(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】Kinopedによる下肢のパフォーマンスの向上、損傷防止及びリハビリテーションのシステム
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61H1/02 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514559
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049583
(87)【国際公開番号】W WO2021046482
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522082229
【氏名又は名称】フーコー, アンドレ
【氏名又は名称原語表記】FOUCAULT, Andre
【住所又は居所原語表記】129, rue Campagna, Victoriaville, Quebec, G6P 5J3, CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】フーコー, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ニッカム, ダン
(72)【発明者】
【氏名】モリン, フィリッペ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA03
4C046AA05
4C046AA09
4C046AA10
4C046AA22
4C046AA33
4C046AA44
4C046AA45
4C046BB08
4C046BB09
4C046CC12
4C046DD02
4C046DD03
4C046EE02
4C046EE06
4C046EE10
4C046EE24
4C046EE27
4C046FF23
4C046FF25
4C046FF26
(57)【要約】
ユーザが足底力を付加するとともにその足を全7本の下肢生体力学軸にわたって3Dで動作させて下肢パフォーマンスの向上、損傷防止及びリハビリテーションに関する特定の又は全般的な歩行の課題を達成する地面効果フットプレートが提供される。装置は、地面効果フットプレートに接続された少なくとも1つの関節状脚部、及びユーザが位置決めされる面を備える。装置は、GRFVを模擬する仮想歩行環境を生成して人間の歩行を実質的に模擬する筋肉の作動を開始する力のモーメントをもたらすようにソフトウェアとの関連で使用可能であり、ROM、速度、強度及び固有受容を向上するためにその運動を非関数的な運動に結合することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行時に受ける外力を実質的に再現し又は実質的に修正する模擬された地面反力ベクトルによって仮想歩行環境及び仮想慣性パフォーマンス環境を生成するエクササイズシステムであって、該エクササイズシステムは、
ユーザの骨盤を安定させる面であって、該面は、ユーザが関数的又は非関数的な運動パターンを実行するように足底力に反応する3平面に可変の抵抗を加える物体に接続され、前記可変の抵抗は電子機器と空圧バルブコントローラとの間の2方向通信によって可変とされた、面と、
前記外力の模擬重力値及び慣性値を与えるフットプレートであって、前記模擬重力値及び慣性値は、歩行と実質的に同様に複数の重力環境並びに歩行のモード及び速度を実質的に模擬するように可変とされる、フットプレートと、
を備えるエクササイズシステム。
【請求項2】
前記ユーザが歩行を模擬する仮想面をさらに備える請求項1に記載のエクササイズシステム。
【請求項3】
可変の抵抗を3平面上に生成する抵抗機構をさらに備える請求項1に記載のエクササイズシステム。
【請求項4】
前記3平面上の可変の抵抗は、前記フットプレートを介して足の足底面に加えられる、請求項3に記載のエクササイズシステム。
【請求項5】
下肢エクササイズ装置であって、
ユーザの身体が位置決めされるとともに前記ユーザの骨盤が前記ユーザによって安定化される面と、
前記面の付近に接続された少なくとも1つの関節状機械的脚部であって、該少なくとも1つの関節状機械的脚部は3平面上に抵抗を生成し、該抵抗は、歩行時の地面力を実質的に模擬するように電子機器と空圧バルブコントローラとの間で2方向通信によって可変とされる、少なくとも1つの関節状機械的脚部と、
前記少なくとも1つの関節状機械的脚部の遠位に接続されたフットプレートであって、前記ユーザが関数的又は非関数的な歩行パターンを前記ユーザの足によって実行すると、前記抵抗が前記ユーザの足底力によって対抗される、フットプレートと、
抵抗を前額面上に与える回転シャフトに前記面を接続する空圧シリンダを備える第1の機構と、
前記少なくとも1つの関節状機械的脚部を備える第2の機構であって、前記少なくとも1つの関節状機械的脚部が前記空圧シリンダによって動力を与えられ、前記空圧シリンダは前記ユーザの矢状面上に抵抗を与える、第2の機構と、
前記ユーザの横断面における前記フットプレートの運動のための回転機構と、
を備える下肢エクササイズ装置。
【請求項6】
前記面がキャビネットである、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項7】
前記面がチェアである、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの関節状機械的脚部は、前記ユーザの動作の関数的な範囲にわたって抵抗性の又は補助的な下肢運動を可能とする、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項9】
前記フットプレートは、前記ユーザの長手身体軸に対して前記前額面及び前記矢状面における安定した角度位置を維持する、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項10】
前記フットプレートの角度位置は、前記ユーザの長手身体軸に対して前記前額面及び前記矢状面において調整可能である、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項11】
前記抵抗機構、装置サイズ決め、フットプレートの角度調整並びにセンサ、ソフトウェア、入力機構及びユーザディスプレイの間の通信を制御する電子機器をさらに備える請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項12】
前記ソフトウェアは、複数の平面上の抵抗をリアルタイムで管理してユーザフィードバック及びガイダンスを与えるように前記電子機器及び前記センサに指示する、請求項11に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの関節状機械的脚部は、平行四辺形の構成である、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの関節状機械的脚部は、複数の伸縮部分をさらに備える、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項15】
前記3平面の1つが前額面である、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項16】
前記3平面の1つが矢状面である、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項17】
前記3平面の1つが横断面である、請求項5に記載の下肢エクササイズ装置。
【請求項18】
抵抗値に関連する関数的な歩行運動パターン及び非関数的な運動パターンのセグメントを取り込む対象ゲームプレイを用いてユーザの下肢の強度、速度、動作範囲、固有受容及び制御を進化させる足操作型機能的ゲームコントローラであって、
ルーチンが自動的に適合される、前記ユーザの生体力学プロファイルと、
ゲームプレイのベースラインとして作用する歩行の健康状態プロファイルと、
仮想プログラミング要素であって、地面反力ベクトル値によってプログラムされた動作セグメントを備える仮想プログラミング要素と、
を備える足操作型機能的ゲームコントローラ。
【請求項19】
前記仮想プログラミング要素は、ゲームプレイパスを設計するために特定の機能的欠陥又は歩行の課題に相関付けられる、請求項18に記載の足操作型機能的ゲームコントローラ。
【請求項20】
前記対象ゲームプレイは、ゲームコンソール上で実行される、請求項18に記載の足操作型機能的ゲームコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は包括的な下肢エクササイズ装置に関し、具体的には、実施形態は、3次元(3D)で移動する「地面効果」フットプレートを介して3軸に可変抵抗を生成して、ユーザの関数的な関節可動域(ROM)の全体を通じてかつ種々の歩行モードにわたって模擬歩行環境を作成する装置に関する。ユーザは、関数的な動作パターンによって自身の足を移動させるにつれて、フットプレートに対する足底力によって外力(抵抗)を管理し、それにより、可変の模擬重力値及び慣性値により、模擬された地面反力ベクトル(GRFV)を受ける。ユーザは、関節に負荷をかけるとともに特定のシーケンスでの特定の筋肉の作動を開始する力のモーメントを可能とするために、足底力を付加することによってフットプレートの抵抗に反応する。
【背景技術】
【0002】
現行の装置及びプロトコルは、生体力学的パフォーマンス(すなわち、強度、速度、耐久力、固有受容、ROM及びモータコントロール)の向上、損傷(すなわち、靭帯、腱並びに筋肉の断裂及び歪み)の防止並びに歩行運動学(歩容及びランニング時の運動パターン)及び運動力学(筋肉作動パターン)の補正などの機能的な下肢の課題を達成することを試みるものである。しかし、これらのアプローチは、全般的な歩行の課題に充分に対処するものではない。この相互接続された神経筋の課題を既存の装置及びプログラムが効果的に管理できないことは、個人及び社会的な歩行に関する健康状態及び適合性に大きな影響を与えており、この状況は我々の歩行環境及び物理的活動レベルに対する劇的な変化によって悪化してきた。
【0003】
人間の歩行は、直線的な技能のように見えるが、実際には、それは交互の支持脚にわたる一定の体重移動に基づく複雑な3D体重変位プロセスである。最近の歩容解析の研究は、歩行時に管理されなければならない地面力に適応するために、脚が直面する重大な生体力学的な課題を定めた。地面反力ベクトルは、主に、質量の移動中心に作用する重力、加速度及び慣性力を変化させることによって実行される。地面の高さにおいて、これらの力は、矢状面及び前額面の双方に作用する2つの統合された要因:(通常は)安定的な地面に対して変動する角度の脚位置及び足底揺動によっても条件付けられる。したがって、効果的な下肢の健康状態及び適合性のプロトコルは、足底接地を与えて人間の歩行時に受ける地面力を再現することによって歩行の機能的な課題に対処しなければならない。
【0004】
歩行のストラテジーは、運動連鎖に沿う複雑な偏心/求心性の筋肉作動を制御する深く統合された神経学的及び生体力学的なシステムに基づく。そのような特定の3D関節運動によって、身体は、歩行時に適切な生体力学アライメントを維持するとともに正確な運動力学及び運動学パターンに従いつつ、地面力に対応することが可能となる。これらの歩行のストラテジーは、一歩一歩が鋭敏な運動感覚並びに股関節及び足/足関節の複雑なスタビライザの連続的な関与を必要とする3D世界において進化した。人間が田舎でのライフスタイルを捨てて都会のものに乗り換えるにつれて、圧縮アスファルト(1903年に特許付与)及びコンクリート(1911年に特許付与)の道路及び歩道の出現に大きく起因して、我々が歩行する物理環境は劇的に平坦化され、それは、我々が以前に踏んでいた泥、石及び砂利の道路及び歩道にとって代わった。実際に、我々は、我々の自然の3D歩行環境を、筋肉作動を大幅に低下させるとともに正確な神経筋制御の必要性を減少させる主に2次元(2D)の環境に変換させてきた。可変の3D環境にわたる歩行の生体力学的な課題を代替する手段のない「安全な」表面上での歩行のほとんど自動的なプロセスによって、歩行の健康状態の悪化が蔓延し、固有受容が減少してその結果として下肢の損傷が増加することとなってしまった。
【0005】
