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特表2022-547979電池セパレータ、電池及び電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電池セパレータ、電池及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20221109BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20221109BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20221109BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20221109BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20221109BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20221109BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20221109BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20221109BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/489
H01M50/466
H01M10/04 Z
H01M4/02 Z
H01M50/531
H01M10/04 W
H01M50/46
H01M50/434
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515862
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 CN2020114008
(87)【国際公開番号】W WO2021047505
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910862204.9
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】王建▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】惠冰▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】蒋志新
(72)【発明者】
【氏名】尹小強
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021BB11
5H021CC04
5H021CC15
5H021CC19
5H021EE32
5H021HH03
5H021HH10
5H028AA05
5H028BB07
5H028CC08
5H028CC11
5H028CC12
5H028CC15
5H028HH05
5H043AA04
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA12
5H043CA14
5H043EA06
5H043EA60
5H043HA04E
5H043LA21E
5H050AA07
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA08
5H050DA09
5H050EA12
5H050EA14
5H050FA04
5H050GA22
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
電池セパレータは、セパレータ本体(10)と、セパレータ本体(10)に貼り付けられた絶縁粘着テープ(20)と、を含み、セパレータ本体(10)は、第2方向において対向して設置されたセパレータ第1側(101)及びセパレータ第2側(102)と、第1方向において対向して設置されたセパレータ第1端(103)及びセパレータ第2端(104)と、を含み、絶縁粘着テープ(20)は、第2方向において対向して設置された粘着テープ第1側(201)及び粘着テープ第2側(202)と、第1方向において対向して設置された粘着テープ第1端(203)及び粘着テープ第2端(204)と、を含み、絶縁粘着テープ(20)は、第1方向に沿ってセパレータ本体(10)に貼り付けられ、粘着テープ第1側(101)は、セパレータ第1側(201)に対応して設置され、絶縁粘着テープ(20)は、第1方向に沿ってセパレータ第1端(103)からセパレータ第2端(104)まで延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ本体と、前記セパレータ本体に貼り付けられた絶縁粘着テープとを含み、
前記セパレータ本体は、第2方向において対向して設置されたセパレータ第1側及びセパレータ第2側と、第1方向において対向して設置されたセパレータ第1端及びセパレータ第2端と、を含み、
前記絶縁粘着テープは、前記第2方向において対向して設置された粘着テープ第1側及び粘着テープ第2側と、前記第1方向において対向して設置された粘着テープ第1端及び粘着テープ第2端と、を含み、
前記絶縁粘着テープは、前記第1方向に沿って前記セパレータ本体に貼り付けられ、前記粘着テープ第1側は、前記セパレータ第1側に対応して設置され、前記絶縁粘着テープは、前記第1方向に沿って前記セパレータ第1端から前記セパレータ第2端まで延在する、ことを特徴とする電池セパレータ。
【請求項2】
前記粘着テープ第1側は、前記セパレータ第1側と面一になる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記粘着テープ第1側と前記セパレータ第1側との間隔は、1mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記粘着テープ第1端は、前記セパレータ第1端と面一になり、前記粘着テープ第2端は、前記セパレータ第2端と面一になる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記絶縁粘着テープの前記第2方向に沿う幅は、4~6mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記絶縁粘着テープと前記セパレータ本体との間の剥離強度は、0.11kgf/cm以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記電池セパレータの前記絶縁粘着テープの位置での突き刺し強度は、前記セパレータ本体の突き刺し強度の2~3倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項8】
前記セパレータ本体の厚さ方向の少なくとも一面に前記絶縁粘着テープが設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
前記セパレータ第1側及び前記セパレータ第2側は、いずれも前記第1方向に沿って延在し、前記セパレータ第1端及び前記セパレータ第2端は、いずれも前記第2方向に沿って延在し、前記粘着テープ第1側及び前記粘着テープ第2側は、いずれも前記第1方向に沿って延在し、前記粘着テープ第1端及び前記粘着テープ第2端は、いずれも前記第2方向に沿って延在する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項10】
