(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-15
(54)【発明の名称】ブレーキングを実行するために触覚アクチュエータを制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526373
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020058559
(87)【国際公開番号】W WO2021096718
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エスカンダリー,ペイマン ケー
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA08
5E555BB08
5E555BC04
5E555CA13
5E555CA44
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
触覚対応システム、非一時的コンピュータ可読媒体、及び、触覚アクチュエータを制御するための方法が提示される。触覚対応システムは、触覚アクチュエータ、動きセンサ、及び制御回路を備える。制御回路は、駆動信号の駆動部分を発生させるように構成され、触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを発生させるために駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータに印加するように構成され、触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを決定する(例えば、測定する)ように構成され、動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定するように構成され、時間変動訂正信号と定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、駆動信号のブレーキング部分を発生させるように構成され、及び、駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加するように構成される。多数の他の態様が提供される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚対応システムであって、
触覚アクチュエータと、
動きセンサと、
制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
駆動信号の駆動部分を発生させることと、
前記触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを発生させるために、前記駆動信号の前記駆動部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、
前記動きセンサを介して、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きを決定することと、
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きに基づいて、前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定することと、
前記時間変動訂正信号と、前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、前記駆動信号のブレーキング部分を発生させることと、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、を行うように構成される、触覚対応システム。
【請求項2】
前記定義されたオフセットは、初期のオフセット値から前記触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値に向けて経時的に減少する、時間変動オフセットである、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値と前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値との中間点又はほぼ中間点として、前記初期オフセット値を決定するように構成され、
前記触覚アクチュエータが前記無励磁状態に戻る前記信号値は、前記定義された定格最小信号値又はほぼ前記定義された定格最小信号値である、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記時間変動訂正信号の信号値、及び前記時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値を追加することによって、
前記時間変動訂正信号と前記定義されたオフセットとの前記組み合わせを決定するように構成される、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項5】
ユーザ入力デバイスと、
前記ユーザ入力デバイスを取り付けるためのサスペンション構造と、を更に備え、
前記駆動信号の前記駆動部分によって動きが発生する前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分は、前記ユーザ入力デバイス又は前記サスペンション構造のうちの少なくとも1つを含み、その結果、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の動きが、前記ユーザ入力デバイス又は前記サスペンション構造のうちの前記少なくとも1つの動きを含む、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項6】
前記駆動信号の前記駆動部分を前記触覚アクチュエータに印加することによって発生する前記動きは、前記サスペンション構造の振動である、請求項5に記載の触覚対応システム。
【請求項7】
前記サスペンション構造は弾性的に変形可能な構成要素を含む、請求項5に記載の触覚対応システム。
【請求項8】
前記時間変動オフセットは、正弦関数、指数関数、又は一次関数のうちの少なくとも1つに基づいて、経時的に減少する、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項9】
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値の絶対値は、前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値の絶対値とは異なる、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項10】
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値は、ゼロに等しいか又はゼロより大きい電圧値又は電流値である、請求項9に記載の触覚対応システム。
【請求項11】
前記触覚アクチュエータは、圧電セラミック材料の層を備える、請求項9に記載の触覚対応システム。
【請求項12】
前記動きセンサは、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の加速度を測定するように構成された加速度計であり、
前記制御回路は、前記加速度に基づいて前記時間変動訂正信号を決定するように構成される、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項13】
前記制御回路は、(i)前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記加速度の倍数、及び(ii)前記加速度の積分の倍数の組み合わせに基づいて、前記時間変動訂正信号を決定するように構成される、請求項12に記載の触覚対応システム。
【請求項14】
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きは振動を含み、
前記ブレーキング部分は、前記触覚アクチュエータが実際の平衡位置に戻る前に前記触覚対応システムの1つ以上の部分の前記振動を停止させ、
前記実際の平衡位置は、アクティブ駆動信号が印加されないときの前記触覚アクチュエータの位置である、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項15】
前記制御回路は更に、
前記時間変動訂正信号と平滑化関数に基づく前記定義されたオフセットとの前記組み合わせの少なくとも一部を調整すること、及び/又は、
前記組み合わせの前記少なくとも一部を前記駆動部分の1つ以上の最終信号値により近づくように調整することによって、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を発生させるように構成される、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項16】
調整される前記組み合わせの前記少なくとも一部は、i)前記ブレーキング部分の定義された初期の時間ウィンドウ内にある前記訂正信号の信号値、又はii)前記定義された初期の時間ウィンドウ内にある前記オフセットのオフセット値のうちの、少なくとも1つを含む、請求項15に記載の触覚対応システム。
【請求項17】
命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記命令は、触覚対応システムの制御回路によって実行されたとき、
駆動信号の駆動部分を発生させることと、
前記触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを発生させるために、前記駆動信号の前記駆動部分を触覚アクチュエータに印加することと、
動きセンサを介して、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きを決定することと、
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きに基づいて、前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定することと、
前記時間変動訂正信号と、前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、前記駆動信号のブレーキング部分を発生させることと、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、
を前記制御回路に実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記定義されたオフセットは、初期のオフセット値から前記触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値に向けて経時的に減少する、時間変動オフセットである、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記命令は、前記制御回路によって実行されたとき、
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値と前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値との中間点又はほぼ中間点として、前記初期オフセット値を決定することを、前記制御回路に更に実行させる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記命令は、前記制御回路によって実行されたとき、
前記時間変動訂正信号の信号値、及び前記時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値を追加することによって、前記時間変動訂正信号及び前記定義されたオフセットの前記組み合わせを決定することを、前記制御回路に更に実行させる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を発生させること、
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記駆動部分を前記触覚対応システムの触覚アクチュエータに印加すること、
前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットに基づいて、前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を発生させること、及び、
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加すること、
を含む、触覚対応システムを制御する方法。
【請求項22】
前記触覚アクチュエータによって生じる動きに関連付けられたフィードバックを受信すること、及び、
前記フィードバックに基づいて、前記触覚アクチュエータによって生じる前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定すること、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記ブレーキング部分を発生させることは、前記時間変動訂正信号に更に基づく、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記定義されたオフセットは、正弦波の少なくとも一部に基づいて経時的に減少する時間変動オフセットである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の少なくとも一部を平滑化することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年11月13日出願の「ブレーキングを実行するために触覚アクチュエータを制御するためのシステム及び方法」という名称の米国出願第16/681,938号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、ブレーキングを実行するために触覚アクチュエータを制御するためのシステム及び方法を対象とし、自動車ユーザインターフェースシステム、モバイルコンピューティング、又は任意の他のユーザインターフェースシステムにおける適用例を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 電子ユーザインターフェースシステムがより普及するにつれて、人間がこれらのシステムと対話する際に介するインターフェースの品質がますます重要になってきている。触覚効果は、ユーザにきっかけを提供すること、特定イベントの警告を提供すること、又は、仮想環境内でより大きな感覚的没頭を生み出すために現実的な効果を提供することによって、インターフェースの品質を向上させることができる。触覚効果の例は、運動感覚触覚効果(活性力及び抵抗力効果など)、振動触覚効果、及び静電摩擦触覚効果を含む。触覚効果は、駆動信号を発生させること、及び駆動信号を触覚アクチュエータに印加することによって、発生し得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書における実施形態の一態様は、触覚アクチュエータを制御するための触覚対応システム及び方法に関する。触覚対応システムは、触覚アクチュエータ、動きセンサ、及び制御回路を備える。制御回路は、駆動信号の駆動部分を発生させることと、触覚対応システムの1つ以上の部分の動き(例えば、作動可能部分の動き)を発生させるために駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータに印加することと、動きセンサを介して触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを決定することと、触覚対応システムの1つ以上の部分の動きに基づいて、動きを減少させるための(例えば、作動可能部分の動きを減少させるための)時間変動訂正信号を決定することと、時間変動訂正信号と、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、駆動信号のブレーキング部分を発生させることと、駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加することと、を行うように構成される。
