(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20221109BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L27/06 102A
H01L29/06 301F
H01L29/78 301D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516316
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2020110169
(87)【国際公開番号】W WO2021077881
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】201911001601.3
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502041886
【氏名又は名称】▲東▼南大学
【氏名又は名称原語表記】SOUTHEAST UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.2 Sipailou,Xuanwu Nanjing,Jiangsu 210096 China
(71)【出願人】
【識別番号】512154998
【氏名又は名称】無錫華潤上華科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSMC TECHNOLOGIES FAB2 CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.8 Xinzhou Road Wuxi New District,Jiangsu 214028 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】祝靖
(72)【発明者】
【氏名】朱桂▲ソウ▼
(72)【発明者】
【氏名】何乃龍
(72)【発明者】
【氏名】張森
(72)【発明者】
【氏名】李少紅
(72)【発明者】
【氏名】孫偉鋒
(72)【発明者】
【氏名】時龍興
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC01
5F048AC06
5F048AC07
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA16
5F048BA17
5F048BA20
5F048BB05
5F048BC03
5F048BC07
5F048BG12
5F140AB06
5F140AB07
5F140AC21
5F140BA01
5F140BF04
5F140BH30
5F140BH47
5F140CB01
5F140CB04
(57)【要約】
本発明は横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスを提供し、デバイスは、第1導電型を有するドリフト領域3と、ドリフト領域3の上に設けられ、第2導電型を有する第1ボディ領域10と、第1ボディ領域10内に設けられた第1導電型領域13と、第1導電型領域13内に設けられ、第2導電型を有する第2ボディ領域12と、第2ボディ領域12内に設けられ、第1導電型を有するソース領域11と、第1ボディ領域10内に設けられ、第2導電型を有する接触領域9とを含み、第1導電型と第2導電型とが互いに反対の導電型である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型を有するドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上に設けられ、第2導電型を有する第1ボディ領域と、
前記第1ボディ領域内に設けられた第1導電型領域と、
前記第1導電型領域内に設けられ、第2導電型を有する第2ボディ領域と、
前記第2ボディ領域内に設けられ、第1導電型を有するソース領域と、
前記第1ボディ領域内に設けられ、第2導電型を有する接触領域とを含み、
前記第1導電型と前記第2導電型とが互いに反対の導電型である横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項2】
前記ドリフト領域の上に設けられたドレイン領域をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項3】
前記ドリフト領域の上に設けられた緩衝領域をさらに含み、
前記緩衝領域は、第1導電型を有し、前記ドリフト領域内に設けられることを特徴とする請求項2に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項4】
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたゲートをさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項5】
前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に設けられたフィールド酸化層を含み、
前記ゲートは、前記ソース領域の上から前記フィールド酸化層の上まで延在する多結晶シリコンゲートを含むことを特徴とする請求項4に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1導電型はN型であり、前記第2導電型はP型であることを特徴とする請求項4に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項7】
