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特表2022-548068形状材料合金溶接のための方法およびそれから調製されるデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】形状材料合金溶接のための方法およびそれから調製されるデバイス
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/06 20060101AFI20221109BHJP
   B23K 26/20 20140101ALI20221109BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20221109BHJP
   C22C 38/26 20060101ALN20221109BHJP
   C22C 19/03 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
B23K20/06
B23K26/20
C22C38/00 302Z
C22C38/26
C22C19/03 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516227
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020050723
(87)【国際公開番号】W WO2021051078
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/900,304
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】パントン,ボイド
(72)【発明者】
【氏名】デーン,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ビベク,アヌパム
【テーマコード(参考)】
4E167
4E168
【Fターム(参考)】
4E167AA03
4E167AA10
4E167AA13
4E167AA29
4E167BL03
4E167DA02
4E168BA02
4E168BA86
4E168BA87
4E168BA89
4E168DA45
(57)【要約】

本明細書には、形状記憶合金を溶接するための方法およびそれから調製されるデバイスが記載されている。本方法から生成された溶接部は、形状記憶合金の極限引張強度に対して100%の継手強度に近づけることができ、熱影響域および脆性金属間化合物を実質的に含まない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、
金属消耗体を前記第1の金属の部片に近接して位置決めすることと、
前記金属消耗体を気化させ、前記気化した金属消耗体によって発生したガス圧力を前記第1の金属の前記部片に方向付けすることによって、前記第1の金属の前記部片を加速させることと、
前記第1の金属の前記加速した部片を前記第2の金属の静止部片に衝突させ、それによって前記第1の金属の前記部片を前記第2の金属の前記静止部片に接合することと、を含み、
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含む、方法。
【請求項2】
前記消耗体が、箔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属消耗体が、アルミニウムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の金属の前記静止部片が、ダイであり、前記第1の金属の前記部片が、前記衝突によって変形されて、所望の形状または表面構造を作り出す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ダイは、前記第1の金属の前記部片が前記衝突によって穿孔または剪断されて、所望の穴もしくは一連の穴、または連動する特徴を作り出すように、穴を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属および前記第2の金属が、異種金属を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属が、ステンレス鋼を含み、前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含み、前記第2の金属が、ステンレス鋼を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金属および前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ニッケル-チタン形状記憶合金が、ニッケル-チタン(NiTi)合金、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金を含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記形状記憶合金が、ニチノールを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、Ni-Ti-Hf-Zr形状記憶合金を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、NiTi-Er形状記憶合金を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル合金を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、放射線不透過性合金を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高度な構造金属を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高エントロピー合金を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火金属を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火合金を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、非晶質金属を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記加速ステップにおいて、前記第1の金属の前記部片が、300~1000m/秒の範囲の速度を実現する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記加速ステップが、前記消耗体に急速に電流を通すことによって達成される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記電流が、コンデンサを放電することによって達成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コンデンサが、100ジュール~100キロジュールの範囲の入力エネルギーを提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の金属の前記部片および前記第2の金属の前記静止部片が、一対の材料ブロック間にその順序で配置され、これらの各々が、前記第1の金属の前記部片よりもかなり重く、それによって気化した流れを前記第1の金属の前記部片に方向付けし、前記第1の金属の前記部片を前記第2の金属の前記静止部片に向けて加速させる、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の金属の前記部片と前記第2の金属の前記静止部片との間に複数の隔離シートを位置決めすることをさらに含み、前記隔離シートの各々が、同じ隔離シート厚さを有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記隔離シート厚さが、0.1mm~1cmの範囲である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の金属の前記部片が、形状記憶合金を含み、前記第2の金属の前記静止部片が、鋳物を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の金属の前記部片が、第1の厚さを有し、前記第2の金属の前記静止部片が、第2の厚さを有し、前記第1の厚さが、前記第2の厚さより20%少ない、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の金属の前記部片が、10μm~4cmの厚さを有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の金属の前記静止部片が、第2の厚さを有し、前記第2の厚さが、10μm~4cmの範囲である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の金属の前記部片および前記第2の金属の前記静止部片が、スカーフ溶接で接合され、接合部片を形成する、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の金属の前記部片および前記第2の金属の前記静止部片が、ワイヤである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の金属の前記部片および前記第2の金属の前記部片を所望の形状に機械加工することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、
前記第1の金属の部片を前記第2の金属の静止部片の上面上に第1の距離で位置決めすることであって、前記第1の金属の前記部片が、前記第2の金属の前記静止部片の前記上面に対して斜角で位置決めされる、位置決めすることと、
ターゲット層を前記第1の金属の前記部片の少なくとも第1の位置上に位置決めすることと、
前記第1の金属の前記部片の前記第1の位置に第1の持続時間の間入射するように、レーザビームを方向付けすることと、
前記第1の金属の前記部片を第1の速度まで、かつ前記第2の金属の前記静止部片の前記上面に向かって加速させ、それによって前記第1の金属の前記部片を前記第2の金属の前記静止部片に接合することと、を含み、
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含む、方法。
【請求項37】
前記ターゲット層が、タンピング層を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タンピング層を位置決めすることが、前記第1の金属の前記部片上に水を流すことを含み、前記水が、前記タンピング層を形成する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ターゲット層が、アブレーション層を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アブレーション層が、炭素質材料、セルロース材料、ニトロメタン系材料、アジド系材料、酸化剤-酸化体材料、ナノ粉末材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ターゲット層が、前記アブレーション層上に配設された透明バッキングをさらに含む、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記透明バッキングが、サファイア、石英、ガラス、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の距離が、0.1mm~1cmである、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の速度が、300メートル/秒~1000メートル/秒である、請求項36~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記斜角が、5~30度の範囲にある、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の持続時間が、5ns~500nsである、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の金属および前記第2の金属が、異種金属を含む、請求項36~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の金属が、ステンレス鋼を含み、前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項36~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含み、前記第2の金属が、ステンレス鋼を含む、請求項36~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項36~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の金属および前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項36~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ニッケル-チタン形状記憶合金が、ニッケル-チタン(NiTi)合金、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金を含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記形状記憶合金が、ニチノールを含む、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、Ni-Ti-Hf-Zr形状記憶合金を含む、請求項36~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、NiTi-Er形状記憶合金を含む、請求項36~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル合金を含む、請求項36~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、放射線不透過性合金を含む、請求項36~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高度な構造金属を含む、請求項36~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の金属が、形状記憶合金を含み、前記第2の金属が、鋳物を含む、請求項36~58いずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高エントロピー合金を含む、請求項36~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火金属を含む、請求項36~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火合金を含む、請求項36~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、非晶質金属を含む、請求項36~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
