(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】エネルギー管理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20221109BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20221109BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221109BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20221109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516008
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020050516
(87)【国際公開番号】W WO2021050959
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520268997
【氏名又は名称】サバント システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ロバート,ピー
(72)【発明者】
【氏名】デメオ,アンナ,イー
(72)【発明者】
【氏名】ディロン,ウィリアム,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン,ダニエル,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】キックライター,ケヴィン,シー
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AA06
5G066AB03
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA14
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
エネルギー管理システムは、オートメーションシステムと相互運用して、住居または他の環境における本質的に全ての電力消費装置、発電装置、及び電力貯蔵装置にわたる統合された制御を提供する。エネルギー管理システムは、それぞれが所望の動作状態を表す1つ又は複数の値が住居環境、ビジネス環境または他の環境の負荷の一部または全てと関連付けられる設定可能なエネルギー管理シーンを提供する。様々なエネルギー管理シーンは、数ある中でも、季節、曜日、時刻、送電網の状態、バッテリーの充電状態、及び発電機の状況を含む様々な環境条件に関して、構成され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物エネルギー管理システムを制御するための方法であって、
前記建物エネルギー管理システムの標準構成からの構成の変更が適切であるか否かを判断することにより、局所的配電網の停電に応答し、建物の負荷が前記建物エネルギー管理システムにより管理されておらず、
前記標準構成からの変更が適切でないという判断に応答して、前記建物の現在の負荷に関するランタイム容量をユーザに表示し、
前記構成を重要に変更するという判断に応答して、前記建物エネルギー管理システムがユーザにより要求された負荷をオフすることを承認する際に、前記建物の現在の負荷に関する前記ランタイム容量の表示を対話形式で更新すること、を含み、
負荷のそれぞれをオフするための承認は、(i)個々の負荷がエネルギー収支を超える、及び(ii)個々の負荷が過去の所定の時間期間内に状態を変更した、の1つ又は複数の際に、拒否される、方法。
【請求項2】
負荷に電力供給するエネルギー貯蔵容量が20%未満であるという判断に応答して、オーバーライドがない場合に前記構成を重要に変更することをユーザに表示すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザによるオーバーライドのないことに応答して、指定されていない負荷をオフにすること、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記指定されていない負荷は、ユーザによりオンにされることが阻止される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記局所的配電網が利用可能である際に、前記構成をエネルギー節約に変更するという判断に応答して、前記局所的配電網のピーク価格中に、エネルギー貯蔵システムから前記建物の1つ又は複数の負荷に供給すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ又は複数の負荷は、重要度ランキングに従って管理される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記重要度ランキングに従って管理される1つ又は複数の負荷は、
