(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】個別化された動物向けドライフード組成物
(51)【国際特許分類】
A23K 50/40 20160101AFI20221109BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20221109BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20221109BHJP
【FI】
A23K50/40
A23K10/20
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500940
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020052172
(87)【国際公開番号】W WO2021061743
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ,ジャン-バティスト
(72)【発明者】
【氏名】エコシャール,クロード
(72)【発明者】
【氏名】ペレア,サリー
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B150AA06
2B150AB20
2B150AE02
2B150AE05
(57)【要約】
本発明は、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関する。本発明はまた、該方法のステップを実行するように適合された手段を有する、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイスにも関する。本発明はまた、デバイスに該方法のステップを実行させるコンピュータプログラムにも関する。コンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体がさらに提供される。キット及び組成物がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法であって、
a)前記動物の生理学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の前記栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された前記少なくとも2つの既製の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない、
方法。
【請求項2】
前記動物の医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の病理学的プロファイルを提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも5つの別個の既製の乾燥組成物が、複数の別個の既製の乾燥組成物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記既製の乾燥組成物が、前記組成物の総重量に対して1%~14%の範囲の水分レベルを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記既製の乾燥組成物が乾燥キブルからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記動物の生理学的状態を示す前記1つ以上の値が、動物の品種、動物の年齢、動物の実際の体重、動物の目標体重、動物のボディコンディションスコア(BCS)、動物の活動、動物のライフスタイル、動物の性的状態、及び動物の妊娠状態から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記動物がネコであり、前記動物の医学的状態を示す前記1つ以上の値が、減量後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、慢性腎臓病(CKD)ステージI又はII、CKDステージIII又はIV、タンパク尿、ストルバイト尿石溶解、ストルバイト尿石予防、シュウ酸カルシウム尿石(CaOx)予防、リン酸カルシウム尿石(CaP)予防、特発性膀胱炎、皮膚とコートの不良、アトピー、食品に関連しない皮膚障害、歯石、急性又は慢性の下痢、急性又は慢性の嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、及び高脂血症から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記動物がイヌであり、前記動物の医学的状態を示す前記1つ以上の値が、減量後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、CKDステージI又はII、CKDステージIII又はIV、タンパク尿、ストルバイト尿石溶解、ストルバイト尿石予防、シュウ酸カルシウム尿石(CaOx)予防、リン酸カルシウム尿石(CaP)予防、特発性膀胱炎、皮膚とコートの不良、アトピー、食品に関連しない皮膚障害、歯石、急性又は慢性の下痢、急性又は慢性の嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症、及び有害な食物反応から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記動物が1つ以上の病理学的状態を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータ実装方法からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記栄養的に完全な食餌が、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイスであって、次のステップ:
a)前記動物の生理学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された前記少なくとも2つの既成の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を実行するように適合された手段を有し、
前記選択された既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌を含むものではない、
デバイス。
【請求項13】
前記動物の医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の病理学的プロファイルを提供するステップを実行するように適合された、さらなる手段を有する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
請求項12に記載される前記デバイスに前記方法のステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載されるコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
栄養的に完全な食餌を調製するためのキットであって、
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する、組成物A;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA/DHA及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、0.45%以下のカルシウム及び0.45%以下のリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有し;かつ、前記既製の乾燥組成物のいずれも栄養的に完全な組成物からなるものではない、組成物H’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの前記組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する、組成物L’
からなる群より選択された少なくとも2つ以上の乾燥組成物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2019年9月23日出願の欧州特許出願第19198990.4号に対する優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、動物、とりわけネコ及びイヌなどの伴侶動物のための機能的ドライフードの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
動物、とりわけ伴侶動物の健康維持及び疾患の予防又は治療のための適切な食餌の重要性に対する認識が高まっている。動物、とりわけ伴侶動物では、さまざまなライフステージ及び条件についてカスタマイズされた食餌が利用可能である。ペットケア製品の消費者は、多数の供給業者及び製品を利用可能であるが、多数の選択肢の中から特定の動物のニーズに最適な製品を顧客が判断するには、多大な時間、労力、及び調査が必要になろう。獣医及び他の専門家が特定のペットのための所与の銘柄のペットフードの推奨を支援することができる一方で、ペットフードは通常、とりわけ最も頻繁に考慮されるペットの年齢及び/又はサイズに基づいている、選択したペットの範囲内の平均的なペットのニーズを満たすために大量生産される。特に、貯蔵及び給餌に特に便利であり、腐敗しにくい、動物向けの個別化されたドライフード食品(すなわち乾燥キブル)が必要とされている。
【0004】
しかしながら、栄養の必要性はペットごとに異なり、特定のペット又はペットの品種に適した栄養素のカスタマイズされたレジメンが有益であろう。しかし、特定のペットに合わせてカスタムダイエットを調整することの実際的な困難と費用に照らして、消費者は、限られた種類の入手可能な大量生産のペットフード及び製品の中から選択することを余儀なくされることがよくある。適応した食品組成に対するペットの飼い主のニーズを満たすことを目的として、幾つかの製造業者は、伴侶動物の特定の栄養要件とよりよく相関する食品を提供することができるシステムを考案した。
【0005】
特許文献1は、ペットフードをカスタマイズするための方法を対象としており、ユーザ入力は、カスタマイズされたペットフード処方の生成に用いられる個々のペットプロファイルを形成するために用いられる。
【0006】
特許文献2は、統合されたインターネットベースの顧客インターフェースとワークフロープロセス管理を利用する、ペットフードをカスタマイズするための方法及び装置の原理を開示している。完全にカスタムメイドの食品カテゴリは、ペットフードがそれぞれの個々のペットプロファイルの原材料から製造される、カスタマイズされたペットフード配合物の実質的に無制限の選択肢を提供する。より限定された範囲のカスタマイズされた配合物を、それぞれの個々のペットプロファイルで購入者が選択した予め混合された成分から製造することができる。
【0007】
特許文献3は、ペット用にカスタマイズされた食餌の健康管理システムを対象としている。この管理システムは、既製の乾燥キブルをブレンドし、さらなる機能性成分を添加し、次いでパッケージ化することによって乾燥キブル製品を製造することを含む。カスタマイズされた食品は、既製の乾燥キブルの少なくとも1つの配合物を選択し、所定の量の既製の乾燥キブルの少なくとも1つの配合物を分離し、所定の量の既製の乾燥キブルをブレンドし、その量の乾燥キブルを選択された機能性成分の混合物でコーティングし、その後、得られた製品を包装することによって得られる。
【0008】
特許文献4は、個々のペットの健康及び栄養の要件に合わせてカスタマイズされたペットフードの製造方法に関する。これらの方法は、ペットについての個々のペットプロファイルを取得し、ペットの生物学的サンプルからの分析を取得し、個々のペットプロファイル及び生物学的サンプル分析を処理して、ユーザが入力した個々のペットプロファイル及び生物学的サンプル分析に特有の第1のペットフード処方を作成し、第1のペットフード処方に従ってペットフードを製造することを含む。幾つかの実施形態では、該方法は、処理されたペットプロファイルと相関する事前に製造されたキブルを提案し、処理されたペットプロファイルと相関する事前に製造された添加物を提案し、ペットのための一連の給餌指示を提供することを含む。
【0009】
特許文献5は、動物向け食品組成物を設計するための方法及びシステムの概念を開示しており、重要な構成要素は、動物の機能的ゲノムプロファイルに関連する情報を処理することである。
【0010】
特許文献6は、特定のペット情報を収集し、その情報を利用してカスタムペットフード製品を生成するためのシステム及び方法に関する。開示された方法によれば、コンピュータによる相関に基づいて、コンピュータは、幾つかの可能な事前製造されたキブル又はブレンドから一の事前製造されたキブル又はブレンドを提案し、ペットに特有のペットフード製品の配合に基づいて、かつペットのペットプロファイルに従って、ペットフード添加物を生成する。
【0011】
特許文献7及び特許文献8は両方とも、ウマに食物を投与するための方法及び装置に関するものであり、前記方法は特定の包装によって定義されている。
【0012】
特許文献9は、個人化された食餌を提供するコンピュータ実装方法に関連しているが、既製の組成物、より具体的には栄養的に完全ではない既製の組成物の使用については、教示も言及もしていない。
【0013】
特許文献10は、ペットフードのカスタマイズされたブレンドを生成するためのシステム及び方法を開示している。これらの方法は、年齢、品種、体重、及び食べ物の嗜好など、ペットの特性をコンピュータシステムに入力することからなる、ペットの第1の環境プロファイルを作成するステップを含む。この方法はまた、公開されたペットの栄養情報を含みうるデータを取得し、データを第1の環境プロファイルと比較し、次に、前記データ及び第1の環境プロファイルから栄養目標を作成することを含み、その後、ブレンドカスタマイズコンピュータシステムで栄養ブレンドレシピが作成される。栄養ブレンドレシピが作成されると、カスタマイズされたブレンドシステムを介して、データベースサーバに含まれる事前ブレンドデータベースに含まれる複数の事前ブレンド処方に基づき、栄養ブレンドが調製される。事前ブレンドは、キブル製品の任意の適切な成分から構成することができ、ブレンドセンターで生成することができる。カスタマイズされたブレンドレシピは、ペットの栄養目標に一致しうるキブルのカスタマイズされたブレンドを生成するために、第1の事前ブレンドの第1のパーセンテージ、第2の事前ブレンドの第2のパーセンテージ、及び第3の事前ブレンドの第3のパーセンテージを必要としうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,358,546号明細書