【0005】
[0005] 本明細書における実施形態の一態様は、触覚対応システムを制御するための方法に関する。方法は、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を発生させること、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を触覚対応システムの触覚アクチュエータに印加すること、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットに基づいて、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を発生させること、及び、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加することを含む。多数の他の態様が提供される。
【0006】
[0006] 当業者であれば、添付の図面を参照する下記の詳細な説明を読むことによって、本明細書の実施形態の特徴、目的、及び利点が明らかとなろう。
【0007】
[0007] 本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面に示される本明細書の実施形態の下記の説明から明らかとなろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、更に、本発明の原理を説明する働き、及び、当業者が本発明を作成及び使用できるようにする働きをする。図面は一定の縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】[0008]本明細書の一態様に従った、触覚効果を発生させるための触覚対応システムを示すブロック図である。
【
図1B】[0009]本明細書の一態様に従った、触覚効果を発生させるためのモジュールを示すブロック図である。
【
図1C】[0009]本明細書の一態様に従った、触覚効果を発生させるためのモジュールを示すブロック図である。
【
図1D】[0010]本明細書の一態様に従った、触覚効果を発生させるための触覚対応システムを示すブロック図である。
【
図2】[0011]本明細書の一態様に従った、触覚対応システムの作動可能部分の例を示す図である。
【
図3】[0011]本明細書の一態様に従った、触覚対応システムの作動可能部分の例を示す図である。
【
図4】[0012]本明細書の一態様に従った、例示的触覚アクチュエータを示す図である。
【
図5】[0013]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号を示す図である。
【
図6A】[0014]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図6B】[0014]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図7A】[0015]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図7B】[0015]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図8】[0016]本明細書の一態様に従った、駆動信号のブレーキング部分を発生させるために触覚アクチュエータを制御するための例示的方法を示すフローチャートである。
【
図9A】[0017]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図9B】[0017]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図10A】[0018]本明細書の一態様に従った、時間変動オフセットの例を示す図である。
【
図10B】[0018]本明細書の一態様に従った、時間変動オフセットの例を示す図である。
【
図11A】[0019]本明細書の一態様に従った、触覚アクチュエータの実際の平衡位置及び仮想平衡位置をそれぞれ示す図である。
【
図11B】[0019]本明細書の一態様に従った、触覚アクチュエータの実際の平衡位置及び仮想平衡位置をそれぞれ示す図である。
【
図12A】[0020]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図12B】[0020]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図13A】[0021]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【
図13B】[0021]本明細書の一態様に従った、例示的駆動信号及び駆動信号によって生じる加速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0022] 下記の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明又は本発明の適用及び使用を限定することは意図されていない。更に、先行する技術分野、背景、概要、又は下記の詳細な説明に提示される、いずれの明示的又は暗黙的理論によっても制約される意図はない。
【0010】
[0023] 本明細書における実施形態の一態様は、オフセットを使用して駆動信号のブレーキング部分を発生させることに関する。場合によっては、駆動信号は、触覚効果のための動き(例えば、振動)を生じさせるために、触覚アクチュエータに印加される駆動部分を有し得る一方で、ブレーキング部分は、駆動部分が終了した後に残る残余運動を減少させるために、触覚アクチュエータに印加され得る。残余運動は、金属構造が触覚アクチュエータによって駆動されるときなどの、様々な状況に関連し得る。金属構造は、低レベルの抑制を有し得、したがって、効果的なブレーキング部分が印加されない限り、高レベルの残余運動を経験し得る。
【0011】
[0024] いくつかの態様において、ブレーキング部分は、訂正信号に対するオフセットを組み合わせること(例えば、追加、重ね合わせ、変調、及び/又はその他)によって、発生し得る。訂正信号は、例えば、残余運動を減少させるために、閉ループ制御を使用して発生する信号であり得る。しかしながら訂正信号自体は、触覚アクチュエータが、不対称触覚アクチュエータと呼ばれる場合もある非対称な触覚アクチュエータであるときなど、場合によっては十分に効果的ではない場合がある。不対称触覚アクチュエータは、例えば、単極性駆動信号のみで、又は不対称双方向駆動信号で動作するように設計された、触覚アクチュエータであり得る。言い換えれば、不対称触覚アクチュエータは、特定の極性(例えば、負の極性)のすべての信号値を除外するか、又は、より一般的にはほぼゼロの駆動信号値で対称ではない、信号ドメインを有し得る。訂正信号は、不対称触覚アクチュエータの信号ドメイン外の信号値を有し得る。例えば訂正信号は、信号ドメインの外側の極性(例えば、負の極性)を有する信号値を有し得る。訂正信号のこれらの信号値は、不対称触覚アクチュエータに、特定方向の変位及び/又は力を出力させることを意図し得るが、これらの信号値は、触覚アクチュエータの信号ドメインの外側にあるため、触覚アクチュエータにとって有用ではない場合がある。場合によっては、不対称触覚アクチュエータは、その平衡位置に対して特定の方向の変位を出力できないか、又はそのように試みると損傷を受ける場合がある。
【0012】
[0025] 場合によっては、訂正信号をオフセットと組み合わせることによって、触覚アクチュエータの信号ドメイン内にある可能性が高い、ブレーキング部分についての信号値を発生させ得る。例えば、信号ドメインがゼロより大きいか又は等しい信号値のみを含んでいた場合、訂正信号にオフセットを追加することで、同じくゼロより大きいか又は等しい可能性が高い信号値を生み出し得る。場合によっては、訂正信号にオフセットを追加することで、仮想平衡位置も確立し得る。より具体的には、触覚アクチュエータは、アクティブ駆動信号が触覚アクチュエータに印加されていないときなどの無励磁状態にある触覚アクチュエータに関連付けられた、実際の平衡位置を有し得、アクティブ駆動信号とは、大きさが背景雑音を超える非ゼロ信号値を有する駆動信号を指す。仮想平衡は、エネルギーの正味の量が触覚アクチュエータに送達されている、触覚アクチュエータの励磁状態に関連付けられ得る。これらの場合、触覚アクチュエータは、仮想平衡位置に対して双方向に変位を出力し得る。結果として、オフセットの使用を介してこの仮想平衡位置を確立するブレーキング部分は、前述の残余運動をブレーキングする際により効果的であり得る。
【0013】
[0026] いくつかの態様において、オフセットは経時的に減少する時間変動オフセットであり得る。オフセットは、エネルギーの正味の量を触覚アクチュエータに送達するDCオフセット又はDCバイアスとして働き得るため、触覚アクチュエータはエネルギーを経時的に蓄積し得、これが過熱又は他の原因を介して触覚アクチュエータに損傷を起こし得る。したがって、オフセットは経時的に減少され得る。例えばオフセットは、初期オフセット値から、触覚アクチュエータが無励磁状態に戻ることになる信号値に向けて減少され得る。触覚アクチュエータが無励磁状態に戻るこの信号値は、例えば、ゼロ又はほぼゼロの電圧値又は電流値であり得、信号値は、その大きさが背景雑音のレベルに等しいか又は小さいときにほぼゼロであり得る。オフセットが減少するにつれて、触覚アクチュエータはその仮想平衡位置からその実際の平衡位置へと運ばれ得る。
【0014】
[0027] いくつかの態様において、駆動部分の終わりとブレーキング部分の始まりとの間の鮮鋭な不連続を避けるために、平滑化関数が使用され得る。平滑化関数は、例えば、結果として生じるブレーキング部分の初期部分を駆動部分の終わりの値に近づけるように、訂正信号の初期信号値及び/又は初期オフセット値を調整し得る。
【0015】
[0028]
図1Aは、駆動信号を発生させるために、又はより具体的には駆動信号のブレーキング部分を発生させるためにオフセットを使用することによって、触覚アクチュエータ120を制御するように構成された、触覚対応システム100を示す。いくつかの態様において、触覚対応システム100は、ユーザインターフェースシステム又はユーザインターフェースシステムの一部であり得る。例えば、ユーザインターフェースシステムは、車両の中央コンソールに配設されたインフォテインメントシステム又はインフォテインメントシステムの一部であり得、触覚対応システム100は、中央コンソール又は別のロケーションにおいてインフォテインメントシステムのための触覚効果を発生させるように構成され得る。場合によっては、ユーザインターフェースシステムは、ハンドヘルドユーザインターフェースデバイスなどの、スタンドアロンデバイス(例えば、ユーザインターフェースデバイスと呼ばれ得る)を形成し得る。ハンドヘルドユーザインターフェースデバイスは、例えば、モバイルフォン、タブレットコンピュータ、又はゲームコントローラを含み得る。
【0016】
[0029]
図1Aに示されるように、触覚対応システム100は、制御回路110、触覚アクチュエータ120、動きセンサ130、及び非一時的コンピュータ可読媒体140を含み得る。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120は、駆動信号(例えば、電圧信号又は電流信号)が触覚アクチュエータ120に印加させるのに応答して、変位及び/又は力を出力する(例えば、発生させる)ように構成され得る。非ゼロ駆動信号値は、触覚アクチュエータ120を無励磁状態から励磁状態へと駆動するように、エネルギーを触覚アクチュエータ120に送達し得る。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120は、アクティブ駆動信号値が触覚アクチュエータ120に印加されないとき(例えば、ゼロの駆動信号値が触覚アクチュエータ120に印加されるとき)、即時又は徐々に無励磁状態に戻り得る。場合によっては、触覚アクチュエータ120は、非対称の信号ドメイン(非対称又は不対称の信号ドメインとも呼ばれる)を有し得る。例えば、それらの場合の触覚アクチュエータ120は、圧電アクチュエータ又は電気活性高分子(EAP)アクチュエータなどのスマート材料アクチュエータであり得るか、又はソレノイドアクチュエータであり得る。場合によっては、触覚アクチュエータ120は、対称の信号ドメイン(対称信号ドメインとも呼ばれる)を有し得る。例えばこうした場合の触覚アクチュエータ120は、線形共鳴アクチュエータ(LRA)であり得る。非対称及び対称信号ドメインは、下記でより詳細に考察する。
【0017】
[0030] いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120からの力及び/又は変位は、触覚対応システム100の1つ以上の部分の、又はより一般的には、触覚対応システム100に関連付けられた1つ以上の部分の、動き(振動)を発生させ得る。触覚アクチュエータ120によって動きが発生する1つ以上の部分の各々は、例えば、作動可能部分、作動可能構成要素、又は作動可能構造と呼ぶことができる。例えば