第1の金属を第2の金属に接合する溶接部を備えるデバイスであって、
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含み、
前記形状記憶合金が、極限引張強度を有し、
前記溶接部が、前記形状記憶合金の前記極限引張強度に対して少なくとも63%の継手効率を示す、デバイス。
【請求項65】
前記溶接部が、少なくとも80%の継手効率を示す、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
前記溶接部が、熱影響域を実質的に有しない、請求項64または65に記載のデバイス。
【請求項67】
前記溶接部が、脆性金属間化合物を実質的に有しない、請求項64~66のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項68】
第1の金属を第2の金属に接合する溶接部を備えるデバイスであって、
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含み、
前記溶接部が、熱影響域を実質的に有しない、デバイス。
【請求項69】
前記溶接部が、少なくとも63%の継手効率を示す、請求項68に記載のデバイス。
【請求項70】
前記溶接部が、少なくとも80%の継手効率を示す、請求項68または69に記載のデバイス。
【請求項71】
前記溶接部が、脆性金属間化合物を実質的に有しない、請求項68~70のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項72】
第1の金属を第2の金属に接合する溶接部を備えるデバイスであって、
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含み、
前記溶接部が、脆性金属間化合物を実質的に有しない、デバイス。
【請求項73】
前記溶接部が、少なくとも63%の継手効率を示す、請求項72に記載のデバイス。
【請求項74】
前記溶接部が、少なくとも80%の継手効率を示す、請求項72または73に記載のデバイス。
【請求項75】
前記溶接部が、熱影響域を実質的に有しない、請求項72~74のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項76】
前記第1の金属および前記第2の金属が、異種金属を含む、請求項64~75のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項77】
前記第1の金属が、ステンレス鋼を含み、前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項64~76のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項78】
前記第1の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含み、前記第2の金属が、ステンレス鋼を含む、請求項64~76のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項79】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項64~78のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項80】
前記第1の金属および前記第2の金属が、ニッケル-チタン形状記憶合金を含む、請求項64~79のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項81】
前記ニッケル-チタン形状記憶合金が、ニッケル-チタン(NiTi)合金、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金を含む、請求項77~80のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項82】
前記形状記憶合金が、ニチノールを含む、請求項64~81のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項83】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、Ni-Ti-Hf-Zr形状記憶合金を含む、請求項64~82のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項84】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、NiTi-Er形状記憶合金を含む、請求項64~83のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項85】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、ニッケル合金を含む、請求項64~84のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項86】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、放射線不透過性合金を含む、請求項64~85のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項87】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高度な構造金属を含む、請求項64~86のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項88】
前記第1の金属が、形状記憶合金を含み、前記第2の金属が、鋳物を含む、請求項64~87のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項89】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、高エントロピー合金を含む、請求項64~88のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項90】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火金属を含む、請求項64~89のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項91】
前記第1の金属、前記第2の金属、またはそれらの組み合わせが、耐火合金を含む、請求項64~90のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項92】
前記第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、非晶質金属を含む、請求項64~91のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項93】
前記溶接部が、単一ワイヤ溶接部、複数のワイヤ溶接部、重ね溶接部、スカーフ溶接部、リング/スリーブ溶接部、プラグ溶接部、または追加のフライヤー溶接部である、請求項64~92のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項94】
前記デバイスが、アクチュエータである、請求項64~93のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項95】
前記デバイスが、ワイヤである、請求項64~93のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項96】
前記デバイスが、医療デバイスである、請求項64~93のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項97】
前記医療デバイスが、ステントである、請求項96に記載のデバイス。
【請求項98】
前記医療デバイスが、ガイドワイヤである、請求項96に記載のデバイス。
【請求項99】
前記医療デバイスが、インプラントである、請求項96に記載のデバイス。
【請求項100】
前記医療デバイスが、外科用ツールである、請求項96に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月13日に出願された米国特許仮出願第62/900,304号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、形状材料合金溶接、特に、気化箔アクチュエータ溶接およびレーザ衝撃溶接のための方法およびそれから調製されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
形状記憶合金は、生物医学産業、自動車産業、電子産業、および航空宇宙産業を含む幅広い産業の範囲でますます用途を見出している。これらの用途は、多くの場合、それらの形状記憶効果、擬弾性、および良好な作動力と重量の比を活用する。しかしながら、良好な継手強度を保持しながら形状記憶合金を溶接することは、非常に難しい。形状記憶合金に現在使用されている溶接方法の多くは、比較的広い熱影響域(HAZ)または脆性金属間化合物の形態で継手に欠陥を生じさせる。これらの欠陥が、引張強度の低減および部品の熱歪みにつながっていた。
【0004】
作動目的でSMAを接合するために開発されてきた様々な既存の競合技術があり、これらのいずれも、SMAデバイスについての欠陥のない高強度接合プロセスの欠如の悩みを解決しない。接着およびはんだ付けは、低強度、脆性であり、デバイスに質量を追加する。マイクロ抵抗溶接などの融接技法は、熱で材料を損傷させ、かつ脆性金属間化合物を形成する合金元素の混合による脆性継手の原因となる。レーザ溶接は、その低い入熱のために広く使用されているが、残念なことに、中間層を採用するか、または優先的に合金のうちの1つを溶融させるためにレーザを弱めるときでも、依然として脆性の継手を生成する。回転摩擦溶接も調査されているが、継手形状が作動に好適ではなく、この分野における研究では、小さいプロセスウィンドウを伴う問題が示されている。超音波溶接は、材料の薄層を積層することができるが、SMAとの冶金結合を達成する能力が現在欠如しており、むしろ機械的な引き抜き強度に依拠しており、軽量で高強度の継手を作製するのに好適ではない。上述の欠陥は、引張強度の低減および部品の熱歪みにつながっている。これらの方法はまた、継手形状(およびひいては、製造することができるデバイス形態)に関して限定される。
【0005】
したがって、SMAを接合するための改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には、気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)およびレーザ衝撃溶接(LIW)などの溶接プロセスを使用して、形状記憶合金を接合する方法が記載されている。これらの方法は、SMAと別の金属(例えば、別のSMA、またはアルミニウム、チタン、もしくはステンレス鋼などの異種金属)との間に高強度の継手を効率的に形成することができる。いくつかの例では、本方法は、ニチノールなどのニッケル-チタン合金を、アルミニウム、チタン、またはステンレス鋼などの異種金属に接合するために使用することができる。他の例では、本方法は、ニチノールの2つの部片など、形状記憶合金の2つの部片を接合するために使用することができる。得られる溶接部は、レーザ溶接または超音波溶接などの代替的な溶接方法によって形成された溶接部を含む他の方法によって形成された溶接部と比較して、改善された特性を示すことができる。例えば、得られる溶接部は、実用で使用される荷重モードにおいて、継手強度と、接合ペア中の2つの元素のうちの弱い元素の強度との比率として定義される、改善された継手効率を示すことができる。いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、形状記憶合金の極限引張強度に対して、少なくとも63%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%)の継手効率など、改善された継手効率を示すことができる。いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、熱影響域(HAZ)を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、脆性金属間化合物の連続層を実質的に含まなくてもよい。
【0007】
