(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】治療用コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20221109BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221109BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221109BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221109BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P25/00
A61P37/06
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516684
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 US2020051491
(87)【国際公開番号】W WO2021055747
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522101634
【氏名又は名称】トータス メディスンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダワン,ニール ソニン
(72)【発明者】
【氏名】ブレア,ジェームズ アベレラ
(72)【発明者】
【氏名】ペルニ,ロバート ビー.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZB08
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本開示は概して、生物学的標的に共有結合する治療用コンジュゲートに関する。組成物を、それを必要とする対象に投与する方法も本明細書に提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キナーゼまたはシュードキナーゼと共有結合を形成する治療用コンジュゲート。
【請求項2】
前記キナーゼがPI3キナーゼ(PI3K)である、請求項1に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項3】
前記治療用コンジュゲートが、
(FCB)a-(L)b-(CLM)cの構造を有し、
aおよびcが独立して、1~5の整数であり、
bが0~5の整数であり、
前記FCB部分が、PI3K阻害剤またはその断片、類似体もしくは誘導体を含む、請求項1または請求項2に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項4】
前記FCBが、
【化1】
を含む、請求項3に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項5】
前記治療用コンジュゲートが、化合物1-101~化合物1-172からなる群から選択される構造を含む、請求項4に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項6】
構造
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を有する請求項1または請求項2に記載の治療用コンジュゲートであって、Lは、
【化3】
からなる群から選択され、いずれかの端がCLMに接続することが可能で、R1は、
【化4】
からなる群から選択され、CLMは、
【化5】
からなる群から選択される、治療用コンジュゲート。
【請求項7】
化合物1-101、1-102、1-103、1-104、1-105、1-106、1-107、1-108、1-109、1-110、1-111、1-112、1-113、1-114、1-115、1-116、1-117、1-118、1-119、1-120、1-121、1-122、1-123、1-124、1-125、1-126、1-127、1-128、1-129、1-130、1-137、1-138、1-145、1-146、1-153、1-154、1-161、1-162、1-169、1-170、1-171および1-172からなる群から選択される請求項6に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項8】
構造
【化6】
またはその薬学的に許容される塩を有する請求項1に記載の治療用コンジュゲートであって、Lは
【化7】
であり、R2は、
【化8】
からなる群から選択され、CLMは、
【化9】
からなる群から選択される、治療用コンジュゲート。
【請求項9】
化合物1-131、1-132、1-133、1-134、1-135、1-136、1-139、1-140、1-141、1-142、1-143、1-144、1-147、1-148、1-149、1-150、1-151、1-152、1-155、1-156、1-157、1-158、1-159、1-160、1-163、1-164、1-165、1-166、1-167および1-168からなる群から選択される請求項8に記載の治療用コンジュゲート。
【請求項10】
化合物1-101~化合物1-172から選択される構造またはその薬学的に許容される塩を含む、治療用コンジュゲート。
【請求項11】
化合物1-1~化合物1-11から選択される構造またはその薬学的に許容される塩を含む、治療用コンジュゲート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の治療用コンジュゲートおよび少なくとも一種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の治療用コンジュゲートを投与することを含む、キナーゼまたはシュードキナーゼの活性を調節する方法。
【請求項14】
前記キナーゼまたはシュードキナーゼの活性が阻害される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キナーゼがPI3Kである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項12に記載の医薬組成物を治療有効量投与することを含む、治療を必要とする対象を治療する方法。
【請求項17】
前記対象が、癌、神経変性疾患、自己免疫障害および老化からなる群から選択された治療状態を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が癌を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、PIK3CA遺伝子において突然変異を有する癌を有する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月19日に出願されたTHERAPEUTIC CONJUGATESという題名の米国仮特許出願第62/902,554号およびTHERAPEUTIC CONJUGATESという題名の2020年9月14日に出願された米国仮特許出願第63/078,055号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、生物学的標的に共有結合する治療用コンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0003】
共有結合性阻害剤は、古典的阻害剤と同じ方法で受容体に結合するが、解離する代わりに、共有結合性阻害剤は、受容体に対する共有結合の永久的な化学結合を形成する。共有結合性阻害剤のいくつかの例として、ペニシリン、アスピリン、クロピドグレル、肺癌を治療するために使用されているEGFRキナーゼ阻害剤アファチニブおよびB細胞悪性腫瘍を治療するために使用されるブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤イブルチニブが挙げられる。さらに、腫瘍学の分野では、共有結合性阻害剤は、薬剤耐性腫瘍に対して有効であり、概して、腫瘍成長を阻害する能力がより強く示されている。
【0004】
近年、共有結合性阻害剤の使用は、古典的な可逆的阻害剤と比較して、高い潜在能および作用持続時間をもたらすため、共有結合性阻害剤は大手製薬会社の注目を集めている。作用持続時間の延長は、より低い投与頻度で済み、すなわち、患者は、より少ない錠剤を、より少ない頻度で摂取すればよい。
【0005】
生物学的標的に共有結合することができる治療用コンジュゲートを設計し、治療用コンジュゲートのハイスループットスクリーニング方法を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、キナーゼまたはシュードキナーゼと共有結合を形成し得る治療用コンジュゲートを提供する。キナーゼは、PI3キナーゼ(PI3K)であってもよい。治療用コンジュゲートは、(FCB)a-(L)b-(CLM)cの構造を有していてもよく、aおよびcは独立して、1~5の整数であり、bは0~5の整数であり、FCB部分はPI3K阻害剤またはその断片、類似体もしくは誘導体を含む。一部の実施形態では、FCBは、
【化1】
を含んでいてもよい。治療用コンジュゲートは、化合物1-101~化合物1-172からなる群から選択された構造を含んでいてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、治療用コンジュゲートは、
【化2】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有していてもよく、Lは
【化3】
からなる群から選択され、いずれかの端がCLMに接続することができ、R1は
【化4】
からなる群から選択され、CLMは
【化5】
からなる群から選択される。治療用コンジュゲートは、化合物1-101、1-102、1-103、1-104、1-105、1-106、1-107、1-108、1-109、1-110、1-111、1-112、1-113、1-114、1-115、1-116、1-117、1-118、1-119、1-120、1-121、1-122、1-123、1-124、1-125、1-126、1-127、1-128、1-129、1-130、1-137、1-138、1-145、1-146、1-153、1-154、1-161、1-162、1-169、1-170、1-171および1-172からなる群から選択されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、治療用コンジュゲートは
【化6】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有していてもよく、Lは
【化7】
であり、R2は
【化8】
からなる群から選択され、CLMは
【化9】
からなる群から選択される。治療用コンジュゲートは、化合物1-131、1-132、1-133、1-134、1-135、1-136、1-139、1-140、1-141、1-142、1-143、1-144、1-147、1-148、1-149、1-150、1-151、1-152、1-155、1-156、1-157、1-158、1-159、1-160、1-163、1-164、1-165、1-166、1-167および1-168からなる群から選択されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、治療用コンジュゲートは、化合物1-101~化合物1-172から選択された構造またはその薬学的に許容される塩を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、治療用コンジュゲートは、化合物1-1~化合物1-11から選択された構造またはその薬学的に許容される塩を含んでいてもよい。
