の細胞毒性剤との組み合わせにおけるパノビノスタットの治療指数
種々のパノビノスタット併用療法の治療指数を上記のとおり、正常胆管細胞(細胞株H-69)および種々のCCA細胞株における組み合わせおよび単剤療法(すなわちパノビノスタット単独)の効果の比較により決定した。上記実験法を使用して、細胞にIC20濃度で加えたときの細胞毒性剤(二次薬物)との組み合わせで使用したときの、これらの細胞に対するパノビノスタット(一次薬物)のIC50値を決定した。
治療指数(TI)は、正常細胞におけるIC50対CCA細胞株におけるIC50の比をいう。1を超えるTIは、治療が、正常細胞に比してCCA細胞の生存能の低減に有効であることを示す。高TI、例えば1.5以上は、正常細胞と癌細胞間で効力に大きな差がある、すなわち治療は、正常細胞に比して癌細胞に対する高選択性を示すことを示す。併用療法で単剤療法より高いTIは、併用療法が単剤療法より癌細胞に選択的であることを示す。結果を以下に示す(IC50値をnM)。
【0532】
【0533】
これらの結果は、試験パノビノスタット併用療法が、CC-SW-1細胞株と特徴を共有するCCA腫瘍に対して特に有効であることを示す。しかしながら、データは、他の細胞株に有効である併用療法を特定する。例えば、トラメチニブおよびドキソルビシンの併用療法は、トラメチニブおよびドキソルビシンに特に有効である。トラメチニブおよびトポテカンの併用療法は、トラメチニブおよびトポテカンに特に有効である。トラメチニブおよびカルボプラチンの併用療法は、トラメチニブおよびカルボプラチンに特に有効である。ダサチニブ、メトトレキサート、ダクトリシブ、トポテカンおよびトラメチニブの併用療法は、ダサチニブ、メトトレキサート、ダクトリシブ、トポテカンおよびトラメチニブに特に有効である。
【0534】
実施例27:CCA細胞株におけるパノビノスタットのIC
50
を調節するパノビノスタット併用療法
ここに記載する実験データを使用して、CCA細胞におけるパノビノスタットの効果の増強に特に有効である細胞毒性剤を特定した。組み合わせをデルタIC50の決定により特定し、ここで、正のデルタIC50が高いほど、組み合わせがより有効であることを示す。下表は、絶対デルタIC50(nM)およびパーセンテージとしての相対的変化を示す。
【0535】
【0536】
下表は、全組み合わせが全細胞株に有効ではない、すなわちある組み合わせは、負のデルタIC
50値により示されるとおり、ある細胞株におけるパノビノスタットの毒性に負に影響することを示す。
【表9】
【0537】
実施例28:パノビノスタットおよびエレスクロモールの組み合わせ指数の決定
データ正規化および曲線あてはめ
CTGアッセイからの細胞生存能は、試験した各細胞株についてX用量応答曲線(DMSOを含むY単剤療法およびIC
20での薬物のZ組み合わせ)をもたらした。各プレートの生存能データを、0.1%DMSOの8複製および100μM塩化ベンゼトニウム(BzCl)の7複製の平均に対して正規化した。BzClは、CTG発光アッセイにおける死滅細胞からのバックグラウンドシグナルを構成する殺細胞対照として役立つ。生発光データを、次式に従い正規化した。
【数2】
次いで、各用量応答曲線からの正規化データを、R package drcのdrm関数を使用してあてはめた。この関数は、用量応答の当てはめのために4パラメータ対数ロジスティック曲線を使用し、曲線最小、最大、IC
50および傾斜の値をもたらす。対数ロジスティック曲線でデータのあてはめができないとき、ロジスティック曲線を代わりに使用した。IC
50は、計算上の曲線最大と最小の間の50%応答の濃度に対応し、故に相対的IC
50値である。
【数3】
【0538】
相乗スコア計算
相乗スコアを、レーヴェ相加性、ブリス独立性および0相互作用ポテンシャル(ZIP)方法に従い、各配合剤について組み合わせ用量応答に対する単剤療法用量応答について計算した。これらの方法は、組み合わせで使用する薬物の単剤療法応答に基づき、予測応答を計算する。次いで、組み合わせで測定された応答をこれら予測応答から減算して、各試験濃度の相乗性スコアを導く;正のスコアは相乗性を示し、一方負のスコアは拮抗作用を示す。
【0539】
レーヴェ相加性
レーヴェ相加性値を、明示された方法を使用して計算した。組み合わせにおける各薬物について、組み合わせにおける2種の薬物の用量の合計に等しい用量での薬物単独の応答から、予測応答を計算した。次いで、各薬物の予測応答を平均し、測定濃度での観測値をこの平均から減算して、相乗スコアを導く。
【数4】
【数5】
レーヴェ相加性モデルは、組み合わせで使用される薬物が同じ経路を標的とするとき、相加効果を有することが予測されるため、好ましい。
【0540】
ブリス相乗性
ブリスモデルを使用して導いた予測応答を、組み合わせで試験した各濃度での各薬物の単剤療法応答を乗ずることにより、計算した。次いで、これら濃度で測定された応答をこれら予測値から減算して、相乗スコアを導いた。
【数6】
【数7】
