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特表2022-548020組織ベースのバイオプロテーゼ心臓弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】組織ベースのバイオプロテーゼ心臓弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20221109BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20221109BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61F2/24
A61L27/36 100
A61L27/36 300
A61L29/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516030
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2020075495
(87)【国際公開番号】W WO2021048371
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,405
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/011,366
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ユメール、アルノー
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB17
4C081AC08
4C081BC02
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097MM04
4C097SB01
(57)【要約】
本明細書の実施形態は、バイオプロテーゼ心臓弁に関する。一実施形態では、心臓弁置換システムが含まれ、心臓弁置換システムは、心臓弁収容領域を含むことができる送達カテーテルと、送達カテーテルの心臓弁収容領域において送達カテーテルの周りに配設された心臓弁であって、心臓弁が、フレームおよび、フレームに対して結合された複数の弁尖を含み、弁尖が、動物組織を含み、動物組織が、15重量%から50重量%の水および、20重量%から70重量%のグリセロールを含むことができる、心臓弁と、内部容積部を画定するパッケージであって、送達カテーテルおよび心臓弁が、パッケージ内に配設される、パッケージとを有する。他の実施形態も本明細書に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁収容領域を備える送達カテーテルと、
前記送達カテーテルの前記心臓弁収容領域において前記送達カテーテルの周りに配設された心臓弁であって、前記心臓弁が、
フレームおよび、
前記フレームに対して結合された複数の弁尖
を備え、
前記弁尖が、動物組織を備え、前記動物組織が、
15重量%から50重量%の水および、
20重量%から70重量%のグリセロール
を備える、心臓弁と、
内部容積部を画定するパッケージであって、前記送達カテーテルおよび前記心臓弁が、前記パッケージ内に配設される、パッケージと
を備える、心臓弁置換システム。
【請求項2】
前記動物組織が、少なくとも約0.15重量%の塩のカチオンをさらに備え、前記カチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の心臓弁置換システム。
【請求項3】
前記心臓弁が、前記送達カテーテル上でアンクリンプされており、前記パッケージ内で前記送達カテーテルの周りに配設されるときに20mmを上回る外側ウエスト直径を有する、請求項1または2に記載の心臓弁置換システム。
【請求項4】
前記心臓弁が、前記送達カテーテル上で部分的にクリンプされており、前記パッケージ内で前記送達カテーテルの周りに配設されるときに19mmから10mmの外側ウエスト直径を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の心臓弁置換システム。
【請求項5】
前記心臓弁が、前記送達カテーテル上でクリンプされており、前記パッケージ内で前記送達カテーテルの周りに配設されるときに7mm未満の外側ウエスト直径を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の心臓弁置換システム。
【請求項6】
前記動物組織が、15重量%から60重量%のグリセロールを備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の心臓弁置換システム。
【請求項7】
前記心臓弁が、
スカートであって、前記スカートが、動物組織を備え、前記動物組織が、
15重量%から50重量%の水と、
20重量%から70重量%のグリセロールと
を備える、スカートをさらに備える、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の心臓弁置換システム。
【請求項8】
動物組織を弁尖になるように切断する工程と、
心臓弁を形成するためにフレームに対して前記弁尖を結合させる工程と、
グリセロールを備える組成物に前記弁尖を接触させる工程と、
室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境において前記弁尖から水分を除去する工程と、
送達カテーテル上に前記心臓弁を載置する工程と
を備える、心臓弁置換デバイスを作製する方法。
【請求項9】
前記組成物が、グリセロールと水との混合物を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、グリセロールとエタノールとの混合物を備える、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記心臓弁および前記送達カテーテルをパッケージングする工程をさらに備え、前記心臓弁および送達カテーテルのパッケージング前に、前記心臓弁はアンクリンプされたままである、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
グリセロールを備える組成物に前記弁尖を接触させ、前記弁尖を乾燥させる動作が、心臓弁を形成するためにフレームに対して前記弁尖を取り付ける前記工程の前に実行される、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記弁尖が、水分を除去した後、約15から50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有する、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記心臓弁および前記送達カテーテルをパッケージングする工程をさらに備え、パッケージングされた後、前記弁尖が、約15から約50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有する、請求項8乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記フレームに対してスカートを結合させる工程と、
