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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】高バリア性板紙および板紙容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/00 20060101AFI20221108BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20221108BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20221108BHJP
   B65D 3/22 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
B32B29/00
B32B27/10
D21H27/30 C
B65D3/22 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516356
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020049844
(87)【国際公開番号】W WO2021050483
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,786
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504376810
【氏名又は名称】ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジエビン・パン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ステーテルマン
(72)【発明者】
【氏名】ユエ・フ
【テーマコード(参考)】
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
4F100AK04C
4F100AK04E
4F100AK06A
4F100AK69D
4F100AL07C
4F100AL07G
4F100AT00
4F100BA05
4F100DG10B
4F100EC182
4F100EC18G
4F100GB15
4F100GB16
4F100JD03
4F100JD04
4L055AG59
4L055AG64
4L055AG89
4L055AJ02
4L055EA08
4L055EA12
4L055FA14
4L055GA05
(57)【要約】
高バリア性板紙が、第1の主要側および第2の主要側を有する板紙基材と、板紙基材の第1の主要側にある少なくとも1つのエチレンビニルアルコール層と、板紙基材の第1の主要側にある少なくとも1つの有核ポリエチレン層とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主要側(11)および第2の主要側(12)を有する板紙基材(10)と、
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)にある少なくとも1つのエチレンビニルアルコール層(20)と、
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)にある少なくとも1つの有核ポリエチレン層(30)と
を備える高バリア性板紙(1)。
【請求項2】
0%RH、23℃、および100%のOにおいて2cc/m-day未満のOTRと、90%RHおよび38℃において2g/m-day未満のWVTRとを有する、請求項1に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項3】
0%RH、23℃、および100%のOにおいて1cc/m-day未満のOTRと、90%RHおよび38℃において1g/m-day未満のWVTRとを有する、請求項1または2に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項4】
前記板紙基材(10)が、高バリア性天然クラフトボード、固体漂白硫酸塩ボード、固体無漂白硫酸塩ボード、高バリア性再生ボード、高バリア性裏白チップボード、および折り畳み箱用板紙から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項5】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、6ポイントから36ポイントの範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項6】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、12ポイントから20ポイントの範囲にある、請求項1から5のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項7】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、16ポイントから20ポイントの範囲にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項8】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり60~350ポンドの範囲にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項9】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり100~150ポンドの範囲にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項10】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり150~180ポンドの範囲にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項11】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり180~220ポンドの範囲にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項12】