図1Aは、作動可能部分150上で触覚アクチュエータ120によってもたらされる力及び/又は変位の結果として動きを経験し得る、作動可能部分150を示す。いくつかの態様において、作動可能部分150は、触覚効果を出力するために、触覚アクチュエータ120の力及び/又は変位によって作動する構造であり得る。場合によっては、作動可能部分150は、機械的に触覚アクチュエータ120に結合され得る。例えば、触覚アクチュエータ120によって発生した力及び/又は変位は、作動可能部分150を振動させ得る。場合によっては、作動可能部分は、下記でより詳細に考察するように、ユーザ入力デバイス(例えば、ディスプレイデバイス、又はより具体的にはタッチスクリーンデバイス)、及び/又は、ユーザ入力デバイスを取り付けるために使用される取り付け構造(例えば、サスペンション構造)を含み得る。場合によっては、作動可能部分150は、少なくとも部分的に、自動車環境又は何らかの他の環境に対して作動可能部分150の耐久性を強化し得る金属から形成される、金属構造を含み得る。作動可能部分150がユーザ入力デバイスを含む場合、ユーザ入力デバイスは、場合によっては、ユーザ入力デバイスに組み込まれた、制御回路110、触覚アクチュエータ120、動きセンサ130、及び/又は非一時的コンピュータ可読媒体140のうちの、1つ以上を含み得る。いくつかの態様において、作動可能部分150は、
図1Aに示されるように触覚対応システム100の一部であり得る。他の態様において、作動可能部分150は触覚対応システム100から分離され得る。例えば、こうした態様における作動可能部分150は、触覚対応システム100と接触する構成要素であり得る。
【0018】
[0031] いくつかの態様において、制御回路110は、触覚アクチュエータ120と通信し得、また、触覚アクチュエータ120を駆動させるための駆動信号を発生させるように構成され得る。場合によっては、制御回路110は、増幅器、又はより一般的には、駆動信号についてのあるレベルの電圧又は電流を発生させるように構成された、駆動回路を含み得る。いくつかの態様において、制御回路120は、1つ以上のプロセッサ又はプロセッサコア、プログラマブル論理アレイ(PLA)又はプログラマブル論理回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、又は任意の他の制御回路を含み得る。制御回路120がプロセッサを含む場合、プロセッサは、汎用プロセッサ(例えば、車両のインフォテインメントシステムを動作させるように構成された汎用プロセッサ、あるいは、モバイルフォン又はタブレットコンピュータ上の汎用プロセッサ)であり得るか、又は、触覚効果を発生させる専用のプロセッサであり得る。いくつかの態様において、制御回路110は、下記でより詳細に考察するように、動きセンサ130からのデータに基づいて触覚アクチュエータ120を制御するように構成され得る。
【0019】
[0032] いくつかの態様において、動きセンサ130は、触覚対応システム100の1つ以上の部分の動き、変位、速度、加速度、又は何らかの他の動き(例えば、作動可能部分150の動き)の特徴を、測定又は他の方法で感知するように構成され得る。場合によっては、動きセンサ130によって測定される動きは、駆動信号の駆動部分によって生じる動き、及び、駆動信号の駆動部分の終わりの後に残る動きであり得る、残余運動を含み得る。動きセンサ130は、例えば、触覚対応システムの1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)及び/又は触覚アクチュエータ120に、機械的に結合され得る。一例において、動きセンサ130は、触覚対応システム100の1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)の変位を感知するように構成された、位置センサ(例えば、電位差計)であり得る。一例において、動きセンサ130は、触覚対応システムの1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)の加速度を感知するように構成された、加速度センサ130(加速度計とも呼ばれる)であり得る。例えば、動きセンサ130は、ばね質量ベースの加速度センサ、圧電ベースの加速度計センサ、微細加工マイクロ電気機械(MEMS)加速度センサ、又は、任意の他のタイプの加速度センサであり得るか、又はこれらを含み得る。
【0020】
[0033] 一実施形態において、非一時的コンピュータ可読媒体140は、制御回路110によって実行可能な命令を記憶すること、触覚アクチュエータ120を記述する情報を記憶すること、及び/又は、触覚効果を記述する情報(例えば、触覚パラメータのパラメータ値又は波形)を記憶することが可能である。非一時的コンピュータ可読媒体140は、例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、テープドライブ、又は任意の他の記憶デバイスを含み得る。
【0021】
[0034] 前述のように、制御回路110は、触覚アクチュエータ120のための駆動信号を発生させるように構成され得る。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120のための駆動信号を発生させることは、駆動信号の駆動部分を発生させること、及び、駆動信号のブレーキング部分を発生させることを含み得る。駆動信号の駆動部分は、触覚効果のための動きを生み出すこと又は発生させることが意図され得る一方で、駆動信号のブレーキング部分は、触覚効果を停止するように、いずれの残余運動も停止することが意図され得る。前述のように残余運動は、駆動部分によって生み出される動き、及び、駆動部分の終わりの後に残る動きであり得る。すなわち、残余運動は、駆動部分が停止した後に残る。
図1Bは、駆動モジュール142及びブレーキングモジュール144を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体140Aを有する例を示す。非一時的コンピュータ可読媒体140Aは、非一時的コンピュータ可読媒体140の一実施形態であり得る。駆動モジュール142及びブレーキングモジュール142は、各々、例えば制御回路110によって実行可能な、関数、ライブラリ、又はより一般的には命令のセットであり得る。いくつかの態様において、制御回路110は、駆動信号の駆動部分を発生させるために駆動モジュール142を実行し得、及び、駆動信号のブレーキング部分を発生させるためにブレーキングモジュール144を実行し得る。こうした例では、制御回路110は、初期に駆動モジュール142を実行し、その後、ブレーキングモジュール144の実行に切り替え得る。いくつかの態様において、制御回路110は、下記でより詳細に考察するように、駆動部分の終わりとブレーキング部分の始まりとの間のいずれの鮮鋭な不連続をも減少及び/又は防止する、平滑化関数を適用するように構成され得る。
【0022】
[0035] いくつかの態様において、制御回路110は、
図1Cに示される触覚アクチュエータモデル141などの触覚アクチュエータ120を記述する情報に基づいて、駆動信号の駆動部分を発生させるように構成され得る。より具体的には、
図1Cは、駆動モジュール142A、触覚アクチュエータモデル141、及び所望の動き記述143を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体140B(非一時的コンピュータ可読媒体140Aの一実施形態であり得る)を示す。いくつかの態様において、駆動モジュール142Aは駆動モジュール142の一実施形態であり得、制御回路110は、触覚アクチュエータモデル141及び/又は所望の動き記述143に基づいて、駆動信号の駆動部分を発生させるように駆動モジュール142Aを実行し得る。
【0023】
[0036] いくつかの態様において、所望の動き記述143は、1つ以上の触覚効果についての所望の動きの記述であり得る。例えば、所望の動きが触覚効果のための所望の加速度を指す場合、記述143は、触覚効果のための所望な加速度波形を記述する、基準加速度プロファイルを含み得る。所望の動き記述143は、追加又は代替として、触覚パラメータのパラメータ値を含み得る。例えば、所望の動きが発振運動(例えば、振動)を含む場合、触覚パラメータは、発振運動におけるピーク数、発振運動のピーク間加速度又は速度、及び/又は、運動の周波数を示し得る。
【0024】
[0037] いくつかの態様において、触覚アクチュエータモデル141は、例えば触覚アクチュエータ120の遷移挙動を記述するモデルであり得る。場合によっては、モデルは、触覚アクチュエータ120の機械的遷移特徴又は電気的遷移特徴を記述する値を含み得る。場合によっては、触覚アクチュエータモデル141は、信号値を駆動させるための触覚効果についての所望の動きに関する、逆伝達関数を含み得る。例えば、所望の動きが所望の加速度波形(例えば、adesired(t))を含む場合、逆伝達関数は、所望の加速度波形を駆動信号(例えば、d(t))に、又はより具体的には駆動信号値に変換するように構成され得る。触覚アクチュエータモデルは、2019年1月17日出願の「METHOD AND DEVICE FOR PERFORMING ACTUATOR CONTROL BASED ON ACTUATOR MODEL」という名称の米国特許出願第16/250,494号(代理人整理番号第IMM738号)で、より詳細に考察され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
[0038] いくつかの態様において、制御回路110は、(例えば、駆動モジュール142及び/又は駆動モジュール142Aを実行するときに)、触覚アクチュエータモデル141に基づいて完全に開ループ様式(例えば、フィードフォワード様式とも呼ばれる)で、又は、開ループ制御及び閉ループ制御を組み合わせるハイブリッド様式で、駆動信号の駆動部分を発生させ得る。こうした制御のハイブリッド様式は、触覚アクチュエータモデル141に基づいて初期駆動部分を発生させ得、その後、触覚アクチュエータ120のための駆動信号の調整された駆動部分を発生させるように、例えば動きセンサ130による測定に基づいて、初期駆動部分を調整し得る。駆動信号の駆動部分を発生させることは、米国特許出願第16/250,494号、及び、2019年9月25日出願の「触覚アクチュエータを制御するためのシステム及び方法」という名称の米国特許出願第16/581,992号(代理人整理番号第IMM789号)で、より詳細に考察され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
[0039] いくつかの態様において、制御回路110は、閉ループ制御に基づいて駆動信号のブレーキング部分を発生させるように構成され得る。場合によっては、下記でより詳細に考察するように、制御回路110は、作動可能部分150の動き(例えば、作動可能部分150の残余運動)を減少させるなどの、触覚対応システム100の1つ以上の部分の動きを減少させるための訂正信号を発生させるように、並びに、訂正信号に基づいてブレーキング部分を発生させるように、構成され得る。制御回路110は、例えば駆動部分が終了したか又はほぼ終了するときに、訂正信号を発生させ得る。場合によっては、閉ループ制御は、訂正信号を発生させるために使用され得る。例えば閉ループ制御は、比例積分微分(PID)制御を含み得る。
図1Cは、PID制御に基づいて訂正信号を発生させるように構成されたPIDモジュール145を有する、ブレーキングモジュール144の一実施形態であり得る、ブレーキングモジュール144Aを示す。一例において、訂正信号は、駆動部分の終わりの後に、作動可能部分を静止状態に戻すように、例えば作動可能部分150の残余運動を減少させることが意図され得る。静止状態とは、例えば、触覚対応システムの1つ以上の部分の速度及び/又は加速度、例えば、作動可能部分150がゼロであることを指すことができる。いくつかの態様において、PID制御は、作動可能部分150の残余運動と静止状態との間の差に基づいて、訂正信号を発生させることを含み得る。例えばPID制御は、下記でより詳細に考察するように、その差の比例、その差の微分、及び/又はその差の積分(例えば、その差の積分の倍数)に基づき得る。場合によっては、PID制御は、残余運動を示す動きセンサ130からの測定値に基づき得る。
【0027】
[0040] 前述のように、いくつかの態様において、作動可能部分150はユーザ入力デバイス及び/又は取り付け構造を含み得る。
図1Dは、作動可能部分150Aがユーザインターフェースデバイス151及び取り付け構造152を含む、触覚対応システム100Aを示す。触覚対応システム100A及び作動可能部分150Aはそれぞれ、触覚対応システム100及び作動可能部分150の実施形態であり得る。いくつかの態様において、ユーザ入力デバイス151は、タッチパッド又はタッチスクリーンデバイスなどの、タッチ入力デバイスであり得る。いくつかの態様において、取り付け構造152は、ユーザ入力デバイス151を車両の中央コンソール又はダッシュボードなどのその環境に取り付ける構造であり得る。場合によっては、取り付け構造152は、ユーザインターフェースデバイス151のためのサスペンション(例えば、サスペンション構造とも呼ばれる)を含むか又は形成し得る。
【0028】
[0041] いくつかの態様において、取り付け構造152は、1つ以上の金属屈曲構造などの、1つ以上の屈曲構造(例えば、屈曲部とも呼ばれる)を形成し得る。1つ以上の屈曲構造の各々は、触覚アクチュエータ120によって発生した力の結果として、曲げ(例えば、折り曲げとも呼ばれる)などの、弾性変形を受けるように構成され得る。場合によっては、作動可能部分150の動きは、屈曲構造の曲げ又は他の弾性変形を含み得、
図1Aの動きセンサ130によって測定され得る。
【0029】
[0042]
図2は、ユーザ入力デバイス251(例えば、タッチスクリーンデバイス)及び取り付け構造252を含む、例示的触覚対応システム200を示す。触覚対応システム200は、触覚対応システム100/100Aの一実施形態であり得、ユーザインターフェースデバイス251及び取り付け構造252は、それぞれ、
図1Dのユーザインターフェースデバイス151及び取り付け構造152の実施形態、並びに、
図1Aの作動可能部分150の実施形態であり得る。触覚対応システム200は、第1の触覚アクチュエータ220A及び第2の触覚アクチュエータ220Bを更に含み、それら両方は、触覚アクチュエータ220の一実施形態であり得る。場合によっては、第1の触覚アクチュエータ220A及び第2の触覚アクチュエータ220Bは、それぞれ、第1のビーム262A及び第2のビーム262Bに結合及び/又は直接接触し得る。
【0030】
[0043] いくつかの態様において、取り付け構造252は、中央コンソールの上、又は何らかの他のロケーションに、ユーザインターフェースデバイス251を吊るすためのサスペンション構造を形成し得る。
図2の例において、取り付け構造252は、第1のビーム262A及び第2のビーム262Bなどの1つ以上のビームを形成する材料の層262を含む。場合によっては、層262はエラストマ材料から形成され得る。場合によっては、第1のビーム262A及び第2のビーム262が各々金属ビーム(例えば、スチールビーム)であり得るように、層262は金属シートであり得る。第1のビーム262A及び第2のビーム262Bの各々は、例えば、弾性的に変形可能であり得、ユーザ入力デバイス251のためのサスペンション構造の一部を形成し得る。