前記粘着テープ第2側は、前記セパレータ第2側に近接して設置され、前記粘着テープ第1端は、前記セパレータ第1端に対応して設置され、前記粘着テープ第2端は、前記セパレータ第2端に対応して設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項11】
正極シートと、負極シートと、セパレータとを含む電池であって、
前記セパレータは、少なくとも部分的に前記正極シートと前記負極シートとの間に設置され、前記正極シートは、第2方向において対向して設置された正極シート第1側及び正極シート第2側を含み、前記セパレータ第1側及び前記正極シート第1側が同じ側に設置され、前記正極シート第1側に正極タブが設置され、前記負極シートに負極タブが設置される電池であって、
前記セパレータは、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池セパレータであり、前記正極シート第1側は、前記第2方向に前記粘着テープ第1側と粘着テープ第2側との間に位置し、前記粘着テープ第2側は、前記第2方向に前記正極シート第1側と前記正極シート第2側との間に位置する、ことを特徴とする電池。
【請求項12】
前記セパレータ第1側は、前記正極シート第1側を超えて設置される、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記セパレータ第1側と前記正極シート第1側との間の距離は、1~2mmであり、前記粘着テープ第1側と前記正極シート第1側との間の距離は、1~2mmであり、前記絶縁粘着テープの厚さは、20~30ミクロンである、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項14】
前記正極シートの前記正極シート第1側に近接する位置にセラミックコーティングが塗布され、前記セラミックコーティングは、コーティング第1側及びコーティング第2側を含み、前記コーティング第1側は、前記粘着テープ第1側と前記粘着テープ第2側との間に位置し、前記粘着テープ第2側は、前記コーティング第1側と前記コーティング第2側との間に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項15】
前記コーティング第2側と前記粘着テープ第2側との間の間隔は、1~2mmである、ことを特徴とする請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記正極シートに正極被覆材層が塗布され、前記正極被覆材層の前記正極シート第1側に近接する側と前記粘着テープ第2側との距離は、0~1mmである、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項17】
前記正極タブは、前記正極シートをダイカットすることにより得られる、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項18】
前記正極シート、前記負極シート、絶縁粘着テープ及び前記セパレータは、それぞれ一体的に連続するシート状であり、前記電池の電極体は、前記正極シート、前記負極シート及び前記セパレータを積層した後に捲回することにより形成される、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項19】
前記セパレータは、一体的に連続するシート状であり、前記正極シートは、複数枚あり、前記負極シートは、複数枚あり、前記電池の電極体は、前記セパレータを複数回折り畳み、かつ前記セパレータの隣接する2つの層の間に1枚の前記正極シート又は1枚の前記負極シートを挿入することにより構成され、あるいは、前記電池の電極体は、前記セパレータを捲回し、かつ前記セパレータの隣接する2つの層の間に1枚の前記正極シート又は1枚の前記負極シートを挿入することにより構成され、前記正極シートと前記負極シートは、交互に設置される、ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか1項に記載の電池を含む、ことを特徴とする電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2019年9月12日に提出した、発明の名称「電池セパレータ、電池、電池モジュール、電池パック及び自動車」の中国特許出願第「201910862204.9」号の優先権を主張するものである。
本願は、電池の技術分野に関し、特に、電池セパレータ、電池及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電池の内部抵抗を低減し、電池の容量を向上させるとともに、電池の自動化製造の難度を低減するために、現在、市場における電池の製造過程において、電極シートに別個のタブを貼り付ける従来の方式から、電極シートをダイカットし、電極シートをダイカットした後に予め残した部分でタブを直接的に形成する方式に変化している。
【0003】
ダイカットによりタブを形成する手段を採用するため、ダイカットによりタブの周辺にバリが残り、セルを構成する過程又は電池を使用する過程において、タブを一定の角度だけ折り曲げて電極端子との電気的接続を実現する。折り曲げる過程において、電極シート(特に正極シート)上のバリの存在に起因して、バリがセパレータを突き刺すリスクが発生し、ひいては正極と負極が接触して短絡することを引き起こし、電池の安全性に大きな影響を与える可能性がある。
【0004】
従来の技術において、上記課題を解決し、バリがセパレータを突き刺すことにより正極と負極が短絡する状況の発生を防止するために、一般的に、正極シートの両面に、一定の厚さのセラミックコーティング、例えばベーマイト又は酸化アルミニウムを塗布し、該セラミックコーティングは、正極シートと負極シートとの間に位置し、ある程度、バリがセパレータを突き刺すことを防止し、短絡が発生する確率を低下させることができる。
【0005】
電池の製造過程において、まず正極シートにベーマイト又は酸化アルミニウムを塗布し、次に正極シートをダイカットして、タブを形成する必要がある。まず、正極シートにベーマイト又は酸化アルミニウムを塗布することについて、塗布厚さが制御しにくく、安定性が低く、プロセス上の難度が高く、また、塗布してからダイカットするため、ベーマイト又は酸化アルミニウムを塗布した後の正極シートは、スリットするときに波状のエッジを生成することができず、ダイカットパラメータウィンドウが小さく、ダイカットに悪影響を与える。それとともに、ダイカットするとき、スラグ、バリなどの不具合がエッジに発生しやすく、スラグ及びバリは、依然としてセパレータを突き刺して負極シートに接触し、電池の内部短絡を引き起こし、電池の安全性に影響を与える可能性がある。
【0006】