グリセロールを備える組成物に前記スカートを接触させる工程と、
室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境において前記スカートから水分を除去する工程と
をさらに備える、請求項8乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、バイオプロテーゼ心臓弁に関する。より詳細には、本明細書の実施形態は、経皮的に送達可能なバイオプロテーゼ心臓弁に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁が適切に機能していないとき、心臓機能は大きく損なわれ得る。心臓弁の機能不全の潜在的な原因は、弁周りの弁輪の拡張、心室拡張、脱出した、または奇形の弁尖、および大動脈弁狭窄症などの狭窄症を含む。心臓弁が適切に閉じることができないとき、心腔内の血液は、逆流するか、または弁を通って後方に漏れる可能性がある。心臓弁が適切に開くことができないとき、前方向の血流(たとえば収縮期血流)が損なわれる可能性がある。
【0003】
弁の機能不全は、大動脈弁などの罹患した弁を置換または修復することによって治療され得る。外科的弁置換は、罹患した弁を治療する1つの方法である。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)などの低侵襲治療方法は一般に、送達カテーテルの使用を伴い、この送達カテーテルは、動脈通路または他の生体構造ルートを通って心臓内に送達されて、罹患した弁を埋め込み可能なプロテーゼ心臓弁に置換する。そのような弁の弁尖は、合成材料および動物組織を含むさまざまな材料から形成されてきた。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、送達カテーテルと心臓弁とを有する心臓弁置換システムが、含まれる。送達カテーテルは、心臓弁収容領域を含むことができる。心臓弁は、送達カテーテルの心臓弁収容領域において送達カテーテルの周りに配設され得る。心臓弁は、フレームと、フレームに対して結合された複数の弁尖とを含むことができる。弁尖は、動物組織を含むことができる。動物組織は、15重量%から50重量%の水と、20重量%から70重量%のグリセロールとを含むことができる。心臓弁置換システムは、内部容積部を画定するパッケージをさらに含むことができる。送達カテーテルおよび心臓弁は、パッケージ内に配設され得る。
【0005】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第2の態様では、動物組織は、少なくとも約0.15重量%の塩のカチオンをさらに含むことができる。カチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムからなる群から選択され得る。
【0006】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第3の態様では、心臓弁上に少なくとも部分的に配設されたシースをさらに含むことができる。シースは、18F以下の内径を有することができる。
【0007】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第4の態様では、心臓弁は、送達カテーテル上でアンクリンプされており、パッケージ内で送達カテーテルの周りに配設されるときに20mmを上回る外側ウエスト直径を有する。
【0008】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第5の態様では、心臓弁は、送達カテーテル上で部分的にクリンプされており、パッケージ内で送達カテーテルの周りに配設されるときに19mmから10mmの外側ウエスト直径を有する。
【0009】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第6の態様では、心臓弁は、送達カテーテル上でクリンプされており、パッケージ内で送達カテーテルの周りに配設されるときに7mm未満の外側ウエスト直径を有する。
【0010】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第7の態様では、動物組織は、15重量%から60重量%のグリセロールを含むことができる。
【0011】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第8の態様では、心臓弁は、スカートをさらに含むことができ、スカートは、動物組織を含むことができ、動物組織は、15重量%から50重量%の水と、20重量%から70重量%のグリセロールとを含むことができる。
【0012】
第9の態様では、心臓弁置換デバイスを作製する方法が、含まれる。方法は、動物組織を弁尖になるように切断する工程と、心臓弁を形成するためにフレームに対して弁尖を結合させる工程と、グリセロールを含むことができる組成物に弁尖を接触させる工程と、室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境において弁尖から水分を除去する工程と、送達カテーテル上に心臓弁を載置する工程とを含むことができる。
【0013】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第10の態様では、組成物は、グリセロールと水との混合物を含む。
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第11の態様では、組成物は、グリセロールと水とナトリウムとの混合物を含む。
【0014】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第12の態様では、組成物は、グリセロールとエタノールとの混合物を含む。
【0015】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第13の態様では、組成物は、グリセロールと水とエタノールとの混合物を含む。
【0016】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第14の態様では、送達カテーテル上で心臓弁を部分的にクリンプする工程をさらに含むことができる。
【0017】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第15の態様では、送達カテーテル上で心臓弁を完全にクリンプする工程をさらに含むことができる。
