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特表2022-548063画像診断中に胎児内臓位を測定するための技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】画像診断中に胎児内臓位を測定するための技術
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516207
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 US2020050350
(87)【国際公開番号】W WO2021050839
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/898,932
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522097153
【氏名又は名称】ブロス,ジュリー,シー.
【氏名又は名称原語表記】BUROS,Julie,C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロス,ジュリー,シー.
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD09
4C601DD15
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601KK02
4C601KK24
4C601KK31
4C601KK33
(57)【要約】
超音波画像診断の間に胎児内臓位を測定するための技術が開示される。この技術は、子宮内の胎児の超音波画像を取得することを含み得る。胎児は、胴体及び脊椎を含み、超音波画像は、胎児の胴体の断層ビューを含むことができる。断層ビューは、少なくとも、(i)胴体の外縁と、(ii)三角形状に配置された3つのランドマークを含む脊椎と、を含むことができる。本技術は、胎児の拡張現実画像を取得するために、胴体の外縁と3つのランドマークとの間の位置合わせに対応するアライアント命令に基づいて、胎児オーバーレイを重畳することを更に含み得る。胎児オーバーレイは、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素を含むことができる。胎児の拡張現実画像は、超音波診断装置のディスプレイ上に出力することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像診断の間に胎児内臓位を測定するためのコンピュータ実装方法であって、
ディスプレイ及び少なくとも1つのプロセッサを有する超音波診断装置において、子宮内の胎児の超音波画像を取得することであって、前記胎児が胴体及び脊椎を含み、前記超音波画像が前記胎児の前記胴体の断層ビューを含み、前記断層ビューが、(i)前記胴体の外縁と、(ii)三角形状に配置された3つのランドマークを含む前記脊椎と、を少なくとも含むこと、
前記超音波診断装置において、前記胎児の拡張現実画像を取得するために、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の位置合わせに対応するアライメント命令に基づいて、胎児オーバーレイを重ね合わせることであって、前記胎児オーバーレイが前記胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素を含むこと、及び、
前記超音波診断装置の前記ディスプレイ上に、前記胎児の前記拡張現実画像を出力すること、を含むことを特徴とするコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記アライメント命令は、前記胎児オーバーレイを前記胴体の前記外縁及び前記三角形状に配置された前記3つのランドマークと位置合わせするユーザ入力を介して、前記超音波診断装置で受信されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記アライメント命令は、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の前記位置合わせに基づいて、前記超音波診断装置によって生成されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記超音波診断装置において、前記超音波画像における前記胎児の動きを検出すること、及び、
前記グラフィカル要素が前記胎児の前記拡張現実画像における前記胎児の左側及び右側を適切に示すように、前記超音波診断装置において、前記胎児の前記動きに基づいて前記胎児オーバーレイを調整すること、を更に含むことを特徴とする請求項3記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記胎児の前記動きに基づく前記胎児オーバーレイの前記調整は、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の前記位置合わせに基づいていることを特徴とする請求項4記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記超音波診断装置の前記ディスプレイ上に、前記胎児のグラフィカル表現を出力することであって、前記グラフィカル表現が、前記胎児の前記拡張現実画像に対する前記胎児の向きを描写すること、を更に含むことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
ユーザが前記画像の位置を変更すると、前記胎児の前記グラフィカル表現が向きを変更することを特徴とする請求項6記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記超音波診断装置において、前記胎児の前記拡張現実画像の中立位置を判定すること、及び、
前記胎児の前記拡張現実画像が前記中立位置にあるとき、前記超音波診断装置の前記ディスプレイ上に中立位置インジケータを出力すること、を更に含むことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記超音波診断装置において、前記拡張現実画像の位置を変更する命令を受信すること、及び、
位置を変更する前記命令を受信することに応答して、前記グラフィカル要素が前記胎児の前記拡張現実画像における前記胎児の左側及び右側を適切に示すように、前記超音波診断装置において前記胎児オーバーレイを調整すること、を更に含むことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記胎児の左側及び右側を示す前記グラフィカル要素は、少なくとも1つの半透明カラーインジケータを含むことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
超音波画像診断の間に胎児内臓位を測定するための超音波診断装置であって、
ディスプレイと、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに動作を実行させる複数の命令がその中に格納されている、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を含み、