【特許文献2】国際公開第01/69487号
【特許文献3】米国特許第6,669,975号明細書
【特許文献4】米国特許第6,493,641号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0118295号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2014/0272028号明細書
【特許文献7】米国特許第6,733,771号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1093719号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2015/0072048号明細書
【特許文献10】国際公開第2014/078856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
動物の消費に適したドライフード組成物の調製は依然として困難なままである。したがって、個別化されたペットフード組成物、例えば、ドライペットフード組成物を製造するための改善されたシステム及び方法が、依然として必要とされている。費用効果が高いままの、このようなシステム及び方法が、依然として必要とされている。(一又は複数の)病理学的状態を伴う動物に適した乾燥組成物を調製するためのこのようなシステム及び方法もまた、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
幾つかの態様では、本開示は、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって、個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0017】
他の態様では、本開示は、上述の方法のステップを実行するように適合された手段を有する、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供又は実装するための手段及びデバイスに関する。したがって、幾つかの態様では、本開示はまた、上記デバイスに、本明細書に記載される方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。本開示はまた、上述のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【0018】
さらに他の態様では、本開示はまた、リストからの少なくとも2つ以上の乾燥組成物を含む、栄養的に完全な食餌を調製するためのキットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当技術分野に記載されているシステム又は方法のいずれも、それ単独では栄養的に完全な組成物を構成しないであろう、既製の乾燥コア成分などの既製の乾燥組成物/成分について具体的に開示していない。また、それらの既製の乾燥組成物/成分のいずれも、5つ以上の別個の既製の乾燥組成物/成分のセットなどの複数の別個の既製の乾燥組成物/成分からは選択されないであろう。
【0020】
驚くべきことに、本発明者らは、それ自体が栄養的に完全な組成物ではない既製の乾燥組成物(既製の乾燥コア成分、特にキブルなど)の選択からの動物向けの個別化された栄養的に完全な食餌の調製が、次の幾つかの利点を提供することができることを見出した:
- 第1の利点は、該方法により、最小限の量の事前に製造された組成物のみで複数の動物向け食品組成物を個体向けにすることができ、したがって他の方法よりも経済的な代替手段を提供することができることである;
- 第2の利点は、キブルなどの乾燥食又は組成物の調製に特によく適合することである;
- 第3の利点は、ある特定の種類の障害に対する天然の感受性を有しているペットなど、1つ又は幾つかの病理学的状態が診断される又は疑われる動物(すなわち、特定の品種に属するペット、又は特定の一連の障害の前例を有するペット)にもよく適応することである。より具体的には、それは、幾つかの診断された又は疑わしい病理学的状態を有する動物によく適応する。
【0021】
本開示の方法はまた、病理学的状態を有しない動物向けの個別化された栄養的に完全な食餌の調製にも適している。
【0022】
本開示は、幾つかの診断された又は疑わしい病状を患う伴侶動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供可能にするという問題をうまく解決し、その解決策は、産業規模で実施するために容易に縮小される。この解決策は、混合した場合に、完全な栄養組成物のみを提供するという観点で設計された、栄養的に完全ではない既製の乾燥組成物を製造することを含む、まったく新しいアプローチに基づいている。幾つかの態様では、本明細書に記載される方法は、i)既存の栄養的に完全な組成物の混合(その結果、これらの組成物を栄養的に完全にするために必要な各栄養素のレベルに起因して栄養素混合の可能性が制限される)、又はii)個別的な「職人的」方法での各栄養素の混合(その結果、産業規模が制限され、価格が高くなりすぎる)に基づかない。
【0023】
第1の主な実施形態によれば、本開示は、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって、個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく、前記栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含むものとして定義される。本開示はまた、本明細書に記載される個別化された栄養的に完全なドライフード食を調製するための方法を実施するためのデバイス/装置に関連しうる。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてもよく、あるいは、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化又は再構成される汎用コンピュータを含んでいてもよい。したがって、本明細書に記載される方法は、コンピュータ実装方法で構成されるか、又はコンピュータ実装方法に部分的に依拠しうる。
【0024】
したがって、別の主な実施形態によれば、本開示はまた、上述の方法のステップを実行するように適合された手段を有する、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイスに関する。
【0025】
したがって、別の主な実施形態によれば、本開示は、上記デバイスに本明細書に記載される方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0026】
したがって、別の主な実施形態によれば、本開示は、上述のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【0027】
したがって、別の主な実施形態によれば、本開示は、本明細書に記載される方法によって得られる、個別化された栄養的に完全な食餌に関する。
【0028】
したがって、別の主な実施形態によれば、本開示はまた、栄養的に完全な食餌を調製するためのキットであって、
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA/DHA及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び0.45%以下のカルシウム、0.45%以下のリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する組成物L’
からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む、キットを提供する。
【0029】
明示的に報告されていない場合、各成分の下限及び上限量は、必然的に、各組成物の総乾物重量、及び他の記載された化合物の存在に依存するようになることが明らかになっている。しかしながら、各最終範囲は、当業者によって容易に決定可能である。以下に、本発明についてより詳細に説明する。
【0030】
一般的な定義
本明細書で用いられる場合には、特許請求の範囲及び/又は明細書で「含む」という用語と併せて用いられる単語「a」又は「an」は、「1つ」を意味する場合もあるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び/又は「1つ又はそれより多く」という意味とも一致する。「有する」、「含む」、「含有する」、及び「包含する」という用語は交換可能であり、当業者はこれらの用語がオープンエンドの用語であることを認識していよう。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し、これは、一部には、値を測定又は決定する方法、すなわち、測定システムの制限に依存するものである。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「既製の組成物」とは、動物による食物消費に適しているが、栄養的に完全ではなく、前記動物に特有の栄養処方に従って1つ以上の既製の組成物と混合又は接触すると、個別化された栄養的に完全な、又は栄養的に完全ではない食品組成物を提供することができる組成物を指す。このような既製の組成物は、複数のタイプの化合物の存在を特徴とする。その意味で、純粋な単離された化合物自体は既製ではない。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「2つ以上の別個の既製の組成物のセット」は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は20より多くの別個の既製の組成物を含みうる。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「食品」、「食餌」又は「食物」という用語は、成長、修復、及び生命過程を維持し、エネルギーを供給するために、生物の体内で用いられるタンパク質、炭水化物、及び/又は脂肪を含む材料を指す。食品には、ミネラル、ビタミン、調味料などの補助物質又は添加物が含まれている場合もある(Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, 10th Edition, 1993を参照)。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「乾燥食」、「ドライフード/乾燥食品」、又は「乾燥組成物」という用語は、通常、組成物/食品の総重量に対して20%又は20%未満の水分含有量、好ましくは組成物の総重量に対して14%又は14%未満の水分含有量を有する、食餌、食品、又は組成物に関する。概して、このような乾燥食、ドライフード、又は乾燥組成物は、組成物の総重量に対して、14%よりはるかに低い水分含有量、例えば1~14%の水分含有量を含むことさえありうる。この定義は特定の表現形式に限定されないが、乾燥食、ドライフード、又は乾燥組成物は、概して、(ビスケット様の)キブル、及び/又は乾燥コア成分の形態で提示される。例えば、乾燥組成物は、調理することができる一貫した生地を作るために、成分を混合し、混練することによって製造することができる。ドライペットフードを生成するプロセスは、通常、ベーキング及び/又は押し出しによって行われる。生地は通常、加圧蒸気又は熱水を使用して材料を調理する、エキスパンダー及び/又は押出機と呼ばれる機械に供給される。押出機内にある間、生地は極度の圧力及び高温下にある。次に、生地をダイ(特定のサイズと形状の孔)に押し込み、その後、ナイフを使用して切り取る。膨らんだ生地ピースを乾燥機に通してキブルなどの乾燥品にし、規定された目標まで水分を低下させ、消費までの食品の安定性を確保する。次に、製品/キブルに脂肪、油、ミネラル、ビタミン、天然抽出物のカクテル、香味料を噴霧し、任意選択的に密封包装することができる。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「キブル」という用語は、キブルの総重量に対して、20質量%未満の含有量である、典型的には水分又は水を有する、イヌ及びネコの飼料などの動物飼料の成分のような粒子状ペレットを含む。キブルは、ハードからソフトまでのテクスチャ範囲でありうる。キブルは、内部構造の範囲が膨張したものから密なものまででありうる。キブルは、押し出しプロセスによって形成することができる。例えば、キブルは、コアとコーティングとから形成されて、コーティングキブルとも呼ばれるコーティングされたキブルを形成することができる。「キブル」という用語が用いられる場合、それはコーティングされていないキブル又はコーティングされたキブルを指しうるものと理解されたい。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「コーティング」という用語は、表面、例えばコアの表面の少なくとも一部を覆う、典型的にはコア上の部分的又は完全な被覆を意味する。一例では、コアの一部のみが覆われ、コアの一部が覆われずに露出するように、コアをコーティングで部分的に覆うことができる。別の例では、コア全体が覆われ、露出しないように、コアをコーティングで完全に覆うことができる。したがって、コーティングは、ごくわずかな量から最大で表面全体に至るまで覆うことができる。層状のコーティングが存在することができるように、コーティングを他のコーティングの上にコーティングすることもできる。