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特表2022-547943伸長センサおよび伸長センサを含む着用物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】伸長センサおよび伸長センサを含む着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/113 20060101AFI20221109BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61B5/113
A61B5/11 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515616
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2020075115
(87)【国際公開番号】W WO2021048149
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】19306081.1
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520352506
【氏名又は名称】クロノライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】デュマス パスカル
(72)【発明者】
【氏名】シェネグロ ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】カラ ステファヌ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB19
4C038VB28
4C038VB33
4C038VC20
(57)【要約】
伸長センサ(101)は、弾性電気絶縁コア(102)と、反対方向におよび互いに接触して弾性コアの周囲に螺旋状に配置された少なくとも2つの抵抗素子(103、104)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品であって、
-可撓性支持体(302)と、
-少なくとも1つの伸長センサ(101)であって、前記着用物品の着用者が呼吸するときに、または前記着用者の筋肉が収縮または弛緩するときに、変化する長さを有するように、前記可撓性支持体(302)に配置された少なくとも1つの伸長センサ(101)と、
-前記可撓性支持体(302)に配置された少なくとも1つの可撓性ストリップ(401)と、
を備え、
前記伸長センサは、
-弾性、電気絶縁コア(102)と、
-前記弾性コア(102)の周囲に螺旋状に配置された少なくとも2つの抵抗素子(103,104)と、
を備え、前記抵抗素子(103,104)のうちの2つは、反対方向におよび互いに接触して螺旋状に配置され、
前記少なくとも1つの可撓性ストリップは、シースを形成し、前記伸長センサ(101)は、前記シースに配置される、着用物品。
【請求項2】
請求項1に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサ(101)の前記抵抗素子(103,104)の各々が、金属めっきされたポリアミド系材料を備える、着用物品。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1項に記載の着用物品であって、互いに接触する前記少なくとも1つの伸長センサ(101)の前記抵抗素子(103,104)は、200W/m未満の抵抗を有する、着用物品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサ(101)の前記コア(102)は、エラスタン材料から作製される、着用物品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサの前記抵抗素子(103,104)は、0.9mmから1.8mmの範囲のピッチで前記コア(102)の周囲に螺旋状に配置される、着用物品。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサ(101)の前記2つの抵抗素子(103,104)の各々は、前記可撓性支持体(302)に取り付けられた2つの端部を有する、着用物品。
【請求項7】
請求項6に記載の着用物品であって、前記抵抗素子(103,104)の端部は、縫合によって前記可撓性支持体(302)に取り付けられる、着用物品。