ベーマイト又は酸化アルミニウムを塗布することにより、バリがセパレータを突き刺すリスクをある程度低減することができるが、突き刺し及び短絡を防止する能力は限られるため、人々の電池の安全性能に対するますます高まる要件を十分に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、少なくとも従来の技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。このために、本願は、バリがセパレータを突き刺すことを効果的に防止し、電池の高い安全性を保証することができる電池セパレータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電池セパレータは、セパレータ本体と、前記セパレータ本体に貼り付けられた絶縁粘着テープとを含み、前記セパレータ本体は、第2方向において対向して設置されたセパレータ第1側及びセパレータ第2側と、第1方向において対向して設置されたセパレータ第1端及びセパレータ第2端と、を含み、前記絶縁粘着テープは、前記第2方向において対向して設置された粘着テープ第1側及び粘着テープ第2側と、前記第1方向において対向して設置された粘着テープ第1端及び粘着テープ第2端と、を含み、前記絶縁粘着テープは、前記第1方向に沿って前記セパレータ本体に貼り付けられ、前記粘着テープ第1側は、前記セパレータ第1側に対応して設置され、前記絶縁粘着テープは、前記第1方向に沿って前記セパレータ第1端から前記セパレータ第2端まで延在する。
【0009】
これにより、正極シート及び負極シートと組み合わせてセルを形成する場合、セパレータ本体に貼り付けられた絶縁粘着テープは、電極シートをダイカットした後に残ったバリがセパレータを突き刺すことを効果的に防止し、セル内部にはバリがセパレータを突き刺すことによる短絡が発生するリスクを低減することができる。かつ、該絶縁粘着テープは、セパレータ本体に貼り付けられ、かつ第1方向に沿ってセパレータ第1端からセパレータ第2端まで延在するため、製造過程において、絶縁粘着テープの第1方向における位置を位置決めして制御する必要がなく、製造難度を低減する。それとともに、セパレータ本体と絶縁粘着テープとの組み合わせを、セルを積層するか又は捲回する過程において形成することができ、絶縁粘着テープの設置とセルの製造プロセスとを完璧に組み合わせることでプロセスステップを少なくし、かつ電極シートのダイカットと絶縁粘着テープの設置とを分離することができ、電極シートのダイカットに影響を与えないとともに、安全性の保証に影響を与えない。
【0010】
電池は、正極シート、負極シート及びセパレータを含み、前記セパレータは、少なくとも部分的に前記正極シートと前記負極シートとの間に設置され、前記正極シートは、第2方向において対向して設置された正極シート第1側及び正極シート第2側を含み、前記セパレータ第1側及び前記正極シート第1側が同じ側に設置され、前記正極シート第1側に正極タブが設置され、前記負極シートに負極タブが設置され、前記セパレータは、本願に係る電池セパレータであり、前記正極シート第1側は、前記第2方向に粘着テープ第1側と粘着テープ第2側との間に位置し、前記粘着テープ第2側は、前記第2方向に前記正極シート第1側と前記正極シート第2側との間に位置する。
【0011】
電池パックは、本願に係る電池を含む。
【0012】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、容易に理解される。
【0014】
図1】本願の1つの実施例におけるセパレータの概略構成図である。
図2】本願の別の実施例におけるセパレータの概略構成図である。
図3】本願の1つの実施例におけるセパレータの概略断面図である。
図4】本願の1つの実施例におけるダイカットされていない正極シートの概略構成図である。
図5】本願の1つの実施例におけるダイカット後の正極シートの概略構成図である。
図6】本願の1つの実施例におけるセパレータと正極シートとの位置関係の概略図である。
図7】本願の1つの実施例における電極シートを捲回した電極体の概略構成図である。
図8】本願の1つの実施例における電極シートを積層した電極体の概略構成図である。
図9】本願の1つの実施例における電池の概略構成図である。
図10】本願の1つの実施例における電池モジュールの概略構成図である。
図11】本願の1つの実施例における電池パックの概略構成図である。
図12】本願の1つの実施例における自動車の概略構成図である。
図13】本願の1つの実施例における自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、説明される実施例の例は図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、若しくは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0016】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0017】
なお、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものとして理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでよい。さらに、本願の説明において、特別な説明がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0018】
以下、図1図13を参照しながら、本願の実施例に係る電池セパレータ、電池、電池モジュール82、電池パック91及び自動車100について説明する。
【0019】
電池セパレータは、図1又は図2に示すように、セパレータ本体10と、セパレータ本体10に貼り付けられた絶縁粘着テープ20とを含む。本願において、セパレータ本体10は、従来の技術における一般的なセパレータであり、その作用は、主に、電池の正極シート30と負極シートとを隔離し、2つの電極の接触による短絡を防止し、かつ電解質中のイオンを通過させることができることであり、例えば、一般的なセパレータは、主に、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)と、ポリプロピレンフィルム(PPフィルム)と、PEフィルム及びPPフィルムを組み合わせた多層構造のセパレータであり、それとともに、セパレータ自体の性能を向上させるために、従来の技術におけるセパレータは、転相法を用いて、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をバルクポリマーとして製造されたフィルムをさらに含む。本願において、絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10に貼り付けられ、その主な作用は、正極シート30と負極シート、特に正極シート30と負極シートとのダイカット後の位置を隔離することであり、絶縁粘着テープ20は、正極シート30のダイカット位置と負極シートとの間に介在し、それらを絶縁し、かつダイカット後に残ったバリがセパレータを突き刺すことを防止し、保護作用を果たす。
【0020】
本願において、セパレータ本体10の方向を、それぞれ第1方向と第2方向として定義する。
【0021】
連続するシート状のセパレータ本体10について、第1方向とは、セパレータ本体10の長さ方向を指し、第2方向とは、セパレータ本体10の幅方向を指し、図1又は図2に示すように、第1方向は、左右方向であり、第2方向は、上下方向である。
【0022】
タブ(正極タブ40又は負極タブ60)を電極シート(正極シート30又は負極シート)から引き出す方向は、第2方向であり、図5に示すように、上下方向は、正極タブ40の引き出し方向であり、すなわち第2方向であり、正極シート30の幅方向でもあり、これに対して、それに垂直な方向は、第1方向である(ここでいう垂直とは、正極シート30の大きな面が位置する平面において第2方向に垂直な方向を指し、図5に示すように、正極タブの引き出し方向である上下方向は、第2方向であり、それに垂直な左右方向は、第1方向であり、すなわち正極シート30の長さ方向である)。