例えば、本明細書では、第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、VFAWを採用する形状記憶合金を含む、方法が提供される。これらの方法は、金属消耗体を第1の金属の部片に近接して位置決めすることと、金属消耗体を気化させ、気化させた金属消耗体によって発生したガス圧力を第1の金属の部片に方向付けすることによって、第1の金属の部片を加速させることと、第1の金属の加速させた部片を第2の金属の静止部片に衝突させ、それによって第1の金属の部片を第2の金属の静止部片に接合することと、を含むことができる。
【0008】
また、第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、LIWを採用する形状記憶合金を含む、方法の別の実装形態が提供される。これらの方法は、第1の金属の部片を第2の金属の静止部片の上面上に第1の距離で位置決めすることと、ターゲット層を第1の金属の部片の少なくとも第1の位置上に位置決めすることと、第1の金属の部片の第1の位置に第1の持続時間の間入射するように、レーザビームを方向付けすることと、第1の金属の部片を第1の速度まで、かつ第2の金属の静止部片の上面に向かって加速させ、それによって第1の金属の部片を第2の金属の静止部片に接合することと、を含むことができる。いくつかの実装形態では、第1の金属の部片は、第2の金属の静止部片の上面に対して斜角で位置決めされる。
【0009】
本明細書に記載の方法は、第1の金属を第2の金属に接合する溶接部を含むデバイスであって、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、形状記憶合金を含む、デバイスを形成するために使用することができる。いくつかの実装形態では、溶接部に使用される形状記憶合金は、極限引張強度を有し、溶接部が、形状記憶合金の極限引張強度に対して、少なくとも63%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%)の継手効率を示す。いくつかの実装形態では、溶接部は、熱影響域を実質的に含まない。いくつかの実装形態では、溶接部は、脆性金属間化合物を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、デバイスは、医療デバイス(例えば、ステントまたはガイドワイヤ)を備えることができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、アクチュエータを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構築する添付図面は、本開示のいくつかの態様を図示し、記載と一緒に、本開示の原理を説明する働きをする。
【0011】
図1A】気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)のための装置構成を示す。
図1B】気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)のための装置構成を示す。
図1C】気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)のための装置構成を示す。
図2A】形状記憶合金と異種金属との間にVFAWによって形成された溶接部の側面図を示す。
図2B図2Aの溶接部の斜視図を示す。
図3A】VFAWによって形成された様々な溶接部を示す。
図3B】VFAWによって形成された様々な溶接部を示す。
図3C】VFAWによって形成された様々な溶接部を示す。
図3D】VFAWによって形成された様々な溶接部を示す。
図4A】VFAWによってステンレスの穿孔部片に押し出された形状記憶合金の部片を示す。
図4B】VFAWによってステンレスの穿孔部片に押し出された形状記憶合金の部片を示す。
図5A】VFAWのための装置構成の別の実装形態を示す。
図5B】VFAWのための装置構成の別の実装形態を示す。
図6A図5A~5Bの装置に由来するVFAWの製品を示す。
図6B図5A~5Bの装置に由来するVFAWの製品を示す。
図6C図5A~5Bの装置に由来するVFAWの製品を示す。
図6D図5A~5Bの装置に由来するVFAWの製品を示す。
図7A】VFAWの別の実装形態の別の製品を示す。
図7B】VFAWの別の実装形態の別の製品を示す。
図8】VFAWの別の実装形態の側面断面図を示す。
図9】中間エラストマー層を有するVFAWの別の実施形態の側面図を示す。
図10】レーザ衝撃溶接(LIW)のための装置構成を示す。
図11】形状記憶合金および異種金属のLIWの製品を示す。
図12】(A)実施例1の実験装置の等角図である。(B)実施例1の実験装置の側面図である。(C)実施例1の実験後の溶接構造の側面図である。
図13】(a)NiTi/NiTi溶接界面の特徴付けを示す光学画像である。(b)NiTi/NiTi溶接界面のSEM-BSE画像である。(c)NiTi/NiTi溶接界面のTi分布のEDSマップである。(d)Ni分布のEDSマップである。
図14】EDSマップ分析に関連付けられたNiTi/SS溶接界面である。
図15】(a)NiTi母材における示差走査熱量測定(DSC)試験結果の比較を示す。(b)NiTi/NiTi溶接部におけるDSC試験結果の比較を示す。(c)NiTi/SS溶接部におけるDSC試験結果の比較を示す。
図16】NiTi/NiTi界面およびNiTi/SS界面にわたる微小硬度分布を示す。
図17】(A)NiTi母材、SS-SS溶接部、NiTi/NiTi溶接部、およびSS-NiTi溶接部の典型的な荷重-変位関係の比較を示す。(B)破断位置を示す重ね剪断試験前後のNiTi/NiTi溶接部についての典型的な画像を示す。(C)最新の作業における、TIG溶接、レーザ溶接(LSW)、およびVFAWによって作製されたNiTi/NiTi溶接部の継手効率の比較を示す。(D)最新の作業における、レーザろう付け(LB)、LSW、およびVFAWによって作製されたNiTi/SS溶接部の継手効率の比較を示す。
図18】(A)100サイクル後のNiTi母材におけるサイクル試験結果を示す。(B)100サイクル後のNiTi/NiTi溶接部におけるサイクル試験結果を示す。(C)100サイクル後のNiTi/SS溶接部におけるサイクル試験結果を示す。
図19】(A)実施例2についてのVFAW装置の等角図を示す。(B)PDVプローブ位置を示すVFAW装置の上面図を示す。(C)実施例2の導通後の変形したフライヤーの側面図を示す。
図20】(a)異なるPDVチャネル位置でのフライヤー速度対フライヤー進行距離を示す。(b)衝撃速度と溶接中心から縁部までの角度との関係を示す。
図21】(a)番号が後続の図面との解説を示す、NiTi/SS衝撃溶接部の全体的な界面ミクロ構造の概略図を示す。(b)界面ミクロ構造の断面の半分についてのOM画像を示す。(c)NiTi/SS衝撃溶接部の異なる区域における詳細なミクロ構造の概略図を示す。
図22】(A)実施例2のNiTi/SS溶接部の非結合区域を示す。(B)図22(A)の非結合区域の拡大図を示す。
図23】(A)実施例2のNiTi/SS溶接部のナノ多孔質区域を示す。(B)図23Aのナノ多孔質区域の拡大図を示す。
図24】実施例2のNiTi/SS溶接部の連続溶融層を有する平界面を示す。
図25】実施例2のNiTi/SS溶接部の不連続溶融結果およびスポットEDS結果を有する波状界面を示す。
図26】(A)実施例2のNiTi/SS溶接部の不連続溶融を有する波状界面を示す。(B)図26(A)のEDSマップ分析である。
図27】実施例2のNiTi/SS溶接部のNiTi側における剪断亀裂を有する波状界面を示す。
図28】実施例2のNiTi/SS溶接部のNiTi側におけるわずかな剪断帯形成を有する波状界面を示す。
図29】透過電子明視野撮像における集束イオンビーム除去試料および示した領域1~8からの制限視野回折パターンを示す。
図30】(a)SS-NiTi溶接部の明視野画像を示す。(b)図30(a)のLine EDS分析結果を示す。
図31】(a)液相線温度固化範囲を示す。(b)擬三元図における計算を示す。
図32】NiTi母材およびNiTi/SS溶接部の相変態特徴を示すDSC曲線の比較を示す。
図33】NiTiとSSとの間の異なる界面(パネルb)にわたるビッカース微小硬度分布(パネルa)を示す。
図34】レーザろう付け(LB)、LSW、およびVFAWによって作製されたNiTi/SS溶接部の継手効率の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に指示がない限り、本明細書で使用される略語は、当技術分野におけるそれらの従来の意味を有する。
【0013】
本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprise)」(ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などのそれらの形態、派生形、または変形)および「含む(include)」(ならびに「含む(including)」および「含む(includes)」などのそれらの形態、派生形、または変形)は、包括的(すなわち、非限定的)であり、追加の要素またはステップを除外しない。例えば、「含む(comprise)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。したがって、これらの用語は、列挙された要素またはステップを網羅することを意図するだけでなく、明示的に列挙されていない他の要素またはステップも含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、要素と併せて使用されるときの「a」または「an」という用語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」の意味とも一致する。したがって、「a」または「an」が先行する要素は、さらに制約がなければ、追加の同一要素の存在を排除するものではない。
【0014】
「約」という用語の使用は、明示的に指示されているかどうかにかかわらず、すべての数値に適用される。この用語は、一般に、当業者が、列挙された数値に対する合理的な量の偏差とみなすであろう(すなわち、同等の機能または結果を有する)数の範囲を指す。例えば、この用語は、所与の数値の±10パーセントの偏差を含むと解釈することができるが、ただし、そのような偏差が最終の機能または値の結果を変化させないことを条件とする。したがって、約1%の値は、0.9%~1.1%の範囲であると解釈することができる。さらに、範囲は、範囲の始点および終点を含むと解釈することができる。例えば、本明細書で特に明記しない限り、10%~20%の範囲(すなわち、10%~20%の範囲)は、10%を含むことができ、20%も含み、10%~20%のパーセンテージを含む。
【0015】
要素の組み合わせ、サブセット、群など(例えば組成物中の構成要素の組み合わせ、または方法におけるステップの組み合わせ)が開示されるとき、これらの要素の各種の個々のおよび集合的な組み合わせおよび順列の各々の具体的な言及は、明示的に開示されない場合があり、各々が本明細書で具体的に検討および記載される。例として、項目がタイプAの構成要素、タイプBの構成要素、タイプCの構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含むものとして本明細書に記載される場合、この語句は、これらの構成要素の種々の個々のおよび集合的な組み合わせ、ならびに順列のすべてを記載するものと理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプAの構成要素のみを含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプBの構成要素のみを含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプCの構成要素のみを含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプAの構成要素およびタイプBの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプAの構成要素およびタイプCの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプBの構成要素およびタイプCの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプAの構成要素、タイプBの構成要素、およびタイプCの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプAの2つ以上の構成要素(例えば、A1およびA2)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプBの2つ以上の構成要素(例えば、B1およびB2)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、タイプCの2つ以上の構成要素(例えばC1およびC2)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、第1の構成要素のうちの2つ以上(例えば、タイプAの2つ以上の構成要素(A1およびA2))、任意選択的に第2の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプBの1つ以上の構成要素)、および任意選択的に第3の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプCの1つ以上の構成要素)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、第1の構成要素のうちの2つ以上(例えば、タイプBの2つ以上の構成要素(B1およびB2))、任意選択的に第2の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプAの1つ以上の構成要素)、および任意選択的に第3の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプCの1つ以上の構成要素)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この語句によって記載される項目は、第1の構成要素のうちの2つ以上(例えば、タイプCの2つ以上の構成要素(C1およびC2))、任意選択的に第2の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプAの1つ以上の構成要素)、および任意選択的に第3の構成要素のうちの1つ以上(例えば、任意選択的にタイプBの1つ以上の構成要素)を含むことができる。