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「乾燥コア成分」、又は「ドライコーティングキブル」などの「コア成分」という用語は、コアと、該コアを少なくとも部分的に覆う殻とを有する、動物向け食品を指す。したがって、「コア成分」とは、このような動物向け食品の一部を指す。このようなコア成分の例は、その全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0020355号明細書に記載されている。このような乾燥コア成分は、本発明の文脈において、乾燥組成物として特に適している。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「コア」又は「コアマトリクス」という用語は、キブルの粒子状ペレットを意味し、通常、成分のコアマトリクスから形成され、12重量%未満の水分含有量又は含水量を有している。粒子状ペレットは、コア上にコーティングを形成するためにコーティングされてよく、これは、コーティングされたキブルでありうる。コアは、コーティングなしでも、部分的にコーティングがあってもよい。コーティングのない一実施形態では、粒子状ペレットは、キブル全体で構成されうる。コアは、タンパク質源、炭水化物源、及び脂肪源から選択されるものなど、デンプン質材料、タンパク質性材料、並びにそれらの混合物及び組合せを含むことができる。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「栄養的に完全な」という用語は、対象動物(すなわち、伴侶動物又はペット)に完全かつバランスの取れた栄養要求量を提供する組成物、食餌、又は食物を指す。例えば、このような栄養的に完全な食餌又は組成物は、完全なイヌ向け又は完全なネコ向け食品でありうる。栄養的に完全な乾燥食又は組成物は、それが栄養的に適切な飼料であり、それを用いて前記ペット動物、例えば前記イヌに1日の配給量として給餌することができる(すなわち、水以外の追加の餌なしに生命を維持することができる)ようなものである。実例として、栄養的に完全な食品の食餌又は組成物は、非排他的な態様で、穀物及び植物性タンパク質抽出物、繊維、油脂、タンパク質、チコリパルプ、酵母及びその一部、ミネラル、ビタミン、防腐剤、抗酸化剤、水、アミノ酸、ナトリウムを含みうる。一般的に、栄養的に完全な組成物は、タンパク質抽出物などの少なくとも1つのタンパク質源(若しくは、ポリペプチド又はアミノ酸)、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源(又は脂肪酸)、及び少なくとも1つのミネラル源を含む。
【0041】
好ましくは、栄養的に完全な食餌又は組成物は、タンパク質抽出物などの少なくとも1つのタンパク質源(又はポリペプチド)、少なくとも1つのビタミン源、及び少なくとも1つの脂肪源、並びに少なくとも1つのミネラル源を、表1A又は1Bに規定されているような最小推奨量で含む。
【0042】
完全かつバランスの取れた食品の例は、National Research Council, 1985, Nutritional Requirements for Dogs, National Academy Press, Washington D.C.、又はAssociation of American Feed Control Officials, Official Publication 1996に記載されているものなど、当技術分野で知られており、それぞれの開示がここに参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0043】
このような完全な食餌又はペットフードは、ペットフードに適合した飼料(第3条(i))の市場への投入及び使用に関する欧州連合(EU)規則n°767/2009に従って定義することができる。製造業者が決定されたライフステージを指定せずに完全なペットフードとして製品にラベルを付す場合、それはすべてのライフステージで完全であると想定されており、推奨されるレベル(すなわち、初期の成長及び繁殖のために)に従って配合する必要がある。製品が特定のライフステージ向けに設計されている場合、ラベルにはこれを明確に記載する必要がある。
【0044】
幾つかの態様では、栄養的に完全な食餌又は組成物は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含む食餌又は組成物を含む。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「1日の配給量」は、所与の種、年齢カテゴリ、及び産生量(yield)の動物が、すべてのニーズを満たすために1日に必要とする12%の水分含有量に基づいて計算された飼料の平均総量を表す。上記の法的定義とは、所与の種、年齢カテゴリ、及びライフスタイル、又は活動のペットが、すべてのエネルギー及び栄養素の必要量を満たすために1日に必要とする特定のペットフードの平均総量を意味する;EU規則n°767/2009及び飼料の使用(第2条(c))も参照のこと。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「補完的ペットフード」とは、EU規則n°767/2009及びペットフードに適合した飼料(第3条(j))の使用も参照して、ある特定の物質の含有量が高いが、その組成の理由から、他のペットフードと組み合わせて使用する場合にのみ、1日の配給量に十分であるペットフードである。
【0047】
本明細書で用いられる場合、毎日の摂取に関する「許容量」又は「推奨量(RDI)」とは、実質的にすべての健康な個体の既知の栄養ニーズを満たすのに適切であると思われる栄養素又は食品成分の摂取レベルである。それは、必要最小量に加えて、個々の動物間の利用可能性の違い及び栄養素の相互作用に対する安全マージンを反映している。実際には、これは、健康な個体が適切かつ安全な栄養を確保するために時間をかけて消費する必要がある必須栄養素のレベルとして解釈されよう。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「栄養素の要件/必要量」とは、動物の代謝のニーズを満たすために、動物に供給しなければならない栄養素の量である。これは、栄養素の最小平均摂取レベルを反映しており、経時的に、集団内の所望される生化学的生理学的機能を維持するのに十分である。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「栄養の上限」とは、科学的データに基づいて、健康なペット、特に健康なイヌ及びネコへの悪影響とは関連していない、完全なペットフードの栄養素の最大レベルである(欧州ペットフード工業会連合のガイドラインによる)。さらに、最大許容レベルは、栄養添加物(すなわち、微量元素及びビタミンD)として添加された場合に(法定最大量)、幾つかの栄養素について立法者によって決定されている。それらは、飼料中の添加物に関して、議会及び評議会の規則1831/2002/ECに従い、Community Register of Feed Additivesに定められている。法的最大レベルは、すべてのライフステージに適用される(EU規則1831/2003とEUの飼料添加物登録(register of feed additives)との組合せ)。
【0050】
本明細書で用いられる場合、「脂肪」という用語は、室温でのそれらの一貫性に関係なく、すなわち、前記「脂肪」が本質的に流体形態で存在するか、又は本質的に固体形態で存在するかどうかに関係なく、任意の食品に許容される(一又は複数の)脂肪及び/又は(一又は複数の)油を包含する。本開示による組成物は、動物及び/又は植物起源の脂肪を含みうる。脂肪は、当業者に知られているさまざまな供給源のいずれかによって供給することができる。植物脂肪源には、小麦、ヒマワリ、ベニバナ、菜種、オリーブ、ルリジサ、アマニ、ピーナッツ、カシス種子、綿実、小麦胚芽、トウモロコシ胚芽、藻油、並びにこれら及び他の植物脂肪源に由来する油が含まれるが、これらに限定されない。動物脂肪源には、例えば、鶏脂、七面鳥脂肪、牛脂、アヒル脂肪、豚脂、子羊脂肪など、魚油、クリルオイル、又は任意の肉、肉副産物、魚介類、乳製品、卵などが含まれるが、これらに限定されない。食品の脂肪含有量は、当業者に知られているあらゆる方法によって決定することができる。脂肪源は、脂肪酸の混合物を含むことができるか、又は実質的に脂肪酸の混合物で構成されてもよい。
【0051】
本明細書で用いられる場合、「EPA及び/又はDHA」という用語は、(i)エイコサペンタエン酸又はその誘導体のみ、例えばそのエステル誘導体、例えばエイコサペンタエン酸エチルエステル、及びその塩(EPA)、(ii)ドコサヘキサエン酸又はその誘導体のみ、例えばそのエステル誘導体、例えばドコサヘキサエン酸エチルエステル、及びその塩(DHA)、若しくは(iii)エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸、又はそれらのそれぞれの誘導体の組合せ、例えばエイコサペンタエン酸エチルエステルとドコサヘキサエン酸エチルエステル、及びそれらの塩(EPA+DHA)からなる、脂肪酸又は脂肪酸の混合物を意味する。したがって、「EPA及び/又はDHA」の量は、(i)DHAが存在しない場合のEPAの量、(ii)EPAが存在しない場合のDHAの量、又は(iii)EPAとDHAの組合せの量を意味する。
【0052】
本明細書で用いられる場合、「炭水化物」という用語は、体内で加水分解されると、エネルギーのために代謝される多糖類及び糖類の混合物を指す。食品の炭水化物含有量は、当業者に知られているあらゆる方法によって決定することができる。炭水化物は、デンプン(あらゆる種類、トウモロコシ、小麦、大麦…)、ビートパルプ(少量の糖を含む)、及びオオバコを含むがこれらに限定されない、当業者に知られているさまざまな炭水化物源のいずれかの形態で供給することができる。
【0053】
本明細書で用いられる場合、用語「繊維」、又は「食物繊維」、又は「総食物繊維」、又は「TDF」(「総食物繊維」の略)は、可溶性繊維及び不溶性繊維を指す。可溶性繊維は、小腸での消化及び吸収に耐性があり、かつ、小腸での消化及び吸収に耐性があり大腸での発酵にも耐性がある非デンプン多糖類として定義されうる不溶性繊維とは反対に、大腸で完全又は部分的な発酵を受けると定義することができる。可溶性繊維は、結腸細胞にエネルギー源として短鎖脂肪酸を提供することにより、プレバイオティクス効果を有すると考えられている。不溶性繊維は、輸送及びバラスト効果に有用であると考えられている。繊維の非限定的な例として、ビートパルプ、グアーガム、チコリの根、オオバコ、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、スカッシュ、リンゴ、オーツ麦、豆類、柑橘類、大麦、又はエンドウ豆を含む第1の群、並びに、セルロース、全粒小麦製品、小麦オーツ麦、トウモロコシふすま、亜麻仁、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、ピーナッツの殻、及び大豆繊維を含む第2の群が挙げられうる。好ましい繊維はチコリパルプ又はセルロースである。
【0054】
本明細書で用いられる場合、「オオバコ」という用語は、オオバコ属の植物、主にインドオオバコ(Plantago ovata)及びセイヨウオオバコ(Plantago afra)、並びにその抽出物によって産生される小さい種子を指す。オオバコの種子は、可溶性繊維と不溶性繊維が非常に豊富である(一方は65%のセルロース、ヘミセルロース、及びリグニン、他方は35%のガム、ペクチン、及び粘液)。これらの繊維は、主に外皮又は種子の「殻」に見られる。
【0055】
本明細書で用いられる場合、「デンプン」という用語は、アミロースとアミロペクチンとで構成される多糖類を指す。デンプンは、多くの植物組織において顆粒として生じ、通常、植物の供給源に応じて、1~100μmの直径を有する。化学的には、デンプンは、α-D(1-4)及び/又はα-D(1-6)結合で結合されたα-D-グルコピラノシル単位で構成される多糖類であり、2つの分子タイプ:約1000個のα-D(1-4)結合グルコースからなる直鎖ポリグルカンである、アミロース;及び、α-D(1-6)結合として生じる分岐と結合する、約4000個のグルコース単位で構成される分岐グルカンであるアミロペクチンで構成される。デンプンは、アミロペクチンを異なる比率で含む、A型、B型、及びC型デンプンのさまざまな結晶構造を包含している。A型デンプンは主に穀物に含まれ、一方、B型デンプンは主に塊茎及びアミロースに富むデンプンに見られる。C型デンプンは、A型とB型の両方の混合物で構成され、主にマメ科植物に見られる。
【0056】
本明細書で用いられる場合、「成年期」という用語は、動物が思春期を過ぎ、その生物学的成熟点に到達していることを意味する。
【0057】
本明細書で用いられる場合、「ペット動物」又は「伴侶動物」は、概して、ペット哺乳動物を含むか、又はさらにはそれらからなる。ペットの哺乳動物には、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ラット、及びマウスが含まれる。本明細書の好ましいペット動物は、ネコ科動物又はイヌ科動物、とりわけ、イヌ及びネコである。
【0058】
本明細書で用いられる場合、「ネコ科動物」という用語は、チーター、ピューマ、ジャガー、レオパード、ライオン、リンクス、ライガー、トラ、パンサー、ボブキャット、オセロット、スミロドン、カラカル、サーバル、及びネコを含む群から選択されるペット動物を含む動物を包含する。本明細書で用いられる場合、ネコは、野生のネコ及び飼いネコ、最も好ましくは飼いネコを包含する。
【0059】
