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特表2022-547901圧縮炭素繊維強化複合材料で作られたシーリング要素及び/又は支持リング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】圧縮炭素繊維強化複合材料で作られたシーリング要素及び/又は支持リング
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/20 20060101AFI20221109BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F16J15/20
C08J5/04 CER
C08J5/04 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514764
(86)(22)【出願日】2020-09-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020074885
(87)【国際公開番号】W WO2021044046
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】19196064.0
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592229502
【氏名又は名称】ブルクハルト コンプレッション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】フォーザー、アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
3J043
4F072
【Fターム(参考)】
3J043AA11
3J043CB06
3J043CB13
3J043DA11
3J043DA20
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB10
4F072AD07
4F072AD11
4F072AD42
4F072AD45
4F072AD46
4F072AG05
4F072AL16
(57)【要約】
本発明は、炭素繊維強化複合材料のチップの混合物の圧縮成形によって製造された、特に往復動圧縮機用のシーリング要素及び/又は支持リングに関する。チップの少なくとも一部は、3~20mmの長さの炭素繊維を含み、シーリング要素及び/又は支持リング内の炭素繊維はランダムな繊維配向を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維強化複合材料のチップの混合物の圧縮成形によって製造された、特に往復動圧縮機用のシーリング要素及び/又は支持リングであって、チップの少なくとも一部は、3~20mmの長さの炭素繊維を含有し、シーリング要素及び/又は支持リング内の炭素繊維はランダムな繊維配向を有する、シーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項2】
3~20mmの長さの炭素繊維を含有するチップは、3~20mmの長さの炭素繊維以外の長さの繊維を含まないことを特徴とする、請求項1に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項3】
チップの少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%又は70%、特に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、最も好ましくはすべてのチップが、3~20mmの長さの炭素繊維を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項4】
個々のチップ内の炭素繊維は、少なくとも互いに実質的に平行に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項5】
3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップが、20~70重量%の炭素繊維、好ましくは40~70重量%の炭素繊維、特に好ましくは60~70重量%の炭素繊維を含み、100重量%までの残りの部分が少なくとも1つの熱可塑性物質であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項6】
3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップが、3~10mmの長さの炭素繊維を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項7】
3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップが、ポリフェニレンスルフィド、ペルフルオロアルコキシポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミド、及び前述の熱可塑性物質の2つ以上の任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性プラスチックを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項8】
3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップは、熱可塑性物質として1種以上のポリエーテルエーテルケトンを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リングであって、