【請求項8】
請求項7に記載の着用物品であって、前記抵抗素子(103,104)の端部にそれぞれ縫合によって接続された1対の導電糸(303)をさらに備える、着用物品。
【請求項9】
請求項8に記載の着用物品であって、前記導電糸(303)は、前記可撓性支持体(302)に縫い付けられる、着用物品。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記伸長センサ(101)は、前記着用物品が前記着用者によって着用されているときに、プレストレスを受けるように構成される、着用物品。
【請求項11】
衣類(301)の形態の、請求項1から10のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサ(101)は、前記着用者の胸部の周りに位置するように配置された伸長センサを備える、着用物品。
【請求項12】
衣類(301)の形態の、請求項1から11のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの伸長センサ(101)は、前記着用者の腹部の周りに位置するように配置された伸長センサを備える、着用物品。
【請求項13】
被験者の呼吸を検出するための請求項1から12のいずれか1項に記載の伸長センサ(101)を備える着用物品の使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、伸び測定技術の分野に関し、特に、伸長センサに、および、着用物品に埋め込まれ、呼吸または筋肉活動(すなわち、収縮および弛緩)などの身体状態をモニターするのに使用可能である、伸長センサに関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の生体信号を検出および処理するための電子機器が開発されており、それにより、人々の医学的管理が通常の活動または状況中に可能になる。センサは、温度測定を実行するために、生理学的パラメータを決定するために、または、例えば心臓機能に関連する電気信号を検出するために、使用者の皮膚または特定の身体領域、例えば胸部に適用され得る。これらのセンサによって送出される様々な信号を監視することによって、健康を害する可能性のある使用者固有の生理学的状態を決定することが可能になる。例えば、個人が発作を起こしている場合、特定の信号特徴が、心電図(ECG)または呼吸に対応する信号に現れる。
【0003】
呼吸活動を恒久的に監視する便利な可能性は、呼吸センサを衣服または他の何らかの着用物品に組み込むことである。そのような呼吸センサは、使用者の呼吸の周波数および振幅などのパラメータに関する情報を取得し、監視、診断、または刺激装置などの外部医療機器にそれを送信する。
【0004】
しかしながら、従来の呼吸センサは、感度に欠けることがあり、面倒であることがあり、従って、使用者にとっての快適さの欠如を引き起こす。さらに、それらは壊れやすいことがあり、衣類へのそれらのアセンブリおよびそれらの電気的接続は複雑であり得る。
【0005】
同様に、例えば、発作、てんかんまたは痙攣(例えば、ミオクローヌス発作またはミオクローヌスてんかん)の場合の筋肉の痙攣または攣縮を監視するために、筋肉活動、例えば筋肉痙攣を測定することができるセンサを有することが望ましい。
【0006】
呼吸センサを組み込んだ衣類の例は、従来技術に開示されている。例えば、特許文献1は、金属繊維と混合された織物繊維または織物繊維と撚られた金属糸からなる導電糸の使用を開示している。しかしながら、その使用は、ウェアラブル装置に組み込むために特定の編み込みプロセスと、導電糸を測定装置に接続するために剥離工程と、を必要とする。同様に、特許文献2は、編まれた呼吸センサを開示している。
【0007】
従って、上述した課題を解決する伸長センサが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2007/0171024
【特許文献2】US 2018/0042551
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、着用物品を提供し、その着用物品は、
-可撓性支持体;
-少なくとも1つの伸長センサであって、着用物品の着用者が呼吸するときに、または着用者の筋肉が収縮または弛緩するときに、変化する長さを有するように、可撓性支持体に配置された少なくとも1つの伸長センサ;および
-可撓性支持体に配置された少なくとも1つの可撓性ストリップ、
を備え、