【0023】
セルが捲回セルである場合、セパレータ本体10は、1枚の連続シートであり、このとき、第1方向は、セパレータ本体10の捲回方向であり、図1又は図2に示すように、シート状のセパレータ本体10の左右方向は、第1方向であり、すなわち電池セパレータの捲回方向であり、これに対して、第2方向は、セパレータ本体10の幅方向であり、すなわち図1又は図2における上下方向である。
【0024】
単電池70の観点から、単電池70の単電池長さ方向、単電池幅方向及び単電池厚さ方向を定義し、電極端子の引き出し方向を単電池長さ方向と見なし、単電池70の大きな面において単電池長さ方向に垂直な方向を単電池幅方向と見なし、3次元の第3方向を単電池厚さ方向と見なし、このとき、タブの引き出し方向が電極端子の引き出し方向と同じである場合、第1方向は、単電池幅方向であるのに対し、第2方向は、単電池長さ方向である。
【0025】
上記方向の定義について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
セパレータ本体10は、第2方向において対向して設置されたセパレータ第1側101及びセパレータ第2側102を含み、図2図3及び図6に示すように、上記セパレータ第1側101は、セパレータ本体10の、タブの引き出し位置に近接する側である(本願において、絶縁粘着テープ20の設置は、主に、正極シート30のダイカット後のバリがセパレータを突き刺すという課題を解決するためであり、負極シートは、一般的な設計において、その幅が正極シート30よりも広く、ダイカット位置がそれよりも上にあるため、セパレータを突き刺しても、正極と負極が短絡せず、安全性能に影響を与えない。したがって、セパレータ第1側101は、セパレータ本体10の、正極タブ40の引き出し位置に近接する側である)のに対し、セパレータ第2側102は、それに対向する、タブの引き出し位置から離れる他側である。それとともに、セパレータ本体10は、第1方向において対向して設置されたセパレータ第1端103及びセパレータ第2端104を含み、例えば、捲回セルにおいて、セパレータ本体10の最内端がセパレータ第1端103として定義される場合、セパレータ本体10の最外端は、セパレータ第2端104として定義され、逆も同様である(ここでの最内端及び最外端は、捲回の内周及び外周に関するものであり、例えば、内から外へ捲回してセルを形成する過程において、開始位置は、最内周であり、ここではセパレータ本体10の最内端であり、すなわちセパレータ第1端103であり、また捲回が完了した後、終了位置は、最外周であり、ここではセパレータ本体10の最外端であり、すなわちセパレータ第2端104である)。
【0027】
積層電池について、それは、複数枚の正極シート、複数枚の負極シート及び複数枚の電池セパレータを積層したものであり、この場合、タブの引き出し方向は、第2方向であり、第2方向において、セパレータ本体10は、セパレータ第1側101及びセパレータ第2側102を含み、セパレータ第1側101は、タブの引き出し位置に近接する側であり、セパレータ本体10の大きな面においてタブの引き出し方向に垂直なものは、第1方向であり、第1方向において、セパレータ本体10は、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104を含む(単電池幅方向は、第1方向であり、単電池幅方向における両端は、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104である)。図1又は図2に示すように、該視角で示されるセパレータ本体10の面は、セパレータ本体10の大きな面である。
【0028】
図2に示すように、左右方向は、第1方向であり、上下方向は、第2方向であり、セパレータ第1側101は、セパレータ本体10の上側に位置し、セパレータ第2側102は、セパレータ本体10の下側に位置し、セパレータ本体10の左端は、セパレータ第1端103であり、セパレータ本体10の右端は、セパレータ第2端104である。それとともに、粘着テープ第1側201は、絶縁粘着テープ20の上側に位置し、粘着テープ第2側202は、絶縁粘着テープ20の下側に位置し、絶縁粘着テープ20の左端は、粘着テープ第1端203であり、絶縁粘着テープ20の右端は、粘着テープ第2端204である。
【0029】
なお、本願の全ての図面において、各図面の寸法又は比例関係は、本願に係る技術手段を限定するものではない。図2に示すように、粘着テープ第1端203と粘着テープ第2端204との間の長さと、セパレータ本体10との間の比例関係は、その実際の比例関係を表すことができず、本願の全ての図面において、示されるのは、各部品の間の位置関係のみであり、具体的な寸法又は比例関係を表すものではない。図3又は図6に示すように、セパレータ第1側101は、粘着テープ第1側201よりも上にあり、これは、図面において示し、かつ表現することができるが、セパレータ第1側101が上向き方向に粘着テープ第1側201よりもどの程度長いか、及びその比例関係がどのようになるかは、図3又は図6において示し、かつ表現することができない。図6に示すように、粘着テープ第1側201は、セパレータ第1側101とセパレータ第2側(図6に示されないが、上下方向におけるセパレータ本体の最も下側に位置する)との間に位置し、コーティング第1側3031は、粘着テープ第1側201と粘着テープ第2側202との間に位置し、粘着テープ第2側202は、コーティング第1側3031とコーティング第2側3032との間に位置する。このような位置関係は、本願の図面において表現することができるが、具体的な寸法又は比例関係は、本願の図面において限定されない。
【0030】
セパレータ本体10のセパレータ第1側101及びセパレータ第2側102は、第2方向において対向して設置され、かつセパレータ第1側101及びセパレータ第2側102は、いずれも第1方向に沿って延在し、図2に示すように、セパレータ第1側101及びセパレータ第2側102は、上下方向において対向して設置され、かつセパレータ第1側101及びセパレータ第2側102は、いずれも左右方向に沿って延在する。セパレータ本体10のセパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、第1方向において対向して設置され、かつセパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、いずれも第2方向に沿って延在し、図2に示すように、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、左右方向において対向して設置され、かつセパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、いずれも上下方向に沿って延在する。
【0031】
セパレータ本体10は、矩形シート状体を選択し、セパレータ第1側101、セパレータ第2側102、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、矩形シート状体であるセパレータ本体10の周方向の4辺であり、図2に示すとおりである。
【0032】