i)炭素繊維強化複合材料の少なくとも1つのテープであって、内部で炭素繊維が少なくとも実質的に平行に配置されている前記少なくとも1つのテープを提供する工程、
ii)炭素繊維方向を横断するように、前記少なくとも1つのテープをそれぞれ3~20mmの長さのチップに切断する工程、
iii)チップを金型に入れる工程、
iv)金型内のチップを加熱する工程、及び
v)金型内のチップを圧縮する工程
を含む方法によって得ることが可能であることを特徴とする、シーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項10】
工程ii)において、前記少なくとも1つのテープは、それぞれが1~10mmの幅を有するチップに切断され、チップの幅は長さよりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項11】
工程iii)において、チップはランダムな配向で金型に導入されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項12】
工程iii)において、チップは、好ましくは120~450℃の温度に、好ましくは320~450℃の温度に加熱されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項13】
工程iv)において、チップは0.1~30MPaの圧力で圧縮されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項14】
シールパッキンの支持リング、シールリング、バルブリング、バルブプレート、又はポペットバルブのポペットであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リング。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のシーリング要素及び/又は支持リングを少なくとも1つ含むピストン圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維強化複合材料のチップの混合物の圧縮成形によって製造された、特に往復動圧縮機用のシーリング要素及び/又は支持リング、そのようなシーリング要素及び/又は支持リングの製造方法、及び少なくとも1つのそのようなシーリング要素及び/又は支持リングを含む往復動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピストンリング又はパッキングリングなどのシーリング要素、ピストンガイドリングなどのガイドリング、及びピストンガイドリングなどのガイドシールは、その役割を果たすために幅広い要求を満たす必要がある。特に、適切な硬度、十分に高い引張強度、十分に高い破断点伸び、良好な形状順応性、高い耐老化性、低い圧力クリープ及びコールドフロー傾向、優れた耐薬品性、優れた耐熱性、及び(用途によっては)おそらく高い耐オゾン性を備える必要がある。例えば、シーリング要素が動いたとしても機能するようにするには、良好な形状順応性が必要である。さらに、長期間の運転後でも、負荷がかかった状態での低温状態での不可逆的な塑性変形を防ぐには、圧力クリープとコールドフローの傾向が低いことが不可欠である。
【0003】
優れた特性とするために、シーリング要素は、多くの場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をベースにした組成物から作られる。PTFEは、例えば、非常に広い熱的適用範囲、ほぼ普遍的な耐薬品性、及び優れた耐光性、耐候性、及び熱水蒸気に対する耐性を特徴としている。さらに、PTFEは、非常に優れた滑り特性、優れた耐接着性、優れた電気的特性、及び優れた誘電特性を特徴としている。しかし、コールドフローを低減し、機械的特性を向上させるために、PTFEは通常、純粋な形態では使用されず、フィラーで強化される。例えば、炭素、グラファイト、二硫化モリブデン、又は青銅の粒子がフィラーとして使用される。最近では、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの繊維が埋め込まれたPTFEマトリックスを使用した繊維強化複合材料が、この目的で多く使用されるようになってきている。しかし、このようなPTFEベースの材料は、機械的安定性が限られているため、より低い圧力範囲でのシーリング要素又は支持リングの用途に限定される。高圧での用途には、ポリイミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高性能ポリマーをベースにした対応する材料が使用される。例えば、10重量%の炭素繊維が埋め込まれたPEEKのマトリックスを有するものなどの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が、この目的のために使用される。
【0004】
通常、このような炭素繊維強化プラスチックで作られたシーリング要素及び支持リングは、通常最大長1mmの炭素短繊維を使用した射出成形によって製造される。そのような短繊維は、製造される構成要素の輪郭に沿って並び、製造された構成要素の表面から突出しないという利点を有する。繊維長が通常約0.1mmの短繊維が内部に使われている顆粒を焼結することにより、そのような構成要素を製造することも知られている。顆粒は圧力下で焼結され、繊維は製造された構成要素の内部にある。