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特表2022-548055置換イミダゾキノキサリン化合物およびその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】置換イミダゾキノキサリン化合物およびその応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20221109BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221109BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20221109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20221109BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61K31/4985
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/4745
A61K31/198
A61P43/00 121
A61K31/664
A61K31/704
A61K31/519
A61K31/475
A61K31/337
A61K31/69
A61K38/12
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516151
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2020114823
(87)【国際公開番号】W WO2021047646
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201910868165.3
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010063709.1
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】519175824
【氏名又は名称】上海瑛派▲薬▼▲業▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】IMPACT THERAPEUTICS (SHANGHAI), INC
【住所又は居所原語表記】Room 603, No.3 Building 111 Xiangke Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone Shanghai 201210 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, スイ シオン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン, イェー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シアオチュー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF05
4C050GG01
4C050HH02
4C050HH04
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA16
4C084BA26
4C084BA27
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC751
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA02
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB21
4C086CB22
4C086DA35
4C086DA43
4C086EA10
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206FA53
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明はキナーゼ阻害剤としての置換イミダゾ[1,5-a]キノキサリンおよび関連化合物、およびその応用を提供する。特に、本発明は式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩またはそのプロドラッグを提供する。A1-A3、CyおよびR1-R2は、本文で定義される。式Iの化合物はキナーゼ阻害剤である。したがって、本発明の化合物はDDR機能の欠陥(例えば癌)によって引き起こされた臨床症状の治療に使用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、またはその混合物、またはそのプロドラッグであって、
【化A】
1はNまたはCR4である;A2はNまたはCR5である;A3はNまたはCR6である;
Cyは必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換された複素環式基または必要に応じて置換されたシクロアルキルである;
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換された炭素環式基、必要に応じて置換された複素環式基、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールである;
2は必要に応じて置換されたアルキルまたは必要に応じて置換された炭素環式基である;
4、R5およびR6は独立に水素、ハロゲ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アジドまたはカルボキシルである;アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオおよびカルボキシルは必要に応じて独立に置換されてもいい、
化合物。
【請求項2】
式Iの化合物は、式IIの構造を有し、
【化B】
1はNまたはCR4である;A2はNまたはCR5である;A3はNまたはCR6である;
1はNまたはCR7である;B2はNまたはCR8である;B3はNまたはCR9である;B4はNまたはCR10である;
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換された炭素環式基、必要に応じて置換された複素環式基、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールである;
2は必要に応じて置換されたアルキルまたは必要に応じて置換された炭素環式基である;
3は水素、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールである;アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールは必要に応じて独立に置換されてもいい;
4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アジドおよびカルボキシルからなる群より選ばれる;アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオおよびカルボキシルは必要に応じて独立に置換されてもいい、
請求項1の化合物。
【請求項3】
1、A2およびA3はそれぞれCR4、CR5およびCR6であり、R4、R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシまたはハロゲン化C1-4アルキルである;
1、B2、B3およびB4を含む環は必要に応じて置換されたピリジン環または 必要に応じて置換されたフェニル環である;好ましくは、B1、B2、B3およびB4を含む環はピリジン環であり、B2はNである;
1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、ヘテロアリールまたは必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換された複素環式基;好ましくは、R1はC1-4アルキル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたテトラヒドロピラニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペリジニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニルおよび必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペラジニルからなる群より選ばれる;
2はC1-6アルキル、好ましくはメチルである;
3は以下の群から選ばれる:水素、必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、-NR11'-C1-6アルキル-NR11'12'および必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基、
11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、もしくはそれらはそれらが接続しているN原子と一緒に必要に応じてハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換された4-8員複素環式基を形成し、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はそれらが接続しているN原子と一緒に必要に応じてハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換された4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニルおよびピペリジニルを形成する;
4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルである、
請求項2の化合物。
【請求項4】
式IIIaまたは式IIIbの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、またはその混合物、またはそのプロドラッグであって、
【化C】
1、B3、B4、R1、R2、R3、R7、R8、R9およびR10は請求項2によって定義される;
6は水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである、
請求項2の化合物。
【請求項5】
1、B3およびB4を含む環は必要に応じて置換されたピリジン環である;
1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、ヘテロアリールまたは必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換された複素環式基;好ましくは、R1はC1-4アルキル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたテトラヒドロピラニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペリジニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニルおよび必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペラジニルからなる群より選ばれる;
2はC1-3アルキル基である;
3は以下の群から選ばれる:水素、必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、-NR11-C1-6アルキル-NR11'12'、および必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基、
11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、もしくはそれらはそれらが接続しているN原子と一緒に必要に応じてハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換された4-8員複素環式基を形成し、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はN原子と一緒に必要に応じてハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換された4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニルおよびピペリジニルを形成する;
6は水素、ハロゲン、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシ、好ましくは水素である;
7、R8、R9およびR10は独立に水素、C1-4アルコキシ、ハロゲン、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルである;好ましくは、R7、R9およびR10は全部水素であり、R8は水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルであり、好ましくは、R8はハロゲン、C1-4アルコキシおよびハロゲン化C1-4アルキルである、
請求項4の化合物。
【請求項6】
式IIIaおよびIIIbでは:
1は必要に応じてC1-6アルキルからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換された複素環式基であり、好ましくは、R1は必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニル(例えばモルホリノ)である;
2はC1-4アルキル、好ましくはメチルである;
3は必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、または必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はN原子と一緒に必要に応じて1-2個のアルキルによって置換された4-8員複素環式基(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル,およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニル)を形成する;好ましくは、必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基はピペリジニルまたはピペラジニルであり、その環上窒素原子が化合物の残りの部分と接続し、それが好ましくは-NR1112基によって置換される;
6は水素、ハロゲン、またはC1-4アルコキシ、好ましくは水素である;
式IIIaでは、B1、B3、およびB4はCHである;
式IIIbでは、R7、R9およびR10はHである、
請求項4の化合物。
【請求項7】
式IIIbでは:
1はC1-6アルキル、必要に応じてハロゲン、C1-4アルキルおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されたヘテロアリール、または必要に応じてC1-6アルキルからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換された複素環式基であり、好ましくは、R1はC1-4アルキル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたテトラヒドロピラニル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたピペリジニル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニル、必要に応じてハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換されたピリジル、または必要に応じて1-3個のC1-6アルキルによって置換されたピペラジニルである;
2はC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはメチルである;
3は必要に応じて-NR1112、-NR11'-C1-6アルキル-NR11'12'によって置換されたC1-6アルコキシ、または必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基であり、R11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はNと一緒に必要に応じて1-2個のアルキルによって置換された4-8員複素環式基(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニル)を形成する;好ましくは、必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基はピペリジニルまたはピペラジニルであり、その環上窒素原子が化合物の残りの部分と接続し、それが好ましくは-NR1112基によって置換される;
6は水素、ハロゲンまたはC1-4アルコキシである;
7、R9およびR10はHである;
8はH、ハロゲン、1-4個のハロゲンによって置換されるC1-4アルキル、またはC1-4アルコキシである、
請求項4の化合物。
【請求項8】
1は以下の群より選ばれる:
【化D】
2はC1-3アルキル、好ましくはメチルである;
3は以下の群より選ばれる:
【化E】
請求項4-7のいずれか一項の化合物。
【請求項9】
以下の群より選ばれる化合物:
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-(2-フルオロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-1-(2-フルオロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N,N-ジメチル-1-(2-クロロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N,N-ジメチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-アミン;
1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N-メチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N-エチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1yl)プロポキシ)ピリジン-3yl)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン;
8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン;
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-モルホリニルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(ピペリジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-((3S,5R)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-(2-フルオロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミン;
1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3yl)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1yl)プロポキシ)ピリジン-3yl)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン;
N,N-ジメチル-1-(2-フルオロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N,N-ジメチル-1-(2-クロロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N,N-ジメチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N-メチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
N-エチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン;
8-(1,3-ジメチル-4H-1λ4-ピラゾール-4-イル)-1-(3-フルオロ-5-メトキシピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン;
(2S,6R)-4-(8-(6-(3-(アゼチジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン;
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン;
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン;
(2S,6R)-4-(8-(6-(2-(1H-イミダゾl-2-イル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン;
(2S,6R)-4-(8-(6-(2-(1H-イミダゾl-4-イル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン;
