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特表2022-547773原子炉の炉心溶融物の位置特定および冷却システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】原子炉の炉心溶融物の位置特定および冷却システム
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/016 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G21C9/016
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021578276
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 RU2020000765
(87)【国際公開番号】W WO2021188007
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】2020111299
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516233088
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー アトムエネルゴプロエクト
【氏名又は名称原語表記】JOINT STOCK COMPANY ATOMENERGOPROEKT
【住所又は居所原語表記】ul. Bakuninskaya,7,str.1 Moscow,105005 Russia
(71)【出願人】
【識別番号】520514768
【氏名又は名称】サイエンス アンド イノヴェーションズ - ニュークリア インダストリー サイエンティフィック デベロップメント,プライベート エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】230130074
【弁護士】
【氏名又は名称】藤河家 知美
(72)【発明者】
【氏名】シドロフ,アレクサンドラ スタレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】チカン,クリスティン アレクサンドロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シドロワ,ナジェジダ ヴァシリエヴナ
【テーマコード(参考)】
2G002
【Fターム(参考)】
2G002BA07
(57)【要約】
本発明は、原子力エネルギーの分野、特に原子力発電所(NPP)の安全を確保するシステムに関するものであり、原子炉容器およびその密閉されたエンベロープの破壊につながる重大な事故に使用することができる。請求された発明の技術的結果は、原子炉の炉心溶融物を局所化および冷却するためのシステムの信頼性を改善し、原子炉の炉心溶融物からの熱除去の効率を高めることである。技術的な結果は、本体とトラスコンソールの間の領域に取り付けられ、下部熱保護は本体内部の上部フィラーカセットに取り付けられた、原子炉の炉心溶融物の位置特定・冷却システムで上部熱保護を使用することによって達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の本体(2)の下に設置され、カンチレバートラス(3)上にあるガイドプレート(1)、溶融物を受け入れて分配することを目的とし、フランジ(5)には熱保護(6)が装備されているコンクリートシャフトの基部の埋め込み部分に取り付けられた多層ボディ(4)、互いに積み重ねられたいくつかのカセット(8)で構成され、各カセットには1つの中央穴といくつかの周辺穴(9)が含まれているフィラー(7)、上部カセット(8)とフランジ(5)の間の領域で多層本体(4)の周囲に沿って配置された分岐パイプ(11)に取り付けられた各給水バルブ(10)などを含み、多層ボディ(4)の内側に、外側(21)、内側(24)のシェル、そして底部(22)で構成され、トラスコンソールの断熱フランジ(18)とフランジ(28)の間に接触ウェーハタイプのギャップ(29)を備えた断熱フランジ(18)に取り付けられた耐熱ファスナー(19)によって、トラスコンソール(3)のフランジ(28)から吊り下げられ、多層体(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の上部に重なる追加の上部熱保護(15)などが取り付けられていると同時に、外殻(21)、底部(22)、内殻(24)の間の空間は、溶融コンクリート(26)で満たされ、熱保護の垂直リブ(20)によってセクターに分割され、垂直(23)、長い放射状(25)、そして短い放射状(27)の鉄筋によって