前記エチレンビニルアルコール層(20)が酸素除去エチレンビニルアルコール層である、請求項1から11のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項13】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.01ミルから5ミルの範囲にある、請求項1から12のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項14】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.1ミルから1ミルの範囲にある、請求項1から13のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項15】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.2ミルから0.5ミルの範囲にある、請求項1から14のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項16】
前記有核ポリエチレン層(30)が有核高密度ポリエチレン層である、請求項1から15のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項17】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.01ミルから10ミルの範囲にある、請求項1から16のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項18】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.1ミルから1ミルの範囲にある、請求項1から17のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項19】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.5ミルから0.9ミルの範囲にある、請求項1から18のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項20】
前記板紙基材(10)と前記エチレンビニルアルコール層(20)との間に少なくとも第1のタイ層(40)をさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項21】
前記第1のタイ層(40)がポリエチレンを含む、請求項20に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項22】
前記第1のタイ層(40)と前記エチレンビニルアルコール層(20)との間に少なくとも第2のタイ層(41)をさらに備える、請求項20または21に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項23】
前記第2のタイ層(41)が無水変性ポリエチレンを含む、請求項22に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項24】
前記エチレンビニルアルコール層(20)と前記有核ポリエチレン層(30)との間に少なくとも第3のタイ層(42)をさらに備える、請求項22または23に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項25】
前記第3のタイ層(42)が無水変性ポリエチレンを含む、請求項24に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項26】
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)に、最外層として第1のシーラント層(50)をさらに備える、請求項1から25のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項27】
前記第1のシーラント層(50)が低密度ポリエチレンを含む、請求項26に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項28】
前記板紙基材(10)の前記第2の主要側(12)に第2のシーラント層(51)をさらに備える、請求項1から27のいずれか一項に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項29】
前記第2のシーラント層(51)が低密度ポリエチレンを含む、請求項28に記載の高バリア性板紙(1)。
【請求項30】
少なくとも1つの高バリア性板紙ブランク(101)から形成される高バリア性板紙容器(100)であって、前記少なくとも1つの高バリア性板紙ブランク(101)は、
第1の主要側(11)および第2の主要側(12)を有する板紙基材(10)と、
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)にある少なくとも1つのエチレンビニルアルコール層(20)と、
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)にある少なくとも1つの有核ポリエチレン層(30)と
を備える、高バリア性板紙容器(100)。
【請求項31】
0%RH、23℃、および100%のOにおいて2cc/m-day未満のOTRと、90%RHおよび38℃において2g/m-day未満のWVTRとを有する、請求項30に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項32】
0%RH、23℃、および100%のOにおいて1cc/m-day未満のOTRと、90%RHおよび38℃において1g/m-day未満のWVTRとを有する、請求項30または31に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項33】
