(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】CD40細胞質ドメインを含むキメラ抗原レセプター及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20221109BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221109BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515811
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 IL2020050991
(87)【国際公開番号】W WO2021048850
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521550714
【氏名又は名称】ミガル ガリラヤ リサーチ インスティテュート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロス、ギデオン
(72)【発明者】
【氏名】ワインスタイン-マロム、ハダス
(72)【発明者】
【氏名】レビン-ピアエダ、オフィル
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
(57)【要約】
CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む活性化キメラ抗原レセプター(aCAR)をコードする核酸分子が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)細胞外結合ドメイン;
(ii)膜貫通ドメイン;
(iii)細胞内ドメイン;及び
(iv)前記細胞外結合ドメインと前記膜貫通ドメインとを連結する可動性ヒンジドメインであって、前記可動性ヒンジドメインは、システイン架橋を形成できるシステイン残基を含む、可動性ヒンジドメイン
を含む活性化キメラ抗原レセプター(aCAR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、
ここで、前記細胞内ドメインは、
(a)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列、及びFcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第2のアミノ酸配列を含み、MyD88ポリペプチド、2A自己切断ペプチド又は二量体化ドメインを欠く、細胞内ドメイン;
(b)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列、及びCD28又は4-1BBに由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(c)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列、FcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第2のアミノ酸配列、及びCD28に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(d)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列を含み、MyD88ポリペプチド又は二量体化ドメインを欠く、細胞内ドメイン
から選択される、核酸分子。
【請求項2】
前記細胞外結合ドメインが、(i)抗体、その誘導体又はフラグメント、例えば、ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体の機能的フラグメント;単一ドメイン抗体、例えば、ナノボディ;組換え抗体;及び一本鎖可変フラグメント(ScFv);(ii)抗体模倣物、例えば、アフィボディ分子;アフィリン;アフィマー;アフィチン;アルファボディ;アンチカリン;アビマー;DARPin;フィノマー;Kunitzドメインペプチド;及びモノボディ;又は(iii)アプタマーを含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記細胞外結合ドメインが、ScFvを含む、請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記膜貫通ドメインが、CD28、CD40、CD3-ζ、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR9及びFcレセプターの膜貫通ドメインから選択される、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメインである、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記第1のアミノ酸配列が、CD40の完全な細胞内ドメインである、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記第2のアミノ酸配列の前記少なくとも1つのシグナル伝達エレメントが、FcRγ鎖に由来する、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記第2のアミノ酸配列が、FcRγ鎖の完全な細胞内ドメインである、請求項7に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記第3のアミノ酸配列が、CD28の完全な細胞内ドメインである、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記可動性ヒンジが、CD8α、CD8βのヒンジ領域、IgGの重鎖のヒンジ領域及びIgDの重鎖のヒンジ領域から選択されるポリペプチドを含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記可動性ヒンジドメインが、CD8αのヒンジドメインである、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記細胞外結合ドメインが、(i)抗体、その誘導体又はフラグメント、例えば、ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体の機能的フラグメント;単一ドメイン抗体、例えば、ナノボディ;組換え抗体;及び一本鎖可変フラグメント(ScFv);(ii)抗体模倣物、例えば、アフィボディ分子;アフィリン;アフィマー;アフィチン;アルファボディ;アンチカリン;アビマー;DARPin;フィノマー;Kunitzドメインペプチド;及びモノボディ;又は(iii)アプタマーを含み;前記膜貫通ドメインが、CD28、CD3-ζ、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR9及びFcレセプターの膜貫通ドメインから選択され;前記第1のアミノ酸配列が、CD40の完全な細胞内ドメインであり;前記第2のアミノ酸配列の前記少なくとも1つのシグナル伝達エレメントが、FcRγ鎖に由来し;前記第3のアミノ酸配列が、CD28の完全な細胞内ドメインであり;前記可動性ヒンジが、CD8α、CD8βのヒンジ領域、IgGの重鎖のヒンジ領域及びIgDの重鎖のヒンジ領域から選択されるポリペプチドを含む、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項13】
前記細胞外結合ドメインが、ScFvを含み;前記膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメインであり;前記第2のアミノ酸配列が、FcRγ鎖の完全な細胞内ドメインであり;前記可動性ヒンジドメインが、CD8αの可動性ヒンジドメインである、請求項12に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記細胞内ドメインが、CD40-FcRγの完全な細胞内ドメインのタンデム配置を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記aCARが、ScFv-CD8αのヒンジ領域-CD28膜貫通ドメイン-CD40-FcRγの完全な細胞内ドメインのタンデム配置から本質的になる細胞内ドメインのタンデム配置を含む、請求項14に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記細胞内ドメインが、CD28-CD40-FcRγの完全な細胞内ドメインのタンデム配置を含み、前記CD28の細胞内ドメインは、任意選択で、リンカーを介してCD40の細胞内ドメインに連結される、請求項1~13のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項17】
