(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】一定でないノジュール密度を有するブラシ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221109BHJP
B08B 1/00 20060101ALI20221109BHJP
A46B 9/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
B08B1/00
A46B9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515871
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020048789
(87)【国際公開番号】W WO2021050315
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー スコット ウィザーズ
(72)【発明者】
【氏名】エリック スコット ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】コーリー アラン ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレント アラン ベスト
【テーマコード(参考)】
3B116
3B202
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA03
3B116BA02
3B116BA12
3B202AA00
3B202AB00
3B202ED00
5F057AA21
5F057DA03
5F057DA39
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5F157BA03
5F157BA07
5F157BA14
5F157BA31
5F157DB02
(57)【要約】
表面を洗浄するブラシについての開示が提供される。ブラシは中心コアと中心コアの周囲の洗浄部材とを備える。洗浄部材上にはモジュールが存在し、洗浄部材上のノジュール密度は変動する。従って、洗浄部材の第1の領域の第1のノジュール密度は、洗浄部材の第2の領域の第2のノジュール密度とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を洗浄するブラシであって、
中心コアと、
ノジュールをし、前記中心コアの周囲に設けられた洗浄部材とを具備し、
前記洗浄部材の第1の領域における第1のノジュール密度が、前記洗浄部材の第2の領域の第2のノジュール密度とは異なっているブラシ。
【請求項2】
ノジュール密度は、前記ブラシの長手方向端部よりも前記ブラシの長手方向中心において低くなっている請求項1に記載のブラシ。
【請求項3】
前記ノジュールは、前記洗浄部材上に実質的に螺旋状のパターンを形成する請求項1に記載のブラシ。
【請求項4】
前記ノジュールは、前記洗浄部材上に実質的に格子状のパターンを形成する請求項1に記載のブラシ。
【請求項5】
ノジュール密度は、前記ブラシの長手方向中心周りで実質的に対称である請求項1に記載のブラシ。
【請求項6】
ノジュールパターンは、前記ブラシの長手方向中心周りで実質的に対称である請求項1に記載のブラシ。
【請求項7】
前記ノジュールは、前記洗浄部材の一部として形成される請求項1に記載のブラシ。
【請求項8】
前記ノジュールは、接着剤によって前記洗浄部材に取り付けられる請求項1に記載のブラシ。
【請求項9】
少なくとも1つのノジュールは、前記ノジュールのうちの別のノジュールとは異なる形状を有する請求項1に記載のブラシ。
【請求項10】
前記ブラシは、該ブラシの長手方向中心付近に細長いノジュールを有する請求項1に記載のブラシ。
【請求項11】
前記ブラシの第1の断面の直径は、前記ブラシの第2の断面の直径よりも大きい請求項1に記載のブラシ。
【請求項12】
前記ブラシの断面は実質的に円形である請求項1に記載のブラシ。
【請求項13】
前記洗浄部材は、前記中心コアにわたって摩擦嵌合される請求項1に記載のブラシ。
【請求項14】
前記洗浄部材は、接着剤によって前記中心コアに結合される請求項1に記載のブラシ。
【請求項15】
前記ノジュールのうちの少なくとも幾つかは、洗浄流体を前記ブラシの長手方向端部に向けて移動させるパターンで配置され、前記洗浄流体は、少なくとも前記表面の洗浄プロセス時に前記ブラシと前記表面の一方または双方に提供される請求項1に記載のブラシ。
【請求項16】
表面を洗浄するブラシであって、
中心コアと、
ノジュールを備え、前記中心コアの周囲に設けられた洗浄部材とを具備し、
該ブラシの第1の領域にある第1のノジュールは第1の形状を有し、該ブラシの第2の領域にある第2のノジュールは第2の形状を有するブラシ。
【請求項17】
