IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクソジェン コーポレーションの特許一覧

特表2022-548134組織を自動処理するための組織処理容器、その使用方法、及び組織処理容器を含むシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】組織を自動処理するための組織処理容器、その使用方法、及び組織処理容器を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/08 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
C12M3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516678
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020051174
(87)【国際公開番号】W WO2021055541
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】17/023,229
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/901,733
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517415528
【氏名又は名称】アクソジェン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バルッス、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルシェ、ゲルハルト アンドリュー
(57)【要約】
組織処理容器が、組織処理の複数のステップを容易にするために開示される。シェーカ、インキュベータ、コントローラ、及びポンプを含む、組織処理容器を組み込むシステムも開示される。組織処理容器を使用して組織を処理するための複数のステップの方法が開示される。組織処理容器は、自動化された組織処理、処理媒体への組織の露出、及び複数のステップの組織処理プロトコルの効率を達成するように特に設計される。記載された組織処理容器は、メッシュスクリーンによって覆われた中央穴を含むカップ状空洞、ステップを別個に処理するためのトラフを含み、実質的な気密及び実質的な水密の手法で積層可能である。記載された組織処理容器を使用して処理するための組織は、神経組織を含む。組織処理容器の積層を輸送するための輸送ハウジングも本明細書に記載されており、輸送ハウジングはそれらの容器を直接培養してもよく、又は輸送ハウジングは、容器を培養するための別個のインキュベータの内側に置かれてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器システムであって、
外壁を有するカップと、
前記外壁の半径方向内方に配置された内壁であって、前記内壁の高さは前記外壁の高さより低い、内壁と、
前記カップの床であって、前記床の実質的中央に穴を有し、前記穴は、前記内壁が前記穴を包囲するとともに前記外壁が前記内壁を包囲するように、前記内壁の半径方向内方に配置される、床と、
前記カップの前記床の内部側面上に配置された少なくとも2つのトラフであって、前記少なくとも2つのトラフは前記穴を包囲し、前記少なくとも2つのトラフは、前記床の前記内部側面から突出する2つ以上のトラフ壁によって画定される、少なくとも2つのトラフとを含む、容器システム。
【請求項2】
前記穴を覆うメッシュスクリーンを更に含む、請求項1に記載の容器システム。
【請求項3】
前記メッシュスクリーンを前記内壁に対して堅固に封止するように構成されたガスケットを更に含む、請求項2に記載の容器システム。
【請求項4】
前記内部側面の反対の前記床の外部側面上に配置されたメッシュスクリーンを更に含む、請求項1に記載の容器システム。
【請求項5】
前記メッシュスクリーンを前記床の前記外部側面又は前記外壁の外部側面に対して封止するように構成されたガスケットを更に含む、請求項4に記載の容器システム。
【請求項6】
前記外壁は、前記外壁が前記カップの前記床から離れて延在するように半径方向外方に広がる、請求項1に記載の容器システム。
【請求項7】
前記床は、前記床が前記外壁から前記内壁に延在するように傾斜する、請求項1に記載の容器システム。
【請求項8】
前記床と反対の前記カップの端部は覆われない、請求項1に記載の容器システム。
【請求項9】
前記床の実質的中央は前記床の中央である、請求項1に記載の容器システム。
【請求項10】
容器システムであって、
外壁によって画定された周辺を有するカップであって、前記カップは閉口端及び開口端を有する、カップと、
前記外壁の半径方向内方に配置された内壁であって、前記内壁の高さは前記外壁の高さより低い、内壁と、
前記カップの前記閉口端を画定する床と、
前記床の実質的中央に配置された穴であって、前記穴は、前記内壁が前記穴を包囲するとともに前記外壁が前記内壁を包囲するように、前記内壁の半径方向内方に配置される、穴と、
前記カップの前記床の内部表面上に配置された少なくとも2つのトラフであって、前記少なくとも2つのトラフは、前記床から前記カップの前記開口端に向かって突出する2つ以上のトラフ壁によって画定され、前記2つ以上のトラフ壁は、それぞれが前記内壁の前記高さより低い高さを有する、少なくとも2つのトラフと、
前記穴にわたって延在する第1のメッシュスクリーンと、
前記カップの前記閉口端の外部表面に沿って延在する第2のメッシュスクリーンとを含む、容器システム。
【請求項11】
前記穴にわたる前記第1のメッシュスクリーンを堅固に封止するように構成された第1のガスケット、及び前記第2のメッシュスクリーンを前記カップの前記閉口端に封止するように構成された第2のガスケットを更に含む、請求項10に記載の容器システム。
【請求項12】
前記カップの前記床に最も近い前記外壁の端部は、第1の直径を画定し、前記カップの前記床に最も近い前記内壁の端部は、前記第1の直径より小さい第2の直径を画定し、前記穴は、前記第2の直径より小さい第3の直径を画定する、請求項11に記載の容器システム。
【請求項13】
前記カップの前記床は、前記第1の直径に隣接した前記床が、前記第2の直径に隣接した前記床より前記カップの前記開口端から遠くに配置されるように、前記第2の直径から前記第1の直径に半径方向外方に傾斜する、請求項12に記載の容器システム。
【請求項14】
前記カップの前記開口端を取り外し可能に覆うように構成された蓋を更に含む、請求項10に記載の容器システム。
【請求項15】
前記床の実質的中央は前記床の中央である、請求項10に記載の容器システム。
【請求項16】
容器システムであって、
第1のカップ及び第2のカップであって、前記第1のカップ及び前記第2のカップのそれぞれは、
開口端及び閉口端と、
前記開口端から前記閉口端に延在し、周辺を画定する外壁と、
前記外壁の半径方向内方に配置された内壁であって、前記内壁の高さは前記外壁の高さより低い、内壁と、
床であって、前記床の実質的中央に穴を有し、前記穴は、前記内壁が前記穴を包囲するとともに前記外壁が前記内壁を包囲するように、前記内壁の半径方向内方に配置される、床と、
前記カップの前記床の内部表面上に配置された少なくとも2つのトラフであって、前記少なくとも2つのトラフは、前記床の前記内部表面から突出する2つ以上のトラフ壁によって画定される、少なくとも2つのトラフとを含む、第1のカップ及び第2のカップを含み、
前記第1のカップの前記閉口端は、前記第1のカップが前記第2のカップと積層可能であるように、前記第2のカップの前記開口端内に受領されるように寸法化され、前記第1のカップの前記穴は、前記第1のカップが前記第2のカップと積層する時に、前記第2のカップの前記穴と整列する、容器システム。
【請求項17】
前記第1のカップ及び前記第2のカップのそれぞれは、前記穴にわたって延在するメッシュスクリーンを更に含む、請求項16に記載の容器システム。
【請求項18】
前記第1のカップ及び前記第2のカップのそれぞれは、前記穴にわたる前記メッシュスクリーンを堅固に固定するガスケットを更に含む、請求項17に記載の容器システム。
【請求項19】
前記第1のカップ及び前記第2のカップのそれぞれは、前記カップの前記閉口端の外部表面に沿って延在する第2のメッシュスクリーンを更に含む、請求項18に記載の容器システム。
【請求項20】
前記第1のカップ及び前記第2のカップのそれぞれは、前記第2のメッシュスクリーンを前記カップの前記閉口端の前記外部表面に沿って固定する第2のガスケットを更に含む、請求項19に記載の容器システム。
【請求項21】
前記第1のカップの前記外壁及び前記第2のカップの前記外壁は、それぞれが前記開口端に隣接した第2の直径より小さい前記閉口端に隣接した第1の直径を画定する、請求項16に記載の容器システム。
【請求項22】
ベース容器であって、前記ベース容器の内部領域の中に延在する第1のノズルを有し、前記第1のノズルは、前記第1のカップの前記穴に流体連結するように構成される、ベース容器と、
キャップ容器であって、前記キャップ容器の内部領域の中に延在する第2のノズルを有し、前記第2のノズルは、前記第2のカップの前記穴に流体連結するように構成される、キャップ容器とを更に含む、請求項16に記載の容器システム。
【請求項23】
前記床の実質的中央は、前記床の中央である、請求項16に記載の容器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組織を自動処理するための組織処理容器、その使用方法、及び組織処理容器を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚組織、維管束組織、心臓組織、神経組織、臍帯組織及び同種のものなどの組織は、人及び動物の様々な型の外科手術及び創傷治療に有益である。外科及び/又は移植処置に使用する組織は、人から又は動物から収集されることがある。皮膚組織などの一部の組織は、試験及び使用のために人工的に製造されることもある。市販の処理された組織の例には、(米国フロリダ州アラチュア(Alachua)の)アクソーゲン(Axogen,Inc.)製のアバンセ(Avance)(登録商標)神経移植片及びアビブ(Avive)(登録商標)軟組織膜が含まれる。
【0003】
外科移植のための例えば非自家組織のバイオバーデンの脱細胞又は低減を含むが、これに限定されない処理は、具体的には多くの異なる溶液、酵素、洗浄剤/すすぎ剤、又は組織が曝されることがある他の液体媒体の観点から、時間が掛り、労力を要する可能性がある。組織処理は、受け入れ難い擦過傷又は組織への他の種類の損傷さえもたらす可能性があり、移植の手術結果を妥協する可能性があり、組織の完全性に悪影響を及ぼし、その究極の手術の使用を禁止する可能性がある。
【0004】
従ってより効率的で組織に優しい組織処理方法(例えば組織及びその構造の完全性をより良好に保護する方法)が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