2-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン;
3-((4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン;
1-(4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-フルオロフェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン;
1-(2-クロロ-4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-エチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-イソプロピルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
N,N-ジメチル-3-((5-(1-((3S,5R)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N1,N3,N3-トリメチルプロパン-1,3-ジアミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-メチルピペリジン-4-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-エチルピペリジン-4-アミン;
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-イソプロピルピペリジン-4-アミン;
(2S,6R)-4-(8-(6-(4-(アゼチジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-メチルプロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-エチルプロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-エチル-N-メチルプロパン-1-アミン;
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン;
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-モルホリノプロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン;
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン;
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン;
3-(4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-フルオロフェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
3-(2-クロロ-4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
1-(5-(1-((2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミンおよび1-(5-(1-((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン;
3-((5-(1-((2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンおよび3-((5-(1-((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン;
またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、またはその混合物、またはそのプロドラッグである、
化合物。
【請求項10】
DDR機能の欠陥によって引き起こされる疾患またはキナーゼ活性の阻害によって促進される疾患の治療または予防のための医薬品の製造における請求項1-9のいずれか一項の化合物の応用;好ましくは、疾患は癌である。
【請求項11】
癌は、以下の群より選ばれる:肝癌、メラノーマ、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣癌、軟組織肉腫、慢性リンパ性白血病、原発性マクログロブリン血症、膀胱癌、慢性骨髄性白血病、原発性脳癌、悪性黒色腫、小細胞肺癌、胃癌、結腸癌、悪性膵島腫瘍、悪性癌様癌、悪性黒色腫、絨毛癌、真菌性真菌症、頭頸部癌、骨形成肉腫、膵臓癌、急性骨髄性白血病、毛細胞白血病、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、泌尿生殖器腫瘍、甲状腺癌、食道癌、悪性高カルシウム血症、頸部過形成、腎細胞癌、子宮内膜癌、真性多血症、特発性血小板血症、副腎皮質癌、皮膚癌、前立腺癌またはハンチントン病、
請求項9の応用。
【請求項12】
投与用の医薬品は、さらに少なくとも一つ既知の抗癌剤または抗癌剤の薬学的に許容される塩を含む;好ましくは、投与用の医薬品は、さらに以下の群より選ばれる少なくとも一つの抗癌剤を含む:ブスルファン、メルファラン、クロロアンブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ベンダムスチン、シスプラチン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、カルボプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン、メチルヒドロキシエリプチシン、エトポシド、5-アザシチジン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、5-フルオロ-2'-デオキシウリジン、フルダラビン、ネララビン、シタラビン、アラノシン、プララトレキサート、ペメトレキセド、ヒドロキシカルバミド、チオグアニン、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、イキサベピロン、カバジタキセル、ドセタキセル、mAb、パニツムマブ、オファツムマブ、アバスチン、ハーセプチン、マブセラ、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニットイニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、パゾパニブ、トリセル、エベロリムス、ボリノスタット、ロミデプシン、タモキシフェン、レトロゾール、フルベストラント、ミトグアゾン、オクトレオチド、レチノイン酸、三酸化ヒ素、ゾレドロン酸、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ベネトクラクス、アルデスロイキン、シプエセル-T、パルボシクリブ、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブまたはセナパリブ、
請求項11の応用。
【請求項13】
前記医薬品は、放射線療法と併用される、請求項11の応用。
【請求項14】
請求項1-9のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
組成物は、さらに少なくとも一つ既知の抗癌剤または抗癌剤の薬学的に許容される塩を含む;好ましくは、組成物は、さらに以下の群より選ばれる少なくとも一つの抗癌剤を含む:ブスルファン、メルファラン、クロロアンブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ベンダムスチン、シスプラチン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、カルボプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、ドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン、メチルヒドロキシエリプチシン、エトポシド、5-アザシチジン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、5-フルオロ-2'-デオキシウリジン、フルダラビン、ネララビン、シタラビン、アラノシン、プララトレキサート、ペメトレキセド、ヒドロキシカルバミド、チオグアニン、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、イキサベピロン、カバジタキセル、ドセタキセル、mAb、パニツムマブ、オファツムマブ、アバスチン、ハーセプチン、マブセラ、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニットイニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、パゾパニブ、トリセル、エベロリムス、ボリノスタット、ロミデプシン、タモキシフェン、レトロゾール、フルベストラント、ミトグアゾン、オクトレオチド、レチノイン酸、三酸化ヒ素、ゾレドロン酸、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドマイド、ベネトクラクス、アルデスロイキン、シプエセル-T、パルボシクリブ、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブまたはセナパリブ、
請求項14の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品化学の分野に関する。本発明は、特に、置換イミダゾ[1,5-a]キノキサリンおよび関連化合物、ならびにATMプロテインキナーゼ阻害剤を含むキナーゼ阻害剤、および抗癌剤としてのそれらの応用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の細胞は、毎日に、DNA塩基の変異を含むDNA損傷を引き起こす多くの外部および内部の課題に直面している。これらの変異は、軽度の場合は悪性腫瘍の発生、重度の場合は細胞死などの細胞機能の変化を引き起こす。DNA損傷から保護するために、哺乳類細胞は高度なDNA損傷応答(DDR)メカニズムを持つように進化した。このメカニズムは、細胞周期の短い休止の間にDNA損傷を検出して修復し、DNA複製とゲノム安定性、そして最終的には細胞の生存の精度を確保する。
【0003】
DDRは癌の発生と密接に関連している。科学研究により、DDRメカニズムの欠陥が複数のレベルで癌を引き起こす可能性があることが明らかになっている。たとえば、DDR遺伝子の変異は、さまざまな癌の発生につながることが分かっている。相同組換えメカニズムによってDNA二本鎖切断を修復するための重要なDDR組成であるBRCA1またはBRCA2遺伝子に変異がある女性は、そのような変異がない女性よりも乳癌または卵巣癌の発症リスクがはるかに高くなる。研究によれば、p53、ATM、ATR、BRCA1/2などの細胞周期調節に重要な役割を果たすDDRタンパク質の欠失または機能喪失が、様々な悪性腫瘍につながる可能性があることも分かっている。
【0004】
近年、科学の発展に伴い、DDRメカニズムへの理解が劇的に向上した。DDR組成タンパク質の変異と機能喪失を標的とする新規抗癌剤の発見が、大きな関心を呼んでいる。たとえば、PARP阻害剤は、一本鎖DNA損傷修復経路を阻害することにより、BRCA1/2変異を持つ癌細胞を選択的に殺すことができる。細胞死を引き起こす二つの経路の機能を失うメカニズムは、合成致死と呼ばれる。
【0005】
プロテインキナーゼ運動失調-変異型毛細血管拡張症(ATM)は、DDRの一つ重要な組成である。これは、PI3K関連のセリン/スレオニンプロテインキナーゼファミリーに属す。ATMキナーゼ遺伝子は、毛細血管拡張性運動失調症候群が研究された1995年にクローンされている。 ATM遺伝子は、9168塩基のコード配列を持つヒト染色体11q22-23に位置する。ATM遺伝子には66個のエクソンがあり、ATMタンパク質の分子量は約350kDaである。DNA損傷が二本鎖切断を引き起こすと、ATMキナーゼが活性化される。最初に細胞周期チェックポイントの活性化に関与したタンパク質がリン酸化され、細胞周期の停止を引き起こす。細胞は損傷したDNAを修復するか、アポトーシスを起こす(WeberおよびRyan、2016)。
【0006】
ATMキナーゼシグナルの伝達経路は、大きく二つのメカニズムに分けることができる:DNA二本鎖切断によって活性化される典型的なメカニズムとDNA損傷に関連しない非典型的なメカニズム。DNA二本鎖切断が検出されると、ATMキナーゼは切断位置に輸送され、活性化される。詳細な活性化メカニズムはまだ不明だが、活性化プロセスには、ホモ二量体の活性モノマーへの分割(Bakkenist等、2003)、Ser1981および他のアミノ酸での自己リン酸化、およびアセチル化が含まれる。活性化されたATMキナーゼは、細胞周期チェックポイントタンパク質(例えばCHK1やCHK2)、DNA修復タンパク質(BRCA1やRAD51)、アポトーシス経路のタンパク質(p53)を含む下流の基質をさらにリン酸化する。研究によると、DNA二本鎖切断後に、700以上のタンパク質がリン酸化される(Choi、KippsおよびKurzrock、2016)。非定型のメカニズムとして、ATMは代謝やストレス反応など、DNA損傷とは直接関係のない機能に関与している(Cremona等、2013)。
【0007】
ATMキナーゼを標的とする新しい抗癌剤の開発は、主に二つの考慮事項に依存している。DDRメカニズムは、DNA損傷を引き起こすことによって急速に分化した癌細胞を標的とし、放射線療法または細胞毒性化学療法薬(例えばトポイソメラーゼ阻害剤、DNAメチル化薬など)の細胞毒性を大幅に低下させた。したがって、PARP阻害剤やATM阻害剤など、DDRの機能を阻害する薬剤は、これらの薬の有効性を大幅に高めることができ、Gilardini Montani MS等(非特許文献1)によると、ATM発現を低下させると、PARP阻害剤に対する乳癌細胞の感受性を高めることができ、これは、乳房の治療にATM阻害剤とPARP阻害剤を組み合わせて使用するための理論的な基礎を提供する。さらに、Kubota e(非特許文献2)によると、胃癌細胞におけるATMタンパク質の発現レベルがPARP阻害剤オラパリブに対する細胞の感受性と大きく相関し、低分子ATM阻害剤がオラパリブに対するp53不活化胃癌細胞の感受性を高めている。したがって、ATM阻害剤とPARP阻害剤の組み合わせは胃癌の治療に役立つ可能性がる。したがって、DDR機能に欠陥のある癌細胞の場合、ATMキナーゼ阻害剤は合成致死メカニズムによって単剤として使用される可能性がある。特定のメカニズムと患者集団を標的とする抗癌剤は、有効性が高く、毒性が低い可能性がある。
【0008】
Degorce SL等(非特許文献3)は、動物モデルでイリノテカンと組み合わせて優れた有効性を持つ一連の3-キノリンホルムアミドをATMキナーゼ阻害剤として報告した。
【0009】
遺伝的および薬学的な証拠は、ATMキナーゼの活性を低下させると、ハンチントン病(HD)の細胞および動物モデルにおける変異ハンチントン(mHTT)タンパク質の毒性を低下させることができることを示しており、ATMの選択的阻害がHD治療の新しい臨床的介入の可能性を提供した。Leticia TS等(非特許文献4)によると、血液脳関門を通過できるATM阻害剤は、良好な薬力学的(PD)効果を得られ、マウス脳のATMキナーゼに対する阻害効果と一致し、明らかな薬物動態/薬力学(PK/PD)の関係を示した。
【0010】
融合ヘテロアリール化合物は、キナーゼ阻害剤として開示されている。例えば、特許文献1では、PI3Kキナーゼ阻害剤として、融合ヘテロアリール化合物が開示された。特許文献2は、ATMキナーゼ阻害剤としてイミダゾキノリノンを開示している。特許文献3および特許文献4は、キナーゼ阻害剤として、特にATMキナーゼ阻害剤として、置換された融合ヘテロアリール化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2012/034526号
【特許文献2】国際公開第2015/170081号
【特許文献3】国際公開第2018/127195号
【特許文献4】国際公開第2018/153365号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J exp Clin Cancer Res、2013、32:95
【非特許文献2】Cell Cycle、2014、13(13):2129-2137
【非特許文献3】J Med Chem、2016、59:6281-6292
【非特許文献4】J Med Chem、2019、62:2988-3008
【発明の概要】
【0013】
本発明はキナーゼ阻害剤として、特にATMキナーゼ阻害剤として、式I、式II、式IIIaおよび式IIIbで表された新規の置換イミダゾ[1,5-a]キノキサリン化合物を提供する。
【0014】
本発明はまた、癌の治療のために、有効量の式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
一具体的な実施形態では、上記医薬組成物はさらに、癌治療のために、一つまたは複数の薬学的に許容される担体または希釈剤を含んでもいい。
【0016】
一具体的な実施形態では、上記医薬組成物はさらに、癌治療のために、少なくとも一つ既知の抗癌剤またはその薬学的に許容される塩を含んでもいい。
【0017】
本発明はまた、式I、式II、式IIIaおよび式IIIbの新規化合物の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、式Iに示される置換イミダゾ[1,5-a]キノキサリン化合物がキナーゼ阻害活性を有し、キナーゼ阻害剤として、特にATMキナーゼ阻害剤として使用できることを見出した。
【0019】
ここで記載された実施形態の特徴は、本発明の技術的解決策を形成するために任意に組み合わせることができることが、理解されるべきである。ここで、各グループの定義は、ここで記載された実施形態のいずれかに適用される。例えば、ここで、アルキルの置換基の定義は、アルキルの置換基が実施形態において明確に定義されていない限り、ここで記載される実施形態のいずれにも適用される。
【0020】
特に、本発明は、式Iで示される化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物、またはそのプロドラッグを提供する:
【0021】
【化1】
【0022】
1、A2およびA3は独立にN、CR4、CR5およびCR6である;
【0023】
Cyは必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、必要に応じて置換された複素環式基または必要に応じて置換されたシクロアルキルである;
【0024】
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換された炭素環式基、必要に応じて置換された複素環式基、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールである;
【0025】
2はH、必要に応じて置換されたアルキルまたは必要に応じて置換された炭素環式基である;
【0026】
4、R5およびR6は独立に水素、ハロゲ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アジドまたはカルボキシルである;アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオおよびカルボキシルは必要に応じて置換されてもいい。
【0027】
本発明の各実施形態の式Iの化合物では、好ましくは、A1はNまたはCR4であり、A2はNまたはCR5であり、A3はNまたはCR6である。より好ましくは、A1はCR4であり、A2はCR5であり、A3はCR6である;好ましくは、R4、R5およびR6は独立にH、アルキル、アルコキシまたはハロゲンである;さらに好ましくは、R4およびR5はHであり、R6はH、ハロゲンまたはアルコキシである。
【0028】
本発明の各実施形態の式Iの化合物では、Cyは好ましく1、2または3個の窒素原子を含み、必要に応じて置換された5または6員ヘテロアリール、または必要に応じて置換されたアリールである。ヘテロアリールには、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニルおよびピリミジニルが含まれるが、これらに限定されない;いくつかの好ましい実施形態では、Cyは、必要に応じて置換されたピラゾリルである;いくつかの好ましい実施形態では、Cyは、必要に応じて置換されたピリジルである;いくつかの好ましい実施形態では、Cyは、必要に応じて置換されたフェニルである。アリールには、フェニルおよびナフチルが含まれるが、これらに限定されない。Cyの置換基の数は、1、2、3、4または5であり、置換基には、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アジド、カルボキシル、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールが含まれるが、それらに限定されない;アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、カルボキシル、炭素環式基、複素環式基、アリールおよびヘテロアリールは、必要に応じて、例えばアルキル、アミノアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、複素環式基,およびヘテロアリールから選ばれる1、2または3個の置換基によって置換されてもいい。好ましくは、アミノはNR1112であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくは、R11およびR12はNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(例えばモルホリノ)を形成し、それが必要に応じて、例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。