保持され、その強度が内殻(24)と底部(22)の強度よりも高くなるように作られており、内側(24)に於いて、スペーサー要素(30)が作られ、上部カセット(8)に下部熱保護(12)が取り付けられ、外側(14)、内側(31)シェル、および底部(13)で構成され、上部熱保護(15)の下部のスペーサー要素(30)、その下部にアーチ型要素(17)が作られ、多層本体(4)のフランジ(5)の熱保護(6)と重なっていると同時に、外側(14)、内側(31)のシェルと底部(13)の間のスペースは、スラグ形成コンクリート(33)で満たされ、垂直リブ(32)によってセクターに分割され、垂直(34)、長い放射状(35)に保持され、そして短い放射状(16)の鉄筋であり、外側のシェル(21)の強度は、内側のシェル(31)、下部(13)、そしてアーチ型の要素(17)の強度よりも高くなっているなどを特徴にした原子炉の炉心の溶融物の位置特定・冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力エネルギーの分野、特に原子力発電所(NPP)の安全を確保するシステムに関するものであり、原子炉容器およびその密閉されたエンベロープの破壊につながる重大な事故に使用することができる。
【0002】
最大の放射線障害は、コア冷却システムに複数のエラーが発生した場合に発生する可能性のあるコアメルトの事故によって引き起こされる。
【0003】
このような事故では、炉心溶融物(Corium)が原子炉内構造と原子炉容器を溶かし、限界を超えて流出し、そこに残っている残留熱放出のために、それは環境への放射性生成物の放出に対する最後の障壁となるNPPの密閉シェルの完全性を侵害する可能性がある。
【0004】
これを排除するには、原子炉容器から流出する炉心溶融物(真皮)を局所化し、完全に結晶化するまでその継続的な冷却を確保する必要がある。この機能は、原子力発電所の気密シェルへの損傷を防ぎ、それによって原子炉の重大な事故における放射線被曝から人口と環境を保護する「原子炉の炉心溶融物の位置特定と冷却のためのシステム」によって実行される。
【背景技術】
【0005】
原子炉のケーシングの下に設置されたガイドプレートが含まれており、片持ちトラスの上に置かれ、コンクリートシャフトのベースに埋め込まれた部品に取り付けられた多層ボディが含まれ、そのフランジには熱保護が装備され、カセットフィラーとガイドプレートの間のハウジング内に設置されたサービスプラットフォームのセットを積み重ねたフィラー等が含まれている、原子炉の炉心の溶融物の位置特定・冷却システム(特許文献1)が既知となっている。
【0006】
このシステムは、その設計上の特徴に従って、次の欠点がある:
- 炉心溶融物が原子炉容器に侵入(破壊)した瞬間、過熱した溶融物は、原子炉容器内の残留圧力の影響下で形成された穴に流れ始め、多層容器の容積内で非軸対称に伝播すると同時に、溶融物と周辺構造との動的接触を伴い、多層本体のフランジに取り付けられた周辺構造および機器の破壊につながる。
- 過熱した溶融物が多層体の内部で大流量でフィラーに噴射されたとき、フィラー側の反射効果により、過熱した溶融物の一部が周辺構造物や給水弁(WSV - Water Supply Valves)を取り付けた多層体に向かって反対方向に移動し、損傷や破壊を引き起こす;
- 溶融物が多層容器内でフィラーに流入すると、溶融物のレベルが形成され、炉心と原子炉容器の底部の破片が溶融物の飛沫(波)の形成につながり、破壊する可能性がある周辺機器および給水弁の多層ハウジングに設置されている;
- 原子炉容器からの溶融物の流出の過程で、および溶融物とフィラーとの相互作用の間に、エアロゾルが形成され、高温ゾーンから上方に移動し、周辺機器の低温ゾーン及び給水弁に沈降する結果、多層ケースに設置された周辺機器や給水弁が損傷したり破壊されたりする;
- 溶融物が多層体の内部に入った後、給水バルブの早期溶融により、多層ボディ内での早期給水の可能性があり、その結果、高圧ガスの過剰な形成が発生し、溶融物の封じ込めおよび冷却システムの爆発と破壊につながる可能性がある。
【0007】
原子炉のケーシングの下に設置され、トラスコンソール上に置かれたガイドプレートを含むシステム、コンクリートシャフトのベースの埋め込み部品に設置された多層ケーシング、そのフランジには熱保護が装備され、互いに積み重ねられたカセットのセットで構成されるフィラー、そしてフィラーとガイドプレートの間の本体内部に設置されたサービスプラットフォームなどを含む、原子炉の炉心の溶融物の位置特定・冷却システム(特許文献2)が既知となっている。
【0008】
このシステムは、その設計上の特徴に従って、次の欠点がある:
