(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】眼内圧を決定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20221109BHJP
A61B 8/10 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61B3/16
A61B8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514788
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 IB2020058314
(87)【国際公開番号】W WO2021053452
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522085585
【氏名又は名称】オフサルミック サンエンシーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハダス、ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ダン、ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C316
4C601
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA03
4C316AA07
4C316AA10
4C316AA11
4C316AA20
4C316AB16
4C316FA11
4C316FC04
4C601DD13
4C601EE11
(57)【要約】
被験者のIOPを決定するためのシステムは、被験者の眼の外面にわたって様々な大きさの圧力を印加するための加圧デバイスと、眼の内部血管系および眼の上または周囲の血管系を監視するための監視デバイスと、第1の圧力または圧力範囲を眼の内部血管系の脈動または虚脱と相関させ、第2の圧力または圧力範囲を眼の上または周囲の血管系の脈動または虚脱と相関させ、それによって被験者のIOPを導出するための処理ユニットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のIOPを決定するためのシステムであって、
(a)被験者の眼の外面にわたって大きさが変化する圧力を加えるための加圧装置と、
(b)前記眼の内部血管系および前記眼の上または周囲の血管系を監視するための監視装置と、
(c)前記眼の上または周囲の、前記眼の前記内部血管系の脈動または虚脱に伴う第1の圧力または圧力範囲と、前記眼の前記内部血管系の脈動または虚脱に伴う第2の圧力または圧力範囲とを相関させ、それによって被験者のIOPを導出するための処理ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記IOPの値は、前記第1の圧力範囲と前記第2の圧力範囲との間のシフトを計算することによって導出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記加圧装置が、前記眼を密封するように覆うためのカップの形状の要素と、前記カップの形状の要素によって前記眼の上に形成された空間を加圧するための圧力発生機構とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記カップがゴーグルまたはマスクの一部を形成する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記圧力発生機構がポンプである、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記監視装置が、可視光カメラ、非可視光カメラ、または超音波トランスデューサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記内部血管系が、前記眼の虹彩上で監視される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記眼の上または周囲の前記血管系が、前記眼の強膜で監視される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記監視装置が、前記ゴーグルまたはマスクに取り付けられている、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、前記第1の圧力範囲に圧力オフセットを加える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記加圧装置が、一方または両方の瞼に制御された圧力を加えるためのパッドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記大きさが変化する圧力は、徐々に増加する圧力である、請求項1に記載のシステム
【請求項13】
被験者のIOPを決定する方法であって、
(a)被験者の眼の外面に大きさが変化する圧力を加えることと、
(b)前記眼の内部血管系および前記眼の上または周囲の外部血管系を監視することと、