【0029】
好ましい実施形態では、Cyの置換基は、式II、IIIaおよびIIIbの以下の実施形態のいずれかで定義される通りである。いくつかの実施形態では、Cyの置換基はハロゲン、必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換されたC1-6アルコキシ、必要に応じて置換されたアミノまたは必要に応じて置換された複素環式基である;好ましくは、アルキル上の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノからなる群より選ばれ、好ましくは、ハロゲンである;好ましくは、アルコキシ上の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヘテロアリール(好ましくは5または6員窒素含有ヘテロアリール、例えばピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルなど)、およびアミノからなる群より選ばれ、好ましくはアミノである;好ましくは、複素環式基上の置換基は、C1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノからなる群より選ばれ、好ましい複素環式基は一個のNおよび/または一個のOを含む複素環式基であり、テトラヒドロフランリル、モルフォリノ(例えばモルフォリノ)、ピペリジニルおよびピペラジニルを含むが、これらに限定されない。好ましくは、アミノはNR1112であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくは、R11およびR12はNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(例えばモルホリノ)を形成し、それが必要に応じて、例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。いくつかの好ましい実施形態では、Cyが6員環である場合、好ましくは、置換C1-6アルコキシ、置換アミノまたは必要に応じて置換された複素環式基が、パラ位に位置する。
【0030】
式Iの化合物では、好ましくは、R1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換された複素環式基または必要に応じて置換されたヘテロアリールである。好ましい複素環式基は一個のOおよび/または一個のNを含む複素環式基、例えばテトラヒドロピラニル、モルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペリジニルおよびピペラジニルである。好ましいヘテロアリールは、一から三個の窒素原子を含むヘテロアリール、例えばピリジルである。複素環式基およびヘテロアリール上の置換基は、好ましくはヒドロキシ、C1-4アルキル、アミノ、ハロゲン、C1-4アルコキシおよびカルボキシル、より好ましくはC1-4アルキル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基である。C1-6アルキル上の置換基は、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基であってもいい。
【0031】
式Iの化合物では、好ましくは、R2は必要に応じて置換されたC1-10アルキル、好ましくはC1-6アルキル、より好ましくはC1-4アルキルであり、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルを含むが、それらに限定されない。R2が必要に応じて置換された炭素環式基である場合、好ましいR2は必要に応じて置換されたC3-8シクロアルキルである;炭素環式基上の置換基は、好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびカルボキシルからなる群より選ばれる1または2個の置換基である。
【0032】
式Iの化合物では、好ましくは、R4、R5およびR6は独立にH、アルキル、アルコキシまたはハロゲンから選ばれる。
【0033】
式Iの化合物、好ましくは、以下の式IIで表される構造を有する:
【0034】
【化2】
【0035】
1、A2およびA3は独立にN、CR4、CR5およびCR6である;
【0036】
1、B2、B3およびB4は独立にN、CR7、CR8、CR9およびCR10である;
【0037】
1は必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換された炭素環式基、必要に応じて置換された複素環式基、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールである;
【0038】
2は必要に応じて置換されたアルキルまたは必要に応じて置換された炭素環式基である;
【0039】
3は水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールである;アルキル、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールは必要に応じて置換されてもいい;
【0040】
4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、ニトロ、シアノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アジドまたはカルボキシルである;アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルキルチオおよびカルボキシルは必要に応じて独立に置換されてもいい。
【0041】
式IIの化合物では、好ましくは、A1はNまたはCR4であり、A2はNまたはCR5であり、A3はNまたはCR6である。
【0042】
式IIの化合物では、好ましくは、B1はNまたはCR7である;B2はNまたはCR8である;B3はNまたはCR9である;B4はNまたはCR10である。
【0043】
式IIの化合物では、好ましくは、A1、A2およびA3は独立にCR4、CR5およびCR6である。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3の一つはNであり、他の二つ置換基はCR4、CR5およびCR6からなる群より選ばれる。いくつかの実施形態では、A1はN、A2およびA3はそれぞれCR5およびCR6である;またはA2はN、A1およびA3はそれぞれCR4およびCR6である;またはA3はN、A1およびA2はそれぞれCR4およびCR5である。好ましいR4、R5およびR6は、独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシまたはハロゲン化C1-4アルキル、より好ましくは独立に水素、ハロゲンまたはC1-4アルコキシである。好ましい実施形態では、R4およびR5は、独立に水素またはC1-4アルキル、より好ましくは水素である;R6は水素、ハロゲンまたはC1-4アルコキシである。いくつかの好ましい実施形態では、A1、A2およびA3はそれぞれCR4、CR5およびCR6であり、R4、R5およびR6は水素である;他のいくつかの好ましい実施形態では、R4およびR5は水素であり、R6はハロゲンまたはC1-4アルコキシである。
【0044】
式IIの化合物において、好ましくは、B1、B2、B3およびB4はNであり、例えば、B1、B2、B3およびB4を含む環はピリジン環である;好ましくは、B2はN、他はCR7、CR8、CR9およびCR10から選ばれる三つの置換基であり、より好ましくは、B1、B3およびB4はそれぞれCR7、CR9およびCR10である;好ましくは、これらの実施形態では、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびハロゲン化C1-4アルキルであり、より好ましくは、R7、R8、R9およびR10は水素である。いくつかの実施形態では、B1、B2、B3およびB4はそれぞれCR7、CR8、CR9およびCR10であり、つまりB1、B2、B3およびB4を含む環は必要に応じて置換されてもいいフェニル環である。好ましくは、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびハロゲン化C1-4アルキルである。より好ましくは、R7、R8、R9およびR10のうち少なくとも一つが水素ではない;好ましくは、R8は水素ではなく、好ましくはハロゲンおよびハロゲン化C1-4アルキルから選ばれる。いくつかの実施形態では、B1、B2、B3およびB4はそれぞれCR7、CR8、CR9およびCR10である;R8は水素ではなく、例えば、ハロゲン、Cl-4アルコキシまたはハロゲン化C1-4アルキルである;R7、R9およびR10は水素である。
【0045】
好ましくは、式IIの化合物のR1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールおよび必要に応じて置換された複素環式基からなる群より選ばれる。好ましいアルキルはC1-3アルキル、例えばメチル、エチル、およびイソプロピルである。好ましいヘテロアリールは、一から三個の窒素原子を含むヘテロアリール、例えばピリジルである。好ましい複素環式基は一個のOおよび/または一個のNを含む複素環式基、例えばテトラヒドロフラニル、モルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペリジニルおよびピペラジニルである。好ましい実施形態では、必要に応じて置換された複素環式基はテトラヒドロ-2H-フラン-4-イル、1-モルホリニル、ピペリジン-1-イルまたはピペラジン-1-イルである。ヘテロアリールもしくは複素環式基上の置換基は、好ましくはヒドロキシ、C1-4アルキル、アミノ、ハロゲン、C1-4アルコキシおよびカルボキシル、より好ましくはC1-4アルキル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基である。好ましくは、ヘテロアリールまたは複素環式基が6員環である場合、一つまたは複数の置換基はメタ位および/またはパラ位に位置する。C1-6アルキル上の置換基は、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基であってもいい。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態では、R1は非置換イソプロピルである;いくつかの好ましい実施形態では、R1は非置換テトラヒドロフラニルである;いくつかの好ましい実施形態では、R1は必要に応じて1または2個のC1-4アルキルによって置換されたモルホリニルであり、好ましくは、一つまたは複数の置換基がメタ位に位置する;いくつかの好ましい実施形態では、R1は必要に応じて1-3個のC1-4アルキルによって置換されたピペリジニルまたはピペラジニルであり、好ましくは、一つまたは複数の置換基がパラ位および/またはメタ位に位置する。いくつかの実施形態では、式IIの化合物のR1は好ましく必要に応じて置換されたヘテロアリールである。ヘテロアリールの例としては、例えば、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニルおよびピリミジニルなどの1-3個の窒素原子を含むヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されない;置換基の例としては、ハロゲン、C1-4アルキルおよびC1-4アルコキシが挙げられるが、これらに限定されない。R1の例としては、以下の群から選ばれる:
【0047】
【化3】
【0048】
式IIの化合物のR2は、好ましくは、C1-10アルキル、より好ましくはC1-6アルキル、より好ましくは C1-4アルキルであり、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルを含むが、それらに限定されない。式IIの化合物のR2が必要に応じて置換された炭素環式基である場合、好ましいR2は必要に応じて置換されたC3-8シクロアルキルである;炭素環式基上の置換基は、好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびカルボキシルからなる群より選ばれる1または2個の置換基である。
【0049】
式IIの化合物のR3が置換されている場合、好ましくは、置換基の数は1、2または3である;好ましい置換基はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、およびヘテロアリールから選ばれる。好ましいR3は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換されたC1-6アルコキシ、必要に応じて置換されたアミノまたは必要に応じて置換された複素環式基であり、より好ましくは置換されたC1-6アルコキシ、置換されたアミノまたは置換された複素環式基である。より好ましいR3は置換C1-6アルコキシ、-NR11'-C1-6アルキル-NR11'12'または置換複素環式基であり、R11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、もしくはそれらがNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(モルホリノ)を形成し、それが必要に応じて例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。好ましくは、アルコキシ上の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヘテロアリール (好ましくは5または6員窒素含有ヘテロアリール、例えばピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニルなど)およびアミノからなる群より選ばれ、好ましくはアミノである。好ましくは、複素環式基上の置換基は好ましくC1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノから選ばれ、好ましくは、複素環式基は一つNおよび/または一つOを含む複素環式基であり、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、ピペリジニルおよびピペラジニルが含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、アミノはNR1112であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくは、R11およびR12はNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(モルホリノ)を形成し、それが必要に応じて、例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。 R3の例としては、以下の群から選ばれる:
【0050】
【化4】
【0051】
特に好ましい式IIの化合物では、R2はC1-4アルキルであり、他の置換基は上記のいずれかの実施形態で定義される。
【0052】
本発明の好ましい化合物の一つのグループは、式IIIaおよびIIIbの化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物またはその薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグで表される:
【0053】
【化5】
【0054】
1、B3、B4、R1、R2、R3、R7、R8、R9およびR10は式IまたはIIに定義される;R6は水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシである。
【0055】
式IIIaおよびIIIbの化合物の一つまたは複数の実施形態では、B1、B3、B4、R1、R2、R3、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ式IまたはIIの上記いずれかの実施形態で定義される。
【0056】
式IIIaおよびIIIbの化合物の一つまたは複数の実施形態では、R2はC1-3アルキル、好ましくはメチルである。
【0057】
式IIIaの化合物の上記一つまたは複数の実施形態では、B1、B3およびB4はそれぞれCR7、CR9およびCR10である;R7、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルである。好ましくは、R7、R9およびR10は全部水素である。
【0058】
式IIIbの化合物の一つまたは複数の実施形態では、R8は水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルである;好ましくは、R8はハロゲン、C1-4アルコキシおよびハロゲン化C1-4アルキルである。好ましくは、R7、R9およびR10は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキルまたはハロゲン化C1-4アルキルであり、好ましくは水素である。
【0059】
式IIIaおよびIIIbの化合物の上記一つまたは複数の実施形態では、R1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換された複素環式基である。好ましいアルキルはC1-3アルキル、例えばイソプロピルである。好ましいヘテロアリールは、一から三個の窒素原子を含むヘテロアリール、例えばピリジルである。好ましい複素環式基は一個のOおよび/または一個のNを含む複素環式基、例えばテトラヒドロフラニル、モルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペリジニルおよびピペラジニルである。好ましい実施形態では、必要に応じて置換された複素環式基はテトラヒドロ-2H-フラン-4-イル、1-モルホリニル、ピペリジン-1-イルまたはピペラジン-1-イルである。ヘテロアリールおよび複素環式基上の置換基は、好ましくはヒドロキシ、C1-4アルキル、アミノ、ハロゲン、C1-4 アルコキシおよびカルボキシル、より好ましくはC1-4アルキル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシから選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基である。好ましくは、ヘテロアリールまたは複素環式基が6員環である場合、一つまたは複数の置換基はメタ位および/またはパラ位に位置する。C1-6アルキル上の置換基は、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる一つまたは複数(例えば1-3)の置換基であってもいい。いくつかの好ましい実施形態では、R1は非置換イソプロピルである;いくつかの好ましい実施形態では、R1は非置換テトラヒドロフラニルである;いくつかの好ましい実施形態では、R1は必要に応じて1または2個のC1-4アルキルによって置換されたモルホリニルであり、好ましくは、一つまたは複数の置換基がメタ位に位置する;いくつかの好ましい実施形態では、R1は必要に応じて1-3個のC1-4アルキルによって置換されたピペリジニルまたはピペラジニルであり、好ましくは、一つまたは複数の置換基がパラ位および/またはメタ位に位置する。R1の例としては、以下の群から選ばれる:
【0060】
【化6】
【0061】
式IIIaの化合物の上記一つまたは複数の実施形態では、B1、B3およびB4を含む環は必要に応じて置換されたピリジン環である。本発明において、R3に加えて、B1、B3およびB4を含む環上の置換基もR7、R9およびR10を含んでもいいことが、理解されるべきである。好ましいR7、R9およびR10は独立にハロゲン、C1-4アルキルおよびハロゲン化C1-4アルキルから選ばれる。
【0062】
式IIIaおよびIIIbの化合物の上記一つまたは複数の実施形態では、R3が置換されている場合、好ましくは、置換基の数は1-3である;好ましい置換基はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、およびヘテロアリールから選ばれる。好ましいR3は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、必要に応じて置換されたC1-6アルコキシ、必要に応じて置換されたアミノ、または必要に応じて置換された複素環式基である。より好ましいR3は置換C1-6アルコキシ、-NR11'-C1-6アルキル-NR11'12'または置換複素環式基であり、R11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、もしくはそれらがNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(モルホリノ)を形成し、それが必要に応じて例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。好ましくは、アルコキシ上の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、ヘテロアリール(好ましくは5または6員窒素含有ヘテロアリール、例えばピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニルなど)およびアミノから選ばれ、好ましくはアミノである;好ましくは、複素環式基上の置換基は好ましくC1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノから選ばれ、好ましくは、複素環式基は一つのNおよび/または一つのOを含む複素環式基であり、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、ピペリジニルおよびピペラジニルが含まれるが、それらに限定されない。 好ましくは、アミノはNR1112であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくは、R11およびR12はNと一緒に4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニル(モルホリノ)を形成し、それが必要に応じて、例えばハロゲン、アルキルおよびアルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されてもいい。R3の例としては、以下の群から選ばれる:
【0063】
【化7】
【0064】
式IIIaおよびIIIbの化合物の上記一つまたは複数の実施形態では、R6は水素、ハロゲンおよびC1-4アルコキシである。好ましくは、R6は水素である。
【0065】
式I、II、IIIaおよびIIIbの上記一つまたは複数の実施形態では、必要に応じて置換されたR1のアルキル、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールは、ここで記載されたアルキル、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールの置換基から選ばれる一つまたは複数の置換基によって置換されてもいい。
【0066】
式I、II、IIIaおよびIIIbの上記一つまたは複数の実施形態では、必要に応じて置換されたR3のアルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールは、ここで記載されたアルキル、アルコキシ、アミノ、炭素環式基、複素環式基、アリールまたはヘテロアリールの置換基から選ばれる一つまたは複数の置換基によって置換されてもいい。
【0067】
式II、IIIaおよびIIIbの上記一つまたは複数の実施形態では、必要に応じて置換されたR4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフィドリル、アルキルチオまたはカルボキシルの一つまたは複数の置換基は、ここで記載されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフィドリル、アルキルチオまたはカルボキシルの一つまたは複数の置換基から選ばれる。
【0068】
式IIIbの上記一つまたは複数の実施形態では、必要に応じて置換されたR7、R8、R9およびR10のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフィドリル、アルキルチオまたはカルボキシルの一つまたは複数の置換基は、ここで記載されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、ヒドロキシ、スルフィドリル、アルキルチオまたはカルボキシルの一つまたは複数の置換基から選ばれる。
【0069】
式II、IIIaおよびIIIbの一つまたは複数の好ましい実施形態では:A1、A2およびA3はそれぞれCR4、CR5およびCR6であり、R4、R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシまたはハロゲン化C1-4アルキルであり、好ましくは、独立に水素、ハロゲンおよびC1-4アルキルであり、より好ましくは、R4およびR5はHであり、R6はH、ハロゲンまたはアルコキシである;B1、B2、B3およびB4を含む環(式II)またはB1、B3およびB4を含む環(式IIIa)は、必要に応じて置換されたピリジン環または必要に応じて置換されたフェニル環であり、R7、R8、R9およびR10は独立に水素、C1-6アルキル、ハロゲンおよびハロゲン化C1-6アルキルから選ばれ、好ましくは、独立にハロゲンおよびハロゲン化C1-4アルキルから選ばれ、より好ましくは、R7、R9およびR10はHであり、R8はハロゲンまたはハロゲン化C1-4アルキルである;R1は必要に応じて置換されたC1-6アルキル、ヘテロアリールまたは必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換された複素環式基であり、好ましくはC1-4アルキル、必要に応じてに1-4個のC1-6アルキルよって置換されたテトラヒドロピラニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペリジニル、必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニルおよび必要に応じて1-4個のC1-6アルキルによって置換されたピペラジニルから選ばれる;R2はC1-6アルキル、好ましくは C1-4アルキル、より好ましくはメチルである;R3は必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルキル、必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、および必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基から選ばれ、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれる;もしくはR11およびR12はNと一緒に必要に応じて置換されてもいい4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル,およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニルを形成する。好ましくは、R6は水素、ハロゲンまたはC1-4アルコキシである。
【0070】
式IIIaの一つまたは複数の実施形態では:
1、B3、およびB4はCHである;
【0071】
1は必要に応じてC1-6アルキルからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換された複素環式基であり、好ましくは、R1は必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニル(例えばモルホリノ)である;
【0072】
2はC1-4アルキル、好ましくはメチルである;
【0073】
3は必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、または必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はN原子と一緒に必要に応じて1-2個のアルキルによって置換された4-8員複素環式基(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル,およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニル)を形成する;好ましくは、必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基はピペリジニルまたはピペラジニルであり、その環上窒素原子が化合物の残りの部分と接続し、それが好ましくは-NR1112基によって置換される;
6は水素、ハロゲン、またはC1-4アルコキシ、好ましくは水素である。
【0074】
式IIIbの一つまたは複数の実施形態では:
1は必要に応じてC1-6アルキルからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換された複素環式基であり、好ましくは、R1は必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニル(例えばモルホリノ)である;
【0075】
2はC1-4アルキル、好ましくはメチルである;
【0076】
3は必要に応じて-NR1112によって置換されたC1-6アルコキシ、または必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基であり、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はN原子と一緒に必要に応じて1-2個のアルキルによって置換された4-8員複素環式基(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル,およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニル)を形成する;好ましくは、必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基はピペリジニルまたはピペラジニルであり、その環上窒素原子が化合物の残りの部分と接続し、それが好ましくは-NR1112基によって置換される;
【0077】
6は水素、ハロゲン、またはC1-4アルコキシ、好ましくは水素である;
7、R9およびR10はHである。
【0078】
式IIIbの一つまたは複数の実施形態では:
1はC1-6アルキル、必要に応じてハロゲン、C1-4アルキルおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる1-3個の置換基によって置換されたヘテロアリール、または必要に応じてC1-6アルキルからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換された複素環式基であり、好ましくは、R1はC1-4アルキル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたテトラヒドロピラニル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたピペリジニル、必要に応じて1-2個のC1-6アルキルによって置換されたモルホリニル、必要に応じてハロゲンおよびC1-4アルコキシからなる群より選ばれる1-2個の置換基によって置換されたピリジル、または必要に応じて1-3個のC1-6アルキルによって置換されたピペラジニルである;
【0079】
2はC1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、より好ましくはメチルである;
【0080】
3は必要に応じて-NR1112、-NR11'-C1-6アルキル-NR11'12'によって置換されたC1-6アルコキシ、または必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基であり、R11'およびR12'は独立にHおよびC1-4アルキルからなる群より選ばれ、R11およびR12は独立に水素またはC1-6アルキルから選ばれ、もしくはR11およびR12はNと一緒に必要に応じて1-2個のアルキルによって置換された4-8員複素環式基(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、およびモルホリニル(例えばモルホリノ)、ピペラジニル)を形成する;好ましくは、必要に応じて-NR1112によって置換された複素環式基はピペリジニルまたはピペラジニルであり、その環上窒素原子が化合物の残りの部分と接続し、それが好ましくは-NR1112基によって置換される;
【0081】
6は水素、ハロゲンまたはC1-4アルコキシである;
7、R9およびR10はHである;
8はH、ハロゲン、1-4個のハロゲンによって置換されるC1-4アルキル、またはC1-4アルコキシである。
【0082】
一つまたは複数の上記の実施形態では、好ましい式I、式II、式IIIaおよび式IIIbの化合物の例としては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:
【0083】
N,N-ジメチル-3-(4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例1);
【0084】
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例2);
【0085】
N,N-ジメチル-3-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例3);
【0086】
N,N-ジメチル-3-(2-フルオロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例4);
【0087】
N,N-ジメチル-3-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例5);
【0088】
N,N-ジメチル-1-(2-フルオロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例6);
【0089】
N,N-ジメチル-1-(2-クロロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例7);
【0090】
N,N-ジメチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-1-アミン(実施例8);
【0091】
1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例9);
【0092】
N-メチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例10);
【0093】
N-エチル-1-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例11);
【0094】
3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1yl)プロポキシ)ピリジン-3yl)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(実施例12);
【0095】
8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(実施例13);
【0096】
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-モルホリニルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例14);
【0097】
N,N-ジメチル-3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例15);
【0098】
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(ピペリジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例16);
【0099】
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(4-メチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例17);
【0100】
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-((3S,5R)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例18);
【0101】
N,N-ジメチル-3-((5-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例19);
【0102】
N,N-ジメチル-3-(2-フルオロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例20);
【0103】
N,N-ジメチル-3-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(実施例21);
【0104】
1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3yl)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(実施例22);
【0105】
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1yl)プロポキシ)ピリジン-3yl)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(実施例23);
【0106】
N,N-ジメチル-1-(2-フルオロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例24);
【0107】
N,N-ジメチル-1-(2-クロロ-4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例25);
【0108】
N,N-ジメチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例26);
【0109】
1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例27);
【0110】
N-メチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例28);
【0111】
N-エチル-1-(4-(1-イソプロピル-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペリジン-4-アミン(実施例29);
【0112】
8-(1,3-ジメチル-4H-1λ4-ピラゾール-4-イル)-1-(3-フルオロ-5-メトキシピリジン-4-イル)-7-メトキシ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン(実施例30);
【0113】
(2S,6R)-4-(8-(6-(3-(アゼチジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン(実施例31);
【0114】
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(実施例32);
【0115】
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(実施例33);
【0116】
(2S,6R)-4-(8-(6-(2-(1H-イミダゾl-2-イル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン(実施例34);
【0117】
(2S,6R)-4-(8-(6-(2-(1H-イミダゾl-4-イル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン(実施例35);
【0118】
2-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン(実施例36);
【0119】
3-((4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例37);
【0120】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(実施例38);
【0121】
1-(4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-フルオロフェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(実施例39);
【0122】
1-(2-クロロ-4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(実施例40);
【0123】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-エチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例41);
【0124】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-イソプロピルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例42);
【0125】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例43);
【0126】
N,N-ジメチル-3-((5-(1-((3S,5R)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例44);
【0127】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(実施例45);
【0128】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(実施例46);
【0129】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N1,N3,N3-トリメチルプロパン-1,3-ジアミン(実施例47);
【0130】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-アミン(実施例48);
【0131】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-メチルピペリジン-4-アミン(実施例49);
【0132】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-エチルピペリジン-4-アミン(実施例50);
【0133】
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-イソプロピルピペリジン-4-アミン(実施例51);
【0134】
