(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ノイズに適応した不感時間を有する磁気流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/58 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G01F1/58 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516026
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020049159
(87)【国際公開番号】W WO2021050347
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592225504
【氏名又は名称】マイクロ・モーション・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】フォス,スコット・アール
(72)【発明者】
【氏名】クライン,アンドリュー・ティー
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035CA02
(57)【要約】
磁気流量計(102)は、プロセス流体流内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つのコイル(122)を含む。一対の電極(124)は、磁場に応答してプロセス流体流内の起電力を検出するように構成される。測定回路(132、142)は、一対の電極(124)に動作可能に結合され、検出された起電力の表示値を提供するように構成される。プロセッサ(148)は、測定回路(132、142)に結合され、検出された起電力の表示値及びプロセスノイズの表示値を受け取るように構成される。プロセッサ(148)は、プロセスノイズの表示値に基づいて不感時間パラメータを変更し、且つ検出された起電力及び不感時間パラメータの表示値に基づいてプロセス流体流量出力を提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気流量計であって:
プロセス流体流内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つのコイル;
前記磁場に応答して前記プロセス流体流内の起電力を検出するように構成された一対の電極;
前記一対の電極に動作可能に結合され、且つ検出された前記起電力の表示値を提供するように構成された測定回路;及び
前記測定回路に結合され、且つ前記検出された起電力の表示値及びプロセスノイズの表示値を受け取るように構成されたプロセッサを備え、
前記プロセッサが、前記プロセスノイズの表示値に基づいて不感時間パラメータを変更し、且つ前記検出された起電力の表示値及び前記不感時間パラメータに基づいてプロセス流体流量出力を提供するように構成されている、
磁気流量計。
【請求項2】
前記不感時間パラメータが不感時間閾値である、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項3】
前記プロセス流体流量出力が、前記検出された起電力が前記不感時間閾値を下回る場合の第1の平滑化レベルと、前記検出された起電力が前記不感時間閾値を超える場合の第2の平滑化レベルとを有する、請求項2に記載の磁気流量計。
【請求項4】
前記プロセッサが、検出された複数の起電力の表示値に関する統計的パラメータを用いて前記プロセスノイズの表示値を取得するように構成されている、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項5】
前記統計的パラメータが中央絶対偏差である、請求項4に記載の磁気流量計。
【請求項6】
前記統計的パラメータが標準偏差である、請求項4に記載の磁気流量計。
【請求項7】
前記プロセッサが、外れ値を排除し前記プロセス流体流量出力を安定させるために、四分位平均を用いるように構成されている、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項8】
前記プロセッサが外部デバイスから前記プロセスノイズの表示値を取得するように構成されている、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項9】
前記不感時間パラメータが不感時間継続期間である、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項10】
前記プロセッサが高速フーリエ変換を用いて前記プロセスノイズの表示値を取得するように構成されている、請求項1に記載の磁気流量計。
【請求項11】
磁気流量計を動作させる方法であって:
プロセスノイズの表示値を受け取ること;及び