- 炉心溶融物が原子炉容器に侵入(破壊)した瞬間、過熱した溶融物は、原子炉容器内の残留圧力の影響下で形成された穴に流れ始め、多層容器の容積内で非軸対称に伝播すると同時に、溶融物と周辺構造との動的接触を伴い、多層本体のフランジに取り付けられた周辺構造および機器の破壊につながる。
- 過熱した溶融物が多層体の内部で大流量でフィラーに噴射されたとき、フィラー側の反射効果により、過熱した溶融物の一部が、給水弁が取り付けられた周辺構造と多層体に向かって反対方向に移動することが、それらの損害と破壊につながる;
- 溶融物が多層容器内でフィラーに流入すると、溶融物のレベルが形成され、炉心と原子炉容器の底部の破片が溶融物の飛沫(波)の形成につながり、破壊する可能性がある周辺機器および給水弁の多層ハウジングに設置されている;
- 原子炉容器からの溶融物の流出の過程で、および溶融物とフィラーとの相互作用の間に、エアロゾルが形成され、高温ゾーンから上方に移動し、周辺機器の低温ゾーン及び給水弁に沈降する結果、多層ケースに設置された周辺機器や給水弁が損傷したり破壊されたりする;
- 溶融物が多層体の内部に入った後、給水バルブの早期溶融により、多層ボディ内での早期給水の可能性があり、その結果、高圧ガスの過剰な形成が発生し、溶融物の封じ込めおよび冷却システムの爆発と破壊につながる可能性がある。
【0009】
原子炉容器の下に設置されたガイドプレートが含まれている、片持ちトラス、片持ちトラスに載って、コンクリートシャフトのベースの埋め込み部品に取り付けられた多層ケーシング上にあり、そのフランジには熱保護が装備され、互いに重ねて取り付けられたカセットのセットで構成されるフィラーが含まれ、各カセットには一つの中央の穴といくつかの周辺の穴が含まれ、上部カセットとフランジの間の領域で多層本体の周囲に沿って配置された分岐パイプに設置された給水バルブ、フィラーとガイドプレートの間の多層ボディ内に設置されたサービスプラットフォームなどが含まれている、原子炉の炉心の溶融物の位置特定・冷却システム(特許文献3)が既知となっている。
【0010】
このシステムは、その設計上の特徴に従って、次の欠点がある:
- 炉心溶融物が原子炉容器に侵入(破壊)した瞬間、過熱した溶融物は、原子炉容器内の残留圧力の影響下で形成された穴に流れ始め、多層容器の容積内で非軸対称に伝播すると同時に、溶融物と周辺構造との動的接触を伴い、多層本体のフランジに取り付けられた周辺構造および機器の破壊につながる。
- 過熱した溶融物が多層体の内部で大流量でフィラーに噴射されたとき、フィラー側の反射効果により、過熱した溶融物の一部が、給水弁が取り付けられた周辺構造と多層体に向かって反対方向に移動することが、それらの損害と破壊につながる;
- 溶融物が多層容器内でフィラーに流入すると、溶融物のレベルが形成され、炉心と原子炉容器の底部の破片が溶融物の飛沫(波)の形成につながり、破壊する可能性がある周辺機器および給水弁の多層ハウジングに設置されている;
- 原子炉容器からの溶融物の流出の過程で、および溶融物とフィラーとの相互作用の間に、エアロゾルが形成され、高温ゾーンから上方に移動し、周辺機器の低温ゾーン及び給水弁に沈降する結果、多層ケースに設置された周辺機器や給水弁が損傷したり破壊されたりする;
- 溶融物が多層体の内部に入った後、給水バルブの早期溶融により、多層ボディ内での早期給水の可能性があり、その結果、高圧ガスの過剰な形成が発生し、溶融物の封じ込めおよび冷却システムの爆発と破壊につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ロシア特許公開公報第2576517号
【特許文献2】ロシア特許公開公報第2576516号
【特許文献3】ロシア特許公開公報第2696612号
【発明の概要】
【0012】
請求された発明の技術的結果は、原子炉の炉心溶融物を局所化および冷却するためのシステムの信頼性を改善し、原子炉の炉心溶融物からの熱除去の効率を高めることである。
【0013】
請求された発明によって解決されるべき課題は以下の通りである:
- 原子炉容器からの過熱溶融物の非軸対称流出の過程での破壊からの多層容器のフランジに設置された周辺構造および機器の保護;
- 過熱した溶融物の一部が周辺構造と給水弁に向かって反対方向に移動するフィラーからの反射効果の結果として、周辺構造と給水弁を破壊から保護することの保証;
- 炉心の破片および原子炉容器底部の破片が溶融槽に落下したときの溶融物の飛沫(波)の結果としての破壊から周辺構造および給水弁の確実な保護;
- エアロゾルの堆積とその後の機器の部品とともに溶融浴への崩壊の結果としての破壊からの周辺構造と給水弁の保護;
- 給水弁の早期浸透の場合に多層ハウジングの内部に時期尚早の水が供給された場合に、破壊から機器の確実な保護;
- コアメルトミラーの側面からの熱放射から多層ボディの周囲に沿って設置された給水弁の保護(熱シールド)の確保。
【0014】
