(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】絶縁ガラスパネルを組み立てるための方法及び装置、及びこのようにして製造された絶縁ガラスパネル
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20221109BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C03C27/06 101C
E06B3/663 Z
C03C27/06 101D
C03C27/06 101J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514007
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020073093
(87)【国際公開番号】W WO2021043568
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019123700.9
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522078819
【氏名又は名称】グラストン ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュレル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】プシュマン クラウス
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016FA00
4G061AA09
4G061AA10
4G061BA01
4G061CB02
4G061CB06
4G061CD02
4G061CD16
4G061CD25
(57)【要約】
TPSスペーサーによって離間された少なくとも2枚のガラスシート(3,4)を含む絶縁ガラスパネル(2)を組み立てるための方法及び装置であって、ペースト状TPSストランド(5,6)を施し、立姿勢ガラスシート(3,4)上にその縁部に沿って続いて凝固するように構成されていて、且つ、TPSステーション(50)を通って立姿勢ガラスシート(3,4)を搬送するように構成された水平コンベア(42)を有し、下塗ステーション(40)の下流に配置されたTPSステーション(50)と、回転鉛直軸(76)の周りを回転させることができる少なくとも1つの水平コンベア(72,74)を有し、且つ、その上に立っているガラスシート(3,4)を立姿勢ガラスシート(3,4)を回転ステーション(70)を通って搬送し、且つ、回転させるように構成されていて、TPSステーション(50)の下流に配置されている回転ステーション(70)と、絶縁ガラスパネル(2)を形成するための、各々がTPSストランド(5,6)を備えた2枚のガラスシート(3,4)を接合するように構成され、互いに平行に延びて立姿勢ガラスシート(3,4)を搬送する2列の水平コンベア(92,94)を有し、回転ステーション(70)の下流に配置されたプレスステーション(90)と、ガラスシート(3,4)の一方を回転させることによって、回転ステーション(70)に次々に供給され各々がTPSストランド(5,6)を備えた2枚のガラスシート(3,4)をプレスステーション(90)に次々と誘導し、これらをプレステーションにおいて接合して絶縁ガラスパネル(2)を形成するように構成された制御装置(100)と、を備えた絶縁ガラスパネル(2)を組み立てるための装置(1)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TPSスペーサ(7)により離間された少なくとも2枚のガラスシート(3,4)を含む絶縁ガラスパネル(2)を組立てる装置(1)であって、
ペースト状TPSストランド(5,6)を施し、続いて、立姿勢の前記ガラスシート(3,4)上にその縁部に沿って凝固するように構成されていて、TPSステーション(50)が前記TPSステーション(50)を通る前記立姿勢ガラスシート(3,4)搬送のために構成された水平コンベア(42)を有する、前記TPSステーション(50)と、
回転鉛直軸(70)の周りを回転させることができる少なくとも1つの水平コンベア(72,74)を有し、前記水平コンベア(72,74)は、回転ステーション(70)を通して前記立姿勢ガラスシート(3,4)を搬送し、その上に立っている前記ガラスシート(3,4)を回転させるように構成されていて、前記TPSステーション(50)の下流に配置された前記回転ステーション(70)と、
各々前記TPSストランド(5,6)が塗布された2枚の前記ガラスシート(4)を接合して前記ガラスパネル(2)を形成するように構成され、互いに平行に延びる2列の水平コンベア(92,94)を有し、それぞれが前記立姿勢ガラスシート(3,4)搬送用に構成されていて、前記回転ステーション(70)の下流に配置されたプレスステーション(90)と、
前記回転ステーション(70)に次々に供給される2枚の前記ガラスシート(3,4)を前記プレスステーション(90)に誘導して、且つ、前記TPSストランド(5,6)が各々塗布された2枚の前記ガラスシート(3,4)の1つを回転されることによって、これらを前記プレスステーション(90)内で接合して、前記絶縁パネル(2)を形成させるように構成された制御装置(100)と、
を備えた絶縁ガラスパネル(2)を組み立てるための装置(1)。
【請求項2】
前記回転ステーション(70)は、互いに平行な2列の前記水平コンベア(72,74)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガラスシート(4)の1枚における縁部に沿って延びる前記TPSストランド(6)上にガラス取付バーフレーム(8)を配置するように構成され、ガラス取付バーステーション(60)を通って前記立姿勢ガラスシート(3,4)搬送のために構成された水平コンベア(62)を有する前記ガラス取付バーステーション(60)を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガラス取付バーステーション(60)は、前記TPSステーション(50)と前記回転ステーション(70)との間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記TPSステーション(50)の上流側に配置され、前記立姿勢ガラスシート(3,4)の端縁に沿って帯状に下塗剤(13,14)を塗布するようにされ、且つ、自身を通って前記立姿勢ガラスシート(3,4)を搬送するようにされた水平コンベア(42)を備えた下塗りステーション(40)を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