前記プロセスノイズの表示値に基づいて前記磁気流量計における少なくとも1つの不感時間パラメータを変更すること
を包含する、方法。
【請求項12】
プロセスノイズの表示値を受け取ることが、前記磁気流量計の各プロセス流体流量測定に対して実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロセスノイズの表示値を受け取ることが定期的に実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
プロセスノイズの表示値を受け取ることが、一連の生の流量測定値の四分位平均の中央絶対偏差を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
プロセスノイズの表示値を受け取ることが、一連の生の流量測定値の四分位平均の標準偏差を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
プロセスノイズの表示値を受け取ることが、外部デバイスからプロセスノイズの表示値を受け取ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記磁気流量計の一対の電極間の起電力を検出すること、並びに検出された前記起電力及び前記少なくとも1つの不感時間パラメータに基づいてプロセス流体流量出力を提供すること、を更に包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
磁気流量計を動作させる方法であって;
前記磁気流量計の一対の電極間の起電力の一連の測定値を受け取ること、ここで前記一連の測定値は、定められた期間にわたる生の流体流量を示し;
前記一連の測定値の四分位平均を生成すること;
プロセスノイズの表示値を取得するために前記四分位平均を統計的に処理すること;
前記プロセスノイズの表示値に基づいて、前記磁気流量計の不感時間パラメータを変更すること;
出力をフィルタ処理すること;
前記四分位平均とフィルタ処理された前記出力との間の差が閾値を超えているかどうかを判定し、そして超えている場合は選択的に計数器を増分すること;及び
前記計数器が制限時間を超えているかどうかを判定し、そして前記計数器の時間が制限時間を超えている場合は、選択的に新しい流量出力を設定し、信号処理フィルタをリセットすること
を包含する、方法。
【請求項19】
前記四分位平均を統計的に処理することが前記四分位平均の標準偏差を計算することを包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記四分位平均を統計的に処理することが前記四分位平均の中央絶対偏差を計算することを包含する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
磁気流量計(即ちマグメータ)は、電磁効果であるファラデーの法則を適用することによって流量を測定する。磁気流量計は、磁場巻線に励起電流を流すことにより1つ又は複数のコイルにエネルギーを与え、電気的に絶縁された導電性のプロセス流体の流れを横切る磁場を生成する。起電力(Electromotive force:EMF)は、流れるプロセス流体が磁場を通過することによって生成される。流体全体及び残りのプロセス流体に関するこの誘導電圧(電位)は、流れるプロセス流体に接触する1つ又は複数の導電性電極によって容易に測定されうる。体積流量は、流速と流管の断面積に比例する。流速は電極電位(EV)に正比例し、誘導磁場強度(B)に正比例する。誘導磁場強度は、印加磁場(H)に比例すると仮定され、これは励起電流の大きさに直接関連している。このようにして、直接的な相関関係が、測定された電極電位と指定された体積流量との間に与えられる。
【0002】
磁気流量計は、様々な導電性及び半導電性の流体の流量測定環境で有用である。特に、水性流体、イオン性溶液、及びその他の導電性流体の流れはすべて、磁気流量計を用いて測定できる。更に、磁気流量計は、固形物(例えば、紙処理で用いられるパルプ)を含む可能性のある流体でよく用いられる。従って、磁気流量計は、水処理施設、飲料及び衛生食品の製造、化学処理、高純度の医薬品製造、及び危険で腐食性の流体処理施設で使用できる。しかし、一部の環境では信号ノイズ(雑音)の影響を受けやすい。信号ノイズに対する応答が優れた磁気流量計を提供することは、そのようなノイズの多い環境で用いる場合に流量出力の精度を向上させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