組織処理の複数のステップを容易にするために有益な組織処理容器を含む、より自動化された手段、及びそのための構成要素が、本明細書に記載されている。組織処理容器は、実質的な気密及び実質的な液密の手法を含む積層が可能であることがあり、それぞれは容器毎に1つ又は複数の組織標本の処理が可能であり得る。組織処理容器を組み込むシステムも開示される。組織処理容器のための輸送ハウジングが更に開示される。本明細書に記載された組織処理容器、システム及び一般的方法は、他の組織を処理する労力の間で、例えばバイオバーデンの脱細胞又は低減に有益であることがある、種々の液体媒体に組織を曝すために使用されてもよい。
【0006】
例えば組織処理の自動化及び複数のステップに適合した組織処理容器が提供される。容器は、円形の内部形状だが、例えばロボット操作及び処理に適合可能なあらゆる設計又は寸法からなることがある外部形状を所有してもよい。容器は、第2の内径、並びに空気及び液体がそれを通過することができる容器の中央に穴を有する、カップ全体の外観を有してもよい。穴は、実質的に円形、長円形若しくは楕円形の形状であってもよく、又は多角形の形状であってもよい。組織処理容器の外壁、すなわち第1の壁は、あらゆる高さからなってもよく、幾つかの実施形態では、容器の円形底部から垂直でまっすぐであってもよく、他の実施形態では、容器の中心から外方に傾斜若しくは広がり、及び/又は容器の円形底部から垂直でなくてもよい。
【0007】
幾つかの実施形態では、第2の壁は、容器の円形底部内の穴を包囲してもよい。第2の壁の高さは、第1の壁の高さより低くてもよい。その円形底部上に置かれた時に、組織処理容器は、カップのように頂部が開いていてもよい。組織処理容器は、組織処理容器の円形底部内に堅固に取り付けられ及び/若しくは一体形成され、穴を包囲する1つ又は複数のトラフを有してもよい。組織処理容器は第1の容量の液体を保持してもよく、1つ又は複数のトラフは第2の容量の液体を保持してもよく、第1の容量の液体は、第2の容量の液体より多くてもよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、組織処理容器は、2つのメッシュスクリーン及び2つのガスケットを更に所有してもよい。第1のメッシュスクリーンは、組織処理容器の内側表面上の穴に堅固に取り付けられてもよい。第1のガスケットは、組織処理容器の内側表面上の穴を包囲する第2の壁を包囲してもよい。第2のガスケットは、組織処理容器の円形底部の外側表面に取り付け可能であってもよく、第2の直径にほぼ等しい直径を有してもよい。第2のメッシュスクリーンは、円形底部の外側表面に取り付け可能であってもよい。2つのメッシュスクリーンは、プラスチックポリマ、純金属若しくは合成金属、樹脂、及び/又はゴムなどの弾性ポリマ、或いはそれらの組み合わせから作成されてもよい。具体的な実施形態では、第1及び/又は第2のメッシュスクリーンは、ナイロンなどのポリアミドから構成されてもよい。更なる実施形態では、第1及び/又は第2のメッシュスクリーンは、ナイロン及びポリプロピレンから構成されてもよい。メッシュのゲージすなわちスレッド数は、メッシュと組織のあらゆる接触により、組織処理中に組織に受け入れ難い擦過傷又は損傷を起こさないように十分であり得る。十分なゲージすなわちスレッド数は、25.4mm(1インチ)当たり約300X300スレッド、及び25.4mm(1インチ)当たり約500X500スレッドであってもよい。例えばメッシュの適切なゲージすなわちスレッド数は、25.4mm(1インチ)当たり約325X325スレッドであってもよく、又は適切なメッシュは、約43.18μm(0.0017インチ)未満の開口を含んでもよい。
【0009】
ある特定の実施形態では、第2のメッシュスクリーンは、組織処理容器の円形底部の外部側面に付けられた時又は結合された時に、組織処理容器の円形底部の外部側面に物理的に触れず又は関連しなくてもよい。すなわち第2のメッシュスクリーンは、組織処理容器の円形底部の外部側面から離間して載置されてもよい。
【0010】
一実施形態では、組織処理容器がその円形底部を平面に載置し、その頂部が上に開いている時に、頂部から底部までの高さの順に、最も高い特徴は、例えば図1Bに描かれたように、第1の壁、続いて第1のメッシュスクリーン、第1のガスケット、第2の壁、1つ又は複数のトラフ、円形底部、第2のメッシュスクリーン、及び第2のガスケットであってもよい。
【0011】
本明細書に企図した別の実施形態では、組織処理容器は、1つ又は複数の追加の組織処理容器と積層可能であってもよく、組織処理容器が積層された時、積層における容器の中央穴は整列してもよい。積層における組織処理容器の中央穴は、互いに同じ形状、例えば全てが円形形状、全てが八角形形状等々からなってもよい。このような実施形態では、第2のガスケットは、満たされている時に2つの組織処理容器の間から空気も液体も実質的に逃れることができないように、2つの間の組織処理容器の間に実質的な気密及び実質的な水密封止を形成してもよい。
【0012】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数のトラフは、具体的な実施形態では第1の壁に隣接して触れてもよい。別の実施形態では、1つ又は複数のトラフは、第2の壁に隣接して触れてもよい。更なる実施形態では、1つ又は複数のトラフは、第1の壁に触れなくてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のトラフは、半円形状であってもよい。一実施形態では、1つ又は複数のトラフは、それぞれが少なくとも1つの組織標本を収容するのに十分な大きさからなってもよい。
【0013】
一実施形態では、組織処理容器は、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン及びポリメチルペンテン、並びに同種のものの1つ若しくは複数、しかしこれに限定されないものなどの、ポリマ又はプラスチックポリマから作成されてもよい。具体的な実施形態では、組織処理容器は、ポリメチルペンテン(米国マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham)のサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)製のナルゲン(NALGENE)(登録商標)としても公知である)から作成されてもよい。組織処理容器は、別法としてガラス又はケイ酸塩から構成されてもよい。幾つかの実施形態では、組織標本は、組織処理容器の表面に実質的に接着しなくてもよい。
【0014】
ある特定の実施形態では、組織処理容器の円形底部の外部側面の内部表面は、組織処理容器が、底部がトラフの上にあるように、すなわち組織処理容器のカップが上下逆に配向されるように配向された時に、外部側面に接触する全ての液体が中央穴を通って排出するように、外径から内径に、すなわち第2の直径から第1の直径に中央穴に向かって傾斜されてもよい。
【0015】
具体的な実施形態では、第1の容量は、約100mL~500mLであってもよい。別のこのような実施形態では、第2の容量は、約1mL~20mLであってもよい。幾つかの実施形態では、第1の壁は、液体が組織処理容器に追加された時に充填基準を示すために、その中にエッチングされ又はそこに付けられた切欠きを含んでもよい。
【0016】
上記のようにある特定の実施形態では、第1の壁は、約1~5mmの厚さを有してもよい。他の実施形態では、組織処理容器は、組織処理容器の外部寸法が組織処理容器の内部寸法と異なるように、外部の第2の容器を含んでもよい。このような実施形態では、第2の容器は、例えば円形、長円形、楕円形、若しくは同種のもの、又は多角形であることが可能な、より大きい形状からなってもよい。第2の容器の形状は、ロボット器具及び自動機械による取り扱い又は把持を含む、組織処理容器の取り扱い又は把持を容易にすることがある。1つのこのような実施形態では、第2の容器は、第1の壁の高さとほぼ等しい高さを有してもよい。第2の容器は、1つ又は複数のポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン及びポリメチルペンテン、並びに同種のもの、又はガラス若しくはケイ酸塩から構成されてもよい。
【0017】
ある特定の実施形態では、第1の壁の高さは、約1cm~約10cmであってもよい。代替実施形態では、組織処理容器は、第2の直径とほぼ等しい直径を有する蓋を更に含んでもよい。
【0018】
記載された組織処理容器の更なる実施形態では、2つ以上の組織処理容器は、互いに頂部の上に積層されてもよく、少なくとも1つの組織処理容器は、底部組織処理容器であってもよく、積層におけるその他の組織処理容器の全ての下に配置されてもよく、少なくとも1つの組織処理容器は、積層におけるその他の組織処理容器の全ての上に配置された頂部の組織処理容器であってもよい。任意選択で、組織処理容器は、組織処理容器の底部の外縁部が、その同じ組織処理容器の頂部の外縁部より更に遠くに延在するように、それぞれが傾斜した外面を含んでもよく、積層した時に、組織処理容器の底部の外縁部は、すぐ隣の組織処理容器の頂部の外縁部を越えて延在する。幾つかの実施形態では、追加として底部組織処理容器の下に配置されたベース容器が存在してもよい。ベース容器は、底部組織処理容器が、1つの組織処理容器が積層した時に別の組織処理容器の中に嵌合するのと類似した手法でベース容器の中に嵌合するように、底部組織処理容器に比べて実質的に同じ内部寸法を所有してもよい。ベース容器は、ベース容器の第1の壁に取り付けられ、ベース容器の内部側面に延在する第1のノズルを更に含んでもよい。任意選択で、ベース容器の内部側面に延在する第1のノズルは、隣接した組織処理容器の中央穴に更に連結してもよい。
【0019】
このように積層された組織処理容器の実施形態では、幾つかの実施形態では、キャップ容器が、1つの組織処理容器が積層した時に別の組織処理容器の中に嵌合するのと類似した手法で頂部組織処理容器と嵌合するように、頂部組織処理容器と実質的に同じ内部寸法を所有するキャップ容器も存在してもよい。キャップ容器は、キャップ容器の第1の壁に取り付けられ、キャップ容器の内部側面に延在する第2のノズルを更に含んでもよい。任意選択で、キャップ容器の内部側面に延在する第2のノズルは、隣接した組織処理容器の中央穴に更に直接連結してもよい。前述の実施形態では、全ての組織処理容器の中央穴のそれぞれは整列されてもよく、更に実質的な気密及び実質的な水密封止は、各組織処理容器の間に形成されてもよい。幾つかの実施形態では、実質的な気密及び実質的な水密封止は、底部組織処理容器とベース容器との間に、並びにベース容器及びキャップ容器が積層内に含まれる時には、頂部組織処理容器とキャップ容器との間にも形成されてもよい。
【0020】
ある特定の実施形態では、キャップ容器及びベース容器は、それら自体が組織を処理するように構成されなくても又は使用されなくてもよい。例えば、キャップ容器及び/又はベース容器は、流体管理のために使用されてもよい。
【0021】
積層された組織処理容器の幾つかの実施形態は、キャップ容器及びベース容器も含んでもよく、第1の及び第2のノズルは、それぞれがホースに取り付けられてもよく、ホースは、そこを通る空気及び/又は液体を導いてもよい。
【0022】