前記第1の領域と前記第2の領域の一方または双方は、前記第1の形状を有する第1のノジュールと前記第2の形状を有する前記第2のノジュールとを有する請求項16に記載のブラシ。
【請求項18】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも前記ブラシの長手方向中心に近い請求項16に記載のブラシ。
【請求項19】
前記第1の形状は前記第2の形状よりも大きい請求項16に記載のブラシ。
【請求項20】
前記第1のノジュールと前記第2のノジュールの少なくとも一方は、洗浄流体を前記ブラシの長手方向端部に向けて移動させるパターンで配置され、前記洗浄流体は、少なくとも前記表面の洗浄プロセス時に前記ブラシと前記表面の一方または双方に提供される請求項16に記載のブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照/優先権の主張]
本特許出願は、「Apparatus for a Brush With Non-constant Nodule Density」と題する、2019年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/898,534号、および、2020年8月18日に出願された米国特許出願第16/996,224号を参照し、その優先権を主張し、その利益を主張する。これらの出願の全内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、表面を洗浄するブラシに関し、より詳細には、一定でないノジュール密度を有するブラシに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造業その他の業界において、半導体ウェハーの表面から等、表面からの汚染物質を除去するために、ブラシが使用される。従来のブラシは、表面を洗浄するのに使用されるノジュールを有する。ここで、ブラシは一定のノジュール密度を有する。
【0004】
ブラシの調整、使用に対する従来の手法の限界や不都合点は、そのような手法を、図面を参照して本開示の残りの部分において記載されている本方法およびシステムのいくつかの態様と比較することにより、当業者には明らかとなろう。
【発明の概要】
【0005】
実質的に、図のうちの少なくとも1つの図によって示されるとともに、これに関連して説明されるように、また、特許請求の範囲においてより完全に述べられるように、一定でないノジュール密度を有するブラシに関する方法および装置が提供される。
【0006】
これらの態様および/または他の態様は、添付図面に関して行う、例示的な実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第1の例示的なブラシを示す図である。
【
図1B】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第1の例示的なブラシを示す図である。
【
図2A】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第2の例示的なブラシを示す図である。
【
図2B】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第2の例示的なブラシを示す図である。
【
図3A】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第3の例示的なブラシを示す図である。
【
図3B】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第3の例示的なブラシを示す図である。
【
図4】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第4の例示的なブラシを示す図である。
【
図5】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第5の例示的なブラシを示す図である。
【
図6】本開示の態様による、一定でないノジュール密度を有する第6の例示的なブラシを示す図である。
【
図7A】本開示の態様による、長手方向軸に沿って一定でない直径を有する例示的なブラシを示す図である。
【
図7B】本開示の態様による、長手方向軸に沿って一定でない直径を有する例示的なブラシを示す図である。
【
図8】本開示の態様による、従来のブラシによる洗浄時の接触と、一定でないノジュールブラシによる洗浄時の接触とを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様のまたは同一の参照番号を使用して、同様のまたは同一の構成要素を指す。
【0009】