【0018】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第16の態様では、心臓弁および送達カテーテルをパッケージングする工程をさらに含むことができ、心臓弁および送達カテーテルのパッケージング前に、心臓弁はアンクリンプされたままである。
【0019】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第17の態様では、グリセロールを含むことができる組成物に弁尖を接触させ、弁尖を乾燥させる動作は、心臓弁を形成するためにフレームに対して弁尖を取り付ける工程の前に実行される。
【0020】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第18の態様では、弁尖は、水分を除去した後、約15から50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有することができる。
【0021】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第19の態様では、心臓弁および送達カテーテルをパッケージングする工程をさらに含むことができる。パッケージングされた後、弁尖は、約15から約50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有することができる。
【0022】
先行する、もしくは後続の態様の1つまたは複数に加えて、またはいくつかの態様に対する代替において、第20の態様では、フレームに対してスカートを結合させる工程と、グリセロールを含むことができる組成物にスカートを接触させる工程と、室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境においてスカートから水分を除去する工程とをさらに含むことができる。
【0023】
この概要は、本出願の教示のいくつかの概観であり、本主題の排他的または包括的な扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明および付属の特許請求の範囲において見出される。以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部をなす図を見ることにより、他の態様が当業者に明らかになり、そのそれぞれは、限定的意味で解釈されるものではない。本明細書の範囲は、付属の特許請求の範囲およびその法的等価物によって規定される。
【0024】
次の図(図)と関連して、態様がより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本明細書のさまざまな実施形態による、人体内のプロテーゼ心臓弁の概略図。
図2】本明細書のさまざまな実施形態による、血管内のプロテーゼ心臓弁の概略図。
図3】本明細書のさまざまな実施形態によるプロテーゼ心臓弁の端面図。
図4】本明細書のさまざまな実施形態によるプロテーゼ心臓弁の図。
図5】本明細書のさまざまな実施形態によるフレームの図。
図6】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの一部の概略図。
図7】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの一部の概略図。
図8】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの概略断面図。
図9】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの概略断面図。
図10】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの概略断面図。
図11】本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システムの概略断面図。
図12】本明細書のさまざまな実施形態による送達カテーテルの概略図。
図13】本明細書のさまざまな実施形態による方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態はさまざまな改変形態および代替的形態が可能であるが、その詳細が、例および図によって示されており、詳細に説明される。しかし、本明細書におけるその範囲は、説明される特定の態様に限定されないことを理解されたい。逆に、その意図は、本明細書における趣旨および範囲内に入る改変形態、等価物、および代替を網羅することである。
【0027】
バイオプロテーゼ心臓弁に関連するデバイス、システム、および方法が、本明細書において説明される。さまざまな実施形態は、バイオプロテーゼ心臓弁の脱水プロセス、ならびにその結果生じるデバイスおよびシステムを含む。さまざまな実施形態は、低侵襲送達システムに対して事前に取り付けられ、任意選択により送達システム内に少なくとも部分的に(たとえば完全に)事前装填された心臓弁を提供し、この心臓弁は、手術室内での準備をほとんどまたは全く行わずに滅菌後に使用する準備ができている。いくつかの実施形態は、送達カテーテルに対して事前に取り付けられ、任意選択によりその内部に少なくとも部分的に事前装填された、実質的に乾燥し、実質的にグルタルアルデヒドを有さない心臓弁を保管する能力を提供する。脱水プロセスは、グリセロールの使用を含むことができる。いくつかの実施形態では、心臓弁用の組織中の水は、グリセロールおよび/または生理食塩水で置換され得る。
【0028】
次に図1を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による、人体104の心臓102内のプロテーゼ心臓弁100の概略図が、示される。心臓は、4つの心臓弁、すなわち肺動脈弁、三尖弁、大動脈弁、および僧帽弁を有する。心臓弁は、血液が心臓を通り抜け、心臓に連結された主要血管内、たとえば大動脈および肺動脈に入ることを可能にする。図1のプロテーゼ心臓弁100は、送達デバイスまたはカテーテル106を使用して血管を通して外科的に埋め込みされるか、または送達され得る。送達カテーテル106は、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)処置中、大腿骨、鎖骨下、または大動脈の切開部内に挿入され得る。さまざまな実施形態では、送達カテーテル106は、経大腿送達カテーテル106を含むことができる。挿入されると、送達カテーテル106は、プロテーゼ心臓弁100を生体構造内の所望の場所に送達し、心臓弁100を所望の埋め込み部位において解放することができる。図1は、大動脈弁を置換するプロテーゼ心臓弁100を示しているが、いくつかの場合、プロテーゼ心臓弁100は、別のタイプの心臓弁(たとえば、僧帽弁または三尖弁)用の置換であることができる。いくつかの例では、心臓弁は、詳細にはTAVI(経カテーテル大動脈弁埋め込み)弁である。
【0029】