他の実施形態では、使用時に積層された組織処理容器の各組織処理容器は、1つ又は複数の組織標本を含有してもよく、1つ又は複数の組織標本は、組織処理容器の第2の円形メッシュスクリーンと接触してもよく、その容器内の1つ又は複数の組織標本は組織処理容器の中に存在する。
【0023】
幾つかの実施形態では、ベース容器及びキャップ容器は同一であってもよく、それぞれは2つのノズルを所有してもよい。代替実施形態では、このようなキャップ及びベース容器は、キャップ及びベース容器の第1の壁を二等分する傾斜したディスクを更に所有してもよいので、第1のノズルは、傾斜したディスク上又はそれより上に位置付けられてもよく、第2のノズルは、キャップ及びベース容器がどのように配向されるかに依存して、一方が組織処理容器の積層の頂部上に置かれてもよく、他方が組織処理容器の積層の下に置かれてもよいような手法で、傾斜したディスクの下に位置付けられてもよく、液体及び/又は気体は、所望の場合にそれぞれのノズルを通って流れる。このような実施形態では、第1及び第2のノズルは、第1の壁内で互いに対向する側にあってもよく、底部又は頂部組織処理容器の中央穴と接触しなくてもよい。
【0024】
組織処理容器の1つ又は複数の積層を含む組織処理システムも本明細書に記載されており、各積層は、任意選択で、本明細書に記載されたようにキャップ容器及びベース容器の両方を含み、組織処理容器の1つ又は複数の積層を包み込む輸送ハウジングを更に含む。このような輸送ハウジングは、特定の組織処理ステップ(これに限定されないが、輸送ハウジングと別個のインキュベータを必要としない、正確な温度での培養など)のために所望の条件を提供するために、更に密封されてもよく及び/又は温度制御されてもよい。
【0025】
組織処理システムは、幾つかの実施形態では、積層された組織処理容器に入出する流体及び空気の流量を駆動する機械/電気ポンプ、並びに温度コントローラ、及び例えばその上に積層された組織処理容器が載置されてもよい1つ又は複数のシェーカプレートを介して、組織処理容器の振動速度を調節するための他の制御手段などの、時間依存式の様々な外部入力並びにハードウェアを制御するように適合された、プログラマブル・コントローラ・ユニットも含んでもよい。
【0026】
組織処理システムは、ハウジング自体がその内部に積層された組織処理容器の温度を制御できない限り、輸送ハウジングを収容するのに十分な大きさの区画を含むインキュベータなどの、コントローラによって制御された追加の外部ハードウェア要素を更に含んでもよい。第1及び第2のノズルの直径とほぼ等しい直径を所有する少なくとも2つのホースも、必要な流体及び気体を組織処理容器の積層に入出移動させるために、このようなシステムの一部として企図される。
【0027】
記載されたように、幾つかの実施形態では、システムは、コントローラ・ユニットによって電気制御され、少なくとも2つのホースの少なくとも一方に堅固に連結するように適合された、ホースに取り付けられた1つ又は複数の電気ポンプを含んでもよい。
【0028】
このようなシステム内のホースは、次に組織処理媒体及び組織の処理に有益な他の溶液を含む、1つ又は複数の媒体貯蔵器に取り付けられてもよい。組織処理容器からの液体及び気体の排出を容易にする目的で、少なくとも2つのホースの1つに取り付けるように適合された1つ又は複数の廃棄ユニットも、このようなシステムの一部として企図される。
【0029】
コントローラ・ユニットによって電気制御された別の企図した外部ハードウェア要素は、組織処理容器が、包囲する媒体と組織標本の接触を最大にするために所望の周波数で振動するように、ハウジングを収容するように適合された、又はハウジングの内側に嵌合するように適合された表面を含むシェーカである。
【0030】
組織を処理する方法も本明細書に提供される。本開示の1つの組織処理方法によれば、組織処理容器は、底部の内部側面が上を向くように配向される。組織標本は、組織処理容器のトラフ内に置かれてもよい。第1の組織処理媒体は、酵素、洗剤、塩溶液、又は他の液体媒体の1つ又は複数を含んでもよく、トラフに追加されてもよい。処理媒体は、組織標本がそのトラフ内に置かれる前、後、又は同時にトラフに加えられてもよい。これらのステップは、追加の組織処理容器で繰り返されてもよく、組織標本及び第1の処理媒体を含有する組織処理容器の積層が形成されてもよい。組織及び第1の組織処理媒体を含有する個々の組織処理容器、又はこのような組織処理容器の積層は、第1の期間に第1の温度で培養されてもよい。積層は、キャップ容器及びベース容器も含んでも又は含まなくてもよい。組織処理容器の媒体は、その後組織処理容器の積層を上下逆にし、それによって第1の組織処理媒体を組織処理容器から排出することによって除去されてもよい。組織処理容器の積層における組織標本は、その後すすがれ/洗浄され/浸漬され/又は別法により組織処理方法が完了するまで、第2、第3、第4、…、若しくは第nの追加の処理媒体に曝され、恐らく培養されてもよい。そうすることで、組織処理容器の積層は、ノズルを含むベース容器上に置かれてもよく、ノズルを含むキャップ容器は、組織処理容器の積層の頂部上に置かれてもよい。第2の組織処理媒体(第2の組織処理媒体は、第1の組織処理媒体の新鮮なアリコート、又はその代わりに異なる組織処理媒体を含んでもよい)は、最底部の容器のノズルを通して充填されてもよい。任意選択で、第2の組織処理媒体(又は更なる処理ステップで組織を処理するのに使用されるあらゆる追加の組織処理媒体)は、最頂部の容器のノズルを通して組織処理容器に加えられてもよい。組織処理媒体の流体面が、積層における最底部の組織処理容器の中央穴の第2の壁に達するまで、例えば最底部の容器(最底部の容器は、積層が第1の組織処理媒体を排出するために逆転されると、積層の底部上にキャップ容器が位置する)のノズルを通って充填する場合、第2の組織処理媒体は、その流体面が積層における最底部の組織処理容器の中央穴の第2の壁に接触した時に、積層における最底部の組織処理容器を充填するのを停止してもよく、積層における最底部の組織処理容器の中に注入された、又は別法により充填されたあらゆる追加の第2の組織処理媒体は、中央穴を通って出て、積層における最底部の組織処理容器の頂部上に積層された組織処理容器の中に入り、これを繰り返し、それによって第2の組織処理媒体が積層における全ての組織処理容器を充填してもよい。ある特定の実施形態では、第1の組織処理媒体は、少なくとも1つの活性酵素を含み、他の実施形態では、第1の組織処理媒体は複数の活性酵素を含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、このような方法は、第2の組織処理媒体を含む組織処理容器をインキュベータ内に置くこと、及び任意選択で組織処理容器を第2の温度(第2の温度は第1の温度と同じであっても又はなくてもよい)で第2の期間(第2の期間は第1の期間と同じ期間であっても又はなくてもよい)に培養することも含んでもよい。ある特定の実施形態では、第1の期間と第2の期間は同一でなくてもよい。他の実施形態では、組織処理容器は(インキュベータの有無に関わらず)、シェーカ上に置かれてもよい。使用した時に、シェーカは、組織処理容器内に定常波を生成するために十分な期間作動されてもよい。追加の実施形態では、組織処理容器の積層が上下逆にされた時に、組織は第2のメッシュスクリーンに接触してもよい。
【0032】
前述の方法は、追加実施形態では、組織処理容器の全てから第2の組織処理媒体を排出することなどの追加ステップを含んでもよく、第2の組織処理媒体は、中央穴を通り、キャップ容器(積層が逆転する前にキャップ容器が積層内に含まれていた場合、キャップ容器は、組織処理容器の積層の底部に据えられる)内のノズルを通って出てもよい。用語「キャップ容器」及び「ベース容器」は、相互に交換可能に使用されてもよく、どちらもその容器が組織処理容器の積層に追加された時に依存して、単一の端部の容器を指すと認識するべきである。すなわち組織処理容器が逆転する前に組織処理容器の積層の頂部上に置かれた容器は、キャップ容器と呼ばれるはずであり、組織処理容器の逆転した後は、積層の底部上にあるはずである。組織処理容器が逆転した後に組織処理容器の積層の頂部上に置かれた容器は、キャップ容器と呼ばれるはずであり、逆転した積層の頂部上にあるはずである。
【0033】
本開示の態様は、容器システムに目が向けられてもよい。容器システムは、外壁及び外壁の半径方向内方に配置された内壁を有するカップを含んでもよく、内壁の高さは、外壁の高さより低くてもよい。システムは、カップの床(本開示では「底部」とも呼ばれる)であって、床の実質的中央に穴を有する床も含んでもよく、穴は、内壁が穴を包囲するとともに外壁が内壁を包囲するように、内壁の半径方向内方に配置される。システムは、カップの床の内部側面に配置された少なくとも2つのトラフを更に含んでもよく、少なくとも2つのトラフは穴を包囲し、少なくとも2つのトラフは、床の内部側面から突出する2つ以上のトラフ壁によって画定される。
【0034】
様々な態様は、穴を覆うメッシュスクリーンと、メッシュスクリーンを内壁に対して堅固に封止するように構成されたガスケットと、内部側面と反対の床の外部側面に配置されたメッシュスクリーンと、メッシュスクリーンを床の外部側面若しくは外壁の外部側面に対して封止するように構成されたガスケットと、外壁は、外壁がカップの床から離れて延在するように半径方向外方に広がってもよいことと、床は、床が外壁から内壁に延在するように傾斜してもよいことと、床の反対のカップの端部は覆われなくてもよいことと、或いは床の実質的中央は、床の中央であってもよいことと、の1つ又は複数を更に含んでもよい。
【0035】
本開示の他の態様は、外壁によって画定された周辺を有するカップを含む容器システムに目が向けられてもよく、カップは、閉口端及び開口端、並びに外壁の半径方向内方に配置された内壁を有し、内壁の高さは、外壁の高さより低い。システムは、カップの閉口端を画定する床、及び床の実質的中央に配置された穴を更に含んでもよく、穴は、内壁が穴を包囲するとともに外壁が内壁を包囲するように、内壁の半径方向内方に配置される。システムは、カップの床の内部表面上に配置された少なくとも2つのトラフも含んでもよく、少なくとも2つのトラフは、床からカップの開口端に向かって突出する2つ以上のトラフ壁によって画定され、2つ以上のトラフ壁のそれぞれは、内壁の高さより低い高さも、穴を横切って延在する第1のメッシュスクリーン、及びカップの閉口端の外部表面に沿って延在する第2のメッシュスクリーンも有する。
【0036】
様々な態様は、第1のメッシュスクリーンを穴にわたって堅固に密封するように構成された第1のガスケット、及び第2のメッシュスクリーンをカップの閉口端に封止するように構成された第2のガスケットと、カップの床に最も近い外壁の端部は、第1の直径を画定してもよく、カップの床に最も近い内壁の端部は、第1の直径より小さい第2の直径を画定してもよく、穴は、第2の直径より小さい第3の直径を画定してもよいことと、カップの床は、第1の直径に隣接した床が、第2の直径に隣接した床よりカップの開口端から遠くに配置されるように、第2の直径から第1の直径に半径方向外方に傾斜してもよいことと、カップの開口端を取り外し可能に覆うように構成された蓋と、又は床の実質的中央は床の中央であってもよいことと、の1つ又は複数を更に含んでもよい。
【0037】