様々な応用およびプロセスが、対象の表面の物理的洗浄から利益を得ることができる。例えば、半導体製造において、ウェハー上で電子回路を組み立てる1つ以上の段階の間に、破壊的である可能性がある汚染物質を除去するために、半導体ウェハーを洗浄することができる。洗浄プロセスは、例えば、ブラシの洗浄面上のノジュールが被洗浄面と接触することを伴う。ここで、被洗浄面は、例えば、半導体ウェハーの面とすることができる。
【0010】
種々の用途に対して本開示の様々な態様を使用することができることが理解されるべきであるが、本開示では、例として半導体ウェハーの表面を洗浄することについて述べる。
【0011】
半導体ウェハーに対する製造プロセス中、例えば、有機粒子および/または無機粒子の形態で、半導体ウェハー表面上に多くの汚染物質が見いだされる可能性がある。これらの汚染物質は、通常、デバイスの故障や不十分なウェハー歩留まりをもたらす。更に、新たな半導体技術ノードの各々により、半導体ウェハーにおける欠陥の臨界サイズおよび半導体ウェハー上の欠陥の許容可能な数は低減される。
【0012】
半導体業界は、半導体デバイスの製造において化学機械平坦化後(pCMP)洗浄を使用する場合があり、そこでは、半導体ウェハー表面から汚染物質を除去するために、特定用途向けの洗浄剤および/または化学薬品と組み合わせて、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAc)ブラシ等のブラシが使用される場合がある。
【0013】
図1A、1Bは、例えば半導体ウェハー表面等の表面を洗浄する例示的なブラシの2つの異なる図を示す。
図1Aにおいて、中心コア110(「マンドレル」とも称される場合がある)と洗浄部材120とを備えるブラシ100が示されている。洗浄部材120は、例えば、PVAcとすることができ、ノジュール122を有する。見て取ることができるように、ブラシ100の長手方向端部B、C付近の領域よりも、ブラシ100の長手方向中心A付近の領域の方が、単位面積当たりのノジュールが少ない。すなわち、ノジュール密度は、ブラシの長手方向端部B、C付近よりもブラシ100の長手方向中心A付近で低い。
図1Bは
図1Aに示したものと同じブラシであるが、
図1Bのブラシ100は、
図1Aに対して長手方向軸周りに90度回転させてある点が異なる。
【0014】
図示しないが、脱イオン水や様々な化学薬品等、洗浄に使用される流体を送達するために、例えば、中心コア110内に1つ以上の導管を設けることができる。流体は、中心コア110内の開口を介して洗浄部材120へと送達され、流体は、被洗浄物体の表面と接触することができる。例えば、被洗浄面は、半導体ウェハー180の表面とすることができる。
【0015】
図1A、1Bに示すように、ノジュールは螺旋状(渦巻状)パターンを形成することができる。このパターンにより、汚染物質、遊離した粒子、洗浄流体等がブラシ100の端部B、Cの一方または双方へと通流することが可能になり得る。加えて、ブラシ100の中心においてノジュール密度が低いことにより、例えば半導体ウェハー180の中心部分への接触を少なくすることが可能になる。これについては
図8に関して更に説明する。
【0016】
ノジュール122は、洗浄部材120の一部として形成してもよいし、洗浄部材120に取り付けてもよい。例えば、洗浄部材120は鋳型を介してノジュール122とともに形成してもよい。ノジュール122を別々に形成して、例えば接着剤を使用して洗浄部材120に取り付けてもよい。
【0017】
ノジュール122なしのブラシ100の断面は、実質的に円形とすることができる。洗浄部材120は、例えば、摩擦嵌合によってまたは1つ以上の接着剤を使用することによって中心コア110に取り付けることができる。加えて、見て取ることができるように、ノジュール122の螺旋状パターンにより、洗浄流体、汚染物質等を長手方向端部Bおよび/またはCに向けて移動させ、流体、汚染物質等が、例えば、洗浄中の半導体ウェハー180、または半導体ウェハー180を洗浄するのに使用されるブラシ100を再汚染しないようにすることができる。洗浄プロセスについては
図8に関してより詳細に説明する。
【0018】
図2A、2Bは、ブラシ100と同様のブラシ200を示す。ブラシ200は、中心コア210と、ノジュール222、224を有する洗浄部材220とを備える。長手方向中心A付近の幾つかのノジュール222が細長いのに対してノジュール224が丸いことに留意することができる。しかしながら、ノジュール222、224が依然として螺旋状パターンを形成することは理解されよう。従って、本開示の様々な例において、ブラシ上のパターンに対して伝導性がある異なる形状のノジュールを有することができる。例えば、ノジュール形状は、丸形、矩形、菱形、台形、山形等としてもよい。ブラシの領域にあるノジュールは全てが同じ形状である必要はない。
【0019】
図2A、2Bに見て取ることができるように、長手方向中心Aの周囲の領域D-Eは細長いノジュール222を有することができ、領域D-Eの外側の領域は丸いノジュール224を有することができる。本開示の他の例において、本開示に示すもの以外の形状を使用してもよく、別の領域が異なる形状を有するノジュールを有してもよい。