前記1つ又は複数の負荷の第1の負荷と関連付けられた設定点に基づいた前記重要度ランキングに従って管理される前記第1の負荷に対して、断続的に電力を供給すること、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の負荷がオートメーションサービスをサポートするための動作状態にあるか否かを前記建物エネルギー管理システムに通知するために、前記オートメーションサービスを前記第1の負荷と関連付けること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オートメーションサービスは、前記第1の負荷に電気を供給する電源出力を制御する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つ又は複数の負荷に供給される電力は、前記建物エネルギー管理システムと通信するインテリジェントブレーカにより、制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
プロセッサ及びメモリを有する建物エネルギー管理システムを含み、前記プロセッサは、
前記建物エネルギー管理システムの標準から重要への構成の変更が適切であるか否かを判断することにより、局所的配電網の停電に応答し、建物の負荷は、前記標準の構成において管理されておらず、前記重要の構成において前記建物エネルギー管理システムにより管理されており、
前記標準の構成から前記重要の構成への変更が適切であるという判断に応答して、前記建物の現在の負荷に関するランタイム容量をユーザに表示し、前記建物エネルギー管理システムがユーザにより要求された負荷をオフすることを承認する際に、前記建物の現在の負荷に関する前記ランタイム容量の表示を対話形式で更新する、ように構成され、
負荷のそれぞれをオフするための承認は、(i)個々の負荷がエネルギー収支を超える、及び(ii)個々の負荷が過去の所定の時間期間内に状態を変更した、の1つ又は複数の際に、拒否される、システム。
【請求項12】
前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、前記建物の現在の負荷に関する負荷の前記ランタイム容量を表示するために、ユーザ制御デバイスと通信するように更に構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、前記標準の構成から前記重要の構成に変更することが適切であるという判断に応答して、指定されていない負荷をオフするように更に構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、前記指定されていない負荷がユーザによりオンされることを阻止するように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、重要度ランキングに従って1つ又は複数の負荷を管理するように更に構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
重要度ランキングに従って1つ又は複数の負荷を管理するように構成された前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、
前記1つ又は複数の負荷の第1の負荷と関連付けられた設定点に基づいた前記重要度ランキングに従って管理される前記第1の負荷に対して、断続的に電力を供給するように更に構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記建物エネルギー管理システムの前記プロセッサは、
第1の負荷がオートメーションサービスをサポートするための動作状態にあるか否かを前記建物エネルギー管理システムに通知するために、オートメーションサービスを前記第1の負荷と関連付けるように更に構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記オートメーションサービスは、前記第1の負荷に電気を供給する電源出力を制御する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
1つ又は複数の負荷に供給される電力は、前記建物エネルギー管理システムと通信するインテリジェントブレーカにより、制御される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
プログラム命令を有する持続性コンピュータ可読媒体システムであって、前記プログラム命令は、
建物エネルギー管理システムの標準からの構成の変更が適切であるか否かを判断することにより、局所的配電網の停電に応答し、建物の負荷が、前記標準の構成において前記建物エネルギー管理システムにより管理されておらず、
前記標準の構成からの変更が適切でないという判断に応答して、前記建物の現在の負荷に関するランタイム容量をユーザに表示し、
