(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】音声検出装置における音放出の制限
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20221108BHJP
G10K 11/172 20060101ALI20221108BHJP
【FI】
G10K11/16 110
G10K11/172
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022516420
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2020075544
(87)【国際公開番号】W WO2021048404
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019213894.2
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522099423
【氏名又は名称】ムートゥム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】アンワリー プーヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハルトゥング マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ラニシュ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】リース ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アッツロト ハイコ
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061CC02
5D061CC04
5D061DD07
(57)【要約】
本発明は、話している人(100)の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置(10)であって、内側(11)及び外側(22);マイクロフォン(19)を有する音声検出領域(18)にして、その少なくとも一部が前記内側(11)に向いている又は前記内側(11)を形成する音声検出領域(18);及びサイレンサー装置(20)にして、その少なくとも一部が前記装置(10)の外側(22)に向いている又は前記外側(22)を形成するサイレンサー装置(20)、を有し、前記サイレンサー装置(20)は、前側(32)、後側(30)及びサイレンサー構造体(34)を有し、サイレンサー構造体の少なくとも一部が前記前側(32)と前記後側(30)の間に延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
話している人(100)の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置(10)であって、
-内側(11)及び外側(22);
-マイクロフォン(19)を有する音声検出領域であって、その少なくとも一部が前記内側(11)に向いている又は前記内側(11)を形成する音声検出領域(18);及び
-サイレンサー装置(20)であって、その少なくとも一部が前記装置(10)の外側(22)に向いている又は前記外側(22)を形成するサイレンサー装置(20)、を有し、
前記サイレンサー装置(20)は、前側(32)、後側(30)及びサイレンサー構造体(34)を有し、当該サイレンサー構造体の少なくとも一部が前記前側(32)と前記後側(30)の間に延在する、音声検出用の装置(10)。
【請求項2】
前記サイレンサー装置(20)は平坦な構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項3】
前記サイレンサー装置(20)は少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cmの長さ(D)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項4】
前記サイレンサー装置(20)が少なくとも部分的に前記人(100)の口(104)の前に位置決め可能である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項5】
前記サイレンサー装置(20)は、前記人(100)により生成された会話の音波を少なくとも部分的に所定の領域に集中するように構成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項6】
前記サイレンサー装置(20)は、平らでない表面を有する、前記人(100)に向かい合う領域を有する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項7】
前記サイレンサー装置(20)は、少なくとも部分的に繊維質の表面テクスチャーを有する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項8】
前記サイレンサー装置(20)はヘルムホルツ共鳴器を有する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項10】
前記サイレンサー装置(20)はアブソーバーウェッジ(210)を有する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項11】
前記サイレンサー装置(20)は角のある延伸を有する複数の溝を有する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項12】
前記サイレンサー装置(20)は少なくとも1つの振動音響領域を有する、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項13】
前記振動音響領域は複数の振動音響要素(202)を有し、前記振動音響要素(202)はそれぞれ、請求項6に従うヘルムホルツ共鳴器の領域に又は請求項8に従う溝の領域に位置決めされている、ことを特徴とする請求項10に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項14】
前記サイレンサー装置(20)は、前記サイレンサー構造体(34)に機械的に接続した少なくとも1つの材料層を有し、前記材料層の重量が前記サイレンサー構造体(34)の重量より大きい、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項15】
前記サイレンサー構造体(34)はメタマテリアルを有する、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項16】
前記サイレンサー装置(20)は、第1周波数範囲での音減衰のために設計された第1領域と、当該第1領域と重ならない又は少なくとも完全には重ならない第2周波数範囲での音減衰のために設計された少なくとも1つの更なる領域を有する、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項17】
前記音声検出領域(18)及び前記サイレンサー装置(20)が少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項18】
音響出力領域(16)をさらに有し、
少なくとも第1操作状態において、前記音声検出領域(18)は、長手軸(L)に沿って見て、前記音響出力領域(16)と前記サイレンサー装置(20)の少なくとも部分(28)の間に位置決めされる、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項19】
前記サイレンサー装置(20)は、前記音声検出領域(18)を有する前記装置(10)のハウジング(17)に対して移動可能であり、それにより第2操作状態において、前記サイレンサー装置(20)は前記長手軸(L)に沿って前記ハウジング(17)から前記第1操作状態におけるよりも少なめに突出するか、全く突出しない、ことを特徴とする請求項18に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の装置(10)用のサイレンサー装置(20)。
【請求項21】
話している人(100)の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置(10)であって、
-マイクロフォン(19)を有する音声検出領域(18);及び
-前記人(100)の口(104)の前に位置決め可能なサイレンサー装置(20)、を有し、
しかも、
-前記音声検出領域(18)は少なくとも部分的に前記サイレンサー装置(20)と前記口(104)の間に配置されており;及び/又は
-前記口(104)と前記音声検出領域(18)の間のスペース(50)が少なくとも部分的に前記サイレンサー装置(20)によって遮断されない、音声検出用の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音放出、特に音声検出(会話検出)のための装置における環境への音放出を制限するためのソリューションに関する。
【背景技術】
【0002】
音声検出用の装置が、携帯電話やヘッドセットなどの様々な通信において知られている。音声検出のために、装置の音声検出領域に位置決めされるマイクロフォンが使用される。
【0003】
特に、頭に、例えば支持ブラケット又はヘッドフォンに装着可能な音声検出用の装置が知られている。このような装置の例はヘッドセットである。マイクロフォンと、より具体的には音声検出領域は一般的に、支持構造、特に細長い支持アームによってユーザーの口の近くに、特に口の前に位置決めされる。ここで、支持アームは一般的に頭に近い領域、特に耳に近い領域からユーザーの顔に沿って(例えば彼/彼女の頬又は顎に沿って)彼/彼女の口まで延びる。支持アームの自由前端に、音声検出領域が形成され得る。
【0004】
特に移動無線装置などの通信装置の形態の、頭にのみ保持され得るがそこに必要不可欠でなく取り付け可能な装置もまた、本開示の意味における音声検出装置である。公知のように、このような装置もまた、ユーザーの音声情報(スピーチ情報)を記録し及び/又はそれを遠隔通信パートナーに伝送するために、マイクロフォンを有する音声検出領域を有する。
【0005】
このような装置が人によって音声検出のために使用されるとき、付近の他の人は迷惑だと感じるかもしれない。これは、例えば公共スペース(例えば、電車内、レストラン内又は公共の場所)における移動無線装置の使用に関連する。また、特に電話会話の範囲において秘密の理由のために、付近の人がその人の音声入力を聞こえることは望まれていない。しばしば、ユーザーはそのとき彼らの口の周りに及び/又は彼らの手で潜在的な携帯電話の周りに一種の防音構造を形成しようと試みるだろう。それは効果がなく、あまり心地よくない。
【0006】
同様に、事務室での音声検出装置の使用は他の同僚の邪魔になるかもしれない。例えば、コールセンターでは、非常に多数の従業員が互いに密に接近して時間を過ごし、特に、音声検出装置として上述したヘッドセットを使用することが知られている。ある従業員は他の従業員の電話会話によって気を散らされ得るし、又はこれらの電話会話は自身のヘッドセットによって検出され得、望まれない背景雑音として伝達され得る。ゆえに、従業員の近傍に遮音構造、例えば遮音壁の形態のものを配置することがしばしば試みられている。しかしながら、これらの措置は高価で、常に効果的ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】VDI 3405, VDI-Gesellschaft Produktion und Logistikにより公開、2014年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゆえに、本発明の目的は、特に環境への所望でない音放出に関して、音声検出装置の使用を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、添付の独立請求項の主題によって解決される。更なる有利な発展形態は従属請求項に特定される。別に述べない限り又は明らかでない限り、明細書の導入部で述べた特徴は、ここで開示するソリューションにおいても、個々に又は任意の組み合わせで提供されると理解されたい。
【0010】
一般に、環境への音放出を制限するように構成されたサイレンサー装置(消音装置)を提供することとなる。特に、マイクロフォンを用いた音声の検出が可能とされる。それゆえ、マイクロフォン又はマイクロフォンを有する音声検出領域は、特にユーザーの口に面する前側で、少なくとも部分的に露出され得る。しかしながら、環境に関して、マイクロフォンは、特にユーザーの口から離れる後側で、サイレンサー装置によって保護されてもよい。
【0011】
例えば、少なくとも、好ましい実施形態に従う音声検出装置が例えばヘッドセットなどの頭に又は頭で装着可能な装置であるとき、ユーザーの観点からすれば、マイクロフォンは、ユーザーの口とサイレンサー装置の間に位置決めされてもよい。
【0012】
しかしながら、少なくとも好ましい実施形態に従う音声検出装置が携帯電話などの通信装置であるとき、ユーザーの観点からすれば、マイクロフォン及び/又は音声検出領域は口の隣り、上及び/又は横に位置決めされることも可能である。その際、ユーザーの口はサイレンサー装置によって少なくとも部分的に覆われ又は保護されてもよい、というのも例えばサイレンサー装置はユーザーの口まで延在するからである。しかしながら、口と音声検出領域の間のスペースはサイレンサー装置によって開放されたままであってもよく、それによりユーザーの音声情報又は彼/彼女によって生成される音波が依然として、少なくとも一部分は、サイレンサー装置と相互作用せずに音声検出領域に到達できる。
【0013】
一般に、サイレンサー装置は、例えば手作業で及び好ましくは工具不要のアタッチメントにより既存の音声検出装置に組み込み可能であると考えてよい。この場合、サイレンサー装置を取り付けるために、取り付け、クリッピング又は一般的に非確動接続及び/又は確動接続(特に、ラッチ接続)の確立が好ましい。
【0014】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は(例えば後続のアタッチメントに続いて)音声検出装置の他の要素に対して、特に音声検出領域に対して変位可能であってもよい。これは、例えばサイレンサー装置を回転させることで、手動アライメントの可能性を含み得る。
【0015】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は、特に以下に説明する第1及び第2操作状態の範囲内で、音声検出領域及び/又はユーザーの口に対して異なる方法で配置可能であってもよい。この目的のために、サイレンサー装置は、例えば選択的に押し出され及び押し込まれることにより又は選択的に外に折られ又は中に折られることにより、異なる位置の間で前後に移動され得る。
【0016】
一般的に、サイレンサー装置は平坦な構造を有してもよく、特に仕切又はパネルとして形成されてもよい。
【0017】
特に、話している人の頭(すなわち、装置のユーザーの頭)に又はその近くに(例えば、支持ブラケットによって永続的に又は手で一時的に保持されることで)位置決め可能な音声検出用の装置(音声検出装置)が提案される。
当該装置は、
-内側及び外側;
-マイクロフォンを有する音声検出領域であって、その少なくとも一部が内側に向いている又はこれを形成する音声検出領域;及び
-サイレンサー装置であって、その少なくとも一部が前記装置の外側に向いている又はこれを形成する装置、を有する。
【0018】
好ましくは、サイレンサー装置は、前側、後側及びサイレンサー構造体(消音装置構造)を有し、その少なくとも一部が前側と後側の間に延在する。これは、サイレンサー構造体が、少なくとも部分的に、前側と後側の1つを形成する(すなわち、それと共に一体に形成されている)ことを排除しない。しかしながら、サイレンサー構造体の別なセクション(例えば、深さ寸法)がこの前側と後側の間に位置していることが考えられる。言い換えれば、サイレンサー構造体はこれにより、先ず部分的に、前側と後側の間で包囲され及び/又はその間の吸音層(消音層)を形成し得る。
【0019】
同様に、話している人の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置が開示される。当該装置は、
-マイクロフォンを有する音声検出領域;及び
-サイレンサー装置であって、その少なくとも一部が当該装置の外側に向いている又はこれを形成する装置、を有し、
-サイレンサー装置はユーザーの口の前に位置決め可能であり、すなわち
-前記音声検出領域は、前記サイレンサー装置と口の間に少なくとも部分的に配置されており(例えば、前記音声検出領域を口のすぐ前に位置決めする場合)、
-及び/又は、(例えば、前記音声検出領域を口の隣に、上に又は横に位置決めする場合)口と前記音声検出領域の間のスペースが少なくとも部分的に覆われず、又は言い換えれば前記サイレンサー装置によって遮断されない、これは例えば前記サイレンサー装置がこのスペースに延びないからである。以下で説明するように、当該スペースは細長くてもよく及び/又は前記サイレンサー装置と前記音声検出領域の間でユーザーの頬に沿って延び得る。
【0020】
これらの装置の両方とも、以下の全ての説明、特徴及び更なる発展形態と組み合わせ可能である。
【0021】
ここでの上、下、隣などに関して、直立に立っている又は座っている人、特に装置を使用しているときの彼/彼女の頭の姿勢(頭位)を参照されたい。一般に、ここで説明するどんな装置も人の頭に接触してもよく又は適切な使用のためにこのような接触を想定し得る。
【0022】
一般的に、装置の使用状態は、例えば、装置が自然な方法で(及び例えば最良の着け心地で)頭に位置決めされ及び/又は最高の可能な品質の音声検出(及び特に最高の可能な振幅を有する又は最高の可能な周波数範囲にわたる)が他の機能(例えば音響出力機能)が損なわれずに実現される、意図した使用状態に一致すると想定し得る。後者は、例えばユーザーの口と検出領域の間のスペースが維持される一方、それにもかかわらず同時に音響出力領域(スピーカー)がユーザーの耳の近くに位置決めされる場合である。
【0023】
内側は一般的にユーザーの口に向いており(面しており)及び/又は環境から離れてもよい(離反してもよい)。外側はユーザーの口から離れてもよく(離反してもよく)及び/又は環境に向いてもよい(面してもよい)。音声検出領域はユーザーの口から、それに隣接して又はそれと反対側に横に位置決め可能である。
【0024】
上述したように、変形例に従う音声検出領域はユーザーの口の前に位置決め可能なヘッドセットの一部であってもよい。特に、音声検出領域は支持構造の(又は支持アーム若しくは支持ブラケットの)自由端に位置決めされ得又はこの端部を形成し得る。
【0025】
それに代えて、特に音声検出装置が携帯電話などの通信装置であるとき、音声検出領域は装置のハウジングに収容され得る。その際、音声検出領域は好ましくは通信装置の及び/又はハウジングの底部(下側)に配置される。反対側の上部(上側)には、他方で、例えばスピーカーを有する、以下に説明する音響出力領域が位置決めされ得る。