置かれている課題は、原子炉の炉心溶融物の位置特定・冷却システムに於いて、原子炉のケーシング(2)の下に設置され、片持ちトラス(3)に載っているガイドプレート(1)、コンクリートシャフトの基部の埋め込み部品に取り付けられた多層ボディ(4)に載っている。これは、溶融物の受け入れと分配を目的としており、フランジ(5)には熱保護(6)が装備され、フィラー(7)の上に置かれ、それぞれが1つの中央穴といくつかの周辺穴(9)を含む複数のカセット(8)が互いに重なり合って構成され、上部カセット(8)とフランジ(5)の間の領域で多層本体(4)の周囲に沿って配置された分岐パイプ(11)に取り付けられた給水弁(10)などがあり、本発明によれば、多層ボディ(4)の内側に於いて、上部熱保護(15)が追加で取り付けられ、その中に於いて、トラスコンソール(3)のフランジ(28)から、耐熱ファスナー(19)を使用して吊り下げられた、外側(21)、内側(24)シェル、および底部(22)で構成されている。断熱フランジ(18)とトラスコンソールのフランジ(28)の間に接触フランジギャップ(29)があり、フランジ(5)の熱保護(6)の上部に重なっている絶縁フランジ(18)多層体(4)の、外殻(21)、内殻(24)、底部(22)の間の空間は、垂直リブ(20)によってセクターに分割された溶融コンクリート(26)で満たされ、垂直(23)、長いラジアル(25)、短いラジアル(27)の補強バーで保持され、外側のシェル(21)の強度は、内側のシェル(24)と底部(22)の強度が高くなる。スペーサーエレメント(30)はインナーシェル(24)に作られ、上部カセット(8)には、上部熱保護(15)の下部のスペーサー(30)と接触し、外部(14)、内部(31)シェル、および下部(13)で構成されている下部熱保護(12)があり、同時に、下部熱保護(12)の下部にアーチ型の要素(17)が作成され、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)と重なり、さらに、外殻(14)、内殻(31)、底部(13)の間の空間は、スラグ形成コンクリート(33)で満たされ、垂直リブ(32)によってセクターに分割され、垂直リブ(34)によって保持され、長いラジアル(35)および短いラジアル(16)鉄筋などが備えられ、外側のシェル(14)の強度は、ゾーンの内側のシェル(31)、下部(13)、およびアーチ型の要素(17)の強度よりも高くなることによって解決される。
【0015】
請求された発明の一つの本質的な特徴として、原子炉の炉心溶融物の位置特定および冷却システムに於いて、トラスコンソールから吊り下げられ、多層ボディのフランジの熱保護の上部に重なる上部熱保護が存在し、原子炉容器からの炉心溶融物から多層容器とコンソールトラスの気密接続ゾーンへの直接衝撃を防ぐスロットギャップを形成することである。上部の熱保護は、原子炉容器から流れる過熱溶融物の一部が周辺構造と空気バイパスに向かって反対方向に移動するフィラー側からの反射効果の結果として、周辺構造と空気バイパス弁の破壊から保護、炉心の破片と原子炉容器底部の破片が溶融槽に落下したときの溶融物の飛沫(波)の結果としての破壊から周辺構造と空気バイパス弁の保護、エアロゾルの堆積とその後の機器の部品とともにメルトバスへの崩壊の結果としての破壊から周辺構造と空気バイパス弁の保護などを提供する。
【0016】
請求された発明のもう一つの本質的な特徴として、原子炉の炉心溶融物の位置特定および冷却システムに於いて、上部カセットに取り付けられた下部熱保護があることである。下部の熱保護は、外部、内部シェル、そして底部で構成されている。下部の熱保護は、上部の熱保護の下部のスペーサー要素に接触し、その下部には、多層本体のフランジの熱保護を覆うアーチ型の要素がある。外殻は、スラグ形成コンクリートの層で覆われ、垂直リブによってセクターに分割され、垂直、長い放射状および短い放射状の鉄筋によって保持され、その強度が内殻、底部、アーチ型の要素の強度よりも高くなるように作られている。下部熱保護は、コアメルトミラーの側面からの熱放射から、多層ボディの周囲に沿って設置された給水バルブの熱シールド、原子炉容器からの過熱溶融物の非軸対称流出の過程での破壊から多層容器のフランジに設置された周辺構造および機器などの保護、原子炉容器から流出する過熱溶融物が周辺構造物および空気バイパス弁に向かって反対方向に移動する、充填剤の側面の反射効果の結果としての破壊に対し周辺構造と空気バイパス弁の保護、炉心の破片と原子炉容器底部の破片が溶融槽に落下したときの溶融物の飛沫(波)の結果としての破壊から周辺構造と空気バイパス弁の保護、エアロゾルの堆積とその後の機器の部品とともにメルトバスへの崩壊の結果としての破壊から周辺構造と空気バイパス弁の保護、エアバイパスバルブが時期尚早に溶けた場合に、多層ハウジングの内部に時期尚早に水が供給された場合に、機器の破壊から保護、コアメルトミラーの側面からの熱放射から多層ボディの周囲に沿って設置された空気バイパス弁の保護(熱シールド)などを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】特許請求される発明に従って作製された、原子炉の炉心溶融物を位置特定および冷却するためのシステムを示している。