ブリス独立性モデルは、組み合わせで使用される薬物が異なる経路を標的とするとき、独立した効果を有することが予測されるため、好ましい。
【0541】
ZIP相乗性
ZIPモデルを使用して導いた予測応答を、上記ブリス方法に従い計算した。組み合わせについて観察された応答を対数ロジスティック関数にあてはめ、曲線最大を妥当な用量でIC
20薬物単剤療法の対応する応答に設定した。次いで、これらのあてはめた組み合わせ値を予測応答から減算して、相乗スコアを導いた。
【数8】
【数9】
ZIPモデルを、ブリスおよびレーヴェモデルを統合するよう作成した。
【0542】
パノビノスタットおよびエレスクロモールの組み合わせ指数をここに記載するとおり決定した。下表は、この組み合わせが3種の細胞株で相乗性を示す、すなわち1未満の組み合わせ指数を示すことを示す。
【表10】
【0543】
実施例29:細胞株のゲノムシークエンス
全ゲノムシークエンシングを、ここで使用した細胞株で実施し、細胞株に特異的であり、CCA腫瘍で生じることが予測され得る、遺伝子マーカー(変異)を同定した。下表は、CIViC databaseおよびCancer Biomarkers Databaseにおける予測、予後、診断および素因バイオマーカー、癌ドライバー変異として予測されるまたは病因として精選された既知癌変異ホットスポットで見られるコード化変異体、および癌遺伝子または腫瘍サプレッサー遺伝子で見られるコード化変異体とリンクさせた細胞株のマーカーを示す。
【0544】
【0545】
実施例30:マウスにおける異種移植試験
細胞培養
正常ヒト胆管細胞株(H69)および種々のヒト胆管癌細胞株(HuCCT、CC-SW1、EGI-1およびTFK-1)を、標準条件に従い、培養する。
【0546】
マウス実験
全マウス実験を、研究における動物の使用に関する倫理委員会(ノルウェー)で承認されたプロトコルに従い、実施する。動物を温度制御環境でケージで飼育する。動物は、標準餌および水を自由に摂取できる。明/暗サイクルは12時間/12時間である。細胞懸濁液を、ヌードマウスに皮下注射する。
腫瘍増殖を、細胞懸濁液投与10日後に確認する。マウスを5群に分ける(各群10動物);第一群は活性処置を受けず、第二群は薬物Aを受け、第三群は薬物Bを受け、第四軍は組み合わせ薬物A+薬物Bを受け、第5群はゲムシタビンベースの併用療法を受ける。全動物は、餌および水を自由に摂取できる。
薬物が当局により承認された薬物であるならば、薬物を、他の癌疾患の処置で病院で使用されるのと同じ用量(kgあたり)および投与頻度で、同じ方法で投与する。最高用量および最高頻度の投与を使用する。薬物が実験薬物(すなわち現在承認されていない)ならば、該薬物を、癌処置に関する先行技術文献で使用されるのと同じ用量(kgあたり)および投与頻度で、同じ方法で投与する。
腫瘍体積を処置期間をとおして毎週計測する。一部マウスを、超音波試験および/またはMRI試験に付して、処置期間中の腫瘍増殖を追跡する。マウスを、50日後、標準的手順に従い麻酔し、屠殺する。腫瘍を摘出し、重量測定し、さらなる分析のためにフリーザー中で保存する。
結果は、一部配合剤が異種移植ヌードマウスモデルにおけるヒト胆管癌の処置に極めて有効であることを示すことが予測される。インビボ有効性は、インビトロ細胞株有効性と良好に相関することが予測される。
【0547】
実施例31:胆管癌を有する患者における第二選択治療としての薬物Aおよび薬物Bを使用する組み合わせ治療の臨床プロトコル
一アーム、オープンラベル、非無作為化、探索的、多施設パイロット試験。薬物Aおよび薬物Bは、他の癌適応症について、当局により承認された薬物である。
【0548】
30参加者
編入基準:
●組織学的または細胞学的に胆管癌と確定診断された患者
●X線造影上計測可能な疾患(RECIST v1.1に従う)
●ゲムシタビンベースの第一選択治療で先に処置されている患者
●年齢:18~80歳、男性または女性
●適切であれば、避妊剤を摂取している女性
【0549】
除外基準:
●授乳婦または妊婦
●重度心機能不全
●高血圧(収縮期≧150mmHgまたは拡張期≧100mmHg)
●C型肝炎および/またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)および/またはCovid-19陽性
●原発性硬化性胆管炎および/または炎症性腸疾患および/または自己免疫性疾患
●全身感染の積極的薬物処置
●組み合わせにおける薬物または配合剤と同じ作用機序の薬物にアレルギーまたは重度有害事象の病歴
●アルコール濫用および/または薬物濫用を含む物質濫用の病歴
●臓器機能不全
〇好中球絶対数(ANC)<1,000/mm3[1.0×109/L]
〇血小板<75,000/mm3[75×109/L]
〇ヘモグロビン<109.0g/dL
〇総ビリルビン>1.5×ULN
