(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】抗CD371抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221108BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221108BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20221108BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221108BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221108BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221108BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221108BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221108BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221108BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221108BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221108BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221108BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221108BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221108BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221108BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20221108BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/02
A61K47/68
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
G01N33/53 Y
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516402
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020050380
(87)【国際公開番号】W WO2021050857
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】522099135
【氏名又は名称】トライ-インスティテューショナル セラピューティクス ディスカバリー インスティテュート, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】399026731
【氏名又は名称】スローン - ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】522023761
【氏名又は名称】メモリアル ホスピタル フォー キャンサー アンド アライド ディジージズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニヤン, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ブレントジェンズ, レニアー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ, イボ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ポール, メアリー アン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
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4B064DA05
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA17
4C084NA13
4C084ZB26
4C084ZB27
4C085AA13
4C085BB31
4C085CC22
4C085DD61
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA51
4H045EA54
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の主題は、CD371に結合する抗体またはその抗原結合断片、およびそのような抗体またはその抗原結合断片を使用する方法を提供する。ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号7に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号9に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号10に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに
(f)配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
からなる群から選択される、抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに
(f)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびにCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片であって、重鎖可変領域CDR3ドメインおよび軽鎖可変領域CDR3ドメインが、
(a)配列番号30に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号33に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号36に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号39に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号42に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号45に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号48に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号51に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号54に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号57に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;ならびに
(f)配列番号60に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号63に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3
から選択される、抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
重鎖可変領域CDR2ドメインおよび軽鎖可変領域CDR2ドメインが、
(a)配列番号29に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号32に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(b)配列番号35に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号38に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号41に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号44に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(d)配列番号47に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号50に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(e)配列番号53に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号56に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;ならびに
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号62に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2
から選択される、請求項9に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
重鎖可変領域CDR1ドメインおよび軽鎖可変領域CDR1ドメインが、
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号31に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号37に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号43に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号49に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号55に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;ならびに
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号61に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1
から選択される、請求項9または10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記CDR配列のうちの1つまたは複数が、約5個までのアミノ酸置換を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
前記CDR配列のうちの1つまたは複数が、約3個までのアミノ酸置換を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
(a)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号39に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む抗CD371抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号15に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むCD371に結合する、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と、CD371への結合について交差競合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と同じ、CD371上のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記抗体の配列が、軽-重可変鎖の配向(V
L-V
H)で存在する、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
約1×10
-7Mから約1×10
-8Mの間または約1×10
-9Mから約1×10
-8Mの間の解離定数(K
D)で、ヒトCD371に結合する、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記抗体が、ヒト可変領域のフレームワーク領域を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
完全ヒトまたはその抗原結合断片である、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
キメラ抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
ヒト化抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
前記抗体の前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)
2、可変断片(Fv)、または一本鎖可変領域(scFv)である、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む組成物。
【請求項29】
薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
治療剤に連結した、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート。
【請求項31】
前記治療剤が、薬物、細胞毒素、または放射性同位体である、請求項30に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項32】
請求項30または31に記載のイムノコンジュゲートを含む組成物。
【請求項33】
薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
第2の機能性部分に連結した、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む二特異性分子。
【請求項35】
前記第2の機能性部分が、前記抗体またはその抗原結合断片とは異なる結合特異性を有する、請求項34に記載の二特異性分子。
【請求項36】
請求項34または35に記載の二特異性分子を含む組成物。
【請求項37】
薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸。
【請求項39】
請求項38に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項40】
請求項39に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項41】
細胞全体または組織全体において、CD371を検出するための方法であって、
細胞または組織を、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させることであって、前記抗体またはその抗原結合断片が検出可能な標識を含む、接触させることと;
前記細胞または組織と会合した検出可能な標識の量を測定することによって、前記細胞または組織に結合した標識抗体またはその抗原結合断片の量を決定することであって、結合した抗体またはその抗原結合断片の量が、前記細胞または組織におけるCD371の量を示す、決定することと
を含む、方法。
【請求項42】
対象における腫瘍負荷を低減する方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項30もしくは31に記載のイムノコンジュゲート、請求項34もしくは35に記載の二特異性分子、または請求項28、29、32、33、36、および37のいずれか一項に記載の組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項43】
腫瘍細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、および/または前記対象における腫瘍を根絶する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
対象における腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防する方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項30もしくは31に記載のイムノコンジュゲート、請求項34もしくは35に記載の二特異性分子、または請求項28、29、32、33、36、および37のいずれか一項に記載の組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項45】
腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させる方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項30もしくは31に記載のイムノコンジュゲート、請求項34もしくは35に記載の二特異性分子、または請求項28、29、32、33、36、および37のいずれか一項に記載の組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項46】
前記対象における腫瘍負荷を低減または根絶することができる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記腫瘍または新生物が、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、神経膠芽腫、骨髄異形成症候群(MDS)、および慢性骨髄性白血病(CML)から選択される、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記腫瘍または新生物が、AMLである、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が、ヒトである、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、対象における腫瘍負荷を低減するため、対象における腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防するため、ならびに/あるいは腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させるためのキット。
【請求項51】
対象における腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防するため、ならびに/あるいは腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させるために、前記抗体またはその抗原結合断片を使用するための書面での指示をさらに含む、請求項50に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2019年9月13日に出願された米国仮出願第62/900,118号および2019年11月18日に出願された米国仮出願第62/936,913号に対する優先権を主張し、それらのそれぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、それらのそれぞれに対する優先権を主張する。