(この図では示されない)心臓弁置換システムは、心臓弁100と送達カテーテル106とを含むことができる。さまざまな実施形態では、送達カテーテル106および心臓弁100は、(以下でさらに説明される)滅菌パッケージ内に配設される。さまざまな実施形態では、心臓弁100は、送達カテーテル106の一部の周りに配設され得る。さまざまな実施形態では、心臓弁100またはその一部は、図8に示すものなどのように送達カテーテル106上で完全にクリンプされていてもよい。さまざまな実施形態では、心臓弁100またはその一部は、図9に示すものなどのように送達カテーテル106上で部分的にクリンプされていてもよい。さまざまな実施形態では、心臓弁100またはその一部は、図10に示すものなどのように送達カテーテル106上でアンクリンプされていてもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁100の一部は、送達カテーテル106上でクリンプされていてもよく、心臓弁100の一部は、送達カテーテル106上でアンクリンプされていてもよい。(図8~10は、説明を容易かつ明確にするために単純化された概略図として示されることを認識されたい)。いくつの実施形態では、アンクリンプされた心臓弁100は、送達カテーテル106の一部に取り付けられ、または引っかけられ得る。いくつかの実施形態では、アンクリンプされた心臓弁100は、送達カテーテル106に対して制御された位置にあることができる。
【0030】
図2は、さまざまな実施形態による、血管220内の閉じた心臓弁100の概略図を示す。図3は、閉じた心臓弁100の端面図を示す。弁100は、矢印218によって示すように、弁100を通る一方向の流れを可能にするように構成され得る。一実施形態では、矢印218は、収縮期の間の血流を表す。心臓弁100は、入口222と出口224とを含むことができる。
【0031】
さまざまな実施形態では、心臓弁100は、フレーム208を含む。フレーム208は、中央管腔を画定することができ、この中央管腔は、一部の実施形態では、実質的に円筒状であることができる。フレーム208および他の構成要素の中央管腔を向く側は、管腔側表面または管腔側側面と称され得る。フレーム208および他の構成要素の(たとえば中央管腔から外方を向く)反対側は、反管腔側表面または反管腔側側面と称され得る。さまざまな実施形態では、フレーム208は、実質的に円形の断面を有することができる。他の実施形態では、フレーム208は、D字形状断面などの非円形を有することができる。いくつかの実施形態では、非円形フレーム208は、体内の僧帽弁または別の非円形弁を修復するために使用され得る。
【0032】
心臓弁100はまた、2つまたは3つの弁尖210などの複数の弁尖210を含むこともできる。心臓弁100は、接合領域216を含むことができ、たとえばここでは、1つまたは複数の弁尖210が合わさって弁100を閉じ、または分離して弁100を開く。さまざまな実施形態では、弁尖210は、たとえばフレーム208によって支持するためにフレーム208に対して直接的または間接的に結合される。弁尖210は、フレーム208に対して結合されるか、または隣接する弁尖210の縁などのルート縁212を含むことができる。弁尖210は、隣接する弁尖210の縁と整列する縁などの接合縁214を含むこともできる。接合縁214は、他の弁尖210の接合縁214と接合するようにルート縁212に対して可動であることができる。弁尖210の接合縁214は、移動して互いに接合して閉位置(図2および図3)になり、流体が矢印218の反対方向に弁100を流れ過ぎることを実質的に制限する。詳細には、弁尖210は接合して弁100の中央管腔を塞ぎ、または閉じ、それによって矢印218の反対に流体が流れることを妨げることができる。
【0033】
心臓弁100は、長手方向長さ250を有することができる。長手方向長さ250は、さまざまな寸法の長さを有することができる。いくつかの実施形態では、長さは、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、35mm、38mm、40mm、42mm、45mm、48mm、または50mm以上であることができる。いくつかの実施形態では、長さは、70mm、68mm、65mm、62mm、60mm、58mm、55mm、52mm、または50mm以下であることができる。いくつかの実施形態では、長さは、20mmから70mm、もしくは24mmから68mm、もしくは30mmから65mm、もしくは35mmから62mm、もしくは40mmから60mm、もしくは42mmから58mm、もしくは45mmから55mm、もしくは48mmから52mmの範囲内にあることができ、または約50mmであることができる。
【0034】
さまざまな実施形態では、中央管腔の内径は、少なくとも10mmかつ最大で50mmであることができる。さまざまな実施形態では、中央管腔の内径は、少なくとも15mmかつ最大で40mmであることができる。さまざまな実施形態では、中央管腔の内径は、少なくとも20mmかつ最大で35mmであることができる。
【0035】
次に図3を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態によるプロテーゼ心臓弁100の端面図が、示される。(この図では示されない)心臓弁置換システムは、心臓弁100を含む。心臓弁100は、複数の弁尖210を含むことができる。弁尖210は、ルート縁212を含むことができる。弁尖210は、接合縁214を含むこともできる。
【0036】
次に図4を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態によるプロテーゼ心臓弁100の図が、示される。心臓弁100は、フレーム208と1つまたは複数の弁尖210とを含むことができる。さまざまな実施形態では、心臓弁100は、外側スカート428および/または内側スカート426などのスカートを含むこともできる。さまざまな実施形態では、弁尖および/またはスカートは、動物組織、たとえば心膜組織を含むことができる。いくつかの実施形態では、スカートは、ポリウレタン材料またはポリエチレンテレフタレートを含むことができる。フレーム208は、複数の支柱430を含むことができる。
【0037】
さまざまな実施形態では、内側スカート426は、提供される場合、フレーム208の管腔側表面上に配設され得る。内側スカート426は、弁100を通って流れるように血液を向けることができる。内側スカート426は、弁が動脈弁として構成されるなどの場合、拡張期の圧力の間に閉構成において血液が弁100の中央管腔を通って流れ、弁尖210の周りを流れないことを確実にすることができる。各弁尖の、ルート縁に沿うなどの部分が、内側スカート426に対して結合または縫合されてもよい。
【0038】
さまざまな実施形態では、埋め込み可能な弁100は、フレーム208の反管腔側表面上に配設された外側スカート428を含むことができる。フレーム208の反管腔側表面は、中央管腔の外部にあるフレーム208の表面であることができる。外側スカートは、血液が弁100の周りを流れることを防止するために、(たとえばいわゆる弁傍(para-valve)の漏出を防止するために)、図2に示されるなどのように、弁が埋め込まれたときにフレーム208と血管壁との間に配設され得る。