「それらの組み合わせ」および「それらの任意の組み合わせ」という語句は、本明細書では同義語として使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「形状記憶合金」は、金属から作製された構造が変形された後に戻る所定の形状(geometry)(すなわち、形状(shape))を有する金属を含む。そのような合金は、それらが古典的な金属または合金よりも有意に高いひずみ値で可逆的な応力-ひずみ挙動を示すことができることを意味する、「擬弾性」(「超弾性」とも称される)を示し得る。そのような合金はまた、再配列または双晶回復を通して誘発された大きいひずみの回収から得られる形状記憶効果を示すことができる。結果として、これらの合金は、母相と生成物相との間で可逆的な固体相変態を受けることができる。形状記憶合金としては、ニチノールなどの熱エネルギー(すなわち、温度)、および/または磁場の影響によってその所定の形状に戻るものが挙げられ得るが、これらに限定されない。形状記憶合金の他の例としては、チタン-パラデュイム(palladuim)-ニッケル、ニッケル-チタン-銅、金-カドミウム、鉄-亜鉛-銅-アルミニウム、チタン-ニオブ-アルミニウム、ハフニウム-チタン-ニッケル、鉄-マンガン-ケイ素、ニッケル-チタン、ニッケル-鉄-亜鉛-アルミニウム、銅-アルミニウム-鉄、チタン-ニオブ、ジルコニウム-銅-亜鉛、およびニッケル-ジルコニウム-チタンからなるものが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「熱影響域」という用語は、溶接プロセス中に高温にさらされた結果として、材料特性に変化を受けた金属の非溶融エリアを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「金属間化合物」という用語は、同種および異種金属溶接中に形成する相を指す。金属間化合物は、多くの場合、継手特性を損なわせ、最悪の場合には、継手の形成を不可能にする低い延性および高い硬度を有する。
【0019】
方法
本明細書には、気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)およびレーザ衝撃溶接(LIW)などの溶接プロセスを使用して、形状記憶合金を接合する方法が記載されている。これらの方法は、SMAと別の金属(例えば、アルミニウム、チタン、もしくはステンレス鋼などの別のSMAまたは異種金属)との間に高強度の継手を効率的に形成することができる。いくつかの例では、本方法は、ニチノールなどのニッケル-チタン合金を、アルミニウム、チタン、またはステンレス鋼などの異種金属に接合するために使用することができる。他の例では、本方法は、ニチノールの2つの部片など、形状記憶合金の2つの部片を接合するために使用することができる。得られる溶接部は、レーザ溶接または超音波溶接などの代替的な溶接方法によって形成された溶接部を含む他の方法によって形成された溶接部と比較して、改善された特性を示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、形状記憶合金の極限引張強度に対して、少なくとも63%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%)の継手効率など、改善された継手効率を示すことができる。いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、熱影響域(HAZ)を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、得られる溶接部は、脆性金属間化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0020】
例えば、本明細書では、第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、VFAWを採用する形状記憶合金を含む、方法が提供される。これらの方法は、金属消耗体を第1の金属の部片に近接して位置決めすることと、金属消耗体を気化させ、気化させた金属消耗体によって発生したガス圧力を第1の金属の部片に方向付けすることによって、第1の金属の部片を加速させることと、第1の金属の加速させた部片を第2の金属の静止部片に衝突させ、それによって第1の金属の部片を第2の金属の静止部片に接合することと、を含むことができる。
【0021】
また、第1の金属を第2の金属に接合する方法であって、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせが、LIWを採用する形状記憶合金を含む、方法の別の実装形態が提供される。これらの方法は、第1の金属の部片を第2の金属の静止部片の上面上に第1の距離で位置決めすることと、ターゲット層を第1の金属の部片の少なくとも第1の位置上に位置決めすることと、第1の金属の部片の第1の位置に第1の持続時間の間入射するように、レーザビームを方向付けすることと、第1の金属の部片を第1の速度まで、かつ第2の金属の静止部片の上面に向かって加速させ、それによって第1の金属の部片を第2の金属の静止部片に接合することと、を含むことができる。いくつかの実装形態では、第1の金属の部片は、第2の金属の静止部片の上面に対して斜角で位置決めされる。
【0022】
これらの方法は、下記でより詳細に記載される。これらの方法の態様はまた、Vivekらに対する米国特許第9,021,845号、Rubenchikらに対する米国特許第9,192,056号、およびDaehnらに対する米国特許出願公開第2012/0103949号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)
気化箔アクチュエータ溶接(VFAW)の背後にあるプロセスに関しては、多量の電荷をコンデンサバンク内に貯蔵し、薄い導体にわたって急速に放電することができ、薄い導体を瞬時に気化させることにより、気化のエリアの周囲に高圧領域を作り出す。この事象から生じたガスまたはプラズマは、非常に速いスピードまでシート、チューブ、ワイヤなどを効率的に推進させることができる。これらの方法では、金属消耗体は、高電流を金属消耗体に通すことによって急速に気化することができ、気化から生じた圧力は、第1の金属の第1の部片を第2の金属の静止部片へと駆動して、VFAW溶接部を形成するために使用される。前記第1の金属、前記第2の金属、または形状記憶合金を含むそれらの組み合わせ。形状記憶合金は、擬弾性または形状記憶であり得る。場合によっては、ステンレス鋼およびニチノールがVFAWを通して一緒に溶接されるとき、溶接部は、ニチノールの極限引張強度に基づいて100%(例えば、90%超、または95%超)に近い継手効率を有することができる。場合によっては、ステンレス鋼およびニチノールがVFAWを介して一緒に溶接されるとき、溶接部は、熱影響域(HAZ)および/または脆性金属間化合物を実質的に含まなくてもよい。
【0024】
ここで、図1Aに示す例示的な構成を参照すると、金属消耗体106は、フライヤープレート105よりも下に位置決めされ得る。2つの隔離シート(またはスタンドオフシート; standoff sheets)103は、フライヤープレート105の上部に位置決めされ得る。金属消耗体106、フライヤープレート105、および2つの隔離シート103は、バッキングブロック107によって支持され得る。
【0025】
図1Aの金属消耗体106は、0.05mmの厚さを有するアルミニウム箔の部片であり得る。いくつかの実装形態では、金属消耗体は、任意の金属箔である。いくつかの実装形態では、金属消耗体は、炭素質材料、セルロース材料(例えば、セロファン型の材料)、ニトロメタン系材料、アジド系材料、酸化剤-酸化体材料、ナノ粉末材料、急速発熱反応を伴う任意の材料、またはそれらの任意の組み合わせなどのアブレーション層でコーティングされ得る。いくつかの実装形態では、金属消耗体は、精密なガイド穴を含む。いくつかの実装形態では、金属消耗体は、採用されるプロセスに依存して変化する厚さを有する。
【0026】
フライヤープレート105は、ステンレス鋼のシートであり得る。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、形状記憶合金、擬弾性合金、ニッケル合金、放射線不透過性合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、高度な構造金属、耐火金属、耐火合金、または非晶質金属を含むことができる。可能な形状記憶合金としては、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金、Ni-Ti-Pd、Ni-Ti-Hf-Zr、NiTi-Zr、またはNiTi-Erなどのニッケル-チタン形状記憶合金が挙げられるが、これらに限定されない。他の可能な形状記憶合金としては、銅-アルミニウムSMA(例えば、Cu-Al-Ni、Cu-Al-Nb)、コバルト系SMA(Co-Al、Co-Ni-Al)、ニッケル-アルミニウムSMA(Ni-Al)、ニッケル-マンガンSMA(Ni-Mn、Ni-Mn-Ga)、Zr-Cu、U-Nb、チタン系SMA(Ti-Nb、Ti-Pd、Ti-Au、Ti-Pt-Ir)、Ta-Ru、およびNb-Ruが挙げられるが、これらに限定されない。高度な構造金属の例としては、高エントロピー合金、ナノ構造金属、ナノ構造合金、金属ガラス、バルク金属ガラス、超合金、ホットスタンプ鋼、マルテンサイト鋼、および超高強度金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、シートを含むことができる。他の実装形態では、フライヤープレートは、ワイヤ、先に一緒に溶接されたワイヤの群、または任意の他の可能な形状もしくは構成を含むことができる。
【0027】
2枚の隔離シート103は、例えば、矩形のシートであり得、各々が0.8mmの厚さを有する。いくつかの実装形態では、各隔離シートは、同じ厚さを有する。いくつかの実装形態では、各隔離シートの厚さは、0.1mm~1cmの範囲である。いくつかの実装形態では、隔離シートは使用されない。
【0028】
図1Bでは、ターゲットプレート104は、2枚の隔離シート103上に位置決めされ得る。ターゲットプレート104は、ニチノール(NiTi)のシートであり得る。いくつかの実施形態では、ターゲットプレートは、形状記憶合金、擬弾性合金、ニッケル合金、放射線不透過性合金、高度な構造金属、耐火金属、耐火合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、または非晶質金属を含むことができる。可能な形状記憶合金としては、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金、Ni-Ti-Pd、Ni-Ti-Hf-Zr、NiTi-Zr、またはNiTi-Erなどのニッケル-チタン形状記憶合金が挙げられるが、これらに限定されない。他の可能な形状記憶合金としては、銅-アルミニウムSMA(例えば、Cu-Al-Ni、Cu-Al-Nb)、コバルト系SMA(Co-Al、Co-Ni-Al)、ニッケル-アルミニウムSMA(Ni-Al)、ニッケル-マンガンSMA(Ni-Mn、Ni-Mn-Ga)、Zr-Cu、U-Nb、チタン系SMA(Ti-Nb、Ti-Pd、Ti-Au、Ti-Pt-Ir)、Ta-Ru、およびNb-Ruが挙げられるが、これらに限定されない。高度な構造金属の例としては、高エントロピー合金、ナノ構造金属、ナノ構造合金、金属ガラス、バルク金属ガラス、超合金、ホットスタンプ鋼、マルテンサイト鋼、および超高強度金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、ターゲットプレートは、シートを含むことができる。他の実装形態では、ターゲットプレートは、鋸歯状プレート、ワイヤ、先に一緒に溶接されたワイヤの群、鋳物、または任意の他の可能な形状もしくは構成であり得る。
【0029】
図1Cでは、鋼ブロック102は、ターゲットプレート104がVFAW中に静止したままになるように、バッキングブロック107上に固定され得る。鋼ブロック102およびバッキングブロック107は、金属消耗体106が気化するときに鋼ブロック102およびバッキングブロック107が実質的に移動しないように、フライヤープレート105よりも重くてもよい。アタッチメントが固定された後、金属消耗体106の端部は、コンデンサバンクの端子に接続される。コンデンサバンクが放電されるとき、100kアンペア程度の高電流が数十マイクロ秒で金属消耗体106を通って流れる。いくつかの実装形態では、コンデンサは、100ジュール~100キロジュールの範囲の入力エネルギーを提供する。
【0030】
金属消耗体103が気化するとき、反応力は、ほとんどフライヤープレート105に向かって駆動される。反応力は、フライヤープレート105を、隔離シート103の厚さに従って隔離されるターゲットプレート104に向かって、300~1000m/秒の範囲のスピードまで加速させる。衝撃を受けると、フライヤープレート105およびターゲットプレート104は、互いに溶接される。前述のVFAWプロセスの製品を図2Aおよび2Bに示す。
【0031】
図2Aおよび2Bに示すように、フライヤープレート105は第1の厚さを有し、ターゲットプレート104は第2の厚さを有する。いくつかの実装形態では、第1の厚さおよび第2の厚さは、10μm~4cmの範囲である。いくつかの実装形態では、第1の厚さは、第2の厚さよりも20%少ない。
