(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】拡張可能な膜上の薄膜電極を有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516673
(86)(22)【出願日】2020-09-13
(85)【翻訳文提出日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2020058494
(87)【国際公開番号】W WO2021053483
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バス・シュバユ
(72)【発明者】
【氏名】トビー・ダスティン・アール
(72)【発明者】
【氏名】バン・ニーキルク・ピーター・イー
(72)【発明者】
【氏名】フエンテス-オルテガ・セサル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK22
4C160KK24
4C160KK38
4C160KL03
4C160MM34
4C160NN01
(57)【要約】
カテーテルとエンドエフェクタとを含む装置が提供される。エンドエフェクタは、拡張可能な本体と、拡張可能な本体の外面上に堆積された複数の電極と、を含む。拡張可能な本体は、非拡張状態と拡張状態との間を移行するように構成される。拡張可能な本体は、内面及び外面を有する。拡張可能な本体は、内面から外面まで延在する複数の開口部を画定する。電極は、拡張可能な本体と共に、非拡張状態から拡張状態に拡張するように構成されている。電極には、自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能なアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、前記内面から前記外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な本体と、
(ii)前記拡張可能な本体の前記外面上に堆積され、前記拡張可能な本体と共に前記非拡張状態から前記拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
【請求項2】
前記拡張可能な本体が膜を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口部が、前記拡張可能な本体によって画定された内部領域から灌注用流体を排出するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記開口部が、前記拡張可能な本体によって画定された内部領域への流体の通過を可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において球根状形状を画定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において円筒状形状を画定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において切頭円錐の形状を画定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において矩形の形状を画定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エンドエフェクタが、前記拡張可能な本体を前記拡張状態に向かって付勢するように構成されている1つ以上の弾性部材を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上の弾性部材が、1つ以上の弾性ストリップを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の弾性部材が、前記拡張可能な本体の前記内面又は前記外面上に堆積されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の電極が、複数のマッピング電極及び複数のアブレーション電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記エンドエフェクタが、少なくとも1つの参照電極を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの参照電極が、前記拡張可能な本体の前記内面上に配設されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記拡張可能な本体が、弾性格子構造を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記弾性格子構造が、複数の湾曲弾性ストリップによって形成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記湾曲弾性ストリップが、互いに重なり合う領域を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の電極のうちの少なくともいくつかが、互いに重なり合う前記弾性ストリップの前記領域に位置する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、前記内面から前記外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な膜であって、前記開口部は、流体が前記膜を通過することを可能にするように構成されている、拡張可能な膜と、
(ii)前記拡張可能な膜の前記外面上に堆積され、前記拡張可能な膜と共に前記非拡張状態から前記拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
【請求項20】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、複数のストリップを含み、前記ストリップどうしの間に複数の開口部を画定する、拡張可能な格子構造と、
(ii)前記拡張可能な格子構造上に堆積された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2019年9月16日に出願の、米国仮特許出願第62/900,749号、発明の名称「Catheter with Thin-Film Electrodes on Expandable Membrane」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、交流電流エネルギー又は直流電流エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能であり得る。アブレーションプロセスは、電気絶縁性を有する変性部又は瘢痕組織を形成して、その組織を通り抜けようとする異常な電気信号の伝達を効果的に遮断することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供し得る。
【0003】
一部の処置では、1つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いでそのカテーテルを前進させて、電極を心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に位置決めすることができる。電極を心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気エネルギーで作動させて、電極が接触した組織を切除することができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。一部の他の場合においては、単極電極を、接地パッドと共に又は患者と接触している他の参照電極と共に使用することができる。
【0004】
アブレーションカテーテルの例は、以下の文献に記載されている:2013年1月31日に公開の、米国特許出願公開第2013/0030426号、発明の名称「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2017年11月2日に公開の、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2018年3月15日に公開の、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2018年3月1日に公開の、米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2018年11月20日に発行の、米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2015年2月17日に発行の、米国特許第8,956,353号、発明の名称「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2017年10月31日に発行の、米国特許第9,801,585号、発明の名称「Electrocardiogram Noise Reduction」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0005】
一部のカテーテルアブレーション処置は、アブレーションの標的とすべき組織領域を特定するために、電気生理学(electrophysiology、EP)マッピングを用いた後に実施され得る。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実施するために使用されるのと同じカテーテル又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極により、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の一因となる異常な導電性組織部位の位置を正確に示すことができる。EPマッピングシステムの例は、1998年4月14日に発行の、米国特許第5,738,096号、発明の名称「Cardiac Electromechanics」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、以下の文献に記載されている:2018年3月6日に発行の、米国特許第9,907,480号、発明の名称「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2018年11月20日に発行の、米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2018年3月1日に公開の、米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0006】