(2S,6R)-4-(8-(6-(4-(アゼチジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリン(実施例52);
【0135】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(実施例53);
【0136】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-メチルプロパン-1-アミン(実施例54);
【0137】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-エチルプロパン-1-アミン(実施例55);
【0138】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N-エチル-N-メチルプロパン-1-アミン(実施例56);
【0139】
3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジエチルプロパン-1-アミン(実施例57);
【0140】
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-モルホリノプロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(実施例58);
【0141】
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(実施例59);
【0142】
(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチル)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(実施例60);
【0143】
3-(4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-フルオロフェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例61);
【0144】
3-(2-クロロ-4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例62);
【0145】
1-(5-(1-((2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミンおよび1-(5-(1-((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(実施例63);
【0146】
3-((5-(1-((2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンおよび3-((5-(1-((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(実施例64);
【0147】
またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグ。
【0148】
ここで使用される用語「水素(H)」には、その同位体DおよびTが含まれる。
【0149】
ここで使用される用語「アルキル」は、アルキル自体または10個までの炭素の直鎖または分岐ラジカルを指す。使用できるアルキル基には、直鎖または分岐C1-10アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、例えばC1-4アルキル基が含まれる。典型的なC1-10アルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基およびオクチル基が含まれる。アルキルは、必要に応じて、ここで記載される一つまたは複数の置換基によって置換されてもいい。
【0150】
ここで使用される用語「アルケニル」は、鎖内に少なくとも一つ二重結合を有する、通常2-10個の炭素原子の直鎖または分枝ラジカルを指す。典型的なアルケニル基には、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニルおよび2-ブテニルが含まれる。
【0151】
ここで使用される用語「アルキニル」は、鎖内に少なくとも一つ三重結合を有する、通常2-10個の炭素原子の直鎖または分枝ラジカルを指す。典型的なアルキニル基には、エチニル、1-プロピニル、1-メチル-2-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニルおよび2-ブチニルが含まれる。
【0152】
使用できるアルコキシ基には、例えば、C1-6アルコキシ基またはC1-4アルコキシ基などの上記のC1-10アルキル基の一つで置換された酸素が含まれる。アルコキシの中におけるアルキルは置換されてもよい。アルコキシの置換基には、ハロゲン、モルホリニル、アミノ(アルキルアミノおよびジアルキルアミノを含む)およびカルボキシル(そのエステルを含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
使用できるアルキルチオ基には、上記のC1-10アルキル基の一つで置換された硫黄が含まれ、アルキルチオ中のアルキルは、必要に応じて置換されてもいい。そのアルキルチオのスルホキシドおよびスルホンも含まれる。
【0154】
使用できるアミノ基には、-NR1112が含まれ、R11およびR12は独立に水素、必要に応じて置換されたC1-10アルキル(例えばC1-6アルキルまたはC1-4アルキル)、必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたアミノである。あるいは、R11およびR12はNと一緒に必要に応じて置換された4-8員複素環式基、例えばピペリジンを形成し、またはR11およびR12はNおよび他のNまたはOと一緒に必要に応じて置換された4-8員複素環式基、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルを形成する。アルキルおよび複素環式基は、必要に応じて置換されてもよい。
【0155】
使用できるハロゲンまたはハロゲン基には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
【0156】
ここで使用される用語「アリール」は、アリール自体または他の置換基の一部を指し、6-14個の炭素原子を含む単環式、二環式または三環式芳香族基を指す。
【0157】
使用できるアリール基には、C6-14アリール基、好ましくはC6-10アリール基が含まれる。典型的なC6-14アリール基には、フェニル基、ナフタレン基、フェナントリル基、アントラシル基、インデニル基、アズリル基、ビフェニル基、ビフェニレン基およびフルオレニル基が含まれる。
【0158】
ここで使用される用語「ヘテロアリール」は、5-14個の環原子を含み、6、10または14個のπ電子が環で共有され、含まれる環原子は炭素原子および酸素、窒素および硫黄から選択される1-3個のヘテロ原子である置換基を指す。
【0159】
使用できるヘテロアリール基には、チエニル(チオフェニル)、ベンゾ[d]イソチアゾール-3-イル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル(フラニル)、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンチイニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル(ピリジニル:2-ピリジル、3-ピリジル、および4-ピリジルを含むがこれらに限定されない)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノザリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾール-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、ピロロピリジル、例えばピロロ[2,3-b]ピリジル、ベンゾイソキサゾリル、例えば1,2-ベンゾイソキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-ヒドロキシインドリル、チアジアゾリルおよび2-オキソベンジソキサゾールが含まれる。ヘテロアリールが環内に窒素原子を含む場合、その窒素原子は、N-オキシド、例えば、ピリジル-N-オキシド、ピラジニル-N-オキシドおよびピリミジニル-N-オキシドであってもいい。
【0160】
ここで使用される用語「炭素環(炭素環式基)」には、シクロアルキルおよび部分的に飽和した炭素環式基が含まれる。使用できるシクロアルキルはC3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が含まれる。
【0161】
使用できる部分的に飽和した炭素環式基には、シクロペンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基が含まれる。
【0162】
ここで使用される用語「複素環(複素環式基)」は、炭素原子およびO、N、Sから選ばれる1-4個の環原子としてのヘテロ原子からなる飽和または部分的に飽和した3-8員単環式基、または7-10員二環式基を指す。窒素および硫黄ヘテロ原子は必要に応じて酸化されてもよく、窒素は必要に応じて四級化されてもいい。この用語はまた、上記で定義された複素環のいずれかがフェニル環に融合される任意の二環式環系を含む。安定な化合物が得られる場合、複素環は炭素原子または窒素原子で置換されてもいい。
【0163】
使用できる飽和または部分的に飽和した複素環式基には、必要に応じて置換されてもいいテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラノイルおよびテトラモイルが含まれる。
【0164】
本発明において、他に記載がない限り、置換された場合では、アリール、ヘテロアリール、炭素環式基および複素環式基は、通常以下の群から選ばれる一つまたは複数(例えば1、2、3、または4)の置換基によって置換されてもいい:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、C1-6アシルアミノ、C1-6アシルオキシ、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、C1-6アルキル、C6-10アリール、C3-8シクロアルキル、C2-6鎖状アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール(C2-6)鎖状アルケニル、C6-10アリール(C2-6)アルキニル、飽和および非飽和複素環式基またはヘテロアリール、メチレンジオキシ、ハロゲン化C1-6アルキル、C6-10アリール(C1-6)アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、ウレイド、チオール、アジド、カルボニル、ジ(C1-10アルキル)アミノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、およびアルキルスルフィニイルなど。ここで、また、ここで記載されるように、置換基自体は必要に応じて相応する置換基によって置換されてもいい。
【0165】
本発明において、他に記載がない限り、置換された場合では、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキルは、通常以下の群から選ばれる一つまたは複数(例えば1、2、3、または4)の置換基によって置換されてもいい:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、C1-6アシルアミノ、C1-6アシルオキシ、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、C1-6アルキル、C6-10アリール、C3-8シクロアルキル、C2-6鎖状アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール(C2-6)鎖状アルケニル、C6-10アリール(C2-6)アルキニル、飽和および非飽和複素環式基またはヘテロアリール、メチレンジオキシ、C1-6ハロゲン化アルキル、C6-10アリール(C1-6)アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、ウレイド、チオール、アジド、カルボニル、ジ(C1-10アルキル)アミノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、およびアルキルスルフィニイルなど。ここで、また、ここで記載されるように、置換基自体は必要に応じて相応する置換基によって置換されてもいい。
【0166】
好ましい実施形態では、他に記載がない限り、置換された場合では、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、カルボニル、炭素環式基、アリール、ヘテロアリール、炭素環式基および複素環式基は、通常以下の群から選ばれる一つまたは複数(例えば1、2、3、または4)の置換基によって置換されてもいい:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シアノ、C1-6アシルアミノ、C1-6アシルオキシ、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、C1-6アルキル、C6-10アリール、C3-8シクロアルキル、C2-6鎖状アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール(C2-6)鎖状アルケニル、C6-10アリール(C2-6)アルキニル、飽和および非飽和複素環式基またはヘテロアリール。
【0167】
置換基がアリールまたはアリール含有置換基、ヘテロアリールまたはヘテロアリール含有置換基、複素環式基または複素環式基含有置換基である場合、置換基の数は通常1であることが、理解されるべきである。
【0168】
用語「アリールアルキル」は、上記C6-14アリールのいずれか一つで置換されたC1-10アルキルを含む。好ましいアリールメチルは、ベンジル、フェニルエチルまたはナフチルメチルである。
【0169】
用語「アリールアルケニル」は、上記C6-14アリールのいずれか一つで置換されたC2-10アルケニルを含む。
【0170】
用語「アリールアルキニル」は、上記C6-14アリールのいずれか一つで置換されたC2-10アルキニルを含む。
【0171】
「アリールオキシ」という用語は、上記のC6-14アリールのいずれか一つで置換された酸素を含み、そのアリールは、必要に応じて置換されてもいい。使用できるアリールオキシ基には、フェノキシおよび4-メチルフェノキシが含まれる。
【0172】
「アリールアルコキシ」という用語は、上記のアリールのいずれか一つで置換されたC1-10アルコキシを含み、そのアリールは、必要に応じて置換されてもいい。使用できるアリールアルコキシ基には、ベンジルオキシおよびフェニルエトキシが含まれる。
【0173】
使用できるハロゲン化アルキル基には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選ばれる一つまたは複数のハロゲンで置換されたC1-10アルキル、好ましくは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選ばれる一つまたは複数のハロゲンで置換されたC1-6アルキルが含まれ、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、クロロメチル、クロロフルオロメチルおよびトリクロロメチルである。
【0174】
使用できるアシルアミノ(アシルアミド)基は、アミノ窒素に接続した任意のC1-6アシル(アルカノイル)であり、例えば、アセトアミド、プロピオナミド、ブタノイラミド、ペンタノイラミドおよびヘキサノイラミド、ならびにアリールで置換されたC1-6アシルアミノ基、例えば、ベンゾイラミドである。使用できるアシル基には、C1-6アシル基、例えば、アセチル基が含まれる。アシル自体は、例えば、必要に応じてアリールおよびハロゲンから選ばれる一つまたは複数(例えば、6未満)の置換基によって置換されてもいい。アリールは、必要に応じて置換されてもいい。例えば、置換アシルアミノ基の例としては、クロロアセトアミドおよびペンタフルオロベンゾイルアミノが挙げられる。
【0175】
使用できるアシルオキシ基は、酸素(-O-)に接続した任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシおよびヘキサノイルオキシである。同様に、アシルオキシ自体のアシルは、例えば、必要に応じてアリールおよびハロゲンから選ばれる一つまたは複数(例えば、6未満)の置換基によって置換されてもいい。
【0176】
本発明の化合物のいくつかは、光学異性体を含む立体異性体として存在してもいい。本発明は、すべての立体異性体およびその立体異性体のラセミ混合物、ならびに当業者が周知の方法に従って分離できる個々のエナンチオマーを含む。
【0177】
薬学的に許容される塩の例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩およびシュウ酸塩などの無機および有機酸塩;ナトリウムヒドロキシ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS、トロメタミン)およびN-メチル-グルカミンなどの塩基で形成された無機および有機塩基塩が挙げられる。
【0178】
本発明の化合物のプロドラッグの例としては、カルボン酸含有化合物の単純なエステル(例えば、当技術分野で既知の方法に従ってC1-4アルコールとの縮合によって得られるもの);ヒドロキシ含有化合物のエステル(例えば、当技術分野で既知の方法に従ってC1-4カルボン酸、C3-6二酸またはその無水物、例えば、無水コハク酸および無水フマル酸との縮合によって得られるもの);アミノ含有化合物のイミン(例えば、当技術分野で既知の方法に従ってC1-4アルデヒドまたはケトンとの縮合によって得られるもの);アミノ含有化合物のカルバメート、例えば、Leu等(J.Med.Chem.1999、42:3623-3628)およびGreenwald等(J.Med.Chem.1999、42:3657-3667)によって記載されたもの;およびアルコール含有化合物のアセタールおよびケタール(例えば、当技術分野で既知の方法に従ってクロロメチルメチルエーテルまたはクロロメチルエチルエーテルとの縮合によって得られるもの)が挙げられる。
【0179】
本発明の化合物は、当業者に知られている方法、または本発明の新規な方法によって調製することができる。特に、本発明の式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物は、スキーム1に例示された反応の通り調製できる。7-ブロモ-2-クロロキノキサリン、トリブチル(1-エトキシエチレン)スズおよびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドを加熱下でトルエン中で反応させて、1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)-1-エタノンを得た。シアノ水素化ホウ素ナトリウム、1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)-1-エテノンおよび酢酸アンモニウムをメタノール中で室温で反応させ、1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミンを得た。1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミンおよびテトラヒドロピラン-4-カルボン酸を、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩および1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、室温でピリジン中で反応させ、N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミドを得た。トリフルオロメタンスルホン酸無水物、N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミドおよびピリジンのジクロロメタン溶液を室温で反応させて、8-ブロモ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンを得た。[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体と炭酸セシウムを触媒とし、8-ブロモ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンおよびN、N-ジメチル-3-((5-(4,4,5、 5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンを、1,4-ジオキサンと水の混合溶媒中で加熱下で反応させ、目的化合物N、N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4)-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンを得た。
【0180】
【化8】
【0181】