配列表
【0002】
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2020年9月11日に作成され、0727341146_ST25という名称であり、58,682バイトのサイズである。
【0003】
1.発明の分野
本開示の主題は、CD371に結合する抗体、およびそのような抗体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
2.発明の背景
DCAL-2、MICLまたはCLL-1としても公知のCD371(CEC12A)は、30kDのC型レクチン膜貫通糖タンパク質である。これは、単球、顆粒球、ナチュラルキラー(NK)細胞および好塩基球上で発現される。CD371は、Src相同性ホスファターゼSHP-1およびSHP-2を、そのリン酸化細胞質免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)に動員する免疫阻害受容体である(Sancho et al., Annu Rev. Immunol (2012); 30:491-529;Yan et al., Front Immunol (2015);6:408;Lahoud et al., J Immunol (2011);187:842)。CD371は、自己免役および炎症性疾患を制御する負の調節性尿酸結晶(尿酸一ナトリウム、MSU)受容体であることが示唆されている(Neumann et al., Immunity (2014);40:389-99)。CD371は、顆粒球および単球の機能の負の調節因子である(Marshall et al., J Biol Chem (2004);279(15):14792-802;Pye et al., Eur J Immunol (2008);38(4):1157-63)。CD371の異常な発現が、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)において報告されている(Sadonik et al., Blood (2016);128:4234;Toft-Petersen et al., Br J Haematol (2016);175(3):393-41)。近年の研究は、CD371が92%の急性骨髄性白血病(AML)で発現され、顆粒球-マクロファージ前駆細胞(GMP)には存在しないことを示す(Bakker et al., Cancer Res. (2004);64(22):8443-50)。CD371は、無限に自己再生し、CD371の特定の表現型を有する多くの娘芽細胞を生じる能力を有する白血病幹細胞(LSC)でも発現され、白血病再発の最も重要な理由のうちの1つとして機能する(Siveen et al., Mol Cancer (2017);16:13;Yoshida et al., Cancer Sci (2016);107:5-11)。疾患におけるCD371の重要な役割を考慮すると、CD371に結合する抗体およびそのような薬剤を使用する方法が所望される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sancho et al., Annu Rev. Immunol (2012); 30:491-529
【非特許文献2】Yan et al., Front Immunol (2015);6:408
【非特許文献3】Lahoud et al., J Immunol (2011);187:842
【非特許文献4】Marshall et al., J Biol Chem (2004);279(15):14792-802
【非特許文献5】Pye et al., Eur J Immunol (2008);38(4):1157-63
【非特許文献6】Sadonik et al., Blood (2016);128:4234
【非特許文献7】Toft-Petersen et al., Br J Haematol (2016);175(3):393-41
【非特許文献8】Bakker et al., Cancer Res. (2004);64(22):8443-50
【非特許文献9】Siveen et al., Mol Cancer (2017);16:13
【非特許文献10】Yoshida et al., Cancer Sci (2016);107:5-11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
3.発明の概要
本開示の主題は、CD371に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片、および該抗体またはその抗原結合断片を使用する方法を提供する。
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0007】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0008】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号7に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号9に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号10に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに
(f)配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
からなる群から選択される。
【0010】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに
(f)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
からなる群から選択される。
【0013】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、CDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む重鎖可変領域;ならびにCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域CDR3ドメインおよび軽鎖可変領域CDR3ドメインは、
(a)配列番号30に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号33に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号36に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号39に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号42に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号45に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号48に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号51に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号54に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号57に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3;ならびに
(f)配列番号60に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR3;ならびに配列番号63に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR3
からなる群から選択される。
【0014】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変領域CDR2および軽鎖可変領域CDR2は、
(a)配列番号29に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号32に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(b)配列番号35に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号38に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号41に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号44に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(d)配列番号47に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号50に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;
(e)配列番号53に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号56に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2;ならびに
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR2;ならびに配列番号62に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR2
からなる群から選択される。
【0015】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合部分の抗CD371重鎖可変領域CDR1ドメインおよび抗CD371軽鎖可変領域CDR1ドメインは、
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号31に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号37に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号43に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号49に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号55に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1;ならびに
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む重鎖可変領域CDR1;ならびに配列番号61に記載のアミノ酸配列およびその保存的改変を含む軽鎖可変領域CDR1
からなる群から選択される。
【0016】
ある特定の実施形態では、CDR配列のうちの1つまたは複数は、最大約5個のアミノ酸置換を有する。ある特定の実施形態では、CDR配列のうちの1つまたは複数は、最大約3個のアミノ酸置換を有する。
【0017】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
を含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号39に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(b)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号39に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(c)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;
(e)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3;または
(f)配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0020】
本開示の主題は、上記抗体またはその抗原結合断片のいずれかと、CD371への結合に関して交差競合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0021】
本開示の主題は、上記抗体またはその抗原結合断片のいずれかと同じ、CD371上のエピトープに結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0022】
ある特定の実施形態では、抗体の配列は、軽-重可変鎖の配向(VL-VH)で存在する。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約1×10-7Mから約1×10-8Mの間または約1×10-9Mから約1×10-8Mの間の解離定数(KD)で、ヒトCD371に結合する。
【0023】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20または配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト可変領域のフレームワーク領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、完全ヒトまたはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、キメラ抗体またはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化抗体またはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変断片(Fv)または一本鎖可変断片(scFv)である。
【0025】
本開示の主題は、治療剤に連結した、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートも提供する。ある特定の実施形態では、治療剤は、薬物、細胞毒素、または放射性同位体である。
【0026】
さらに、本開示の主題は、第2の機能性部分に連結した、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片を含む二特異性分子も提供する。ある特定の実施形態では、第2の機能性部分は、抗体またはその抗原結合断片とは異なる結合特異性を有する。
【0027】
本開示の主題は、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、本明細書に開示されるイムノコンジュゲート、または本明細書に開示される二特異性抗体を含む組成物も提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。
【0028】
加えて、本開示の主題は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、そのような核酸分子を含む発現ベクター、およびそのような発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0029】
本開示の主題は、細胞全体または組織全体において、CD371を検出するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、細胞または組織を、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片と接触させることであって、前記抗体またはその抗原結合断片が検出可能な標識を含む、接触させることと;前記細胞または組織と会合した検出可能な標識の量を測定することによって、前記細胞または組織に結合した標識された抗体またはその抗原結合断片の量を決定することであって、結合した抗体またはその抗原結合断片の量が前記細胞または組織におけるCD371の量を示す、決定することとを含む。
【0030】
さらに、本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を処置する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、または組成物を、対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、腫瘍細胞の数を低減する。ある特定の実施形態では、本方法は、腫瘍サイズを低減する。ある特定の実施形態では、本方法は、対象における腫瘍を根絶する。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0031】
さらに、本開示の主題は、対象における腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、またはその組成物を、対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、対象における腫瘍を根絶する。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0032】
加えて、本開示の主題は、腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、またはその組成物を、対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、対象における腫瘍を根絶する。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0033】
加えて、本開示の主題は、腫瘍もしくは新生物を予防および/または処置する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、または組成物を、対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0034】
ある特定の実施形態では、腫瘍または新生物は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、神経膠芽腫、骨髄異形成症候群(MDS)、および慢性骨髄性白血病(CML)からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、腫瘍はAMLである。
【0035】
さらに、本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を処置するための、腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防するための、ならびに/あるいは腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加もしくは延長させるためのキットであって、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、またはその組成物を含む、キットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、対象における腫瘍負荷を処置するため、腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防するため、ならびに/あるいは腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させるために、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片、そのイムノコンジュゲート、その二特異性分子、またはその組成物を使用することについての指示書をさらに含む。