前記細胞内ドメインが、CD28-リンカー-CD40-FcRγの完全な細胞内ドメインのタンデム配置を含む、請求項16に記載の核酸分子。
【請求項18】
前記aCARが、ScFv-CD8αのヒンジ領域-CD28膜貫通ドメイン-CD28の完全な細胞内ドメインのタンデム配置から本質的になる細胞内ドメイン-CD40-FcRγのタンデム配置を含み、前記CD28の細胞内ドメインは、任意選択で、リンカーを介してCD40の細胞内ドメインに連結される、請求項16又は17に記載の核酸分子。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、組成物。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか1項に記載の核酸分子又は請求項20に記載のDNAベクターを含む、哺乳動物T細胞。
【請求項22】
CD4
+ヘルパーT細胞又は制御性T細胞(Treg)である、請求項21に記載の哺乳動物T細胞。
【請求項23】
CD8
+エフェクターT細胞である、請求項21に記載の哺乳動物T細胞。
【請求項24】
表面上に前記aCARを発現している、請求項21~23のいずれか1項に記載の哺乳動物T細胞。
【請求項25】
ヒトT細胞である、請求項21~24のいずれか1項に記載の哺乳動物Treg。
【請求項26】
同種異系又は自己のaCAR T細胞を調製する方法であって、
請求項1~18のいずれか1項に記載の核酸分子;又は請求項20に記載のベクターとT細胞を接触させ、それにより、同種異系又は自己のaCAR T細胞を調製する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2019年9月11日出願の米国特許仮出願第62/898,704号に対する優先権の利益を主張する。この仮出願の内容は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は概して、活性化キメラ抗原レセプター(aCAR)及び癌の免疫療法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
1980年代後半から1990年代前半にかけて、T細胞を自在にリダイレクトする新しい遺伝的手段として二本鎖及び一本鎖のCARが登場し、癌のCAR-T細胞療法という分野全体への道が開かれた[1,2]。2017年には、最初のCAR-T製品が、B細胞急性リンパ芽球性白血病及び非ホジキンリンパ腫の処置に対してFDAから承認され、現在およそ400の臨床試験で広範囲の血液悪性腫瘍及び固形腫瘍のCAR療法が検討されている(本発明者らの概説[3]、[4,5]及びhttps://clinicaltrials.gov/を参照のこと)。
【0004】
固形腫瘍において観察された奏効率の低さは、CAR-T細胞の治療効果を改善するために、その殺腫瘍活性を増強することが必要であることを浮き彫りにしている。CAR-T細胞は、好適な腫瘍抗原が明らかに不足していることに加え、外因子と内因子の両方がもたらす大きな障害に直面している。外因的には、移入されたT細胞は、回復力に富む腫瘍微小環境に直面するが、その腫瘍微小環境は、制御性T細胞(Treg)、骨髄由来抑制細胞及び腫瘍関連マクロファージをはじめとした免疫抑制細胞をリクルートすることが多く、多様な回避機構を利用して、T細胞のアクセスを阻止して免疫学的攻撃を回避する[6]。内因性の障害として顕著なのは、注入されたT細胞の持続性及び増殖能が限定的であること、長期のエキソビボ増殖後に機能的に疲弊すること(exhaustion)、ターミナルエフェクターT細胞が好ましくない分化状態を獲得すること、抗原への長期曝露の結果として抗原誘発細胞死(AICD)が起きること、並びにT細胞の反応性及び生存を妨げ得る制御されない持続性シグナルが生成されることである[7,8]。
【0005】
これらの限界を克服しようとして、近年、第2及び第3世代CARの細胞内部分に組み込まれるシグナル伝達部分の最適化に多大な努力が注がれており、このシグナル伝達部分は、CAR-T細胞療法の臨床成績を大きく左右する。T細胞の機能及び寿命の多様な側面を増強できる種々の共刺激シグナル伝達エレメント(CD28、4-1BB、OX40、ICOS、CD27、CD244、CD80及び4-1BBLを含む)及びそれらの組み合わせがこのルートで探索されてきた[8-10]。これらの中で最も広く探索されているのは、間違いなくCD28及び4-1BBである。
【0006】
重要な共刺激レセプターであるCD28とB7タンパク質とが抗原提示細胞(APC)上で結合することが、ナイーブT細胞のプライミングに必須であり、それにより、TCRによって誘導される増殖、分化及び多様なエフェクター機能の獲得の増強がシグナル伝達される[11-13]。腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)ファミリーのメンバーである4-1BB(CD137)は、活性化されたヒトT細胞上で発現される。TNFRファミリーには、OX40及びCD27も含まれ、これらのシグナル伝達エレメントも同様に、先進のCARデザインにおいて評価されてきた。これらのTNFRのサイトゾル部分は、構造的に類似しており、それらはすべて、NFκB、p38MAPK又はJNK/SAPK経路を介してアダプターTNFR関連因子(TRAF)タンパク質を通じてシグナル伝達する[14]。
【0007】
対応するリガンド又は可溶性アゴニストによる4-1BBのライゲーションは、アポトーシスを相殺することによってT細胞の生存を高め、細胞分裂を誘導し、Th1サイトカイン産生を増強し、AICDからT細胞を守り、記憶形成を推進し、Treg抑制に対する抵抗性を与える[11,15]。驚くことではないが、CD28及び4-1BBのシグナル伝達ドメインは、第2及び第3世代のCARの共刺激成分として広く探索された。
【0008】
第2世代のCARに関する数多くの研究が、CD28及び4-1BBシグナル伝達ドメインが発揮する効果に著明な違いがあることを明らかにしており、その違いは、それらの別個の生理学的役割を反映している[8,11]。例えば、CD28は、4-1BBとは明らかに異なって、エフェクター機能及び腫瘍根絶能力の迅速な獲得をサポートするが、持続性は限定的でしかないことが示された(例えば、[10,16,17])。CD28は大部分が、CAR-T細胞がエフェクター-メモリータイプに分化するのを誘導するが、4-1BBは、セントラルメモリーの形成を優先的に推進する[18]。驚くべきことに、これらの2つの共刺激ドメインをタンデムにつないで第3世代のCARを作製しても、必ずしもインビボにおいて治療活性は改善されない(最近の概説については[8]を参照のこと)。さらに、天然のCD28及び4-1BBの生理学的機能がすべてCARにおいて保存されるわけではないことが明らかになりつつある[11]。極めて重要なことに、機能的帰結に関して矛盾した報告は、単に実験の状況が異なることを反映しているに過ぎないかもしれない。例えば、4-1BBによって媒介される持続的なシグナル伝達は、CAR-T細胞の生存及び機能に対して正[9]又は負[19]の作用を発揮すると報告された。
【0009】
このように、癌の免疫療法に使用するための改善されたaCARには、満たされていないニーズがまだ残っている。
【発明の概要】
【0010】
1つの態様において、本発明は、(i)抗原に結合できる細胞外結合ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;(iii)細胞内ドメイン;及び(iv)細胞外結合ドメインと膜貫通ドメインとを連結する可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインであって、前記可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインは、システイン架橋を形成できるシステイン残基を含むことによりaCARホモ二量体を形成する、可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインを含む、活性化キメラ抗原レセプター(aCAR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供し、
ここで、前記細胞内ドメインは、
(a)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメント、及びFcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含み、MyD88ポリペプチド、2A自己切断ペプチド又は二量体化ドメインを欠く、第2のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;