しかしながら、このように製造されるシーリング要素及び支持リングには強度に欠点があり、それらの比較的低い気密性、ならびにそれらの過度に高く不均一な熱膨張には改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、本発明は、強度が増し、より高い気密性、改善された低く、特に均一な熱膨張を特徴とし、往復動圧縮機での使用に特に適したシーリング要素又は支持リングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、炭素繊維強化複合材料のチップの混合物の圧縮成形によって製造された、特に往復動圧縮機用のシーリング要素及び/又は支持リングによって解決され、チップの少なくとも一部は、3~20mmの長さを有する炭素繊維を含有し、好ましくは、シーリング要素及び/又は支持リング内の炭素繊維はランダムな繊維配向を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この解決手段は、チップの少なくとも一部が3~20mmの長さの炭素繊維を含む、炭素繊維強化複合材料のチップの混合物の圧縮成形によって製造されたそのようなシーリング要素及び/又は支持リングが、強度の向上を示すだけでなく、特に高い気密性、及び改善された低く、特に均一な熱膨張を示すという驚くべき発見に基づいている。圧縮成形では、炭素繊維強化複合材料のチップを金型のキャビティに導入し、キャビティを加熱するとともにプランジャーを使用して閉じる。その結果、成形コンパウンドがキャビティの形状にプレスされる。小さなチップがキャビティに注がれると、それらはランダムに配置され、完成した構成要素にランダムな繊維配向が生じる。つまり、すべての方向に向いた炭素繊維が、完成した構成要素に含まれる。結果として、少なくとも大部分が等方性の特性を有するシーリング要素及び支持リングが得られる。特に、本発明によるシーリング要素及び支持リングは、比較的均一な熱膨張を特徴とし、プレス方向の熱膨張は、それに対する横断方向の熱膨張よりもわずかに高い。さらに、本発明によるシーリング要素及び支持リングは、プレス方向に対する横断方向における非常に低い熱膨張を特徴とし、その熱膨張は特に鋼の熱膨張の範囲内である。プレス方向では、熱膨張は炭素繊維強化複合材料のマトリックスを形成するプラスチックの熱膨張に対応する。熱膨張が小さいため、シーリング要素又は支持リングと、シール又は支持される構成要素との間(ピストンロッドと支持リングとの間など)に必要なクリアランスはわずかであるので、生じる隙間は一定の狭いものとなる。これにより、運転中の局所的な加熱のリスク、ひいては詰まりのリスクも軽減される。この材料は加熱された際に膨張しにくいのに対し、従来の支持リングは加熱すると膨張し、その結果、ピストンロッドに接触し、支持リングとピストンロッドとの間の摩擦及び相互加熱を引き起こす。本発明によるシーリング要素及び支持リングの機械的特性もまた比較的均一である。さらに、本発明によるシーリング要素及び支持リングは、より高い気密性を特徴とする。したがって、適切に製造されたバルブプレートを重ね合わせることが可能であり、その結果、非常に精密な表面が得られる。プレートはまた、非常に耐衝撃性があり、非常に耐熱性があり、温度係数が低く、軽量である。最後に、予想外にも、炭素繊維は3~20mmと比較的長いにもかかわらず、シーリング要素又は支持リングからはみ出さず、その結果、ピストンロッドなどの別の構成要素を擦らなかった。むしろ、本発明の文脈において、炭素繊維は、これらが構成要素から突出すると、それらの端部で砕けることが示されている。これらすべての理由から、本発明によるシーリング要素又は支持リングは、ピストン圧縮機での使用に特に適している。
【0008】
本発明によれば、シーリング要素及び/又は支持リング内の炭素繊維は、少なくとも2次元で、好ましくは3次元すべてでランダムな繊維配向を有する。すなわち、繊維によって付与される特性は、少なくとも2次元で、好ましくは3次元すべてにおいて等方性又は大部分が等方性である。
【0009】
本発明によれば、シーリング要素又は支持リングは、炭素繊維強化複合材料のチップから作製され、チップの少なくとも一部は、3~20mmの長さの炭素繊維を含む。炭素繊維の長さが3mm未満である場合、強度の増加及び低く均一な熱膨張などの本発明の利点は、もはや所望の程度まで得られない。炭素繊維が20mmよりも長いと、圧縮成形によって構成要素内の十分に高い繊維ランダム配向がもたらされないため、特性の均一性は所望の程度まで達成されない。
【0010】
本発明によれば、チップの少なくとも一部は、3~20mmの長さの炭素繊維を含む。本発明の上記の利点を高度に達成するために、本発明のさらなる開発において、圧縮成形で使用されるチップの少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%又は70%、特に好ましくは少なくとも80%及び非常に好ましくは少なくとも90%が、3~20mmの長さの炭素繊維を有するようにすることを提案する。
【0011】
最も好ましくは、圧縮成形で使用されるすべてのチップは、3~20mmの長さの炭素繊維を含む。
3~20mmの長さの炭素繊維に加えて、チップは異なる長さの炭素繊維を含んでいてもよい。しかしながら、3~20mmの長さの炭素繊維を含む各チップにおいて、含まれている炭素繊維の少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%又は70%、特に好ましくは少なくとも80%、そして非常に好ましくは少なくとも90%が、3~20mmの長さを有することが好ましい。さらに好ましくは、3~20mmの長さを有する炭素繊維を含む各チップのすべての炭素繊維は、3~20mmの長さを有する。
【0012】
最も好ましくは、圧縮成形で使用されるすべてのチップは、3~20mmの長さの炭素繊維のみを有する。本発明の目的のために、これは、チップに含まれる炭素繊維のそれぞれが3~20mmの間の長さを有することを意味すると理解されるが、各炭素繊維が3~20mmの間の長さである限り、すべての繊維の長さは必ずしも同じである必要はない。したがって、それぞれが5mmの長さを有する第1の炭素繊維、それぞれが10mmの長さを有する第2の炭素繊維、及びそれぞれが15mmの長さを有する第3の炭素繊維を含むチップは、3~20mmの長さを有する炭素繊維のみを含むチップである。
