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特表2022-547708流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するための燃料油洗浄の使用方法
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  • 特表-流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するための燃料油洗浄の使用方法 図1
  • 特表-流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するための燃料油洗浄の使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するための燃料油洗浄の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20221108BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20221108BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20221108BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20221108BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20221108BHJP
   B01J 38/02 20060101ALI20221108BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B01J38/00 301R
B01D35/02 E
B01D29/10 510D
B01D29/10 510G
B01D29/10 520B
B01D29/36 D
B01D29/38 510C
B01D29/38 540
B01D29/38 520A
B01D29/38 530A
B01D29/10 530A
B01J38/02
B01J37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516243
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020050052
(87)【国際公開番号】W WO2021050631
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】16/570,029
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508364749
【氏名又は名称】ケロッグ ブラウン アンド ルート エルエルシー
【住所又は居所原語表記】601 Jefferson Street Houston TX 77002(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ライナカ ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ウルキアガ ホセ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴー トリュック
(72)【発明者】
【氏名】ケイトン ジェフリー ドナルド
【テーマコード(参考)】
4D116
4G169
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC45
4D116DD06
4D116GG02
4D116KK04
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QA06F
4D116QA06G
4D116QA07C
4D116QA07D
4D116QA07F
4D116QA25C
4D116QA25G
4D116QA26C
4D116QA26D
4D116QA26E
4D116QA26G
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR12
4D116RR25
4D116SS01
4D116SS10
4D116TT05
4D116TT06
4D116VV01
4D116VV11
4D116VV30
4G169AA10
4G169AA15
4G169BB04A
4G169CB07
4G169DA08
4G169FB29
4G169FC07
4G169GA01
4G169GA19
4G169GA20
(57)【要約】
プロセスにおいて、外部燃料油を用いて流動層プロパン脱水素化反応器排出物から同伴触媒を洗い流し、燃料油と触媒の混合物が反応器に戻されることで、触媒の再生に必要とされる正味燃料を供給する。必要に応じて、流動層プロパン脱水素化反応器排出物と燃料油とを、反応器容器内のフラッシュゾーンに入る前に直接接触インライン装置内で接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層プロパン脱水素化反応器排出ガス(1)から触媒(5)を回収するための方法であって、
(a)流動層プロパン脱水素化反応器排出ガス(1)を冷却すること、を含み、
(b)触媒(5)を洗い流し、実質的に触媒(5)を含まない冷却された排出ガス(6)を得るために、洗浄部(B)内で、前記冷却された排出ガス(6)を燃料油(2)に接触させることと、