他の関連化合物も同様に調製できる。例えば、N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンがN,N-ジメチル-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミンに置き換えられると、目的化合物N,N-ジメチル-3-(4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェノキシ)プロパン-1-アミンが得られる。N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが1-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミンに置き換えられると、目的化合物N,N-ジメチル-1-(2-フルオロ-4-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェニル)ピペリジン-4-アミンが得られる。N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸に置き換えられると、目的化合物8-(1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンが得られる。テトラヒドロピラン-4-カルボン酸が塩化イソブチリルに置き換えられると、目的化合物1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンが得られる。7-ブロモ-2-クロロキノキサリンが7-ブロモ-2-クロロ-6-フルオロキノキサリンに置き換えられると、目的化合物7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンが得られる。
【0182】
本発明の化合物は、スキーム2に例示された反応の通り調製できる。1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミン、モルホリン-4-カルボニルクロリドおよびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)をDCM中で室温で反応させて、N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)モルホリン-4-ホルムアミドを得る。N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)モルホリン-4-ホルムアミドとPOCl3を加熱下で反応させて、4-(8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリンを得る。[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体および炭酸セシウムを触媒とし、4-(8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリンおよびN,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンを1,4-ジオキサンと水の混合溶媒中で加熱下で反応させ、目的化合物N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-モルホリニルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンを得る。
【0183】
【化9】
【0184】
他の関連化合物も同様に調製できる。例えば、モルホリン-4-カルボニルクロリドが(2R,6S)-2,6-ジメチルモルホリン-4-カルボニルクロリドに置き換えられると、目的化合物N,N-ジメチル-3-((5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリニル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが得られる。モルホリン-4-カルボニルクロリドが(3R,5S)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-カルボニルクロリドに置き換えられると、目的化合物N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-((3S,5R)-3,4,5-トリメチルピペラジン-1-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが得られる。N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが2-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)ピリジンに置き換えられると、目的化合物(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリンが得られる。N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンが1-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミンに置き換えられると、目的化合物1-(4-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリニル)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)-2-フルオロフェニル)-N,N-ジメチルピペリジン-4-アミンが得られる。
【0185】
本発明の化合物は、スキーム3に例示された反応の通り調製できる。
【0186】
【化10】
【0187】
他の関連化合物も同様に調製できる。例えば、N1,N1-ジメチル-N3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)プロパン-1,3-ジアミンが1-(6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)ピペリジン-4-アミンに置き換えられると、目的化合物1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-アミンが得られる。N1,N1-ジメチル-N3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)プロパン-1,3-ジアミンがN-メチル-1-(6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-イル)ピペリジン-4-アミンに置き換えられると、目的化合物1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N-メチルピペリジン-4-アミンが得られる。N1,N1-ジメチル-N3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)プロパン-1,3-ジアミンが1-メチル-4-(3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロピル)ピペラジンに置き換えられると、目的化合物(2S,6R)-2,6-ジメチル-4-(3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリンが得られる。(2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリンが(2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリンに置き換えられると、目的化合物3-((5-(1-((2R,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンおよび3-((5-(1-((2S,6S)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンが得られる。
【0188】
本発明の一つ重要な態様は、式I、式II、式IIIaおよび式IIIbの化合物がキナーゼ阻害剤、特にATMキナーゼ阻害剤であるという発見である。したがって、これらの化合物は、DDR機能の欠陥によって引き起こされる様々な臨床症状を治療または予防するため、あるいはキナーゼ活性の阻害から促進される疾患を治療または予防するために使用することができる。これらの疾患は、DDR媒介性疾患またはキナーゼ媒介性疾患とも呼ばれる。したがって、本発明は、DDR機能の欠陥によって引き起こされる臨床症状またはキナーゼ活性の阻害から促進される疾患の治療または予防のための薬剤の製造における式I、式II、式IIIaおよび式IIIbの化合物の応用を提供する。さらに、出願人は、必要に応じて置換されたアルキル、特に必要に応じて置換されたC1-4アルキル、具体的にメチルであるR2を有する式Iの化合物、特に式II、式IIIaおよび式IIIbで定義されるものは、高い活性を有するATMキナーゼ阻害剤であることを発見した。したがって、好ましい実施形態では、本発明は特に、C1-4アルキル基であるR2を有するこれらの化合物がDDR機能の欠陥によって引き起こされる様々な臨床症状の治療または予防あるいはキナーゼ活性の阻害から促進される疾患の治療または予防での応用、DDR機能の欠陥によって引き起こされる臨床症状またはキナーゼ活性の阻害から促進される疾患の治療または予防に用いる医薬品の製造、およびこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0189】
本発明はさらに、必要とする対象に有効量の式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグ、あるいは有効量の式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグを含む医薬組成物を投与することを含むDDR媒介性疾患またはキナーゼ媒介性疾患の治療または予防の方法を含む。
【0190】
本発明において、DDR機能の欠陥またはキナーゼ活性の阻害によって促進される疾患、またはDDR媒介またはキナーゼ媒介疾患によって引き起こされる臨床症状には、癌が含まれるが、それに限定されない。癌には、肝癌、メラノーマ、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、精巣癌、軟組織肉腫、原発性マクログロブリン血症、膀胱癌、慢性骨髄性白血病、原発性脳癌、悪性黒色腫、小細胞肺癌、胃癌、結腸癌、悪性膵島腫瘍、悪性癌様癌、絨毛癌、真菌性真菌症、頭頸部癌、骨形成肉腫、膵臓癌、急性骨髄性白血病、毛細胞白血病、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、泌尿生殖器腫瘍、甲状腺癌、食道癌、悪性高カルシウム血症、頸部過形成、腎細胞癌、子宮内膜癌、多発性赤血球癌、特発性血栓細胞血症、副腎皮質癌、皮膚癌、前立腺癌およびハンチントン病を含むが、これらに限定されない。本発明では、キナーゼは、ATM(毛細血管拡張性運動失調症変異遺伝子)キナーゼを含む;したがって、いくつかの実施形態では、本発明で記載された癌は、ATMキナーゼ媒介性癌であり、好ましくは、ATMキナーゼ活性の阻害により促進される癌である。
【0191】
本発明の治療方法を実施する際に、これらの症状の1つまたは複数を示す患者に、有効量の医薬製剤が投与される。医薬製剤は、治療有効濃度の式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物を含み、癌および他の疾患の治療のための経口、静脈内、局部または局所投与に適用される。量は、1つまたは複数の症状を改善または消去するのに有効である。特定の疾患を治療するための化合物の有効量は、疾患に関連する症状を改善するか、または何らかの方法で緩和するのに十分な量である。その量は、単回投与として投与されてもよく、もしくは有効なレジメンに従って投与されてもいい。その量は疾患を治すこともできるが、通常、疾患の症状を改善するために投与される。通常、症状の望ましい改善を達成するには、反復投与が必要である。
【0192】
他の実施形態は、キナーゼ阻害剤としての式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグを含む医薬組成物が提供される。
【0193】
本発明の他の実施形態は、式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグを含む、キナーゼ阻害剤として、少なくとも一つ既知の抗癌剤またはその薬学的に許容される塩との併用で、癌を治療するのに有効な有効な医薬組成物に関する。特に、ここでの化合物は、PARP阻害剤オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、セナパリブ;HDAC阻害剤Volinota、Romididesin、Papiseta、Bailesta;などを含むDNA損傷および修復のメカニズムに関連する他の抗癌剤と併用できる。また、ここでの化合物は、Chk1/2阻害剤、CDK4/6阻害剤(例えばパルボシクリブ)、ATR阻害剤などを含む、細胞分裂チェックポイントに関連する他の抗癌剤と併用することができる。抗癌併用療法に使用できる他の既知の抗癌剤は、アルキル化剤、例えばブスルファン、メルファラン、クロロアンブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ベンダムスチン、シスプラチン、マイトマイシンC、ブレオマイシンおよびカルボプラチン;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン、イリノテカンおよびトポテカン;トポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、アクラシノマイシン、ミトキサントロン、エリプチニウムおよびエトポシド;RNA/DNA代謝拮抗剤、例えば5-アザシチジン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、カペシタビンおよびメトトレキサート;DNA代謝拮抗剤、例えば5-フルオロ-2'-デオキシウリジン、フルダラビン、ネララビン、シタラビン、プララトレキサート、ペメトレキセド、ヒドロキシカルバミドおよびチオグアニン;有糸分裂阻害剤、例えばコルヒチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、イキサベピロン、カバジタキセルおよびドセタキセル;抗体、例えばmAb、パニツムマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、ベバシズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、アレムツズマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、T-DM1、オファツムマブ、ジヌツキシマブ、ブリナツモマブ、イピリムマブ、アバスチン、ハーセプチン、マブセラ、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、クリゾチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニットイニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、パゾパニブ、トリセルおよびエベロリムスを含むが、これらに限定されない。抗癌併用療法に使用できる他の既知の抗癌剤には、タモキシフェン、レトロゾール、フルベストラント、ミトグアゾン、オクトレオチド、レチノイン酸、ヒ素、ゾレドロン酸、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、デノスマブ、 サリドマイド、レナリドマイド、ベネトクラクス、アルデスロイキン(組換えヒトインターロイキン-2)およびシプエセル-T(前立腺癌治療ワクチン)が含まれる。
【0194】
本発明の方法を実施する際に、本発明の一つまたは複数の化合物は、単一の医薬組成物中で少なくとも1つ既知の抗癌剤と一緒に投与されてもいい。 また、本発明の一つまたは複数の化合物は、少なくとも1つ既知の抗癌剤とは別に投与されてもいい。 一実施形態では、本発明の一つまたは複数の化合物および少なくとも1つ既知の抗癌剤は、実質的に同時に投与され、すなわち、すべての一つまたは複数の化合物または一つまたは複数の薬剤は、同時にまたは順次に投与されることによって、一つまたは複数の化合物または一つまたは複数の薬剤が同時に血中の治療濃度に達する。 別の実施形態では、本発明の一つまたは複数の化合物および少なくとも1つ既知の抗癌剤は、一つまたは複数の化合物が血中の治療濃度に達するように、個々の投与レジメンに従って投与される。
【0195】
本発明の他の実施形態は、本発明の化合物を含む、キナーゼ阻害剤として機能し、腫瘍を効果的に阻害することができるバイオコンジュゲートである。腫瘍を阻害できるバイオコンジュゲートは、本発明の化合物と、トラスツズマブやリツキシマブなどの少なくとも1つ既知の治療上有用な抗体、もしくはEGFやFGFなどの成長因子、もしくはIL-2やIL-4などのサイトカイン、もしくは細胞表面に結合できる任意の分子を含むか、それらのものからなる。抗体および他の分子は、ここで記載された一つまたは複数の化合物を標的に送達することができるため、それが有効な抗癌剤になる。バイオコンジュゲートは、トラスツズマブやリツキシマブなどの治療上有用な抗体の抗癌効果を高めることもできる。
【0196】
本発明の他の実施形態は、式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグを含む、キナーゼ阻害剤として放射線療法との併用で腫瘍を阻害するのに有効な医薬組成物に関する。この実施形態では、本発明の一つまたは複数の化合物は、放射線療法と同時に、または異なる時間に投与することができる。
【0197】
本発明のさらに他の実施形態は、式I、式II、式IIIaまたは式IIIbの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、N-オキシド、水和物、同位体置換誘導体、溶媒和物、または薬学的に許容される塩、またはその混合物またはそのプロドラッグを含む、キナーゼ阻害剤として癌の術後治療に有効な医薬組成物に関する。本発明はまた、腫瘍を外科的に除去した後に、本発明の医薬組成物で哺乳動物の癌を治療する方法に関する。
【0198】
本発明の医薬組成物は、その目的用途の達成に有効な量で本発明の化合物を含むすべての医薬製剤を含む。需要はそれぞれ異なるので、当業者は、医薬製剤中の成分の最適量をそれぞれ確定することができる。 典型的には、化合物またはその薬学的に許容される塩は、1日、そして体重1kgあたりに約0.0025-50mgの用量で哺乳動物に経口投与することができる。好ましくは、約0.01mg/kgから約10mg/kg体重で経口投与される。既知の抗癌剤も投与された場合、その目的用途の達成に有効な量で投与される。その既知の抗癌剤の最適量は、当業者によく知られている。
【0199】
単位経口用量は、約0.01から約50mg、好ましくは約0.1から約10mgの本発明の化合物を含んでもいい。単位用量は、1日1回以上の錠剤で1回以上投与することができ、各錠剤は、約0.1から約50mg、好ましくは約0.25から10mgの本発明の化合物またはその溶媒和物を含む。
【0200】
局所製剤において、本発明の一つまたは複数の化合物は、担体1グラムあたり約0.01から100mgの濃度で存在してもいい。
【0201】
本発明の化合物は、未処理の化学物質として投与することができる。また、本発明の化合物は、薬学的に許容される担体(賦形剤および助剤を含む)を含む適切な医薬調製物の一部として投与してもいい。その薬学的に許容される担体は、一つまたは複数の化合物から薬学的に許容される調製物への製造を容易にする。好ましくは、医薬製剤、特に経口製剤、ならびに好ましい投与経路に使用されるもの(例えば錠剤、ドラジェ、およびカプセル)、ならびに注射または経口投与に適した溶液は、約0.01%から99%、好ましくは約0.25%から75%の一つまたは複数の活性化合物、および一つまたは複数の賦形剤を含む。
【0202】
また、本発明の範囲内には、本発明の一つまたは複数の化合物の非毒性薬学的に許容される塩が含まれる。酸付加塩は、本発明の一つまたは複数の化合物の溶液を、例えば、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸などの薬学的に許容される非毒性酸の溶液と混合することによって形成される。塩基付加塩は、本発明の一つまたは複数の化合物の溶液を、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルグルカミンなどの薬学的に許容される非毒性塩基の溶液と混合することによって形成される。
【0203】
本発明の医薬製剤は、本発明の一つまたは複数の化合物の治療効果が得られる限り、任意の哺乳動物に投与することができる。その哺乳動物の中で最も重要なものは、ヒトおよび獣医動物であるが、本発明をそれに限定される意図がない。
【0204】
本発明の医薬製剤は、その目的用途さえ達成できれば、いかなる手段によって投与することができる。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、頬側、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内または局所経路によって実施できる。代替的または追加的に、投与は経口経路によって実施できる。投与される投与量は、対象の年齢、健康、および体重、併用療法、治療の頻度、および所望の治療効果に依存する。
【0205】
本発明の医薬製剤は、既知の方法で、例えば、従来の混合、造粒、糖衣製造、溶解、または凍結乾燥によって製造することができる。経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を一つまたは複数の固体賦形剤と組み合わせ、必要に応じて得られた混合物を粉砕し、需要や必要に応じて適切な助剤を加え、顆粒の混合物を加工することにより、錠剤またはドラジェコアを得ることによって得られる。
【0206】