【0010】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される治療用コンジュゲートおよび少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤を含みうる医薬組成物を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される治療用コンジュゲートを投与することを含む、キナーゼまたはシュードキナーゼの活性を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、キナーゼまたはシュードキナーゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、キナーゼはPI3-Kであってもよい。
【0012】
一部の実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、方法は、治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む。対象は、癌、神経変性疾患、自己免疫障害および老化からなる群から選択された治療状態を有していてもよい。一部の実施形態では、対象は癌を有してもよい。一部の実施形態では、対象は、PIK3CA遺伝子に突然変異を有する癌を有していてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.組成物
発明者らはとりわけAnchored Relational Covalent Systemを発見し、これ以降ARCSと呼び、ARCSはFunctionally Competent Binder、これ以降FCBと呼び、Covalent Linking Modality、これ以降CLMと呼ぶ、を含み、CLMは治療用モダリティに直接的または間接的に結合しており、任意選択的で、FCBとCLMとの間に位置付けられるリンカーを含む。一部の実施形態では、CLMは、結合によってFCBに直接的に共有結合的に結合されている。一部の実施形態では、CLMは、リンカーによってFCBに間接的に共有結合的に結合されている。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ARCS」という用語は、FCBおよびCLMを結合またはリンカーによって連結することによって形成される任意の治療用コンジュゲートを指す。一部の実施形態では、ARCSは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチドまたはタンパク質などの一つ以上の標的との共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、生物学的標的との共有結合を形成することができる。共有結合は、当該技術分野で任意の公知の方法を用いて検出することができる。非限定的な例として、アジド小分子のタンパク質への共有結合は、重いPEG含有アルキンを小分子に結合させるクリックケミストリーを使用することによって検出することができる。共有結合的に標識されたタンパク質は、PEG標識され、より高い分子量を有しているため、ゲルシフトによって検出される(Biochemistry 2018、57:5769-5774)。別の非限定的な例では、質量分析を使用して、共有結合的に標識された精製タンパク質を検出することができる(Nature Chemical Biology 2007、3:229-238)。さらに別の非限定的な例では、細胞定量的質量分析に基づくプロテオミクス方法を使用して、共有結合を分析することができる(Cell Chemical Biology 2017、24:1388-1400.e7)。さらに別の非限定的な例では、X線結晶構造解析を使用して、共有結合形成を確認する(Nature Chemical Biology 2007:3:229-238;J.Med.Chem.2020、63:52-65)。さらに別の非限定的な例では、細胞内、共有結合的に標識されたおよび親和性に富んだ試料の質量分析を使用して、共有結合修飾の部位を明らかにすることができる(Nat.Chem.Biol.2016、12:876-884)。
【0015】
一部の実施形態では、ARCSは、生物学的標的と共有結合を生物学的標的の約5%~100%の割合まで形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%から生物学的標的と共有結合を形成することができる。いくつかの実施形態では、共有結合は、0~50℃の温度で、48時間以内に、10mMの治療用量で、水溶液中に形成される。
【0016】
いかなる理論に縛られることを望まないが、ARCSはまず、FCBを介して生物学的標的(標的タンパク質など)と非共有結合を形成し、次いでCLMを介して生物学的標的と共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSの有効性は、FCB単独の有効性よりも優れている。一部の実施形態では、CLMは、FCBの有効性に実質的に干渉しない。一部の実施形態では、FCBは、CLMの共有結合に実質的に干渉しない。一部の実施形態では、ARCSの毒性は、FCB単独の毒性よりも少ない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「毒性」という用語は、細胞、生体組織または細胞環境に有害または有毒である物質または組成物の能力を指す。低毒性は、細胞、生体組織または細胞環境に有害または有毒である物質または組成物の弱毒した能力を指す。こうした弱毒または低毒性は、標準尺度、治療に対して、または治療の非存在に対して相対的であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「FCB」という用語は、既知の薬剤、診断化合物、薬剤候補および機能的断片および/または前述のいずれかの組み合わせであり得る治療モダリティを指す。FCBは遊離酸および遊離塩基形態、光学異性体および互変異性体、薬剤の放射性同位体および薬学的に許容される塩、そのプロドラッグまたは断片を含むアイソトープを含む。FCBは、小分子、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、糖、核酸またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、FCBは、DNAまたはRNAを含むがこれに限定されない核酸である。FCBは、限定されないが、抗癌剤、抗神経変性剤、自己免疫薬および抗老化剤などの治療剤であってもよい。FCBは、非共有結合的に生物学的標的に結合していてもよい。一部の実施形態では、FCBは薬剤の機能的断片であってもよい。本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、薬剤の望ましい効果を誘発することができる薬剤またはその誘導体もしくは類似体の一部を指す。一部の実施形態では、FCBはアルキン官能基を含んでいてもよい。一部の実施形態では、FCBはアルキン官能基を含んでいなくてもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」はアミド結合によって連結されているアミノ酸モノマーから構成されるポリマーを指す。アミノ酸はDまたはL光学異性体であってもよい。ペプチドは、一方のα-炭素カルボキシル基および別のアミノ酸のアミノ基と縮合またはカップリング反応することによって形成されていてもよい。ペプチドは非線形的分岐ペプチドまたは環状ペプチドであってもよい。さらに、ペプチドは、アミノおよび/またはカルボキシ末端を含む多岐の官能基または保護基で任意選択的に修飾または保護されていてもよい。
【0020】
ペプチドのアミノ酸残基は以下のように略される。フェニルアラニンは、PheまたはFであり、ロイシンはLeuまたはLであり、イソロイシンはIleまたはIであり、メチオニンは、MetまたはMであり、バリンは、ValまたはVであり、セリンはSerまたはSであり、プロリンはProまたはPであり、トレオニンはThrまたはTであり、アラニンはAlaまたはaであり、チロシンはTyrまたはYであり、ヒスチジンはHisまたはHであり、グルタミンはGlnまたはQであり、アスパラギンはAsnまたはNであり、リジンはLysまたはKであり、アスパラギン酸はAspまたはDであり、グルタミン酸はGluまたはEであり、システインはCysまたはCであり、トリプトファンはTrpまたはWであり、アルギニンはArgまたはRであり、グリシンはGlyまたはGである。
【0021】
本明細書で使用される場合、「CLM」という用語は、生物学的標的との共有結合を形成することができる任意の共有結合モダリティを指す。CLMは、結合またはリンカーによってFCBに連結されていてもよい。CLMは、生物学的標的と共有結合を形成することができる一つ以上の化学的部分を含んでいてもよい。化学的部分は、親電子基または求核基であってもよい。
【0022】
CLMは、約1,000Da未満、約900Da未満、約800Da未満、約700Da未満、約600Da未満または約500Da未満の分子量を有する小分子であってもよい。一部の事例では、CLMは、約5Da~約1,000Da、約10Da~約900Da、一部の実施形態では約20Da~約700Da、一部の実施形態では20Da~約500Da、約50Da~約400Da、一部の実施形態では約100Da~約300Daおよび一部の実施形態では約150Da~約300Daの分子量を有していてもよい。CLMの分子量は、CLMの式中の各原子の原子量の総和に各原子の数を掛けたものとして計算することができる。また、質量分析、NMR、クロマトグラフィー、光散乱、粘度および/または当技術分野で公知の任意の他の方法によって測定することができる。分子量の単位は、g/mol、ダルトン(Da)または原子質量単位(amu)であってもよく、1g/mol=1Da=1amuであることが知られている。
【0023】
本明細書において使用される場合、「生物学的標的」という用語は、FCBが非共有結合的に結合して治療効果を産生する任意の標的を指す。CLMは、共有結合的に生物学的標的に結合している。一部の実施形態では、生物学的標的はタンパク質である。生物学的標的の非限定的な例として、以下に限定されないが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)およびシュードキナーゼなどのキナーゼが挙げられる。
【0024】
一部の実施形態では、ARCSは、PI3キナーゼと共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、約5%~100%のPI3キナーゼからのPI3キナーゼと共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%のPI3キナーゼからのPI3キナーゼと共有結合を形成することができる。
【0025】
ARCSは、任意選択的にリンカーによって少なくとも一つのCLMに結合されている少なくとも一つのFCBを含む。いくつかの実施形態では、ARCSは、単一のFCBと単一のCLMとの間の治療用コンジュゲートであってもよく、例えば、構造X-L-Yを有し、XはCLMであり、Lは任意選択のリンカーであり、YはFCBである。いくつかの実施形態では、ARCSは、単一の治療モダリティと単一の共有結合モダリティとの間の治療用コンジュゲートであってもよい。一部の実施形態では、Xは共有結合モダリティであり、Lは任意選択のリンカーであり、Yは治療モダリティである。
【0026】
一部の実施形態では、ARCSは、一つ以上のFCB、一つ以上のリンカー、一つ以上のCLMまたはそれらの任意の組み合わせを含有する。ARCSは、任意の数のFCB、リンカーおよびCLMを有することができる。ARCSは、限定されないが、X-L-Y-L-X、(X-L-Y)n、Y-L-X-L-Y、X-(L-Y)n、(X-L)n-Y、(X)n-L-YまたはX-L-(Y)nの構造を有することができ、Lは任意選択のリンカーであり、YはFCBであり、nは2~100、2~50、2~20、例えば、2~5の整数である。X、LおよびYの各発生は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、ARCSは、一つ以上の種類のFCB、一つ以上の種類のリンカーおよび/または一つ以上の種類のCLMを含むことができる。