【0032】
図3A~3Dは、様々な可能な溶接部を示す。いくつかの実装形態では、前述のVFAWプロセスは、単一ワイヤ溶接部、複数のワイヤ溶接部、重ね溶接部、スカーフ溶接部、リング/スリーブ溶接部、プラグ溶接部、または追加のフライヤー溶接部を生成する。いくつかの実装形態では、フライヤープレートがワイヤであり、金属消耗体が、ワイヤと金属消耗体との間に大きいフラットプレートをさらに含むとき。大きいフラットプレートは、気化または金属消耗体からの圧力を分配し、ワイヤをターゲットプレートに接合するように駆動することができる。いくつかの実装形態では、フライヤープレートおよびターゲットプレートの構成は、フライヤープレートおよびターゲットプレートの両方がワイヤであるか、またはフライヤープレートがワイヤであり、ターゲットプレートがフラットシートであるように異なる。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、ターゲットプレートと混在される。
【0033】
いくつかの実装形態では、フライヤープレート105またはターゲットシート104は、斜めの衝撃を確実にするための追加の表面特徴を有し得る。2枚、3枚、および4枚のアルミニウムシートは、この方法を使用して単一ショットで溶接されている。さらに、いくつかの実装形態では、VFAWは、ニチノール-ステンレス鋼、ニチノール-ニチノール、アルミニウム-鋼、アルミニウム-鉄、チタン-ステンレス鋼、およびマグネシウム-アルミニウムなどの異種金属間の溶接部を作り出す。
【0034】
いくつかの実装形態では、金属消耗体とフライヤープレートとの間のポリウレタン(エラストマー)の層は、圧力を伝達し、フライヤープレートのより大きい面積上に分配させるのに役立つ。ポリウレタンは、加工部片を加速させる消耗体の一部であると言及されるが、多くの場合には、ポリウレタンはプロセスに耐え、再利用することが可能であることが容易に理解されるであろう。溶接の場合と同様に、この装置においても、コンデンサバンク内に貯蔵された多量の電荷を通すことにより、絶縁アルミニウム箔が気化する。急速な気化から生じた圧力波が加工部片に達すると、加工部片はほぼ即座に200m/秒を超える速度まで加速する。次いで、加工部片は、ダイへと形成される。現在、ステンレス鋼は、図4および5に示すように、穿孔ニチノールシートへと押し出された。
【0035】
図4および5からの2つの注目すべき観察結果がある。第一に、極めて大きい圧力が生じ、加工部片に伝達される。旧来のプレス機内で同様の変形を得るために、非常に高い圧力が必要になるであろう。衝撃は、本発明の方法において非常に高い圧力を生じさせる。第二に、圧力は、箔の面積よりもはるかに広い面積に分配される。これは、ポリウレタンを圧力伝達媒体として使用することによって可能になる。
【0036】
さらに高い放電エネルギーおよびフライヤースピードを得るために、図6に示すように、酸化剤燃料混合物などの発熱性化合物または混合物は、アルミニウム箔の2つの層間に位置付けることができる。気化箔から生じた圧力は、混合物の爆発を引き起こし、さらに多い気体生成物の形成につながる。また、箔の両方の層内では電流が同じ方向に流れているため、これらの層がローレンツ力によって互いに向かって引き寄せられ、増強層上の爆発圧力の増加を補助する。図7でわかるように、増強部を含むことによって圧力が大幅に増加する。
【0037】
図8は、図1A~1Cの実装形態に類似している系の断面図を示す。系は、金属消耗体106を気化させることによって生じる圧力を使用して、フライヤープレート105をターゲットプレート104に向かって駆動することによって、VFAWを実装する。金属消耗体106は、コンデンサバンクの端子に接続される。金属消耗体106は、ポリイミドテープを使用して、その周囲から絶縁される。高過渡電流が金属消耗体106を通過するとき、金属消耗体106は、数マイクロ秒で気化する。得られる蒸気はまた、酸化物および窒化物を形成し、これらの反応は、非常に発熱性であり、気体のさらなる膨張を引き起こす。ガスは重いバッキングブロック107を移動することができないため、ガスはフライヤープレート105を上方に押し出す。フライヤープレート105は、ある特定の距離を進行し、ある特定の角度でターゲットプレート104に衝撃を与える。進行距離および衝撃角は、隔離シート103の厚さによって決定される。いくつかの実装形態では、フライヤープレート105またはターゲットプレート104は、斜めの衝撃を確実にするための彫り込まれた表面特徴を有する。ターゲットプレート104は、鋼ブロック102によって補強される。系全体は、ボルトまたは油圧プレスのいずれかを通すことによって提供されたクランプ力100の助けで一緒に締め付けられる。
【0038】
図9は、図6A~6Dに示す実装形態と類似する系の断面図を示す。系は、コンデンサバンク放電による増強された箔気化によるVFAWを実装する。系は、金属消耗体206とシート金属204の部片との間にポリウレタンパッド205の層を含む。この急速な気化から生じる圧力は、さらに高い圧力につながる酸化剤-燃料混合物(最新の装置内の塩素酸カリウムおよび灯油)の爆発を引き起こす。圧力波は、ポリウレタン層を通って進行し、シート金属204を穿孔プレート/雌ダイ203に押し込み、それによって、シート金属204を形成する。穿孔プレート/ダイは、重いバッキングブロック202によって補強される。溶接装置のように、クランプ力200は、垂直方向に圧縮力を提供する。ポリウレタンパッド205は、圧力波が垂直に進行し、シート金属204に効率的に連結されることを確実にするために、鋼チャネル208内に位置付けられ得る。
【0039】
レーザ衝撃溶接
レーザ衝撃溶接は、強力なレーザ放電またはいくつかの他のエネルギー源を使用して、様々なメカニズムのうちの1つによって金属表面に機械的インパルスを提供する。光子の直接反射は、ある程度の力およびインパルスを提供する。また、金属の表面はビーム下でアブレーションすることができ、この発生したガスはまた、フライヤーを加速させる圧力を生成することができる。金属表面はまた、光エネルギーをより良好に吸収する、および/またはより簡単にアブレーションされるポリマーまたは他の材料でコーティングされ得る。これにより、低減されたレーザエネルギーで同じインパルスが発生し得る。光エネルギーを機械的インパルスに変換する効率を高めるための1つの追加の方法は、アブレーションされた表面の反対側に光学的に透明な材料を位置付けて、膨張するガスの発生に対抗する表面を提供することによるものである。これは、フライヤープレートを加速させるのに役立つであろう。
【0040】
電磁発射または爆発発射に関するこの技法の1つの利点は、衝撃波を正確な位置(サブミクロン精度)および正確な時間(<10~5秒の精度)に方向付けすることができることである。材料界面上の正しく局所的な地点に膨大な圧力を加え、タイミング精度でそれを行う能力により、ミクロ/ナノ界面を伴う適用で溶接部を作り出すこれらの方法が可能になる。
【0041】
LIWは、第1の部品と第2の部品との間にスポット衝撃溶接部を生成する。本方法は、第1および第2の部品を提供することによって実施され、第1の部品の一部分が、第1の部品の残部の概ね平坦な表面から、ある角度で屈曲して延在している。第1および第2の部品は支持バッキング上に、および第2の部品は第1の部品と支持バッキングとの間に位置決めされる。屈曲部分が第2の部品から離れて屈曲した状態で第2の部品が少なくとも第1の部品の屈曲部分の下になるように、第1の部品が位置決めされる。レーザは、その放出エネルギーを屈曲部分の上面に方向付けするように位置合わせされる。光エネルギーの少なくとも1つのパルスは、レーザから上面に方向付けされ、エネルギー量は、屈曲部分をまっすぐにし、下にある第2の部品に少なくとも300m/秒の速度で衝撃を与えるのに十分であり、それぞれの部品間の冶金結合をもたらす。
【0042】
図10は、LIWの1つの実装形態に従う系300を示す。系は、フライヤープレートタブ308aがターゲットシート310上に溶接されるように、ターゲットシート310上に位置決めされたフライヤープレート308に狙いを定めた高出力レーザ302を含む。ターゲットシート310は、剛性補強支持部312によって支持される。フライヤープレートタブ308aとターゲットシート310との間の角度α314は、約15度であるが、いくつかの実装形態では、角度は、5度~30度の範囲に収まる。いくつかの実装形態では、2つの表面が衝撃溶接に適切な角度で衝撃を与えるように、角度なしのオフセット距離も許容される。
【0043】
フライヤープレート308は、例えば、ステンレス鋼のシートであり得る。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、形状記憶合金、擬弾性合金、ニッケル合金、放射線不透過性合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、高度な構造金属、耐火金属、耐火合金、または非晶質金属を含むことができる。可能な形状記憶合金としては、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金、Ni-Ti-Pd、Ni-Ti-Hf-Zr、NiTi-Zr、またはNiTi-Erなどのニッケル-チタン形状記憶合金が挙げられるが、これらに限定されない。他の可能な形状記憶合金としては、銅-アルミニウムSMA(例えば、Cu-Al-Ni、Cu-Al-Nb)、コバルト系SMA(Co-Al、Co-Ni-Al)、ニッケル-アルミニウムSMA(Ni-Al)、ニッケル-マンガンSMA(Ni-Mn、Ni-Mn-Ga)、Zr-Cu、U-Nb、チタン系SMA(Ti-Nb、Ti-Pd、Ti-Au、Ti-Pt-Ir)、Ta-Ru、およびNb-Ruが挙げられるが、これらに限定されない。高度な構造金属の例としては、高エントロピー合金、ナノ構造金属、ナノ構造合金、金属ガラス、バルク金属ガラス、超合金、ホットスタンプ鋼、マルテンサイト鋼、および超高強度金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、シートを含むことができる。他の実装形態では、フライヤープレートは、ワイヤ、先に一緒に溶接されたワイヤの群、または任意の他の可能な形状もしくは構成である。
【0044】
ターゲットシート310は、例えば、ニチノールのシートであり得る。いくつかの実施形態では、ターゲットプレートは、形状記憶合金、擬弾性合金、ニッケル合金、放射線不透過性合金、高度な構造金属、耐火金属、耐火合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、または非晶質金属を含むことができる。可能な形状記憶合金としては、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金、Ni-Ti-Pd、Ni-Ti-Hf-Zr、NiTi-Zr、またはNiTi-Erなどのニッケル-チタン形状記憶合金が挙げられるが、これらに限定されない。他の可能な形状記憶合金としては、銅-アルミニウムSMA(例えば、Cu-Al-Ni、Cu-Al-Nb)、コバルト系SMA(Co-Al、Co-Ni-Al)、ニッケル-アルミニウムSMA(Ni-Al)、ニッケル-マンガンSMA(Ni-Mn、Ni-Mn-Ga)、Zr-Cu、U-Nb、チタン系SMA(Ti-Nb、Ti-Pd、Ti-Au、Ti-Pt-Ir)、Ta-Ru、およびNb-Ruが挙げられるが、これらに限定されない。高度な構造金属の例としては、高エントロピー合金、ナノ構造金属、ナノ構造合金、金属ガラス、バルク金属ガラス、超合金、ホットスタンプ鋼、マルテンサイト鋼、および超高強度金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、ターゲットプレートは、シートを含むことができる。
【0045】
高出力パルスレーザ302は、5ns~500nsの範囲、および100GW/cm以下の出力密度で、フライヤープレートタブ308aの上面の局所エリア内に集束した0.1~100ジュールの光エネルギーを堆積させることができる。フライヤープレートタブ308a上に集束したエネルギーは、入射レーザビーム304とフライヤープレート308の上面との相互作用によって加速され、フライヤープレートタブ308aが300m/秒~1000m/秒の範囲の速度でターゲットシート310に衝撃を与え、それによって衝撃時に冶金結合部が発現する。
【0046】
いくつかの実施形態では、冶金結合部は、少なくとも50nm(例えば、少なくとも100nm、少なくとも250nm、少なくとも500nm、少なくとも750nm、少なくとも1μm、少なくとも10μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも250μm、少なくとも500μm、少なくとも750μm、少なくとも1mm、少なくとも10mm、または少なくとも50mm)の表面積を有し得る。いくつかの実施形態では、冶金結合部は、100mm以下(例えば、50mm以下、10mm以下、1mm以下、750μm以下、500μm以下、250μm以下、100μm以下、50μm以下、10μm以下、1μm以下、750nm以下、500nm以下、250nm以下、または100nm以下)の表面積を有し得る。
【0047】
冶金結合部は、上述の最小値のいずれかから上述の最大値のいずれかまでの範囲の表面積を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、冶金結合部は、50nm~100mmの表面積を有し得る。いくつかの実装形態では、冶金結合部は、平方ナノメートルまたは平方マイクロメートル(例えば、50nm~1μm、または1μm~1mm)程度の表面積を有し得る。
【0048】
系300は、タンピング、吸収、および/もしくはアブレーション層316をフライヤープレートタブ308aの上面に位置付けることによって、ならびに/または透明バッキング306がフライヤープレートタブ308aの上面から放たれるアブレーションによって引き起こされた膨張ガスに反応することを可能にするように透明バッキング306を位置付けることによって増強される。