前記動作は、
子宮内の胎児の超音波画像を取得することであって、前記胎児が胴体及び脊椎を含み、前記超音波画像が前記胎児の前記胴体の断層ビューを含み、前記断層ビューが、(i)前記胴体の外縁と、(ii)三角形状に配置された3つのランドマークを含む前記脊椎と、を少なくとも含むこと、
前記胎児の拡張現実画像を取得するために、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の位置合わせに対応するアライメント命令に基づいて、胎児オーバーレイを重ね合わせることであって、前記胎児オーバーレイが前記胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素を含むこと、及び、
前記ディスプレイ上に、前記胎児の前記拡張現実画像を出力すること、を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
前記アライメント命令は、前記胎児オーバーレイを前記胴体の前記外縁及び前記三角形状に配置された前記3つのランドマークと位置合わせするユーザ入力を介して、前記超音波診断装置で受信されることを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記アライメント命令は、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の前記位置合わせに基づいて、前記超音波診断装置によって生成されることを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記動作は、
前記超音波画像における前記胎児の動きを検出すること、及び、
前記グラフィカル要素が前記胎児の前記拡張現実画像における前記胎児の左側及び右側を適切に示すように、前記胎児の前記動きに基づいて前記胎児オーバーレイを調整すること、を更に含むことを特徴とする請求項13記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記胎児の前記動きに基づく前記胎児オーバーレイの前記調整は、前記胴体の前記外縁と前記三角形状に配置された前記3つのランドマークとの間の前記位置合わせに基づいていることを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記動作は、前記ディスプレイ上に、前記胎児のグラフィカル表現を出力することを更に含み、前記グラフィカル表現が、前記胎児の前記拡張現実画像に対する前記胎児の向きを描写することを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項17】
ユーザが前記画像の位置を変更すると、前記胎児の前記グラフィカル表現が向きを変更することを特徴とする請求項16記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記動作は、
前記胎児の前記拡張現実画像の中立位置を判定すること、及び、
前記胎児の前記拡張現実画像が前記中立位置にあるとき、前記ディスプレイ上に中立位置インジケータを出力すること、を更に含むことを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項19】
前記動作は、
前記拡張現実画像の位置を変更する命令を受信すること、及び、
位置を変更する前記命令を受信することに応答して、前記グラフィカル要素が前記胎児の前記拡張現実画像における前記胎児の左側及び右側を適切に示すように、前記胎児オーバーレイを調整すること、を更に含むことを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項20】
前記胎児の左側及び右側を示す前記グラフィカル要素は、少なくとも1つの半透明カラーインジケータを含むことを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2019年9月11日に出願された米国仮出願番号第62/898,932の利益を主張するものである。上記出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、改善された胎児の画像診断(imaging procedure)に関し、より詳細には、胎児の超音波画像診断中に胎児内臓位を容易に測定及び監視するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される背景の説明は、本開示の文脈を大略的に提示することを目的とするものである。この背景技術のセクションに記載されている範囲での本明細書の発明者の仕事、及び出願時に先行技術として他に認定されない可能性のある説明の側面は、本開示に対する先行技術として明示的又は黙示的に認められるものでない。
【0004】
胎児超音波検査は、胎児の発達を監視するために妊娠中に一般的に使用される撮像技術である。とりわけ、典型的な胎児超音波診断は、異常の有無をスクリーニングするために、胎児の内臓をチェックする。例えば、胎児超音波診断では、胎児の胸部/腹部の特定の内臓(心臓、胃、肝臓など)が正常な位置とは反対側に位置している状態である、内臓逆位の胎児スクリーニングを行うことがある。特定の状況において、子宮内で内臓逆位と診断された赤ちゃんの出産や初期ケアに、医師が特別な対応を希望する場合がある。従って、超音波技師/検査士は、超音波診断中にそのような内臓の位置を測定することがあり、これは、「胎児内臓位(fetal situs)」と呼ばれることがある。
【0005】
超音波診断中に胎児内臓位を測定するための現在の技術は、複雑で混乱しやすく、厄介である。経験豊富な超音波検査士は、胎児内臓位を測定するために様々な技術を利用することができ、2人の経験豊富な超音波検査士が、そのような様々な技術に基づいて特定の胎児の胎児内臓位について意見を異にすることは、珍しいことではない。従って、超音波診断中に胎児内臓位を測定するための、改善された技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な態様によれば、超音波画像診断の間に胎児内臓位を測定するためのコンピュータ実装方法が開示される。本方法は、ディスプレイ及び少なくとも1つのプロセッサを有する超音波診断装置において、子宮内の胎児の超音波画像を取得することを含むことができる。胎児は、胴体及び脊椎を含むことになり、超音波画像は、胎児の胴体の断層ビュー(circumferential view)を含むことができる。断層ビューは、少なくとも、(i)胴体の外縁(outer border)と、(ii)三角形状(triangular orientation)に配置された3つのランドマークを含む脊椎と、を含むことができる。本方法は、超音波診断装置において、胎児の拡張現実画像を得るために、胴体の外縁と三角形状に配置された3つのランドマークとの間の位置合わせに対応するアライメント命令に基づいて、胎児オーバーレイを重ね合わせることを更に含むことができる。胎児オーバーレイは、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素を含むことができる。胎児の拡張現実画像は、超音波診断装置のディスプレイ上に出力することができる。
【0007】