図2に示されるように、取り付け構造252は、ユーザ入力デバイス251及び材料の層262を分離させる、1つ以上のスペーサ264A、264Bを更に含む。いくつかの態様において、層262は、車両の表面又は何らかの他の表面などの、取り付け表面280に接着可能な、取り付けサポート266に接着可能である。取り付けサポート266及び取り付け表面280は、触覚対応システム200の一部であり得るか、又は、触覚対応システム200から分離していると見なされ得る。
【0031】
[0044] いくつかの態様において、第1のビーム262A及び第2のビーム262Bの各々は、触覚アクチュエータ220A/220Bからの力がビームにかけられたときに、曲がるか又は他の方法で屈曲する屈曲構造を形成し得る。屈曲構造が金属で作られる場合、金属屈曲部と呼ばれ得る。金属屈曲部は、プラスチック又はエラストマ材料などの別の材料よりも多くの耐久性を与え得る。
【0032】
[0045] いくつかの態様において、第1の触覚アクチュエータ220A及び第2の触覚アクチュエータ220Bの各々は、力を発生させ得る変位を出力するように構成され得る。変位は、例えば、触覚アクチュエータ220A/220Bの寸法を変化させる変形を含み得る。例えば、触覚アクチュエータ220A及び220Bは、各々、それぞれの駆動信号に応答して、矢印271A及び271Bによって示される軸に沿って収縮し得る。第1の触覚アクチュエータ220A又は第2の触覚アクチュエータ220Bが収縮するにつれて、それぞれ、第1のビーム262A又は262B上に、ビームを下方に曲げる力(例えば、下方への力)をもたらし得、この力が次にユーザインターフェースデバイス251を引っ張り得る。場合によっては、触覚アクチュエータ262A及び/又は262Bは、ビーム262A及び/又は262Bを繰り返し曲げて緩めるように制御され得、これがビーム262A及び/又は262B内に振動を生み出し得る。振動は、例えば、ユーザ入力デバイス251上でのボタンのクリックをシミュレートするために、触覚効果を形成し得る。
【0033】
[0046]
図3は、ユーザ入力デバイス351(例えば、タッチスクリーンデバイス)及び取り付け構造352を含む、例示的触覚対応システム300を示す。触覚対応システム300は、触覚対応システム100/100Aの一実施形態であり得、ユーザインターフェースデバイス351及び取り付け構造352は、それぞれ、
図1Dのユーザ入力デバイス151及び取り付け構造152の実施形態であり得る。触覚対応システム300は、触覚アクチュエータ120の一実施形態であり得る触覚アクチュエータ320を更に含む。触覚アクチュエータ320は、ユーザ入力デバイス351と取り付けサポート380との間に配設され得る。取り付けサポートは、触覚対応システム300の一部と見なされ得るか、又は触覚対応システム300から分離していると見なされ得る。
【0034】
[0047] いくつかの態様において、取り付け構造352は複数のビーム364A~364Fを含み得る。複数のビーム364A~364Fの各々は、例えば変形可能であり得、フレーム365とユーザ入力デバイス351との間に屈曲部を形成し得る。場合によっては、複数のビーム364A~364Fの各々は、金属屈曲部を形成する金属ビームであり得る。いくつかの態様において、いくつかの態様において、触覚アクチュエータ320は、ユーザ入力デバイス351及び/又はビーム364A~364Fのうちの1つ以上の動き(例えば、振動)を生じさせる力を発生させるように構成され得る。例えば触覚アクチュエータ320は、変位を出力することによって力を発生させ得る。この例では、変位は、矢印371によって示される軸に沿って変形するか、又はより具体的には収縮する、触覚アクチュエータ320を含み得る。この変位は、ユーザ入力デバイス351にけん引力をもたらし得、ビーム364A~364Fによって形成される屈曲部も曲げ得る。
【0035】
[0048] 前述のように、
図1Aの触覚アクチュエータ120は、駆動信号に応答して力を発生させるように構成され得る。場合によっては、触覚アクチュエータ120はソレノイドアクチュエータであり得る。場合によっては、触覚アクチュエータ120は圧電アクチュエータ、電気活性高分子(EAP)アクチュエータ、又はいくつかの他のスマート材料アクチュエータであり得る。例えば
図4は、触覚アクチュエータ120の一実施形態であり得る触覚アクチュエータ420を示す。触覚アクチュエータ420は、例えば、圧電材料(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛などの圧電セラミック材料、又はPZT)、又は、電気活性高分子(EAP)材料である、励起性材料の層424を含む、圧電アクチュエータ又は電気活性高分子(EAP)アクチュエータであり得る。励起性材料の層424は、層の両側間の電位差又はその電位差における変化(例えば、電圧差又は電圧差における変化)に応答して、力を発生させるように構成された材料であり得る。
図4に示されるように、触覚アクチュエータ420は、励起性材料の層424、及び、層424の両側に配設された、少なくとも1対の電極、又はより具体的には第1の電極422A及び第2の電極422Bを含み得る。
【0036】
[0049] いくつかの態様において、触覚アクチュエータ420は、駆動信号に応答して変位を出力し得、変位は力を発生させ得る。場合によっては、触覚アクチュエータ420は、平衡位置に関して一方向のみの変位を出力可能な、単向性触覚アクチュエータであり得る。平衡位置は、例えばアクティブ駆動信号が印加されているときの触覚アクチュエータの位置、及び/又は、例えば触覚アクチュエータ420が無励磁状態にあるときの触覚アクチュエータ420の位置であり得る。例えば、
図4における制御回路110がいずれのアクティブ駆動信号も触覚アクチュエータ420に印加していない場合、触覚アクチュエータ420は平衡位置及び無励磁状態にあり得る。アクティブ駆動信号は、大きさが背景雑音のレベルを超える非ゼロの駆動信号値を有する駆動信号を指し得る。したがってこの例において、触覚アクチュエータ420に、ゼロの駆動信号値又は大きさが背景雑音のレベルより小さいか又は等しい駆動信号値が印加されるとき、触覚アクチュエータ420は平衡位置及び/又は無励磁状態に戻り得る。触覚アクチュエータが平衡位置及び/又は無励磁状態にあるとき、層424は例えばd
0の厚みを有し得る。場合によっては、触覚アクチュエータ420は、層424の厚みをd
0に対して減少させることによって、内方向に変位を出力でき得る。しかしながら、触覚アクチュエータは、その平衡位置を越えて外部方向に変位を出力するように設計されていない可能性がある。より具体的には、触覚アクチュエータ420は、層424の厚みをd
0を越えて増加させることはできないか、又は、増加させようと試みると層424を損傷させる可能性がある。したがって、いくつかの態様において、単向性触覚アクチュエータは、単極性駆動信号、あるいは、単向性触覚アクチュエータに一方向のみ又は主に一方向に変位を出力させる不対称双方向駆動信号を、受信するように設計され得る。より一般的に言えば、単向性触覚アクチュエータは不対称信号ドメインを有し得る。
【0037】
[0050] 前述のように、触覚アクチュエータ120(又は、より具体的には触覚アクチュエータ220A/220B/320/420)は、対称信号ドメイン又は非対称信号ドメインを有し得る。いくつかの態様において、信号ドメインとは、触覚アクチュエータ120に損傷を与えることなく、触覚アクチュエータ120を効果的に駆動させる、すべての可能な駆動信号値(例えば、電圧値又は電流値)のセットを指し得る。触覚アクチュエータ120の信号ドメインの外側にある駆動信号値は、触覚アクチュエータ120に損傷を与え得る、及び/又は、触覚アクチュエータ120を駆動させる際に無効であり得るか、あるいは、より一般的には、触覚アクチュエータ120からの望ましくない挙動を生じさせ得る。場合によっては、信号ドメインは、定格最小信号値(例えば、-100V、又は0V)と定格最大信号値(例えば、100V)との間の範囲であり得る。例えば
図5は、例えばLRAアクチュエータについての信号ドメイン内の駆動信号590を示し、信号ドメインは-100Vの最小信号値と100Vの最大信号値との間の範囲である。このような場合、触覚アクチュエータ120はこの範囲内で駆動されるように、又はより一般的には、この範囲内で動作するように評価され得る。この範囲内の駆動信号値は、触覚アクチュエータ120を有効かつ持続的に動作させ得るが、この範囲外の信号値は触覚アクチュエータ120を動作させる際に無効である可能性、及び/又は、即時又は短期間にわたって触覚アクチュエータ120に損傷を与える可能性がある。
【0038】
[0051] いくつかの態様において、信号ドメインは(例えば、触覚アクチュエータ120の製造業者によって)事前に定義され得るか、又は、制御回路110によって動的に定義(例えば、推定)され得る。こうした態様において、信号ドメインは定義された信号ドメインと呼ばれ得る。場合によっては、定義された信号ドメインは、定義された定格最小信号値と定義された定格最大信号値との間の定義された範囲であり得、定義された定格最小信号値及び/又は定義された定格最大信号値は、触覚アクチュエータ120の製造業者によって事前定義され、非一時的コンピュータ可読媒体140上に記憶された値、又は、動的に定義される値であり得る。こうした場合、定義された信号ドメインは、範囲内(例えば、定義された定格最小信号値と定義された定格最大信号値との間)にあるすべての信号値を含み得、定義された範囲外にあるすべての信号値を排除し得る。
【0039】
[0052] いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120の信号ドメインは対称信号ドメインであり得る。対称信号ドメインは、ゼロの駆動信号値に対して対称な信号ドメインであり得る。対称サブドメインは、第1の極性(例えば、正の極性)の信号値の第1のサブドメイン、第2の反対極性(例えば、負の極性)の信号値の第2のサブドメイン、及び、ゼロの信号値に分割され得、第1のサブドメイン及び第2のサブドメインは同じサイズを有する。更に、対象信号ドメインは、定義された定格最小信号値から定義された定格最大値までの範囲であり得、定義された定格最小信号値及び定義された定格最大値は大きさが同等であり得る。例えば
図5は、100Vより小さいか又は等しい正の信号値の第1のサブドメイン、及び、-100Vより大きいか又は等しい負の信号値の第2のサブドメインを有する、対称信号ドメインの一例を提供する。この例では、第1のサブドメイン及び第2のサブドメインの両方が100Vのサイズを有する。言い換えれば、
図5の対称信号ドメインは、-100Vの定義された定格最小信号値から100Vの定義された定格最大信号値まで延在する範囲であり得、定義された定格最小信号値及び定義された定格最大信号値はどちらも同じ100Vの大きさを有する。対称信号ドメインは、駆動信号590などの対称双極性駆動信号を触覚アクチュエータ120に印加できるようにする。場合によっては、触覚アクチュエータ120は、対称双極性駆動信号からの反対極性の駆動信号値が触覚アクチュエータに印加されるとき、対称挙動を示し得る。こうした場合、触覚アクチュエータ120は、LRAなどの双極性又は双方向の触覚アクチュエータと呼ばれ得る。例えば、触覚アクチュエータ120が双極性触覚アクチュエータである場合、同じ大きさであるが極性が反対のそれぞれの駆動信号値に応答して、同じ大きさ又はほぼ同じ大きさであるが反対方向の変位又は力をそれぞれ出力し得る。
【0040】
[0053] 前述のように触覚アクチュエータ120は、いくつかの態様において、非対称又は不対称の信号ドメインと呼ばれ得る非対称の定義された信号ドメインを有する。こうした場合、触覚アクチュエータは、非対称触覚アクチュエータと呼ばれ得る。非対称信号ドメインは、ゼロの駆動信号値に対して非対称であり得る。言い換えれば、こうした非対称信号ドメインの平均信号値はゼロに等しくない。場合によっては、非対称信号ドメインは、定義された定格最小信号値と定義された定格最大信号値との間の範囲であり得、定義された定格最小値の大きさ(例えば、絶対値とも呼ばれる)は定義された定格最大値の大きさとは異なる。例えば
図6Aは、0Vの定義された定格最小値と100Vの定義された定格最大値との間の範囲である非対称信号ドメインを示し、ここで、定義された定格最小値(0V)の大きさは定義された定格最大値(100V)の大きさとは異なる。
【0041】
[0054] いくつかの態様において、不対称信号ドメインは、駆動信号を単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号である駆動信号に限定し得る。例えば、単極性駆動信号は、特定の極性(例えば、負の極性)の駆動信号値を除外し得る。場合によっては、不対称双極性駆動信号は、信号の最大信号値及び信号の最小信号値の大きさが異なる信号であり得る。
【0042】
[0055] 場合によっては、非対称信号ドメインは、第1の極性(例えば、正の極性)の信号値のみを有する第1のサブドメイン、第2の極性(例えば、負の極性)の信号値のみを有するダイ2のサブドメイン、及び、ゼロの駆動信号値に分割され得るが、第1のサブドメイン及び第2のサブドメインのサイズは等しくない。例えば、非対称信号ドメインは、定義された定格最小信号値(例えば、-30Vの負の値)から定義された定格最大信号値(例えば、100Vの正の値)まで延在する範囲であり得る。この例では、第1のサブドメインは100Vのサイズを有し、第2のサブドメインは30Vのサイズを有する。
【0043】
[0056] 場合によっては、非対称信号ドメインは、ゼロより大きいか又は等しい信号値のみ、あるいは、ゼロより小さいか又は等しい信号値のみを含み得る。触覚アクチュエータ120がこうした信号ドメインを有する場合、単極性アクチュエータと呼ばれ得る。一例として
図6Aは、ゼロより大きいか又は等しい、及び、負の極性の信号値を除外する、信号値のみを有する非対称信号を示す。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120の信号ドメインが特定の極性(例えば、負の極性)のすべての信号値を除外する場合、触覚アクチュエータ120は、平衡位置に対して一方向のみの変位又は力の出力に限定され得る。こうした態様において、触覚アクチュエータ120は単向性触覚アクチュエータと呼ばれ得る。例えば単向性触覚アクチュエータは、
図4の触覚アクチュエータ420であり得、圧電アクチュエータ又はEAPアクチュエータであり得る。いくつかのタイプの圧電アクチュエータは、正の極性の駆動信号値が印加されるとき、平衡位置に対して第1の方向に変位を出力するように構成され得、負の極性の駆動信号値が印加される場合、損傷を受ける可能性がある。こうした例において、圧電アクチュエータ又は他の単向性触覚アクチュエータは、
図6Aの駆動信号690などの単極性駆動信号のみを受信しなければならない場合がある。単向性触覚アクチュエータが、