以下の工程を有する絶縁ガラスパネル(2)の組み立て方法であって、
その縁部の1つに立っている第1のガラスシート(3)がTPSステーション(50)に運ばれる工程と、
前記TPSステーション(50)において後で凝固するペースト状ストランド(5)が第1立姿勢の前記ガラスパネル(3)の縁部に沿って塗布される工程と、
前記TPSストランド(5)を塗布した後、前記第1立姿勢ガラスシート(3)が前記TPSステーション(50)から回転ステーション(70)に搬送される工程と、
その縁部の1つに立っている第2のガラスシート(4)が前記TPSステーション(50)に運ばれる工程と、
前記TPSステーション(50)において、後に凝固するペースト状のTPSストランド(6)が前記第2立姿勢ガラスシート(4)にその縁部に沿って塗布される工程と、
前記回転ステーション(70)において、前記第1立姿勢ガラスシート(3)が回転鉛直軸(76)を中心として回転される工程と、
回転後、前記第1立姿勢ガラスシート(3)は前記回転ステーション(70)からプレスステーション(90)に運ばれる工程と、
前記TPSストランド(6)の塗布後に、前記立姿勢第2ガラスシート(4)が前記回転ステーション(70)を介して前記TPSステーション(50)から前記プレスステーション(90)内に運ばれ、その結果、両方の前記ガラスシート(3,4)は間隔をおいて互いに対向し、それらの前記TPSストランド(5,6)が互いに対面される工程と、
前記プレスステーション(90)において、2枚の前記ガラスシート(3,4)が、2枚の前記ガラスシート(3,4)間の距離が、2つの前記TPSストランド(5,6)が2枚の前記ガラスシート(3,4)間で相互に対向して残り、且つ、2枚の前記ガラスシート(3,4)を所定の距離で保持するまで縮むことにより相互に結合されて前記絶縁ガラスパネル(2)を形成する工程と、
結合過程の後、前記絶縁ガラスパネル(2)は前記プレスステーション(90)から運び出される工程と、
を有する絶縁ガラスパネルの組立方法。
【請求項7】
前記第1立姿勢ガラスシート(3)が、前記第2のガラスシート(4)と同時に、特に前記回転ステーション(70)またはバッファステーション(80)から前記プレスステーション(90)内に搬送される工程を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
以下の工程を有する絶縁ガラスパネル(2)の組み立て方法であって、
その縁部の1つに立っている第1のガラスシート(3)がTPSステーション(50)に運ばれる工程と、
前記TPSステーション(50)では後に凝固するペースト状ストランド(5)が第1立姿勢の前記ガラスパネル(3)にその縁部に沿って帯状に塗布される工程と、
前記TPSストランド(5)を塗布した後、前記第1立姿勢ガラスシート(3)を前記TPSステーション(50)から回転ステーション70を経てプレスステーション(90)に搬出する工程と、
その縁部の1つに立っている第2のガラスシート(4)が前記TPSステーション(50)に運ばれる工程と、
前記TPSステーション(50)において、後に凝固するペースト状ストランド(6)が前記第2立姿勢ガラスシート(4)の縁部に沿って塗布される工程と、
前記TPSストランド(6)を塗布した後に、前記第2立姿勢ガラスシート(4)が前記TPSステーション(50)から前記回転ステーション(70)内に搬送される工程と、
前記回転ステーション(70)内で、前記立姿勢第2ガラスシート(4)が回転鉛直軸(76)の周りを回転する工程と、
回転後、前記立姿勢第2ガラスシート(4)が前記回転ステーション(70)から前記プレスステーション(90)に運ばれ、その結果、両方の前記ガラスシート(3,4)は互いに間隔をおいて対向し、それらの前記TPSストランド(5,6)が互いに向き合う工程と、
前記第1のガラスシート(3)および/または前記第2のガラスシート(4)が前記TPSステーション(50)内に位置している間、前記ペースト状TPSストランド(5,6)が前記立姿勢ガラスシート(3,4)における、続いて凝固する帯状下塗剤(13,14)上に適用される工程と、
前記プレステーション(90)において、2枚の前記ガラスシート(3,4)間の距離が、前記TPSストランド(5,6)が2枚の前記ガラスシート(3,4)間のスペーサ(7)を形成し、且つ、2枚の前記ガラスシート(3,4)を所定の距離で保持するまで縮むことにより相互に結合されて前記絶縁ガラスパネル(2)を形成する工程と、
結合過程の後、前記絶縁ガラスパネル(2)が前記プレスステーション(90)から運び出される工程と、
を有してなる絶縁ガラスパネルの組立方法。
【請求項9】
2枚の前記ガラスシート(3,4)が接合される前に、ガラス取付バーフレーム(8)が、前記ガラスシート(4)の一方の前記TPSストランド(6)上に配置され、前記TPSストランド(6)のまだ柔らかい素材の面に押し込まれる工程を有する、請求項6乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記TPSストランド(5,6)塗布前に、下塗剤(13,14)が、前記各ガラスシート(3,4)の縁部に沿って帯状に塗布される請求項6乃至9のいずれかに記載の製造法。
【請求項11】
少なくとも2枚のガラスシート(3,4)と中間スペーサー(7)とを含み、
その高さによって、2枚の前記ガラスシート(3,4)を互いに所定の間隔で保持する絶縁ガラスパネル(2)であって、
前記スペーサー(7)は後に凝固する2つのペースト状TPSストランド(5,6)を互いに上に配置することによって形成されていて、両者の合成高さは、結果として前記スペーサー(7)の高さをもたらす、絶縁ガラスパネル。
【請求項12】