(c)前記洗浄部(B)から油-触媒スラリー(3)を引き抜き、前記油-触媒スラリー(3)を、フィルタ(C)を通して循環させ、それにより触媒(5)を前記燃料油(2)から除去してろ過された洗浄油(4)を与えることと、
(d)ろ過された洗浄油(4)を、再循環洗浄油(4)として前記洗浄部(B)に戻すことと、
(e)前記フィルタ(C)を逆洗し、それにより触媒(5)を回収することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記接触させるステップと前記戻すステップは、気液接触要素と、燃料油在庫を保持するボトムゾーンとを備える急冷塔(A)内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触させるステップの前に前記再循環洗浄油(4)を冷却することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記油-触媒スラリー(3)を、フィルタ(C)を通して循環させることは、前記触媒(5)を分離してろ液を与えるためのろ過モードにおいて、前記油-触媒スラリー(3)を少なくとも1つの第1フィルタ(C)を連続的に通過させると同時に、前記第1フィルタ(C)と並列の少なくとも1つの第2フィルタが逆洗モードであり、それにより分離された前記触媒(5)をそこから除去することを含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ろ液を前記第1フィルタ(C)から前記燃料油在庫へ戻すことをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記フィルタを逆洗することは、少なくとも1つの前記第1フィルタと少なくとも1つの前記第2フィルタとを、前記ろ過モードと前記逆洗モードとの間で周期的に交互に切り替えることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記逆洗することは、触媒(5)の除去のために、前記第2フィルタを通して少なくとも1回圧縮ガスのパルスを発することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記燃料油(2)は、前記燃料油在庫からの燃料油の一部である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
請求項1、2または3に記載の方法であって、前記フィルタ(C)は、それぞれの層が固定ろ過媒体を備える複数の層を備える多層システムであって、前記油-触媒スラリーを、前記多層システムを通して循環させることは、
(a)前記油-触媒スラリー(3)を、少なくとも第1層を通して循環させ、それにより前記第1層に触媒(5)を堆積させることと、
(b)前記油-触媒スラリー(3)を、少なくとも第2層を通して循環させるように切り替えると同時に、少なくとも前記第1層を再生し、前記触媒(5)を回収することと、
をさらに含む方法。
【請求項10】
請求項1、2または3に記載の方法であって、前記フィルタ(C)は、内側面を有するドラムフィルタを備える連続ろ過システムであって、前記油-触媒スラリー(3)を、前記連続ろ過システムを通して循環させることは、
(a)触媒(5)を、前記内側面から連続的に除去することと、
(b)濃縮された油-触媒スラリー(3)を連続的に除去し、それを反応器生成器に送ることと、
を含む方法。
【請求項11】
請求項1、2または3に記載の方法であって、前記排出ガス(1)を燃料油(2)に接触させることは、フラッシュゾーン(F)に入る前に、直接接触インライン装置内で生じ、続いて燃料油(2)の正味量及び前記触媒(5)の大部分は、濃縮されたボトム油-触媒スラリー(3)として除去されることをさらに特徴とする方法。
【請求項12】
前記循環させるステップからの前記スラリー(3)の少なくとも一部を、前記触媒(5)を再生し加熱するために、燃焼用触媒再生器に導入することをさらに含む請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項13】
流動層プロパン脱水素化反応器排出ガス(1)から触媒(5)を回収するシステムであって、
(a)前記排出ガス(1)を受容するための注入口(E)を有する急冷塔(A)であって、前記排出ガス(1)を冷却し、前記触媒(5)を洗い流すために前記注入口(E)の上方に配置される気液接触要素を備えることによって特徴付けられる急冷塔(A)と、
(b)前記接触要素の上方にあり、実質的に触媒(5)を含まない冷却された排出ガス(6)を排出するためのガス排出口、及び前記注入口(E)の下方にあり、前記燃料油(2)を前記接触要素から回収するための液体ホールドアップゾーンと、
(c)ろ過モード及び逆洗モードにて動作可能な少なくとも1つのフィルタ(C)と、
(d)燃料油(2)を、前記液体ホールドアップゾーンから前記フィルタ(C)を通して循環させ、ろ液を前記液体ホールドアップゾーンに戻すためのろ過ループ(4)と、を備えるシステム。
【請求項14】
前記流動層プロパン脱水素化反応器排出物(1)と前記燃料油(4)とを、それらをフラッシュゾーン(F)に注入する前に、受容し混合する直接接触インライン装置(E)を備えることによってさらに特徴付けられる請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記フィルタ(C)は、それぞれの層が固定ろ過媒体を備える複数の層を備える多層システムを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記フィルタ(C)は、内側面を有するドラムフィルタを備える連続ろ過システムである、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、排出物から触媒を除去するためのプロセスに関し、より詳細には、プロパン脱水素化(PHD)反応器排出物ストリームから、洗浄液及びろ過を用いて触媒を除去するためのプロセスに関する。
