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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】医用画像データのゲーティング
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20221109BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01T1/161 B
A61B6/03 370B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514456
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2019049681
(87)【国際公開番号】W WO2021045760
(87)【国際公開日】2021-03-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ヤヒル,アモス
【テーマコード(参考)】
4C093
4C188
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA50
4C093FC30
4C188EE02
4C188EE25
4C188FF04
4C188JJ06
4C188LL08
4C188LL10
(57)【要約】
身体の一部の画像データと身体の生理過程に関連する生理学的事象データとに基づいて画像を生成するシステム。このシステムは、生理学的事象データに基づいて、複数の生理的周期を識別し、複数の生理的周期の各々の持続時間を決定し、複数の生理的周期の各々の持続時間に基づいて、代表持続時間を決定し、複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を、当該第1の複数の生理的周期の持続時間と代表持続時間との間の相違に基づいて、識別し、複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期とは異なる、複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期を識別し、複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期の各々について、所定の数の部分を決定し、複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期の各々についてのそれぞれの部分の期間に取得された撮像データを蓄積し、所定の数の部分の各々について、蓄積された撮像データのセットを決定し、複数の画像を生成する工程であって、当該複数の画像のそれぞれを、蓄積された撮像データのセットのそれぞれ1つに基づいて生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の一部の撮像データを取得する撮像装置と、
前記身体の生理学的プロセスに関連する生理学的事象データを取得する生理学的モニタリング装置と、
処理システムであって、
前記生理学的事象データに基づいて、複数の生理的周期を識別し;
前記複数の生理的周期の各々の持続時間を決定し;
前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間に基づいて、代表持続時間を決定し;
前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期であって、当該第1の複数の生理的周期の各々は、前記代表持続時間とは実質的に異なる持続時間を備えている、第1の複数の生理的周期と、前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期とは異なる、前記複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期と、を識別し;
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々を、所定の数の部分に分割し;
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々について対応する部分の期間に取得された撮像データを蓄積し、前記所定の数の部分の各々について、蓄積された前記撮像データのセットを決定し;
蓄積された前記撮像データの前記セットの1つに基づいて、画像を生成する、処理システムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の前記識別は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を識別する、ことを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の前記識別は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第3の複数の生理的周期を識別し;
前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期についての第2の代表持続時間を決定し;
前記第2の代表持続時間から前記所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期を識別する;
ことを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいており、
前記第2の代表持続時間は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理システムはさらに、
第4の複数の生理的周期であって、当該第4の複数の生理的周期の各々は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の直後に続く、第4の複数の生理的周期を識別し、