ガラス取付バーフレーム(8)が、前記スペーサー(7)の2つの前記TPSストランド(5,6)によって両方の前記ガラスシート(3,4)から離れて保持される2枚の前記ガラスシート(3,4)の間に配置される、請求項11に記載の絶縁ガラスパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TPSスペーサーによって離間された少なくとも2枚のガラスシートを有する絶縁ガラスパネルを組み立てるための方法および装置並びに絶縁ガラスパネルに基づいている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上記のような方法および装置が記載されている。装置は熱可塑性物質から作られたペースト状TPSストランドをガラスシート上に塗布し、その後固化するように構成されたTPSステーションを含む。絶縁ガラス板における熱可塑性スペーサーのためのTPSという語は、本出願人の登録商標である。TPSストランドはガラスシートの縁部に沿ってガラスシートの周りを移動するノズル手段によってくっつけられ、それによって、ストランドの始まりと後端が一致するように、ノズルから出るストランドをガラスシート上に配置する。
【0003】
さらに、特許文献2は、少なくとも2枚のガラスシートから絶縁ガラスパネルを組み立てるための方法および装置を開示している。その装置には回転ステーションが含まれており、平行な2列の水平コンベアがある。両水平コンベアは回転鉛直軸の周りで回転させることができ、回転ステーションを通して立姿勢ガラスシートを搬送し、その上に立っているガラスシートを回転させるように構成される。プレスステーションは回転ステーションの下流に配置され、これも並行な2列の水平コンベアを有する。この2つのコンベアは、プレスステーションを通して立姿勢ガラスシート搬送するように構成されている。プレスステーションは、2枚のガラスシートを結合して絶縁ガラスパネルを形成するように構成される。回転ステーションの上流には、外観検査およびフレーム配置ステーションが設けられ、そこではフレーム形状のスペーサーが第2のガラスシート上に配置される。TPSストランドのために反応性架橋TPS剤を使用することもそれ自体知られている。
【0004】
このようなシステムは例えば、特許文献3に記載されている。硬化されたTPS剤は絶縁ガラスパネルの一体化された縁部シールとしての役割を果たすことができ、これは、全ての必要な機能、特に水蒸気密及び気密シール及びスペーサーの結合を同時に保証する。加えて、乾燥剤を含んでいてもよい。TPSストランドとそれぞれのガラスシートの面との間の堅固な連結を確実にするために、接着促進剤として下塗剤を使用することも、また、それ自体知られている。これは例えば、特許文献4に記載されており、ここでは下塗剤としてガラスシートの縁部にシランが適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願第443374A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第2802727B1号明細書
【特許文献3】US2009/0291238A1
【特許文献4】欧州特許出願公開第2963226A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は改良された絶縁ガラスパネルと同様に、絶縁ガラスパネルを組み立てるための改良された方法及び改良された装置を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置、請求項5または7の特徴を有する方法、および請求項11の特徴を有する絶縁ガラスパネルによって達成される。
【0008】
TPSスペーサーによって離間された少なくとも2つのガラスパネルを有する絶縁ガラスパネルを組み立てるための装置は、下塗ステーション、下塗ステーションの下流に配置されたTPSステーション、TPSステーションの下流に配置された回転ステーション、回転ステーションの下流に配置されたプレスステーション、及び制御装置、特にコンピュータ制御装置を含む。下塗ステーションは帯状に、その縁部に沿って立姿勢ガラスパネル上に下塗剤を塗布するように構成される。下塗ステーションは、下塗ステーションを通して立姿勢ガラスシートを搬送するように構成された水平コンベアを有する。下塗剤塗布のため、下塗ステーションは水平コンベアによって水平に移動されるガラスシートと協働して立姿勢ガラスシートに下塗剤を塗布するために、ガラスシートの縁部に沿って鉛直に移動させることができるノズルを含むようにしてもよい。「立姿勢ガラスシート」は、その複数の縁部の1つで立っているガラスシートを意味すると理解される。立姿勢ガラスシートは鉛直から数度傾斜させることができ、またわずかに傾斜した支持壁または支持ローラのような支持手段上に支持されて、誤って転倒することがないようにすることができる。本発明の場合、ガラスシートは常時立姿勢であり、このことは、個々のステーション間の搬送を含む全ての方法過程において立ち姿勢で実行されることを意味する。TPSステーションは、その後に立姿勢ガラスシート上にその縁部に沿って固化するペースト状TPSストランドを塗布するように構成される。TPSストランドに適した材料は、単に冷やすことによって固化する熱可塑性材料、または化学反応が固化を引き起こす反応性架橋剤である。TPSステーションには水平コンベアがあり、対応するステーションを通して立姿勢でガラスシート搬送するように設定されている。TPSストランドを適用するために、TPSステーションは水平コンベアによって水平方向に動かされたガラスシートと協働して、ノズルから吐出されるTPSストランドをフレーム状に立姿勢ガラスシート上に配置するために、ガラスシートの縁部に沿って垂直方向に動かすことができるノズルを含むことができる。それ自体公知の方法では回転ステーションが少なくとも1つの水平コンベアを含み、この水平コンベアは回転ステーションを通して立姿勢ガラスシートを搬送するように構成される。回転ステーションの水平コンベアは、その上に立つ回転ガラスシートのために構成され、このために回転鉛直軸の周りを回転させることができる。プレスステーションには平行な2列の運転水平コンベアが含まれており、それぞれが立姿勢ガラスシート搬送用に設定されている。