図5の駆動信号590などの双極性駆動信号を受信する場合、単向性触覚アクチュエータは損傷を受け得るか、又は、特定の極性の信号値にほとんど応答しないか又は応答しない(例えば、負の信号値には応答しない)可能性がある。
【0044】
[0057] 前述のように、駆動信号690などの駆動信号が触覚アクチュエータ120に印加されるとき、触覚アクチュエータ120は、
図1Aの作動可能部分150の動きなどの、触覚対応システム100の1つ以上の部分の振動又は動きを生じさせるように、力又は変位を出力し得る。いくつかの態様において、1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)は、触覚アクチュエータ120が力を出力することを停止した後であっても、残余運動を経験し得る。残余運動が振動などの発振運動である場合、テール発振と呼ばれ得、十分に抑制されていない慣性の結果として生じ得る。例えば、作動可能部分150は、金属屈曲部又は他の金属構造を含み得る。金属構造は作動可能部分150に高耐久性を提供するが、金属材料は、ロングテール発振を生じさせ得る低レベルの抑制を有し得る。一例として、
図6Bは、この例では単向性触覚アクチュエータであり得る触覚アクチュエータ120に駆動信号690を印加する結果としての、
図2及び
図3に示された屈曲構造などの金属屈曲部の加速度を示す。図が示すように、金属屈曲部は駆動信号690の終わりの後に、かなりの時間(例えば、80ミリ秒)続くテール発振を示し得る。こうしたテール発振は、特に、鮮鋭な触覚効果が意図されるときに望ましくない。
【0045】
[0058] 前述のように、駆動信号は、テール発振を減少させるように、作動可能部分150の動き(例えば、作動可能部分150の残余運動)などの駆動部分に関連付けられた動きを減少させるように試行する、ブレーキング部分を含み得る。例えば、制御回路110は、PID制御などの、閉ループ制御(例えば、閉ループフィードバック制御とも呼ばれる)に基づいて訂正信号を発生させるために、ブレーキングモジュール144/144Aを実行し得る。いくつかの実装において、駆動信号のブレーキング部分は、訂正信号又は訂正信号のクリップバージョン(下記で考察)に等しいことが可能であり、例えば作動可能部分150の残余運動に対抗するように試行するために、触覚アクチュエータ120に印加され得る。例として
図7Aは、駆動部分792及びブレーキング部分794を有する駆動信号790を示し、ブレーキング部分794は訂正信号に基づいて発生可能であるが、オフセットを使用せずに発生可能である。
【0046】
[0059] いくつかの態様において、
図7Aのブレーキング部分794の有効性は、非対称信号ドメインを有する触覚アクチュエータ120に対して発生するとき、又はより具体的には、触覚アクチュエータ120が圧電アクチュエータなどの単極性又は単向性触覚アクチュエータであるとき、制限され得る。非対称信号ドメインを伴う触覚アクチュエータについてのブレーキング部分の有効性は、例えば、その信号値が第1の極性(例えば、正の極性)のみを有するか又はゼロであることが可能であるため、並びに、第2及び反対の極性(例えば、負の極性)を有することができないか、又は第2及び反対の極性において強力であることができないため、制限され得る。
図7Aのこの例において、ブレーキング部分794の信号値は0Vと100Vの間でなければならず、負にはできない。別の例において、非対称信号ドメインを伴う触覚アクチュエータのためのブレーキング部分の信号値は、-30Vから100Vの間でなければならない。
【0047】
[0060]
図7Aの例において、ブレーキング部分794は訂正信号のクリップバージョンであり得る。例えば訂正信号は、前述のようにPID制御に基づいて発生可能であるが、0Vの定義された定格最小信号値及び100Vの定義された定格最大信号値に制約される。この例では、訂正信号がこの範囲内にあるとき(例えば、訂正信号が正の極性を有するとき)、ブレーキング部分794は訂正信号に等しいことが可能である。これらの信号値は触覚アクチュエータ120に印加されるとき、触覚アクチュエータ120に、アクチュエータの平衡位置に対して第1の方向に変位を出力させることができ、動き、例えば触覚対応システムの1つ以上の部分の残余運動(例えば、作動可能部分150の残余運動)に対抗するために、第1の方向に力を発生させ得る。しかしながら、
図7Aが示すように、ブレーキング部分794は、ゼロ信号値のいくつかの期間796A、796B、796C、796Dを更に含み得る。期間796A、796B、796C、796Dは、ゼロでクリップされる訂正信号に対応し得る。より具体的には、
図7Aは、負の信号値を有する訂正信号の部分795A、795B、795C、及び795Dを更に示す。これらの部分795A、795B、795C、及び795Dは、作動可能部分の残余運動に対抗するためにも、第2及び反対の方向の力を発生させるように試行する際に、例えばPIDモジュールによって発生し得る。しかしながら、こうした部分795A、795B、795C、及び795Dの負の信号値は、触覚アクチュエータ120に、その平衡位置に対して第2の方向に変位を出力するように試行させる。触覚アクチュエータ120は、第2の方向に変位を出力することができないか、又はそのように実行すると損傷を受ける可能性がある。したがって、訂正信号はゼロの定義された定格最小値でクリップされ得、部分795A~795Dを除外し得る。他の例では、定義された定格最小信号値は負の値であり得るが、定義された定格最大信号値に対してより小さい大きさを有し得るため、その平衡位置に対して第2の方向の触覚アクチュエータ120によるいずれの変位も制限されることになる。したがって、これらの例におけるブレーキング部分は、触覚アクチュエータ120に、第2の方向に力を出力させること、又は、第2の方向に多くても弱い力を印加させることが、できない場合がある。結果として、圧電アクチュエータなどの単向性触覚アクチュエータが良好な周波数応答を示し得る場合であっても、作動可能部分150の残余運動に対抗する際のブレーキング部分794の有効性は制限され得る。例えば、
図7Bは作動可能部分150の加速度を示す。図が示すように、作動可能部分150は、駆動部分792が停止した後の、残余運動又はより具体的には残余加速度を示す。ブレーキング部分794は残余加速度を減少させるために印加されるが、ブレーキング部分794が印加された後、残余加速度はいくつかのサイクルにわたって依然として続く。
【0048】
[0061] 前述のように、本明細書の実施形態の一態様は、駆動信号のブレーキング部分を発生させるためにオフセットを使用することに関する。場合によってはオフセットは、触覚アクチュエータ120に、その平衡位置に対して変位又は平均変位を有するか又は形成させることができる。この平均変位は、下記でより詳細に考察される、仮想平衡位置を定義するか又は仮想平衡位置として扱われ得る。ブレーキング部分の信号値がオフセットより高いとき、触覚アクチュエータ120は仮想平衡位置に対して第1の方向に変位を出力し得、触覚アクチュエータは、触覚対応システム100の1つ以上の部分の残余運動(例えば、作動可能部分150の残余運動)に対抗するために、第1の方向に力を発生させ得る。ブレーキング部分の信号値がオフセットより小さいとき、触覚アクチュエータ120は仮想平衡位置に対して第2の方向に変位を出力し得る。触覚アクチュエータが、その実際の平衡位置ではなく、この仮想平衡位置周辺で動作できるようにすることによって、触覚アクチュエータ120は仮想平衡位置に対して両方の方向に変位を出力できるようになり、したがって、両方の方向(例えば、うち方向及び外方向の両方、又は、押し方向及び引き方向の両方)に力を出力できるようになる。結果として、触覚アクチュエータは、第1の方向の力及び第2の反対方向の力の両方を発生させることができるようになり、これによって、触覚アクチュエータ120は、より効果的に動き、例えば触覚対応システム100の1つ以上の部分の残余運動に対抗すること(例えば、作動可能部分150の動きに対抗すること)、及び、例えば1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)を静止状態に戻すために、動きを減少及び/又は停止させることが、可能になる。
【0049】
[0062]
図8は、オフセットを使用してブレーキング部分を発生させるための例示的方法800を示す。一態様において、方法800のステップは制御回路110によって、又はより一般的には、触覚対応システム100によって(例えば、触覚対応システム100A、200、300、400によって)、実行され得る。場合によっては、制御回路110はこれらのステップを実行するために、非一時的コンピュータ可読媒体140上に記憶された命令を実行し得る。
【0050】
[0063] 一態様において、方法800はステップ802で開始可能であり、制御回路110は駆動信号の駆動部分を発生させ得る。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120は、ステップ802が実行される前に無励磁状態であり得る。例えば、ステップ802は、アクティブ駆動信号が触覚アクチュエータ120に印加されていない期間の直後に続き得る。いくつかの態様において、制御回路110は、ボタンクリックをシミュレートするための触覚効果などの触覚効果を発生させるための決定に応答して、ステップ802を実行し得る。
図9Aは、ステップ802によって発生した駆動信号990の駆動部分992の一例を示す。場合によっては、制御回路110は、駆動信号の駆動部分を発生させるために駆動モジュール142/142Aを実行し得る。前述のように、制御回路110はいくつかの例において、触覚アクチュエータ120のモデル(例えば、触覚アクチュエータ141)に基づいて、及び/又は、触覚効果のために望ましい動きの記憶された記述(例えば、143)に基づいて、開ループ様式で駆動部分を発生させ得る。この記述は、例えば、所望の動き(例えば、所望の加速度)、及び/又は、ピークの合計数、最大ピーク間振幅、加速度の周波数コンテンツ、及び/又は、触覚効果のサイクルの持続時間又は回数などの、触覚パラメータのパラメータ値を記述する、時間依存波形を含み得る。駆動部分は、(
図9Aに示すような)正弦曲線形又は四角形などの、任意の形状を有し得る。
【0051】
[0064] いくつかの態様において、前述のように、駆動部分は非対称信号ドメインのために発生され得る。例えば
図9Aは、非対称信号ドメインのV
min=0からV
max=100Vの範囲に制約された駆動部分992を示す。こうした態様では、駆動部分が発生する触覚アクチュエータ120は、例えば、圧電アクチュエータなどの単向性アクチュエータ、ソレノイド、又はEAPアクチュエータであり得る。場合によっては、駆動信号(例えば、990)は、単極性駆動信号又は非対称双極性駆動信号(例えば、非対称であり、ゼロの駆動値に対して不対称であるとも呼ばれる)であり得る。
【0052】
[0065] ステップ804において、制御回路110は駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータ120に印加する。より具体的には、制御回路は駆動部分の信号値(例えば、サンプル値とも呼ぶ)を触覚アクチュエータ120に印加し得る。場合によっては、制御回路110は、信号値の大きさにとって十分な電圧及び/又は電流を提供するように構成された、増幅回路を含み得る。
【0053】
[0066] 前述のように、駆動部分が触覚アクチュエータ120に印加されるとき、触覚アクチュエータ120に変位及び/又は力を出力させ得る。触覚アクチュエータ120からの変位及び/又は力は、触覚対応システム100Aの、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の動きを発生させるか又は他の方法で生じさせ得る。1つ以上の部分は、例えば作動可能部分150を含み得、これが、ユーザ入力デバイス251/351又は取り付け構造252/352(例えば、サスペンション構造)のうちの少なくとも1つを含み得る。1つ以上の部分は、場合によっては触覚アクチュエータ120に結合され得る。
図9Bは、駆動部分992が触覚アクチュエータ120に印加されるときの、1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)の加速度を示す。動きは、触覚対応システム100の1つ以上の部分(例えば、作動可能部分150)において、振動触覚効果(例えば、振動とも呼ばれる)などの触覚効果を生み出し得る。場合によっては、触覚対応システムの1つ以上の部分は少なくともサスペンション構造を含み得、1つ以上の部分の動きはサスペンション構造の振動であり得る。
【0054】
[0067] ステップ806において、制御回路は、触覚対応システム100Aの(例えば、作動可能部分150の)、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の動きを、動きセンサ130を介して決定(例えば、測定)する。測定される動きは、駆動信号の駆動部分によって生じ、駆動部分の終わりの後に残る動きであり得る、触覚対応システム100Aの(例えば、作動可能部分150の)、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の少なくとも残余運動を含み得る。例えば、動きセンサは、触覚対応システム100A、例えば作動可能部分150の、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分によって示されるテール加速度(例えば、テール発振)を測定するように構成された、加速度計であり得る。場合によっては、ステップ806は、駆動信号のブレーキング部分が(下記で考察するように)触覚アクチュエータ120に印加される間に実行され得、駆動部分が触覚アクチュエータ120に印加された間にも実行され得た。場合によっては、ステップ806は駆動部分の終わり、又はその後にのみ実行され得る。いくつかの態様において、動きは経時的に測定され得、測定される動きは、時間的に異なるインスタンスでサンプリングされるその動きについて測定された値を含む波形であり得る。例えば、動きセンサは加速度センサであり得、ステップ806で測定される動きは、経時的に触覚アクチュエータ120によって出力される加速度であり得る。いくつかの態様において、制御回路110は、1つ以上の部分の(例えば、作動可能部分150の)動きの1つ以上のパラメータ値を導出するように、測定センサ130から測定された値を処理するように構成され得る。例えば制御回路110は、触覚対応システム100Aの(例えば、作動可能部分150の)、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の速度を導出又は他の方法で決定するように、測定センサ130から測定された加速度値を統合するように構成され得る。測定センサからの測定された値は、触覚アクチュエータ120によって生じる動きに関連付けられたフィードバックと呼ぶことができる。
【0055】