【0026】
マイクロフォンに隣接して、音声検出領域は場合によっては、それぞれマイクロフォンの保護として機能する音響伝達性のカバー、ボディ、壁又は他の構造体を有してもよい。
【0027】
一般的に、音声検出領域は、それが話している人によって生成される音波をマイクロフォンに向かって通させるように(すなわち、それが一般的に音響伝達性であるように)設計され得る。他方で、音声検出領域は、例えば汚れや気流などの望ましくない環境の影響からマイクロフォンを保護し得る。特に、音声検出領域は少なくとも部分的にマイクロフォンを環境から遮断できるが、穿孔又は他の構造的特徴(例えば隙間・アパーチャー)のために音波を伝達(透過)させる。
【0028】
音波に対する伝達性は、潜在的な減衰又は音波への他の影響がマイクロフォンの検出結果に有意な影響を与えないとき又は所定の受け入れ可能な閾値より低いときに述べられる。十分な伝達性は特に、音声検出領域を介するマイクロフォンと環境の間の空気導通接続が(例えば穿孔又はそこに設けられたアパーチャーによって)可能になるときに仮定され得る。
【0029】
好ましくは、音声検出領域は装置の内側に露出され又はこの内側の覆いの無いセクションを形成する。しかしながら、この内側の反対側で、音声検出領域はサイレンサー装置によって少なくとも部分的に覆われ、それにより環境から遮断され及び/又はそれに重なり得る。これは音声検出領域と相互作用しない又はそれにより環境に吸収されない音波の通過を制限する。音声検出領域とサイレンサー装置のこの相対的装置は特に、ヘッドセットに又は一般的に頭に(又は頭によって)装着可能な音声検出装置に設けられ得る。
【0030】
しかしながら、特に音声検出領域が(例えば携帯電話の)ハウジングに配置されるとき、それは言わば、サイレンサー装置と少なくとも直接重ならず又はそれによって後側で遮断されない。ゆえに、特に、ハウジングの少なくとも一部はサイレンサー装置における音声検出領域の間に位置決めされ得、それでそれは音声検出領域に少なくとも直接重ならず及び/又はそれを後側で少なくとも直接覆わず又は遮断しない。特に、音声検出領域はこの場合ユーザーの口のすぐ前に位置決めされず、例えばその横に彼/彼女の頬の近くに位置決めされる。サイレンサー装置は(例えば上述したハウジングから出発して)ユーザーの口まで、また好ましくは少なくとも部分的に口の前に延び得る。これにより、ユーザーによって生成される音波が環境に逃げて弱まることが防止され得る。しかしながら、同時に、空間-そこを通って音波がサイレンサー装置との直接的な吸音相互作用なしに(例えば、サイレンサー装置に衝突せずに又はこの目的のためにそれを通過する必要なく)音声検出領域に達する-が、サイレンサー装置とハウジング及び/又は音声検出領域の間に残っている。
【0031】
サイレンサー装置及び好ましくはそのサイレンサー構造体が、特に、使用される材料の種類又は特有のサイレンサー構造体に起因する吸音効果をもたらす。それは材料自体の微視的構造に関連せず、材料によって形成される巨視的構造に関連する。例えば、サイレンサー構造体は、複数のアパーチャー、開口、溝(channel)、穿孔、壁、空洞などを有し得る。これらは別個に製造され、材料の固有の特性に起因しない。
【0032】
サイレンサー構造体は、生成又は添加製造方法(特に3次元印刷)によって製造され得る。添加製造方法の例は、以下のディレクティブ(非特許文献1)に見出される。
【0033】
サイレンサー装置及び特にサイレンサー構造体は、他の装置の材料に比べて増大した消音効果をもたらす。一般的に、数デシベルの消音(すなわち、環境に放出される会話音の減衰)及び/又は少なくとも30%だけ及び好ましくは少なくとも50%だけが減衰されない場合(すなわち、サイレンサー装置が無い場合)に比べて可能になるように構成され得る。上の数値は、ここで人の言語の予期される周波数スペクトルに関連すると理解され得る。
【0034】
別な実施形態によれば、サイレンサー装置は平坦な構造を有する。これは、サイレンサー装置が、表面を形成し又は定めるサイレンサー装置の少なくとも2つの他の寸法(次元)を明らかに欠落した厚さ寸法であって、これらの他の寸法の好ましくは多くても50%、好ましくは多くても10%がある厚さ寸法を有することを意味すると理解され得る。他の寸法は長さと幅寸法を有し得る。それらは互いに直交する方向に測定される。
【0035】
厚さはサイレンサー装置の表面と直交して(及び/又はその後側又は前側と直交して)延在する方向に測定され得る。一般に、厚さは前側と後側の間の距離に等しい。それはサイレンサー構造体の厚さによって少なくとも部分的に定められ得又はこの厚さに等しくてもよい。
【0036】
平坦なサイレンサー装置が湾曲しており、特にそれによりユーザーの口に面するサイレンサー装置の後側が凸状に湾曲している及び/又は口から離れている前側が凹形に湾曲している。上述した寸法はしたがって湾曲してもよく、対応的に湾曲した態様で前側及び後側に沿って延在してもよい。
【0037】
サイレンサー構造体は対応的に平坦であってもよく、寸法関係(特に厚さ寸法)又は潜在的な湾曲の観点から上述したオプションの特徴のいずれをも有する。
【0038】
サイレンサー装置の表面は、それが実質的にユーザーの顔、特に彼/彼女の口に沿って及び/又はそれと平行に延在するように指向され得る又は方向付け可能である。真っ直ぐな頭の姿勢で直立に立っている人の場合、サイレンサー装置はまた実質的に直立に立ち得る及び/又は垂直表面を定め得る。
【0039】
一般に、確実な音響遮蔽効果がサイレンサー装置の平坦な設計によって提供され得る。
【0040】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は扇状に(ファン状に)形成され得、互いに変位可能である多数の別個のファン要素(扇要素)を有し得る。特に、これらは湾曲した軸に沿って移動でき又は共通の回転軸周りに回転できる。個々のファン要素自体が湾曲してもよい。ゆえに、全部で、カップ状構造又はボウル状構造が、特に半カップ状構造が創出され得、その中にユーザーが話すことができる。
【0041】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置は少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cmの長さを有する。長さ寸法は、長手軸に沿う寸法及び/又は好ましくは平坦なサイレンサー装置の表面における寸法であってもよい。長さは水平に及び/又はユーザーの口に沿って左側から右側に延びてもよい(例えば、ヘッドセットの場合)。特に、長さは音声検出領域から出発して口の方向に延びてもよい(例えば、携帯電話の場合)。このような長さによって、特にユーザーの口の適切な遮断が多数の用途(アプリケーション)で可能であることが判明した。
【0042】
他方で、最大長さは30cm、又は好ましくは20cmを超えない。その際、特に効果的な調節が実現される一方、まだ十分に快適な操縦と、特にサイレンサー装置の潜在的な手動移動性が保証されることが判明した。
【0043】
前述したように、サイレンサー装置の少なくとも一部がユーザーの口の前に位置決め可能である。この目的のために、それは適切に寸法決めされ及び/又は適切に装置内で位置決めされ、適切に変位可能であり及び/又は適切に方向付け可能である。
【0044】
別な観点によれば、サイレンサー構造体は、前側及び後側の少なくとも1つのそれとは異なる構造及び/又は材料を有する。サイレンサー構造体は、別個の構造又は材料層として前側と後側の間に配置されてもよい。これはコンパクトな構造と、場合によっては前側及び後側によって環境の影響(特に、汚染)からのサイレンサー構造体の保護も可能になる。
【0045】
一般に、前側は音響伝達性であることが予期される。好ましくは、しかしながら、それは少なくとも部分的に、また特に好ましくは大部分は閉じられている、というのも例えばそれは対応的に小さい寸法の穿孔を有するからである。これにより、前側は簡単に掃除でき、特に消毒のために拭くことができ、又は一般にサイレンサー構造体を保護しながら液体に接触され得る。
【0046】
他方で、後側は好ましくは閉じている及び/又は平坦である。それは有孔であってもよいが(例えば発泡材料を有する)、特にユーザーの口に向かい合う中央領域においてではなく、好ましくは多数のアパーチャー、開口又は穿孔を有さない。これにより、サイレンサー構造体の広範囲の構造的支持がもたらされ、及び/又は消音効果が改善される。
【0047】
1つの実施形態によれば、サイレンサー装置は、人により生成された会話の音波を少なくとも部分的に所定の領域において集中するように構成される(例えば、対応的に形成される及び/又は湾曲される)。この変形例は特にヘッドセットに適している。
【0048】
集中は、サイレンサー装置が会話の音波を対応的に反射することによって、すなわちそれら音波がその領域に集中的に収束するように反射によってそれらを整列させる(調整する)ことで実現され得る。この目的のために、サイレンサー装置と特に人に面するその側面は、例えば、適切に形成され、角度を付けられ又は湾曲され得る。
一般に、サイレンサー装置はこの目的のために凹形に湾曲され得、ゆえに人の顔の輪郭に適合し得る。これに関連して、サイレンサー装置は口に対向して位置決め可能であり、さらに例えば人の頬の方向に延びることが好ましい。特に、サイレンサー装置は放物面鏡の様式で形成され得る。
【0049】
集中の領域に、音声検出領域が位置決めされ得る。言い換えれば、会話の音波はこのようにして集中によって音声検出領域に集中され得る。環境を会話音から確実に遮断することとは別に、音声検出領域のマイクロフォンによる会話音の改良された検出もそれにより達成される。
【0050】
場合によっては、マイクロフォンは補足のサイレンサー装置によってユーザーから遮断され得、それにより集中された又は反射された音波を主に検出し得る。これを図面を参照して以下で説明する。
【0051】
以下では、会話音の音響減衰を達成し得る、サイレンサー装置の様々な構造的特徴と特にサイレンサー構造体を記述する。これらはサイレンサー装置の形状とは独立し得又は独立して機能し得るが、もちろんここに記述するサイレンサー装置の形状変形例のいずれとも組み合わせることができる(例えば、放物面鏡の様式の上述の集中形状と)。構造的特徴は、特に、好ましくは一体のサイレンサー構造体内で、共通の材料層又は共通の要素に形成され得る。それら特徴は一般に人に向かい合ってもよいが、彼/彼女と離れる側に形成されてもよい。これは、サイレンサー装置から生じる固体伝播音の環境への伝播を減少させ得る。
【0052】
構造要素は、例えば3次元印刷又は射出成形によって製造できる。それら要素はミリメートル範囲又はマイクロメートル範囲の寸法を有し得る。好ましくは、構造要素の最大寸法はそれぞれ、5mmより大きくなく、又は例えば繊維又は髪の毛の場合20mmより大きくない。
【0053】
構造的特徴は、例えばシミュレーションや実験によって、定められた周波数範囲における音減衰のために設計され得る(例えば適切な寸法決め、アライメント(整列)又は位置決めによって)。これは、それら特徴が前記定められた(音)周波数範囲において望ましい音響最小減衰に達する又は超えることを意味すると理解できる。以下に説明するように、同じ又は異なる種類の構造的特徴が組み合わされてもよく(すなわち、サイレンサー装置内に一緒に提供されてもよく)、その際これら特徴は好ましくは様々な周波数範囲で会話音を減衰するように設計される。これにより、広帯域の音響減衰挙動が実現可能である。
【0054】
好ましい組み合わせは、アパーチャー及び/又は凹所と組み合わされる平らでない表面を含み、例えば後出のヘルムホルツ共鳴器や好ましくはそれらの伸長に沿って多数角度を付けられた溝を形成する。加えて、繊維質の又は毛髪形状の構造が表面に少なくとも部分的に設けられてもよい、すなわち表面は繊維質の又は毛の生えたテクスチャーを有してもよい。この組み合わせは広帯域の音減衰を実現するのに有利だと判明した。
【0055】
好ましい観点によれば、(例示の構造的特徴としての)サイレンサー装置は平らでない表面を有する領域を有する。好ましくは、この領域は人に向かい合う。当該領域は好ましくは、少なくとも50cm2、さらに好ましくは少なくとも100cm2の表面積を有する。それは、サイレンサー装置の湾曲と無関係に及び/又は加えて設けられ得る。凸凹(不規則性)はミリメートルレンジの高さ差異、すなわち例えば5mmまで又は1mmまでの高さ差異を有してもよい。
【0056】
一般に、凸凹は前記領域の表面の高さバリエーションによって及び/又は表面の変動する高さプロフィールによってもたらされ得る。これは、例えば様々な表面積及び高さを有する領域が表面を形成するために互いに隣接して位置決めされることによって実現され得る。例えば、これら領域の表面積及び/又は高さは確率的に分布され得る。
【0057】
平らでない領域はサイレンサー装置の前側であってもよい。特に、サイレンサー構造体は適切な(相応な)領域を有し得る又は形成し得る。凸凹は以下のバリエーションの少なくとも1つによって提供され得る;波形の表面、鋸歯状の又は皺のある表面(例えば、表面のジグザグ形状の高さプロフィール)、最小値より上の粗さを有していて特に(例えば5mm以下又は1mm以下の)許容できる長さ以上の領域又は線のない表面構造。
【0058】
平らでない表面を設けることにより、人から発生する会話の音波は拡散反射され得、ゆえに少なくとも部分的に音減衰的に互いに打ち消し得る。
【0059】
表面の凸凹はまた、それが多孔性であること又は繊維質の(又は繊維耐性の)又は毛の生えた表面を有することによっても実現できる。
【0060】
好ましい変形例によれば、サイレンサー装置及び特にそのサイレンサー構造体は(別な例示の構造的特徴としての)ヘルムホルツ共鳴器を有する。これらは、例えばサイレンサー装置又はサイレンサー構造体の人に向かい合う領域において凹所及び/又はアパーチャーとして形成され得る。公知の態様で、これら凹所及び/又はアパーチャーは、ヘルムホルツ共鳴器を形成するために、下流に位置する領域に比べて少ない断面寸法を有する入口領域を有し得る。言い換えれば、凹所及び/又はアパーチャーは、減少したボリューム又は断面を有する円柱状入口部分を介して環境に接続したボリュームをチャンバー状に画定する。
【0061】
別なオプションの構造的特徴として、サイレンサー装置は中空チャンバー部分、特に中空チャンバー状の薄膜又は層を有し得る。中空チャンバー部分は、希ガスで満たされてもよく及び/又はサイレンサー装置の内部で平坦に延在してもよい。それはサイレンサー装置の表面積の少なくとも50%に相当する表面積を有してもよい。これにより、サイレンサー装置を介する音伝達が減少され得る。
【0062】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置及び特にそのサイレンサー構造体は(別な例示の構造的特徴として)複数のアブソーバーウェッジ(吸収体楔)を有する。これらは上で説明した平らでない表面の特別なケースを構成し得る。アブソーバーウェッジは楔形の突起として形成され得る。好ましくは、多数のこのようなアブソーバーウェッジが互いに隣接して配置されており、特に互いに当接している(すなわち、楔のベース部とベース部の間に相当な距離がない)。特に、アブソーバーウェッジは互いに一体的に形成され又は接続され得る、すなわち例えば共通の材料層における突出部として形成され得る。アブソーバーウェッジ。ここで、楔は相互に異なって指向され得、特に(例えば、サイレンサー装置の共通の基本エリア又は基本平面と直交して延びる回転軸の周りに)相互に捩じられ得る。
【0063】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置は、(好ましくは複数の)角のある(角度のついた)延伸を有する複数の溝を有する。溝は空気誘導式に環境に接続したスペースとして形成され得る。それらはしかし、長さに比べて明らかに減少した断面寸法を有する細長い溝である必要は無い。角のある延伸によって、溝が迷路状又は螺旋状であること又は一般に複数の方向の変化を呈することになる。これにより、溝の長さが増大される一方、スペース要件が場合によっては減少され、それにより音の経路もまた音減衰式に伸ばされる。
【0064】
溝は少なくとも部分的に充填されなくてもよい。しかしながら、それら溝は少なくとも部分的に、例えば多孔性の絶縁材料及び/又は固化した泡状物質(solidified foam)で充填されてもよい。
【0065】
溝へのアクセスは切込み状の(スリット状の)開口を介して行われ得る。特に、細長い切込み状の開口領域が設けられ得、それらに沿って上述した種類の複数の溝が列を成して配置され及び/又はそれらに複数の対応する溝が合流する。
【0066】
別なオプションの構造的特徴として、サイレンサー装置及び特にサイレンサー構造体は少なくとも1つの振動音響領域を有し得る。これは、吸音効果を有する会話音によって振動を励起される領域であり得る。当該領域は複数の振動音響要素を有し得る。これらは例えば突出して人に向かい合う側に形成され得る。振動音響要素は、会話音によって振動に励起可能なばね質量系を形成し得る。
【0067】
更なる発展形態によれば、振動音響領域は複数の振動音響要素を有する。好ましくは、振動音響要素はそれぞれ、前述の観点に従うヘルムホルツ共鳴器の領域に又は前述の観点に従う溝の領域に(又は一般に開口又は凹みの領域に)位置決めされる。特に、振動音響要素はそれぞれ、ヘルムホルツ共鳴器又は溝に局所的に割り当てられ得る。ユーザーの視点から、例えば、振動音響要素の少なくとも一部がヘルムホルツ共鳴器又は溝の上に位置してもよく、すなわちそれに重なってもよい。好ましくは、振動音響要素及びヘルムホルツ共鳴器又は溝は様々な周波数範囲で音を減衰するように設計される。よって、振動音響要素は一種の音軽減用のプリフィルター構造として機能し得る一方、残りの音割合はヘルムホルツ共鳴器又は溝によって減衰され得る。
【0068】
更なる変形例によれば、サイレンサー装置は、サイレンサー構造体に機械的に接続した少なくとも1つの材料層を有し、材料層の重量はサイレンサー構造体の重量より大きい。これにより、会話音によって励起されるときの機械的振動が軽減され得、これは例えばサイレンサー装置によって場合により生じる固体伝播音の伝播を制限するのに有利である。
【0069】
更なる発展形態によれば、(別な例示の構造的特徴としての)サイレンサー構造体はメタマテリアルを有する又はそれから成る。メタマテリアルは、上述したタイプの添加製造方法、特に3次元印刷によって製造され得る。一般に、メタマテリアルは合成的に製造される材料であると理解でき、その特性及び特に構造は自然に(本来)存在しない。したがって、望ましい物理的特性を得るために狙いを定めて適応された合成構造が創出され得る。特に、メタマテリアルは、衝突する音波のために負の屈折率の特徴を有する。一般に、メタマテリアルの望ましい物理的(特に音響)特性は、主にその構造に起因し、その実際の材料(例えばプラスチック)にあまり起因しない。
【0070】