【0020】
ノジュール222がノジュール224よりも物理的に大きいことは理解されようが、ノジュールは、例えば洗浄用の半導体180に触れる表面積が別の表面積よりも大きい場合にも、より大きいものとして説明される場合がある。
【0021】
図3A、3Bは、ブラシ100と同様のブラシ300を示す。ブラシ300は、中心コア310と、ノジュール322を有する洗浄部材320とを備える。ノジュール322は、ノジュール密度がブラシ300にわたって変動する格子状パターンである。従って、本開示の様々な例において、ブラシ上のパターンに対して伝導性がある異なる形状のノジュールを有することができる。加えて、ブラシの領域にあるノジュールは全てが同じ形状である必要はない。
【0022】
図4は、ブラシ100と同様のブラシ400を示す。ブラシ400は、中心コア410と、ノジュール422を有する洗浄部材420とを備える。ノジュール422は、長手方向中心Aの左側のパターンが長手方向中心Aの右側のパターンと実質的に対称となるように形成することができる。
【0023】
図5は、ブラシ100と同様のブラシ500を示す。ブラシ500は、中心コア510と、細長いノジュール522を有する洗浄部材520とを備える。細長いノジュール522は、ノジュール密度がブラシ500にわたって変動する螺旋状パターンである。
図5に示す例示的なブラシ500において、ブラシ500の左側にはノジュール522が存在するが、ブラシ500の右側には、長手方向中心A付近および端部C付近を除いてノジュールが実質的に存在しない。本例におけるノジュール522は、ブラシ500の右側の長手方向中心A付近および端部C付近にのみ示されているが、本開示の様々な例において、ブラシ500の右側の様々な領域にノジュールを有してもよい。本開示の様々な例において、ブラシ500上に異なる形状のノジュール522を有してもよい。すなわち、ブラシ500の領域にあるノジュール522は異なる形状としてもよい。
【0024】
図6は、ブラシ100と同様のブラシ600を示す。ブラシ600は、中心コア610と、細長いノジュール622を有する洗浄部材620とを備える。見て取ることができるように、ブラシ100の左側は、ブラシ600の右側と実質的に対称とすることができる。ブラシ600の両側の細長いノジュール622は、ノジュール密度が変動する螺旋状パターンである。ブラシ600のノジュール622は細長いものとして示されているが、本開示の様々な例において、上述したものとは異なる形状のノジュールを有してもよい。すなわち、ブラシ600の領域にあるノジュール622は異なる形状としてもよい。
【0025】
従って、例示的なブラシは、例えば、ノジュール122/224/322と同様の形状のノジュールを使用することができる。ここで、ノジュール122/224/322は
図6と同様のパターンで配置される。しかしながら、ノジュール122/224/322のサイズがノジュール622のサイズとは異なり得るため、2つの個別のノジュール122/224/322間の距離は、2つの個別のノジュール622間の距離とは異なり得る。従って、所与のノジュールパターンのために異なる形状のノジュールを使用することができるが、ノジュール間の距離(配置)は使用されるノジュールのタイプに応じたものとすることができることは理解されよう。
【0026】
図7A、7Bは、長手方向軸Xに沿って均一な直径を有しないブラシ700を示す。見て取ることができるように、直径はX軸に沿って左から右に大きくなる。
図7Aにおいて、中心コア710の直径は大きくなるのに対し、洗浄部材720の厚さは実質的に一定である。
図7Bにおいて、中心コア760の直径は一定であるのに対し、洗浄部材770の厚さは長手方向軸Xに沿って左から右に大きくなる。洗浄部材720、770は、少なくとも
図1~
図6に示したようなノジュールを有することができる。
【0027】
具体的な例を示したが、他の例において、直径が長手方向軸Xに沿って非線形に変化し得る異なる形状を有してもよい。例えば、ブラシ700/750、中心コア710/760、および/または洗浄部材720/770の直径は、長手方向端部Y、Z付近よりも長手方向中心A付近の中心領域において僅かに小さいものとしてもよい。別の例において、直径は、長手方向端部Y、Z付近よりも長手方向中心A付近の中心領域において僅かに大きいというものでもよい。
【0028】
更に他の例において、
図7Aの中心コア710を
図7Bの洗浄部材770とともに有することができる。幾つかの場合、このように形成されたブラシは、実質的に一定の外径を有し得る。また、中心コアおよび洗浄部材の位置合わせ状態、並びに中心コアおよび/または洗浄部材の直径変化の変動レベルに応じて、ブラシは左から右に異なる傾きを呈し得る。
【0029】
また、例示的な
図1A~
図4および