図2】上部フィラーカセットとカンチレバートラスの下面の間の領域を示している。
図3】特許請求される発明に従ってなされた上部熱保護の概観を示している。
図4】特許請求される発明に従って作製された、断面の上部熱保護の断片を示している。
図5】トラスコンソールへの上部熱保護の取り付け領域を示している。
図6】特許請求される発明に従ってなされた下部熱保護の概観を示している。
図7】特許請求される発明に従って作製された、断面の下部熱保護の断片を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~7に示すように、原子炉の炉心溶融物を封じ込めて冷却するシステムには、原子炉の本体(2)の下に設置され、カンチレバートラス(3)上にあるガイドプレート(1)が含まれている。多層ボディ(4)は、埋め込み部品の原子炉シャフトの基部に取り付けられているコンソールトラス(3)の下に取り付けられている。多層ボディ(4)は、溶融物を受け取り、分配するように設計されている。多層体(4)の上部には、熱保護(6)を備えたフランジ(5)がある。多層体(4)の内部にフィラー(7)が取り付けられている。フィラー(7)は、互いに積み重ねられた複数のカセット(8)で構成され、各カセットには一つの中央穴といくつかの周辺穴(9)が含まれている。多層体(4)の周囲に沿った上部カセット(8)とフランジ(5)の間の領域には、分岐パイプ(11)に取り付けられた給水バルブ(10)がある。さらに、上部熱保護(15)が多層本体(4)の内側に取り付けられている。
【0019】
上部の熱保護(15)は、外部(21)、内部(24)シェル、および下部(22)で構成されている。上部の熱保護(15)は、耐熱ファスナー(19)を使用して、トラスコンソール(3)のフランジ(28)から吊り下げられている。熱ファスナー(19)は、トラスコンソールの断熱フランジ(18)とフランジ(28)の間に接触面間ギャップ(29)を形成するように断熱フランジ(18)に取り付けられる。上部熱保護(15)は、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の上部とトラスコンソール(3)の下部と重なるように取り付けられている。外殻(21)、内殻(24)、底部(22)の間の空間は、垂直リブ(20)によってセクターに分割された溶融コンクリート(26)で満たされている。さらに、溶けたコンクリートは、垂直(23)、長い放射状(25)、そして短い放射状(27)の鉄筋によって所定の位置に保持される。この場合、外殻(21)の強度は内殻(24)および底部(22)の強度よりも高く、スペーサー(30)が内殻(24)上に作られている。
【0020】
上部カセット(8)には下部熱保護(12)があり、外側(14)、内側(31)シェル、および底部(13)で構成されている。下部の熱保護(12)は、上部の熱保護(15)の下部のスペーサー(30)に接触する。下部熱保護装置(12)の下部には、アーチ型の要素(17)が作成されており、多層ハウジング(4)に設置すると、下部と直接作用して給水弁(10)と重なる。過熱した溶融物の側面、そしてそれらの上部で、カセット(8)の穴(9)に入る過熱した溶融物が妨げられないようにする。
【0021】
外殻(14)、内殻(31)、底部(13)の間のスペースは、垂直リブ(32)によってセクターに分割され、垂直(34)、長い放射状(35)、および短い放射状(16)の鉄筋によって支持されている、スラグ形成コンクリート(33)で満たされている。外殻(14)の強度は、内殻(31)、底部(13)、アーチ要素(17)の強度よりも高くなっている。
【0022】
請求された発明による、原子炉の炉心の溶融物を局在化および冷却するための請求されたシステムは、以下のように動作する。
【0023】
原子炉本体(2)が破壊された瞬間、静水圧と残留圧力の作用下での炉心の溶融物が、コンソールトラス(3)によって保持されたガイドプレート(1)の表面に流れ始める。ガイドプレート(1)を流れ落ちる溶融物は、多層体(4)に入り、フィラー(7)と接触する。セクター非軸対称メルトフローの場合、トラスコンソール(3)の熱保護、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)、上部(15)および下部(12)熱保護が発生する。これらの熱保護を破壊すると、一方では保護された機器に対するコアメルトの熱効果が減少し、他方ではメルト自体の温度と化学的活性が減少する。