前記構成を重要に変更するという判断に応答して、前記建物エネルギー管理システムがユーザにより要求された負荷をオフすることを承認する際に、前記建物の現在の負荷に関する前記ランタイム容量の表示を対話形式で更新する、ように構成され、
負荷のそれぞれをオフするための承認は、(i)個々の負荷がエネルギー収支を超える、及び(ii)個々の負荷が過去の所定の時間期間内に状態を変更した、の1つ又は複数の際に、拒否される、持続性コンピュータ可読媒体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、電力の分野に関し、より具体的には、ホームオートメーション環境と連係して電力消費を管理するためのシステムと方法に関する。
【0002】
背景情報
電気公益事業の機能停止(停電)中の電力管理は、固定されている又は無計画であることが多く、一般に負荷に対する利用可能な補助電源を管理する際の柔軟性を欠いている。重要な負荷は、演繹的に決定されることが多く、必要になった場合に電力を他の負荷に自動的に又は手動で再分配するための能力を持たずに、発電機に配線接続される。
【0003】
かくして、局所的配電網が利用可能でない際に、負荷に対するフレキシブルな配電を行うことに価値がある。
【0004】
本発明の概要
本発明の一態様に従って、エネルギー管理システムは、オートメーションシステムと相互運用して、住居または他の環境における本質的に全ての電力消費装置、発電装置、及び電力貯蔵装置にわたる統合された制御(統合制御)を提供する。エネルギー管理システムは、それぞれが所望の動作状態を表す1つ又は複数の値が住居環境、ビジネス環境または他の環境の負荷の一部または全てと関連付けられる設定可能(構成可能)なエネルギー管理シーンを提供する。所与の負荷と関連付けられた値は事実上、2変数(オン/オフ)、絶対値(例えば、温度)、又は相対値(例えば、最大速度または輝度の50%)であることができる。ユーザ又は据付者は、数ある中でも、季節、曜日、時刻、送電網(送電系統)のステータス(状態)、バッテリーの充電状態、及び発電機の状況を含む様々な環境条件に対応する様々なエネルギー管理シーンを構成することができる。
【0005】
本発明の別の態様に従って、重要(クリティカル)な負荷(即ち、送電網の停電または緊急状態中でさえも、電力を供給された状態のままであるべき負荷)は、他の負荷と比べてその負荷の相対的な重要性を反映するランキング(ランク付け)を割り当てられ得る。当該ランキング、加えてバッテリーの状態、発電機の状況、大気温度、時刻および同種のもののような他の基準を用いて、エネルギー管理システムは、最良の全体的な効果のために負荷を動的に管理することができる。例えば、冷凍食品を収容する冷凍庫のような負荷は一般に、高いランクを割り当てられる。バッテリー又は他の代替の利用可能な供給源からの十分な電力が存在すると仮定すると、エネルギー管理システムは、洗濯機または食洗機のような低くランク付けされた負荷に電力を供給しないと同時に、他の高くランク付けされた負荷(例えば、セキュリティシステム)と共に冷凍庫に電力を供給するように設定可能である。
【0006】
本発明の別の態様に従って、最も高いランクの負荷の全てに供給するために利用可能な十分な電力が存在しない場合、エネルギー管理システムは、これらの負荷のサブセット(又は単一の負荷でさえも)に下がるように選択するように設定可能である。代案として、エネルギー管理システムは、最も高くランク付けされた負荷を動的に管理することにより、利用可能な電力を節約するように設定可能である。例えば、エネルギー管理システムは、冷凍庫に断続的に電力を供給するように設定(構成)されることができ、それにより食品を保存するために十分に冷たい温度を維持しながら、電力が節約される。
【0007】
本発明の別の態様に従って、ひとたびエネルギー管理シーンが構成されたならば、所与の負荷と最初に関連付けられた値は、ユーザ入力を通じて動的に変更され得る。例えば、負荷として可変速度の天井ファンを含むエネルギー管理シーンは、最大ファン速度の50%を表す値で設定され得る。適切なアプリケーションを実行しているスマートフォンのようなユーザ入力デバイスを通じて、ユーザは、天井ファンの速度を増減するようにエネルギー管理システムに命令することができる。同様に、ユーザは一般に、エネルギー管理シーンに含まれる任意の負荷に対する変更を命令することができる。
【0008】
本発明の別の態様に従って、エネルギー管理シーンは、電気公益事業の供給停止前の初期状態が復旧されて、それにより処置を取り消すことができるように、戻されることができる。最も重要なことは、シーンに含まれる負荷のそれぞれが、シーンの活性化の前に存在していた本質的に同じ動作状態に戻る点である。
【0009】
以下の本発明の説明は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に従って構築された、エネルギー管理システムのブロック図である。
【
図2】
図1のエネルギー管理システムと共に使用するためのエネルギー管理シーンの構成を示す流れ図である。
【
図3A】