本開示の更なる態様は、第1のカップ及び第2のカップであって、第1のカップ及び第2のカップのそれぞれは、開口端及び閉口端を含む、第1のカップ及び第2のカップと、開口端から閉口端に延在し、周辺を画定する外壁と、外壁の半径方向内方に配置された内壁であって、内壁の高さは外壁の高さより低い、内壁と、床であって、床の実質的中央に穴を有し、穴は、内壁が穴を包囲するとともに外壁が内壁を包囲するように、内壁の半径方向内方に配置される、床と、カップの床の内部表面上に配置された少なくとも2つのトラフであって、少なくとも2つのトラフは、床の内部表面から突出する2つ以上のトラフ壁によって画定される、少なくとも2つのトラフとを含む、容器システムに目が向けられてもよい。更に第1のカップの閉口端は、第1のカップが第2のカップと積層可能であるように、第2のカップの開口端内に受領されるような寸法であってもよく、第1のカップの穴は、第1のカップが第2のカップと積層される時に、第2のカップの穴と整列する。
【0038】
様々な態様は、第1のカップ及び第2のカップのそれぞれは、穴にわたって延在するメッシュスクリーンを更に含んでもよいことと、第1のカップ及び第2のカップのそれぞれは、メッシュスクリーンを穴にわたって堅固に固定するガスケットを更に含んでもよいことと、第1のカップ及び第2のカップのそれぞれは、カップの閉口端の外部表面に沿って延在する第2のメッシュスクリーンを更に含んでもよいことと、第1のカップ及び第2のカップのそれぞれは、カップの閉口端の外部表面に沿って第2のメッシュスクリーンを固定する第2のガスケットを更に含んでもよいことと、第1のカップの外壁及び第2のカップの外壁は、それぞれが開口端に隣接した第2の直径より小さい、閉口端に隣接した第1の直径を画定してもよいことと、システムは、ベース容器であって、ベース容器の内部領域の中に延在する第1のノズルを有し、第1のノズルは、第1のカップの穴に流体連結するように構成される、ベース容器と、キャップ容器であって、キャップ容器の内部領域の中に延在する第2のノズルを有し、第2のノズルは、第2のカップの穴に流体連結するように構成される、キャップ容器とを更に含んでもよいことと、若しくは床の実質的中央は、床の中央であってもよいことと、の1つ又は複数を含んでもよい。
【0039】
本発明の概要は、以下の発明を実施するための形態において更に記載される内容の選択を導くために提供される。本発明の概要は、主張した主題の重要な又は必須の特徴を同定することを意図するのではなく、又は本明細書で以下により完全に記載される主張された主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0040】
本明細書では図に示されたような特定の実施形態を参照する。図は一定の縮尺で描かれておらず、図又は以下の記載の寸法へのあらゆる言及は、特定の実施形態を参照するものである。これらの寸法の変更は可能である一方で、意図した目的への完全な機能を依然として維持することが、当業者には明らかになろう。このような変更は、以下の図に表された特定の実施形態にかかわらず、本開示に特に企図され組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】組織処理容器の分解図である。
図1B】組織処理容器の側面図である。
図2A】ノズルを備えたベース容器及びキャップ容器を含む、組織処理容器の積層の側面図である。
図2B】代替実施形態のキャップ/ベース容器の斜視図である。
図3A】組織処理容器の積層を含むシステムを示す図である。
図3B】組織処理容器の積層を含むシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
定義
用語「ガスケット」は、例えばプラスチックポリマ、ゴムポリマ、樹脂、又はそれらの混合物から作成されたリング形状の物体を意味し、これは両面と堅固に係合し、その上に圧力が掛けられた時に、表面の間に実質的な気密及び/又は実質的な水密封止を作成するように作用する。
【0043】
用語「トラフ」は、本明細書に記載され、例えば図1及び図2に示されたような組織処理容器の表面に堅固に取り付けられ、組み込まれ、一体形成され、又は別法により組織処理容器の表面の一部として形成された、あらゆる寸法又は大きさの開口容器を意味する。トラフは開いており、トラフに入出する液体及び他の材料を追加又は低減することができる。
【0044】
用語「組織」は、神経組織、又は心臓、筋肉、腱、靭帯、血管、皮膚、SIS(small intestine submucosa)(小腸粘膜下組織)、臍帯、硬膜、筋膜、漿膜、骨膜、及び他の型の組織など、しかしこれに限定されない、他の型の組織を意味する。組織は、人又は動物源から獲得されてもよく、齧歯動物、ウマ科、イヌ科、ウサギ科、イノシシ科、霊長類、ヒツジ科、又は他の反芻動物、その他の派生であることが可能であるが、これに限定されない。組織は、人又は動物源から自然に入手されてもよく、又は組織は実験室で育てられてもよい。
【0045】
用語「制御ユニット」又は「コントローラ」は、例えばコントローラ若しくはマイクロコントローラ、関連したメモリ及び周辺機器を備えたプロセッサ若しくはマイクロプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array)(FPGA)、プログラマブル・ロジック・アレイ(programmable logic array)(PLA)、若しくはプログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)(PLC)、及び/又はスイッチ・アレイを含む、電力ハードウェア装置を示す。制御ユニットは、例えば1つ若しくは複数の機械ポンプ、インキュベータ、及び/若しくはテーブル・シェーカを含む、1つ又は複数の外部装置と連通するように構成される。制御ユニットは、制御ユニットと外部装置との間で連通できるように制御ユニットに(例えばプラグを入れて取り付けられ、又はブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)、若しくは他の適切な無線接続を介して無線で接続される)作動可能に接続される、これらの外部装置の作動の少なくとも一部を制御する役に立つ。制御ユニットは、概してオペレータが、組織処理容器を含むシステムを作動するために、1つ又は複数の命令セット、例えば外部装置をオンオフするタイミング、流量、振動速度、温度、及び/又は他の変数などの外部装置の速度の設定を制御ユニットに入力できるような方法でプログラム可能である。
【0046】
用語「隣接」は、本明細書で使用する場合、物理的に触れる、又は隣にある、例えば小さい空間若しくは隙間によって分離されている要素を指すために使用されてもよい。
用語「中央」は、本明細書で使用する場合、中心を意味し、用語「実質的中央」は、実質的中心を意味する。本明細書に記載された実施形態は、「中央」という用語で記載されているが、記載された各実施形態は、「実質的中央」という用語でも記載されてよいことが企図される。
【0047】
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうではないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。文法的接続語は、そうではないと書かれ又は内容から明らかでない限り、結合した節、文、語、及び同種のもののあらゆる全ての離接的並びに結合的組み合わせを表すことを意図する。従って、用語「又は」は、概して「及び/又は」などを意味すると理解されるべきである。用語「例示的」は、「理想的」より、むしろ「例」という意味で使用される。用語「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「includes(含む)」、「including(含む)」、又はそれらの他の変形は、要素の一覧を含む工程、方法、又は製品が、必ずしもそれらの要素のみを含むのではなく、このような工程、方法、物品、又は装置に明白に一覧にされていない又は固有の他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することを意図する。本開示では、そうではないと記載されない限り、例えば「約」、「実質的」及び「ほぼ」などの相対語は、記載された値の+/-10%の変化が可能であることを示すために使用される。その上、特許請求の範囲では、様々な主張された要素及び/又は特徴の値、限界、及び/又は範囲は、記載された値、限界、及び/又は範囲の+/-10%を意味する。加えて、値の範囲を述べる際に使用する用語「間」は、本明細書に記載された最小値及び最大値を含むことを意図する。
【0048】
組織処理容器
組織処理の効率を高め、その処理中に(例えば過剰に激しい攪拌、包囲する表面との接触から起きる擦過傷、処理媒体の流れが激し過ぎることに起因する損傷、組織の物理的操作若しくは過剰な操作若しくは組織上に置かれた圧力に起因する損傷、その他を通した)組織自体への望ましくない影響を最小にする又は低減するように設計され、適合された組織処理容器が提供される。組織は、人又は動物由来であってもよく、そこから自然に入手されてもよく、又は実験室で育てられてもよい。
【0049】
このような組織処理容器によって収容された様々な処理ステップは、概して洗浄すること、すすぐこと、浸漬すること、或いは別法により液体組織処理媒体、例えば1つ又は複数の酵素、洗剤、塩溶液、及び/若しくは他の所望の液体媒体に、及び/又は組織処理に使用するために適切な1つ若しくは複数の気体に組織を曝すことを含んでもよいが、これに限定されない。組織処理容器及び/又は組織処理媒体は、更に所望の温度で培養されてもよく、又は所望の温度にされてもよい。組織処理容器は、1つ若しくは複数の組織標本を、組織処理媒体及び/又は1つ若しくは複数の気体に、攪拌で例えばシェーカの使用によって曝すためにも使用されてもよい。本明細書に記載された組織処理容器は、容器が異なる量の液体を様々な方向に(底部を下に、又は底部を上に、すなわち右側を上に、又は上下逆に、その他)収容するという点で多機能である。更に組織処理容器は積層可能であるので、組織処理容器は、以下に更に詳細に説明されることを含み、1つの容器毎に1つ若しくは複数の組織標本の処理、及び容器の積層にわたる複数の組織標本の処理を、平行に又は同時に受け入れる。
【0050】
次に図1Aの例を参照すると、幾つかの実施形態では、図1Aは、組織処理容器100の実施例を示し、組織処理容器100は、このような容器を他の最新式皿型容器、器、フラスコ、又はローラボトル、及び同種のものと区別する、いくつかのすぐに同定可能な特徴及び要素を含む。つまり図1Aに示されたような組織処理容器100は、右側が上の方向に配向されてもよく、組織処理容器100の円形底部101を横切る中央穴106が存在してもよく、組織処理容器100の頂部が開いていてもよいことが容易にわかる。円形底部101は、内部側面102及び外部側面103を所有する。円形底部101、内部側面102、又は外部側面103は、幾つかの態様では、実質的に円形であってもよい。中央穴106は、処理ステップ中に組織、細胞、及び移植片を処理するために組織処理容器100を使用する方法で、空気及び液体がそれを通過できるように機能する。中央穴106は、図1Aに描かれたような円形形態からなる必要はなく、長円形、楕円形又は多角形などの別の構成からなってもよい。更に円形底部101及び中央穴106は、同じ形状であってもよく、又は互いに異なる形状であってもよい。