【0024】
サンドイッチ本体(4)フランジ(5)熱保護(6)は、溶融物がフィラー(7)に入った瞬間から、溶融物とフィラー(7)との相互作用が終了するまで、つまり、コア溶融物の表面にあるクラストが水で冷却し始める瞬間まで、コアメルトミラーの側面からの熱効果から上部の厚肉内部が保護される。多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)は、フィラー(7)との相互作用の過程で多層ケーシング(4)に形成されたコアメルトのレベルより上の多層ケーシング(4)の内面の保護が可能になるように取り付けられており、これはまさに多層体(4)の上部であり、多層体(4)の円筒形部分と比較して厚みがあり、コアメルトから多層体(4)の外側にある水への通常の(大量の沸騰モードでの熱伝達の危機なしに)熱伝達が保証される。
【0025】
コアメルトとフィラー(7)の相互作用中には、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)は、加熱と部分的な破壊にさらされ、メルトミラーの側面からの熱放射を遮断する。多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の幾何学的および熱物理的特性は、どのような条件下でも、多層ボディ(4)のフランジ(5)をメルトミラーの側面からシールドするように選択されことにより、コアメルトとフィラー(7)の物理化学的相互作用のプロセスが完了した時点からの保護機能の独立性が保証される。したがって、多層体(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の存在は、コアメルトの表面に位置するクラストへの水の供給を開始する前に保護機能の実行を確実にすることを可能にする。
【0026】
図1、3、4に示すように、多層ボディのフランジ(5)の熱保護(6)の上部レベルの上に、トラスコンソール(3)から吊り下げられた上部熱保護(15)(4)、多層体(4)のフランジ(5)の下部熱保護(6)で上部を覆い、下部だけでなくコアメルトミラーの側面からの熱放射からの保護を提供するコンソールトラス(3)だけでなく、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の上部もある。多層ボディ(4)のフランジ(5)の上部熱保護(15)の外面と熱保護(6)の内面との間の距離、およびオーバーラップ高さなどの幾何学的特性多層体(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の上部が破壊されないことを確実にするように、前記熱保護(15と6)のうちの一つが選択され、それはその機械的安定性を保証する結果、給水バルブ(10)の上部から、過熱した溶融物や飛散物の側面からの直接作用から保護される。
【0027】
図3、4に示すように、構造的に上部の熱保護(15)は、外部(21)、内部(24)のシェル、および下部(22)で構成されている。図5に示すように、上部の熱保護(15)は、耐熱ファスナー(19)によってトラスコンソール(3)のフランジ(28)から吊り下げられている。熱ファスナー(19)は、トラスコンソールの断熱フランジ(18)とフランジ(28)の間に接触面間ギャップ(29)を形成するように断熱フランジ(18)に取り付けられる。上部熱保護(15)は、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の上部と、トラスコンソールのフランジ(28)の下部をカバーするように取り付けられている。外殻(21)、内殻(24)、底部(22)の間の空間は、溶融コンクリート(26)で満たされている。さらに、溶けたコンクリート(26)は、垂直(23)、長い放射状(25)、そして短い放射状(27)の鉄筋によって支えられている。この場合、外殻(21)の強度は内殻(24)および底部(22)の強度よりも高く、スペーサー(30)が内殻(24)上に作られている。
【0028】
図6、7に示すように、構造的に、下部熱保護(12)は、外部(14)、内部(31)シェル、そして下部(13)で構成されている。図4に示すように、下部の熱保護(12)は、上部の熱保護(15)の下部のスペーサー(30)に接触する。図6に示すように、下部熱保護(12)の下部には、アーチ型の要素(17)が作成されており、多層体(4)に取り付けると、多層体(4)のフランジ(5)の熱保護(6)と重なる。外殻(14)、内殻(31)、底部(13)の間のスペースは、スラグ形成コンクリート(33)で満たされ、垂直リブ(32)によってセクターに分割され、垂直(34)、長い放射状(35)、および短い放射状(16)の鉄筋によって保持される。同時に、外殻(14)の強度は、内殻(31)、底部(13)、そしてアーチ型要素(17)の強度よりも高くなっている。