4.図面の簡単な説明
【0036】
以下の詳細な説明は、例として与えられるが、記載される具体的な実施形態に本発明を限定することを意図するものではなく、添付される図面と併せて理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、抗CD371モノクローナルファージ調製物の、ヒトCD371をトランスフェクトしたHEK293H細胞への結合を示す。
【0038】
【
図2-1】
図2Aおよび2Bは、ヒトIgG1としてフォーマットされた1B10および1C3の、OCI細胞への結合を示す。
図2AはB10(「1B10」と称される)を示す。
図2BはC3(「1C3」と称される)を示す。
【
図2-2】
図2Aおよび2Bは、ヒトIgG1としてフォーマットされた1B10および1C3の、OCI細胞への結合を示す。
図2AはB10(「1B10」と称される)を示す。
図2BはC3(「1C3」と称される)を示す。
【0039】
【
図3-1】
図3は、scFv-Fc融合タンパク質およびscFv断片の、ヒトCD371を発現するHEK293細胞への結合を示す。
【
図3-2】
図3は、scFv-Fc融合タンパク質およびscFv断片の、ヒトCD371を発現するHEK293細胞への結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
5.本発明の実施形態の詳細な説明
本開示の主題は、抗CD371抗体を提供する。本開示の非限定的な実施形態は、本明細書および実施例によって説明される。
【0041】
本開示の明確化のためであって限定としてではなく、詳細な説明は、以下の下位項目に分けられる:
5.1.定義;
5.2.CD371;
5.3.抗CD371抗体;
5.4.抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸;
5.5.医薬組成物および処置方法;
5.6.キット;ならびに
5.7.検出方法
5.1.定義
【0042】
以下に続く記載では、用語の使用に関してある特定の慣例に従う。一般に、本明細書で使用される用語は、これらの用語が当業者に知られている意味と一致して解釈されることを意図する。
【0043】
「抗原結合タンパク質」は、抗原結合領域または抗原結合部分を含む、すなわち、それが結合する別の分子に対する強い親和性を有する、タンパク質またはポリペプチドである。抗原結合タンパク質は、抗体、キメラ抗原受容体(CAR)および融合タンパク質を包含する。
【0044】
「抗体(単数)」および「抗体(複数)」は、これらの用語が当技術分野で公知であるように、免疫系の抗原結合タンパク質を指す。本明細書において言及される用語「抗体」は、抗原結合領域を有する完全長抗体全体、および「抗原結合部分」または「抗原結合領域」が保持される任意のその断片、またはその一本鎖、例えば、一本鎖可変断片(scFv)を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互に接続した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略する)および重鎖定常(CH)領域から構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つのドメインから構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略する)および軽鎖定常CL領域から構成される。軽鎖定常領域は、CLの1つのドメインから構成される。VHおよびVL領域を、より保存されたフレームワーク領域(FR)と称される領域が点在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化することができる。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系のさまざまな細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成成分(C1q)を含む、免疫グロブリンの宿主組織または因子への結合を媒介し得る。
【0045】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、フレームワーク領域とCDR領域の両方が、ヒト生殖系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、ヒト生殖系免疫グロブリン配列に由来する。本開示の主題のヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでの無作為もしくは部位特異的変異誘発によって、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を含んでもよい。
【0046】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する変異を含有するか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能なバリアント抗体(一般に少量しか存在しないバリアント)を除いて、同一である、および/または同じエピトープに結合する。典型的には、様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。よって、修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本開示の主題に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座のすべてまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない種々の技法によって作製することができ、そのような方法およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法が本明細書に記載されている。
【0047】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作出または単離されるすべてのヒト抗体、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されるハイブリドーマ(以下にさらに記載される)に関してトランスジェニックであるか、または染色体導入(transchromosomal)である動物(例えば、マウス)から単離される抗体、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離される抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、および(d)他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングに関与する任意の他の手段によって調製、発現、作出または単離される抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域およびCDR領域が、ヒト生殖系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される場合は、in vivoでの変異誘発)に供される場合があり、よって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系VHおよびVL配列に由来し、それに関するが、in vivoでは、ヒト抗体生殖系レパートリー内で天然に存在し得ない配列である。
【0048】
用語「ヒト化抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植された抗体を指すことを意図する。追加のフレームワーク領域の改変は、ヒトフレームワーク配列内でなされ得る。
【0049】
用語「キメラ抗体」は、可変領域の配列が1つの種に由来し、かつ定常領域の配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域の配列がマウス抗体に由来し、かつ定常領域の配列がヒト抗体に由来する抗体を指すことを意図する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「CD371に特異的に結合する」抗体は、約5×10-7Mもしくはそれより低い、約1×10-7Mもしくはそれより低い、約5×10-8Mもしくはそれより低い、約1×10-8Mもしくはそれより低い、約5×10-9Mもしくはそれより低い、約1×10-9Mもしくはそれより低い、約5×10-10Mもしくはそれより低い、約1×10-10Mもしくはそれより低い、約5×10-11Mもしくはそれより低い、または約1×10-11Mもしくはそれより低い解離定数(Kd)で、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する抗体を指すことを意図する。
【0051】
抗原、例えばCD371への結合に関して、参照抗体と、「結合に関して競合する抗体」または「結合に関して交差競合する抗体」は、競合アッセイにおいて、50%またはそれより高い割合で、参照抗体の抗原(例えば、CD371)への結合をブロックする抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、50%またはそれより高い割合で、抗体の抗原(例えば、CD371)への結合をブロックする。例示的な競合アッセイは、"Antibodies", Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY)に記載されている。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」は、重鎖定常領域の遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。
【0053】
語句「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」は、本明細書において、用語「抗原(例えば、CD371ポリペプチド)に特異的に結合する抗体」と交換可能に使用される。
【0054】
抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合し、抗体に対して抗原特異性を付与する抗体の領域または部分を指す;抗原結合タンパク質、例えば、抗体は、抗原(例えば、CD391ポリペプチド)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を含む。抗体の抗原結合機能は完全長抗体の断片によっても実施可能であることが示されている。抗体の「抗体断片」という用語に包含される抗原結合断片の例には、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab)2断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., Nature 1989;341:544-546);ならびに単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。
【0055】
さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、組換え方法を使用して、これらを単一のタンパク質鎖(VL領域とVH領域が対合して一価の分子を形成する)にすることが可能な合成リンカーによって接合され得る。これらは、一本鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al., Science (1988);242:423-426;およびHuston et al., Proc Natl Acad Sci (1998);85:5879-5883を参照されたい。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技法を使用して得られ、断片は、無傷の抗体と同じ方法で、有用性についてスクリーニングされる。
【0056】
「抗体」または「抗原結合タンパク質」は、その自然環境の構成成分から同定され、ならびに分離および/または回収されたものである。「合成抗体」または「組換え抗体」は、一般に、組換え技術を使用して、または当業者に公知のペプチド合成技法を使用して生成される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「一本鎖可変断片」または「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するように共有結合的に連結された免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。重鎖(VH)および軽鎖(VL)は、直接接合されているか、またはVHのN末端をVLのC末端と、もしくはVHのC末端をVLのN末端と接続する、ペプチドをコードするリンカー(例えば、10、15、20、25個のアミノ酸)によって接合されている。リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシンに富むだけでなく、溶解性のためにセリンまたはトレオニンに富む。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域および軽鎖可変領域を連結することができる。
【0058】
リンカーの非限定的な例は、Shen et al., Anal. Chem. (2008)80(6):1910-1917および国際公開第2014/087010号に開示されており、それらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、リンカーは、G4Sリンカーである。
ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含み、それを下記に提供する。
GGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号13]
【0059】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む:
GGGGSGGGGSGGGGS[配列番号14]
【0060】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号64]
【0061】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号65に記載のアミノ酸配列を含む:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号65]
【0062】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号66に記載のアミノ酸配列を含む:
GGGGS[配列番号66]
【0063】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提供される配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む:
GGGGSGGGGS[配列番号67]
【0064】
定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。一本鎖Fvポリペプチド抗体は、Huston, et al. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1988);85:5879-5883)によって記載されるように、VHおよびVLコード配列を含む核酸から発現され得る。米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号および同第4,956,778号;ならびに米国特許出願公開第20050196754号および同第20050196754号も参照。阻害活性を有するアンタゴニスト性scFvが記載されている(例えば、Zhao et al., Hyrbidoma (Larchmt) (2008);27(6):455-51;Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle (2012);August 12;Shieh et al., J Imunol (2009);183(4):2277-85;Giomarelli et al., Thromb Haemost (2007);97(6):955-63; Fife eta., J Clin Invst (2006);116(8):2252-61;Brocks et al., Immunotechnology 1997 3(3):173-84;Moosmayer et al., Ther Immunol 1995 2(10:31-40)を参照されたい)。刺激活性を有するアゴニスト性scFvが記載されている(Peter et al., J Biol Chern (2003);25278(38):36740-7;Xie et al., Nat Biotech 1997 15(8):768-71;Ledbetter et al., Crit Rev Immunol (1997);17(5-6):427-55;Ho et al., BioChim Biophys Acta (2003);1638(3):257-66も参照)。
【0065】
本明細書で使用される場合、「F(ab)」は、抗原に結合するが、一価であり、Fc部分を有さない抗体構造の断片を指し、例えば、酵素であるパパインによって消化された抗体は、2つのF(ab)断片と1つのFc断片(例えば、重(H)鎖定常領域;抗原に結合しないFc領域)を生じる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「F(ab’)2」は、IgG抗体全体のペプシン消化によって生じた抗体断片を指し、この断片は2つの抗原結合(ab’)(二価)領域を有し、各(ab’)領域は2つの別々のアミノ酸鎖、すなわち、抗原に結合するためのS-S結合によって連結したH鎖と軽(L)鎖の一部を含み、H鎖の残りの部分は互いに連結している。「F(ab’)2」断片は、2つの個々のFab’断片に分割することができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、任意の遺伝エレメント、例えば、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどを指し、これは、適切な制御エレメントと会合すると複製可能であり、かつ遺伝子配列を細胞内に移入することができる。よって、この用語は、クローニングおよび発現ビヒクル、ならびにウイルスベクターおよびプラスミドベクターを含む。
【0068】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th U. S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)、またはIMGT numbering system (Lefranc, The Immunologist (1999);7:132-136;Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. (2003);27:55-77)を参照されたい。用語「超可変領域」または「HVR」は、本明細書で使用される場合、配列が超可変性である(「相補性決定領域」または「CDR」)、および/または構造的に規定されるループ(「超可変ループ」)を形成する、および/または抗原接触残基(「抗原接触基」)を含有する抗体可変ドメインの領域のうちのそれぞれを指す。一般に、抗体は、可変領域に3つの重鎖および3つの軽鎖CDRまたはCDR領域を含む。CDRは、抗原またはエピトープへ抗体の結合のための接触残基の大多数を提供する。ある特定の実施形態では、CDRは、IMGTシステムに従って特定される。ある特定の実施形態では、CDRは、http://www.imgt.org/IMGT_vquest/inputでアクセス可能なIMGTナンバリングシステムを使用して特定される。