図6におけるノジュール密度および/またはパターンから、ノジュール密度が長手方向中心Aの周りに実質的に対称であることが示されることに留意することができる。しかしながら、本開示の様々な例をそのように限定する必要がないことに留意すべきである。すなわち、
図5に示すように、ノジュール密度は、長手方向中心Aの周りに実質的に対称である必要はない。
【0030】
図8は、従来のブラシ800による試験表面との接触のグラフ802と比較して、
図1A、1Bのブラシ100の一定でない(偏った)ノジュールレイアウトを有するブラシ810による試験表面との接触のグラフ812を示す。グラフ802は、試験表面の中心から離れる方向よりも試験表面の中心付近に暗い領域を示しており、これは、接触が外側領域よりも中心領域において多いことを示すものである。一方、グラフ812は、試験表面の全ての領域についてより一定の接触量を提供している。
【0031】
洗浄プロセスが行われている際、ブラシ800、810は、方向R1において長手方向軸周りに回転させられる場合がある。例えば半導体ウェハー180と同様の試験表面は、図示の例示的な方向R2に回される場合がある。ブラシの様々なノジュール(例えば、ブラシ100のノジュール122)が試験表面(半導体ウェハー180)と接触することにより、試験表面の洗浄が行われることになり得る。そして、並びにブラシ810からの汚染物質および遊離した粒子はもとより、脱イオン水(DIW)および洗浄流体がノジュール122のパターンによって方向D1に沿って移動する。
【0032】
従って、接触量が異なると洗浄レベルが異なることが暗示される。更に、中心において更なる接触があると、この更なる接触によって中心領域に対して何らかの損傷が起こり得ることが示され得る。すなわち、外側領域が許容可能な洗浄のために十分な接触を有する場合、中心領域は洗浄のしすぎにより損傷を受ける可能性がある。代替的には、中心領域が許容可能な洗浄のために十分な接触を有する場合、外側領域は許容可能な程には洗浄されない可能性がある。
【0033】
一方、グラフ812を見ると、中心領域の大半が外側領域と実質的に同じ接触量を有していることが理解されよう。従って、半導体ウェハー180の全体をより一層満遍なく洗浄することができ、従って、半導体ウェハー180の損傷領域を少なくすることができる。
【0034】
洗浄中の表面の中心領域における接触を、
図1A~
図6に示すような一定でないノジュール密度によって低減することに加えて、この一定でないノジュール密度は、洗浄中の表面の中心付近での脱イオン水(DIW)の量の低減も支援することができる。洗浄流体に対してDIWの量が低減していると、ウェハーの損傷リスクを減らしながらも半導体ウェハーのより良好な洗浄を支援することができる。従って、本開示の様々な例において偏った(減少した)ノジュールレイアウトを有することができ、このノジュールレイアウトは、任意の形態、例えば、螺旋状パターン、格子状パターン、または動作時に流体および/または粒子をブラシの少なくとも一方の縁部YまたはZに移動させるような伝導性がある他の任意のパターン等とすることができる。偏った領域は、ブラシの偏っていない領域よりも例えば10%~90%少ないものとすることができるノジュールによる接触面積を有することができる。更に、長手方向中心Aの周囲の中心領域は、ブラシの長手方向の長さの10%~90%のうちの任意の幅とすることができる。更に、偏ったノジュール領域は、ブラシに沿って任意の長さの連続的または非連続的な螺旋状パターンを形成することができる。ここで、螺旋状パターンは任意の幅およびピッチとすることができ、幅/ピッチは、螺旋状パターンの異なる部分において変動し得る。
【0035】
従って、本開示は、表面を洗浄するブラシを提供するものであり、ブラシは中心コアと中心コアの周囲の洗浄部材とを備えることは理解されよう。中心コアはノジュールを有し、ここで、洗浄部材の第1の領域の第1のノジュール密度は、洗浄部材の第2の領域の第2のノジュール密度とは異なる。例えば、第2の領域よりも第1の領域において、単位面積当たりのノジュールが少ない、または単位面積当たりのノジュールへの接触面積が少ない場合がある。
【0036】
ノジュール密度は、例えば、ブラシの長手方向端部よりもブラシの長手方向中心において小さいものとすることができる。本開示の幾つかの例において、ノジュールは、洗浄部材上に実質的に螺旋状のパターンを形成することができる。本開示の他の例において、ノジュールは、洗浄部材上に実質的に格子状のパターンを形成することができる。本開示の様々な例において、ノジュールパターンは、ブラシの長手方向中心周りで実質的に対称とすることができる。
【0037】
本開示の幾つかの例において、ノジュールを洗浄部材の一部として形成してもよい。一例としては、例えば、鋳型を使用して洗浄部材をノジュールとともに形成することができよう。本開示の幾つかの例において、ノジュールを別々に形成した後、例えば接着剤によって洗浄部材に取り付けてもよい。あるいは、ノジュールを洗浄部材に被さって配置されるスリーブ上に付けてもよい。