【0002】
[背景]
シェールガス及びストランデッド(stranded)ガスからの豊富なアルカン及びパラフィンは、軽質オレフィンを製造するためのよりコスト効率の良い方法の開発を加速させ、それに対する需要は、近年著しく増加している。スチームクラッカ装置は、エチレンのような軽質オレフィンに対する需要の増大に見合うように、原料としてより軽量のシェールコンデンセートを使用するように設計されてきた。しかしながら、これらの装置は、プロピレン/エチレンの割合が低く、プロピレンの収率が低いことからプロピレンの製造用には不十分であることが分かってきた。その結果、目標とするプロピレンの製造への経路を見つけることが、相当な関心を得てきた。
【0003】
接触脱水素化が単一オレフィン生成物に対する高選択性の可能性をもたらすことが示されている。プロピレン及び他の軽質オレフィンの製造のための現在のアルカン脱水素化プロセスは、白金系触媒及びクロム系触媒の使用を採用している。白金に関連する費用、及びクロムの発がん性を考慮すると、脱水素化プロセスの間の良好なアルケン選択性及び対応する高収率を有し得る、より安価で、より毒性の低い金属酸化物触媒を開発する必要性がある。
【0004】
ライザまたは流動層型反応器を採用するアルカンまたはパラフィンの脱水素化プロセスにおける潜在的な欠陥は、脱水素化反応器から排出される排出物ストリーム中の微粒子を含む触媒粒子の量である。反応器排出物ストリームに関して、特に希釈ストリームがアルカンまたはパラフィンの分圧を下げるために用いられる場合に、反応器排出物を冷却し、その中の水分を凝縮させるために水急冷塔が用いられる。反応器排出物ストリーム中に含まれる触媒及び微粒子は、急冷水から容易に分離することができず、装置内の過度な汚染及び結果として生じる高い維持費の原因となる。それ故に、脱水素化反応器からの排出物ストリーム中に見られる触媒微粒子の回収の改善も必要である。
【0005】
いくらかの触媒が反応器から同伴され、下流の分離ステップに入る前に除去される必要がある。反応器排出物は、反応器に加えられた希釈蒸気、またはストリッピング(stripping)/流動化蒸気の何れかからの蒸気(水分)を含む。反応器排出物を冷却し、排出物中の水分を凝縮させた後、混合物は泥状となり、ろ過または輸送が難しくなるので、水分からの触媒の分離は困難である。たとえ触媒がろ過されたとしても、結果として生じる水-触媒スラリーは、触媒回収用の反応器に戻されるものとして適切でない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書にて説明される流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するために燃料油洗浄を用いるプロセスの非限定的な概略図である。
図2】本明細書にて説明されるフラッシュゾーンを採用する流動層プロパン脱水素化反応器排出物から触媒を除去するために燃料油洗浄を用いるプロセスの別の非限定的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[概要]
非限定的な一実施形態において、流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスから触媒を回収するための方法が提供され、当該方法は、(a)流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスを冷却することと、(b)触媒を洗い流し、実質的に触媒を含まない冷却された排出ガスを得るために、洗浄部内で排出ガスを燃料油に接触させることと、(c)洗浄部から油-触媒スラリーを引き抜き、油-触媒スラリーを、フィルタを通して循環させ、それにより触媒を燃料油から除去してろ過された洗浄油を与えることと、(d)ろ過された洗浄油を再循環洗浄油として洗浄部に戻すことと、(e)フィルタを逆洗し、それにより触媒を再生することと、を含む。必要に応じて、当該方法は、フラッシュゾーンに入る前に直接接触インライン装置内で排出ガスを燃料油に接触させることと、続いて燃料油の正味量及び触媒の大部分を、濃縮されたボトム油-触媒スラリーとして除去することと、をさらに含む。
【0008】
別の非限定的なバージョンにおいて、流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスから触媒を回収するためのシステムがさらに提供され、当該システムは、排出ガスを受容するための注入口を有する急冷塔と、排出ガスを冷却し触媒を洗い流すために注入口の上方に配置される気液接触要素と、接触要素の上方にあり、実質的に触媒を含まない冷却された排出ガスを排出するためのガス排出口と、注入口の下方にあり、燃料油を接触要素から回収するための液体ホールドアップゾーンと、ろ過モード及び逆洗モードにて動作可能な少なくとも1つのフィルタと、液体ホールドアップゾーンからの燃料油を、フィルタを通して循環させ、ろ液を液体ホールドアップゾーンに戻すためのろ過ループと、を備える。必要に応じて、当該システムは、流動層プロパン脱水素化反応器排出物及び燃料油を、それらをフラッシュゾーンに注入する前に受容し混合する直接接触インライン装置をさらに備える。