伸長センサは、
-弾性、電気絶縁コア;および
-弾性コアの周囲に螺旋状に配置された少なくとも2つの抵抗素子、
を備え、
抵抗素子のうちの2つは、反対方向におよび互いに接触して螺旋状に配置され、
少なくとも1つの可撓性ストリップは、シースを形成し、伸長センサは、前記シースに配置される。
【0010】
一実施形態では、コアは、エラスタン材料から作製される。
【0011】
エラスタン材料を使用することは有利である。それは、容易に操作することができる、可撓性、弾性および非導電性材料であるからである。
【0012】
あるいは、コアは、シリコーンゴムでコーティングされた糸で作られる。
【0013】
2つの螺旋状に配置された抵抗素子は、複数の重複領域を形成し、それは、2つの抵抗素子の間に、複数の接点、特に電気接点を生成する。伸長センサが伸びると、2つの螺旋状に配置された抵抗素子が互いに沿って摺動し、隣り合う重複領域間の距離が増加し、従って、電気接点を変更する。これにより、今度は、伸長センサの抵抗値が変化する。伸長センサの延伸および収縮中の電気接点の変更は、抵抗の変更を生成し、それは、呼吸振幅および/または呼吸周波数などの情報、あるいは、伸長センサの使用者の、筋肉収縮/弛緩振幅および/または筋肉収縮/弛緩周波数などの情報を、提供するために測定することができる。
【0014】
一実施形態では、抵抗素子のうちの少なくとも1つは、金属めっき材料を備える。
【0015】
好ましい一実施形態では、抵抗素子の各々は、金属めっき材料を備える。
【0016】
一実施形態では、前記の材料は、天然糸(例えば、綿または絹)または合成糸である。
【0017】
一実施形態では、抵抗素子のうちの少なくとも1つは、金属めっきされたポリアミド系材料を備える。
【0018】
1つの好ましい実施形態では、抵抗素子の各々は、金属めっきされたポリアミド系材料を備える。
【0019】
ポリアミド系材料は、抵抗素子に可撓性を与える。
【0020】
一実施形態では、抵抗素子の各々は、金属めっきされたポリアミド系材料の2本の糸を含む。
【0021】
特別な実施形態によると、前記の金属は、銀および金の群内で選択される。
【0022】
好ましい実施形態によると、抵抗素子の各々は、銀めっきされたポリアミド系材料を備え、より詳細には、銀めっきされたポリアミド系材料の2本の糸を備える。
【0023】
一実施形態では、各抵抗素子は、約200W/m未満、好ましくは約150から約180W/m、さらにより好ましくは約172W/mの抵抗を有する。
【0024】
本明細書で使用される用語「約」は、20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。特定の場合、「約X」は「X」を意味する。
【0025】
一実施形態では、抵抗素子は、0.9mmから1.8mmの範囲のピッチでコアの周囲に螺旋状に配置される。
【0026】
各抵抗素子の2つの隣り合うターン間の距離は、隣り合うターン間の相互作用を回避し、かつ抵抗素子の積み重ねを回避するために、各抵抗素子の直径よりも大きくなるように選択される。さらに、各抵抗素子の2つの隣り合うターン間の距離は、あまり大きくないように選択される。そうでなければ、抵抗の相対的変化が、抵抗素子の延伸中に小さくなるからである。0.9mmから1.8mmの範囲の周期性値は、両方の制約を十分に満たすことが判明した。これは、570T/mから1120T/m(T/mは1メートル当たりのターンを表す)の範囲のねじれ値に相当する。
【0027】
伸長センサの抵抗は、抵抗素子を製造するのに使用される材料、および螺旋状に配置された抵抗素子の直径、それらの巻き周期性およびそれらの長さなどの、いくつかのパラメータに依存する。
【0028】
特定の実施形態によれば、伸長センサの抵抗は、約200から約250W/mの範囲である。
【0029】
本発明の一態様では、伸長センサは、被験者の呼吸を検出するために使用される。
【0030】
本発明の一態様では、伸長センサは、被験者の筋肉活動(収縮/弛緩)、例えば筋痙攣を検出するために使用される。
【0031】
呼吸中に拡張および収縮する身体の部分を取り囲む伸長センサは、吸入中に延伸し、呼気中に収縮する。同様に、筋肉収縮、例えば筋痙攣の間に拡張および収縮する身体の部分を取り囲む伸長センサは、収縮相の間に延伸し、弛緩相の間に収縮する。延伸および収縮は、伸長センサによって測定され、呼吸または筋収縮/弛緩振幅および/または周波数などの異なるパラメータを計算するための基礎として使用される。
【0032】