前記第2の複数の生理的周期は、前記第4の複数の生理的周期のいずれも含まない、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理システムはさらに、
第3の複数の生理的周期であって、当該第3の複数の生理的周期の各々は、前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の直後に続く、第3の複数の生理的周期を識別し、
前記第2の複数の生理的周期は、第3の複数の生理的周期のいずれも含まない、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
身体の一部の撮像データを取得する工程、
前記身体の生理学的プロセスに関連する生理学的事象データを取得する工程、
前記生理学的事象データに基づいて、複数の生理的周期を識別する工程、
前記複数の生理的周期の各々の持続時間を決定する工程、
前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間に基づいて、代表持続時間を決定する工程、
前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を、当該第1の複数の生理的周期の持続時間と前記代表持続時間との間の相違に基づいて、識別する工程、
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期とは異なる前記複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期を識別する工程、
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々について、所定の数の部分を決定する工程、
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々についてのそれぞれの部分の期間に取得された撮像データを蓄積し、前記所定の数の部分の各々について、蓄積された前記撮像データのセットを決定する工程、
複数の画像を生成する工程であって、当該複数の画像のそれぞれを、蓄積された前記撮像データの前記セットのそれぞれ1つに基づいて生成する、工程、
を含む、方法。
【請求項9】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期を識別する前記工程は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を識別する、
ことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期を識別する前記工程は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第3の複数の生理的周期を識別し;
前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期についての第2の代表持続時間を決定し;
前記第2の代表持続時間から前記所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期を識別する;
ことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいており、
前記第2の代表持続時間は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第4の複数の生理的周期であって、当該第4の複数の生理的周期の各々は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の直後に続く、第4の複数の生理的周期を識別する工程、
ここで前記第2の複数の生理的周期は、前記第4の複数の生理的周期のいずれも含まない、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
第3の複数の生理的周期であって、当該第3の複数の生理的周期の各々は、前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の直後に続く、第3の複数の生理的周期を識別する工程、
ここで前記第2の複数の生理的周期は、第3の複数の生理的周期のいずれも含まない、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
身体の一部の撮像データおよび前記身体の生理学的プロセスに関連する生理学的事象データに基づいて画像を生成するシステムであって、
前記生理学的事象データに基づいて、複数の生理的周期を識別し、
前記複数の生理的周期の各々の持続時間を決定し、
前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間に基づいて、代表持続時間を決定し、
前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を、当該第1の複数の生理的周期の持続時間と前記代表持続時間との間の相違に基づいて、識別し、
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期とは異なる、前記複数の生理的周期のうちの第2の複数の生理的周期を識別し、
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々について、所定の数の部分を決定し、
前記複数の生理的周期のうちの前記第2の複数の生理的周期の各々についてのそれぞれの部分の期間に取得された撮像データを蓄積し、前記所定の数の部分の各々について、蓄積された前記撮像データのセットを決定し、