その構造は好ましくは規則的であり、構造によって必要とされるように相互に配置された自由空間、溝、開口、壁又は材料を充填された体積要素などの構造要素を有し得る。特に、メタマテリアルは、これらの反復パターン又は他の構造要素をも定め得る。構造要素の好ましくは規則的な反復がサイレンサー装置の表面領域に沿って又は内で生じ得るが、場合により厚さ方向又は奥行方向に生じてもよい。ここで、全ての構造要素は人の言語の予期される又は典型的な波長スペクトルにおける波長より小さく寸法決めされ得る。
【0071】
特に、メタマテリアルは上述した構造的特徴のいずれかを有し得る又は提供し得る。例えば、これらは3次元印刷によってプラスチックから製造でき、その結果生じる及び対応的に構成される部品がメタマテリアルを有する又は形成する。
【0072】
ここで、メタマテリアルの構造は以下のようであってもよい、つまりそこに入る音波の割合がそれによって放出される及び/又は反射される音波の割合を明らかに超えてもよい。特に音波はそれにより構造内で吸収され得、好ましくはそのためにそれら音波は所定の方法でメタマテリアルの内部を例えば数ミリメートルの距離にわたって案内され、導かれる。
【0073】
ここで、使用されるメタマテリアルの、音減衰の根本的な効果はしたがって、主にこの材料(又はその構造)の吸音能力に起因し、音波を音源(ユーザーの口)の方向に反射することによる干渉・障害の生成にあまり起因しない。メタマテリアルにおける吸音によって実現される音減衰(例えばデシベル減少)の割合はしたがって、干渉又は他の音波の重ね合わせによって実現される音減衰の割合より大きい。
【0074】
この目的のために、メタマテリアルは音響的に需要可能な及び/又は伝達可能な表面を有してもよく、当該表面は例えばサイレンサー装置の前側に向かい合い、それで音波がそこに入り得る。しかしながら、メタマテリアルの構造内での音波の上述した案内のために、これらはもはやメタマテリアルを出ず又は少ない割合のみ出る。
【0075】
音響減衰のためのメタマテリアルが知られている、しかしこれまでのところ調査関連においてのみである。特に本発明は、実際の使用の提案と、個別に形成され、配置され、場合によっては寸法決めされた音声検出装置用のサイレンサー装置へのメタマテリアルの導入とによって、本発明自体をメタマテリアルに関する既存の研究と区別する。
【0076】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置(及び特にサイレンサー構造体)は、第1周波数範囲での音減衰のために設計された第1領域と、当該第1領域と重ならない又は少なくとも完全には重ならない第2周波数範囲での音減衰のために設計された少なくとも1つの更なる領域を有する。これにより、複数の周波数範囲が音響的に減衰され得、ゆえに音減衰の帯域幅が改善され得る。
【0077】
前記領域は、ここに記載する任意の種類の同じ種類の構造的特徴を提供することでもたらされ得る、しかし前述した領域において例えば異なって寸法決めされ、配置され又は方向づけられ及び/又は互いにずれる振動音響挙動により特徴づけられてもよい。例えば、構造的特徴は第1領域において、第2領域における同じ種類の構造的特徴より大きくてもよい。
【0078】
加えて又はそれに代えて、ここに記載するいずれの種類の異なる種類の構造的特徴が設けられることが予期され、1つの種類の構造的特徴が第1領域において支配的であり(例えばそこにのみ設けられ)、別な種類の構造的特徴が他の領域において支配的である(例えばそこにのみ設けられる)。
【0079】
また、3より多い異なる構造的特徴が、例えば平らでない及び特に波形の表面及び開口並びに繊維状の領域の前述した組み合わせで組み合わされ得ると理解できる。その際、構造的特徴の各々は相互にずれた周波数範囲又は個々の周波数範囲での音減衰用に設計され得る。
【0080】
更なる実施形態では、音声検出領域及びサイレンサー構造体は少なくとも部分的に重なり得る。これは特に、音声検出領域の少なくとも一部が好ましくは後側でサイレンサー構造体によって環境から遮断される既に上で指摘した変形例に関する。
【0081】
更なる発展形態によれば、装置はさらに音響出力領域(例えばスピーカー)を有し、音声検出領域は、少なくとも第1操作状態において、長手軸に沿って見て、音響出力領域とサイレンサー装置の少なくとも部分(例えば、下側縁)の間に位置決めされる。
【0082】
例えばサイレンサー装置が以下に説明する方法で変位可能でなく、永続的に展開されている場合、この操作状態は装置のデフォルト状態であってもよい。その際、長手軸に沿う上述した特徴のずれる相対的装置を有する操作状態も提供され得ない。しかしながら、変化した相対的装置を有する及び特に変位可能なサイレンサー装置を備えた第2操作モードを有する後出の変形例が好ましい。
【0083】
長手軸に沿う適合した位置決めは、例えば音響出力領域をユーザーの耳に又はその近くに位置決めすることで実現され得る。音声検出領域は他方で、耳の下に又は一般に耳と口の間に(例えばユーザーの頬の近くに)位置決めされ得る。サイレンサー装置は他方で、口まで延びてもよく、また音放出を制限するためにそれを環境から遮断してもよい。
【0084】
長手軸に沿う音響出力領域と音声検出領域の間の距離は数センチメートルであってもよく、好ましくは少なくとも5cm、少なくとも10cmで又は少なくとも15cmであり得る。長手軸に沿うサイレンサー装置の最外端部と音声検出領域の間の距離も同様に、好ましくは少なくとも5cm、少なくとも10cmで又は少なくとも15cmであり得る。しかしながら、十分な操作性及び/又は収納性を保証するために、それは最大20cm又は最大30cmに制限され得る。上述した更なる発展形態は、携帯電話にとって又は一般に好ましくは手で保持される通信装置にとって特に有利である。しかしながら、例えばサイレンサー装置がそこで音声検出領域を越えて突出する又は張り出すとき、それはまたヘッドセットに使用できる。
【0085】
これに関連して、音声検出装置がハウジングを有することがさらに予期される。それは音声検出領域と好ましくは音響出力領域をも有し得る。ハウジングは一体(ワンピース)であるか、複数部品から成ってもよい。それは平坦な構造を有し得る。それは、周囲のフレーム状構造を有してもよく、その厚さはハウジングの厚さを定める又は主に決定する。それはまた表示装置、例えばタッチスクリーンを有する又は収容し得る。表示装置は、少なくとも部分的に、ハウジングの前側を形成し得る又はそこに含まれ得る。ゆえに、ハウジングの代わりに、携帯電話自体に話すことができる。
【0086】
前側と反対側に、ハウジングの又は携帯電話の後側が位置し得る。そこに、サイレンサー装置は収容され、案内され、ヒンジで取り付けられ得、又は他の方法では配置され、収容され、特に変位可能に固定され得る。特に、サイレンサー装置はハウジング/携帯電話に対してシフト可能であり、またこの目的のために、例えばハウジング/携帯電話の後側に対応的にシフト可能であるように配置され得る。
【0087】
特に、サイレンサー装置が音声検出領域を有する装置のハウジングに対して移動可能であり、それで第2操作状態において、サイレンサー装置がハウジングから長手軸に沿って第1操作モードにおけるよりも少し突出し、又は全く突出しないことが予期される。
【0088】
言い換えれば、サイレンサー装置及びハウジング/携帯電話は、第2操作モードにおいて、好ましくは僅かな重なり合い(例えば、80%より少ない重なり合い)が生じる第1操作モードにおけるよりもかなりの程度まで(特に完全に重なる)重なり得る。第1操作モードでは、サイレンサー装置の大部分がハウジングから自由に延び得、及び/又はハウジングにより覆われ得、ゆえに例えば少なくとも部分的に、ユーザーの口に向かい合って位置し得る。
【0089】
第2操作モードはまた、静止モードとも呼ばれる、又は一般にサイレンサー装置が収縮され、折り畳まれ及び/又は非アクティブなモードとも呼ばれる。第1操作モードでは、他方で、サイレンサー装置は展開され、伸ばされ及び/又はアクティブ(すなわち、消音している)である。第1操作モードから第2操作モードへの変更及びその逆は、サイレンサー装置を特に上述したハウジング及び/又は携帯電話に対して移動させることで実現され得る。
【0090】
変形例によれば、その際好ましくは平坦なサイレンサー装置が、例えば側方案内レールの間に配置されることで、ハウジング及び/又は携帯電話の後側にシフト可能に収容されている。案内レールは長手軸に沿って延び得る。ユーザーは好ましくはこれら案内レールにより案内されるサイレンサー装置を手動でシフトさせられ、しかも好ましくは長手軸に沿って、さらに好ましくは第1操作モードの相対的装置に届くようにシフトさせられる。
【0091】
しかしながら、サイレンサー装置を移動させるために、特に伸ばすために、アクチュエータ、特に電気モーターが設けられることも予期され得る。それはサイレンサー装置をアクティブ位置と非アクティブ(特に伸ばされた及び収縮した)位置の間で移動させることができる。
【0092】
側方案内レールがサイレンサー装置の両側に位置決めされ得る。案内レールは、サイレンサー装置がハウジング/携帯電話を取り囲むカバーとハウジング/携帯電話の後側の間に挿入されているように形成されてもよい。それにより、案内効果がこのカバーの内壁によって、また特に(上述した意味において側方案内レールとしても機能し得る)側方内側縁によってもたらされ得る。
【0093】
カバーは、アパーチャー、特に細長いアパーチャー及び/又は長手軸に沿って延びるアパーチャーを有し得る。これにより、ユーザーはサイレンサー装置に接触でき、手動でそれを移動させ又はそれを押し出すことができる。
【0094】
原則として、特に第2操作モードから第1操作モードに変更するとき(及び/又は逆もまた同様に)、例えば適切なストッパ手段又はストッパ輪郭(例えば上述したアパーチャーの内側縁)によって、サイレンサー装置の最大伸長長さ及び/又は最大移動経路は制限され得る。
【0095】
しかしながら、移動性及び一般に第2操作モードと第1操作モードの変更は、ハウジング/携帯電話に対するサイレンサー装置の前述したシフトに限定されない。その代わり、サイレンサー装置は例えば展開され又は外に旋回され得る。
【0096】
原則として、しかしながら、第2操作モードでは、サイレンサー装置のしまい込まれた状態がもたらされ得、その際それがハウジング/携帯電話(例えばその輪郭)によって大部分を、好ましくは完全に覆われ、及び/又はそこから顕著に突出しないことが好ましい。他方で、第1操作モードでは、サイレンサー装置のしまい込まれない又は伸ばされた状態がもたらされ得、それでそれはハウジング/携帯電話(例えばその輪郭)によって僅かに覆われ又は重なり及び/又はそこから明瞭に突出する(例えばその長さの半分より多く)。
【0097】
第2操作モードと第1操作モードの変更の際、複数の空間軸の周りの又は沿うサイレンサー装置とハウジング/携帯電話の相対運動が可能であることも予期され得る。例えば、サイレンサー装置はまず上述したようにハウジング/携帯電話に対してシフトできるが、その際音源のより近くに持って来られるように例えばユーザーの口の方向にそれに対して回転でき、屈曲でき及び/又は折り曲げ可能であってもよい。
【0098】
一般に、前述した操作モード間の変更のために好ましくは手動で移動可能なサイレンサー装置の観点は、必要に応じて音減衰を増加させるための簡単且つ確実な方法である。例えば、ユーザーは、思慮深さの理由のために彼/彼女に必要と思われるときに必要に応じてサイレンサー装置を移動させ、特に外側に押す(すなわち、それを彼/彼女の口の前に押す)必要があるだけである。
【0099】
本発明はまた、先行の観点の1つに従う装置用のサイレンサー装置に関する。特に(しかし必須ではない)、サイレンサー装置は、前側、後側、及びサイレンサー構造体であってその少なくとも一部が前側と後側の間に延びるサイレンサー構造体を有し得る。
【0100】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は、例えば装置の他の構成部品に及び特にヘッドセットや携帯電話に接続可能な接続部分を有し得る。接続部分は例えば非確動接続又は確動接続を確立する容器構造(レセプタクル構造)を有し得る。
【0101】
特に、接続部分はここに記載するヘッドセットの支持アームに取り付け可能である(好ましくは手作業で工具不要で)。同様に、接続部分は案内レール装置及び/又は装置のカバーと係合可能(噛み合い可能)である。
【0102】
原則として、本発明はまた、環境に対する及び特に人の頭に又は近くに位置決めされる音声検出装置での音放出を制限するためにここに記載するいずれの種類のサイレンサー装置の使用に関する。特に、本発明は、通信装置、携帯電話又はヘッドセット用のこのようなサイレンサー装置の使用に関する。
【0103】
以下では、添付の概略図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。それらの種類及び/又は機能に関して同一な特徴は、図面を通して及び特にここの実施形態を通して同じ参照番号で示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】第1実施形態に従う音声検出装置の正面図である。
【
図2】収縮されたサイレンサー装置を備えた第2操作モードにおける音声検出装置の背面図である。
【
図3】伸長されたサイレンサー装置を備えた第1操作モードにおける音声検出装置の背面図である。
【
図4】第1実施形態に従うサイレンサー装置の部分断面図である。
【
図5】第1操作モードにおける先行の図面に従う音声検出装置の使用を示す図である。
【
図6】第2実施形態に従う音声検出装置の眺めを示す図である。
【
図7】第2実施形態に従う音声検出装置の眺めを示す図である。
【
図7A】
図7と同様の図において更なる実施形態を示す図である。
【
図8A】伸長した後にサイレンサー装置の向きが変更可能である第1実施形態のオプションの更なる実施形態を示す図である。
【
図8B】伸長した後にサイレンサー装置の向きが変更可能である第1実施形態のオプションの更なる実施形態を示す図である。
【
図9】第3実施形態に従う音声検出装置を示す図である。
【
図10A】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10B】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10C】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10D】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10E】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0105】
図1では、本発明の第1実施形態に従う音声検出装置10が示されている。この場合、音声検出装置10は、ハウジング17を有する携帯電話の形態で、より具体的にはしかしながら以下に説明するサイレンサー装置20を有する一般的なスマートフォンとして具体化されている。
【0106】
図1では、拡張表示装置12(例えば、タッチスクリーン)を有する音声検出装置10の内側11(すなわち、携帯電話の前側)が示されている。内側11は、以下に説明する
図5にみられるように、使用時にユーザーに面し、普通は彼/彼女の頬及び/又は耳に当接する。
【0107】
さらに示されているのは、前面カメラ13である。破線で示されているのは、カバー14の伸長(及び、より具体的には、以下に記載するそのアパーチャーの輪郭)であり、そこに携帯電話が挿入される。カバー14は、図示の前側にカメラ13及び表示装置12を露出したままにする大面積アパーチャーを有する。カバー14は、以下に説明する上部及び/又は底部の領域で開けられていてもよく、それで携帯電話が挿入され得る。長手軸Lに沿う長めの側方縁には、カバー14は好ましくは大部分を又は完全に閉じられている。
【0108】
ハウジング17の上部では、携帯電話は、スピーカー(不図示)を有する音響出力領域16を有する。ハウジング17の反対側の底部では、携帯電話は、音声検出用のマイクロフォン19(詳細に図示せず)を有する音声検出領域18を有する。これらの領域16,18では、カバー14はそれぞれ穿孔され得る。
【0109】
さらに、音声検出装置10の長手軸Lが備えられている。それは、図示の場合、音声検出装置10の又はハウジング17の最も長いサイド又は縁に沿って延び、又は一般的に表現して、音声検出装置10の最も長い寸法に沿って延びる(それは必須ではないが好ましい)。したがって、それは上部と底部を接続し、図示のケースでは、音響出力領域16と音声検出領域18をも接続する。使用時には、それは対応的に使用者の耳から口の方向に延びる。
【0110】
図2では、音声検出装置10の外側22(すなわち、携帯電話の後側)が示されている。以下の
図5で分かるように、それは使用時にユーザーから離れて又は環境に向かって指向する。カバー14はこの場合大部分が閉じており、内側11に比べて小さめの寸法を有する細長いアパーチャー24を有する。アパーチャー24は長手軸Lに沿って延びる。明瞭に小さめの寸法を有する更なるオプションのアパーチャー26が、背面カメラ13及び光源15のために設けられている。
【0111】
アパーチャー24の中に接触面26が突出している。それはサイレンサー装置20の後側に取り付けられている。接触面26は例えば指に接触でき、よってアパーチャー24に沿って移動できる。その際、同程度まで、サイレンサー装置20はカバー14から
図3に示す位置に押し出される。
【0112】
より具体的には、サイレンサー装置20が吸音効果を有しない不活性操作モード(ここでは第2操作モードとも呼ぶ)が
図2に示されている。
図3では、他方で、サイレンサー装置20が音減衰のために使用できる活性操作モード(ここでは第1操作モードとも呼ぶ)が示されている。これに関連して、
図3において、サイレンサー装置20が音声検出装置10の底部を越えて又は一般に長手軸Lに沿ってハウジング17を越えて、よってそこに位置決めされた音声検出領域18(
図1参照)を越えて突出することが分かる。したがって、サイレンサー装置20が突出する長さDは、例えば少なくとも10cm又は少なくとも15cmであり得る。
図5に基づいて以下に説明するように、サイレンサー装置20はこのようにしてユーザーの口の前に位置決めされ得る。
【0113】
幅Bは例えば少なくとも5cm又は少なくとも10cmであり得る。幅Bと長さDは互いに直交して延び、サイレンサー装置20の表面領域を定める。
【0114】
要約すると、ユーザーはこうして、接触面26を長手軸Lに沿って移動させることでサイレンサー装置20をカバー14内に及び外に押すことができる。カバー14及び特にサイレンサー装置20に接触するその内側面(特に内側側方縁)は、その際、長手軸Lに沿う移動を案内する案内構造又は案内レールをも形成する。接触面26はアパーチャー24を越えて移動できないので、アパーチャー24の下側縁が伸長長さを制限する。
【0115】
図1及び3の大要から分かるように、音声検出領域18は、長手軸Lに沿って見たとき、
図3に従う活性操作モードにおいて音響出力領域16とサイレンサー装置20の端部(例えば、
図3に示されるその最外の又は最下の下側縁28)の間に位置している。したがって、言い換えれば、サイレンサー装置20は音声検出領域18を越えて、より具体的には、長手軸Lに沿ってハウジング17を越えて突出する。
【0116】