これらのうちの1つは、絶縁ガラスパネルをプレスステーションから搬送するために構成される。これは、プレスステーションを通してガラスシートを搬送するように構成することもできる。プレスステーションは絶縁ガラスパネルを形成するために2枚のガラスシートを接合するように構成され、2枚のシートのうちの一方はその上に適用される帯状下塗剤およびTPSストランドを備え、2枚のガラスシートの他方は帯状下塗剤を備える。また、両ガラスシートに塗布された帯状下塗剤とTPSストランドを備えてもよい。プレスステーションは、欧州特許第2802727B1号から知られている方法で設計することができる。ステーションの水平コンベアを順次直線状に配置することができるため、製造ラインを形成する組立装置を通して、方向を変えずに立姿勢ガラスシートを順次個別に搬送することができる。装置における立姿勢ガラスシートを支持する全ての支持手段は、このために平面内に配置することができる。回転ステーションの水平コンベアはプレスステーションの平行な2列の水平コンベアの間の距離の半分だけ回転鉛直軸に関してオフセットされ、それによってプレスステーションの1つの水平コンベアに整列された回転ステーションの水平コンベアは180°の回転後にプレスステーションの第2の水平コンベアに整列する。制御装置はガラスシートの1つを回転させることによって次々に回転ステーションに供給される2枚のガラスシートをプレスステーション内に導き、前記プレスステーション内でそれを結合して絶縁ガラスパネルを形成するように構成され、2枚のガラスシートの1つに帯状下塗剤およびTPSストランドが設けられ、他のガラスシートに帯状下塗剤または帯状下塗剤およびTPSストランドが設けられる。
【0009】
本発明による第1の方法では、第1の立姿勢ガラスシートが最初に下塗ステーション内に搬送される。このガラスシートには、その縁部に沿って帯状に下塗剤が塗布されている。帯状下塗剤が施された後、第1のガラスシートは、下塗ステーションおよびTPSステーションの水平コンベアを使用して、下塗ステーションからTPSステーションに運ばれる。TPSステーションでは、後に固化するペースト状TPSストランドをこのガラスシートに施すことができる。次に、第1のガラスシートはTPSステーションから回転ステーション内に搬送される。これはTPSステーションの水平コンベアと回転ステーションの水平コンベアで行われ、後者は前者と整列して配置される。次いで、第2のガラスシートは下塗ステーションの外への第1のガラスシートの搬送と連続的に、または重なり合って、下塗ステーション内に搬送される。この下塗ステーションでは、第2のガラスシート上に帯状下塗剤が施される。第1のガラスシートは、回転鉛直軸を中心にして回転ステーションで回転される。回転後、第1のガラスシートは回転ステーションからプレスステーションに搬送される。第1のガラスシートは、停止することなく、回転ステーションから出てプレスステーションに搬送されることができる。しかしながら、第1のガラスシートは、場合によっては回転ステーションとプレスステーションとの間に配置されたバッファステーション内で、ある長さの間停止させることもできる。第2のガラスシート上に帯状下塗剤が塗布された後、それは下塗ステーションからTPSステーション内に搬送される。そこで、続いて固化するペースト状TPSストランドをこのガラスシート上に施すことができる。TPSストランドは、2枚のガラスシートの1つ、特に第2のガラスシートの少なくとも帯状下塗剤上に塗布される。任意選択で、TPSストランドを両方のガラスシートの帯状下塗剤上に塗布することができる。第2のガラスシートは回転することなく、回転ステーションを介してTPSステーションからプレスステーション内に運ばれ、その結果、両方のガラスシートは間隔をおいて互いに対向して立ち、それらの帯状下塗剤は互いに対面する。第2のガラスシートは停止することなく回転ステーションを通って搬送したり、回転ステーション内の水平コンベアで一定時間停止したりすることができる。このように、2枚のガラスシートは、プレスステーションの2列の水平コンベア上のプレスステーションにおいて、対をなして互いに逆向きに立っている。2枚のガラスシートは互いに対してV字形状に立つことができ、鉛直に対してわずかに反対方向に傾けることができる。プレスステーションにおいて、2枚のガラスシート間の空間は絶縁ガラスパネルの絶縁効果を改善するために、空気以外の気体でそれ自体公知の方法で充填することができる。次いで、TPSストランドが2枚のガラスシート間のスペーサーを形成し、2枚のガラスシートを互いに所定の距離に保持するまで、2枚のガラスシート間の距離を減少させることによって絶縁ガラスパネルを形成するために、2枚のガラスシートがプレスステーション内で互いに接合される。スペーサーがちょうど1つのTPSストランドによって形成される場合、一方のガラスシートに塗布されたTPSストランドが他方のガラスシートに塗布された帯状下塗剤上に配置され、2枚のガラスシートが互いに所定の距離を有するまで、2枚のガラスシート間の距離が減少される。スペーサーが2つのTPSストランドによって形成される場合、2枚のガラスシート間の距離は2つのTPSストランドが互いの上に位置し、2枚のガラスシートが互いから所定の距離を有するまで減少される。接合動作後、絶縁ガラスパネルはプレスステーションから搬出される。本発明による代替の方法において、帯状下塗剤は、上記の方法と同様にして、ガラスシートの各々に適用される。同様に、第1および/または第2のガラスシートがTPSステーション内にある間に、TPSストランドがこのガラスシートの帯状下塗剤上に塗布される。上述した手法の代わりに、第1のガラスシートは、回転ステーションを介して、回転なしでプレスステーション内にTPSステーションから搬送される。次いで、第2のガラスシートは、TPSステーションから回転ステーション内に搬送され、その中で回転鉛直軸を中心として回転される。回転後、第2のガラスシートは回転ステーションからプレスステーション内に搬出され、その結果、両方のガラスシートは間隔をおいて互いに対向して立ち、それらの帯状下塗剤は互いに対面する。次いで、上述の方法で2枚のガラスシートをプレスステーション内で一体に接合され、絶縁ガラスパネルを形成する。
【0010】