【0049】
アブレーション層316は、レーザビーム304で打たれたときに効率的にアブレーションする様々な材料から形成され得る。いくつかの実装形態では、アブレーション層は、炭素質材料、セルロース材料(例えば、セロファン型の材料)、ニトロメタン系材料、アジド系材料、酸化剤-酸化体材料、ナノ粉末材料、急速発熱反応を伴う任意の材料、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実装形態では、アブレーション層は、成形されている(すなわち、一方向の厚さが増大する、ピラミッド形状を有するなど)か、またはほぼ一定の厚さを有するフィルムとして提供する。
【0050】
いくつかの実装形態では、系は、水がタンピング層を形成するように、フライヤープレート308の上を流れる水(例えば、脱イオン水)を含むタンピング層をさらに含む。
【0051】
透明バッキング306は、フライヤープレートタブ308をターゲットシート310に溶接するのに十分な速度を提供するために、レーザビーム304が光エネルギーの著しい損失なしに通ることができる任意の材料から形成され得る。いくつかの実装形態では、透明バッキングは、サファイア、石英、ガラス、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0052】
いくつかの実装形態では、加速はまた、集束した非コヒーレント光などのいくつかの他のエネルギー源で、またはVFAWによって行われる。いくつかの実装形態では、フライヤープレートタブは、別の部材との結合形成衝突部へと加速されている表面として、それ以外の平面部材から離れて屈曲している。いくつかの実装形態では、フライヤープレートは、ターゲットシートと混在される。本明細書に記載の概念の実践に必要な特徴は、接合される部材間の表面および間隙に衝撃を与えることによって必要な量の加速を発生させることができるエネルギー源であることが、当業者には明らかであろう。
【0053】
フライヤープレートタブ308aとターゲットシート311との間の距離は、0.1mm~1cmの範囲であるか、または加速を起こすのに十分に大きいが、同時に、加速に影響を与えるのに必要な出力を効率的に制限するのに十分に小さい任意の距離である。
【0054】
図11は、フライヤープレート308のフライヤープレートタブ308aをターゲットシート310に溶接することによって生成された物品400を示す。フライヤープレートタブ308aとターゲットシート310との間には、冶金結合部402が存在する。冶金結合部402は、ステンレス鋼フライヤープレート308とニチノールターゲットシート310との間に存在する。さらに、いくつかの実装形態では、LIWは、ニチノール-ステンレス鋼、ニチノール-ニチノール、アルミニウム-鋼、およびマグネシウム-アルミニウムなどの異種金属間の溶接部を作り出す。
【0055】
いくつかの実装形態では、ターゲットシートは鋳物を含み、フライヤープレートは形状記憶合金を含む。
【0056】
様々なデバイスが、形状記憶合金を接合するための前述の方法の使用から利益を得る。前述の方法のいずれかまたは両方を使用して生成されたデバイスは、形状記憶合金の極限引張強度に基づいて63%を上回る継手効率を有する溶接部を含み、実質的に脆性金属間化合物を含まず、実質的に熱影響域(HAZ)を含まない。デバイスは、第1の金属および第2の金属を接合する溶接部を含む。形状記憶合金を含む、第1の金属、第2の金属、またはそれらの組み合わせ。いくつかの実装形態では、デバイスは、それ自体、異種金属、または同種金属への形状記憶合金の接合から生成された。いくつかの実装形態では、第1の金属および/または第2の金属は、形状記憶合金、擬弾性合金、ニッケル合金、放射線不透過性合金、高度な構造金属、耐火金属、耐火合金、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、または非晶質金属のシートである。可能な形状記憶合金としては、ニッケル-チタン-鉄(Ni-Ti-Fe)合金、ニッケル-チタン-銅(Ni-Ti-Cu)合金、ニッケル-チタン-鉛(Ni-Ti-Pb)合金、またはニッケル-チタン-ハフニウム(Ni-Ti-Hf)合金、Ni-Ti-Pd、Ni-Ti-Hf-Zr、NiTi-Zr、またはNiTi-Erなどのニッケル-チタン形状記憶合金が挙げられるが、これらに限定されない。他の可能な形状記憶合金としては、銅-アルミニウムSMA(例えば、Cu-Al-Ni、Cu-Al-Nb)、コバルト系SMA(Co-Al、Co-Ni-Al)、ニッケル-アルミニウムSMA(Ni-Al)、ニッケル-マンガンSMA(Ni-Mn、Ni-Mn-Ga)、Zr-Cu、U-Nb、チタン系SMA(Ti-Nb、Ti-Pd、Ti-Au、Ti-Pt-Ir)、Ta-Ru、およびNb-Ruが挙げられるが、これらに限定されない。高度な構造金属の例としては、高エントロピー合金、ナノ構造金属、ナノ構造合金、金属ガラス、バルク金属ガラス、超合金、ホットスタンプ鋼、マルテンサイト鋼、および超高強度金属が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実装形態では、デバイスの溶接部は、単一ワイヤ溶接部、複数のワイヤ溶接部、重ね溶接部、スカーフ溶接部、リング/スリーブ溶接部、プラグ溶接部、または追加のフライヤー溶接部である。さらに、前述の方法から生成されたそのようなデバイスは、医療デバイス、準拠デバイス、係止デバイス、感知デバイス、微小-電気-機械的デバイス、アクチュエータ、チューブ、または同種または異種金属の端部を有するワイヤである。
【0057】
医療デバイスの例としては、メス、針、はさみ、および侵襲的な外科用処置、治療用処置、または診断手順で使用される他の外科用ツール;人工血管、ガイドワイヤ、ステント、カテーテル、ならびに患者、人工心臓、人工腎臓、整形外科用ピン、プレート、およびインプラントに対する流体の除去または送達のための他のデバイスを含むインプラント可能な医療デバイス;カテーテルおよび他のチューブ(泌尿器チューブおよび胆管チューブ、気管内チューブ、末梢に挿入可能な中心静脈カテーテル、透析カテーテル、長期トンネル型中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、肺カテーテル、スワンガンツカテーテル、尿道カテーテル、腹膜カテーテルを含む)、尿道デバイス(長期尿道デバイス、組織結合尿道デバイス、人工尿道括約筋、尿道拡張器を含む)、シャント(心室シャントまたは動静脈シャントを含む);プロテーゼ(乳房インプラント、陰茎プロテーゼ、血管移植プロテーゼ、心臓弁、人工関節、人工喉頭、耳鼻インプラントを含む)、血管カテーテルポート、創部用ドレーンチューブ、水頭症シャント、ペースメーカー、インプラント可能な除細動器などを含む医療用途に適合された物品の全範囲が挙げられる。
【0058】
非限定的な例示として、本開示のある特定の実施形態の例を下記に与える。
【実施例
【0059】
一般方法
継手効率は、破壊に対する力で測定されるような継手の強度を、用途に関連する荷重のモードでの接合ペアの2つの元素の弱い方の強度で除算した比率として定義される。継手効率は、継手およびベース材料の破壊荷重を決定するための機械的試験を使用して容易に評価することができる。継手効率は、継手の破壊荷重を弱い方の母材の破壊荷重で除算したものとして計算する。一般に、継手効率は、0~100%でスケーリングする。
【0060】
熱影響域(HAZ)は、溶接部に隣接する非溶融領域であり、高温にさらされた結果、材料特性における変化を受けた。継手は、溶接部界面の断面(例えば、影響を受けていないベース材料、HAZ、および溶接部にわたる)における微小硬度またはナノ硬度を測定することによって、熱影響域の存在について評価することができる。熱影響域は、基礎材料に対して統計的に有意な形で変化(通常、低下)する硬度を有する。光学、走査電子、および透過電子を含む顕微鏡法を使用して、これらの領域にわたるミクロ構造の変化を検出することもできる。最後に、X線回折などの方法によってミクロ構造の変化を検出することもできる。VFAWまたはLIWの場合には、熱影響域は、融接部からのものよりも劇的に狭い(例えば、50μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、5μm未満、または1μm未満)。そのような継手は、熱影響域を実質的に含まないと言ってもよい。
【0061】
金属間化合物は、標準的な断面金属組織によって特定することができる。金属間化合物は、連続的および約10μmよりも厚い場合、脆性になる傾向がある。VFAWまたはLIWの場合には、金属間化合物は、存在する場合、融接部からのものよりも劇的に薄い(例えば、通常、10μm未満、5μm未満、または1μm未満であり、それらは通常、不連続である)。そのような継手は、脆性金属間化合物を実質的に含まないと言ってもよい。これらの相の検出は、様々な技法を使用して完了することができる。微小硬度の測定は、それらの存在の指標を提供することができるが、多くの場合、X線回折による位相解析、透過電子顕微鏡法による制限視野回折、または走査電子顕微鏡法およびエネルギー分散型X線分光法による元素分析もしくは透過電子顕微鏡法を伴う電子エネルギー損失分光法などの他の技法と併用する必要がある。
【0062】
実施例1.VFAWを使用して、NiTiをNiTiおよびステンレス鋼に接合する方法。
実験設計
Fort Wayne Metalsによって提供された0.5mm角のNiTiワイヤおよび304 V SSワイヤを実験材料として選択した。16kJの最大充電エネルギーおよび9μ秒の電流立ち上がり時間を有するMagneformコンデンサバンクを電力源として使用した。本作業で使用する入力エネルギーは、全試料ごとに12kJである。0.05mm厚のスポット型アルミニウム箔をアクチュエータとして使用した。12kJの入力エネルギー下にあるこの型の箔は、500~600m/秒の衝撃スピードを発生させるであろう。フライヤーおよびターゲットを80mmの長さを有する30本のワイヤを組み合わせることによって形成する。隔離距離は3.2mmであり、隔離分離距離は20mmである。図11に示すように、100kA付近の高電流がこのアルミニウム箔を急速に加熱しているときに、最も狭い活性領域が気化し、高圧プラズマが生じる。本実施例では、図11cに示すように、ステンレス鋼(SS)ドライバープレートを使用して、気化したアルミニウム箔によって生じた圧力をNiTiワイヤフライヤーに伝達し、これらのワイヤを前方に押し出してターゲットワイヤに衝突させた。SSドライバープレートはフライヤーとともに変形するが、薄いポリマー層がそれらと分離しているため、フライヤーとドライバープレートの間に溶接は起こらない。これらのワイヤを正確に位置合わせした後に、X方向の同じ位置に並列に位置決めしたものを溶接する。したがって、本方法は、1回のショットで多数のニチノールワイヤ溶接部を取得することができ、これにより、溶接効率が大幅に改善する。
【0063】
NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部の界面ミクロ構造は、光学顕微鏡法(OM)および走査電子顕微鏡法(SEM)を通して調べた。元素分布は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)によって測定した。NiTi母材、NiTi/NiTi溶接部、およびNiTi/SS溶接部の相変態特徴は、TA instrumentsによって作製されたDSC2500熱量計を使用して、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定した。DSC試験は、ASTM F2004-17標準に従って、アルゴン雰囲気下で、-80~120℃の範囲の温度、および10℃/分の制御された加熱/冷却速度で実施した。DSC試験用のすべての試料は、1mm×0.5mm×1mmの寸法および10~12mgの重量で調製した。微小硬度試験は、200gの荷重および5秒の滞留時間で動作する矩形ベースのピラミッド形ダイヤモンド圧子で実行した。サイクル試験は、ASTM F2516-18標準に基づいて、0.04mm.min-1.mm-1のクロスヘッド変位速度下の変位制御(0~2mm~0)で実行した。変位速度が2mm/分であり、サイクルひずみがすべての試料ごとに4%であるように、試験した試験片のゲージ長さは50mmである。限定数の100サイクルをすべての試料で実行した。NiTi母材、SS母材、NiTi/NiTi溶接部、およびNiTi/SS溶接部について、2mm/分の変位速度を有するMTS EM試験フレーム上で重ね剪断試験を実施した。各タイプの試料のごとに3つの複製。
【0064】
結果
1.1.ミクロ構造の特徴付け
典型的なNiTi/NiTi溶接部とNiTi/SS溶接部との溶接界面を、それぞれ図13および14で考察した。波状界面は、高速衝撃溶接の特徴であり、これを両方のタイプの溶接部内で観察した。図13(a)に示すように、剪断帯は、NiTi/NiTi溶接部の界面に沿って対称的に分布し、熱機械的不安定性を示す。界面付近に示されているいくつかの黒い斑点は、エッチング液の残余物であり、一方、酸化物または炭化物は、界面の遠位側に示されている。
【0065】
固化または選択的揮発中に起こり得るような元素偏析は、同種溶接部または異種溶接部のいずれにおいても観察されなかった。図13(b)のNiTi/NiTi溶接部のBSE-SEM画像は、溶接界面でほとんどコントラストを示すことができず、これをTiおよびNiのEDSマップによって確認した。EDSマップは、調べたエリア全体を通してNiおよびTiの均質な分布を示した。図14に示すように、この均質な元素分布をNiTi/SS溶接界面でも観察した。NiTiおよびSSの主要な元素であるNi、Ti、Fe、およびCrの元素分布は、NiTi/SS界面にわたって急激な遷移を示している。固体および均質な溶接界面は、以下の項において考察する優れた機械的および機能的特性試験をもたらす強い結合を示す。
【0066】
1.2.相変態特徴