本明細書で用いられる場合、「イヌ科動物」という用語は、認識されているイヌの品種(その一部はさらに細分化されている)を含む群から選択されるペット動物を含む動物を包含し、これには、アフガン・ハウンド、エアデール、秋田、アラスカンマラミュート、バセットハウンド、ビーグル、ベルジアン・シェパード、ブラッドハウンド、ボーダーコリー、ボーダーテリア、ボルゾイ、ボクサー、ブルドッグ、ブルテリア、ケアーンテリア、チワワ、チャウチャウ、コッカースパニエル、コリー、コーギー、ダックスフント、ダルメシアン、ドーベルマン、イングリッシュセッター、フォックステリア、ジャーマン・シェパード、ゴールデンレトリバー、グレートデーン、グレイハウンド、ブリュッセルグリフォン、アイリッシュセッター、アイリッシュウルフハウンド、キングチャールズスパニエル、ラブラドールレトリバー、ラサ・アプソ、マスティフ、ニューファンドランド、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、パピヨン、ペキニーズ、ポインター、ポメラニアン、プードル、パグ、ロットワイラー、セントバーナード、サルーキ、サモエド、シュナウザー、スコティッシュテリア、シェットランドシープドッグ、シーズー、シベリアンハスキー、スカイテリア、スプリンガースパニエル、ウエストハイランドテリア、ウィペット、ヨークシャーテリアなどが含まれうる。
【0060】
本明細書で用いられる場合、本明細書の「部分母集団」とは、複数の成員が存在する部分母集団において、該部分母集団の成員に共通する、遺伝子型、及び/又は生理学的状態の1つ以上の属性に関して定義可能な、1種のうちの1対多数ではあるが、種全体よりは少ない動物の集合である。ある特定の実施形態では、部分母集団は、少なくとも一部には、特定の品種によって定義される。例えば、混合品種の動物の場合、少なくとも一部には、部分母集団は、親の品種、表現型の特徴、遺伝子型の評価、又はSNPなどの遺伝子マーカー又はSNPなどの遺伝子マーカーによって確立することができる品種継承(breed heritage)の知識によって定義することができる。ある特定の実施形態では、部分母集団は、少なくとも一部には、生理学的状態によって定義される。
【0061】
本明細書で用いられる場合、「生理学的プロファイル」という用語は、動物の種、品種、性別、去勢の有無、サイズ、体重、理想的な体重、ボディコンディションスコア、年齢、活動レベル、気質、健康状態、及び病歴を含む、動物の属性のいずれか1つ又は組合せを指す。
【0062】
本明細書で用いられる場合、「病理学的プロファイル」という用語は、(一又は複数の)臨床徴候、(一又は複数の)獣医検査、(一又は複数の)診断血液検査、画像診断(ラジオグラフ、超音波)、(一又は複数の)DNA検査、及び診断細胞診/生検を含むがこれらに限定されない、獣医評価によって決定された(一又は複数の)病理学又は(一又は複数の)医学的状態の任意の1つ以上の組合せを指す。
【0063】
本明細書で用いられる場合、「理想的な体重」は、キログラム又はポンドなどの重量の単位で定義される、動物の実測質量又は動物の理想質量を指す。BCS(ボディコンディションスコア)は、立った状態での動物の側面及び上方からの視覚的評価に由来する、動物の体の形状に基づいた動物の尺度である。BCS評価には、動物の肋骨の脂肪量のレベルを感じるために手を使用する触覚評価も含まれる(肋骨を触診するのがどのくらい簡単か難しいかに基づいた評価)。BCSは、通常1から5、又は1から9の範囲の尺度のスコアを指す。好ましくは、ボディコンディションスコアは、1から9の尺度に関連付けることができ、スコア5が理想的な体重である。
【0064】
本明細書で用いられる場合、「生物学的サンプル」という用語は、便、尿、毛髪、血液、唾液、及び組織のうちの少なくとも1つを指しうるが、これらに限定されない。実際、「生物学的サンプル」という用語は、生物学的材料自体(タンパク質、核酸、組織など)だけでなく、生物学的材料又はその一部の検出に用いられるそれに関連する他の材料も指す(例えば、染料、標識、染色剤、又は材料の識別に用いられる他のマーカー)。
【0065】
本明細書で用いられる場合、「生物学的材料」とは、例えば、血液、血漿、血清、糞便、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ組織を含むがこれらに限定されない、対象から単離された組織又は体液のサンプル、皮膚のサンプル、皮膚の外部分泌物、呼吸器、腸管、及び泌尿生殖器、涙、唾液、乳汁、血液細胞、臓器、生検、並びに、培養培地中の細胞及び組織(例えば、組換え細胞及び細胞成分)の増殖から生じる、馴化培地を含むがこれらに限定されないインビトロでの細胞培養成分のサンプルを指す。生物学的サンプルは、例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド、あるいは空気感染する病原体など、環境のサンプリングから得られた生物又は細胞の断片化された部分を含みうる。
【0066】
本明細書で用いられる「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーを指し、アミノ酸のポリマーの特定の長さを指すものではない。したがって、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、及び酵素という用語は、ポリペプチドの定義に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化なども含む。
【0067】
また、本明細書で用いられる場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さの、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドのポリマー形態を指し、二本鎖及び一本鎖の両方のDNA及びRNAを含む。ポリヌクレオチドは、例えばコード配列を含む異なる機能を有するヌクレオチド配列、及び調節配列などの非コード配列を含みうる。ポリヌクレオチドは、天然の供給源から直接取得することができ、あるいは組換え、酵素、又は化学的技術を用いて調製することができる。ポリヌクレオチドは、トポロジーが線形又は円形でありうる。ポリヌクレオチドは、例えば、発現又はクローニングベクターなどのベクターの一部、又は断片でありうる。
【0068】
本明細書で用いられる場合、重量/Mcalとして表される成分の量は、総食品組成物の代謝可能エネルギー(ME)の単位による前記成分の重量からなる。
【0069】
本明細書で用いられる場合、「代謝可能エネルギー(ME)」とは、消化可能エネルギーから尿及び可燃性ガスで失われるエネルギーを差し引いたものを指す。
【0070】
本明細書で用いられる場合、「維持エネルギー要求量(MER)」は、長期間にわたって、MEが熱生成と等しい、エネルギー平衡を支援するために必要とされるエネルギーである。
【0071】
例示的に、ME値は、給餌試験を使用して測定してもよい。実際には、食物の総エネルギー(GE)は実験室で決定され、動物が食べた食物の量が記録される。動物の糞便及び尿が回収され、それぞれ糞便エネルギー(FE)及び尿エネルギー(UE)と呼ばれる、それぞれのエネルギーが決定される。次に、MEは次のように計算される:
ME(kcal/kg)=[GE-(FE+UE)]/消費された食品のKg。
【0072】
代謝可能エネルギーは、従来、標準的な方法、とりわけ、2017年7月付けの欧州規格EN16967(ICS.65.120)に従って決定可能である。したがって、本明細書で用いられる場合、食餌又は食物に含まれる所与の物質の「xg/Mcal」という用語は、当該物質が、食物の当該食餌に含まれる1Mcalあたりxグラムの量で含まれることを意味する。
【0073】
乾物1グラムあたり16.7kJ(4kcal)MEのエネルギー密度と仮定すると、次の換算係数を適用することができる:
単位/乾物100g×2.5=単位/1000kcal。
【0074】
本明細書で用いられる場合、「ppm」又は「ppm単位」(「百万分率」とも呼ばれる)という用語は、組成物又は食餌に含まれる物質の量を指定する別の従来の方法である。
【0075】
概して、栄養的に完全な動物向けの食餌は、本開示によれば、市販組成物の少なくとも最小推奨許容量で、かつ市販組成物の少なくとも最大推奨許容量未満の栄養レベルを含む動物向けの食餌である。
【0076】
逆に、本開示による、栄養的に完全ではない動物向けの食餌又は組成物は、概して、市販組成物の最小推奨許容量未満の1つ以上の栄養レベルを含むか、又は市販組成物の最大推奨許容量より高い1つ以上の栄養レベルを含む動物向けの食餌又は組成物である。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、本開示による、栄養的に完全ではない動物向けの食餌又は組成物は、市販組成物の最小推奨許容量未満の複数の栄養レベルを含む動物向けの食餌又は組成物、若しくは、市販組成物の最大推奨許容量より高い1つ以上の栄養レベルを含む動物向けの食餌又は組成物のことを指しうる。
【0078】
参考までに、乾物(DM)100gあたりの単位で表されるイヌ用の推奨栄養レベルが、下記表1Aに示されている:
【0079】
【0080】
参考までに、乾物(DM)100gあたりの単位で表されるネコ用の推奨栄養レベルが、下記表1Bに示されている:
【0081】
【0082】
一実施形態によれば、乾燥した栄養的に完全なペット用組成物、例えば完全なイヌ用組成物は、次の存在によって特徴付けられる:
- 全組成物の乾物100gあたり少なくとも18gのタンパク質含有量;
- 全組成物の乾物100gあたり少なくとも5.5gの脂肪含有量。
【0083】
逆に、対応する乾燥した栄養的に完全ではないペット(すなわちイヌ)用組成物は、次の存在によって特徴付けることができる:
- 全組成物の乾物100gあたり18g未満のタンパク質含有量;及び/又は
- 全組成物の乾物100gあたり5.5g未満の脂肪含有量。
【0084】
一実施形態によれば、乾燥した栄養的に完全なペット用組成物、例えば完全なネコ用組成物は、次の存在によって特徴付けられる:
- 全組成物の乾物100gあたり少なくとも25gのタンパク質含有量;
- 全組成物の乾物100gあたり少なくとも9gの脂肪含有量。
【0085】
逆に、対応する乾燥した栄養的に完全ではないペット(すなわちネコ)用組成物は、次の存在によって特徴付けることができる:
- 全組成物の乾物100gあたり25g未満のタンパク質含有量;及び/又は
- 全組成物の乾物100gあたり9g未満の脂肪含有量。
【0086】
本明細書で用いられる場合、「順次の」又は「順次」という用語は、情報の第1の部分が最初に入力され、情報の第2の部分が第1の時間に続く第2の時間に入力され、以下同様になるように、情報が連続して入力されることを意味する。順次入力の間の時間は、例えば、1日又は数日、数週間、数ヶ月などでありうる。
【0087】
本明細書で用いられる「ユーザ」という用語は、例えば、演算デバイス又は無線デバイスを所有する人又は主体、演算デバイス又は無線デバイスを操作又は利用する人又は主体、そうでなければ演算デバイス又は無線デバイスに関連付けられる人又は主体を含む。例えば、「ユーザ」という用語は、ユーザインターフェースとの間で情報を送受信する、任意のタイプの個々の消費者、顧客、研究者などを指すために用いられうる。ユーザには、ペットの飼い主、獣医、製造業者、組織、卸売業者、供給業者、会員などが含まれるが、これらに限定されない。「ユーザ」という用語は、限定することを意図するものではなく、説明されたもの以外のさまざまな例を含みうることが企図されている。
【0088】
本明細書で用いられる場合、「参照データベース」という用語は、他の測定可能な要因の中でもとりわけ、成長参照、チャート、データ点、グラフ、媒体、コード、及び特定の性別、品種、及び/又はサイズの動物に関する情報の独自のセットを意味する。
【0089】
しかしながら、これら及び類似の用語はすべて、適切な物理量に関連付けられており、これらの量に適用される単なる便宜上の符号にすぎないことに留意されたい。特に明記しない限り、以下の論述から明らかなように、説明全体を通して、「処理」又は「演算」又は「計算」又は「決定」又は「表示」又は「分析」などの用語を利用した論述は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ若しくは他のこのような情報ストレージ、送信、又は表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータへと変換する、コンピュータシステム又は同様の電子計算デバイスのアクション及びプロセスを通じて達成されうることが認識される。
【0090】
方法を実装する一般的な方法
第1の主な実施形態によれば、本開示は、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく、前記栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含むものとして定義される。
【0091】
非網羅的な方法で、本明細書に記載される方法又はプロセスによって得られるドライフード食は、ペットがその食餌で消費する任意の乾燥製品を包含しうる、食餌又は食品の形態でありうる。したがって、本開示は、標準的な食品並びにペットフードスナック(例えば、スナックバー、ビスケット、及びスイーツ製品)に及ぶ。
【0092】
栄養的に完全な食餌又は食物は、調理可能な一貫した生地又は肉エマルジョンを作るために、材料を混ぜ合わせて混練することによって製造することができる。一実施形態のドライペットフードを生成するプロセスは、通常、ベーキング及び/又は押し出しによって行われる。生地は通常、加圧蒸気又は水を使用して原材料を調理する、エキスパンダー及び/又は押出機と呼ばれる機械に供給される。押出機内にある間、生地は極度の圧力及び高温下にある。次に、生地をダイ(特定のサイズと形状の孔)に押し込み、その後、ナイフを使用して切り取る。膨らんだ生地ピースを乾燥機に通してキブルにし、規定された目標まで水分を低下させ、消費までの食品の安定性を確保する。次に、乾燥組成物(すなわち、キブル)に、脂肪、油、ミネラル、ビタミン、天然抽出物のカクテル、嗜好性増強剤を噴霧し、任意選択的に密封包装することができる。
【0093】
上述の方法は、ステップc)で選択された少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を組み合わせ、それによって、個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップをさらに含みうる。
【0094】