【0027】
一部の実施形態では、ARCSは、単一のFCBに結合されている一つ以上の種類のCLMを含有していてもよい。例えば、ARCSは、同一または異なるリンカーを介してそれぞれ結合されている複数のCLMを有する一つのFCBを含んでいてもよい。ARCSは、構造X-L-Y-L-Xを有していてもよく、各Xは、同一であっても異なっていてもよいCLMであり、各Lは、同一であっても異なっていてもよいリンカーであり、YはFCBである。
【0028】
一部の実施形態では、ARCSは、単一のFCBに結合されている一つ以上のCLMを含有していてもよい。例えば、ARCSは、同一または異なるリンカーを介してそれぞれ結合されている複数のFCBを有する一つのCLMを含んでいてもよい。ARCSは、構造Y-L-X-L-Yを有していてもよく、XはCLMであり、各Lは同一であっても異なっていてもよいリンカーであり、Yは同一であっても異なっていてもよいFCBである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ARCSは、治療用コンジュゲートであり、治療用コンジュゲートは、
a.治療モダリティを含み、この治療モダリティは、既知の薬剤、診断化合物、薬剤候補および機能的断片および/または前記のいずれかの組み合わせのうちの一つ以上からなる群から選択され、
b.共有結合モダリティを含み、この共有結合モダリティは、一つ以上の化学部分を含み、その一つ以上が生物学的標的との共有結合を形成することができ、この共有結合モダリティは、この治療モダリティに直接的または間接的に結合されており、および
c.任意選択的に、治療モダリティと共有結合モダリティとの間に位置付けられるリンカーと、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、以下からなる群から選択された式を含み、
a)X-L-Y、
b)X-L-Y-L-X、
c)(X-L-Y)n、
d)Y-L-X-L-Y、
e)X-(L-Y)n、
f)(X-L)n-Y、
g)(X)n-L-Yおよび
h)X-L-(Y)n;
Xは共有結合モダリティであり、Lは任意選択のリンカーであり、Yは治療モダリティであり、nは2と100の間の整数である。
【0031】
本開示の目的は、ARCSおよびその組成物ならびにARCSおよびARCSのライブラリを合成する方法を設計することである。
【0032】
また、本開示の目的は、生物学的標的への共有結合の候補を識別するために、ARCSのライブラリをスクリーニングする方法を提供することである。
【0033】
本開示のさらなる目的は、ARCSおよびその組成物をそれを必要とする対象に投与する方法を提供することである。
【0034】
A.FCB
本開示のARCSは、少なくとも一つのFCBを含有する。本開示のARCSは、同一であっても異なっていてもよい一つ以上のFCBを含有してもよい。FCBは、任意の生物学的プロセスに影響を与え、疾患状態の予防、診断、緩和、治療または治癒に使用される治療モダリティであることができる。FCBは、治療剤、予防剤、診断剤または栄養剤であることができる。FCBまたはARCSの有効性は、その意図された目的に対するFCBまたはARCSの有効性、すなわち、所与のFCBまたはARCSが所望される薬理学的効果を引き起こす能力を指す。本明細書で使用される場合、「薬理活性」という用語は、生物学的プロセスを調節または改変して、表現型の変化、例えば、細胞死、細胞増殖の減少などをもたらす活性を意味する。
【0035】
一部の実施形態では、FCBはPI3キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、FCBは、ピロロ[2,1-F[1,2,4]トリアジン化合物である。一部の実施形態では、FCBは、米国特許第9,724,352B2号に記載され、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、式のいずれか一つを有するPI3キナーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、FCBは、米国特許第9,724,352B2号の表1に示される化合物のいずれかである。一部の実施形態では、FCBは、
【化10】
の構造を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、FCBは、構造
【化11】
を有する化合物であり、R1は、
【化12】
からなる群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、FCBは、構造
【化13】
を有する化合物であり、R2は、
【化14】
からなる群から選択される。
【0038】
一般に、FCBの有効性は、生物学的標的に非共有結合することによって達成される。非共有結合は、標的に対するある程度の特異性および/または親和性によって達成される。特異性および親和性の両方は概して望ましいが、特定の場合には、より高い特異性がより低い親和性を補い、より高い親和性がより低い特異性を補うことができる。親和性および特異性の要件は、限定されないが、標的の絶対濃度、標的の相対濃度(例えば、癌対正常細胞における)、潜在能および毒性、投与経路および/または標的細胞への拡散または輸送を含む様々な要因に応じて変化する。分子または細胞レベルにおいて、FCBの効果(ARCSまたは単独で)は、限定されないが、標的の活性の促進または阻害、標的の標識化および/または標的細胞の変化(例えば、細胞死)を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、FCBは、小分子、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、糖、核酸またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、FCBは、限定されないが、抗癌剤、抗神経変性剤、自己免疫薬および抗老化剤などの治療剤であってもよい。様々な治療剤が当該技術分野で周知であり、本明細書に記載される組成物に使用されてもよい。
【0040】
一部の実施形態では、FCBは小分子である。一部の実施形態では、FCBは、タンパク質、ペプチドまたは核酸であってもよい。一部の実施形態では、FCBは脂質であってもよい。一部の実施形態では、FCBは炭水化物または糖であってもよい。一部の実施形態では、FCBはアルキン基を有する。一部の実施形態では、FCBはアルキン官能基を有していなくてもよい。
【0041】
一部の実施形態では、FCBは薬剤の機能的断片であってもよい。本明細書で使用される場合、「機能的断片」あるいは「薬剤のコア」という用語は、薬剤の望ましい効果を誘発することができる薬剤またはその誘導体もしくは類似体の一部を指す。
【0042】
いくつかの実施形態において、FCBは、非共有結合的に生物学的標的に結合していてもよい。いくつかの実施形態では、FCBは、<1000μm、900μm、800μm、700μm、600μmまたは500μmのIC50で生物学的標的に結合していてもよい。
【0043】
一部の実施形態では、FCBは抗癌剤である。一部の実施形態では、FCBは抗神経変性薬である。一部の実施形態では、FCBは自己免疫性薬剤である。一部の実施形態では、FCBは抗老化剤である。
【0044】
特定の実施形態において、ARCSのFCBは、ARCSの構成要素のモル重量パーセントの和が100%になるように、約1%~約10%または約10%~約20%または約20%~約30%または約30%~約40%または約40%~約50%または約50%~約60%または約60%~約70%または約70%~約80%または約80%~約90%または約90%~約99%の所定のモル重量パーセントを含む。ARCSのFCBの量は、CLMに対する割合で表されていてもよい。例えば、本教示は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10のCLMに対するFCBの比を提供する。
【0045】
B.CLM
本開示のARCSは、一つ以上のCLMを含有する。CLMは、生物学的標的と共有結合を形成することができる任意の共有結合モダリティであることができる。CLMは、一つ以上の化学的部分、生物学的標的と共有結合を形成することができる一つ以上の化学的部分を含んでいてもよい。特定の実施形態では、CLMは内部リンカーまたはスペーサーを含んでいてもよい。内部リンカーまたはスペーサーは、CLMの二つの部分を組み合わせてもよく、またはCLMに結合することができる。
【0046】
一部の実施形態では、CLMは小分子である。一部の実施形態では、CLMは、約1000ダルトン未満の分子量(例えば、約900、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100未満など)を有する。
【0047】
特定の実施形態において、ARCSのCLMは、ARCSの構成要素のモル重量パーセントの和が100%になるように、約1%~約10%または約10%~約20%または約20%~約30%または約30%~約40%または約40%~約50%または約50%~約60%または約60%~約70%または約70%~約80%または約80%~約90%または約90%~約99%の所定のモル重量パーセントを含む。ARCSのCLMの量は、FCBに対する割合で表されていてもよい。例えば、本教示は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10のCLMに対するFCBの比を提供する。
【0048】
一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換アルキンを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換アクリルアミドを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ビニルスルホンアミドを含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ビニルスルホンを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換フマルアミドを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換アクリル酸を含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換イソチオシアン酸を含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換スルホニルフロリドを含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換フルオロ硫酸塩を含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ホルミルフェニルボロン酸を含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ボロン酸を含む。一部の実施形態では、CLMは少なくとも一つの活性化エステルを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換チオエステルを含む。一部の実施形態では、CLMは少なくとも一つのスルホニル基を含む。一部の実施形態では、CLMは少なくとも一つのニトロ基を含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換エポキシドを含む。いくつかの実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ホルミルフェニルボロン酸を含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換ハロゲン化アリールを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換アルデヒドを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換トリアジンを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換シアノ-アクリルアミドを含む。一部の実施形態では、CLMは、少なくとも一つの置換または非置換クロロアセトアミドを含む。