EPマッピングを使用することに加えて、一部のカテーテルアブレーション処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実施されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することができる。一部のシステムは、EPマッピング機能とIGS機能とを組み合わせたもの(例えば、Biosense Webster,Inc.(カリフォルニア州アーバイン)によるCARTO 3(登録商標)システムが挙げられる)を提供することができる。IGSシステムと共に使用するように構成されたカテーテルの例は、2016年11月1日に発行の、米国特許第9,480,416号、発明の名称「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び本明細書に引用される様々な他の参照文献に開示されている。
【0007】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が製造及び使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の特許請求の範囲に記載の本発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルが患者に挿入される医療処置の概略図を示す。
【
図2A】
図1のカテーテルアセンブリの上面平面図を、エンドエフェクタが拡張していない状態で示す。
【
図2B】
図1のカテーテルアセンブリの上面平面図を、エンドエフェクタが拡張した状態で示す。
【
図3】
図2Aのエンドエフェクタが拡張した状態で示す拡大斜視図である。
【
図4】
図2Aのエンドエフェクタの変形例の一例の拡大斜視図を、一体型弾性要素が、エンドエフェクタを付勢して拡張した状態にするよう支援している状態で示す。
【
図5】
図2Aのエンドエフェクタの一部の断面図を示す。
【
図6】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る代替的なエンドエフェクタの一例の拡大斜視図を示す。
【
図7】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る代替的なエンドエフェクタの別の一例の拡大斜視図を示す。
【
図8】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る代替的なエンドエフェクタの別の一例の拡大斜視図を示す。
【
図9】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る代替的なエンドエフェクタの別の一例の、平らに広げた状態の本体の上面平面図を示す。
【
図10】
図1のカテーテルアセンブリのエンドエフェクタに組み込まれた、
図9の本体の拡大斜視図を示す。及び
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の例の以下の説明は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0010】
本明細書に記載の教示、表現、バージョン、例などのうちのいずれの1つ以上も、本明細書に記載の他の教示、表現、バージョン、例などのうちの任意の1つ以上と組み合わされ得る。したがって、以下に記載されている教示、表現、バージョン、例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指していてもよく、例えば、「約90%」は、81~99%の値の範囲を指していてもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0012】
I.例示的なカテーテルシステムの概要
図1は、心臓アブレーションシステムの、例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。特に、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)を把持する医師(PH)を、カテーテルアセンブリ(100)の可撓性カテーテル(120)のエンドエフェクタ(200)が(
図2A~
図3に示されているが、
図1には示されていない)、患者(PA)の心臓(H)内又はその近くの組織をマッピング又はアブレーションするために、患者(PA)内に配設されている状態で示している。
図2A~
図3に示されるように、カテーテル(120)は、外側シース(122)を含み、エンドエフェクタ(200)は、外側シース(122)の遠位端(124)又はその近傍に配設されている。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)に結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)に結合されているが、これはあくまでも任意選択である。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下に配置され、ケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)にも結合されている。
【0013】
本例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)に結合されている。一部の変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(200)の電極(250)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、プロセッサ(図示せず)を含み、そのプロセッサは、そのようなEPマッピング信号を処理して、それによって当該技術分野において知られているようなEPマッピングを提供する。それに加えて、又はこれに代えて、第1のドライバモジュール(14)は、エンドエフェクタ(200)の電極(260)に電力を供給し、それによって、組織を切アブレーションするように動作可能であり得る。一部のバージョンでは、第1のドライバモジュール(14)はまた、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(200)内の1つ以上の位置センサ(270)から位置指示信号を受信するように動作可能である。このようなバージョンでは、コンソール(12)のプロセッサはまた、位置センサ(270)からの位置指示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のカテーテル(120)のエンドエフェクタ(200)の位置を特定するように動作可能である。
【0014】
第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)に結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を作動させて、患者(PA)の心臓(H)の周囲に交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0015】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサに結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、一組の手術前又は術中に取得された画像(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づいてもよい。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(200)の位置センサ(270)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(200)が患者(PA)内で移動するにつれて、位置センサ(270)からの対応する位置データは、コンソール(12)のプロセッサにディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新させて、エンドエフェクタ(200)が患者(PA)内で動く間、エンドエフェクタ(200)の周囲の、患者の解剖学的構造の領域を描写することができる。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(200)によるEPマッピングによって検出されるように、異常な導電性組織部位の位置を示すように、ディスプレイ(18)を駆動してもよい。あくまでも一例に過ぎないがコンソール(12)のプロセッサは、例えば照明されたドット、十字線、又は異常な導電性組織部位の視覚的表示のいくつかの他の形式を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を、患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるように、ディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0016】
コンソール(12)のプロセッサはまた、照明されたドット、十字線、エンドエフェクタ(200)のグラフィック表現、又は何らかの他の形態の視覚的表示を重ね合わせることなどによって、患者の解剖学的構造の画像上にエンドエフェクタ(200)の現在の位置を重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動してもよい。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(200)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができる。それによって、エンドエフェクタ(200)が患者(PA)内で移動する際に、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の位置に関して、リアルタイムでの視覚フィードバックを操作者に提供できる。したがって、ディスプレイ(18)を通して提供される画像は、エンドエフェクタ(200)を見るいかなる光学機器(すなわちカメラ)をも必ずしも用いることなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の位置を追跡する動画を効果的に提供することができる。同じ図において、ディスプレイ(18)は、本明細書に記載されるように、EPマッピングによって検出された、複数の異常な導電性組織部位の位置を、同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位に対する、また患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に対するエンドエフェクタ(200)の位置を、リアルタイムで観察することができる。
【0017】