図1のエネルギー管理システムの動作状態を示すユーザインターフェースの画面表示である。
【
図3B】
図1のエネルギー管理システムの動作状態を示すユーザインターフェースの画面表示である。
【
図3C】
図1のエネルギー管理システムの動作状態を示すユーザインターフェースの画面表示である。
【
図4】送電網の停電に応答する、
図1のエネルギー管理システムの動作を示す流れ図である。
【
図5】エネルギー管理シーンにおいて負荷の動作状態の変更を命令するために、如何にしてユーザ入力デバイスが使用され得るかを示すブロック図である。
【0011】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、エネルギー管理システム100のブロック図を示す。広域ネットワーク(WAN)102は、ユーザ制御デバイス104、オートメーションホスト108、動的負荷マネージャ110、及びパネルブリッジコントローラ120との双方向(有線または無線)通信をサポートする。無停電電源(UPS)106は、オートメーションホスト108及び動的負荷マネージャ110に電力を供給する。同様に、UPS118は、パネルブリッジコントローラ120及びスマートエネルギーモニタ122に電力を供給する。オートメーションホスト108及び動的負荷マネージャ110の双方は、ユーザ制御デバイス112との双方向通信をサポートする。
【0012】
エネルギー貯蔵システム(ESS)現場コントローラ114は、オートメーションホスト108、動的負荷マネージャ110、並びにESS116との双方向通信をサポートする。当業者により理解されるように、ESSは、エネルギー貯蔵の再充電、並びにエネルギーの供給を調整するための制御システムを含むことができる。ブレーカパネル124は、ESS116、1つ又は複数のインバータ128、自動切り替えスイッチ132、及び負荷126と結合される。ブレーカパネル124は、パネルブリッジコントローラ120及びスマートエネルギーモニタ122との双方向通信をサポートする。太陽電池130はインバータ128に結合される。局所的配電網134及び発電機136は、自動切り替えスイッチ132に結合される。特に、インテリジェントブレーカは、ブリッジコントローラ及びスマートエネルギーモニタと通信するインテリジェント部品が第1のパネルに位置することができ、電流を停止(遮断)する直接的実効電力断続器が法規制の順守を満たすように第2のパネルに位置することができるように、1つ又は複数のパネルに実現され得る。
【0013】
WAN102は、ユーザ制御デバイス104及び112との通信を可能にするための必要な帯域幅、セキュリティ及び互換性を有するネットワーク接続性を提供するプライベート広域ネットワーク、インターネット、又は他のネットワークと共に実現され得る。ユーザ制御デバイス104と112は、エネルギー管理システム100と互換性があるユーザ制御アプリケーション(図示せず)を実行する、スマートフォン、タブレット、コンピュータ又は任意の多数の他の市販のデバイスと共に実現され得る。本明細書で使用される限り、ユーザ制御デバイス104と112は、汎用電子デバイスを意味することができ、当該汎用電子デバイスのそれぞれは、汎用オペレーティングシステムを含むソフトウェアを実行し、ソフトウェア及びデータ構造を格納するための場所を有するメモリ(例えば、持続性メモリ又は揮発性メモリ)に維持されたデータ構造を操作するプロセッサを有する。1つ又は複数の実施形態において、タブレット(例えば、iOS(登録商標)オペレーティングシステムを実行するiPad(登録商標)タブレットのようなコンピュータ)、及びスマートフォン(例えば、iOS(登録商標)オペレーティングシステムを実行するiPhone(登録商標)スマートフォン、又はAndroid(登録商標)オペレーティングシステムを実行するAndroid(登録商標)スマートフォン)のようなデバイスが、ユーザ制御デバイスと考えられる。更に、各ユーザ制御デバイス104と112は、表示画面(例えば、タッチセンサ式表示画面)を含むことができ、ユーザにユーザインターフェース(UI)を提示し、例えばWAN102を介してオートメーションホスト108に制御コマンドを中継するアプリケーション(例えば、制御アプリケーション)を実行することができる。当該制御アプリケーションは、幾つかある機能の中で特に、オートメーションホスト108の構成データベースに問い合わせを行い、ホスト108のシーンエンジンと相互作用するための方法(本明細書で更に説明される)を提供する制御ソフトウェア開発キットを利用することができる。
【0014】