前記板紙基材(10)が、高バリア性天然クラフトボード、固体漂白硫酸塩ボード、固体無漂白硫酸塩ボード、高バリア性再生ボード、高バリア性裏白チップボード、および折り畳み箱用板紙から選択される、請求項30から32のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項34】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、6ポイントから36ポイントの範囲にある、請求項30から33のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項35】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、12ポイントから20ポイントの範囲にある、請求項30から34のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項36】
前記板紙基材(10)のキャリパー厚さが、16ポイントから20ポイントの範囲にある、請求項30から35のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項37】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり60~350ポンドの範囲にある、請求項30から36のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項38】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり100~150ポンドの範囲にある、請求項30から37のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項39】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり150~180ポンドの範囲にある、請求項30から37のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項40】
前記板紙基材(10)の坪量が、3,000平方フィートあたり180~220ポンドの範囲にある、請求項30から37のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項41】
前記エチレンビニルアルコール層(20)が酸素除去エチレンビニルアルコール層である、請求項30から40のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項42】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.01ミルから5ミルの範囲にある、請求項30から41のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項43】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.1ミルから1ミルの範囲にある、請求項30から42のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項44】
前記エチレンビニルアルコール層(20)の平均厚さが、0.2ミルから0.5ミルの範囲にある、請求項30から43のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項45】
前記有核ポリエチレン層(30)が有核高密度ポリエチレン層である、請求項30から44のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項46】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.01ミルから10ミルの範囲にある、請求項30から45のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項47】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.1ミルから1ミルの範囲にある、請求項30から46のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項48】
前記有核ポリエチレン層(30)の平均厚さが、0.5ミルから0.9ミルの範囲にある、請求項30から47のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項49】
前記板紙基材(10)と前記エチレンビニルアルコール層(20)との間に少なくとも第1のタイ層(40)をさらに備える、請求項30から48のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項50】
前記第1のタイ層(40)がポリエチレンを含む、請求項49に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項51】
前記第1のタイ層(40)と前記エチレンビニルアルコール層(20)との間に少なくとも第2のタイ層(41)をさらに備える、請求項49または50に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項52】
前記第2のタイ層(41)が無水変性ポリエチレンを含む、請求項51に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項53】
前記エチレンビニルアルコール層(20)と前記有核ポリエチレン層(30)との間に少なくとも第3のタイ層(42)をさらに備える、請求項52に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項54】
前記第3のタイ層(42)が無水変性ポリエチレンを含む、請求項53に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項55】
前記板紙基材(10)の前記第1の主要側(11)に、最外層として第1のシーラント層(50)をさらに備える、請求項30から54のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項56】
前記第1のシーラント層(50)が低密度ポリエチレンを含む、請求項55に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項57】
