(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】3Dプリンティング用途における使用のための高屈折率モノマーを含有する光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20221109BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221109BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20221109BHJP
B29C 64/129 20170101ALI20221109BHJP
B29C 64/135 20170101ALI20221109BHJP
【FI】
C08F290/06
B33Y10/00
B33Y70/10
B29C64/129
B29C64/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516133
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2020000754
(87)【国際公開番号】W WO2021048628
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・シュトルツ
(72)【発明者】
【氏名】ノエミ・フェイレ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J127
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB16
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4J127AA03
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4J127CB282
4J127CC021
4J127DA06
4J127DA46
4J127EA13
4J127FA06
(57)【要約】
開示しているのは、セラミック/金属3Dプリンティング用途のための高屈折率モノマーである。本明細書に開示している組成物は高屈折率を有し、そのため、セラミック又は金属粒子を堆積するために組成物において用いられた場合に、良好な解像度及びより少ない光散乱を有する。この開示されている組成物はまた、良好な熱分解及び反応性のために選択された低屈折性の架橋剤をも含み、3Dプリンティング時に良好な凝集をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリンティングに好適な組成物において使用するための光硬化性組成物であって、
a.少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物;
b.架橋剤;及び、
c.可塑剤、
を含む、光硬化性組成物。
【請求項2】
約1.47より大きな、特に約1.48より大きな、より特に約1.49より大きな、更により特に約1.50より大きな屈折率を有する、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー;
ii.式I:
【化1】
[式中、
Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のモノマー;
iii.式II:
【化2】
(式中、
Aは、H又はCH
3であり、かつ
Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のモノマー;
iv.少なくとも3つの環を有する非芳香族多環式部分を含む、少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマー;
並びにこれらの混合物
からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種であり;
特に、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-であり;
より特に以下の構造:
【化3】
(式中、zは、1~10、特に1~3、より特に1~2である)
を有する化合物である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、請求項3に規定の式Iの少なくとも1種のモノマー、特に式I(式中、zは、アクロリル又はメタクリロイルである)の少なくとも1種のモノマーである、請求項1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
式Iのモノマーが、1,3-ビス(2-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-メチルフェニルチオ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-メルカプトベンゾチアゾイル)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(ベンゾ[d]チアゾール-2-イルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ジ(10H-フェノチアジン-10-イル)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-(フェニルチオ)エチルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-フェノキシ-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-クロロフェノキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-ブロモフェノキシ)-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-3-(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、及び1-(2,4-ジブロモフェノキシ)-3-(2,4-ジブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレートなど(これらには、これらに対応するここでは命名されていないメタクリレート及びアクリレートが含まれ、またこれらの混合物が含まれる)からなる群から選択される、請求項5に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、請求項3に規定する式IIの少なくとも1種のモノマーであり、
特に、式II[式中、
Aは、H又はCH
3であり;
Qは、-Ar、-Alk-Ar、-Alk-O-Ar、-Alk-S-Ar、又は-(CR
aR
b-CR’
aR’
b-O)
n-Ar
(ここで、
Arは、任意選択により置換されていてもよいアリール、又は任意選択により置換されていてもよいヘテロアリールであり、特にArは、任意選択により置換されていてもよいフェニルであり、より特にArは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノニル、メトキシ、エトキシ、シクロヘキシル、Cl、Br、フェニル、ベンジル、クミル及びフェノキシから選択される1つ又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよいフェニルであり、
Alkは、OH又はアリールにより任意選択により置換されていてもよい直鎖状又は分枝状アルキレンであり、特にAlkは、直鎖状C
1~C
10アルキレン、より特に直鎖状C
1~C
6アルキレン、更により特にOH又はアリールにより任意選択により置換されていてもよいC
2~C
3アルキレンであり、
各R
a、R
b、R’
a及びR’
bは、独立に、H又はアルキル、特にHであり、
nは、2~100、特に2~10である)
である]
の少なくとも1種のモノマーである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
式IIのモノマーが、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPEA)、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート(ポリEGPEA)、メタクリル酸フェニル、2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、ヘキシルフェノキシメタクリレート、ヘキシルフェノキシアクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-フェニルエチル、メタクリル酸4-メチルフェニル、メタクリル酸4-メチルベンジル、2-(2-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、2-(フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、アクリル酸2-フェノキシエチル、2-(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、(2-フェノキシ-2-フェニル)エチル(メタ)アクリレート、(2-フェニル-2-フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2-,3-,及び4-ブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-,3-,及び4-ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、テトラブロモベンジル(メタ)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート、3-フェニル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オルト-ビフェニル(メタ)アクリレート、3-(2,4-ジブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(2-ヒドロキシ-3-フェノキシ)プロピル(メタ)アクリレートなど(これらには、これらに対応するここでは命名されていないメタクリレート及びアクリレートが含まれ、またこれらの混合物が含まれる)からなる群から選択される、請求項7に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、少なくとも3つの環を有する非芳香族多環式部分を含む少なくとも1種の(メタ)アクリレートであり、
特に、トリシクロデシル基、ジシクロペンタジエニル基、又はジシクロジヒドロペンタジエニル基から選択される非芳香族多環式部分を含む少なくとも1種の(メタ)アクリレートであり、
より特に式III:
【化4】
[式中、
Aは、H又はMeであり、
Lは、結合、C
1~C
3アルキレン、又は-(CR
cR
d-CR’
cR’
d-O)
m-であり、特に、Lは結合又は-CH
2-であり;
各R
c、R
d、R’
c、及びR’
dは、独立に、H又はアルキル、特にHであり;
mは、2~10であり;かつ
Q’は、下記式:
【化5】
(式中、記号:
【化6】
は、リンカーLへの結合点に対応する)
のうちの1つに相当する]
のモノマーである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーが、トリシクロデカンメタノールのモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールのモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルのモノ(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
特に式:
【化7】
(式中、Aは、H又はCH
3である)
のトリシクロデカンメタノールのモノ(メタ)アクリレートから選択される、
請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
架橋剤が、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、特に、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、ビニルエーテル、アリルエーテル、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも2つのエチレン性不飽和基、より特に、アクリレート及びメタクリレートから選択される少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
架橋剤が、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、2~6つの(メタ)アクリレート基を有する芳香族ウレタンオリゴマー、アルコキシル化(例えば、エトキシル化、プロポキシル化、好ましくはエトキシル化)されたそれらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され;
特に、架橋剤が、6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(例えば、ポリ(エチレングリコール)200ジメタクリレート)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、1,10-デカンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート)、芳香族ウレタンヘキサアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタントリアクリレートオリゴマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
可塑剤が、フタル酸ジアルキル、リン酸アルキル、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレンコポリマー、水素化された、ポリイソプレン、グリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
可塑剤が、ポリ(エチレングリコール)である、請求項1から13のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項15】
ポリ(エチレングリコール)が、200~800のM
w、特に600のM
wを有する、請求項14に記載の光硬化性組成物。
【請求項16】
その屈折率が、約1.47~約1.8、特に約1.48~約1.8、より特に約1.49~約1.8、更により特に約1.5~約1.8である、請求項1から15のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項17】
光硬化性組成物の総質量を基準にして約5質量%~約40質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項18】
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項19】
光硬化性組成物の総質量を基準にして約5質量%~約25質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約35質量%~約65質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項20】
光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約60質量%、特に約20質量%~約40質量%のポリ(エチレングリコール)を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項21】
3Dプリンティングに使用するための好適な光硬化性インク組成物であって、
請求項1から20のいずれか一項に記載の光硬化性組成物;
光開始剤;
足場粒子;及び、
分散剤、
を含む、光硬化性インク組成物。
【請求項22】
足場粒子が、金属粉末、セラミック粉末、グラファイト粉末、グラフェン粉末、ダイヤモンド粉末、炭化物粉末、ケイ化物粉末、窒化物粉末、酸化物粉末、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ジルコニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の光硬化性インク組成物。
【請求項23】
足場粒子が、金属及び対イオン物質を含むセラミック粉末であり、対イオン物質が、酸化物、ケイ化物、窒化物、オキシ窒化物、炭窒化物、ホウ窒化物、及び炭化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、かつ、金属が、Al、B、Bi、Ca、Ce、Cr、Cu、K、Fe、Ga、Ge、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Si、Sn、Sr、Ta、Ti、W、Y、及びZr、並びにこれらの混合物からなる元素の群から選択される、請求項21又は22に記載の光硬化性インク組成物。
【請求項24】