【0049】
例示的なCLMとしては、これらに限定されないが、以下が挙げられ、
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【化15-4】
【化15-5】
A、B、CおよびDは各出現において独立して、H、ハロゲン、CF
3、-OH、-NH
2、-SH、-SCH
3、-CN、-NO
2、-CH
2(NH
2)、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、NHC(O)-C
1-6アルキル、N(C
1-3アルキル)C(O)-C
1-6アルキル、OC(O)NH
2、OC(O)NH(CH
3)、OC(O)N(CH
3)
2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC
1-6アルキル、任意選択的に置換されたC
2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、A、B、CおよびDについての任意の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH
2、CH
3、CF
3、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-CH
2NH
2、-C(O)CH
3、SH、-S-CH
3、任意選択的に置換されたC
1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基である。
【0050】
A1、A2、A3、A4、A5およびA6は各出現において独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
A1、A2、A3、A4、A5、およびA6の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、1~2個の置換基であり、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3またはその断片、誘導体または類似体からなる群から選択される。
【0051】
一部の実施形態では、CLMは
【化16】
からなる群から選択される。
【0052】
C.リンカー
本開示のARCSは、FCBおよびCLMを接続する一つ以上の任意選択のリンカーを含有する。リンカー、Lは、FCBの有効性およびCLMの結合が著しく影響を受けない限り、FCBおよびCLM上のどこにでも結合することができる。いくつかの実施形態では、CLMは、任意の内部リンカーを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、リンカー(CLMの内部リンカーを含む)は、小分子である。一部の実施形態では、前記リンカー(CLMの内部リンカーを含む)が選択され、限定されるものではないが、置換および非置換C1-C30アルキル、置換および非置換C2-C30アルケニル、置換および非置換C2-C30アルキニル、置換および非置換C3-C30シクロアルキル、置換および非置換C1-C30ヘテロシクロアルキル、置換および非置換C3-C30シクロアルケニル、置換および非置換C1-C30ヘテロシクロアルケニル、置換および非置換アリールならびに置換および非置換ヘテロアリールを含む。
【0054】
一部の実施形態では、リンカー(CLMの内部リンカーを含む)は、C1-C10直鎖アルキル、C1-C10直鎖O-アルキル、C1-C10直鎖置換アルキル、C1-C10直鎖置換O-アルキル、C4-C13分岐鎖アルキル、C4-C13分岐鎖O-アルキル、C2-C12直鎖アルケニル、C2-C12直鎖O-アルケニル、C3-C12直鎖置換アルケニル、C3-C12直鎖置換O-アルケニル、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリカルプロラクトン、ポリシアノアクリレート、ケトン、アリール、ヘテロ環、コハク酸エステル、アミノ酸、芳香族基、エーテル、クラウンエーテル、尿素、チオ尿素、アミド、プリン、ピリミジン、ビピリジン、クロスリンカーとして作用するインドール誘導体、キレート剤、アルデヒド、ケトン、ビスアミン、ビスアルコール、ヘテロ環構造、アジリン、ジスルフィド、チオエーテル、ヒドラゾンおよびその組み合わせであってもよい。例えば、リンカーは、C3直鎖アルキルまたはケトンであってもよい。リンカーのアルキル鎖は、一つ以上の置換基またはヘテロ原子で置換されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、-O-、-C(=O)-、-NR、-O-C(=O)-NR-、-S-、-S-S-から選択された一つ以上の原子または基を含有する。リンカーは、コハク酸、グルタミン酸またはジグリコール酸のジカルボン酸塩誘導体から選択されてもよい。
【0055】
一部の実施形態では、リンカーのアルキル鎖は、任意選択的に、-O-、-C(=O)-、-NR、-O-C(=O)-NR-、-S-、-S-S-から選択された一つ以上の原子または基によって中断されてもよい。リンカーは、コハク酸、グルタミン酸またはジグリコール酸のジカルボン酸塩誘導体から選択されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、リンカーは切断不能であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは切断可能であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは酵素によって切断されてもよい。
【0057】
リンカーの非限定的な例として、
【化17】
が挙げられ、
【化18】
D
1、D
2、D
3、D
4、D
5およびD
6は、各出現において独立して、N、C、O、またはSからなる群から選択され、D
1-6がNである場合、対応する位置は三価であり、D
1-6がOまたはSである場合、対応する位置は二価であり、B
1、B
2、B
3、B
4、B
5およびB
6は、各出現において不在である、または独立してH、ハロゲン、CF
3、-OH、-CH
3、-NH
2、-SH、-SCH
3、-CN、-NO
2、-CH
2(NH
2)、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、NHC(O)-C
1-6アルキル、N(C
1~3アルキル)C(O)-C
1-6アルキル、OC(O)NH
2、OC(O)NH(CH
3)、OC(O)N(CH
3)
2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC
1-6アルキル、任意選択的に置換されたC
2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリール、および任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールから選択され、B
1、B
2、B
3およびB
4の任意選択の置換基は、独立してハロゲン、OH、NH
2、CH
3、CF
3、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-CH
2NH
2、-C(O)CH
3、SH、-S-CH
3、任意選択的に置換されたC
1~3アルキルおよび任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、C
1-3アルキルおよびC
3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH
2、CH
3、CF
3、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-CH
2NH
2、-C(O)CH
3、SHおよび-S-CH
3、またはその任意の断片もしくは類似体からなる群から選択された1~2個の置換基である。
【0058】
いくつかの実施形態では、リンカーは、
【化19】
からなる群から選択され、いずれかの端はCLMに接続することができる。いくつかの実施形態では、
【化20】
からなる群から選択されたリンカーは、
【化21】
からなる群から選択されたCLMに接続されている。
【0059】
D.ARCS
本開示のARCSは、可逆的阻害剤と比較した場合、潜在能の増加および作用持続時間の延長など、多くの利点を有する薬剤のクラスを表す。本開示は、キナーゼまたはシュードキナーゼと共有結合を形成する治療用コンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態では、キナーゼは、PI3キナーゼ(PI3K)である。治療用コンジュゲートは、
(FCB)a-(L)b-(CLM)cの構造を有していてもよく、
aおよびcは独立して、1~5の整数であり、
bは0~5の整数であり、
FCB部分はPI3K阻害剤またはその断片、類似体もしくは誘導体を含む。
【0060】
FCB部分、L(リンカー)部分およびCLM部分については、上のセクションで説明している。一つの非限定的な例では、FCBは、
【化22】
を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、FCBは、構造
【化23】
を有する化合物であり、R1は、
【化24】
からなる群から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、FCBは、構造
【化25】
を有する化合物であり、R2は、
【化26】
からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、リンカーは、
【化27】
からなる群から選択され、いずれかの端はCLMに接続することができる。一部の実施形態では、CLMは、
【化28】
からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、ARCSは、広範な一般構造化合物1-1~化合物1-5、
【化29】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、R
1は各出現において独立して、
【化30】
からなる群から選択され、R
1は、X、Lまたは二つの端のいずれかにおける薬剤の機能的断片に結合することができる。例えば、
【化31】
において、R
1は、R
eおよびR
gに隣接するいずれかの端からLに、R
fおよびR
hに隣接する端からの薬剤の機能的断片に結合することができ、またはR
1は、化合物1-1において、R
fおよびR
hに隣接するいずれかの端からLに、R
eおよびR
gに隣接する端からの薬剤の機能的断片に結合することができる。
【0064】
一部の実施形態では、R
1は、各出現において独立して、非置換または置換された-(alk)
a-S-(alk)
b-、-(alk)
a-O-(alk)
b-、-(alk)
655a-NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-C(O)-(alk)
b-、-(alk)
a-C(S)-(alk)
b-、-(alk)
a-S(O)-(alk)
b-、-(alk)
a-S(O)
2-(alk)
b-、-(alk)
a-OC(O)-(alk)
b-、-(alk)
a-C(O)O-(alk)
b-、-(alk)
a-OC(S)-(alk)
b-、-(alk)
a-C(S)O-(alk)