【0051】
組織処理容器100は、幾つかの実施形態では、ポリマ又はプラスチックから構成されてもよい。一実施形態では、組織処理容器100は、1つ又は複数のポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、ポリスルホン、及びポリメチルペンテン並びに同種のものから作成される。別の実施形態では、組織処理容器100は、ポリメチルペンテンから作成される。組織処理容器100はまた、ガラス又はケイ酸塩から構成されてもよい。組織処理容器100は、本開示の範囲内のあらゆる材料から構成されてもよいことが認識されよう。
【0052】
組織処理容器100は、容器が第1の容量の液体を保持し得るように、容器を包囲する第1の高さを所有する第1の壁104も所有する。容器に保持された第1の容量の液体は、約100mL~約500mLであってもよい。一実施形態では、第1の容量は、約150mL~約450mLであってもよい。別の実施形態では、第1の容量は、約200mL~約400mL、又は約250mL~約350mL、又は約275mL~約300mLであってもよい。具体的な実施形態では、第1の容量は約275mLである。組織処理容器の大きさ及びその特徴は、上に画定された容量より多い又は少ない液体の容量の収容をもたらすように、増減されてもよいことが認識されよう。
【0053】
図1Aに示された配向で描かれたような組織処理容器100の上の領域は、開いていてもよい。換言すると、図1Aに描かれたような組織処理容器100の頂部上に蓋がなくてもよい。一実施形態では、蓋は、内部側面102が開いているのではなく、その代わりに蓋によって封止されるように、第1の壁104の頂部上に着座されてもよい。一実施形態では、任意選択の蓋は、組織処理容器100の頂部上に置かれた時に、空気及び/又は液体に実質的に透過性である封止が形成され得るように、組織処理容器100と実質的に同じ直径を所有してもよい。
【0054】
組織処理容器100の第1の壁104は、幾つかの実施形態では、円形底部101に垂直又はほぼ垂直である。他の実施形態では、第1の壁104は、組織処理容器100の底部から頂部に傾斜し又は外方に広がってもよい。すなわち幾つかの実施形態では、第1の壁104の頂縁部によって画定された直径は、第1の壁104が円形底部101に取り付けられた組織処理容器100の底部における第1の壁104の直径より、頂部における方が大きくてもよい。別の実施形態では、第1の壁104は、丸みを帯びた壁を有する側面から見た際にボール形状を形成するように、第1の壁104が円形底部101に取り付けられた場所から上方及び外方に延在してもよい。
【0055】
一実施形態では、組織処理容器100は、ある特定の時に液体媒体を含有することを意図することがあるので、組織処理容器100は、1つ又は複数の充填基準線112も所有してもよい。充填基準線は、水平及び/又は垂直であってもよい。一実施形態では、単一の充填基準線112が存在してもよいが、他の実施形態では、目標充填基準を超す、満たない、及び丁度であることを示す複数の充填基準線112が存在してもよい。1つ又は複数の充填基準線112は、オペレータ又は走査器具から見た時に、組織処理容器100が処理中、例えば充填ステップ中、組織を組織処理媒体に曝している間などに、液体媒体を適切に充填されているかどうかを容易に決定できる限り、あらゆる配向、大きさ、若しくは形状の第1の壁104内又は上に提供されてもよい。組織処理容器が所望の量の組織処理媒体を含有しない場合、組織処理容器は、容器が適切に充填されていない、積層が適切に組み立てられていなかった、充填線への連結に問題がある、実質的な水密封止が、組織処理容器の積層内に適切に維持されていなかった、壊れたシール若しくはガスケット、又は他の問題が存在することを示すことがあるので、調節により組織の所望の処理を可能にし得る。
【0056】
幾つかの実施形態では、図1Aに描かれたような中央穴106は、第1の壁104の第1の高さより低い第2の高さを有する、第2の壁107によって画定されてもよい。本明細書に説明された様々な特徴の相対高さは、図1Bの側面図に描かれている。
【0057】
組織処理容器の内部側面102上の第1のメッシュスクリーン108が、開いている組織処理容器100の側面、すなわち組織処理容器100が図1Aに示された配向で置かれた時に側面は開いている、側面上で中央穴106に取り付けられる。第1のメッシュスクリーン108は、例えば金属若しくはプラスチックポリマ若しくは樹脂又はそれらの組み合わせから作成されてもよく、中央穴106の開口を完全に包み込むキャップ構造を形成するように任意選択で穴の頂部にわたって延在し、すなわち第2の壁107の少なくとも一部に沿って延在する。一実施形態では、第1のメッシュスクリーン108は、金属から構成されてもよい。金属は、一実施形態では、ステンレス鋼又は1つ若しくは複数の型の金属を含む他の合金であってもよい。別の実施形態では、第1のメッシュスクリーン108は、アルミニウムなどの純金属から構成されてもよい。金属は、幾つかの実施形態では、メッシュスクリーンに組織標本が突き刺さるのを低減する又は最小にするように被覆されてもよい。メッシュのゲージすなわちスレッド数は、メッシュと組織のいかなる接触も、組織処理中に組織に受け入れ難い擦過傷又は損傷をもたらさないように、十分であり得る。別の実施形態では、第1のメッシュスクリーン108は、1つ若しくは複数のプラスチックポリマから作成されてもよい。具体的な実施形態では、第1のメッシュスクリーン108は、ポリアミド、又は別法によりポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)(PET)、ポリプロピレン(polypropylene)(PP)、ポリカーボネート(polycarbonate)(PC)及び同種のもの、若しくはそれらの混合物の1つ又は複数から選択されたポリマから作成される。具体的な実施形態では、第1のメッシュスクリーン108は、ポリアミドから作成される。更なる実施形態では、第1のメッシュスクリーンは、ナイロン及び/又はポリプロピレンメッシュから構成される。
【0058】
幾つかの実施形態では、第1のガスケット109は、第1のメッシュスクリーン108を包囲し、それに堅固に取り付けられる。第1のガスケット109は、第1のメッシュスクリーン108を第2の壁107に対して堅固に封止する機能をする。幾つかの実施形態では、第1のガスケット109は、エラストマ若しくは他のゴムポリマ又はそれらの混合物から構成される。
【0059】
1つ又は複数のトラフ105は、円形底部101の内部側面102上に配列される。一実施形態では、円形底部101の内部側面102に配列され、堅固に取り付けられ、組み込まれ、又は別法により内部側面102の一部として形成された、少なくとも2つのトラフ105が存在する。1つ又は複数のトラフ105は、円形底部101に対して、必ずしも垂直でなくてもよいが、ほぼ垂直な角度で上昇する1つ又は複数の壁によって画定されてもよい。図1Aに描かれたように、1つ又は複数のトラフ105は半円形状であるが、他の実施形態では、1つ又は複数のトラフ105は半円ではなく、その代わりに長方形、正方形、円形、三角形、又はあらゆる他の幾何形状である。一実施形態では、1つ又は複数のトラフ105は、1つ又は複数のトラフ105が、中央穴106と共通壁、すなわち第2の壁107を所有するように、中央穴106に隣接して配置されてもよい。別の実施形態では、1つ又は複数のトラフ105は、1つ又は複数のトラフ105を画定する1つ又は複数の壁が、第1の壁104と共有され、又は第1の壁104によって画定されるように、第1の壁104と直接接触してもよい。別の実施形態では、1つ又は複数のトラフ105は、あらゆる手法で第2の壁107と第1の壁104のいずれにも触れない、延在しない、又は一致しない、それら自体の個々の壁を所有してもよい。一実施形態では、組織処理容器100は、円形底部101の内部側面102に付けた唯一のトラフを所有する。1つ又は複数のトラフを検討するために本明細書で使用する場合、付けられたは、1つ又は複数の別個の特徴を互いに接合された、一体形成された、組み込まれた、又は同種のものを含んでもよいので、付けられたは、全てのこのような構成を含むことができることは明らかである。別の実施形態では、組織処理容器100は、円形底部101の内部側面102に付けられた少なくとも2つのトラフを所有してもよい。更なる実施形態では、組織処理容器100は、円形底部101の内部側面102に付けられた、組み込まれた、若しくは別法により内部側面102の一部として形成された少なくとも3つ又は4つのトラフを所有してもよい。
【0060】
1つ又は複数のトラフ105は、それぞれが1つ又は複数の組織標本113を収容してもよい。概して、1つ又は複数のトラフ105は、約1mL~20mLの液体容量も収容してもよい。例えば一実施形態では、各トラフ105は、約2.5mL~17.5mL、又は約5mL~15mL、又は約7.5mL~12.5mL、又は約10mL~12.5mLの液体容量を収容してもよい。いずれのトラフの容量も、組織処理容器の大きさ及びその特徴に依存して、並びに組織処理容器内に存在するトラフの数に依存して、前述の容量より多いことも又は少ないことも可能であることも、再び認識されよう。幾つかの実施形態では、組織処理容器100内に含まれた各トラフ105は、同じ形状及び大きさであってもよい一方で、他の実施形態では、1つ又は複数のトラフ105は、異なる形状及び/又は大きさを有してもよい。
【0061】
任意選択で結合された第2のメッシュスクリーン110は、組織処理容器100の円形底部101の外部側面103に取り付けられる。一実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、例えば金属又はプラスチックポリマ又は樹脂から作成されてもよい。一実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、金属から構成されてもよい。別の実施形態では、金属は、ステンレス鋼又は1つ若しくは複数の型の金属を含む他の合金であってもよい。別の実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、アルミニウムなどの純金属から構成されてもよい。金属は、幾つかの実施形態では、メッシュスクリーンに組織標本が突き刺さるのを低減する又は最小にするように被覆されてもよい。別の実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、1つ又は複数のプラスチックポリマから作成されてもよい。具体的な実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、ポリアミド、若しくは別法によりポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)(PET)、ポリプロピレン(polypropylene)(PP)、ポリカーボネート(polycarbonate)(PC)及び同種のもの、若しくはそれらの混合物の1つ又は複数から選択されたポリマから作成されてもよい。具体的な実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、ポリアミドから作成される。更なる実施形態では、第1のメッシュスクリーンは、ナイロン及びポリプロピレンメッシュから構成される。あらゆる実施形態で、第1及び第2のメッシュスクリーンは、同じ材料又は異なる材料から構成されてもよい。メッシュのゲージすなわちスレッド数は、メッシュと組織のいかなる接触も、組織処理中に組織に受け入れ難い擦過傷又は損傷をもたらさないように十分であるべきである。