分散剤が、酸性基を有するコポリマーのアルキロールアンモニウム塩、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、ポリ(エチル)オキシ第四級アンモニウム塩、ポリアクリル分散剤、ポリビニルピロリドン分散剤、ポリオキシエチレングリコール分散剤、オキシアルキル化モノオールに基づくポリエーテル分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21から23のいずれか一項に記載の光硬化性インク組成物。
【請求項25】
光開始剤が、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン、ベンゾフェノン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21から24のいずれか一項に記載の光硬化性インク組成物。
【請求項26】
インク組成物の総質量を基準にして約20質量%~約50質量%の光硬化性組成物;
インク組成物の総質量を基準にして約0.01質量%~約5.0質量%の光開始剤;
インク組成物の総質量を基準にして約50質量%~約80質量%の足場粒子;及び、
インク組成物の総質量を基準にして約0.2質量%~約4.0質量%の分散剤、
を含む、請求項21から25のいずれか一項に記載の光硬化性インク組成物。
【請求項27】
無機構造物、特にセラミック構造物を製造する方法であって、
(i)請求項21から26のいずれか一項に記載の光硬化性インク組成物を得る工程;
(ii)光硬化性インク組成物の少なくとも一部を重合させ且つ3Dプリンティングして、好ましくは重合及び3Dプリンティングを同時にして、プレ無機ポリマー、特にプレセラミックポリマーを生成させる工程;及び、
(iii)プレ無機ポリマーの少なくとも一部、特にプレセラミックポリマーの少なくとも一部を熱処理して、無機構造物、特にセラミック構造物を作り出す工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高屈折率を有するモノマー、架橋剤、及び可塑剤を含む、光硬化性組成物を提供する。詳細には、光硬化性組成物は、3Dプリンティング用インクを製造するための更なる成分が添加される樹脂ベースを提供する。開示されているインクは、プリンティング中に優れた接着を示し、且つ優れた熱分解特性を有する。
【背景技術】
【0002】
有機樹脂及びフィラー(例えば、セラミック又は金属粒子)から作製される3次元(「3D」)プリンティング複合体は、ステレオリソグラフィー(SLA)及びデジタル光処理(DLP)プリンター等の複雑な製造用途において使用の増加が見られている。SLAとDLPとの両方では、非常に薄い固体層を形成し、それを積み重ねて一つの固体物を造るために、光反応性液体樹脂の浴を選択的に光に曝露させる。SLAプリンターは、検流計又はガルボスとして知られる2つのモーター(1つはX軸上、1つはY軸上)を使用して、プリント領域にわたって迅速にレーザービームの狙いを定め、進んで行くにつれて樹脂を固化する。このプロセスは、デザインを、1層また1層と、1組の座標の組としてガルボスに与えられる一連の点及び線に分解する。DLPプリンターは、プラットフォーム全体にわたって各層の単一のイメージを一度で発光させるのに、デジタルプロジェクタースクリーンを使用する。プロジェクターがデジタルスクリーンであることから、各層の画像は正方形ピクセルから構成されており、ボクセルとよばれる小さい矩形のれんが状のものから形成された層をもたらす。その用途に関わらず、SLAプリンターとDLPプリンターの両方とも、樹脂を重合させるために光を採用し、それによりフィラーが所望の位置にあることを確実にしている。
【0003】
樹脂を重合させるために光を使用することは、屈折及び減衰の正確な制御を必要とする。屈折率は、ある材料に入るときに、光の通路がどれだけ多く曲がるか又は屈折するかを決定する。減衰、又はいくつかの文脈では消衰は、ある媒体を通る光の磁束強度の緩やかな損失である。例として、サングラスが日光を減衰させるので、サングラス中に蓄えられている樹脂は重合しない。
【0004】
しかしながら、いくつかのフィラー、特にセラミック及び金属フィラーは、複合材料の広いスペクトルと比べたとき、独特の屈折特性を有する。詳細には、高屈折率を有するフィラーは、そのような材料に暴露された場合、光が曲がり、散乱することを引き起こす。結果として、SLA及びDLP生産技術は、セラミック及び金属フィラーを使用して物品を成形するのにそれほど有効ではない。例えば中空体又は非常に鋭いエッジの成長をこのような屈折性フィラーを用いて構築するのは難しい。
【0005】
配合物(結合剤)と粒子(フィラー)のあいだの高屈折率コントラストに起因して、強い散乱が通常経験される。この散乱は、光の強度を制限し、そのため、著しいプリンティングの制約(例えば、特定の光の暴露、低い解像度)、及び選択されたフィラー、例えばセラミック粉末に関する制約をもたらす。例えば、2.16より大きな屈折率を有するセラミック(すなわちジルコニア)は、プリンティングするのが不可能である又は極端に複雑であると考えられる。簡潔に言うと、高屈折率の金属及びセラミックフィラーは、UV光の制御不能な方向へ散乱することを引き起こし、樹脂/フィラーミックスの望ましくないセクションを重合させてしまい、かつ、フィラーをその望ましい位置から外へ潜在的に押す/引き出してしまう。結果として、最終製品が鋳造され又は焼結されたときに、得られた金属又はセラミック製品は、鋭いエッジ又は所望の中空体を欠く。
【0006】
米国特許第6,117,612号は、40体積%を上回る量で固体を含み、3000mPa・s未満の粘度である光硬化性セラミック樹脂が、ステレオリソグラフィー及び類似の技術による、未焼成セラミック部品の多層製作に適していることを開示している。従来のセラミック材料、焼結性金属、又はこれらの組み合わせでありうる未焼成セラミック部品は、焼成又は焼結の際に低い収縮を示し、かつ、高速プロトタイピング、生体適合性セラミック部品、インベストメント鋳造用セラミックコア、及び金属鋳造用セラミック型などの用途で使用されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,117,612号
【特許文献2】米国特許第7,271,283号
【特許文献3】米国特許第7,083,645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、単に結合剤の屈折率を高くしても課題は解決されず、なぜなら、最も高い屈折率のシステムは、劣った分解、高い粘度及び/又は毒性、及び/又は汚染の懸念を示すためである。結果として、当技術分野に、潜在的な散乱を制御するための高屈折率、実際に起こる散乱を弱めるための高減衰率、及び焼結後に後に残される灰又はすすの多さを低減するための高分解率を有する、3Dプリンティング(3D印刷)用途に好適な結合剤樹脂の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示しているのは、3次元プリンティング(3D印刷)に好適な組成物中での使用のための光硬化性組成物であって、a.少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物;b.架橋剤;及び、c.可塑剤、を含む、それらから本質的になる、又はそれらのみからなる、光硬化性組成物である。
【0010】
別の側面では、本明細書で開示しているのは、3次元プリンティングにおける使用に好適な光硬化性インク組成物であって、本発明による光硬化性組成物;光開始剤;足場粒子(scaffold particle、骨格あるいは骨組みを形成する粒子);及び、分散剤を、含む、それらから本質的になる、又はそれらのみからなる、光硬化性インク組成物である。
【0011】
なお別の側面では、無機構造物、特にセラミック構造物を作製する方法であって、(i)本発明による光硬化性インク組成物を得る工程;(ii)光硬化性インク組成物の少なくとも一部を(好ましくは同時に)重合し且つ3Dプリンティングして、プレ無機ポリマー、特にプレセラミックポリマーを生成する工程;及び、(iii)プレ無機ポリマーの少なくとも一部、特にプレセラミックポリマーの少なくとも一部を熱処理して、無機構造物、詳細にはセラミック構造物を生成する工程、を含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載されている実施形態は、以下の「発明を実施するための形態」、実施例及び図面を参照することによって、より迅速に理解されうる。しかしながら、本明細書で記載されている要素、機器、及び方法は、「発明を実施するための形態」、実施例及び図面に提示されている特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態が、単に本開示の原則を例示していることが認められるべきである。多数の変更及び調整が、当業者には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく直ちに明らかとなる。
【0013】
加えて、本明細書で開示されている全ての範囲は、その中に包含されている任意の及び全てのサブ範囲を包括すると理解されるべきである。例えば、述べられている範囲の「1.0~10.0」は、1.0以上の最小値で始まり10.0以下の最大値で終わる任意の及び全てのサブ範囲、例えば1.0~5.3、又は4.7~10.0、又は3.6~7.9を含むと考えられるべきである。
【0014】
本明細書で開示されている全ての範囲はまた、別段のことが明白に述べられていない限り、範囲の末端の点を含むと考えられるべきである。例えば、「5から10の間」又は「5から10」又は「5~10」の範囲は、末端の点5及び10を含むと一般に考えられるべきである。
【0015】
語句「最大」が、量(amount又quantity)との関連で使用されるとき、その量(amount)は、少なくとも検出可能な量(amount又quantity)であることが理解されるべきである。例えば、「最大」の特定された量で存在する材料は、検出可能な量から、最大の特定された量、及び特定された量を含む量で存在しうる。
【0016】
「範囲」は、本明細書では、「約」1つの特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までとして表されうる。このような範囲が表されるとき、別の側面は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、前に付く「約」の使用によって近似値として表されるとき、その特定の値が別の側面を形成することが理解される。範囲のそれぞれの末端の点が、他の末端の点との関連で、及び他の末端の点から独立して、の両方で重要であることが、更に理解される。
【0017】
本明細書において及び特許請求の範囲において使用されるとき、1つ又は複数の要素の列挙に関して、語句「少なくとも1つ」は、要素の列挙中の要素のうちの任意の1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも、要素の列挙内で具体的に列挙されているそれぞれの且つ全ての要素のうちの少なくとも1つを含むわけではなく、且つ要素の列挙中の要素の任意の組み合わせを排除するわけでもない。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が、関連していようと関連していまいと、具体的に特定されているそれらの要素を指す、要素の列挙内で具体的に特定されている要素以外に、要素が任意選択で存在しうることを可能にする。そのため、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同様に「A又はBのうちの少なくとも1つ」又は同様に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」は、一実施形態では、少なくとも1つのA、任意選択により1つより多いAを含み、Bは存在せず(且つ任意選択によりB以外の要素を含んでもよい)を指すことができ、また別の実施形態では、少なくとも1つのB、任意選択により1つより多いBを含み、Aは存在せず(且つ任意選択によりA以外の要素を含んでもよい)を指すことができ、更に別の実施形態では、少なくとも1つのA、任意選択により1つより多いAを含み、且つ少なくとも1つのB、任意選択により1つより多いBを含む(且つ任意選択により他の要素を含んでもよい)を指すことができる、などである。
【0018】
用語「3次元プリンティングシステム」、「3次元プリンター」、「プリンティング」などは、ステレオリソグラフィー、選択的堆積、噴射、融合堆積モデリング、マルチジェットモデリング、デジタル光処理、ゲル堆積、及び当技術分野で現在知られている、又は3次元物体を製作するための構成材料若しくはインクを使用する将来において知られることとなりうるその他の付加的な製造技術によって3次元物品又は物体を作製するための、様々な固体自由形式製造技術を一般に説明している。
【0019】
<組成物>
本明細書で開示されているのは、高屈折率を有する3Dプリンティング(3D印刷)組成物において使用するために好適な光硬化性樹脂組成物であって、それは(好ましくは同時に)プリント(印刷)され且つ硬化されたときに、それもまた高屈折率を有するプリントされた物体をもたらす。高屈折率モノマーは、他のモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーと組み合わされて、照射線硬化性組成物を形成してもよい。本明細書でまた提供されるのは、硬化性組成物をもたらすための、より高い粘度のオリゴマーとの組み合わせ、及び任意選択により場合によって他のモノマーとの組み合わせにおいて有用である、低粘度の高屈折率モノマーである。
【0020】
本明細書でまた提供されているのは、本明細書で開示している組成物を用いる、3D物体をプリンティング(印刷)する方法である。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート官能性とメタクリレート官能性の両方を包含している。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「高屈折率」は、約1.47以上、特に約1.48以上、より特に約1.49以上、更により特に約1.50以上の屈折率を意味する。屈折率に付いている用語「約」は、屈折率について示されている値のおよそ±2%の変動を意味する。
【0023】
用語「屈折率」は、本明細書では、自由空間における電磁放射線の速度の、材料中での放射線の速度に対する比であると理解される、材料(例えば、モノマー、光硬化性組成物、又はその重合された生成物)の絶対屈折率として定義され、その放射線は、約583.9ナノメートル(nm)の波長のナトリウム黄色光である。屈折率は、公知の方法を用いて測定することができ、一般にアッベ屈折計を使用して測定される。
【0024】
本明細書で意図する場合、「樹脂」は、重合されうる若しくは硬化されうる、更には重合されうる若しくは硬化されうる、又は架橋されうる組成物を意味する。樹脂は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、又はこれらの混合物を含みうる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「エチレン性不飽和」は、重合性の炭素-炭素二重結合を含むモノマーを意味する。重合性の炭素-炭素二重結合は、重合反応において別の炭素-炭素二重結合と反応することができる炭素-炭素二重結合である。重合性の炭素-炭素二重結合は、一般に、アクリロイル(-C(=O)-CH=CH2)、メタクリロイル(-C(=O)-C(CH3)=CH2)、ビニル(-CH=CH2)、又はアリル(-CH2-CH=CH2)の各基中に含まれる。フェニル環の炭素-炭素二重結合は、重合性の炭素-炭素二重結合とは考えられない。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「モノエチレン性不飽和」は、1つのみの重合性炭素-炭素二重結合を含むモノマーを意味する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「アリール」は、炭素環原子のみを有する芳香族環、又は1つより多い芳香族環を含む芳香族システムを意味する。1つより多い芳香族環が存在するとき、それらは、一緒に縮合されていてもよく、且つ/又は非芳香族環に縮合されていてもよく若しくは結合によって結合されていてもよい。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、及びフルオレニルが含まれる。アリールは、非置換であってもよく、又は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、チオアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシから独立に選ばれる0~5つの置換基で置換されていてもよい。
【0028】