【0069】
用語「単離された」は、元の供給源または環境からの分離の度合を示す。
【0070】
「単離された抗体」は、その自然環境の構成成分から分離されたものである。ある特定の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定された場合に、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法を精査するために、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr (2007); B 848:79-87を参照されたい。
【0071】
「単離された核酸」は、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常、核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外、またはその自然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0072】
「抗体をコードする単離された核酸」(特定の抗体、例えば、抗KLB抗体への言及を含む)は、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子を指し、単一のベクター 別個のベクター内の(in a single vector separate vectors)そのような核酸分子(複数可)、および宿主細胞内の1つまたは複数の位置に存在するそのような核酸分子(複数可)を含む。
【0073】
用語「ベクター」は、本明細書で使用される場合、それが連結している別の核酸を伝播することが可能な核酸分子を指す。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、およびそれが導入された宿主細胞のゲノム中に組み込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、これらが機能的に連結した核酸の発現を指示することが可能である。そのようなベクターは、本明細書において、「発現ベクター」と称される。
【0074】
「イムノコンジュゲート」は、細胞傷害剤を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の異種分子にコンジュゲートした抗体である。
【0075】
「有効量」(すなわち、「治療有効量」)は、処置の際に、有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数回の用量で対象に投与することができる。処置に関して、有効量は、疾患の進行を和らげるか、軽快させるか、安定化させるか、好転させるか、もしくは遅らせる、またはそうでなければ、疾患の病理学的帰結を低減させるのに十分な量である。有効量は、一般に、個々の場合に応じて医師によって決定され、当業者の技術の範囲内である。有効量を達成するために適切な投与量を決定する場合には、典型的には、いくつかの要因が考慮される。これらの要因には、対象の年齢、性別および体重、処置される状態、状態の重症度ならびに投与される細胞の形態および有効濃度が含まれる。
【0076】
本明細書における「個体」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、哺乳動物などの脊椎動物である。哺乳動物としては、限定されるものではないが、ヒト、霊長類、農場動物、競技用動物、げっ歯類および愛玩動物が挙げられる。非ヒト動物対象の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモットなどのげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、ならびに類人猿およびサルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」(および「処置する(treat)」または「処置すること(treating)」などのその文法上の変形)は、処置される個体の自然経過を変更することを試みる臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の過程中のいずれかに実施することができる。処置の望ましい効果は、以下に限定されないが、疾患の発生または再発を予防すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行速度を低下させること、疾患状態の軽快または緩和、および寛解または予後の改善を含む。ある特定の実施形態では、本開示の主題の抗体は、疾患の発症を遅延させるため、疾患、例えば、腫瘍(急性骨髄性白血病(AML))の進行を遅らせるために使用される。
【0078】
「新生物」とは、細胞または組織の病理学的増殖、およびその後の他の組織もしくは器官への遊走または浸潤によって特徴付けられる疾患を意味する。新生物の成長は、典型的には、未制御および進行性であり、正常な細胞の繁殖を誘発しないか、またはその休止を引き起こすであろう条件下で起こる。
【0079】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語は、米国特許法においてそれらに帰する広い意味を有することが意図され、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容される誤差範囲内を意味し、これは、部分的に、その値が測定または決定される方法、すなわち測定系の限界に依存する。例えば、「約」は、当技術分野における実施によって、3または3を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の、最大で20%まで、好ましくは、最大で10%まで、より好ましくは、最大で5%まで、より好ましくはさらに最大で1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に生物システムまたはプロセスに関して、この用語は、値の、1桁以内、好ましくは、5倍以内、より好ましくは、2倍以内を意味し得る。
【0081】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、別段に指定されていなければ、記載された範囲内の任意の整数値、および必要な場合には、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むことが理解されるべきである。
【0082】
本開示の主題の他の態様は、以下の開示に記載され、本開示の主題の範囲内である。
5.2.CD371
【0083】
DCAL-2、MICLまたはCLL-1としても公知のCD371(CEC12A)は、30kDのC型レクチン膜貫通糖タンパク質である。これは、単球、顆粒細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞および好塩基球において発現する。CD371は、Src相同性ホスファターゼSHP-1およびSHP-2をそのリン酸化細胞質免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)に動員する免疫阻害受容体である(Sancho et al., Annu Rev. Immunol (2012); 30:491-529;Yan et al., Front Immunol (2015);6:408;Lahoud et al., J Immunol (2011);187:842)。CD371は、自己免疫および炎症性疾患を制御する負の調節性尿酸結晶(尿酸一ナトリウム、MSU)受容体として関与している(Neumann et al., Immunity (2014);40:389-99)。CD371は、顆粒細胞および単球の機能の負の調節因子である(Marshall et al., J Biol Chem (2004);279(15):14792-802;Pyz et al., Eur J Immunol (2008);38(4):1157-63)。
【0084】
ある特定の実施形態では、CD371は、NCBI参照番号:NP_612210.4(配列番号15)を有するアミノ酸配列またはその断片を含むか、またはそれからなるヒトCD371である。
配列番号15を下記に提供する。
【化1】
【0085】
ある特定の実施形態では、CD371は、配列番号15に記載のアミノ酸配列またはその断片と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
5.3.抗CD371抗体
【0086】
本開示の主題の抗体は、抗体の特定の機能的特徴または特性によって特徴付けられる。例えば、抗体はCD371に特異的に結合する(例えば、ヒトCD371に結合する)。
【0087】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、1×10-6Mまたはそれより低い、例えば、約1×10-7Mもしくはそれより低い、約1×10-8Mもしくはそれより低い、約1×10-9Mもしくはそれより低い、約1×10-10Mもしくはそれより低い、または約1×10-11Mもしくはそれより低い解離定数(Kd)を有する結合親和性で、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1×10-8Mから約1×10-7Mの間のKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1×10-9Mから約1×10-8Mの間のKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1.5×10-8Mまたはそれより低いKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1×10-8Mまたはそれより低いKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1×10-8MのKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約9×10-9MのKdで、CD371(例えば、ヒトCD371)に結合する。
【0088】
本開示の抗体または抗原結合断片の重鎖および軽鎖は、完全長であってもよい(例えば、抗体は、少なくとも1つの(例えば、1つまたは2つの)完全な重鎖、および少なくとも1つの(例えば、1つまたは2つの)完全な軽鎖を含んでもよい)、または抗原結合部分(Fab、F(ab’)2、Fvまたは一本鎖Fv断片(「scFv」)を含んでもよい。ある特定の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEから選択され、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である。ある特定の実施形態では、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ、特にカッパから選択される。
5.3.1.一本鎖可変断片(scFv)
【0089】
ある特定の実施形態では、本開示の主題は、ヒト免疫グロブリンのFc領域を有する抗体を形成し、二価のタンパク質をもたらし、抗体の全体的アビディティおよび安定性を増加させるために、1つまたは複数の定常ドメインに融合したscFv配列を有する抗体またはその抗原結合断片を含む。加えて、例えば、抗原定量研究における使用のために、親和性測定のために抗体を固定するために、治療剤の標的化送達のために、免疫エフェクター細胞を使用してFc-媒介細胞毒性について試験するために、および他の多くの用途のために、Fc部分は、蛍光色素、細胞毒素、放射性同位体などを含むがこれらに限定されない他の分子の、抗体への直接的コンジュゲーションを可能にする。
【0090】
ここで示される結果は、CD371ポリペプチド(例えば、ヒトCD371)を標的とする際の、本開示の抗体または抗原結合断片の特異性、感度および有用性を強調する。
【0091】
本開示の分子は、ファージディスプレイを使用する一本鎖可変断片(scFv)の同定および選択に基づき、そのアミノ酸配列は、目的のCD371ポリペプチドに対する分子の特異性を付与し、本開示のすべての抗原結合タンパク質の基礎を形成する。したがって、scFvを使用して、例えば、完全長抗体、その断片、例えばFabおよびF(ab’)2、ミニボディ、scFv-Fc融合体を含む融合タンパク質、多価抗体、すなわち、同じ抗原または異なる抗原に対して2つ以上の特異性を有する抗体、例えば、二特異性抗体、トリボディなどを含む様々な一連の「抗体」分子を設計することができる(Cuesta et al., Multivalent antibodies: when design surpasses evolution. Trends in Biotechnology 28:355-362 2010を参照されたい)。
【0092】
ある特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は完全長抗体であり、本開示の主題の抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であってもよい(例えば、抗体は、少なくとも1つ、または2つの完全な重鎖、および少なくとも1つ、好ましくは2つの完全な軽鎖を含んでもよい)、または抗原結合断片(Fab、F(ab’)2、FvまたはscFv)を含んでもよい。ある特定の実施形態では、抗体重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEなどから選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である。抗体アイソタイプの選択は、抗体が誘発するように設計された免疫エフェクター機能に依存し得る。
【0093】
組換え免疫グロブリンの構築において、様々な免疫グロブリンアイソタイプの定常領域に対して適切なアミノ酸配列、および広範な抗体の産生のための方法は、当業者に公知である。
【0094】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表1から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、「B031_P1_PH1B10」(「B10」とも称される)として設計される。
【0095】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号28に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号29に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号30に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号28~30を表1に提供する。
【0096】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号31に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号32に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号33に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号31~33を表1に提供する。
【0097】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号28に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号29に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号30に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号31に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号32に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号33に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、可変領域は、重鎖可変領域(VH)がN末端の位置であるように次々に連結される。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にVH-VLで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表1に提供される配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号16のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号22に記載される。配列番号16および22は、以下の表1に提供される。
表1
【表1-1】
【表1-2】
【0102】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間に、必要に応じてリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号3および4は以下の表2に提供される。ある特定の実施形態では、scFvは、「B031_P1_PH1C3」(「C3」とも称される)として指定される。
【0103】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表2から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、表2に示されるように、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0104】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号34に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号35に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号36に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号34~36を表2に提供する。
【0105】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号37に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号39に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号37~39を表2に提供する。