【0062】
幾つかの実施形態では、第2のガスケット111は、第2のメッシュスクリーン110を包囲してもよい。第2のガスケット111は、第2のメッシュスクリーン110を円形底部101の外部側面103に対して封止するように機能してもよい。第2のガスケット111は、幾つかの実施形態では、エラストマ若しくは他のゴムポリマ又はそれらの混合物から構成されてもよい。一実施形態では、第2のガスケット111は、円形底部101の外部側面103を包囲してもよく、第1の壁104とその全内周に沿って完全に直接接触してもよい。このような実施形態では、第2のガスケット111は、第1の壁104の外側に取り付けられてもよい。別の実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、円形底部101の外部側面103に対して着座してもよい。従って幾つかの実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、円形底部101とほぼ同一の直径を所有してもよく、他の実施形態では、第2のメッシュスクリーン110は、円形底部101より大きい直径を所有してもよい。別の実施形態では、第2のガスケット111は、第2のメッシュスクリーン110の全外周及び縁部を完全に包囲してもよく、第2のメッシュスクリーン110の全外周及び縁部と接触してもよい。あらゆる実施形態で、第1のガスケット及び第2のガスケットは、同じ材料又は異なる材料から構成されてもよい。
【0063】
代替実施形態では、第2のメッシュスクリーン110に向かって下方に延在する1つ又は複数の支柱114は、円形底部101の外部側面103に付けられてもよい。1つ又は複数の支柱114は、幾つかの実施形態では、組織処理容器100と同じ材料から構成されてもよい。1つ又は複数の支柱114は、第2のメッシュスクリーン110が、外部側面103上で中央穴106と触れない又は接触することがないことを確保するように機能してもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の支柱114は、中央穴106の直径より小さい直径を有する円形形状であってもよい。一実施形態では、組織処理容器100は、少なくとも2つの支柱114を所有してもよい。別の実施形態では、組織処理容器100は、少なくとも3つの支柱114を所有してもよい。更なる実施形態では、組織処理容器100は、少なくとも4つの支柱114を所有してもよい。1つ又は複数の支柱114は、必ずしも円形底部101に垂直でなくてもよいが、幾つかの実施形態では、垂直であってもよい。他の実施形態では、1つ又は複数の支柱114は、第1の壁104に向かって、又は円形中央穴106に向かって内方に傾斜してもよい。1つ又は複数の支柱114は、幾つかの実施形態では、組織処理容器100の底部を丁度越えて延在するのに十分な長さであってもよく、他の実施形態では、その上に組織処理容器100が図1Aにおいて載置している表面に触れるのに十分な長さであるに過ぎない。
【0064】
一実施形態では、円形底部101は平坦又は完全に水平でなくてもよい。すなわち幾つかの実施形態では、円形底部101は、中央円形穴106における円形底部101の高さが、円形底部101の外側縁部又は周囲における円形底部101の高さより高くてもよいようなピッチ又は逆円錐形状を所有してもよい。(図1B参照)。すなわちこの実施形態では、円形底部101の外部側面は、組織処理容器100が図1Aに描かれたのと反対方向に配向された時、すなわち上下逆の配向、又はこのような円形底部101が1つ若しくは複数のトラフ105の下であるY面に180度裏返された時に、外部側面に接触する液体が、中央穴を通って排出するように、外径から中心の中央穴106に向かって内径に傾斜してもよい。
【0065】
組織処理容器100の更なる実施形態では、内部側面102上で円形底部101のほぼ直径に沿って円形底部101を二等分する第3の壁が存在する。このような実施形態では、第3の壁は、円形中央穴106を通って延在しなくてもよく、その代わりに中央穴106から円形底部101の内部側面102に沿って第1の壁104に外方に延在するだけでもよい。このような実施形態では、第3の壁は、第2の高さ、すなわち第2の壁107の高さ以下の高さを有してもよく、1つ又は複数のトラフ105を画定する壁の1つとして形成し又は機能してもよい。
【0066】
更なる実施形態では、組織処理容器100は、外部の第2の容器を含んでもよい。第2の容器の目的は、例えば把持可能な形状及び/又は把持柄又は自動処理に使用するロボットのための台、又は積層の安定性、色分け、ラベル付け、若しくは別法により特定の組織処理容器の素早い同定の支援などの他の機能性を提供することであってもよい。このようにして、第2の容器は、あらゆる形状、例えば円形、長円形、楕円形若しくは同種のもの、又は多角形であってもよく、内部容器100に比べて同じ形状又は異なる形状であってもよい。第2の容器は、任意選択で第1の壁の高さとほぼ等しい高さを有する。任意選択で、第2の容器は、内部容器100と同じ材料から作成される。別の実施形態では、第2の容器は、第1の壁の高さより高い又は低い高さからなってもよい。
【0067】
このような組織処理容器は、1つ又は複数のトラフ105が、1つ又は複数の組織標本113を含有するのに適切であり得るという点で有益であることがある。
積層された組織処理容器
本明細書に記載された型の組織処理容器は、積層200を形成するために一方を他方の頂部上に積層するように設計されてもよい。(逆の配向で示された図2A参照)。組織処理容器を積層する時に、第2のメッシュスクリーン210及び/又は第2のガスケット211は、組織処理容器の頂部上に置かれてもよく、図1Aに示された位置に配向されてもよい別の組織処理容器100は、第2のメッシュスクリーン210及び/又は第2のガスケット211の頂部上に置かれてもよい。この工程は、組織処理容器の所望の大きさの積層が、第2のメッシュスクリーン210、第2のガスケット211、及び組織処理容器100で形成されるまで反復されてもよい。組織処理容器の積層が完了すると、積層は図2Aに示されたように逆転してもよい。逆転した積層200では、各組織処理容器100の中央穴206は、図2Aに描かれたように直線状に互いに整列する。
【0068】
先に述べたように一実施形態では、組織処理容器100の第1の壁204の外径は、底部より頂部において大きく、それによって第1の壁204を中央穴206から外方に頂部から底部に外方への広がりを生成してもよい。この実施形態では、第1の壁204を広げることにより、最底部の組織処理容器100の頂部上に置かれた容器の底部が、最底部の組織処理容器の頂部の中にぴたりと嵌合するように積層を容易にし、積層200全体を通して繰り返す。
【0069】
幾つかの実施形態では、第2のガスケット211は、隣接した組織処理容器が積層されて圧縮される時(例えば隣接した組織処理容器を一緒に圧縮するために圧力が掛けられる)、2つの隣接した組織処理容器100の間に実質的な気密及び実質的な水密封止を形成できることがある。第2のガスケット211は、幾つかの実施形態では、図2Aに配向されたように、組織処理容器100の円形底部201と上の組織処理容器100の第1の壁204の頂縁部との間に掛けられる圧力によって、実質的な気密及び実質的な水密封止が可能であることがある。別の実施形態では、上に記載されたように、第2のガスケット204は、包囲する円形底部201にぴたりと嵌合してもよく、積層200がまず形成されると、その下の組織処理容器100の第1の壁204の内部表面のみに触れてもよく、それによって1つの組織処理容器の第1の壁204の内部表面と、別の組織処理容器100の円形底部201の外縁部との間に実質的な水密及び/又は気密封止を形成し、前記第2のガスケット211はその間に挟まれる。
【0070】
図2Aの例も参照すると、幾つかの実施形態では、組織処理容器の積層も、組織処理容器の積層との積層を容易にするように、実質的に同じ内部寸法のキャップ容器215及びベース容器214を含んでもよい。例えば図2Aに示されたような組織処理容器の積層の各組織処理容器は逆転している(例えば図1Bに対して逆である)。図2Aに描かれたように、キャップ容器215及びベース容器214のそれぞれは、キャップ容器215及びベース容器214のそれぞれの外壁を通って横切る、少なくとも1つのノズル216及び217のそれぞれを所有してもよい。ノズルは、キャップ容器215及びベース容器214の外側からキャップ容器215及びベース容器214の内部空間に管状チャネルを生成し、管状チャネルは、液体媒体又は気体がそれを通過して、隣接した組織処理容器の中に入り、その組織処理容器の中央穴を通ることを可能にすることがある。幾つかの実施形態では、キャップ容器215及びベース容器214のそれぞれは、開口内部空間を含んでもよく、キャップ容器215及びベース容器214のそれぞれの内部の開口内部空間を通って、液体及び/又は気体は、ノズル及び外部液体/気体源に連結されたホースを通って輸送されてもよく、外部液体/気体源は次いで底部(元はキャップ)容器の開口空間の中に輸送され、次いでそれらの中央穴を通って積層における組織処理容器のそれぞれに進む。このような実施形態では、液体(若しくは場合によって気体であってもよく、これに限定されないが、組織処理媒体を含む)の源に直接的又は間接的に連結された管又はホースは、幾つかの実施形態では、積層200の外側でノズルに堅固に取り付けられてもよく、液体が例えばそれを通って流れる時は、液体は積層の外側からノズルを通って積層の内側に、ベース容器214の場合は、積層200内の最底部の組織処理容器100の中央穴206を通って上に導かれる。逆にキャップ容器のノズル216は、同様にキャップ容器215の外壁を横切り、キャップ容器215内の管に進み、積層200内の最頂部の組織処理容器100の中心の中央穴206の真上の位置に進んでもよい。この手法で、例えば最頂部の容器100の中に導かれた液体は、最頂部の容器の中心の中央穴206を通って進み、次いでキャップ容器215内の管を通り、その後ノズル216を介して積層200から出てもよい。幾つかの実施形態では、キャップ容器215及びベース容器214は、任意選択で積層された組織処理容器200に追加された後、図2Aに示された配向に積層200を傾斜してもよい。すなわちキャップ容器215及びベース容器214は、積層に追加される前後に組織処理容器の積層を逆転してもよい。
【0071】
キャップ容器215及びベース容器214の代替実施形態が、図2Bに提供されている。同じキャップ/ベース要素が積層の頂部及び底部の両方に使用されることが、図2Bに描かれた、組み合わせたキャップ/ベース容器から容易に推測することができる。
【0072】