b-、-(alk)
a-C(O)NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-C(S)NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-S(O)
2NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(O)-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(S)-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AS(O)
2-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(O)O-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(S)O-(alk)
b-、-(alk)
a-OC(O)NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-OC(S)NR
A-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(O)NR
B-(alk)
b-、-(alk)
a-NR
AC(S)NR
B-(alk)
b-および-(alk)
a-NR
AS(O)
2NR
B-(alk)
b-からなる群から選択され、
aおよびbは独立して、0、1、2、3および4からなる基から選択され、
alkは、独立してC
1-5アルキレン、C
1-5アルケニレンおよびC
1-5アルキニレンから成る群から選択され、各々が、H、ハロゲン、-OH、NH
2、CF
3、C
1-5アルキル、-CH
2(NH
2)、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、-SH、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、-O-C
1-5アルキル、-S-C
1-5アルキル、-NH-C
1-5アルキルおよび-N(C
1~5アルキル)
2、から成る群から、独立して、選択さた1~3個の置換基と任意に置き換えられ、C
1~5アルキル基は、ハロゲン、-OH、-NH
2、C
1-4アルキル、CF
3、-CH
2(NH
2)、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、-SH、-SCH
3、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリルおよびメチルピラゾリルからなる群から選択された1~3個の置換基と、独自に、任意に置き換えられ、;
R
AおよびR
Bは各出現において独立して、水素、C
1-3アルキル、C
3-6シクロアルキル、5~10員のヘテロ環、アリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、C
1-3アルキル、OH、NH
2、NH-C
1-3アルキル、N(C
1-3アルキル)
2、CF
3、C
1-6アルキル、-CH
2(NH
2)、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、-SH、-SCH
3、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリルおよびメチルピラゾリルからなる群から選択された1~3個の置換基と、それぞれ、独自に、任意に置き換えられ、
各出現におけるR
3は独立して、以下から成る群から選択され:
【化32】
;
各出現におけるR
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
gおよびR
hは、独立して、H、ハロゲン、CF
3、-OH、-NH
2、-SH、-SCH
3、-CN、-NO
2、-CH
2(NH
2)、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-C(O)CH
3、NHC(O)-C
1-6アルキル、N(C
1-3アルキル)C(O)-C
1-6アルキル、OC(O)NH
2、OC(O)NH(CH
3)、OC(O)N(CH
3)
2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC
1-6アルキル、任意選択的に置換されたC
2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
gおよびR
hの任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH
2、CH
3、CF
3、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-CH
2NH
2、-C(O)CH
3、SH、-S-CH
3、任意選択的に置換されたC
1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC
3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C
1-3アルキルおよびC
3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH
2、CH
3、CF
3、-CN、-NO
2、-C(O)OH、-S(O)
2NH
2、-C(O)NH
2、-CH
2NH
2、-C(O)CH
3、SHおよび-S-CH
3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0065】
いくつかの実施形態において、各出現においてR3は、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
R3の任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から、独立して選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0066】
各出現におけるR4は独立して、以下から成る群から選択され:
【化33】
【0067】
いくつかの実施形態において、各出現においてR4は、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
R4の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0068】
各出現においてR5は、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
R5の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0069】
各出現においてR6は、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
R6の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0070】
各出現におけるLは独立して、以下から成る群から選択され:
【化34】
、
D
1、D
2、D
3、D
4、D
5およびD
6は、各出現において独立して、N、C、O、またはSからなる群から選択され、但しD
1-6がNである場合、対応する位置は三価であり、D
1-6がOまたはSである場合、対応する位置は二価である。リンカーは、CLMまたは薬剤の機能的断片のいずれかに、二つの末端のいずれかに結合することができる。例えば、
【化35】
において、Lは、窒素に隣接する端から、または他方の端からのいずれかでCLMに結合することができる。
【0071】
各出現においてB1、B2、B3およびB4は、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
B1、B2、B3およびのB4の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0072】
一部の実施形態では、Lは、各出現において独立して、非置換または置換された-(alk)a-S-(alk)b-、-(alk)a-O-(alk)b-、-(alk)a-NRA-(alk)b-、-(alk)a-C(O)-(alk)b-、-(alk)a-C(S)-(alk)b-、-(alk)a-S(O)-(alk)b-、-(alk)a-S(O)2-(alk)b-、-(alk)a-OC(O)-(alk)b-、-(alk)a-C(O)O-(alk)b-、-(alk)a-OC(S)-(alk)b-、-(alk)a-C(S)O-(alk)b-、-(alk)a-C(O)NRA-(alk)b-、-(alk)a-C(S)NRA-(alk)b-、-(alk)a-S(O)2NRA-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(O)-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(S)-(alk)b-、-(alk)a-NRAS(O)2-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(O)O-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(S)O-(alk)b-、-(alk)a-OC(O)NRA-(alk)b-、-(alk)a-OC(S)NRA-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(O)NRB-(alk)b-、-(alk)a-NRAC(S)NRB-(alk)b-および-(alk)a-NRAS(O)2NRB-(alk)b-からなる群から選択され、
aおよびbは独立して、0、1、2、3および4からなる基から選択され、
alkは、独立して、C1-5アルキレン、C1-5アルケニレンおよびC1-5アルキニレンからなる群から選択され、各々が、独立して、H、ハロゲン、-OH、NH2、CF3、C1-5アルキル、-CH2(NH2)、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、-SH、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、-O-C1-5アルキル、-S-C1-5アルキル、-NH-C1-5アルキル、および-N(C1~5アルキル)2、からなる群から選択された1~3個の置換基で任意選択的に置換され、C1~5アルキル基は独立して、ハロゲン、-OH、-NH2、C1-4アルキル、CF3、-CH2(NH2)、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、-SH、-SCH3、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリルおよびメチルピラゾリルからなる群から選択された1~3個の置換基で任意選択的に置換される。
【0073】
RCおよびRDは各出現において独立して、水素、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル、5~10員のヘテロ環、アリールおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、OH、NH2、NH-C1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、CF3、C1-6アルキル、-CH2(NH2)、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、-SH、-SCH3、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリルおよびメチルピラゾリルからなる群から選択された1~3個の置換基で任意選択的に置換される。
【0074】