本明細書で使用されるとき、2つの文字又は記号の間にあるのではないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すのに用いられる。例えば、(C1~C4アルキル)S-は、その硫黄原子を通じて結合される。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」は、飽和脂肪族炭化水素基の分枝鎖と直鎖との両方を含む。アルキルは、1~20個、特に1~12個、より特に1~6個の炭素原子を有しうる。「C1~C6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、3-メチルブチル、t-ブチル、n-ペンチル、及びsec-ペンチル、ヘキシルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
用語「アルキレン」は、二価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキレンは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。アルキレンは、1~20個、特に1~12個、より特定に1~6個の炭素原子を有しうる。「C1~C6アルキレン」は、1~6個の炭素原子を有するアルキレンを意味する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「アルコキシ」は、酸素架橋(-O-)を通じて結合されている、上に定義したアルキル基を示す。「C1~C6アルコキシ」は、1~6個の炭素原子を有するアルコキシを意味する。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ、及び3-メチルペントキシが含まれるがこれらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「アリールオキシ」は、酸素架橋(-O-)を通じて結合されている、上に定義したアリール基を示す。アリールオキシの例は、フェノキシである。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「ハロアルキル」は、1個又は複数のハロゲン原子で置換されている、一般には、許容できる最大数以下のハロゲン原子で置換されている、上に定義したアルキル基を示す。「C1~C6ハロアルキル」は、1~6個の炭素原子を有するハロアルキルを意味する。ハロアルキルの例には、トリブロモメチル、ジブロモメチル、2-ブロモエチル、及びペンタブロモエチルが含まれるがこれらに限定されない。
【0034】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋を通じて結合されている、上に定義したハロアルキル基を示す。「C1~C6ハロアルコキシ」は、1~6個の炭素原子を有するハロアルコキシを意味する。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「チオアルキル」は、チオエーテル架橋(-S-)を通じて結合されている、上で定義したアルキル基を示す。「C1~C6チオアルキル」は、1~6個の炭素原子を有するチオアルキルを意味する。
【0036】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書で使用されるとき、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」は、N、O、及びSから選ばれる、1~3個、又は好ましくは1~2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である安定な芳香族環、又はN、O、及びSから選ばれる、1~3個、又は好ましくは1~2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、少なくとも1つの5~7員芳香族環を含有する安定な二環式又は三環式システムを示す。ヘテロアリール基中のS原子とO原子との総数が1を超えるとき、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。ヘテロアリール基の例には、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジアゾリル、カルバゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、N-フェノチアジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、及びトリアゾリルが含まれるがこれらに限定されない。
【0038】
用語「アルキルアリール」は、アリール基で置換されているアルキルを意味する。アルキルアリール基の例は、ベンジル(-CH2-フェニル)及びクミル(-C(CH3)2-フェニル)である。
【0039】
3次元プリンティング(3D印刷)に好適な組成物中での使用のための、本明細書で開示されている光硬化性組成物は、a.少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物;b.架橋剤;及び、c.可塑剤、を含む、それらから本質的になる、又はそれらのみからなる。
【0040】
一実施形態では、光硬化性組成物は、約1.47より大きい、特に約1.48より大きい、より特に約1.49より大きい、更により特に約1.50より大きい屈折率を有する。
【0041】
3次元プリンティングに好適な組成物中での使用のために本明細書で開示されている光硬化性組成物は、a.少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物であって、その少なくとも1種のモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
ii.式I:
【化1】
[式中、Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のモノマー、
iii.式II:
【化2】
(式中、Aは、H又はCH
3であり、Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む部分である)
の少なくとも1種のモノマー、及び
iv.少なくとも3つの環を有する非芳香族多環式部分を含む少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマー
からなる群から選択されるモノマー組成物;b.架橋剤;及び、c.可塑剤、を含んでもよく、これらから本質的になってもよく、又はこれらのみからなってもよく、
ここでこの光硬化性組成物は、約1.47より大きな、特に約1.48より大きな、より特に約1.49より大きな、更により特に約1.50より大きな屈折率を有する。
【0042】
本明細書で開示されているモノマー組成物は、高い屈折率を有し、したがって、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有する、少なくとも1種のモノマーを含む。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、モノエチレン性不飽和モノマーである。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、任意選択で置換されていてもよいアリール、任意選択で置換されていてもよいヘテロアリール、非芳香族多環式部分、硫黄原子、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの部分を含む。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0046】
特に、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-であり、且つ以下の構造:
【化3】
(式中、zは、1~10、特に1~3、より特に1~2である)
を有しうる。
【0047】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、式I:
【化4】
[式中、Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のモノマーである。
【0048】
Zは、エチレン性不飽和基、例えば、アクリロイル、メタクリロイル、ビニル、アリルなどであり、より特にアクリロイル及びメタクリロイルである。
【0049】
L1及びL2基は、それぞれ独立に、C1~C3アルキレン、より特にC1~C2アルキレン、なおもより特にC1アルキレンでありうる。さらに、L1及びL2基は、それぞれ独立に、-(C1~C3アルキレン)-S-(C1~C3アルキレン)-、又は-(C1~C3アルキレン)-O-(C1~C3アルキレン)-;より特に-(C1アルキレン)-S-(C2アルキレン)-、-(C2アルキレン)-S-(C1アルキレン)-、-(C1アルキレン)-O-(C2アルキレン)、-又は-(C2アルキレン)-O-(C1アルキレン)-などであることができる。
【0050】
R基は、水素又はC1~C6アルキル、より特に水素又はC1~C3アルキル、なおもより特に水素であることができる。
【0051】
X基は、O、S、又はNH、より特にO又はS、なおもより特にOであることができる。
【0052】
R1及びR2のための好適なアリール基には、例えば、フェニル及びナフチル基が含まれ、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、(C1~C4アルキル)S-、C1~C4ハロアルキル、及びC1~C4ハロアルコキシから独立に選ばれる0~5つの置換基で置換されている。代表的なR1及びR2基には、フェニル、3-ブロモフェニル、4-ブロモフェニル、2,4,6-トリブロモフェニル、ナフチル、本明細書に記載されているヘテロアリール基、特に、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、N-フェノチアジニルなどが含まれる。
【0053】
Y1及びY2基は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はN、より特にO又はS、なおもより特定にSであることができる。任意選択により、Y1及びY2が両方ともSであるとき、R1及びR2のうちの少なくとも一方は、先に記載したように置換されているヘテロアリール又はヘテロアリール(C1~C6アルキレン)であることができる。一実施形態では、Y1及びY2が両方ともSであるとき、L1とL2とのうちの一方又は両方が、-(C1~C3アルキレン)-S-(C1~C3アルキレン)-、又は-(C1~C3アルキレン)-O-(C1~C3アルキレン)-であることができる。
【0054】
Y1又はY2がNである場合、それぞれの対応する組み合わせR1-Y1又はR1-Y2は、独立に、N含有ヘテロアリールである。組み合わせR1-Y1又はR2-Y2がN含有ヘテロアリールである場合の式(I)のモノマーについて、そのヘテロアリールの窒素は、L1又はL2基それぞれに共有結合されている。好適なN含有ヘテロアリールには、例えば、N-10H-フェノチアジニル、N-1H-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾリル、N-9,10-ジヒドロアクリジニルなどが含まれる。
【0055】
式Iの高屈折率モノマーの具体例には、1,3-ビス(2-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-メチルフェニルチオ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-メルカプトベンゾチアゾイル)-2-プロピルアクリレート又は1,3-ビス(ベンゾ[d]チアゾール-2-イルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ジ(10H-フェノチアジン-10-イル)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-(フェニルチオ)エチルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-フェノキシ-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-クロロフェノキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-ブロモフェノキシ)-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-3-(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(2,4-ジブロモフェノキシ)-3-(2,4-ジブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレートなどが含まれ、これには対応する、名称を記載していないメタクリレート及びアクリレートも含まれ、これらの混合物も含まれる。
【0056】
式Iの高屈折率モノマーは、米国特許第7,271,283号明細書に開示されている方法に従って合成することができ、この米国特許明細書を参照により本明細書に援用する。
【0057】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、式II:
【化5】
(式中、Aは、H又はCH
3であり、Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である。芳香族環又は芳香族複素環の任意選択による置換基は、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロゲン、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、及びヘテロアリールのうちの1種又は複数から選択されうる)
の少なくとも1種のモノマーである。
【0058】
一実施形態では、Qは、-Ar、-Alk-Ar、-Alk-O-Ar、-Alk-S-Ar、又は-(CRaRb-CR’aR’b-O)n-Arに相当することができ、
ここで、
Arは、任意選択により置換されていてもよいアリール、又は任意選択により置換されていてもよいヘテロアリールであり、特にArは、任意選択により置換されていてもよいフェニルであり、より特にArは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノニル、メトキシ、エトキシ、シクロヘキシル、Cl、Br、フェニル、ベンジル、クミル、及びフェノキシから選択される1つ又は複数の置換基で任意選択により置換されていてもよいフェニルであり;
Alkは、OH又はアリールによって任意選択により置換されていてもよい直鎖状又は分枝状アルキレンであり、特にAlkは、直鎖状C1~C10アルキレン、より特に直鎖状C1~C6アルキレン、更により特にOH又はアリールによって任意選択により置換されていてもよいC2~C3アルキレンであり;
各Ra、Rb、R’a、及びR’bは、独立に、H又はアルキル、特にHであり;
nは、2~100、特に2~10である。
【0059】
Qのための代表的な置換基には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:エチレングリコールフェニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル、フェニル、2-エチルフェノキシ、ヘキシルフェノキシ、ベンジル、2-フェニルエチル、4-メチルフェニル、4-メチルベンジル、2-(2-メチルフェニル)エチル、2-(3-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチル、2-(4-プロピルフェニル)エチル、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル、2-(4-メトキシフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(2-クロロフェニル)エチル、2-(3-クロロフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(4-ブロモフェニル)エチル、2-(3-フェニルフェニル)エチル、2-(4-フェニルフェニル)エチル、2-(4-ベンジルフェニル)エチルなど。
【0060】
式IIによって表される好適なアリール(メタ)アクリレートモノマーには、例えば、以下のものが含まれる:エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPEA)、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート(ポリEGPEA)、メタクリル酸フェニル、2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、ヘキシルフェノキシメタクリレート、ヘキシルフェノキシアクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-フェニルエチル、メタクリル酸4-メチルフェニル、メタクリル酸4-メチルベンジル、2-(2-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、2-(フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、(2-フェノキシ-2-フェニル)エチル(メタ)アクリレート、(2-フェニル-2-フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、2-,3-,及び4-ブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-,3-,及び4-ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、テトラブロモベンジル(メタ)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート、3-フェニル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オルト-ビフェニル(メタ)アクリレート、3-(2,4-ジブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(2-ヒドロキシ-3-フェノキシ)プロピル(メタ)アクリレートなど。これには、対応する名称を記載していないメタクリレート及びアクリレートが含まれ、また、これらの混合物が含まれる。