一実施形態において、動的負荷マネージャ110及びオートメーションホスト108は、エネルギー管理システム100において、電力消費および/または他の高レベル制御機能を管理するように構成される。その目的で、動的負荷マネージャ110及びオートメーションホスト108は、ソフトウェア及びデータ構造を格納するための場所を有するメモリ(例えば、持続性メモリ又は揮発性メモリ)に維持されたソフトウェアを実行してデータ構造を操作するように構成されたプロセッサを含むことができる。データ構造は、エネルギー管理システム100及びそのデバイスの構成を記述するために、並びに他のタイプの情報を維持するために論理的表現を利用することができる構成データベース(例えば、構造化照会言語データベースのような関係型データベースとして構成される)を含むことができる。また、動的負荷マネージャ110及びオートメーションホスト108は、UPS106、小規模発電網コントローラ114、ユーザ制御デバイス104と112、パネルブリッジコントローラ120及びスマートエネルギーモニタ122と接続して通信するのに必要な機械的、電気的および信号伝達するための回路を有するインターフェースも含むことができる。オートメーションホスト108は、Savant Systems, LLCから市販されているホストに基づいて実現され得る。動的負荷マネージャ110は、上記で組み込まれた米国特許出願第15/706145号で説明される「premises power controller(建物電力コントローラ)」と類似した態様で実現され得る。例えば、別個のデバイスとして例示されているが、動的負荷マネージャ110により実行される機能の幾つか又は全ては、オートメーションホスト108により、実行され得る。
【0015】
小規模発電網コントローラ114は、ELM FieldSight, LLCから市販されている小規模発電網現場コントローラ(microgrid site controller)に基づいて実現され得る。ESS116は、1つ又は複数の市販の大容量バッテリー(図示せず)又は他の市販のエネルギー貯蔵装置を意味することができる。幾つかある特徴および容量の中で特に、動的負荷マネージャ110は、(必要に応じて)ESS116からの電力をエネルギー管理システム100の構成要素に動的に供給するために、小規模発電網コントローラ114を管理するように構成される。
【0016】
パネルブリッジコントローラ120及びスマートエネルギーモニタ122は、米国特許出願第15/706145号で説明される「gatekeeper transceiver(ゲートキーパトランシーバ)」と類似した態様で実現され得る。ブレーカパネル124は、米国特許出願第15/706145号で説明されたものと類似した態様で、従来のブレーカ及び「インテリジェントブレーカ」の組み合わせを用いて、実現され得る。一実施形態において、パネルブリッジコントローラ120及びスマートエネルギーモニタ122は、ブレーカパネル124のブレーカの動作を制御するために、WAN102を介して、オートメーションホスト108又は他の無線デバイス(ユーザ制御デバイス104のような)とメッセージを交換(送受信)するように構成される。
【0017】
UPS106と118、インバータ128、太陽電池130、自動切り替えスイッチ132及び発電機136はそれぞれ、多種多様な供給元からの市販の機器で実現され得る。一実施形態において、インバータ128は、DCをACに変換するように構成され、電力が停止された際に太陽電池130を分離するように機能する内部切断を含むことができる。代案として、別個の切断またはAC結合器バス(図示せず)が、インバータ128とブレーカパネル124との間に設けられ得る。自動切り替えスイッチ132は、発電機136及び/又は局所的配電網134がブレーカパネル124を介して、負荷126に電力を供給することを可能にするように構成される。負荷126は、住居または他の環境の電力消費負荷(例えば、デバイス、電化製品および同種のもの)を意味する。局所的配電網134は、公益事業により運営されている局所的送電網を意味する。
【0018】
一般に、エネルギー管理システム100は、住居または他の環境における本質的に全ての電力消費デバイス(例えば、負荷126)、発電デバイス(例えば、太陽電池130、局所的配電網134、発電機136)及び電力貯蔵デバイス(例えば、ESS116)を管理するように動作する。係る管理を容易にするために、エネルギー管理システム100のオートメーションホスト108で実行されているソフトウェアは、本明細書で更に説明されるような1つ又は複数の負荷のために所望の動作状態を指定する構成可能なエネルギー管理シーンを作成して提供するように、サービス要求ハンドラ502及び構成データベース508と協働するシーンエンジン506(
図5)を含むことができる。実例として、エネルギー管理シーンは、所定の方法でサービス又はデバイスの一群を制御するように構成されたマクロ又はコンピューティング命令として具現化され得る。1つ又は複数の実施形態において、エネルギー管理シーンは、エネルギー管理システム上で実行されているシーンエンジン506により使用されるシーンオブジェクトとして編成されたデータ構造に維持され得る。各エネルギー管理シーンは、(例えば、作成コマンドを用いて)作成されて、構成データベースに持続的に格納される個々のシーンオブジェクトとして編成される一組の現行システム状態を構築するために、サービス又はデバイスの現行動作状態を(例えば、キャプチャコマンドを用いて)キャプチャすることにより画定され得る。