したがって、本開示はさらに、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を組み合わせ、それによって、個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく、前記栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含むものとして定義される。
【0095】
別の実施形態によれば、本開示は、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された少なくとも2つの既製の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない。
【0096】
別の実施形態によれば、本開示は、1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供するステップ;
b)前記動物の医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の医療プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
c)前記個々の生理学的プロファイル及び前記個々の医療プロファイルに基づいて、前記動物の個々の一般的なプロファイルを提供するステップ;
d)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
e)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;及び
f)ステップe)で選択された少なくとも2つの既製の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない。
【0097】
別の実施形態によれば、本開示は、1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態及び医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル及び個々の医療プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された少なくとも2つの既成の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない。
【0098】
さらに好ましい実施形態では、個別化された栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含む。
【0099】
ユーザ入力に基づいて作成された個々の一般的な動物プロファイルに加えて、ユーザは、動物の生物学的サンプルから得られた情報を入力するように要求される場合もある。
【0100】
分析は、動物のプロファイル情報を強化する情報を提供するものであり、また、異なる事前に製造された乾燥組成物を提案し、特定の添加物成分を追加し、特定の添加物成分を除去し、及び/又は新しい配合がペットのニーズをよりよく満たすことができるように、ペット製品配合物に由来して含まれる添加成分の量を変更することによって、動物向けのドライフード組成物を変更及び改良するために分析が用いられる。一実施形態では、追加の栄養及び生物学的分析情報は、その動物の獣医に伝えられ、食事療法又は適切な場合は治療処置に潜在的な治療成分を推奨する。代替となる実施形態では、獣医は、栄養学的及び生物学的分析情報を動物向け食品製造業者に伝達する。
【0101】
したがって、本開示による、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法は、動物からの生物学的サンプルを提供し、前記サンプルの生理学的又は病理学的状態の属性を決定し、それによって、前記動物の個々の一般的なプロファイルを提供する(又は既存のものを濃縮する)、追加のインビトロ又はエクスビボでのステップも含みうる。
【0102】
したがって、幾つかの実施形態では、本開示はさらに、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく、前記栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含むものとして定義され、かつ、前記動物の個々の病理学的状態を示す少なくとも1つの値は、前記動物の生物学的サンプルから決定される/決定されたものである。
【0103】
したがって、本開示はさらに、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)動物から生物学的サンプルを提供し、前記サンプルの生理学的又は病理学的状態の属性を決定する、ステップ;
b)少なくとも1つの決定された属性を含む、動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
c)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
d)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく、前記栄養的に完全な食餌は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つのビタミン源、少なくとも1つの脂肪源、及び少なくとも1つのミネラル源を含むものとして定義される。
【0104】
本明細書に開示される方法の特定の実施形態によれば、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップは、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも3つ、4つ、5つ、又は5つより多くの別個の既製の乾燥組成物を選択することを含みうる。
【0105】
本明細書に開示される方法の特定の実施形態によれば、前記既製の乾燥組成物は、5つ以上の別個の既製の組成物のセットから選択される。本明細書に開示される方法の特定の実施形態によれば、前記既製の乾燥組成物は、少なくとも6つ、7つ、8つ、9つ、又はそれより多くの別個の既製の乾燥組成物から選択される。
【0106】
本開示の特定の実施形態によれば、少なくとも5つの別個の既製の乾燥組成物は、複数の別個の既製の乾燥組成物から選択される。
【0107】
特定の実施形態によれば、別個の既製の乾燥組成物のセットのいずれも、特定の病理学的状態に個別に対処するものではない。
【0108】
すでに詳述したように、本開示の方法は、栄養的に完全な食餌のみから構成されるものでもそれを含むものでもない、別個の既製の乾燥組成物から、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するのに適している。
【0109】
明確にするために、乾燥組成物は、該組成物の総重量に対して最大で20%の水分レベルを有することを意味する。したがって、一実施形態によれば、このような既製の乾燥組成物は、組成物の総重量に対して、1%~20%の範囲の水分レベルを有する。しかしながら、このような乾燥組成物の水分レベルは、既製の組成物の総重量に対して、20%を大幅に下回っていてもよい(したがって、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20%未満を含む)ことは容易に理解されよう。1つの好ましい実施形態によれば、既製の乾燥組成物は、該組成物の総重量に対して25%未満;又はさらには、組成物の総重量に対して15%未満の水分レベルを有する。一実施形態によれば、既製の乾燥組成物は、乾燥キブルからなる。
【0110】
1つの特定の実施形態によれば、動物は、ペットなどの伴侶動物である。最も好ましくは、動物は、ネコ科動物又はイヌ科動物;例えば、イヌ又はネコから選択される。
【0111】
一実施形態によれば、複数の別個の既製の乾燥組成物は、
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;並びに
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有し;前記既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない、組成物J
からなる群より選択される、又はさらにはそれらからなる、少なくとも1つ以上の別個の組成物を含む。
【0112】
一実施形態によれば、本開示は、ネコ、特に1つ以上の病理学的状態を有するネコのための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)前記ネコの生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値からネコの個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的にネコの個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記ネコに特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく;
前記少なくとも1つ以上の既製の乾燥組成物は、
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;並びに
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J
からなる群より選択される。
【0113】
一実施形態によれば、複数の別個の既製の乾燥組成物は、
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、及び0.45%以下のカルシウム及びリンを有する、組成物C’;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
(xi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;並びに
(xii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する、組成物L’
からなる群より選択される、又はさらにはそれらからなる、少なくとも1つ以上の別個の組成物を含み、
前記既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0114】
一実施形態によれば、本開示は、イヌ、特に1つ以上の病理学的状態を有するイヌのための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)イヌの生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値からイヌの個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的にイヌの個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記イヌに特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく;
前記少なくとも1つ以上の既製の乾燥組成物は、
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、及び0.45%以下のカルシウムとリンを有する、組成物C’;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
(xi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;並びに
(xii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する組成物L’
からなる群より選択される。
【0115】
一実施形態によれば、複数の別個の既製の乾燥組成物は、
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA/DHA及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び0.45%以下のカルシウム及びリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する、組成物L’
からなる群より選択される、又はさらにはそれらからなる、少なくとも1つ以上の別個の組成物を含み、
前記既成の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0116】
一実施形態によれば、本開示は、ペット、特に1つ以上の病理学的状態を有するペットのための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する方法に関し、該方法は、
a)ペットの生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から前記ペットの個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記ペットに特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではなく;
前記少なくとも1つ以上の既製の乾燥組成物は、
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;並びに
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
(xi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
(xii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
(xiii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び0.45%以下のカルシウム及びリンを有する、組成物C’;
(xiv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
(xv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