本例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の好適な灌注流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更に結合されている可撓性チューブを含む。一部の変形例では、導管(40)、流体源(42)、及びポンプ(44)は、完全に省略されている。これらの構成要素が含まれているバージョンでは、エンドエフェクタ(200)は、流体源(42)から患者内の標的部位に灌注流体を伝達するように構成されてもよい。このような灌注は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献のいずれかの教示に従って、又は、本明細書の教示に鑑みて当業者に明らかである他の任意の好適な方法で行うことができる。
【0018】
図2A~
図2Bは、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)をより詳細に示す。図示のように、カテーテル(120)は、ハンドル(110)から遠位方向に延出し、一方、流体コネクタアセンブリ(130)は、ハンドル(110)から近位方向に延出する。流体コネクタアセンブリ(130)は、導管(40)と連結するように構成されており、それによって、灌注流体が流体源(42)からエンドエフェクタ(200)に伝達されるための経路を提供する。流体灌注は、アブレーションカテーテルアセンブリ(100)のあくまでも任意選択の特徴であるため、必要に応じて、流体コネクタアセンブリ(130)を省略してもよい。本例のハンドル(110)はまた、ソケット(112)を含み、ソケット(112)は、ケーブル(30)の遠位端のプラグ(図示せず)を受容し、それによってコンソール(12)とエンドエフェクタ(200)との間の電気通信のための経路を提供するように構成される。これらの構成要素を形成するために使用することができる様々な好適な構成要素及び構成が、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなろう。
【0019】
II.フレックス回路を有する拡張可能なアセンブリを備えるエンドエフェクタの例
図2A、
図2B、及び
図3にも示されるように、エンドエフェクタ(200)は、カテーテル(120)の遠位端(124)に配置される。
図2A~
図2Bは、エンドエフェクタ(200)を概略的な形態で示すが、
図3はエンドエフェクタ(200)をより詳細に示す。エンドエフェクタ(200)は、非拡張構成状態(
図2A)と、拡張構成状態(
図2B)との間を移行するように構成されている。一部のバージョンでは、エンドエフェクタ(200)が非拡張構成状態にあるとき、エンドエフェクタ(200)は、約6フレンチ以下のサイズを有するように構成されている。エンドエフェクタ(200)は、カテーテル(120)が患者(PA)に挿入されつつある間は、非拡張構成状態に維持されていてよい。エンドエフェクタ(200)が患者の標的部位に到達すると、エンドエフェクタ(200)は、拡張構成状態に移行され得る。一部のバージョンでは、は、エンドエフェクタ(200)が非拡張構成状態にあり、しかも患者(PA)内の標的部位に向かって輸送されている最中には、エンドエフェクタ(200)は、シース(図示せず)内に位置付けられている。シースは、カテーテル(120)を覆って、摺動可能に配設され得る。ひとたび遠位端(124)が標的部位に到達すると、エンドエフェクタ(200)は、シースの遠位端に対して遠位側に位置していてよく、それによって拡張構成状態に移行されていてもよい。非拡張構成状態と拡張構成状態との間で、エンドエフェクタ(200)がどのように移行され得るかについてのいくつかの例が以下でより詳細に説明されるが、他の例も、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0020】
エンドエフェクタ(200)は、外部シース(122)の遠位端(124)の遠位側に配置される。一部のシナリオでは、エンドエフェクタ(200)は、外部シース(122)内に摺動可能に配設され、遠位端(124)が患者(PA)内の標的部位付近に至るまで、エンドエフェクタ(200)と外部シース(122)とは、患者(PA)のルーメン(例えば、動脈、静脈など)内へと一緒に前進させられる。エンドエフェクタ(200)と外部シース(122)との組み合わせが所定の位置へと前進しつつある間、エンドエフェクタ(200)はまず、遠位端(124)に対して近位方向に後退してもよい。ひとたび標的部位に到達すると、外部シース(120)が静止状態で維持されている一方で、エンドエフェクタ(200)は遠位方向に前進して、それによってエンドエフェクタ(200)を遠位端(124)から更に前進させることができる。あるいは、外部シース(122)が近位方向に後退してエンドエフェクタ(200)を露出させる間、エンドエフェクタ(200)は静止状態に維持されてもよい。
【0021】
図3に示すように、この例のエンドエフェクタ(200)は、膨張可能な本体(210)、複数のマッピング電極(220)、複数のアブレーション電極(222)、中央シャフト(126)、及び遠位側ハブ(270)を含む。膨張可能な本体(210)は膜の形態であって、複数の開口部(212)を画定する。開口部(212)は、流体がそれらの開口部(212)を通過するのを可能にするのに十分な大きさを有する。他方、開口部(212)は、膨張可能な本体(210)が、膨張可能な本体が膨張用流体(例えば、生理食塩水など)で充填されたときに拡張状態になり、しかもその拡張状態を維持することを可能にするのに十分な程度には小さいものである。一部のバージョンでは、膨張可能な本体(210)を膨張させるために使用されるのと同じ流体が、開口部(212)を通して排出され、患者(PA)の標的部位に灌注される。例えば、流体源(42)からの流体が、開口部(212)を通して排出され得る。それに加えて、又は代替的に、患者(PA)の血液が開口部(212)を通って、エンドエフェクタ(200)の内部に入り、中央シャフト(126)に同軸に取り付けられた参照電極(128)に到達する場合があり得る。そのような参照電極(128)については、より詳細に後述する。
【0022】
別のあくまでも例示的な代替例として、膨張可能な本体(210)が2つの層を含み、それらの層どうしの間に膨張用の流体を受容する液密空間を有することができる。この場合、膨張用流体は開口部(212)を通して排出されることがない。一部のそのようなバージョンでは、流体源(42)からの灌注用流体が、膨張可能な本体(210)の内部に流体導管(40)を介して伝達され、開口部(212)を通して排出される。なお、一部の変形形態では、開口部(212)を省略できることも理解されたい。あくまでも更なる例としてではあるが、膨張可能な本体(210)は、伸張可能ではない材料で作製され得る。あるいは、膨張可能な本体(210)は、伸張可能な材料で作製され得る。一部の変形例では、本体(210)は、開口部(212)を欠いている。そのようなバージョン(及び開口部(212)が存在するバージョン)では、灌注用流体は、中央シャフト(126)を介してエンドエフェクタ(200)から排出され得る。例えば、中央シャフト(126)は、灌注用流体を排出するように構成された少なくとも1つの遠位側開口部又は側面開口部を含み得る。
【0023】
図4は、エンドエフェクタ(200)の変形例の一例を示す。この例では、エンドエフェクタ(200’)は、本体(210)に固定された(又は他の方法で組み込まれた)複数の弾性ストリップ(290)を含む。簡潔にするために、エンドエフェクタ(200)の他の構成要素は、
図4のエンドエフェクタ(200’)の図からは省略されている。なお、エンドエフェクタ(200)と、エンドエフェクタ(200’)との間の唯一の違いは、エンドエフェクタ(200’)には、弾性ストリップ(290)が含まれているということが理解されよう。弾性ストリップ(290)は、本体(210)を弾性的に付勢して、
図4に示す拡張構成状態に向かわせるように構成されている。一部のそのようなバージョンでは、本体(210)は、拡張をもたらすようないかなる種類の流体でも充填されず、弾性ストリップ(290)のみでエンドエフェクタ(200)に十分な付勢力を提供して、拡張状態を達成することができるようになっている。一部の他のバージョンでは、弾性ストリップ(290)が膨張用流体と協働することによって、膨張用流体によって導かれた本体(210)の拡張力を補足するようになっている。
【0024】
あくまでも一例に過ぎないが、弾性ストリップ(290)は、ニチノールを含んでいてもよい。あくまでも更なる例としてではあるが、弾性ストリップ(290)は、本体(210)の内面上又は外面上に直接堆積され得る。例えば、弾性ストリップ(290)は、膨張可能な本体(210)上に、薄膜として(例えば、物理蒸着(PVD)プロセスを介して)蒸着されたニチノールで形成され得る。あくまでも一例に過ぎないがそのようなPVDプロセスは、以下に従って実施することができる:2015年8月13日に公開の、国際公開第2015/117908号、発明の名称「Medical Device for Ablating Tissue Cells and System Comprising a Device of This Type」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部、2019年1月3日に公開の、ドイツ特許公開第102017130152号発明の名称「Method for Operating a Multi-Layer Structure」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部、又は、2018年8月28日に公開の、米国特許第10,061,198号、発明の名称「Method for Producing a Medical Device or a Device with Structure Elements,Method for Modifying the Surface of a Medical Device or of a Device with Structure Elements,Medical Device and Laminated Composite with a Substrate」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部。弾性ストリップ(290)を堆積させるために、他の方法も使用され得る。そのような方法としては、例えばスパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、弾性ストリップ(290)は、ニチノールから形成されることに加えて又はその代わりに、他の材料で形成され得るということを理解されたい。
【0025】
図3に示す例では、マッピング電極(220)が、それぞれの横方向経路に沿って延在する、略円周方向アレイ状に配置される。そのような横方向経路は、長手方向に互いに離間されている。また、
図3に示される例において、アブレーション電極(222)が、それぞれの長手方向経路に沿って延在する、略長手方向アレイ状に配置され、そのような長手方向経路は、角度的に互いに離間されている。当然ながら、電極(220、222)のこれらの配置は、あくまでも例示的な例に過ぎない。電極(220、222)は、本明細書の教示に鑑みて当業者に明らかであるように、任意の他の好適な位置及び配列で設けられてもよい。