【0039】
さまざまな実施形態では、内側スカート426および外側スカート428の両方により、スカート426および428は、1つまたは複数の連続した取り付け線(図示されず)に沿って、任意選択によりフレームの開口を通って互いに結合され、たとえば互いに縫合され得る。
【0040】
次に図5を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態によるフレームの図が、示される。フレーム208は、下側クラウン532を含むことができる。フレーム208は、上側クラウン534を含むことができる。フレーム208は、複数の安定化アーチ536を含むことができる。フレーム2018は、支柱430などの1つまたは複数の弁支持体を含むことができる。さまざまな実施形態では、フレーム208は、自己展開ステントを含むことができる。
【0041】
フレーム208は、複数の支柱430を含むこともできる。支柱430は、ロッド、バー、プレート、または枠組みもしくは格子構造を画定する他の突出部であることができる。いくつかの実施形態では、フレームは、フレーム支柱430間に開放空間を画定することができる。しかし、他の実施形態では、フレームは、そのような開放空間を含まなくてもよい。
【0042】
フレーム208は、多くの異なる材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、フレーム208は、ポリマー、金属、セラミック、複合材などを含むことができる。さまざまな実施形態では、金属は、元素金属もしくは合金を含むことができるか、または元素金属もしくは合金であることができる。さまざまな実施形態では、元素金属は、アルミニウムもしくはチタンを含むことができるか、またはアルミニウムもしくはチタンであることができる。さまざまな実施形態では、合金は、ステンレス鋼、ニチノール、または鉄系金属を含むことができるか、またはステンレス鋼、ニチノール、または鉄系金属であることができる。いくつかの実施形態では、フレーム208は、形状記憶合金などの形状記憶材料を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、内側スカート426は、下側クラウン532および/または上側クラウン534および/または弁支持体に対して結合され得る。他の実施形態では、内側スカート426は、上側クラウン534に対してのみ結合される。いくつかの実施形態では、外側スカートは、下側クラウン532および/または上側クラウン534に対して結合され得る。他の実施形態では、外側スカートは、下側クラウン532対してのみ結合される。いくつかの実施形態では、弁尖210は、安定化アーチ536のところ、またはそのすぐ下方、かつ上側クラウン534の上方の位置において、フレーム、たとえば弁支持体などに対して結合され得る。いくつかの実施形態では、弁尖201は、支持体および上側クラウン534の領域内などにおいて内側スカート426に対して結合され得る。
【0044】
次に図6および図7を参照すれば、心臓弁置換システム638の概略図が、示される。図6図7は説明を容易に明確にするために単純化された概略図として示されることが、認識されよう。図6では、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の図が、示される。いくつかの実施形態では、心臓弁置換システム638は、送達カテーテル106を含むことができる。図6は、送達カテーテル106上でクリンプされた状態および/または完全に装填された状態にある弁100を示す。弁100は、送達カテーテル106の心臓弁収容領域652上またはその周りに配設され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、心臓弁置換システム638は、シース640を含むことができる。さまざまな実施形態では、シース640は、心臓弁100の少なくとも一部に配設され得る。さまざまな実施形態では、シース640は、22F、20F、18F、16Fもしくはそれ以下の内径、または前述の任意のもの間の範囲内に入る内径を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、シース640は、第1のシース部分642と第2のシース部分644とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のシース部分642および第2のシース部分644は、完全に装填された状態などにおいて離間され得る。いくつかの実施形態では、スカートの一部は、第1のシース部分642と第2のシース部分644との間で露出され得る。使用時、シース部分642および644は、軸方向に相反する方向に変位されることによって開かれて、置換弁を埋め込み部位において解放することができる。
【0047】
次に図7を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の一部の図が、示される。図7は、送達カテーテル106上で不完全にまたは部分的にクリンプされた状態にある弁100を示す。あるいは、別の実施形態では、不完全にまたは部分的にクランプされた状態において、心臓弁100の一方の端部は、シース640内、たとえばシース部分642および644の一方内に捕捉されてもよく、心臓弁100の他方の端部は、露出されるか、または捕捉されなくてもよい。
【0048】
次に図8を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の概略断面図が、示される。いくつかの実施形態では、図8は、図6に示す心臓弁置換システム638の断面A-Aに沿った断面図、または図7に示す心臓弁置換システム638の断面C-Cに沿った断面図を表すことができる。いくつかの実施形態では、図8は、シース640を示すことは除いて、図6に示す心臓弁置換システム638の断面B-Bに沿った断面図を表すこともできる。
【0049】
心臓弁置換システム638は、送達カテーテル106と、心臓弁100と、シース640とを含むことができる。心臓弁100は、送達カテーテル106上またはその周りに配設され得る。心臓弁100は、送達カテーテル106上で完全にクリンプされていてもよい。シース640は、心臓弁100の少なくとも一部および送達カテーテル106の少なくとも一部をわたって延びることができる。
【0050】
心臓弁置換システム638は、滅菌パッケージ846を含むことができる。パッケージ846は、この図では箱様形態で概略的に示されているが、パッケージは、ポーチ、トレイ、バッグ、箱、カートン、容器などを含むことができる可撓性または非可撓性のパッケージを含むさまざまな形態をとることができることが、認識されよう。いくつかの実施形態では、パッケージ846は、密閉され得る。いくつかの実施形態では、パッケージ846は、細菌の侵入を防止する通気性のあるパッケージングであることができる。心臓弁100、送達カテーテル106、およびシース640は、パッケージ846内に配設され得る。さまざまな実施形態では、送達カテーテル106は、ガイドワイヤ管腔848を含む。