磁気流量計は、プロセス流体流内に磁場を生成するように構成された少なくとも1つのコイルを含む。一対の電極は、上記磁場に応答して上記プロセス流体流内の起電力を検出するように構成されている。測定回路は、上記一対の電極に動作可能に結合され、且つ検出された上記起電力の表示値を提供するように構成されている。プロセッサは、上記測定回路に結合され、且つ上記検出された起電力の表示値及びプロセスノイズの表示値を受け取るように構成されている。上記プロセッサは、上記プロセスノイズの表示値に基づいて不感時間パラメータを変更し、且つ上記検出された起電力と上記不感時間パラメータの表示値に基づいてプロセス流体流量出力を提供するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の実施形態による磁気流量計が有用とされる環境の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による磁気流量計のブロック図である。
【
図3】不感時間の動作を説明するために一対の信号を対比するチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態による磁気流量計の不感時間閾値を動的に修正する方法の流れ図である。
【
図5】流量出力信号における不感時間閾値の影響を示すグラフである。
【
図6】本発明の一実施形態による磁気流量計において不感時間を動的に変化させる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、磁気流量計102のための典型的な環境100を示す。磁気流量計102は、図式的に線分104で示されたプロセス配管に結合され、上記配管はまた制御弁112に結合している。磁気流量計102は、プロセス内の配管104を通過するプロセス流体の流れに対して流量出力を提供するように構成される。このような流体の例には、化学、パルプ、製薬、及びその他の流体処理プラントのスラリーや液体が含まれる。
【0006】
磁気流量計102は、流管108に接続された電子機器ハウジング120を含む。磁気流量計102の出力は、プロセス通信接続部106を介して制御器又は指示器まで比較的長距離にわたって送信するように構成されている。典型的な処理プラントにおいて、通信接続部106は、デジタル通信プロトコル、アナログ通信信号、又はそれらの組み合わせを使用できる。同じ又は追加のプロセス情報は、無線通信、パルス幅又は周波数出力、又は離散的入力/出力(DI/DO)を介して利用可能にされうる。システム制御器110は、人間のオペレータに対して流量情報を表示できるのみならず、制御弁(例えば、弁112)を用いてプロセスを制御するために、プロセス通信接続部106を介して制御信号を提供することができる。
【0007】
図2は、本発明の実施形態が特に適用されうる磁気流量計102のブロック図である。磁気流量計102は、流管アセンブリ108を通る導電性プロセス流体の流量を測定する。コイル122は、コイル駆動部130から印加された励起電流に応答して、外部磁場を流体流に印加するように構成されている。起電力センサー(電極)124は、電気的に流体の流れと結合し、且つ印加された磁場、流体の速度、及びノイズのために流体流内で生成された起電力に関連する起電力信号出力134を増幅器132に提供する。アナログ-デジタル変換器142は、デジタル化された起電力信号を、流量計電子機器143のマイクロプロセッサシステム148へ提供する。
【0008】
マイクロプロセッサ148は、流体速度に関連する出力152を提供するために、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせによって、起電力出力134に関するデジタル信号処理機能を提供するように構成されうる。更に、以下でより詳細に説明するように、信号処理は、改善されたノイズ除去を提供できる。マイクロプロセッサ148は、命令を含むメモリ150を含むか、又はメモリ150に結合され、その命令がマイクロプロセッサ148によって実行されると、本明細書に記載の実施形態によるプロセス流体の流速出力計算及び改善されたノイズ低減を提供する。
【0009】
マイクロプロセッサ148は、ファラデーの法則の適用に記載されているように、起電力出力134と流速との間の関係に従って、流管108を通る流体の流速を計算する。
【0010】
【0011】
ここで、Eは起電力出力134に関連する信号出力152、Vは流体の速度、Dは流管108の直径、Bはプロセス流体に誘導された磁場の強さ、そしてkは比例定数である。マイクロプロセッサ148は、速度及び測定された磁場又はコイル電流を使用して、既知の技術に従ってプロセス流体の流量を計算する。デジタル-アナログ変換器158は、流量計電子機器143のマイクロプロセッサ148に結合され、且つ通信バス106に結合するためにアナログ送信機出力160を生成する。デジタル通信回路162は、デジタル送信機出力164を生成しうる。必要に応じて、アナログ出力160及び/又はデジタル出力164は、プロセス制御器又はモニタへ結合されうる。
【0012】