【0009】
[詳細な説明]
非限定的な実施形態において、反応器内で、約0.05秒から約10分の範囲の脱水素化反応において、1つまたは複数の金属酸化物触媒を、2~8の炭素原子を有するパラフィンと接触させることで、プロピレン及びブチレン等の所定のオレフィンに対するより良好な選択性を引き起こし得ることが明らかにされてきた。ライザまたは流動層型反応器内で摩耗によって生成された金属酸化物触媒粒子及び微粒子が、反応器排出物ストリーム中に含まれることも明らかにされてきた。これらの触媒粒子及び微粒子は、反応器の排出物ストリームを洗浄液(非限定的な一実施形態においては外部燃料油)に接触させることで、冷却された触媒排出物ストリーム及び実質的に触媒を含まない製品ストリームを形成し、その後、冷却された触媒排出物ストリームを1つ以上のフィルタでろ過することで、潜在的な再利用のための触媒微粒子を捕獲することによって回収されてもよい。本明細書にて用いられるように、非限定的な一実施形態において「実質的に触媒を含まない」ということは、問題となる量の触媒粒子または微粒子を含まないこと、または触媒が実際上の限界まで除去されていること、として定義される。
【0010】
一実施形態において、金属酸化物触媒と接触させられるパラフィンは、プロパン、エタン、n-ブタン、イソブタン、及び、それらの組み合わせを含んでもよいが、必ずしもこれらに限定されない。別の実施形態において、パラフィンは、不活性の希釈剤または蒸気を伴って、または伴わずに、反応器に導入されてもよい。
【0011】
パラフィンを脱水素化して軽質オレフィン製品ガスを製造するのに有用な金属酸化物触媒は、亜鉛、チタン、銅、鉄、マンガン、アルミニウム、シリコン、ジルコニウム、セリウム、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、テルビウム、イッテルビウム、イットリウム、またはニオブの酸化物の1つまたは複数にて構成されてもよい。非限定的な実施形態において、使用される金属酸化物触媒は、実質的に白金及びクロムを含まない。
【0012】
上述した種類の金属酸化物触媒を用いるパラフィンの脱水素化、及び反応器排出物ストリーム中の触媒微粒子の回収は、非限定的な一実施形態において、2~8の炭素を有するパラフィンを含むパラフィン原料が、脱水素化条件下で、ライザまたは流動層反応器内で1つまたは複数の金属酸化物触媒と接触させられるプロセスによって達成されてもよい。このプロセスは、約500~800℃の反応温度、約0.1~1h-1の空間速度、及び約0.01~0.2MPaの圧力で実施されもよい。非限定的な1つのバージョンにおいて、反応時間は、約0.05秒から約10分の範囲としてもよい。他の非限定的な実施形態において、パラフィンと金属酸化物触媒との間の脱水素化反応はまた、反応器排出物ストリームが生成される固定層スイング(swing)、またはライザ、または、流動層反応器内で実行されてもよい。
【0013】
図1に概略的に示されるように、非限定的な1つのバージョンにおいて、流動層プロパン脱水素化反応器1からの排出物は少量の同伴触媒を含み、それは上述した金属酸化物触媒、及び/または微粒子等の触媒粒子及び/または微粒子と理解されてもよい。反応器の供給1に対して排出物1を冷却後、ガス1は急冷塔Aまたは他の容器内で循環油(非限定的な実施形態においては、外部燃料油2)と接触させられ、任意の同伴触媒を洗い流し、反応器再生器へ戻すことで触媒を回収し、再生のための燃料を提供する。洗浄ステップは、急冷塔Aの油洗浄部Bで生じ、油洗浄部Bは、触媒の効果的な除去のために、洗浄油2とプロセス排出ガス1の間の良好な接触を確実にするトレイまたはパッキン(packing)等の接触装置を利用する。外部源からの洗浄油2がこの洗浄部Bの上部に加えられる。油-触媒スラリー3は、洗浄部Bの底部から引き抜かれ、流れの少なくとも一部は、油-触媒スラリー3から触媒を除去するろ過システムまたはフィルタCを通って循環される。ろ過された洗浄油4は、ろ過された油用の熱交換器D内で冷却され(熱は加熱するプロセスのために用いられる)、洗浄部Bの上部に戻される。フィルタCが逆洗されるとき、システムに加えられた洗浄油の正味量に伴って回収された触媒5は、反応器システム再生器に送られ、そこで洗浄油が、触媒の再生に必要とされる正味熱を提供する。冷却された排出ガス6は、急冷水(QW)部に再循環される。
【0014】
油洗浄部Bは、分離カラムであってもよく、または非限定的な一実施形態において、図1に示されるように、水急冷塔Aの下方部として一体化されてもよい。
【0015】
触媒ろ過装置Cに関する1つのオプションは、焼結金属フィルタ等の固定ろ過媒体を備える多層システムを用いることであり得る。ろ過層に触媒が堆積した後、循環油流れ3は第2のフィルタに切り替えられてもよく、その間、フィルタを清掃し触媒を回収するために第1のフィルタが再生されてもよい。
【0016】
代替のフィルタ装置Cは連続ろ過システムを用いてもよく、そこでは油がドラム型フィルタを通って流れ、触媒が連続的にフィルタの内側面から除去され、濃縮された触媒-油スラリーが連続的に除去されて反応器再生器へ送られる。
【0017】
代替として、図2に概略的に示されるように、反応器の供給1に対して流動層プロパン脱水素化反応器排出ガス1を冷却後、排出ガス1は、容器A内のフラッシュゾーンFに入る前に、(急冷フィッティング(QF:Quench Fitting)等の)直接接触インライン装置E内で燃料油4に接触させられる。フラッシュゾーンF内で、油2の正味量及び同伴触媒の大部分は、濃縮されたボトム触媒-油スラリー5として除去され、それは触媒再生のため、及び燃料の正味必要量を提供するための、反応器再生システム(不図示)に向けられてもよい。