(b)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメント、及びCD28又は4-1BBに由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(c)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列、FcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第2のアミノ酸配列、及びCD28に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(d)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列を含み、MyD88ポリペプチド又はToll/IL-1レセプタードメイン(TIR)ドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドを欠き、代替的又は追加的に、ミリストイル化標的化配列又は二量体化ドメイン(例えば、FKBP12v36ドメイン)を欠き得る、細胞内ドメイン
から選択される。
【0011】
別の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つのいずれか1つの核酸分子を含む組成物を提供する。
【0012】
追加の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つの核酸分子を含むベクターを提供する。
【0013】
なおも別の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つの核酸分子又は上記実施形態のうちのいずれか1つのDNAベクターを含む哺乳動物T細胞を提供する。
【0014】
なおも追加の態様において、本発明は、同種異系又は自己のaCAR T細胞を調製する方法を提供し、その方法は、上記実施形態のうちのいずれか1つのいずれか1つの核酸分子;又は上で定義されたようなDNAベクターとT細胞を接触させ、それにより、同種異系aCAR T細胞又は自己aCAR T細胞を調製する工程を含む。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、対象における疾患、障害又は状態を処置又は予防する方法を提供し、その方法は、前記対象に上記実施形態のうちのいずれか1つの哺乳動物T細胞を投与する工程を含み、ここで、前記T細胞は、CD8+エフェクターT細胞であり、前記疾患、障害又は状態は、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、メラノーマ、ウイルスによる感染から選択されるか;又は前記T細胞は、CD4+制御性T細胞(Treg)であり、前記疾患、障害又は状態は、自己免疫疾患、アレルギー、喘息、並びに臓器移植及び骨髄移植などの免疫系が過剰に活動している状態として現れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
特許ファイル又は出願ファイルは、カラー又はグレースケールで実行される少なくとも1つの図面を含んでいる。カラー又はグレースケールの図面を含むこの特許公報又は特許出願公報の写しは、請求し、必要な手数料を支払うと特許庁から提供される。
【0017】
【
図1】
図1は、8つのCARの模式図を示しており、「Li」は、一本鎖可変フラグメントの第1の可動性ペプチドリンカーのことを指し、「T」は、Mycタグのことを指す。
【0018】
【
図2】
図2は、CARの表面発現を示している。10μgの記載の各mRNAを用いたエレクトロポレーションによってK562細胞をトランスフェクトした。24時間後、細胞をMycタグの発現についてのフローサイトメトリー解析に供した。黒色のヒストグラム、無関係のmRNA;灰色のヒストグラム、CAR。CARの名称の凡例については
図1を参照のこと。
【0019】
【
図3A-B】
図3A~Bは、CARの機能を示している。(A)新規CARの抗原特異的活性(CARの名称の凡例については
図1を参照のこと)。レポーターNFAT-LacZ遺伝子を有するB3Z T細胞に、記載の各mRNAをエレクトロポレートした。エレクトロポレーションの7時間後、細胞を579メラノーマ細胞(格子縞)、579-A2メラノーマ細胞(黒色)又は細胞なし(白色)と1:1の比でインキュベートし、24時間後、細胞溶解産物を比色CPRGアッセイに供した。(B)NF-κBシグナル伝達経路の活性化。HEK293T細胞に、NF-κB-ルシフェラーゼレポータープラスミドをトランスフェクトし、24時間後、記載の各コンストラクトをコードするmRNAをトランスフェクトした。ヒストグラムは、細胞溶解産物における相対ルミネセンス単位(RLU)を示している。Irr.、無関係のmRNA;P.C.、ポジティブコントロール、恒常的に活性なCD40(caCD40、(7))。結果は、3回の独立した実験の代表である。
【0020】
【
図4A-F】
図4A~Fは、ヒトCD8T細胞の抗原特異的活性化を示している。CAR mRNAをエレクトロポレートし、発現解析及び機能解析に供されたドナーI(A~C)のCD8T細胞及びドナーII(D~F)のCD8T細胞(CARの名称の凡例については
図1を参照のこと)。炎症促進性サイトカインIFN-γ(A、D)、TNF-α(B、E)、GM-CSF(C、F)の分泌についてのELISA。
【0021】
【
図5A-B】
図5A~Bは、ドナーI(A)及びドナーII(B)から得られた細胞による標的細胞(579メラノーマ細胞(白色)又は579-A2メラノーマ細胞(黒色))の殺傷についてのLDHアッセイを示している。「A」に示されている結果は、独立した3回の実験を表し、「B」に示された結果は独立した2回の実験を表し、すべてが、ドナーのCD8T細胞に対して別々に行われた。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[発明の詳細な説明]
CD40は、TNFRファミリーのメンバーであり、主にプロフェッショナルAPCによって発現される。いくつかの研究から、CD40はT細胞によっても機能的に発現されることが示唆されている。CD40の直接的なT細胞刺激能は、分化、記憶の形成、機能的アビディティーの改善、抗アポトーシスシグナルのアップレギュレーション及びアポトーシス促進性シグナルの低減、疲弊からのレスキュー、並びにTreg媒介性抑制に対する抵抗性の獲得をはじめとした広範囲の効果として現れた[20-22]。しかし、他の研究は、これらの観察結果を確認できず、T細胞によって発現されたCD40が生理学的条件下で果たす免疫学的役割は謎のままである。それにもかかわらず、最近になって、CD40シグナル伝達ドメインの強力な共刺激能を天然の未改変T細胞に補充することに成功した[23-25]。対照的に、他の研究者は、CD40シグナル伝達ドメインが、自己集合ドメイン及びmyD88ドメインに結合体化されない限り、aCARの状況においては不活性であることを見出した[26-28]。
【0023】
本発明者らは、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインあり又はなしで、CD40又は4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインを有する一連の新しい抗HLA-A2 CARを構築し、mRNAをエレクトロポレートされたヒトCD8T細胞においてこれらのCARを調べた。調べた一連のコンストラクトの模式図は、
図1に示されており、表1に詳述されている。単にCD40シグナル伝達ドメインを種々のCARの細胞内部分に組み込むことによって、NF-κBシグナル伝達経路が自発的に活性化されることが予想外にも見出され、この自発的な活性化は、一貫して、4-1BBシグナル伝達ドメインを有する対応するCARによって誘導される活性化よりも高かった(
図2B)。さらに、本発明者らが以前に試験したいずれのヒトT細胞においても、CD40の発現はその痕跡すら検出できなかったが、CD40シグナル伝達ドメインは、caCD40又は天然のCD40を導入した後のCD40L刺激によって明らかにされたように、これらのT細胞において十分に強力だった[24]。
【0024】
1つの態様において、本発明は、(i)抗原に結合できる細胞外結合ドメイン;(ii)膜貫通ドメイン;(iii)細胞内ドメイン;及び(iv)細胞外結合ドメインと膜貫通ドメインとを連結する可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインであって、前記可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインは、システイン架橋を形成できるシステイン残基を含むことによりaCARホモ二量体を形成する、可動性ヒンジドメイン又は可動性ストークドメインを含む活性化キメラ抗原レセプター(aCAR)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供し、