【0106】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号34に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号35に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号36に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号37に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号39に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0107】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、抗CD371scFvは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にVH-VLで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表2に提供される配列番号69に記載のアミノ酸配列を含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号17に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号17のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号23に記載される。配列番号17および23は、以下の表2に提供される。
表2
【表2-1】
【表2-2】
【0111】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間に、必要に応じてリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号5および6は以下の表3に提供される。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、「B031_P1_PH1D6」(「D6」とも称される)として指定される。
【0112】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表3から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0113】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0114】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号40に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号42に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号40~42を表3に提供する。
【0115】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号43に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号44に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号45に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号43~45を表3に提供する。
【0116】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号40に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号42に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号43に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号44に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号45に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0117】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0118】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にVH-VLで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表3に提供される配列番号70に記載のアミノ酸配列を含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号18のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号24に記載される。配列番号18および24は、以下の表3に提供される。
表3
【表3-1】
【表3-2】
【0121】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間に、必要に応じてリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号7および8は以下の表4に提供される。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、「B031_P1_PH2A11」(「A11」とも称される)として指定される。
【0122】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表4から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。配列番号7および8は表4に提供される。
【0123】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号46に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号47に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号48に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号46~48を表4に提供する。
【0124】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号49に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号51に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号49~51を表4に提供する。
【0125】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号46に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号47に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号48に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号49に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号51に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0126】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号46に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号49に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号51に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0127】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にVH-VLで位置する。ある特定の実施形態では、CD371 scFvは、表4に提供される配列番号71に記載のアミノ酸配列を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号19のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号25に記載される。配列番号19および25は、以下の表4に提供される。
表4
【表4-1】
【表4-2】
【0130】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間に、必要に応じてリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号9および10は、表5に提供される。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、「B031_P1_PH2E4」(「E4」とも称される)として指定される。
【0131】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表5から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0132】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号52に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号54に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号52~54を表5に提供する。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号55に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号56に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号57に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号55~57を表5に提供する。
【0134】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号52に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号54に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号55に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号56に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号57に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0135】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号52に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号53に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号54に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号56に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0136】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0137】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号20のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号26に記載される。配列番号20および26は、以下の表5に提供される。
表5
【表5】
【0138】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間に、必要に応じてリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号11および12は以下の表6に提供される。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、「B031_P1_PH2E8」(「E8」とも称される)として指定される。
【0139】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表6から選択されるVHおよびVL領域またはCDRを有するscFv-Fc融合タンパク質または完全長ヒトIgGである。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0140】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号58に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号59に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2および配列番号60に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3を含む。配列番号58~60を表6に提供する。
【0141】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号61に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号62に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号63に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。配列番号61~63を表6に提供する。
【0142】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号58に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR1、配列番号59に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR2、配列番号60に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVH CDR3、配列番号61に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR1、配列番号62に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR2および配列番号63に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むVL CDR3を含む。
【0143】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3、配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0144】
ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、リンカーを介して連結される。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む。
【0145】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にVH-VLで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、表6に提供される配列番号73に記載のアミノ酸配列を含む。
【0146】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域(V
L)は、N末端に位置する。ある特定の実施形態では、可変領域は、N末端からC末端にV
L-V
Hで位置する。ある特定の実施形態では、抗CD371 scFvは、配列番号21に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号21のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号27に記載される。配列番号21および27は、以下の表6に提供される。
表6
【表6-1】
【表6-2】
5.3.2.モノクローナル抗体
【0147】
本開示の主題は、CD371(例えば、ヒトCD371)に特異的に結合する抗体(例えば、ヒト抗体、例えば、ヒトモノクローナル抗体)を提供する。抗CD371抗体B031_P1_PH1B10(「B10」とも称される)、B031_P1_PH1C3(「C3」とも称される)、B031_P1_PH1D6(「D6」とも称される)、B031_P1_PH2A11(「A11」とも称される)、B031_P1_PH2E4(「E4」とも称される)、およびB031_P1_PH2E8(「E8」とも称される)のVHアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1、3、5、7、9および11に示される。B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVLアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号2、4、6、8、10および12に示される。
【0148】
B031_P1_PH1B10(B10)、B031_P1_PH1C3(C3)、B031_P1_PH1D6(D6)、B031_P1_PH2A11(A11)、B031_P1_PH2E4(E4)、およびB031_P1_PH2E8(E8)抗体のそれぞれがCD371に結合し得ることを考慮すると、VHおよびV配列は「混合およびマッチングされ」、他の抗CD371結合分子を作出する。そのような「混合およびマッチングされた」抗体のCD371への結合は、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、Biacore分析を含む当技術分野で公知の結合アッセイを使用して試験され得る。好ましくは、VHおよびVL鎖が混合およびマッチングされる場合、特定のVH/VL対合に由来するVH配列は、構造的に類似するVH配列で置き換えられる。同様に、特定のVH/VL対合に由来するVL配列は、構造的に類似するVL配列で置き換えられる。
【0149】
ある特定の実施形態では、本開示の主題は、(a)配列番号1、3、5、7、9および11から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに(b)配列番号2、4、6、8、10および12から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗体またはその抗原結合断片もしくは部分であって、前記抗体または抗原結合断片がCD371、例えばヒトCD371に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片もしくは部分を提供する。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号10に記載の配列を有するアミノ酸を含む軽鎖可変領域;ならびに
(f)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号12に記載の配列を有するアミノ酸を含む軽鎖可変領域