別の態様によると、本発明は、以下を備える、着用物品、例えば衣料品、好ましくはTシャツを提供する。
-可撓性支持体;
-本発明の少なくとも1つの伸長センサであって、着用物品の着用者が呼吸するとき、または筋肉が収縮または弛緩が生じるときに、変化する長さを有するように、可撓性支持体に配置された少なくとも1つの伸長センサ。
【0033】
可撓性支持体は、非導電性織物(例えば、綿/エラスタンまたはポリアミド/エラスタン)などの電気絶縁材料から作製される。特別な実施形態によると、伸長センサは、着用者の皮膚に面する着用物品の側面に固定される。
【0034】
伸長センサは、アタッチメントによって可撓性支持体に配置される。
【0035】
一実施形態において、少なくとも1つの伸長センサの2つの抵抗素子の各々は、可撓性支持体に取り付けられた2つの端部を有する。
【0036】
伸長センサは、着用物品の着用者の呼吸または筋肉収縮/弛緩中に延伸および収縮する。伸長センサの端部が、可撓性支持体に対して自由に動くことができないからである。
【0037】
一実施形態では、抵抗素子の端部は、縫合によって可撓性支持体に取り付けられる。
【0038】
抵抗素子を可撓性支持体にしっかりと取り付けるために、各抵抗素子の両端は、例えば、縫いによって、規定の長さに沿って可撓性支持体に取り付けられる。
【0039】
一実施形態では、着用物品は、抵抗素子の端部に接続された導電糸をさらに備え、好ましくは、前記の接続は、ステッチによってなされる。
【0040】
伸長センサを着用物品内の電子基板などの他の電子装置に電気的に接続するために、導電糸は、伸長センサの端部に縫い付けられる。
【0041】
一実施形態では、導電糸は、可撓性支持体に縫い付けられる。
【0042】
導電糸は、柔軟で頑丈であり、これにより、着用物品の可撓性支持体にそれを縫うのに適応され、電子装置と伸長センサを接続する。
【0043】
一実施形態では、着用物品は、可撓性支持体上に配置された可撓性シースを形成する1つ以上の可撓性ストリップをさらに備え、伸長センサは、可撓性シース内に配置され、伸長センサは、自由に延伸および格納することができる。
【0044】
周囲の可撓性支持体および/または着用物品の着用者の皮膚との伸長センサの摩擦を低減するために、および伸長センサの寿命を延ばすために、伸長センサは、可撓性シース内に配置される。伸長センサはシース内で自由に滑ることができる。可撓性シースが皮膚にしっかりと着用されるか、またはさらにわずかに応力が加えられると、伸長センサは、可撓性シース内で皮膚にしっかりと滑る。
【0045】
一実施形態では、伸長センサは、着用物品が着用者によって着用されているときに、プレストレスを受けるように構成される。伸長センサは、従って、わずかに張力下にあり、それにより、伸長センサは、小さな伸び、例えば小さな呼吸運動または小さな筋肉痙攣、さえも検出することができる。
【0046】
別の実施形態では、着用物品は衣類の形態であり、少なくとも1つの伸長センサは、着用者の胸部の周りに位置するように配置される。
【0047】
伸長センサは、また、代替的に、または補足として、着用者の腹部の周りに位置するように配置されてもよい。
【0048】
別の実施形態では、着用物品は、任意の着用物品(例えば、ストラッピング、衣服)の形態であり、少なくとも1つの伸長センサは、着用者の筋肉の周りに位置するように配置される。
【0049】
ここに組み込まれて明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明を例示し、説明と共に、本発明の特徴を説明し、当業者が本発明を製造および使用することができるようにするのに、さらに役立つ。図面において、同様の参照符号は、同一または機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】伸長センサの概略図である。
図2】小さい伸長力を受ける2つの同じ伸長センサの巻きの拡大表示を示す。
図3】大きい伸長力を受ける2つの同じ伸長センサの巻きの拡大表示を示す。
図4】生理学的センサを含む衣類の前面の概略図である。
図5】生理学的センサを含む衣類の背面の概略図である。
図6】伸長センサを保護する可撓性ストリップの概略図を示す。
図7】伸長センサ、および抵抗素子の抵抗を測定する装置の電気図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、伸長センサ101の概略図を示す。それは、例えばLycra(登録商標)などのエラスタン材料から作製することができる弾性、非導電性コア102を備える。さらに、伸長センサは、コアの周囲に螺旋状に巻かれた2つの抵抗素子103、104を備える。