本願の電池セパレータをセルに組み合わせた後、正極タブ40は、セパレータ第1側101から引き出され、かつ単電池70について、電極端子も、第2方向に沿って引き出され、第2方向における蓋板に設置される。
【0033】
本願のいくつかの実施例において、正極タブ40及び負極タブ60は、同じ側から引き出されてもよく、両側から引き出されてもよく、すなわち、正極タブ40及び負極タブ60は、いずれもセパレータ第1側101に位置してもよく、正極タブ40は、セパレータ第1側101に位置するが、負極タブ60は、セパレータ第2側102に位置するようにしてもよい。正極タブ40、セパレータ第1側101及び粘着テープ第1側201は、図6に示すように、同じ側に位置し、このようにしてこそ、絶縁粘着テープ20は、正極タブ40の周辺のダイカット箇所でのバリが電池セパレータを突き刺し、正極と負極の短絡を引き起こし、電池の安全性に影響を与えることを効果的に防止することができる。それに対応して、正極と負極との電極端子が同じ側から引き出される場合、電極端子は、セパレータ第1側101に対応する端部の蓋板に設置され、正極と負極の電極端子が両側から引き出される場合、セパレータ第1側101に対応する端部とセパレータ第2側102に対応する端部のいずれにも蓋板が設置され、正電極端子は、セパレータ第1側101に対応する蓋板から引き出され、負電極端子は、セパレータ第2側102に対応する蓋板から引き出される。
【0034】
セパレータ本体10と協働して設置され、絶縁粘着テープ20も、粘着テープ第1側201及び粘着テープ第2側202を含むとともに、粘着テープ第1端203及び粘着テープ第2端204を含む。粘着テープ第1側201及び粘着テープ第2側202は、第2方向において対向して設置され、粘着テープ第1端203及び粘着テープ第2端204は、第1方向において対向して設置され、図2に示すように、第2方向は、図2における上下方向であり、第1方向は、図2における左右方向である。絶縁粘着テープ20は、第1方向に沿ってセパレータ本体10に貼り付けられ、粘着テープ第1側201は、セパレータ第1側101に対応して設置され、すなわち、粘着テープ第1側201及びセパレータ第1側101は、同じ側に設置される。
【0035】
セパレータ本体10の形状と同じであり、いくつかの実施例において、絶縁粘着テープ20も、矩形シート状体を選択し、粘着テープ第1側201、粘着テープ第2側202、粘着テープ第1端203及び粘着テープ第2端204は、矩形シート状体の周方向の4辺であり、図2に示すとおりである。粘着テープ第1側201は、セパレータ第1側101と一致し、第1方向に沿って延在し、粘着テープ第2側202は、セパレータ第2側102と一致し、同様に第1方向に沿って延在し、粘着テープ第1端203は、セパレータ第1端103と一致し、第2方向に沿って延在し、粘着テープ第2側202は、セパレータ第2側102と一致し、同様に第2方向に沿って延在する。
【0036】
絶縁粘着テープ20は、第1方向(セパレータ本体10と一致し、絶縁粘着テープ20の長さ方向であってよい)に沿ってセパレータ第1端103からセパレータ第2端104まで延在する。製造過程において、絶縁粘着テープ20をセパレータ本体10のセパレータ第1側101に直接的に貼り付け、かつセパレータ第1端103からセパレータ第2端104まで延在させてよい。
【0037】
一方では、ダイカットによりタブを成形する手段において、正極シート30の長さ方向(第1方向)に沿って余分な箔材を全て切って除く必要があり、このようにして、ダイカット後、バリは、正極タブ40の周辺位置に存在するだけでなく、第1方向の正極シート第1側301全体にわたって存在する可能性もある。正極タブ40に粘着テープを部分的に貼り付ける従来の手段は、正極シート第1側301の他の位置でのバリがセパレータ本体10を突き刺すことを防止することができず、同様に短絡のリスクが存在し、安全上の問題が存在する。これに対して、本願において、絶縁粘着テープ20は、第1方向に沿ってセパレータ第1端103からセパレータ第2端104まで延在し、それが正極シート30と組み合わせられる場合、絶縁粘着テープ20は、正極タブ40の第1側及びダイカット後の正極タブ40の周辺を完全に覆うことができ、このようにして、正極シート第1側301の全ての位置でのバリがセパレータ本体10を突き刺すことを防止し、短絡のリスクを低減しさらに排除し、安全性を向上させることができる。
【0038】
他方では、絶縁粘着テープ20の位置と正極タブ40の位置とを1つずつ対応させる必要がないため、製造過程における位置決め難度を低減し、工程を少なくするとともに、不正確な位置決めを防止し、不良率と、完成品が不正確な位置決めに起因して保護作用を果たすことができないリスクとを低減することができる。
【0039】
以上より、本願に係る電池セパレータが正極シート30及び負極シートと組み合わせてセルを形成する場合、セパレータ本体10に貼り付けられた絶縁粘着テープ20は、電極シートをダイカットした後に残ったバリがセパレータを突き刺すことを効果的に防止し、セル内部にはバリがセパレータを突き刺すことによる短絡が発生するリスクを低減することができる。かつ、該絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10に貼り付けられ、かつ第1方向に沿ってセパレータ第1端103からセパレータ第2端104まで延在するため、製造過程において、絶縁粘着テープ20の第1方向における位置を位置決めして制御する必要がなく、製造難度を低減する。それとともに、セパレータ本体10と絶縁粘着テープ20との組み合わせを、セルを積層するか又は捲回する過程において形成することができ、絶縁粘着テープ20の設置とセルの製造プロセスとを完璧に組み合わせることでプロセスステップを少なくし、電極シートのダイカットと絶縁粘着テープ20の設置とを分離することができ、電極シートのダイカットに影響を与えないとともに、安全性の保証に影響を与えない。
【0040】
従来の技術において、タブの位置に粘着テープを部分的に貼り付ける手段の他に、別の手段は、正極シート30の両面に一定の厚さのセラミックコーティング303を塗布することにより、バリによる突き刺しを防止する機能を実現することである。しかしながら、製造過程において、まず正極シート30の両面にセラミックコーティング303を塗布し、次にセラミックコーティング303を塗布した正極シート30をダイカットし、さらにダイカットにより成形された正極タブ40付きの正極シート30を得て、その後に正極シート30をセパレータ及び負極シートと組み合わせてから捲回するか又は積層することにより単電池を形成する必要がある。該過程において、一方ではプロセス要件が高く、他方では、ダイカット過程において、ダイカットパラメータウィンドウが小さく、ダイカットに役立たなく、それとともに、ダイカット後に、エッジに一部のスラグ又はバリが依然として発生するが、この一部のスラグ又はバリは、覆うことができず、依然として短絡のリスクを引き起こし、安全性に影響を与える。また、セラミックコーティング303を塗布する過程において、セラミックコーティング303の厚さを厳密に制御する必要があり、かつ該制御を、塗布過程においてリアルタイムに監視して完了させる必要があり、それとともに、セラミックコーティング303を塗布した正極シート30について、そのダイカット難度も向上し、かつダイカットプロセスに対する要件が変化し、全体的にプロセス及び制御に対して非常に高い要件が課せられる。これに対して、本願において、絶縁粘着テープの製造は、セラミックコーティング303の塗布よりも比較的簡単であり、かつ厚さが制御しやすくなり、それとともに、絶縁粘着テープの設置は、正極シート30のダイカットが完了した後に行われてよく、一方では正極シート30のダイカット過程に影響を与えず、プロセス難度を低減し、他方ではダイカット後にバリが発生する位置を効果的に覆い、短絡のリスクを低減し、安全性を向上させることができる。