(c)前記眼の上または周囲の、前記眼の前記内部血管系の脈動または虚脱に伴う第1の圧力または圧力範囲と、前記眼の前記内部血管系の脈動または虚脱に伴う第2の圧力または圧力範囲とを相関させ、それによって被験者のIOPを導出することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記IOPの値は、前記第1の圧力範囲と前記第2の圧力範囲との間のシフトを計算することによって導出される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記内部血管系が、前記眼の虹彩上で監視される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記眼の上または周囲の血管系が、前記眼の強膜で監視される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の圧力範囲に圧力オフセットが加えられる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記大きさが変化する圧力は、徐々に増加する圧力である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、眼圧を測定するためのシステムに関する。本発明の実施形態は、被験者自身または操作者によって非臨床設定において利用され得る携帯型眼圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
眼圧(IOP)(intra-ocular pressure)の測定は眼科治療および手技の状態のモニタリングとともに、眼の様々な疾患および異常の診断において重要な手順である。
【0003】
眼圧は、眼圧計(tonometer)と呼ばれる装置によって測定される。従来の静止眼圧計は非常にかさばり、診療所に委託され、特別な訓練を必要とし、患者が垂直姿勢にあるときにIPOを試験することに限定される。
【0004】
幾つかの眼圧計は眼への接触を必要とし、従って、より複雑であり、使い捨ての無菌部品を使用することを必要とし得る。
【0005】
異なる被験者の位置でのIOPの測定は時には異なる読み取り値をもたらすので、いくつかの医師はいくつかの異なる位置でIOPを測定することを示唆する。
【0006】
眼圧測定を行うためには、小さな子供のような協力の得られない被験者は鎮静されなければならない。高齢者の場合、または救急室の設定において、被験者が腹臥している場合にIOPを測定する必要もある。
【0007】
改善された眼圧計を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
被験者により、または被験者まで容易に持ち運ぶことができる携帯型眼圧計を提供することができる。
【0009】
使用が容易であり、診療所の医療専門家によってではなく、家庭環境において被験者自身によって操作することができる眼圧計を提供することができる。
【0010】
被験者または操作者の訓練の準備を最小限にしながら、小児科の被験者に使用することができる眼圧計を提供することができる。
【0011】
任意の位置で使用することができる眼圧計を提供することができる。
【0012】
測定中に被験者に最小限の不快感だけをもたらすような眼圧計を提供することができる。
【0013】
比較的安価な眼圧計を提供することができる。
【0014】
IOP読み取り値を記憶し、遠隔装置および位置に転送することができる眼圧計を提供することができる。
【0015】
正確であり、手術前に大規模な訓練を必要としない眼圧計を提供することができる。
【0016】
眼圧計が提供され得、眼圧計は、同様の結果が複数の部位で測定されるまで、反復的な様式で眼の異なる部分をサンプリングすることによって、IOPを測定するように構成され得る。これは、単一のサンプリング点よりも位置決めの誤差に対してより許容可能であり、かつ、角膜の厚さなど、患者間の解剖学的変動による単一のサンプリング点の選択における誤差に対して許容可能で信頼性のある眼圧計を提供する。
【0017】
いかなる照準も必要としない、または眼と特定の空間的関係に装置を配置することができる眼圧計を提供することができる。
【0018】
両眼のIOPを同時に自動的に測定することができる眼圧計を提供することができる。
【0019】
中心眼動脈血圧、および診断または追跡目的に有益である様々な血管または区画内の他の圧力値の読み取り値を提供することもできる眼圧計を提供することができる。
【0020】
被験者の眼とのいかなる特別な位置合わせも必要としない眼圧計を提供することができ、ダイバーのマスクに類似し得るアイマスクの着用のみを必要とすることができる。これは、被験者自身による、または小児被験者の場合の眼圧計の操作を可能にし、処置を大幅に簡略化し、その結果、子供の親のような経験のないオペレータでさえ、被験者のIOPを容易に測定することができる。
【0021】
完全に自動的に作動させることができ、その作動をさらに単純化する眼圧計を提供することができる。
【0022】
眼に接触する必要がなく、眼に接触する使い捨て部品を必要としない眼圧計を提供することができ、したがって、眼圧計は複数の患者に容易に使用することができ、操作コストは非常に低い。
【0023】
患者がIOP測定のために診療所を訪ねなければならないときに適切に捕捉されて評価され得ないIOP日内変動を検出する機会を増加させるために、多かれ少なかれ連続的に、または複数の時点でIOP測定を実行するために使用され得る眼圧計が提供され得る。
【0024】
患者に情報を提供すると同時に、医師の診療所を訪れることなく、遠隔で、おそらくは1日に数回、IOP読み取り値を測定し、記憶し、送信するように構成することができる眼圧計を提供することができる。