ここで前記細胞内ドメインは、
(a)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメント、及びFcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含み、MyD88ポリペプチド、2A自己切断ペプチド又は二量体化ドメインを欠く、第2のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;
(b)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメント、及びCD28又は4-1BBに由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(c)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列、FcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第2のアミノ酸配列、及びCD28に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第3のアミノ酸配列を含む、細胞内ドメイン;及び
(d)CD40に由来する少なくとも1つのシグナル伝達エレメントを含む第1のアミノ酸配列を含み、MyD88ポリペプチド、又はToll/IL-1レセプタードメイン(TIR)ドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドを欠き、代替的又は追加的に、ミリストイル化標的化配列又は二量体化ドメイン(例えば、FKBP12v36ドメイン[29])を欠き得る、細胞内ドメイン
から選択される。
【0025】
CD40に由来するシグナル伝達エレメントは、腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)関連因子(TRAF)結合ドメイン、例えば、TRAF2、TRAF3、TRAF5及びTRAF6結合ドメインであり得る。TRAF2、3及び5は通常、重複する結合モチーフを有するのに対して、TRAF6は、これらのレセプター上で別個の相互作用モチーフを有し、TRAF1はTRAF2を介してCD40シグナル伝達エレメントに結合する[30]。
【0026】
ある特定の実施形態において、FcRガンマ(γ)鎖、CD3ゼータ(ζ)鎖又はCD3エータ(η)鎖に由来するシグナル伝達エレメントは、免疫受容活性化チロシンモチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif)(ITAM)である。このモチーフでは、チロシンがロイシン又はイソロイシンから任意の他の2つのアミノ酸だけ隔てられており、YxxL/Iのシグネチャをもたらす。このシグネチャのうちの2つは、通常、当該分子の細胞質テールにおいて6~8アミノ酸隔てられている(YxxL/Ix(6-8)YxxL/I)。
【0027】
本発明のaCARを発現しているT細胞又はそのT細胞を含む細胞集団は、細胞内ドメインがCD28及びCD3ζ、4-1BB及びCD3ζ、又はCD28及び4-1BBの細胞内ドメインからなるaCARを発現するT細胞又はそのT細胞を含む細胞集団と比べて、表面上に標的抗原を有する細胞に対して高い細胞傷害活性を有する。
【0028】
ある特定の実施形態において、細胞外結合ドメインは、(i)抗体、その誘導体又はフラグメント、例えば、ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体の機能的フラグメント;単一ドメイン抗体、例えば、ナノボディ(Nanobody);組換え抗体;及び一本鎖可変フラグメント(ScFv);(ii)抗体模倣物、例えば、アフィボディ(affibody)分子;アフィリン(affilin);アフィマー(affimer);アフィチン(affitin);アルファボディ;アンチカリン(anticalin);アビマー(avimer);DARPin;フィノマー(fynomer);Kunitzドメインペプチド;及びモノボディ;又は(iii)アプタマーを含む。
【0029】
特定の実施形態において、細胞外結合ドメインは、ScFvを含む。ある特定の実施形態において、ScFvは、第1の可動性ペプチドリンカー、例えば、配列番号12の可動性ペプチドリンカーによって連結された、可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)を含む。
【0030】
ある特定の実施形態において、aCARの膜貫通ドメインは、CD28、CD40、CD3-ζ、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR9及びFcレセプターの膜貫通ドメインから選択される。
【0031】
ある特定の実施形態において、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメイン(例えば配列番号16)である。
【0032】
ある特定の実施形態において、膜貫通ドメインは、CD40膜貫通ドメイン(例えば配列番号22)である。
【0033】
ある特定の実施形態において、第1のアミノ酸配列は、CD40の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号17)である。
【0034】
ある特定の実施形態において、第2のアミノ酸配列の少なくとも1つのシグナル伝達エレメントは、FcRγ鎖に由来する。
【0035】
ある特定の実施形態において、第2のアミノ酸配列は、FcRγ鎖の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号18)である。
【0036】
ある特定の実施形態において、第3のアミノ酸配列は、CD28の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号20)である。
【0037】
ある特定の実施形態において、可動性ヒンジ又は可動性ストークは、CD8α又はCD8βのヒンジ領域から選択されるポリペプチドを含む。これらのヒンジドメインの配列及び構造は、十分に特徴づけられている(例えば、Wong et al.[31])。可動性ヒンジ又は可動性ストークはさらに、IgGの重鎖のヒンジ領域及びIgDの重鎖のヒンジ領域から選択され得る。
【0038】
ある特定の実施形態において、可動性ヒンジドメインは、CD8αのヒンジドメイン(例えば、完全に可動性のヒンジドメインであり、任意で、配列番号15の配列におけるように、2つのSer残基をC末端に付加する(それによりXhoI制限酵素認識部位を形成する)ことによって変更される、完全に可動性のヒンジドメインである。
【0039】
特定の実施形態において、上記実施形態のうちのいずれか1つの核酸分子は、(i)抗体、その誘導体又はフラグメント、例えば、ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体の機能的フラグメント;ナノボディなどの単一ドメイン抗体;組換え抗体;及び一本鎖可変フラグメント(ScFv);(ii)抗体模倣物、例えば、アフィボディ分子;アフィリン;アフィマー;アフィチン;アルファボディ;アンチカリン;アビマー;DARPin;フィノマー;Kunitzドメインペプチド;及びモノボディ;又は(iii)アプタマーを含む細胞外結合ドメインを含むaCARをコードするヌクレオチド配列を含み;前記膜貫通ドメインは、CD28、CD40、CD3-ζ、TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR9及びFcレセプターの膜貫通ドメインから選択され;第1のアミノ酸配列は、CD40の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号17)であり;第2のアミノ酸配列の少なくとも1つのシグナル伝達エレメントは、FcRγ鎖に由来し;第3のアミノ酸配列は、存在する場合、CD28の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号20)であり;可動性ヒンジは、CD8α、CD8βのヒンジ領域、IgGの重鎖のヒンジ領域及びIgDの重鎖のヒンジ領域から選択されるポリペプチドを含む。
【0040】
ある特定の実施形態において、先の実施形態のaCARは、ScFvを含む細胞外結合ドメインを含み;膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメイン(例えば配列番号16)であり;第2のアミノ酸配列は、FcRγ鎖の完全な細胞内ドメイン(例えば配列番号18)であり;可動性ヒンジドメインは、CD8αの可動性ヒンジドメインである。
【0041】