[0068] ステップ808において、制御回路110は、触覚対応システム100Aの、又はこれに関連付けられた1つ以上の部分の動き(例えば、作動可能部分150の動き)に基づいて、動きを減少させるための(例えば、作動可能部分150の動きを減少させるための)時間変動(例えば、時間依存)訂正信号を決定する。いくつかの態様において、ステップ808は、駆動信号の駆動部分が発生した後に実行され得る。
【0056】
[0069] いくつかの態様において、制御回路110は、
図1CのPIDモジュール145を実行することなどの、閉ループ制御に基づいて、時間変動(例えば、時間依存)訂正信号を決定し得る。閉ループ制御、又はより具体的にPID制御は、作動可能部分150の測定された動き(例えば、測定された加速度又は速度)と、作動可能部分150の静止状態との間の差に基づき得る。静止状態は、例えばゼロの加速度及び/又はゼロの速度によって表され得る。こうしたインスタンスでは、測定された動きと静止状態との間の差は、単に測定された動きに等しいことが可能である。いくつかの態様において、訂正信号の値は、作動可能部分150の動き、その動きの時間依存微分、及び/又は動きの時間依存積分に基づき得る。より具体的には、時間t=t
1、例えばc(t
1)における訂正信号の値は、k
1
*m(t=t
1)、k
2
*dm(t=t
1)/dt、及び、
【数1】
のうちの2つ以上の合計に基づき得、ここで、m(t)は作動可能部分150の動き(例えば、加速度a(t)又は速度v(t))を指し、k
1、k
2、及びk
3は一定値を指す(例えば、利得とも呼ばれる)。例えば、訂正信号は、(i)作動可能部分の加速度の倍数(例えば、k
1
*a(t
1))及び(ii)加速度の積分(例えば、
【数2】
)の組み合わせ(例えば、合計)に基づいて発生し得る。いくつかの態様において、ステップ808は、上記の合計を、e
-ktなどの時間ベースの崩壊関数によって乗算することを含み得るため、訂正信号は経時的に減少する可能性が高くなる。この時間ベースの崩壊関数は、ステップ808の訂正信号に固有のものであり得、時間変動オフセットのいずれの崩壊とも分離され得る(ステップ810に関して下記で考察する)。場合によっては、ステップ808が時間ベースの崩壊関数を含む場合、及び、ステップ810が同じく経時的に崩壊(例えば、減少)する時間変動オフセットを含む場合、それらは異なるレートで崩壊し得る。例えば、ステップ808の訂正信号のための時間ベースの崩壊関数についての崩壊レートは、ステップ810の時間変動オフセットについての崩壊レートの、少なくとも2倍遅い可能性がある。
【0057】
[0070] 場合によっては、訂正信号は、正の信号値及び負の信号値の両方を有する双極性信号であり得る。場合によっては、訂正信号の負の信号値のうちの少なくともいくつかは、触覚アクチュエータ120についての定義された定格最小信号値よりも小さい可能性がある。いくつかの実装では、ステップ808における制御回路110は、訂正信号が任意の信号値を有することを可能にし得る。いくつかの実装において、ステップ808における制御回路は、訂正信号が対称信号ドメイン内の任意の信号値を有することを可能にし得、訂正信号のための対称信号ドメインは、例えば、ゼロの電圧値又は電流値に対して対称な値の範囲であり得る。
【0058】
[0071] ステップ810において、制御回路110は、時間変動(例えば、時間依存)訂正信号と、触覚アクチュエータ120について定義された定格最小信号値より大きく、触覚アクチュエータ120について定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、駆動信号のブレーキング部分を発生させる。例えば
図9Aは、駆動信号990のブレーキング部分994を示し、0Vの定義された定格最小信号値V
minより大きく、100Vの定義された定格最大信号値V
maxより小さい、オフセット995を示す。いくつかの態様において、組み合わせは、時間変動訂正信号及び定義されたオフセット、定義されたオフセット上の時間変動訂正信号の重ね合わせ、及び/又は、時間変動訂正信号及び定義されたオフセットの変調の、合計であり得る。すなわち、制御回路110は、時間変動訂正信号の信号値を定義されたオフセットに追加することによって、時間変動訂正信号及び定義されたオフセットの組み合わせを決定するように構成され得る。いくつかの態様において、オフセットは、DCオフセット、DCバイアス、又はより一般的には、ブレーキング部分の大きな信号成分として作用し得、訂正信号は、ブレーキング部分の小さな信号成分として作用し得る。いくつかの態様において、制御回路110は、定義された定格最大値V
maxにおけるクリップを、時間変動訂正信号及び定義されたオフセットの組み合わせに印加することによって、ブレーキング部分を発生させるように構成され得る。例えば制御回路110は、時間変動訂正信号及び定義オフセットの組み合わせの各値について、値が触覚アクチュエータ120について定義された定格最大信号値を超えるかどうかを決定し得る。値が定義された定格最大信号値を超えない場合、制御回路120は、ブレーキング部分の対応する部分をこの値に等しくなるように設定し得る。値が定義された定格最大信号値を超える場合、制御回路120は、ブレーキング部分の対応する部分を定義された定格最大信号値に等しくなるように設定し得る。
【0059】
[0072] いくつかの態様において、訂正信号をオフセットに追加することで、訂正信号が定義された定格最小信号値V
minにおいてクリップされることを防止し得るか、又は訂正信号がV
minにおいてクリップされる頻度を減少させ得る。より具体的には、訂正信号はV
minより小さい信号値を有し得る。これら信号値のうちの1つが対応するオフセット値に追加されるとき、結果として生じる組み合わせ(例えば、合計)はV
minに等しいか又は大きくなる可能性が高くなり得る。例えば
図7Aは、訂正信号に基づき、オフセットを含まない、ブレーキング部分794を示す。ブレーキング部分794は、V
minにおいてクリップされるいくつかの期間796A、796B、796C、及び796Dを有する。これに対して、
図9Aのブレーキング部分994はオフセットを含み、V
minにおいてクリップされる単一の期間996のみを有する。いくつかの態様において、作動可能部分150が静止状態に近づくにつれて、訂正信号の値は経時的に減少し得る。訂正信号の経時的な減少は、訂正信号及びオフセットの組み合わせ(例えば合計)も減少させ得、したがって、ブレーキング部分がV
maxにおいてクリップされる可能性が減少する。
【0060】
[0073] いくつかの態様において、定義されるオフセットは経時的な一定値を有する。いくつかの態様において、定義されたオフセット(例えば、995)は、初期オフセット値から、触覚アクチュエータ120が無励磁状態に戻る信号値へと経時的に減少する、時間変動オフセットである。場合によっては、触覚アクチュエータ120が無励磁状態に戻る信号値は、信号値と定義された定格最小信号値との間の差が背景雑音のレベルより小さい大きさを有するときなど、定義された定格最小信号値(例えば、0V)又は、ほぼ定義された定格最小信号値であり得る。いくつかの態様において、制御回路110は、時間変動訂正信号の信号値を、時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値と組み合わせる(例えば、追加する)ことができる。こうした例において、時間変動オフセットは、DCオフセットとして、又はより一般的には、経時的に減少するブレーキング部分の大きな信号成分として作用し得る。いくつかの態様において、時間変動オフセットは、例えば触覚アクチュエータ120の過熱によって触覚アクチュエータ120が損傷を受けることを回避するように、経時的に減少し得る。例えば、時間変動オフセットがDCオフセットとして作用する場合、DCオフセットはエネルギーの正味量を、正電荷又は負電荷の正味量あるいは正電位又は負電位の正味量の形で触覚アクチュエータ120に送達し得る。多過ぎる正味電荷又は正味電位が経時的に触覚アクチュエータ内に蓄積した場合、触覚アクチュエータ120は過熱し、触覚アクチュエータ120に損傷を与え得る。したがって、制御回路110は、触覚アクチュエータ120内に蓄積する電荷又は電位の正味量を減少させるように、経時的に減少する時間変動オフセットを印加し得る。こうした時間変動オフセットは、経時的に減少するDCオフセット又はDCバイアスとして作用し得る。
【0061】
[0074] 場合によっては、時間変動オフセットについての初期オフセット値は、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値と触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値との、中間点又はほぼ中間点であり得る。
図9Aの例において、初期オフセット値は50V又はほぼ50Vであり得る。場合によっては、初期オフセット値は、例えば非一時的コンピュータ可読媒体140上に記憶された事前定義された値であり得る。場合によっては制御回路110は、例えば、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値と触覚アクチュエータ120について定義された定格最小信号値との平均値を取ることによって、初期オフセット値を計算するように構成され得る。したがって、定義されたオフセットは、事前に定義され非一時的コンピュータ可読媒体140上に記憶されたオフセット値を有し得るか、又は、制御回路110によって定義されるか又は他の方法で決定され得る。いくつかの態様において、時間変動オフセット(例えば、995)は、正弦関数、指数関数、一次関数、又は難からの他の関数に基づいて、経時的に減少し得る。例えば
図10Aは、指数関数的に減少する関数の形状に基づいて減少する時間変動オフセット1095Aを示し、
図10Bは、4分の1正弦波の形状に基づいて減少する時間変動オフセット1095Bを示す。
【0062】
[0075] 前述のように、オフセットは、触覚アクチュエータ120についての仮想平衡位置を確立し得、仮想平衡位置は、触覚アクチュエータ120の実際の平衡位置とは異なる。いくつかの態様において、触覚アクチュエータ120の実際の平衡位置は、アクティブ駆動信号が触覚アクチュエータ120に印加されないときの触覚アクチュエータ120のある位置又はその一部であり得るため、触覚アクチュエータ120は無励磁状態にあることになる。こうした状況では、触覚アクチュエータ120に印加される電位には差がない(電圧差がない)ことが可能である。例えば
図11Aは、
図4の触覚アクチュエータ420の両側に電圧差がなく、触覚アクチュエータ420はその実際の平衡位置にある、という状況を示す。この例では、励起性材料の層424はd
0の平衡厚みを有し得る。
図11Bは、DCオフセットが触覚アクチュエータ420に印加される結果として、触覚アクチュエータ420が仮想平衡位置にあるという状況を示し、DCオフセットはV
1-V
2(例えば、50Vの初期オフセット値)に等しく、DCオフセットは触覚アクチュエータ420を励磁状態に置き得る。一例において、この状況における励起性材料の層424は、d
0より小さい、d
virtualの厚みを有し得る。いくつかの態様において、訂正信号の正の値がオフセットに追加される場合、触覚アクチュエータ120は層424を、d
virtualより小さい厚みまで変形(例えば収縮)させ得る。この変化は、仮想平衡位置に対する第1の方向(例えば、内方向又は引き方向)の変位の出力と見なされ得、第1の方向に力を発生させ得る。訂正信号の負の値がオフセットに加えられる場合、触覚アクチュエータ120は、層424をd
virtualより大きい(例えば、又はより具体的にはd
virtualとd
0の間の)厚みまで変形(例えば拡張)させ得る。この変化は、仮想平衡位置に対して第2の方向に変位を出力することと見なされ得、第2の方向に力を発生させ得る。したがって、本例における制御回路110は、触覚アクチュエータ120に、d
virtualに対する層424の厚みを調整させることができ、これによって触覚アクチュエータ120が第1の方向及び第2の方向の両方に力を出力することができる。制御回路110がオフセットを経時的に減少させる場合、仮想平衡位置(例えば、d
virtual)は経時的に実際の平衡位置(例えばd
0)に徐々に近づき得、触覚アクチュエータ120は徐々に無励磁状態に達し得る。
【0063】
[0076] いくつかの態様において、オフセットを使用することで仮想平衡位置に対して触覚アクチュエータ120に対称挙動を提供し得る。より具体的には、ブレーキング部分が特定の値によるオフセットより大きい場合、触覚アクチュエータ120は、仮想平衡位置に対して第1の方向にある特定の量の変位及び/又は力を出力し得る。ブレーキング部分が同じ値によるオフセットより小さい場合、触覚アクチュエータ120は、場合によっては実質的に同じ量であるが、仮想平衡位置に対して第2及び反対方向の変位及び/又は力を出力し得る。言い換えれば、オフセットは触覚アクチュエータ120の信号ドメインを、オフセットより上の第1のサブドメイン及びオフセットより下の第2のサブドメインに分割し得る。いくつかの実装において、第1のサブドメイン内で駆動されるときの触覚アクチュエータ120の挙動は、第2のサブドメイン内で駆動されるときの触覚アクチュエータ120の挙動に対して対称的であり得る。
【0064】
[0077] いくつかの態様において、制御回路110は、駆動部分の終わりとブレーキング部分の始まりとの間のいずれの鮮鋭な不連続をも減少及び/又は消去する様式で、ブレーキング部分を発生させるように構成され得る。例えば、制御回路110は、時間変動訂正信号及び定義されたオフセットの組み合わせ(例えば、合計)の少なくとも1つの部分を更に調整して、その合計を駆動部分の1つ以上の最終値により近づけることによって、ステップ810において駆動信号のブレーキング部分を発生させ得る。一例において、駆動部分の1つ以上の最終値はゼロに等しいか又はほぼゼロであり得る。その例において、ブレーキング部分が高い正の値で始まる場合、不連続性は触覚アクチュエータ120(例えば、圧電アクチュエータ)に、望ましくない可能性のあるサウンド(例えば、可聴クリック)を発生させ得る。したがって、この例における制御回路110は、ブレーキング部分の初期の信号値を、それらの大きさを減少させて、これらの初期値をゼロにより近くするように、スケーリングし得る。いくつかの態様において、調整される少なくとも1つの部分は、i)ブレーキング部分の定義された初期の時間ウィンドウ(例えば、ブレーキング部分の初期の40ミリ秒ウィンドウ)内にある訂正信号の信号値、及び/又は、ii)定義された初期の時間ウィンドウ内にあるオフセットのオフセット値のうちの、少なくとも1つを含み得る。調整(例えば、スケーリング)は、例えば、訂正信号の信号値とそれぞれの調整値とを乗算すること、及び/又は、オフセットのオフセット値とそれぞれの調整値とを乗算することを、含み得る。いくつかの態様において、調整値は0から1の範囲内にあり得、定義された初期の時間ウィンドウにわたって増加し得る。したがって、定義された初期の時間ウィンドウ内の早期の調整値は、ゼロにより近い可能性があり、したがってブレーキング部分をゼロに向けてバイアスし得る。このレベルのバイアスは、定義された初期の時間ウィンドウ内の後期の調整値が1の値に近づくにつれて、経時的に減少し得る。いくつかの態様において、調整値は、経時的に値が増加する正弦関数の一部などの、経時的に増加する関数からであり得る。この関数は駆動部分とブレーキング部分との間の遷移をより平滑にするため、平滑化関数とも呼ばれる。