本発明による絶縁ガラスパネルは、少なくとも2枚のガラスシートと、それらの間に配置されたスペーサーとを含む。スペーサーはその高さによる所定の間隔で2枚のガラスシートを保持する。スペーサーは少なくとも1つのTPSストランドによって形成され、TPSストランドはガラスシートの面に塗布された帯状下塗剤によってガラスシートに堅固に施される。スペーサーは、それぞれのガラスシートの面に適用される帯状下塗剤によって両方のガラスシートに堅固に接続される、ちょうど1つのTPSストランドによって形成することができる。スペーサーは2つのTPSストランドを一緒に配置することによって形成されることができ、その組み合わされた高さはスペーサーの高さをもたらし、ストランドの各々はその面上に施される帯状下塗剤によって、それぞれのガラスシートに堅固に接続される。絶縁ガラスパネルはまた、2つのスペーサーによって保持される3つのガラスシートを含んでもよく、2つのスペーサーのうちの少なくとも1つは、前記ガラスシートの表面上に適用される2つの帯状下塗剤によってガラスシートに堅固に接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は実質的な利点を有する:
適当な下塗剤を使用することによって、TPSストランドの物質とガラス面との間の接着を著しく改善することができ、特に望ましくないガス交換および水蒸気の望ましくない浸透に対して、封止特性を大幅に改善することができる。
【0012】
例えば独国特許出願公開第102007051610A1に記載されているように、プレスステーションから絶縁ガラスパネルを移送した後に、ポリスルフィド(例えばチオコール)、ポリウレタンまたはシリコンをベースとするシーリング混合物を塗布する通常の工程は、反応性架橋TPS物質を使用する場合には省略することができる。組立装置が、もはやシールステーションを必要としないというこの手段はその構造を単純化し、絶縁ガラスパネルの製造を大幅に単純化する。
【0013】
本発明における平行な2列の水平コンベアを有する回転ステーションおよびプレスステーションを有する下塗ステーションおよびTPSステーションの組合せにより、下塗剤をガラスシート上に、すなわち第1のガラスシート上に、ならびに第2のガラスシート上に直接的に施してから、TPSストランドを適用することができる。したがって、帯状下塗剤は、ガラスシートの面に直接的に塗布することができる。これは、下塗剤の効果を改善するので、著しい長所である。同時に、下塗剤が支持手段から離れて面するガラスシートの面に常時付与されるので、付与された下塗剤と立姿勢ガラスシートを支持するための支持手段との間の密着が防止される。次に、TPSストランドを、帯状下塗剤に塗布する。帯状下塗剤の幅は、TPSストランドの幅に対応するか、またはわずかに広くすることができる。
【0014】
動作中の装置の汚染は大幅に低減される。
【0015】
絶縁ガラスパネルを装置に組み立てる際、後に絶縁ガラスパネルの内側に位置するガラスシートの表面は、立姿勢ガラスシートを支持するための支持手段と接しない。これは、これらの表面が敏感なコーティングを有する場合に特に重要である。
【0016】
特に効率的で時間を節約した絶縁ガラスパネルの生産を達成することができる。
【0017】
スペーサーが、2つのTPSストランドを一緒に配置することによって形成され、その組み合わされた高さがスペーサーの高さをもたらす場合、ガラスシートが互いに比較的大きな間隔を有する絶縁ガラスパネルを特に容易に製造することができる。ペースト状のTPSストランドをその縁部に沿って立姿勢ガラスシートに塗布し、続いて固化させるとき、ガラスシートに直交して測定された高さが比較的大きい場合、依然として柔らかいTPSストランドが、それに対する重力の作用によってたるみおよび/または傾くことが起こり得る。したがって、立姿勢ガラスシートに適用されたときにTPSストランドによって形成されるスペーサーの高さは、これまで制限されてきた。本発明によれば、スペーサーに必要な全高を2つのTPSストランドに分けることができる。これは、立姿勢ガラスシート上のそれぞれのTPSストランドの望ましくないたるみまたは傾斜を防止する。本発明のこの実施形態は、2枚のガラスシート間の間隔が15mm以上、特に16mm~32mmであっても、非常に良質の絶縁ガラスパネルおよびTPSスペーサーを可能にする。また、2枚のガラスシート間にガラス取付バーフレームを配置した絶縁ガラスパネルにも非常に適している。ガラス取付バーフレームは、スペーサーの両方のTPSストランドによって、両方のガラスシートから離間され、したがって、ガラスシートのいずれにも直接的に接触しないように保持することができる。これは、被覆がガラスシートの内側に存在する場合に特に好都合である。
【0018】
TPSスペーサーおよび挿入されたガラス取付バーフレームとの絶縁ガラスパネルは、独国特許第29514622U1号から公知である。公知の手法では、まず、スペーサーに必要な高さのガラスシートの1つにTPSストランドを塗布した。次いで、ガラス取付バーフレームをフレーム形状のスペーサーに挿入し、ここで、ガラス取付バーフレームを、ガラスシートの1つに接着された追加の端部材によって固定した。フレーム形状のTPSスペーサーへのガラス取付バーフレームの差し込みは、TPSストランドの素材が依然として柔らかく、この時点で変形可能であるので、誤りが生じやすい。さらに、独国特許出願公開第102004043581A1号は、スペーサーに固定するための手段を有するガラス取付用バーの端部材が設けられた、絶縁ガラスパネルに取り付けるためのガラス取付用バーを開示している。ただし、ガラス取付用バーやガラス取付バーフレームを挿入しても、TPSスペーサーが非常に簡単に変形したり、損傷したりすることがある。
【0019】