【0025】
被験者の自宅で容易に運搬し、使用することができる眼圧計を提供することができる。
【0026】
訓練された職員と被験者自身の両方が容易に使用できる眼圧計を提供することができる。
【0027】
いかなる位置でも操作可能であり、麻酔または制約なしに、獣医診療で遭遇するもののように、小児患者および高齢患者、ならびに他の「困難である」被験者に使用可能な眼圧計が用意されてもよい。
【0028】
いかなる較正も必要としない眼圧計、または第2の「ゴールドスタンダード」装置からの測定値を使用する正規化が提供されてもよい。
【0029】
眼圧を測定することに加えて、場合によっては選択可能な照明条件下で、高精細度画像またはビデオまたはユーザの目を捕捉し、記憶し、遠隔データセンタにアップロードする眼圧計を提供することができる。
【0030】
眼圧計の動作は、本質的に自動であってもよく、被験者または操作者が眼圧計をオンにしたときに開始してもよい。眼圧計は手動ポンプ(例えば、バルブ)の形態の内部圧縮空気発生器、携帯型血圧モニターに見られるものに類似した電気ポンプ、又はシリンダ内を移動するバネ式又は電気的に作動されるピストンのいずれかを有することができる。
【0031】
眼圧計は、顔面に適用され、眼および眼の周囲の皮膚のいくつかの領域を覆う、密封されたマスクまたはゴーグルを含んでもよい。圧縮空気源が作動している間、それは眼の上の空気圧をある所定のレベルまで増加させ、次いで、それをゆっくりと解放するが、これは標準的な家庭用血圧モニターで行われているのと非常によく似ている。測定アルゴリズムによって指示されるように、他の圧力対時間プロファイルも可能である。
【0032】
眼圧計は、被験者がその上を凝視することができるターゲットを含むことができる。
【0033】
眼圧計は高品質の画像捕捉を可能にし、場合によっては緑色または紫色の波長の下で血管コントラストを高めるために、異なる波長の光または白色光で眼を照明する照明装置を含むことができる。
【0034】
ビデオカメラは眼のいくつかまたは全ての可視部分、ならびに眼の周りのいくつかの領域の画像を捕捉し、一方、これらの圧力変化は有効であり、画像分析プロセスは、血管、または眼の上または周囲(IOP圧力場の外側)および眼の内側(IOPに曝される)の両方の血管に富む領域を識別するために使用される。
【0035】
異なる空気圧では、カメラ視野内の静脈がより高い空気圧で脈動し始め、完全に虚脱(collapse)し始める。さらに高い圧力では、動脈は脈動し、虚脱し始める。眼の内側の血管はマスクの内側の空気圧に加えてIOPに曝され、眼の外側の血管は空気圧にのみ曝されるが、IOPには曝されない。眼の外側の血管が脈動または虚脱する圧力と、眼の内側の血管が脈動または虚脱する圧力とを比較する(または、これらの間の任意の他の関係を抽出する)ことによって、IOPを計算することが可能である。
【0036】
本発明と見なされる主題は、本明細書の最後の部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明はその目的、特徴、および利点と共に、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図3】前毛様体動脈直径脈動の読み取りのシミュレーションの一例を示す。
【
図5A】いくつかの外圧下での眼の血管脈動振幅ヒートマップである。
【
図5B】いくつかの外圧下での眼の血管脈動振幅ヒートマップである。
【
図5C】いくつかの外圧下での眼の血管脈動振幅ヒートマップである。
【
図6A】右眼に適用された外部圧力範囲にわたる強膜(点線)および虹彩(実線)脈動振幅を示す眼ヒートマップから導出されたグラフである。
【
図6B】左眼(
図6B)に適用された外部圧力範囲にわたる強膜(点線)および虹彩(実線)脈動振幅を示す眼ヒートマップから導出されたグラフである。
【
図7】本発明の教示によるIOPを導出するための画像処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細について述べる。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解されるのであろう。他の例では周知の方法、手順、および構成要素は本発明を曖昧にしないように詳細には説明されていない。
【0039】
本発明と見なされる主題は、本明細書の最後の部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明はその目的、特徴、および利点と共に、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【0040】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるのであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は明確にするために、他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は対応するまたは類似の要素を示すために、図面の間で繰り返され得る。
【0041】
本明細書におけるシステムへのいかなる言及も、システムによって実行され得る方法に必要な変更を加えて適用されるべきである。
【0042】