【0029】
下部の熱保護(12)は、フィラー(7)の上部カートリッジ(8)と多層体(4)のフランジ(5)の間の領域で、多層体(4)の周囲に取り付けられた給水バルブ(10)のため、コアメルトミラーの側面からの熱放射の影響からの熱シールドを提供する。
【0030】
図1に示すように、多層ボディ(4)の内側に取り付けられた下部熱保護(12)は、フィラー(7)の上部カートリッジ(8)に載り、上部熱保護(15)の下部と重なる。このようなオーバーラップは、上部熱保護(15)の内側に下部熱保護(12)が同軸に取り付けられているために提供される。オーバーラップの高さと下部と上部のサーマルシールド(15と12)の間の技術的なギャップは、圧力のパルス増加と衝撃の非軸対称負荷の間、上部のサーマルシールド(15)の安定した位置を提供する。
【0031】
下部熱保護(12)のベースにあるアーチ型要素(17)は、フィラー(7)の穴(9)のフルフローセクションの開口部を確保し、フィラー(7)内の空気(ガス)の流れを再分配して、多層容器(4)の内部容積間の圧力をすばやく均等にし、原子炉の容器(2)から来るコアメルトを再分配することができる。
【0032】
給水バルブ(10)は受動的に保護されている:下部のサーマルシールド(12)は、溶融物がフィラー(7)と相互作用するにつれて、コア溶融物に徐々に溶解(溶けること)する。この相互作用は、コアメルトがフィラー(7)に流入するための初期条件によって決まる:溶融物の金属および酸化物成分の供給が速い又は遅いとき。
【0033】
溶融物の金属および酸化物成分がフィラー(7)に急速に流れ込み、酸化物成分の到着の遅延が30分以内である(例えば、原子炉の容器(2)の横方向への貫通と、それに続く原子炉の容器(2)の底部の部分的または完全な破壊の場合)、物理化学的相互作用のプロセスが速くなり、密度が溶融物の酸化物成分は、金属成分の密度に比べて速く減少し、メルトインバージョンは初期段階で発生する結果、メルトミラーの側面からの熱放射用の給水バルブ(10)へのアクセスが開かれ、冷却剤の通過時にその加熱と作動が保証されることを目的とする溶融物の単一の液体浴の形成がより早くと起こり、そこで下部熱保護(12)が溶解(溶けること)する。
【0034】
溶融物の金属および酸化物成分がフィラー(7)にゆっくりと流入し、酸化物成分の流入の遅延が30分を超えると(例えば、原子炉の本体(2)を横方向に貫通する場合、最初に原子炉の本体(2)に形成された穴から溶鋼が流出し、次に本体が溶けると、液体酸化物が流出するとき)、物理化学的相互作用のプロセスはよりゆっくりと進行し、金属成分の密度と比較して、溶融物の酸化物成分の密度の減少が遅くなり、後の段階で溶融反転が発生する結果、メルトミラーの側面からの熱放射用の給水バルブ(10)へのアクセスが開かれ、冷却剤の通過時にその加熱と作動が保証されることを目的とする溶融物の単一の液体浴の形成がよりゆっくりと起こり、そこで下部熱保護(12)が溶解(溶けること)する。
【0035】
フィラー(7)への溶融物の金属および酸化物成分の高速および低速供給は、時間内に多層容器(4)内のコア溶融物の同じ状態の達成に大きな違いをもたらするので、熱シールドの使用、すなわち下部の熱保護(12)の溶融物に溶解し、コアの溶融物が同じ熱化学的およびフィラー(7)を入力するシナリオに関係なく、溶融物の表面に形成されたクラストの水冷に安全な機械的状態になる瞬間に、給水のバルブ(10)の作動を保証する。下部熱保護(12)の幾何学的および熱物理的特性は、この相互作用の速度に関係なく、コアメルトとフィラー(7)の物理化学的相互作用のプロセスの保証された完了に基づいて選択される。
【0036】
コアメルト成分と犠牲フィラー材料(7)の化合物によって形成されたコリウムの破壊プロセス(溶融、溶解、および化学的相互作用)に関連する下部熱保護(12)の上記の2モード移動は、下部の熱保護(12)の各平坦層を破壊するために必要な異なる量のエネルギーが提供される。
【0037】
下部の熱保護(12)の下部にアーチ型の要素(17)が存在するため、下部の平らな層の面積は上部よりも大幅に小さくなり、したがって、消費されるエネルギーの量下層部の溶融(破壊)は上層部よりも少なくなる。この場合、アーチ型要素(17)で作られた下部熱保護(12)の下部の溶融物への浸漬速度は、その上部の浸漬速度の約2倍である。下部熱保護(12)のこの設計は、コアメルトとフィラー(7)および下部サーマルシールド(12)との相互作用の初期段階で、メルトミラーの側面からの熱放射の影響から、多層ボディ(4)の内面の開いた領域の衝撃のない重なりをすばやく提供することにより、溶融物のミラーと多層体(4)の内面との間の直接放射熱伝達をブロックすることが可能になる。