【0041】
本願のいくつかの実施例において、図1に示すように、粘着テープ第1側201は、セパレータ第1側101と面一になり、該構造は、絶縁粘着テープ20がセパレータと協働する理想的な最適位置であり、このようにして、セパレータの各位置を十分に保護し、突き刺しを完全に防止する作用を果たすことができる。
【0042】
しかしながら、具体的な加工及び製造過程において、捲回機のずれ補正と、絶縁粘着テープ20及びセパレータの幅スリットプロセスにおける変動とを考慮するため、別のいくつかの実施例において、図2及び図3に示すように、粘着テープ第1側201をセパレータ第1側101から一定の距離だけ離隔させて設置し、該距離は、1mm以下である。
【0043】
本願のいくつかの実施例において、図2に示すように、絶縁粘着テープ20は、第1方向に沿ってセパレータ第1端103からセパレータ第2端104まで延在するだけでなく、粘着テープ第1端203は、セパレータ第1端103と面一になり、粘着テープ第2端204は、セパレータ第2端104と面一になる。セパレータ本体10と絶縁粘着テープ20とを貼り合わせた後、第1方向に沿って、絶縁粘着テープ20は、少なくとも部分的にセパレータ本体10を覆い、セパレータ本体10の突き刺しを完全に防止することを実現する。
【0044】
正極シート30について、その幅は、正極被覆材層304の幅に直接的に影響を与え、さらに電池の容量に影響を与え、すなわち、電池を製造するための正極シート30は、幅が広く、大きいほど、電池の全体的な容量が高くなる。逆に、体積が一定である場合、どのように、限られた体積内の空間を効果的に利用することで、より大きな容量を得ることができるかということは、現在の電池における、解決する必要がある課題であり、したがって、理論的には、正極シート30上の正極被覆材層304は、広いほど好ましい。本願において、絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10に貼り付けられ、電池に使用される場合、絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10と正極シート30との間に位置し、正極シート30のダイカット後のバリがセパレータ本体10を突き刺すことに起因して正極シート30と負極シートが接触して短絡することを防止し、絶縁粘着テープ20の幅が大きすぎると、使用過程において、正極被覆材層304の幅に影響を与え、電池の容量に影響を与え、それとともに、絶縁粘着テープ20は、正極被覆材層304を覆うことができず、そうでない場合は、電池の性能に影響を与え、正極被覆材層304のリチウム析出に阻害作用を生じさせる。以上より、本願において、絶縁粘着テープ20の幅が大きすぎてはならず、そうでない場合は、正極被覆材層304を覆うか又は電池の容量に影響を与え、小さすぎてはならず、そうでない場合は、本願が解決しようとする技術的課題をうまく解決し、突き刺しを防止する機能を果たすことができない。したがって、本願のいくつかの実施例において、絶縁粘着テープ20の第2方向に沿う幅は、4mm~6mmである。
【0045】
絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との間の接着信頼性を保証するために、特に電池に加工する過程において、両者の間の接着信頼性を特に高くし、例えば、捲回電池の成形過程において、電池セパレータ(絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との組み合わせ)を延伸した後に捲回する必要があり、絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との間の接着性が十分でなければ、延伸過程において絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10とが分離し、一方では製造過程の順調な進行に影響を与え、他方では、分離後の絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との位置ずれを引き起こし、完成品の歩留まりを低下させる可能性がある。したがって、本願において、絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との間の剥離強度は、0.11kgf/cm以上を選択する。絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10との間の接着性を向上させることにより、両者の間の付着力が高く、電極体の製造過程において反り変形が発生せず、電池においても脱落が発生しない。
【0046】
セパレータ本体10に絶縁粘着テープ20を貼り付けた後、電池セパレータ全体の突き刺し強度を向上させることができ、いくつかの実施例において、電池セパレータの絶縁粘着テープ20の位置での突き刺し強度は、セパレータ本体10の2~3倍である。
【0047】
いくつかの実施例において、電池全体の厚さを減少させ、エネルギー密度を向上させるために、セパレータ本体10の厚さ方向の一面に絶縁粘着テープ20を設置するように選択し、セパレータ本体10の負極シートに面する面であってもよく、セパレータ本体10の正極シート30に面する面であってもよく、図6に示すように、絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10の正極シート30に面する面に設置されることにより、正極シート30のダイカット後のバリは、まず絶縁粘着テープ20に向かって、次にセパレータ本体10に向かって刺すため、バリのセパレータ本体10に対する損傷を低減することができる。
【0048】
別のいくつかの実施例において、電池セパレータ全体の強度を向上させるために、セパレータ本体10の厚さ方向の両面のいずれにも絶縁粘着テープ20を設置して、さらに安全性を向上させる。
【0049】
本願の電池セパレータにおいて、セパレータ第1側101及びセパレータ第2側102は、いずれも第1方向に沿って延在し、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、いずれも第2方向に沿って延在し、セパレータ第1側101、セパレータ第2側102、セパレータ第1端103及びセパレータ第2端104は、セパレータ本体10の周方向の4辺を構成する。
【0050】
それに対応して、粘着テープ第1側201及び粘着テープ第2側202は、いずれも第1方向に沿って延在し、粘着テープ第1端203及び粘着テープ第2端204は、いずれも第2方向に沿って延在する。
【0051】
粘着テープ第2側202は、セパレータ第2側102に近接して設置される。ここでの「近接」とは、粘着テープ第1側201に比べて、粘着テープ第2側202がセパレータ第2側102により近接することを指す。
【0052】
それとともに、粘着テープ第1端203は、セパレータ第1端103に対応して設置され、粘着テープ第2端204は、セパレータ第2端104に対応して設置される。