いくつかの実装において、アライメント命令は、胎児オーバーレイを胴体の外縁及び三角形状に配置された3つのランドマークと位置合わせするユーザ入力を介して、超音波診断装置で受信することができる。追加的又は代替的な実装において、アライメント命令は、胴体の外縁と三角形状に配置された3つのランドマークとの間の位置合わせに基づいて、超音波診断装置で生成することができる。そのような実装において、本方法は、超音波診断装置において、超音波画像における胎児の動きを検出することと、グラフィカル要素が胎児の拡張現実画像において胎児の左側及び右側を適切に示すように、超音波診断装置において、胎児の動きに基づいて胎児オーバーレイを調整することと、を更に含むことができる。胎児の動きに基づく胎児オーバーレイの調整は、胴体の外縁と三角形状に配置された3つのランドマークとの間の位置合わせに基づくことができる。
【0008】
更なる態様において、本方法は、超音波診断装置のディスプレイ上に、胎児のグラフィカル表現(graphical representation)を出力することを更に含むことができ、グラフィカル表現は、胎児の拡張現実画像に対する胎児の向きを描写している。胎児のグラフィカル表現は、ユーザが画像の位置を変更すると、向きを変更することができる。
【0009】
いくつかの実装において、本方法は、超音波診断装置で、胎児の拡張現実画像の中立位置を判定することと、胎児の拡張現実画像が中立位置にあるときに、超音波診断装置のディスプレイ上に、中立位置インジケータを出力することと、を更に含むことができる。
【0010】
いくつかの実装において、本方法は、超音波診断装置で、拡張現実画像の位置を変更する命令を受信することと、位置を変更する命令を受信したことに応答して、超音波診断装置で、グラフィカル要素が胎児の拡張現実画像内の胎児の左側及び右側を適切に示すように、胎児オーバーレイを調整することと、を更に含むことができる。更に、いくつかの実装では、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素が、少なくとも1つの半透明カラーインジケータを含むことができる。
【0011】
他の実装において、本開示は、ディスプレイ及び少なくとも1つのプロセッサを含む超音波診断装置に向けられている。超音波診断装置は、上述した方法のいずれか、任意の組み合わせ、又は全てを実行することができる。
【0012】
本開示の適用可能性の更なる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明及び特定の例が、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【0014】
図1】本開示のいくつかの態様に従う、産科超音波診断のために利用される超音波診断装置及び患者の典型的な配置の説明図である。
【0015】
図2】本開示のいくつかの態様に従う、例示的な超音波診断装置の機能ブロック図である。
【0016】
図3図2の例示的な超音波診断装置の例示的な超音波プローブの説明図である。
【0017】
図4】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中にグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0018】
図5A】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に様々なグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
図5B】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に様々なグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
図5C】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に様々なグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0019】
図5D】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に別のグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0020】
図6】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に更に別のグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0021】
図7】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に更なるグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0022】
図8A】本開示のいくつかの実施態様に従う、胎児の拡張現実画像を得るために超音波画像上に重畳される胎児オーバーレイの説明図である。
図8B】本開示のいくつかの実施態様に従う、胎児の拡張現実画像を得るために超音波画像上に重畳される胎児オーバーレイの説明図である。
【0023】
図9】本開示のいくつかの実施態様に従う、産科超音波診断中に特定のグラフィカルユーザインターフェースを表示するときの、図2の例示的な超音波診断装置のディスプレイデバイスの表示である。
【0024】
図10】本開示のいくつかの実施態様に従う、画像診断の間に胎児内臓位を測定するための例示的な技術のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
超音波技師は、超音波診断中に何百もの画像及びビデオを撮影することができる。患者を直接撮像する場合、超音波技師は、患者に対する超音波プローブの位置に基づいて、撮像される患者の部分の位置について大まかに理解することができる。例えば、超音波プローブが患者の身体の右側に配置される場合にのみ、超音波技師は、身体の右側を撮像していることを、知る或いは容易に確認することができるであろう。しかしながら、胎児の超音波検査に関しては、胎児が患者の体内で3次元的に配向している可能性があるため、撮像される胎児の部分を判定することは容易ではない場合がある。更に、胎児は、超音波診断中に姿勢を変えることがある。本明細書でより十分に説明するように、超音波技師にとって、患者内の胎児の姿勢及び向きを理解することは、胎児の側方性及び胎児の内臓位を測定することを含むがこれらに限定されない超音波診断の様々な局面において、重要である場合がある。
【0026】
簡単に上述したように、超音波診断中に胎児の内臓位を測定するための現在の技術は、複雑で混乱し、厄介であり、経験豊富な超音波検査士によってさえ間違いが生じることも珍しくない。従って、本開示は、胎児の内臓位を測定するための改良された技術に向けられている。より具体的に、本開示は、画像診断中に胎児の左側及び右側を判定し、超音波検査士に表示される胎児の拡張現実画像を生成するための技術を説明するものである。拡張現実画像は、胎児画像に重畳された胎児オーバーレイを含む。胎児オーバーレイは、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素を含むことができる。例示的な実装において、グラフィカル要素は、胎児の左側を緑色で、胎児の右側を赤色で提示するなど、胎児の異なる側を「強調」して区別する半透明のカラーインジケータから構成されてもよい。グラフィカル要素の他の実装は、本開示の範囲内である。