留意すべきであるが、音声検出領域18とサイレンサー装置20は、図示の場合、直接重ならない、又は言い換えれば音声検出領域18はサイレンサー装置20によって直接遮断されない及び/又は覆われない、というのも携帯電話10のハウジング17がこれらの特徴の間に位置しているからである。
【0117】
対応的に移動可能なサイレンサー装置20はカバー14とは独立して(無関係に)備えられてもよいと理解されたい。その際、それは例えば携帯電話10の後側に移動可能に支持され得る。
【0118】
図4では、サイレンサー装置20の例示の領域の断面図が示されている。ここで、断面の面は長手軸Lと垂直である。示されているものは、サイレンサー装置20が後側30及び前側32を有することである。
図3において、後側30は見ている人に向かい合い、音声検出装置10の外側22に沿って対応的に延びる又はこの外側22のセクションを形成する。
【0119】
他方で、前側32は見る人から離れた方を向き、
図3においてユーザーに向かい合う。特に、それは、
図5に基づいて以下に説明するようにユーザーの口の前に配置できる。
【0120】
前側32及び後側30は同じ種類の又は異なる種類の材料から形成され得る。好ましくは、前側32は音響的に伝達性である。それに代えて、それはここに開示するいずれの吸音構造的特徴を有し得る。後側30のために、音響伝達性は必ずしも必要でない。それに代えて、それは実質的に音響的に非伝達性であってもよく及び/又は一般に閉じられてもよく、場合によっては吸音効果をもたらす。前側32は例えば穿孔されてもよい。しかしながら、それは滑らかであり、したがって消毒を可能にするために容易に拭くことができる。
【0121】
前側32及び後側30はそれらの間にサイレンサー構造体34を包囲している。サイレンサー構造体34はまた、前側32及び/又は後側30を形成し又はそれらと一体的に形成され得る。サイレンサー構造体34は好ましくは規則的なパターンのスペースと材料部分(例えば、壁)を有し、音波を受容して、それら音波を音響減衰的にその構造内で案内し、特にそれらを吸収することができる。特に好ましくは、サイレンサー構造体34はメタマテリアル及び/又はここに開示する構造的特徴のいずれをも有し又はそれ(それら)から成る。
【0122】
好ましい変形例では、前側32(特にサイレンサー構造体34と一体的に形成されるとき)は、ここに開示する種類の平らでない表面、例えば波形の又は鋸歯状の表面(又は対応的に波形の又は鋸歯状の高さプロフィールを有する表面)を含む。加えて又はそれに代えて、表面は繊維質のテクスチャー(生地・質感)を有してもよく、すなわち例えば多数の突出した繊維質の材料部分を有してもよく、それらは例えばある種の繊維パッド(繊維クッション)を形成する。奥行寸法Tに沿って眺めて、前側32の下に及び/又はそこに合流して、更なる構造的特徴が特にサイレンサー構造体34内に設けられ得る。これらは好ましくはヘルムホルツ共鳴器、溝(チャンネル)又は一般的な開口である。
【0123】
上で説明した構造的特徴の組み合わせはサイレンサー装置20の場合により起こり得るサンドウィッチ状設計とは独立にもたらされると理解され得る。
【0124】
一般に、サイレンサー装置20は平坦な構造を有し、それにより
図4に従って示される厚さTが例えば
図3に従う長さDより明瞭に小さい(例えば、その20%より小さい又は10%より小さい)。
【0125】
図5において、音声検出装置10は
図3に従う第2操作モードで、すなわちユーザー100によって使用された状態で示されている。ここで、大きさの比率及び特にサイレンサー装置20の長さDは、
図3における絵とずれているかもしれない。図示されていないのは、ユーザー100の手であり、その中に彼/彼女が音声検出装置10を保持している。
【0126】
図5における見る人から離れた側の内側11はユーザー100に向き合っており、覆われた音響出力領域16がユーザー100の耳102に載るように位置決めされていることが分かる。同様に隠された音声検出領域18は、他方で、頬の領域に、したがってユーザー100の口104の横であって僅かにその上に位置している。
【0127】
口104はまた、すなわちサイレンサー装置20によって覆われている。それは長手軸Lに沿ってハウジング17の底部から延び、音声検出領域18を越えて口104まで突き出ている。ここで、前側32はユーザー100に向かい合っており、それにより彼/彼女によって生成される音波(すなわち、会話音)がサイレンサー装置20とその中でサイレンサー構造体34に衝突する。
【0128】
平坦なサイレンサー装置20は絶対に長手軸Lと平行に延びる必要はない。その代わりに、それはそこから屈曲したり、携帯電話の後側を含む空間平面に対してユーザー100の方向に傾斜したりしてもよい。この目的のために、それは携帯電話10及び特にカバー14に回動可能に接続し得る。サイレンサー装置20が適切に変形可能なセクションを有すること、例えば固体ジョイント、折り曲げ可能な領域又はヒンジ機構であり得る回転継手を有することも可能である。
【0129】
まとめると、
図1~5は、外側22が特にユーザー100の口104の領域において、少なくとも部分的にサイレンサー装置20によって形成されることを示す。内側11は他方で、音声検出領域18を有する。それはそこで覆われておらず、特に音声検出領域18から離れて位置した内側11の領域をせいぜい形成するサイレンサー装置20によって覆われない。
【0130】
やはり、ユーザー100の口104と音声検出領域18の間のスペース50がサイレンサー装置20によって自由なままとなり、それでユーザー100の会話音の少なくとも一部がサイレンサー装置20によって減衰されないこのスペース50を介して音声検出領域18に到達し得る。他方で、会話音は環境にランダムに放出され得るが、(特にユーザー100の視野から前方にある領域における)サイレンサー装置20に先に到達する。スペース50の位置及び伸長はさらに、以下で
図7に基づく類似のスペース50の議論から明らかになる。
【0131】
図6では、別な実施形態に従う音声検出装置10が示されている。音声検出装置10はヘッドセットとして形成されており、以下で説明するサイレンサー装置20を有する。
【0132】
それ自体公知の方法でユーザー100の頭に位置決めされ得るヘッドセット40が示されている。ここで場合によっては、ヘッドセットはまた、ユーザー100の耳102に直接当接するスピーカーの形態の音響出力領域16を有する。したがって、それはヘッドフォン機能を有する又は複数のヘッドフォンを有するヘッドセットであってもよい。
【0133】
ヘッドセット40から、細長い支持ブラケット又は支持アーム42が延びている。それは耳102の領域から又は音響出力領域16からユーザー100の再び隠れた口104の方向に延びている。支持アーム42に取り付けられているのは、やはりサイレンサー装置20であり、それも接続部分44によって取り付けられている。それはその後支持アーム42に取り付け可能であるように構成されている。例えば、接続部分44は、弾性変形により支持アーム42に押し込まれ得る開いたリングを有し得る。
【0134】
図7では、
図6の描写の極めて単純化された平面図が示されている。再び、ヘッドセット40及び両側に(すなわち、耳102の両側に)位置決めされた音響出力領域16が見える。さらに、口104の方向に延びる支持アーム42が見える。その自由端で、それはマイクロフォン(別個に図示せず)を有する音声検出領域18を有する。さらに、接続部分44及びやはり平坦な設計を有するサイレンサー構造体20が見える。接続部分44から出発して、それは口104まで延び、それにより音声検出領域18は口104とサイレンサー装置20の間に位置決めされている。ゆえに、サイレンサー装置20によって覆われない、音声検出領域18と口104の間のスペース50がある。
【0135】
第1実施形態に戻って、
図7と同様の平面図において、音声検出領域18は接続部分44の領域に位置決めされ得る。したがって、スペース50は、サイレンサー構造体20と口104の間の狭くて細長いスペースとして定められてもよく、それは例えば口104から出発して、支持アーム部分に沿って
図7の音声検出領域18と接続部分44の間に延びてもよい。
【0136】
再び
図6及び7に従う第2実施形態に戻って、サイレンサー装置20はしたがって、少なくとも部分的に、特に口104の前の領域に、装置10の外側22を形成する。音声検出領域18は他方で、特に口104の前に、装置10の内側11の部分を形成する。ゆえに、例えば、真っ直ぐに見たとき人100の視軸に対応する(及び/又はサイレンサー装置20と垂直な)軸に沿って(及び/又は平行に)見ると、それは口104又は人100とサイレンサー装置20の間に位置決めされる。
【0137】
やはり、サイレンサー装置20は
図4の変形例と同様に設計されており、ゆえに、特に口104の前の領域に延びるサイレンサー構造体34の形態の閉じられたサンドウィッチ状の材料層を有する。再び、サイレンサー装置20は一般に平坦な形状で、しかしながら、湾曲した表面として、特に外側11で凹状に湾曲した表面として設計されている。
【0138】
サイレンサー装置20がここで開示されるマイクロフォン18の領域での会話音の集中(収束)を可能とするように、湾曲は選択され得る。この目的のために、湾曲は
図7におけるよりもより明らかであってもよく、サイレンサー装置20は一般に大きめの表面積を有して形成されてもよい。
【0139】
対応する例が
図7と同様の描写で
図7Aに示されている。支持アーム42に再び取り付けられた、対応的により明瞭に湾曲したサイレンサー構造体20が示されている。ユーザー100の口104から生じて、好ましくは見る人に面するサイレンサー装置20の内側で複数回反射した音波が矢印の形状で示されている。音波がマイクロフォン18の領域に収束するように、すなわちそれら音波がそこに集中されるように、これが生じることが分かる。
【0140】
オプションの更なる特徴として、補足のサイレンサー装置21が口104とマイクロフォン18の間に示されている。それは原則として、ここに記載するサイレンサー装置20のバリエーションのいずれかに従って形成され得、特に対応するサイレンサー構造体34を有し得る。一例として、補足のサイレンサー装置21はやはり平坦な構造を有し、湾曲している。これは、マイクロフォン18との対向面が凹状に湾曲するように実現される。対応的に、それは凸状の湾曲によって口104まで延びてもよいが、それは純粋にオプションである。
【0141】
補足のサイレンサー装置21は、収束した音が大部分はマイクロフォン18を介して環境に再放出されることを防止し得る。マイクロフォン18の視野から、口104は補足のサイレンサー装置21によって遮断されているが、集中のために充分な音波がマイクロフォン18に到達できる。
【0142】
サイレンサー装置20及び音声検出領域18は特に口104の領域で重なる。サイレンサー装置20と音声検出領域18の間に他の構成部品がない、特に潜在的な携帯電話などのハウジング部分がないので、この重なりは「直接」と称され得る。ゆえに、言い換えれば、音声検出領域18はサイレンサー装置20によって環境に対して広範囲に遮断されている。したがって、音声検出領域18によって吸収されない会話音はサイレンサー装置20によって減衰され得、より具体的には吸収され得る。
【0143】
図8A-Bでは、第1実施形態に基づく更なる発展形態が示されている。ここでは、音声検出装置10の平面図が示されており、視野の線が
図5における矢印Zに対応する。
図8Bでは、やはりユーザー100の口104の位置が概略的に示されている。上で議論した口104と音声検出装置18の間のスペース50も示されている。
【0144】
図8Aでは、サイレンサー装置20は既に延ばされ、アクティブ位置に(すなわち第1操作モードに)位置している。この場合、サイレンサー装置20は平坦であり、特にハウジング17の後側と平行に延びる。
【0145】
矢印Pで示されるように、ユーザーは力を、特に押圧力をサイレンサー装置20に加えられる。結局、サイレンサー装置20は
図8Bの湾曲した伸長になる。特に、サイレンサー装置20はその際(例えばその前側32で)凹状の湾曲になり、それによりそれは言わばユーザー100の口104の周りに曲がる。サイレンサー装置20が環境に対して口104をより効果的に遮断するので、これは音軽減効果を増大させる。
【0146】
それに代えて、特にヒンジや固いジョイントがそこに設けられるとき、矢印Pの領域での鋭利な屈曲もまた可能である。そのとき、サイレンサー装置20は少なくとも部分的に口104の方向に折り畳まれ得る。
【0147】
会話が終了すると、ユーザーは、その下端28に押圧力を加えることでサイレンサー装置20をその平坦な状態に戻し、次にそれを
図2に従ってカバー14に押し込むことができる。
【0148】
このようにして、
図8Bに従う第3操作モードがもたらされ、そこではサイレンサー装置20が特に効果的な音減衰のために適切に湾曲される(又は場合により曲げられる)。しかしながら同時に、サイレンサー装置20は平坦な状態に戻ることができるので、収納性も保証される。
【0149】
平坦な状態と湾曲した状態の間の交替・変化は、例えば、押圧力Pをサイレンサー装置32の前側の僅かに凸状の湾曲領域に又は一般にそこに例えば設けられた突出した折り目に加えることで実現され得る。ゆえに、押圧力Pによって、この領域が弾性変形されることになり、逆の湾曲又は座屈(例えば、凹状の湾曲又は後側30に突出した折り目)をもたらす又は形成する。この目的のために、サイレンサー装置20は対応的に弾性変形可能な、及び好ましくは金属材料を有してもよい。
【0150】
前述したように、変形例では、固いジョイント又はヒンジが矢印Pの領域に設置され得、それで下端28を有するサブセクションが口18の方向に曲げられ得る又は旋回され得る。
【0151】
最後に、第3実施形態が
図9に示されている。それは好ましくは携帯電話などの通信装置に適しており、そのハウジング17が再び示されている。この場合、ハウジング17の後側が見える。(例えば再び部分内での又はそこに延びるカバーの一部分での)ハウジングの(
図9において見る人から離れる)側方縁に、サイレンサー装置20は配置され又はそこに固定され、ゆえに(例えばカバーを介して)少なくとも間接的にハウジング17に接続している。
【0152】
収縮した状態では(不図示)、サイレンサー装置20は、(
図9における見る人から離れる側の)側方縁の領域に位置決めされ得、例えばハウジング17の前側を横断して延び得る。
【0153】
図示した伸びた状態では、サイレンサー装置20は一種の湾曲したボウル形状の構造を形成する。より具体的には、サイレンサー装置20は扇状に(ファン状に)構成されており、複数のファン要素(扇要素)110を有する。これらは共通の回転ジョイント112にそれぞれ接続しており、共通の回転軸Rの周りにそれぞれ回転可能である。それらは、例えばハウジング17の側方縁から出発して湾曲した運動軸Wに沿って回転軸Xの周りに回転可能である。しかしながら、その工程において、それらは好ましくはそれぞれの直接隣接するファン要素110と接触したままである。これにより、好ましくは閉じた構造が生じる。
【0154】
ファン要素110は、
図9において異なる、一般に左から右に増加する運動量で運動軸Wに沿って側方縁17から離れて移動できる。
【0155】
ゆえに、ファン要素110は凹状に湾曲した前側32によってユーザーの口104を取り囲み、従って特に効果的に会話音を捕え、吸収することができる。さらに、このバリエーションによっても、ここに開示する収束効果が実現され得、ファン要素110は放物線状に反射及び集中することができる。
【0156】
回転ジョイント112には、運動軸Wに沿ってファン要素110を移動させるように設計されたアクチュエーター(電気モーター)が設けられてもよい。好ましくは、それはそれらファン要素を示された位置に反対方向に移動させ、サイレンサー装置20を非アクティブな状態に戻す。
【0157】
音声検出領域18(不図示)は再び、この音声検出装置10の内側11の部分(セクション)を形成する。サイレンサー装置20の凸状に湾曲した後側30が、少なくとも部分的に、装置10の外側22を形成する。
【0158】
以下では、サイレンサー装置20の例示の表面設計と、特にその可能なサイレンサー構造体34と、サイレンサー装置20の別なデザインを
図10A-10Eに基づいて説明する。特に、会話音の吸収のために利用できる構造要素を説明する。これらはそれぞれ複数の部分(セクション)の図、すなわち単に、明らかに大きめの表面積の部分図又は断面図である。場合により生じ得るこの表面の湾曲は図示されていないが、やはり設けられ得る。
【0159】
図10Aでは、サイレンサー装置20の一部が示されており、ユーザー100に向かい合う内側11が見える。サイレンサー装置20は、単に例示的に、規則的な格子で配置され互いに空間的に割り当てられた複数の構造要素202,204の複数の群200を有するサイレンサー構造体34を有する。全ての群200(全部で6)と構造要素202,204がそれら自体の参照番号によって指定されていない。
【0160】
各群200は、第1構造要素としての振動音響要素202と、第2構造要素の少なくとも一部としての開口204を有する。それは好ましくはヘルムホルツ共鳴器の又は迷路状溝(チャンネル)の一部であり、サイレンサー装置20内のその伸長が破線で示されており、実際の第2構造要素を形成する。
【0161】
単に一例として、サイレンサー構造体34は2つの層で形成されており、それで第2構造要素204の製造が簡易化され、例えば第1構造要素202の製造とは独立してその実施が可能となる。
【0162】
第1構造要素202及び第2構造要素204は重なり合って位置している。それらは好ましくは様々な周波数範囲で音減衰を実施するよう構成されている。これは、吸音効果が主に関連する周波数範囲に割り当てられ得ること(例えば、そこで最大値に達すること又はそれが持続的に最小減衰より上にあること)、及び構造要素202,204の2つの周波数範囲が互いに異なることを意味すると理解できる。
【0163】
図10Bでは、
図4と同様な、しかしながら、回転した向きで(
図4と比べて回転した深さ寸法Tを有する)サイレンサー装置20の断面図が示されている。サイレンサー構造体34は連続する複数の異なる材料層として形成されている。その前側32及び後側30に、それは材料膜又は材料層203をそれぞれ有し、材料膜又は材料層203は上のサイレンサー構造体34のいずれかと同様に形成されており及び/又は多孔材料層であってもよい。その間に、音伝達を減少させ得る中空チャンバー部分206が位置決めされている。中空チャンバー部分206は希ガスや気体混合物(例えば空気)で満たされてもよい。個々の層203,206の厚さa,b,cは、音減衰の望ましい(主な)周波数範囲に依存して選択され得る。
【0164】
図10C-10Eでは、サイレンサー装置20の及び特にそのサイレンサー構造体34の及び/又は前側32の表面の高さプロフィールが示されている。これらは、音減衰のための構造的特徴としての凸凹な表面の例である。ここで、矢印はこれらの表面による衝突する会話音の乱反射を示す。これは音軽減の消失をもたらし得る。
【0165】
図10Cでは、アブソーバーウェッジ(吸収体楔)210が構造要素として示されている。アブソーバーウェッジ210は相互に捩じられ(回転され)、紙面に傾斜した長方形のアブソーバーウェッジ210の側面が見える。個々のアブソーバーウェッジ210の寸法a,bは広帯域の音減衰を実現するために変更可能である。