【0026】
電極(220、222)は各々、本体(210)上に直接印刷され得る。あるいはそうでなければ、本体(210)に直接適用される。
図5は、電極(220)と、対応する導電性トレース(221)とが、本体(210)に直接適用される例を示す。あくまでも一例に過ぎないが、電極(220)及びトレース(221)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を用いて本体(210)に適用され得る。例えば、弾性ストリップ(290)の本体(210)への適用に関して上述したプロセスのうちの任意のものが、電極(220、222)を本体(210)に適用するためにも利用され得る。各電極(220、222)は対応するトレースと共に、同じようにして本体(210)に適用され得る。一部のバージョンでは、電気絶縁材料の層が、電極(220、222)のトレース(221)の上に、又はトレース(221)どうしの間に更に適用される。
【0027】
弾性ストリップ(290)が含まれるエンドエフェクタ(200’)のバージョンでは、電極(220、222)は、弾性ストリップ(290)とは分けて別々に適用され得る。言い換えれば、電極(220、222)弾性ストリップ(290)から離間させることができる。本体(210)の表面上にある。弾性ストリップ(290)が含まれるエンドエフェクタ(200’)の一部の他のバージョンでは、電極(220、222)は、弾性ストリップ(290)上に直接適用され得る。一部のそのようなバージョンでは、電極(220、222)は、
図11に示すようにストリップ本体(610)に適用される電極(642、644)の文脈において以下に説明されるものと同様の方法で、弾性ストリップ(290)に適用され得る。
【0028】
マッピング電極(220)は、(例えば、心電図信号を提供するために)組織と接触し、接触した組織から電位を拾い上げることによって、EPマッピングを提供するように構成されている。一部のバージョンでは、マッピング電極(220)は、そのようなマッピング処理中には、双極性の対で互いに協働する。したがって、一対のマッピング電極(220)は、集合的に単一の「センサ」を形成しているものと見なすことができる。各マッピング電極(220)は、対応するトレース(221)(
図5参照)又は他の電線管に結合されてもよく、それによって、マッピング電極(220)によってピックアップされた信号が、カテーテル(120)内の電線管(図示せず)を介してコンソール(12)に伝達されて戻ることが可能になる。コンソール(12)は、その信号を処理して、EPマッピングを提供し、それによって心臓の解剖学的構造内で、異常な電気的活動を有する場所を特定することができる。これにより、医師(PH)は、アブレーションする(例えば、電気エネルギーによって、冷凍アブレーションによってなど)べき心臓組織の最も適切な領域を特定することができ、それによって、心臓組織を横切る異常な電気的活動の伝達を防止するか、又は少なくとも低減することができる。
【0029】
上記のように、また
図3に示されるように、エンドエフェクタ(200)は、中央シャフト(126)に同軸に取り付けられる、一対の参照電極(128)を更に含む。そのような参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、電極(220)と併せて利用され得る。例えば、参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、エンドエフェクタ(200)の内部を通過する血液又は生理食塩水から、開口部(212)を介して基準電位を拾い上げるために利用され得る。そのような基準電位は、当技術分野で知られているように、ノイズ又は遠距離電界信号を低減するために使用され得る。本例では、参照電極(128)は、膨張可能な本体(210)の内部に効果的に収容され、膨張可能な本体(210)は、EPマッピング処理におけるエンドエフェクタ(200)の使用中に、組織が参照電極(128)に接触するのを防止する。その一方で膨張可能な本体(210)は、血液及び生理食塩水が、エンドエフェクタ(200)を通って自由に流動し、参照電極(128)に到達することを依然として可能にする。あるいは、参照電極(128)は、任意の他の好適な場所(複数可)に配置され得る。また、任意の好適な数の参照電極(128)が提供されてもよい。
【0030】
図5は、参照電極(230)が、電極(220)と反対側にある、膨張可能な本体(210)の内側に配置された別の例である。この例では、参照電極(230)と対応するトレース(231)とは、例えば物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を使用することなどによって、膨張可能な本体(210)に直接適用される。一部のバージョンでは、電気絶縁材料の層が、参照電極(230)のトレース(231)の上に、又はトレース(231)どうしの間に更に適用される。参照電極(230)は、上述されている参照電極(128)と同様に動作することができる。つまり参照電極(230)は、EPマッピング処理中に、エンドエフェクタ(200)の内部を通過する血液又は生理食塩水から、開口部(212)を介して基準電位を拾い上げるために利用され得る。参照電極(230)は、エンドエフェクタ(200)の内部に配置されるので、本体(210)は、EPマッピング処理におけるエンドエフェクタ(200)の使用中に、組織が参照電極(230)に接触するのを防止する。その一方で本体(210)は、血液及び生理食塩水が、エンドエフェクタ(200)を通って自由に流動し、参照電極(230)に到達することを依然として可能にする。トレース(231)は、参照電極(230)によってピックアップされた信号が、コンソール(12)に到達するための経路の一部を形成する。一部のバージョンでは、一つの参照電極(230)のみが、各マッピング電極(220)の反対側に配置される。あるいは、参照電極(230)は、マッピング電極(230)と、任意の他の好適な空間的又は構造的関係を有し得る。
【0031】
本例では、
図3に示すように、アブレーション電極(222)は、本例のマッピング電極(220)よりも大きい。アブレーション電極(222)を使用して、電極(222)と接触している組織に電気エネルギーを印加し、それによって組織をアブレーションすることができる。各アブレーション電極(222)は、対応するトレース(例えば、
図5に示された配列と同様)又は他の電線管に結合されてもよく、それによって、コンソール(12)が、カテーテル(120)内の電線管(図示せず)を介して、電気エネルギーをトレース又は他の導管に伝達して、アブレーション電極(222)に到達させることができる。一部のシナリオでは、1つのみ、2つのみ、又はいくつかの他の比較的小さい数のアブレーション電極(222)のみが活性化されて、任意の所与の瞬間に、組織に電気エネルギーを印加するようになっている。マッピング電極(220)と同様に、
図3に示されるようなアブレーション電極(222)の数及び配置は、あくまでも例示的なものである。アブレーション電極(222)には、任意の他の好適な数又は配置を使用することができる。更に別のあくまでも例示的な変形例として、アブレーション電極(222)は、エンドエフェクタ(200)から省略されてもよい。一部のそのような変形例では、マッピング電極(220)は依然として、エンドエフェクタ(200)上に含まれている。本明細書で使用される場合、「アブレーション」という用語は、高周波アブレーション又は不可逆的電気穿孔のいずれかをカバーすることを意図している。
【0032】
あくまでも一例に過ぎないが電極(128、220、222、230)は、ニチノール、白金、金、又は任意の他の好適な生体適合性材料から形成され得る。一部のバージョンでは、電極(128、220、222、230)は、伸張可能な材料で形成され、それによって本体(210)と共に拡張するように構成されている。電極(220、222、230)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を用いて、本体(210)に直接適用され得る。電極(128、220、222、230)は、必要に応じて、様々なコーティングを含んでもよい。例えば、電極(220)は、電極(220)からの信号の、信号対雑音比を改善するように選択されたコーティングを含んでもよい。そのようなコーティングとしては、酸化イリジウム(IrOx)コーティング、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)コーティング、電着酸化イリジウム(EIROF)コーティング、白金イリジウム(PtIr)コーティング、又は任意の他の好適なコーティングを挙げることができるが、これらに限定されない。電極(128、220、222、230)に使用され得る様々な好適な種類のコーティングは、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0033】
あくまでも更なる例としてではあるが、電極(220)は、2019年3月18日出願の、米国仮特許出願第62/819,738号、発明の名称「Electrode Configurations for Diagnosis of Arryhtmias」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って、互いに離間され、配列されてもよい。例えば、電極(220)は、米国仮特許出願第62/819,738号の
図13A、
図13B、
図13C、及び
図13Dに従って離間配置されてもよい。電極(226、230、232)は更に、2017年11月2日に公開の、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って構築し、動作可能とすることができる。
【0034】
本例のエンドエフェクタ(200)は、エンドエフェクタ(200)の遠位端にあるハブ(226)に位置する位置センサ(270)を更に含む。位置センサ(270)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である。あくまでも一例に過ぎないが位置センサ(270)は、磁場発生器(20)によって発生する交流電磁場の存在に応じて電気信号を生成するように構成された、ワイヤコイル又は複数のワイヤコイル(例えば、3つの直交コイル)の形態であってもよい。位置センサ(270)は、カテーテル(120)に沿って又は他の方法でカテーテル(120)を介して、ワイヤ、トレース、又は任意の他の好適な電線管と連結されてもよく、それによって、位置センサ(270)によって生成された信号が、カテーテル(120)内の電線管(図示せず)を通じてコンソール(12)に伝達されて戻ることが可能になる。コンソール(12)は、位置センサ(270)からの信号を処理して、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(200)の位置を特定することができる。エンドエフェクタ(200)に関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響トラッキング、光学トラッキング、慣性トラッキングなどが挙げられ得る。この例では、位置センサ(270)は、ハブ(226)上に位置するものとして示されているが、ハブ(226)に組み込まれることに加えて、又はその代わりに、1つ以上の位置センサ(270)が、本体(210)内又は本体(210)上の他の場所に組み込まれてもよい。一部のバージョンにおいては、位置センサ(270)は、エンドエフェクタ(200)から全く省略されてもよい。