【0027】
胎児オーバーレイは、アライメント命令に基づいて胎児画像内の胎児と位置合わせされる。アライメント命令は、胎児の2つ以上のランドマーク間のアライメントに対応し得る。例示的な実装では、胎児の胴体及び脊椎を利用して、アライメント命令を生成することができる。例示的にのみ、ある位置での胎児の断層ビューにおいて、胎児画像は、胎児の胴体の外縁及び脊椎のビューを含む。より具体的には、更に後述するように、脊椎は、三角形状に配置された、3つのランドマーク、円、或いは「点」を有し、胴体の外縁(又は背中)に近接しているように見える場合がある。これらのランドマークのうち2つは、胴体の外縁により近い位置に配置され、3つ目のランドマークは、胴体のより中心に配置されることになる。これらのランドマーク及び胴体の外縁を利用することによって、胎児オーバーレイは、例えば、2つのランドマークに最も近い胴体の外縁から、外縁に最も近い2つのランドマークの間及び3つ目のランドマークを通って、胴体の反対側に線を延ばすことによって、画像を2つの側へ分割するように位置合わせされてもよい。
【0028】
胎児オーバーレイは、上述のように胎児画像を2つの側へ分割するが、2つの側を正しくラベル付けする(左側対右側)ために、更なる情報が必要な場合がある。従って、いくつかの態様では、胎児画像における胎児の姿勢又は胎位(頭上、頭下、頭左、頭右など)を、この更なる情報として利用することができる。胎児の胎位は、超音波検査士から頭部位置を示すユーザ入力を受け取ること、胎位を検出/測定するために画像処理システムによって胎児の矢状面(sagittal view)を取り込むこと、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な方法で測定することができる。この方法では、胎児オーバーレイが、拡張現実画像における胎児の左側及び右側を示すことができる。更に、超音波検査士は、拡張現実画像が表示されている間に胎児の更なる画像を得ることができ、それによって、超音波検査士は、胎児の内臓位をより容易に検出及び記録することができ、また、胎児の側が表示されている間に胎児の器官の追加の画像を捕捉することができる。
【0029】
ここで図1を参照すると、産科超音波診断のために利用される典型的な配置が示されている。この配置は、患者140が配置され得るベッド120又は他の支持構造体に近接して配置された、超音波診断装置100を含む。超音波診断装置100は、典型的には、図1に示すように、患者140の右側で、患者の頭部に近接して配置されている。このような配置は、超音波技師に、患者140及びその胎児に対する標準的な撮像方向を提供し、超音波技師が胎児の画像を適切に方向付けできるようにする。
【0030】
超音波診断装置100の一例の機能ブロック図が図2に示されている。超音波診断装置100は、通信デバイス102と、1つ以上のプロセッサ104と、メモリ106と、ディスプレイデバイス108と、超音波プローブ300とを含むものとして示されている。プロセッサ(複数可)104は、本開示の技術の少なくとも一部を実施することを含む、超音波診断装置100の動作を制御することができる。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、単一のプロセッサと、例えば並列又は分散アーキテクチャで一緒に動作する複数のプロセッサとの双方を指すことが意図されている。通信デバイス102は、ネットワーク200又は他の通信接続を介して、別のデバイス(例えば、様々なサーバコンピューティングデバイス、周辺コンピューティング要素、又は他のコンピューティングデバイス)と通信するように構成され得る。通信デバイス102の1つの非限定的な例はトランシーバであるが、他の形態のハードウェアも本開示の範囲内である。
【0031】
メモリ106は、情報を格納するように構成された任意の適切な記憶媒体(フラッシュ、ハードディスクなど)であってもよい。例えば、メモリ106は、超音波診断装置100に動作(例えば、本開示の動作など)を実行させる、プロセッサ104により実行可能な命令のセットを格納することができる。ディスプレイデバイス108は、超音波技師及び患者140に対して情報を表示することができる。いくつかの実施態様において、ディスプレイデバイス108は、タッチ感応式ディスプレイデバイス(静電容量式タッチスクリーンなど)から成ることができるが、非タッチ式ディスプレイデバイスも本開示の範囲内である。超音波プローブ300は、典型的には、身体の構成要素に反射する音波を出力するハンドヘルドデバイスである。超音波プローブ300は、超音波画像を生成するために、反射した音波を受信し、音波の表現を例えばプロセッサ104へ伝達する、トランスデューサを更に含む。
【0032】
本開示の技術は、超音波診断装置100及び超音波診断装置100の関連する構成要素の文脈で、本明細書に記載されているが、技術の各特徴が、単一の超音波診断装置100のみ、一緒に動作する複数の超音波診断装置100、1つ以上の超音波診断装置100と連携して動作する1つ以上のサーバコンピューティングデバイス、周辺コンピューティング要素、又は他のコンピューティングデバイス、或いは、それらの任意の組み合わせによって実行されてよいことは、明確に企図されている。
【0033】
更に図3を参照すると、例示的な超音波プローブ300が図示されている。超音波プローブ300は、ハウジング310と、超音波プローブ300を超音波診断装置100の他の構成要素と結合させる接続ワイヤ320とを含む。超音波プローブ300は、前方部330、左側部340、及び右側部350を更に含む。前方部330は、超音波プローブ300からの音波を送信し、反射された音波を受信するのに適した、レンズ又は他の構成要素を含むことができる。超音波プローブ300の適切な向きを維持するように超音波技師を支援するために、突起、フランジ、又は他の機械的差別化部(本明細書では「ノッチ355」と呼ぶ)を、超音波プローブの把持可能部分345の一側方側、例えば、図3に示すように左側部340に配置することが可能である。いくつかの態様において、及び以下に更に説明するように、超音波技師は、超音波診断装置100によって生成される胎児画像のための適切な基準フレームを維持するために、超音波診断中に超音波プローブ300のノッチ355を特定の方向に配置するであろう。
【0034】
図4図10を更に参照すると、超音波診断装置100を利用する胎児超音波診断中に、胎児内臓位を測定するための技術が開示されている。いくつかの実施態様において、超音波診断装置100の胎児内臓位機能は、例えば、ディスプレイデバイス108(図4参照)により表示されるユーザインタフェース400上のボタン又はアイコン410を、超音波技師が選択することによって開始され得る。これに応答して、超音波診断装置100は、胎児内臓位を測定するように動作することができる。例示的にのみ、超音波診断装置100は、以下で更に説明するように、頭位、逆子、横位、又は斜位などの、胎児姿勢を入力するように、超音波技師に問い合わせることができる。付加的又は代替的に、超音波診断装置100は、例えば、超音波プローブ300を利用して特定の画像を撮影するように超音波技師に促すことによって、超音波スキャンを利用して胎児姿勢を測定してもよく、その画像から超音波診断装置100は、例えば、画像認識技術によって胎児姿勢を測定することが可能である。胎児姿勢を測定するための他の技術が、本開示によって企図されている。