過去50年にわたって、大きな技術的な進歩が、下肢外科手術装置、手順及び技術を革新してきた。同時に、高度な技術的アプローチ及び鋭意研究によって、損傷の診断が改善され、我々の運動学、運動力学及び生体力学への理解が大幅に進歩した。しかし、下肢のパフォーマンスの向上、損傷防止及びリハビリテーションの課題を達成するのに使用される装置及びプロトコルは、それらの進歩に遅れをとっている。
【0006】
特定の下肢筋肉群に機能的に対処することが困難であるために、身体及び骨盤を部分的又は完全に安定化させる装置(すなわち、レッグプレス、自転車、レッグリフト)を含む大量の製品及びプロトコルがもたらされた。その大部分について、脚運動の分離は、それらの製品(すなわち、自転車、レッグプレス)の設計における意図しない結果又は特定の筋肉群を分離する試みとなる(すなわち、対地レッグリフト、内転/外転装置)。歩容中、脚運動は、3D骨盤運動と合成されて交番型脚部のアプローチを用いる歩行を可能とする。既存の安定骨盤アプローチは、特定の生体力学的な欠損に対処すること、漸進的トレーニングパラメータを促進すること、リアルタイムパフォーマンスモニタリングを容易化すること、及び心血管の健康状態を向上することなどの複数の目的を達成することを試みる。しかし、それらの骨盤を安定化させる現行の装置は、これらの合成された骨盤/脚の動きを考慮することはできない。さらに、それらには移動する体重がないため、それらは地面反力を管理する中心的な役割を果たす2平面足底揺動相を含む、歩行の運動学的及び運動力学的要件を再現することはできない。
【0007】
下肢のパフォーマンスを向上するのに使用される現行の装置(これに限定されないが、自転車、エアロバイク(登録商標)(stationary cycle)、エリプティカルマシン、トレッドミル、レッグプレス、バランストレーナ及び内転/外転マシンを含む)は、分離された課題を達成し得るが、最適な歩行パフォーマンスに必要な要件の全領域に包括的に対処することはできない。
【0008】
例えば、エアロバイクは、心血管の適合性を向上させるが、歩行運動学及び運動力学さえも変えてしまう。なぜなら、エアロバイクは、1)ウォーキング及びランニングの歩容の関数的な矢状方向ROMの外部で動作する非歩行的屈曲位に股関節を配置させ、2)座位において単一面(矢状面)上で支配的に動作し、それが股関節スタビライザの作動を大幅に制限し、3)単一の大きな筋肉群(大腿四頭筋)に主に基づくので、筋肉(すなわち、ハムストリングス筋)の不均衡をもたらし、4)下肢のパフォーマンスを自動化するので運動感覚固有受容の低下をもたらし、5)求心モードで主に動作して重要な偏心的な関与を制限し、6)歩行時に受ける関数的な地面反力ベクトル(GRFV)を再現できないミッドソールへの力の付加のために足底揺動をバイパスする、ためである。地面力は、関節に負荷をかけ、下肢筋肉群の連続的な作動を開始する力のモーメントの生成を可能とする。
【0009】
他の例では、動力付きトレッドミルは、心血管の適合性を向上させ、関数的な運動学に対応するが、運動力学を変えてしまう。なぜなら、動力付きトレッドミルは、1)動力による推進力を与えて、立脚終期の股関節伸展筋及び足底屈筋の求心性の作動を低下させ、2)荷重応答時の偏心的な股関節屈筋応答を誇張し、3)可変3D歩行環境を与えることはできず、股関節及び足関節スタビライザの作動を制限し、4)反復的かつ定型的な動作パターンに帰着する予測可能な環境を与え、固有受容及びモータコントロール能力を課題とすることはできないためである。
【0010】
現行の理学療法プログラムは、療法士による地上のエクササイズ、細分化された筋力強化、鎮痛モダリティ、及び主観的又は非特異的なパフォーマンスモニタリングに依存する低頻度の一時的介入からなる。そのようなプログラムは、単純なモダリティを用いる処方ルーチンのモニタリングされない実行を介して、患者が自身のリハビリテーションの大部分を非臨床的な設定において行うことを必要とする。これは、体系的な不整合、及び患者が処方プロトコルを(着手したとしても)適切に実行することができないことに起因して、悪い結果をもたらす。これらのプログラムはまた、エビデンスに基づく全般的な歩行の健康状態及び適合要件を満足することができず、大部分は静的であり、3D人間運動力学及び運動学に対処することができず、歩行の固有受容を最大化するために必要な重要な動的構成要素を欠いている。
【0011】
例えば、股関節置換術に続く標準的な治療プログラムは、股関節筋肉群を分離する地面エクササイズルーチン(すなわち、内転/外転及び股関節伸展筋のためのレッグリフト)に基づき、エアロバイクの使用と併せて耐久性を向上する。これらのプログラムはまた、平行棒及び歩行器などの種々の装置を取り込んで体重支持の問題に対処し得る。そのようなプログラムは、1)分離された筋肉群を作動させ、全般的な神経筋パフォーマンスを制限し、2)非関数的な体重支持補助付きのアプローチを利用して、股関節レベルの制御の進化を排除し、3)地面力に応じるように神経筋系をトレーニングすることができないので、機能的に体重支持の欠損に対処することができず、4)歩行の足底揺動を関与させないエクササイズに基づくので、関数的な運動連鎖を作動させることができず、5)リアルタイムのフィードバックをほとんど与えず、固有受容の向上及びモータコントロールを阻害し、6)予測可能な補償による歩容運動学の低下を補強する。
【0012】
例えば、標準的な前十字靭帯(ACL)リハビリテーション及び損傷防止プログラムは、通常は0~40度の閉鎖膝伸展強化エクササイズ(すなわち、レッグプレス又はスクワット)、40~90度の開鎖膝伸展エクササイズ(すなわち、レッグエクステンションマシン又はアンクルウェイト)、分離した股関節外転(すなわち、外転マシン、アンクルウェイト又は弾性バンド)及び全般的な下肢適合(すなわち、エアロバイク)を含む。
【0013】
そのようなプロトコルは、1)統合された股関節、膝及び足/足関節の複雑な関数的筋応答を作動させるために必要な2平面歩行足底揺動プロセスを取り込んでおらず、2)エアロバイクを利用するので、求心性の大腿四頭筋応答を主に動作させ、大腿四頭筋/ハムストリング筋の不均衡(ACL損傷の主要因の1つ)をもたらす非関数的な屈曲した膝、屈曲した股関節の動作パターンを生成し、3)単一の(矢状)面において主に動作し、股関節スタビライザの弱さを助長し、4)前額面における足底揺動を介して足/足関節スタビライザを動作させず、全般的な回外筋の弱さ及び制御の欠如をもたらす。股関節及び足/足関節スタビライザの弱さは、ACL、アキレス腱及び他の下肢の損傷の鍵となる要因である。
【0014】
既存の装置及びプロトコルは、最適な下肢の健康状態及び適合性を取得及び維持するのに必要な人間の歩行の、エビデンスに基づく構成要素を全体的に満足する明示的な課題に対して設計されたわけではないため、当然に、上記要件を満足するには有効ではない。現行の装置及びプロトコルは、必要な関数的歩行要素の半分さえも対処するには程遠く、さらに、いずれの現行の装置及びプロトコルの組合せも、最適な人間の歩行パフォーマンスを達成及び維持するために必要な歩行要件の全てを安全には満足できない。
【0015】
人間の歩行は、広範な領域にわたって行われる。速度、動作制御及び強度を向上することを目的とするプロのアスリートの生体力学及び神経筋についての必要性は、最悪の脳卒中の後に再度歩くことを訓練する高齢者とは大きく異なるようにみえるが、歩行の基本的要素は、両者に等しく当てはまる。健康状態及び適合性は、歩行の種々の態様に対処する特殊性(すなわち、足病医、整形外科医、神経科医、理学療法士、作業療法士、運動生理学者、運動療法士、パーソナルトレーナー又はスポーツ医学の専門家)に細分化されてきたが、人間の可動性の生体力学は、これらの学問分野の全てを包含する。
【0016】
このように、全般的な歩行パフォーマンスを最大化し、損傷を防止し、最適なリハビリテーション結果を与えるために必要な、下肢の健康状態及び適合性の関数的成分の全てに対処する装置に対するニーズがある。この装置は、1)関数的な歩行動作パターンを容易化し、2)神経筋パフォーマンスを最適化するために関数的な運動力学相乗効果を作動させ、3)固有受容を高め、4)歩行運動学の能動的な補正を容易化し、5)GRFVの重力(鉛直)及び慣性(矢状及び前額面水平ベクトル)の成分を再現することにより、3軸の関数的な抵抗を生成し、6)離散的な3D歩行環境において受ける可変の外力を安全に再現し、7)種々の重力環境を模擬し、8)ユーザ適合性を向上し、9)臨床的又は非臨床的な環境においてリアルタイムのフィードバック及び客観的評価を与え、10)適宜の視聴者に対する結果の伝達を自動化しなければならない。
【発明の概要】
【0017】
本発明の課題は、3軸において終始一貫した抵抗を与える地面効果フットプレートのリアルタイムの角度調整を介した2D及び3D歩行環境を模擬する装置を提供することである。ユーザは、特定の又は全般的な歩行パフォーマンスの課題を達成するために種々の関数的及び非関数的な仮想歩行環境を進むように、3Dにおいてフットプレートを移動させる際に画面上のガイダンス、ゲームプレイ又は療法士/トレーナの指示に従うにつれて、フットプレートの抵抗に対向して足底力を付加する。
【0018】
本発明の課題は、歩行時に関数的な3D運動学及び運動力学パラメータの実行を可能とする安定骨盤アプローチを与えることである。このアプローチは、歩行に関連する正確な運動学及び運動力学パラメータに従いつつ、着目する下肢の課題の実行及び正確なパフォーマンスモニタリングを可能とする。
【0019】
本発明の課題は、関数的歩行筋応答を作動するために種々の歩容中に(脚毎に)全7本の生体力学軸まわりの力のモーメントを生成するために、矢状面及び前額面に自然な足底揺動を引き出すとともに種々の歩行環境にわたってGRFV値を模擬する装置を提供することである。
【0020】
本発明の課題は、全般的な歩行の課題に対処するために、歩容生体力学を補正又は改善するとともに機能的なトレーニングを実行するために完全な歩行の歩容サイクルの実行を可能とする装置を提供することである。
【0021】
本発明の課題は、特定の歩行の課題に対処するために、歩行の歩容サイクルの個別のセグメントの実行を可能とする装置を提供することである。
【0022】
本発明の課題は、固有受容及び動作制御の問題に対処するために、実際の最適な運動学及び運動力学パフォーマンスのリアルタイムでの可視化を表示する装置を提供することである。
【0023】
本発明の課題は、増分的なトレーニングを可能とするとともに体重支持能力が限られた個人によって又は低重力環境における個人のための使用を可能とするように、異なる重力及び慣性パフォーマンス環境を模擬するために、特定の3D歩行セグメントに関連するGRFV値を可変とする装置を提供することである。
【0024】
本発明の課題は、歩行パフォーマンスを最適化するために、療法士又はトレーナが定義したアルゴリズムに従って装置の抵抗値及びROM値を修正することによってユーザのパフォーマンスを適合させる装置を提供することである。
【0025】
本発明の課題は、最適な生体力学を促進するとともに、一方の肢を維持しつつも他方の肢が漸進的なリハビリテーションを受けることを可能とするために、各肢のパフォーマンス特性に基づいて片方又は両方のパフォーマンスを可能とする装置を提供することである。
【0026】
本発明の課題は、関数的及び非関数的な歩行パターンのセグメント並びにそれらに関連する可変の模擬GRFV値に対して構築された足操作型ビデオゲームをユーザにプレイさせることによって、ユーザの下肢速度、強度、ROM及び制御を最大化する機能的な足作動型ゲームコントローラを提供することである。
【0027】
本発明の実施形態をより完全に説明するために、添付の図面を参照する。これらの図面は、単なる例示であり、本発明の範囲における限定とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態を示し、装置の斜視図を説明する。
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態を示し、装置の側面図を説明する。
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態を示し、装置の上面図を説明する。
【
図4】
図4は、本発明のある実施形態を示し、装置の端面図を説明する。
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態を示し、装置及び内部構成要素の斜視内部図を説明する。
【
図6】