適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖類、例えば乳糖またはショ糖、マンニトールまたはソルビトール;セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム;結合剤、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドンを含む澱粉ペーストである。必要に応じて、上記の澱粉およびカルボキシメチル澱粉、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸またはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)などの崩壊剤を添加することができる。助剤は、特に、流動調節剤および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールである。必要に応じて、ドラジェコアに対し、胃液に適切のコーティングを施すことができる。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもいい濃糖溶液が使用できる。胃液に対するコーティングを製造するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース調製物溶液が使用される。錠剤またはドラジェコーティングには、例えば、一つまたは複数の活性化合物の用量を認識または特徴づけるための組み合わせである染料または顔料が添加されてもいい。
【0207】
経口的に使用できる他の医薬製剤には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで作られたソフトシールカプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、顆粒形式の活性化合物を含んでもよく、それが、乳糖などの充填剤;でんぷんなどの結合剤;および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および安定剤と混合できる。ソフトカプセルでは、一つまたは複数の活性化合物は、好ましくは、脂肪油または流動パラフィンなどの適切な液体に溶解または懸濁される。また、その中に、安定剤を加えることができる。
【0208】
非経口投与に適した製剤には、活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩の水溶液およびアルカリ性溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射懸濁液として、活性化合物の懸濁液が投与できる。適切な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、もしくはオレイン酸エチルやトリグリセリドやポリエチレングリコール-400などの合成脂肪酸エステル、もしくはクレモフォア、もしくはシクロデキストリンが含まれる。 水性注射懸濁液には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質が含まれてもいい。 また、必要に応じて、懸濁安定剤が含まれてもいい。
【0209】
本発明の一態様によれば、本発明の化合物は、局所非経口製剤として提供され、皮膚癌の治療に使用される。
【0210】
本発明の局所製剤は、適切な担体によって、油、クリーム、ローション、軟膏などとして製剤化することができる。適切な担体には、植物油または鉱油、白いワセリン(白い柔らかいパラフィン)、分岐油脂、動物性脂肪および高分子量アルコール(C12より大きい)が含まれる。 好ましい担体では、有効成分が可溶性である。乳化剤、安定剤、保湿剤および抗酸化剤、ならびに必要に応じて色または芳香を与える薬剤も含まれてもいい。さらに、これらの局所製剤には、経皮浸透促進剤が含まれてもいい。その促進剤の例としては、米国特許第3,989,816号および第4,444,762号が挙げられる。
【0211】
クリームは、好ましくは、鉱油、自己乳化蜜蝋および水の混合物から製剤され、アーモンド油などの少量の油に溶解された有効成分と混合される。そのクリームの典型的な例としては、約40部の水、約20部の蜜蝋、約40部の鉱油および約1部のアーモンド油を含むものが挙げられる。
【0212】
軟膏は、一つまたは複数の有効成分の植物油(例えばアーモンド油)溶液を温かい柔らかいパラフィンと混合し、混合物を冷却することによって製剤することができる。その軟膏の典型的な例としては、約30重量%のアーモンド油と約70重量%の白色軟膏を含むものが挙げられる。
【0213】
以下の実施例は、本発明の方法および調製を例示するものであり、それを限定するものではない。臨床治療で通常遭遇し、また当業者には明らかである他の適切な修正および様々な条件およびパラメータの調整は、本発明の主旨および範囲内含まれる。
【実施例
【0214】
総論
試薬はすべて商業品質を満たしている。 溶媒は標準的な方法で乾燥および精製した。質量スペクトル分析は、エレクトロスプレーインターフェースを備えたプラットフォームII(Agilent 6110)シングル四重極質量分析計で記録した。1H NMRスペクトルは、Brucker Ascend 400装置で、400 MHzで記録した。化学シフトは、内部TMS(0.00ppm)に対して低磁場から、ppmで記録し、J結合定数はヘルツ(Hz)で記録した。
【0215】
[実施例1]
N,N-ジメチル-3-(4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン
【0216】
【化11】
【0217】
a)2-ヒドロキシ-7-ブロモキノキサリンの製造:2-ヒドロキシキノキサリン(10g、68.5mmol)を酢酸(500mL)に溶解し、10℃で液体臭素(3.62mL、70.6mmol)をゆっくりと滴下した。添加後、反応溶液を室温で3時間撹拌しながら反応させた後、反応混合物を0℃に冷却し、水(500mL)を加え、撹拌を30分間続けた。反応混合物をろ過し、フィルターケーキを水(500mL)で洗浄し、固体を乾燥させ、目的生成物(13.5g、収率88%、黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+225.1/227.1。
【0218】
b)2-クロロ-7-ブロモキノキサリンの製造:2-ヒドロキシ-7-ブロモキノキサリン(6g、26.7mmol)をオキシ塩化リン(60mL)に溶解した。窒素保護下で、反応溶液を100℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去して粗生成物を得た後、粗生成物を抽出し、酢酸エチル(100mL)で分離した。有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、目的生成物(6.23g、収率96%、淡黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+243.0/245.1。
【0219】
c)7-ブロモ-2-メチルキノキサリンの製造:2-クロロ-7-ブロモキノキサリン(4.7g、19.3mmol)を無水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、アセチルアセトナート第二鉄を加え、反応溶液を0℃に冷却した。メチルマグネシウムクロリド(7mL、3mol/ Lのテトラヒドロフラン溶液)を、定圧滴下漏斗を用いて反応溶液にゆっくりと加えた。滴下後、反応を0℃で5時間撹拌し続けた。次に、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液にゆっくりと注ぎ、反応をクエンチした。減圧下で大部分のテトラヒドロフランを除去した後、混合物を抽出し、酢酸エチル(40mL×2)で分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:石油エーテル=0-40%を溶離液とする)によって精製し、目的生成物(3.27g、収率76%、白色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+223.1/225.1。
【0220】
d)7-ブロモ-2-ヨードメチルキノキサリンの製造:7-ブロモ-2-メチルキノキサリン(3.27g、14.66mmol)をアセトニトリルに溶解し、硫酸銅五水和物固体およびヨウ素を連続して加え、反応溶液を窒素保護下、70℃で3時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温まで冷却し、減圧下溶媒を除去した後、混合物を抽出し、酢酸エチル(100mL)で分離した。有機相を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:石油エーテル=0-30%を溶離液とする)によって精製し、目的生成物(2.6g、収率50%、淡黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+348.9/350.9。
【0221】
e)7-ブロモ-2-アジドメチルキノキサリンの製造:7-ブロモ-2-ヨードメチルキノキサリン(956mg、2.74mmol)を無水N、N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(196mg、3.01mmol)を加え、反応溶液を室温で11時間撹拌しながら反応させた。次に、反応溶液に50mLの水を加え、抽出し、酢酸エチル(30mL)で分離した。有機相を飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:石油エーテル=0-30%を溶離液とする)によって精製し、目的生成物(820g、粗生成物、黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+264.1/266.1。
【0222】
f)(7-ブロモキノキサリン-2-イル)メチルアミンの製造:7-ブロモ-2-アジドメチルキノキサリン(651mg、2.47mmol)をテトラヒドロフラン(8mL)と水(4mL)の混合溶液に溶解し、トリフェニルホスフィン(777mg、2.96mmol)を加えた。窒素保護下で、反応溶液を室温で12時間撹拌しながら反応させた。反応溶液のpH値を1mol/L塩酸水溶液で1-3に調整した。混合物を抽出し、酢酸エチル(20mL)で分離した。水相を回収した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液で水相のpHを8に調整した。混合物を抽出し、ジクロロメタン(20mL×2)で分離した。有機相を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得た。粗生成物を次の反応に直接使用した(400mg、粗生成物、褐色の固体)。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+238.1/240.1。
【0223】
g)N-((7-ブロモキノキサリン-2-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミドの製造:(7-ブロモキノキサリン-2-イル)メチルアミン(400mg、粗生成物、1.68mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(0.88ml、5.04mmol)およびテトラヒドロピラン-4-カルボン酸(262mg、2.02mmol)を連続して加えた。窒素保護下で、反応溶液を80℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、水40mLを加え、混合物を抽出し、酢酸エチル(30mL×2)で分離した。有機相を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得た。粗生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール:ジクロロメタン=0-20%)によって精製し、目的生成物(275mg、収率46%、黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+350.1/352.1。
【0224】
h)8-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンの製造:N-((7-ブロモキノキサリン-2-イル)メチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミド(210mg、0.60mmol)をN、N-ジメチルホルムアミド(1mL)と酢酸エチル(6mL)の混合溶液に溶解し、そして0℃に冷却した。オキシ塩化リン(410mg、3.6mmol)をゆっくりと滴下した。滴下後、反応混合物を室温に加熱し、2時間撹拌した。次に、反応溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液にゆっくりと滴下し、pH値を8以上に保った。溶液を抽出し、酢酸エチル(20mL×2)で分離した。有機相を飽和食塩水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過により溶媒を除去して、粗生成物を得た。粗生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール:ジクロロメタン= 0-15%)によって精製し、目的生成物(68mg、粗生成物、黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+/(M+2+H)+332.1/334.1。
【0225】
i)N,N-ジメチル-3-(4-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミンの製造:8-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(68mg、粗生成物、0.20mmol)をジオキサンと水の混合溶液(1.6mL/0.4mL)に溶解し、N、N-ジメチル-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)プロパン-1-アミン(125mg、0.41mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(15mg、0.02mmol)および炭酸セシウム(200mg、0.61mmol)を連続して加え、反応混合物を窒素の保護下で100℃で1時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温まで冷却した後、減圧下溶媒を除去して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール:ジクロロメタン=0-15%)により単離および精製し、次に分取液体クロマトグラフィー(C18カラム、0-100%アセトニトリル/水を移動相とする)によりさらに単離および精製して、目的化合物(6mg、収率7%、黄色の固体)を得た。LC-MS(ESI):(M+H)+431.30。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.96(s,1H),8.30-8.27(m,1H),7.99-7.95(m,1H),7.88-7.84(m,2H),7.77-7.71(m,2H),7.15-7.10(m,2H),4.11-4.01(m,5H),3.68-3.62(m,2H),2.39(t,J=7.1Hz,2H),2.17(s,6H),2.13-2.08(m,2H),2.04-1.96(m,2H),1.92-1.85(m,2H)。
【0226】
[実施例2]
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン
【0227】
a)1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)-1-エタノンの製造:7-ブロモ-2-クロロキノキサリン(5g、20.53mmol)およびトリブチル(1-エトキシエチレン)スズ(9.27g、25.67mmol、8.66ml)のトルエン溶液を30分間真空引きした。反応混合物を脱気し、窒素を3回充填した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(Pd(PPh32Cl2、1.44g、2.05mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気中で撹拌し、80℃で12時間加熱した。撹拌を80℃でさらに12時間続けた。反応混合物を蒸発乾固し、それに1,4-ジオキサン(51mL)を加えて懸濁させ、2mol/Lの塩酸水溶液(51mL)を加え、得られた反応混合物を45分間撹拌した。残留物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、有機相を合わせ、食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100/1-100/1.5)で精製して、目的生成物(2.3g、収率4.61%、白色の固体)を得た。LC-MS(ESI):(M+H)+/(M+2+H)+250.8/252.7。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.40(s,1H),8.51-8.50(m,1H),8.15-8.14(m,2H),2.76(s,3H)。
【0228】
b)1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミンの製造:シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN、402.96mg、6.41mmol)を1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)-1-エタノン(2.3g、9.16mmol)と酢酸アンモニウム(NH4OAc、7.06g、91.60mmol)のメタノール(50mL)溶液に加えた。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。メタノールを除去した後、残留物に20mLの水を加え、次に水酸化ナトリウム水溶液(w%=5%)を加え、得られた溶液のpHを13に調整し、混合物をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して残留物を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2/1、1/1)で精製し、目的生成物(0.7g、収率30.31%、褐色の油)を得た。LC-MS(ESI):(M-16+H)+235.0(16:NH2)。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.18(s,1H),8.27(d,J=2.4Hz,1H),8.02(d,J=8.8Hz,1H),7.95(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),4.28-4.23(m,1H),2.33-2.32(m,2H),1.41(d,J=6.8Hz,3H)。
【0229】
c)N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミドの製造:1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミン(0.4g、1.59mmol)のピリジン溶液(4mL)に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、735.32mg、3.84mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、94.24mg、697.41μmol)を加え、次にテトラヒドロピラン-4-カルボン酸(226.91mg、1.74mmol)を加えた。得られた混合物を25℃で6時間撹拌した。他の反応器において、1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミン(0.3g、1.19mmol)、テトラヒドロピラン-4-カルボン酸(170.18mg、1.31mmol)、EDCI(551.49mg、2.88mmol)およびHOBT(70.68mg、523.06μmol)のピリジン溶液(3mL)を上記の溶液に加え、得られた混合物を25℃で6時間撹拌した。2つの反応混合物を水(45mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL×3)で抽出した。有機層を混合し、食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をメチル-tert-ブチルエーテル(5mL)で25℃で30分間粉砕し、目的化合物(0.7g、粗生成物、灰色の固体)を得た。LC-MS(ESI):(M+H)+/(M+2+H)+364.1/366.1。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.95(s,1H),8.54(d,J=6.8Hz,1H),8.28(d,J=2Hz,1H),8.04(d,J=8.8Hz,1H),7.97(dd,J=2.1,8.8Hz,1H),5.17-5.13(m,1H),3.86-3.84(m,2H),3.31-3.27(m,2H),1.63-1.56(m,3H),1.51(d,J=6.8Hz,3H)。
【0230】
d)8-ブロモ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリンの製造:トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O、684mg、2.42mmol、0.4mL)をN-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-ホルムアミド(0.4g、1.10mmol)のジクロロメタン(4mL)溶液に加え、得られた混合物を25℃で1時間撹拌し、次にピリジン(588mg、7.43mmol、0.6mL)を加え、得られた混合物を25℃で6時間撹拌した。混合物に0℃で水(10mL)を加え、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOH=20/1)で精製して、目的生成物(0.3g、粗生成物、白色の固体)を得た。LC-MS (ESI):(M+H)+/(M+2+H)+346.1/348.1。