複数の画像を生成する工程であって、当該複数の画像のそれぞれを、蓄積された前記撮像データの前記セットのそれぞれ1つに基づいて生成する、システム。
【請求項16】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の識別は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第1の複数の生理的周期を識別する、
ことを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期の識別は、
前記代表持続時間から所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの第3の複数の生理的周期を識別し;
前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期についての第2の代表持続時間を決定し;
前記第2の代表持続時間から前記所定の数の標準偏差よりも大きい持続時間を有する前記複数の生理的周期のうちの前記第1の複数の生理的周期を識別する;
ことを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記代表持続時間は、前記複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいており、
前記第2の代表持続時間は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の各々の前記持続時間の中央値に基づいている、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
第4の複数の生理的周期であって、当該第4の複数の生理的周期の各々は、前記複数の生理的周期のうちの前記第3の複数の生理的周期の直後に続く、第4の複数の生理的周期を識別すること、
ここで前記第2の複数の生理的周期は、前記第4の複数の生理的周期のいずれも含まない、
をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像データのゲーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の核医学検査においては、放射性医薬品を、患者の体内に注射または経口によって投与する。放射性医薬品は、単一光子放射断層撮影(single-photon-emission-computer-tomography:SPECT)におけるイメージングの場合にはガンマ線を放出し、陽電子放出断層撮影(positron-emission-tomography:PET)におけるイメージングの場合には、陽電子を放出する。この陽電子は電子と対消滅してガンマ線を発生する。そして放出されたガンマ線を、体外に設置された検出システムによって検出することで、これに基づいて画像化が行われる。
【0003】
放出されるガンマ線の検出は一定時間にわたるため、その間に身体は、呼吸や心拍などの自然な生理学的プロセスによって体動する。このような体動は、特に、腹部、胸部、および心臓領域において、画像にブレを引き起こす可能性がある。この体動に対処するために、また、体動の周期的な特性を考慮して、システムは、撮像データを取得する間の体動周期のフェーズ(時相)を識別し、その対応する撮像データに基づいて各フェーズの画像を再構成することができる。
【0004】
生理学的プロセスによる周期的な体動は、完全には均一でない。一定時間にわたって、周期は、長さが異なる場合があり、完全に完了する前に終了することがあり、および/または、そのほか典型的な周期とは異なることがあり得る。このような周期では、位相と対応する画像データとを精確に識別することが困難であるか、または不可能となり得る。そのため、このような撮像データから再構成される時相特定画像は、質が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、いくつかの実施形態に係る撮像システムを例示する。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態に係る、撮像データをゲート制御するプロセスのフロー図である。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態に係る、撮像データをゲート制御するプロセスのフロー図である。
図3図3は、いくつかの実施形態にしたがって取得された画像データおよび生理学的データを例示する。
図4図4は、いくつかの実施形態に係る、心拍周期長(心拍間隔)のヒストグラムである。
図5図5は、いくつかの実施形態にしたがって識別された異常値心拍を表す心拍周期長のヒストグラムである。
図6図6は、いくつかの実施形態にしたがって識別された異常値心拍を表す心拍周期長のヒストグラムである。
図7図7は、いくつかの実施形態にしたがって識別された、異常値心拍、心室性期外収縮、および心室性期外収縮後の心拍、を表す心拍周期長のヒストグラムである。
図8図8は、いくつかの実施形態に係る、画像データのビニングを例示する。
図9図9は、いくつかの実施形態に係る、画像データのビニングおよび再構成のためのシステムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、当業者であれば、記載された実施形態を製造および使用できるように提供されており、開示された実施形態を実施できるよう意図された最良の態様を示している。しかしながら、様々な変更がなされるであろうことは、当業者にとって自明である。
【0007】
いくつかの実施形態は、画像データのレトロスペクティブ・ゲーティングを提供する。一般に、画像データは、複数の生理的周期にわたって取得され、そして各周期の持続時間が決定される。生理的周期は、その持続時間が典型的な周期の持続時間から逸脱する場合に、識別される。いくつかの実施形態では、識別された周期に近接する周期についても、識別される。識別された周期に関連する画像データは無視され、1またはそれ以上の画像は、他の周期において取得された画像データに基づいて再構成される。