(xvi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
(xvii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
(xviii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
(xix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
(xx)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
(xi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
(xii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する、組成物L’
からなる群より選択される。
【0117】
したがって、一実施形態によれば、該方法は、次から選択されるもの又はそれらからなるものなど、上に開示された複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップを含みうる:
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;並びに
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
ここで、前記既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0118】
別の実施形態によれば、該方法は、次から選択されるもの又はそれらからなるものなど、上に開示された複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップを含みうる:
(i)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
(ii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
(iii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、及び0.45%以下のカルシウムとリンを有する、組成物C’;
(iv)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
(v)乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
(vi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
(vii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
(viii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
(ix)乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
(x)乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
(xi)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
(xii)乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する、組成物L’;
ここで、前記既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものでも、それを含むものでもない。
【0119】
複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップは、少なくとも3つ、4つ、5つ、又は6つの別個の既製の乾燥組成物を選択することを含みうる、又はそれからなりうる。
【0120】
次に、個別化された栄養的に完全な食餌を提供するために、選択された別個の既製の乾燥組成物を混合し、任意選択的にさらに処理することができる(よって、加熱、冷却、粉砕、及び/又は凍結乾燥を含みうる)。
【0121】
個別化された栄養的に完全な食餌、及び/又は既製の乾燥組成物は、白色粉末又は固体形態を含む、粉末又はクラムとして提示されうる。動物の主食に粉末を加えることは有用である。他の形態には、固体ペレット、顆粒、錠剤が含まれる。
【0122】
個々の一般的なプロファイルの処理
「生理学的プロファイル」という用語は、動物の種、品種、性別、去勢の有無、サイズ、体重、年齢、活動レベル、気質、健康状態、及び病歴を含む、動物の属性のいずれか1つ又は組合せを指す。生理学的プロファイルは、遺伝子型と動物の環境との相互作用の産物である。生理学的プロファイルによって少なくとも部分的に定義される部分母集団は、品種ラインを包含しうる。あるいは、部分母集団は、生理学的状態によって部分的に定義することができるが、1つ又は幾つかの品種若しくは定義された品種継承に制限される。このような部分母集団の例は、攻撃的なプードル、条虫侵襲を有するラブラドールレトリバー、ビーグルを含む品種継承を有する避妊手術を受けたメスのイヌなどである。
【0123】
「病理学的プロファイル」又は「医療プロファイル」という用語は、所与の動物に関連している、又は前記動物に存在することが疑われる一連の病理学的状態の症状を含む、属性の任意の1つ又は組合せを指す。例えば、部分母集団は、過度に毛が抜ける成年期のネコ、肥満のイヌ、呼吸器疾患の小型のイヌ、大型品種の老齢のイヌ、腎不全を有する長毛のネコなどで構成されうる。
【0124】
「一般的なプロファイル」という用語は、生理学的プロファイル及び病理学的プロファイルを包含する。
【0125】
したがって、動物の一般的なプロファイルは、動物の名前、種、年齢、体重、性別、品種、避妊去勢手術、活動レベル、繁殖状態、消化器系の健康、病歴及び遺伝情報、現在の健康状態、体調、給餌方法、スナックのスケジュール、並びに香味の嗜好性に関する質問への回答で構成することができるが、これらに限定されない。さらには、動物のプロファイルには、季節、日付、又は時期に関する情報も含まれる場合がある。
【0126】
1つの特定の実施形態によれば、該方法は、動物の品種、動物の年齢、動物の実際の体重、動物の目標体重、動物のボディコンディションスコア(BCS)、動物の活動、動物のライフスタイル、動物の性的状態、動物の妊娠状態からなる群より選択される、前記動物の一般的な状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供するステップを含みうる。
【0127】
別の実施形態によれば、該方法は、前記動物の医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含みうる。
【0128】
一実施形態によれば、動物は、1つ以上の病理学的状態を有する。
【0129】
非限定的な態様で、公的なVENOMデータベース(venomcoding.org)、又は獣医用語サービス研究所(Veterinary Terminology Services Laboratory)(https://vtsl.vetmed.vt.edu/aaha/)からの公的なAAHA(米国動物病院協会)のリストに記載されている障害/病理を、生理学的又は病理学的プロファイルの確立のために考慮することができる。さらに好ましくは、別の非限定的な態様で、生理学的又は病理学的プロファイルの確立のために、以下の一連の障害/病理を考慮することができる:
【0130】
【0131】
リストに挙げられた病理に加えて、「感受性」(病理学の一部)の別の提示リストも考慮に入れることができる:体重増加、ストルバイト尿路結石、シュウ酸塩尿路結石、シスチン尿路結石、キサンチン尿路結石、特発性膀胱炎、ストレス及び不安、骨及び関節、皮膚及びコートの感受性、胃腸の感度、歯石、食べ物の選り好み、毛玉、心臓病を起こしやすい。
【0132】
非限定的な態様では、生理学的又は病理学的プロファイルを確立するために、次の一連の品種を考慮することができる:ネコ科動物、イヌ科動物、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ラット、及びマウス。本明細書の好ましいペット動物は、ネコ科動物又はイヌ科動物、例えばイヌ及びネコである。非限定的な態様では、動物がネコ科の動物である場合、生理学的又は病理学的プロファイルを確立するために、次の一連の品種を考慮することができる:チーター、プーマ、ジャガー、レオパード、ライオン、リンクス、ライガー、トラ、パンサー、ボブキャット、オセロット、スミロドン、カラカル、サーバル、及びネコ。本明細書で用いられる場合、ネコは、野生のネコ及び飼いネコ、最も好ましくは飼いネコを包含する。非限定的な態様において、動物がイヌ科動物の場合、生理学的又は病理学的プロファイルの確立のために、以下の一連の品種を考慮することができる:アフガン・ハウンド、エアデール、秋田、アラスカンマラミュート、バセットハウンド、ビーグル、ベルジアン・シェパード、ブラッドハウンド、ボーダーコリー、ボーダーテリア、ボルゾイ、ボクサー、ブルドッグ、ブルテリア、ケアーンテリア、チワワ、チャウチャウ、コッカースパニエル、コリー、コーギー、ダックスフント、ダルメシアン、ドーベルマン、イングリッシュセッター、フォックステリア、ジャーマン・シェパード、ゴールデンレトリバー、グレートデーン、グレイハウンド、ブリュッセルグリフォン、アイリッシュセッター、アイリッシュウルフハウンド、キングチャールズスパニエル、ラブラドールレトリバー、ラサ・アプソ、マスティフ、ニューファンドランド、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、パピヨン、ペキニーズ、ポインター、ポメラニアン、プードル、パグ、ロットワイラー、セントバーナード、サルーキ、サモエド、シュナウザー、スコティッシュテリア、シェットランドシープドッグ、シーズー、シベリアンハスキー、スカイテリア、スプリンガースパニエル、ウエストハイランドテリア、ウィペット、ヨークシャーテリア。
【0133】
1つの一般的な実施形態によれば、該方法は、ペットの個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含みうる;ここで、前記ペットの医学的状態を示す1つ以上の値は、次から選択される:
- 肥満及び/又は体重に関連する障害;
- 食物アレルギー;
- 初期の腎臓障害;
- 後期の腎臓障害;
- シュウ酸カルシウムに関連する尿路障害;
- ストルバイトに関連する尿路障害;
- 胃腸障害;
- 脂肪が豊富な食餌に関連する障害;
- 皮膚障害(すなわち皮膚炎);
- 歯科疾患;
- 加齢に伴う障害;
- 関節障害。
【0134】
一実施形態によれば、該方法は、ネコの個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含むことができ、前記ネコの医学的状態を示す1つ以上の値は、次から選択される:
- 肥満及び/又は体重に関連する障害;
- 食物アレルギー;
- 初期の腎臓障害;
- 後期の腎臓障害;
- シュウ酸カルシウムに関連する尿路障害;
- ストルバイトに関連する尿路障害;
- 胃腸障害;
- 脂肪が豊富な食餌に関連する障害;
- 皮膚障害(すなわち皮膚炎);
- 歯科疾患;
- 加齢に伴う障害。
【0135】
一実施形態によれば、該方法は、イヌの個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含むことができ、前記イヌの医学的状態を示す1つ以上の値は、次から選択される:
- 肥満及び/又は体重に関連する障害;
- 初期の腎臓障害;
- 後期の腎臓障害;
- シュウ酸カルシウムに関連する尿路障害;
- ストルバイトに関連する尿路障害;
- 胃腸障害;
- 脂肪が豊富な食餌に関連する障害;
- 皮膚障害(すなわち皮膚炎);
- 歯科疾患;
- 加齢に伴う障害
- 関節障害。
【0136】
肥満及び/又は体重に関連する障害は、概して、低エネルギー、低脂肪、タンパク質豊富、かつ繊維が豊富な食餌を必要とする。食物アレルギーは、概して、低アレルギー性の食餌を必要とする。初期の腎臓障害は、概して、低リン食を必要とする。後期の腎臓障害は、概して、低リン及び低タンパク質の食餌を必要とする。シュウ酸カルシウムに関連する尿路障害は、概して、酸性化を伴わない、ナトリウムが豊富な食餌を必要とする。ストルバイトに関連する尿路障害は、概して、酸性化を伴う、ナトリウムが豊富な食餌を必要とする。胃腸障害は、概して、消化性の高いタンパク質源と繊維特異的な食餌(例えばオオバコを含む)を必要とする。脂肪が豊富な食餌に関連する障害は、概して、低脂肪食を必要とする。皮膚障害(すなわち、皮膚炎)は、概して、ビタミンB豊富かつEPA/DHA豊富な食餌を必要とする。歯科疾患は、概して、カルシウムキレート食を必要とする。
【0137】
1つの特定の実施形態によれば、該方法は、ネコの個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的にネコの個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含んでよく;ここで、前記ネコの医学的状態を示す1つ以上の値は、減量後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、慢性腎臓病(CKD)ステージI又はII、CKDステージIII又はIV、タンパク尿、ストルバイト尿石溶解、ストルバイト尿石予防、シュウ酸カルシウム尿石(CaOx)予防、リン酸カルシウム尿石(CaP)予防、特発性膀胱炎、皮膚とコートの不良、アトピー、食品に関連しない皮膚障害、歯石、急性又は慢性の下痢、急性又は慢性の嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、及び高脂血症から選択される。
【0138】