【0053】
本願に係る電池は、正極シート30、負極シート及びセパレータを含み、セパレータは、少なくとも部分的に正極シート30と負極シートとの間に設置され、図4及び図5に示すように、正極シート30は、第2方向において対向して設置された正極シート第1側301及び正極シート第2側302を含み、セパレータ第1側101及び正極シート第1側301は、同じ側に設置され、正極シート第1側301に正極タブ40が設置され、負極シートに負極タブ60が設置され、図9に示すとおりである。
【0054】
本願のいくつかの実施例において、本願に係る電池セパレータを単独で製造するか又は購入し、その後該電池セパレータを本願に係る電池に適用し、本願に係る電池セパレータを本願に係る電池内のセパレータ100とし、正極シート30及び負極シート50と共に本願に係る電池のセルを構成してよい。該実施例において、本願に係る電池セパレータを、本願に係る電池の完全な部品として使用して、電池を構成する。
【0055】
本願の別のいくつかの実施例において、本願に係る電池セパレータと本願に係る電池との製造過程を統合し、本願に係る電池の製造過程において、本願に係る電池セパレータの製造を同時に完了させる。セパレータ100、正極シート30、負極シート50及び絶縁粘着テープ20を共に用いて本願に係る電池を製造してよく、まず本願に係る電池セパレータを製造し、次にそれを本願に係る電池の製造に使用することではない。
【0056】
要するに、本願において、本願に係る電池セパレータを狭義には、完全に独立した存在と見なすことができず、それは、まず製造されてもよく、電池の製造過程において形成されてもよい。手段を解釈するとき、まず本願に係る電池セパレータを製造するか又は購入し、次にそれを本願に係る電池の製造過程に適用することは、本願の1つの方式に過ぎず、唯一の解釈とすることができず、これに対して、別の解釈において、まず本願に係る電池セパレータを製造しないが、本願に係る電池の製造過程において、本願に係る電池セパレータも形成され、本願の実施形態の1つでもあり、本願の範囲内にある。本願に係る電池において、その保護範囲は、本願に係る電池セパレータを該電池に含む構造であり、必ずしも、まず本願に係る電池セパレータを製造し、次にそれを本願に係る電池に適用することを前提とする必要はない。
【0057】
いくつかの実施形態において、正極シート30は、正極集電体と、正極集電体に設置された正極被覆材層304と、を含み、負極シートは、負極集電体と、負極集電体に設置された負極被覆材層と、を含み、正極シート30と負極シートとは、セパレータによって隔離される。
【0058】
正極シート第1側301に正極タブ40が設置され、正極タブ40の位置は、セパレータ第1側101に対応し、セパレータ第1側101及び正極シート第1側301は、同じ側に設置される。これに対して、負極シートに負極タブ60が設置され、正極シート30に対応して、負極シートも、第2方向において対向して設置された負極シート第1側及び負極シート第2側を含み、負極タブ60は、負極シート第1側に設置されてもよく、負極シート第2側に設置されてもよい。すなわち、正極タブ40と負極タブ60は、電池において同じ端部に位置してもよく、異なる端部に位置してもよく、それに対応して、電流を引き出すための正極端子と負極端子は、同じ端部に設置されてもよく、異なる端部に設置されてもよい。
【0059】
本願に係る電池において、セパレータ100は、本願に係る電池セパレータであり、正極シート第1側301は、第2方向に粘着テープ第1側201と粘着テープ第2側202との間に位置し、粘着テープ第2側202は、第2方向に正極シート第1側301と正極シート第2側302との間に位置する。
【0060】
図2及び図5に示すように、上下方向(第2方向)において、セパレータ本体10の上側は、セパレータ第1側101であり、絶縁粘着テープ20の上側は、粘着テープ第1側201であり、正極シート30の上側は、正極シート第1側301である。それに対応して、セパレータ本体10の下側は、セパレータ第2側102であり、絶縁粘着テープ20の下側は、粘着テープ第2側202であり、正極シート30の下側は、正極シート第2側302である。正極シート第1側301は、粘着テープ第2側202よりも高く、正極シート第1側301は、粘着テープ第1側201よりも低く、粘着テープ第2側202は、正極シート第2側302よりも高く、粘着テープ第2側202は、正極シート第1側301よりも低い。
【0061】
本願に係る電池において、正極シート第1側301は、ダイカット後の側であり、すなわち、広い正極シート30を用い、それに対してダイカット操作を行い、ダイカット後に正極タブ40及び正極シート第1側301を形成し、ダイカット後に、ダイカットにより正極シート第1側301及び正極タブ40の周辺にバリを形成する可能性があり、それを直接的にセパレータ及び負極シートと組み合わせてセルを形成すると、バリは、セパレータを突き刺して、正極シート30と負極シートが短絡することを引き起こす可能性がある。したがって、本願において、絶縁粘着テープ20は、正極シート第1側301及び正極タブ40の部分を覆い、正極シート第1側301及び正極タブ40の部分を負極シートから隔離し、バリがセパレータを突き刺すことを防止し、電池の安全性を向上させる。
【0062】
セパレータの変形又は他の要因による収縮に起因して正極シート30と負極シートが短絡することを防止するために、セパレータは、一般的に、幅が正極シート30の幅よりも広いように設計され、少なくとも、セパレータ第1側101は、正極シート第1側301を超えて設置する必要があり、図6に示すように、セパレータ第1側101は、正極シート第1側301の高さよりも高く、上下方向において、セパレータ第1側101は、正極シート第1側301よりも高いように設置される。
【0063】
電池の全体的な性能を保証するために、セパレータ第1側101と正極シート第1側301との間の距離は、1~2mmであってよい。正極のダイカットエッジは、絶縁粘着テープに位置し、絶縁粘着テープの突き刺し強度は、セパレータの2~3倍であり、バリがセパレータを突き刺すリスクを低減するとともに、粘着テープが被覆材に接触して電池の容量に影響を与えることを回避することができる。
【0064】
本願のいくつかの実施例において、粘着テープ第1側201と正極シート第1側301との間の距離は、1~2mmである。正極のダイカットエッジは、絶縁粘着テープに位置し、絶縁粘着テープの突き刺し強度は、セパレータの2~3倍であり、バリがセパレータを突き刺すリスクを低減するとともに、粘着テープが被覆材に接触して電池の容量に影響を与えることを回避することができる。
【0065】
本願のいくつかの実施例において、絶縁粘着テープは、20~30ミクロンの厚さを有することにより、粘着テープの硬度を保証し、粘着テープを貼り付けるときに粘着テープに皺が発生することを回避し、加工能力を向上させる。
【0066】