【0035】
図5Aに示すように、超音波診断装置100は、様々な胎児姿勢についての選択可能なアイコンを含むユーザインタフェース500を表示するディスプレイデバイス108を介して、超音波技師に問い合わせることができる。胎児姿勢が頭位510又は逆子520であると判断された場合、超音波診断装置100は、その胎児姿勢を受け入れ、技術の他の要素に進むことができる。しかしながら、胎児姿勢が横位530又は斜位540である場合、超音波診断装置100は、追加の胎児姿勢情報を要求してもよい。横位の胎児姿勢(図5B)を参照すると、超音波診断装置100は、ディスプレイ108上で「横位-頭部が母体の右向き」534又は「横位-頭部が母体の左向き」538のオプションから選択するように、超音波技師に問い合わせることができる。斜位の胎児姿勢540(図5C)を参照すると、超音波診断装置100は、ディスプレイ108上で「斜位-頭部が母体の下方右向き」542、「斜位-頭部が母体の上方右向き」544、「斜位-頭部が母体の下方左向き」546、及び「斜位-頭部が母体の上方左向き」548のオプションから選択するように、超音波技師に問い合わせることができる。代替的に、そして図5Dを参照すると、超音波診断装置100は、超音波技師による選択のために、様々な胎児姿勢を表示するグラフィカル要素550を提供してもよい。
【0036】
胎児姿勢の入力に際して、そしてここで図6を参照すると、超音波診断装置100は、実行中の超音波診断に関連する更なる情報を測定又は取得することができる。例示的にのみ、超音波診断装置100は、ユーザインタフェース600を表示することによって、ディスプレイデバイス108を介して超音波技師に問い合わせることができる。符号610で、超音波技師は、部屋の構成を選択又は確認するように促され得る。図示された例において、促し610は、標準的な部屋の構成(超音波装置100が母体右側に位置する)が利用されていることを確認するように、超音波技師に問い合わせる。符号620で、超音波診断装置100は、表示されている超音波画像が「中立」位置に対応することを、例えば、自動的に又は超音波技師による確認を要求して、判定することができる。最後に、符号630で、超音波診断装置100は、超音波プローブ300を適切な向きに配置するように超音波技師に促すことができる。いくつかの態様において、適切な向きは、超音波プローブ300のノッチ355が、母体右側へ又は患者140の頭部へ向けて配置されることである。部屋の構成、画像の種類、及びノッチ355の位置を判定することができる、様々な方法があり、その全てが本開示の範囲内であることを理解されたい。例示的にのみ、超音波診断装置100及び/又は超音波プローブ300は、ノッチ355の位置、向きなどの自動的な判定及び監視を可能にする、位置/向きセンサ(例えば、加速度計又は他のセンサ)を含むことができる。
【0037】
次に図7を参照して、超音波診断装置100が胎児姿勢情報を測定又は他の方法で取得し、部屋の構成、中立の画像位置、及びノッチ355の向きが確認されると、超音波診断装置100は、超音波技師に子宮内の胎児の超音波画像700を取得するように指示することができる。超音波画像700は、超音波診断装置100のディスプレイ108に表示することができる。いくつかの実施態様では、超音波診断中に画像が中立位置にあることを超音波技師が容易に確認できるように、ディスプレイ108が中立位置インジケータ705も表示することができる。
【0038】
超音波画像700は、胎児の胴体710の断層ビューを含むことができる。更に、断層ビューは、胴体710の外縁715及び胎児の脊椎720を含むことができる。いくつかの態様では、そして上述したように、脊椎720は、三角形状に配置された3つのランドマーク725-1、725-2、及び725-3を含むことになる。以下で更に説明するように、超音波診断装置100及び/又は超音波技師は、胴体の外縁715の向きと3つのランドマーク725-1、725-2、及び725-3とを利用して、胎児の内臓位を測定することができる。
【0039】
図8A図8B、及び図9を更に参照すると、上述した様々な入力に基づいて、超音波診断装置100は、胎児オーバーレイ800を超音波画像700上に重ね合わせて、胎児の拡張現実画像900を取得することができる。胎児オーバーレイ800は、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素810、820を含むことができる。グラフィカル要素810、820は、拡張現実画像900において胎児の左側と胎児の右側とを区別する、任意の視覚的インジケータの形態をとることができる。例示的にのみ、図8Aに示される図解的な一例において、グラフィカル要素は、胎児の胴体710を左側(810-L)及び右側(810-R)へ二分する、少なくとも1つの半透明カラーインジケータ810-L又は810-Rを含んでいる。図8Bにおいて、グラフィカル要素は、胎児の胴体710を左側(810-L)及び右側(810-R)に二分する、少なくとも1つの半透明カラーインジケータ810-L又は810-Rと、左側(820-L)及び右側(820-R)アイコン(「L」及び「R」は胎児の適切な部分に近接して配置)とを含んでいる。グラフィカル要素の他の形態は、本開示の範囲内である。
【0040】
図8A及び図8Bに示すように、胎児オーバーレイ800は、2つの形態をとることができ、ランドマーク725がフレームの底部に向かって配置されている状態で左側をオーバーレイの左側にした第1の形態(図8A)と、ランドマーク725がフレームの底部に向かって配置されている状態で右側をオーバーレイの左側にした第2の形態(図8B)とである。どの胎児オーバーレイ800を利用するかの判断は、超音波プローブ300が適切な向きにあるときの上述の胎児姿勢情報(頭位510、逆子520、横位530、又は斜位540)に基づいて行われる。例示的にのみ、図8Aの胎児オーバーレイ800は、頭位510及び「横位-頭部が母体の右向き」534の姿勢に適切であり得、図8Bの胎児オーバーレイ800は、逆子520及び「横位-頭部が母体の左向き」538の姿勢に適切であり得る。更に、図8Aの胎児オーバーレイ800は、「斜位-頭部が母体の下方右向き」542及び「斜位-頭部が母体の下方左向き」546の姿勢に適切であり得、図8Bの胎児オーバーレイ800は、「斜位-頭部が母体の上方右向き」544及び「斜位-頭部が母体の上方左向き」548の姿勢に適切であり得る。上記の説明は、上述したように、母体に対するノッチ355の適切な向きに依存している。いくつかの実施態様において、超音波診断装置100は、胎児の姿勢が入力されたときにノッチ355が適切に配向されるように、超音波技師にプロンプト、出力、又は他のリマインダーを提供することが可能である。
【0041】