【0065】
[0078] ステップ812において、制御回路110はブレーキング部分(例えば、994)を触覚アクチュエータ120に印加し得る。結果として、触覚アクチュエータ120は、作動可能部分150などの触覚対応システムの1つ以上の部分の残余運動に対抗し、その動きを減少又は停止させ得る。
図9Bは、駆動信号990についての、より具体的には駆動部分992及びブレーキング部分994についての、作動可能部分150などの、触覚対応システムの1つ以上の部分の測定された加速度を示す。
図9Bが示すように、残余加速度は1つ又は2つのみのサイクル後に停止し、ブレーキング部分794を発生させるためにオフセットが使用されない
図7Bに示される残余加速度に対してかなり短い。いくつかの態様において、制御回路が、ステップ802及び804において触覚効果のために駆動部分を発生及び印加することから、ステップ808から812においてブレーキング部分を発生及び印加することへ切り替える時間は、触覚効果にとっていくつのピークが望ましいか(例えば、発振運動を含む場合)と、触覚効果の望ましい周波数との間の、割合に基づくことができる。
【0066】
[0079] いくつかの態様において、(例えば、作動可能部分150の)動きは振動であり得、駆動信号のブレーキング部分は、触覚アクチュエータが平衡位置に戻る前、及び/又は、触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る前に、振動を停止させ得る。平衡位置は、アクティブ駆動信号が印加されないとき(例えば、ゼロの信号値又は駆動信号値が触覚アクチュエータに印加されるとき)の触覚アクチュエータの位置であり得る。例えば、触覚アクチュエータ420の層424がd
0の厚みを有するとき、平衡位置は
図11Aに対応し得る。ブレーキング部分がオフセットを有するとき、触覚アクチュエータは、例えば、触覚アクチュエータ420の層424がd
virtualの厚みを有する、
図11Bに対応する仮想平衡位置を採用し得る。前述のように、オフセットが経時的に減少する場合、d
virtualは徐々にd
0に戻り得る。しかしながらブレーキング部分は、d
virtualがd
0に戻る前、及び/又は、ブレーキング部分の大きさが背景雑音のレベルより下に落ちる前(例えば、ブレーキング部分の大きさがゼロに達する前)に、振動を停止させるように、効果を十分迅速に発することができる。いくつかの態様において、方法800のブレーキング部分は、例えば、ブレーキング部分の始まりから40ミリ秒内に、(例えば、作動可能部分150の)動きを停止させることができる。
【0067】
[0080] 上記の例において、ブレーキング部分(例えば、994)は、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きく、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットに基づいて発生し得る。場合によっては、これは前述のように、訂正信号を発生させること、及び、定義されたオフセットを訂正信号と組み合わせること(例えば、追加すること)を含み得る。場合によっては、これは訂正信号を発生させることを省略し得る。
【0068】
[0081]
図12A及び
図12B及び
図13A及び
図13Bは、オフセットを含むブレーキング部分対オフセットを含まないブレーキング部分の、別の比較を示す。より具体的には、
図12Aは、駆動部分1292及びブレーキング部分1294を有する駆動信号を示す。
図12Aの例において、ブレーキング部分1294はオフセットを使用せずに発生させ得る。場合によっては、ブレーキング部分1294は、例えば、PID制御に基づいて発生し得る、訂正信号のクリップバージョンに等しいことが可能である。
図12Aに示されるように、ブレーキング部分は、V
minでクリップされるいくつかの期間1296A~1296Dを有し得る。
図12Bは、ブレーキング部分1290の結果として、作動可能部分150の結果として生じる加速度を示す。より具体的には、作動可能部分150は、ブレーキング部分1294の触覚アクチュエータ120への印加が開始した後に、多くのサイクルの間続く、残余発振を有する。
【0069】
[0082]
図13Aは、駆動部分1392を有し、オフセット1395と共に発生するブレーキング部分1394を有する、駆動信号1390を示す。いくつかの態様において、ブレーキング部分1394は、オフセットを訂正信号と組み合わせること(例えば、追加すること)によって発生し得る。訂正信号は、例えば、
図12Aにおいて駆動信号1290のブレーキング部分1294に使用されるものと同じ利得を使用するPID制御に基づいて、発生し得る。
図13Bは、駆動信号1390の結果として、作動可能部分150の結果として生じる加速度を示す。より具体的には、
図13Bに示される残余発振は、
図12Bに示される残余発振に対してより多く抑制される。
【0070】
[0083] 前述のように、制御回路110は、単向性触覚アクチュエータについてブレーキング部分を発生させるためにオフセットを使用し得、より具体的には、オフセットを訂正信号と組み合わせ得る。いくつかの態様において、制御回路110は、双極性触覚アクチュエータについて上記のステップも実行し得る。こうした態様において、制御回路110は、触覚アクチュエータ120の定義された定格最大信号値と定義された定格最小信号値との中間点として、オフセットを計算し得る。双極性触覚アクチュエータの場合、この中間点は単にゼロであり得る。この状況では、制御回路110は、訂正信号をオフセットに追加するステップを依然として実行し得るが、結果は依然として訂正信号に等しいか又はほぼ等しくなり得る。
【0071】
[0084] 上記の例では、定義された定格最大信号値は100Vである。他の例では、定義された定格最大信号値は何らかの他の値(例えば、50V、200Vなど)を有し得る。前述の例では、定義された定格最小信号値は0Vである。他の例では、定義された定格最小信号値は何らかの他の値(例えば、-30V、-10V、5Vなど)を有し得る。
【0072】
[0085] 様々な実施形態の追加の考察
[0086] 実施形態1は、触覚アクチュエータ、動きセンサ、及び制御回路を備える、触覚対応システムに関する。制御回路は、駆動信号の駆動部分を発生させるように構成され、触覚対応システムの、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の動き(例えば、触覚アクチュエータに結合された作動可能部分の動き)を発生させるか又は生じさせるために駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータに印加するように構成され、動きセンサを介して触覚対応システムの、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の動き(例えば、作動可能部分の動き)を決定するように構成され、作動可能部分のような触覚対応システム(例えば、作動可能部分)の、又はこれに関連付けられた、1つ以上の部分の動きに基づいて、動きを減少させるための時間変動(例えば、時間依存)訂正信号を決定するように構成され、時間変動訂正信号と、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きく、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、駆動信号のブレーキング部分を発生させるように構成され、及び、駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加するように構成される。
【0073】
[0087] 実施形態2は、実施形態1の触覚対応システムを含み、定義されたオフセットは、初期のオフセット値から触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値に向けて、経時的に減少する、時間変動オフセットである。
【0074】
[0088] 実施形態3は、実施形態2の触覚対応システムを含み、制御回路は、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値と触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値との中間点又はほぼ中間点として、初期オフセット値を決定するように構成され、触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値は、定義された定格最小信号値又はほぼ定義された定格最小信号値である。
【0075】
[0089] 実施形態4は、実施形態2又は3の触覚対応システムを含み、制御回路は、時間変動訂正信号の信号値、及び時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値を、追加、重ね合わせ、及び/又は、変調することによって、時間変動訂正信号及び定義されたオフセットの組み合わせを決定するように構成される。
【0076】
[0090] 実施形態5は、実施形態2~4のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含む。実施形態は、ユーザ入力デバイス、及び、ユーザ入力デバイスを取り付けるためのサスペンション構造を更に備え、触覚対応システムの1つ以上の部分の動きが、ユーザ入力デバイス又はサスペンション構造のうちの少なくとも1つの動きを含むように、駆動信号の駆動部分によって動きが発生する触覚対応システムの1つ以上の部分は、ユーザ入力デバイス又はサスペンション構造のうちの少なくとも1つを含む。
【0077】
[0091] 実施形態6は、実施形態5のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータに印加することによって発生する動きは、サスペンション構造の振動である。
【0078】
[0092] 実施形態7は、実施形態5又は6の触覚対応システムを含み、サスペンション構造は弾性的に変形可能なビームを含む。
【0079】
[0093] 実施形態8は、実施形態2~7のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、時間変動オフセットは、正弦関数、指数関数、又は一次関数のうちの少なくとも1つに基づいて、経時的に減少する。
【0080】
[0094] 実施形態9は、実施形態1~8のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値の絶対値は、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値の絶対値とは異なる。
【0081】
[0095] 実施形態10は、実施形態9の触覚対応システムを含み、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値は、ゼロに等しいか又はゼロより大きい電圧値又は電流値である。
【0082】
[0096] 実施形態11は、実施形態1~10のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、触覚アクチュエータは、圧電セラミック材料の層、又は電気活性高分子(EAP)材料の層を備え、あるいは触覚アクチュエータはソレノイドを備える。
【0083】
[0097] 実施形態12は、実施形態1~11のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、動きセンサは、作動可能部分などの触覚対応システムの1つ以上の部分の、又はこれに関連付けられた、加速度を測定するように構成された加速度計であり、制御回路は、加速度に基づいて時間変動訂正信号を決定するように構成される。
【0084】
[0098] 実施形態13は、実施形態12の触覚対応システムを含み、制御回路は、(i)作動可能部分の加速度の倍数、及び(ii)加速度の積分の倍数の組み合わせに基づいて、時間変動訂正信号を決定するように構成される。
【0085】
[0099] 実施形態14は、実施形態1~13のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、動きは振動を含み、ブレーキング部分は、触覚アクチュエータが実際の平衡位置に戻る前に1つ以上の部分(例えば、作動可能部分)の振動を停止させ、実際の平衡位置は、アクティブ駆動信号が印加されないときの触覚アクチュエータの位置である。
【0086】
[00100] 実施形態15は、実施形態1~14のいずれか一実施形態の触覚対応システムを含み、制御回路は更に、時間変動訂正信号と平滑化関数に基づく定義されたオフセットとの組み合わせの少なくとも一部を調整すること、及び/又は、組み合わせの少なくとも一部を駆動部分の1つ以上の最終信号値により近づくように調整することによって、駆動信号のブレーキング部分を発生させるように構成される。
【0087】
[00101] 実施形態16は、実施形態15の触覚対応システムを含み、調整される組み合わせの少なくとも一部は、i)ブレーキング部分の定義された初期の時間ウィンドウ内にある訂正信号の信号値、又はii)定義された初期の時間ウィンドウ内にあるオフセットのオフセット値のうちの、少なくとも1つを含む。
【0088】
[00102] 実施形態17は、制御回路によって実行されたとき、実施形態1~16のうちの1つ以上における機能を制御回路に実行させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0089】
[00103] 実施形態18は、触覚対応システムを制御する方法を含む。本実施形態における方法は、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を発生させること、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を触覚対応システムの触覚アクチュエータに印加すること、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きく、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットに基づいて、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を発生させること、及び、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加することを含む。