【0018】
上述したように、残存する触媒の効果的な除去のために、(触媒をほとんど含まない)フラッシュゾーンFからのガスは、次に、洗浄油とプロセスガスの間の良好な接触を確実にするためのトレイまたはパッキン等の接触装置を利用する洗浄部Bに入る。洗浄部Bからの油3は、油の熱交換器D内で圧送巡回させされて冷却され(熱は加熱するプロセスのために用いられる)、洗浄部Bの上部に戻される。この油4の一部は、上述したように、直接接触インライン装置E内で用いられる。
【0019】
フラッシュゾーン及び油洗浄部は共に分離カラム内に収容されるか、または図2に概略的に示されるように水急冷塔の下方部として一体化されてもよい。
【0020】
反応器排出物1から触媒を除去するための洗浄油2として反応器再生用の燃料油を用いることは、触媒を除去し、処理熱を回収し、回収された触媒を反応器システムに戻すための効果的な方法の技術的及び商業的利点を提供する。フラッシュゾーンFの設計の適用は、触媒フィルタの必要性を排除し得るか、または実質的にフィルタの大きさを縮小し、また油洗浄部B内で用いられる循環燃料油3中の触媒含有量を実質的に減少させ、そのことは当該回路内の汚染の可能性を低減する。
【0021】
以上の明細書において、本発明はその特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、明細書は限定的というよりはむしろ例示的なものとみなされる。特許請求の範囲または開示されたパラメータの範囲内ではあるが、特定の例において具体的に特定または試行されていない、例えばパラフィン、金属酸化物触媒、脱水素化反応条件及び装置、燃料油、流動層プロパン脱水素化反応器排出物、触媒微粒子回収条件及び装置は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0022】
本発明は、開示されていない要素が無い状況で実施されてもよい。さらに本発明は、開示された要素を適切に含んでもよく、開示された要素から構成されるかまたは実質的に構成されてもよい。例えば、流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスから触媒を回収するための方法が提供されてもよく、当該方法は、(a)流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスを冷却することと、(b)触媒を洗い流し、実質的に触媒を含まない冷却された排出ガスを得るために、洗浄部内で排出ガスを燃料油に接触させることと、(c)洗浄部から油-触媒スラリーを引き抜き、油-触媒スラリーを、フィルタを通して循環させ、それにより燃料油から触媒を除去し、ろ過された洗浄油を与えることと、(d)ろ過された洗浄油を再循環洗浄油として洗浄部に戻すことと、(e)フィルタを逆洗し、それにより触媒を回収することと、から実質的に構成されるかまたは構成される。必要に応じて、当該方法は、さらに、フラッシュゾーンに入る前に、排出ガスを、直接接触インライン装置内で燃料油に接触させることと、続いて燃料油の正味量及び触媒の大部分を、濃縮されたボトム油-触媒スラリーとして除去することと、から実質的に構成されるかまたは構成される。
【0023】
代替として、別の非限定的なバージョンにおいて、流動層プロパン脱水素化反応器排出ガスから触媒を回収するためのシステムが提供されてもよく、当該システムは、排出ガスを受容する注入口を有する急冷塔と、排出ガスを冷却し触媒を洗い流すために注入口の上方に配置される気液接触要素と、接触要素の上方にあり、実質的に触媒を含まない冷却された排出ガスを排出するためのガス排出口と、注入口の下方にあり、接触要素から燃料油を回収するための液体ホールドアップゾーンと、ろ過モード及び逆洗モードで動作可能な少なくとも1つのフィルタと、液体ホールドアップゾーンからの燃料油を、フィルタを通して循環させ、ろ液を液体ホールドアップゾーンに戻すろ過ループと、から実質的に構成されるかまたは構成される。必要に応じて、当該システムはさらに、流動層プロパン脱水素化反応器排出物及び燃料油を、それらをフラッシュゾーンに注入する前に、受容し混合する直接接触インライン装置から実質的に構成されるか、または構成される。
【0024】
特許請求の範囲を通して用いられる「を備えている」及び「を備える」の語句は、それぞれ「を含んでいるがそれ(ら)に限定されない」及び「を含むがそれ(ら)に限定されない」を意味すると解釈される。
【0025】
本明細書にて用いられるように、「実質的に」の語句は、「特定されたものと概ね同一であるが、完全に同一ではない」ということを意味し得る。
【0026】
本明細書にて用いられるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈でそうではないことを明確に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0027】
本明細書にて用いられるように、所与のパラメータに関する「約」という用語は、記述された値を含み、文脈によって決定される意味を有する(例えば、それは所与のパラメータの測定に関連する誤差の程度を含む)。
【0028】
本明細書にて用いられるように、「及び/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
図1
図2
【国際調査報告】