【0035】
アブレーションカテーテルアセンブリ(100)の使用中、カテーテル(120)は、エンドエフェクタ(200)が非拡張構成状態にある間に、標的となる心血管構造(例えば、心臓(H)の心内腔、肺静脈)付近にエンドエフェクタ(200)を配置させるように前進され得る。次いで、エンドエフェクタ(200)が拡張されて、電極(220、222)を、標的の心血管構造の組織と接触させ得る。一部のバージョンでは、操作者は、エンドエフェクタ(200)を選択的に膨張させて、所望の拡張の程度を提供してもよいが、その拡張の程度は、標的となっている特定の解剖学的構造の寸法又は構造的構成に基づいて、あるいはエンドエフェクタ(200)が、マッピング処理で使用されているのか、又はアブレーション処置で使用されているのかに基づいて、選択される。例えば、医師(PH)は、エンドエフェクタ(200)が心臓(H)の心内腔内にある場合には、エンドエフェクタ(200)をより大きく拡張させてよく、エンドエフェクタ(200)が肺静脈内にある内にある場合には、エンドエフェクタ(200)をより小さく拡張させてよい。別のあくまでも例示的な例として、医師(PH)は、エンドエフェクタ(200)がEPマッピングを実行するために使用されている場合には、エンドエフェクタ(200)をより大きく拡張させ(エンドエフェクタを、例えば約2.5cm~約3cmの直径に拡張させ)てよく、エンドエフェクタ(200)がアブレーションを実行するために使用されている場合には、エンドエフェクタ(200)をより小さく拡張させ(エンドエフェクタを、例えば約5mm~約9mmの直径に拡張させ)てよい。エンドエフェクタ(200)が用いられ得るその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明白であろう。
【0036】
III.エンドエフェクタの代替的な膜形状の例
上に説明してきた例のエンドエフェクタ(200)は、エンドエフェクタ(200)が拡張状態にある場合には、概ね球根状又は球状の形状を示すが、エンドエフェクタ(200)のバリエーションは、そのバリエーションが拡張状態にある場合には、他の種類の形状を示し得る。代替的形状のいくつかの例を、以下に詳述する。
【0037】
A.円筒状形状を有するエンドエフェクタの例
図6は、カテーテル(120)の遠位端(124)に、エンドエフェクタ(200)の代わりに位置する、エンドエフェクタ(300)の一例を示す。本例のエンドエフェクタ(300)は、下記で説明する差異を除いては、上記のエンドエフェクタ(200)と全く同様に構成されかつ動作可能であり得る。エンドエフェクタ(200)と同様に、本例のエンドエフェクタ(300)は、膨張可能な本体(310)(例えば、拡張可能な膜の形態のもの)と、一組のマッピング電極(320)と、一組のアブレーション電極(322)とを含む。図示されていないが、エンドエフェクタ(300)は、中央シャフト(126)のような中央シャフトを更に含むことができ、しかも一部のバージョンでは、参照電極(128、230)のような参照電極を更に含み得る。マッピング電極(320)が、それぞれの横方向経路に沿って延在する略円周方向アレイ状に配列されるが、そのような横方向経路は、互いに長手方向には離間されている。その他の点では、マッピング電極(320)は、マッピング電極(220)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。アブレーション電極(322)は、それぞれの長手方向経路に沿って延在する、概ね長手方向のアレイ状に配列されるが、そのような長手方向経路は、互いに角度的に離間されている。その他の点では、アブレーション電極(322)は、アブレーション電極(222)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。
【0038】
あくまでも一例に過ぎないが、電極(320、322)は、ニチノール、白金、金、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよい。一部のバージョンでは、電極(320、322)は、伸張可能な材料で形成され、それにより、本体(310)と共に拡張するように構成されている。電極(320、322)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を用いて、本体(310)に直接適用され得る。
【0039】
膨張可能な本体(210)と同様に、膨張可能な本体(310)は、開口部(312)を含み、非拡張状態と拡張状態との間を移行するように動作可能である。しかしながら、膨張可能な本体(210)とは異なり、膨張可能な本体(310)は、拡張状態にある場合に円筒形状を有する。この例では、電極(320、322)は、膨張可能な本体(310)の、長手方向に延在する部分(314)上にのみ存在し、電極(320、322)は、膨張可能な本体(310)の、平坦な遠位面(316)に沿っては延在しない。一部の他のバージョンでは、電極(320、322)は、遠位面(316)の少なくとも一部を横切って延在する。あるいは、遠位面(316)は、電極(320、322)を、任意の他の好適な様式で組み込んでもよい。一部のシナリオでは、エンドエフェクタ(300)の円筒状形状は、エンドエフェクタ(300)を、肺静脈での使用に特に好適なものとすることができる。例えば、肺静脈を絶縁したり、又は静脈の一部分のみ又は器官の他の好適な解剖学的構造のみのための焦点式アブレーションを実施したりするなどの用途に適している。
【0040】
B.切頭円錐の形状を有するエンドエフェクタの例
図7は、カテーテル(120)の遠位端(124)に、エンドエフェクタ(200)の代わりに位置する、エンドエフェクタ(400)の別の一例を示す。本例のエンドエフェクタ(400)は、下記で説明する差異を除いては、上記のエンドエフェクタ(200)と全く同様に構成されかつ動作可能であり得る。エンドエフェクタ(200)と同様に、本例のエンドエフェクタ(400)は、膨張可能な本体(410)(例えば、拡張可能な膜の形態のもの)と、一組のマッピング電極(420)と、一組のアブレーション電極(422)とを含む。図示されていないが、エンドエフェクタ(400)は、中央シャフト(126)のような中央シャフトを更に含むことができ、しかも一部のバージョンでは、参照電極(128、230)のような参照電極を更に含み得る。マッピング電極(420)が、それぞれの横方向経路に沿って延在する略円周方向アレイ状に配列されるが、そのような横方向経路は、互いに長手方向には離間されている。その他の点では、マッピング電極(420)は、マッピング電極(220)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。アブレーション電極(422)は、それぞれの長手方向経路に沿って延在する、概ね長手方向のアレイ状に配列されるが、そのような長手方向経路は、互いに角度的に離間されている。その他の点では、アブレーション電極(422)は、アブレーション電極(222)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。
【0041】
あくまでも一例に過ぎないが、電極(420、422)は、ニチノール、白金、金、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよい。一部の変形例では、電極(420、422)は、伸張可能な材料で形成され、それによって本体(410)と共に拡張するように構成されている。電極(420、422)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を用いて、本体(410)に直接適用され得る。
【0042】
膨張可能な本体(210)と同様に、膨張可能な本体(410)は、開口部(412)を含み、非拡張状態と拡張状態との間を移行するように動作可能である。しかしながら、膨張可能な本体(210)とは異なり、膨張可能な本体(410)は、拡張状態にある場合に切頭円錐の形状を有する。この例では、電極(420、422)は、膨張可能な本体(410)の先細部分(414)上にのみ存在し、電極(420、422)が、膨張可能な本体(410)の平坦な遠位面(416)に沿っては延在しないようになっている。一部の他のバージョンでは、電極(420、422)は、遠位面(416)の少なくとも一部を横切って延在する。あるいは、遠位面(416)は、電極(420、422)を、任意の他の好適な様式で組み込んでもよい。一部のシナリオでは、エンドエフェクタ(400)の切頭円錐の形状は、そのエンドエフェクタ(400)を、肺静脈の様々な幾何学的形状及び直径に適応するのに特に好適なものとし得る。
【0043】
C.概ね平坦な矩形の形状を有するエンドエフェクタの例
図8は、カテーテル(120)の遠位端(124)に、エンドエフェクタ(200)の代わりに位置する、エンドエフェクタ(500)の別の一例を示す。本例のエンドエフェクタ(500)は、下記で説明する差異を除いては上記のエンドエフェクタ(200)と全く同様に構成されかつ動作可能であり得る。エンドエフェクタ(200)と同様に、本例のエンドエフェクタ(500)は、膨張可能な本体(510)(例えば、拡張可能な膜の形態のもの)と、一組のマッピング電極(520)と、一組のアブレーション電極(522)とを含む。図示されていないが、エンドエフェクタ(500)は、中央シャフト(126)のような中央シャフトを更に含むことができ、しかも一部のバージョンでは、参照電極(128、230)のような参照電極を更に含み得る。マッピング電極(520)が、それぞれの横方向経路に沿って延在する略横方向アレイ状に配列されるが、そのような横方向経路は、互いに長手方向には離間されている。その他の点では、マッピング電極(520)は、マッピング電極(220)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。アブレーション電極(522)は、それぞれの長手方向経路に沿って延在する、概ね長手方向のアレイ状に配列されるが、そのような長手方向経路は、互いに横方向に離間されている。その他の点では、アブレーション電極(522)は、アブレーション電極(222)とまさに同様に構成されかつ動作可能となっている。
【0044】