図6は、人間の歩行のチャートを示し、人間の歩行を可能にする下肢の7本の生体力学軸まわりの回旋を説明する。
【
図7】
図7は、本発明のある実施形態を示し、装置使用時の模擬された人間の歩行を可能にする下肢の7本の生体力学軸まわりの回旋を説明する。
【
図8A】
図8Aは、本発明のある実施形態を示し、装置の脚の平行四辺形構造/構成がどのように垂直フットプレート位置をユーザの矢状面において維持するのかを説明する。
【
図8B】
図8Bは、本発明のある実施形態を示し、装置の脚の平行四辺形構造/構成がどのように垂直フットプレート位置をユーザの矢状面において維持するのかを説明する。
【
図8C】
図8Cは、本発明のある実施形態を示し、装置の脚の平行四辺形構造/構成がどのように垂直フットプレート位置をユーザの矢状面において維持するのかを説明する。
【
図9A】
図9Aは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの矢状面でのフットプレート位置の変化における制御を説明する。
【
図9B】
図9Bは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの矢状面でのフットプレート位置の変化における制御を説明する。
【
図9C】
図9Cは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの矢状面でのフットプレート位置の変化における制御を説明する。
【
図10A】
図10Aは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に平行なフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図10B】
図10Bは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に平行なフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図10C】
図10Cは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に平行なフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図11A】
図11Aは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に可変のフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図11B】
図11Bは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に可変のフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図11C】
図11Cは、本発明のある実施形態を示し、ユーザの前額面に可変のフットプレート角を生成及び維持するフットプレートモータの調整を説明する。
【
図12A】
図12Aは、本発明のある実施形態を示し、装置の上腿及び下腿部分のサイズ決めを説明する。
【
図12B】
図12Bは、本発明のある実施形態を示し、装置の上腿及び下腿部分のサイズ決めを説明する。
【
図13】
図13は、本発明のある実施形態を示し、ユーザが装置上で仰臥位となっている間の立位を模擬するために足底力を付加するフットプレートへの3D機械的抵抗の付加を説明する。
【
図14】
図14は、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のユーザの矢状面における機械的抵抗の付加を説明する。
【
図15】
図15は、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のユーザの前額面における機械的抵抗の付加を説明する。
【
図16A】
図16Aは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のユーザの横断面における機械的抵抗の付加を説明する。
【
図16B】
図16Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のユーザの横断面における機械的抵抗の付加を説明する。
【
図17】
図17Aは、本発明のある実施形態を示し、歩容中の荷重応答期に受けるようなGRFVを説明する。
図17Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時に付加されるようなGRFVを説明する。
【
図18A】
図18Aは、本発明のある実施形態を示し、歩容中の荷重応答期における筋肉作動を説明する。
【
図18B】
図18Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時の荷重応答期における筋肉作動を説明する。
【
図19A】
図19Aは、人間の歩行のある実施形態を示し、種々の歩容の立位時に受ける相対BW値を説明する。
【
図19B】
図19Bは、人間の歩行のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受ける相対BW値を説明する。
【
図19C】
図19Cは、人間の歩行のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受ける相対BW値を説明する。
【
図19D】
図19Dは、人間の歩行のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受ける相対BW値を説明する。
【
図20A】
図20Aは、本発明のある実施形態を示し、種々の歩容の立位時に受けるBW値を再現する装置使用時の相対BW値を説明する。
【
図20B】
図20Bは、本発明のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受けるBW値を再現する装置使用時の相対BW値を説明する。
【
図20C】
図20Cは、本発明のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受けるBW値を再現する装置使用時の相対BW値を説明する。
【
図20D】
図20Dは、本発明のある実施形態を示し、種々の歩容の立脚中期に受けるBW値を再現する装置使用時の相対BW値を説明する。
【
図21A】
図21Aは、本発明のある実施形態を示し、低重力環境を模擬するために、装置使用時の低下したBW値の付加を説明する。
【
図21B】
図21Bは、本発明のある実施形態を示し、低重力環境を模擬するために、装置使用時の低下したBW値の付加を説明する。
【
図21C】
図21Cは、本発明のある実施形態を示し、低重力環境を模擬するために、装置使用時の低下したBW値の付加を説明する。
【
図21D】
図21Dは、本発明のある実施形態を示し、低重力環境を模擬するために、装置使用時の低下したBW値の付加を説明する。
【
図22A】
図22Aは、本発明のある実施形態を示し、力のモーメントを生成し、歩行中に受けるのと同じ筋肉作動シーケンスを開始する装置使用時に受ける低下した模擬されたGRFVを説明する。
【
図22B】
図22Bは、本発明のある実施形態を示し、力のモーメントを生成し、歩行中に受けるのと同じ筋肉作動シーケンスを開始する装置使用時に受ける低下した模擬されたGRFVを説明する。
【
図22C】
図22Cは、本発明のある実施形態を示し、力のモーメントを生成し、歩行中に受けるのと同じ筋肉作動シーケンスを開始する装置使用時に受ける低下した模擬されたGRFVを説明する。
【
図22D】
図22Dは、本発明のある実施形態を示し、力のモーメントを生成し、歩行中に受けるのと同じ筋肉作動シーケンスを開始する装置使用時に受ける低下した模擬されたGRFVを説明する。
【
図23A】
図23Aは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図23B】
図23Bは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図23C】
図23Cは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図23D】
図23Dは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図24A】
図24Aは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図24B】
図24Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図24C】
図24Cは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図24D】
図24Dは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のウォーキングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図25A】
図25Aは、本発明のある実施形態を示し、ランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図25B】
図25Bは、本発明のある実施形態を示し、ランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図25C】
図25Cは、本発明のある実施形態を示し、ランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図25D】
図25Dは、本発明のある実施形態を示し、ランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図26A】
図26Aは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図26B】
図26Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図26C】
図26Cは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図26D】
図26Dは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時のランニングの歩容の関数的な立脚相のROMを説明する。
【
図27】
図27Aは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容中での足が固定されて骨盤が動く動作パターンを説明する。
図27Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時での安定骨盤に対して足が動く視点の同じ動作パターンを説明する。
【
図28】
図28Aは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容中の矢状面における安定骨盤の視点からの立脚相の足の動作を説明する。
図28Bは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容中の矢状面における安定骨盤の視点からの立脚相及び遊脚相の足の動作を説明する。
図28Cは、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容中の矢状面における安定骨盤の視点からの遊脚相の足の動作を説明する。
【
図29】
図29Aは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時の矢状面における安定骨盤の視点からの立脚相のフットプレートの動作パターンを説明する。
図29Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時の矢状面における安定骨盤の視点からの立脚相及び遊脚相のフットプレートの動作パターンを説明する。
図29Cは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時の矢状面における安定骨盤の視点からの遊脚相のフットプレートの動作パターンを説明する。
【
図30】
図30は、本発明のある実施形態を示し、装置に組み込まれた電子モジュールの関係を示す。
【
図31】
図31は、本発明のある実施形態を示し、装置に組み込まれたソフトウェアモジュールの関係を示す。