本発明の一実施形態では、ガラス取付バーステーションをTPSステーションと回転ステーションとの間に配置することができる。ガラス取付バーステーションは、ガラスシートの縁部に沿って走るTPSストランド上にガラス取付バーフレームを配置するように構成される。ガラス取付バーステーションには、ガラス取付バーステーションを通して立姿勢ガラスシート搬送するように構成された水平コンベアがある。2枚のガラスシートを一緒に接合する前に、ガラスシートの一方のTPSストランド、特に第2のガラスシートにガラス取付バーフレームを配置することができる。ガラス取付バーフレームは特に、回転ステーションを通って直線状に搬送されるガラスシート上に配置することができる。ガラス取付バーフレームの複数のガラス取付用バーの後端には、ガラス取付バーフレームをTPSストランドの依然として柔らかい素材の表面上に配置することができる保持要素を配置することができ、前記表面はガラスシートに並行である。その後、ガラス取付バーフレームをわずかに押し込む。TPSストランドの表面を越えて突出する保持要素の部分は他方のガラスシートに接合する間に、他方のガラスシートに存在するTPSストランドの表面に僅かに押し込まれ、前記表面はガラスシートに並行であるので、少量の押し込みで充分である。次に、ガラス取付バーフレームの保持要素は、それぞれ2つのTPSストランドの一方の半分に埋め込まれる。両方のTPSストランドが同じ高さを有する場合、ガラス取付バーフレームは、ガラスシートの間で正確に中心に置かれる。また、ガラス取付バーフレームがガラスシートの内側に当接することを確実に防止することができる。ガラス取付バーフレームは依然として柔らかいTPSストランドが望ましくない方法で変形または損傷する危険なしに、非常に正確に位置決めすることができる。これにより、製造される絶縁ガラスパネルの質を向上させることができ、スクラップ率を低減することができる。
【0020】
さらに発明の実施形態では、回転ステーションが互いに平行な2列の水平コンベアを有するようにしてもよい。このデザインにより、絶縁ガラスパネルの製造におけるさらなるサイクルタイム最適化が可能になる。第1のガラスシートは、回転ステーションの最初の水平コンベアで搬送することができる。その後、回転ステーションを180°回転させることができる。次いで、第2のガラスシートを回転ステーションの第2水平コンベアに搬送することができる。この時点で、2枚のガラスシートはすでに、それらの帯状下塗剤が互いに対面した状態で、回転ステーション内で間隔をおいて互いに対向している。したがって、回転ステーションは、2枚のガラスシートのための一時蓄積装置として働く。プレスステーションが他の絶縁ガラスパネルの結合のためまだ占有されている場合は、回転ステーションを一杯にすることができる。また、回転ステーションとプレスステーションとの間には、2列の水平コンベアを有し、水平コンベア上に立っている2枚のガラスシートをV字状に対向させて仮置きする構成のバッファステーションを配置することもできる。プレスステーション中の2枚のガラスシートの接合には、TPSステーションや回転ステーション中の加工時間よりも時間がかかることが多く、特にプレスステーション中でガス充填も行う場合に顕著である。プレスステーションが自由である場合、回転ステーションまたはバッファステーション内ですでに利用可能な2枚のガラスシートを、回転ステーションまたはバッファステーションからプレスステーション内に同時に、かつ互いに並行して搬送することができる。したがって、組み立てるための装置を非常に効率的に使用することができる。
【0021】
本発明のさらなる利点および特徴は、図面に関連するいくつかの例示的な実施形態の以下の明細書に見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は絶縁ガラスパネルを組み立てるための本発明による装置の概略構成であり、
【
図2】
図2は帯状下塗剤の本発明による出願中の第1のガラスシートの縁部領域の概略側面図であり、
【
図3】
図3は帯状下塗剤およびTPSストランドの本発明による出願中の第2のガラスシートの
図2と同様の側面図であり、
【
図4】
図4は本発明による完全に組み立てられた絶縁ガラスパネルの縁部領域の概略側面図であり、
【
図5】
図5はガラス取付バーフレームの挿入中の本発明による絶縁ガラスパネルの変形例の縁部領域の概略側面図であり、
【
図6】
図6は、
図5の組み立てられた絶縁ガラスパネルの縁部領域の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、
図2から
図4に示されている、絶縁ガラスパネル2を組み立てるための製造ラインとしても示されることが多い装置1を概略的に示す。絶縁ガラスパネル2には、2枚のガラスシート3と4が含まれる。第1のガラスシート3上には、ガラスシート3の縁部に沿って帯状下塗剤13の形態で下塗剤が塗布されている。同様にして、下塗剤14がガラスシート4の縁部に沿って帯状に塗布される。次に、その後固化するペースト状TPSストランド6をその縁部に沿って塗布する。ガラスシート3と4が互いに接合されると、TPSストランド6は帯状下塗剤13上に置かれ、2枚のガラスシート3と4との間にスペーサー7を形成し、これは、その高さのために、2枚のガラスシート3と4を互いに所定の間隔で保持する。TPSストランド6の高さは、帯状下塗剤13および14が明確にするために
図2~4には縮尺通りに示されていないので、本質的にスペーサー7の高さとなる。下塗剤13、14と一緒になって、ガラスシート3、4の表面への堅固な結合を保証する反応性架橋TPS剤が使用され、その結果、追加の縁部封止は必要とされない。
【0024】
図5及び
図6に示すように、絶縁ガラスパネル2の変形例では、ガラス取付バーフレーム8が第2のガラスシート4のTPSストランド6上に配置され、その後、2枚のガラスシート3及び4が互いに接合される。ガラス取付バーフレーム8は両端に保持要素10を有し、一端のみが示されている少なくとも1つのガラス取付用バー9を含んでいる。また、保持要素10は側面から見てT字状であり、例えば、上方から見て円形である。ガラス取付バーフレーム8を所定の位置に置くと、保持要素10がいまだ静止軟質材であるTPSストランド6の面に押し込まれる。この変形例では、続いて固化するペースト状TPSストランド5も、その縁部に沿って第1のガラスシート3の帯状下塗剤13上に塗布される。TPSストランド5および6の高さは、ガラスシート3および4が互いに接合されるときにTPSストランド5および6がわずかに圧縮され、それによってそれらの高さがわずかに減少するので、作業中に完成した絶縁ガラスパネル2よりもわずかに高い。完成した絶縁ガラスパネル2では、TPSストランド5および6の各々がスペーサー7の半分の高さとすることができる。例えば、シート間ギャップが16mmの絶縁ガラスパネル2の場合、2つのTPSストランド5及び6は、8.7mmの高さで適用することができる。TPSストランド5及び6を適用するとき、立姿勢ガラスシート3、4に対するたるみ又は傾斜は、それらの高さの減少により防止される。次に、接合工程中に、保持要素10も第1のガラスシート3のTPSストランド5のまだ柔らかい素材に押し込まれる。次に、ガラス取付バーフレーム8は、完成した絶縁ガラスパネル2のガラスシート3と4との間の正確に中央に着座し(