各発生におけるXは、独立して、以下からなる群から選択される:
【化36-1】
【化36-2】
【化36-3】
【化36-4】
【化36-5】
【0075】
A、B、CおよびDは、各出現において、独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
A、B、C、およびDに対する任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基であり、
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0076】
A1、A2、A3、A4、A5、およびA6は各出現において独立して、H、ハロゲン、CF3、-OH、-NH2、-SH、-SCH3、-CN、-NO2、-CH2(NH2)、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-C(O)CH3、NHC(O)-C1-6アルキル、N(C1-3アルキル)C(O)-C1-6アルキル、OC(O)NH2、OC(O)NH(CH3)、OC(O)N(CH3)2、イミダゾリル、ピラゾリル、メチルイミダゾリル、メチルピラゾリル、任意選択的に置換されたC1-6アルキル、任意選択的に置換されたC2-6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-6アルキニル、任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキル、任意選択的に置換された5~10員のヘテロ環、任意選択的に置換されたアリールおよび任意選択的に置換された5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、
A1、A2、A3、A4、A5およびA6の任意選択の置換基は、独立して、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SH、-S-CH3、任意選択的に置換されたC1-3アルキルおよび任意選択的に置換されたC3-6シクロアルキルからなる群から選択された1~3個の置換基である。
C1-3アルキルおよびC3-6シクロアルキルの任意選択の置換基は、ハロゲン、OH、NH2、CH3、CF3、-CN、-NO2、-C(O)OH、-S(O)2NH2、-C(O)NH2、-CH2NH2、-C(O)CH3、SHおよび-S-CH3からなる群から、独立して選択された1~2個の置換基である。
【0077】
本開示は、様々な置換基のすべての組み合わせを使用することを企図している。したがって、化合物1-1から化合物1-5の構造式内に含まれる上述の置換基の任意の組み合わせを使用することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ARCSは、狭義の一般構造の化合物1-6から化合物1-11、
【化37】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態において、ARCSは、
【化38】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有していてもよく、Lは、
【化39】
からなる群から選択されたリンカーであり、いずれかの端はCLMに接続することができ、R1は
【化40】
からなる群から選択され、CLMは、
【化41】
からなる群から選択される。式1-50に包含される化合物は、以下に限定されないが、表1における化合物1-101、1-102、1-103、1-104、1-105、1-106、1-107、1-108、1-109、1-110、1-111、1-112、1-113、1-114、1-115、1-116、1-117、1-118、1-119、1-120、1-121、1-122、1-123、1-124、1-125、1-126、1-127、1-128、1-129、1-130、1-137、1-138、1-145、1-146、1-153、1-154、1-161、1-162、1-169、1-170、1-171および1-172を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、ARCSは、
【化42】
の構造またはその薬学的に許容される塩を有していてもよく、Lのリンカーは
【化43】
であり、R2は、
【化44】
からなる群から選択され、CLMは
【化45】
からなる群から選択される。式1-51によって包含される化合物は、以下に限定されないが、表1における化合物1-131、1-132、1-133、1-134、1-135、1-136、1-139、1-140、1-141、1-142、1-143、1-144、1-147、1-148、1-149、1-150、1-151、1-152、1-155、1-156、1-157、1-158、1-159、1-160、1-163、1-164、1-165、1-166、1-167および1-168を含む。
【0081】
例示的なARCSは、化合物1-101~化合物1-172からなる群から選択された任意の化合物を含む。
表1 ARCS化合物の非限定的な例
【化46-1】
【化46-2】
【化46-3】
【化46-4】
【化46-5】
【化46-6】
【化46-7】
【化46-8】
【化46-9】
【化46-10】
【化46-11】
またはその薬学的に許容される塩。
【0082】
E.医薬組成物
本開示のARCSは、所望の結果を生成することができる任意の便利な手段を使用して、対象に投与されてもよい。したがって、本開示のARCSは、治療投与のための様々な製剤に組み込むことができる。より詳細には、本開示のARCSは、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせによって医薬組成物に製剤化されてもよく、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入剤およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体、またはガス状の形態で製剤化されてもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載のARCSおよび少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体、例えば、製薬業界で一般的に使用される任意の担体を含む組成物を指す。「薬学的に許容される」という用語は、本明細書では、妥当な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題または合併症なしに、ヒトおよび動物の組織に接触して使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物および/または剤形を指すように用いられる。
【0084】
医薬組成物の投与は、経口、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内など、様々な方法で達成することができる。医薬剤形では、医薬組成物は、単独でまたは他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて投与されてもよい。
【0085】
医薬組成物中のARCSの量は、重量、モルまたは体積に基づいてもよい。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも0.0001%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも0.1%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも0.5%のARCSを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、ARCSの化合物の少なくとも1%を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも2%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも3%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも4%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも5%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも10%のARCSを含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、ARCSの0.05%~90%を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、ARCSの0.1%~85%を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、0.5%~80%のARCSを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、1%~75%のARCSを含有する。一部の実施形態において、医薬組成物は、2%~70%のARCSを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、ARCSの3%~65%を含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、ARCSの4%~60%を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、5%~50%のARCSを含む。
【0086】
また、特定のARCSは、治療のために遊離形態または適切な場合、その薬学的に許容される誘導体として存在することができることも理解されるであろう。本開示によると、薬学的に許容される誘導体として、限定されないが、薬学的に許容される塩、エステル、このようなエステルの塩またはARCSのプロドラッグもしくはその他の付加物もしくは誘導体が含まれ、ARCSは、必要のある患者への投与時に、本明細書に記載されるように化合物またはその代謝物もしくは残渣を、直接的または間接的に提供することができる組成物に含まれる。
【0087】
上述したように、本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含んでもよく、賦形剤は本明細書で使用される場合、所望される特定の剤形に好適な、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁液助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、抗酸化剤、固体結合剤、潤滑剤等を含む。
【0088】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造支援(例えば、潤滑剤、タルクマグネシウム、カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛またはステアリン酸)または一つの臓器もしくは身体の一部から、別の臓器もしくは一部に対象化合物を運ぶもしくは輸送することに関与する溶媒封入材料などの、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と互換性があり、患者に有害ではないという意味で、「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例として、(1)ラクトース、グルコースおよびショ糖などの糖、(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体、(4)粉末化されたトラガカンス、(5)モルト、(6)ゼラチン、(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの潤滑剤、(8)ココアバターおよび座薬ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギニン酸、(16)パイロジェンフリー水(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などのバルク化剤(23)血清アルブミン、HDLおよびLDLなどの血清成分、(24)エタノールなどのC2-C12アルコール、および(25)医薬品製剤に使用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤および抗酸化剤も、製剤中に存在し得る。本明細書では、「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容可能な担体」などの用語が交換可能に使用される。