【0019】
図2は、エネルギー管理システム100により実行するためのエネルギー管理シーン200を構成するための方法を示す流れ図である。202において、エネルギー管理シーンの構成は、例えば、エネルギー管理シーン用のシーンオブジェクトを作成することから始める。次に、ステップ204において、名称が、エネルギー管理シーン用のシーンオブジェクトに含まれることになる負荷と関連付けられる。一実施形態において、負荷との属性(例えば、名称、重要度のランキング、指示子、設定点、負荷グループ、負荷アイコン、オートメーションサービス)の関連付けは、エネルギー管理シーンに従って処理するためにシーンオブジェクトに当該属性を格納することにより、もたらされ得る。この後にステップ206が続き、ステップ206において、少なくとも1つの値が、ステップ204において命名された負荷と関連付けられる。当該値は、エネルギー管理シーンのシーンオブジェクト内の関連した負荷の所望の動作状態を表す。かくして、当該値は、事実上、2変数(例えば、オン/オフ)、絶対値(例えば、温度)、又は相対値(例えば、最大速度または輝度の50%)であることができる。
【0020】
次に、ステップ208において、重要度ランキングが、ステップ204で命名された負荷と関連付けられる。一般に、重要度のランキングがより高く、優先度がより高くなると、負荷は、エネルギー管理シーンに含まれる全ての負荷に電力を供給する又は完全に電力を供給するのに利用可能な電力が不十分である状態にされることになる。この後にステップ210が続き、ステップ210において、指示子および設定点が、ステップ204で命名された負荷と関連付けられ得る。指示子は、負荷が電力を一時的に止めるための候補であるか否かを示し、そうである場合、設定点は、どれぐらいの頻度で電力を負荷に供給するかを判断するための基準として使用され得る。電力を一時的に止めるための候補である負荷の例は、冷蔵庫、冷凍庫、送水ポンプ、温水器、プール用ポンプ、及びプール用ヒータである。
【0021】
次に、ステップ212において、ステップ204において命名された負荷は、負荷グループ(例えば、照明、HVAC)と関連付けられ得る。ステップ214において、ステップ204において命名された負荷は、負荷アイコンと関連付けられ得る。負荷グループ及びアイコンは、ユーザインターフェースの表示および全般的な操作の観点から、より優れた利便性と使い勝手の良さを提供する。
【0022】
ステップ216において、ステップ204において命名された負荷は、オートメーションホスト108(
図1)により制御される1つ又は複数のオートメーションサービスと関連付けられ得る。係る関連付けは、所与の負荷が特定のオートメーションサービスをサポートするのに必要な動作状態にあるか否かをオートメーションホスト108に通知するために使用され得る。例えば、特定のTVをオンにすることを、オートメーションサービスが要求する場合、ステップ216における関連付けは、TVに接続された電源出力(電源コンセント)が付勢されているか否かをオートメーションホスト108に通知することができる。
【0023】
次に、ステップ220において、エネルギー管理シーンのシーンオブジェクトに含めるための別の負荷があるか否かの判断が行われる。そうである場合、方法はステップ204に戻る。そうでない場合、エネルギー管理シーンの構成は、ステップ222で完了する。
【0024】
方法200を用いて、多種多様のエネルギー管理シーンが、様々な状態に対処するために構成され得る。典型的な環境に関して、全体として大抵の環境状態に対処することができる4つのエネルギー管理シーン、即ち、「標準」、「節約」、「重要な負荷」、及び「アイランド(孤立した状態)」が存在する。名称が暗示するように、「標準」のエネルギー管理シーンは、電力が局所的配電網から容易に利用可能であり、人々が住居または他の環境におり、緊急状態が検出されていない場合に、アクティブであることができる。一般に、「標準」のシーンがアクティブである場合、負荷は、エネルギー管理システム100により動的に管理されない。
【0025】
光熱費は、大抵の電力会社により使用されている時間帯別価格設定(例えば、ピーク価格対オフピーク価格)を利用することにより、低減され得る。「節約」のエネルギー管理シーンにおいて、エネルギー管理システム100は、ESS116の状態(例えば、バッテリーの状態)に応じて、ピーク価格中に負荷に供給するためにESS116からの電力を使用することができる。逆に言うと、局所的配電網134は、オフピーク価格中に、負荷に電力を供給する(及びESS116のバッテリーを充電する)ために使用され得る。
【0026】
局所的配電網134(