【0008】
いくつかの実施形態によると、他の複数の周期の各々は、ビンと同数に分割される。1またはそれ以上のビンについて、撮像データが蓄積され、再構成されて、その1またはそれ以上のビンに対応する画像を生成することができる。例えば、周期が4つのビンに分割される場合、4つのビンのそれぞれについて画像データが蓄積され、再構成されて、4つのビンのうちの1つに対応する4つの画像がそれぞれ生成される。
【0009】
図1は、本明細書に記載されるプロセスの1またはそれ以上を実行するための、SPECT-CTシステム100を示す。しかしながら実施形態は、このシステム100に限定されない。
【0010】
システム100は、2以上のガンマカメラ104a,104bが備えられたガントリ(架台)102を備える。ただし、システム100は、任意の数のガンマカメラを使用することができる。各ガンマカメラ内の検出器は、寝台115に横たわる患者106の身体内の放射性医薬品によって放出されるガンマフォトン103(すなわち、放出データ)を検出する。寝台115は、動作軸Aに沿ってスライド可能となっている。それぞれの寝台位置(すなわち撮像位置)において、患者106の身体の一部が、その身体部分からの放出データを取得するために、ガンマカメラ104a,104bの間に位置決めされる。
【0011】
システム100はまた、本技術分野で知られているように、X線撮像システム(不図示)を備えるCTハウジング110を備えている。一般に、そしていくつかの実施形態によると、X線撮像システムは、ガンマカメラ104a,104bを用いた放出データの取得前、取得中、および/または取得後に、患者106の二次元X線画像を取得する。
【0012】
生理学的運動モニタ117は、本技術分野で知られているように、センサ118(複数であり得る)に接続された心電図システムを備えることができる。センサ118(複数であり得る)は、心臓信号を取得するために、当該技術分野で知られているように患者に取り付けてもよい。いくつかの実施形態において、モニタ117は、核画像スキャン中の呼吸の時相を表す呼吸信号を感知する呼吸モニタを備える。モニタ117によって取得された信号(複数であり得る)は、上述したように、収集された撮像データを、体動の時相をそれぞれ表し得るビンに分割するために使用することができる。
【0013】
制御システム120は、任意の、汎用または専用の、コンピュータシステムによって構成することができる。したがって、制御システム120は、1またはそれ以上の処理ユニット122と、記憶装置130と、を含む。1またはそれ以上の処理ユニット122は、プロセッサ実行可能なプログラムコードを実行するように構成されており、本明細書で説明するようにシステム120を動作させる。記憶装置130は、このプログラムコードを記憶する。記憶装置130は、1またはそれ以上の、固定ディスク,リッド・ステート・ランダムアクセスメモリ,および/または,対応するインターフェイス(例えば、USBポート)に装備されたリムーバブル・メディア(例えば、サム・ドライブ)を備えることができる。
【0014】
記憶装置130は、制御プログラム131のプログラムコードを格納する。1またはそれ以上の処理ユニット122は、制御プログラム131を実行することで、SPECTシステムインターフェイス123、寝台インターフェイス125、およびモニタインターフェイス127と連動してハードウェア要素を制御し、患者をボア(内腔)112に移動させ、そしてこの移動中にガンマカメラを制御してボア112の周りを回転させ、またこの回転中に、所定の撮像位置において、ボア112内に位置する身体の2次元放出データおよび生理学的データを取得することができる。取得されたデータは、イベント・ストリーム・データ133としてメモリ130に格納することができる。
【0015】
プロスペクティブ・ゲーティング・プログラム132は、「良好(good)」な生理的周期を識別し、以下に記載するように、それらのSPECTデータをビン分割する、ために実行することができる。ビン分割されたSPECTデータは、イベントビン134に格納することができ、そしてSPECT画像はそこから再構成することができる。
【0016】
再構成されたSPECT画像は、端末インターフェイス126を介して端末140に送信することができる。端末140は、システム120に結合された、表示装置と入力装置とを備えることができる。端末140は、データの表示、システム100の操作、および/または、本明細書に記載されている処理を制御するためのユーザ入力を受信することができる。いくつかの実施形態において、端末140は、限定されるものではないが、デスクトップコンピュータ,ノートパソコン,タブレットコンピュータ,およびスマートフォン等の別個のコンピュータ装置である。
【0017】
いくつかの実施形態によると、SPECT撮像データは、再構成の前に、体動補正および減衰補正が施される。補正には、本技術分野で知られているように、SPECT撮像データと同時に取得されたCT撮像データを利用することができる。
【0018】
システム100の各構成要素は、その動作に必要な他の要素、ならびに本明細書に記載されている機能以外の機能を提供するための付加的な要素を含んでいてもよい。本明細書に記載される実施形態はSPECT撮像データに関連しているが、ここに記載された処理は、これに限定されるものではないが、PET,CT,および磁気共鳴画像法(MRI)等の任意のモダリティの画像に適用することができる。
【0019】