本発明の図示された少なくとも1つの実施形態は大部分が当業者に知られている微小電気機械システム(MEMS)構成要素および回路を使用して実装され得るので、本発明の基礎となる概念の理解および理解のために、また本発明の教示を曖昧にしたり、またはそれから逸脱したりしないために、上記で図示されたように必要と考えられるものよりも、詳細は、いかなる程度にも説明されない。
【0043】
明細書における方法への言及は、その方法を実行することができるシステムに準用されるべきである。
【0044】
眼内圧を測定するための装置は、当技術分野で周知である。そのような装置は典型的には角膜の規定された変形を生成するために必要とされる力を測定し、そのような力測定に基づいてIOPを計算する。このような力は、角膜に直接、または空気のパルスを通して加えることができる。臨床的に使用される眼圧計は信頼性のある結果を提供することができるが、非臨床的設定において信頼性のあるIOP読み取り値を提供する携帯型眼圧計装置が依然として必要とされている。
【0045】
本発明を実施に減らす一方で、本発明者らは、角膜に直接接触することなく、両眼のIOPを同時に測定するために使用することができるアプローチを考案した。本アプローチは、非熟練個体による非臨床設定において使用され得る。
【0046】
したがって、本発明の一態様によれば、被験者のIOPを決定するためのシステム(本明細書では眼圧計とも呼ばれる)が提供される。
【0047】
このシステムは、被験者の眼の外面にわたって変化する大きさの圧力を加えるための加圧装置と、眼の内部血管系および眼の上または周囲の血管系を監視(モニター)するための監視装置とを含む。
【0048】
加圧装置は眼を密閉的に覆うためのカップ形状要素と、カップ形状要素によって眼の上に形成された空間を加圧するための手動操作式(例えば、バルブ、ベローズ)または電気ポンプ(例えば、ぜん動ポンプ)のような圧力発生機構とを含むことができる。カップはゴーグルまたはマスクの一部を形成することができ、ゴーグル/マスクの両方のカップは、IOP読取り値を提供するために同時に操作される。カップ内の圧力は、0~120mmHgの範囲にわたって徐々に増加/減少する圧力とすることができる。あるいは測定プロセスを高速化するために、眼に加えられる流体(例えば、空気)圧力は脈動/虚脱のピークが予想される離散値を介して走査することができる。そのようなピークが検出されない場合、走査は、ピークが識別されるまで、異なる値で再開することができる。
【0049】
あるいは、加圧装置が1つまたは複数の眼が開いているときに、一方または両方の瞼に制御された圧力を加えるように構成されたパッドであってもよい。
【0050】
眼(単数または複数)内および眼(単数または複数)上/眼の周囲の血管系は、血管の脈動または虚脱を同定することができる任意の様式によってモニターされる。例としては、可視光カラーカメラ、BWカメラ、赤外線またはUVビデオカメラ、超音波距離またはドップラー変換器、または光反射距離センサが挙げられる。
【0051】
眼内の血管系(本明細書では「内部血管」とも呼ばれる)は、眼内圧と大気圧との組み合わせを受ける任意の血管を指す。眼の上/周囲の血管系(本明細書では「外部血管」とも呼ばれる)は、大気圧のみに曝される任意の血管を指す。
【0052】
内血管の例としては虹彩の主要動脈輪および小動脈輪、ならびに虹彩上または虹彩内に存在する任意の血管、強膜を通過して眼内に入る点から前毛様体動脈の一部、ならびに網膜動脈など網膜上に視認できる動脈、および正常では眼圧を経験する任意の他の血管が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
外部血管の例としては直筋から出て、強膜上に外部に配置された後の前毛様体動脈セグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
眼の虹彩では内部の血管を観察できるが、眼の強膜では外部の血管を観察できる。あるいは内部血管のモニタリングが網膜上の瞳孔を通すことができ、一方、外部血管は眼瞼または内側眼角の内部表面でモニタリングすることができる。
【0055】
本システムはさらに、眼の内部血管系の脈動または虚脱(血管サイズの減少)につながる第1の圧力または圧力範囲と、眼の上または周囲の血管系の脈動または虚脱につながる第2の圧力または圧力範囲とを相関させ、それによって被験者のIOPを導出するための処理ユニットを含む。ピーク脈動は、心拍数における周期的な画像変化を検出することによってモニターされ得、一方、血管の部分的または全体的な虚脱は色の平均的または相対的な変化(例えば、赤色から緑色-青色へのシフト)によってモニターされ得る。
【0056】
合理的な測定は全ての前記血管が1つの主要な血管である眼動脈から供給されるので、特に、血管が外圧によって制限される場合に存在するフローのない状況において、全てのこれらの血管における内圧は同一であると仮定する。内部血管はIOPと眼の上の空気圧との合計である周囲圧力を経験し、一方、外部血管は、眼の上の空気圧のみを経験する。両方の血管群は外圧が内圧を超えて増加するときに脈動し始め、虚脱するので、内血管および外血管の脈動につながる圧力または圧力範囲の間の差はIOPに等しい。強膜動脈の虚脱時の圧を全身血圧(BP)と相関させることが可能であり、それによって強膜血管の圧潰を測定する必要性をなくすことができる。
【0057】
以下の実施例の項では、ピーク脈動時に内血管および外血管の圧力または圧力範囲がどのように測定されるか、およびこれらの測定値からIOPがどのように導出されるかについて詳細に説明する。
【0058】
ここで図面を参照すると、