図1)が停電(ダウン)している場合、「重要な負荷」のエネルギー管理シーンが適切である場合がある。このシーンにおいて、ESS116、太陽電池130、及び発電機136からの利用可能な電力を用いて、最も高い重要度のランキングを有する負荷(即ち、指定の負荷)のみが、電力供給される。係る負荷は一般に、セキュリティシステム、冷蔵庫および冷凍庫、及び安全のための最小限の照明を含むことができる。より低い重要度のランキングを有する他の負荷(即ち、指定されていない負荷)は、ブレーカパネル124におけるインテリジェントブレーカの動作により、接続を切られて電力供給されない。様々な「重要な負荷」のエネルギー管理シーンが、異なる季節または他の変化する状態に関して構成され得る。
【0027】
「アイランド」のエネルギー管理シーンは、ESS116、太陽電池130及び発電機136からの電力を排他的に用いて、全ての負荷に電力供給し続けながら、ユーザが局所的配電網134からの接続を自主的に切る場合に適切である。
【0028】
図3Aは、エネルギー管理システム100を制御するためのユーザインターフェースの画面(スクリーン)表示300を示す。画面表示300は、例えば、ユーザ制御デバイス104、112(
図1)のタッチセンサ式ディスプレイ上に表示され得る。
図3Aに示されるように、送電網の可用性ステータス302は、局所的配電網134が電力を供給するために利用可能であるという視覚的表示を提供する。更に、送電網接続ステータス308は、局所的配電網134をブレーカパネル124と接続し、次いで負荷126に電力供給する位置に、自動切り替えスイッチ132があるという視覚的表示を提供する。ユーザは、ボタン304を押すことにより、以前に構成された「標準」のエネルギー管理シーンを活性化することができる。代案として、ユーザは、ボタン306を押すことにより、以前に構成された「節約」のエネルギー管理シーンを活性化することができる。更なる代案として、ユーザは、ボタン310を押すことにより、以前に構成された「アイランド」のエネルギー管理シーンを活性化することができる。
【0029】
図3Bに示されるように、ボタン310を押した後、画面表示320は、「アイランド」のエネルギー管理シーンがアクティブであることを示し、送電網接続ステータス312は、ブレーカパネル124が現在、局所的配電網134から接続を切られている(局所的配電網134が送電網の可用性ステータス302に従って利用可能であるにも関わらず)という視覚的表示を提供する。
【0030】
図3Cは、局所的配電網134が利用可能でないことを、送電網の可用性ステータス302が示す画面表示322を示す。ユーザは、ボタン314を押すことにより、以前に構成された「重要な負荷」のエネルギー管理シーンを活性化することができる。発電機ステータス316は、発電機136(
図1)がオフであることを示す。バッテリーの充電状態(SOC)インジケータ318は、バッテリー残量、及び現在の負荷レベルで残っている電力の時間の概算を示す。
【0031】
図4は、送電網の停電(機能停止、障害)に応答するために、エネルギー管理システム100の方法400を示す。送電網の停電は、
図4において引き金となるイベントとして示されるが、理解されるべきは、エネルギー管理システム100は一般に、システム100又はシステム100と通信する他の装置により検出され得る送電網関連の他のイベント又は他のイベント(例えば、動作状態の変更)にランタイム中に柔軟に応答するように構成され得る。ステップ402において、エネルギー管理システム100は、局所的配電網134が利用可能であり、自動切り替えスイッチ132を通じてブレーカパネル124に接続されていることを判断する。次に、ステップ404において、局所的配電網134が機能停止して、ダウンしたか否かの検査が行われる。そうである場合、方法400はステップ406に進み、エネルギー管理システム100の構成の変更が適切であるか否かの判断が行われる。構成の変更が行われるべきでない場合、方法400はステップ408に進み、ステップ408において、
図3Cの画面表示322に類似した画面表示がユーザ制御デバイス104、112に表示される。構成の変更が行われるべきである場合、方法400は、後述されるステップ430に進む。
【0032】
次に、ステップ410において、画面プロンプトを通じて、ユーザは、「重要な負荷」のエネルギー管理シーンを活性化するか否かを尋ねられる。そうでない場合、方法400は、ステップ412に進み、エネルギー管理システム100は「標準」のエネルギー管理シーンの状態のままである。そうである場合、方法400は、後述されるステップ430に進む。
【0033】
ステップ414において、バッテリーSOCが20%未満であるか否かの判断が行われる。そうでない場合、方法400はステップ412にループする。そうである場合、方法400は、ステップ416に進み、ステップ416において、画面プロンプトは、オーバーライドがない場合に、エネルギー管理システム100が残っているバッテリー電力を節約するために「重要な負荷」のエネルギー管理シーンを間もなく活性化することをユーザに知らせる。ユーザのオーバーライドが行われる場合、方法400は、ステップ412にループして全負荷に電力を供給し続ける。
【0034】