【
図32】
図32A及び
図32Bは、本発明のある実施形態を示し、歩行動作パターンの特定のセグメントがどのようにして特定の力のモーメント及び結果として生じる筋肉作動に相関するのかを説明する。
【
図33】
図33は、本発明のある実施形態を示し、ウォーキングの歩容の初期接地から荷重応答期(IC/LR)セグメントのパフォーマンスに対応する力のモーメント及び筋肉作動を示す。
【
図34A】
図34Aは、本発明のある実施形態を示し、どのように仮想プログラミング要素(VPE)がユーザによって装置上で実行されて関数的な運動力学パターンを引き出すのかを示す。
【
図34B】
図34Bは、本発明のある実施形態を示し、どのように仮想プログラミング要素(VPE)がユーザによって装置上で実行されて関数的な運動力学パターンを引き出すのかを示す。
【
図35】
図35は、本発明のある実施形態を示し、歩行中の種々の歩容を模擬するそれらの自然な順序におけるVPEの実行を示す。
【
図36】
図36は、本発明のある実施形態を示し、関数的な運動動作のセグメントを表さないパターンセグメントがどのようにして減少後の力の値に関連付けられ得るのか、及び全般的な又は特定の機能的な目的を満足するゲームプレイパターンを作成するのにこれらの「非関数的な」VPEがどのようにして関数的なVPEと合成され得るのかを説明する。
【
図37A】
図37Aは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時にユーザが経験する実際の歩行環境を示す。
【
図37B】
図37Bは、本発明のある実施形態を示し、装置使用時にユーザが経験する仮想歩行環境を示す。
【
図38A】
図38Aは、本発明のある実施形態を示し、歩行中に脊椎エンジンを作動する機構を組み込む装置を説明する。
【
図38B】
図38Bは、本発明のある実施形態を示し、歩行中に脊椎エンジンを作動する機構を組み込む装置を説明する。
【
図38C】
図38Cは、本発明のある実施形態を示し、歩行中に脊椎エンジンを作動する機構を組み込む装置を説明する。
【
図38D】
図38Dは、本発明のある実施形態を示し、歩行中に脊椎エンジンを作動する機構を組み込む装置を説明する。
【
図39A】
図39Aは、本発明のある実施形態を示し、関数的及び非関数的な運動の実行のために、腕及び脊椎エンジンを下肢機構に組み込む多軸全身運動システムとしての装置を説明する。
【
図39B】
図39Bは、本発明のある実施形態を示し、関数的及び非関数的な運動の実行のために、腕及び脊椎エンジンを下肢機構に組み込む多軸全身運動システムとしての装置を説明する。
【
図40】
図40は、本発明のある実施形態を示し、肢切断者又はフットプレートに接触することによる能動的な抵抗を実行できない個人による使用のために肢位置決め装置又は副木を有する装置を説明する。
【
図41】
図41は、本発明のある実施形態を示し、フィットネスセンター又はアスレチック環境においてのエクササイズマシンとしての使用を説明する。
【
図42】
図42は、本発明のある実施形態を示し、ローカル又はリモート臨床監視による臨床環境におけるリハビリテーションマシンとしての使用を説明する。
【
図43】
図43は、本発明のある実施形態を示し、リモート臨床監視付きの自宅用健康器具としての使用を説明する。
【
図44A】
図44Aは、本発明のある実施形態を示し、ティルト-リクライニング出入りの機能を有するホームフィットネス装置としての使用を説明する。
【
図44B】
図44Bは、本発明のある実施形態を示し、ティルト-リクライニング出入りの機能を有するホームフィットネス装置としての使用を説明する。
【
図45】
図45は、本発明のある実施形態を示し、ゲーミングシステムとしての使用を説明する。
【
図46】
図46は、本発明のある実施形態を示し、宇宙空間又は他の天体などの低重力環境における筋骨格及び歩行の健康状態を維持する使用を説明する。
【
図47A】
図47Aは、本発明のある実施形態を示し、運動中又は低重力環境における歩行時の使用のための、全身関節荷重外骨格としての使用を説明する。
【
図47B】
図47Bは、本発明のある実施形態を示し、運動中又は低重力環境における歩行時の使用のための、全身関節荷重外骨格としての使用を説明する。
【
図48】
図48は、本発明のある実施形態を示し、捜索及び救助、産業又は軍用機器に組み込まれるフットコントローラとしての装置の使用を説明する。
【
図49】
図49は、本発明のある実施形態を示し、ユーザ位置決めシステムに物理的に接続されないが連携される抵抗機構を説明する。
【
図50A】
図50Aは、本発明のある実施形態を示し、ユーザがフットプレート上に立つ、鉛直方向の使用を説明する。
【
図50B】
図50Bは、本発明のある実施形態を示し、ユーザがフットプレート上に立つ、鉛直方向の使用を説明する。
【
図51A】
図51Aは、本発明のある実施形態を示し、交番型片脚マシンを説明する。
【
図51B】
図51Bは、本発明のある実施形態を示し、交番型片脚マシンを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上記及び下記記載並びに本文書の図面は、本発明の1以上の現に好適な実施形態に着目し、幾つかの例示的な任意選択的な特徴及び/又は代替実施形態についても説明している。本記載及び図面は、説明のためのものであり、本発明の範囲における限定とみなされるべきではない。当業者であれば、変形例、変更例及び代替例を認識するはずである。このような変形例、変更例及び代替例も本発明の範囲内である。章の表題は簡潔なものであり、便宜上のものにすぎない。
【0030】
本発明のこれらの構成、有利な効果及び実施形態が、本文書の残余部分において、当業者にさらに明らかとなる。
【0031】
2次元(2D)とは、平坦面において要素の位置を特定するのに2値(長さ及び幅)が必要な幾何学設定をいう。例えば、平面上での運動は2Dである。3次元(3D)とは、空間内の要素の位置を特定するのに3値(長さ、幅及び高さ)が必要な幾何学設定をいう。例えば、2平面又は3平面上での運動は3Dである。下肢の7本の生体力学軸は、各脚の生体力学的な関節の7個の主な回動をいい、股関節に3個、膝に1個、及び足/足関節複合体に3個である。体重(BW)とは、重力の結果として質量によって発揮される鉛直下方の加速力をいう。閉鎖又は閉運動連鎖とは、肢によって行われる動作又は運動をいい、遠端肢(すなわち、足)は不動面(すなわち、地面)に常に接したままとなる。開鎖又は開運動連鎖は、肢のセグメントに沿う連続的配置された関節の組合せといい、終端セグメントは自由に移動できる。したがって、開鎖運動は、四肢の抹消セグメント/関節が自由に移動できる場合である。補償とは、正常な運動パターンが確立されておらず又は利用可能でない場合に関数的なモータスキルを達成するのに現在使用されている変則的な生体力学的な運動をいう。外力又は抵抗とは、その方向が、動作中の身体又は身体セグメントに作用している内部筋力とは逆の力をいう。固定された足とは、地面上にある足又は停止している支持体の安定的な位置決めをいう。地面反力(GRF)とは、地面に接する動作中の身体に対して地面によって発揮される力をいう。地面反力は、人間の歩行に付加されると、3本のベクトルで減少し、2本の水平ベクトル(前後及び内外側)とともに、主な1本のベクトルは鉛直となる。地面反力ベクトル(GRFV)は、歩行の立脚相中に筋肉作動のシーケンス(運動連鎖)を開始する力のモーメントを生成する。地面効果フットプレートとは、2D及び3D地面状態をリアルタイムで模擬するために3平面上に模擬GRFVを与えつつ、2平面(矢状面及び前額面)上にユーザの長手身体軸に対して終始一貫した角度位置を維持する動的フットプレートをいう。本出願では、フットプレート及び地面効果フットプレートという用語は、互換可能に使用され得る。足底面とは、足の裏の又はそれに関する面をいう。足底の抵抗とは、下肢に対する閉運動連鎖エクササイズ中に足底領域に付加される外力をいう。仮想歩行環境とは、コンピュータ生成による視覚的環境を介して提示されるGRFVの終始一貫した再現に基づいて、現実的な歩行状態を模擬するエクササイズ環境をいう。仮想プログラミング要素(VPE)とは、非関数的な動作パターンと合成されて関数的及び非関数的エクササイズプログラム及びゲームプレイを生成することができる3Dプログラミング要素を生成するように適用された相対GRFVを有する歩容サイクルセグメントをいう。仮想歩行環境は、関数的及び非関数的な運動パターンの双方の合成で構成され得る。
【0032】
図1は、本発明の実施形態を示し、装置1の斜視図を説明する。
【0033】
図2は、ある実施形態を示し、2つの動的フットプレート5に対して2つの関節状機械的脚部4によって接続された、骨盤-頭部位置決めシステム3を有するキャビネット2を備える装置1の側面図を説明する。キャビネット2は、キャスタ6によって支持され、ユーザの肩から骨盤までの上半身を支持するクッション7、調整可能なヘッドレスト8、調整可能なハンドグリップ9、骨盤位置決め機構又はベルト10及びステップ11によって覆われる。キャビネット2は、キャビネット2に物理的に取り付けられていてもいなくてもよいディスプレイ12(すなわち、コンピュータモニタ、タブレットコンピュータ、仮想現実(VR)ヘッドセット、拡張現実(AR)ヘッドセット、ウェアラブル装置又はスマートフォン)及びキャビネット2に取り付けられていてもいなくてもよい入力機構13(すなわち、キーボード、タッチパネルディスプレイ、ボイスコントロール、タッチパッド又はゲームコントローラ)も含む。ユーザは、クッション7に対して仰臥位となる。ユーザの頭部及び首領域は、調整可能なヘッドレスト8によって支持される。概ね肩領域から始まり骨盤領域までの胴体は、骨盤-頭部位置決めシステム3に乗せられる。ユーザは、ハンドグリップ9を保持して支持され、骨盤位置決め機構又はベルト10はユーザを適所に固定する。他の実施形態は移動若しくは制御が制限された個人又は肢切断者のための脚ブレーシングを取り込んでもよいが、ユーザの足がフットプレート5に乗せられた状態でユーザの脚は支持されない。
【0034】
図3は、本発明の実施形態を示し、キャビネット2、機械的脚部4及びフットプレート5の上面図を説明する。8個の空圧シリンダ14が、ユーザの矢状面に抵抗を与える機械的脚部4の片側に接続される。他の実施形態では、ユーザは2つのフットレスト付きの1つの機械的脚部4を有する装置1を操作可能であり、1つの機械的脚部4はユーザの脚(不図示、
図51参照)の間で交替で使用可能である。
【0035】
図4は、本発明の実施形態を示し、キャビネット2、2つの機械的脚部4及び2つのフットプレート5の端面図を説明する。機械的脚部2に取り付けられる10個の空圧シリンダ14がある。ある実施形態では、主キャビネット2は2つの関節状機械的脚部4を特徴とし、各機械的脚部4は上腿部分15及び下腿部分16を備え、この2つの部分は機械的連結部17によって接続される。各上腿部分15は、部分18及び19を備える。各下腿部分16は、部分20及び21を備える。部分18、19、20及び21を伸縮部分ともいう。なぜなら、それらは、ウォームドライブ付き電動モータ22がその空洞体に収斂される結果として伸縮するからである。部分18及び部分19は機械的連結部17に接続され、部分20及び部分21は機械的連結部17に接続され、各機械的脚部4に対する平行四辺形の構成を生成する。各下腿部分15は、機械的連結部23によってフットプレート5に接続される。
【0036】