【0061】
式IIの高屈折率モノマーは、米国特許第7,083,645号明細書に開示されている方法に従って合成することができ、この米国特許明細書を参照により本願に援用する。
【0062】
一実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、少なくとも3つの環を有する非芳香族多環式部分を含む少なくとも1種の(メタ)アクリレートである。
【0063】
特に、非芳香族多環式部分は、縮合されている又は融合されている少なくとも3つの環を含んでいてもよく、特に、非芳香族多環式部分は、トリシクロデシル基、ジシクロペンタジエニル基、又はジシクロヒヒドロペンタジエニル基から選択することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、式IIIに相当する:
【化6】
[式中、
Aは、H又はMeであり、
Lは、結合、C
1~C
3アルキレン、又は-(CR
cR
d-CR’cR’
d-O)
m-であり、特に、Lは、結合又は-CH
2-であり;
各R
c、R
d、R’
c、及びR’
dは、独立に、H又はアルキル、特にHであり;
mは、2~10であり;かつ
Q’は、下記式のうちの1つに相当する:
【化7】
(式中、記号:
【化8】
は、リンカーLへの結合点に相当する)。
【0065】
いくつかの実施形態では、少なくとも1.49、特に少なくとも1.5の屈折率を有するモノマーは、トリシクロデカンメタノールのモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールのモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルのモノ(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
特に、式IIIによるモノマーは、式:
【化9】
(式中、Aは、H又はCH
3である)
のトリシクロデカンメタノールのモノ(メタ)アクリレートであってよい。
【0067】
モノマー組成物は、追加の(メタ)アクリレートモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート、ビシクロフェノキシエチルアクリレートなど、及びこれらの混合物を更に含んでもよい。
【0068】
ある特定の実施形態では、高屈折率モノマーは、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルカルバゾール、2-フェニルフェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0069】
一実施形態では、高屈折率モノマーは、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ)プロピル(メタ)アクリレートである。
【0070】
モノマー組成物は、典型的には、本明細書で開示されている光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約5質量%~約40質量%、特に約20質量%~約40質量%の範囲の量で存在する。ある特定の実施形態では、モノマー組成物は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約37.5質量%、約20質量%~約35質量%、約20質量%~約32.5質量%、約20質量%~約30質量%、約20質量%~約27.5質量%、約20質量%~約25質量%、約20質量%~約22.5質量%、約22.5質量%~約40質量%、約22.5質量%~約37.5質量%、約22.5質量%~約35質量%、約22.5質量%~約32.5質量%、約22.5質量%~約30質量%、約22.5質量%~約27.5質量%、約22.5質量%~約25質量%、約25質量%~約40質量%、約25質量%~約37.5質量%、約25質量%~約35質量%、約25質量%~約32.5質量%、約25質量%~約30質量%、約25質量%~約27.5質量%、約27.5質量%~約40質量%、約27.5質量%~約37.5質量%、約27.5質量%~約35質量%、約27.5質量%~約32.5質量%、約27.5質量%~約30質量%、約30質量%~約40質量%、約30質量%~約37.5質量%、約30質量%~約35質量%、約30質量%~約32.5質量%、約32.5質量%~約40質量%、約32.5質量%~約37.5質量%、約32.5質量%~約35質量%、約35質量%~約40質量%、約35質量%~約37.5質量%、及び約37.5質量%~約40質量%の量を範囲である。ある特定の実施形態では、モノマー組成物は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約5質量%~約25質量%、約7質量%~約22質量%、約10質量%~約20質量%、約12質量%~約15質量%の量を範囲である。
【0071】
高屈折率モノマーは、典型的には、本明細書で開示されている光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約5質量%~約40質量%、特に約20質量%~約40質量%の範囲の量で存在する。ある特定の実施形態では、高屈折率モノマーは、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約37.5質量%、約20質量%~約35質量%、約20質量%~約32.5質量%、約20質量%~約30質量%、約20質量%~約27.5質量%、約20質量%~約25質量%、約20質量%~約22.5質量%、約22.5質量%~約40質量%、約22.5質量%~約37.5質量%、約22.5質量%~約35質量%、約22.5質量%~約32.5質量%、約22.5質量%~約30質量%、約22.5質量%~約27.5質量%、約22.5質量%~約25質量%、約25質量%~約40質量%、約25質量%~約37.5質量%、約25質量%~約35質量%、約25質量%~約32.5質量%、約25質量%~約30質量%、約25質量%~約27.5質量%、約27.5質量%~約40質量%、約27.5質量%~約37.5質量%、約27.5質量%~約35質量%、約27.5質量%~約32.5質量%、約27.5質量%~約30質量%、約30質量%~約40質量%、約30質量%~約37.5質量%、約30質量%~約35質量%、約30質量%~約32.5質量%、約32.5質量%~約40質量%、約32.5質量%~約37.5質量%、約32.5質量%~約35質量%、約35質量%~約40質量%、約35質量%~約37.5質量%、及び約37.5質量%~約40質量%の量の範囲である。ある特定の実施形態では、高屈折率モノマーは、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約5質量%~約25質量%、約7質量%~約22質量%、約10質量%~約20質量%、約12質量%~約15質量%の量の範囲である。
【0072】
本明細書で開示されている光硬化性組成物は、架橋性化合物を含み、これは、本明細書では「架橋剤(cross-linker又はcross-linking agent)」とも称する。架橋剤は、重合をによってモノマーと反応してモノマーを硬化するように機能する。「架橋」は、1つのポリマー鎖を別のポリマー鎖と連結させる結合である。架橋結合は、共有結合又はイオン結合でありうる。ポリマー鎖が架橋によって一緒に結合されているとき、それらは、個々のポリマー鎖として動くそれらの能力のうちのいくらかを失う。架橋は、熱硬化性プラスチック材料の特徴的な性質である。ほとんどの場合、架橋は非可逆的である。
【0073】
架橋剤の例には、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、シリコーン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、アジリジン架橋剤、シラン架橋剤、アルキルエーテル化メラミン架橋剤、過酸化物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ポリブタジエンジメタクリレート、ポリブタジエンジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,2-ビス(ビニルフェニル)エタン、ビニルベンジルエーテル化合物、ビニルエーテル化合物、アリルエーテル化合物、ビニルフェニルモノマー、ビニルモノマー、アリルモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、及び分子1つ当たり2つ以上の炭素-炭素結合を形成する基を含有する類似の化合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0074】
一実施形態では、架橋剤は、モノマー組成物のモノマーと反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物であることができる。一実施形態では、架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、特に、アクリレート、メタクリレート、アリル、ビニル、ビニルエーテル、アリルエーテル、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも2つのエチレン性不飽和基、より特に、アクリレート及びメタクリレートから選択される少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する。
【0075】
一実施形態では、架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、それらのアルコキシル化(例えば、エトキシル化、プロポキシル化、好ましくはエトキシル化)誘導体、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0076】
架橋剤は、2~6つの(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー、特に、2~6つの(メタ)アクリレート基を有する芳香族オリゴマー、より特に2~6つの(メタ)アクリレート基を有する芳香族ウレタンオリゴマーでありうる。
【0077】
具体的な架橋剤には、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(例えば、ポリ(エチレングリコール)200ジメタクリレート)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、1,10-デカンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート)、芳香族ウレタンヘキサアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー、及び芳香族ウレタントリアクリレートオリゴマーが含まれる。このような架橋剤は、単独で使用してもよく又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0078】
架橋剤は、典型的には、光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約65質量%、特に約20質量%~約40質量%の範囲の量で存在する。ある特定の実施形態では、架橋剤は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約37.5質量%、約20質量%~約35質量%、約20質量%~約32.5質量%、約20質量%~約30質量%、約20質量%~約27.5質量%、約20質量%~約25質量%、約20質量%~約22.5質量%、約22.5質量%~約40質量%、約22.5質量%~約37.5質量%、約22.5質量%~約35質量%、約22.5質量%~約32.5質量%、約22.5質量%~約30質量%、約22.5質量%~約27.5質量%、約22.5質量%~約25質量%、約25質量%~約40質量%、約25質量%~約37.5質量%、約25質量%~約35質量%、約25質量%~約32.5質量%、約25質量%~約30質量%、約25質量%~約27.5質量%、約27.5質量%~約40質量%、約27.5質量%~約37.5質量%、約27.5質量%~約35質量%、約27.5質量%~約32.5質量%、約27.5質量%~約30質量%、約30質量%~約40質量%、約30質量%~約37.5質量%、約30質量%~約35質量%、約30質量%~約32.5質量%、約32.5質量%~約40質量%、約32.5質量%~約37.5質量%、約32.5質量%~約35質量%、約35質量%~約40質量%、約35質量%~約37.5質量%、及び約37.5質量%~約40質量%の量の範囲である。他の実施形態では、架橋剤は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約35質量%~約65質量%、約40質量%~約65質量%、約45質量%~約65質量%、約45質量%~約60質量%の量の範囲である。
【0079】
本明細書で開示されている光硬化性組成物は、可塑剤を含む。可塑剤は、組成物の安定性を長期的に改善するように、且つ後硬化の加熱時に焼けが発生することを改善するように、且つクラックの発生を制限するように、機能する。好ましくは、可塑剤はUVで非反応性である。
【0080】
好適な可塑剤には、フタル酸ジアルキル、リン酸アルキル、グリコール(例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール)、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレンコポリマー、水素化された、ポリイソプレン,ナフタレン、デキストリン、フタレート(例えばジブチルフタレート)、炭酸ポリプロピレン、トリオレイン酸グリセロール、ビニルエーテル(例えばトリエチレングリコールジビニルエーテル)、Mn200~2000の直鎖状ポリ(脂肪族炭化水素)、脂肪族炭化水素、メタ(アクリレート)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。他の有用な可塑剤として、グリセロールが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、可塑剤は、ポリ(エチレングリコール)である。さまざまな分子量グレードのポリ(エチレングリコール)を使用してもよく、それには、PEG200、PEG400、PEG800、及びPEG1000が含まれる。好ましくは、ポリ(エチレングリコール)は、400~600g/molの分子量(Mw)を有し、600g/molが好ましい。
【0082】
可塑剤は、光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約10質量%~約65質量%、特に約20質量%~約65質量%の量で存在する。ある特定の実施形態では、可塑剤は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約65質量%、約30質量%~約60質量%、約40質量%~約60質量%、約45質量%~約60質量%、約50質量%~約60質量%、約55質量%~約60質量%、約58質量%~約60質量%及び約60質量%の量を範囲とする。他の実施形態では、可塑剤は、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約60質量%、約20質量%~約50質量%、約20質量%~約45質量%、約20質量%~約40質量%、約20質量%~約35質量%、約20質量%~約30質量%、約20質量%~約25質量%及び約25質量%の量の範囲である。
【0083】
一実施形態では、可塑剤はPEG600であり、PEG600は、光硬化性組成物中に、光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約60質量%、特に約20質量%~約40質量%で存在する。
【0084】
光硬化性組成物は、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約5質量%~約40質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含んでもよい。
【0085】
a)、b)、及びc)の合計量は、光硬化性組成物の質量の、少なくとも95%、特に100%を占めてもよい。
【0086】