【0166】
図10Dでは、不規則な高さプロフィールと、特に巨視的な表面粗さが構造要素として示されている。この場合、特に、滑らかな表面部分が設けられていない、又は少なくとも、対応する滑らかな表面部分が例えばそれらの長さ及び/又は大きさに関して許容される最大値より小さいとみなされる。
【0167】
図10Eでは、異なって突き出た連続する表面部分212が構造要素として示されている。単に例示的に、これらは柱状に図示されており、互いに一体化して接続されてもよい。この場合でも、寸法、特に環境に面するこれらの個々の表面部分212の外側表面は変更可能である。
【符号の説明】
【0168】
10 音声検出用の装置
11 内側
18 音声検出領域
19 マイクロフォン
20 サイレンサー装置
22 外側
30 後側
32 前側
34 サイレンサー構造体
100 話している人
【手続補正書】
【提出日】2021-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音放出、特に音声検出(会話検出)のための装置における環境への音放出を制限するためのソリューションに関する。
【背景技術】
【0002】
音声検出用の装置が、携帯電話やヘッドセットなどの様々な通信において知られている。音声検出のために、装置の音声検出領域に位置決めされるマイクロフォンが使用される。
【0003】
特に、頭に、例えば支持ブラケット又はヘッドフォンに装着可能な音声検出用の装置が知られている。このような装置の例はヘッドセットである。マイクロフォンと、より具体的には音声検出領域は一般的に、支持構造、特に細長い支持アームによってユーザーの口の近くに、特に口の前に位置決めされる。ここで、支持アームは一般的に頭に近い領域、特に耳に近い領域からユーザーの顔に沿って(例えば彼/彼女の頬又は顎に沿って)彼/彼女の口まで延びる。支持アームの自由前端に、音声検出領域が形成され得る。
【0004】
特に移動無線装置などの通信装置の形態の、頭にのみ保持され得るがそこに必要不可欠でなく取り付け可能な装置もまた、本開示の意味における音声検出装置である。公知のように、このような装置もまた、ユーザーの音声情報(スピーチ情報)を記録し及び/又はそれを遠隔通信パートナーに伝送するために、マイクロフォンを有する音声検出領域を有する。
【0005】
このような装置が人によって音声検出のために使用されるとき、付近の他の人は迷惑だと感じるかもしれない。これは、例えば公共スペース(例えば、電車内、レストラン内又は公共の場所)における移動無線装置の使用に関連する。また、特に電話会話の範囲において秘密の理由のために、付近の人がその人の音声入力を聞こえることは望まれていない。しばしば、ユーザーはそのとき彼らの口の周りに及び/又は彼らの手で潜在的な携帯電話の周りに一種の防音構造を形成しようと試みるだろう。それは効果がなく、あまり心地よくない。
【0006】
同様に、事務室での音声検出装置の使用は他の同僚の邪魔になるかもしれない。例えば、コールセンターでは、非常に多数の従業員が互いに密に接近して時間を過ごし、特に、音声検出装置として上述したヘッドセットを使用することが知られている。ある従業員は他の従業員の電話会話によって気を散らされ得るし、又はこれらの電話会話は自身のヘッドセットによって検出され得、望まれない背景雑音として伝達され得る。ゆえに、従業員の近傍に遮音構造、例えば遮音壁の形態のものを配置することがしばしば試みられている。しかしながら、これらの措置は高価で、常に効果的ではない。
【0007】
特許文献1は、話している人の唇ブロックのための装置及び方法を開示している。
【0008】
特許文献2は、吸音素材を備えた視覚バリアを開示している。
【0009】
特許文献3は、通信のプライバシーを維持する装置を開示しており、音が装置の使用中は捕捉され及び/又は吸収され得る。
【0010】
特許文献4は音響焦点装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US2021095768A1
【特許文献2】US2019253886A1
【特許文献3】US9614945B1
【特許文献4】US2013100233A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】VDI 3405, VDI-Gesellschaft Produktion und Logistikにより公開、2014年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ゆえに、本発明の目的は、特に環境への所望でない音放出に関して、音声検出装置の使用を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、添付の独立請求項の主題によって解決される。更なる有利な発展形態は従属請求項に特定される。別に述べない限り又は明らかでない限り、明細書の導入部で述べた特徴は、ここで開示するソリューションにおいても、個々に又は任意の組み合わせで提供されると理解されたい。
【0015】
一般に、環境への音放出を制限するように構成されたサイレンサー装置(消音装置)を提供することとなる。特に、マイクロフォンを用いた音声の検出が可能とされる。それゆえ、マイクロフォン又はマイクロフォンを有する音声検出領域は、特にユーザーの口に面する前側で、少なくとも部分的に露出され得る。しかしながら、環境に関して、マイクロフォンは、特にユーザーの口から離れる後側で、サイレンサー装置によって保護されてもよい。
【0016】
例えば、少なくとも、好ましい実施形態に従う音声検出装置が例えばヘッドセットなどの頭に又は頭で装着可能な装置であるとき、ユーザーの観点からすれば、マイクロフォンは、ユーザーの口とサイレンサー装置の間に位置決めされてもよい。
【0017】
しかしながら、少なくとも好ましい実施形態に従う音声検出装置が携帯電話などの通信装置であるとき、ユーザーの観点からすれば、マイクロフォン及び/又は音声検出領域は口の隣り、上及び/又は横に位置決めされることも可能である。その際、ユーザーの口はサイレンサー装置によって少なくとも部分的に覆われ又は保護されてもよい、というのも例えばサイレンサー装置はユーザーの口まで延在するからである。しかしながら、口と音声検出領域の間のスペースはサイレンサー装置によって開放されたままであってもよく、それによりユーザーの音声情報又は彼/彼女によって生成される音波が依然として、少なくとも一部分は、サイレンサー装置と相互作用せずに音声検出領域に到達できる。
【0018】
一般に、サイレンサー装置は、例えば手作業で及び好ましくは工具不要のアタッチメントにより既存の音声検出装置に組み込み可能であると考えてよい。この場合、サイレンサー装置を取り付けるために、取り付け、クリッピング又は一般的に非確動接続及び/又は確動接続(特に、ラッチ接続)の確立が好ましい。
【0019】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は(例えば後続のアタッチメントに続いて)音声検出装置の他の要素に対して、特に音声検出領域に対して変位可能であってもよい。これは、例えばサイレンサー装置を回転させることで、手動アライメントの可能性を含み得る。
【0020】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は、特に以下に説明する第1及び第2操作状態の範囲内で、音声検出領域及び/又はユーザーの口に対して異なる方法で配置可能であってもよい。この目的のために、サイレンサー装置は、例えば選択的に押し出され及び押し込まれることにより又は選択的に外に折られ又は中に折られることにより、異なる位置の間で前後に移動され得る。
【0021】
一般的に、サイレンサー装置は平坦な構造を有してもよく、特に仕切又はパネルとして形成されてもよい。
【0022】
特に、話している人の頭(すなわち、装置のユーザーの頭)に又はその近くに(例えば、支持ブラケットによって永続的に又は手で一時的に保持されることで)位置決め可能な音声検出用の装置(音声検出装置)が提案される。
当該装置は、
-内側及び外側;
-マイクロフォンを有する音声検出領域であって、その少なくとも一部が内側に向いている又はこれを形成する音声検出領域;及び
-サイレンサー装置であって、その少なくとも一部が前記装置の外側に向いている又はこれを形成する装置、を有する。
【0023】
好ましくは、サイレンサー装置は、前側、後側及びサイレンサー構造体(消音装置構造)を有し、その少なくとも一部が前側と後側の間に延在する。これは、サイレンサー構造体が、少なくとも部分的に、前側と後側の1つを形成する(すなわち、それと共に一体に形成されている)ことを排除しない。しかしながら、サイレンサー構造体の別なセクション(例えば、深さ寸法)がこの前側と後側の間に位置していることが考えられる。言い換えれば、サイレンサー構造体はこれにより、先ず部分的に、前側と後側の間で包囲され及び/又はその間の吸音層(消音層)を形成し得る。
【0024】
同様に、話している人の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置が開示される。当該装置は、
-マイクロフォンを有する音声検出領域;及び
-サイレンサー装置であって、その少なくとも一部が当該装置の外側に向いている又はこれを形成する装置、を有し、
-サイレンサー装置はユーザーの口の前に位置決め可能であり、すなわち
-前記音声検出領域は、前記サイレンサー装置と口の間に少なくとも部分的に配置されており(例えば、前記音声検出領域を口のすぐ前に位置決めする場合)、
-及び/又は、(例えば、前記音声検出領域を口の隣に、上に又は横に位置決めする場合)口と前記音声検出領域の間のスペースが少なくとも部分的に覆われず、又は言い換えれば前記サイレンサー装置によって遮断されない、これは例えば前記サイレンサー装置がこのスペースに延びないからである。以下で説明するように、当該スペースは細長くてもよく及び/又は前記サイレンサー装置と前記音声検出領域の間でユーザーの頬に沿って延び得る。
【0025】
これらの装置の両方とも、以下の全ての説明、特徴及び更なる発展形態と組み合わせ可能である。
【0026】
ここでの上、下、隣などに関して、直立に立っている又は座っている人、特に装置を使用しているときの彼/彼女の頭の姿勢(頭位)を参照されたい。一般に、ここで説明するどんな装置も人の頭に接触してもよく又は適切な使用のためにこのような接触を想定し得る。
【0027】
一般的に、装置の使用状態は、例えば、装置が自然な方法で(及び例えば最良の着け心地で)頭に位置決めされ及び/又は最高の可能な品質の音声検出(及び特に最高の可能な振幅を有する又は最高の可能な周波数範囲にわたる)が他の機能(例えば音響出力機能)が損なわれずに実現される、意図した使用状態に一致すると想定し得る。後者は、例えばユーザーの口と検出領域の間のスペースが維持される一方、それにもかかわらず同時に音響出力領域(スピーカー)がユーザーの耳の近くに位置決めされる場合である。
【0028】
内側は一般的にユーザーの口に向いており(面しており)及び/又は環境から離れてもよい(離反してもよい)。外側はユーザーの口から離れてもよく(離反してもよく)及び/又は環境に向いてもよい(面してもよい)。音声検出領域はユーザーの口から、それに隣接して又はそれと反対側に横に位置決め可能である。
【0029】
上述したように、変形例に従う音声検出領域はユーザーの口の前に位置決め可能なヘッドセットの一部であってもよい。特に、音声検出領域は支持構造の(又は支持アーム若しくは支持ブラケットの)自由端に位置決めされ得又はこの端部を形成し得る。
【0030】
それに代えて、特に音声検出装置が携帯電話などの通信装置であるとき、音声検出領域は装置のハウジングに収容され得る。その際、音声検出領域は好ましくは通信装置の及び/又はハウジングの底部(下側)に配置される。反対側の上部(上側)には、他方で、例えばスピーカーを有する、以下に説明する音響出力領域が位置決めされ得る。
【0031】
マイクロフォンに隣接して、音声検出領域は場合によっては、それぞれマイクロフォンの保護として機能する音響伝達性のカバー、ボディ、壁又は他の構造体を有してもよい。
【0032】
一般的に、音声検出領域は、それが話している人によって生成される音波をマイクロフォンに向かって通させるように(すなわち、それが一般的に音響伝達性であるように)設計され得る。他方で、音声検出領域は、例えば汚れや気流などの望ましくない環境の影響からマイクロフォンを保護し得る。特に、音声検出領域は少なくとも部分的にマイクロフォンを環境から遮断できるが、穿孔又は他の構造的特徴(例えば隙間・アパーチャー)のために音波を伝達(透過)させる。
【0033】
音波に対する伝達性は、潜在的な減衰又は音波への他の影響がマイクロフォンの検出結果に有意な影響を与えないとき又は所定の受け入れ可能な閾値より低いときに述べられる。十分な伝達性は特に、音声検出領域を介するマイクロフォンと環境の間の空気導通接続が(例えば穿孔又はそこに設けられたアパーチャーによって)可能になるときに仮定され得る。
【0034】
好ましくは、音声検出領域は装置の内側に露出され又はこの内側の覆いの無いセクションを形成する。しかしながら、この内側の反対側で、音声検出領域はサイレンサー装置によって少なくとも部分的に覆われ、それにより環境から遮断され及び/又はそれに重なり得る。これは音声検出領域と相互作用しない又はそれにより環境に吸収されない音波の通過を制限する。音声検出領域とサイレンサー装置のこの相対的装置は特に、ヘッドセットに又は一般的に頭に(又は頭によって)装着可能な音声検出装置に設けられ得る。
【0035】
しかしながら、特に音声検出領域が(例えば携帯電話の)ハウジングに配置されるとき、それは言わば、サイレンサー装置と少なくとも直接重ならず又はそれによって後側で遮断されない。ゆえに、特に、ハウジングの少なくとも一部はサイレンサー装置における音声検出領域の間に位置決めされ得、それでそれは音声検出領域に少なくとも直接重ならず及び/又はそれを後側で少なくとも直接覆わず又は遮断しない。特に、音声検出領域はこの場合ユーザーの口のすぐ前に位置決めされず、例えばその横に彼/彼女の頬の近くに位置決めされる。サイレンサー装置は(例えば上述したハウジングから出発して)ユーザーの口まで、また好ましくは少なくとも部分的に口の前に延び得る。これにより、ユーザーによって生成される音波が環境に逃げて弱まることが防止され得る。しかしながら、同時に、空間-そこを通って音波がサイレンサー装置との直接的な吸音相互作用なしに(例えば、サイレンサー装置に衝突せずに又はこの目的のためにそれを通過する必要なく)音声検出領域に達する-が、サイレンサー装置とハウジング及び/又は音声検出領域の間に残っている。
【0036】
サイレンサー装置及び好ましくはそのサイレンサー構造体が、特に、使用される材料の種類又は特有のサイレンサー構造体に起因する吸音効果をもたらす。それは材料自体の微視的構造に関連せず、材料によって形成される巨視的構造に関連する。例えば、サイレンサー構造体は、複数のアパーチャー、開口、溝(channel)、穿孔、壁、空洞などを有し得る。これらは別個に製造され、材料の固有の特性に起因しない。
【0037】
サイレンサー構造体は、生成又は添加製造方法(特に3次元印刷)によって製造され得る。添加製造方法の例は、以下のディレクティブ(非特許文献1)に見出される。
【0038】
サイレンサー装置及び特にサイレンサー構造体は、他の装置の材料に比べて増大した消音効果をもたらす。一般的に、数デシベルの消音(すなわち、環境に放出される会話音の減衰)及び/又は少なくとも30%だけ及び好ましくは少なくとも50%だけが減衰されない場合(すなわち、サイレンサー装置が無い場合)に比べて可能になるように構成され得る。上の数値は、ここで人の言語の予期される周波数スペクトルに関連すると理解され得る。
【0039】
別な実施形態によれば、サイレンサー装置は平坦な構造を有する。これは、サイレンサー装置が、表面を形成し又は定めるサイレンサー装置の少なくとも2つの他の寸法(次元)を明らかに欠落した厚さ寸法であって、これらの他の寸法の好ましくは多くても50%、好ましくは多くても10%がある厚さ寸法を有することを意味すると理解され得る。他の寸法は長さと幅寸法を有し得る。それらは互いに直交する方向に測定される。
【0040】
厚さはサイレンサー装置の表面と直交して(及び/又はその後側又は前側と直交して)延在する方向に測定され得る。一般に、厚さは前側と後側の間の距離に等しい。それはサイレンサー構造体の厚さによって少なくとも部分的に定められ得又はこの厚さに等しくてもよい。
【0041】
平坦なサイレンサー装置が湾曲しており、特にそれによりユーザーの口に面するサイレンサー装置の後側が凸状に湾曲している及び/又は口から離れている前側が凹形に湾曲している。上述した寸法はしたがって湾曲してもよく、対応的に湾曲した態様で前側及び後側に沿って延在してもよい。
【0042】
サイレンサー構造体は対応的に平坦であってもよく、寸法関係(特に厚さ寸法)又は潜在的な湾曲の観点から上述したオプションの特徴のいずれをも有する。
【0043】
サイレンサー装置の表面は、それが実質的にユーザーの顔、特に彼/彼女の口に沿って及び/又はそれと平行に延在するように指向され得る又は方向付け可能である。真っ直ぐな頭の姿勢で直立に立っている人の場合、サイレンサー装置はまた実質的に直立に立ち得る及び/又は垂直表面を定め得る。
【0044】
一般に、確実な音響遮蔽効果がサイレンサー装置の平坦な設計によって提供され得る。
【0045】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は扇状に(ファン状に)形成され得、互いに変位可能である多数の別個のファン要素(扇要素)を有し得る。特に、これらは湾曲した軸に沿って移動でき又は共通の回転軸周りに回転できる。個々のファン要素自体が湾曲してもよい。ゆえに、全部で、カップ状構造又はボウル状構造が、特に半カップ状構造が創出され得、その中にユーザーが話すことができる。
【0046】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置は少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cmの長さを有する。長さ寸法は、長手軸に沿う寸法及び/又は好ましくは平坦なサイレンサー装置の表面における寸法であってもよい。長さは水平に及び/又はユーザーの口に沿って左側から右側に延びてもよい(例えば、ヘッドセットの場合)。特に、長さは音声検出領域から出発して口の方向に延びてもよい(例えば、携帯電話の場合)。このような長さによって、特にユーザーの口の適切な遮断が多数の用途(アプリケーション)で可能であることが判明した。
【0047】
他方で、最大長さは30cm、又は好ましくは20cmを超えない。その際、特に効果的な調節が実現される一方、まだ十分に快適な操縦と、特にサイレンサー装置の潜在的な手動移動性が保証されることが判明した。
【0048】
前述したように、サイレンサー装置の少なくとも一部がユーザーの口の前に位置決め可能である。この目的のために、それは適切に寸法決めされ及び/又は適切に装置内で位置決めされ、適切に変位可能であり及び/又は適切に方向付け可能である。
【0049】