図1は、本明細書において眼圧計とも呼ばれる本システムの一実施形態を示す。
【0059】
図1において、眼2の周りの皮膚の一方または両方の眼1は、気密マスク3で覆われている。マスクは、皮膚適合性シール4を用いて、それが皮膚に対して静止している縁部の周りに封止される。マスクは2つの別個の容積、すなわち、各眼の上に1つ、または両眼の上に1つの容積を含むことができる。顔面とマスクとによって画定される容積内の空気圧は、CPU11からの指令によって作動可能な空気圧ポンプ5によって制御される。ポンプは、室内空気または他のガス源から供給される膜、ピストン、蠕動ポンプ、または任意の他のタイプのポンプであり得る。あるいは、加圧されたガスをマスク容積内に放出するための制御されたバルブを備えた加圧容器として実施することもできる。マスク容積内の圧力は、マスクの内部容積と流体連通する圧力センサ10によって測定され、0mmHg~120mmHgの範囲とすることができる。圧力センサからの読み取り値はCPU11に送られ、マスク内部の圧力変化と同様に、静圧を制御するために使用される。マスクは、必要に応じて、外部照明からの測定プロセスへの干渉を最小限に抑えるために不透明にすることができる。当然のことながら、マスクシールは、著しい漏れなしにこのような圧力に耐えなければならず、またはポンプは異なる顔の形状およびサイズを有するユーザに必要とされるように、いくらかの漏れを補償するように設計される。マスク自体は、様々な幅、瞳孔間距離、高さ、鼻腔、テンプルカバーなどで調整可能にすることができる。マスクを顔面に保持するストラップは異なるサイズのヘッドに適合するように調整可能にされるべきであるが、内側の空気圧がマスクを顔面から押し離すため、伸縮可能ではなく、ストラップはより高い圧力で10Kg以上に達し得るこの力に抵抗すべきである。ストラップはサイズを再調整することなくサイズおよび構成を設定した後、マスクの着脱が容易に行えるように、速いリリースバックルを有するべきである。
【0060】
それぞれの目の前には、ビデオカメラ6が設置されている。デュアル装置はそれぞれの目の前方になるように移動させることができるように調整可能な位置を有する2つのカメラを有してもよく、または、コストを節約するために、単一のカメラを一方の目から他方の目に移動させるカメラブラケットを有する装置を有する可能性がある。カメラからのビデオストリームまたは一連の静止画像は、初期処理のためにCPU11に送られる。ビデオカメラの焦点距離は、眼およびその周囲の皮膚、瞼、および眼の周囲の他の解剖学的特徴の詳細な画像を捕捉するように調整される。カメラ視野は、虹彩、角膜、強膜、瞳孔、および眼の前面の任意の他の部分、ならびに眼の周囲の瞼および皮膚を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、カメラはまた、眼の内側および後ろにある網膜および他の構造のビデオストリームを提供するように装備される。
【0061】
マスク容積内部の目の照明はいくつかの異なる色で1つまたは複数の光源12によって提供され、これは、700~1200nm範囲の近IRと同様に、300~400nm範囲の近UVと同様に、すべての可視色を含み得る。光源12は、蛍光灯、白熱灯、またはLEDであり得る。LEDのうちの1つまたは複数は測定プロセスによって必要に応じて任意の所与の時間に動作させることができ、各アクティブLEDの強度も、CPU11の制御下で変更可能である。LEDはすべて同時に両眼を照射するようにマスク内の単一の位置に集中させてもよいし、所望に応じてマスク内部壁上またはマスク容積内に分布させてもよい。各色に対して2つ以上のLEDを使用することができる。LEDの照明はエネルギーを節約し、明るすぎる光でユーザに迷惑をかけることなく、より良い照明を得るために、カメラの捕捉タイミングと同期させることができる。
【0062】
同じまたは追加のLEDは瞳孔を収縮させるために高強度の周囲光を提供することができ、したがって、視界および画像捕捉のために虹彩のより多くを露出させる。LEDおよび/またはカメラの前の偏光子は、濡れた眼の表面からの反射およびグレアを減少させるのに役立つ可能性がある。
【0063】
カメラ、圧力ポンプ、および圧力センサはすべて、試験ルーチンを実行するCPU11によって制御され、すべて、一次または再充電可能であり得るバッテリ7によって、または壁電源によって電力供給される。CPU11は測定を完了するテストルーチンを実行するか、または、未処理または半処理のデータを画像および他のデータとしてスマートフォンまたは他の外部計算装置9に送信して、IOPをさらに処理および計算し、ならびに測定を管理し、後の使用からのデータを記憶し、またはデータまたは測定結果を安全に記憶するためにクラウドまたはリモートサーバにアップロードし、結果を遠隔監視し、多くの患者からの結果にわたるビッグデータ分析などを行うことができる。
【0064】
上記の説明は例示的なものにすぎず、本発明の独特の実施形態と見なされるべきではないことを理解されたい。
【0065】
図2では、患者の眼21を拡大図に示し、そのすべての正面視可能な動脈を示す。左側では、外側直筋22が前毛様体動脈23を通って、結膜下の眼の外側に二重線円24でマークされた領域で、強膜上を短い距離を移動し、ここで眼上に存在する空気圧にのみ曝される。その後、強膜の井戸を通り、虹彩の主要な輪にある他の直筋からの他の毛様体動脈と合流する。点線/影付きの円25でマークされたこの領域を通過する間、それは、眼の上の空気の圧力に眼の流体、すなわちIOPによって生成される圧力を加えたもので眼の内側の圧力に曝される。