ノイズの多いプロセス流は、プロセス制御の困難をもたらす可能性のある磁気流量計の測定エラーを引き起こす可能性がある。これは、ノイズの多い流れが、時々誤ったプロセス流量出力を生成する可能性があるためであり、この出力は、制御システムに変化する流量として現れ、それは誤った流量に基づいてプロセスを調整する可能性がある。ノイズの問題を解決するために、磁気流量計、特にノイズの多いプロセス流の環境で使用されるものは、一般的に、減衰、信号処理、及び平均化を採用している。これらの技術は出力の安定性を高めるが、プロセス流体流量の変化に対する磁気流量計の応答性を低下させる場合がある。この潜在的な応答性の欠如に対処するために、不感時間計数器が一般的に用いられる。
【0013】
本明細書で用いられるように、不感時間は、信号処理パラメータであり、それは、使用されると、流量出力をもはや平均の関数ではなくさせられ、代わりに流量値に一層緊密に従わされる。一例において、もし流量出力が前の10個の流量サンプルの平均である場合、不感時間が関与すると、流量出力は2つ又は3つのサンプルの平均であるか、又は流量サンプル自体として提供されうる。
【0014】
理解できるように、不感時間のトリガーを適切に設定することは、正確な流量表示と効果的なノイズ除去とのバランスをとるために非常に重要である。不感時間計数器の診断は、流量の変化を検出した時に始動される。しかし、不感時間計数器はノイズの影響を受けないわけではない。流量を間違った流量値へジャンプさせうる誤検知が、発生する可能性がある。報告された流量値のこの変化は、制御システムを望ましくない仕方で反応させる可能性がある。ノイズ低減された誤検知の可能性を減らすために、不感時間に関する流量閾値トリガーが増加させられる場合がある。しかし、不感時間のトリガーに関する閾値を増やすことは、応答性を低下させ、このことが、最初に不感時間を用いる主な理由である。
【0015】
図3は、高度に平均化された流量信号の例を、減衰された流量信号と共に示す。より大きな下降ステップは、流量値の変化を示し、そこでは高度に平均化された信号300が不感時間の関与を引き起こすが、閾値が高すぎるために第2の関与は引き起こさない。より大きな上昇ステップでは、遷移が不感時間限度内にあるために、高度に平均化された流量信号300は、減衰された流量信号を追跡する。分かるように、不感時間が正しく機能している場合、平均性の高い信号は、最小限に減衰された信号の非常に近くまで追跡する。必須的に、不感時間を採用する磁気流量計は、第1モードを有し、このモードにおいてはプロセス流体の流量出力は、有意に平均化、平滑化、又はその他の方法で処理されることが可能であり、プロセスノイズに対してロバストな信号を提供しうる。磁気流量計はまた第2モードを有し、この第2モードは、プロセス流出力を、上記の平均化された、平滑化された、又はその他の方法で処理された信号から切り離して、変化するプロセス流体流サンプルをより緊密に追跡することができる信号を生成する。この第2モードは上記不感時間モードであり、且つそれは、プロセス流サンプルが、不感時間継続期間を超える期間に、不感時間閾値を超えた場合に用いられる。
【0016】
本明細書に記載の実施形態によれば、誤検知の可能性を低減するために、適応不感時間が磁気流量計に提供される。一実施形態において、不感時間計算は、四分位平均(interquartile mean:IQM)を用いて、流量信号の大きなスパイクノイズを低減することができる。四分位平均とは、第2と第3の四分位のデータが(四分位範囲内にあるように)使用され、且つデータサンプルの最も低い部分25%と最も高い部分25%が破棄される計算である。次に、中央絶対偏差(median absolute deviation:MAD)又は標準偏差のいずれかが、不感時間閾値を構成するように又は不感時間閾値に影響を与えるように用いられる。従って、信号ノイズがより多く存在する場合、MADと標準偏差とは増加する。
【0017】
MADは、外れ値に対してロバストである数学的に知られた計算である。MADは一般に、標準偏差よりもデータ集合の外れ値に対して耐性があると考えられている。標準偏差では、平均からの距離が2乗されるが、中央絶対偏差では、少数の外れ値の偏差は無関係である。MADは、最初にサンプルのグループに対する中央値を計算することによって計算される。次に、各サンプルの中央値からの偏差が計算される。最後に、サンプルの偏差の中央値が、MADを提供するために計算される。一例として、データ(2、2、4、4、8、12、18)を考える。これは4の中央値を有する。4に関する絶対偏差は(2、2、0、0、4、8、14)であり、それは今度は2の中央値を有する(何故ならソートされた絶対偏差は(0、0、2、2、4、8、14)であるからである)。従って、このデータの中央絶対偏差は2である。
【0018】