デバイスが第1MOSFETと、第2MOSFETと、ボディダイオードと、寄生NPN三極管とを有するものと等価であり、前記第1MOSFET及び前記第2MOSFETのゲートは多結晶シリコンゲートを含み、前記第1MOSFETのソース及び前記第2MOSFETのドレインは前記第1導電型領域を含み、前記第1MOSFETのドレインは前記ドレイン領域を含み、前記第2MOSFETのソースは前記ソース領域を含み、前記ボディダイオードのカソードは前記ドリフト領域を含み、前記ボディダイオードのアノードは前記第1ボディ領域を含み、前記寄生NPN三極管のベースは前記第1ボディ領域を含み、前記寄生NPN三極管のコレクタは前記ドリフト領域を含み、前記寄生NPN三極管のエミッタは前記第1導電型領域を含むことを特徴とする請求項6に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項8】
前記ドリフト領域及び前記緩衝領域のドーピング濃度は、前記ソース領域及び前記ドレイン領域のドーピング濃度より低いことを特徴とする請求項3に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項9】
第2導電型の基板と前記基板の上における埋め込み酸化物層をさらに含み、
前記ドリフト領域は前記埋め込み酸化物層の上に設けられることを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1ボディ領域のドーピング濃度は前記接触領域のドーピング濃度より低いことを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1導電型領域は隔離の役割を果たす隔離層であることを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項12】
前記接触領域と前記第1導電型領域とは前記第1ボディ領域に仕切られることを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項13】
ドレイン領域はドレイン領域のN型高濃度ドーピングN+領域であることを特徴とする請求項1に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項14】
前記多結晶シリコンゲートは、前記ソース領域の上から順次前記第2ボディ領域の上、前記第1導電型領域の上、前記第1ボディ領域の上を通過して、前記フィールド酸化層の上まで延在することを特徴とする請求項5に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【請求項15】
前記ソース領域はソース領域のN型高濃度ドーピングN+領域であり、前記接触領域はソース領域のP型高濃度ドーピングP+領域であることを特徴とする請求項6に記載の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年10月21日に中国専利局に出願された出願番号が2019110016013であり、発明の名称が「横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイス」の中国専利出願の優先権を主張するものであり、引用によりその全体が本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は半導体製造分野に関し、特に横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
LDMOS(Laterally Diffused Metal Oxide Semiconductor、横方向拡散金属酸化物半導体)デバイスの内部にはボディダイオードがある。ボディダイオードがデバイスの還流期間で主導的役割を果たすが、ボディダイオードの逆回復期間において、ドリフト領域における正孔がP-body、ソース領域P+を介してソースに引き戻される。このとき、P-body領域の抵抗が存在するため、P-bodyとソース領域N+との間に一定の電圧降下が発生し、この電圧降下がP-body及びソース領域N+からなるPN接合の順方向導通電圧降下より大きいとき、ソース領域N+、P-body及びN-driftからなる寄生NPNが開放される。それによって電流が急激に増加し、逆回復が失効となる現象が発生する。
図4に示すように、破線は逆回復が正常であることを示し、実線は逆回復が失効であることを示す。
【0004】
デバイスの逆回復が失効であれば、回路の応用において他のデバイスが損傷され、デバイス及び回路の安全性及び信頼性に大きな影響を与える恐れがある。
【発明の概要】
【0005】
これに基づき、逆回復が失効となる問題を解決することができる横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスを提供する必要がある。
【0006】
横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスは、第1導電型を有するドリフト領域と、前記ドリフト領域の上に設けられ、第2導電型を有する第1ボディ領域と、前記第1ボディ領域内に設けられた第1導電型領域と、前記第1導電型領域内に設けられ、第2導電型を有する第2ボディ領域と、前記第2ボディ領域内に設けられ、第1導電型を有するソース領域と、前記第1ボディ領域内に設けられ、第2導電型を有する接触領域とを含み、前記第1導電型と前記第2導電型とが互いに反対の導電型である。
【0007】
本出願の一つまたは複数の実施形態の詳細は、以下、図面及び記載で説明される。本出願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的な横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの断面構造の模式図である。
【