【0052】
一実施形態では、抵抗素子103、104の各々は、金属めっきされたポリアミド系材料を備える。
【0053】
一実施形態では、抵抗素子103、104の各々は、金属めっきされたポリアミド系材料の2本の糸を備える。
【0054】
特別な実施形態によれば、前記の金属は、銀および金の群内で選択される。
【0055】
好ましい実施形態によれば、抵抗素子103、104の各々は、銀めっきされたポリアミド系材料を備える。
【0056】
抵抗素子103、104は、Circuitexの商品名でNoble Biomaterialsによって提供される銀めっき糸を使用して用意されることができる。Circuitex糸は、ポリアミド製の可撓性内側部分を有し、銀めっきされている。
【0057】
好ましい実施形態によれば、抵抗素子103、104は、172W/mの抵抗を有する。
【0058】
螺旋状に配置された両方の抵抗素子は、同じピッチを有し得るが、本発明はこれに限定されない。螺旋状に巻かれた抵抗素子のピッチは、0.9mmから1.8mmの範囲内にあり、これは、570T/mから1120T/mの範囲内のねじれ値に対応する(T/mは、1メートル当たりのターンを表す)。伸長センサの抵抗は、200から250W/mの範囲内にある。
【0059】
図2-3は、2つの異なる伸長力を受ける2つの同じ伸長センサの巻きの拡大表示を示す。螺旋状に配置された2つの抵抗素子103、104は、抵抗素子間に複数の電気的接触を形成する複数の重複領域を形成する。伸長センサが延伸すると、螺旋状に配置された2つの抵抗素子が互いに沿って滑り、隣り合う重複領域間の距離が増加する。これは、次に、伸長センサの抵抗を変化させる。図3は、図2に示す伸長センサよりも大きな伸長力を受ける伸長センサである。従って、図3では、図2に示す場合に対して、隣り合う重複領域間の距離が増加する。これは、主に、抵抗の変更を生じさせる伸長センサの延伸および後退中のこれらの電気的接触の変更である。
【0060】
例として、その静止位置における伸長センサの抵抗は、200から250W/mの範囲に存在し得る。伸長センサの抵抗は、5cmの伸びに対して5%から20%の間で変化し得る。
【0061】
図4-5は、本実施形態ではTシャツである衣服301の前側(図4)および後側(図5)の図である。Tシャツは、生理学的パラメータを検出するように構成されたいくつかのセンサ306を備える。Tシャツは、例えば綿/エラスタンまたはポリアミド/エラスタンのような非導電性織物で作られた可撓性支持体302を有する。特別な実施形態によれば、可撓性支持体は、6%から12%のエラスタンを含み、Tシャツが、使用者の身体にしっかりと適合するようになっている。これは、Tシャツに含まれるセンサが着用者の皮膚と密接に接触することを確実にする。
【0062】
複数のセンサが、可撓性支持体内に一体化され、特に2つの伸長センサ101であり、使用者の呼吸に追従する。これらの2つの伸長センサは、着用者の胸部および腹部の高さでTシャツをそれぞれ取り囲む。
【0063】
この場合では、Tシャツにおける伸長センサの位置は、胸部および腹部呼吸を評価するように選択されたが、特に筋収縮をモニターするときには他の位置が可能である。伸長センサは、着用者の呼吸に関する正確な情報を得るために、着用者の胸部および/または腹部の少なくとも重要な部分を取り囲む。伸長センサの長さは、ここでは約15%だけ、使用者が着用したときに伸長センサが予め延伸されるように、決定される。
【0064】
伸長センサの測定された抵抗変化は、使用者の呼吸のリズムまたは呼吸サイクルの振幅などの呼吸パラメータを、モニターするように処理される。各伸長センサは、着用者の胸部および/または腹部の高さでTシャツを取り囲む弾性シース内に設置される。可撓性支持体上に可撓性ストリップを配置し、伸長センサが自由に滑ることができるトンネルを形成する。可撓性ストリップは保護として機能し、特にTシャツの洗浄中に、伸長センサの摩耗を最小限に抑える。可撓性支持体への可撓性ストリップの取り付けを確実にするために、トップステッチが使用される。
【0065】