ある特定の実施形態において、上記aCARのうちのいずれか1つの細胞内ドメインは、CD40の完全な細胞内ドメインのタンデム配置-FcRγを含むか又はそのタンデム配置から本質的になる。
【0042】
ある特定の実施形態において、上記aCARのうちのいずれか1つの細胞内ドメインは、CD28の完全な細胞内ドメインのタンデム配置-CD40-FcRγを含むか又はそのタンデム配置から本質的になり、ここで、そのCD28の細胞内ドメインは、任意選択で、短オリゴペプチドリンカーを介してCD40の細胞内ドメインに連結される。
【0043】
換言すれば、上記タンデム配置は、[N末端-CD28]-[任意選択の短オリゴペプチドリンカー]-[CD40-FcRγ-C末端];及び[N末端-CD40]-[FcRγ-C末端]の完全な細胞内ドメインを含むポリペプチドから選択される。N末端からC末端までの種々のドメインの出現順は、異なることがあり、例えば、[N末端-CD40]-[任意選択の短オリゴペプチドリンカー]-[CD28-FcRγ-C末端]である場合もある。
【0044】
ある特定の実施形態において、上記aCARのうちのいずれか1つの細胞内ドメインは、4-1BB、CD40及びFcRγの完全な細胞内ドメインを含むか又はその完全な細胞内ドメインから本質的になる。例えば、aCARは、ScFv;CD28の膜貫通ドメイン;CD40の完全な細胞内ドメイン、4-1BBの完全な細胞内ドメイン、FcRγ鎖の完全な細胞内ドメイン;及びCD8αの可動性ヒンジドメインを含み得る。
【0045】
可動性ペプチドリンカーは、当該分野で周知である。研究者らがデザインした経験上のリンカーは、一般に、その構造に従って、例えば、[32-34](それらの各々が、本明細書中に完全に開示されたように参照により援用される)に定義されているような、3つのカテゴリー:可動性リンカー、剛性リンカー及びインビボで切断可能なリンカー、に分類される。
【0046】
可動性の短オリゴペプチドリンカーの構造は、[32-34]に開示されているリンカーのうちのいずれか1つから選択される。原則として、可動性を提供するために、リンカーは一般に、小さな非極性(例えば、Gly)又は極性(例えば、Ser又はThr)のアミノ酸から構成される(例えば、Gly残基とSer残基が交互になっている基礎的な配列)。リンカー及び関連するシグナル伝達エレメントの溶解度は、荷電残基;例えば、2つの正に帯電した残基(Lys)及び1つの負に帯電した残基(Glu)を含めることによって、高めることができる。リンカーは、2~31アミノ酸で変動してよく、そのリンカーが連結パートナーの立体配座又は相互作用に対して長さの制約を課さないように、各条件に対して最適化される。
【0047】
ある特定の実施形態において、可動性の短オリゴペプチドリンカーは、アミノ酸配列Gly-Gly-Glyを有する。
【0048】
ある特定の実施形態において、細胞内ドメインは、(N末端からC末端に向かって)[CD28]-[短オリゴペプチドリンカー]-[CD40]-[FcRγ]の完全な細胞内ドメインのタンデム配置を含むか又はそのタンデム配置から本質的になる(28-40-γ)。
【0049】
ある特定の実施形態において、aCARは、(N末端からC末端に向かって)[ScFv]-[CD8αのヒンジ領域-CD28膜貫通ドメイン]-[CD40-FcRγの完全な細胞内ドメインのタンデム配置から本質的になる細胞内ドメイン]のタンデム配置を含む(40-γ)。
【0050】
ある特定の実施形態において、aCARは、(N末端からC末端に向かって)[ScFv]-[CD8αのヒンジ領域-CD28膜貫通ドメイン]-[CD28の完全な細胞内ドメインのタンデム配置から本質的になる細胞内ドメイン-CD40-FcRγ]のタンデム配置を含み、ここで、CD28の細胞内ドメインは、任意選択で、リンカーを介してCD40の細胞内ドメインに連結される。
【0051】
ある特定の実施形態において、aCARの種々のドメインのそれぞれのDNA配列又はアミノ酸配列は、ヒト配列である。
【0052】
ある特定の実施形態において、細胞外結合ドメインを除くaCARは、配列番号15+16+20+Gly-Gly-Gly+17+18;又は15+16+17+18の組み合わせのアミノ酸配列を含む。
【0053】
本発明のaCARをコードするDNAの完全な配列の非限定的な例は、配列番号25、27、29、31、33、35、37及び39に示されており;本発明のaCARの完全なアミノ酸配列の非限定的な例は、26、28、30、32、34、36、38及び40に示されている。これらは、本発明を行う1つの具体的な方法を教示することだけを目的として開示された例であって、これは、例えば、必要に応じ、制限酵素認識部位若しくは短い可動性オリゴペプチドリンカーを導入するか若しくは無くすことにより、又は発現を改善するためにDNA配列の同義的な変更によって、種々の実験の要求を満たすために当業者が容易に適応させることができることは明らかであるはずである。
【0054】
上記で定義されたaCARの種々のドメイン及び完全配列は、そのaCARが活性である限り、すなわち、抗原依存的様式でT細胞を活性化できる限り、それぞれ、配列番号15、16、17、18、20、26、28、30、32、34、36、38及び40において定義される配列並びに上に列挙された他の組み合わせ配列と、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95、96、97、98若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を有してよい。
【0055】
上記で定義されたaCARの様々なドメインをコードするヌクレオチド配列は、これらのドメインのアミノ酸配列をコードするすべての冗長なヌクレオチド配列並びに活性なaCARをコードする類似の配列を含む。したがって、配列番号15、16、17、18、20、26、28、30、32、34、36、38及び40のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号6、7、8、9、20、25、27、29、31、33、35、37及び39に示されているとおりであるか;又は同一のアミノ酸配列をコードする他の任意の冗長な配列である。さらに、ヌクレオチド配列は、コードされるaCARが活性である限り、すなわち、抗原依存的様式でT細胞を活性化できる限り、それぞれ、配列番号6、7、8、9、19、25、27、29、31、33、35、37及び39において定義された配列、並びに上に列挙された他の組み合わせアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95、96、97、98若しくは99%の同一性を有してよい。
【0056】
ある特定の実施形態において、上記実施形態のうちのいずれか1つの(c)又は(d)の細胞内ドメインは、MyD88ポリペプチド、又はToll/IL-1レセプタードメイン(TIR)ドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドを欠き、代替的又は追加的に、ミリストイル化標的化配列又は二量体化ドメイン(例えば、FKBP12v36ドメイン)を欠き得る。
【0057】
ある特定の実施形態において、上記実施形態のうちのいずれか1つの(a)(b)、(c)又は(d)の細胞内ドメインは、P2A、E2A、F2A及びT2Aのうちのいずれか1つを含む2A自己切断ペプチドなどの自己切断ペプチドを欠く。
【0058】
別の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つのいずれか1つの核酸分子を含む組成物を提供する。
【0059】
Matuskova及びDurinikova[35]は、導入遺伝子を細胞に送達するための系には、ウイルスによる系とウイルスによらない系の2つがあると教示している。非ウイルスアプローチは、DNAでコーティングされた微小粒子又はmRNAの、ポリマーナノ粒子、脂質、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション/ヌクレオフェクション又はパーティクルガンによる送達によって代表される。非ウイルスアプローチは、「Sleeping Beauty」(Sleeping Beautyトランスポゾンを使用するプロトコルについては、例えば[36]を参照のこと)として一般に知られているトランスポゾンシステムなどのトランスポゾンシステムも提供する。
【0060】
ウイルスアプローチは、DNAが宿主細胞のクロマチンにインテグレートされるか否かに応じて、本発明に従って使用され得る主要な2つのタイプのベクターを提供する。レトロウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルス又はレンチウイルスに由来するベクター)は、インテグレートされたプロウイルスとして核内に残り、細胞分裂によって複製される。他のタイプのベクター(例えば、ヘルペスウイルス又はアデノウイルスに由来するベクター)は、エピソームの形態で細胞内に残る。