図2Aおよび図2Bは、いくつかの実施形態に係る画像生成プロセスのフロー図を構成している。工程200および本明細書に記載されている他の工程は、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の適切な組合せを用いて実行することができる。これらのプロセスを具体化するソフトウェアプログラムコードは、固定ディスク,揮発性または不揮発性ランダムアクセスメモリ,DVD,フラッシュドライブ,または磁気テープを含む、任意の非一時的有形媒体に格納することができる。実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
【0020】
最初に、S205において、画像データおよび生理学的事象(イベント)データを経時的に取得する。本実施例は、SPECTシステムとの関連において説明されている。したがって、本技術分野で知られているように、S205に先行して、適切な放射性医薬品を任意の適切な方法で患者に導入されることとなる。また、本実施例において、生理学的イベントデータは、心電図(ECG)信号によって表されるような、心臓についてのイベントデータである。
【0021】
画像データおよび生理学的イベントデータは、取得されたのち、既知の任意の形式、あるいは今後知られる任意の形式で、電子的に表現することができる。図3は、S205で取得することができる例示的なECG信号を例示している。経時的に取得された、ガンマ線イベントおよび検出器作動イベントを表す信号もまた、描かれている。これらのイベントは、本技術分野で公知のリストモードデータを含むことができる。実施形態は、描出された信号の取得に限定されない。いくつかの実施形態において、各信号は、ECGイベント(例えば、R波の検出),検出器作動イベント,ガンマ線イベント,および周期的時間マーカー(例えば、1ms毎)、を含む単一のイベントストリームに結び付けられる。
【0022】
S210では、取得データから、複数の生理的周期と関連する期間(時間帯)とが識別される。例えば、着目される特定の生理的周期は、周期の開始(または任意の他の時相)を示すイベントを含み得る。心拍サイクルの場合、ECG信号のR波のピークが、周期の開始を示すと仮定することができる。
【0023】
この点について、図3のECG信号は、S210において評価され、心拍周期HBからHBを識別することができる。各心拍サイクルに関連する期間は、図3の垂直方向の破線で示されている。図示されるように、各期間は、対応する検出器の作動データおよびガンマ線イベントデータにも関連づけられている。
【0024】
S215では、検討中の複数の生理的周期のそれぞれについて、代表持続時間が決定される。例えば、識別された各周期の持続時間が決定され、決定された全ての持続時間に基づいて持続期間の中央値が算出される。いくつかの実施形態は、持続時間の任意の他の代表的な特徴付けを利用することができ、例えば、限定されるわけではないが、平均値を利用してもよい。
【0025】
S220において、識別された周期のいずれかの持続時間が、代表持続時間と実質的に異なるか否かが判断される。例えば、S220は、特定された周期のいずれかが、中間持続時間から予め規定された標準偏差数(例えば、3σ)よりも離れた持続期間の範囲であるか否かの判断を含むことができる。もしそうであれば、S225において、これらの「中央から外れた」周期はマークされるか、他の点で識別される。図4は、いくつかの実施形態に係るヒストグラムであり、サイクル数に対して周期持続時間をプロットしたものである。図4の例によれば、識別された周期の殆どは、持続時間850msから1000msの間である。図5の影付の棒は、S220において外れていると識別され、S225でマークされた周期、を示す。
【0026】
フローは次にS230に進み、S215~S225の実行反復数が、予め指定された最大反復回数(例えば、3回)と等しいかどうかを判断する。もしそうでなければ、フローはS215に戻り、検討中の各周期の代表持続時間を決定する。この工程例を続ける場合、検討される周期は、S225でマークされていない周期(すなわち、図5の影付きでない棒に相当する周期)となる。
【0027】
次に、フローは上記のように進み、S220において、識別された周期のいずれかが、(新しい)代表持続時間と実質的に異なる持続時間であるかどうかを判断し、そうである場合には、S225において、外れた周期をマークする。図6は、本実施例のヒストグラムを示し、ここには、S215~S225の2回の反復の結果として、追加の棒に影が付されている。
【0028】
上記の反復プロセスの間に、現在検討中のいずれの周期も現在の代表持続時間と実質的に異なる持続時間でないと判断された場合、フローは、S220からS235へと抜ける。フローは、実行された反復回数が予め規定された最大反復回数と等しいと判断された場合にもまた、S230からS235に抜ける。本実施例の目的上、上記の2回の反復後に、フローがS235に抜けると仮定する。
【0029】
S235では、現在の代表持続時間から予め規定された数の標準偏差を差し引いた時間よりも、予め規定された数のミリ秒を超えてさらに短い周期が識別される。S235における特定の計算の結果、識別された周期は、先のS225においてマークされたものとなるだろう。S235は、心室性期外収縮(pre-ventricular compression:PVC)と関連する可能性のある周期を識別することを意図している。例えば、図3の周期HBは、PVCに関連する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、S235において任意の適切な計算を利用することができる。
【0030】
S240では、S235において識別された各周期の次に続く所定数の周期がマークされる。S240は、PVCに時間的に近接していることから異常である可能性のある周期をマークすることを意図している。図3に関しては、所定数が1であれば、S240において周期HBがマークされ、所定数が2であれば、周期HBとHBとがマークされる。図7は、S240でマークされた追加の周期を例示しており、これらは持続時間が850ms~1000msの間である。