1つの特定の実施形態によれば、該方法は、イヌの個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的にイヌの個々の病理学的プロファイルを提供するステップを含んでよく;ここで、前記ネコの医学的状態を示す1つ以上の値は、減量後、過体重、肥満、変形性関節症、運動性危険因子、CKD(慢性腎臓病)ステージI又はII、CKDステージIII又はIV、タンパク尿、ストルバイト尿石溶解、ストルバイト尿石予防、シュウ酸カルシウム尿石(CaOx)予防、リン酸カルシウム尿石(CaP)予防、特発性膀胱炎、皮膚とコートの不良、アトピー、食品に関連しない皮膚障害、歯石、急性又は慢性の下痢、急性又は慢性の嘔吐、胃炎、腸炎、大腸炎、消化不良、吸収不良、糖尿病、膵炎、膵外分泌機能不全(EPI)、高脂血症、及び有害な食物反応から選択される。
【0139】
幾つかの実施形態によれば、前記動物に特有の1つより多い栄養処方が提供される。例えば、2つ又は2つより多い栄養処方が提供されうる。このような状況は、例えば、個々の一般的なプロファイルが、前記動物の生理学的状態及び/又は医学的状態を示す1つ以上の値から生成される場合に起こる可能性があり、これは、関連付けられると、複数の拮抗的な栄養学的回答につながる。この特定の事例では、該方法は、本明細書では優先順位付けと呼ばれる追加のステップを必要とする場合があり、これは、生理学的及び/又は医療プロファイルを示す一連の値を、前記動物に特有の栄養処方の限られたセットのみ(すなわち、1つのみ)を作成するのに適した態様で適合させることを必要とする。
【0140】
したがって、この実施形態によれば、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する本開示の方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、任意選択的に、前のステップで提供された生理学的/又は医学的状態を示す値の1つ以上を破棄し、それによって前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0141】
あるいは、前記動物に特有の2つ又は2つより多い栄養処方を提供することができ、次いで、1つの最適な栄養処方の選択は、本明細書で複製(duplication)と呼ばれる追加のステップを介して達成することができる。例えば、複数の中から個別化された最適な栄養処方を選択するステップは、ユーザの好みに基づいて前記動物の生理学的及び/又は医学的状態を示す1つ以上の値を破棄又は無視することから構成されてよく、その結果、最終的に1つの個別化された栄養的に完全な食餌のみが提供される。
【0142】
この実施形態によれば、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する本開示の方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって前記動物に特有の複数の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の複数の栄養処方の中から1つ以上の個別化された最適な栄養処方を選択するステップ;
d)前記動物に特有の最適な栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0143】
本明細書では、前の例によれば、ステップc)内の複数の中から栄養処方のセットを選択するステップは、それ自体が自動手順によって、あるいは手動入力によって(すなわち、特定のユーザインターフェースを介して)達成できることが理解されよう。
【0144】
幾つかの実施形態によれば、複製及び優先順位付けの両方を同じシーケンス内で達成することができる。
【0145】
したがって、これらの実施形態によれば、一般的な状態を示す1つ以上の値を破棄することができ、複数の最適な栄養処方を作成することができる。
【0146】
この実施形態によれば、動物、特に1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供する本開示に記載される方法は、
a)前記動物の生理学的状態、及び任意選択的に医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイル、及び任意選択的に動物の個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって、個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、任意選択的に、前のステップで提供された生理学的及び/又は医学的状態を示す値の1つ以上を破棄し、それによって前記動物に特有の複数の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の複数の栄養処方の中から1つ以上の個別化された最適な栄養処方を選択するステップ;
d)前記動物に特有の最適な栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択し、それによって個別化された栄養的に完全な食餌が提供される、ステップ
を含み、ここで、前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0147】
個別化された栄養的に完全な食餌の提供
本明細書では、既製の乾燥組成物からの個別化された栄養的に完全な食餌の提供が、該方法の他のステップに用いられるものと同じ装置を介して達成することができることが容易に理解されよう。さらに、それは別のデバイスを介して、又は遠隔でさえも達成することができる。
【0148】
この実施形態によれば、個別化された栄養的に完全な食餌を提供するステップは、選択された別個の既製の乾燥組成物が、小売の店舗などの特定の場所に輸送されるステップを含みうる。
【0149】
また、個別化された栄養的に完全な食餌を提供するステップは、少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップの直後に続いてもよく、あるいは、別の時間に行われてもよい。例えば、このような既製の乾燥組成物は、ある特定の期間にわたって保存することができ、それらの既製の乾燥組成物から個別化された栄養的に完全な食餌を提供するステップは、後で、別の場所において行うことができる。
【0150】
この方法に従って得られる個別化された栄養的に完全な食餌は、ペットがその食餌で消費するあらゆる製品を包含することができる、食餌又は食物の形態をした栄養的に完全な組成物である。したがって、本開示は、標準的な食品並びにペットフードスナック(例えば、スナックバー、ビスケット、及びスイーツ製品)に及ぶ。本明細書の個別化された栄養的に完全な食餌は、好ましくは調理された製品である。それは、肉又は動物由来の材料(例えば、牛肉、鶏肉、七面鳥、豚肉、アヒル、カンガルー、子羊、又は魚、血漿、骨髄、羽毛由来の材料(例えば、家禽の羽毛加水分解物)などに由来する材料)を組み込んでいてもよい。あるいは、個別化された栄養的に完全な食餌は肉を含まない場合があり、タンパク質源を提供するために大豆、トウモロコシグルテン又は大豆加水分解物などの肉代替物を含んでいてもよい。個別化された栄養的に完全な食餌には、植物性タンパク質(小麦グルテン、エンドウ豆タンパク質)又は大豆タンパク質濃縮物又は加水分解物、乳タンパク質、グルテンなどの追加のタンパク質源が含まれていてもよい。個別化された栄養的に完全な食餌には、1つ以上の穀物など(例えば、小麦、トウモロコシ、米、オート麦、大麦など)のデンプン源、又はジャガイモなどの他の供給源に由来する炭水化物も含んでいてよく、あるいはデンプンを含まなくてもよい。個別化された栄養的に完全な食餌は、チコリ、サトウダイコンパルプなどの繊維、及び/又はイヌリン、フラクトオリゴ糖、プロバイオティクスなどの成分を含むことができ、最も好ましくは、食餌又は食物の組合せ成分は、例えば、National Research Council, 1985, Nutritional Requirements for dogs, National Academy Press, Washington DC、又はAssociation of America Feed Control Officials, Official Publication 1996に記載される、対象とする特定の動物に推奨されるすべてのビタミン及びミネラルを提供する(完全かつバランスの取れた食品)。
【0151】
方法及びコンピュータに実装された発明を実施するためのデバイス
幾つかの態様では、本開示は、本明細書に記載される個別化された栄養的に完全なドライフード食を調製するための方法を実施するためのデバイス/装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてもよく、あるいは、コンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的にアクティブ化又は再構成される汎用コンピュータを含んでいてもよい。このようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、それぞれがコンピュータシステムの相互接続に結合された、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気又は光学カード、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び磁気光ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、又は電子命令を保存するのに適したあらゆるタイプの媒体などのコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。
【0152】
当業者によって認識されるように、本明細書に開示されるシステム及び方法は、方法、データ処理システム、データ処理のためのデバイス、及び/又はコンピュータプログラム製品として具体化することができる。したがって、本開示のシステム及び方法は、完全にソフトウェアの実施形態、完全にハードウェアの実施形態、及び/又はソフトウェアとハードウェアの両方の態様を組み合わせた実施形態の形をとることができる。さらには、本開示のシステム及び方法は、記憶媒体に具体化されたコンピュータ可読プログラムコード手段を有するコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形をとることができる。ハードディスク、CD-ROM、光記憶デバイス、磁気記憶デバイスなどを含む、任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体を利用することができる。
【0153】
本明細書に提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連しているわけではない。本明細書の教示に従って、さまざまな汎用システムをプログラムと共に使用することができ、あるいは必要とされる方法動作を実行するためのより特殊な装置を構築することが便利であることが証明されうる。これらのさまざまなシステムの構造は、上記の説明から明らかであろう。加えて、本実施例は、特定のプログラミング言語を参照して説明されておらず、したがって、さまざまな例は、さまざまなプログラミング言語を使用して実装させることができる。
【0154】
本明細書により詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、特定の動物に関連するデータ入力に基づいてグラフィカルユーザインターフェースに表示されるように、ユーザが動物の健康及び/又は最適な成長に関連するカスタマイズされた情報を受け取ることができるソフトウェアアプリケーションを提供する。さらには、ユーザは、少なくとも1つのバイオマーカーを選択することにより、ソフトウェアアプリケーションが適用され、関連する健康情報及び/又は介入推奨事項を表示することができるグラフィカルユーザインターフェースに表示される動物の成長又は健康情報などの受信される情報をカスタマイズすることができる。
【0155】
したがって、本開示は、特定の動物に関連するデータ入力に基づいてグラフィカルユーザインターフェースに表示されるように、動物の健康及び/又は最適な成長に関連するカスタマイズされた情報を受信する能力をユーザに提供するデバイス(すなわち、コンピュータシステム及び/又はソフトウェアアプリケーションプラットフォーム)の形態で存在しうる。具体的には、ユーザは、データ、例えば、動物特異的なバイオマーカーを入力し、その後、個々の動物の特定のサブグループに関連する識別を受け取ることができる。
【0156】
別の実施形態では、動物向けの個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイス(すなわち、コンピュータシステム及び/又はソフトウェアアプリケーションプラットフォーム)が開示される。デバイスは、プロセッサと、該プロセッサによって実行されるとデバイス(すなわち、コンピュータシステム及び/又はソフトウェアアプリケーションプラットフォーム)に上記の方法を実行させる命令を格納するメモリとを含みうる。
【0157】
例えば、デバイス(すなわち、コンピュータシステム)は、1つ及び/又は複数のマイクロプロセッサ及び/又は他の制御デバイスの制御下でさまざまな機能を実行することができる、さまざまな集積回路構成要素(例えば、メモリ要素、処理要素、論理要素、ルックアップテーブルなど)を使用することができる。同様に、ソフトウェア要素は、データ構造、オブジェクト、プロセス、ルーチン、及び/又は他のプログラミング要素の任意の組合せで実装されているさまざまなアルゴリズムを用いて、C、C++、Java、COBOL、アセンブラ、PERL、Visual Basic、SQLストアドプロシージャ、拡張マークアップ言語(XML)、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、SDML、DHTML、HDML、VRMLなどのプログラミング言語及び/又はスクリプト言語で実装させることができる。さらには、デバイスは、データ送信、シグナリング、データ処理、ネットワーク制御などのために、任意の数の従来の技術を使用することができる。
【0158】