別な観点によれば、サイレンサー構造体は、前側及び後側の少なくとも1つのそれとは異なる構造及び/又は材料を有する。サイレンサー構造体は、別個の構造又は材料層として前側と後側の間に配置されてもよい。これはコンパクトな構造と、場合によっては前側及び後側によって環境の影響(特に、汚染)からのサイレンサー構造体の保護も可能になる。
【0050】
一般に、前側は音響伝達性であることが予期される。好ましくは、しかしながら、それは少なくとも部分的に、また特に好ましくは大部分は閉じられている、というのも例えばそれは対応的に小さい寸法の穿孔を有するからである。これにより、前側は簡単に掃除でき、特に消毒のために拭くことができ、又は一般にサイレンサー構造体を保護しながら液体に接触され得る。
【0051】
他方で、後側は好ましくは閉じている及び/又は平坦である。それは有孔であってもよいが(例えば発泡材料を有する)、特にユーザーの口に向かい合う中央領域においてではなく、好ましくは多数のアパーチャー、開口又は穿孔を有さない。これにより、サイレンサー構造体の広範囲の構造的支持がもたらされ、及び/又は消音効果が改善される。
【0052】
1つの実施形態によれば、サイレンサー装置は、人により生成された会話の音波を少なくとも部分的に所定の領域において集中するように構成される(例えば、対応的に形成される及び/又は湾曲される)。この変形例は特にヘッドセットに適している。
【0053】
集中は、サイレンサー装置が会話の音波を対応的に反射することによって、すなわちそれら音波がその領域に集中的に収束するように反射によってそれらを整列させる(調整する)ことで実現され得る。この目的のために、サイレンサー装置と特に人に面するその側面は、例えば、適切に形成され、角度を付けられ又は湾曲され得る。
一般に、サイレンサー装置はこの目的のために凹形に湾曲され得、ゆえに人の顔の輪郭に適合し得る。これに関連して、サイレンサー装置は口に対向して位置決め可能であり、さらに例えば人の頬の方向に延びることが好ましい。特に、サイレンサー装置は放物面鏡の様式で形成され得る。
【0054】
集中の領域に、音声検出領域が位置決めされ得る。言い換えれば、会話の音波はこのようにして集中によって音声検出領域に集中され得る。環境を会話音から確実に遮断することとは別に、音声検出領域のマイクロフォンによる会話音の改良された検出もそれにより達成される。
【0055】
場合によっては、マイクロフォンは補足のサイレンサー装置によってユーザーから遮断され得、それにより集中された又は反射された音波を主に検出し得る。これを図面を参照して以下で説明する。
【0056】
以下では、会話音の音響減衰を達成し得る、サイレンサー装置の様々な構造的特徴と特にサイレンサー構造体を記述する。これらはサイレンサー装置の形状とは独立し得又は独立して機能し得るが、もちろんここに記述するサイレンサー装置の形状変形例のいずれとも組み合わせることができる(例えば、放物面鏡の様式の上述の集中形状と)。構造的特徴は、特に、好ましくは一体のサイレンサー構造体内で、共通の材料層又は共通の要素に形成され得る。それら特徴は一般に人に向かい合ってもよいが、彼/彼女と離れる側に形成されてもよい。これは、サイレンサー装置から生じる固体伝播音の環境への伝播を減少させ得る。
【0057】
構造要素は、例えば3次元印刷又は射出成形によって製造できる。それら要素はミリメートル範囲又はマイクロメートル範囲の寸法を有し得る。好ましくは、構造要素の最大寸法はそれぞれ、5mmより大きくなく、又は例えば繊維又は髪の毛の場合20mmより大きくない。
【0058】
構造的特徴は、例えばシミュレーションや実験によって、定められた周波数範囲における音減衰のために設計され得る(例えば適切な寸法決め、アライメント(整列)又は位置決めによって)。これは、それら特徴が前記定められた(音)周波数範囲において望ましい音響最小減衰に達する又は超えることを意味すると理解できる。以下に説明するように、同じ又は異なる種類の構造的特徴が組み合わされてもよく(すなわち、サイレンサー装置内に一緒に提供されてもよく)、その際これら特徴は好ましくは様々な周波数範囲で会話音を減衰するように設計される。これにより、広帯域の音響減衰挙動が実現可能である。
【0059】
好ましい組み合わせは、アパーチャー及び/又は凹所と組み合わされる平らでない表面を含み、例えば後出のヘルムホルツ共鳴器や好ましくはそれらの伸長に沿って多数角度を付けられた溝を形成する。加えて、繊維質の又は毛髪形状の構造が表面に少なくとも部分的に設けられてもよい、すなわち表面は繊維質の又は毛の生えたテクスチャーを有してもよい。この組み合わせは広帯域の音減衰を実現するのに有利だと判明した。
【0060】
好ましい観点によれば、(例示の構造的特徴としての)サイレンサー装置は平らでない表面を有する領域を有する。好ましくは、この領域は人に向かい合う。当該領域は好ましくは、少なくとも50cm2、さらに好ましくは少なくとも100cm2の表面積を有する。それは、サイレンサー装置の湾曲と無関係に及び/又は加えて設けられ得る。凸凹(不規則性)はミリメートルレンジの高さ差異、すなわち例えば5mmまで又は1mmまでの高さ差異を有してもよい。
【0061】
一般に、凸凹は前記領域の表面の高さバリエーションによって及び/又は表面の変動する高さプロフィールによってもたらされ得る。これは、例えば様々な表面積及び高さを有する領域が表面を形成するために互いに隣接して位置決めされることによって実現され得る。例えば、これら領域の表面積及び/又は高さは確率的に分布され得る。
【0062】
平らでない領域はサイレンサー装置の前側であってもよい。特に、サイレンサー構造体は適切な(相応な)領域を有し得る又は形成し得る。凸凹は以下のバリエーションの少なくとも1つによって提供され得る;波形の表面、鋸歯状の又は皺のある表面(例えば、表面のジグザグ形状の高さプロフィール)、最小値より上の粗さを有していて特に(例えば5mm以下又は1mm以下の)許容できる長さ以上の領域又は線のない表面構造。
【0063】
平らでない表面を設けることにより、人から発生する会話の音波は拡散反射され得、ゆえに少なくとも部分的に音減衰的に互いに打ち消し得る。
【0064】
表面の凸凹はまた、それが多孔性であること又は繊維質の(又は繊維耐性の)又は毛の生えた表面を有することによっても実現できる。
【0065】
好ましい変形例によれば、サイレンサー装置及び特にそのサイレンサー構造体は(別な例示の構造的特徴としての)ヘルムホルツ共鳴器を有する。これらは、例えばサイレンサー装置又はサイレンサー構造体の人に向かい合う領域において凹所及び/又はアパーチャーとして形成され得る。公知の態様で、これら凹所及び/又はアパーチャーは、ヘルムホルツ共鳴器を形成するために、下流に位置する領域に比べて少ない断面寸法を有する入口領域を有し得る。言い換えれば、凹所及び/又はアパーチャーは、減少したボリューム又は断面を有する円柱状入口部分を介して環境に接続したボリュームをチャンバー状に画定する。
【0066】
別なオプションの構造的特徴として、サイレンサー装置は中空チャンバー部分、特に中空チャンバー状の薄膜又は層を有し得る。中空チャンバー部分は、希ガスで満たされてもよく及び/又はサイレンサー装置の内部で平坦に延在してもよい。それはサイレンサー装置の表面積の少なくとも50%に相当する表面積を有してもよい。これにより、サイレンサー装置を介する音伝達が減少され得る。
【0067】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置及び特にそのサイレンサー構造体は(別な例示の構造的特徴として)複数のアブソーバーウェッジ(吸収体楔)を有する。これらは上で説明した平らでない表面の特別なケースを構成し得る。アブソーバーウェッジは楔形の突起として形成され得る。好ましくは、多数のこのようなアブソーバーウェッジが互いに隣接して配置されており、特に互いに当接している(すなわち、楔のベース部とベース部の間に相当な距離がない)。特に、アブソーバーウェッジは互いに一体的に形成され又は接続され得る、すなわち例えば共通の材料層における突出部として形成され得る。アブソーバーウェッジ。ここで、楔は相互に異なって指向され得、特に(例えば、サイレンサー装置の共通の基本エリア又は基本平面と直交して延びる回転軸の周りに)相互に捩じられ得る。
【0068】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置は、(好ましくは複数の)角のある(角度のついた)延伸を有する複数の溝を有する。溝は空気誘導式に環境に接続したスペースとして形成され得る。それらはしかし、長さに比べて明らかに減少した断面寸法を有する細長い溝である必要は無い。角のある延伸によって、溝が迷路状又は螺旋状であること又は一般に複数の方向の変化を呈することになる。これにより、溝の長さが増大される一方、スペース要件が場合によっては減少され、それにより音の経路もまた音減衰式に伸ばされる。
【0069】
溝は少なくとも部分的に充填されなくてもよい。しかしながら、それら溝は少なくとも部分的に、例えば多孔性の絶縁材料及び/又は固化した泡状物質(solidified foam)で充填されてもよい。
【0070】
溝へのアクセスは切込み状の(スリット状の)開口を介して行われ得る。特に、細長い切込み状の開口領域が設けられ得、それらに沿って上述した種類の複数の溝が列を成して配置され及び/又はそれらに複数の対応する溝が合流する。
【0071】
本発明によれば、サイレンサー装置及び特にサイレンサー構造体は少なくとも1つの振動音響領域を有し得る。これは、吸音効果を有する会話音によって振動を励起される領域であり得る。当該領域は複数の振動音響要素を有し得る。これらは例えば突出して人に向かい合う側に形成され得る。振動音響要素は、会話音によって振動に励起可能なばね質量系を形成し得る。
【0072】
更なる発展形態によれば、振動音響領域は複数の振動音響要素を有する。好ましくは、振動音響要素はそれぞれ、前述の観点に従うヘルムホルツ共鳴器の領域に又は前述の観点に従う溝の領域に(又は一般に開口又は凹みの領域に)位置決めされる。特に、振動音響要素はそれぞれ、ヘルムホルツ共鳴器又は溝に局所的に割り当てられ得る。ユーザーの視点から、例えば、振動音響要素の少なくとも一部がヘルムホルツ共鳴器又は溝の上に位置してもよく、すなわちそれに重なってもよい。好ましくは、振動音響要素及びヘルムホルツ共鳴器又は溝は様々な周波数範囲で音を減衰するように設計される。よって、振動音響要素は一種の音軽減用のプリフィルター構造として機能し得る一方、残りの音割合はヘルムホルツ共鳴器又は溝によって減衰され得る。
【0073】
更なる変形例によれば、サイレンサー装置は、サイレンサー構造体に機械的に接続した少なくとも1つの材料層を有し、材料層の重量はサイレンサー構造体の重量より大きい。これにより、会話音によって励起されるときの機械的振動が軽減され得、これは例えばサイレンサー装置によって場合により生じる固体伝播音の伝播を制限するのに有利である。
【0074】
更なる発展形態によれば、(別な例示の構造的特徴としての)サイレンサー構造体はメタマテリアルを有する又はそれから成る。メタマテリアルは、上述したタイプの添加製造方法、特に3次元印刷によって製造され得る。一般に、メタマテリアルは合成的に製造される材料であると理解でき、その特性及び特に構造は自然に(本来)存在しない。したがって、望ましい物理的特性を得るために狙いを定めて適応された合成構造が創出され得る。特に、メタマテリアルは、衝突する音波のために負の屈折率の特徴を有する。一般に、メタマテリアルの望ましい物理的(特に音響)特性は、主にその構造に起因し、その実際の材料(例えばプラスチック)にあまり起因しない。
【0075】
その構造は好ましくは規則的であり、構造によって必要とされるように相互に配置された自由空間、溝、開口、壁又は材料を充填された体積要素などの構造要素を有し得る。特に、メタマテリアルは、これらの反復パターン又は他の構造要素をも定め得る。構造要素の好ましくは規則的な反復がサイレンサー装置の表面領域に沿って又は内で生じ得るが、場合により厚さ方向又は奥行方向に生じてもよい。ここで、全ての構造要素は人の言語の予期される又は典型的な波長スペクトルにおける波長より小さく寸法決めされ得る。
【0076】
特に、メタマテリアルは上述した構造的特徴のいずれかを有し得る又は提供し得る。例えば、これらは3次元印刷によってプラスチックから製造でき、その結果生じる及び対応的に構成される部品がメタマテリアルを有する又は形成する。
【0077】
ここで、メタマテリアルの構造は以下のようであってもよい、つまりそこに入る音波の割合がそれによって放出される及び/又は反射される音波の割合を明らかに超えてもよい。特に音波はそれにより構造内で吸収され得、好ましくはそのためにそれら音波は所定の方法でメタマテリアルの内部を例えば数ミリメートルの距離にわたって案内され、導かれる。
【0078】
ここで、使用されるメタマテリアルの、音減衰の根本的な効果はしたがって、主にこの材料(又はその構造)の吸音能力に起因し、音波を音源(ユーザーの口)の方向に反射することによる干渉・障害の生成にあまり起因しない。メタマテリアルにおける吸音によって実現される音減衰(例えばデシベル減少)の割合はしたがって、干渉又は他の音波の重ね合わせによって実現される音減衰の割合より大きい。
【0079】
この目的のために、メタマテリアルは音響的に需要可能な及び/又は伝達可能な表面を有してもよく、当該表面は例えばサイレンサー装置の前側に向かい合い、それで音波がそこに入り得る。しかしながら、メタマテリアルの構造内での音波の上述した案内のために、これらはもはやメタマテリアルを出ず又は少ない割合のみ出る。
【0080】
音響減衰のためのメタマテリアルが知られている、しかしこれまでのところ調査関連においてのみである。特に本発明は、実際の使用の提案と、個別に形成され、配置され、場合によっては寸法決めされた音声検出装置用のサイレンサー装置へのメタマテリアルの導入とによって、本発明自体をメタマテリアルに関する既存の研究と区別する。
【0081】
更なる発展形態によれば、サイレンサー装置(及び特にサイレンサー構造体)は、第1周波数範囲での音減衰のために設計された第1領域と、当該第1領域と重ならない又は少なくとも完全には重ならない第2周波数範囲での音減衰のために設計された少なくとも1つの更なる領域を有する。これにより、複数の周波数範囲が音響的に減衰され得、ゆえに音減衰の帯域幅が改善され得る。
【0082】
前記領域は、ここに記載する任意の種類の同じ種類の構造的特徴を提供することでもたらされ得る、しかし前述した領域において例えば異なって寸法決めされ、配置され又は方向づけられ及び/又は互いにずれる振動音響挙動により特徴づけられてもよい。例えば、構造的特徴は第1領域において、第2領域における同じ種類の構造的特徴より大きくてもよい。
【0083】
加えて又はそれに代えて、ここに記載するいずれの種類の異なる種類の構造的特徴が設けられることが予期され、1つの種類の構造的特徴が第1領域において支配的であり(例えばそこにのみ設けられ)、別な種類の構造的特徴が他の領域において支配的である(例えばそこにのみ設けられる)。
【0084】
また、3より多い異なる構造的特徴が、例えば平らでない及び特に波形の表面及び開口並びに繊維状の領域の前述した組み合わせで組み合わされ得ると理解できる。その際、構造的特徴の各々は相互にずれた周波数範囲又は個々の周波数範囲での音減衰用に設計され得る。
【0085】
更なる実施形態では、音声検出領域及びサイレンサー構造体は少なくとも部分的に重なり得る。これは特に、音声検出領域の少なくとも一部が好ましくは後側でサイレンサー構造体によって環境から遮断される既に上で指摘した変形例に関する。
【0086】
更なる発展形態によれば、装置はさらに音響出力領域(例えばスピーカー)を有し、音声検出領域は、少なくとも第1操作状態において、長手軸に沿って見て、音響出力領域とサイレンサー装置の少なくとも部分(例えば、下側縁)の間に位置決めされる。
【0087】
例えばサイレンサー装置が以下に説明する方法で変位可能でなく、永続的に展開されている場合、この操作状態は装置のデフォルト状態であってもよい。その際、長手軸に沿う上述した特徴のずれる相対的装置を有する操作状態も提供され得ない。しかしながら、変化した相対的装置を有する及び特に変位可能なサイレンサー装置を備えた第2操作モードを有する後出の変形例が好ましい。
【0088】
長手軸に沿う適合した位置決めは、例えば音響出力領域をユーザーの耳に又はその近くに位置決めすることで実現され得る。音声検出領域は他方で、耳の下に又は一般に耳と口の間に(例えばユーザーの頬の近くに)位置決めされ得る。サイレンサー装置は他方で、口まで延びてもよく、また音放出を制限するためにそれを環境から遮断してもよい。
【0089】
長手軸に沿う音響出力領域と音声検出領域の間の距離は数センチメートルであってもよく、好ましくは少なくとも5cm、少なくとも10cmで又は少なくとも15cmであり得る。長手軸に沿うサイレンサー装置の最外端部と音声検出領域の間の距離も同様に、好ましくは少なくとも5cm、少なくとも10cmで又は少なくとも15cmであり得る。しかしながら、十分な操作性及び/又は収納性を保証するために、それは最大20cm又は最大30cmに制限され得る。上述した更なる発展形態は、携帯電話にとって又は一般に好ましくは手で保持される通信装置にとって特に有利である。しかしながら、例えばサイレンサー装置がそこで音声検出領域を越えて突出する又は張り出すとき、それはまたヘッドセットに使用できる。
【0090】
これに関連して、音声検出装置がハウジングを有することがさらに予期される。それは音声検出領域と好ましくは音響出力領域をも有し得る。ハウジングは一体(ワンピース)であるか、複数部品から成ってもよい。それは平坦な構造を有し得る。それは、周囲のフレーム状構造を有してもよく、その厚さはハウジングの厚さを定める又は主に決定する。それはまた表示装置、例えばタッチスクリーンを有する又は収容し得る。表示装置は、少なくとも部分的に、ハウジングの前側を形成し得る又はそこに含まれ得る。ゆえに、ハウジングの代わりに、携帯電話自体に話すことができる。
【0091】
前側と反対側に、ハウジングの又は携帯電話の後側が位置し得る。そこに、サイレンサー装置は収容され、案内され、ヒンジで取り付けられ得、又は他の方法では配置され、収容され、特に変位可能に固定され得る。特に、サイレンサー装置はハウジング/携帯電話に対してシフト可能であり、またこの目的のために、例えばハウジング/携帯電話の後側に対応的にシフト可能であるように配置され得る。
【0092】
特に、サイレンサー装置が音声検出領域を有する装置のハウジングに対して移動可能であり、それで第2操作状態において、サイレンサー装置がハウジングから長手軸に沿って第1操作モードにおけるよりも少し突出し、又は全く突出しないことが予期される。
【0093】
言い換えれば、サイレンサー装置及びハウジング/携帯電話は、第2操作モードにおいて、好ましくは僅かな重なり合い(例えば、80%より少ない重なり合い)が生じる第1操作モードにおけるよりもかなりの程度まで(特に完全に重なる)重なり得る。第1操作モードでは、サイレンサー装置の大部分がハウジングから自由に延び得、及び/又はハウジングにより覆われ得、ゆえに例えば少なくとも部分的に、ユーザーの口に向かい合って位置し得る。
【0094】