【0051】
外側ウエスト直径854は、シース640によって覆われる心臓弁100の部分であることができる。心臓弁100の外側ウエスト直径854は、さまざまな寸法の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、外側ウエスト直径854は、約0.3mm、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、11mm、12mm、12mm、13mm、14mm、14mm、15mm、15mmまたは16mm以上であることができる。いくつかの実施形態では、直径は、20mm、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、7mm、または6mm以下であることができる。いくつかの実施形態では、直径は、0.3mmから20mm、1mmから20mm、2mmから20mm、3mmから20mm、4mmから20mm、5mmから20mm、6mmから20mm、もしくは7mmから20mm、もしくは7mmから19mm、もしくは8mmから19mm、もしくは8mmから18mm、もしくは9mmから18mm、もしくは9mmから18mm、もしくは10mmから17mm、もしくは11mmから17mm、もしくは15mmから16mmの範囲内に入ることができ、または約16mmであることができる。
【0052】
シース640の内径852は、さまざまな寸法の直径を有することができる。いくつかの実施形態では、内径852は、20、18、16、14、12、10、8、または6フレンチ(French)以下であることができ、または前述の値の任意のもの間の範囲内に入る量であることができる。
【0053】
次に図9を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の概略断面図が、示される。いくつかの実施形態では、図9は、図6に示す心臓弁置換システム638の断面A-Aに沿った断面図、または図7に示す心臓弁置換システム638の断面C-Cに沿った断面図を表すことができる。いくつかの実施形態では、図9は、シース640を示すことは除いて、図6に示す心臓弁置換システム638の断面B-Bに沿った断面図を表すこともできる。
【0054】
いくつかの実施形態では、心臓弁置換システム638は、送達カテーテル106上で部分的にクリンプされた心臓弁100を含むことができる。部分的にクリンプされた心臓弁100および送達カテーテル106は、シース640内に配設され得る。シース640、心臓弁100、および送達カテーテル106は、滅菌パッケージ846内に配設され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、心臓弁100は、心臓弁100および送達カテーテル106の少なくとも一部間に空隙956が画定されるように、送達カテーテル上で部分的にクリンプされ得る。いくつかの実施形態では、空隙956は、送達カテーテル106周りに一貫したサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、空隙956は、送達カテーテル106の周りでサイズを変化させることができる。部分的にクリンプされた心臓弁100は、完全に展開されるか、またはアンクリンプされた心臓弁100より小さい外側ウエスト直径854を有することができる。部分的にクリンプされた心臓弁100は、完全にクリンプされた心臓弁100より大きい外側ウエスト直径854を有することができる。
【0056】
次に図10を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の概略断面図が、示される。いくつかの実施形態では、図10は、図6に示す心臓弁置換システム638の断面D-Dに沿った断面図を表すこともできる。
【0057】
いくつかの実施形態では、心臓弁置換システム638は、送達カテーテル106の一部またはその周りに配設された心臓弁100を含むことができる。心臓弁100は、アンクリンプされていてもよく、心臓弁置換システム638は、滅菌パッケージ846内に配設され得る。心臓弁100は、アンクリンプされており、心臓弁100と送達カテーテル106との間に空隙956を画定することができる。いくつかの実施形態では、空隙956は、均一な形状およびサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、空隙956は、可変の形状およびサイズを有することができる。アンクリンプされた心臓弁100の場合の空隙956は、図9および図10を比較することによって示されるなどのように、部分的にクリンプされた心臓弁100の場合の空隙956より大きくてもよい。
【0058】
次に図11を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による心臓弁置換システム638の概略断面図が、示される。いくつかの実施形態では、心臓弁置換システム638は、バルーン1158付きの送達カテーテル106を含むことができる。さまざまな実施形態では、バルーン1158は、図12に示されるなどのように送達カテーテル106のシャフト上に配設され得る。心臓弁置換システム638は、バルーン1158の一部またはその周りに配設された心臓弁100を含むことができる。送達カテーテル106は、ガイドワイヤ管腔848および/またはバルーン膨脹管腔1160を含むことができる。さまざまな実施形態では、バルーン1158は、バルーン膨脹管腔1160と流体連通することができる。
【0059】
バルーン膨脹管腔1160は、バルーン1158を膨脹させるなどのために、液体またはガスをバルーン内に向けるように構成され得る。バルーン1158は、心臓弁100がその所望の場所に位置した後に膨脹され得る。バルーン1158は、心臓弁100を展開するように膨脹され得る。バルーン1158は、収縮されることが可能であり、心臓弁100は、患者の体内の所望の場所に展開された状態のままでいることができる。
【0060】
次に図12を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による送達カテーテル106の概略図が、示される。上記で論じられたように、いくつかの実施形態では、心臓弁置換システムは、送達カテーテル106を含むことができる。送達カテーテル106は、シャフト1262を含むことができる。送達カテーテル106は、心臓弁収容領域652を含むことができる。心臓弁収容領域652は、心臓弁を受け入れるように構成され得る。送達カテーテル106は、バルーン1158を含むこともできる。いくつかの実施形態では、バルーン1158は、心臓弁収容領域652に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、バルーン1158は、心臓弁収容領域652の一部を形成する。いくつかの実施形態では、送達カテーテル106は、経大腿送達カテーテルとして構成され得る。図11および図12はバルーンカテーテルを示しているが、いくつかの実施形態では、本明細書の送達カテーテルがバルーンを含まなくてもよいことが、認識されよう。いくつかの実施形態では、心臓弁のフレームは、自己展開式であることができる。いくつかの実施形態では、他の機械的デバイスが、心臓弁を適所に展開するために使用され得る。