【0089】
本明細書の組成物の調製のための有用な医薬担体は、固体、液体またはガスであり得る。適切な医薬担体およびその製剤は、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。こうした組成物は、いずれにしても、レシピエントへの適切な投与のための適切な剤形を調製するために、適切な担体と共に有効量のARCSを含有する。
【0090】
経口投与のための液体剤形としては、以下に限定されないが、医薬的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。ARCSに加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、ピーナッツ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびそれらの混合物などの当該技術分野で一般的に使用される不活希釈剤を含むことができる。不活希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などのアジュバントも含み得る。
【0091】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒が含まれる。このような固体剤形において、ARCSは、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも一つの不活性、薬学的に許容される賦形剤または担体および/またはa)デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、ケイ酸などの充填剤または延長剤、b)結合剤、例えば、例えば カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖およびアカシア、c)グリセロールなどの保水剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにこれらの混合物を含む。カプセル、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0092】
類似の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに充填剤として使用することができる。錠剤、糖剤、カプセル、丸剤および顆粒の固形剤形は、腸溶性コーティングなどのコーティングおよびシェルならびに医薬製剤技術で周知の他のコーティングを用いて調製することができる。これらの固体剤形は、任意選択的に不透明化剤を含有してもよく、また活性成分のみを放出する、または優先的に、腸管の特定の部分において、任意選択的に、遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。類似の種類の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに充填剤として使用することができる。
【0093】
ARCSはまた、上述のように、一つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル形態であってもよい。錠剤、糖剤、カプセル、丸剤および顆粒の固形剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングなどのコーティングおよびシェルならびに医薬製剤技術で周知の他のコーティングを用いて調製することができる。こうした固体剤形では、ARCSは、ショ糖、ラクトースおよびデンプンなどの少なくとも一つの不活性希釈剤と混合され得る。こうした剤形はまた、通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、打錠潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを含み得る。カプセル、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。これらの固体剤形は、任意選択的に不透明化剤を含有してもよく、また活性成分のみを放出する、または優先的に、腸管の特定の部分において、任意選択的に、遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
【0094】
非経口投与に適した製剤は、都合よく、好ましくはレシピエントの血液と等張性の薬剤の滅菌水性調製物を含む。適切な賦形剤溶液には、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、水、乳酸リンゲル液またはデキストロース(水中5%)が含まれる。こうした製剤は、薬剤を水と混合して溶液または懸濁液を生成することによって便利に調製することができ、滅菌容器に充填され、細菌汚染に対して密封される。滅菌材料は、最終滅菌の必要性を回避するために、無菌製造条件下で使用されることが好ましい。かかる製剤は、一つ以上の追加の成分を任意選択的に含有することができ、ヒドロキシ安息香酸メチル、クロロクレゾール、メタクゾール、フェノールおよび塩化ベンザルコニウムなどの保存剤が含まれうる。かかる物質は、製剤が多用量容器に提示される場合に特別な価値がある。
【0095】
緩衝液も含有されて、製剤に適切なpH値を提供することができる。適切な緩衝材料としては、リン酸ナトリウムおよび酢酸ナトリウムが挙げられる。塩化ナトリウムまたはグリセリンを使用して、血液を用いて製剤を等張性にすることができる。
【0096】
所望により、製剤は、窒素などの不活性雰囲気下で容器に充填することができ、単位用量または複数回用量形態、例えば、密封されたアンプルで簡便に提示することができる。
【0097】
当業者は、本開示の方法に従って対象に投与される本開示の組成物の様々な構成要素の量が、上述の要因に依存することを認識する。
【0098】
注射用調製物は、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液を、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知技術に従って製剤化することができる。滅菌された注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌された注射用溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよく、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液としてなどである。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌された固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激の固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0099】
錠剤の非限定的な例は、10mg~100mgの範囲の量の有効成分、70mg~95mgの粉末状のラクトース、10mg~35gの白色トウモロコシデンプン、1mg~8mgのポリビニルピロリドン、1mg~10mgのナトリウム(Na)カルボキシメチルデンプン(CMS)、1mg~5mgのステアリン酸マグネシウムを含み、錠剤重量は200mg~3000mgの範囲である。
【0100】
本開示の錠剤の例は、以下の通りである。
成分 mg/錠剤
有効成分 100
粉末ラクトース 95
白色トウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリドン 8
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
【0101】
カプセルの非限定的な例は、10mg~100mgの範囲の量の有効成分、50mg~75mgの結晶性ラクトース、10mg~35gの微結晶セルロース、1mg~8mgのタルクおよび1mg~5mgのステアリン酸マグネシウムを含み、カプセル充填重量は100mg~3000mgの範囲である。
【0102】
本開示のカプセルの例は、以下の通りである。
成分 mg/カプセル
有効成分 50
結晶性ラクトース 60
微結晶セルロース 34
タルク 5
ステアリン酸 マグネシウム1
カプセル充填重量 150
【0103】
上のカプセルでは、活性成分は適切な粒子サイズを有する。結晶性ラクトースおよび微結晶性セルロースは、互いに均質に混合され、ふるい分けされ、その後、タルクおよびステアリン酸マグネシウムが混合される。最終混合物を、適切なサイズの硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0104】
注射の非限定的な例は、0.05mg~5mgの範囲の量の有効成分、10.0μL~20.0μLの1N HCl、0.1mg~1mgの酢酸、1mg~10mgの塩化ナトリウム、1mg~10mgのフェノール、pHを4~5に調整するために十分な量の1N NaOHおよび十分な量の水を含む。
【0105】
本開示の注射液の例は、以下の通りである。
成分 mg/溶液
活性物質 1.0mg
1 N HCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH q.s.ad pH5
H2O q.s.ad 1mL
【0106】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射可能な媒体中に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0107】
ARCSの効果を延長するために、多くの場合、皮下注射または筋肉内注射からのARCSの吸収を遅くすることが望ましい。これは、低水溶性の液体懸濁液または非結晶性材料の使用によって達成され得る。次いで、ARCSの吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与されるARCS形態の遅延吸収は、油ビヒクルにARCSを溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポ形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中にARCSのマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対するARCSの比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、ARCS放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、(ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ注射用製剤はまた、身体組織と互換性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョンにARCSを封入することによっても調製される。