第2操作モードはまた、静止モードとも呼ばれる、又は一般にサイレンサー装置が収縮され、折り畳まれ及び/又は非アクティブなモードとも呼ばれる。第1操作モードでは、他方で、サイレンサー装置は展開され、伸ばされ及び/又はアクティブ(すなわち、消音している)である。第1操作モードから第2操作モードへの変更及びその逆は、サイレンサー装置を特に上述したハウジング及び/又は携帯電話に対して移動させることで実現され得る。
【0095】
変形例によれば、その際好ましくは平坦なサイレンサー装置が、例えば側方案内レールの間に配置されることで、ハウジング及び/又は携帯電話の後側にシフト可能に収容されている。案内レールは長手軸に沿って延び得る。ユーザーは好ましくはこれら案内レールにより案内されるサイレンサー装置を手動でシフトさせられ、しかも好ましくは長手軸に沿って、さらに好ましくは第1操作モードの相対的装置に届くようにシフトさせられる。
【0096】
しかしながら、サイレンサー装置を移動させるために、特に伸ばすために、アクチュエータ、特に電気モーターが設けられることも予期され得る。それはサイレンサー装置をアクティブ位置と非アクティブ(特に伸ばされた及び収縮した)位置の間で移動させることができる。
【0097】
側方案内レールがサイレンサー装置の両側に位置決めされ得る。案内レールは、サイレンサー装置がハウジング/携帯電話を取り囲むカバーとハウジング/携帯電話の後側の間に挿入されているように形成されてもよい。それにより、案内効果がこのカバーの内壁によって、また特に(上述した意味において側方案内レールとしても機能し得る)側方内側縁によってもたらされ得る。
【0098】
カバーは、アパーチャー、特に細長いアパーチャー及び/又は長手軸に沿って延びるアパーチャーを有し得る。これにより、ユーザーはサイレンサー装置に接触でき、手動でそれを移動させ又はそれを押し出すことができる。
【0099】
原則として、特に第2操作モードから第1操作モードに変更するとき(及び/又は逆もまた同様に)、例えば適切なストッパ手段又はストッパ輪郭(例えば上述したアパーチャーの内側縁)によって、サイレンサー装置の最大伸長長さ及び/又は最大移動経路は制限され得る。
【0100】
しかしながら、移動性及び一般に第2操作モードと第1操作モードの変更は、ハウジング/携帯電話に対するサイレンサー装置の前述したシフトに限定されない。その代わり、サイレンサー装置は例えば展開され又は外に旋回され得る。
【0101】
原則として、しかしながら、第2操作モードでは、サイレンサー装置のしまい込まれた状態がもたらされ得、その際それがハウジング/携帯電話(例えばその輪郭)によって大部分を、好ましくは完全に覆われ、及び/又はそこから顕著に突出しないことが好ましい。他方で、第1操作モードでは、サイレンサー装置のしまい込まれない又は伸ばされた状態がもたらされ得、それでそれはハウジング/携帯電話(例えばその輪郭)によって僅かに覆われ又は重なり及び/又はそこから明瞭に突出する(例えばその長さの半分より多く)。
【0102】
第2操作モードと第1操作モードの変更の際、複数の空間軸の周りの又は沿うサイレンサー装置とハウジング/携帯電話の相対運動が可能であることも予期され得る。例えば、サイレンサー装置はまず上述したようにハウジング/携帯電話に対してシフトできるが、その際音源のより近くに持って来られるように例えばユーザーの口の方向にそれに対して回転でき、屈曲でき及び/又は折り曲げ可能であってもよい。
【0103】
一般に、前述した操作モード間の変更のために好ましくは手動で移動可能なサイレンサー装置の観点は、必要に応じて音減衰を増加させるための簡単且つ確実な方法である。例えば、ユーザーは、思慮深さの理由のために彼/彼女に必要と思われるときに必要に応じてサイレンサー装置を移動させ、特に外側に押す(すなわち、それを彼/彼女の口の前に押す)必要があるだけである。
【0104】
本発明はまた、先行の観点の1つに従う装置用のサイレンサー装置に関する。特に(しかし必須ではない)、サイレンサー装置は、前側、後側、及びサイレンサー構造体であってその少なくとも一部が前側と後側の間に延びるサイレンサー構造体を有し得る。
【0105】
加えて又はそれに代えて、サイレンサー装置は、例えば装置の他の構成部品に及び特にヘッドセットや携帯電話に接続可能な接続部分を有し得る。接続部分は例えば非確動接続又は確動接続を確立する容器構造(レセプタクル構造)を有し得る。
【0106】
特に、接続部分はここに記載するヘッドセットの支持アームに取り付け可能である(好ましくは手作業で工具不要で)。同様に、接続部分は案内レール装置及び/又は装置のカバーと係合可能(噛み合い可能)である。
【0107】
原則として、本発明はまた、環境に対する及び特に人の頭に又は近くに位置決めされる音声検出装置での音放出を制限するためにここに記載するいずれの種類のサイレンサー装置の使用に関する。特に、本発明は、通信装置、携帯電話又はヘッドセット用のこのようなサイレンサー装置の使用に関する。
【0108】
以下では、添付の概略図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。それらの種類及び/又は機能に関して同一な特徴は、図面を通して及び特にここの実施形態を通して同じ参照番号で示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】第1実施形態に従う音声検出装置の正面図である。
【
図2】収縮されたサイレンサー装置を備えた第2操作モードにおける音声検出装置の背面図である。
【
図3】伸長されたサイレンサー装置を備えた第1操作モードにおける音声検出装置の背面図である。
【
図4】第1実施形態に従うサイレンサー装置の部分断面図である。
【
図5】第1操作モードにおける先行の図面に従う音声検出装置の使用を示す図である。
【
図6】第2実施形態に従う音声検出装置の眺めを示す図である。
【
図7】第2実施形態に従う音声検出装置の眺めを示す図である。
【
図7A】
図7と同様の図において更なる実施形態を示す図である。
【
図8A】伸長した後にサイレンサー装置の向きが変更可能である第1実施形態のオプションの更なる実施形態を示す図である。
【
図8B】伸長した後にサイレンサー装置の向きが変更可能である第1実施形態のオプションの更なる実施形態を示す図である。
【
図9】第3実施形態に従う音声検出装置を示す図である。
【
図10A】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10B】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10C】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10D】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【
図10E】ここに開示した任意のサイレンサー装置に設置され得る吸音構造及び構造的特徴の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図1では、本発明の第1実施形態に従う音声検出装置10が示されている。この場合、音声検出装置10は、ハウジング17を有する携帯電話の形態で、より具体的にはしかしながら以下に説明するサイレンサー装置20を有する一般的なスマートフォンとして具体化されている。
【0111】
図1では、拡張表示装置12(例えば、タッチスクリーン)を有する音声検出装置10の内側11(すなわち、携帯電話の前側)が示されている。内側11は、以下に説明する
図5にみられるように、使用時にユーザーに面し、普通は彼/彼女の頬及び/又は耳に当接する。
【0112】
さらに示されているのは、前面カメラ13である。破線で示されているのは、カバー14の伸長(及び、より具体的には、以下に記載するそのアパーチャーの輪郭)であり、そこに携帯電話が挿入される。カバー14は、図示の前側にカメラ13及び表示装置12を露出したままにする大面積アパーチャーを有する。カバー14は、以下に説明する上部及び/又は底部の領域で開けられていてもよく、それで携帯電話が挿入され得る。長手軸Lに沿う長めの側方縁には、カバー14は好ましくは大部分を又は完全に閉じられている。
【0113】
ハウジング17の上部では、携帯電話は、スピーカー(不図示)を有する音響出力領域16を有する。ハウジング17の反対側の底部では、携帯電話は、音声検出用のマイクロフォン19(詳細に図示せず)を有する音声検出領域18を有する。これらの領域16,18では、カバー14はそれぞれ穿孔され得る。
【0114】
さらに、音声検出装置10の長手軸Lが備えられている。それは、図示の場合、音声検出装置10の又はハウジング17の最も長いサイド又は縁に沿って延び、又は一般的に表現して、音声検出装置10の最も長い寸法に沿って延びる(それは必須ではないが好ましい)。したがって、それは上部と底部を接続し、図示のケースでは、音響出力領域16と音声検出領域18をも接続する。使用時には、それは対応的に使用者の耳から口の方向に延びる。
【0115】
図2では、音声検出装置10の外側22(すなわち、携帯電話の後側)が示されている。以下の
図5で分かるように、それは使用時にユーザーから離れて又は環境に向かって指向する。カバー14はこの場合大部分が閉じており、内側11に比べて小さめの寸法を有する細長いアパーチャー24を有する。アパーチャー24は長手軸Lに沿って延びる。明瞭に小さめの寸法を有する更なるオプションのアパーチャー26が、背面カメラ13及び光源15のために設けられている。
【0116】
アパーチャー24の中に接触面26が突出している。それはサイレンサー装置20の後側に取り付けられている。接触面26は例えば指に接触でき、よってアパーチャー24に沿って移動できる。その際、同程度まで、サイレンサー装置20はカバー14から
図3に示す位置に押し出される。
【0117】
より具体的には、サイレンサー装置20が吸音効果を有しない不活性操作モード(ここでは第2操作モードとも呼ぶ)が
図2に示されている。
図3では、他方で、サイレンサー装置20が音減衰のために使用できる活性操作モード(ここでは第1操作モードとも呼ぶ)が示されている。これに関連して、
図3において、サイレンサー装置20が音声検出装置10の底部を越えて又は一般に長手軸Lに沿ってハウジング17を越えて、よってそこに位置決めされた音声検出領域18(
図1参照)を越えて突出することが分かる。したがって、サイレンサー装置20が突出する長さDは、例えば少なくとも10cm又は少なくとも15cmであり得る。
図5に基づいて以下に説明するように、サイレンサー装置20はこのようにしてユーザーの口の前に位置決めされ得る。
【0118】
幅Bは例えば少なくとも5cm又は少なくとも10cmであり得る。幅Bと長さDは互いに直交して延び、サイレンサー装置20の表面領域を定める。
【0119】
要約すると、ユーザーはこうして、接触面26を長手軸Lに沿って移動させることでサイレンサー装置20をカバー14内に及び外に押すことができる。カバー14及び特にサイレンサー装置20に接触するその内側面(特に内側側方縁)は、その際、長手軸Lに沿う移動を案内する案内構造又は案内レールをも形成する。接触面26はアパーチャー24を越えて移動できないので、アパーチャー24の下側縁が伸長長さを制限する。
【0120】
図1及び3の大要から分かるように、音声検出領域18は、長手軸Lに沿って見たとき、
図3に従う活性操作モードにおいて音響出力領域16とサイレンサー装置20の端部(例えば、
図3に示されるその最外の又は最下の下側縁28)の間に位置している。したがって、言い換えれば、サイレンサー装置20は音声検出領域18を越えて、より具体的には、長手軸Lに沿ってハウジング17を越えて突出する。
【0121】
留意すべきであるが、音声検出領域18とサイレンサー装置20は、図示の場合、直接重ならない、又は言い換えれば音声検出領域18はサイレンサー装置20によって直接遮断されない及び/又は覆われない、というのも携帯電話10のハウジング17がこれらの特徴の間に位置しているからである。
【0122】
対応的に移動可能なサイレンサー装置20はカバー14とは独立して(無関係に)備えられてもよいと理解されたい。その際、それは例えば携帯電話10の後側に移動可能に支持され得る。
【0123】
図4では、サイレンサー装置20の例示の領域の断面図が示されている。ここで、断面の面は長手軸Lと垂直である。示されているものは、サイレンサー装置20が後側30及び前側32を有することである。
図3において、後側30は見ている人に向かい合い、音声検出装置10の外側22に沿って対応的に延びる又はこの外側22のセクションを形成する。
【0124】
他方で、前側32は見る人から離れた方を向き、
図3においてユーザーに向かい合う。特に、それは、
図5に基づいて以下に説明するようにユーザーの口の前に配置できる。
【0125】
前側32及び後側30は同じ種類の又は異なる種類の材料から形成され得る。好ましくは、前側32は音響的に伝達性である。それに代えて、それはここに開示するいずれの吸音構造的特徴を有し得る。後側30のために、音響伝達性は必ずしも必要でない。それに代えて、それは実質的に音響的に非伝達性であってもよく及び/又は一般に閉じられてもよく、場合によっては吸音効果をもたらす。前側32は例えば穿孔されてもよい。しかしながら、それは滑らかであり、したがって消毒を可能にするために容易に拭くことができる。
【0126】
前側32及び後側30はそれらの間にサイレンサー構造体34を包囲している。サイレンサー構造体34はまた、前側32及び/又は後側30を形成し又はそれらと一体的に形成され得る。サイレンサー構造体34は好ましくは規則的なパターンのスペースと材料部分(例えば、壁)を有し、音波を受容して、それら音波を音響減衰的にその構造内で案内し、特にそれらを吸収することができる。特に好ましくは、サイレンサー構造体34はメタマテリアル及び/又はここに開示する構造的特徴のいずれをも有し又はそれ(それら)から成る。
【0127】
好ましい変形例では、前側32(特にサイレンサー構造体34と一体的に形成されるとき)は、ここに開示する種類の平らでない表面、例えば波形の又は鋸歯状の表面(又は対応的に波形の又は鋸歯状の高さプロフィールを有する表面)を含む。加えて又はそれに代えて、表面は繊維質のテクスチャー(生地・質感)を有してもよく、すなわち例えば多数の突出した繊維質の材料部分を有してもよく、それらは例えばある種の繊維パッド(繊維クッション)を形成する。奥行寸法Tに沿って眺めて、前側32の下に及び/又はそこに合流して、更なる構造的特徴が特にサイレンサー構造体34内に設けられ得る。これらは好ましくはヘルムホルツ共鳴器、溝(チャンネル)又は一般的な開口である。
【0128】
上で説明した構造的特徴の組み合わせはサイレンサー装置20の場合により起こり得るサンドウィッチ状設計とは独立にもたらされると理解され得る。
【0129】
一般に、サイレンサー装置20は平坦な構造を有し、それにより
図4に従って示される厚さTが例えば
図3に従う長さDより明瞭に小さい(例えば、その20%より小さい又は10%より小さい)。
【0130】
図5において、音声検出装置10は
図3に従う第2操作モードで、すなわちユーザー100によって使用された状態で示されている。ここで、大きさの比率及び特にサイレンサー装置20の長さDは、
図3における絵とずれているかもしれない。図示されていないのは、ユーザー100の手であり、その中に彼/彼女が音声検出装置10を保持している。
【0131】
図5における見る人から離れた側の内側11はユーザー100に向き合っており、覆われた音響出力領域16がユーザー100の耳102に載るように位置決めされていることが分かる。同様に隠された音声検出領域18は、他方で、頬の領域に、したがってユーザー100の口104の横であって僅かにその上に位置している。
【0132】
口104はまた、すなわちサイレンサー装置20によって覆われている。それは長手軸Lに沿ってハウジング17の底部から延び、音声検出領域18を越えて口104まで突き出ている。ここで、前側32はユーザー100に向かい合っており、それにより彼/彼女によって生成される音波(すなわち、会話音)がサイレンサー装置20とその中でサイレンサー構造体34に衝突する。
【0133】
平坦なサイレンサー装置20は絶対に長手軸Lと平行に延びる必要はない。その代わりに、それはそこから屈曲したり、携帯電話の後側を含む空間平面に対してユーザー100の方向に傾斜したりしてもよい。この目的のために、それは携帯電話10及び特にカバー14に回動可能に接続し得る。サイレンサー装置20が適切に変形可能なセクションを有すること、例えば固体ジョイント、折り曲げ可能な領域又はヒンジ機構であり得る回転継手を有することも可能である。
【0134】
まとめると、
図1~5は、外側22が特にユーザー100の口104の領域において、少なくとも部分的にサイレンサー装置20によって形成されることを示す。内側11は他方で、音声検出領域18を有する。それはそこで覆われておらず、特に音声検出領域18から離れて位置した内側11の領域をせいぜい形成するサイレンサー装置20によって覆われない。
【0135】
やはり、ユーザー100の口104と音声検出領域18の間のスペース50がサイレンサー装置20によって自由なままとなり、それでユーザー100の会話音の少なくとも一部がサイレンサー装置20によって減衰されないこのスペース50を介して音声検出領域18に到達し得る。他方で、会話音は環境にランダムに放出され得るが、(特にユーザー100の視野から前方にある領域における)サイレンサー装置20に先に到達する。スペース50の位置及び伸長はさらに、以下で
図7に基づく類似のスペース50の議論から明らかになる。
【0136】
図6では、別な実施形態に従う音声検出装置10が示されている。音声検出装置10はヘッドセットとして形成されており、以下で説明するサイレンサー装置20を有する。
【0137】
それ自体公知の方法でユーザー100の頭に位置決めされ得るヘッドセット40が示されている。ここで場合によっては、ヘッドセットはまた、ユーザー100の耳102に直接当接するスピーカーの形態の音響出力領域16を有する。したがって、それはヘッドフォン機能を有する又は複数のヘッドフォンを有するヘッドセットであってもよい。
【0138】
ヘッドセット40から、細長い支持ブラケット又は支持アーム42が延びている。それは耳102の領域から又は音響出力領域16からユーザー100の再び隠れた口104の方向に延びている。支持アーム42に取り付けられているのは、やはりサイレンサー装置20であり、それも接続部分44によって取り付けられている。それはその後支持アーム42に取り付け可能であるように構成されている。例えば、接続部分44は、弾性変形により支持アーム42に押し込まれ得る開いたリングを有し得る。
【0139】
図7では、
図6の描写の極めて単純化された平面図が示されている。再び、ヘッドセット40及び両側に(すなわち、耳102の両側に)位置決めされた音響出力領域16が見える。さらに、口104の方向に延びる支持アーム42が見える。その自由端で、それはマイクロフォン(別個に図示せず)を有する音声検出領域18を有する。さらに、接続部分44及びやはり平坦な設計を有するサイレンサー構造体20が見える。接続部分44から出発して、それは口104まで延び、それにより音声検出領域18は口104とサイレンサー装置20の間に位置決めされている。ゆえに、サイレンサー装置20によって覆われない、音声検出領域18と口104の間のスペース50がある。