〇アスパラギン酸アミノ基転移酵素/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ/GOT(AST/SGOT)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミンピルビントランスアミナーゼ/GPT(ALT/SGPT)>2.5×ULN(肝転移存在下ASTおよびALT>5×正常上限(ULN))
〇血清クレアチニン>1.5×ULNかつ計算または測定されたクレアチニンクリアランス<45mL/分
〇正常限界外の無機リン
〇正常限界外の総およびイオン化血清カルシウム
その他のプロトコル定義編入/除外基準を適応し得る
【0550】
投薬
薬物を他の癌形態の処置で使用される承認された最高許容用量の50%で個々に投与する。個々の薬物を、他の適応症で使用されるその薬物と同じ方法でかつ同じ頻度で投与する。好ましくは、2種の薬物を一括投与する。
【0551】
期間
各患者で最大24カ月
【0552】
評価項目
一次:
●客観的奏効率(ORR)[時間枠:24カ月まで]
Response Evaluation Criteria in Solid Tumors Version 1.1(RECIST v1.1)に基づき、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した各コホートの参加者の比率として定義
【0553】
二次:
●無進行生存(PFS)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおける最初の投与から疾患進行(RECIST v1.1に従う)または死亡(いずれか早いほう)までの期間として定義。中央無進行生存数
●応答期間(DOR)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおけるCRまたはPRの最初の評価の日から最初の疾患進行(RECIST v1.1に従う)または死亡(いずれか早いほう)までの期間として定義
●最良総合効果[時間枠:24カ月まで]
最良総合効果は、PR、CR、疾患安定(SD)またはPDの最良総合効果を有する患者の比率により要約される
●病状コントロール率(DCR)[時間枠:24カ月まで]
RECIST v1.1に従うCR、PR、または疾患安定の最良総合効果を達成した参加者の比率として定義
●全生存(OS)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおける最初の試験薬物投与からあらゆる原因での死亡までの期間として定義
中央全生存数
●処置関連有害事象数[時間枠:24カ月まで]
試験薬物/処置の最初の投与後始めて報告されたまたは既往症の悪化に関する有害事象および重度、タイプおよび頻度
●クオリティ・オブ・ライフ - クオリティ・オブ・ライフの分析 書式:https://www.eortc.org/app/uploads/sites/2/2018/08/Specimen-QLQ-C30-English.pdf
【0554】
実施例32:胆管癌を有する患者における薬物Aおよび薬物Bを使用する組み合わせ治療対ゲムシタビンおよびシスプラチン処置の臨床プロトコル
2アーム、二重盲検式無作為化、臨床フェーズIII試験、多施設
薬物Xおよび薬物Yは、他の癌適応症について、当局により承認された薬物である
80参加者
アームA:薬物Aおよび薬物Bを使用する組み合わせ治療(40参加者)
アームB:規制当局により承認された投薬に従い投与されるゲムシタビン(1000mg/m2)と規制当局により承認された投薬のシスプラチン(25mg/m2)の組み合わせ
【0555】
編入基準:
●組織学的または細胞学的に胆管癌と確定診断された患者
●X線造影上計測可能な疾患(RECIST v1.1に従う)
●年齢:18~80歳、男性または女性
●適切であれば、避妊剤を摂取している女性
【0556】
除外基準
授乳婦または妊婦
●重度心機能不全
●高血圧(収縮期≧150mmHgまたは拡張期≧100mmHg)
●C型肝炎および/またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)および/またはCovid-19陽性
●原発性硬化性胆管炎および/または炎症性腸疾患および/または自己免疫性疾患
●全身感染の積極的薬物処置
●組み合わせにおける薬物または配合剤と同じ作用機序の薬物にアレルギーまたは重度有害事象の病歴
●アルコール濫用および薬物濫用を含む物質濫用の病歴
●臓器機能不全
〇好中球絶対数(ANC)<1,000/mm3[1.0×109/L]
〇血小板<75,000/mm3[75×109/L]
〇ヘモグロビン<109.0g/dL
〇総ビリルビン>1.5×ULN
〇アスパラギン酸アミノ基転移酵素/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ/GOT(AST/SGOT)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミンピルビントランスアミナーゼ/GPT(ALT/SGPT)>2.5×ULN(肝転移存在下ASTおよびALT>5×正常上限(ULN))