【0231】
e)N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンの製造:1,4-ジオキサンおよび8-ブロモ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イミダゾ[1,5-a]キノキサリン(0.07g、202.18μmol)、N,N-ジメチル-3-((5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(87.29mg、285.08μmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムジクロロメタン複合体(Pd(dppf)Cl2、14.79mg、20.22μmol)および炭酸セシウム(Cs2CO3、131.75mg、404.37μmol)の水溶液を真空引きし、窒素で雰囲気を3回交換した後、混合物を窒素雰囲気中、90℃で16時間撹拌した。得られた反応混合物をジクロロメタン(10mL)とメタノール(1mL)の混合溶媒で希釈し、ろ過し、不溶性物質を除去して粗生成物を得て、これを分取高速液体クロマトグラフィーカラム(カラム:WatersXbridge 150*25mm *5um;移動相(水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-ACN);B%:28%-58%、10分間)で精製し、目的化合物(21mg、16.4%収率、純度98.6%、灰色の固体)を得た。
【0232】
実施例3-13の以下の化合物は、実施例2に記載されたものと同様の方法を使用して製造した。
【0233】
【表A-1】
【0234】
【表A-2】
【0235】
【表A-3】
【0236】
[実施例14]
N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-モルホリニルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン
【0237】
a)N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)モルホリン-4-ホルムアミドの製造:1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エタン-1-アミン(0.3g、2.01mmol)のジクロロメタン(8mL)溶液に、モルホリン-4-ホルミルクロリド(455.08mg、1.81mmol)およびDIEA(259.22mg、2.01mmol)を加えた。混合物を25℃で2時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(0.56g、黄色の油、収率76.45%)を得た。LC-MS(ESI):(M+H)+365.1。
【0238】
b)4-(8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリンの製造:N-(1-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)エチル)モルホリン-4-ホルムアミド(0.5g、1.37mmol)とPOCl3(8.25g、53.80mmol)の混合物を75℃に加熱し、この温度で3時間撹拌した。0℃で150mLの水を加えて反応をクエンチした後、飽和炭酸ナトリウム水溶液で混合物のpHを7に調整し、混合物をEA(100mL×2)で抽出した。有機相を集めて合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、目的粗生成物(0.32g、褐色の固体、収率67.32%)を得た。LC-MS(ESI):(M+H)+347.1。
【0239】
c)N,N-ジメチル-3-((5-(3-メチル-1-モルホリニルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミンの製造:4-(8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)モルホリン(20.25g、720.03μmol)、N、N-ジメチル-3-((5-(4、 4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロパン-1-アミン(440.95mg、1.44mmol)のジオキサン(15mL)および水(1.5mL)溶液にCs2CO3(441.05mg、1.35mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]二塩化パラジウムジクロロメタン錯体(Pd(dppf)Cl2、10.54mg、14.40μmol)を加えた。混合物を90℃に加熱し、2時間撹拌した。反応混合物を水(50mL)で希釈し、EA(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(25mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して粗生成物を得て、これを分取高速液体クロマトグラフィーにより精製し、目的化合物(23.29mg、黄色の油、収率5.53%)を得た。
【0240】
実施例15-45の以下の化合物は、実施例2または14に記載されたものと同様の方法を使用して製造した。
【0241】

【表B-1】
【0242】
【表B-2】
【0243】
【表B-3】
【0244】
【表B-4】
【0245】
【表B-5】
【0246】
【表B-6】
【0247】
[実施例46]
1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン
【0248】
a)1-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)-4-メチルイミダゾールの製造:4-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロベンゼン(350g、1.59mol)および4-メチル-1H-イミダゾール(137.15g、1.67mol)のDMF(2800mL)溶液に、K2CO3(439.75g、 3.18mol)を加えた。混合物を25℃で12時間撹拌し、次に反応混合物をろ過し、フィルターケーキをDMF(800mL)で洗浄した。ろ液をH2O(8L)に注ぎ、10分間撹拌し、次に混合物をろ過し、フィルターケーキをH2O(1L)で洗浄した。固体をMTBE(1L)でスラリー化し、ろ過し、フィルターケーキをMTBE(400mL)で洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて、黄色の固体として目的生成物(332g、1.18mol、収率73.98%)を得た。
【0249】
b)4-ブロモ-2-(4-メチルイミダゾール-1-イル)アニリンの製造:1-(5-ブロモ-2-ニトロフェニル)-4-メチルイミダゾール(120g、425.39mmol)のEtOH(1200mL)溶液に、NH4Cl(227.55g、4.25mol)のH2O(600mL)溶液を加えた。混合物にFe(47.51g、850.78mmol)を加え、25℃で0.5時間撹拌した。次に、混合物に、Fe(71.27g、1.28mol)を1.5時間にわたって加え、35℃で1時間撹拌した。反応混合物をろ過し、フィルターケーキをEtOH(800mL)で洗浄し、混合物のpHを飽和NaHCO3溶液で8に調整し、混合物を減圧下で濃縮し、残留物を得た。残留物をH2O(1.5L)でスラリー化し、ろ過し、ろ過したケーキを減圧下で乾燥させ、残留物を得た。残留物をMTBE(300mL)で洗浄して、黄色の固体として目的生成物(93g、368.89mmol、収率86.72%)を得た。
【0250】
c)8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリンの製造:4-ブロモ-2-(4-メチルイミダゾール-1-イル)アニリン(5g、19.83mmol)のDMSO(50mL)溶液に、AcOH(2.38g、39.67mmol、2.27mL)を加えた。混合物を130 ℃で36時間撹拌した。混合物にAcOH(2.38g、39.67mmol、2.27mL)を加え、130℃で24時間撹拌した。反応混合物をEA(80mL)で希釈し、食塩水(50mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をMTBE(15mL)で洗浄して、黄色の固体として目的生成物(2.19g、8.16mmol、収率41.08%、純度97.54%)を得た。LC-MS(ESI):m/z(M+H)+262.0。
【0251】
d)8-ブロモ-1-クロロ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリンの製造:8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン(2.19g、8.15mmol;3.65g、13.93mmol)のDCM(120mL)溶液に、NCS(4.42g、33.12mmol)を加えた。混合物を25 ℃で12時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3溶液(200mL)で希釈し、DCM(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(100mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をMTBE(30mL)で洗浄し、黄色の固体として目的生成物(5.3g、17.87mmol、収率80.92%)を得た。
【0252】
e)(2S,6R)-4-(8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチルモルホリンの製造:8-ブロモ-1-クロロ-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン(5.3g、17.87mmol)のDMSO(33mL)溶液に、DIPEA(6.93g、53.61mmol、9.34mL)および(2S、6R)-2,6-ジメチルモルホリン(6.18g、53.61mmol)を加えた。混合物を90℃で12時間撹拌した。次に、混合物に(2S、6R)-2,6-ジメチルモルホリン(2.06g、17.87mmol、2.20mL)を加え、90℃で12時間撹拌した。反応混合物をH2O(100mL)で希釈し、DCM(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(100mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をMTBE(35mL)で洗浄し、黄色の固体として目的生成物(5.45g、14.52mmol、収率81.22%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ8.80(d,J=2.0Hz,1H),8.66(s,1H),7.71(d,J=8.4Hz,1H),7.53(dd,J=2.0,8.8Hz,1H),4.07-4.00(m,2H),3.25(d,J=2.0Hz,1H),2.86-2.78(m,2H),2.56(s,3H),1.29(d,J=6.4Hz,6H)。
【0253】
f)N1-(5-(1-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)-3-メチルイミダゾ[1,5-a]キノキサリン-8-イル)ピリジン-2-イル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンの製造:(2R,6S)-4-(8-ブロモ-3-メチル-イミダゾ[1,5-a]キノキサリン-1-イル)-2,6-ジメチル-モルホリン(100mg、266.48μmol)、N1,N1-ジメチル-N3-(5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル)プロパン-1,3-ジアミン(113.87mg、373.07μmol)、Cs2CO3(173.65mg、532.96μmol)のジオキサン(15mL)およびH2O(0.7mL)混合物溶液に、Pd(dppf)Cl2(9.75mg、13.32μmol)を加えた。反応器を脱気し、N2で3回パージし、次に混合物をN2雰囲気下で90℃で2時間撹拌した。反応混合物をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮し、残留物を得て、これを分取TLC(SiO2、DCM:MeOH=9:1)で精製した。粗生成物をMeCNで25℃で30分間粉砕して、黄色の固体として目的化合物(24.87mg、収率18.96%)を得た。
【0254】
実施例47-64の以下の化合物は、実施例2、14または46に記載されたものと同様の方法を使用して製造した。
【0255】
【表C-1】
【0256】
【表C-2】
【0257】
【表C-3】
【0258】
【表C-4】
【0259】
【表C-5】
【0260】
【表C-6】
【0261】
[実施例65]
インビトロATMキナーゼアッセイを使用した、ATMに対する実施例2の化合物およびその類似体のインビトロでの阻害効果の確定
【0262】
ATM酵素活性は、384ウェルプレート(Greiner、#784075)でCisbioのHTRF試薬を使用して測定した。バッファーで希釈した2.5μLの勾配濃度化合物作業溶液を384ウェルプレートに加え、次に2.5μLの120nM p53基質(Eurofins、#14-952)および2.5μLの2ng/μL ATM酵素(Eurofins、14-933)を連続して添加し、最後に240μM ATP、20mM Mg(AcO)2および20mM MnCl2を含む2.5μLの混合溶液を添加した。混合物を1000rpmで1分間遠心分離し、暗所で室温で30分間反応させた。次に、5μLのEDTA終結溶液(250mm)を加え、反応を終結させた。最後に5μLの検出混合物(Anti-phospho-p53(ser15)-K(Cisbio、#61P08KAE、0.084ng/μL)およびAnti-GST-d2(Cisbio、#61GSTDLA、5.00ng/μL))をそれぞれのウェルに添加した後、混合物を室温で一晩培養し、665nmおよび615nmでの蛍光値をEnvision2104で測定した。実験の各試薬の最終濃度は以下の通りである:12.5mM HEPES(pH8.0)、0.5%グリセロール、0.005%Brij-35、0.625mM DTT、0.0125%BSA、15nM p53、0.25ng/μL ATM、30μM ATP、2.5mM Mg(AcO)2、2.5mM MnCl2、62.5mM EDTA、0.021ng/μL Anti-ホスホ-p53、1.25ng/μL Anti-GST-d2。
【0263】
相対蛍光比を計算した:比率665nm/615nm-比率背景、および阻害率%=(1-(試験化合物ウェルの相対蛍光比-陽性対照ウェルの相対蛍光比)/(陰性対照ウェルの相対蛍光比-陽性対照ウェルの相対蛍光比))×100を計算した。GraphPad Prism6.0でデータを分析し、曲線方程式でフィッティングした:Y=下部+(上部-下部)/(1+10^((LogIC50-X)*ヒルスロープ))、IC50値を計算した。表1は、ATMキナーゼ活性(Inh%)に対するいくつかの化合物の阻害効果をまとめ、表2は、いくつかの化合物のATMキナーゼ活性のIC50値をまとめた。
【0264】
【表1】
【0265】
注:本文の実施例1は、WO2018/127195A1の実施例37の化合物である。
【0266】
【表2】
【0267】
従って、ATMキナーゼアッセイによって確定されたように、実施例1の化合物およびその類似体は、ATMキナーゼに対して良好な阻害効果を有する。
【0268】
[実施例66]
MTTアッセイを使用した、ヒト結腸癌細胞SW620の増殖に対するCPT-11と組み合わせた実施例2の化合物およびその類似体の阻害効果の確定
【0269】
ヒト結腸癌細胞SW620は、10%FBSを含むRPMI 1640培地で培養し、約90%のコンフルエンスで実験に使用した。トリプシナーゼでSW620細胞を消化し、800rpmで5分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、細胞ペレットを新鮮な培地(RPMI 1640+10%FBS)で再懸濁させた。細胞を適切な細胞密度で96ウェル細胞培養プレートに播種し、5%CO2インキュベーター内で37℃で一晩インキュベートした。試験化合物および参照化合物AZD0156のストック溶液を、それぞれ1:3および1:10の比率で、DMSOで8つの濃度に段階希釈した。最初の濃度は1μMまたは0.333μMで、最後の濃度はDMSO陰性対照(0μM)だった。各濃度の溶液5μLを120μLの培地(25倍希釈)に加え、振とうして混合させた。細胞を一晩培養し、培養培地を、205nMCPT-11を含む195μL/ウェルの新鮮な培地および試験化合物を含む5μL/ウェルの培地と交換した(DMSOの最終濃度は1‰であった)。培養プレートをインキュベーターに戻し、37℃、5%CO2で5日間培養した。実験当日、培地を廃棄し、MTT(0.5mg/mL)を含む100μLの新鮮な無血清DMEM培地と交換し、培養を続けた。4時間後、培地を廃棄し、100μL/ウェルのDMSOと交換し、プレートを暗所で10分間振とうし、多機能プレートリーダーを使用して552および690nmの波長で吸光度を測定した。データはGraph Pad Prism 6.0で分析した。細胞増殖に対する化合物の阻害効果を、化合物濃度に対する細胞生存率に基づいてプロットした。細胞生存率%=(OD化合物-OD背景)/(ODDMSO-OD背景)×100。IC50値は、シグモイド用量反応曲線方程式Y=100/(1+10^(LogC-LogIC50))でフィットされ、Cは化合物の濃度である。
【0270】
表3は、ヒト結腸癌細胞SW620の増殖に対するCPT-11と組み合わせたいくつかの化合物の阻害効果データ(IC50)をまとめた。
【0271】
【表3】
【0272】
注:本文の実施例1は、WO2018/127195 A1の実施例37の化合物である;実施例a、b、c、dおよびeは、それぞれ、WO2018/127195A1の実施例4、26、44、45および47の化合物である。
【0273】
従って、MTT試験によって確定されたように、実施例2の化合物およびその類似体は、SW620細胞の増殖に対して良好な阻害効果を有する。
【0274】
[実施例67]
MTTアッセイを使用した、ヒト乳癌細胞MDA-MB-468の増殖に対する実施例2の化合物およびその類似体の阻害効果の確定
【0275】
ヒト乳がん細胞MDA-MB-468は、10%FBSを含むRPMI 1640培地で培養し、90%コンフルエンスで使用した。トリプシナーゼでMDA-MB-468細胞を消化し、800rpmで5分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、細胞ペレットを新鮮な培地で再懸濁させ、カウントした。細胞を96ウェル細胞培養プレートに適切な細胞密度で播種し、37℃、5%CO2で一晩インキュベートした。試験化合物または参照化合物AZD0156のストック溶液を、それぞれ1:3および1:10の比率で、DMSOで8つの濃度に段階希釈した。最初の濃度は1μMまたは0.333μMで、最後の濃度はDMSO陰性対照(0μM)だった。各濃度の溶液5μLを120μLの培地(25倍に希釈)に加え、振とうして混合させた。一晩培養した細胞の培地を廃棄し、195μL/ウェルの新鮮な培地(RPMI 1640+5%FBS)および相応する濃度の試験化合物を含む5μL/ウェルの希釈培地(DMSOの最終濃度は1‰)と交換した後、培養プレートを5%CO2インキュベーターに戻し、37℃で7日間を経た(4日目に、ドレッシングを1回交換し、培養を続けた)。実験当日、培地を廃棄し、MTT(0.5mg/mL)を含む100μL/ウェルの新鮮な無血清DMEM培地と交換し、培養を続けた。4時間後、培地を廃棄し、100μL/ウェルのDMSOと交換し、プレートを暗所で10分間振とうし、多機能プレートリーダーを使用して552および690nmの波長で吸光度を測定した。データはGraph Pad Prism 6.0で分析した。細胞増殖に対する化合物の阻害効果を、化合物濃度に対する細胞生存率に基づいてプロットした。細胞生存率%=(OD化合物-OD背景)/(ODDMSO-OD背景)×100。IC50値は、シグモイド用量反応曲線方程式Y=100/(1+10^(LogC-LogIC50))でフィットされ、Cは化合物の濃度である。
【0276】
表4は、ヒト乳癌細胞MDA-MB-468の増殖に対するいくつかの化合物の阻害効果データ(IC50)をまとめた。
【0277】
【表4】
【0278】
注:本文の実施例1は、WO2018/127195 A1の実施例37の化合物である;実施例a、cおよびdは、それぞれ、WO2018/127195A1の実施例4、44、45および47の化合物である。
【0279】
従って、MTT試験によって確定されたように、実施例2の化合物およびその類似体は、MDA-MB-468細胞の増殖に対して良好な阻害効果を有する。
【0280】
これで本発明を完全に説明したので、当業者は、本発明の範囲またはその実施形態に影響を与えることなく、同じことが広く同等の範囲の条件、組成および他のパラメータ内で実行できることを理解する。ここで引用されたすべての特許、特許出願および刊行物は、参照によりその全体が本文に組み込まれる。
【国際調査報告】