図6参照)、2つのTPSストランド5と6によって保持される。したがって、ガラス取付バーフレーム8は、ガラスシート3および4の両方から離間され、それらのいずれにも接触しない。これにより、ガラス取付バーフレーム8が、ガラスシート3、4の内側に塗布される被覆を損傷することを防止することができる。
【0025】
本発明による装置1は絶縁ガラスパネル2の組立中に種々の工程を実施するための複数のステーションを含み、ここで、追加の水平コンベア18は、必要に応じて個々のステーションの間に配置されてもよい。装置1は、洗浄ステーション20と、目視検査ステーション30と、下塗ステーション40と、TPSステーション50と、ガラス取付バーステーション60と、回転ステーション70と、バッファステーション80と、プレスステーション90とを含む。特に、ガラス取付バーステーション60は、適宜省略することができる。洗浄ステーション20は水平コンベア22を含み、目視検査ステーション30は水平コンベア32を含み、下塗ステーション40は水平コンベア42を含み、TPSステーション50は水平コンベア52を含み、ガラス取付バーステーション60は水平コンベア62を含む。水平コンベア18、22、32、42、52および62は、線状に配置され、個々のステーションを通して立姿勢ガラスシートを搬送するように構成される。それらは、この目的のために別々に駆動されることができる。装置1は公知の方法で、図示されていないが、鉛直に対してわずかに傾斜してその水平コンベア上に立姿勢のガラスシートを支持するための支持手段を含む。回転ステーション70は2列の水平コンベア72及び74を有し、それぞれ回転鉛直軸76を中心に回転させることができる。バッファステーション80はまた、平行な2列の水平コンベア82および84を有する。プレスステーション90は、2枚のガラスシート3、4を接合して絶縁ガラスパネル2を形成するために公知の方法で構成され、平行な2列の水平コンベア92、94を有する。装置1はまた、以下により詳細に説明するように装置1の構成要素を制御するように構成された制御装置100を含む。制御装置100は特に、ガラスシート3または4の一方を回転させることによって回転ステーション70に次々に供給される2枚のガラスシート3、4をプレスステーション90内に導き、前記プレスステーション内でそれを接合して絶縁ガラスパネル2を形成するように構成され、ガラスシート3に帯状下塗剤13が設けられ、他方のガラスシート4には、その上に配置された帯状下塗剤14およびTPSストランド6が設けられる。装置1は施されたTPSストランドの質を監視するためのスキャナー110を含むことができ、これは、例えば、TPSステーション50とガラス取付バーステーション60との間に配置することができる。個々のステーションのそれぞれの機能および構造は、特に上述の先行技術からすでに知られているので、細部の説明は不要である。回転ステーション70の2列の水平コンベア72、74は、プレスステーション90の水平コンベア92、94およびバッファステーション80の水平コンベア82、84と同じ間隔で配置されている。回転軸76は2列の水平コンベア72と74との間の中央に配置され、それにより、180°を通る回転の後、水平コンベア72が水平コンベア94に位置合わせされ、水平コンベア74が水平コンベア92に位置合わせされる。これにより、回転ステーション70からプレスステーション90へのガラスシート3、4のスムーズな搬送が保証される。絶縁ガラスパネル2を組み立てる方法では、装置1が水平コンベア18上にその縁部の1つと共に立っている第1のガラスシート3が水平コンベア18、22の手段によって洗浄ステーション20内に運ばれるように、制御装置100によって制御される。洗浄ステーション20では、ガラスシート3がとりわけられ、後に絶縁ガラスパネル2の内側を形成するその表面上で洗浄される。続いて、水平コンベア22、18、32によってガラスシート3が目視検査ステーション30内に搬送される。ここで、ガラスシート3を検査して、任意の故障を検出することができる。続いて、ガラスパネル3は、水平コンベア32、18、42によって下塗ステーション40内に搬送される。下塗ステーション40において、下塗剤13はガラスシート3の縁部に沿って帯状にその面上に塗布され、これは後に絶縁ガラスパネル2の内側を形成する。下塗剤13を塗布した後、ガラスシート3は、水平コンベア42、18、52によってTPSステーション50に搬送される。ここで、可能であれば、後に固化するペースト状のTPS剤は、ストランド5としてガラスシート3上に施される。続いて、ガラスシート3は、水平コンベア52、18および62によってガラス取付バーステーション60内に搬送される。ガラスシート3がTPSステーション50から搬送されると、それはスキャナー110によってスキャンされ、故障がないか検査される。故障が検出された場合、ガラスシート3を含む絶縁ガラスパネル2を後で排除することができる。ガラスシート3は、そこに載置されたガラス取付バーフレーム8を伴うことなく水平コンベア62によってガラス取付バーステーション60を通って搬送される。ガラスシート3は、水平コンベア72によって回転ステーション70内に搬送される。続いて、回転ステーションの水平コンベア72および74及び水平コンベア72上に立っているガラスシート3は180°回転される。次いで、水平コンベア72を水平コンベア84と位置合わせし、水平コンベア74を水平コンベア62及び82と位置合わせする。ガラスシート3は最初は水平コンベア72上に残っているが、バッファステーション80またはプレスステーション90内に直接的に前方に搬送することもできる。第1のガラスシート3の先行するプロセスと一時的にオーバーラップして、第1のガラスシート3が洗浄ステーション20を出るとすぐに、第2のガラスシート4は水平コンベア18および22によって洗浄ステーション20に供給される。できるだけ短い周期を達成するために、第2のガラスシート4は、第1のガラスシート3の後ろにできるだけ近接して続く。絶縁ガラスパネルが3つのガラスシートで構成されるように設計されている場合、3番目のガラスシートは第2のガラスシート4の背後に倣わせることができる。それ以外の場合は、さらなる絶縁ガラスパネルのためのガラスシートを倣わせる。第2のガラスシート4は、上述した方法でガラス取付バーステーション60に搬送され、ステーション20、30、40、50で処理される。特に、TPSストランド6はTPSステーション50にて施される。絶縁ガラスパネル2がガラス取付バーフレーム8を有するものである場合には、これはガラス取付バーステーション60内に立っている第2のガラスシート4上に配置され、TPSストランド6のいまだ軟らかい材料の表面に短い経路で押し付けられる。