超音波診断装置100は、胴体710の外縁715と三角形状に配置された3つのランドマーク725との間の位置合わせに対応するアライメント命令に基づいて、胎児オーバーレイ800を重ね合わせることができる。いくつかの実施態様では、アライメント命令が、超音波診断装置100によって自動的に生成され得る。例示的にのみ、超音波診断装置100は、超音波画像700上で画像認識又は他の視覚的マッチングアルゴリズムを利用して、胴体710の外縁715と3つのランドマーク725との1つ以上を検出することで、胎児オーバーレイ800の適切な位置に対応するアライメント命令を生成することができる。
【0042】
或いは、超音波診断装置100は、胎児オーバーレイ800を適切な位置に位置合わせするユーザ入力(例えば超音波技師から)を介して、アライメント命令を受信してもよい。ユーザ入力は、胴体710の外縁715及びランドマーク725を、胎児オーバーレイ800内の対応して適合するランドマーク/アイコン/要素/等と位置合わせするための、胎児オーバーレイ800の位置及び回転に対応する入力を含むがこれらに限定されない、種々の形態をとることができる。いくつかの態様では、コンピュータが生成したアライメント命令とユーザ入力のアライメント命令との組み合わせを利用することができ、例えば、超音波診断装置100が胎児オーバーレイ800の初期アライメントを生成し、超音波技師が生成されたアライメントを修正して所望のアライメントを確保できるようにしてもよい。
【0043】
ここで図9を参照すると、胎児の例示的な拡張現実画像900が、ディスプレイデバイス108によって出力されるように示されている。図示の拡張現実画像900は、胴体710の外縁715と三角形状に配置された3つのランドマーク725との間の適切な位置合わせで、図8Aの胎児オーバーレイ800を含んでいる。図示の拡張現実画像900は、更に、拡張現実画像900の撮像位置に対応する位置の、胎児のグラフィカル表現910を含んでいる。グラフィカル表現910は、拡張現実画像900に対する胎児の向きを描写することができる。この態様において、拡張現実画像900は、現在の画像診断の間の胎児の姿勢に関して、超音波技師へ視覚的な手がかりを提供する。
【0044】
いくつかの態様では、超音波技師が拡張現実画像900の位置を(中立位置から様々な回転したビューへ)変更する場合及びそのとき、胎児のグラフィカル表現910は、現在の画像がどのように配置されるかに応じて、方向も変更することが可能である。付加的又は代替的に、超音波技師が拡張現実画像900の位置を変更すると(例えば、超音波診断装置100へ指示を与えることによって)、超音波診断装置100は、回転された又は他の方法で変更された拡張現実画像900においてグラフィカル要素810、820が胎児の左側及び右側を適切に示すように、胎児オーバーレイ800を調整することができる。これは、例えば、超音波画像700が変更されるのと同じ方法で、超音波診断装置100が胎児オーバーレイ800を変更することによって実行することができる。
【0045】
本開示のいくつかの実装によれば、超音波診断装置100は、子宮内での胎児の動きに応答して、胎児オーバーレイ800を自動的に調整することができる。そのような実装において、超音波診断装置100は、モーション検出アルゴリズムを利用することによって、超音波画像700における胎児の動きを検出することができる。例示的にのみ、モーション検出アルゴリズムは、超音波画像700内の様々なマーカの位置を記憶し、様々なマーカが位置を変更したときを判断することができる。検出された位置の変化に基づいて、超音波診断装置100は、胎児の姿勢変化(方向、回転、移動の大きさなど)を判定することができる。判定された姿勢変化に基づいて、超音波診断装置100は、グラフィカル要素(複数可)810、820が拡張現実画像900内の胎児の左側及び右側を適切に示すように、対応する方法で胎児オーバーレイ800を調整することができる。一例において、超音波診断装置100は、上述したように、胴体710の外縁715と三角形状に配置された3つのランドマーク725との間の位置合わせに基づいて、胎児オーバーレイを調整してもよい。
【0046】
ここで図10を参照すると、本開示のいくつかの実施態様による画像診断中に、胎児内臓位を測定するための例示的な方法1000が図示されている。方法1000が、上述したように、様々な異なるデバイスによって単独で、又は協力して行うことができるものであるものの、説明を容易にするために、方法1000は、超音波診断装置100によって行われるものとして説明される。符号1010で、超音波診断装置100は、子宮内の胎児の超音波画像700を取得することができる。いくつかの態様において、超音波画像700は、胎児の胴体710の断層ビュー及び胴体710の外縁715と、(ii)胎児の脊椎720とを含むことができる。上述したように、特定の画像では、脊椎720が、三角形状に配置された3つのランドマーク725を含むように見えることになる。胴体710の外縁715と3つのランドマークとの位置合わせに対応するアライメント命令に基づいて、胎児オーバーレイ800を超音波画像700に重ね合わせて、拡張現実画像900を得ることができる。拡張現実画像900及び胎児オーバーレイ800は、胎児の左側及び右側を示すグラフィカル要素810及び/又は820を含むことができる。拡張現実画像900は、超音波診断装置100によって出力(符号1030)されてもよい。
【0047】
いくつかの実装において、方法1000は、超音波診断中に胎児の動きを検出する(符号1040)ことを更に含むことができる。そのような実装において、超音波診断装置100は、グラフィカル要素810、820が拡張現実画像900内の胎児の左側及び右側を適切に示すように、胎児の動きに基づいて胎児オーバーレイ800を調整する(符号1050)こともできる。付加的又は代替的に、方法1000は、拡張現実画像900の位置を変更する命令を受信する(符号1060)ことを含んでもよい。位置変更命令の受信1060に応答して、超音波診断装置100は、再配置された拡張現実画像900内の胎児の左側及び右側をグラフィカル要素810、820が適切に示すように、胎児オーバーレイ800を自動的に調整することができる。
【0048】
上記に加えて、本技術は、胎児及びその関連する身体部分の方向及び位置に関して、追加の機能を実行するために利用されてもよい。例示的にのみ、説明した胎児の左側及び右側の判定に基づいて、心臓オーバーレイを生成し、心臓及び/又はその様々な構造の上に重ね合わせることができる。上述の胎児オーバーレイと同様に、心臓オーバーレイは、心臓の解剖学的左側及び右側、その様々な構造/構成要素(流出路、枝、合流、弁、隔壁、壁など)、或いはそれらの組み合わせを示す、グラフィカル要素を含むことができる。例示的な実施態様において、グラフィカル要素は、心臓の左側を緑色で、心臓の右側を赤色で提示するなど、心臓の異なる側を「強調」して区別する(これは「心臓側性」と呼ぶことができる)半透明カラーインジケータを含んでもよい。グラフィカル要素の他の実装は、本開示の範囲内である。
【0049】
別の可能な実施態様において、本技術は、心臓の位置及び軸の測定を支援するために利用することができる。例示的にのみ、胎児オーバーレイ800は、心臓の軸と胸郭中心線との間の角度を測定するために必要な、2つの「線」のうちの1つを自動的に生成し、及び/又は超音波技師が位置決めするのを、支援するために利用することが可能である。一旦生成/位置決めされると、超音波技師は、他方の「線」を示す入力を提供することができ、前記角度を、超音波診断装置100によって自動的に測定することができる。