一実施形態では、光硬化性組成物は、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含んでもよい。
【0087】
別の実施形態では、光硬化性組成物は、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約5質量%~約25質量%のモノマー組成物a);
光硬化性組成物の総質量を基準にして約35質量%~約65質量%の架橋剤b);及び、
光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤c)、
を含んでもよい。
【0088】
ある特定の実施形態では、光硬化性組成物の屈折率は、最大約1.8、最大約1.7、最大約1.6、最大約1.55である。他の実施形態では、光硬化性組成物の屈折率は、約1.54~約1.8、約1.54~約1.75、約1.54~約1.7、約1.54~約1.65、約1.54~約1.6、約1.6~約1.8、約1.6~約1.75、約1.6~約1.7、及び約1.6~約1.65である。他の実施形態では、光硬化性組成物の屈折率は、約1.47~約1.8、約1.47~約1.75、約1.47~約1.7、約1.47~約1.65、約1.47~約1.6、約1.48~約1.8、約1.48~約1.75、約1.48~約1.7、又は約1.48~約1.65である。
【0089】
本明細書で開示されている光硬化性組成物は、好ましくは、25℃にて約1~約1500cpsの範囲、より好ましくは、25℃にて約10~約100cpsの範囲にある粘度を有する。
【0090】
本明細書で開示されている光硬化性組成物は、酸化雰囲気(例えば空気)及び還元雰囲気(例えば窒素)の両方において、良好な分解プロファイルをもたらす。
【0091】
追加の成分が、上に開示された光硬化性組成物に添加されてもよく、これは、3Dプリンターにおける使用に好適なインク組成物を生成するための結合樹脂を提供し、そのため、別の実施形態では、3Dプリンターにおいて利用されるときに、物体を生成するために好適なインク組成物がもたらされる。
【0092】
本発明のインク組成物は、
- 上に記載した本発明の光硬化性組成物;
- 光開始剤;
- 足場粒子(scaffold particles);及び、
- 分散剤
を含む。
【0093】
インク組成物は、インク組成物の質量を基準にして、約20~約50質量%の光硬化性組成物を含みうる。詳細には、光硬化性組成物の量は、インク組成物の質量を基準にして、約20~約40質量%、約20~約35質量%、約25~約35質量%である。
【0094】
本明細書で開示されているインク組成物は、足場粒子を含む。
【0095】
用語「足場粒子」(scaffold particles)は、例えば熱分解、焼結、アニーリング、又は焼成等の熱処理によって、高い熱安定性及び機械強度を有する3次元構造物へと形成されることが可能な粒子状材料を意味する。
【0096】
「足場粒子」は、金属粉末、セラミック粉末、グラファイト粉末、グラフェン粉末、ダイヤモンド粉末、炭化物粉末、ケイ化物粉末、窒化物粉末、酸化物粉末、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ジルコニア、非セラミック粉末、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0097】
足場粒子はまた「粉末」ともよばれ、3Dプリンターの適正な機能付けにきわめて重要である多くの性能特性を有しうる。それらの性能特性は以下のものである:(1)噴射流体と混合されたときに固体マトリックスへと結合する能力;(2)噴射流体をプリンターによって直接処理される領域に限局して、噴射流体がそれらの領域から外に移行するのを排除する多孔質構造;(3)流延プロセス中に流れて、プリンティング中に噴射流体を受け取るための均一なフラットな上面を形成する能力;(4)例えば散布機構が、堅い(「プリンティングされた」)材料と緩い(「プリンティングされていない」)材料との間の界面上を通過するときの、様々に変わりうる硬度を有する領域を散布装置(スプレッダ)が横切る際の流れの均一性;並びに(5)構築操作の全ての中間段階を通して、プリンティングされた材料に機械的支持をもたらす能力。
【0098】
足場粒子は、例えばAl、Cu、Fe及びMg等の純粋な金属からなる金属粒子であってもよい。
【0099】
好ましい足場粒子は、金属及び対イオン材料を含むセラミック粉末であり、その対イオン材料は、酸化物、ケイ化物、窒化物、オキシ窒化物、炭窒化物、ホウ窒化物、及び炭化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、金属は、Al、B、Bi、Ca、Ce、Cr、Cu、K、Fe、Ga、Ge、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Si、Sn、Sr、Ta、Ti、W、Y、及びZr、並びにこれらの混合物からなる元素の群から選択される。酸化アルミニウム、酸化ケイ素、又はこれらの酸化物の混合オキシドが、粉末として使用されることが特に好ましい。これらのセラミック材料は、3Dプリンティングにおける使用に特に好適であることが証明された。利用される粉末は、好ましくは、0.1~500μmの範囲内、特に1~100μmの範囲内にある粒度を有する。これにより、物品中の過度に高い表面粗さが回避される。
【0100】
本発明の組成物は、例えばジルコニア(RI=2.16以上)などの高屈折率を有するセラミックとともに使用するのに好適でである。
【0101】
セラミック粉末は、好ましくは、インク組成物の約10~約80質量%、より好ましくはインク組成物の約30~約80質量%の量で使用される。典型的には、粉末/粒子の量は、他の成分が添加された後に全体を100質量%にする、残りの量である。
【0102】
一実施形態では、インク組成物は、インク組成物の質量を基準にして、約50~約80質量%、約55~約80質量%、約55~約75質量%、約60~約75質量%、約65~約75質量%の足場粒子を含む。
【0103】
本明細書で開示されているインク組成物は、分散剤を含む。分散剤は、粒子を懸濁させて、沈降又は凝集を防止するように機能する。
【0104】
ある特定の実施形態では、分散剤は、主鎖としてポリエチレンイミン骨格、かつ、側鎖として平均して15のポリプロピレングリコール単位を有していてよく、且つ4つの側鎖中に平均して2つのエチレングリコール単位を有しうる。このような構造は、主鎖とセラミックフィラー粒子との間に優れた相容性を付与することができ、且つ使用されるモノマーと可塑剤との良好な相容性を付与しうる。更に、そのような分散剤は、粒子の優れた分散性及び安定性をもたらしうる。加えて、上記の分散剤は、低温での燃焼中にそのポリエーテル骨格へと分解されやすく、有機物質は残留しにくく、その結果、そのセラミックの焼結後に、満足のいく性質が得られる。
【0105】
任意の好適な分散剤を、それがセラミック又は金属の粉末を懸濁させるのに有効である限り、使用することができる。これらには、例えば以下の分散剤が包含される。
【0106】
酸性基を有するコポリマーのアルキルオールアンモニウム塩が、例えばByk Chemie GmbH社により商品名Disperbyk154、Disperbyk180又はDisperbyk190thで提供されている;
【0107】
ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、光反応性材料、例えば、ポリカルボン酸(Cations and Flowlen(G-700));
【0108】
リン酸エステル;
【0109】
マクロポリ分散剤及びポリ(エチル)オキシ第四級アンモニウム塩;
【0110】
好適な分散剤の非限定的な例には、ポリアクリル分散剤、ポリビニルピロリドン分散剤、ポリオキシエチレングリコール分散剤、及びオキシアルキル化モノールをベースとするポリエーテル分散剤、例えば、ノニルフェノールオキシエチレート、が挙げられる。R.T.Vanderbilt社から入手可能なDARVAN(登録商標)821A、及びI.S.P.Technologies社から入手可能なPVP K-15が、水性セラミック分散物に添加されうるポリビニルピロリドン分散剤の例であり、それぞれ60質量%及び40質量%溶液の形態である。ジアクリレート分散物に対しては、Union Carbide Corporation社から入手可能なTRITON(登録商標)X-100、エトキシル化ノニルフェノールが、満足できるものであることが見出されている。ポリアクリル酸塩及びポリメタクリル酸塩もまた水性システムに好適である。DARVAN(登録商標)Cは、好適であるアンモニウムポリアクリレート塩の例である;
【0111】
リン酸エステルもまた、本出願のための良好な分散剤であり(CECA社製のBeycostat C213);
【0112】
アミン分散剤、例えば、ICI Americas社により販売されているHYPERMER KD-2、又は脂肪酸誘導体、例えば、Henkel社により販売されているTEXAPHOR 963;
【0113】
ポリメタクリル酸分散剤;
【0114】
ポリアリルアミン分散剤;
【0115】
Solsperse 39000(主鎖:ポリエチレンイミン骨格、側鎖:3つの側鎖中に、平均して6つのバレロラクトン単位、及び平均して6つのカプロラクトン単位を有し、Lubrizol Corporation社により製造されている);
【0116】
Solsperse 71000(主鎖:ポリエチレンイミン骨格、側鎖:4つの側鎖中に、平均して15のポリプロピレングリコール単位及び平均して2つのエチレングリコール単位を有し、Lubrizol Corporation社により製造されている);
【0117】
Mariarim AAB-0851(主鎖:無水マレイン酸骨格、側鎖:ポリエーテル骨格、NOF CORPORATION社により製造);
【0118】
Solsperse 41000(主鎖:ポリエーテル骨格、Lubrizol Corporation社により製造)、
【0119】
Ajisper PB-821(主鎖:ポリアクリルアミン骨格、側鎖:ポリエステル骨格、側鎖数:3つの鎖、平均して16個のカプロラクトン誘導体単位を有する、味の素株式会社により製造されている)、
【0120】
Mariarim AAB-0851(主鎖:無水マレイン酸骨格;側鎖:ポリエーテル骨格(プロピレングリコール単位)、NOF CORPORATION社により製造);
【0121】
EFKA 4010(主鎖:トリレンジイソシアネート骨格、側鎖:3つの側鎖中に2つのポリエチレングリコール単位、及び1つの側鎖中に3つのカプロラクトン単位を有するポリエーテル骨格、Efka Chemicals B.V.社により製造);
【0122】
Solsperse 8200(主鎖:側鎖中にポリプロピレングリコール単位を含有するポリアミド骨格、塩基性官能基を含む櫛型構造、Lubrizol Corporation社により製造);
【0123】
Disperbyk-9076(主鎖:側鎖中にポリエーテル単位を含有するポリアミン骨格、塩基性官能基を含有する高分枝状構造、BYK Chemie A.G.社により製造);
【0124】
Disperbyk-145(主鎖:側鎖中にポリエーテル単位を含有するポリアミン骨格、塩基性官能基を含有する高分枝状構造、BYK Chemie A.G.社により製造);
【0125】
BCA(酢酸ブチルカルビトール);
【0126】
Solsperse 16000(主鎖:ポリエチレンイミン骨格、側鎖:12-ヒドロキシステアリン酸エステル、Lubrizol Corporation社により製造);
【0127】
オレイルアミン;
【0128】
Colorburst 2176(無水コハク酸、Lubrizol Corporation社により製造);並びに
【0129】
Disperbyk-116(アクリル酸ブチル及びメタクリル酸ブチルを含むアクリル分散剤、BYK Chemie A.G社により製造)。
【0130】
立体安定化又は電気立体安定化機構を有する分散剤が好ましい。
【0131】
本発明の実施形態に適用可能な無機分散剤には、酸化アルミニウム(商品名:SpectrAL(登録商標)51、SpectrAL(登録商標)81、SpectrAL(登録商標)100、全てCabot Corporation社により製造);酸化アルミニウム(商品名:AEROXIDE(登録商標)AlUC130、AEROXIDE(登録商標)AluC、AEROXIDE(登録商標)Aluc 805、全てEvonick Degussa Company社により製造);二酸化ケイ素(商品名:HDK(登録商標)V15、HDK(登録商標)N20、HDK(登録商標)C10、A200、全てCabot Corporation社により製造);二酸化ケイ素(商品名:TS-100、A-200、OK500、OK607、全てCabot Corporation社により製造)が包含される。
【0132】
本発明の実施形態に適用可能なポリマー分散剤には、BYK163、BYK180、BYK2009、BYK2155(ドイツのBYK Chemical Company社により製造);Solsperse 24000、Solsperse 32000、Solsperse 36000、Solsperse 39000、Solsperse 71000(米国のLubrizol Chemical Company社により製造);Dispers 610、Dispers 630、Dispers 650、Dispers 655(ドイツのEvonick Degussa社により製造)が包含されるがこれらに限定されない。
【0133】
ある特定の実施形態では、分散剤は、酸性基を有するコポリマーのアルキルオールアンモニウム塩、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、ポリ(エチル)オキシ第四級アンモニウム塩、ポリアクリル分散剤、ポリビニルピロリドン分散剤、ポリオキシエチレングリコール分散剤、及びオキシアルキル化モノールに基づくポリエーテル分散剤からなる群から選択される。
【0134】
分散剤は、好ましくは、インク組成物の質量を基準にして、約0.2~約4.0質量%の量で使用される。詳細には、分散剤の量は、インク組成物の質量を基準にして、約0.5~約3質量%、約0.8~約2.5質量%、約1~約2.0質量%である。
【0135】
しかしながら、当業者は、利用される分散剤のパーセント割合が、典型的には、粒子の表面積及び用量を考慮に入れて、使用されるセラミック粉末のサイズ及び充填量に応じて変わることを理解し、これは、典型的にはセラミック表面積1m2当たり2.5mgの活性分散剤である。
【0136】
本明細書で開示されているインク組成物は、光開始剤を含む。光開始剤は、約200nm~約500nmの波長を有する光による光曝露下でフリーラジカルを発生させるように機能し、例えば、これは、高屈折率モノマーと架橋剤との重合を開始し推進する。任意の知られている光開始剤が、単独で又は2種以上を組み合わせて使用されうる。
【0137】
光開始剤は、それが光重合を開始することができる限り、特に限定されない。使用することができるその例には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤などが包含される。
【0138】
ベンゾインエーテル系光開始剤の特定の例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社により製造)、アニソインメチルエーテルなどが含まれる。アセトフェノン系光重合開始剤の例には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社により製造)、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(商品名:IRGACURE 2959、BASF社により製造)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:DAROCUR 1173、BASF社により製造)、メトキシアセトフェノンなどが含まれる。
【0139】
α-ケトール系光開始剤の例には、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンなどが含まれる。
【0140】
芳香族スルホニルクロリド系光開始剤の例には、2-ナフタレンスルホニルクロリドなどが含まれる。
【0141】
光活性オキシム系光開始剤の例には、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシムなどが含まれる。
【0142】
ベンゾイン系光開始剤の例には、ベンゾインなどが含まれる。
【0143】
ベンジル系光開始剤の例には、ベンジルなどが含まれる。
【0144】
ベンゾフェノン系光開始剤の例には、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。
【0145】
ケタール系光開始剤の例には、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。
【0146】
チオキサントン系光開始剤の例には、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0147】