から選択される。
【0150】
ある特定の実施形態では、本開示の主題は、B10、C3、D6、A11、E4およびE8の重鎖および軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0151】
B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVH CDR1のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号28、34、40、46、52および58に示される。B10、C3、D6、A11、E4およびE8の抗体のVH CDR2のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号29、35、41、47、53および59に示される。B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVH CDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号30、36、42、48、54および60に示される。
【0152】
B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVL CDR1のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号31、37、43、49、55および61に示される。B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVL CDR2のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号32、38、44、50、56および62に示される。B10、C3、D6、A11、E4およびE8のVL CDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号33、39、45、51、57および63に示される。CDR領域は、IMGTシステムを使用して描写される。ある特定の実施形態では、CDR領域は、http://www.imgt.org/IMGT_vquest/inputでアクセス可能なIMGTナンバリングシステムを使用して描写される。
【0153】
これらの抗体またはその抗原結合断片のそれぞれがCD371に結合し、抗原結合特異性がCDR1、CDR2およびCDR3領域によって主にもたらされることを考慮すると、VH CDR1、CDR2およびCDR3配列ならびにVL CDR1、CDR2およびCDR3配列は「混合およびマッチングされ」(すなわち、異なる抗体に由来するCDRは混合およびマッチングされ得るが、各抗体は、VH CDR1、CDR2およびCDR3ならびにVL CDR1、CDR2およびCDR3を含有しなければならない)、他の抗CD371結合分子を作出することができる。そのような「混合およびマッチングされた」抗体のCD371への結合は、上記の結合アッセイを使用して試験され得る。VH CDR配列が混合およびマッチングされる場合、特定のVH配列に由来するCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似するCDR配列(複数可)で置き換えられる。同様に、VL CDR配列が混合およびマッチングされる場合、特定のVL配列に由来するCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似するCDR配列(複数可)で置き換えられる。新規VHおよびVL配列が、1つまたは複数のVHおよび/またはVL CDR領域の配列を、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片B10、C3、D6、A11、E4およびE8のCDR配列に由来する構造的に類似する配列で置換することによって作出され得ることは、当業者にとって容易に明らかである。
【0154】
ある特定の実施形態では、本開示の主題は、
(a)配列番号28、34、40、46、52および58から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号29、35、41、47、53および59から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号30、36、42、48、54および60から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号31、37、43、49、55および61から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号32、38、44、50、56および62から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;ならびに
(f)配列番号33、39、45、51、57および63から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む抗体または抗原結合断片を提供する。
【0155】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号28に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号30、配列番号29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号33、配列番号33、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;
(f)配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0156】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号35に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号39に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号42に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号43に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号44に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号45に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0158】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号46に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号49に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号50に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号51に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号52に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号53に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号54に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号56に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号57に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0160】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号61に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号63に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む。
【0161】
本明細書に開示される抗CD371抗体の定常領域/フレームワーク領域は、例えば、アミノ酸置換によって変更され、抗体の特性を改変させ得る(例えば、抗原への結合親和性、FC受容体への結合、抗体の炭水化物、例えば、グリコシル化、フコシル化など、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、エフェクター細胞機能、補体機能またはコンジュゲーション部位の導入のうちの1つまたは複数を増加または低下させ得る)。
【0162】
ある特定の実施形態では、本開示の抗CD371抗体は、完全ヒト抗体、例えばB10、C3、D6、A11、E4およびE8のうちのいずれか1つである。完全ヒトmAbは、ヒトに投与された場合、アナフィラキシー反応および過敏症反応を含む重篤な副作用をもたらす。
【0163】
ファージディスプレイライブラリーの使用により、非常に規定されたエピトープに対する固有の希少なAbに関して多数の抗体レパートリーを選択することが可能になった(ファージディスプレイに関するさらなる詳細については、McCafferty et al., Phage antibodies: filamentous phage displaying antibody variable domains. Nature, 348: 552-554を参照されたい)。よって、腫瘍抗原由来のペプチド-MHC複合体分子に対して高度に特異的なヒトFabまたは一本鎖Fv(scFV)断片の迅速な特定が可能になった。加えて、Fab断片を使用して全長モノクローナル抗体(mAb)を操作することによって、治療用mAbの開発に通常必要である数カ月もの時間のかかる研究を回避することによって、治療用ヒトmAbを直接生成することが可能である。本開示の主題は、例えば、がん治療のための、例えばAMLを処置するためのヒトCD371ポリペプチド(例えば、配列番号23に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド)を認識する完全ヒトmAbを開発することに関与する。
5.3.3.相同な抗体
【0164】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載の抗体(例えば、B10、C3、D6、A11、E4およびE8抗体)のアミノ酸配列と、相同または同一であるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含み、前記抗体またはその抗原結合断片は、本開示の主題の抗CD371抗体またはその抗原結合断片の所望の機能的特性を保持する。
【0165】
例えば、本開示の主題は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合断片もしくは部分を提供し、
(a)重鎖可変領域は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%相同または同一であるアミノ酸配列を含み;
(b)軽鎖可変領域は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12に記載のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%相同または同一であるアミノ酸配列を含み;
前記抗体またはその抗原結合断片は、1×10-7Mもしくはそれより低いKdまたは1×10-8Mもしくはそれより低いKdで、ヒトCD371に特異的に結合する。
【0166】
ある特定の実施形態では、VHおよび/またはVLアミノ酸配列は、上記に記載の配列に対して、少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%相同または同一であり得る。上記に示される配列のVHおよびVL領域に対して高い(すなわち、80%またはそれより高い割合の)相同性または同一性を有するVHおよびVL領域を有する抗体は、変異誘発(例えば、部位特異的またはPCR媒介性変異誘発)と、それに続いて、本明細書に記載の結合アッセイを使用して、保持された機能(すなわち、結合親和性)に関してコードされる変更された抗体を試験することによって得ることができる。
【0167】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、2つの配列間の同一性パーセントに等しい。2つの配列間の同一性または相同性パーセントは、2つの配列の最適な整列のために導入される必要があるギャップの数およびそれぞれのギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、以下の非限定的な実施例に記載のように、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0168】
2つのアミノ酸配列間の相同性または同一性パーセントは、PAM120重み付き残基表、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE. Meyers and W. Miller (Comput. Appl. Biosci., (1988);14:11-17)のアルゴリズムを使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間の相同性パーセントは、Blossum62行列またはPAM250行列のいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6または4のギャップウエイト、および1、2、3、4、5または6の長さ重み(length weight)を使用して、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで利用可能)中のGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch (J. Mol. Biol. (1970) 48:444-453)アルゴリズムを使用して決定することができる。
【0169】
さらにまたはあるいは、本開示の主題のタンパク質配列を「クエリー配列」としてさらに使用して、例えば、関連する配列を特定するために、公共のデータベースに対して検索を実施することができる。そのような検索は、Altschul et al., J Mol Biol (1990);215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いてBLASTタンパク質検索を実施して、本発明の抗体分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較する目的でギャップを挿入したアラインメントを得るために、Altschul et al., Nucleic Acids Res (1997);25(17):3389-3402に記載されている通り、Gapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。()。
5.3.4.保存的改変を伴う抗体
【0170】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合断片は、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域ならびにCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含み、これらのCDR配列のうちの1つまたは複数は、本明細書に記載の好ましい抗体(例えば、B10、C3、D6、A11、E4およびE8抗体)に基づく特定のアミノ酸配列、またはその保存的改変を含み、かつ抗体は、本開示の主題の抗CD371抗体またはその抗原結合断片の所望の機能的特性を保持する。本開示の主題は、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域ならびにCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体またはその抗原結合断片もしくは部分を提供し、
(a)重鎖可変領域CDR3配列は、配列番号30、36、42、48、54および60のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含み;
(b)軽鎖可変領域CDR3配列は、配列番号33、39、45、51、57および63のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含み;かつ
前記抗体またはその抗原結合断片は、1×10-7Mもしくはそれより低いKdまたは1×10-8Mもしくはそれより低いKdで、ヒトCD371に結合する。
【0171】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR3配列は、配列番号30、36、42、48、54および60のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR3配列は、配列番号33、39、45、51、57および63のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0172】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR2配列は、配列番号29、35、41、47、53および59のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR2配列は、配列番号32、38、44、50、56および62のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0173】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域CDR1配列は、配列番号28、34、40、46、52および58のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域CDR1配列は、配列番号31、37、43、49、55および61のアミノ酸配列、ならびにその保存的改変から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0174】
本明細書で使用される場合、用語「保存的配列改変」は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に有意に影響を及ぼさずそれを変更もしないアミノ酸改変を指すことを意図する。そのような保存的改変は、アミノ酸の置換、付加および欠失を含む。改変は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介性変異誘発などの当技術分野で公知の標準的技法によって、本発明の抗体中に導入され得る。
【0175】
保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。例示的な保存的アミノ酸置換は、表7に示される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入され、産物を、所望の活性、例えば抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの改善についてスクリーニングすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される配列、例えばCDR配列、V
H配列またはV