あくまでも一例に過ぎないが、電極(520、522)は、ニチノール、白金、金、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよい。一部のバージョンでは、電極(520、522)は、伸張可能な材料で形成され、それにより、本体(510)と共に拡張するように構成されている。電極(520、522)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理を用いて、本体(510)に直接適用され得る。
【0045】
膨張可能な本体(510)と同様に、膨張可能な本体(510)は、開口部(512)を含み、非拡張状態と拡張状態との間を移行するように動作可能である。しかしながら、膨張可能な本体(210)とは異なり、膨張可能な本体(510)は、拡張状態にある場合に概ね平坦な矩形の形状を有する。この例では、電極(520、522)は、膨張可能な本体(510)の最も広い面(514)上にのみ存在するが、電極(520、522)は、膨張可能な本体(510)の、平坦な遠位面(516)にも側面(518)にも沿って延在しないようになっている。一部の他のバージョンでは、電極(520、522)は、遠位面(516)又は側面(518)の少なくとも一部を横切って延在する。あるいは、遠位面(516)又は側面(518)は、電極(520、522)を、任意の他の好適な様式で組み込んでもよい。一部のシナリオでは、エンドエフェクタ(500)の略平坦な矩形の形状により、エンドエフェクタ(500)は、内腔壁に沿った信号を記録するのに特に好適であり、その幾何学的形状は、最も広い面に格子状の電極パターンを含めることを可能にする。電極のグリッド様パターンにより、2つの直交方向に双極信号の記録をすることが可能になり得る。
【0046】
IV.金属格子構造を有するエンドエフェクタの例
図9~
図10は、(例えば、膨張可能な本体(210)のような)膜と組み合わせてエンドエフェクタを形成することができるか又は、それ自身でエンドエフェクタを形成し得る格子構造(600)の別の例を示す。この例の格子構造(600)は、
図9に示されるように、最初は平坦な構成で構築されるように構成され、次いで、
図10に示されるように、球根状又は略球状の形状に折り畳まれる。格子構造(600)が膜と組み合わされるバージョンでは、格子構造(600)が
図10に示す折り畳み構成にある場合には、膜は、格子構造(600)によって形成される略球状の形状の内部に配置され得る。あるいは、膜は、格子構造(600)によって定義される各開口部(630)内に配置された別個のセグメントに提供され得る。いずれの場合でも、膜は、膨張可能な本体のように機能することができる。その結果、膜は、非拡張状態(例えば、
図2Aに示されているエンドエフェクタ(200)の状態と同様の状態)から、膨張を通じた拡張状態(例えば、
図10に示される概ね球状の構成を実現するような状態)に、格子構造を駆動するのを支援することができる。膜が含まれるバージョンでは、その膜は、既に説明した開口部(212)のような開口部を、更に含み得る。あるいは、そのような開口部を省略することができる。
【0047】
格子構造(600)の一部のバージョンでは、膜を完全に省略することができる。そのようなバージョン、ならびに膜が含まれる一部のバージョンでは、格子構造(600)が、弾性的に付勢されて、
図10に示される概ね球形の構成をとり得る。例えば、格子構造(600)は、ニチノール又は何らかの他の弾性材料を含み、これらが格子構造(600)を付勢して、
図10に示される概ね球状の構成になり得る。いずれの場合も、格子構造(600)は、それでもなお、
図2Aのエンドエフェクタ(200)に示されるものと同様の非拡張構成状態を実現するように圧縮可能であり得る。あくまでも一例に過ぎないが、格子構造(600)が非拡張構成にある場合、その格子構造(600)は、約6フレンチ以下のサイズを実現するように圧縮可能であり得る。
【0048】
格子構造(600)は、複数の湾曲したストリップ本体(610)によって形成される。各ストリップ本体(610)は、波状の湾曲構成を有する。各ストリップ本体(610)の近位端(612)は、
図9に最もよく見られるような、隣接するストリップ本体(610)の近位端(612)と接触して、一対の近位端(612)を形成する。近位端(612)は、格子構造(600)をカテーテル(120)に対して、
図10に示すように固定する。隣接するストリップ本体(610)どうしはまた、ノード領域(620)で互いに接触する。一部のバージョンでは、隣接するストリップ本体(610)が、ノード領域(620)で互いに重なる。開口部(630)が、隣接するストリップ本体どうし(610)の間に画定される。ストリップ本体(610)の遠位端は、格子構造(600)の遠位端(614)で収束する。格子構造(600)が、
図9に示されるような平坦な構成状態にある場合には、この遠位端(614)は、平坦な構成の中心にある。あくまでも一例に過ぎないが、格子構造(600)の遠位端(614)及び/又は他の部分は、以下の文献の教示のうち少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能であり得る:2015年12月3日公開の、米国特許出願公開第2015/0342532号、発明の名称「High Electrode Density Basket Catheter」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2017年3月16日公開の、米国特許出願公開第2017/0071543号、発明の名称「Convertible Basket Catheter」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、又は、2017年12月7日公開の、米国特許出願公開第2017/0347959号、発明の名称「Spine Construction for Basket Catheter」(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0049】
図10に示すように、各ノード領域(620)は、電極対(640)を含む。各電極対(640)は、第1の電極(642)及び第2の電極(644)を含む。電極(642、644)は、ストリップ本体(610)上に印刷されてよく、又はストリップ本体(610)内に他の様式で組み込まれ得る。電極(642、644)は、(例えば、心電図信号を提供するために)組織と接触し、接触した組織から電位を拾い上げることによって、EPマッピングを提供するように構成されている。言い換えると、各電極対(640)は、電極対(640)が心臓血管組織と接触して置かれたときに、心電図信号の双極検知を行うように構成されている。したがって、各電極対(640)は、集合的に単一の「センサ」を形成すると見なすことができる。各電極(642、644)は、格子構造(600)上の対応するトレース又は他の電線管に結合されてもよく、それによって、電極対(640)によってピックアップされた信号が、カテーテル(120)内の電線管(図示せず)を介してコンソール(12)に伝達されて戻ることが可能になる、コンソールは、その信号を処理してEPマッピングを行い、それによって心臓の解剖学的構造内の異常な電気的活動を有する場所を特定することができる。これにより、医師(PH)は、アブレーションするべき(例えば、電気エネルギーによって、冷凍アブレーションによってなど)心臓組織の最も適切な領域を特定することができ、それによって、心臓組織を横切る異常な電気的活動の伝達を防止するか、又は少なくとも低減することができる。
【0050】
図11は、参照電極(646)がマッピング電極(642)に対して対向する様式で配置されている別の配列例を示す。
図11は、マッピング電極(642)のみを示すが、マッピング電極(644)に関しても同様の配列を提供することができる。図示されるように、マッピング電極(642)は、誘電体層(650)上に適用される。誘電体層(650)は、生体適合性構造層(652)上に適用される。あくまでも一例に過ぎないが、生体適合性構造層(652)は、白金又は任意の他の好適な生体適合性金属を含み得る。生体適合性構造層(652)は、誘電体絶縁層(654)上に適用される。導電層トレース(656)は、誘電体絶縁層(654)の下に位置する。ビア(660)が、マッピング電極(642)からの信号が、導電層トレース(656)に伝達される経路を提供する。導電層トレース(656)が、マッピング電極(642)によってピックアップされる電位がコンソール(12)に伝達されて戻る経路の一部を形成することができる。マッピング電極(644)は、マッピング電極(644)に専用である導電性トレース層の領域(656)からは絶縁されている、導電性トレース層(656)の独自の専用領域を有することができる。その結果、マッピング電極(642、644)が、それぞれ独立した別個の導電性トレース層(656)の領域を有することになる。別の誘電体層(658)が、導電性トレース層(656)の下に配置される。誘電体層(658)は、ストリップ本体(610)の上に配置される。上記のように、ストリップ本体(610)は、ニチノール薄膜の形態であり得る。
【0051】
図11にも示されるように、ストリップ本体(610)の下側(エンドエフェクタ(600)の内部領域に面する側)は、誘電体層(674)、導電性トレース層(672)、誘電絶縁層(670)、及び参照電極(646)を含む。参照電極(646)は、既に説明した参照電極(128、230)と同様に動作することができる。すなわち、参照電極(646)は、EPマッピング処理中に、エンドエフェクタ(600)の内部を通過する血液又は生理食塩水から、開口部(630)を介して基準電位を拾い上げるために利用され得る。参照電極(646)は、エンドエフェクタ(600)の内部に配置されるので、ストリップ本体(610)は、EPマッピング処理中におけるエンドエフェクタ(600)の使用中、組織が参照電極(646)に接触するのを防止する。他方でストリップ本体(610)は、血液及び生理食塩水がエンドエフェクタ(600)を通って自由に流動し、参照電極(646)に到達することを依然として可能にする。ビア(676)が、参照電極(646)からの信号が、導電層トレース(672)に伝達される経路を提供する。導電性トレース層(672)は、参照電極(646)によってピックアップされた信号が、コンソール(12)に到達するための経路の一部を形成する。一部のバージョンでは、一つの参照電極(646)のみが、各電極対(640)の反対側に配置される。あるいは、参照電極(646)は、電極(642、644)と、任意の他の好適な空間的又は構造的関係を有し得る。
【0052】
エンドエフェクタ(600)がアブレーション能力を含むバージョンでは、生体適合性構造層(652)が、アブレーション電極を効果的に形成することができる。エンドエフェクタ(600)の露出した表面エリアの実質的な部分を提供することにより、層(652)は、小さな個々の電極を使用しながらも、それがなければ生成される変性部と比べてより大きい変性部を生成することができる。