前記板紙基材(10)の前記第2の主要側(12)に第2のシーラント層(51)をさらに備える、請求項30から56のいずれか一項に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【請求項58】
前記第2のシーラント層(51)が低密度ポリエチレンを含む、請求項57に記載の高バリア性板紙容器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、全体の内容が本明細書において参照により組み込まれている2019年9月13日に出願された米国特許出願第62/899,786号からの優先権を主張する。
【0002】
本出願は、高バリア性板紙および高バリア性板紙容器の分野に関し、詳細には、水分および酸素に対して非常に高いバリア特性を伴う板紙および板紙容器の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
長い保存期間を必要とする食品包装用途のために、水分および酸素に対してほとんどゼロの透過性を有する非常に高いバリア性の板紙に対する要求がある。これは、現在、アルミニウムホイルを伴う板紙の積層によって達成することができる。しかしながら、包装においてホイルの使用を最小限にするまたは排除していこうとする潮流もある。したがって、アルミニウムホイルで積層された板紙に匹敵するバリア特性を有する非金属化の板紙に対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当業者は、高バリア性板紙および高バリア性板紙容器の分野において研究開発を続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、高バリア性板紙が、第1の主要側と第2の主要側とを有する板紙基材を備える。少なくとも1つのエチレンビニルアルコール層が板紙基材の第1の主要側にある。少なくとも1つの有核ポリエチレン層も板紙基材の第1の主要側(例えば、エチレンビニルアルコール層)にある。
【0006】
他の実施形態では、高バリア性板紙容器が少なくとも1つの高バリア性板紙ブランクから形成される。少なくとも1つの高バリア性板紙ブランクは、第1の主要側と第2の主要側とを有する板紙基材を備える。エチレンビニルアルコール層が板紙基材の第1の主要側にある。有核ポリエチレン層がエチレンビニルアルコール層にある。
【0007】
開示されている高バリア性板紙および高バリア性板紙容器の他の実施形態が、以下の詳細な記載、添付の図面、および添付の請求項から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本記載による例示の高バリア性板紙の断面図である。
図2】本記載による他の例示の高バリア性板紙の断面図である。
図3】本記載による高バリア性板紙を製造する例示の方法の図である。
図4】本記載による他の例示の高バリア性板紙の断面図である。
図5】本記載による他の例示の高バリア性板紙の断面図である。
図6】本記載による高バリア性板紙を製造する例示の方法の図である。
図7】本記載の例示の高バリア性板紙容器の折り畳まれた長手方向端の概略図である。
図8】折り畳まれた長手方向端が、本体継ぎ目を形成するために他の長手方向端の内側で重ねられている、容器本体の形成の概略図である。
図9】容器本体、上蓋、および底部を備える例示の高バリア性板紙容器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、高バリア性板紙1が、第1の主要側11および第2の主要側12を有する板紙基材10と、板紙基材10の第1の主要側11にあるエチレンビニルアルコール層20と、エチレンビニルアルコール層20にある有核ポリエチレン層30とを備える。
【0010】
板紙基材10は、板紙容器へと形成するのに適しているべきである。板紙基材10は、例えば、天然クラフトボード、固体漂白硫酸塩ボード、固体無漂白硫酸塩ボード、被覆再生ボード、被覆裏白チップボード、および折り畳み箱用板紙から選択される板紙基材を備え得る。
【0011】
板紙基材10の厚さは、板紙容器へと形成するのに適しているべきである。例では、板紙基材10は、6ポイントから36ポイントの範囲でのキャリパー厚さを有し得る。他の例では、板紙基材10は、12ポイントから20ポイントの範囲でのキャリパー厚さを有し得る。なおも他の例では、板紙基材10は、16ポイントから20ポイントの範囲でのキャリパー厚さを有し得る。
【0012】
板紙基材10の重量は、板紙容器へと形成するのに適しているべきである。例では、板紙基材10は、3,000平方フィートあたり60~350ポンドの範囲にある坪量を有し得る。他の例では、板紙基材10は、3,000平方フィートあたり100~150ポンドの範囲にある坪量を有し得る。なおも他の例では、板紙基材10は、3,000平方フィートあたり150~180ポンドの範囲にある坪量を有し得る。なおも他の例では、板紙基材10は、3,000平方フィートあたり180~220ポンドの範囲にある坪量を有し得る。
【0013】
エチレンビニルアルコール層20は酸素バリアとして使用される。例では、エチレンビニルアルコール層20の平均厚さが、0.01ミルから5ミルの範囲にある。他の例では、エチレンビニルアルコール層20の平均厚さは、0.1ミルから1ミルの範囲にある。なおも他の例では、エチレンビニルアルコール層20の平均厚さは、0.2ミルから0.5ミルの範囲にある。
【0014】
有核ポリエチレン層30は水分バリアとして機能する。有核ポリエチレン層30のための適切な有核ポリエチレンは、核形成剤とポリエチレン樹脂とを含む。有核ポリエチレンを作るための適切なポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。高密度ポリエチレンは、エチレン単独重合体、および、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含み得る。適切なα-オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなど、およびそれらの混合物を含む。好ましくは、有核HDPEにおけるα-オレフィン含有量は2wt%未満である。有核HDPEは、好ましくは0.940~0.970g/cmの範囲内、より好ましくは0.945~0.965g/cmの範囲内の密度を有する。有核HDPEは、好ましくは0.001~100dg/minの範囲内、より好ましくは0.05~50dg/minの範囲内のメルトインデックスMIを有する。密度はASTM D1505に従って測定され、MIは190℃および2.16kgにおいてASTM D1238に従って測定される。ある態様では、有核ポリエチレンは、有核ポリエチレンが少なくとも2つの成分を含むマルチモーダルポリエチレンとでき、それら2つの成分の一方は比較的小さい分子量を有し、他方は比較的大きい分子量を有する。