本願のいくつかの実施例において、図5及び図6に示すように、正極シート30の正極シート第1側301に近接する位置にセラミックコーティング303が塗布され、上記セラミックコーティング303は、コーティング第1側3031及びコーティング第2側3032を含み、上記コーティング第1側3031は、粘着テープ第1側201と粘着テープ第2側202との間に位置し、上記粘着テープ第2側202は、コーティング第1側3031とコーティング第2側3032との間に位置する。セラミックコーティングをダイカットした後に80~120ミクロンのバリが発生する可能性があり、非常に鋭く、セパレータ本体の少なくとも一面に絶縁粘着テープを貼り付けることにより、バリのセパレータに対する損傷が発生する安全上のリスクを効果的に低減することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、コーティング第2側3032と粘着テープ第2側202との間の間隔は、1~2mmであり、正極のダイカットエッジは、粘着テープと接触するため、バリがセパレータを突き刺すことにより短絡するリスクを低減するとともに、粘着テープが被覆材に接触して電池の容量に影響を与えることを回避することができる。
【0068】
いくつかの実施例において、上記正極シート30に正極被覆材層304が塗布され、上記正極被覆材層304の上記正極シート第1側301に近接する側と上記粘着テープ第2側202との距離は、0~1mmであるため、粘着テープが被覆材層30に接触して電池の容量に影響を与えることを回避する。
【0069】
本願において、正極タブ40は、正極シート30をダイカットすることにより得られる。それとともに、製造過程において、幅の大きい正極シート30を選択し、ダイカットすることで正極タブ40を形成するとともに、正極タブ40を形成する側を正極シート第1側301とする。
【0070】
本願のいくつかの実施例において、図7に示すように、正極シート30、負極シート及びセパレータは、いずれも一体的に連続するシート状であり、電池の電極体は、正極シート30、負極シート50及びセパレータ100を積層した後に捲回することにより形成される。
【0071】
捲回電極体は、正極シート30、負極シート及びセパレータを積層した後に捲回することにより形成され、製造過程において、まず正極シート30、負極シート及びセパレータを延伸し、巻き出し、ずれを補正し、次に正極シート30、負極シート及びセパレータを圧着し、かつ捲回することにより、セルを形成する。一般的な手段において、まず上記操作ステップを行い、最後に正極タブ40に粘着テープを貼り付けることにより、隔離を完了させ、あるいは、正極シート30のエッジにセラミックコーティング303を直接的に塗布し、上記のように、該2種類の方式は、いずれも欠点を有する。したがって、本願において、延伸し、巻き出す前に、まず絶縁粘着テープ20とセパレータ本体10とを貼り合わせることで、巻き出されるセパレータを形成し、次に延伸し、巻き出し、あるいは、延伸し、巻き出す過程において、絶縁粘着テープ20のための延伸、巻き出し構造を別個に配置し、正極シート30、負極シート、セパレータ本体10及び絶縁粘着テープ20をそれぞれ延伸し、巻き出し、その後に捲回して電極体を形成し、この過程において、絶縁粘着テープ20は、セパレータ本体10上に圧着されて貼り付けられる。
【0072】
捲回セルにおいて、正極シート30、負極シート50及びセパレータ100は、いずれも一体的に連続するシート状であるため、セパレータを構成するセパレータ本体10及び絶縁粘着テープ20は、いずれも一体的に連続するシート状であり、このようにして、巻き出して捲回する過程において、セパレータ本体10と絶縁粘着テープ20を延伸して巻き出し、さらに捲回してセルを形成する。該実施例において、連続するセパレータ本体10及び絶縁粘着テープ20の設計により、捲回して電極体を形成した後に正極タブ40に1つずつ粘着テープを貼り付けるステップを省略し、工程を少なくし、加工難度を低減し、かつコストを削減することができる。
【0073】
別の実施例において、図8に示すように、セパレータは、一体的に連続するシート状であり、すなわち、セパレータ本体10及び絶縁粘着テープ20は、いずれも一体的に連続するシート状であり、正極シート30は、複数枚あり、負極シートは、複数枚あり、電池の電極体は、セパレータを複数回折り畳み、かつセパレータの隣接する2つの層の間に1枚の正極シート30又は1枚の負極シートを挿入することにより構成され、正極シート30と負極シートは、交互に設置される。
【0074】
別の実施例において、上記セパレータは、一体的に連続するシート状であり、上記正極シート30は、複数枚あり、上記負極シートは、複数枚あり、上記電池の電極体は、上記セパレータを捲回し、かつセパレータの隣接する2つの層の間に1枚の正極シート30又は1枚の負極シートを挿入することにより構成され、上記正極シート30と負極シートは、交互に設置される。
【0075】
上記2つの実施例において、セパレータは、一体的に連続するシート状であり、セパレータ本体10及び絶縁粘着テープ20も、一体的に連続するシート状であり、このようにして、セパレータ本体10に絶縁粘着テープ20を直接的に貼り付けることができ、成形されたセルにおいて正極タブ40に対して1つずつ粘着テープ貼り付け処理を行う必要がなく、工程を少なくし、加工難度を低減し、かつコストを削減する。
【0076】
上記3つの実施例は、それぞれ捲回セルと積層セルである。積層セルは、完全積層セルではなく、正極シート30及び負極シートは、複数枚あり、セパレータは、一体的に連続するシート状であり、セパレータを連続的に折り畳むか又は捲回し、複数枚の正極シート30又は負極シートを1つずつ隣接するセパレータの間に積層し、セルを形成し、電池を構成する。
【0077】
当然ながら、いくつかの実施例において、完全積層セルには、本願に係るセパレータを用いてもよく、ある程度、工程を少なくし、かつコストを削減することもできる。それとともに、安全性を安定して保証し、バリによる突き刺しを防止することができる。
【0078】
図4は、ダイカット前の正極シートであるのに対し、図5は、ダイカット後の、正極タブ40付きの正極シートである。
【0079】
本願は、直列接続され及び/又は並列接続される複数の上記本願に係る電池を含む、電池モジュールをさらに提供する。いくつかの実施例において、図10に示すように、電池モジュールは、単電池70を含み、複数の単電池70は、2つの端板71の間に配置され、電池モジュールの上側は、トップカバー72で覆われて固定される。
【0080】
それとともに、本願は、本願に係る上記電池又は少なくとも1つの上記電池モジュールを含む電池パックをさらに提供する。いくつかの実施例において、図11に示すように、電池パックは、トレイ80と、トレイ80内に設置された複数の電池モジュール82とを含み、それとともに、固定しやすくするために、トレイ80の周囲には、トレイを車体に便利に取り付けることができるラグ81が設置される。
【0081】
図13に示すように、本願のいくつかの実施例において、複数の本願に係る電池又は本願に係る電池モジュール又は本願に係る電池パックを含む自動車100を提供する。いくつかの実施例において、図12に示すように、自動車100は、シャーシ90と、シャーシに設置された電池パック91とを含む。
【0082】
以上から分かるように、本願は、上記優れた特性を有するため、使用において、従来の技術が達成できない効果の向上により実用性を有し、実用的価値の高い製品となる。
【0083】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原則及び精神から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲で限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】