さらに別の実施形態では、プロセッサによって実行されると、デバイス(すなわち、コンピュータシステム)に動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供させる命令を格納する、非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。
【0159】
デバイス(すなわち、コンピュータシステム)は、上記の方法動作を実行することができる。
【0160】
デバイス/システムは、前記動物の一般的な状態を示す1つ以上の値を含む、ユーザ入力を取得するように構成されたユーザインターフェース、とりわけ電子ユーザインターフェースをさらに含みうる。したがって、この実施形態によれば、電子ユーザインターフェースは、次から選択される1つ以上の値を含むユーザ入力を取得するように構成することができる:動物の名前、種、年齢、体重、性別、品種、避妊去勢手術、活動レベル、繁殖状態、消化器系の健康、病歴及び遺伝情報、現在の健康状態、体調、給餌方法、スナックのスケジュール、並びに香味の嗜好性。
【0161】
一実施形態によれば、デバイス/システムは、サーバに接続するように構成された注文デバイスをさらに含みうる。
【0162】
一実施形態によれば、本開示は、動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイスに関し、該デバイスは、
a)前記動物の生理学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の生理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された少なくとも2つの既製の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を実行するように適合された手段を有しており、
前記選択された別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない。
【0163】
本開示の他の1つの実施形態では、デバイスは、前記動物の医学的状態を示す1つ以上の値から動物の個々の病理学的プロファイルを提供するステップを実行するように適合された、さらなる手段を有する。
【0164】
一実施形態によれば、本開示は、1つ以上の病理学的状態を有する動物のための個別化された栄養的に完全な食餌を提供するためのデバイスに関し、該デバイスは、
a)動物の生理学的状態及び医学的状態を示す1つ以上の値から前記動物の個々の生理学的プロファイル及び個々の病理学的プロファイルを提供し、それによって個々の一般的なプロファイルが作成される、ステップ;
b)個々の一般的なプロファイルを処理し、それによって、前記動物に特有の栄養処方が決定される、ステップ;
c)前記動物に特有の栄養処方に基づいて、各々が既知の構成である、複数の別個の既製の乾燥組成物から少なくとも2つの別個の既製の乾燥組成物を選択するステップ;
d)ステップc)で選択された少なくとも2つの既製の別個の乾燥組成物を組み合わせて、個別化された栄養的に完全な食餌を得るステップ
を実行するように適合された手段を有しており、
前記選択された既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみを含むものではない。
【0165】
キット
本説明は、動物、優先的には伴侶動物のための栄養的に完全な食餌を調製するためのキットも提供し、前記栄養的に完全な食餌は、次からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む:
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA/DHA及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、0.45%以下のカルシウム、及び0.45%以下のリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する組成物L’;
ここで、前記別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0166】
特に、本説明は、次からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む、栄養的に完全な食餌を調製するためのキットを提供する:
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA/DHA及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J。
【0167】
あるいは、本開示は、次からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む、ネコ科動物、優先的にはネコのための栄養的に完全な食餌を調製するためのキットに関する:
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも38%のタンパク質、及び10%以下の脂肪を有する組成物A;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.5%のオオバコ外被、少なくとも35%のタンパク質、少なくとも0.5%のカルシウム、及び0.7%以下のリンを有する、組成物B;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも37%のタンパク質、少なくとも1.5%のナトリウム、少なくとも2.5%の塩化物、及び少なくとも0.6%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物C;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%のTDF、少なくとも38%のタンパク質、9%以下の脂肪、及び少なくとも1.3%のカリウムを有する、組成物D;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも3.5%のリノール酸、少なくとも0.4%のリン、及び7%以下のTDFを有する、組成物E;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも0.8%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも1.5%のナトリウムを有する、組成物G;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも20%の脂肪、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物H;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも4%のオオバコ外被を有する、組成物I;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅を有する、組成物J;
ここで、前記別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0168】
あるいは、本開示は、次からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む、栄養的に完全な食餌を調製するためのキットを提供する:
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、0.45%以下のカルシウム及び0.45%以下のリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する組成物L’;
ここで、前記別個の既製の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【0169】
あるいは、本開示は、次からなる群より選択される少なくとも2つ以上の別個の乾燥組成物を含む、イヌ科動物、優先的にはイヌのための栄養的に完全な食餌を調製するためのキットを提供する:
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも1.7%のナトリウム及び10%以下の脂肪を有する、組成物A’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び少なくとも1.5%のカルシウムを有する、組成物B’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪、0.45%以下のカルシウム及び0.45%以下のリンを有する、組成物C’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.55%のEPA及び/又はDHA、及び少なくとも5%のリノール酸を有する、組成物D’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、7%以下の脂肪、少なくとも25%のTDF、及び少なくとも35%のタンパク質を有する、組成物E’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、12%以下のタンパク質、少なくとも22%の脂肪、少なくとも0.25%のリン、0.5%以下のカルシウム、及び少なくとも0.7%のEPA及び/又はDHAを有する、組成物F’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.35%以下のカルシウム、0.35%以下のリン、少なくとも1.6%のナトリウム、及び少なくとも25%のTDFを有する、組成物G’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6%以下の脂肪及び少なくとも1.6%のナトリウムを有する、組成物H’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、0.21%以下のナトリウム及び少なくとも1.65%の総アルギニンを有する、組成物I’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、6ppm以下の総銅及び20%以下の脂肪を有する、組成物J’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも40%のタンパク質及び23%以下のデンプンを有する、組成物K’;
- 乾物ベースの組成物の総重量に対して、少なくとも21%の総食物繊維を有する組成物L’;
ここで、前記既製の別個の乾燥組成物のいずれも、栄養的に完全な食餌のみからなるものではない。
【実施例】
【0170】
ケーススタディ:尿路結石及び肥満を患う老年期ペット
病理学的ペットプロファイルが明細書に報告されている。
【0171】
【0172】
次に、ペットのプロファイルがバイナリコードで表される。各コードは栄養学的回答を表す。各バイナリコードは、推奨する処方を決定する理想的な栄養学的回答にリンクされている。バイナリコードを栄養学的回答にリンクする追加の規則を導入することができる。これらの規則は、病理学的関連に基づいている。各回答は、優先順位付けされても、複製されてもよい。
【0173】
優先順位付けの一例は、ペットが腎臓の問題及び歯の問題を示している場合に起こりうる。両方の栄養学的回答はアンタゴニストとして定義することができる(すなわち、その特定の場合、腎臓の問題の発生に起因して、リンを減らすことが推奨されるが、しかしながら、推奨される歯科栄養学的回答はリンの添加を必要とするか、リンの添加に基づくものでありうる)。
【0174】
この特定の事例では、腎臓の問題を歯の問題よりも優先させることができる。次に、アルゴリズムは、腎臓の問題に関連付けられたバイナリコードのみを保持しつつ、歯の問題に関連付けられたバイナリコード(1から0までのバイナリコード)の優先順位を下げていく。
【0175】
複製の一例は、ペットが腎臓の問題と尿路結石の問題を示している場合に起こりうる。両方の栄養学的回答はアンタゴニストとして定義することができる(すなわち、一方のケースではナトリウムを減らすことが推奨され、もう一方のケースではナトリウムを増やすことが推奨される)。達成すべき目標は、一方又は両方の問題を治療することである。したがって、次に、2つのプロファイルが作成され(10;01)、回答が開業医に送信され、その後、開業医は、保持したいプロファイルを決定することができる。
【0176】
実施例1:イヌに適用されるプロセス
1.個々の生理学的及び病理学的プロファイル
【0177】
【0178】
2.栄養処方プロファイル
肥満について:
特定のレベルのエネルギー密度、動物に満腹効果のある繊維源の選択を伴う特定のレベルの繊維、特定のレベルのEPA+DHA、L-カルニチンの添加、特定のレベルのタンパク質、及びエネルギーベースの特定のレベルの必須栄養素。
【0179】
皮膚及びコートの障害について:
特定のレベルの脂肪酸(とりわけ、限定はしないが、リノール酸、アルファリノレン酸、及びガンマリノレン酸)、特定のレベルのビタミンB(限定はしないが、パントテン酸、ナイアシン、コリン)、特定のレベルのヒスチジン、特定のレベルの亜鉛。
【0180】
3.既製の乾燥組成物のセットからの選択
【0181】
【0182】
実施例2:ネコに適用されるプロセス
1.個々の生理学的及び病理学的プロファイル
【0183】
【0184】
2.栄養処方プロファイル
老年期のライフステージについて:
消化性の高い成分(すなわち、穀物の供給源としての米)と消化性の高いタンパク質の選択、特定のレベルのタンパク質及び脂肪、特定のレベルのリン、抗酸化剤ブレンドの追加(特に、特定のレベルのビタミンC、E、ルテイン、タウリン、ベータカロチン、及びリコピンを含む)。
【0185】
変形性関節症について:
特定のレベルのEPA及びDHA、限定はしないが、緑イ貝抽出物、コンドロイチン、及びグルコサミンのブレンドの追加。
【0186】
皮膚及びコートの障害について
特定のレベルの脂肪酸(とりわけ、限定はしないが、リノール酸、アルファリノレン酸、及びガンマリノレン酸)、特定のレベルのビタミンB(限定はしないが、パントテン酸、ナイアシン、コリン)、特定のレベルのヒスチジン、特定のレベルの亜鉛。
【0187】
3.既製の乾燥組成物のセットからの選択
【0188】
【国際調査報告】