【0031】
S245に到達すると、最初に識別されていた複数の周期は、目下、マークされた周期とマークされていない周期とから構成されている。S245において、マークされていない各周期は、複数の期間に分割される。
【0032】
図8は、図3の周期を示しており、ここで、心拍周期HBは、その長い持続時間のためにS225でマークされ、心拍周期HBは、その短い持続時間のためにS225でマークされ、心拍周期HBは、先行する心拍周期HBが短かかったためにS240でマークされたものである。
【0033】
マークされていない心拍周期HB,HB,HB,およびHBはそれぞれ、S245において5つのビンに分割されている。実施形態は特定の数のビンに何ら限定されないが、いくつかの実施形態において、心臓イメージングにおける従来の数のビンと一致させて、8または16のビンを使用してもよい。周期は均等に分割されるので、任意の一つの周期における全てのビンは持続時間が等しい。すなわち、ビンHB0AからHB0Eを通じて持続時間は全て同じである。しかし、マークされていない各周期の全体の持続時間は互いに異なる場合があるため、第1の周期のビンの持続時間(すなわち、第1の周期の1/5)は、第2の周期のビンの持続時間(すなわち、第2の周期の1/5)とは異なる可能性がある。
【0034】
それぞれのビン(例えば、すべてのHBXAビン)はおおよそ、心拍周期の同じ時相に関連付けられると仮定することができる。各ビンは、ビンに対応する継続時間(または時相)の間に受信した全ての画像データと関連している。したがって、S250において、マークされていない周期の所定の期間(すなわち、ビン)のそれぞれに関連する撮像データが蓄積される。例えば、ビンHB0A,HB1A,HB3A,HB6Aの間に取得された画像データのすべては、ビンAに関連する画像データの単一セットに蓄積され、ビンHB0B,HB1B,HB3B,HB6Bの間に取得された画像データのすべては、ビンBに関連する画像データの単一セットに蓄積される。
【0035】
S255において、蓄積された画像データが表示される。例えば、蓄積されたビンAに関連する撮像データに既知の再構成技術を適用することによって、画像を生成することができる。このように生成された画像は、ビンAに関連する運動の時相を表すものと考えられる。同様に、それぞれの画像は、蓄積された互いに関連する撮像データに基づいて生成することができ、各画像は、そのビンに関連する運動の時相を表すと考えることができる。いくつかの実施形態において、画像は、1以上のビンの、または全てのビン(すなわち、合成画像)の、蓄積された撮像データに基づいて生成されてもよい。
【0036】
図9は、S250およびS255のいくつかの実施形態に係る、複数の運動時相のそれぞれを表すビンに関連する画像データの蓄積と、それに基づく画像の生成と、を説明する図である。
【0037】
いくつかの実施形態において、撮像データ910は、S205において「リストモード」で取得される。このリストモードにおいて、検出された各ガンマ線は、検出時間、ならびに、放射イベントの位置設定を可能にする他の検出値、と関連づけられている。ビニングコンポーネント930は、リストモードデータ910と生理学的イベントデータ920とを受信する。生理学的イベントデータ920は、リストモードデータ910の取得の間の様々な時間において、撮像された領域が属した動きの時相を、直接的にまたは間接的に、示すことができる。
【0038】
ビニングコンポーネント930は、上述のようにS210~S250を実行し、ビニングされたデータ940a~eを得ることができる。ビニングされたデータ940a~eは、5つのビンに分けられた撮像データを表し、各ビンは、生理的周期の一部を表す。実施形態は、任意の特定の数のビン/部分に限定されない。各ビンの撮像データは、そのビンと関連する周期の一部分の間に起こったガンマ線の検出を表す。
【0039】
再構成コンポーネント950は、ビニングされたデータ940a~eの各々に基づいて画像を生成し、その結果、ビニングされた画像960a~eが得られる。そのため、各ビニング画像960a~eは、特定のビンに関連する生理的周期の一部分の間に位置づけられたように、撮像された領域を表すことができる。
【0040】
本明細書に記載されている各機能的構成要素は、少なくとも部分的には、コンピュータハードウェア、プログラムコード、および/または、当該技術分野で知られているようなプログラムコードを実行する1またはそれ以上のコンピュータシステムにおいて実装され得る。このようなコンピュータシステムは、メモリシステムに格納されたプロセッサ実行可能なプログラムコードを実行する1またはそれ以上の処理ユニットを含むことができる。
【0041】
当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態の様々な適応および改変を構成することができることを理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施されてよいことが理解される。
【符号の説明】
【0042】
100…システム(SPECT-CTシステム)、102…ガントリ(架台)、103…ガンマフォトン、104a,104b…ガンマカメラ、106…患者、110…CTハウジング、112…ボア(内腔)、115…寝台、117…モニタ、118…センサ、120…システム(制御システム)、122…処理ユニット、123…SPECTシステムインターフェイス、125…寝台インターフェイス、126…端末インターフェイス、127…モニタインターフェイス、130…メモリ(記憶装置)、131…制御プログラム、132…プロスペクティブ・ゲーティング・プログラム、133…イベント・ストリーム・データ、134…イベントビン、140…端末
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】