ノイズが減少する場合は、MAD及び標準偏差も減少し、閾値も減少させられる。これは、ノイズが存在する場合は閾値が増加させられことにより、そしてノイズが存在しない場合は閾値が減少させられることにより、ロバストな不感時間を提供する。適応不感時間診断は、ノイズが存在する場合の流量閾値を下げることにより、応答性を最大化する。MAD及び/又は標準偏差の使用が好ましいが、本明細書に記載の実施形態は、プロセスノイズの何等かの適切な表示値を用いて実施されうる。例えば、別のデバイスが、ノイズを測定するように、且つプロセスノイズの表示値を磁気流量計に伝達するように構成され得、そして磁気流量計は、伝達されたノイズに基づいて不感時間を調整する。別の例において、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)が、不感時間閾値を構成するため又は不感時間閾値に影響を与えるために、電極のノイズ量を測定するために用いられうる。
【0019】
図4は、本発明の実施形態による磁気流量計の不感時間閾値を動的に修正する方法の流れ図である。不感時間計数器への主要な追加は、フィルタ処理された出力を比較するためにIQMを用いること、超えるための流量閾値を計数する前に生成すること、閾値を変更するためにノイズ決定性測定基準を生成することである。
【0020】
方法350は、ブロック352で始まり、ここでは、四分位平均値が、磁気流量計からの生の流量値から生成される。これら生の流量値は、アナログ-デジタル変換器142によって提供される磁気流量計からの電極124からの個別の起電力(EMF)測定値である。IQMが生成されると、制御はブロック354に渡され、そこでは生の流量値の統計的パラメータが生成される。統計的パラメータは、一例において、中央絶対偏差(MAD)又は標準偏差でありうる。次に、ブロック356で、不感時間閾値が更新される。ブロック358で、IQMとフィルタ処理された流量出力との差が計算される。ブロック360で、プロセッサ148は、ブロック358で計算された差が不感時間閾値よりも大きいかどうかを決定する。もしそうであるならば、制御は、ブロック362に移り、そこで不感時間計数器が増分される。しかし、差が不感時間閾値より大きくない場合、制御はブロック368に渡され、本方法は終了する。ブロック362で不感時間計数器が増分されると、ブロック364が実行されて、計数が不感時間限度よりも大きいかどうかが決定される。計数が不感時間限度よりも大きい場合、制御はブロック366に渡され、そこで信号処理フィルタがリセットされ、且つプロセス流量出力が新しい流量として設定される。次に、制御はブロック368に移り、そこで本方法は終了する。
【0021】
図5は、流量出力信号における不感時間閾値の影響を示すグラフである。
図5は、不感時間閾値が低すぎる(参照符号400で示されている)、及び不感時間限度が間違って始動され、流量出力に大きなスパイクが見られる場合の流量を示している。逆に、
図5はまた、不感時間が正しく設定された例を信号線402で示しており、そこでは、参照符号400及び404で示された誤検知が、同様の流量出力の異常を生んでいない。
【0022】
図6は、本発明の実施形態による磁気流量計における、不感時間を動的に変化させる方法の流れ図である。方法450は、定期的に又はそうするように命令を受け取ると実行されうる。例えば、方法450は、磁気流量計102によって受信されたプロセス通信に応答して実行されうる。同様に方法450は、ユーザ入力に応答して実行されうる。
【0023】
方法450は、ブロック452で始まり、ここではプロセッサ148がプロセスノイズの表示値を取得する。この表示値は、1つ又は複数の適切なソースからのものでありうる。例えば、プロセッサ148は、参照符号454に示されるように、電極124からの起電力測定値の集合の中央絶対偏差(MAD)を計算することができる。追加又は代替として、プロセッサ148は、参照符号456に示されるように、電極124からの起電力測定値の集合の標準偏差を計算することができる。参照符号458に示されているように、プロセスノイズの表示値は、外部デバイスからも受け取ることができる。プロセッサ148にプロセスノイズの表示値を提供するための別の適切な技術も、参照符号460に示されるように用いられうる。プロセスノイズの表示値を生成又は取得するための異なる技術が説明されているが、それらの組み合わせがまた用いられうることも明確に意図されている。
【0024】
ブロック462で、プロセッサ148は、プロセスノイズの表示値に基づいて1つ又は複数の不感時間パラメータを設定する。参照符号464で示されているように、プロセッサ148は、プロセスノイズの表示値に基づいて不感時間閾値を設定できる。例えば、閾値は、現在のプロセス流体出力値から離れた標準偏差であるように設定されうる。別の例において、閾値は、中央絶対偏差の関数に基づいて設定されうる。追加又は代替として、不感時間持続時間は、参照符号466に示されるようにプロセッサ148によって変更されうる。このようにして、本明細書に開示される実施形態は、プロセス流体流量の測定精度を犠牲にすることなく、精度と速度のより良いバランスを提供するように不感時間パラメータを動的に調整することができる。これにより、特にノイズの多いプロセスを有する環境で、より優れたプロセス制御が可能になる。
【国際調査報告】