図5を参照のこと。次に、第2のガラスシート4は水平コンベア62及び74と共に回転ステーション70内に搬送され、2枚のガラスシート3及び4が離れてV字状に対向し、それらの帯状下塗剤13及び14が互いに向き合うようになる。次に、それらは、バッファステーション80を介してプレスステーション90内に一緒に搬送される。プレスステーション90がまだ入っていない場合には、別の絶縁ガラスパネルの接合がまだ完了していないので、水平コンベア82、84を停止させることができ、2枚のガラスシート3および4をバッファステーション80に一時的に格納することができるので、回転ステーション70が再度入っていないことになって次の絶縁ガラスパネルのガラスシートを受け取ることができる。回転ステーション70は、2列の水平コンベア72および74を有するので、回転ステーション70は一対のガラスシート3、4が回転ステーション70を離れた後に、戻す必要はない。代わりに、次の絶縁ガラスパネルの第1のガラスシートを水平コンベア74によって引き継ぐことができ、これは水平コンベア62と整列され、その後、戻される。すぐに回転ステーションは、再度、
図1に示されたポジションに位置する。ガラスシート対3、4がプレスステーション90内に搬送されると、第1のガラスシート3は水平コンベア84および94によって搬送され、第2のガラスシート4(多分、ガラス取付バーフレーム8によって)は水平コンベア82および92上に搬送される。プレスステーション90内の2枚のガラスシート3、4がそれらの帯状下塗剤13、14が互いに向き合った状態で、ある距離で互いに対向している場合、2枚のガラスシート3、4が互いに所定の距離でスペーサー7によって保持されるまで、それらの互いからの距離は、既知の方法で低減される。絶縁ガラスパネル2の縁部区域が完全に閉じられるか、または2つのTPSストランド5、6が互いに完全に接触する前に、2枚のガラスシート3、4の間の空間は、それ自体公知の方法で、大気以外の気体で満たすことができる。次に、ガラスパネル3、4を所定の間隔で押し合わせ、TPSストランド6の依然として柔らかい材料を下塗剤13に接続するか(
図2~4参照)、または2つのTPSストランド5、6の依然として柔らかい材料を接続する(
図5および6を参照)。そうすることにより、おそらくは予め所定の位置に置かれたガラス取付バーフレーム8の保持要素10がTPSストランド5および6に埋め込まれ、
図6を比較して、ガラス取付バーフレーム8が絶縁ガラスパネル2内に正確かつ確実に位置決めされ、保持されるようになる。接合動作の後、絶縁ガラスパネル2は、プレスステーション90の外の水平コンベア92上を搬送される。この発明は、また、三重絶縁ガラスパネルの製造にも非常に適している。このようなケースでは、
図1に示される装置1は、図示されていないが、プレスステーション90の後の追加のステーション、すなわち、下塗ステーション、回転ステーション、バッファステーション、およびプレスステーションによって補足される。これらはステーション40、70、80、90と同様に構成されている。追加の下塗ステーションにより、下塗剤は予め製造された二重絶縁ガラスパネル2のガラスシート3の外側に、その縁部に沿って
図4および6に参照されるように帯状に適用され得る。帯状下塗剤を備えた二重絶縁ガラスパネル2は、回転することなく、追加の回転ステーションを介して追加のプレスステーションに運ばれる。三重絶縁ガラスパネルに必要な第3のガラスパネルは第2のガラスパネル4と同様にステーション20、30、40および50で準備され、
図3を参照し、さらなる加工なしにステーション60、70、80および90を通って搬送される。これは、二重絶縁ガラスパネル2の接合の前又は後に、特に接合の前に行われる。プレスステーション90の下流に配置された追加回転ステーションでは、準備された第3のガラスシートが第3のガラスシート上に位置するTPSストランドと二重絶縁ガラスパネル上の帯状下塗剤とが互いに対向するように、方向転換され、前方に搬送される。次に、それらは、プレスステーション内で一緒に接合される。プレハブ二重絶縁ガラスパネル2の外側に別のTPSストランドを適用する場合には、
図4と
図6を参照し、第3ガラスシートに適用したTPSストランドとあわせて、第3ガラスシート、特に追加回転ステーション以前の装置1について、2つのTPSストランドから構成される
図6のようなスペーサーを形成すると、追加的なTPSステーションが生じる可能性がある。
【符号の説明】
【0026】
1…装置
2…絶縁ガラスパネル
3…ガラスシート
4…ガラスシート
5…TPSストランド
6…TPSストランド
7…スペーサー
8…ガラス取付バーフレーム
9…ガラス取付用バー
10…保持要素
11…シーリング混合物
13…下塗剤
14…下塗剤
18…水平コンベア
20…洗浄ステーション
22…水平コンベア
30…目視検査ステーション
32…水平コンベア
40…下塗ステーション
42…水平コンベア
50…TPSステーション
52…水平コンベア
60…ガラス取付バーステーション
62…水平コンベア
70…回転ステーション
72…水平コンベア
74…水平コンベア
76…回転軸
80…バッファステーション
82…水平コンベア
84…水平コンベア
90…プレスステーション
92…水平コンベア
94…水平コンベア
100…制御装置
110 スキャナー
【国際調査報告】