【0015】
適切な核形成剤には、業界に知られている核形成剤がある。例として、核形成剤は、グリセロールアルコキシド塩、ヘキサヒドロフタル酸性塩など、およびそれらの混合物から成る群から選択される。塩はアンモニウムおよび金属塩を含む。例では、グリセロールアルコキシド塩は、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムグリセロネート、並びにそれらの混合物から成る群から選択される。例では、ヘキサヒドロフタル酸性塩は、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムヘキサヒドロフタレートなど、並びにそれらの混合物から成る群から選択される。多くのグリセロールアルコキシド塩およびヘキサヒドロフタル酸性塩が市販されている。使用される核形成剤の量は、核形成剤の種類、ポリエチレン層30の特性、およびバリア特性の目標とされる向上などの多くの因子に依存して変化する。例では、核形成剤は、ポリエチレン層30の0.01~1wt%の範囲内の量で使用される。他の例では、核形成剤は、ポリエチレン層30の0.05~0.5wt%の範囲内である。
【0016】
例では、有核ポリエチレン層30の平均厚さが、0.01ミルから10ミルの範囲にある。他の例では、有核ポリエチレン層30の平均厚さは、0.1ミルから1ミルの範囲にある。なおも他の例では、有核ポリエチレン層30の平均厚さは、0.5ミルから0.9ミルの範囲にある。
【0017】
有核ポリエチレン層30を、エチレンビニルアルコール層20に、または、より高い湿気を伴う側に位置決めすることで、エチレンビニルアルコール層20への水分の浸透が防止または最小限にされる。エチレンビニルアルコール層20への水分の浸透を防止および最小限にすることは、水分がエチレンビニルアルコール層20の酸素バリア特性に有害な影響を有するため、重要である。有核ポリエチレン層30の優れた水分バリア特性をエチレンビニルアルコール層20の優れた酸素バリア特性と組み合わせることで、優れた水分および酸素のバリア特性を有する板紙を提供する。
【0018】
さらに、エチレンビニルアルコール層20は、酸素除去エチレンビニルアルコール層20であり得る。酸素除去エチレンビニルアルコール層は、酸素除去剤を含むエチレンビニルアルコールである。酸素除去剤は、エチレンビニルアルコール層20を通過する酸素を除去することで機能する。適切な酸素除去剤は、業界で知られている酸素除去ポリマを含む。
【0019】
酸素除去エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30とを備えることで、金属層を用いることなく非常に高いバリア性の板紙が達成可能である。実際、0cc/m-dayのOTR(酸素透過率)と1g/m-day未満のWVTR(水蒸気透過速度)とを伴う高バリア性板紙が、板紙基材において酸素除去エチレンビニルアルコールを有核高密度ポリエチレン層と組み合わせることで実証されており、アルミニウムホイルで積層された板紙に匹敵するバリア特性を達成している。
【0020】
高バリア性板紙1は、エチレンビニルアルコール層20および有核ポリエチレン層30に加えて、1つまたは複数の追加の層を備えてもよい。例えば、図2に示されているように、高バリア性板紙1は、板紙基材10とエチレンビニルアルコール層20との間に1つまたは複数のポリマ層またはタイ層を備えてもよい。ある態様では、高バリア性板紙1は、板紙基材10とエチレンビニルアルコール層20との間に、第1のポリマ層またはタイ層40と第2のタイ層41とを少なくとも備え得る。第1のポリマ層またはタイ層40は、板紙基材10に接着するように機能することができる。第1のポリマ層またはタイ層40のための適切な材料は、ポリエチレンを含み、特には低密度ポリエチレンを含む。第2のタイ層41は、第1のポリマ層またはタイ層40とエチレンビニルアルコール層20との接着を向上させるように機能することができる。第2のタイ層41のための適切な材料は、無水変性ポリエチレンを含む。板紙基材10とエチレンビニルアルコール層20との間に追加のポリマ層が含まれてもよい。
【0021】
高バリア性板紙1は、エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30との間に1つまたは複数のポリマ層またはタイ層を備えてもよい。ある態様では、高バリア性板紙1は、エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30との間に第3のタイ層42を少なくとも備え得る。第3のタイ層42は、エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30との間の接着を向上させるように機能することができる。第3のタイ層42のための適切な材料は、無水変性ポリエチレンを含む。エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30との間に追加のポリマ層が含まれてもよい。
【0022】
高バリア性板紙1は、有核ポリエチレン層30において第1のシーラント層50を備えてもよい。第1のシーラント層50は、高バリア性板紙が熱封止され得るように、低温において軟化することで機能する。第1のシーラント層50のための適切な材料は、低密度ポリエチレンを含む。有核ポリエチレン層30上に追加の層が含まれてもよい。
【0023】
高バリア性板紙1は、板紙基材10の第2の主要側12において第2のシーラント層51を備えてもよい。第2のシーラント層51は、高バリア性板紙が強い接合で熱封止され得るように、低温において軟化することで機能する。板紙容器の外側をしばしば向くこのポリマシーラント層51は、水分によって水浸しになるなどの損傷から容器を保護することもでき、高い印刷品質を提供することができる。第2のシーラント層51のための適切な材料は、低密度ポリエチレンを含む。板紙基材10の第2の主要側12にある追加のポリマ層が含まれてもよい。