【0061】
追加の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つの核酸分子を含むベクターを提供する。
【0062】
ある特定の実施形態において、上記実施形態のうちのいずれか1つのベクターは、プラスミド又はウイルスベクターなどのDNAベクター;又はポリマーナノ粒子、脂質、リン酸カルシウム、DNAでコーティングされた微小粒子若しくはトランスポゾンなどの非ウイルスベクターである。
【0063】
ある特定の実施形態において、DNAベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、ガンマウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス及びヘルペスウイルスからなる群より選択されるウイルスに由来する改変ウイルスから選択されるウイルスベクターである。
【0064】
なおも別の態様において、本発明は、上記実施形態のうちのいずれか1つの核酸分子又は上記実施形態のうちのいずれか1つのDNAベクターを含む哺乳動物T細胞を提供する。
【0065】
ある特定の実施形態において、上記で定義された哺乳動物T細胞は、CD4+ヘルパーT細胞又は制御性T細胞(Treg)であるか;又はCD8+エフェクターT細胞であり得る。
【0066】
ある特定の実施形態において、上記で定義された哺乳動物T細胞は、その表面上に前記aCARを発現している。
【0067】
ある特定の実施形態において、上記で定義された哺乳動物T細胞は、ヒトT細胞である。
【0068】
さらに追加の態様において、本発明は、同種異系又は自己のaCAR T細胞を調製する方法を提供し、その方法は、上記実施形態のうちのいずれか1つのいずれか1つの核酸分子;又は上で定義されたようなベクターとT細胞を接触させ、それにより、同種異系又は自己のaCAR T細胞を調製する工程を含む。
【0069】
上記免疫細胞は、例えば、RNAトランスフェクション、あるいは真核細胞における複製及び/若しくは転写に適したプラスミド又はウイルスベクターの取り込みによって、本明細書中に記載される適切な核酸分子でトランスフェクトされ得る。ある特定の実施形態において、そのベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、ガンマウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス及びヘルペスウイルスからなる群より選択されるウイルスに由来する改変ウイルスから選択されるウイルスベクターである。
【0070】
レトロウイルスベクターと適切なパッケージング株との組み合わせも使用することでき、その場合、それらのカプシドタンパク質は、ヒト細胞への感染において機能的である。PA12[37]、PA317[38]及びCRIP[39]などのいくつかの両種性(amphotropic)ウイルス産生細胞株が知られている。あるいは、VSVG、RD114又はGAL Vエンベロープでシュードタイプ化された粒子などの非両種性粒子を使用することができる。細胞はさらに、例えば、Bregniらの方法[40]によって、産生細胞と直接共培養するか、又は例えば、Xuらの方法[41];及びHughesらの方法[42]によって、ウイルス上清のみ若しくは濃縮ベクターストックと培養することによって、形質導入され得る。
【0071】
さらなる態様において、本発明は、T細胞のシグナル伝達経路、並びに活性化及びリガンド依存性細胞殺傷能力に対する細胞内シグナル伝達ドメインの影響を調べる方法を提供し、その方法は、例えば、細胞内の部分における種々のシグナル伝達ドメイン及び活性化ドメインの相対的な物理的位置を評価することによる。
【0072】
さらなる態様において、本発明は、対象における疾患、障害又は状態を処置又は予防する方法を提供し、その方法は、前記対象に上記実施形態のうちのいずれか1つの哺乳動物T細胞を投与する工程を含み、ここで、前記T細胞は、CD8+エフェクターT細胞であり、前記疾患、障害又は状態は、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、メラノーマ、ウイルスによる感染から選択されるか;又は前記T細胞は、CD4+制御性T細胞(Treg)であり、前記疾患、障害又は状態は、自己免疫疾患、アレルギー、喘息、並びに臓器移植及び骨髄移植などの免疫系が過剰に活動している状態として現れている。
【0073】
例えば、自己免疫疾患は、1型糖尿病;関節リウマチ;乾癬;乾癬性関節炎;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;アジソン病;グレーヴズ病;シェーグレン症候群;橋本甲状腺炎;重症筋無力症;脈管炎;悪性貧血;セリアック病;並びにアテローム性動脈硬化症から選択され得る。
【0074】
ある特定の実施形態において、対象は、好ましくはヒトであり、前記哺乳動物Tregは、同種異系ヒトT細胞又は自己ヒトT細胞である。
【0075】
[定義]
本明細書中で使用される用語「同種異系」とは、同じ種の個体由来であるが、組織、器官又は細胞を受け取る宿主と遺伝的に異なり、その宿主とは免疫学的に適合しない、組織、器官又は細胞のことを指す。
【0076】
本明細書中で使用される用語「自己」とは、組織、器官又は細胞を受け取る個体と同じ個体から得られた組織、器官又は細胞のことを指す。
【0077】
本明細書中で使用されるとき、用語「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳動物」とは、任意の対象、特に、診断、予後又は治療が望まれる哺乳動物対象、例えばヒトのことを指す。
【0078】
本明細書中で使用される用語「処置する」とは、所望の生理学的効果を得る手段のことを指す。その効果は、疾患及び/又はその疾患によって生じる症状を部分的又は完全に治癒するということに関して治療的であり得る。この用語は、疾患を阻害すること、すなわち、その進展を停止すること;又は疾患を改善させること、すなわち、疾患を後退させることを指す。
【0079】
本発明に従って使用するための薬学的組成物は、1つ以上の生理的に許容され得る担体又は賦形剤を用いて従来の様式で製剤化され得る。担体は、その組成物の他の成分と適合し、そのレシピエントにとって有害でない、という意味において「許容され得る」ものでなければならない。
【0080】
投与方法としては、非経口、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、粘膜(例えば、経口、鼻腔内、頬側、膣、直腸、眼内)、髄腔内、外用及び皮内経路が挙げられるが、これらに限定されない。投与は、全身投与又は局所投与であり得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、経口投与に適合されている。
【0081】
用語「担体」とは、活性な作用物質とともに投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルのことを指す。薬学的組成物中の担体には、結合剤、例えば、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン(ポリビドン又はポビドン)、トラガカントゴム、ゼラチン、デンプン、ラクトース又はラクトース一水和物;崩壊剤、例えば、アルギン酸、トウモロコシデンプンなど;潤滑剤又は界面活性剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム又はラウリル硫酸ナトリウム;及び滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素が含まれ得る。
【0082】
担体、投与様式、剤形などの以下の例証は、見込みのある公知のものとして列挙され、その中から、担体、投与様式、剤形などが本発明で使用するために選択され得る。しかしながら、当業者は、選択された任意の所与の製剤及び投与様式をまず初めに試験して、所望の結果を達成することを明らかにするべきであることを理解するだろう。
【0083】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」は、探し求められている、組織、系、動物又はヒトの生物学的応答又は医学的応答、すなわち、癌などの細胞状態に関連する又はそれによって引き起こされる疾患の処置を誘発する核酸配列/分子又はベクターの量を意味する。その量は、とりわけ、処置される状態のタイプ及び重症度並びに処置レジメンに応じて、上に記載されたような所望の治療効果を達成するのに有効な量でなければならない。治療有効量は、通常、適切にデザインされた臨床試験(用量設定研究)において決定され、当業者は、有効量を決定するためにそのような試験を適切に行う方法を承知している。一般に知られているように、有効量は、レセプターへのリガンドの親和性、体内の分布プロファイル、体内での半減期などの種々の薬理学的パラメータをはじめとした種々の因子、もしあれば、望まれない副作用、並びに年齢及び性別などの因子に依存する。