【0050】
本技術は、胎児オーバーレイ800に基づく更なる判定を提供することができる。上述したように、胎児オーバーレイ800は、心臓の中心軸(「心臓軸線」)を表示するために利用され得る。超音波診断装置100は(例えば、いくつかの態様において超音波技師からの支援と連携して)、心臓軸線を利用して様々な計算及び判定を行うことができる。例示的にのみ、技術は、心臓の左側と右側との間の比率を計算するために、左側及び右側の心臓の周長(circumference)を得ることを含むことができる。他の比率は、例えば、右側周長に対する左側周長/左側周長に対する右側周長、総心臓周長に対する左側周長、総心臓周長に対する右側周長、及び胸郭周長に対する心臓周長を含むことができる。心臓のランドマーク(弁、流出路など)間の距離、及び体積/距離比など、様々な他の距離及び測定値を算出することができる。
【0051】
いくつかの実施態様において、胎児オーバーレイ800及び関連するグラフィカル要素は、心臓の異なる側を区別するだけでなく、肺動脈、大動脈などの任意の関連する流出路も区別するように拡張することが可能である。この態様において、胎児オーバーレイ800は、例えば、流出路の形状をその予想される形状と比較するために、超音波技師がそのような流出路を視覚化することを支援することができる。更に、この技術は、他の方向線(心臓軸線など)との角度を生成するために、様々な流出路の追加の方向線を生成するように利用されてもよい。いくつかの実施形態において、胎児オーバーレイ800は、心臓特徴(cardiac features)の、適切な位置決めを確認及び/又は予期せぬ位置決めを決定するために、3又は4次元撮像セッションに留まることができる。
【0052】
いくつかの更なる態様において、本技術は、胎児の左側/右側の判定を支援するために、上述の脊髄ランドマーク/胴体とは異なる、単数又は複数のランドマークを利用することができる。例示的にのみ、胎児の足のアーチを利用して、左側/右側の判定を補助することができる。胎児の足の裏が胎児の体から離れる方向に向き、脚、足首、足などが解剖学的に「正常」である胎児の姿勢において、足のアーチは、胎児の左側及び右側の指標を提供することができる。例示的にのみ、頭位の胎児姿勢では、中立画像において(かかとが下がっているとき又は超音波画像の下方/後方部分で)、左足のアーチが「C」形状を有するように見え、右足が逆の「C」形状を有するように見えるであろう。従って、胎児オーバーレイ800は、アーチの「C」形状を位置合わせして利用し、胎児の左側と右側とを位置合わせして区別することができる。ランドマークの他の実施態様は、本開示の範囲内である。
【0053】
本開示の様々な技術を、胎児の左側/右側の判定を確認するために、組み合わせて利用することができることを理解されたい。例示的にのみ、脊椎ランドマーク/胴体の技術は、胎児の左側/右側を判定するために利用することができ、胎児の足のアーチは、この判定を確認するために利用することができる(又はその逆も同様である)。更に、胎児オーバーレイ800は、胎児の胸郭/心臓/等の左側/右側を表示するだけでなく、3又は4次元撮像セッション中に存在する任意の付属器官も表示するように、拡張することが可能である。
【0054】
本開示は主に超音波診断の文脈で説明されているが、本明細書に記載された技術は、必要な変更を加えて、胎児の撮像に利用可能な任意の撮像技術に等しく適用することができることを理解されたい。そのような技術は、超音波画像診断、磁気共鳴画像診断(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、及びX線画像診断を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0055】
この開示が徹底され、当業者にその範囲を十分に伝えるように、例示的な実施形態が提供されている。本開示の実施形態の徹底的な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例など、多数の具体的な詳細が記載されている。具体的な詳細が採用される必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化され得ること、及びどちらも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではないことは、当業者にとって明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態において、周知の手順、周知の装置構造、及び周知の技術は、詳細に説明されていない。
【0056】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的だけのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むように意図され得る。用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の、任意の及び全ての組み合わせを含む。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(have)」は、包括的であり、従って、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の、存在又は付加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、及び操作は、実行順序として具体的に特定されない限り、論じられた又は図示された特定の順序でのそれらの実行を、必ずしも必要とすると解釈されるものではない。また、追加或いは代替のステップが採用されてもよいことも理解される。
【0057】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明する場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきものではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、又はセクションを、別の領域、層、又はセクションから区別するためにのみ使用され得る。本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」、及び他の数的用語などの用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序又は順番を意味することはない。従って、後述する第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと称することができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「コンピューティングデバイス」又はプロセッサという用語は、以下を示す、以下の一部である、或いは以下を含んでもよい:特定用途向け集積回路(ASIC);電子回路;組合せ論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);プロセッサ又は複数のプロセッサ(共有、専用、又はグループ化)の分散ネットワーク、及びコード又はプロセスを実行するネットワーククラスタ又はデータセンタにおけるストレージ;記載された機能を提供する他の適切なコンポーネント;或いは、システムオンチップなどの、上記の一部又は全ての組み合わせ。コンピューティングデバイスという用語は、1つ以上のプロセッサにより実行されるコードを格納するメモリ(共有、専用、又はグループ化)を含むこともできる。