ステップ416でユーザのオーバーライドがない場合、方法400はステップ430に進み、「重要な負荷」のエネルギー管理シーンを活性化する。次に、ステップ432において、ユーザが負荷をオフ又はオンにするように要求したか否かの判断が行われる。そうでない場合、方法400はステップ430にループする。そうである場合、方法400は、ステップ434に進み、この場合、ユーザによって要求された負荷がエネルギー収支を超えるか否かの判断が行われる。そうである場合、ステップ440において、ユーザの要求が拒否される。そうでない場合、ステップ436において、要求された負荷が過去の所定の時間期間内に状態を変更したか否かの判断が行われる。そうであるある場合、ステップ440において、ユーザの要求が拒否される。そうでない場合、ユーザの要求は、ステップ438において許可される。
【0035】
ステップ404に戻って、局所的配電網134がダウンしているという判断が行われる場合、方法400は、ステップ418に進み、この場合、「アイランド」のエネルギー管理シーンを選択するためにユーザがボタン(即ち、ボタン310、
図3A)を押したか否かの判断が行われる。そうでない場合、方法400は、ステップ402にループする。そうである場合、方法400はステップ420に進み、ステップ420において、
図3Bの画面表示320に類似した画面表示がユーザ制御デバイス104、112に表示される。次に、ステップ422において、局所的配電網134が依然として利用可能でないか否かの判断が行われる。そうである場合、方法400は、ステップ406にループする。そうでない場合、方法400は、「アイランド」のエネルギー管理シーンを不活性化するためにユーザがボタン(即ち、ボタン310、
図3A)を押したか否かを判断するために、ステップ424に進む。そうである場合、方法400は、ステップ402にループする。そうでない場合、方法400は、バッテリーSOCが20%未満であるか否かを判断するためにステップ426に進む。そうでない場合、方法400は、ステップ420にループする。そうである場合、方法400は、ステップ402にループする。
【0036】
図5は、エネルギー管理シーンの負荷と関連付けられた値を変更することにより、負荷の動作状態を変更するための方法を示すブロック図である。エネルギー管理シーンの一部である負荷に関連したサービス要求500は一般に、ユーザ制御デバイス104、112(
図1)に対するユーザ入力により生成される。サービス要求500は、数ある中でも、サーモスタットの温度変更またはランプ輝度変更を含む多種多様の考えられる動作の何れかを要求することができる。
【0037】
サービス要求500は、オートメーションホスト108のサービス要求ハンドラ502により受け取られ、オートメーションホスト108は、当該サービス要求がエネルギー管理シーンの負荷に関連していることを認識している。それに応じて、サービス要求ハンドラ502は、特定のエネルギー管理シーンを実行するために、シーンエンジン506にあてられた要求504を発行する。次いで、シーンエンジン506は、シーンオブジェクトが予め格納された構成データベース508からサービス要求500が関連するエネルギー管理シーンのシーンオブジェクトをフェッチする。次に、シーンエンジン506は、シーンエンジン506により実行されているエネルギー管理シーンのシーンオブジェクトの一部である各負荷の現在の動作状態を含む現在のシステム状態510をフェッチする。
【0038】
現在のシステム状態510(事実上、相対値である関連した値を有する負荷に関して)、又はサービス要求500に付随する値(事実上、絶対値である関連した値を有する負荷に関して)に基づいて、シーンエンジン506は、サービス要求ハンドラ502に伝達されて処理された際に、ユーザにより意図された負荷の動作状態の変更を行うことになる1つ又は複数のサービス要求512を生成する。例えば、ユーザが、ユーザ制御デバイス104、112を通じて、サービス要求500に付随した新たな所望の温度(即ち、スマートサーモスタットと関連付けられた新たな絶対値)を入力したと仮定する。サービス要求500に応じて生成されたサービス要求512は、当該スマートサーモスタットに当該新たな所望の温度にするように直接的または間接的に命令する。
【0039】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を対象としている。しかしながら、明らかであるように、他の変形および変更が、それらの利点の幾つか又は全ての獲得と共に、説明された実施形態になされることができる。例えば、本発明の教示は、コンピュータで実行されているプログラム命令を有するコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実現され得ることが、明確に企図されている。従って、本説明は、単なる例示として解釈されるべきであり、他の点では本発明の範囲を制限するように解釈されるべきでない。かくして、特許請求の範囲の目的は、本発明の真の思想および範囲内に入るように、係る変形および変更の全てを網羅することである。
【国際調査報告】