アシルホスフィンオキシド系光開始剤の例には、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-n-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-t-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジブトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4-ジメトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)(2,4-ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-4-メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,3,5,6-テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジ-n-ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-n-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10-ビス[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2-メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(商標)819)などが含まれる。
【0148】
ある特定の実施形態では、光開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(TPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン(DAROCUR(商標)1173)、ベンゾフェノン(BP)などからなる群から選択される。
【0149】
光開始剤の含有量は特に限定されないが、上に記載した光硬化性組成物の100総質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~3質量部、更に好ましくは0.05~2.5質量部、特に好ましくは0.1~2質量部である。
【0150】
他の添加剤、例えば、界面活性剤、pH調整剤、乳化剤、懸濁剤、消泡剤、保存剤、乾燥遅延剤、レオロジー特性を制御するための添加剤、濡れ剤、抗酸化剤、UV吸収剤(例えば、Mayzo社のBenetex(登録商標)OB Plus、2,2’-(2,5-チオフェネジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾオキサゾール)、ブロモチモールブルー、及び3’,3’’-ジブロモチモールスルホンフタレイン)、光安定剤、又はこれらの組み合わせが、例として、インク組成物中に含まれうる。これらの添加剤は、それが含まれている場合、典型的には、インク組成物の質量を基準にして、0.05~2質量%の範囲内で存在する。
【0151】
光硬化性インク組成物は、
インク組成物の総質量を基準にして約20質量%~約50質量%の光硬化性組成物;
インク組成物の総質量を基準にして約0.01質量%~約5.0質量%の光開始剤;
インク組成物の総質量を基準にして約50質量%~約80質量%の足場粒子;
インク組成物の総質量を基準にして約0.2質量%~約4.0質量%の分散剤;及び
インク組成物の総質量を基準にして約0質量%~約2.0質量%の添加剤
を含んでもよい。
【0152】
光硬化性組成物、光開始剤、足場粒子、分散剤、及び添加剤の量は、インク組成物の質量の、少なくとも95%、特に100%を占めることができる。
【0153】
上に記載した光硬化性樹脂組成物の組成はまた、いくらかの程度まで、使用する粉末によって変わる。一実施形態では、インクは、光硬化性組成物の質量を基準にして、8.9質量%の可塑剤(PEG 600)、31.25質量%の架橋剤(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)、31.25質量%の高屈折率モノマー(CD590)を含む光硬化性組成物を含有する。インクは、インク組成物の質量を基準にして68質量%のアルミナ粉末を充填するために(すなわち予め充填されているアルミナ粉末)、約1.4質量%の分散剤、例えばSolsperse 71000及びEvonik Disperse 656を、)をさらに含む。そのインク中の光硬化性組成物の量は、インク組成物の質量を基準にして約28.5質量%である。
【0154】
本明細書で開示されている組成物を調製するために、光硬化性組成物(樹脂)、分散剤、及び(粉末以外の)任意の追加の成分を、ローラー上で60℃にて夜通し、一緒に混合することができる。次いでセラミック粉末を、高せん断ミキサーを使用して500rpmで、又はボールミル装置を使用して、10質量%、また10質量%と添加することができる。混合時間は、セラミックの性質及び配合物中の所望される最終的な量に直接関連づけられる。粘度測定を用いて、粒子が十分に分散されているかどうかを決定することができる。
【0155】
本開示の変形法は、中間構造物の(例えばステレオリソグラフィーによる)3Dプリンティングに使用されうる光硬化性樹脂配合物をもたらし、続いて熱処理(例えば焼成又は熱分解)して、その3D中間構造物部材を、3D無機構造物、特に3Dセラミック構造物へと変換する。
【0156】
本発明の変形法は、高密度セラミックに変換されうる、又は更には完全に高密度なセラミックに変換されうる、プレセラミックポリマーの直接のフリー形態3Dプリンティングを可能にする。そのプレセラミック樹脂配合物は、好ましくは、ステレオリソグラフィー光重合に適合性である。そのモノマー及びポリマーシステムは、潜在的に複雑な3D形状へとプリンティング(印刷)することができる。好ましいインク組成物は、高い熱安定性及び機械強度を伴ってセラミック構造物が形成されることを可能にする。開示されている樹脂配合物は、軽量で、強く、かつ堅固であるが、高温酸化環境に耐えることができる構造物へと、経済的に変換されうる。最終的な相互結合された3次元セラミック材料には、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、オキシ窒化ケイ素(SiON)、炭窒化ケイ素(SiCN)、ホウ窒化ケイ素(SiBN)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、及び窒化ホウ素(BN)が包含されるがこれらに限定されない。
【0157】
したがって、本開示はまた、無機構造物、特にセラミック構造物を作製する方法であって、
(i)本発明による光硬化性インク組成物を得る工程;
(ii)上記の光硬化性インク組成物の少なくとも一部を、(好ましくは同時に)重合させ且つ3Dプリンティングして、プレ無機ポリマー、特にプレセラミックポリマーを生成する工程;及び
(iii)上記のプレ無機ポリマー、特に上記のプレセラミックポリマーの少なくとも一部を熱処理して、無機構造物、詳細にはセラミック構造物を生成する工程、
を含み、
上記の光硬化性インク組成物が、本明細書において上に定義したものである、
方法を提供する。
【0158】
プレ無機ポリマーは、ポリマー及び足場粒子を含む構造化された複合材料であることができ、そのポリマーは、光硬化性インク組成物の光硬化性成分を硬化することによって得られるものである。無機構造物は、プレ無機ポリマーのそのポリマーの少なくとも一部を分解し又は変換し(例えば、プレ無機ポリマー中のポリマーの少なくとも一部を熱分解することによって)、且つ足場粒子の少なくとも一部を一緒に結合することによって(例えば、熱分解、融合、焼結、アニーリング、焼成、又は別の熱処理技術によって)得られる構造化された材料であることができる。特に、プレ無機ポリマーは、プレセラミックポリマー、すなわちポリマー及びセラミック粒子を含む構造化された複合材料であってよい。特に、無機構造物は、セラミック粒子を足場粒子として使用したときは、セラミック構造物でありうる。
【0159】
生成された無機構造物、特に、生成されたセラミック構造物は、少なくとも50%の理論密度、好ましくは少なくとも75%の理論密度、より好ましくは少なくとも95%の理論密度によって特徴付けることができる。様々な実施形態では、無機構造物、特にセラミック構造物は、約(又は少なくとも約)60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5%の理論密度によって特徴付けられる。好ましい実施形態では、限定はしないが、無機構造物、特に、セラミック構造物は、完全に高密度なモノリスである。
【0160】
無機構造物、特にセラミック構造物を作製する方法には、本明細書で開示している光硬化性インク組成物を目的の方へ適用(direct)し(例えば噴射し)且つ重合させることを含むプリンティング(印刷)が含まれる。好ましくは、プリンティング(印刷)する/重合させる工程は、部材内の所望の位置(例えば層)において同時に実施される。いくつかの実施形態では、重合し且つ3Dプリンティングする工程は、半同時(semi-simultaneous)に行われ、その場合、複数の工程が総合的に実施されると同時に、各工程において、いくらかの量の重合及びいくらかの量の3Dプリンティングが起こる。
【0161】
典型的な実施形態では、プレ無機ポリマーへの光硬化性組成物の硬化又は変換、特にプレセラミックポリマーへの硬化又は変換は、架橋することを含む。一部の実施形態では、モノマーがポリマーへ変換されると同時に、ゲルが最初に形成され、続いて固体材料が形成され、なぜなら、モノマーの転化が、鎖を一緒に架橋させることを増大させるからである。「ゲル」は、柔らかく弱いから、硬く強いまでの範囲の性質を有しうる固体のゼリー状の物質である。ゲルは、安定状態にあるときには如何なる流れも見せない。荷重をかけることによってゲルはほとんど液体であるが、なおゲルは、その液体内の3次元架橋ネットワークによって固体のようにふるまう。
【0162】
いくつかの実施形態では、重合をレーザー照射点に限局し、且つプリンティングされた部分の形状(feature)において忠実度を維持すべく散乱を最小にするために、十分な重合阻害剤及びUV吸収剤が光硬化性インク組成物に添加される。次いで、UV光を樹脂表面にわたって走査(スキャン)して、断面を露光し、製造すべき部材の薄片(薄いスライス)を積み重ねていく。原理的に、任意の幾何形状がこのアプローチで製作されることができるが、この方法は遅く、なぜなら全ての薄層が別々に露光されなければならないからである。
【0163】
いくつかの実施形態では、光開始剤は、分子内での結合開裂又は分子間の水素引き抜きのうちの1つによって、露光下でフリーラジカルを発生させる。典型的には、モノマーはUV光(10nm~400nmの波長)に曝露されたときに重合するが、光開始剤は、典型的には、別の波長、例えば可視スペクトルにおける別の波長に曝露されたときに重合を開始するために使用される。ある特定の実施形態では、露光(光への曝露)は、約200nm~約700nm、例えば約250、300、350、400、500、又は600nmから選択される1つ又は複数の波長を有する光により生じる。
【0164】
任意選択により場合によっては、3Dプリンティングの後であるが、無機構造物、特にセラミック構造物を製造するための熱処理の前に、3Dポリマーの熱による後硬化が行われる。例えば、3Dポリマーは、約60℃~約250℃、例えば約10℃~約150℃の温度に、約10分~約8時間、例えば約20分~約2時間の、熱による後硬化時間のあいだ、加熱されうる。任意選択により、熱開始剤が存在してもよい。
【0165】
重合後、次いで熱処理が行われる。プレ無機の3Dプリンティングされた構造物の無機構造物への直接変換、特にプレセラミックの3Dプリンティングされた構造物のセラミック構造物への直接変換は、熱分解、焼結、アニーリング、焼成、又は別の熱処理技術によって達成されうる。熱処理は、好ましくは、3Dポリマーの重合及び任意の(任意選択により場合によって)熱による後硬化に続いて実施される。ある特定の実施形態では、熱処理は、重合、熱による後硬化、又はそれらの両方と組み合わされる(すなわち時間及び/又は温度において重なる(オーバーラップする)。順次の操作を意図しているときであっても、いくらかの量の無機材料の形成、特にセラミックの形成が、計画した熱処理の工程の前に、その反応系に内在する反応速度論及び熱力学の結果として起こりうることも認められる。
【0166】
典型的には、熱処理は、様々な不活性又は反応性の雰囲気、例えば、H2、N2、Ar、空気、CH4、C2H6、C2H4、CO、CO2、又はこれらの気体の組み合わせのもとで、延長された時間のあいだ(例えば10分~1週間)、3Dプリンティングされた構造物を加熱することに基づく。この熱処理は、室温(例えば約25℃)から、約1000℃~2500℃のどこかまで、0.1℃/分~20℃/分の速度で加熱し、選択された温度、例えば1800℃において少なくとも15分間留め、次いで-0.1℃/分~-20℃/分の速度で冷却し、室温に戻すことを含みうる。
【0167】
いくつかの実施形態では、反応性熱処理が行われ、この場合、気体は、初期のポリマー、最終的な無機材料、特に最終的なセラミック材料、又はこれらの両方に対して反応性である。気体が反応性であるとき、気体は成分と反応して、それが材料に残ることを引き起こしうる。
【0168】
それに代えて又はそれに加えて、気体は成分と反応してベース材料とともに残留しうる。気体が反応して生成物を形成し、それらのうちのいくつかが材料から離脱すると同時に、残りが材料とともに残留することもまた可能である。反応性気体は、O2、O3、空気、CO、CO2、H2、H2O、CH4、SO2、H2S、NH3、NO、NO2、及びN2Oなどから選択されうる。反応性熱処理のための最高温度は、例えば、約300℃~約1500℃であってもよい。このシステムの圧力はまた、気体雰囲気に影響を及ぼすように調節されうる。
【0169】
熱処理中、不活性熱処理技術が利用されようと反応性熱処理技術が利用されようと、気体は逸出する。気体は、プレ無機ポリマーの無機構造物への変換中、特にプレセラミックポリマーのセラミック構造物への変換中に、ポリマー、光開始剤、フリーラジカル阻害剤及び/又は3Dプリンティング解像剤の分解反応によって形成される。逸出する気体又は蒸気として、CH4、H2、CO、CO2、H2O、SO2などが挙げられる(が決してこれらに限定されない)。
【0170】
プレ無機ポリマーの無機構造物への変換に、特にプレセラミックポリマーのセラミック構造物への変換に伴う全体での質量損失は広い範囲で変わることがあり、例えば、約1質量%~約90質量%、例えば、約5、10、20、30、40、50、60、70、又は80質量%でありうる。全体での質量損失は、出発配合物(例えば有機対無機の画分)によって、及びプロセスのパラメータによって決まることになる。原理的には、失われた物質は、別々に回収されて、他の目的のために使用しうる。
【0171】
本明細書で開示されているインク組成物は、焼結に先立つ焼成プロセス中に、完全に又は実質的に完全に分解するように設計される。高屈折率モノマー、架橋剤、可塑剤、光開始剤、及び添加剤は、焼成中に残留する灰分含有量が少なくなるように特に選択される。(足場粒子なしの、特にセラミック粉末なしの)光硬化性樹脂組成物は、しだいに分解して、クラックが可能な限り少ない、完全に焼結された無機部材、詳細にはセラミック部材が得られることを可能にすることが予測される。
【0172】
通常の雰囲気又は酸化雰囲気(例えばO2)下で行われる焼成手順は、そのシステムのより容易な分解をもたらすことによって、モノマー及び又は架橋剤に関する広い範囲の使用を可能にする。いくつかの事例では、それはまた、既にそれなしで適切に分解する反応性のシステムとして、より低量の可塑剤の使用をも可能にする。
【0173】
中性環境又は還元性環境(例えばN2)の存在下で、特定のモノマー及び架橋剤がそれらのより少ない残留灰含有量に起因して好ましく、例えば、アクリレートSR595、SR210、SR238、SR339、及びSR602(全てSartomer社から入手可能)であり、且つ/又はより多い量の可塑剤が、全体的な分解プロセスを改善し、有機システムに由来する残留灰分含有量を低減するために使用されうる。
【0174】
本明細書で開示されているモノマー及び架橋剤が低粘度であることによって、可塑剤の量の増加がインクの粘度を増大させ、未焼成強度(グリーン強度)及び反応性を低下させることが予測されるが、どのようなネガティブなあり方においても光が貫通する深さに影響することは予測されない。
【0175】
いくつかの実施形態では、より多い量(すなわち20%を超える)の可塑剤の使用が、架橋剤及びモノマーによって誘起される過剰反応性を防止し、かつ、印刷された部材の寸法のカール、曲げ、又は収縮をもたらすことを防止するために好ましい。
【0176】
焼成中に有機システムの二重の分解を引き起こして、最初に可塑剤の、続いて架橋剤及びモノマーの除去をもたらし、それによってモノマー及び/又は架橋剤のみを含む配合物において観察されうる亀裂(クラック)が始まる傾向を減らすため、著しい量の可塑剤が推奨される。
典型的には、インクの反応性及び部材のグリーン強度の過度に顕著な低下を防止するために、最終的なプリンティング(印刷)可能なインク組成物中で、可塑剤の量が40質量%未満であることが好ましい。
【0177】