〇血清クレアチニン>1.5×ULNかつ計算または測定されたクレアチニンクリアランス<45mL/分
〇正常限界外の無機リン
〇正常限界外の総およびイオン化血清カルシウム
その他のプロトコル定義編入/除外基準を適応し得る
【0557】
投薬
探索的試験の結果は、組み合わせにおける薬物の投薬の基礎を形成する。適切な指針なしで。組み合わせにおける薬物を、他の癌形態の処置で使用される承認された最高許容用量の50%で個々に投与する。個々の薬物を、他の適応症で使用されるその薬物と同じ方法でかつ同じ頻度で投与する。好ましくは、2種の薬物を一括して投与する。
【0558】
期間
各患者で24カ月
【0559】
評価項目
一次:
●客観的奏効率(ORR)[時間枠:24カ月まで]
Response Evaluation Criteria in Solid Tumors Version 1.1(RECIST v1.1)に基づき、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成した各コホートの参加者の比率として定義
【0560】
二次:
●無進行生存(PFS)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおける最初の投与から疾患進行(RECIST v1.1に従う)または死亡(いずれか早いほう)までの期間として定義。中央無進行生存
●応答期間(DOR)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおけるCRまたはPRの最初の評価の日から最初の疾患進行(RECIST v1.1に従う)または死亡(いずれか早いほう)までの期間として定義
●最良総合効果[時間枠:24カ月まで]
最良総合効果は、PR、CR、疾患安定(SD)またはPDの最良総合効果を有する患者の比率により要約される
●病勢コントロール率(DCR)[時間枠:24カ月まで]
RECIST v1.1に従うCR、PR、または疾患安定の最良総合効果を達成した参加者の比率として定義
●全生存(OS)[時間枠:24カ月まで]
各コホートにおける最初の試験薬物投与からあらゆる原因での死亡までの期間として定義
中央全生存数。
●処置関連有害事象数[時間枠:24カ月まで]
試験薬物/処置の最初の投与後始めて報告されたまたは既往症の悪化に関する有害事象および重度、タイプおよび頻度
●クオリティ・オブ・ライフ - クオリティ・オブ・ライフの分析 書式:https://www.eortc.org/app/uploads/sites/2/2018/08/Specimen-QLQ-C30-English.pdf
【0561】
実施例33:参考例 - ゲムシタビンおよびシスプラチンを含む併用療法の効果の分析
ゲムシタビンおよびシスプラチンの組み合わせは、現在胆管癌の一般的処置である(Legemiddelhandboka, https://www.legemiddelhandboka.no/T2.2.1.4/Galleveiscancer and Juan Valle et al, Annals of Oncology 25: 391-398, 2014参照)
この組み合わせを、上記実験法を使用して試験した。ゲムシタビンを一次薬物として使用する組み合わせの治療指数結果を以下に示す。
【表13】
ゲムシタビン単剤療法は、胆管癌の好ましい処置の一つである。CC-SW-1、EGI-1、HuCCTおよびTFK-1におけるゲムシタビンの単剤療法データは、正常細胞に対するIC
50値は、全胆管癌癌細胞株よりはるかに低いことを示す。治療指数はそれぞれ0.4、0.4、0.4および0.2である。これは、ゲムシタビンが胆管癌に良好な処置ではないことを示す。
配合剤ゲムシタビン+シスプラチンも胆管癌の好ましい臨床的処置である。細胞株CC-SW-1およびTFK-1の組み合わせ指数データは治療指数のある程度の改善を示すが、しかしながら、細胞株EGI-1でのゲムシタビンへのシスプラチンの追加は、ゲムシタビンの効果を打ち消す。組み合わせは、細胞株HuCCTに対する治療効果に影響しない。
【0562】
実施例34:少なくとも1種のCCA細胞株に相乗性を示すパノビノスタット併用療法
下表は、そのパノビノスタット併用療法が少なくとも1種のCCA細胞株に相乗性を示すかを示す、
【表14】
【0563】
まとめると、本発明者らは、抗癌薬物およびそれらの組み合わせの広範な試験を実施している。これに関し、何千もの既知化合物が、1以上の癌形態に対して何らかの活性を有すると報告されている。ここに示す結果に到達するまで、本発明者らは、まず、384種の化合物を含む適当な化合物を選択した。このような化合物ライブラリーは、2種の物質を含む120,000を超える異なる組み合わせをもたらす。単一化合物および化合物の組み合わせの広範な試験を経て、本発明者らは、ここで試験した細胞株の少なくとも1種に対して良好な有効性を示す20の組み合わせを同定した。これは、384種の異なる化合物の初期セレクションに基づく組み合わせの理論値の約0.02%である。
【国際調査報告】