【0084】
移行句「~から本質的になる」又は「本質的に~からなる」は、アミノ酸配列又は核酸配列に言及しているとき、列挙された配列を含む配列のことを指し、タンパク質自体の基本的な特性及び新規特性又はその核酸配列によってコードされるタンパク質に実質的に影響しない、存在する又は存在しない非列挙配列に対してオープンである。
【0085】
別段示されない限り、本明細書において使用されるすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書に示されている数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて最大プラス又はマイナス10%変動し得る近似値である。
【0086】
等価物及び範囲
当業者は、本明細書中に記載される開示に従ったある特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験以上のものを用いずに確認することができるだろう。本開示の範囲は、上記の説明に限定されると意図されておらず、むしろ添付の請求項に示されているとおりである。
【0087】
請求項において、「a」、「an」及び「the」などの冠詞は、反対のことが示されない限り、又は文脈から明らかでない限り、1つ又は1つより多い、を意味し得る。ある群の1つ以上のメンバーの間に「又は」を含む請求項又は説明は、反対のことが示されない限り、又は文脈から明らかでない限り、1つ、1つより多い、又はすべての群メンバーが、所与の製品若しくはプロセスに存在するか、所与の製品若しくはプロセスにおいて使用されるか、又は所与の製品若しくはプロセスに関連する場合に満たされると見なされる。本開示は、その群の厳密に1つのメンバーが、所与の製品若しくはプロセスに存在するか、所与の製品若しくはプロセスにおいて使用されるか、又は所与の製品若しくはプロセスに関連する、いくつかの実施形態を含む。本開示は、1つより多い群メンバー又は群メンバー全体が、所与の製品若しくはプロセスに存在するか、所与の製品若しくはプロセスにおいて使用されるか、又は所与の製品若しくはプロセスに関連する、いくつかの実施形態を含む。
【0088】
用語「~を含む」は、オープンであることを意図しており、追加のエレメント又は工程の包含を許容するが要求しないことにも注意されたい。ゆえに、用語「~を含む」が本明細書中で使用されるとき、用語「~からなる」も包含され、開示される。
【0089】
範囲が与えられる場合、終点は含まれる。さらに、別段示されない限り、又は文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表現される値は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、本開示の種々の実施形態における記載の範囲内の任意の具体的な値又は部分的な範囲を、その範囲の下限の単位の10分の1まで想定できると理解されるべきである。
【0090】
さらに、従来技術の範囲に含まれる本開示の任意の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つ以上から明示的に除外され得ると理解されるべきである。そのような実施形態は、当業者に公知であるとみなされるので、除外が本明細書中に明示的に示されていなかったとしても除外され得る。本開示の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療成分又は活性成分;任意の生成方法;任意の使用方法など)は、従来技術の存在に関係するか否かを問わず、何らかの理由でいずれか1つ以上の請求項から除外されることがある。
【0091】
使用されてきた単語は、限定ではなく説明の単語であり、その広い態様における本開示の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく、添付の請求項の範囲内で変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【0092】
本開示は、記載されたいくつかの実施形態に関して、かなり長く、いくらか詳細に説明されてきたが、そのような任意の詳細若しくは実施形態又は任意の特定の実施形態に限定されるべきであるとは意図されておらず、従来技術を考慮してそのような請求項の考えられる最も広い解釈を提供するように、ゆえに、本開示の意図される範囲を有効に包含するように、添付の請求項に関して解釈されるべきである。
【0093】
ここから、本発明を以下の非限定的な実施例によって例証していく。
【実施例】
【0094】
[材料及び方法]
(細胞株)
B3Zは、活性化T細胞核内因子(NFAT)-lacZ誘導性レポーター遺伝子を有する、OVA257-264特異的H-2Kb制限(restricted)CTLハイブリドーマである。HEK-293Tは、T抗原を発現するヒト胎児腎細胞株である。
【0095】
M579(579)は、HLA-A2陰性メラノーマ細胞株であり、579-A2は、HLA-A2を発現する579トランスフェクタントである。B3Zは、活性化T細胞核内因子(NFAT)-lacZ誘導性レポーター遺伝子を有する、OVA257-264-H-2Kb特異的マウスT細胞ハイブリドーマである。
【0096】
(ヒトT細胞の培養)
ヒト末梢血単核球(PBMC)をMDA National Blood Services(Tel-Hashomer,Israel)から入手した。
【0097】
ヒトリンパ球を、10%熱失活ヒトAB血清(Sigma-Aldrich,Saint Louis,MO)又はFCS、PBMC培養用及び腫瘍浸潤白血球(TIL)培養物用にそれぞれ300及び6,000IU/mlの組換えヒトIL-2(rhIL-2;Chiron,Amsterdam,The Netherlands)、2mmol/L L-グルタミン、1mmol/Lピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸、25mM HEPES、50μM 2-メルカプトエタノール、並びに抗生物質の組み合わせが補充されたRPMI1640完全培地中で培養した。
【0098】
CD8T細胞を、磁気ビーズ(BD)を用いたポジティブセレクションによって分離し、可溶性OKT3 mAb及び抗CD28 mAb並びに1000U/ml組換えヒトIL-2(rhIL-2,Chiron)の存在下において3~4日間生育した。
【0099】
(プラスミド及び遺伝子クローニング)
CAR遺伝子を、pGEM4Z/EGFP/A64ベクター[43]において、インビトロ転写用のDNAテンプレートとしてモジュール方式の制限クローニングを介してアセンブルした。NF-κBアッセイの場合には、NF-κB-ルシフェラーゼレポータープラスミドを使用した。
【0100】
上記コンストラクトは、表1に詳述される配列を含む。
【0101】
【0102】
(mRNAのインビトロ転写)
鋳型プラスミドをSpeIで線状化した。転写及びキャッピング反応を、AmpliCap-Max T7 High Yield Message Maker Kit(Epicentre Biotechnologies,Madison,WI)を用いて行った。製造者の指示書に従って、mRNA産物をDNase-I消化によって精製した後、LiCl沈殿を行った。mRNA産物の品質をアガロースゲル電気泳動によって評価し、分光光度的解析によって濃度を測定した。精製されたmRNAを少量のアリコートとして-80℃で保存した。
【0103】
(ヒトT細胞のmRNAエレクトロポレーション)
エレクトロポレーションを、ECM830 Electro Square Wave Porator(Harvard Apparatus BTX,Holliston,MA)をLVモード、単一パルス、500V、1msecで用いて、又はGene Pulser Xcell(Bio-Rad Laboratories,Hercules,CA)を冷2mmキュベットにおいて方形波パルス、500V、1msecで用いて、以下のように行った:刺激されたCD8T細胞及びTILをOptiMEM培地(Gibco,Grand Island,NY)で2回洗浄し、3×107/mlという最終濃度でOptiMEMに再懸濁した。エレクトロポレーションに向けて、予冷した0.1~0.4mlの細胞(氷上で5分)を、インビトロで転写された必要量のmRNAと混合した。1つより多いmRNA種が関わるトランスフェクション実験では、適切な量の無関係なmRNAをT細胞に同時に導入し、外来性mRNAの総量を正規化した。
【0104】
(フローサイトメトリー解析)