【0061】
<方法>
次に図13を参照すれば、本明細書のさまざまな実施形態による方法を示すフローチャートが、示される。図13は、心臓弁置換デバイスを作製する方法1302を示す。方法は、動物組織を弁尖、スカート、または他の構成要素になるように切断する動作1304を含むことができる。方法は、心臓弁を形成するためにフレームに対して弁尖および/またはスカートを結合させる動作1306を含むことができる。方法は、グリセロールを含む組成物に弁尖、スカートおよび/または他の動物組織を接触させる動作1308を含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、詳細には、溶液であることができ、または溶液を含むことができる。
【0062】
方法は、室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境において、弁尖、スカート、または他の動物組織から水分を除去する動作1310を含むことができる。いくつかの実施形態では、水分を除去する工程1310は、心臓弁を形成するためにフレームに対して弁尖および/またはスカートを結合させる動作1306の後に行うことができる。理論に縛られる意図はないが、結合手順(それだけに限定されないが縫合など)は、寸法変化、材料特性などの1つまたは複数により、水分がまだ除去されていない場合により効果的に達成され得ると考えられている。しかし、いくつかの実施形態では、水分を除去する工程1310は、心臓弁を形成するためにフレームに対して弁尖および/またはスカートを結合させる動作1306の前に行うことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、弁尖および/または他の動物組織から水分を除去する工程は、炉内で組織を乾燥させることを含むことができる。一実施形態では、弁尖および/または他の動物組織は、約37℃の環境内にあることができる。さまざまな実施形態では、室温は、少なくとも15℃かつ最大で50℃であることができる。さまざまな実施形態では、弁尖は、水分を除去した後、約15から50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、約10から40wt.%、または約15から30wt.%、または約30から50wt.%、または約17.5から22.5wt.%、または約20wt.%の水分が除去されると、最終含水量を有することができる。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、水分を除去した後、約30から約65wt.%の最終グリセロール含量を有することができる。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、水分を除去した後、約15から約30wt.%の最終グリセロール含量を有することができる。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、水分を除去した後、約40から約60wt.%の最終グリセロール含量を有することができる。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、水分を除去した後、約40から約50wt.%の最終グリセロール含量を有することができる。
【0065】
方法は、送達カテーテル上に心臓弁を載置する動作1312を含むことができる。方法は、1314において、送達カテーテル上で心臓弁を少なくとも部分的にクリンプする、および/または送達カテーテルに対して心臓弁を事前に取り付ける動作を含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、送達カテーテル106上で心臓弁100を完全にクリンプする工程を含むことができる。
【0066】
さまざまな実施形態では、方法は、心臓弁100および送達カテーテル106をパッケージングする工程を含むこともできる。いくつかの実施形態では、心臓弁100および送達カテーテル106のパッケージングの前に、心臓弁100はアンクリンプされたままである。
【0067】
いくつかの実施形態では、パッケージングされた後、弁尖は、約15から約50wt.%の含水量と、約20から約70wt.%のグリセロール含量とを有することができる。
さまざまな実施形態では、グリセロールを含む組成物に弁尖を接触させ、弁尖を乾燥させる動作は、心臓弁100を形成するためにフレーム208に対して弁尖を取り付ける工程の前に実行される。
【0068】
さまざまな実施形態では、方法は、心臓弁100および送達カテーテルをパッケージングする前などに、心臓弁100および送達カテーテル106上にシース640を載置する工程をさらに含むことができる。
【0069】
さまざまな実施形態では、方法は、フレームに対してスカートを結合させる工程をさらに含むことができる。方法は、グリセロールを含むことができる組成物にスカートを接触させる工程をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、弁尖と接触する組成物と同じであることができる。方法は、弁尖からの水分除去などと同様に、室温を上回る、および/または大気圧を下回る環境においてスカートから水分を除去する工程をさらに含むことができる。
【0070】
<動物組織>
さまざまな実施形態では、弁尖および/またはスカート(内側スカートおよび/または外側スカート)は、動物組織を含むことができる。さまざまな実施形態では、動物組織は、ブタ組織およびウシ組織の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、動物組織は、心膜組織を含んでもよい。さまざまな実施形態では、動物組織は、少なくとも約0.15重量パーセントの塩のカチオンを含むことができる。さまざまな実施形態では、動物組織は、少なくとも約0.3重量パーセントの塩のカチオンを含むことができる。さまざまな実施形態では、カチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの少なくとも1つを含むことができる。
【0071】
さまざまな実施形態では、心臓弁100は、スカートをさらに含むことができる。スカートは、動物組織を含むことができる。さまざまな実施形態では、動物組織は、15重量%から50重量%の水と、20重量%から70重量%のグリセロールとを含むことができる。いくつかの実施形態では、生理環境を真似るなどのために、等張含水グリセロールが使用され得る。