【0038】
本開示の例において、ノジュールの別のセットとは異なる形状を有する1つ以上のノジュールが存在してもよい。例えば、第1のノジュールは円筒形としてもよいのに対し、第2のノジュールは細長いものとしてもよい。従って、ノジュールは様々な形状のうちのいずれかとすることができる。
【0039】
また、ブラシの一方の端部がブラシの他方の端部とは異なる直径を有するように、またはブラシの2つの異なる断面が異なる直径を有し得るように、ブラシを成形することができる。ブラシの断面は、ノジュールを考慮しないとき、概ね円形とすることができる。
【0040】
本開示の例において、洗浄部材は中心コアにわたって摩擦嵌合してもよく、または洗浄部材は接着剤によって中心コアに結合してもよい。
【0041】
ノジュールのうちの少なくとも幾つかは、洗浄流体をブラシの長手方向端部に向けて移動させるパターンで配置することができ、洗浄流体は、少なくとも、例えば半導体ウェハーの表面の洗浄プロセス時にブラシと表面の一方または双方に提供される。
【0042】
加えて、本開示は、表面を洗浄するブラシを提供するものでもあり、ブラシは中心コアと、中心コアの周囲の洗浄部材とを備えることは理解されよう。洗浄部材はノジュールを有し、ブラシの第1の領域にある第1のノジュールは第1の形状を有し、ブラシの第2の領域にある第2のノジュールは第2の形状を有する。第1の領域と第2の領域の一方または双方は、第1の形状を有する第1のノジュールと第2の形状を有する第2のノジュールとを有することができる。第1の領域は、例えば、第2の領域よりもブラシの長手方向中心に近いものとすることができる。本開示の幾つかの例において、第1の形状は第2の形状よりも、表面積、より具体的には、被洗浄物体に触れる表面積が大きいものとすることができる。第1のノジュールおよび/または第2のノジュールは、洗浄流体をブラシの長手方向端部に向けて移動させるパターンで配置することができ、洗浄流体は、少なくとも表面の洗浄プロセス時にブラシと表面の一方または双方に提供される。
【0043】
本明細書で使用する「および/または」は、「および/または」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「xおよび/またはy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「xおよび/またはy」は、「xとyのうちの一方または両方」を意味する。別の例として、「x、yおよび/またはz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、yおよび/またはz」は、「x、y、zのうちの1つ以上」を意味する。本明細書で使用する「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例または例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書で使用する「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例または例証のリストを開始する。
【0044】
本方法および/またはシステムを、本開示の或る特定の態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法および/またはシステムの範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、また均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況または材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。従って、本方法および/またはシステムは、開示されている特定の例に限定されない。代わりに、本方法および/またはシステムは、字義通りにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0045】
100 ブラシ
110 中心コア
120 洗浄部材
122 ノジュール
180 半導体ウェハー
200 ブラシ
210 中心コア
220 洗浄部材
222 ノジュール
224 ノジュール
300 ブラシ
310 中心コア
320 洗浄部材
322 ノジュール
400 ブラシ
410 中心コア
420 洗浄部材
422 ノジュール
500 ブラシ
510 中心コア
520 洗浄部材
522 ノジュール
600 ブラシ
610 中心コア
620 洗浄部材
622 ノジュール
700 ブラシ
710 中心コア
720 洗浄部材
760 中心コア
770 洗浄部材
800 ブラシ
802 グラフ
810 ブラシ
812 グラフ
【国際調査報告】