【0059】
上記で使用したように、コードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、バイトコード、及び/又はマイクロコードを含み、プログラム、ルーチン、関数、クラス、及び/又はオブジェクトを示すことがある。上記で使用したように、共有という用語は、複数のモジュールからの一部又は全てのコードが、単一の(共有)プロセッサを使用して実行され得ることを意味する。更に、複数のモジュールからの一部又は全てのコードは、単一の(共有)メモリによって格納されてもよい。上記のように、グループという用語は、単一のモジュールからの一部又は全てのコードが、プロセッサのグループを使用して実行され得ることを意味する。更に、単一のモジュールからの一部又は全てのコードは、メモリのグループを使用して格納されてもよい。
【0060】
本明細書に記載された技術は、1つ以上のプロセッサによって実行される1つ以上のコンピュータプログラムにより実施されてもよい。コンピュータプログラムは、非一過性の有形のコンピュータ可読媒体に格納されている、プロセッサ実行可能命令を含む。また、コンピュータプログラムは、保存されたデータを含んでもよい。非一過性の有形のコンピュータ可読媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリ、磁気記憶装置、及び光学記憶装置である。
【0061】
上記の説明のいくつかの部分は、情報に対する操作のアルゴリズム及び記号表現の観点から、本明細書に記載された技術を提示している。これらのアルゴリズム的な記述及び表現は、データ処理技術の当業者が、別の当業者へ自分の仕事の実質を最も効果的に伝えるために使用する手段である。これらのオペレーションは、機能的又は論理的に記述されているが、コンピュータプログラムによって実行されるものと理解されている。更に、一般性を損なうことなく、これらのオペレーションの配置を、モジュールとして又は機能名で参照することも、時に便利であることが証明されている。
【0062】
上記の議論から明らかなように、特に別段の記載がない限り、本明細書を通じて、「処理(processing)」又は「計算(computing)」又は「計算(calculating)」又は「判定(determining)」又は「表示(displaying)」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、又は表示デバイス内で、物理的(電子的)量として表されるデータを操作及び変換する、コンピュータシステム又は同様の電子計算デバイスの作用及び処理を指すことが理解されるであろう。
【0063】
記載された技術のある態様は、アルゴリズムの形態で本明細書に記載されたプロセスステップ及び命令を含む。記載されたプロセスステップ及び命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで具現化することができ、ソフトウェアで具現化される場合、リアルタイムネットワークオペレーティングシステムによって使用される異なるプラットフォーム上に常駐し、そこから操作されるように、ダウンロードしてもよいことに留意されたい。
【0064】
本開示はまた、本明細書における動作を実行するための装置に関するものである。この装置は、必要な目的のために特別に構成されてもよいし、コンピュータによってアクセス可能なコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される、汎用コンピュータで構成されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)、或いは、電子命令の格納に適した任意の種類のメディアなどの(それぞれがコンピュータシステムバスに結合されている)、有形のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納されていてもよいが、これらに限定されるものではない。更に、本明細書で言及されるコンピュータは、単一のプロセッサを含んでもよく、計算能力を高めるために複数のプロセッサ設計を採用したアーキテクチャであってもよい。
【0065】
本明細書に提示されたアルゴリズム及び操作は、特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連するものではない。様々な汎用システムも、本明細書の教示に従ったプログラムと共に使用することができ、或いは、必要な方法ステップを実行するためにより特化した装置を構築することが便利なことが判明する場合もある。様々なこれらのシステムのために必要な構造は、同等の変形例と共に当業者には明らかであろう。加えて、本開示は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明していない。様々なプログラミング言語を、本明細書に記載された本開示の教示を実施するために使用できることが理解され、特定の言語へのあらゆる言及は、本発明の実現可能性及び最良の態様の開示のために提供される。
【0066】
本開示は、多数のトポロジーにわたる広範なコンピュータネットワークシステムによく適している。この分野において、大規模ネットワークの構成及び管理は、インターネットなどのネットワークを介して異種コンピュータ及びストレージデバイスに通信可能に結合された、ストレージデバイス及びコンピュータを含んでいる。
【0067】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されたものである。それは、網羅的であること又は本開示を限定することを意図していない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されないが、たとえ具体的に示されていない又は説明されていなくても、適用可能な場合は、交換可能であり、選択された実施形態において使用することができる。また、同じものを多くの方法で変化させることができる。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされることはなく、そのような全ての変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0068】
100:超音波診断装置、104:プロセッサ、108:ディスプレイデバイス、700:超音波画像、705:中立位置インジケータ、710:胴体、715:外縁、720:脊椎、725(725-1、725-2、725-3):ランドマーク、800:胎児オーバーレイ、810、820:グラフィカル要素、810-L、810-R:半透明カラーインジケータ、900:拡張現実画像、910:グラフィカル表現
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【国際調査報告】