細胞を収集し、冷FACS緩衝液(1%FCS及び0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)で1回洗浄し、製造者が推奨する濃度にてそれぞれのAb-コンジュゲートとともに4℃の暗所で30分間インキュベートした。細胞を再度、4mlのFACS緩衝液で洗浄し、0.1%アジ化ナトリウムを含む0.3mlのPBSに再懸濁し、FACSCalibur又はFACSAria II(Becton Dickinson,San Jose,CA)を用いてフローサイトメトリーに供した。LSRII(BD)及びFCSexpress(DeNovo Software,Los Angeles,CA)によって、データを解析した。
【0105】
(T細胞活性化アッセイ)
B3Z T細胞活性化に対するクロロフェノールレッドβ-Dガラクトピラノシド(CPRG)アッセイ:細胞媒介性又は抗体媒介性の活性化の後、増殖培地を除去し、100μlの溶解緩衝液(9mM MgCl2、0.125%NP40、0.3mM CPRGのPBS溶液)を各ウェルに加えた。溶解の1~24時間後、ELISAリーダー(570nm、参照として630nmを用いる)を用いて各ウェルの光学濃度(O.D.)を確認した。抗原特異的ヒトCD8T細胞応答をアッセイするために、細胞を洗浄し、それぞれのメラノーマ標的細胞と1:1というエフェクター対ターゲット比で24時間、完全培地中で共培養した。増殖培地に分泌されたIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFを、市販のELISAキット(R&D Systems Minneapolis,MN)を用いてモニターした。
【0106】
(NF-κB活性に対するルシフェラーゼレポーターアッセイ)
NF-κB-ルシフェラーゼレポータープラスミドを、研究中の特定の遺伝子とともに様々な接着性細胞株に一過性にトランスフェクションすることによって、NF-κB活性を計測した。トランスフェクションの12~48時間後に、Infinite M200 Proマイクロプレートリーダー(Tecan,Mannedorf,Switzerland)を用いて、Luciferase Assay Systems試薬(Promega)によって、細胞溶解産物中のルシフェラーゼ活性をモニターした。
【0107】
(共培養実験)
エレクトロポレーションの7時間後に、T細胞及びメラノーマ標的細胞を、B3Zに対しては1:1というエフェクター対ターゲット比で、ヒトCD8T細胞に対しては3:1というエフェクター対ターゲット比で、3つ組で18時間、共培養した。細胞表面マーカーを解析するために、T細胞を、FACSCalibur(BD)を用いるフローサイトメトリー解析に供した。サイトカインの分泌をモニターするために、市販のELISAキットを用いて、増殖培地を解析した。
【0108】
(細胞傷害性アッセイ)
サイトカインELISAに向けて、CD8T細胞とメラノーマ標的細胞とを、上に記載されたように共培養した。共培養の18時間後、細胞を増殖培地とともにFACSチューブに移し、1,500RPMで7分間遠心し、上清を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)細胞傷害性アッセイ用の市販のキット(BioVision,Milpitas,CA)を用いて標的細胞の殺傷についてアッセイした。
【0109】
(統計解析)
すべての結果を平均値±SEMとして示す。ELISAの結果は、標準誤差(SEM)を伴う3つ組の平均値として示す。SPSSソフトウェア又はGraphPad Prismソフトウェアにおいて、ノンパラメトリック(a-parametric)検定である1元配置分散分析-Kruskal Wallisによる多重比較を用いて、統計的有意性を判断した。
【0110】
[実施例1.CD40-CARは4-1BB-CARより強いNFκB活性化を誘導する]
新しい一連のCARを作製するために、pGEM4Z/EGFP/A64ベクターを使用して、外部ドメインに抗HLA-A2 mAb BB7.2に由来するscFv、Mycタグ及びCD8αヒンジ、並びにFcRγ細胞内T細胞活性化ドメインをコードするmRNA合成用の鋳型DNAカセットを作製した(
図1)。
【0111】
CD28膜貫通ドメインは、4-1BBより良好な表面発現をサポートすることが報告されたので[44]、本発明者らも同様に、CD40、CD28及び4-1BBを評価することにした。この目的で、本発明者らは、4つの第2世代CARを構築した:40(+)-γ及びCD28(+)-γ(それぞれインタクトなヒトCD40又はCD28の膜貫通部分及び細胞内部分を有する)、並びに40-γ及び4-1BB-γ(CD28の膜貫通ドメイン及びCD40又は4-1BBの細胞内ドメインを含む)(
図1)。2つの第3世代CARは、CD28の膜貫通部分及び細胞内部分に続いて、CD40又は4-1BBの細胞内ドメインを含む。
【0112】
Mycタグを使用して、これらのCARがすべて、インビトロで転写されたmRNAのエレクトロポレーション後に、K562細胞の細胞表面において適切に発現されることをフローサイトメトリーによって確認した(
図2)。
【0113】
レポーターマウスT細胞ハイブリドーマB3Zを使用することによって、適切な細胞表面発現及び抗原媒介性のT細胞活性化を評価した。共培養実験を行い、6つの各CARが、B3Zトランスフェクタントに対して579-A2メラノーマ細胞上のHLA-A2に応答する能力を付与する能力を、親579細胞と比較して評価した(
図3A)。40(+)-γを除くすべてのCARが、2C11抗CD3mAbによって誘導された大きさに匹敵する予想された抗原特異性をB3Z細胞に与えたが、親579細胞に対してもかなりのレベルの抗原非特異的応答が明白だった。興味深いことに、40-γCARにおけるCD28膜貫通ドメインの組み込みは、40(+)-γと比べて、より高レベルの表面発現にならなかったのに対し、より頑健な応答をもたらした。
【0114】
本発明者らは、新しいCARがNF-κBシグナル伝達経路を活性化する能力(HLA-A2(+)HEK293T細胞におけるNF-κB-ルシフェラーゼレポーターアッセイによって判断される)の評価に進んだ。
図3Bに見られるように、第3世代CARの28-40-γは、28-41BB-γ対応物よりもかなり強いシグナル伝達を誘導した。第2世代CARの40(+)-γ及び40-γが41BB-γより優れていることも観察されたが、28(+)-γは、このアッセイにおいて完全に不活性だった。興味深いことに、B3Z細胞ではNFAT経路の活性化が弱かったこととは対照的に、40(+)-γコンストラクトの発現は、40-γよりも強いNF-κB活性化をもたらした。
【0115】
[実施例2.ヒトCD8T細胞の抗原媒介性活性化]
ヒトT細胞に対して付与された機能特性を、抗原刺激後に、2対の第2及び第3世代CARによって比較した。この目的を達成するために、2人のHLA-A2(-)健康ドナーの末梢血サンプルからCD8T細胞を精製した。これらの細胞に、4つの各CARをコードするmRNA及び無関係のmRNAをトランスフェクトし、次いで、トランスフェクタントを579-A2及び579メラノーマ細胞と共培養した。次の一連の実験のために合成された新しいmRNAの量及び完全性を確認した後(図示せず)、2人のドナーのCD8T細胞のエレクトロポレーション後の表面発現は強くなかったことが示された(図示せず)。注目すべきことに、28-4-1BB-γは、K562細胞では、28-4-1BB-γの発現が試験された他のCARと同等だったが、それとは異なり、2つの無関係なCD8T細胞サンプルにおいて比較的低いシグナルをもたらした。その後の共培養実験において、579細胞ではなく579-A2が、CD25及び4-1BB活性化マーカーのアップレギュレーションを誘導した(図示せず)。同様に、抗原陽性579-A2細胞だけが、炎症促進性サイトカインであるIFN-γ(
図4A、D)、TNF-α(
図4B、E)及びGM-CSF(
図4C、F)の分泌を誘導した。2人のドナーのCD8T細胞の応答パターンに差があったが、すべてのCARが、抗原の非存在下での分泌は全くないか又は最小で、3つのサイトカインの明らかな抗原特異的誘導を増強した。そこで、本発明者らは、抗原媒介性の標的細胞殺傷を評価した(
図5A~B)。ここでもまた、いずれのCAR世代においてもCD40と4-1BBとの間に識別可能な差は無く、2つのCD8T細胞サンプルにおいて4つすべてのCARが、抗原特異的な標的細胞の殺傷を有意に媒介できた。28-4-1BB-γの相対的に低レベルの発現に関して、それは、2人のドナーのCD8T細胞において28-40-γのそれと同等の有効な細胞傷害性を媒介したことから、このmRNAの完全な適格性が証明された。
【0116】
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【配列表】
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