【0090】
[00104] 実施形態19は、実施形態18の方法を含み、触覚アクチュエータによって生じる動きに関連付けられたフィードバックを受信すること、及び、フィードバックに基づいて、触覚アクチュエータによって生じる動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定することを、更に含む。
【0091】
[00105] 実施形態20は、実施形態19の方法を含み、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を発生させることは、時間変動訂正信号に更に基づく。
【0092】
[00106] 実施形態21は、実施形態18~20のいずれか一実施形態の方法を含み、定義されたオフセットは、正弦波の少なくとも一部に基づいて経時的に減少する時間変動オフセットである。
【0093】
[00107] 実施形態22は、実施形態18~21のいずれか一実施形態の方法を含み、単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の少なくとも一部を平滑化することを更に含む。
【0094】
[00108] 実施形態23は、触覚アクチュエータ、動きセンサ、及び制御回路を備える、触覚対応システムを含む。制御回路は、駆動信号の駆動部分を発生させるように構成され、触覚効果のための動きを生じさせるために駆動信号の駆動部分を触覚アクチュエータに印加するように構成され、動きセンサを介して残余運動を決定するように構成され、残余運動は駆動部分によって生じ、駆動部分の終わりの後に残る動きであり、残余運動に基づいて、残余運動を減少させるための時間変動訂正を決定するように構成され、時間変動訂正信号と、触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きく、触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットとの組み合わせに基づいて、駆動信号のブレーキング部分を発生させるように構成され、及び、駆動信号のブレーキング部分を触覚アクチュエータに印加するように、構成される。
【0095】
[00109] 実施形態24は、実施形態23の触覚対応システムを含み、残余運動は、触覚アクチュエータに結合された作動可能部分の動きである。
【0096】
[00110] 実施形態25は、実施形態24の触覚対応システムを含み、定義されたオフセットは、実施形態2~16のいずれか一実施形態のプロパティを有し、作動可能部分は、実施形態2~16のいずれか一実施形態のプロパティを有する。
【0097】
[00111] 上記で様々な実施形態を説明してきたが、これらは本発明の制限としてではなく説明及び例示としてのみ提示されていることを理解されたい。当業者であれば、形式及び細部における様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく実行可能であることが明らかとなろう。したがって、本発明の幅及び範囲は、前述の例示的実施形態のいずれによっても制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ定義されるものである。本明細書で考察される各実施形態及び本明細書で引用される各参照の各特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用可能であることも理解されよう。本明細書で考察されるすべての特許及び公開は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚対応システムであって、
触覚アクチュエータと、
動きセンサと、
制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
駆動信号の駆動部分を発生させることと、
前記触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを発生させるために、前記駆動信号の前記駆動部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、
前記動きセンサを介して、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きを決定することと、
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きに基づいて、前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定することと、
前記時間変動訂正信号と、前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、
経時的に減少する時間変動オフセットとの組み合わせに基づいて、前記駆動信号のブレーキング部分を発生させることと、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、を行うように構成される、触覚対応システム。
【請求項2】
前記
時間変動オフセットは、初期のオフセット値から前記触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値に向け
て減少す
る、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値と前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値との中間点又はほぼ中間点として、前記初期オフセット値を決定するように構成され、
前記触覚アクチュエータが前記無励磁状態に戻る前記信号値は、前記定義された定格最小信号値又はほぼ前記定義された定格最小信号値である、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記時間変動訂正信号の信号値、及び前記時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値を追加することによって、
前記時間変動訂正信号と前記
時間変動オフセットとの前記組み合わせを決定するように構成される、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項5】
ユーザ入力デバイスと、
前記ユーザ入力デバイスを取り付けるためのサスペンション構造と、を更に備え、
前記駆動信号の前記駆動部分によって動きが発生する前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分は、前記ユーザ入力デバイス又は前記サスペンション構造のうちの少なくとも1つを含み、その結果、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の動きが、前記ユーザ入力デバイス又は前記サスペンション構造のうちの前記少なくとも1つの動きを含む、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項6】
前記駆動信号の前記駆動部分を前記触覚アクチュエータに印加することによって発生する前記動きは、前記サスペンション構造の振動である、請求項5に記載の触覚対応システム。
【請求項7】
前記サスペンション構造は弾性的に変形可能な構成要素を含む、請求項5に記載の触覚対応システム。
【請求項8】
前記時間変動オフセットは、正弦関数、指数関数、又は一次関数のうちの少なくとも1つに基づいて、経時的に減少する、請求項2に記載の触覚対応システム。
【請求項9】
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値の絶対値は、前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値の絶対値とは異なる、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項10】
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値は、ゼロに等しいか又はゼロより大きい電圧値又は電流値である、請求項9に記載の触覚対応システム。
【請求項11】
前記触覚アクチュエータは、圧電セラミック材料の層を備える、請求項9に記載の触覚対応システム。
【請求項12】
前記動きセンサは、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の加速度を測定するように構成された加速度計であり、
前記制御回路は、前記加速度に基づいて前記時間変動訂正信号を決定するように構成される、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項13】
前記制御回路は、(i)前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記加速度の倍数、及び(ii)前記加速度の積分の倍数の組み合わせに基づいて、前記時間変動訂正信号を決定するように構成される、請求項12に記載の触覚対応システム。
【請求項14】
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きは振動を含み、
前記ブレーキング部分は、前記触覚アクチュエータが実際の平衡位置に戻る前に前記触覚対応システムの1つ以上の部分の前記振動を停止させ、
前記実際の平衡位置は、アクティブ駆動信号が印加されないときの前記触覚アクチュエータの位置である、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項15】
前記制御回路は更に、
前記時間変動訂正信号と平滑化関数に基づく前記
時間変動オフセットとの前記組み合わせの少なくとも一部を調整すること、及び/又は、
前記組み合わせの前記少なくとも一部を前記駆動部分の1つ以上の最終信号値により近づくように調整することによって、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を発生させるように構成される、請求項1に記載の触覚対応システム。
【請求項16】
調整される前記組み合わせの前記少なくとも一部は、i)前記ブレーキング部分の定義された初期の時間ウィンドウ内にある前記訂正信号の信号値、又はii)前記定義された初期の時間ウィンドウ内にある前記オフセットのオフセット値のうちの、少なくとも1つを含む、請求項15に記載の触覚対応システム。
【請求項17】
命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記命令は、触覚対応システムの制御回路によって実行されたとき、
駆動信号の駆動部分を発生させることと、
前記触覚対応システムの1つ以上の部分の動きを発生させるために、前記駆動信号の前記駆動部分を触覚アクチュエータに印加することと、
動きセンサを介して、前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きを決定することと、
前記触覚対応システムの前記1つ以上の部分の前記動きに基づいて、前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定することと、
前記時間変動訂正信号と、前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、
経時的に減少する時間変動オフセットとの組み合わせに基づいて、前記駆動信号のブレーキング部分を発生させることと、
前記駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加することと、
を前記制御回路に実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記
時間変動オフセットは、初期のオフセット値から前記触覚アクチュエータが無励磁状態に戻る信号値に向け
て減少す
る、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記命令は、前記制御回路によって実行されたとき、
前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最大信号値と前記触覚アクチュエータについて前記定義された定格最小信号値との中間点又はほぼ中間点として、前記初期オフセット値を決定することを、前記制御回路に更に実行させる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記命令は、前記制御回路によって実行されたとき、
前記時間変動訂正信号の信号値、及び前記時間変動オフセットのそれぞれのオフセット値を追加することによって、前記時間変動訂正信号及び前記
時間変動オフセットの前記組み合わせを決定することを、前記制御回路に更に実行させる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の駆動部分を発生させること
であって、前記不対称双極性駆動信号は、当該信号の最大信号値及び当該信号の最小信号値が大きさにおいて異なる信号であることと、
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記駆動部分を前記触覚対応システムの触覚アクチュエータに印加すること、
前記触覚アクチュエータについて定義された定格最小信号値より大きくかつ前記触覚アクチュエータについて定義された定格最大信号値より小さい、定義されたオフセットに基づいて、前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号のブレーキング部分を発生させること、及び、
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記ブレーキング部分を前記触覚アクチュエータに印加すること、
を含む、触覚対応システムを制御する方法。
【請求項22】
前記触覚アクチュエータによって生じる動きに関連付けられたフィードバックを受信すること、及び、
前記フィードバックに基づいて、前記触覚アクチュエータによって生じる前記動きを減少させるための時間変動訂正信号を決定すること、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の前記ブレーキング部分を発生させることは、前記時間変動訂正信号に更に基づく、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記定義されたオフセットは、正弦波の少なくとも一部に基づいて経時的に減少する時間変動オフセットである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記単極性駆動信号又は不対称双極性駆動信号の少なくとも一部を平滑化することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【国際調査報告】