【0066】
眼の画像は
図2に示すように、各眼についてカメラ6によって捕捉され、解析のためにCPU11に供給される。画像は、オンボードCPUで解析することも、リアルタイムで処理するために送信することも、遠隔接続装置9で後処理することもできる。画像分析およびIOP計算ソフトウェアは、以下の実施例の項で説明するアルゴリズムを実行する。当然のことながら、ソフトウェアはオンボードCPUまたはリモートデバイスのいずれかにおいて、分析のために動脈または他の血管の最良のビデオ画像を得るために、1つ以上のLEDをオンにすることを選択し得る。特に注目すべきは、血管の視覚化に最適であると考えられる480~520nmでの照射である。
【0067】
眼のビデオおよび画像の分析はマスク容積内の圧力が全体0mmHgから、動脈が完全に虚脱する圧力としてソフトウェアによって決定されるある最大値までの部分範囲(これは、120mmHgほどの高さであり得る)にわたって変化する間に、実施される。この圧力が変化している間、測定プロセスは、IOPを決定するためにアルゴリズムを実行する。
【0068】
図3は、眼の空気圧が動脈内の血圧を含む範囲にわたって変化しているときの、眼の正面のビデオ画像から導出されるような、脈動による前毛様体動脈23の直径変化の読み取りのシミュレーションである。IPOを決定するために、他の動脈を監視することができることに留意されたい。
【0069】
図3の脈動する左のピーク線31は眼の内側にある動脈の部分の脈動を表し、強膜のウェルを通って入った直後、または虹彩の大円の一部として結合した後の動脈の部分の脈動を表す。これは
図2の点線/陰線の円25の内側の領域で測定される。動脈が経験する外圧が動脈内部の拡張期血圧よりも上昇し、最大振幅まで上昇し、動脈内部の収縮期血圧よりも外圧が大きくなるにつれて最小値まで低下することに注意する。
【0070】
同じことが、同じ動脈の脈動を表す、
図3の脈動する右ピーク線32にも当てはまり、眼の外側の移動の区間では筋肉から出た後、
図2の二重線の円24内の領域によって表される眼の容積に入る前に当てはまる。
【0071】
両方のトレースは同じ動脈の脈動を表し、2つの領域間の距離がちょうど1~3mmであるため、両方のセグメントは内側で同じ血圧を有し、同様の壁特性を有する。眼にわたる空気圧に対する動脈セクションの応答の差は眼の内側の部分がIOPの外部空気圧PLUSを経験し、眼の外側の部分が空気圧のみを経験するからである。
【0072】
したがって、IOPは、2つのグラフ間の圧力応答のシフトから推定することができる。このシフトは、脈動が始まる点、終わる点、最大に達する点を見ることによって、または任意の他の方法を使用することによって計算することができる。この計算を実行するための好ましい実施形態は異なる圧力シフトで2つのグラフエンベロープ間の相互相関を計算し、所望のIOPである最も高い相互相関を生成する圧力シフトを見出すことである。
【0073】
一旦、IOPが決定されると、眼にわたる空気圧を増加させ、眼内の特定の血管の脈動を見る同じプロセスが繰り返され得るか、または、他の重要なパラメータを測定するために、これらの追加の血管からのデータが初期サイクルと同時に取得され得る。例えば、網膜中心静脈の反応を圧力下で見ると、その動脈の血圧測定が可能であり、これは頭蓋内圧と等しい。また、網膜中心動脈についての同じ測定も、頚動脈の開存性の推定に用いることができる。これは現在眼圧測定検査では行われているが、非接触オプションで行われているものと同様であり、眼圧補正を伴うものである。
【0074】
脈動は、心臓活動による血圧変化によって生成されるので、心拍数の読み取りも同時に可能である。心拍変動および不整脈も、脈動する血管のビデオ画像から検出することができる。
【0075】
カメラの平面視において露出された血管を用いて、カメラの視野にある動脈および静脈において別々に酸素飽和度を測定することが可能である。これは、標準的な多重波長、反射酸素測定技術を用いて達成することができる。これは、眼の中で別々に見られる血管、ならびに涙管カルンクルのような眼の周りの血管系に富む領域からの標準的な反射酸素測定に適用され得る。赤色波長と赤外線波長のような異なる波長の照明下で、カメラからのビデオストリーム内の測定のために、小さな領域が隔離されてもよい。
【0076】
図4は、調整可能な圧力マスクの一例である。マスク本体41は、内部の空気圧によって生じる数Kgの力に耐えることができる、非常に硬質のプラスチックで作られる。マスクフレームは、中央に1つ左右両端付近に2つの、3つの回転可能なジョイント45に連結された4つの部分に分割される。ジョイントを調整することにより、マスクの使用者の顔への適合が可能になり、次いで、ジョイントは指ネジ46を回すことにより、その位置でロックされる。眼の前のマスクの前面は透明であるため、光学系は眼の画像を捉えることができる。1つまたは複数のカメラおよび照明器は眼がその視野内にあるように、マスクの前面に調整可能に取り付けられる。
【0077】
皮膚に向かうフレーム縁部はマスクの下に閉じた容積を形成する非常に柔らかいシール42で覆われており、このシールは、空気圧を内部に維持する。シールはリーフがフレームの下に入るL字型の断面を有する空気圧シールであり、マスク容積の内側の皮膚の上に突き出ていてもよい。
【0078】
マスクは柔らかく、弾力性があるが、伸縮性のないバンド43で顔に保持され、このバンドは使用者が顔に密着するまで引っ張る留め金44を使用して調整することができる。