図5は、本発明の実施形態を示し、キャビネット2の内部斜視図を説明する。キャビネット2の内部構成要素は、電子部品24、配線25、格納可能な電源コード26、補助空気タンク27、空圧バルブ及び配管28、外気供給速結バルブ29、並びに脚部が衝突するのを防止する機械的装置30である。外気源は空圧ホースを介して装置に接続し、空気が補助空気タンク27に、そして内部空圧配管及びバルブ28を介して空圧シリンダ14に送出される。機械的脚部4に接続する10個の空圧シリンダ14がある。ただし、他の実施形態では、空圧シリンダの数量は変わり得るものであり、又は他の抵抗機構(すなわち、弾性、油圧、磁力機構)若しくはドライブシステム(すなわち、ケーブル及びカム、ベルトドライブ、ギアボックス、ダイレクトドライブ、ウォームドライブ)が使用され得る。10個の空圧シリンダ14のうちの2個は、主キャビネット2に位置する。これら2個の空圧シリンダ14は、主キャビネット2の基部を連結部31を介して回転シャフトに接続する。これらの空圧シリンダ14が伸縮すると、機械的脚部4はユーザの前額面に対して移動する。各機械的脚部4は、各部分がモータ及びウォームドライブギア22を含む4個の矩形伸縮突出部分18、19、20、21で構成される。4個の追加の空圧シリンダ14は、部分18及び19の一端及び2面の各々において回転シャフトに接続される。部分20及び21を機械的連結部19を介してフットプレート5に接続する4個の追加の空圧シリンダ14がある。これらの8個の空圧シリンダ22の組合せは、フットプレート5を昇降させ、その矢状面においてフットプレート5をユーザに向かって又はユーザから離れるように移動させる。装置1の使用時に機械的脚部4の間での接触を防止する機械的装置29がある。各フットプレート5は、電動モータ及びギアボックス32並びに回転機構33を含む。歩容の立脚相の荷重成分中において、推進力及びウェイト移動は、股関節伸展筋、内転筋及び内旋筋を含む筋肉群の組合せによって開始される。略立脚中期において非荷重相となると、外転筋及び外旋筋が股関節伸展筋と組み合わされて立脚相を完了して遊脚相に備える。この一連の運動は、固定された足及び移動する骨盤で行われる。固定された足は大きな抵抗を与え、身体は制限された抵抗で回旋する。装置1の使用時におけるこの複雑な一連の動き及び筋肉の作動の横断方向の成分を再現するために、機械的レバレッジ(回旋点が爪先の上部に位置し、レバー(脚)が踵の下部に位置する)によって与えられる抵抗が矢状面及び前額面の抵抗と合成され、骨盤が固定され、足が自由に回旋可能とされる。
【0037】
装置1は、フットプレート5に概ね位置する少なくとも1つの慣性3D位置センサ34を有する。追加のセンサ35は、上腿部分15及び下腿部分16上に位置し、かつユーザの骨盤の中心に概ね沿って、骨盤-頭部位置決めシステム3の縁部上若しくはその付近又は任意の適宜の場所に位置し得る。センサ35を、加速度計又は力トランスデューサということもある。足底力が、フットプレートセンサ34の慣性運動の外挿によって、又はフットプレート5において他のセンサ35を配置することによって、測定されてもよい。センサ34、35、ウォームドライブ付きの電動モータ22、バルブ28、ディスプレイ12及び入力機構13は、電子部品24に物理的に又は無線で接続され得る。ウォームドライブ22は、部分21に示される。生体認証センサなどの他のセンサが、装置の設計に取り込まれてもよい。
【0038】
図6は、人間の歩行のチャートを示し、人間の歩行を可能とする7本の下肢生体力学軸まわりの回旋を示す。歩行は全平面にわたる複数の軸上での運動の複雑な融合となるが、それらの運動は説明の目的のために本図では分離されている。7本の下肢生体力学軸は、矢状面、前額面及び横断面に沿って股関節レベルに、矢状面に沿って膝レベルに、並びに矢状面、前額面及び横断面において足/足関節レベルにある。説明の目的のため、横断面は、伸展した膝位置がどのように股関節回旋を促すのか、並びに屈曲した膝がどのように足の内転及び外転を分離するのかを示す。チャートは、ウォーキングの歩容中における7本の軸まわりの概ねの動作度数の範囲を説明する。
【0039】
以下の説明は、本発明の実施形態がどのように複数の重力環境並びに歩行モード及び速度を歩行と実質的に同様に模擬するのかを示す。
図7は、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時における人間の歩行を可能とする7本の下肢生体力学軸まわりの回旋を説明する。歩行は全平面にわたる複数の軸上での運動の複雑な融合となるが、それらの運動は説明の目的のために本図では分離されている。装置1は、ユーザの矢状面、前額面及び横断面における全7本の下肢軸まわりに、かつ3Dでのウォーキング及びランニングの歩容の関数的動作の実行を可能とする。股関節における3軸は、前額方向軸、矢状方向軸及び横断軸をいう。これらの軸上の運動は、股関節の屈曲及び伸展(矢状面)、内転及び外転(前額面)並びに内旋及び外旋(横断面)といわれることが多い。膝における軸を矢状方向軸という。この軸上での運動は、膝の屈曲及び伸展といわれることが多い。相補的な膝運動(すなわち、脛骨回旋)が前額方向軸及び鉛直軸上で発生するが、これらの動作は、相対的に小さな振幅のものであり、歩行時に靭帯によって大きく制限されて膝を損傷から保護する。足/足関節複合体は、矢状面(底屈及び背屈)、前額面(内反及び外反)及び横断軸(足の内転及び外転)において移動する。歩行時に足/足関節複合体によって行われる複雑な多関節動作により、前額面及び横断面まわりの旋回を総称して回内及び回外という。
【0040】
図8A~8Cは、本発明の実施形態を示し、ユーザの矢状面に対するフットプレート5のデフォルトの鉛直位置を維持する装置1を示す。使用時に、機械的脚部4の平行四辺形構成は、装置1のROMの全体を通じて矢状面上にユーザの長手軸に垂直なフットプレートの位置を生成及び維持する。
図8Aは、中立位又は立位におけるフットプレート位置を示す。
図8Bは、股関節が伸展されかつ膝が屈曲された状態でのフットプレート位置を示す。
図8Cは、股関節が屈曲された状態でのフットプレート位置を示す。動作範囲の全体を通じて、フットプレートは、矢状面においてユーザの長手軸に垂直なデフォルト位置を保持する。
【0041】
図9A~9Cは、本発明の実施形態を示し、ユーザの矢状面に対するフットプレート5の位置の変動とともに装置1を示す。フットプレート5の位置の変動を、フットプレート5の角度又はフットプレートの角度位置ともいうことがある。フットプレート角度調整とは、電動モータ及びフォームドライブの、フットプレート5の角度を調整する能力をいう。電動モータ及びウォームドライブ22(
図5参照)は、矢状面においてユーザの長手軸に対してフットプレート5の角度を変えて上り坂又は下り坂の歩行環境を模擬するように、使用時にリアルタイムで調整可能である。
図9Aは、矢状面上のユーザの長手軸に垂直なフットプレート5のデフォルト位置を示す。
図9Bに示すように、部分20の伸長によって、フットプレート5は、デフォルトの鉛直位置に対して約-30度までの任意の角度でユーザの矢状面に対して「下り坂」で傾斜する。
図9Cは、部分21の伸長によって、フットプレートがデフォルトの鉛直位置に対して約30度までの任意の角度で「上り坂」で傾斜することを示す。
【0042】
図10は、本発明の実施形態を示し、前額面においてユーザの長手軸に垂直なフットプレート5の位置を生成及び維持する電動モータ及びギアボックス34(
図5参照)の調整付きの装置1を示す。終始一貫したフットプレート5の角度を生成及び維持するために、動力化されたフットプレート5は機械的脚部4の横方向の運動に応じて調整を行う。電動モータ及びギアボックス34は、前額面においてユーザの長手軸に垂直なフットプレート5の位置を生成及び維持するように使用時にリアルタイムで調整される。例えば、
図10Aは、フットプレート5の時計回り方向の旋回による左股関節の外転及び右股関節の内転、並びに前額面においてユーザの長手軸に垂直な位置を維持するフットプレート5の角度を示す。
図10Bは、股関節の外転も股関節の内転も示さず、フットプレート5の旋回も示さない。
図10Cは、フットプレートの反時計回り方向の旋回による左股関節の内転及び右股関節の外転、並びに前額面においてユーザの長手軸に垂直な位置を維持するフットプレート5の角度を示す。
【0043】
図11A~11Cは、本発明の実施形態を示し、装置1並びに電動モータ及びギアボックス34がどのように使用時にリアルタイムで調整されて前額面においてユーザの長手軸に対してフットプレート5の角度を変化させて左又は右傾斜歩行環境を模擬し得るのかを示す。
図11A~11Cに示すように、フットプレート5の角度は、前額面においてユーザの長手軸に垂直ではない。横方向の運動に応じて、動力化されたフットプレートは、可変のフットプレート5の角度を生成及び維持するように調整可能である。
図11Aでは、膝の屈曲が「上り坂」の側に増大し、フットプレート5の旋回が反時計回り方向に発生する。
図11Bでは、膝の屈曲の増加も、フットプレート5の旋回もない。
図11Cでは、膝の屈曲が「上り坂」の側に増大し、フットプレート5の旋回が時計回り方向に発生する。
【0044】
図12A~12Bは、本発明の実施形態を示し、装置1の上腿部分15及び下腿部分16のサイズ決めを示す。装置1は、上腿部分15及び下腿部分16に収容された電動ウォームドライブモータ22を用いて装置1の上腿部分15及び下腿部分16の調整によるそれらの上腿及び下腿の測定値に基づいて各ユーザに合うようにサイズ決めされる。
図12Aでは、ウォームドライブ22は上腿部分15及び下腿部分16の両部分に完全に格納される(36)。概ね最小のユーザ高さ38は、ヘッドレスト8からフットプレート5にかけて測定された約4フィート8インチである。
図12Bに示すように、ウォームドライブ22は、上腿部分15及び下腿部分16の両部分において完全に伸長している(37)。概ね最大のユーザ高さ39は、ヘッドレスト8からフットプレート5にかけて測定された約7フィート2インチである(
図2参照)。
【0045】
図13は、本発明の実施形態を示し、装置1上で仰臥位にある間の立位を模擬するために、ユーザが足底力41を付加するフットプレート5への3D機械的抵抗40の付加を示す。説明の目的のみのために矢状面における足底抵抗のみが示されるが、3面における機械的抵抗40は、装置1の使用時にユーザが足底力41を付加するフットプレートを介して方向付けられる。機械的抵抗は、上述したように、空圧シリンダ22によって与えられる(
図5参照)。
【0046】
図14は、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時の矢状面における機械的抵抗40の付加を示す。上述したような脚部分の空圧シリンダ22の調整(
図5参照)は、フットプレート5を上昇させ、ユーザに向けて引き戻し、重力を模擬する。上腿部分はまた、前後方向の地面ベクトルの慣性力を模擬するように作用する一方で、下腿は鉛直ベクトルの力を模擬する。これらの機械的な力5に対する足底力41のユーザによる付加は、歩行時に、地面効果フットプレート上での足底揺動プロセスに起因して、矢状面における股関節屈曲及び股関節伸展、膝屈曲及び膝伸展並びに足背屈及び足底屈のモーメントを生成する。機械的抵抗40は、(下腿空圧系によって生成される)重力鉛直ベクトル及び(上腿空圧系によって生成される)水平前後方向ベクトルの双方を模擬する。この抵抗は、歩容中に矢状面において筋骨格系が受ける力を模擬し、矢状面における股関節屈曲/伸展、膝屈曲/伸展及び足背部/足底屈曲モーメントを含む歩容適正運動力学パターンを引き出す。
【0047】
図15は、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時のユーザの前額面の長手軸上の機械的抵抗40の付加を示す。キャビネット-シャフト空圧シリンダ22(
図5参照)の調整によって、横方向の機械的抵抗が生ずる。フットプレート5に対するユーザの抵抗によって、装置1の使用時に前額面における股関節内転及び股関節外転並びに足内反及び足外反のモーメントが可能となる。この機械的抵抗は、歩容中に筋骨格系が受ける力を模擬し、前額面における股関節内転/外転及び足内反/外反を含む歩容適正運動力学パターンを引き出す。
【0048】
図16A~16Bは、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時の上側フットプレートの回動を介した横断面の機械的抵抗の間接的な付加を示す。横方向の機械的な力が付加されると、上側フットプレート5の回動におけるユーザ旋回力は、(ユーザの両膝が90度屈曲された場合に)横断面における足内転及び足外転のモーメントを分離する。フットプレート5に付加されるユーザの旋回力42は、(両膝が完全に又はほとんど伸展された場合に)歩行時の横断面における股関節内旋及び股関節外旋のモーメント並びに足内転及び足外転のモーメントを生成する。歩行時又は装置1の使用時に、横断力モーメントは、股関節及び足の双方のレベルにおいて生成される。装置1の使用時に、上側の回動による前額面の機械的な抵抗及びフットプレートのレバレッジの組合せが、股関節及び足の双方のレベルにおいて横断力モーメントを生成する。
図16Aに示すように、両膝が90度に屈曲されると、足内転43及び足外転44が存在する。