相変態温度は、ニチノール溶接部の機能的特性についての良い指標になっている。衝撃溶接後、温度は、溶接プロセスに関与する激しい塑性変形によって変化すると予想することができる。Ms、Mf、Rs、Rf、As、およびAfなどの相変態温度は、ベースラインとASTM F2004-17標準に基づく変態ピークの最大傾斜線との交点を通して決定した。しかしながら、VFAW溶接部内の小さい接合エリアによって、NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部用のDSC試料は、一定量のNiTiおよびSS母材を保持していた。これは、重複効果によってDSC結果に影響を及ぼすであろう。
【0067】
図15は、NiTi母材についての冷却段階で1ステップのB2→B19’変態を観察し、一方、加熱段階では、B19’→R→B2の2ステップの遷移を観察したことを示す。RfおよびAsは、R相変態の横ばい段階により、決定することができなかった。VFAW後、NiTi/NiTi溶接部は、1ステップの可逆的なB2-B19’相変態を示した。表1は、NiTi母材と比較して、NiTi/NiTi溶接部が拡大した変態温度範囲を示したことを示す。塑性変形は、変態温度範囲を広げ、変態に対するバリアの増加によって変態ピークの大きさを低減することが知られている。塑性変形は、ミクロ構造の制約によって変態を不可能にし得る。NiTi/SS溶接部内では、熱流量ピークを観察しなかった。溶接部の不活性なSS側は、NiTi/NiTi溶接部と比較して、変態をさらに阻害する場合がある。
【0068】
表1.AsおよびAfが、それぞれオーステナイトの開始温度および終了温度を示し、RsおよびRfが、それぞれR相の開始温度および終了温度を示し、MsおよびMfが、それぞれマルテンサイトの開始温度と終了温度を示す場合のNiTi母材、NiTi/NiTi溶接部、およびNiTi/SS溶接部の変態温度(℃)。
【表1】
【0069】
1.3.機械的特性
1.3.1.微小硬度測定
VFAWプロセスに関与する深刻な塑性変形は、溶接界面付近で粒子の微細化を誘発する場合があり、これにより、隣接領域の硬度が増加する。図16は、NiTi/NiTi溶接部とNiTi/SS溶接部との界面間にわたる硬度分布を示す。硬度分布の一般動向は、ニチノール母材および溶接部の機械的挙動を調べるのに有用である。
【0070】
NiTi/NiTi溶接部については、界面は、NiTi母材と比較して、わずかな硬化を与えた。NiTi/SS溶接部については、NiTi側は同じ硬化効果を示し、SS側付近の界面はSS母材と同等の硬度を示している。これらの硬度分布は、VFAWニチノール溶接部内に熱影響域が形成されなかったことを示す。この現象は、ニチノールの鋼への爆発溶接、ならびにAl/FeおよびTi/SSなどの他の金属の組み合わせのVFAWでも観察されている。このHAZ形成の欠如、および強化された溶接界面は、通常、構造粗雑化および軟化を伴う他の旧来の融着系および固体溶接技術と比較して、優れた機械的および機能的特性に寄与する。
【0071】
1.3.2.重ね剪断試験
重ね剪断試験を実施して、同種および異種のニチノール溶接部のマクロ機械的特性を測定した。図17(A)は、NiTi母材、ならびにSS-SS溶接部、NiTi/NiTi溶接部、およびNiTi/SS溶接部の間の重ね剪断試験結果を比較している。NiTi/NiTi溶接部は、NiTi母材と非常に類似した荷重-変位曲線、つまり、類似の弾性応答、類似の応力誘起マルテンサイトプラトー、および破壊に対するマルテンサイトの類似の弾性/塑性変形を持つことがわかった。NiTi/SS溶接部は、NiTi/NiTi溶接部とSS-SS溶接部との間のどこかの荷重-変位曲線を示した。NiTi/SS溶接の荷重プラトーは、ゲージ長さの半分が塑性変形するSSであるため、NiTi/NiTi溶接部の荷重プラトーに比べて、より狭く、より傾斜している。本作業では、NiTi母材およびニチノール溶接部についての伸び率は、直接関係しておらず、NiTi/NiTiおよびNiTi/SS溶接部の重ね型継手構成によって比較することができない。NiTi母材についてのピーク荷重は、NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部についての継手効率を計算するための基準として使用する。
【0072】
異なる溶接方法によって作製されたNiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部の継手効率を図17(C)および17(D)で比較した。NiTiとそれ自体との同種溶接については、TIG溶接部の継手効率は、約38~60%である。NiTi/NiTiレーザ溶接部は、40~86%の範囲の比較的高い効率を伴い、一方、TIG溶接部およびレーザ溶接部の両方は、VFAWによって作製されたNiTi/NiTi溶接部(100%)と比較して、より低い継手効率を提示する。NiTiとSSとの異種溶接については、レーザろう付けおよびレーザ溶接などの他の旧来の方法によって作製された溶接部の継手効率は、15~60%の範囲であり、これは、VFAWの継手効率(96.3%)よりもはるかに低い。図17(B)に示すように、NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部の両方は、溶接部が母材よりも強いことをさらに確認する重ね剪断試験後にNiTi母材で破断した。これは、他の旧来の溶接技術と比較して、VFAWがNiTiとSSとの異種溶接で達成することができる優れた機械的特性を示している。これは、固体溶接界面、項1.1および1.3.1で考察したようなHAZ形成の欠如ならびに界面硬化によるものである。
【0073】
1.3.3.サイクル試験
同種および異種のニチノール溶接部の超弾性挙動およびその再現性を決定するために、NiTi母材、NiTi/NiTi溶接部、およびNiTi/SS溶接部に対して100回の応力-ひずみサイクルを実施した。図7の結果は、NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部の両方が、NiTi母材と非常に類似した擬弾性曲線を提示することを示す。具体的には、それらは、類似した応力誘起マルテンサイト(SIM)プラトーを示し、SIM荷重プラトー値は低下し、次いでサイクル数が増加するにつれて安定する。これは、転位の蓄積および貯蔵されたひずみが、連続するサイクルにおいて、より簡単な変形を可能にするためであり得る。NiTi/NiTi溶接部およびNiTi/SS溶接部についての回復不能なひずみは、それぞれ0.5%および0.68%未満であり、これは、NiTi母材(0.37%)と同等である。NiTi/SS溶接部がステンレス鋼の塑性変形により、わずかに遅い安定化を示すことは特筆に値する。曲線も変形の非対称性によって捻れている(アセンブリの半分のみが変形している)。100サイクル後、これらの溶接部は破断しなかった。これらのサイクル試した溶接部がひずみを受けて破断するとき、それらは依然としてNiTi母材のUTSの約80~85%を保持していた(図18には示さず)。
【0074】
実施例2.形状記憶合金を接合するためのVFAWのさらなる調査
実験設計
2.1 気化箔アクチュエータ溶接プロセス
本作業では、0.3mmの厚さを有する436フェライト系ステンレス鋼(Fe-16Cr-1Mo-1Mn-0.5Nb-0.12C)をフライヤーとして選んだ。55.8重量%(%で50.7)のNiおよび44.2重量%(%で49.3)のTiの組成式を有する0.37mm厚の近等原子NiTi SMAをターゲットとして選択した。溶接前に、これらのNiTi SMAシートを、0.2atmのアルゴンガスを充填したガラス管内で1000℃で1時間熱処理し、炉を室温まで冷却した。このアニーリング処理は、NiTi母材の加工の問題による残留冷間加工物を除去するのに役立った。本作業で使用された電気貯蔵庫および放電源は、16kJの最大充電エネルギー、426μFの総静電容量、100nHのインダクタンス、12μ秒の立ち上がり時間を有するMaxwell Magneformのコンデンサバンクであった。VFA嵌め込み溶接プロセスを前作業で導入した。図19に示すように、SSフライヤーの下に位置付けられ、それから絶縁された0.002インチ厚のスポット型アルミニウム箔を、4kJの入力エネルギーで気化させた。箔気化から発生した高圧プラズマは、フライヤーを高速、通常300~1000m/秒に加速し、ターゲットシートに衝撃を与えて、衝撃溶接部を形成する。図1は、実験構成を示す。
【0075】
衝突溶接部を達成するのに好適な加速距離および衝撃角を提供するために、0.8mmの厚さ、支持部間に10mmのスパン距離を有する隔離シートを使用した。図19(A)および19(B)に示すように、3チャネルの光子ドップラー速度計(PDV)を使用して、溶接中心から端部までに3.8mmの間隔を有する3箇所での衝撃速度および衝突角を測定した。フライヤー速度トレースを測定するプロセス中、9mm厚の透明なポリカーボネートシートをターゲットシートとして使用し、PDVチャネルのための見通し線を提供することに加えて、SSとNiTiとの間の衝撃をシミュレーションした。図19(C)に示す衝撃角は、異なるチャネル間のフライヤー進行距離の差とプローブ分離距離との比率を通して計算した。この「嵌め込み」溶接形状は、堅牢であり、所与の結合ペアの特徴を理解するための優良な基準であることが証明された。
【0076】
2.2.ミクロ構造の特徴付けおよび機械的試験方法
NiTi/SS衝撃スポット溶接部を、断面化し、取り付け、次いで連続的に240~1200ファインの砂粒のサンドペーパーで磨いた。microidのダイヤモンドコンパウンドを使用して、試料を6~1μmでさらに研磨し、ミクロ構造の特徴付けのための適切な表面仕上げを取得した。NiTi/SS衝撃溶接部の界面ミクロ構造を、光学顕微鏡法(OM)、走査電子顕微鏡法(SEM)、透過電子顕微鏡法(TEM)を通して考察した。デュアルビーム集束イオンビーム(FIB)技法を使用して、フライヤーおよびターゲットにわたってほぼ不連続な変化を示す波状界面から取り出したTEM箔を取得した。TEM観察を、200kVの加速電圧を有するTecnai F20で実施した。制限視野回折(SAD)パターンを、NiTiとSSとの間の界面にわたって取得した。溶融領域の化学組成およびNiTiとSSとの間の相互拡散は、1nmのプローブサイズを有するエネルギー分散型X線分光法(EDS)によって特徴付けた。NiTi母材およびNiTi/SS溶接部の相変態特徴は、TA instrumentsによって作製されたDSC2500熱量計を使用した示差走査熱量測定法(DSC)によって測定した。DSC試験は、ASTM F2004-17標準に従って、-80~120℃の範囲の温度、および10℃/分の制御された加熱/冷却速度で実施した。微小硬度試験は、界面にわたる硬度分布を測定するために、200gの荷重および5秒の滞留時間で動作する矩形ベースのピラミッド形ダイヤモンド圧子を用いて行った。SSシート(20mm×70mm×0.3mm)とNiTiシート(13.7mm×6mm×0.37mm)の間に重ね剪断試料を作り出した。1mm/分のクロスヘッド変位速度を有するMTS EM試験フレームにおいて、各場合について3つの試料を重ね剪断試験した。2つの母材はまた、同じMTSフレーム内で、同じ変位速度で引張試験した。
【0077】
結果
3.1.溶接プロセス特徴
衝撃速度および衝撃角は、界面に沿った衝撃溶接プロセスおよびミクロ構造の進化を理解する際の主要なパラメータである。3つのチャネルについてのフライヤー速度対時間トレースを図20(a)に示しており、これらのデータから、溶接中心から縁部までの衝撃速度および衝撃角の進化を推定し、図20(b)に示す。隔離距離でのフライヤー速度は、衝撃時の平常スピードである衝撃速度と定義されることに留意されたい。溶接中心(チャネル1)および端部(チャネル2および3)に向かう3.8mm間隔でのフライヤー速度トレースを図20に示す。これにより、溶接区域に関する衝突スピードおよび角度の推定が可能になる。図20(b)は、中心から端部までの衝撃速度が440~200m/秒の範囲であり、対応する衝撃角が0~8°の範囲であることを示す。中心から端部までの衝撃速度の低下および衝撃角の増加は、以下の項で調べる界面ミクロ構造の変動の主な原因である。
【0078】
3.2.1.マクロ構造およびミクロ構造
図20に示す界面に沿った衝撃速度および衝撃角の進化は、図21に高いレベルで示すように、空間的に変化するミクロ構造につながる。中心には骨のない区域(unboned zone)があり、外方向に移動すると、ナノ多孔質区域、連続溶融を有する平界面、不連続溶融を有する波状界面、剪断亀裂を有する波状界面、および剪断帯を有する波状界面が順次続く。各区域について順に述べ、関連する詳細な図面番号を図21に示す。局所構造は、衝撃角および衝撃速度に最も直接関係している。衝突角が大きくなり、衝撃速度が低下するにつれて、溶接界面のうねりが大きくなり、溶融が中心から端にかけて低減する。図22に示す溶接中心における骨のない区域は、パッチ溶接形状において典型的である。この領域は、溶接中心における衝撃が界面に対して垂直であるために形成された。この領域は、最も速い衝撃スピードを有する。これにより、衝撃から過度な熱が発生して界面が溶融し、反動によって分裂する。後に示すように、この非結合区域は、他の系で一般的であるように、溶接部の全体的な機械的強度に悪影響を及ぼさない。非結合区域付近にナノスケールの多孔質区域を形成した(図23)。衝撃溶接の多数の考察により、最大の熱入力は、高い衝撃スピードおよび低い衝突角と関連することが示されている。このナノ多孔質区域は、いくらかの気化による急速な加熱および溶融を受ける可能性が高く、多孔性は、金属の沸騰および急冷の結果である。磁気パルス溶接でも同様の構造を観察した。100nm~1μmの範囲の直径を有するこれらの細孔は、高度に分散され、かつランダムに分散される。
【0079】