質量損失に伴うのが、プレ無機ポリマーの収縮、特にプレセラミックポリマーの収縮であることがあり、なぜなら、それが、無機構造物、特にセラミック構造物へと転化するためである。線形収縮(単一の寸法、例えば、部材の高さにおいて算出される)は、例えば0%~約60%でありうる。質量損失と収縮とが必ずしも相関するわけではないことに注意されたい。大きな質量損失を有するいくつかの実施形態では、(収縮が存在したとしても)それほど大きな収縮はない。これらの実施形態は、より高い多孔度を生じ、したがってより低い密度を生じる傾向がある。高い質量損失を有するいくつかの実施形態では、実質的な収縮がある。これらの実施形態は、より低い多孔度を生じる傾向、又は多孔度を全く生じない傾向があり、したがってより高い密度を生じる傾向がある(例えば、完全に高密度な、無機材料、特にセラミック材料)。最後に、いくつかの実施形態では、質量損失はほとんどないが、化学反応に伴う収縮が起こる。これらの実施形態はまた、比較的高い密度をもたらす傾向がある。
【0178】
収縮にもかかわらず、プレ無機の3Dプリンティングされたポリマーのバルク形状(相対的幾何形状)、特にプレセラミックの3Dプリンティングされたポリマーのバルク形状は、最終的な無機構造物、特にセラミック構造物中に保持されうる。すなわち、収縮が全次元において均一であるとき、幾何形体はその部材において保持され、それは、3次元の全てにおいてスケールダウンされたバージョンである。いくつかの実施形態では、収縮はほとんど均一であり、このことは、幾何学的特徴は、わずかな偏差を伴って基本的には維持されていることを意味する。プレ無機ポリマーの無機構造物への変換、特にプレセラミックポリマーのセラミック構造物への変換中にランダムな断片化(フラグメンテーション)が存在しないとき、且つ反応及び気体散逸がその材料内で等方性であるときには、均一な収縮が可能である。きわめて小さい形体、例えばナノスケールのものは、他の点では均一な収縮であっても保持されない可能性があることに注意されたい。
【0179】
実用的に言えば、均一な収縮(又は全く収縮なし)は、「ネットシェイプである」又は「ネットシェイプに近い」部材の形成を可能にする。「ネットシェイプである」とは、幾何形体が保持されて、その結果、製造された部材が、後加工がほとんどなしに又は全くなしに、意図された設計に適合する最終製作物を可能にすることを意味する。「ネットシェイプに近い」とは、幾何形体が完全には保持されないが最小のみの後加工又は手作業しか必要としないことを意味する。ネットシェイプ部材及びネットシェイプに近い部材の両方とも、機械加工、研磨、結合、表面仕上げ、又は組み立てをほとんど必要としないか、全く必要としない。
【0180】
炭素がセラミック材料中に所望される場合、炭素の画分は、例えば、ポリマーの側鎖上にフェニル基を加えることによって、又はジビニルベンゼン等の炭素系の架橋剤を使用することによって、所望するとおりにすることができる。
【0181】
最終的な無機部材、特に最終的なセラミック部材の密度は、上で説明したようにさまざまな値でありうる。一般に(限定することなしに)、約0.1g/cm3~約5g/cm3、例えば約1~3g/cm3の範囲の絶対密度がもたらされうる。完全に高密度な無機材料、詳細には完全に高密度なセラミックは、例えば、約1g/cm3~約4g/cm3の密度を有しうる。
【0182】
最終的な無機材料、特に最終的なセラミック材料の強度は、最初のプレ無機の、特にプレセラミックの樹脂配合物、及び加工パラメータに応じて様々な値をとりうる。無機部材の、特にセラミック部材のエンジニアリング強度もまた、その幾何形状、例えば、自己形成ポリマー導波路技術(self-propagating polymer waveguide technique)を用いるいくつかの態様によって作り出されるマイクロトラス(microtruss)に応じて変わる。例えば、本発明の方法を用いて作製されたオキシ炭化ケイ素の微小格子及びハニカムセル材料は、類似の密度のセラミックフォームよりも高い強度を示すことに注意されたい。
【0183】
最終的な無機材料の、特に最終的なセラミック材料の熱安定性は、初期のプレ無機の、特にプレセラミックの樹脂配合物、並びに加工パラメータに主によってさまざまに変わる。いくつかの実施形態では、例えば、無機構造物、特にセラミック構造物は、約1000℃、1100℃、1200℃、1300℃、1400℃、1500℃、1600℃、1700℃、又は1800℃の温度において、空気の存在下で安定であることによって特徴付けられる。
【0184】
最終的な無機構造物、特に最終的なセラミック構造物は、機械加工、研磨、結合、表面仕上げ、又は組み立てが必要とされないときであってさえ、所望する場合には、着色(例えばインク又は染料による)、スタンピング、又はその他の非機能的特徴づけに供されうる。
【0185】
<本発明の様々な側面>
態様1. 3次元プリンティング(3D印刷)に好適な組成物において使用するための光硬化性組成物であって、光硬化性組成物が、以下の成分:
a.少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物であって、その少なくとも1種のモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-N-ビニルオキサゾール及び-N-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
ii.式I:
【化10】
[式中、
Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり、L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のアクリレートモノマー、及び
iii.式II:
【化11】
(式中、
Aは、H又はCH
3であり、かつ
Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマー
からなる群から選択される、モノマー組成物;
b.架橋剤;及び、
c.可塑剤、
を含み、
約1.50より大きな屈折率を有する、光硬化性組成物。
【0186】
態様2. 上記モノマーが、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルカルバゾール、及びアクリル酸2-フェニルフェノキシエチルからなる群から選択される1種である、態様1の光硬化性組成物。
【0187】
態様3. 上記モノマーが、式I:
【化12】
[式中、Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のアクリレート又はメタクリレートモノマーである、態様1の光硬化性組成物。
【0188】
態様4. 上記モノマーが、1,3-ビス(2-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-メチルフェニルチオ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-メルカプトベンゾチアゾイル)-2-プロピルアクリレート又は1,3-ビス(ベンゾ[d]チアゾール-2-イルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ジ(10H-フェノチアジン-10-イル)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-(フェニルチオ)エチルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-フェノキシ-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-クロロフェノキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-ブロモフェノキシ)-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-3-(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル及び3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート、アクリル酸2-フェニルチオエチル、アクリル酸ビシクロフェノキシエチル、アクリル酸o-フェニルフェノキシエチル、及び1-(2,4-ジブロモフェノキシ)-3-(2,4-ジブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレートなど(これらに対応するここでは命名されていないメタクリレート及びアクリレートを含む)及びこれらの混合物を含むものからなる群から選択される、態様3の光硬化性組成物。
【0189】
態様5.上記モノマーが、式II:
【化13】
(式中、Aは、H又はCH
3であり、かつ、Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマーである、態様1の光硬化性組成物。
【0190】
態様6. Qが、エチレングリコールフェニルエーテル、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)、フェニル、2-エチルフェノキシ、ヘキシルフェノキシ、ベンジル、2-フェニルエチル、4-メチルフェニル、4-メチルベンジル、2-2-メチルフェニルエチル、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチル、2-(4-プロピルフェニル)エチル、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル、2-(4-メトキシフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(2-クロロフェニル)エチル、2-(3-クロロフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(4-ブロモフェニル)エチル、2-(3-フェニルフェニル)エチル、2-(4-フェニルフェニル)エチル)、及び2-(4-ベンジルフェニル)エチルからなる群から選択される、態様5の光硬化性組成物。
【0191】
態様7. 上記モノマーが、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPEA)、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)(ポリEGPEA)、メタクリル酸フェニル、2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、ヘキシルフェノキシメタクリレート、ヘキシルフェノキシアクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-フェニルエチル、メタクリル酸4-メチルフェニル、メタクリル酸4-メチルベンジル、2-2-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、アクリル酸2-フェニルフェノキシエチル、アクリル酸2-フェノキシエチル(及び、これらに対応するここでは命名されていないメタクリレート及びアクリレートを含む)及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様5の光硬化性組成物。
【0192】
態様8. 上記架橋剤が、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、PEGDMA、ポリ(エチレングリコール)200ジメタクリレート、エトキシレート(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、及び1,10デカンジオールジアクリレート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、態様1から7のいずれか1つの光硬化性組成物。
【0193】
態様9. 上記可塑剤が、フタル酸ジアルキル、リン酸アルキル、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレンコポリマー、水素化された、ポリイソプレン、グリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様1から8のいずれか1つの光硬化性組成物。
【0194】
態様10. 上記可塑剤が、ポリ(エチレングリコール)である、態様9の光硬化性組成物。
【0195】
態様11. 上記ポリ(エチレングリコール)が、200~800のMwを有する、態様10の光硬化性組成物。
【0196】
態様12. 上記ポリ(エチレングリコール)が、600のMwを有する、態様11の光硬化性組成物。
【0197】
態様13. 上記ポリ(エチレングリコール)が、光硬化性組成物中に約50質量%~約60質量%で存在する、態様10から12のいずれか1つの光硬化性組成物。
【0198】
態様14. その屈折率が、約1.5~約1.8である、態様1から13のいずれか1つの光硬化性組成物。
【0199】
態様15. 3Dプリンティングにおける使用に好適な光硬化性インク組成物であって、以下の成分:
a.少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物であって、その少なくとも1種のモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
ii.式I:
【化14】
[式中、
Zは、エチレン性不飽和基であり、Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のアクリレートモノマー、及び
iii.式II:
【化15】
(式中、
Aは、H又はCH
3であり、かつ
Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマー
からなる群から選択される、モノマー組成物;
b.架橋剤;及び、
c.可塑剤、
を含む光硬化性組成物であって、約1.50より大きな屈折率を有する、光硬化性組成物と、
光開始剤と、
セラミック又は金属の粒子と、
分散剤
を含む、光硬化性インク組成物。
【0200】
態様16. 上記モノマーが、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルカルバゾール、及びアクリル酸2-フェニルフェノキシエチルからなる群から選択される少なくとも1種である、態様15の光硬化性インク組成物。
【0201】
態様17. 上記モノマーが、式I:
【化16】
[式中、Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり、Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のアクリレート又はメタクリレートモノマーである、態様15の光硬化性インク組成物。
【0202】
態様18. 上記モノマーが、1,3-ビス(2-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-メチルフェニルチオ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-メルカプトベンゾチアゾイル)-2-プロピルアクリレート又は1,3-ビス(ベンゾ[d]チアゾール-2-イルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-2-プロピルアクリレート、1,3-ビス(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(3-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ジ(10H-フェノチアジン-10-イル)プロパン-2-イルアクリレート、1,3-ビス(2-(フェニルチオ)エチルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-フェノキシ-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-クロロフェノキシ)-3-(フェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(4-ブロモフェノキシ)-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、1-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-3-(2,4,6-トリブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート及び3,3,5トリメチルシクロヘキシルアクリレート、アクリル酸2-フェニルチオエチル、アクリル酸ビシクロフェノキシエチル、アクリル酸o-フェニルフェノキシエチル及び1-(2,4-ジブロモフェノキシ)-3-(2,4-ジブロモフェニルチオ)プロパン-2-イルアクリレートなど(これらには、これらに対応する命名されていないメタクリレート及びアクリレートが含まれ、また、これらの混合物が含まれる)からなる群から選択される、態様17の光硬化性インク組成物。
【0203】
態様19. 上記モノマーが、式II:
【化17】
(式中、Aは、H又はCH
3であり、かつ、Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマーである、態様15の光硬化性インク組成物。
【0204】