L配列は、改変および/または置換されたアミノ酸残基を約1個まで、約2個まで、約3個まで、約4個まで、約5個まで、約6個まで、約7個まで、約8個まで、約9個までまたは約10個まで有し得る。
表7
【表7】
【0176】
アミノ酸は、共通する側鎖の特性に従って群分けすることができる:
- 疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
- 中性、親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
- 酸性:Asp、Glu;
- 塩基性:His、Lys、Arg;
- 鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
- 芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0177】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーをと別のクラスと交換することを伴う。
5.3.5.本発明の抗CD371抗体と、CD371への結合について交差競合する抗CD371抗体
【0178】
本開示の主題は、開示される抗CD371抗体のいずれかと、CD371(例えば、ヒトCD371)への結合について交差競合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。例えば、限定するものではないが、交差競合する抗体は、本開示の主題の抗CD371抗体またはその抗原結合断片のいずれかと同じエピトープ領域、例えば、同じエピトープ、隣接するエピトープ、または重複したエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態では、交差競合研究のための参照抗体またはその参照抗原結合断片は、本明細書に開示される抗CD371抗体またはその抗原結合断片、例えば、B10、C3、D6、A11、E4およびE8抗体のうちのいずれか1つであってもよい。
【0179】
そのような交差競合する抗体は、標準のCD371結合アッセイにおいて本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片うちのいずれか1つと交差競合するそれらの能力に基づいて特定することができる。例えば、Biacore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーを、本開示の主題の抗体との交差競合を実証するために使用することができる。試験抗体が、例えば、本開示の抗CD371抗体(例えば、B10、C3、D6、A11、E4およびE8抗体)のいずれか1つのCD371(例えば、ヒトCD371)への結合を阻害できることにより、試験抗体が、本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片のいずれか1つと、CD371(例えば、ヒトCD371)への結合について競合し得、よって、本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片のいずれか1つと同じCD371(例えば、ヒトCD371)上のエピトープ領域に結合することが実証される。ある特定の実施形態では、交差競合する抗体またはその抗原結合断片は、本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片のいずれか1つと同じCD371(例えば、ヒトCD371)上のエピトープに結合する。
5.3.6.抗原への抗体の結合の特徴付け
【0180】
本開示の対象の抗体またはその抗原結合断片は、例えば、標準的ELISAによって、CD371への結合について試験され得る。選択された抗CD371抗体が固有のエピトープに結合するかどうかを決定するために、各抗体を、市販の試薬(Pierce、Rockford、IL)を使用してビオチン化することができる。未標識モノクローナル抗体およびビオチン化モノクローナル抗体を使用する競合研究を、上記の通りCD371をコーティングしたELISAプレートを使用して実施することができる。ビオチン化mAbの結合をストレプトアビジン(strep-avidin)-アルカリホスファターゼプローブを用いて検出することができる。
【0181】
精製抗体のアイソタイプを決定するために、特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を使用して、アイソタイプELISAを実施することができる。抗CD371ヒトIgGは、ウエスタンブロッティングによって、CD371抗原との反応性についてさらに試験され得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。ある特定の実施形態では、RIAは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される。例えば、Fabを、用量設定した一連の未標識抗原の存在下で最小濃度の(125I)標識抗原を用いて平衡化し、次いで、抗Fab抗体でコーティングされたプレートに結合した抗原を捕捉することにより、Fabの抗原に対する溶液結合親和性を測定する(例えば、Chen et al., J Mol Biol (1999);293:865-881を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用するアッセイ
5.3.7.イムノコンジュゲート
【0183】
本開示の主題は、細胞毒素、薬物(例えば、免疫抑制剤)または放射性毒素などの治療部位にコンジュゲートした抗CD371抗体またはその抗原結合断片を提供する。そのようなコンジュゲートは、本明細書において、「イムノコンジュゲート」と称される。1種または複数の細胞毒素を含むイムノコンジュゲートは、「イムノトキシン」と称される。細胞毒素または細胞傷害剤には、細胞に対して有害な(例えば、細胞を殺滅する)任意の薬剤が含まれる。細胞毒素の非限定的な例としては、タキソール(リシン、ジフテリア、ゲロニンなど)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにその類似体またはホモログが挙げられる。治療剤には、例えば、カリケアマイシン(calecheamicin)、アウリスタチン(aureastatin)、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル ダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、低メチル化剤(アザシチジンおよびデシタビン)、および抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)も含まれる。
【0184】
本明細書に開示される抗CD371抗体にコンジュゲートすることができる治療用細胞毒素の他の例としては、デュオカルマイシン、カリケアマイシン、メイタンシンおよびアウリスタチン、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。細胞毒素は、当技術分野において利用可能なリンカー技術を使用して、本明細書に開示される抗CD371抗体またはその抗原結合断片にコンジュゲートされ得る。細胞毒素を抗体にコンジュゲートするために使用されているリンカー型の例としては、以下に限定されないが、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィドおよびペプチドを含有するリンカーが挙げられる。例えば、リソソーム区画内の低pHによる切断を受けやすい、またはプロテアーゼ、例えば、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)などの腫瘍組織において優先的に発現されるプロテアーゼによる切断を受けやすいリンカーを選択することができる。治療剤を抗体にコンジュゲートするための細胞毒素、リンカーおよび方法の種類についてさらに議論するために、Saito, G. et al. (2003) Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215;Trail, P.A. et al. (2003) Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337;Payne, G. (2003) Cancer Cell 3:207-212;Allen, T.M. (2002) Nat. Rev. Cancer 2:750-763;Pastan, I. and Kreitman, R. J. (2002) Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091;Senter, P.D. and Springer, C.J. (2001) Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264も参照されたい。
【0185】
本開示の主題の抗CD371抗体またはその抗原結合断片を、放射性同位体にコンジュゲートさせて、放射性イムノコンジュゲートとも称される細胞傷害性放射性医薬品を生成することもできる。診断上または治療上で使用するために抗体とコンジュゲートすることができる放射性同位体の非限定的な例としては、90Y、131I、225Ac、213Bi、223Raおよび227Thが挙げられる。放射性イムノコンジュゲートを調製するための方法は、当技術分野において確立されている。放射性イムノコンジュゲートの例は、Zevalin(商標)(IDEC Pharmaceuticals)およびBexxar(商標)(Corixa Pharmaceuticals)を含め市販されており、同様の方法を使用して、本発明の抗体を使用して、放射性イムノコンジュゲートを調製することができる。
【0186】
本開示の主題の抗体コンジュゲートは、所与の生物学的応答を改変するために使用することができ、薬物部分は、古典的な化学治療剤に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、もしくはジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素、もしくはその活性断片;腫瘍壊死因子(TNF)もしくはインターフェロン-γなどのタンパク質;または、例えば、リンフォカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、もしくは他の成長因子などの生物学的反応修飾物質を挙げることができる。
【0187】
そのような治療用部分を抗体にコンジュゲートするための技法は周知であり、例えば、Arnon et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al., "Antibodies For Drug Delivery", in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);"Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985)、およびThorpe et al., "The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev., 62:119-58 (1982)を参照されたい。
5.3.8.二特異性分子
【0188】
本開示の主題は、本明細書に開示される抗CD371抗体、またはその断片を含む二特異性分子を提供する。本開示の抗体またはその抗原結合断片は、誘導体化されるか、または別の機能性分子、例えば、別のペプチドもしくはタンパク質(例えば、別の抗体または受容体のためのリガンド)に連結して、少なくとも2つの異なる結合性部位または標的分子に結合する二特異性分子を生成することができる。実際、本開示の抗体またはその抗原結合断片は、誘導体化されるか、または2つ以上の他の機能性分子に連結して、3つ以上の異なる結合性部位および/または標的分子に結合する多特異性分子を生成することができ;そのような多特異性分子は、本明細書で使用される用語「二特異性分子」に包含されることも意図される。二特異性分子を作出するために、本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片を、別の抗体、抗体断片、ペプチドまたは結合模倣体などの1つまたは複数の他の結合性分子と機能的に連結させることができ(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的な会合または他のやり方によって)、その結果、二特異性分子。
【0189】
本開示の主題は、CD371に対する少なくとも第1の結合特異性および第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含む二特異性分子を提供する。第2の標的エピトープは、CD371エピトープ、または非CD371エピトープ、例えば、異なる抗原であってもよい。ある特定の実施形態では、二特異性分子は多特異性であり、分子は、第3の結合特異性をさらに含んでもよい。二特異性抗体の第1の部分が、例えば、腫瘍細胞上の抗原に結合し、二特異性抗体の第2の部分が、ヒト免疫エフェクター細胞表面の抗原を認識する場合、抗体は、ヒト免疫エフェクター細胞上のエフェクター抗原に特異的に結合することによって、そのエフェクター細胞の活性を動員することが可能である。したがって、ある特定の実施形態では、二特異性抗体は、エフェクター細胞、例えば、T細胞および腫瘍細胞間に連結を形成し、それによってエフェクター機能を増強することができる。ある特定の実施形態では、本開示の二特異性抗体は、CD371に対する少なくとも第1の結合および免疫細胞に対する少なくとも第2の結合を含む。
【0190】
本開示の主題の二特異性分子は、当技術分野で公知の方法を使用して、構成要素である結合特異性をコンジュゲートすることによって調製することができる。例えば、二特異性分子の各結合特異性を別々に生成し、次いで、互いにコンジュゲートさせることができる。結合特異性がタンパク質またはペプチドである場合、種々のカップリング剤または架橋剤を共有結合的コンジュゲーションのために使用することができる。架橋剤の非限定的な例としては、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)が挙げられる(例えば、Karpovsky et al. (1984) J. Exp. Med. 160:1686;Liu, MA et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照されたい)。他の方法には、Paulus (1985) Behring Ins. Mitt. No. 78, 118-132;Brennan et al. (1985) Science 229:81-83)、およびGlennie et al. (1987) J. Immunol. 139: 2367-2375)に記載されているものが含まれる。コンジュゲート剤は、SATAおよびスルホ-SMCCであってもよく、これらはいずれもPierce Chemical Co.(Rockford、IL)から入手可能である。
【0191】
結合特異性が抗体である場合、これらは、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介してコンジュゲートされ得る。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域は、コンジュゲーションの前に、奇数のスルフヒドリル残基、好ましくは1つのスルフヒドリル残基を含有するように改変される。
【0192】
あるいは、両方の結合特異性は、同じベクター内にコードされ、同じ宿主細胞内で発現されアセンブルされ得る。この方法は、二特異性分子がmAb×mAb、mAb×Fab、Fab×F(ab’)2またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合に特に有用である。
【0193】
二特異性分子の、それらの特異的標的への結合は、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、またはウエスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイのそれぞれは、一般に、特に目的とするタンパク質-抗体複合体の存在を、目的の複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体)を用いることによって検出する。あるいは、複合体は、種々の他のイムノアッセイのいずれかを使用して検出され得る。例えば、抗体は、放射標識され、ラジオイムノアッセイ(RIA)において使用されてもよい(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照されたい)。放射性同位体は、γカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用などの手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出することができる。
5.3.9.CD371ポリペプチドに対する高親和性ScFvの選択
【0194】
次のステップは、目的の標的抗原(例えば、CD371)に高親和性で結合するファージを、ファージディスプレイライブラリー(例えば、ヒトファージディスプレイライブラリー)において結合しないファージまたは低親和性で結合するファージから選択することである。これは、固体支持体、例えば、ビーズまたは哺乳動物の細胞に結合させた抗原にファージを反復的に結合させ、その後、結合していないファージを除去し、特異的に結合したファージを溶出させることによって実現することができる。ある特定の実施形態では、抗原(例えば、CD371)は、表面(例えば、ポリスチレン表面)に固定される。ファージライブラリーは、細胞、ビーズまたは他の固体支持体と共にインキュベートされ、洗浄することによって結合していないファージが除去される。結合するクローンが選択され、試験される。
【0195】
選択されたら、陽性scFvクローンは、細胞表面のCD371(ヒトCD371)へのそれらの結合について、フローサイトメトリーによって試験される。簡単に述べると、ファージクローンは、CD371を過剰発現するHEK293H細胞と共にインキュベートされる。細胞は、洗浄され、次いで、M13コートタンパク質mAbと共にインキュベートされる。細胞は、再度洗浄され、フローサイトメトリーの前に、PE標識された抗マウスFab2で標識される。
【0196】
他の実施形態では、抗CD371抗体は、タンパク質の安定性、抗体の結合、発現レベルが改善されるように、または治療剤のコンジュゲーションのための部位を導入するように設計された1つまたは複数のフレームワーク領域のアミノ酸置換を含んでもよい。次いで、当業者に公知の方法に従って、これらのscFvを使用して組換えヒトモノクローナルIgを産生する。
5.3.10.選択されたScFv断片を使用する全長mAbの操作
【0197】
ファージディスプレイ技術により、それ自体として有用である、またはさらに開発して、完全な抗体、抗原結合タンパク質もしくはその抗原結合断片をもたらすことができる、抗原特異的なscFvおよびFab断片の迅速な選択および産生が可能になる。Fcドメインを有する完全なmAbは、scFvおよびFab抗体に勝るいくつかの利点を有する。第1に、全長Abのみが、Fcドメインを介したCDCおよびADCC媒介性などの免疫学的機能を発揮する。第2に、二価mAbにより、単量体Fab Abよりも強力な抗原結合親和性がもたらされる。第3に、血漿中半減期および腎クリアランスがFabと二価mAbとで異なる。それぞれの特定の特徴および利点を、計画されるエフェクター戦略に適合させることができる。第4に、二価mAbは、scFvおよびFabとは異なる速度で内部移行する可能性があり、それにより、免疫機能または担体機能が変更される。例えば、アルファエミッターは標的を殺滅するために内部移行する必要はないが、多くの薬物および毒素には免疫複合体の内部移行が有益である。したがって、ある特定の実施形態では、CD371に特異的なscFvクローンがファージディスプレイライブラリーから得られると、scFv断片を使用して全長IgG mAbが産生された。