図16Bに示すように、両膝が0度に伸展されると、股関節内旋45及び股関節外旋46が存在する。分離された運動は、ここでは説明の目的で示される。歩行時かつ装置使用時において、股関節内旋/外旋及び足関節内転/外転は、一般的に、分離された運動ではなく、複雑な統合動作として発生する。ユーザの関数的なROMにわたる受動動作としても知られる補助的な下肢運動も、達成可能である。
【0049】
図17A~17Bは、本発明の実施形態を示し、歩容中かつ装置1の使用時における荷重応答期に受ける両地面反力ベクトルを示す。歩容中に受ける地面反力ベクトルが、装置1の使用時に再現可能である。
図17A~17Bは、結果としての力のモーメント及び筋肉の作動を、矢状方向視点から見たものとして示す。
図17Aは、歩容中の地面反力ベクトルを示す。
図17Aに示すように、歩容中には、いくつかの力が存在する。重力、運動力又は慣性力、及び結果としての衝撃力が存在する。
図17Bは、装置1の使用時に鉛直及び前後方向の地面反力ベクトルがどのように模擬可能となるのかを示す。
【0050】
図18A~18Bは、本発明の実施形態を示し、歩容中かつ装置1の使用時における荷重応答時の筋肉の作動を矢状方向視点から示す。歩容中に受ける筋肉の作動が、装置の使用時に再現可能となる。
図18Aに示すように、強調された筋肉群、主に、偏心股関節伸展筋47、偏心大腿四頭筋48及び偏心背屈曲筋49が、荷重応答期に歩容中に作動される。
図18Bに示すように、同じ筋肉群、偏心股関節伸展筋47、偏心大腿四頭筋48及び偏心背屈曲筋49が、荷重応答期において装置1の使用時に作動される。
【0051】
図19は、人間の歩行を示し、種々の歩容の立位時及び立脚中期に受ける相対体重(BW)の値を示す。様々な歩容により、歩行環境に対する筋骨格系の鉛直加速及び減速の相違に起因して、筋骨格系は変動する力の大きさ(BWとして表される)を受ける。例えば、
図19Aは地上に立つ人間が1BW(750N)を受けることを示し(50)、
図19Bはウォーキング時の人間が1.5BWを受けることを示し(51)、
図19Cはジョギング時の人間が2.5BWを受けることを示し(52)、
図19Dは全力疾走する人間が7.5BWを受けることを示す(53)。ジャンプからの着地時に、さらに高いBW値を受け得る。
【0052】
図20A~20Dは、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時における種々の歩容の立位時及び立脚中期に受ける相対BW値を示す。種々の歩容中に受けるBW値が、装置1の使用時に再現可能となる。抵抗を増加すると、種々の歩容のBW値の再現が可能となる。例えば、
図20Aは、約1BWのBW値の立位を模擬する装置上の人間を示す(50)。
図20Bは、約1.5BWのBW値のウォーキング時の立脚中期を模擬する装置上の人間を示す(51)。
図20Cは、約2.5BWのBW値のジョギング時の立脚中期を模擬する装置上の人間を示し(52)、
図20Dは、約7.5BWのBW値の全力疾走時の立脚中期を模擬する装置上の人間を示す(53)。
【0053】
図21A~21Dは、本発明の実施形態を示し、低重力環境を模擬するために、装置1の使用時の低減したBW値を示す。装置1の使用時におけるBW値は、低重力環境を模擬するように低減可能であり、又は漸進的エクササイズプログラム若しくはウェイト支持歩行を行うことができない個人による使用を可能とするように調整可能である。例えば、
図21Aに示すように、装置1は、約0.18BWのBW値で月面上での立位を模擬するように調整され得る(54)。
図21Bでは、装置1は、約0.38BWのBW値で火星上での立位を模擬するように調整され得る(55)。
図20Cでは、装置1は、約0.9BWのBW値で金星上での立位を模擬するように調整され得る(56)。
図20Dでは、装置1は、約1BWのBW値で地球上での立位を模擬するように調整され得る(57)。
【0054】
図22A~22Dは、本発明の実施形態を示し、歩行時に受けるのと同じ力のモーメント及び筋肉の作動のシーケンスを生成する装置1の使用時における低減された模擬GRFVを示す。装置1の使用時での低減されたBW値は、歩行時に受けるのと同じ力のモーメント及び筋肉の作動のシーケンスを生成する。
図22Aに示すように、BW値は、月面上の歩行を模擬するのに装置1上での歩行時に約0.18BWに低減される(54)。
図22Bに示すように、BW値は、火星上の歩行を模擬するのに装置1上での歩行時に約0.38BWに低減される(55)。
図22Cに示すように、BW値は、金星上の歩行を模擬するのに約0.9BWに低減される(56)。最後に、
図22Dに示すように、BW値は、地球上の歩行を模擬するのに約1BWとなる(57)。
【0055】
図23A~23Dは、本発明の実施形態を示し、矢状面におけるウォーキングの歩容中の関数的な立脚相のROMを示す。
図23A~23Dは、人間の歩容の立脚相中のROMを示す。例えば、
図23Aは、約20度での股関節屈曲、約5度での膝屈曲及び約0度での背屈による初期接地を示す(58)。
図23Bは、約17度での股関節屈曲、約18度での膝屈曲及び約4度での底屈による荷重応答期を示す(59)。
図23Cは、約7度での股関節伸展、約3度での膝屈曲及び約5度での背屈による立脚中期を示す(60)。
図23Dは、約16での股関節伸展、約37度での膝屈曲及び約22度での背屈による前遊脚期を示す(61)。
【0056】
図24A~24Dは、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時における関数的な立脚相のROMを示す。
図24Aは、約20度での股関節屈曲、約5度での膝屈曲及び約0度での背屈による初期接地を示す(62)。
図24Bは、約17度での股関節屈曲、約18度での膝屈曲及び約4度での底屈による荷重応答期を示す(63)。
図24Cは、約7度での股関節伸展、約3度での膝屈曲及び約5度での背屈による立脚中期を示す(64)。
図24Dは、約16度での股関節伸展、約37度での膝屈曲及び約22度での背屈による前遊脚期を示す(65)。
【0057】
図25A~25Dは、本発明の実施形態を示し、ランニングの歩容中かつ装置1の使用時における矢状面における関数的な立脚相のROMを示す。
図25Aは、約43度での股関節屈曲、約14度での膝屈曲及び約15度での背屈による初期接地を示す(66)。
図25Bは、約38度での股関節屈曲、約42度での膝屈曲及び約25度での背屈による装置1における荷重応答期を示す(67)。
図25Cは、約22度での股関節屈曲、約40度での膝屈曲及び約28度での背屈による装置1における立脚中期を示し(68)、
図25Dは、約10度での股関節屈曲、約40度での膝屈曲及び約10度での底屈による装置1における前遊脚期を示す(69)。
【0058】
図26A~26Dは、本発明の実施形態を示し、装置1の使用時における関数的な立脚相のROMを示す。ランニングの歩容中に受ける関数的なROMが、装置1の使用時に再現可能となる。
図26Aは、約43度での股関節屈曲、約14度での膝屈曲及び約15度での背屈による初期接地を示す(66)。
図26Bは、約38度での股関節屈曲、約42度での膝屈曲及び約25度での背屈による装置1における荷重応答期を示す(67)。
図26Cは、約22度での股関節屈曲、約40度での膝屈曲及び約28度での背屈による装置1における立脚中期を示す(68)。
図26Dは、約10度での股関節屈曲、約40度での膝屈曲及び約10度での底屈による装置1における前遊脚期を示す(69)。
【0059】
図27A~27Bは、本発明の実施形態を示し、ウォーキングの歩容中での足が固定されて骨盤が動く動作パターン70及び装置1の使用時での安定骨盤に対して足が動く状態で実行される同じパターン71を示す。
図27Aに示すように、ウォーキングの歩容中の踵接地において、その足は適所にロックされる一方で、骨盤は固定された足との関係で後方から前方に動く。荷重応答期、立脚中期、立脚終期及びその後の前遊脚期がある。
図27Bに示すように、装置1の使用時の踵接地において、骨盤は適所にロックされる一方で、足は前方から後方に動く。同様に、初期接地、荷重応答期、立脚中期及びその後の前遊脚期がある。装置において実行される動作パターンは、歩行時の骨盤の運動パターンを考慮し、それを足動作パターンと合成して、歩行時に発生する骨盤-足動作の全域を模擬しなければならない。
【0060】
図28A~28Cは、本発明の実施形態を示し、ウォーキングの歩容中の矢状面における安定骨盤の視点からの立脚及び遊脚相の足の動作を示す。
図28Aに、矢状方向立脚相パターンを示す。
図28Bに、合成された遊脚相及び立脚相パターンを示す。
図28Cに、遊脚相パターンを示す。
【0061】
図29A~29Cは、本発明の実施形態を示し、矢状方向の視点からの装置における立脚及び遊脚相の動作パターンを示す。
図29Aは、装置1の使用時における安定骨盤の視点からの立脚相パターン71を示す。
図29Bに、合成された遊脚相及び立脚相パターンを示す。
図29Cは、装置1の使用時における安定骨盤の視点からのフットプレート5の動作とともに遊脚相パターン71を示す。
【0062】
図30は、本発明の実施形態を示し、装置1に取り込まれた電子モジュールを示す。全ての装置設定、機能及びルーチンを制御する集積電子システム72がある。例えば、ユーザのサイズ決め入力が、キーボード、マウス又は音声などの入力機構13、73、74を用いてコンピュータ77に入力可能となる。管理者又はユーザは、ユーザインターフェース12及び/又は管理インターフェース75からの出力を受信する。入力がコンピュータ77に入力されると、入力はマザーボード76に伝達され、マザーボード76からはモータコントローラ80と空圧バルブコントローラ81との間に2方向通信がある。慣性、力、位置決めセンサ24からの情報は、装置のマザーボード76に送信される。ルータ/インターネット接続78が、遠隔サーバ79とコンピュータ77の間の2方向通信に供する。遠隔サーバ79は、ルータ/インターネット接続78及びコンピュータ77と通信する。交流約120V、10アンペアの電源82がある。
【0063】
図31は、本発明の実施形態を示し、装置に取り込まれるソフトウェアモジュールの関係を示す。統合ソフトウェアシステム83が、装置1の動作及びユーザ体験を駆動する。Windowsタブレット77などの別個のコンピュータ上で稼働し、データベース89を含むソフトウェアシステムがあり、それは電子機器72とインターフェースして、1)ユーザインターフェースを表示すること、2)複数のアカウントカテゴリを作成すること、3)データを入力すること、4)ユーザに対して装置をサイズ決めすること、5)出入のために装置を位置決めすること、6)装置を使用のために位置決めすること、7)プロトコルを作成すること、8)プロトコルを選択すること、9)プロトコルを修正すること、10)エクササイズセッションを開始すること、11)セッションをキャプチャすること、12)セッション中にリアルタイムフィードバックを表示すること、13)セッション結果を分析すること、14)セッション結果を(すなわち、適宜、ユーザ、患者、療法士、医師又は保険業者に)通信すること、15)ユーザのパフォーマンスに基づいて設定の適合を自動化すること又は16)治療若しくはエクササイズプロトコルに基づいて設定の適合を自動化すること、17)ユーザ又は療法士の選好に基づいて設定を手動で適合させること、及び18)VRビデオゲームインターフェースを取り込んで、ゲームをプレイすることによって(彼らの視点から)特定の3D歩行の課題を達成するようにユーザを誘導することによってユーザ適合性を向上することに供する。ユーザインターフェースとして作用するとともにデータベース89を含むソフトウェアアプリケーションは、オンボード電子機器72に取り込まれ、又は遠隔サーバ、コンピュータ若しくはゲーミングシステム(すなわち、Magic Leap、Microsoft Xbox、Sony PlayStation、Nintendo Switch、Microsoft Windows、MacOS、Oculus Rift、Apple iOS、Android、Steam、又は他のコンソール、クラウド、ウェアラブル若しくは可搬ゲーミングシステム)からアクセスされ得る。
【0064】