態様20. Qが、エチレングリコールフェニルエーテル、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)、フェニル、2-エチルフェノキシ、ヘキシルフェノキシ、ベンジル、2-フェニルエチル、4-メチルフェニル、4-メチルベンジル、2-2-メチルフェニルエチル、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチル、2-(4-プロピルフェニル)エチル、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル、2-(4-メトキシフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(2-クロロフェニル)エチル、2-(3-クロロフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、2-(4-ブロモフェニル)エチル、2-(3-フェニルフェニル)エチル、2-(4-フェニルフェニル)エチル)、及び2-(4-ベンジルフェニル)エチルからなる群から選択される、態様19の光硬化性インク組成物。
【0205】
態様21. 上記モノマーが、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPEA)、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)(ポリEGPEA)、メタクリル酸フェニル、2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、ヘキシルフェノキシメタクリレート、ヘキシルフェノキシアクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-フェニルエチル、メタクリル酸4-メチルフェニル、メタクリル酸4-メチルベンジル、2-2-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、アクリル酸2-フェニルフェノキシエチル、アクリル酸2-フェノキシエチルなど(これらには、これらに対応するここでは命名されていないメタクリレート及びアクリレートが含まれ、またこれらの混合物が含まれる)からなる群から選択される、態様19の光硬化性インク組成物。
【0206】
態様22. 上記架橋剤が、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、PEGDMA、ポリ(エチレングリコール)200ジメタクリレート、エトキシレート(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、及び1,10デカンジオールジアクリレート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、態様15から21のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0207】
態様23. 上記可塑剤が、フタル酸ジアルキル、リン酸アルキル、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレンコポリマー、水素化された、ポリイソプレン、グリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様15から22のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0208】
態様24. 該可塑剤が、ポリ(エチレングリコール)である、態様23の光硬化性インク組成物。
【0209】
態様25. 上記ポリ(エチレングリコール)が、200~800のMwを有する、態様24の光硬化性インク組成物。
【0210】
態様26. 上記ポリ(エチレングリコール)が、600のMwを有する、態様25の光硬化性インク組成物。
【0211】
態様27. 上記ポリ(エチレングリコール)が、光硬化性組成物中に約50質量%~約60質量%で存在する、態様24から26のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0212】
態様28. その屈折率が、約1.5~約1.8である、態様15から27のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0213】
態様29. 上記セラミック粒子が、金属及び対イオン物質を含む粉末であり、対イオン物質が、酸化物、ケイ化物、窒化物、オキシ窒化物、炭窒化物、ホウ窒化物、及び炭化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、金属が、Al、B、Bi、Ca、Ce、Cr、Cu、K、Fe、Ga、Ge、In、Li、Mg、Mn、Mo、Na、Si、Sn、Sr、Ta、Ti、W、Y、及びZr、並びにこれらの混合物からなる元素の群から選択される、態様15から28のいずれか1つの硬化性インク組成物。
【0214】
態様30. 分散剤が、酸性基を有するコポリマーのアルキロールアンモニウム塩、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、ポリ(エチル)オキシ第四級アンモニウム塩、ポリアクリル分散剤、ポリビニルピロリドン分散剤、ポリオキシエチレングリコール分散剤、及びオキシアルキル化モノオールに基づくポリエーテル分散剤からなる群から選択される、態様15から29のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0215】
態様31. 光開始剤が、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン、ベンゾフェノン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様15から30のいずれか1つの光硬化性インク組成物。
【0216】
態様32. セラミック構造物を製造する方法であって、
(i)光硬化性インク組成物を得る工程;
(ii)上記光硬化性インク組成物の少なくとも一部を(好ましくは同時に)重合させ且つ3Dプリンティングしてプレセラミックポリマーを生成させる工程;及び
(iii)上記プレセラミックポリマーの少なくとも一部を熱処理してセラミック構造物を生成させる工程
を含み、
上記光硬化性インク組成物が、
a.光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%の、少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物であって、その少なくとも1種のモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
ii.式I:
【化18】
[式中、Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)-であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のアクリレートモノマー、及び
iii.式II:
【化19】
(式中、Aは、H又はCH
3であり、かつ、Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む部分である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマー
からなる群から選択される、モノマー組成物;
b.光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約40質量%の架橋剤;及び、
c.光硬化性組成物の総質量を基準にして、約20質量%~約65質量%の可塑剤、
を含み、
ここで、光硬化性組成物が、約1.50より大きな屈折率を有し、
インク組成物の総質量を基準にして約0.01質量%~約5.0質量%の光開始剤と、
インク組成物の総質量を基準にして約50質量%~約80質量%のセラミック又は金属の粒子と、
インク組成物の総質量を基準にして約0.2質量%~約4.0質量%の分散剤と
を含む、方法。
【0217】
態様33. 3次元プリンティング(3D印刷)に好適な組成物中で使用するための光硬化性組成物であって、
a.少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含む、光硬化性組成物の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%のモノマー組成物であって、少なくとも1種のモノマーが、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルカルバゾール、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-,3,-及び4-ブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-,3,-及び4-ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、テトラブロモベンジル(メタ)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、3-フェニル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オルト-ビフェニル(メタ)アクリレート、3-(2,4-ジブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(EGPEA)、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)(ポリEGPEA)、メタクリル酸フェニル、2-エチルフェノキシメタクリレート、2-エチルフェノキシアクリレート、ヘキシルフェノキシメタクリレート、ヘキシルフェノキシアクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-フェニルエチル、メタクリル酸4-メチルフェニル、メタクリル酸4-メチルベンジル、2-2-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-3-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-4-メチルフェニルエチルメタクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2-(4-ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、アクリル酸2-フェニルフェノキシエチル、及びアクリル酸2-フェノキシエチルからなる群から選択される、モノマー組成物;
b.光硬化性組成物約の総質量を基準にして約20質量%~約40質量%の架橋剤;及び、
c.光硬化性組成物約の総質量を基準にして約20質量%~約65質量%の可塑剤、
を含み、
約1.50より大きな屈折率を有する、光硬化性組成物。
【0218】
態様34. 3Dプリンティング(3D印刷)において使用するのに好適な光硬化性インク組成物であって、インク組成物が、
a.少なくとも1.5の屈折率を有する少なくとも1種のモノマーを含むモノマー組成物であって、少なくとも1種のモノマーが、
i.ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-オメガ-(4-(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノキシ)-、N-ビニルオキサゾール、及びN-ビニルカルバゾールからなる群から選択される少なくとも1種のモノマー、
ii.式I:
【化20】
[式中、
Zは、エチレン性不飽和基であり;Xは、O、S、又はNHであり;L
1及びL
2は、それぞれ独立に、C
1~C
3アルキレン、-(C
1~C
3アルキレン)-S-(C
1~C
3アルキレン)-、又は-(C
1~C
3アルキレン)-O-(C
1~C
3アルキレン)であり;Rは、水素又はC
1~C
6アルキルであり;R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アリール、アリール(C
1~C
6アルキレン)-、ヘテロアリール、又はヘテロアリール(C
1~C
6アルキレン)-であり、これらの基のそれぞれは、ハロゲン、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシ、(C
1~C
4アルキル)S-、C
1~C
4ハロアルキル、及びC
1~C
4ハロアルコキシから独立に選択される0~5つの置換基で置換されており;かつ、Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、O、S、NH、又はNである]
の少なくとも1種のモノマー、及び
iii.式II:
【化21】
(式中、
Aは、H又はCH
3であり、かつ
Qは、少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族環、又は少なくとも1つの置換若しくは非置換の芳香族複素環を含む基である)
の少なくとも1種のアクリル酸アリールモノマー
からなる群から選択される、モノマー組成物;
b.架橋剤;及び、
c.可塑剤、
を含み、約1.50より大きな屈折率を有する、光硬化性組成物と、
光開始剤と、
金属粉末、セラミック粉末、グラファイト粉末、グラフェン粉末、ダイヤモンド粉末、炭化物粉末、ケイ化物粉末、窒化物粉末、酸化物粉末、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ジルコニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される粒子と、
分散剤と
を含む、光硬化性インク組成物。
【0219】
本明細書で開示されている方法及び組成物を、以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、方法及び組成物は、それらに限定されるとみなされないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0220】
(実施例1)
8.9質量%のSR238(二官能性、速い反応性の1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)(Sartomer社から入手可能)、及び8.9質量%の、CD590(Sartomer社から入手可能)として販売されている屈折率1.54を有する芳香族単官能性アクリレートモノマーを、10.7質量%のポリ(エチレングリコール)600、0.7%のSolsperse(登録商標)71000、及び0.7%のEvonik TEGO(登録商標)Dispers656と一緒に室温にて2時間混合した。次いで、Panadyne Alumina powder MR-32を、高せん断ミキサーを500rpmで使用し、各添加に続いて2時間かけながら10質量%ずつ68質量%まで徐々に添加した。2%のTPO、0.05%のBromothymol Blue、及び0.05%のBenetex(登録商標)OB Plusを最後に添加し、配合物を、ローラー上、50rpmで室温において夜通し混合しておいた。
【0221】
その配合物を、次に、405nmの波長のオープンプリンター(Flashforge Hunter、Autodesk Ember、Anycubic photon、B9 core 550)で、十分な支持体表面積及び構築表面を有する適切なモデルを用いて3D印刷(3Dプリンティング)して、構造プラットフォームと第1の層との間、第1の層とバーンイン(burn-in)層との間、バーンイン層と支持層との間、支持層とモデル層との間の接着を確実にした。
【0222】
次いで、プレセラミック部分をプリンターから取り外した。次いで、プレセラミック部分をIPA中に20分間浸漬し、次いで清浄なIPAで濯ぎ、空気中で乾燥させて、残留溶媒及びモノマーを蒸発させた。次いでプレセラミック部分を水及び石けんを使用して濯ぎ、更に20分間乾燥させた。最後に、そのプレセラミック部分をBroadband UV Dymax Model 5000 Flood Ovenを使用して、30mW/cm2の電力で20分間、後硬化させた。
【0223】
次いで、その部材を適当なサイズの炉内に置き、セラミック粉末の焼結をもたらすのに十分な温度にした。プレセラミック部分を室温から150℃まで10℃/分で加熱し、次に温度を2時間保ち、続いて150℃から450℃まで3℃/分で更に加熱した。次に、温度を2時間維持し、結合剤が分解するために十分な時間をかけた。次に、温度を、セラミックの焼結温度まで、この事例では1650℃まで上昇させ、1時間保持した(小さい部材の場合であって、より大きい部材のためにはより長い時間が必要とされうる)。完全に焼結したセラミック部材を、次に、室温まで自然に冷やし、その部材がいかなるクラックも作ることなしに平衡状態に戻るための時間を与えた。
【0224】
いくつかの特定の実施形態及び実施例を参照して上に例示し記載したが、それでも、本明細書で開示している実施形態は、示されている詳細な点に限定することを意図していない。むしろ、「特許請求の範囲」と等価な趣旨及び範囲内での詳細において、且つ本発明の趣旨から逸脱することなく、多様な変更がなされうる。例えば、本明細書に広く列挙した全ての範囲が、それらの範囲内に、より広い範囲に落とし込んだ全てのより狭い範囲を含むことを明白に意図している。
【国際調査報告】