図3】一つの実施形態における横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの断面構造の模式図である。
【
図4】LDMOSのボディダイオードの逆回復が正常であるとき及び逆回復が失効であるときの例示的な電流曲線である。
【
図6】本出願及び従来の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの耐圧特性曲線図である。
【
図7】本出願及び従来の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの導通能力特性曲線図である。
【
図8】同じ還流電流値での逆回復電流(IDS)の経時的変化を表す曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで開示されたこれらの本発明の実施形態および/または実例をより良く説明するために、一枚または複数枚の図面を参照してもよい。図面を説明するための詳細内容または実例は、開示された発明、現在説明している実施形態および/または実例、及び現在理解しているこれらの発明の最も好ましい態様のうちのいずれへの範囲の制限と見なされるべきではない。
本発明を容易に理解してもらうために、以下、関連図面を参照して本発明をより全面的に説明する。図面は本発明の好ましい実施形態を提示している。しかし、本発明は、他の多くの態様によって実現されることができ、本文に記載の実施形態に限定されるものではない。一方、これらの実施形態を提示する目的は、本発明の開示内容をより明確かつ完全にすることである。
【0010】
別に定義されていない限り、本文で使われているすべての技術及び科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じである。本文において、本発明の明細書に使われている用語は、具体的な実施形態を説明するためのものだけであり、本発明を限定するためのものではない。本文で使われている用語「および/または」が一つまたは複数の関連の列挙された項目のいずれ及び全ての組み合わせを含む。
【0011】
理解すべき点として、素子または層が他の素子または層「の上に位置する」、「と隣接する」、「に接続される」または「に結合される」と記載される場合、それが直接他の素子または層の上にあり、他の素子または層と隣接し、他の素子または層に接続されまたは結合されてもよく、中間の素子または層が存在してもよい。それに対して、素子が他の素子または層「の上に直接位置する」、「と直接隣接する」、「に直接接続される」または「に直接結合される」と記載される場合、介在する素子または層が存在しない。理解すべき点として、用語の第1、第2、第3などを使って各種素子、部材、領域、層および/または部分を表記してもよいが、これらの素子、部材、領域、層および/または部分がこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は一つの素子、部材、領域、層または部分ともう一つの素子、部材、領域、層または部分とを区別するためのものにすぎない。従って、本発明の教示を逸脱しない上で、以下に記載の第1素子、第1部材、第1領域、第1層または第1部分は、第2素子、第2部材、第2領域、第2層または第2部分と表記されてもよい。
【0012】
空間関係の用語、例えば「…の下に位置する」、「…の下方に位置する」、「下方の…」、「…の下における」、「…の上における」、「上方の…」などは、ここでは説明をしやすくするために使われ、図に示す一つの素子または特徴と他の素子または特徴との関係を説明するものである。理解すべき点として、空間関係の用語には、図に示す配向以外、使用及び操作における異なる配向も含む意図がある。例えば、図面におけるデバイスを反転すれば、「他の素子の下方に位置する」、「その下における」、または「その下に位置する」と記載される素子または特徴は、他の素子または特徴の「上」に配向されることとなる。このため、例示的な用語「…の下方に位置する」や「…の下に位置する」などが上下の二つの配向を含むことができる。デバイスが別に配向されることができ(90度回転または他の配向に)、使われる空間記載用語がこれに対応して解釈される。
【0013】
ここで使われる用語は、目的が具体的な実施形態を説明することのみにあり、本発明を制限するものではない。ここで使われるとき、単数形の「一」、「一つ」及び「前記/該」には、文脈によって明確に他の形式が示されない限り、複数形も含む意図がある。理解すべき点として、用語の「からなる」および/または「含む」は、該明細書で使われるとき、前述の特徴、整数、ステップ、操作、素子および/または部材の存在が確定されたが、一つまたはより多くの他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部材および/または組み合わせの存在または追加を排除するものではない。ここで使われるとき、用語「および/または」が関連の列挙された項目のいずれ及び全ての組み合わせを含む。
【0014】
ここで本発明の理想的な実施形態(及び中間構造)の模式図としての横断面図を参照して本発明の実施形態を説明する。そうすることで、例えば製造技術および/または許容差による示された形状からの変化を予期することができる。このため、本発明の実施形態が示された領域の特定形状に限定されるべきではなく、例えば製造による形状の偏差を含む。例えば、矩形と示される注入領域は、通常その縁に円または湾曲となった特徴および/または注入濃度勾配を有し、注入領域から非注入領域までの二元変化ではない。同様に、注入によって形成された埋蔵領域は、該埋蔵領域と注入が行われるときに通過した表面との間における領域の一部の注入を引き起こすことができる。このため、図に示す領域は、実質的に例示的なものであり、それらの形状がデバイスの領域の実際の形状を意図的に示すものではなく、且つ本発明の範囲を意図的に限定するものではない。