本発明のある実施形態によると、データベース89は、1)パフォーマンスパラメータ(すなわち、強度、柔軟性、速度及び耐久性)を記録し、2)患者のパフォーマンスを評価し、3)損傷、弱さ又は制御上の問題を特定し、4)経時的なパフォーマンスを比較及び対比し、5)定量的な治療の分析を与え、6)結果をユーザ又は他の当事者に適宜通信する。このデータベースは、装置上、ウェアラブル若しくはスマートフォンなどのユーザ装置上、又はクラウドベースのサーバ上のいずれかでホスティングされることになる。管理者(すなわち、装置の管理を担当する個人)、サービスプロバイダ(すなわち、製造業者、認定独立技術者又は社内技術者)、管理人(すなわち、トレーナ、コーチ、療法士、医師又は他の臨床医)、ユーザ(すなわち、治療患者、ゲーム遊戯者、アスリート又は一般フィットネスユーザ)及び支払者(すなわち、チーム、会社又は保険業者)を含む複数のユーザタイプが存在し得る。初期設置に応じて、管理者プロファイル84が作成され、機械用パラメータが定義されなければならない。最初の使用において、ユーザプロファイル90が各ユーザについて作成されなければならない。少なくとも、ユーザプロファイル90は、一意的なユーザ名及び下肢測定値(爪先-踵又は靴サイズ、足関節-膝、及び膝-股関節)を含まなければならない。これらの測定値の捕捉及び入力は、手動で(すなわち、巻尺又は定規で)又は自動的に(すなわち、モーションセンサ又はビジュアルスキャナで)行われ得る。測定値及びプロファイル情報は、記憶されると、将来のセッションにおけるサイズ決め及び設定のためのベースラインとなる。
【0065】
ソフトウェアは、電子機器及びセンサに、ユーザフィードバック及びガイダンスを与えつつリアルタイムで複数の平面における抵抗を管理するように指示することができる。
図32A~32Bは、本発明の実施形態を示し、歩行動作パターンの特定のセグメントがどのように特定の力のモーメント及び結果としての筋肉の作動に相関するのかを示す。特定の力のモーメント及び筋肉の作動を引き出す歩行動作パターンのセグメントは、フットプレート(歩行面)の視点からの動作の3平面を反映する複素3D曲線として分離可能である。これらのセグメントは、装置1の使用時におけるユーザの能動的な足の動作のための仮想的なガイドとなる。
図32Aは、ウォーキングの歩容の荷重応答セグメント(IC/LR)93を強調して、ウォーキングの歩容の合成立脚相/遊脚相の動作パターン92を示す。
図32Bは、ウォーキングの歩容の荷重応答セグメントに対応する力のモーメント及び筋肉の作動を特定するチャートである。
【0066】
図33は、本発明の実施形態を示し、ウォーキングの歩容の荷重応答(IC/LR)セグメント93のパフォーマンスに対応する力のモーメント及び筋肉の作動を示す。動作のセグメントは、仮想プログラミング要素(VPE)を生成するように適宜のGRFV値によってプログラムされ得る。その後、これらのVPEは、装置1において実行可能となり、選択された動作及びGRFVに基づいて、力のモーメント及び筋肉の作動を引き出す。VPEは、歩行動作の特定のセグメントに関するGRFV値を付加することによって生成されて関数的なVPEを生成することができる。GRFVの抵抗値は、臨床要件又はユーザパフォーマンス能力に適応される関数的な動作に供するように増減され得る。
【0067】
図34A~34Bは、本発明の実施形態を示し、VPEがどのようにユーザによって装置1上で実行されて関数的な運動力学パターンを引き出すのかを示す。
図32A~32Bは、矢状面視点を示す。一例として、
図32Aは、ウォーキングの歩容の荷重応答セグメントの間に発生する筋肉の作動を示す。
図32Bでは、図示するVPE94は、装置1におけるウォーキングの歩容中に荷重応答93のパフォーマンスを模擬するようにユーザを誘導するパターンである。歩行の力のモーメント及び結果としての筋肉の作動は、装置の使用時において視覚的プログラミング要素のパフォーマンスを通じて模擬可能となる。
【0068】
図35は、本発明の実施形態を示し、歩行時の種々の歩容を模擬するVPEのパフォーマンスをそれらの自然な順序で示す。VPEは、装置1の使用時のウォーキング又はランニングなどの関数的な歩容サイクルを模擬するようにそれらの自然な順序で配置され得る。
図35は、矢状面視点からの装置1でのウォーキングの歩容における一方の脚を誘導するVPEを示す。標準的な歩容運動外の運動を示す他の機能的なセグメントも、競技の運動(すなわち、キック、スキー又はジャンプ)に特異な動作に基づいて、展開され得る。これらの複雑な動作は、エクササイズセッションのパフォーマンスを駆動し、特定の又は全般的な歩行の課題を満足するように作用する。GRFV値は、関数的な関節-荷重及び筋肉-作動要件を満足するように増減可能であり、特定の関数的なパターンが、固有受容を同時に向上しつつ、最適な全体的歩行パフォーマンスを促進するように充分な反復で実行可能である。
【0069】
図36は、本発明の実施形態を示し、関数的な運動のセグメントを表さないVPEがどのようにして減少後の力の値に関連付けられ得るのか、全般的又は特定の機能的な目的を満足するゲームプレイパターンを作成するのにそれらの「非関数的な」VPEがどのようにして関数的なVPEと合成され得るのかを示す。減少後の力の値を有する様々な非歩行動作パターンで構成される非関数的なVPEは、特定のトレーニング又は治療の課題を満足するゲームプレイパターンを作成するように関数的なVPEと合成可能である。
図36は、ゲームプレイパスを作成する関数的及び非関数的なVPEの使用の矢状方向視点を示す。VPEは、特定の機能的な欠陥又は歩行の課題に相関付けられる。プロトコルを作成する処理は、所望の結果に影響を与えることが必要な歩行要素を特定すること、抵抗特性及び設定を全ての平面上で確立すること、並びに実行される反復回数を指定することを必要とする。力は、歩行の相中に各セグメントによって表されるGRFVを再現するように動的に調整される。そして、セグメントは、動的かつ関数的なエクササイズプログラムとして作用するゲームプレイパスを作成するように手動で又は自動的につなぎ合わされる。プログラミング言語が、膝蓋腱炎の処置のように特異的な又は全般的な歩行の健康状態及び適合性の向上のような広範な課題を支援する仮想現実(VR)ゲームを設計するのに使用され得る。個々のユーザの歩行の健康状態プロファイルが評価可能であり、ゲームプレイのベースラインとなる。フットプレート5は、独立して又は手若しくは他のコントローラとの関連で使用されるゲームコントローラとなる。足操作される各ゲームは、使用目的に応じた特定のセットのルーチンに従い、各ルーチンは個々のユーザの生体力学プロファイルに自動的に適合されている。刺激としてVRゲームを用いて関数的な動作パターンのセグメントをランダムなシーケンスで実行することによって、充分な反復の関数的な動作が、下肢の健康状態及び適合性の主観的な評価を与えつつ全ての歩行の課題を満足するように、漸増的かつ順次的な順序で達成可能となる。ユーザの強度及び制御が向上すると、抵抗のレベル及び追跡パラメータの精度が、手動で又は自動的に増加され得る。これらのVRゲームは、現実的なものであって、運動学を補正するとともに特定のパフォーマンスの問題(すなわち、ランニング又はスキー)に対処するために、下肢運動の解剖学的に正しいリアルタイムの表現を示すものであってもよいし、又は非現実的なものであって、アバターの画面上3D運動を駆動するようにユーザが足の運動を用いてストーリ展開を進むこと(すなわち、小惑星帯を通して宇宙船を飛行させる、又は雲から雲へジャンプする)を試みるものであってもよい。コンピュータのアバターを誘導するように足の動作を用いることで、ユーザに、現実的な関節負荷の下で、定義された関数的な動作パターンに従わせることになる。これらの運動は、適切な歩容力学を補強し、複雑な筋肉鎖又は個々の筋肉群を強化し、フィードバックを提供して意識的な固有受容を向上する。本発明は歩行の分野にわたって全てのユーザに作用するように設計されるが、様々な実施形態が、特定の視聴者のニーズ及び歩行の健康状態プロファイルに対処するように開発され得る。例えば、装置1は、脊椎エンジンを作動させる機構を組み込んで、安定化された頭部位置決めにより、安定骨盤からの関数的な胴体運動及び筋肉の作動を肩甲骨に与えることができる。
【0070】
図37A~37Bは、本発明の実施形態を示し、実際の歩行環境及び装置使用時にユーザが経験するような仮想歩行環境又は仮想面を示す。
図37Aは、自然環境を歩く個人を示す。
図37Bは、実際の歩行時に受けるのと同じ地面力及び物理的障害を経験しつつ、仮想歩行環境を見てその環境を歩く装置上の個人を示す。
【0071】
図38は、本発明のある実施形態を示し、歩行時に脊椎エンジンの作動を可能とする機構を取り込んだ装置1を示す。装置1は、装置1の使用時における3軸上の安定骨盤の視点からの関数的な脊椎動作範囲を可能とする脊椎可動システムを取り込む。
図38Aは、装置1の側面視からの動作の最大矢状方向範囲を示す。
図38Bは、装置1の側面視からの中立立脚を示す。
図38Cは、装置1の上面視からの動作の最大前額面方向範囲を示す。
図38Dは、装置1の端面視からの動作の最大横断範囲を示す。
【0072】
図39は、本発明のある実施形態を示し、関数的及び非関数的な運動の腕及び胴体のパフォーマンスを取り込む多軸全身運動システムとしての装置1を示す。装置1は、3軸(脊椎運動の単純化)脊椎可動システム(
図38A~38D)及び機械アームを取り込んで、(腕ごとの)7本の上肢軸、3本の脊椎軸及び(脚ごとの)7本の下肢軸上又はその軸まわりの関数的なROMの全体を通じて抵抗を生成する。全身運動システムが開発可能であり、これらの生体力学軸まわりの関数的な全身運動が可能となる。この代替システムは、装置1、脊椎可動システム、並びに脊椎エンジンの肩甲骨部分に取り付けられて肩、腕及び手首の完全なROMを可能とする全関節状機械アームシステム95を含む。ユーザの腕は、手掌及び手背を包み込む接点並びに上腕二頭筋を固定するカフによって支持される。頭部は脊椎可動システム(
図38A~38D)の遠端に取り付けられたヘッドレスト8によって支持されることになり、脊椎は動作の関数的な範囲内で自然な脊椎の運動を可能とする一連の水平クッションセグメント96によって支持されることになる。
【0073】
図40は、ある実施形態を示し、肢切断者又はフットプレート5との接触を介して能動的な抵抗を実行することができない個人による使用のために肢位置決め装置97又は副木を有する装置1を示す。肢切断者若しくはフットプレート5に抵抗を与えるのに足が使用可能でない個人による使用、又は装置1を主に若しくは部分的に受動動作装置として用いる患者のための使用を可能とするアタッチメントが開発され得る。生体力学に機能障害を有する者又は能動動作の能力がない者(すなわち、切断、脳外傷、脳卒中、神経筋疾患、麻痺、不安定な関節又は火傷に起因する)については、更なる機械的サポート(すなわち、位置決め装置又は副木)が、上腿又は下腿上に配置されてもよい。
【0074】
図41は、ある実施形態を示し、フィットネスセンター又はアスレチック環境におけるエクササイズマシンとしての装置1を示す。装置1は、フィットネスセンターに配置される市販のエクササイズ器具として開発可能であり、それはユーザのウェアラブル装置又はスマートフォンとインターフェースしてアクセスを可能とし、全般的な歩行の健康状態及び適合性の追跡及びモニタリングを可能とする。ある実施形態は、脈拍又は酸素レベルなどのユーザデータを取り込んで、最適な適合性を促進するために特定の心血管要件に結び付く歩行セッションを配信してもよい。ユーザは、個々のゲームプレイ98、ローカルなマルチユーザのゲームプレイ99又はマルチロケーション・マルチユーザのゲームプレイ100を介してエクササイズすることができる。ローカルな装置は、空圧源101を共有してもよいし、個々の空圧源102を特徴としてもよい。
【0075】
図42は、ある実施形態を示し、ローカル又はリモートの臨床監視による臨床環境におけるリハビリテーションマシンとしての使用を示す。装置1は、医師104の指示の下で作業する療法士103の監督の下で患者による使用のための理学療法装置として開発可能である。一人の療法士が複数の患者のリハビリテーションをローカルに(105)、リモートで(106)又はその両方でモニタリングすることができる。療法士は、患者のパフォーマンスに応じてリアルタイムでプロトコルをリモートで修正し、適用可能なHIPPA規制に準拠して、処方する医師、保険業者107又は他の当事者に情報を伝達することができる。このアプローチによって、治療リソースのより一層効果的かつ効率的な使用、及びリハビリテーションレジメンの有効性を評価するより良い手段が可能となる。医師は治療の処方をリモートで修正、延長又は終了することができ、保険業者は客観的な結果に応じて認可を延長又は終了することができる。