【0198】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において組換えヒトモノクローナルIgGを産生するために、当業者に公知の方法に基づいて全長IgG mAbを操作することができる(Tomomatsu et al., Production of human monoclonal antibodies against FceRIa by a method combining in vitro immunization with phage display. Biosci Biotechnol Biochem 73(7): 1465-1469 2009)。簡単に述べると、抗体可変領域は、哺乳動物の発現ベクター中に、ラムダまたはカッパ軽鎖定常配列およびIgG1サブクラスFc(例えば)をマッチングさせてサブクローニングされ得る(Lidija P, et al. An integrated vector system for the eukaryotic expression of antibodies or their fragments after selection from phage display libraries. Gene 1997; 187(1): 9-18;Lisa JH, et al. Crystallographic structure of an intact lgG1 monoclonal antibody. Journal of Molecular Biology 1998; 275 (5): 861-872)。カイネティクス結合解析(Yasmina NA, et al. Probing the binding mechanism and affinity of tanezumab, a recombinant humanized anti-NGF monoclonal antibody, using a repertoire of biosensors. Protein Science 2008; 17(8): 1326-1335)は、ナノモル濃度範囲のKdでの、全長IgGのCD371への特異的結合を確認するために使用され得る。
5.4.抗体または抗原結合断片をコードする核酸
【0199】
本開示の主題は、本明細書に開示される抗CD371抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を提供する。ある特定の実施形態では、核酸は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26または配列番号27に示されるヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【0200】
さらに、本開示の核酸を含むベクターが提供される。ある特定の実施形態では、ベクターは、発現ベクターである。本開示の主題は、本明細書に開示される発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
5.5.医薬組成物および処置方法
【0201】
本開示の主題は、本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片、本開示のイムノコンジュゲート、本開示の二特異性抗体を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。
【0202】
本開示の主題は、本明細書に開示される抗CD371抗体またはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、および組成物を使用する様々な方法を提供する。例えば、本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を低減する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、または組成物の1つまたは複数を、対象に投与することを含む。本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、対象における、腫瘍細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、および/または腫瘍を根絶する。
【0203】
本開示の主題は、腫瘍もしくは新生物を有する対象の生存期間を増加または延長させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、または組成物の1つまたは複数を、対象に投与することを含む。本方法は、対象における腫瘍負荷を低減または根絶することができる。
【0204】
本開示の主題は、対象における腫瘍もしくは新生物を処置および/または予防するための方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、または組成物の1つまたは複数を、対象に投与することを含む。
【0205】
そのような方法は、有効な量で本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片、本開示の組成物(例えば、医薬組成物)を投与し、所望の効果(既存の状態の緩和または再発の予防である)を達成することを含む。処置では、投与される量は、所望の効果を生じるのに有効な量である。有効量は、1回または一連の投与で与えることができる。有効量は、ボーラスで、または連続的灌流によって与えることができる。
【0206】
新生物または腫瘍の非限定的な例としては、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、神経膠芽腫、骨髄異形成症候群(MDS)、および慢性骨髄性白血病(CML)、骨がん、腸がん、肝臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、黒色腫(皮膚または眼内の悪性黒色腫)、腎臓がん(例えば、明細胞癌)、咽喉がん、前立腺がん(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、血液がん(例えば、白血病、リンパ腫および骨髄腫)、子宮がん、直腸がん、肛門部のがん、膀胱がん、脳がん、胃がん、精巣がん、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸部の癌、腟の癌、外陰部の癌、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、真性赤血球増加症)、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍の血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されるものを含む環境誘発がんを含み、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、ヘパトーマ、胆管癌(nile duct carcinoma)、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、唾液腺がん、子宮がん、精巣がん、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫(oligodenroglioma)、シュワン細胞腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)などの固形腫瘍が挙げられる。
【0207】
好適な腫瘍または新生物の非限定的な例としては、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、神経膠芽腫、骨髄異形成症候群(MDS)および慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられる。ある特定の実施形態では、腫瘍または新生物はAMLである。
【0208】
任意の好適な方法または経路を使用して、本開示の抗CD371抗体を投与することができ、必要に応じて抗新生物剤を共投与することができる。投与経路としては、以下に限定されないが、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、結節内投与、腫瘍内投与、骨内投与、髄腔内投与、胸膜投与、胸腔内投与および直接投与が挙げられる。しかし、本開示の主題は任意の特定の方法または投与経路に限定されないことが強調されるべきである。
【0209】
本開示の抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、受容体に特異的に結合し、リガンド-毒素の内部移行後に毒性の致死的なペイロードを送達するコンジュゲートとして投与され得る。
【0210】
本開示の主題の抗CD371抗体またはその抗原結合断片は、薬学的に許容される担体をさらに含む組成物の形態で投与されてもよい。好適な薬学的に許容される担体としては、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどのうちの1つまたは複数、およびこれらの組合せが挙げられる。薬学的に許容される担体は、湿潤剤または乳化剤、防腐剤またはバッファーなどの、結合タンパク質の貯蔵寿命または有効性を増強する微量の補助物質をさらに含んでもよい。注射用の組成物は、当技術分野で周知の通り、哺乳動物への投与後に有効成分の急速放出、持続放出または遅延放出がもたらされるように製剤化することができる。
【0211】
本開示の主題は、抗体およびそれらをコードする核酸の、腫瘍または新生物(例えば、AML)の処置のため、診断および予後適用のための使用、ならびに細胞および組織におけるCD371の検出のための研究ツールとしての使用も提供する。本開示の抗体および核酸を含む医薬組成物は、本開示の主題に包含される。ベクターを用いた免疫療法(vectored immunotherapy)による抗体に基づく処置のための、本開示の主題の核酸を含むベクターも、本開示の主題により企図されている。ベクターとしては、抗体の発現および分泌を可能にする発現ベクター、ならびに、キメラ抗原受容体などの抗原結合タンパク質の細胞表面発現を対象とするベクターが挙げられる。
【0212】
核酸を含む細胞、例えば、本発明のベクターでトランスフェクトされた細胞も本発明の主題に包含される。
5.6.キット
【0213】
本開示の主題は、腫瘍負荷を低減するため、および/あるいは腫瘍もしくは新生物(例えば、AML)を有する対象の生存期間を増加または延長させるための、腫瘍もしくは新生物(例えば、AML)の処置および/または予防のためのキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、または組成物を、単位剤形で含む組成物を含む。ある特定の実施形態では、キットは、治療または予防ワクチンを含む無菌の容器を含み;そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、管、バッグ、小袋、ブリスターパック、または当技術分野で公知の他の好適な容器の形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、または医薬を保持するために好適な他の材料で作製することができる。
【0214】
ある特定の実施形態では、キットは、対象に、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、または組成物を投与するための指示をさらに含む。指示は、一般に、腫瘍もしくは新生物(例えば、AML)の処置および/または予防するため、腫瘍負荷を低減するため、および/あるいは腫瘍もしくは新生物(例えば、AML)を有する対象の生存期間を増加または延長させるための、本明細書に開示される抗CD371抗体もしくはその抗原結合断片、イムノコンジュゲート、二特異性抗体、および組成物の使用についての情報を含んでもよい。ある特定の実施形態では、指示は、以下のうちの少なくとも1つを含む:治療剤の説明;腫瘍もしくは新生物(例えば、AML)またはその症状の処置および/または予防のための投薬スケジュールおよび投与;使用上の注意(precaution);警告;適応症;禁忌;過剰摂取情報;有害反応;動物薬理学;臨床研究;ならびに/あるいは参照文献。指示は、容器(存在する場合)に直接印刷されてもよく、あるいは容器に貼付されるラベルとして、または、容器の中に、もしくは容器と一緒に供給される別個のシート、パンフレット、カード、またはフォルダーとして印刷されてもよい。
5.7.検出方法
【0215】
本開示の主題は、細胞全体または組織全体において、CD371を検出するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本方法は、
a)細胞または組織を、本明細書に開示される抗CD371抗体または抗原結合断片と接触させることであって、抗体またはその抗原結合断片が検出可能な標識を含む、接触させることと;
b)細胞または組織に結合した標識抗体またはその抗原結合断片の量を決定することと
を含む。
【0216】
ある特定の実施形態では、b)は、細胞または組織と会合した検出可能な標識の量を測定することを含み、結合した抗体またはその抗原結合断片の量は、細胞または組織におけるCD371の量を示す。
【0217】
細胞または組織は、任意の正常な細胞もしくは組織、健康な細胞もしくは組織、またはがん性の細胞もしくは組織を含む、任意の細胞または組織であってもよい。
【実施例】
【0218】
6.実施例
以下の実施例は、本開示の主題の、抗体、二特異性抗体、それを含む組成物の作製および使用の仕方、スクリーニング、ならびに治療方法についての完全な開示および記載を当業者に提供するために提示され、本発明者らが本開示の主題と考える範囲を限定するものではない。上で提供された一般的な説明を考慮すると、様々な他の実施形態を実施することができることが理解される。
(実施例1)
抗CD371抗体およびscFvの生成
【0219】
細胞外ドメインおよびアミノ酸His 65-Ala 265に対応するCD371の部分(UniProt受託番号Q5QGZ9)を精製用ポリヒスチジンタグを有する可溶性タンパク質として組換えによって生成した。マウスCD371の細胞外ドメイン(Thr 67-Arg 267)もポリヒスチジンタグを用いて生成し、異種間の反応性について抗体をスクリーニングした。
【0220】
標準的な固相ファージファージディスプレイパニング技法を使用することによって、CD371タンパク質に結合する抗体について、独自の(proprietary)ナイーブ、半合成scFvファージディスプレイライブラリーをスクリーニングした。簡単に述べると、組換えCD371をポリスチレン表面に固定し、その後、約5%のミルクでブロッキングし、ファージライブラリーと共にインキュベータした。次の洗浄、溶出およびファージ増幅ステップを実施して、各ラウンドのバイオパニングを完了させた。次のラウンドのためのインプットとして、前ラウンドのパニングからの増幅されたCD371バインダー富化ファージプールを使用して、3ラウンドのパニングを完了させた。CD371に対する高い特異性を示したクローンを同定するために、抗M13ファージ抗体を使用する酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって、ヒトCD371、マウスCD371およびBSA(非特異的対照として)への結合について、第3ラウンドのパニングに由来する単一のクローンを解析した。CD371への特異的結合を示したこれらのモノクローナルファージ上清のみを抗体のシーケンシングのために選択し、固有の配列を有する6つの抗体(B10(「1B10」とも称される)、C3(「1C3」とも称される)、D6(「1D6」とも称される)、A11(「2A11」とも称される)、E4(「2E4」とも称される)、およびE8(「2E8」とも称される))が同定を有する6つの抗体された。スクリーニングされた抗体はいずれも、CD371のヒトホモログとマウスホモログのいずれへの結合も示さなかった。
【0221】
ファージパニングキャンペーンから回収した抗体が、その天然のコンフォーメーションで、細胞表面のCD371に結合することができたかどうかを試験するために、モノクローナルファージ調製物もまた、CD371をトランスフェクトしたHEK293H細胞および野生型HEK293H細胞で、フローサイトメトリーによってスクリーニングした。
図1は、1B10、1C3、1D6、2A11、2E4および2E8抗体の結合プロファイルを示す。
(実施例2)
CD371を発現する細胞系への抗体結合
【0222】
予備的なin vitroでの機能性の特徴付けに基づいて、2つのmAb(1B10および1C3)をヒトIgG1に対してリフォーマットし、OCI細胞(CD371
+ AML細胞系)への結合について試験した。両方のmAbが、
図2Aおよび2Bに示されるように、用量依存的結合を実証した。B10を、両方の配向(V
H-V
LまたはV
L-V
H)の可変ドメインを有するscFv-Fc融合体を含むいくつかの形式(format)へとさらに操作した。これらのscFv-Fc融合構築物は、CD371
+細胞への特異的結合を示した(
図3を参照されたい)。同様に、細胞への結合を、V
L-V
H配向のB10 scFvに関して検出した。しかし、V
H-V
L配向のB10 scFvの結合は、フローサイトメトリーによって観察されず、より低い親和性が示唆され、よって二価の結合の必要性が示唆された。
(実施例3)
溶液中での組換えCD371への抗体結合
【0223】
抗Fc抗体によりIgGおよびFc融合体を捕捉し、分析物として可溶性CD371を使用することによる、バイオレイヤー干渉法によって決定したB10バリアントの親和性測定。scFvの親和性測定のために、ビオチン化CD371をストレプトアビジンで捕捉し、可溶性scFvを分析物として使用した。表8は、様々な抗体形式に関する解離定数(K
D)、結合速度定数(k
on)および解離速度定数(k
off)を示す。フローサイトメトリーの結果と一致して、完全IgGおよびscFv-Fc融合体は、おそらくそれらの二価相互作用に起因して、scFvよりも強く結合し(表8)、アビディティ効果をもたらした。V
H-V
L配向の1B10 scFvの弱い結合が観察されたが、いずれのカーブフィット法(curve fit method)によっても解離定数を算出することができなかった。
表8. 様々な形式の抗体B10の可溶性CD371への結合親和性
【表8】
本開示の主題の実施形態
【0224】
前述の記載から、変形および改変を、本開示の主題に対して、さまざまな使用法および条件についてそれを取り入れるために行ってもよいことが明らかである。そのような実施形態も、以下の特許請求の範囲内である。
【0225】
本明細書における変数の任意の定義における要素のリストの列挙は、任意の単一の要素またはリストされた要素の組合せ(または、下位組合せ)としてのその変数の定義を含む。本明細書における実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその部分との組合せで、その実施形態を含む。
【0226】
本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は、それぞれ独立した特許および刊行物が参照により組み込まれることが具体的および個々に示されたのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】