【0024】
図3を参照すると、高バリア性板紙1は、例えば、第1の膜60および第2の膜61を板紙基材10に積層することで、製造され得る。図3の例示の高バリア性板紙の構造は、積層工程を容易にするための追加の層を除いて、図2の例示の高バリア性板紙と同様である。また、第1のシーラント層50および第2のシーラント層51は図3に示されていない。第1のシーラント層50および第2のシーラント層51が、第1の膜60および第2の膜61を板紙基材10に積層する前、最中、または後に適用され得ることは、理解されるであろう。
【0025】
図3に示されているように、高バリア性板紙1は、板紙基材10の第1の主要側11において第4のタイ層43を備えてもよい。第4のタイ層43は、第1の膜60を板紙基材10に封止することを容易にする。第4のタイ層43は、第1の膜60が板紙基材10に接合され得るように、低温で軟化することで機能する。第4のタイ層43のための適切な材料は、低密度ポリエチレンを含む。
【0026】
図3においてさらに示されているように、高バリア性板紙1は、第3のポリマ層またはタイ層42において第5のタイ層44を備えてもよい。第5のタイ層44は、第1の膜60を第2の膜61に封止することを容易にする。第5のタイ層44は、第2の膜61が第1の膜60に接合され得るように、低温で軟化することで機能する。第5のタイ層44のための適切な材料は、低密度ポリエチレンを含む。
【0027】
実験用の高バリア性板紙1が、図3に示されているような積層によって形成された。板紙基材10は、16.5ポイントの固体漂白硫酸塩ボードであった。0.75ミルの低密度ポリエチレンPetrothene(商標) NA217000、Equistar Chemicals、LPが、板紙基材10の第1の主要側11に設けられた。
【0028】
第1の膜60は、酸素除去エチレンビニルアルコール層を含む3ミルのポリエチレン共押出膜であった。より明確には、第1の膜60は、相対する0.15ミルのタイ層の間に挟まれた酸素除去エチレンビニルアルコールの0.3ミルの層を含み、それら層のすべてが低密度ポリエチレンの0.6ミルの層によって間に挟まれており、それら層のすべてが鎖状低密度ポリエチレンの0.6ミルの層によって間に挟まれている。酸素除去エチレンビニルアルコールの0.3ミルの層は、Kuraray America IncからのEVAL(登録商標) XEP-1191であった。0.15ミルのタイ層は、Dow ChemicalからのDow 611/NF498 70/30; DOW(商標) 611樹脂、および、Mitsui ChemicalsからのADMER(商標) NF498E(無水マレイン酸グラフトLLDPE基樹脂)であった。低密度ポリエチレンの0.6ミルの層は、Dow ChemicalからのDow(商標) 611樹脂であった。鎖状低密度ポリエチレンの0.6ミルの層は、Dow ChemicalからのDOWLEX(登録商標) 2056であった。
【0029】
第2の膜61は、2ミルの有核高密度ポリエチレン膜Alathon(登録商標) M6010SB、Equistar Chemicals、LPであった。第1の膜60および第2の膜61は、Banner AmericanのPL 135-4ラミネータで、板紙基材10に積層された。
【0030】
以下のTable 1(表1)に記載されているように、結果的にできた板紙は、酸素除去エチレンビニルアルコールを、板紙における有核高密度ポリエチレン膜と組み合わせることで、0cc/m2-dayのOTR(酸素透過率)と1g/m2-day未満のWVTR(水蒸気透過速度)とを有している。WVTRは、Illinois InstrumentsのModel 7012 Water Vapor Permeation Analyzerで測定された。OTRは、Illinois InstrumentsのModel 8011 Oxygen Permeation Analyzer-Expansion Moduleで測定された。
【0031】
【表1】
【0032】
これは、水分および酸素を含むすべての分子に対してほとんどゼロの透過性を有するアルミニウムホイルで積層された板紙に匹敵するバリア性能を伴う非常に高いバリア性の板紙を実証している。WVTRおよびOTRの値は、2ミルの有核HDPE膜が最初に板紙基材10に積層され、続いて、酸素除去エチレンビニルアルコール層を含む3ミルのポリエチレン共押出膜が積層されている場合、同じまたは同様になると期待される。
【0033】
高バリア性板紙1は、エチレンビニルアルコール層20および有核ポリエチレン層30に加えて、1つまたは複数の追加の層を備えてもよい。例えば、図4に示されているように、高バリア性板紙1は、板紙基材10とエチレンビニルアルコール層20との間に第2の有核ポリエチレン層31を備えてもよい。
【0034】
第2の有核ポリエチレン層31は水分バリアとして機能する。第2の有核ポリエチレン層31のための有核ポリエチレンは、第1の有核ポリエチレン層30の有核ポリエチレンと同じであってもよいし、異なってもよい。第2の有核ポリエチレン層31のための適切な有核ポリエチレンは、核形成剤とポリエチレン樹脂とを含む。有核ポリエチレンを作るための適切なポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。高密度ポリエチレンは、エチレン単独重合体、および、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含み得る。適切なα-オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなど、およびそれらの混合物を含み得る。好ましくは、有核HDPEにおけるα-オレフィン含有量は2wt%未満である。有核HDPEは、好ましくは0.940~0.970g/cmの範囲内、より好ましくは0.945~0.965g/cmの範囲内の密度を有する。有核HDPEは、好ましくは0.001~100dg/minの範囲内、より好ましくは0.05~50dg/minの範囲内のメルトインデックスMIを有する。密度はASTM D1505に従って測定され、MIは190℃および2.16kgにおいてASTM D1238に従って測定される。ある態様では、有核ポリエチレンは、有核ポリエチレンが少なくとも2つの成分を含むマルチモーダルポリエチレンとでき、それら2つの成分の一方は比較的小さい分子量を有し、他方は比較的大きい分子量を有する。