【0140】
第1実施形態に戻って、
図7と同様の平面図において、音声検出領域18は接続部分44の領域に位置決めされ得る。したがって、スペース50は、サイレンサー構造体20と口104の間の狭くて細長いスペースとして定められてもよく、それは例えば口104から出発して、支持アーム部分に沿って
図7の音声検出領域18と接続部分44の間に延びてもよい。
【0141】
再び
図6及び7に従う第2実施形態に戻って、サイレンサー装置20はしたがって、少なくとも部分的に、特に口104の前の領域に、装置10の外側22を形成する。音声検出領域18は他方で、特に口104の前に、装置10の内側11の部分を形成する。ゆえに、例えば、真っ直ぐに見たとき人100の視軸に対応する(及び/又はサイレンサー装置20と垂直な)軸に沿って(及び/又は平行に)見ると、それは口104又は人100とサイレンサー装置20の間に位置決めされる。
【0142】
やはり、サイレンサー装置20は
図4の変形例と同様に設計されており、ゆえに、特に口104の前の領域に延びるサイレンサー構造体34の形態の閉じられたサンドウィッチ状の材料層を有する。再び、サイレンサー装置20は一般に平坦な形状で、しかしながら、湾曲した表面として、特に外側11で凹状に湾曲した表面として設計されている。
【0143】
サイレンサー装置20がここで開示されるマイクロフォン18の領域での会話音の集中(収束)を可能とするように、湾曲は選択され得る。この目的のために、湾曲は
図7におけるよりもより明らかであってもよく、サイレンサー装置20は一般に大きめの表面積を有して形成されてもよい。
【0144】
対応する例が
図7と同様の描写で
図7Aに示されている。支持アーム42に再び取り付けられた、対応的により明瞭に湾曲したサイレンサー構造体20が示されている。ユーザー100の口104から生じて、好ましくは見る人に面するサイレンサー装置20の内側で複数回反射した音波が矢印の形状で示されている。音波がマイクロフォン18の領域に収束するように、すなわちそれら音波がそこに集中されるように、これが生じることが分かる。
【0145】
オプションの更なる特徴として、補足のサイレンサー装置21が口104とマイクロフォン18の間に示されている。それは原則として、ここに記載するサイレンサー装置20のバリエーションのいずれかに従って形成され得、特に対応するサイレンサー構造体34を有し得る。一例として、補足のサイレンサー装置21はやはり平坦な構造を有し、湾曲している。これは、マイクロフォン18との対向面が凹状に湾曲するように実現される。対応的に、それは凸状の湾曲によって口104まで延びてもよいが、それは純粋にオプションである。
【0146】
補足のサイレンサー装置21は、収束した音が大部分はマイクロフォン18を介して環境に再放出されることを防止し得る。マイクロフォン18の視野から、口104は補足のサイレンサー装置21によって遮断されているが、集中のために充分な音波がマイクロフォン18に到達できる。
【0147】
サイレンサー装置20及び音声検出領域18は特に口104の領域で重なる。サイレンサー装置20と音声検出領域18の間に他の構成部品がない、特に潜在的な携帯電話などのハウジング部分がないので、この重なりは「直接」と称され得る。ゆえに、言い換えれば、音声検出領域18はサイレンサー装置20によって環境に対して広範囲に遮断されている。したがって、音声検出領域18によって吸収されない会話音はサイレンサー装置20によって減衰され得、より具体的には吸収され得る。
【0148】
図8A-Bでは、第1実施形態に基づく更なる発展形態が示されている。ここでは、音声検出装置10の平面図が示されており、視野の線が
図5における矢印Zに対応する。
図8Bでは、やはりユーザー100の口104の位置が概略的に示されている。上で議論した口104と音声検出装置18の間のスペース50も示されている。
【0149】
図8Aでは、サイレンサー装置20は既に延ばされ、アクティブ位置に(すなわち第1操作モードに)位置している。この場合、サイレンサー装置20は平坦であり、特にハウジング17の後側と平行に延びる。
【0150】
矢印Pで示されるように、ユーザーは力を、特に押圧力をサイレンサー装置20に加えられる。結局、サイレンサー装置20は
図8Bの湾曲した伸長になる。特に、サイレンサー装置20はその際(例えばその前側32で)凹状の湾曲になり、それによりそれは言わばユーザー100の口104の周りに曲がる。サイレンサー装置20が環境に対して口104をより効果的に遮断するので、これは音軽減効果を増大させる。
【0151】
それに代えて、特にヒンジや固いジョイントがそこに設けられるとき、矢印Pの領域での鋭利な屈曲もまた可能である。そのとき、サイレンサー装置20は少なくとも部分的に口104の方向に折り畳まれ得る。
【0152】
会話が終了すると、ユーザーは、その下端28に押圧力を加えることでサイレンサー装置20をその平坦な状態に戻し、次にそれを
図2に従ってカバー14に押し込むことができる。
【0153】
このようにして、
図8Bに従う第3操作モードがもたらされ、そこではサイレンサー装置20が特に効果的な音減衰のために適切に湾曲される(又は場合により曲げられる)。しかしながら同時に、サイレンサー装置20は平坦な状態に戻ることができるので、収納性も保証される。
【0154】
平坦な状態と湾曲した状態の間の交替・変化は、例えば、押圧力Pをサイレンサー装置32の前側の僅かに凸状の湾曲領域に又は一般にそこに例えば設けられた突出した折り目に加えることで実現され得る。ゆえに、押圧力Pによって、この領域が弾性変形されることになり、逆の湾曲又は座屈(例えば、凹状の湾曲又は後側30に突出した折り目)をもたらす又は形成する。この目的のために、サイレンサー装置20は対応的に弾性変形可能な、及び好ましくは金属材料を有してもよい。
【0155】
前述したように、変形例では、固いジョイント又はヒンジが矢印Pの領域に設置され得、それで下端28を有するサブセクションが口18の方向に曲げられ得る又は旋回され得る。
【0156】
最後に、第3実施形態が
図9に示されている。それは好ましくは携帯電話などの通信装置に適しており、そのハウジング17が再び示されている。この場合、ハウジング17の後側が見える。(例えば再び部分内での又はそこに延びるカバーの一部分での)ハウジングの(
図9において見る人から離れる)側方縁に、サイレンサー装置20は配置され又はそこに固定され、ゆえに(例えばカバーを介して)少なくとも間接的にハウジング17に接続している。
【0157】
収縮した状態では(不図示)、サイレンサー装置20は、(
図9における見る人から離れる側の)側方縁の領域に位置決めされ得、例えばハウジング17の前側を横断して延び得る。
【0158】
図示した伸びた状態では、サイレンサー装置20は一種の湾曲したボウル形状の構造を形成する。より具体的には、サイレンサー装置20は扇状に(ファン状に)構成されており、複数のファン要素(扇要素)110を有する。これらは共通の回転ジョイント112にそれぞれ接続しており、共通の回転軸Rの周りにそれぞれ回転可能である。それらは、例えばハウジング17の側方縁から出発して湾曲した運動軸Wに沿って回転軸Xの周りに回転可能である。しかしながら、その工程において、それらは好ましくはそれぞれの直接隣接するファン要素110と接触したままである。これにより、好ましくは閉じた構造が生じる。
【0159】
ファン要素110は、
図9において異なる、一般に左から右に増加する運動量で運動軸Wに沿って側方縁17から離れて移動できる。
【0160】
ゆえに、ファン要素110は凹状に湾曲した前側32によってユーザーの口104を取り囲み、従って特に効果的に会話音を捕え、吸収することができる。さらに、このバリエーションによっても、ここに開示する収束効果が実現され得、ファン要素110は放物線状に反射及び集中することができる。
【0161】
回転ジョイント112には、運動軸Wに沿ってファン要素110を移動させるように設計されたアクチュエーター(電気モーター)が設けられてもよい。好ましくは、それはそれらファン要素を示された位置に反対方向に移動させ、サイレンサー装置20を非アクティブな状態に戻す。
【0162】
音声検出領域18(不図示)は再び、この音声検出装置10の内側11の部分(セクション)を形成する。サイレンサー装置20の凸状に湾曲した後側30が、少なくとも部分的に、装置10の外側22を形成する。
【0163】
以下では、サイレンサー装置20の例示の表面設計と、特にその可能なサイレンサー構造体34と、サイレンサー装置20の別なデザインを
図10A-10Eに基づいて説明する。特に、会話音の吸収のために利用できる構造要素を説明する。これらはそれぞれ複数の部分(セクション)の図、すなわち単に、明らかに大きめの表面積の部分図又は断面図である。場合により生じ得るこの表面の湾曲は図示されていないが、やはり設けられ得る。
【0164】
図10Aでは、サイレンサー装置20の一部が示されており、ユーザー100に向かい合う内側11が見える。サイレンサー装置20は、単に例示的に、規則的な格子で配置され互いに空間的に割り当てられた複数の構造要素202,204の複数の群200を有するサイレンサー構造体34を有する。全ての群200(全部で6)と構造要素202,204がそれら自体の参照番号によって指定されていない。
【0165】
各群200は、第1構造要素としての振動音響要素202と、第2構造要素の少なくとも一部としての開口204を有する。それは好ましくはヘルムホルツ共鳴器の又は迷路状溝(チャンネル)の一部であり、サイレンサー装置20内のその伸長が破線で示されており、実際の第2構造要素を形成する。
【0166】
単に一例として、サイレンサー構造体34は2つの層で形成されており、それで第2構造要素204の製造が簡易化され、例えば第1構造要素202の製造とは独立してその実施が可能となる。
【0167】
第1構造要素202及び第2構造要素204は重なり合って位置している。それらは好ましくは様々な周波数範囲で音減衰を実施するよう構成されている。これは、吸音効果が主に関連する周波数範囲に割り当てられ得ること(例えば、そこで最大値に達すること又はそれが持続的に最小減衰より上にあること)、及び構造要素202,204の2つの周波数範囲が互いに異なることを意味すると理解できる。
【0168】
図10Bでは、
図4と同様な、しかしながら、回転した向きで(
図4と比べて回転した深さ寸法Tを有する)サイレンサー装置20の断面図が示されている。サイレンサー構造体34は連続する複数の異なる材料層として形成されている。その前側32及び後側30に、それは材料膜又は材料層203をそれぞれ有し、材料膜又は材料層203は上のサイレンサー構造体34のいずれかと同様に形成されており及び/又は多孔材料層であってもよい。その間に、音伝達を減少させ得る中空チャンバー部分206が位置決めされている。中空チャンバー部分206は希ガスや気体混合物(例えば空気)で満たされてもよい。個々の層203,206の厚さa,b,cは、音減衰の望ましい(主な)周波数範囲に依存して選択され得る。
【0169】
図10C-10Eでは、サイレンサー装置20の及び特にそのサイレンサー構造体34の及び/又は前側32の表面の高さプロフィールが示されている。これらは、音減衰のための構造的特徴としての凸凹な表面の例である。ここで、矢印はこれらの表面による衝突する会話音の乱反射を示す。これは音軽減の消失をもたらし得る。
【0170】
図10Cでは、アブソーバーウェッジ(吸収体楔)210が構造要素として示されている。アブソーバーウェッジ210は相互に捩じられ(回転され)、紙面に傾斜した長方形のアブソーバーウェッジ210の側面が見える。個々のアブソーバーウェッジ210の寸法a,bは広帯域の音減衰を実現するために変更可能である。
【0171】
図10Dでは、不規則な高さプロフィールと、特に巨視的な表面粗さが構造要素として示されている。この場合、特に、滑らかな表面部分が設けられていない、又は少なくとも、対応する滑らかな表面部分が例えばそれらの長さ及び/又は大きさに関して許容される最大値より小さいとみなされる。
【0172】
図10Eでは、異なって突き出た連続する表面部分212が構造要素として示されている。単に例示的に、これらは柱状に図示されており、互いに一体化して接続されてもよい。この場合でも、寸法、特に環境に面するこれらの個々の表面部分212の外側表面は変更可能である。
【符号の説明】
【0173】
10 音声検出用の装置
11 内側
18 音声検出領域
19 マイクロフォン
20 サイレンサー装置
22 外側
30 後側
32 前側
34 サイレンサー構造体
100 話している人
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
話している人(100)の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置(10)であって、
-内側(11)及び外側(22);
-マイクロフォン(19)を有する音声検出領域であって、その少なくとも一部が前記内側(11)に向いている又は前記内側(11)を形成する音声検出領域(18);及び
-サイレンサー装置(20)であって、その少なくとも一部が前記装置(10)の外側(22)に向いている又は前記外側(22)を形成するサイレンサー装置(20)、を有し、
前記サイレンサー装置(20)は、
人に向かい合う前側(32)、後側(30)及びサイレンサー構造体(34)を有し、当該サイレンサー構造体の少なくとも一部が前記前側(32)と前記後側(30)の間に延在
し、
前記サイレンサー装置(20)は少なくとも1つの振動音響領域を有し、及び/又は前記サイレンサー装置(20)は少なくとも部分的に、前記前側(32)に、複数の突出する繊維質の材料部分を有する繊維質の表面テクスチャーを有する、音声検出用の装置(10)。
【請求項2】
前記サイレンサー装置(20)は平坦な構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項3】
前記サイレンサー装置(20)は少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cmの長さ(D)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項4】
前記サイレンサー装置(20)が少なくとも部分的に前記人(100)の口(104)の前に位置決め可能である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項5】
前記サイレンサー装置(20)は、前記人(100)により生成された会話の音波を少なくとも部分的に所定の領域に集中するように構成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項6】
前記サイレンサー装置(20)は、平らでない表面を有する、前記人(100)に向かい合う領域を有する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項7】
前記サイレンサー装置(20)はヘルムホルツ共鳴器を有する、ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項8】
前記サイレンサー装置(20)は複数のアブソーバーウェッジ(210)を有する、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項9】
前記サイレンサー装置(20)は角のある延伸を有する複数の溝を有する、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項10】
前記振動音響領域は複数の振動音響要素(202)を有し、前記振動音響要素(202)はそれぞれ、請求項
7に従うヘルムホルツ共鳴器の領域に又は請求項
9に従う溝の領域に位置決めされている、ことを特徴とする
請求項1~9のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項11】
前記サイレンサー装置(20)は、前記サイレンサー構造体(34)に機械的に接続した少なくとも1つの材料層を有し、前記材料層の重量が前記サイレンサー構造体(34)の重量より大きい、ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項12】
前記サイレンサー構造体(34)はメタマテリアルを有する、ことを特徴とする請求項1~
11のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項13】
前記サイレンサー装置(20)は、第1周波数範囲での音減衰のために設計された第1領域と、当該第1領域と重ならない又は少なくとも完全には重ならない第2周波数範囲での音減衰のために設計された少なくとも1つの更なる領域を有する、ことを特徴とする請求項1~
12のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項14】
前記音声検出領域(18)及び前記サイレンサー装置(20)が少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項1~
13のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項15】
音響出力領域(16)をさらに有し、
少なくとも第1操作状態において、前記音声検出領域(18)は、長手軸(L)に沿って見て、前記音響出力領域(16)と前記サイレンサー装置(20)の少なくとも部分(28)の間に位置決めされる、ことを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項16】
前記サイレンサー装置(20)は、前記音声検出領域(18)を有する前記装置(10)のハウジング(17)に対して移動可能であり、それにより第2操作状態において、前記サイレンサー装置(20)は前記長手軸(L)に沿って前記ハウジング(17)から前記第1操作状態におけるよりも少なめに突出するか、全く突出しない、ことを特徴とする請求項
15に記載の音声検出用の装置(10)。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載の装置(10)用のサイレンサー装置(20)。
【請求項18】
話している人(100)の頭に又は頭の近くに位置決め可能な音声検出用の装置(10)であって、
-マイクロフォン(19)を有する音声検出領域(18);及び
-前記人(100)の口(104)の前に位置決め可能なサイレンサー装置(20)、を有し、
しかも、
-前記音声検出領域(18)は少なくとも部分的に前記サイレンサー装置(20)と前記口(104)の間に配置されており;及び/又は
-前記口(104)と前記音声検出領域(18)の間のスペース(50)が少なくとも部分的に前記サイレンサー装置(20)によって遮断され
ず、
前記サイレンサー装置(20)は少なくとも1つの振動音響領域を有し、及び/又は前記サイレンサー装置(20)は少なくとも部分的に、前記人に向かい合う前側(32)に、複数の突出する繊維質の材料部分を有する繊維質の表面テクスチャーを有する、音声検出用の装置(10)。
【国際調査報告】