【0076】
図43は、ある実施形態を示し、リモート臨床監視付きの自宅用健康器具又は職場用器具として使用される装置1を示す。装置1は、医師109の指示の下で作業する療法士108の監督の下で患者による使用のための自宅用健康器具又は職場用リハビリテーションシステムとして開発可能である。
図43に示すように、一人の療法士が、患者の自宅110又は職場111において装置1を使用している複数の患者をリモートでモニタリングすることができる。療法士は、患者のパフォーマンスに応じてリアルタイムでプロトコルの変更を行うことができる。結果は、適用可能なHIPPA規制に準拠して、処方する医師、保険業者112又は他の当事者と共有可能である。
【0077】
図44A~44Bは、ある実施形態を示し、ティルト-リクライニング出入の機能を有するホームフィットネス装置としての使用を示す。
図44Aは、スタンド-リクライニング出入及びある実施形態と同様のレベルの機能を可能とするものの抵抗値を低下させて安価な構造の技術を用いるホームフィットネス装置としての装置1を示す。
図44Bは、使用時の装置を示す。ローカル又はクラウドベースのゲーミング環境及び産業レベルではない構造が、利用可能となる。
【0078】
図45は、ある実施形態を示し、ゲーミングシステムとしての使用を示す。簡素な抵抗機構(エラストマーコード及びケーブル駆動システムなど)及び既存のゲームプラットフォーム上で稼働するソフトウェアによる装置1の安価なゲーミングチェア113のバージョンが、歩行要件の全範囲に必ずしも対応しなくても、心血管適合性並びに歩行強度及びROMを向上するように作用し得る。複数の装置特有のゲームが、全般的な歩行の課題を満足する現在若しくは将来のゲームプラットフォームのために設計可能であり、又は特定のスポーツ若しくは活動に関するパフォーマンスの向上及び損傷防止の目的に対処するように特注される。機能的なフットレベルコントローラ115によって駆動されるように適合されたゲームによりソフトウェアが標準的な仮想現実ゲーミングシステム114上で稼働可能となると、ゲーミングシステムは足操作される。ゲーミングシステムは、ユーザが歩行又は非歩行の機能を模擬する仮想面も与える。そのようなシステムは、全ての歩行要件を満足するものではないが、ユーザの上半身の長手軸に対して鉛直位置を維持しつつ全7本の下肢生体力学軸まわりの歩行サイクル全体を通じて静抵抗又は漸増抵抗を与えるとともに、ゲームプレイ中の関数的な動作パターンを補正及び促進するようにリアルタイムのフィードバックを与えることによって、本発明の利益の多くを提供することができる。
【0079】
ある実施形態は、キャビネットの代わりに安価な消費材である成形プラスチックチェアベース又はゲーミングチェア113を特徴とし得る。チェア113は、軽量構造、ティルト-リクライニングのアクセス、及び簡素化された代替の抵抗機構を特徴とし得る。このバージョンの成形プラスチックの関節状ケーブル駆動脚は、全平面におけるユーザ調整可能な漸増抵抗のための交換可能なエラストマーバンドを特徴とする。ある実施形態は、フットプレート5の位置及び運動の3D位置モニタリングを特徴とし、この情報を、専用ゲームを稼働するVRヘッドセット、ゲームコンソール、コンピュータ又はクラウドベースのシステムに無線通信し得る。ソフトウェアは、従来のゲームコントローラの代わりに又はそれに加えてフットレベルコントローラ115を可能とするように適合された既存のVRヘッドセット114及び現在又は将来のゲーミングシステム上で動作可能である。
【0080】
図46は、ある実施形態を示し、宇宙空間又は他の天体上などの低重力環境における筋骨格の健康状態を維持するための使用を示す。
図46は、装置1が抵抗を与え、宇宙ステーション上又は惑星間飛行中などの低重力環境におけるGRFVを模擬するように開発可能であることを示す。ある実施形態は人工重力を生成するので、装置1は骨密度の保持を補助し、低重力環境における歩行の健康状態及び適合性を促進し、ストレージ要件を最小化しつつ宇宙旅行者に多くの健康上及び適合上の利益を与える。
【0081】
図47A~47Bは、ある実施形態を示し、宇宙空間又は他の天体上などの低重力環境における筋骨格の健康状態を維持するように設計されたウェアラブル装置を示す。
図47Aは、大気を有する低重力環境において装着される装置を示し、それは関節荷重、開発された関数的な抵抗、及び宇宙ステーション上又は惑星間飛行中などの低重力環境における模擬GRFVを与える。
図47Bは、人工大気も与える加圧スーツに取り込まれる同様の装置を示す。ある実施形態は人工重力を生成するので、それらは、骨密度の保持を補助し、低重力環境における歩行の健康状態及び適合性を促進し、宇宙旅行者に多くの健康上及び適合上の利益を与える。
【0082】
図48は、救助、産業又は軍用機器117のためのフットコントローラ116としての装置1の使用を示す。装置のある実施形態は、救助、産業、軍用又は他の用途(すなわち、航空機、重機、軍用ハードウェアのための代替の制御機構)の遠隔制御のために開発可能である。フットコントローラは、手を空けたまま他の機能(すなわち、救助活動、ドローン、採掘機器、宇宙機若しくは惑星探査機、又は警察/軍用ロボット)を実行する一方で、有害な又は遠隔の場所の装置のためのコントローラとして使用され得る。
【0083】
図49は、ある実施形態を示し、ユーザ位置決めシステム118に物理的には接続されていないが連携される抵抗機構117を示す。装置1は、ユーザが独立したチェア又はキャビネットに収容される抵抗壁におけるような主キャビネット2又はチェアからリモートに位置する抵抗機構及びフットプレート5とともに開発され得る。
【0084】
図50A~50Bは、ある実施形態を示し、ユーザがフットプレート5上に立つ縦向きでの使用119を示す。
図50Aは、フットプレート5の角形成及び矢状/前額方向の抵抗が種々の3D環境を模擬するように適用され得るが重力を低下させない縦(立位)向きでの装置1の側面図を示す。
図50Bは、端面視からの同装置を示す。ユーザは、安定骨盤状態で可変角のフットプレート5上に立つ。他の変形例は、自由な骨盤運動を可能とする縦方向又は仰臥位/リクライニング装置を特徴とし得る。
【0085】
図51A~51Bは、ある実施形態を示し、交番型片脚マシン120を示す。ユーザは、他方の脚が固定フットプレート5上に位置決めされた状態で一方の脚を鍛える。ある実施形態は、伸縮部分を有する脚部及び完全に動力化されたフットプレートの位置決めを備え得る。交番型片脚マシン120は、左脚制御と右脚制御とを交番可能な片脚エクササイザとして開発可能である。このバージョン又は任意のバージョンの装置1は、デフォルトの平行四辺形構成の代わりに、全平面における3面フットプレート位置決めシステム(すなわち、モータによって、空圧シリンダによって、又はケーブル駆動を介してモータによって直接制御される)を用いてもよい。抵抗機構の他の動力源(すなわち、エンジン、電動モータ、油圧ループ、エラストマーコード、バネ、吊下げ重り、他の力生成装置、又はこれらの何らかの組合せ)が使用されてもよい。
【0086】
ユーザ体験は、多数のソフトウェアルーチンのパフォーマンスに包含される。例えば、装置1に動力が与えられると、フットプレート5は、安全な出入を可能とするデフォルト位置に移動される。ユーザは、装置1に入ると、ステップを用いて装置の座面7の縁部上に座り、その後にその両足をフットプレート5に固定する。ユーザは、面7をリクライニングし、ヘッドレスト8及びハンドグリップ9を調整し、股関節をクッション7の縁部に安定化させるために必要であれば骨盤位置決め装置10を固定する。クッション7は、関数的な歩行ROMの限度内で脚の自由かつ完全な運動を可能としつつ、脊椎、肩及び腕のためのサポートを与える。ユーザは、エクササイズセッションを開始し、ハンドグリップ9を掴んで上半身の安定化をさらに補助する。全ての下肢動作は、安定骨盤に対して行われ、装置のセンサを介してモニタリングされる。選択されると、エクササイズセッションが開始され、外気圧縮機36によって生成されてストレージタンク27に供給された圧力が、脚の運動に抵抗を与える空圧シリンダ14を作動させるように方向付けられる。上腿及び下腿空圧シリンダ14は、フットプレート5を身体に向けて引き付けつつ脚を模擬立位に上昇させるように係合される。足底力をフットプレート5に対して付加することによって、模擬重力が各脚によって独立して相殺され、関節複合体に負荷がかけられる。ここで、ユーザは、立位と同様の中立立脚状態にある。そして、ユーザは命令(視覚的又は可聴的)に従い、抵抗が、矢状面、前額面及び横断面における関数的な歩行立脚のROM内で自由に移動するフットプレート5を通じて足の足底面に付加される。
【0087】
フットプレート5は、関数的なROMの全体を通じて身体の長手軸に対して垂直な位置を維持し、ユーザが歩行を模擬する仮想面を生成する。地面効果フットプレート5は、安定した歩行環境を生成するように、又は砂若しくはコンクリート上のウォーキングのような多様な歩行環境にわたって様々なGRFVを安全に模擬するようにプログラム可能である。装置1は、動的/可変の抵抗を全平面にわたってかつ全ての寸法において与え、関数的な歩容及びランニングサイクルのROMの全体を通じてリアルタイムのフィードバック及び歩行力学のガイダンスも与える。例えば、初回ユーザは、3D脚運動を用いて画面上のアバターの2D及び3D運動を制御する評価ルーチンを実行して歩行の健康状態及び適合性を評価するように指導される。各脚が個々に評価されてから、2本の脚が共同的に評価される。ユーザは、画面上2Dパスを最小の抵抗でかつ設定運動境界及び時間の制約内で辿るために、その足を移動させることによってサイクルを完了させるように指導される。パターンの完了が成功すると、より難しいパターンが(すなわち、抵抗又はROMを増加させること、3Dパターンを導入すること、タスクに割り当てられる時間を短縮すること、又はこれらの何らかの組合せによって)提示される。ユーザがレベルを達成できなくなると、処理が他方の足に対して繰り返される。片脚のタスクの結果を用いてROM及び力の設定を決定し、連携した足運動を必要とする同様の設定の両脚のタスクが実行される。
【0088】
抵抗に対抗してこれらのパスを辿るユーザの能力がそのベースラインの歩行速度、強度、制御及びROMを決定し、視覚的画像が生成及び表示されてその全般的な歩行の健康状態及び適合性を示す。特定のパフォーマンスの向上又は損傷防止の課題(すなわち、速度を向上すること、強度を高めること、又は損傷を防止すること)に対処するために、プロトコルが開発される。ユーザは予めプログラムされたエクササイズを選択して特定の目的を達成することができ、それらのプロトコルはその運動学及びパフォーマンスプロファイルに自動的に適合される。ある実施形態では、プロトコルは、特定の下肢の損傷の診断若しくはリハビリテーションの目的のために患者の評価を行うように、又は強度、制御若しくはROMの問題を特定するように開発される。ユーザが理学療法を行う患者である場合、療法士は、予めプログラムされた適切なプロトコルを選択し、又はVPEを用いてカスタムプロトコルを作成し得る。後続の使用において、ユーザは、そのユーザ名を入力してもよいし、又は自動的に特定されてもよい。ユーザのプロファイルに基づいて、マシンは、ユーザに合うように自動的に装置をサイズ調整し、そのエクササイズ履歴を表示し、エクササイズの選択肢を与える。ユーザは、装置上に位置すると、前回のセッションを継続することを選択し、又は代替のゲーム若しくはプログラムを選択することができる。各ゲームのパフォーマンスのパラメータは、履歴上のパフォーマンスを反映するように適合される。ウォームアップサイクルが、新たなセッションの前に実行される。ユーザが、上昇するレベルの強度、ROM、速度及び制御を必要とする人工歩行面上での一連のゲームをプレイすることによって、セッションの結果及び分析が適宜ユーザ、療法士、医師、保険業者又は他の当事者に自動的に通信され、ユーザは関数的な全般的な歩行強度を進化させ、又は特定のパフォーマンスの課題を達成する。
【0089】
説明及び図面の全体を通じて、例示の実施形態が、特定の構成を参照して与えられた。本発明が他の特定の形態において具現化可能であることが、当業者には理解されるはずである。当業者であれば、過度の実験を行うことなくそのような他の実施形態を実施可能となる。本発明の範囲は単に、本特許文書の目的のため、特定の例示の実施形態又は上記説明の代替例には限定されない。
【国際調査報告】