【0035】
適切な核形成剤には、業界に知られている核形成剤がある。例として、核形成剤は、グリセロールアルコキシド塩、ヘキサヒドロフタル酸性塩など、およびそれらの混合物から成る群から選択される。塩はアンモニウムおよび金属塩を含む。例では、グリセロールアルコキシド塩は、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムグリセロネート、並びにそれらの混合物から成る群から選択される。例では、ヘキサヒドロフタル酸性塩は、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムヘキサヒドロフタレートなど、並びにそれらの混合物から成る群から選択される。多くのグリセロールアルコキシド塩およびヘキサヒドロフタル酸性塩が市販されている。使用される核形成剤の量は、核形成剤の種類、ポリエチレン層30の特性、およびバリア特性の目標とされる向上などの多くの因子に依存して変化する。例では、核形成剤は、ポリエチレン層30の0.01~1wt%の範囲内の量で使用される。他の例では、核形成剤は、ポリエチレン層30の0.05~0.5wt%の範囲内である。
【0036】
例では、第2の有核ポリエチレン層31の平均厚さは、第1の有核ポリエチレン層30の平均厚さと同じであってもよいし、異なってもよい。第2の有核ポリエチレン層31の平均厚さは、0.01ミルから10ミルの範囲にある。他の例では、第2の有核ポリエチレン層31の平均厚さは、0.1ミルから1ミルの範囲にある。なおも他の例では、第2の有核ポリエチレン層31の平均厚さは、0.5ミルから0.9ミルの範囲にある。
【0037】
第2の有核ポリエチレン層31を板紙基材10とエチレンビニルアルコール層20との間に位置決めすることで、エチレンビニルアルコール層20への水分浸透がさらに防止または最小限とされる。エチレンビニルアルコール層20への水分の浸透を防止および最小限にすることは、水分がエチレンビニルアルコール層20の酸素バリア特性に有害な影響を有するため、重要である。さらに、有核ポリエチレン層30および第2の有核ポリエチレン層31の優れた水分バリア特性をエチレンビニルアルコール層20の優れた酸素バリア特性と組み合わせることで、優れた水分および酸素のバリア特性を有する高バリア性板紙を提供する。
【0038】
図5を参照すると、高バリア性板紙1は、第2の有核ポリエチレン層31とエチレンビニルアルコール層20との間に1つまたは複数のタイ層を備え得る。態様において、高バリア性板紙1は、第2の有核ポリエチレン層31とエチレンビニルアルコール層20との間に第2のタイ層41を備え得る。第2のタイ層41は、第2の有核ポリエチレン層31とエチレンビニルアルコール層20との接着を向上させるように機能することができる。第2のタイ層41のための適切な材料は、無水変性ポリエチレンを含む。第2の有核ポリエチレン層31とエチレンビニルアルコール層20との間に追加の層が含まれてもよい。
【0039】
図5を参照すると、高バリア性板紙1は、板紙基材10と第2の有核ポリエチレン層31との間に1つまたは複数のタイ層をさらに備え得る。高バリア性板紙1は、板紙基材10と第2の有核ポリエチレン層31との間に第4のタイ層43を備え得る。第4のタイ層43は、第2の有核ポリエチレン層31を板紙基材10に接合することを容易にする。第4のタイ層43は、第2の有核ポリエチレン層31が板紙基材10に接合され得るように、低温で軟化することで機能する。第4のタイ層43のための適切な材料は、低密度ポリエチレンを含む。
【0040】
高バリア性板紙1は、例えば、図6に示されているものなど、第1の膜60を板紙基材10に積層することで、製造され得る。図6では、第1の膜60は、エチレンビニルアルコール層20と、第1の有核ポリエチレン層30と、第2の有核ポリエチレン層31と、第2の有核ポリエチレン層31とエチレンビニルアルコール層20との間の第2のタイ層41と、エチレンビニルアルコール層20と有核ポリエチレン層30との間の第3のタイ層42と、第1のシーラント層50とを備える。第2のシーラント層51は図6に示されていない。第2のシーラント層51が、第1の膜60を板紙基材10に積層する前、最中、または後に適用され得ることは、理解されるであろう。また、第1のシーラント層50が、第1の膜60を板紙基材10に積層する前、最中、または後に適用され得ることは、理解されるであろう。
【0041】
実験用の高バリア性板紙1が、図6に示されているような積層によって形成された。板紙基材10は、16.5ポイントの固体漂白硫酸塩ボードであった。0.5ミルおよび0.75ミルの低密度ポリエチレンPetrothene(商標) NA217000、Equistar Chemicals、LPが、板紙基材10の第1の主要側11および第2の主要側12にそれぞれ設けられた。
【0042】
第1の膜60は、エチレンビニルアルコール膜と有核ポリエチレンとを含む3.25ミルの共押出膜であった。より明確には、第1の膜60は、相対する0.315ミルのタイ層の間に挟まれたエチレンビニルアルコールの0.37ミルの層を含み、それら層のすべてが0.75ミルの有核高密度ポリエチレン層によって間に挟まれている。有核高密度ポリエチレン層のうちの1つは追加のシーラント層を含んでいた。より明確には、エチレンビニルアルコールの0.37ミルの層は、SoarnoL(商標) DT2904RB、Nippon Gohseiであった。0.3ミルのタイ層は、Plexar(登録商標) PX3236、(無水変性LLDPE)、Equistar Chemicals、LPであった。有核高密度ポリエチレン層は、Alathon M6010SB、Equistar Chemicals、LPであった。シーラント層は低密度ポリエチレンPetrothene(商標) NA205000、Equistar Chemicals、LPであった。
【0043】
以下のTable 2(表2)に記載されているように、結果的にできた板紙は、板紙上にエチレンビニルアルコールを有核高密度ポリエチレン膜と組み合わせることで、1cc/m2-day未満のOTR(酸素透過率)と1g/m2-day未満のWVTR(水蒸気透過速度)とを有している。
【0044】
【表2】
【0045】
これもまた、水分および酸素を含むすべての分子に対してほとんどゼロの透過性を有するアルミニウムホイルで積層された板紙に匹敵するバリア性能を伴う非常に高いバリア性の板紙を実証している。