【0053】
図11に示す例では、ストリップ本体(610)の外側に示されている全ての層(642、650、652、654、656、658、660)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理法を使用して、ストリップ本体(610)に適用され得る。同様に、ストリップ本体(610)の内側に示されている全ての層(646、670、672、674、676)は、物理蒸着(PVD)プロセス、スパッタ堆積、化学蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適な処理法を使用して、ストリップ本体(610)に適用され得る。
【0054】
エンドエフェクタ(600)の一部の変形例では、各ストリップ本体(610)の露出面全体の上に絶縁層を設けてもよく、その場合には切り欠きが、電極(642、644、646)を露出させるために絶縁層に形成される。そのような絶縁層は、電極(642、644、646)が配設される切り欠きのある場所で、凹部を効果的に形成し得る。電極(642、644、646)のためのそのような凹部を形成することにより、絶縁層は、電極(642、644、646)を機械的に保護することができる。更に、一部のそのようなバージョンでは、電極(642、644、646)を対応するトレースに結合するいかなるビアをも形成することが不要となり得る。言い換えれば、各電極(642、644、646)とその対応するトレースとは、同じ層上に存在し得る。
【0055】
V.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出における任意の時点で提示され得るいずれの特許請求の適用範囲をも限定することを意図したものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、あくまでも例示的な目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、その他の多くの方式で構成及び適用が可能であると考えられる。また、一部の変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者らによって又は本発明者らの利益の承継者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。いずれの特許請求が、本出願において、又は以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0056】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び(b)カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、内面から外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な本体と、(ii)拡張可能な本体の外面上に堆積され、拡張可能な本体と共に非拡張状態から拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極を含む、複数の電極とを備えるエンドエフェクタを備える装置。
【実施例2】
【0057】
拡張可能な本体が膜を含む、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0058】
膜が伸張可能である、実施例2に記載の装置。
【実施例4】
【0059】
開口部が、拡張可能な本体によって画定された内部領域から灌注用流体を排出するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0060】
開口部が、拡張可能な本体によって画定された内部領域への流体の通過を可能にするように構成されている、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0061】
拡張可能な本体が、拡張状態において球根状形状を形成するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例7】
【0062】
球根状形状が概ね球状である、実施例6に記載の装置。
【実施例8】
【0063】
拡張可能な本体が、拡張状態において円筒状形状を画定するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例9】
【0064】
拡張可能な本体が、拡張状態において切頭円錐の形状を画定するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例10】
【0065】
拡張可能な本体が、拡張状態において矩形の形状を画定するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0066】
エンドエフェクタが、拡張可能な本体を拡張状態に向かって付勢するように構成されている1つ以上の弾性部材を更に備える、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例12】
【0067】
1つ以上の弾性部材が、1つ以上の弾性ストリップを備える、実施例11に記載の装置。
【実施例13】
【0068】
1つ以上の弾性部材が、ニチノールを含む、実施例11~12のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例14】
【0069】
1つ以上の弾性部材が、拡張可能な本体の内面又は外面上に堆積されている、実施例11~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例15】
【0070】
複数の電極が、複数のマッピング電極及び複数のアブレーション電極を含む、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0071】
エンドエフェクタが、少なくとも1つの参照電極を更に含む、実施例1~15のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例17】
【0072】
少なくとも1つの参照電極が、拡張可能な本体の内面上に配設されている、実施例16に記載の装置。
【実施例18】
【0073】
エンドエフェクタが、中央シャフトを更に備え、少なくとも1つの参照電極がその上に配設されている、実施例16に記載の装置。
【実施例19】
【0074】
拡張可能な本体が、弾性格子構造を備える、実施例1~18のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例20】
【0075】
弾性格子構造が、複数の湾曲弾性ストリップによって形成されている、実施例19に記載の装置。
【実施例21】
【0076】
湾曲した弾性ストリップが、互いに重なり合う領域を含む、実施例20に記載の装置。
【実施例22】
【0077】
複数の電極のうちの少なくともいくつかが、互いに重なり合う弾性ストリップの領域に位置する、実施例21に記載の装置。
【実施例23】
【0078】
弾性格子構造がニチノールを含む、実施例19~22のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例24】
【0079】
電極と連通しているプロセッサを更に備える、実施例1~23のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例25】
【0080】
電極が、自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極を含み、プロセッサが、マッピング電極によってピックアップされた電位を処理するように動作可能である、実施例24に記載の装置。
【実施例26】
【0081】
プロセッサが、マッピング電極によってピックアップされた電位に基づいて、心電図読み取り値を提供するように動作可能である、実施例25に記載の装置。
【実施例27】
【0082】
電極が、自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能なアブレーション電極を含み、プロセッサが、アブレーション電極の作動を電気エネルギーで駆動するように動作可能である、実施例24~26のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例28】
【0083】
三次元空間内のエンドエフェクタの位置を示す信号を生成するように動作可能である位置センサを更に備える、実施例1~27のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例29】
【0084】
位置センサが、エンドエフェクタ上に位置している、実施例28に記載の装置。
【実施例30】
【0085】
位置センサが、拡張可能な本体上に位置している、実施例29に記載の装置。
【実施例31】
【0086】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び(b)カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、内面から外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な膜と、(ii)拡張可能な膜の外面上に堆積され、拡張可能な膜と共に非拡張状態から拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極を含む、複数の電極とを備えるエンドエフェクタを備える装置。
【実施例32】
【0087】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び(b)カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、複数のストリップを備え、ストリップ同士の間に複数の開口部を画定する拡張可能な格子構造と、(ii)拡張可能な格子構造の上に堆積された複数の電極であって、(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極を含む、複数の電極とを備えるエンドエフェクタを備える装置。
【実施例33】
【0088】
(a)拡張状態と非拡張状態との間で移行するように構成され、かつ、非拡張状態の心血管系の管腔内に嵌合するように構成されている、拡張可能な本体を提供することと、(b)拡張可能な本体の表面上に複数の電極を堆積させることであって、電極及び拡張可能な本体が一緒になってエンドエフェクタを画定し、電極が、拡張可能な本体と共に非拡張状態から拡張状態に拡張するように構成され、電極が、(i)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び(ii)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極を堆積させることと、(c)エンドエフェクタをカテーテルシャフトアセンブリの遠位端に取り付けることと、を含む、方法。