【0015】
本文で使われている半導体分野の用語は、当業者が一般的に使っている技術用語であり、例えばP型不純物及びN型不純物に対して、ドーピング濃度を区別するために、簡単に高濃度ドーピングのP型をP+型とし、中濃度ドーピングのP型をP型とし、低濃度ドーピングのP型をP-型とし、高濃度ドーピングのN型をN+型とし、中濃度ドーピングのN型をN型とし、低濃度ドーピングのN型をN-型とする。
【0016】
動作電流が大きいデバイスに対して、その導通抵抗に対する要求が高く、降伏電圧を保証するという条件の下でその抵抗を低減させる必要がある。導通抵抗を低減させる一般的な方法は、ドリフト領域のドーピング濃度を調整することであるが、ドーピング濃度の向上によって降伏電圧の低下が発生するため、さらに他の構造を用いて降伏電圧を保証する必要があり、例えばフィールドプレート、STI(シャロートレンチアイソレーション)技術などである。また、電流のドリフト領域における流通路を調整することができ、たとえドリフト領域の電流経路が短くなっても、ドリフト領域の長さを縮小させることなどで実現される。現在これらの方面からさらに多くの関連する新型構造が派生し、例えばRESURF(表面電界緩和)技術、区分線形ドーピング技術などである。しかし、これらの構造は、導通抵抗を低減させることに伴い、降伏電圧の低下がもたらされ、他の措置を取ることで両者のいずれも設計目標に達することを保証する必要があり、これではデバイス全体構造への変更が大きい。
【0017】
図1は例示的な横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの断面構造の模式図であり、
図2は
図1の等価回路図である。例示的な横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスは、P型基板(P-sub)と、埋め込み酸化物層(BOX)と、ドリフト領域(N-drift)と、ボディ領域(P-body)と、緩衝領域(N-buffer)と、ドレイン領域N+と、ソース領域N+と、ソース領域P+と含む。
図2を参照されたい。LDMOSのゲート、ソース、ドレインがそれぞれg、s、dで表され、ボディ領域及びドリフト領域からなるボディダイオードDがデバイスの還流期間で主導的役割を果たすが、ボディダイオードの逆回復期間において、ドリフト領域における正孔がP-body、活性領域P+を介してソースに引き戻されるとき、ボディ領域の抵抗Rsが存在する。このため、ボディ領域とソース領域N+との間に一定の電圧降下が発生し、該電圧降下がボディ領域及びソース領域N+からなるPN接合の順方向導通電圧降下より大きいとき、ソース領域N+、ボディ領域及びドリフト領域からなる寄生NPNが開放される。これにより、
図4に示すように、電流が急激に増加し、逆回復が失効となる現象が発生する。一つの例示的な解決案はトレンチアイソレーション技術を採用することであるが、このようにするとデバイスのサイズが大きくなり、プロセスのコストが高く、且つプロセスが複雑であり、条件によって制限されて実現困難の場合がある。
【0018】
図3は一つの実施形態における横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの断面構造の模式図であり、ドリフト領域3と、第1ボディ領域10と、第1導電型領域13と、第2ボディ領域12と、ソース領域11と、接触領域9とが含まれる。ドリフト領域3が第1導電型を有する。第1導電型領域13が第1ボディ領域10内に設けられる。第2ボディ領域12が第1導電型領域13内に設けられ、第2導電型領域を有する。ソース領域11が第2ボディ領域12内に設けられ、第1導電型を有する。接触領域9が第1ボディ領域10内に設けられ、第2導電型を有する。
【0019】
図3に示す実施形態において、第1導電型はN型であり、第2導電型はP型である。具体的には、ドリフト領域3がN型ドリフト領域N-driftであり、第1ボディ領域10及び第2ボディ領域12がいずれもP型ボディ領域であり、第1導電型領域13が本出願において隔離の役割を果たすことができるN型隔離層であり、ソース領域11がソース領域のN型高濃度ドーピングN+領域であり、接触領域9がソース領域のP型高濃度ドーピングP+領域である。もう一つの実施形態において、第1導電型がP型であり、第2導電型がN型であってもよい。
【0020】
上記横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスは、第2ボディ領域12及び第1導電型領域13によってソース領域11を第1ボディ領域10から隔離する。このようにすると、LDMOSのボディダイオードの逆回復期間において、たとえドリフト領域3における正孔が第1ボディ領域10、接触領域9を介してソースに引き戻される場合であっても、第1ボディ領域10とソース領域11との間に一定の電圧降下が発生し、電子がソース領域11を介して第1ボディ領域10に注入されることもできない。一方、正孔が接触領域9によってソースに引き戻されることができ、ソース領域11、第1ボディ領域10及びドリフト領域3からなる寄生NPNが開放されず、LDMOSのボディダイオードが逆回復期間において、寄生NPNの開放による逆回復失効の問題が解決される。
【0021】
図3に示す実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスはさらにドリフト領域3の上に設けられたドレイン領域5を含む。具体的には、ドレイン領域5はドレイン領域のN型高濃度ドーピングN+領域である。
【0022】
図3に示す実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスはさらにドリフト領域3の上に設けられた緩衝領域4を含み、緩衝領域4はドリフト領域3内に設けられ、緩衝領域4は第1導電型を有する。