このようにして組織処理容器100が、積層200を形成するために互いの頂部上に積層され、次いで逆転され、キャップ容器215及びベース容器214が積層200の頂部及び底部のそれぞれに追加されると、実質的な気密及び実質的な水密封止が、各組織処理容器100の間に介在する第2のメッシュスクリーン210及び第2のガスケット211に掛けられた圧力に起因して形成され、最頂部及び最底部の組織処理容器とキャップ/ベース容器との間に直接形成されてもよい。更にこのような構成では、ベース容器214内のノズル217を通って供給された液体は、中央穴206を通って最底部の組織処理容器100をまず充填する。液面は、最底部の容器内で徐々に上昇し、一実施形態では、中央穴206を包囲する第2の壁207の最頂縁部にまず接触する。
【0073】
上記のように一実施形態では、円形底部201は平坦ではなくてもよい。この実施形態では、図2Aに描かれた配向の第2の壁207の最頂縁部は、液体が組織処理容器100の内側で上昇する際に、液体に接触した第1の内部側面要素であるはずである。そうすることで、エアポケットが組織処理容器100の頂部で組織処理容器100内の最終液面の上に形成されるので、円形底部201の内部側面202は円形中央穴206を通って供給された液体に触れない。この実施形態では、こうして形成されたエアポケットは、様々な組織処理ステップの間(組織処理容器の積層200が下により詳細に説明されるように、シェーカの使用によって振られる時など)に液体の混合を高め又は最大にし、組織を液体に曝す目的に役立つことがある。
【0074】
更に2つ以上の組織処理容器100が互いの頂部上に積層された時に、液体及び/又は組織213が1つ又は複数のトラフ205内に存在する場合、積層200が逆転されると、1つ又は複数のトラフ105内に存在する液体及び/又は組織213は、第2のメッシュスクリーン210と接触することになる。1つ又は複数のトラフ205内に存在していた液体は、その後第2のメッシュスクリーン210を通過し、下の組織処理容器100の円形中央穴206を通る。1つ又は複数のトラフ205によって先に含有されていた液体のこの流れは、ノズル217に到達して積層200から出るまで引き続き積層を通る。その一方で、各組織処理容器100内の組織標本213は、その下のメッシュスクリーン210上に載置する。
【0075】
こうして一実施形態では、組織処理容器100は、組織113又は213を突き刺さない、又は結び付けない、又は接着しない材料から構成されてもよい。更に第1のメッシュスクリーン208及び第2のメッシュスクリーン210は、組織113又は213を突き刺さない、又は結び付けない、又は接着しない材料から構成されてもよい。ある特定の実施形態では、組織処理容器100の1つ又は複数の構成要素は、1つ又は複数の追加の化学薬品、ポリマ、生物材料、緩衝材、又は組織処理容器のこのような構成要素と接触する時に組織への悪影響を低減し又は最小にする他の物質で更に被覆されてもよい。具体的な実施形態では、組織処理容器100はガラスから作成される。
【0076】
別の実施形態では、組織処理容器100の第1の壁204のそれぞれは、実質的な気密及び実質的な水密封止が、底部上の1つの組織処理容器100の第1の壁204の外部表面と、積層200内でその上に載置する別の組織処理容器100の第1の壁204の内部表面との間に堅固に若しくはぴたりと嵌合する、第2のガスケット211によって積層200内の各組織処理容器100の間に形成されるように、図2Aに示されたように配向された時に、下の組織処理容器100の円形底部201の外周と重なり合う、リップ又はスカート拡張材料を更に所有する。第1の壁204の前記スカート又はリップ材料が役目を果たすことがある追加機能は、積層200の安定性を増加させる。積層200内の各組織処理容器100の円形底部201にわたって延在する前述した第1の壁204の拡張材料は、積層200全体に追加の機械的安定性を提供することがあり、これは時には、積層を傾斜すること若しくは逆転すること、積層を動かすこと、及び/又はシェーカを用いて積層200を攪拌すること及び同種のものなどの処理ステップの間に、各組織処理容器100の間に実質的な気密及び実質的な水密封止を維持するのに役立つことがある。
【0077】
組織処理容器を含むシステム
例えば図3A及び図3Bに示されたような、及び別法により本明細書に記載されたような組織処理容器100を含む、組織を処理するためのシステム300が本明細書に更に企図される。企図されたシステムは、1つ又は複数の積層200を形成する2つ以上の組織処理容器100を含むが、これに限定されない様々な構成要素を含み、任意選択で各積層200は、図1Bに示されたようなキャップ容器315及びベース容器314、並びに1つ又は複数の積層200を包み込む輸送ハウジング301を更に含む。輸送ハウジング301は、1つ又は複数の積層200を包み込むために十分な寸法からなる。輸送ハウジング301は、1つ又は複数の積層200を第1の場所から第2の場所に、任意選択で所望の処理中に安全に輸送するための保護の役割を果たすことがあり、従って積層された組織処理容器用の持ち運びケースとして作用することがある。幾つかの実施形態では、輸送ハウジングは、それが収納する組織処理容器の各積層のためのスタビライザシュラウドも含む。このようなスタビライザシュラウドは、組織処理容器の各積層の安定性を維持するため、並びに積層の偶発的分解を避け、各積層の組織処理容器のキャップ容器とベース容器との間の実質的な気密及び実質的な水密封止が壊れるのを避けるように、それぞれが輸送ハウジングの中にぴたりと嵌合することを確保するために使用される。輸送ハウジングは、組織処理容器の1つ又は複数の積層を閉囲する及び/又は封止するためのカバーを更に含んでもよい。
【0078】
幾つかの実施形態では、輸送ハウジング301は、インキュベータ302の内側に嵌合する。他の実施形態では、1つ又は複数の積層200は、インキュベータ302の中に直接置かれ、例えば処理ステップ及び処理される組織に依存して輸送ハウジング301は必要ない。別の実施形態では、輸送ハウジング301は、任意選択で組織処理のあらゆる特定の段階に必要な適切な気体を制御して維持する役に立つ、空気調整器を具備する。このような気体成分は、酸素、窒素、二酸化炭素、及び/若しくはアルゴン又は他の不活性ガス、並びに処理中に組織の適切な湿度基準を維持するための空気中の湿気(水)を含むが、これに限定されない。別の実施形態では、インキュベータ302は、このような気体及び湿度制御装置を備えて具備する。
【0079】
一実施形態では、インキュベータ302は、振動シェーカ器具306の頂部上に載置してもよい。振動シェーカは特に限定されず、多数市販されている。しかしある特定の実施形態では、インキュベータ302、輸送ハウジング301、及びシェーカ306は、中央処理ユニット又はコントローラ305によって全てが制御可能であり得る。別の実施形態では、1つ又は複数の組織処理容器の積層200は、インキュベータ302の内側に存在するシェーカ306の上に直接置かれてもよい。組織処理容器100の内側の組織が、適切な大気条件、温度、及び組織の特定の処理に必要な混合に曝される限り、システム構成のあらゆる数のこのような変化が可能である。
【0080】
組織処理媒体への組織の露出を通して達成するために、組織処理容器100は、この目標を達成する速度で振動され、又は振られてもよいことに留意されるべきである。驚くべきことに、液面線の上にエアポケットを含む、本明細書に記載されたように組織処理容器100を設計することにより、及び所望の周波数で容器を振動し又は振ることにより、混合の定常波は、生物材料の完璧で再生可能な処理が達成されるように、組織処理容器内に確立され得ることが発見された。任意選択で、シェーカ306は、市販の実験室シェーカに標準的な揺動/振動機能に加えて、傾斜機能又は傾斜可能な機能を含んでもよい。更に任意選択で、組織処理の積層200は、完璧な混合及び液体媒体への組織の露出を達成するために特定の周波数で傾斜もされてもよい。
【0081】
図3Aに示されたように幾つかの実施形態では、システムは、流体の進入並びに廃棄物及び空気の廃棄物容器307への排出を提供する、様々な管/ホース303も含んでもよい。ホースは、液体の組織処理容器100への入出を導くために、チャネルを提供する目的でノズル317及び316に取り付けてもよい。1つ又は複数の電気/機械溶液ポンプ304も、本明細書に記載されたシステムによって提供される。溶液ポンプは、ホース303内に圧力を生成する機能をすることがあり、それによってノズル317及び316を経由して組織処理の積層200への流体媒体溶液の入出を達成する。ポンプ304は、任意選択で制御可能であり、上に記載されたその他のハードウェア要素と同様にコントローラ・ユニット305にリンクできる。
【0082】
記載されたシステムの幾つかの実施形態では、組織処理容器100内の組織標本の処理(例えば洗浄、すすぎ、浸漬、培養、その他)に使用するために、1つ若しくは複数の組織処理媒体を含む、1つ又は複数の媒体貯蔵器301が更に提供される。
【0083】
追加として、電気的に、又はWi-Fi(登録商標)、インターネット、その他などの電気信号により、上に記載された様々なハードウェア要素、すなわちインキュベータ302、1つ若しくは複数のポンプ304、シェーカ306、ハウジング301及び同種のものにリンクできる、1つ又は複数のプログラマブル・コントローラ・ユニット305が提供され得る。リンク接続により、プログラマブル・コントローラ・ユニット305が組織処理容器内で各生物組織、細胞又は移植片に対して処理プロトコルを自動化することができる。幾つかの実施形態では、プログラマブル・コントローラ・ユニットは、ユーザインタフェース、プログラマブル・メモリ、コンピューティング・チップ、並びに各ハードウェア構成要素の開始/停止機能だけでなく、温度、振動周波数、ピッチ若しくは傾斜、ポンプ速度及び同種のものなどの各ハードウェア構成要素に特異的な他の変数も制御する、ソフトウェア・プログラムを稼働するために必要な他のコンピュータ構成要素を設けてもよい。このような手法で、記載されたシステムは、組織処理容器内で組織標本を処理するために、オペレータに変数の1つ又は複数、例えば全てをプログラマブル・コントローラ・ユニットに自由にプログラムさせ得る。このような自動化機能は、時間及び材料を節約し、組織を処理する結果を高め、処理の均一性及び再生性、その他の効率を含む、様々な利益を提供することがある。
【0084】
組織処理容器の使用方法
本明細書に記載された組織処理容器は、異なる組織処理プロトコルに有益であることがある。上に記載されたシステム、例えば自動システムは、あらゆる所望の組織処理ステップの必要性を満たすためにカスタマイズできることがある。このような方法を更に説明するために、非限定的な例示的実施形態が、例示目的で以下に提供される。
【0085】
一実施形態では、本明細書に記載された組織処理容器は、神経組織の処理に利用されてもよい。このような方法では、本明細書に記載されたような空の組織処理容器は、底部の内部側面が上方を向いているように配向されてもよい。任意選択で、組織処理容器は、ベース容器の頂部上に置かれてもよい。創傷清拭された神経組織標本は、組織処理容器の各トラフの中に置かれてもよく、第1の組織処理媒体も、組織標本を含有する各トラフに追加されてもよい。別法として、第1の組織処理媒体は、組織標本が同じトラフ内に置かれることがある時の前、又は同時にトラフに追加されてもよい。一実施形態では、第1の組織処理媒体は、1つ又は複数の活性酵素を含んでもよい。