ナノ多孔質区域からさらに外側に移動すると、衝撃速度が低下し、衝撃角が小さくなる。これは、図24に示すように、連続的な溶融を有する平界面の形成につながる。この構造は、界面の両側の材料の溶融および混合によって複雑になり得、最も重要なのは、後方散乱コントラストは、各側面からの材料の小さい塊の破断およびいくらかの固体拡散によって引き起こされ得る組成変動を示す。界面は、わずかなうねりを提示する。EDSマッピング分析は、約29.38%のTi、9.8%のCr、31.32%のFe、および29.5%のNiとして原子組成を示し、これは、両方の成分の良好な混合を示している。(Fe,Cr)TiおよびNi-Ti相(Ti2NiおよびNi3Ti)などの金属間化合物は、この領域内で形成された可能性が高い。5つの主要元素を有し、非常に高い冷却速度が見られたため、このエリアは、非晶質である可能性もある。これらの領域の構造は、今後の考察の主題となるであろう。界面に沿って不連続に分布した溶融ポケットを有する波状界面を図25および26に示した。EDSは、この場合も、溶融領域および再固化領域内のフライヤーとターゲットとの間に中間的な化学的性質を示す。微小亀裂はまた、界面にほぼ垂直方向に形成され、これは金属間化合物または非晶質相形成によるものであり得る。いくつかのNiTi断片を溶融区域内で観察している(図26)。これらは、プロセス中に界面から噴出除去することができる。任意の混合した再固化領域が単離され、不連続であることは有意である。固化領域とその間のうまく結合した領域との単離は、機械的強度および靭性に良い兆候を与える。不連続溶融を有する波状界面に続いて、溶融はないが剪断亀裂およびわずかな剪断帯形成を有する波状界面を形成しており、それを図27に示す。これらの剪断亀裂は、互いに並列であり、剪断帯形成方向に沿った界面に対する約45°~60°の傾斜間に形成される。剪断亀裂の間隔距離および長さは変えることができる。間隔は100~200μmであり、長さは50から200μmまで変化する。これらの亀裂は、分離または亀裂を引き起こす局所的な溶融点までの断熱剪断帯形成によるものである可能性が高い。この場合も、これらは、今後の考察の対象となるであろう。
【0080】
さらに界面に沿って、剪断亀裂が消失し、良好な結合が明らかになり、いくつかの剪断帯形成も示している(図28)。この界面は、溶融または亀裂を有さず、理想的な溶接界面とみなすことができる。剪断帯の間隔は50~100μmであり、長さは30~100μmで変化する。断熱剪断帯は、高速衝撃溶接において高ひずみ速度で変形した金属に起こる破壊メカニズムを暗示する界面への約60°の傾斜を示す。塑性変形中に生成される熱は、潜在的に、これらの剪断帯形成区域内に保持される。
【0081】
断熱剪断帯形成および亀裂形成は、高速衝撃および溶接前には見られなかった。剪断帯が形成された理由は、温度の急激な上昇および熱軟化をもたらす局所化されたプラスチックの不安定性だとされ得る。本作業では、SS側に断熱剪断帯または剪断亀裂が見られなかったのは、剪断帯形成に必要な熱軟化がステンレス鋼ほど厳しくないためか、またはひずみ速度感度によってバランスが取れているためと思われる。
【0082】
3.2.2.NiTi/SS界面のTEM分析
1つの特に狭いもの(または図28に例示するような不連続に見えるNiTi-SS界面)では、TEM箔を取り出し、考察した。この領域は、図21に示すように、溶融および剪断亀裂を有しない波状界面を有していた。この箔は、界面の長さおよび幅方向に沿って、複雑な短い長さのスケールの不均質性を示す。集束イオンビームエッチングにより、試料を除去することが可能であり、NiTi-SS界面のライン制限視野回折(SAD)分析を図29に示す。
【0083】
結果は、非晶質化がNiTi-SS界面でおよびNiTi側のいくつかの領域に関して起こり、特に粒界と相関していることを示す。非晶質を含む層の幅は、少なくとも100nmである。20~100nmの範囲の粒径を有するNiTi側は、SS側に見られる細長く、変形したものと比較して、より等軸である。SS側では、構造は、微細な粒子および歪みを有する明らかな結晶性である。2つの材料間の混合区域は、約100nm厚であり、回折は、領域が非晶質であることを示す。これは、後述するように、多成分溶融物の形成および急速な固化によるものである可能性が高い。
【0084】
NiTi側に移動すると、SADパターン5~8は、非晶質構造と結晶構造との混合物を示唆する。これはまた、ほぼ等原子のNiTi構造が高レベルの塑性ひずみで非晶質区域へと崩壊することを観察しているため、それほど驚くべきことではない。これらの非晶質区域は、特に、粒界および三重点に関連しているように思われる。
【0085】
非晶質層の組成は、NiTi/SS衝撃溶接部の結合メカニズムの理解を補助し得る。図30は、SS-NiTi溶接界面の明視野画像、およびこの溶接界面にわたる対応するEDS分析を示す。この100nmの層状区域内での局所加熱(衝撃中の摩擦または圧縮ガス加熱による)がいくらかの局所的な溶融、混合、および再固化を引き起こした可能性がある。この界面は、厚すぎて、衝撃プロセス中の一般的な固体拡散に起因することはないが、変形補助混合を排除することはできない。
【0086】
3.2.3.NiTi/SS衝撃溶接部における非晶質相の形成メカニズム
少なくともいくつかの材料ペアが衝撃溶接において非晶質中間領域を形成することは明らかであるように思われる。本作業では、非晶質層付近のNiTiおよびSS中の粒径は、100nm未満のナノメートルスケールである。これは、NiTi/SS衝撃溶接部の界面中で固体非晶質化がおそらく起こったことを示す。
【0087】
非晶質区域は、多成分溶融物中での急速な冷却および阻止された結晶化によるものと説明することができる。爆発溶接では、加熱速度は10^9K/秒に到達する場合があり、冷却速度は10^7K/秒に到達する場合があり、非晶質相を含む種々の準安定相をもたらす。単結晶銅のVFAWでも10^7K/秒程度の高加熱速度および高冷却速度を観察した。非晶質区域は、厚さが100nm未満(例えば、75nm未満、50nm未満、または25nm未満)であり、それらは溶接部の特徴に対して無視してもよいほど小さい。
【0088】
非晶質を作製するのに最も簡単な合金は、幅広い元素および元素サイズを有するものである。以下の3つの要件に到達する合金系は、良好なガラス形成能力(GFA)を有する必要がある:
1)少なくとも3つの原子種を含む、
2)12%以上の原子のサイズの差、および
3)液相中の元素の混合の負のエンタルピー。
【0089】
本発明の場合には、非晶質形成エリア中に4つの主要な原子種がある。原子半径は、Tiについては17.6nm、Niについては14.9nm、Feについては12.6nm、Crについては128nmである。したがって、Tiと他の元素との間の半径の差は、Niについては約15.3%、Feについては約28.4%、Crについては約27.3%である。さらに、考察した組成の混合エンタルピーは、表2に列挙したThermo-Calcを介して計算した約-9.2kJ/モルである。NiTi/SS衝撃溶接部の非晶質界面では、3つの要件すべてが満たされている。GFAの潜在性を予測するための明確な方法論が開発されており、これは、共晶またはそれに近い組成を有する合金系が良好なガラス形成能力を有する必要があることを示した。共晶組成またはその付近にある合金では、液相は、粘度が増加し、拡散が遅くなり、非晶質構造がより簡単に形成される最低温度に保つことができる。加えて、材料は平衡状態で2相に結晶化し、合金元素を相間に分配する必要性をもたらし、結晶化運動を複雑化する。
【表2】
【0090】
図31は、Thermo-Calc介して計算した液相線温度および固化範囲を示す。考察した試料中の非晶質層の組成は、液相線温度および固化範囲の両方で最小値付近に位置する。したがって、液体の粘度は高くなければならず、原子は拡散しにくく、同時に2相を形成しにくい。これは、非晶質状態を保持するのを補助する。全体として、このエリア内の組成は良好なGFAを有するべきであり、図30に示すTEM-EDSの結果に対応して、非晶質相を形成することが簡単である。
【0091】
3.3.相変態特徴
相変態特徴は、NiTi形状記憶合金の機能特性についての良い指標である。高速衝撃溶接後、VFAWプロセスに関与する高ひずみ速度塑性変形により、相変態温度が変化することが予想される。高ひずみ速度塑性変形は、マルテンサイト変態を抑制し、したがって変態温度範囲を広くすることが知られている。NiTi母材およびNiTi/SS溶接部の相変態曲線を図32に示した。NiTi母材については、2ステップの可逆的なB2-R-B19’変態を、冷却および加熱段階で示した。この場合のR相の形成は、NiTi合金のレーザ溶接で見られたように、溶接前のアニーリングによって引き起こされたNiTi母材中のNi4Ti3析出物の形成によるものである可能性が高い。元のNiTi母材にDSC試験を行っていないため、これらの析出物が製造プロセス中に形成された可能性もある。
【0092】
VFAW後、冷却段階で明白な変態ピークは観察されず、加熱段階で1ステップのB19’→B2変態を示した。マルテンサイト変態は、高速衝撃によって著しく抑制されている。1つの理由は、高ひずみ速度塑性変形が、NiTiのミクロ構造をより収縮させ、これにより、冷却時のマルテンサイト変態を阻害したことである。もう1つは、非活性SSの影響がDSC試料中のゲージ長さの半分であるためであり得る。加熱段階で起こる限定的な変態は、DSC機器の検出限界下であるNiTi/SS溶接部についてのDSC試料中のNiTi母材の重複効果と解釈することもできる。
【0093】
3.4.機械的特性
これらの溶接部の機械的特性および挙動は、これらの重要な異種材料間に巨視的な継手を提供することができるため、興味深い。この高レベルの挙動は、これまで記載した複雑かつ不均質な構造の結果である。局所硬度がまず論じられ、次いで、巨視的挙動の議論に統合されるであろう。
【0094】
3.4.1.硬度分布
ミクロ構造の不均質性は、異なる界面間の微小硬度分布などの機械的特性の変動をもたらすであろう。図33(a)は、図21で論じている界面にわたる微小硬度分布を比較している。ほとんどの場合、硬度トラバースは比較的平らであり、多くの場合、特にSS側で硬度がいくらかわずかに増加する。連続溶融を有する平界面については、界面での硬度は、界面にある硬い金属間化合物相または非晶質相によるものである可能性が高い母材の硬度よりも著しく高い。他の界面の微小硬度値は、母材の微小硬度値と同等である。図33(b)は、不連続溶融を有する波状界面における溶融区域の微小硬度および窪みを示す。この溶融区域の微小硬度は、母材の2倍超の硬度である916HVに到達する。微小硬度分布により、NiTi/SS衝撃溶接部では界面付近に形成された熱影響域がないことを確認しており、これがNiTi/SS衝撃溶接部の強度が高い主要な理由のうちの1つである。
【0095】
3.4.2.他の溶接技術との継手効率の比較
この種の研究に着手する主な目標は、母材の強度と同程度の、またはそれを超える強度を有する継手の生成である。特に、図34に示すように、SSと接合した後、NiTiの完全な擬弾性遷移にアクセスすることができることが重要である。溶接強度とNiTi母材の極限引張強度(UTS)との比率である継手効率は、所与の材料ペアについての溶接技術を比較するための良い指標である。ひずみは試料上で非常に不均質であり、より弱い材料(NiTi)中で局在化されるため、継手効率を調べるために、SSのUTSの代わりにNiTi母材のUTSを使用する。図34では、本作業で使用したレーザろう付け、摩擦溶接、レーザ溶接、およびVFAWを含む3つの文献からの継手効率を比較している。この重要なペアを接合するための衝撃溶接の有効性は、重ね剪断モードでの単純な予備試験で調べた。NiTi/SS VFA溶接部は、重ね剪断試験後にNiTi母材で破断され、NiTi母材の100%のUTSを伴い、他の方法のUTS(28~62%)よりもはるかに高い。レーザろう付けでは、NiTi SMAとフィラー金属との間の弱い結合、ならびにNiTi HAZ内の構造粗雑化は、継手強度を著しく低下させる。NiTiとSSとの摩擦溶接では、Ni中間層の使用により、Fe2Ti金属間化合物の形成が阻止されるが、主としてHAZおよびTMAZの形成によって、継手効率が依然として低い。NiTiとSSとのレーザ溶接では、NiTiおよびSSの溶融によるHAZおよびIMCの形成が、VFAWと比較して、継手効率が低い2つの主な理由である。HAZ VFAWの欠如は、VFAWの優れた継手効率の主要な理由のうちの1つである。これらの継手は比較的不均質であるが、溶接部の広いエリアは、溶接物全体の機械的特性に一緒に悪影響を及ぼさないいくつかの非結合区域および溶接中心での溶融を有する場合であっても、信頼性の高い原子スケールの接合を達成する。これは、Alと鋼とのVFAWの観察に類似しており、Al-Steel VFA溶接部は、空隙および金属間化合物などの欠陥を提示しながらも、高い重ね剪断強度および疲労性能を維持する。
【0096】
添付の特許請求の範囲のデバイスおよび方法は、本明細書に記載の特定のデバイスおよび方法による範囲に限定されず、これらは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図される。機能的に等価である任意の組成物、系、および方法は、特許請求の範囲の範囲内に収まるように意図される。本明細書で示され、記載されるものに加えて、組成物、系、および方法の種々の修正が、添付の特許請求の範囲内に収まるように意図される。さらに、本明細書に開示されるある特定の代表的な組成物、系、および方法ステップのみが具体的に記載されているが、組成物、系、および方法ステップの他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲内に収まるように意図される。したがって、ステップ、要素、成分、または構成物の組み合わせは、本明細書で明示的に言及され得るが、ステップ、要素、成分、および構成物の他の組み合わせは、明示的に記述されていなくても、含まれる。
【0097】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、開示された発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される刊行物およびそれらが引用される材料は、参照により具体的に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
【国際調査報告】