【0038】
設計通りの状態では、真皮がフィラー(7)の内側にあり、カセット(8)が支持力を失っていない瞬間から、溶融物の鏡が形成され、フィラー(7)の形状変化が始まるまで、給水バルブ(10)の作業要素は、下部熱保護(12)のアーチ型要素(17)による直接放射熱交換から閉じられている。
【0039】
下部熱保護(12)のアーチ型要素(17)は、給水バルブ(10)の作動要素を次の直接的および間接的な影響から保護する:
- 多層体(4)の内側の円筒面の隣接するセクションからの再放射への曝露から;
- その面積は、多層ボディ(4)の内径、下部熱シールドの外径(12)、アーチ型の要素に照らした領域(17)などに限られている溶融物のミラーストリップの側面からの熱放射への暴露から。この場合、熱放射は、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の下端面に作用し、下部の熱保護(12)を溶融物に浸すことによってアーチを重ねることなく、給水弁(10)の作動要素への再放射が可能である;
- サーマルシールド(15と12)の表面からの衝撃および反射に対するメルトジェットの直接衝撃から;
- 反応器装置の破片が溶融物に落下したときの溶融物の飛沫の直接的な衝撃から;
- ガイドプレート(1)およびサービスエリアへの熱保護(15および12)のセクター浸透中のメルトジェットの直接効果から;
- コア機器の破片と原子炉の本体(2)の側面からの衝撃から。
【0040】
より低い熱保護(12)のために、真皮で溶融するときに、引っ掛かりや溶接がなく、溶融物の局在化および冷却システムの装置への動的影響を最小限に抑えて溶融物に沈むために、以下が行われる:
- 下部熱保護の外壁(12)は、シェル(14)の形で作られ、放射熱流束の影響に対する影の位置により、必要な強度と寸法安定性を提供する;
- アーチ型要素(17)が溶けるまで、下部熱保護(12)の外側シェル(14)と上部熱保護(15)の間の小さなスロットギャップは、下部熱保護装置(12)の外殻(14)の加熱に対する、メルトミラーの表面の上にある蒸気ガス媒体の側面からの対流熱交換の影響を最小限に抑えるもので、アーチ型の要素(17)を溶かし、下部の熱保護(12)の下部を溶けたものに浸した後には、下部の熱保護フランジ(12)の側面から上から下に向けられた逆対流熱流束が、外殻(14)の追加の加熱に与える影響がわずかである。
- 上部熱保護(15)の垂直リブ(20)は、下部熱保護(12)の外殻(14)に沿ってスライドするための垂直ガイドを形成するように、内側に余裕を持って作られている。これにより、溶融プロセス中の下部熱保護(12)が、最小の摩擦抵抗で上部熱保護(15)の垂直リブ(20)に沿って溶融物に降下することができる;
- 下部熱保護(12)の外殻(14)と上部熱保護(15)の垂直リブ(20)の間の技術的ギャップは、いくつかの垂直リブ(20)に沿ってのみ熱保護(15および12)の接触を保証するもので、技術的ギャップの寸法が上部熱保護(15)の内径の変化の差よりもわずかに大きくで、下部熱保護(12)の外殻(14)の強度が失われる温度に近い温度での熱膨張中の下部熱保護(12)の外径の変化が確保されている。技術的なギャップにより、加熱プロセス中の下部および上部の熱保護(15と12)の圧縮が確実に排除される;
- 多層ボディ(4)のフランジ(5)の上部熱保護(15)の下部と熱保護(6)の上部の間の小さな隙間ギャップは、下部の熱保護(12)が溶融して溶融物に移動するとき安定性を確保する。多層ボディ(4)のフランジ(5)上の移動する下部熱保護(12)を、相互にギャップを空けて取り付けられた二つの熱保護装置(15と6)を介して間接的なサポートは、移動する下部熱保護(12)の側面から、多層ボディ(4)のフランジ(5)への衝撃動的効果を除外し、その形状変化の結果としての上部熱保護(15)での妨害を除外する。上部遮熱板(12)の下部の形状は、マンドレルの影響により保持され、マンドレルの役割は、多層ボディ(4)のフランジ(5)の熱保護(6)の比較的低温の上部によって果たされる。
【0041】
したがって、原子炉の炉心溶融物の位置特定および冷却システムの一部として、コンソールトラスとの接続ゾーンの多層容器内に設置された上部および下部熱シールドの使用は、蒸気とガスの混合物が多層体の内部容積から、多層体とコアメルトミラーの側面からの熱放射から多層ボディの周囲に沿って設置されたカンチレバートラスと給水バルブの熱シールドの間に配置された空間に移動するときに最大の水力抵抗を確保することにより、信頼性を高めることができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】