【0046】
結果的にできた高バリア性板紙は、以下に記載されている11.5オンスの密閉封止カップへと形成された。
【0047】
以下のTable 3(表3)を参照すると、結果的にできた高バリア性板紙は、ほとんどゼロのOTR(酸素透過率)と小さいWVTR(水蒸気透過速度)とを有していた。
【0048】
【表3】
【0049】
これは、水分および酸素を含むすべての分子に対してほとんどゼロの透過性を有するアルミニウムホイル層を含むカップに匹敵するバリア性能を伴う非常に高いバリア性の板紙を実証している。
【0050】
膜積層工程が高バリア性板紙の例で使用されていたが、多層共押出工程が、同様の高いバリア性能のための同様の板紙構造を達成するために使用されてもよい。
【0051】
図7図9を参照すると、高バリア性板紙容器100(例えば、高バリア性板紙カップ)が、本開示の高バリア性板紙1の少なくとも1つの高バリア性板紙ブランクから形成され得る。高バリア性板紙容器100は、高バリア性板紙容器を形成する任意の方法によって、少なくとも1つの高バリア性板紙ブランク101から形成され得る。例示の方法が以下のように記載される。
【0052】
本記載の高バリア性板紙1は、第1の長手方向端102および第2の長手方向端103を含む高バリア性板紙ブランク101を提供するために、所望の輪郭へと打ち抜かれ得る。高バリア性板紙ブランク101の第1の長手方向端102は、所定の幅について所定の厚さへとスカイブ加工され得る。高バリア性板紙ブランク101の結果的にできたスカイブ加工された端は、図7に示されているように、折り畳まれた第1の長手方向端102を提供するために、熱で処理されてから折り畳まれ、高バリア性板紙ブランク101にわたって封止され得る。したがって、板紙基材10の第1の主要側11にある第1のシーラント層50は、高バリア性板紙ブランク101のスカイブ加工された端の周りに巻き付く。第1のシーラント層50は高バリア性板紙容器の内部を定め、第2のシーラント層51は高バリア性板紙容器の外部を定め得る。
【0053】
図8を参照すると、折り畳まれた第1の長手方向端102が第2の長手方向端103の内側になり、続けて重ね合わされた継ぎ目が封止されるように、高バリア性板紙ブランクの両方の長手方向端を重ね合わせることで、高バリア性板紙容器の容器本体が高バリア性板紙ブランク101から形成される。
【0054】
図9を参照すると、蓋構成要素も、本開示の高バリア性板紙1の少なくとも1つの高バリア性板紙ブランクから形成され得る。望まれるとき、蓋構成要素は、容器本体のための材料と同じまたは同様の材料から作られ得る。いくつかの方法が、蓋構成要素を容器本体に封止するために使用されてもよい。このような封止の例には、限定されることはないが、プラスチックの周縁を伴う上部を密閉で封止すること、段差下領域に下げられたシーラントビード、蓋をする前に上周縁全体に加えられるシーラントビード、バリアトレーを封止するために使用される蓋用膜などのヘビーシーラントによる蓋用材料、最大限の封止に向けて蓋用材料を押し付けて周縁を平坦にするためのより高い封止圧力、およびそれらの組み合わせがある。
【0055】
本開示の一態様では、高バリア性板紙容器の底構成要素も、本開示の高バリア性板紙1の少なくとも1つの高バリア性板紙ブランクから形成され得る。望まれるとき、底構成要素は、容器本体のための材料と同じまたは同様の材料から作られ得る。底部は、様々な封止技術によって容器本体に組み付けられ得る。このような封止の例には、限定されることはないが、高温空気熱シールおよび超音波封止があり得る。封止工程は様々な因子に基づいて最適化され得る。これらの因子のうちの一部には、限定されることはないが、底部におけるシーラント層の厚さ、ならびに、ピンホールの形成を防止するためのより低い封止温度、および、底部と本体との間の隙間の形成を最小限にするためのより高い封止圧力などの加工条件がある。
【0056】
容器本体の形成の後、本体の上端および底端の構成は、蓋構成要素および底構成要素との封止を支援するように構築され得る。容器本体の上端および下端についての任意の知られている構成が、本開示において使用されてもよく、このような構成の選択は、容器の所望の包装用途に依存する。容器本体の上端および下端についての構成の例には、限定されることはないが、凹んだ構造、丸められたビード、フランジ、およびそれらの組み合わせがある。
【0057】
図9は、本開示の高バリア性板紙容器100の一実施形態を示している。板紙容器100は、本体401と、蓋構成要素402と、底構成要素403とを備える。本体401の上端は、ビードまたはフランジ404を形成するように丸められるが、本体401の底端は、凹んだ構成405へと構築されている。蓋構成要素402は、蓋構成要素402のシーラント層50Aと本体401の第1のシーラント層50Bとの間に接着を提供する加工条件において、本体401の上端に密閉して封止される。底構成要素403は、底構成要素403のシーラント層50Cと本体401の第1のシーラント層50Bとの間に接着があり、シーラントが底構成要素403と本体401との間のあらゆる隙間を完全に満たすように、本体401の凹んだ端へ配置されて封止される。
【0058】
開示されている高バリア性板紙および高バリア性板紙容器の様々な実施形態が図示および記載されているが、本明細書を読んだ当業者には変更が想到される可能性がある。本出願は、このような変更を含み、特許請求の範囲のみによって限定される。
【符号の説明】
【0059】
1 高バリア性板紙
10 板紙基材
11 第1の主要側
12 第2の主要側
20 酸素除去エチレンビニルアルコール層
30 第1の有核ポリエチレン層
31 第2の有核ポリエチレン層
40 第1のポリマ層またはタイ層
41 第2のタイ層
42 第3のポリマ層またはタイ層
43 第4のタイ層
44 第5のタイ層
50 第1のシーラント層
50A シーラント層
50B 第1のシーラント層
51 第2のシーラント層、ポリマシーラント層
60 第1の膜
61 第2の膜
100 高バリア性板紙容器
101 高バリア性板紙ブランク
102 第1の長手方向端
103 第2の長手方向端
401 本体
402 蓋構成要素
403 底構成要素
404 ビード、フランジ
405 凹んだ構成
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】