【0079】
カメラについて言及された先の文章は、他のセンサが外部圧力の関数として脈動振幅を感知するために使用されてもよいことに留意されたい。例えば、カメラ以外の深さセンサを使用して動脈の脈動を感知することができる。
【0080】
眼圧計は(ECG信号から導出された)心拍数および位相における画像の特定の領域の、特定の色または色範囲における画像の(領域にわたる)平均強度、コントラスト、動き、または任意の他のパラメータの時間的変動を測定するように構成されてもよい。
【0081】
脈動する動脈はその寸法を変化させるので、超音波(距離またはドップラ)センサ、光学距離センサ(眼からの光線の反射を使用する)、またはレーザー干渉センサのような心拍数でのマイクロメータレンジ運動を検出することができる任意の他のセンサを使用して、これらの変化を遠隔的に検出することができ、これは、角膜着色構造によって部分的にまたは全体的に隠されている、眼の内側の動脈の脈動を検出するためにとりわけ関連し得る。
【0082】
図のいずれも、縮尺通りであってもなくてもよい。
【0083】
「備える」、「含む」、「含むことができる」及び「含む」という用語のいずれかへの言及は、「から成る」、「から成る」、「から本質的になる」という用語のいずれにも適用することができる。
【0084】
前述の明細書において、本発明は、本発明の実施形態の特定の例を参照して説明されてきた。しかし、添付の特許請求の範囲に記載された本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることは明らかであろう。
【0085】
さらに、明細書および特許請求の範囲における用語「前」、「後」、「上」、「下」、「上」、「下」などは、もしあれば、説明の目的のために使用され、必ずしも恒久的な相対位置を説明するために使用されるわけではない。理解されるべき点は、これらの用いられる用語が本願明細書に記載された実施形態を例えば図示された方向又は本願明細書に記載された方向以外の他の方向で動作させるような適切な環境下で相互に交換可能であることである。
【0086】
当業者であれば、要素間の境界は単に例示的なものであり、別の実施例は、要素を併合するか、または様々な要素に機能性の代替の分解を課すことができることを理解するのであろう。したがって、本明細書に示されるアーキテクチャは単に例示的なものであり、実際には、同じ機能を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。
【0087】
同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は所望の機能性が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素はアーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように、互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は所望の機能を達成するために、互いに「動作可能に接続されている」、または「動作可能に結合されている」と見なすこともできる。
【0088】
さらに、当業者は、上述の動作間の境界が単に例示的なものであることを認識するのであろう。複数のオペレーションは単一のオペレーションに組み合わされてもよく、単一のオペレーションは追加のオペレーションに分散されてもよく、オペレーションは時間的に少なくとも部分的にオーバーラップして実行されてもよい。さらに、別の実施例は特定の動作の複数のインスタンスを含むことができ、動作の順序は、様々な他の実施形態で変更することができる。
【0089】
また、例えば、一実施形態では、図示された例が単一のデバイス上に配置された回路として実装されてもよい。あるいは例は適切な方法で互いに相互接続された任意の数の別個の装置または別個の装置として実装されてもよい。しかしながら、他の修正、変形及び代替も可能である。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。
【0090】
請求項において、( )の間に付された参照記号は、請求項を限定するものと解釈してはならない。「有する(comprising)」という語は、請求項に列挙されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書で使用される用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上として定義される。また、請求項中の「少なくとも1つ」及び「1つ以上」のような導入語句の使用は、当該導入された請求項を含む特定の請求項が「a」又は「a」のような「少なくとも1つ」又は「少なくとも1つ」の導入語句及び「a」又は「a」のような不明確な物品を含んでいる場合であっても、当該導入された請求項を含む特定の請求項を1つの当該要素のみを含む発明に限定していることを意味すると解釈すべきではない。特に示されない限り、「第1」及び「第2」のような語は、これらの語が表す要素間を任意に区別するために用いられる。従って、これらの語は必ずしも要素間の時間的又は他の優先順位を示すものではない。
【0091】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、説明されてきたが、多くの修正、置換、変更、および均等物が、当業者には今や思い浮かぼう。従って、特許請求の範囲は、そのような修正及び変更全てを本発明の技術思想及び技術的範囲に含まれるものとして保護することを意図していることを理解されたい。