【0023】
図3に示す実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスはさらに第2導電型の基板1と基板の上にある埋め込み酸化物層2とを含み、ドリフト領域3が埋め込み酸化物層2の上に設けられる。具体的には、基板1はP-subである。
【0024】
一つの実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスはさらにソース領域11とドレイン領域5との間に設けられたゲートを含む。
図3に示す実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスはさらにソース領域11とドレイン領域5との間に設けられたフィールド酸化層7を含み、ゲートはソース領域11の上からフィールド酸化層7の上まで延在する多結晶シリコンゲート8を含む。多結晶シリコンゲート8はソース領域11の上から順次第2ボディ領域12の上、第1導電型領域13の上、第1ボディ領域10の上を通過してフィールド酸化層7の上まで延在する。
図3に示す実施形態において、接触領域9と第1導電型領域13とが第1ボディ領域10に仕切られる。
【0025】
一つの実施形態において、ドリフト領域3及び緩衝領域4のドーピング濃度はソース領域11及びドレイン領域5のドーピング濃度より低い。
【0026】
一つの実施形態において、第1ボディ領域10のドーピング濃度は接触領域9のドーピング濃度より低い。
【0027】
図5を参照し、該実施形態において、横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスは、第1MOSFETと、第2MOSFETと、ボディダイオードDと、寄生NPN三極管を有するものと等価である。
図3を共に参照されたい。多結晶シリコンゲート8は第1MOSFET及び第2MOSFETのゲートgとされ、第1導電型領域13は第1MOSFETのソースs1、第2MOSFETのドレインd2及び寄生NPN三極管のエミッタとされ、ドレイン領域5は第1MOSFETのドレインd1とされ、ソース領域11は第2MOSFETのソースs2とされ、ドリフト領域3はボディダイオードDのカソード及び寄生NPN三極管のコレクタとされ、第1ボディ領域10はダイオードDのアノード及び寄生NPN三極管のベースとされる。第1ボディ領域10はさらにボディ領域抵抗Rsを等価的に有する。デバイスのゲートが高電位に接続され、ドレインが高電位に接続され、ソースが低電位に接続されるとき、多結晶シリコンゲート8の下における第1ボディ領域10及び第2ボディ領域12では正常に反転によって電子チャンネルを形成することができ、LDMOSは順方向導通を実現することができる。ゲートが低電位に接続され、ドレインが高電位に接続され、ソースが低電位に接続されるとき、チャンネルが閉鎖され、デバイスの内部は第1ボディ領域10及びドリフト領域3からなるボディダイオードDによって耐圧を行う。ゲート及びソースが高電位にショートし、ドレインが低電位に接続されるとき、デバイス内部は第1ボディ領域10及びドリフト領域3からなるボディダイオードDによって導通され、デバイスが還流を行うことができる。以上により、上記横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの作動状態及び作動条件は、従来のLDMOSと完全に一致している。
【0028】
図6は本出願及び従来の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの耐圧特性曲線図であり、横座標及び縦座標はそれぞれチャンネル閉鎖のドレイン及びソースの両端の電圧VDS及び流れた電流IDSである。
図7は本出願及び従来の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスの導通能力特性曲線図であり、横座標及び縦座標はそれぞれチャンネル開放のドレイン及びソースの両端の電圧VDS及び流れた電流IDSである。本出願の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスは、ボディダイオードの逆回復が失効となる問題を解決したという前提の下で、導通能力及び耐圧特性が殆ど犠牲になっていないことが分かる。トレンチアイソレーション構造を設置することによってボディダイオードの逆回復が失効となる問題を解決するという方案と比べれば、本出願は該トレンチアイソレーション構造を設置する必要がなく、プロセスが簡単であり、プロセス互換性が強く、且つデバイスのサイズが縮小された。
図8は同じ還流電流値での逆回復電流(IDS)の経時的変化を表す曲線であり、di/dt=105A/μsの曲線は従来の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスに対応するものであり、従来の構造がdi/dt=105A/μsの場合で逆回復の失効が発生したことが分かる。他の三本の曲線は本出願の横方向二重拡散金属酸化物半導体デバイスに対応するものであり、di/dt=536A/μsでも相変わらず逆回復の失効が発生しておらず、LDMOSボディダイオードの逆回復のロバスト性が大幅に向上することができることが分かる。
【0029】
以上述べた実施形態はただ本発明のいくつかの実施形態を説明し、その説明は詳しくかつ具体的であるが、特許発明の保護範囲を限定するものと解釈されるべきではない。説明すべきなのは、当業者であれば、本発明の発想を逸脱しないという前提の下で、若干の変形及び改善を行うことができ、これらも本発明の保護範囲に属する。従って、本特許発明の保護範囲は特許請求の範囲に準ずるべきである。
【国際調査報告】