実施形態では、伸長センサは、導電糸303によって電子基板に接続される。導電糸は、Noble Biomaterialsからの2つのCircuitex銀糸のアセンブリから作られ得る。各Circuitex抵抗素子は、銀でめっきされた可撓性ポリアミドコアを有する。2本のCircuitex銀糸のアセンブリに対応する導電糸は、172W/mの抵抗を有する。アセンブリは、アセンブリを補強するために、および短絡の危険性を増大させ得るそれがほどけることを制限するために、2つのソルブロン(Solvron)糸によってさらに覆われてよい。ソルブロン(Solvron)は、NITIVY CO.,LTDが提供するポリビニルアルコール製の合成糸の商標名である。導電糸は、銀がその電気的特性を確保しながら、縫いまたは縫製作業を行うことが可能な可撓性を有する。伸長センサの両端は、導電糸で縫うことにより、Tシャツの可撓性支持体に固定される。
【0066】
電子基板304は、一体化されたポケット内のTシャツに設置される。電子基板は、電池を備える。
【0067】
全てのセンサおよび電子部品は、Tシャツの内側(使用者の皮膚に接触する側)に配置され得る。
【0068】
短絡を引き起こして誤ったデータをもたらし得る、異なる導電糸が互いに接触することを回避するために、異なる導電糸を互いから分離し、皮膚との接触を回避するために、トップステッチを使用する可能性がある。
【0069】
導電糸は、導電糸の経路に沿ってTシャツの可撓性支持体302に接着された可撓性ストリップ305によって覆われてよい。可撓性ストリップは、保護として働く。それらは、特にTシャツの洗浄中に、導電糸の摩耗を最小限に抑える。さらに、着用者の皮膚は、これらの可撓性ストリップによって導電糸から保護される。可撓性ストリップは、例えばポリアミド、綿またはエラスタンのような非導電性弾性材料で作られる。ここで、Tシャツの内側(使用者の皮膚と接触する側)に綿ストリップを接着して、使用者の着用快適性を向上させる。合成ストリップは、Tシャツの外側に使用される。可撓性ストリップの可撓性支持体への取り付けを確実にするために、トップステッチが使用される。
【0070】
上述の伸長センサなどの、Tシャツに一体化された生理学的センサは、連続的に、またはトリガーされたときに、データを取得することができる。例えば、センサは、心拍のリズムまたは振幅が変化するときに取得を開始するように構成することができる。取得されたデータは、着用者の近くのデータを分析するために、スマートフォンなどのユーザデバイスに送信されることができ、または、データは、中央処理装置に送信されることができ、中央処理装置において、データは、使用者によっておよび/または医学的に資格のある人によってアクセス可能である。
【0071】
図4-5に記載されるTシャツは、例えば、病気の症候群を検出するために患者の状態をモニターするために医学において、多くの用途を見出すであろう。それは、例えばスポーツをする人の健康状態を調査するためにコーチによって使用することができる、スポーツにおいて、さらなる用途を見出すであろう。
【0072】
着用者は、ヒトまたは、例えば犬などの動物、であってよい。
【0073】
図6は、可撓性ストリップ401を有する伸長センサ101の保護の原理の3次元表現を示す。可撓性支持体上に可撓性ストリップを配置し、伸長センサが自由に滑ることができるトンネルを形成する。伸長センサが弾性シース内で自由に摺動できるように、可撓性ストリップのエッジのみが可撓性支持体302に接合される。シースは、可撓性ストリップが約130℃の温度に加熱されるホットメルト接着法の使用によって衣類に接合される。可撓性ストリップは、弾性コアと、コアの両側の熱接着剤層と、可撓性ストリップが可撓性支持体に接合されるときに除去される保護紙と、を備える。トップステッチ402は、可撓性支持体への可撓性ストリップの取り付けを確実にするために使用されてよいが、それらは本発明にとって本質的ではない。
【0074】
図7は、伸長センサ101、およびその抵抗を測定する装置の電気図を示す。装置は、電池であり得る電圧発生器501と、第1抵抗502とを備える。電圧発生器501は、数ミリボルトのオーダーの弱い入力電圧U1を発生する。伸長センサの端子で生成される出力電圧U2は、以下に等しくなる:
U2=U1*R/(R+R502)
ここで、Rは伸長センサの抵抗であり、R502は抵抗502の値である。伸長センサの端部503と504との間の電圧を測定することによって、その抵抗Rを推定することが可能である。
【0075】
上述の実施形態は、本明細書に開示された本発明を例示するものであり、添付の「特許請求の範囲」に定められた範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが、理解されるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】