【0072】
動物組織は、さまざまな量のグリセロールを含むことができる。いくつかの実施形態では、グリセロールの量は、15wt.%、20wt.%、25wt.%、30wt.%、35wt.%、または40wt.%以上であることができる。いくつかの実施形態では、グリセロールの量は、60wt.%、56wt.%、52wt.%、48wt.%、44wt.%、または40wt.%未満であることができる。いくつかの実施形態では、グリセロールの量は、15wt.%から60wt.%、もしくは20wt.%から56wt.%、もしくは25wt.%から52wt.%、もしくは30wt.%から48wt.%、もしくは35wt.%から44wt.%の範囲内に入ることができるか、または約40wt.%であることができる。
【0073】
<組成物>
上記で論じられたように、弁尖および/またはスカートは、グリセロールを含む組成物内に接触または浸漬され得る。いくつかの実施形態では、組成物に弁尖および/またはスカートを接触させる工程は、弁尖上に組成物を噴霧または注入することを含むことができる。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、組成物内に複数回接触または浸漬され得る。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、組織の内側に均衡が得られるなど、組織および組成物が安定化するまで組成物と接触する。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、または少なくとも10時間の間、組成物と接触する。いくつかの実施形態では、弁尖および/またはスカートは、最大で36時間、最大で24時間、最大で22時間、最大で20時間、最大で18時間、最大で16時間、最大で14時間、最大で12時間、最大で11時間、最大で10時間、最大で9時間、最大で8時間、最大で7時間、最大で6時間、最大で5時間、最大で4時間、または最大で3時間の間、組成物と接触する。弁尖および/またはスカートは、上記でリストされた境界の任意の2つによって境界付けられた時間期間の間、組成物と接触できることを理解されたい。
【0074】
さまざまな実施形態では、組成物は、グリセロールと、エタノールおよび/または水などの溶媒との混合物を含むことができる。さまざまな実施形態では、組成物は、グリセロールと水とナトリウムとの混合物を含むことができる。さまざまな実施形態では、組成物は、グリセロールとエタノールとの混合物を含むことができる。さまざまな実施形態では、組成物は、グリセロールと水とエタノールとの混合物を含むことができる。さまざまな実施形態では、組成物は、グリセロールと、水と、エタノールと、ナトリウムとを含むことができる。
【0075】
さまざまな実施形態では、組成物中のグリセロールの量は、約30、40、50、60、70、80、90、95もしくは98重量パーセント、または前述の任意のもの間の範囲内に入る量であることができる。さまざまな実施形態では、組成物中の溶媒の量は、約10、20、30、40、50、60、もしくは70重量パーセント、または前述の任意のもの間の範囲内に入る量であることができる。
【0076】
さまざまな実施形態では、組成物中の(ナトリウム塩などの)塩の量は、約0、0.1、0.2、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、15、17、20、25、もしくは30重量パーセント、または前述の任意のもの間の範囲内に入る量であることができる。いくつかの実施形態では、組成物中の塩の量は、組成物が生理的オスモル濃度を有し、および/または血液と等張であることができるような十分なものであることができる。さまざまな実施形態では、組成物中のエタノールの量は、約0、1、3、5、10、20、30、40、もしくは50重量パーセント、または前述の任意のもの間の範囲内に入る量であることができる。
【0077】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その」は、内容が別段に明確に定めない限り、複数の参照対象を含むことに留意されたい。また、用語「または」は通常、内容が別段に明確に定めない限り、「および/または」を含むその意味で使用されることにも留意されたい。
【0078】
また、本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるとき、語句「構成される」は、特定のタスクを実行するか、もしくは特定の構成を採用するように構築または構成されるシステム、装置、または他の構造を説明することにも留意されたい。語句「構成される」は、配置および構成される、構築および配置される、構築される、製造および配置されるなどのように他の同様の語句と交換可能に使用され得る。
【0079】
本明細書内のすべての刊行物および特許出願は、本発明が関係する当業者の水準を表している。すべての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が参照によって詳細にかつ個々に示される場合と同程度に本明細書に援用される。
【0080】
本明細書において使用されるとき、端点による数字的範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数を含むものとする(たとえば2から8は、2.1、2.8、5.3、7などを含む)。
【0081】
本明細書において使用される見出しは、米国特許法施行規則(37CFR)第1.71条項下または組織的指示(cue)を提供する別の形の下の提案に矛盾がないように提供される。これらの見出しは、本開示から発行され得るいかなる請求項に記載される本発明も限定する、または特徴付けるとみなすものではない。例として見出しは、「技術分野」を示しているが、そのような請求項は、いわゆる技術分野を説明するためにこの見出しの下で選択された術語によって限定されてはならない。さらに、「背景技術」における技術の説明は、技術が本開示におけるいずれかの発明の先行技術であることを認めるものではない。「発明の概要」も、発行された特許請求の範囲に記載された本発明の特徴付けとして考慮されるものではない。
【0082】
本明細書において説明される実施形態は、包括的であるように、または以下の詳細な説明に開示される形どおりに本発明を限定するようには意図されない。そうではなく、実施形態は、当業者がその原理および実践を認識および理解できるように、選択され説明される。したがって、態様は、さまざまな詳細でかつ好ましい実施形態および技法を参照して説明されている。しかし、本明細書内の趣旨および範囲内にとどまりながら、多くの変形形態および改変形態が加えられてもよいことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】