【0013】
上記のすべての実施形態において、3~20mmの長さを有する炭素繊維を含むチップが、3~10mmの長さを有する炭素繊維を含む場合、特に好ましい。
圧縮成形に使用される金型を充填するときに良好なランダム配向を得るために、本発明のアイデアのさらなる発展において、大きすぎないチップを使用することを提案する。特に、少なくとも実質的に正方形又は長方形の断面を有する少なくとも実質的に板状であり、長さが3~20mmであり、幅が1~10mmであり、厚さが1~5mmのチップを用いた際に、良好な結果が得られる。したがって、圧縮成形で使用されるチップの少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%又は70%、特に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、最も好ましくはすべてが、3~20mmの長さ、1~10mmの幅、1~0.5mmの厚さを有することが好ましい。特に、チップの長さは3~10mmであることが好ましい。
【0014】
好ましくは、個々のチップ内の炭素繊維は、少なくとも互いに実質的に平行に配置されている。本願の目的のために、個々のチップにおける炭素繊維の少なくとも実質的に平行な配置は、炭素繊維の少なくとも80%の長手方向繊維軸が、チップの炭素繊維の少なくとも80%の他のすべての長手方向繊維軸から20°を超えて逸脱しないことを意味する。好ましくは、これは、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくはチップのすべての炭素繊維に適用される。最も好ましくは、繊維の長手方向軸は、互いに10°以下、さらに好ましくは5°以下、特に好ましくは2°以下、最も好ましくは1°以下だけずれている。最も好ましくは、チップのすべての炭素繊維は互いに平行である。
【0015】
個々のチップにおける炭素繊維のそのような平行又は少なくとも実質的に平行な配置は、好ましくは、炭素繊維強化複合材料の少なくとも1つのテープを最初に提供することによって達成することができる。上記少なくとも1つのテープ内の炭素繊維は、平行に又は少なくとも実質的に平行に配置されており、上記少なくとも1つのテープが炭素繊維方向に対して横断方向に切断されて、それぞれが3~20mmの長さを有するチップになる。そのため、テープの炭素繊維の平行性は、そこから製造されたチップ内で維持される。
【0016】
特に、3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップが、20~70重量%、好ましくは40~70重量%の炭素繊維、特に好ましくは、60~70重量%の炭素繊維、例えば、約65重量%の炭素繊維を含み、100重量%までの残りの部分が少なくとも1つの熱可塑性物質である場合、良好な特性を有するシーリング要素又は支持リングが得られる。
【0017】
マトリックス材料は、必要とされる特性に応じて選択される。チップ、特に3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップのマトリックス材料の適切な例は、ポリフェニレンスルフィド、ペルフルオロアルコキシポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミド、及び前述の熱可塑性物質の2つ以上の任意の混合物からなる群から選択される熱可塑性プラスチックである。
【0018】
非常に好ましい実施形態によれば、少なくとも3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップは、熱可塑性物質として1種以上のポリエーテルエーテルケトンを含む。
特に良好な結果は、3~20mmの長さの炭素繊維を含むチップであって、20~70重量%の炭素繊維、好ましくは40~70重量%の炭素繊維、特に好ましくは60%~70重量%の炭素繊維、例えば約65重量%の炭素繊維を含み、100重量%までの残りの部分が1種以上のポリエーテルエーテルケトンであるチップで得られる。
【0019】
本発明を推進するために、シーリング要素及び/又は支持リングは、以下の工程を含む方法によって得ることが可能であるか、又は得られるものであることを提案する。
i)炭素繊維強化複合材料の少なくとも1つのテープであって、内部で炭素繊維が少なくとも実質的に平行に配置されている前記少なくとも1つのテープを提供する工程、
ii)炭素繊維方向を横断するように、前記少なくとも1つのテープをそれぞれ3~20mmの長さのチップに切断する工程、
iii)チップを金型に入れる工程、
iv)金型内のチップを加熱する工程、及び
v)金型内のチップを圧縮する工程。
【0020】
好ましくは、工程ii)において、少なくとも1つのテープは、それぞれが1~10mmの幅を有するチップに切断され、チップの幅は長さよりも小さい。
特に均質な特性を有するシーリング要素又は支持リングを得るために、工程iii)においてランダムな配向でチップを金型に導入することが好ましい。
【0021】
使用するプラスチックに応じて、工程iii)のチップは、好ましくは120~450℃の温度に、特に好ましくは320~450℃の温度に加熱される。
特に工程iv)でチップを0.1~30MPaの圧力で圧縮すると、特に熱膨張及び気密性に関して良好な結果が得られる。
【0022】
本発明によるシーリング要素及び支持リングは、シールパッキンの支持リングとして、シールリングとして、バルブリングとして、バルブプレートとして、又はポペットバルブのポペットとして特に適している。
【0023】
本発明の別の目的は、上記のようなシーリング要素及び/又は上記のような支持リングを含む往復動圧縮機である。
【国際調査報告】