【0092】
本発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴は限定することを意図しない以下の実施例を検討することにより、当業者に明らかになるのであろう。
【0093】
実施例
【0094】
ここで、以下の実施例を参照するが、これは上記の説明と共に、本発明を非限定的な様式で例示する。
【0095】
眼圧測定
【0096】
本アプローチは眼に圧力を加え、強膜(外部血管)上の血管の最大脈動振幅をもたらす圧力と虹彩(内部血管)内の血管の最大脈動振幅をもたらす圧力との間の差を計算することによって試験された。
図7は本プロセスの概要を示す。
【0097】
眼のモニタリング
【0098】
18MP,2/3インチセンサーカメラ(IDS)を用いて、カラービデオストリームを毎秒50フレーム、眼の2Mピクセル解像度(1920X1080)で撮影した。カメラには、10μm/ピクセル解像度を提供する2/3インチ、1.8/25mmのCマウントレンズ(Kowa)レンズを装備した。白色LEDマトリックスによって眼を照明した。パソコンに映像を送信して処理した。
【0099】
眼圧測定
【0100】
エラストマー空気シールを有するフェースマスクを使用して両眼を覆い、眼の上に密封容積を形成した。マスク内部の空気圧は、Arduino制御装置を備え、10Hzのメインループで作動するDCモータメンブレンポンプによって発生され、制御された。マスクに取り付けられた圧力センサからの圧力読み取り値は、プロセスを制御するアルデュイノ(Arduino)及び全てのデータを収集するPCに連続的に送られた。
【0101】
画像解析とIOP計算
【0102】
ビデオ分析ソフトウェアを使用して、特定の周囲圧力レベル下で脈動挙動を示すことが見出された強膜および虹彩上の特定の領域から、きれいな「脈動」信号を抽出した。ソフトウェアは、圧力センサから受信した10Hzの圧力データを考慮してビデオを解析する。
【0103】
瞳孔はマスク探索を使用して各フレームにおいて検出され、その位置は眼上の他の特徴または選択された領域の位置のための主基準点として使用された。
【0104】
簡単に述べると、ビデオの各フレームは、それぞれ20X20ピクセルのサブ領域に分割された。新しいフレーム内の20X20サブ領域とのサブ領域の相互相関を計算し、その位置を50X50ピクセルサーチ領域にわたって単一ピクセルだけ掃引することにより最大相互相関値を探索することにより、各サブ領域を次のフレームまで追跡した。合計900の価値を計算し、新しいサブエリア位置を最大相互相関の位置に設定した。このプロセスは、画像内の全ての可能なサブエリアについて、及びキャプチャされたビデオの全てのフレームにわたって繰り返された。このプロセスは、眼内の血管が互いに対して移動するいくつかの層上に存在するので、必要であった。
【0105】
安定化に続いて、複数のベクトルが、ビデオ内の全てのフレームにわたって特定のピクセルの連続した値を表す各ベクトルと共に生成された。
【0106】
平均値からの大きな偏差は測定値の異常値を示す。このような点滅、ユーザの動き、またはビデオアーチファクトは、これらの値を最後の有効な値に置き換えることで除去された。生成された単一画素ベクトルの各々は、異なる色空間に投影された。新しい空間は最初に、緑、赤、および値(HSV空間内)のための3つの新しいベクトルを生成し、これらのベクトルに対するPCA演算子(SVD内)を使用することによって作成された。次に、元のベクトルに最も少なく存在する色を表すベクトルが選択された。元のベクトルのすべてのピクセルがこのベクトルに投影され、その後平滑化されて高域が通過された。このプロセスは脈動信号対雑音およびアーチファクトのSNRを大きく増加させた。
【0107】
ユーザの心拍数は検査が進行している間にシフトし得るので、エネルギーは元の心拍数(HR)の周りの周波数範囲にわたって計算される。HR周波数でのエネルギーを計算するために、得られたベクトルのFourier変換を行った。
【0108】
各サブエリアに対してヒートマップが生成され、信号は目の画像上で色付きの正方形として描写された(
図5A~5C)。より大きなエネルギーはより暗く、一方、より低いエネルギーはより明るく、左上の暗いドットは瞳である。
【0109】
次に、IOPをヒートマップから計算した。周囲空気圧の関数として脈動エネルギーのより大きな変動を実証したサブエリアを選択し、それらのデータを平均し、強膜血管および虹彩血管の両方について圧力の関数としてプロットした(
図6A~6B)。強膜最大エネルギー圧と虹彩最大エネルギー圧との差がIOPである。
【0110】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0111】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであろうことは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内にある、そのような代替、修正、および変形のすべてを包含することが意図される。本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または同定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】