【0086】
第1の液体媒体は、例えば校正されたピペットを使用して手動で追加されてもよい。別法として、組織標本及び第1の組織処理媒体の1つ又は複数の追加は、例えば組織標本及び/又は組織処理媒体を所望のトラフに再生可能な手法で送達するためにプログラムされた機械を通して自動化されてもよい。
【0087】
これらのステップのあらゆる部分は、組織標本及び組織処理媒体を含有する所望の数の組織処理容器を提供するために、所望に応じて組織処理容器及び組織標本の追加が反復されてもよい。追加の組織処理容器は、任意選択で積層されてもよい。追加の処理容器のそれぞれが組織標本及び組織処理媒体を受領した後に、互いの頂部上に積層されるように積層が起きてもよく、又は組織処理容器は、組織処理容器が組織標本及び組織処理媒体の1つ又は複数を受領する前に積層に追加されてもよく、組織標本及び/又は組織処理媒体が、次いでそれに追加されてもよく、別の組織処理容器がその上に追加されてもよく、所望の積層の大きさが達成されるまで繰り返されてもよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、組織処理容器の積層を進める時、キャップ容器及びベース容器が、積層に更に追加されてもよい。スクリーン及びガスケットは、積層を含む各容器の間の積層内に含まれてもよい。前述の工程は、所望の数の積層が達成されるまで反復されてもよく、次いで1つ又は複数の積層(例えば3つの積層)は、移動ハウジングの中に置かれ、その中に封止されてもよい。組織処理容器の積層を含有する移動ハウジングは、インキュベータの内側に手動で、又は例えばロボットアームを介して(若しくは移動ハウジングがそのように具備された場合は、容器を培養するためにそれ自体が使用されてもよい)第1の期間に所望の第1の温度で置かれてもよい。例えば第1の組織処理媒体が酵素である場合、組織処理容器の積層を含有する移動ハウジングは、その特定の酵素に対して最適な培養温度で培養されてもよい。このような温度及びそれぞれとの培養の期間は、使用されることがある各酵素に対して当業者は容易に知得し又は識別できる。この同じ培養工程は、積層されていない、及び/又は積層されているが移動ハウジングの内側に置かれていない組織処理容器に使用されてもよい。
【0089】
第1の期間が完了すると、組織処理容器がまだ積層されていない場合に、それぞれは、所望の積層の大きさが達成するまで、上に記載されたように一方の頂部上に他方が積層されてもよい。幾つかの実施形態では、組織処理容器の積層にベース容器及びキャップ容器が追加されるが、上に指摘したように、ベース容器及びキャップ容器は、積層の一部として、積層の形成中に追加されてもよい。一実施形態では、組織処理容器は、積層する前に第1のメッシュスクリーン及び第2のメッシュスクリーンの両方、並びに第1のガスケット及び第2のガスケットをすでに含んでいてもよい。他の実施形態では、組織処理容器は、第1のメッシュスクリーン及び第1のガスケットのみを含んでもよく、第2のメッシュスクリーン及び第2のガスケットは、組織処理容器を積層する直前に追加されてもよく、順に組織処理容器、第2のガスケット、次いで第2のメッシュスクリーンを追加し(この順番は幾つかの実施形態では逆にすることができる)、続いて第2の組織処理容器を追加する。これらの3つの構成要素を追加するこの工程は、次いで所望の積層数が達成するまで反復されてもよい。
【0090】
積層された組織処理容器が第1の培養期間を完了した後に、輸送ハウジング(又は個々の積層)は、第1の組織処理媒体が組織標本から離れて排出され、組織処理容器から出ることができるように逆転されてもよい。第1の組織処理媒体は、次いでキャップ容器(キャップ容器は今は積層の底部にある)内のノズルを通って出て、1つ又は複数の廃棄物受容器に出てもよい。
【0091】
幾つかの実施形態では、積層された組織処理容器及び/又は輸送ハウジングは、次いでインキュベータに戻されてもよく、又は組織処理プロトコルに依存して、組織工程の次の段階は、インキュベータを使用することなく実施されてもよい。次のステップがインキュベータを使用して進む場合、処理容器及び/又は処理容器を含有する輸送ハウジングをインキュベータに戻す前又は後に、インキュベータの温度は、次の培養期間に第2の所望の温度に調節されてもよい。幾つかの実施形態では、キャップ容器及びベース容器は、自動的又は手動で第2の組織処理媒体及び/又は液体及び/又は気体を追加し、恐らく除去するために適切な配管/ホースに取り付けられてもよい。所望の温度に達した時、第2の液体媒体は、手動又は自動的に予めプログラムされた機構を介して、各キャップ容器(例えば積層された組織処理容器は逆転している図3Aに示されたように)のノズルを通して積層された組織処理容器の中に、ひいては積層における組織処理容器のそれぞれの中に追加されてもよい。上に記載されたように、組織処理媒体は、ホースを通って移動し、キャップ容器のノズルを通り、最底部の組織処理容器の穴の中に入り、液面線が中央穴の第2の壁の先端又は縁部に達するまで、最底部の組織処理容器を満たす。その後、液体は、最底部の組織処理容器の上の組織処理容器の中央穴に入り、積層の第2の組織処理容器の中に進み、組織処理容器の積層のそれぞれが組織処理媒体の適切な量を含有するまでこれを繰り返す。この工程は、組織処理容器の1つ若しくは複数又はそれぞれの液面線の上にエアポケットをもたらすことがあり、液体媒体の最適な混合及び攪拌を高める。
【0092】
各段階で、全ての組織処理容器が満たされた後、シェーカは、組織処理容器が所望の周波数で振動されるように任意選択で使用されてもよい。一実施形態では、混合を高める又は最大混合を達成するために、シェーカの回転毎分(revolutions per minute)(rpm)は、定常波が組織処理容器内で達成するまで調節されてもよい。
【0093】
一実施形態では、処理を進める前に、各組織処理容器の充填基準は、適切な量の第2の組織処理媒体が、組織処理容器のそれぞれの中に存在することを確認するために検査される。一実施形態では、充填基準は、各組織処理容器を目視検査することによって決定される。別の実施形態では、充填基準は、任意選択で各組織処理容器の第1の壁上に置かれた充填線を目視検査することによって決定される。更なる実施形態では、各組織処理容器の充填基準の評価は、プログラマブル・コントローラ・ユニットに接続されたカメラによって実行されてもよく、カメラを通して提供されたデータに基づいて、どの組織処理容器が適切に充填され、どれがされていないかを識別するソフトウェア・プログラムが、任意選択で保存される。このような検査は、組織処理容器の間に漏れがないことを確実にし、設定が適切に達成されていることを確実にし得る。
【0094】
第2の組織処理媒体を含有する組織処理容器は、次いで所望の第2の温度で第2の期間に培養されてもよい。その後、第2の液体媒体は、1つ又は複数の、例えば全ての組織処理容器からキャップ容器(例えば積層された組織処理容器は逆転している図3Aに示されたように)内のノズルを開口することによって逃してもよく、第2の液体媒体を1つ又は複数の廃棄物容器の中に排出することができる。
【0095】
液体媒体を充填して逃すこの工程は、所望に応じた回数を反復可能であり得る。充填及び排出するステップは、上に記載されたプログラマブル・コントローラ・ユニットによって制御可能であることがある。同様に、プログラマブル・コントローラ・ユニットは、幾つかの実施形態では、例えば1つ又は複数のシェーカ、インキュベータ、1つ又は複数のポンプ、その他などの、システム内の1つ又は複数の外部ハードウェア装置を制御するために予めプログラムされる。従って幾つかの実施形態では、上記の方法は、プログラマブル・コントローラ・ユニットによって幾つかの実施形態では完全に自動化されてもよく、又は他の実施形態では、手動であってもよい。
【0096】
一実施形態では、積層された組織処理容器を充填すること及び排出することは、組織処理容器内に含有された組織標本を洗浄及び/又はすすぐための組織処理媒体の使用を含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ若しくは複数のステップは反復されてもよく、及び/又は各充填ステップに利用された1つ若しくは複数の組織処理媒体は、成分又は組成の点で同じであっても又は異なってもよい。このようにして組織処理容器を充填及び空にする各ステップは、どちらも自動化できることがあり、処理するため及び処理する組織の特定の型に対して所望のプロトコルにカスタマイズできることがある。
【0097】
一実施形態では、第1の期間は、第2の期間と異なってもよい。別の実施形態では、第1の期間と第2の期間は同じである。一実施形態では、第1の温度は第2の温度と同じである。更なる実施形態では、第1の温度と第2の温度は異なる。
【0098】
組織を処理した後、積層された組織処理容器は、インキュベータ及び/又はハウジングから取り外されてもよく、ベース及びキャップ容器から切り離されてもよい。積層は、次いで更なる使用のために組織処理容器のそれぞれの底部で第2のメッシュスクリーンの頂部上に載置する、処理された組織にアクセスさせるように分離されてもよい。
【0099】
本明細書に記載された方法及びシステムの様々な態様の更なる修正形態及び代替実施形態は、本明細書を考慮すれば当業者には明らかになろう。従って本明細書は例示に過ぎないと解釈されるべきであり、開示された方法及びシステムを実行する一般的な方法を当業者に教示するためにある。本明細書に示され記載された開示された方法及びシステムの形は、実施形態の例として捉えるべきであることを理解されたい。要素及び材料は、本明細書に例示されて記載された要素及び材料に置き換えられてもよく、部品及び工程は逆であってもよく、開示された方法及びシステムのある特定の特徴は、個別に利用することができ、全ては、開示された方法及びシステムのこの記載の利益を得た後に、当業者には明らかになるはずである。以下の特許請求の範囲に記載されたような、開示された方法及びシステムの精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された要素に変更を行ってもよい。
【0100】
本開示の規模及び範囲は、いかなる上記の例示的実施形態によっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物のみによって定義されるべきである。すなわち上の例は、記載された方法及びシステムの様々な例示的実施形態を実証するために含まれる。例に開示された技術は、記載された方法及びシステムの実践に良好に機能するために本発明者によって発見された技術を表し、従ってその実践のために任意選択又は例示的モードを構成すると考えられることが、当業者には認識されよう。しかし当業者は本開示を鑑みて、開示されたこれらの特定の実施形態に多くの変更を行うことができ、依然として記載された方法及びシステムの精神及び範囲から逸脱することなく同じ又は類似の結果を獲得できることを認識するであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
【国際調査報告】