【実施例34】
【0089】
拡張可能な本体が当初、平面構造として形成され、その平面構造が非平面形状に折り畳まれて、エンドエフェクタを更に画定する、実施例33に記載の方法。
【実施例35】
【0090】
平面構造が非平面形状に折り畳まれる前に、電極が平面構造上に堆積される、実施例34に記載の方法。
【実施例36】
【0091】
拡張可能な本体が膜を備え、電極が膜上に直接堆積されている、実施例33に記載の方法。
【実施例37】
【0092】
拡張可能な本体の表面上に複数の電極を堆積させることが、蒸着プロセスを利用することを含む、実施例33~36のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例38】
【0093】
蒸着プロセスが、物理蒸着プロセスを含む、実施例37に記載の方法。
【実施例39】
【0094】
蒸着プロセスが、化学蒸着プロセスを含む、実施例37~38のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例40】
【0095】
拡張可能な本体の表面上に複数の電極を堆積させることが、スパッタ堆積プロセスを利用することを含む、実施例33~39のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例41】
【0096】
拡張可能な本体の表面上に複数の電極を堆積させることが、熱蒸着プロセスを利用することを含む、実施例33~40のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例42】
【0097】
堆積される電極が、弾性材料から形成される、実施例33~41のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例43】
【0098】
堆積される電極が、伸張可能な材料から形成される、実施例33~42のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例44】
【0099】
堆積される電極が、ニチノールから形成される、実施例33~43のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例45】
【0100】
拡張可能な本体が、第1の表面及び第1の表面の反対側にある第2の表面を有し、拡張可能な本体の表面上に複数の電極を堆積させることが、(i)拡張可能な本体の第1の表面上に少なくとも1つの電極を堆積させることと、(ii)拡張可能な本体の第2の表面上に少なくとも1つの電極を堆積させることとを含む、実施例33~44のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例46】
【0101】
エンドエフェクタが、内部領域及び外部領域を含み、第1の表面が、エンドエフェクタの内部領域上にあり、第2の表面が、エンドエフェクタの外部領域上にある、実施例45に記載の方法。
【実施例47】
【0102】
(a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び(b)カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有する拡張可能な膜であって、内面から外面まで延在して流体が膜を通過することを可能にするように構成されている複数の開口部を画定する膜と、(ii)拡張可能な膜の外面上に堆積され、拡張可能な膜と共に非拡張状態から拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極からなる群から選択される1つ以上の電極を含む、複数の電極とを備えるエンドエフェクタを備える装置。
【0103】
VI.その他
本明細書に記載される器具のいずれも、処置前及び/又は処置後に洗浄及び滅菌することができる。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、限定されないが、ベータ線又はガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、及びプラズマ又は水蒸気を伴う又は伴わない気相滅菌を含む当技術分野で公知の任意の他の技術を用いて滅菌されてもよい。
【0104】
本明細書に記載の実施例のいずれも、上述のものに加えて又はそれらの代わりに、様々な他の特徴部を含み得ることを理解されたい。あくまでも一例に過ぎないが、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示される様々な特徴のうちの1つ以上を更に含むことができる。
【0105】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0106】
その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されたその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。その開示が全体として本明細書に参考として組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0107】
本発明の様々なバージョンについて図示し説明してきたが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成することができる。このような可能な修正のうちのいくつかについて述べたが、その他の修正が当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、バージョン、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0108】
〔実施の態様〕
(1) (a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、前記内面から前記外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な本体と、
(ii)前記拡張可能な本体の前記外面上に堆積され、前記拡張可能な本体と共に前記非拡張状態から前記拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
(2) 前記拡張可能な本体が膜を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記開口部が、前記拡張可能な本体によって画定された内部領域から灌注用流体を排出するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記開口部が、前記拡張可能な本体によって画定された内部領域への流体の通過を可能にするように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において球根状形状を画定するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0109】
(6) 前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において円筒状形状を画定するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において切頭円錐の形状を画定するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記拡張可能な本体が、前記拡張状態において矩形の形状を画定するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記エンドエフェクタが、前記拡張可能な本体を前記拡張状態に向かって付勢するように構成されている1つ以上の弾性部材を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記1つ以上の弾性部材が、1つ以上の弾性ストリップを備える、実施態様9に記載の装置。
【0110】
(11) 前記1つ以上の弾性部材が、前記拡張可能な本体の前記内面又は前記外面上に堆積されている、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記複数の電極が、複数のマッピング電極及び複数のアブレーション電極を含む、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記エンドエフェクタが、少なくとも1つの参照電極を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記少なくとも1つの参照電極が、前記拡張可能な本体の前記内面上に配設されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記拡張可能な本体が、弾性格子構造を備える、実施態様1に記載の装置。
【0111】
(16) 前記弾性格子構造が、複数の湾曲弾性ストリップによって形成されている、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記湾曲弾性ストリップが、互いに重なり合う領域を含む、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記複数の電極のうちの少なくともいくつかが、互いに重なり合う前記弾性ストリップの前記領域に位置する、実施態様17に記載の装置。
(19) (a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、内面及び外面を有し、前記内面から前記外面まで延在する複数の開口部を画定する拡張可能な膜であって、前記開口部は、流体が前記膜を通過することを可能にするように構成されている、拡張可能な膜と、
(ii)前記拡張可能な膜の前記外面上に堆積され、前記拡張可能な膜と共に前記非拡張状態から前記拡張状態に拡張するように構成された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
(20) (a)自らの少なくとも一部分が、心臓血管系の内腔内に嵌合するようにサイズ決め及び構成されているカテーテル、及び
(b)前記カテーテルの遠位端に配置されたエンドエフェクタであって、
(i)非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成され、複数のストリップを含み、前記ストリップどうしの間に複数の開口部を画定する、拡張可能な格子構造と、
(ii)前記拡張可能な格子構造上に堆積された複数の電極であって、
(A)自らに接触する組織内の電位を感知するように構成されたマッピング電極、及び
(B)自らに接触する組織をアブレーションするように動作可能であるアブレーション電極
からなる群から選択される1つ以上の電極を含む複数の電極と、
を備えるエンドエフェクタ、
を備える装置。
【国際調査報告】