【0108】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくは、ARCSを、またはココアバター、ポリエチレングリコールなどの適切な非刺激性賦形剤または担体、または周囲温度で固体であるが、体温で液体であり、したがって直腸または膣腔で溶融し、活性化合物を放出する坐薬ワックスと混合することによって調製することができる坐薬である。
【0109】
典型的な座薬製剤は、ARCSまたはその薬学的に許容される塩を含み、この方法で投与された場合、例えば、ポリマーグリコール、ゼラチン、ココアバターまたは他の低融点の植物性ワックスまたは脂肪などの結合剤および/または潤滑剤と共に活性である。典型的な経皮製剤として、従来の水性または非水性ビヒクル、例えば、クリーム、軟膏、ローションまたはペーストが挙げられ、または薬用プラスチック、パッチもしくは膜の形態である。
【0110】
吸入のための典型的な組成物は、例えばジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンなどの従来の噴霧剤を使用してエアロゾルの形態で投与することができる、溶液、懸濁液またはエマルションの形態である。
【0111】
投与経路に応じて、当業者は、それに応じて、ヒト対象などの対象に本明細書に開示される小分子の有効用量を決定し、調整することができる。
【0112】
毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%の致死量)およびED50(集団の50%の治療有効量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な医薬品手順によって決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50の比として表され得る。大きな治療指数を呈する組成物が好ましい。
【0113】
本明細書に提供される医薬組成物の記述は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物を対象とするが、当業者であれば、このような組成物は、概して、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳動物などの任意の他の動物への投与に適していることを理解する。医薬組成物の投与が企図される対象としては、限定されないが、ウシ、ウマ、ニワトリおよびブタなどの農業動物、ネコ、イヌなどの飼育動物またはマウス、ラット、ウサギ、イヌおよび非ヒト霊長類などの研究動物を含む、非ヒト哺乳動物が挙げられる。
【0114】
II.ARCSの使用方法
本明細書に記載されるARCSまたは本明細書に記載されるARCSを含有する組成物は、そのFCBで治療され得る任意の治療疾患または、癌、神経変性疾患、自己免疫疾患または適宜に老化などであるがこれらに限定されない、ARCSの生物学的標的に関連する任意の治療疾患を治療するために投与され得る。製剤は、脳および中枢神経系、目、耳、肺、骨、心臓、腎臓、肝臓、脾臓、乳房、卵巣、結腸、膵臓、筋肉、消化管、口、皮膚などの様々な身体部分に送達され、こうした身体部分に関連する疾患を治療することができる。製剤は、注射、経口または局所的に、典型的には、粘膜表面(肺、鼻腔、口腔、頬側、舌下、膣、直腸)または眼(眼内または経眼)に投与され得る。
【0115】
本開示の態様では、ARCSは生物学的標的に結合する。いくつかの実施形態では、生物学的標的は、以下に限定されないが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)およびシュードキナーゼなどのキナーゼを含む。
【0116】
一部の実施形態では、ARCSは、生物学的標的との共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、生物学的標的の約5%~100%から生物学的標的と共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、生物学的標的の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%から、生物学的標的と共有結合を形成することができる。
【0117】
一部の実施形態では、ARCSは、PI3キナーゼと共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、約5%~100%のPI3キナーゼからPI3キナーゼと共有結合を形成することができる。一部の実施形態では、ARCSは、PI3キナーゼの約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%からPI3キナーゼと共有結合を形成することができる。
【0118】
タンパク質キナーゼおよびシュードキナーゼ
タンパク質キナーゼおよびシュードキナーゼは、正常状態および疾患状態における幅広い生物学的プロセスのためのシグナル伝達経路を調節する(Brognard,J.ら、Curr.Opin.Genet.Dev.2011、21、pp4-11;Cohen,P.ら、Nat.Cell Biol.2002、4、E127-130)。実際、ほとんどの真核生物のプロセスは、キナーゼおよび/またはシュードキナーゼによって制御される。「シュードキナーゼ」という用語は、VAIKモチーフ中のリジンまたはDFGモチーフ中のアスパラギン酸を含む、触媒的に関連する残基を欠いているキナーゼドメインを有するタンパク質を指す。シュードキナーゼの例としては、HER3、STRAD、ILK、KSR1およびKSR2が挙げられる。一部のシュードキナーゼはホスホリル基の伝達が不可能であるが、他のシュードキナーゼは触媒的に関連した残基を欠くにもかかわらずホスホリル基の伝達能力を有する。
【0119】
キナーゼおよびシュードキナーゼは、結合、リン酸化などの共有結合的修飾、立体構造制御、細胞局在化および/または他のプロセスを介して、タンパク質パートナーを阻害および/または活性化することによって機能し得る。タンパク質キナーゼおよびシュードキナーゼは、癌、アルツハイマー病、老化、糖尿病、心血管疾患、CNS関連疾患、免疫学的疾患、アレルギー、高血圧およびパーキンソン病を含むがこれに限定されない、幅広い疾患を促進および/または拮抗することができる。タンパク質キナーゼおよびシュードキナーゼもまた、癌およびパーキンソン病を含むがこれに限定されない複数の疾患において、一般的に変異される。
【0120】
キナーゼおよびシュードキナーゼを標的とする分子は、抗癌剤として作用し得る。残念なことに、一般的な阻害剤は、標的上の短い共鳴時間に起因して、限定的な効力しか示さないことが多い。したがって、以前のキナーゼ阻害剤と比較して、標的における共鳴時間が改善され、および同時に改善された潜在能および有効性を有するキナーゼ阻害剤を発見する必要がある。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示のARCSは、キナーゼおよびシュードキナーゼを標的にしてもよく、これによってキナーゼおよびシュードキナーゼを阻害する。ARCSのFCBは、キナーゼおよびシュードキナーゼの阻害剤であってもよい。ARCSのCLMは、キナーゼおよびシュードキナーゼに共有結合してもよい。
【0122】
一部の実施形態では、本開示は、疾患を治療する方法を提供し、治療有効量の本開示のARCSまたはARCSを含む組成物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含み、患者は、癌、アルツハイマー病、老化、糖尿病、心臓血管疾患、CNS関連疾患、免疫学的疾患、アレルギー、高血圧、またはパーキンソン病などの標的キナーゼまたはシュードキナーゼの調節の変化によって部分的または全体的に引き起こされる疾患を有している。一部の実施形態では、疾患は、PI3Kに関連するか、またはPI3Kが変異している。一部の実施形態では、対象は、PIK3CA遺伝子に突然変異を有する癌を有する。
【0123】
投与
本開示は、本明細書に記載されるARCSを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。本明細書に記載されるARCSを含む組成物は、疾患、障害および/または状態を予防または治療もしくは撮像するために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して、対象に投与されてもよい。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢および全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式などに応じて、対象によって異なる。
【0124】
本開示による組成物は、典型的には、投与の容易さおよび用量の均一性のために、単位剤形で製剤化される。しかしながら、本開示の組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医によって決定され得ることが理解される。任意の特定の患者について、特定の治療有効量、予防的有効量または適切な撮像用量レベルは、治療される障害および障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、患者の年齢、体重、全般的健康、性別および食事、使用される特定の化合物の投与時間、投与経路および排出速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わせて、または偶発的に使用される薬剤、医学分野でよく知られているような要因を含む、様々な要因に依存する。
【0125】
一部の実施形態では、本開示による組成物は、1日つき、対象の体重の約0.0001mg/kg~約100mg/kg~約0.001mg/kg~約0.05mg/kg~約0.005mg/kg~約0.05mg/kg~約0.001mg/kg~約0.005mg/kg~約0.05mg/kg~約0.5mg/kg~約0.01mg/kg~約50mg/kg~約0.1mg/kg~約40mg/kg~約0.5mg/kg~約30mg/kg~約0.01mg/kg~約10mg/kg~約0.1mg/kg~約10mg/kgまたは約1mg/kg~約25mg/kgを送達されるのに十分な用量レベルで、1日に1回以上投与されて、望ましい治療的、診断的、予防的または撮像効果を得ることができる。所望の用量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日おき、毎週、2週間ごと、3週間ごとまたは4週間ごとに送達することができる。一部の実施形態では、所望の用量は、複数の投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14またはそれ以上の投与)を使用して送達されてもよい。複数の投与が採用される場合、本明細書に記載されるものなどの分割投与レジメンを使用してもよい。
【0126】
本明細書で使用される場合、「分割用量」は、単一単位用量または1日総用量を、例えば、単一単位用量の2回以上の投与など、2回以上の用量に分割することである。本明細書で使用される場合、「単一単位用量」は、1回/1回/単一経路/単一接点、すなわち、単回投与事象で投与される任意の治療剤の用量である。本明細書で使用される場合、「1日総用量」は、24時間で投与または処方される量である。1日総用量は、単回単位用量として投与されてもよい。
【0127】
III.キットおよび装置
本開示は、本開示の方法を便利におよび/または効果的に実施するための様々なキットを提供する。典型的には、キットは、十分な量および/または数の構成要素を含み、ユーザーは対象の複数の治療を行い、および/または複数の実験を行うことができる。
【0128】
一実施形態では、本開示は、インビトロまたはインビボで腫瘍細胞の成長を阻害するためのキットを提供し、このキットは、本開示のARCSまたは本開示のARCSの組み合わせを任意選択的に任意の他の活性薬剤と組み合わせて含んでいる。
【0129】
キットは、製剤組成物を形成するためのパッケージングおよび/または説明書、ならびに/または送達剤をさらに含んでいてもよい。送達剤は、生理食塩水、緩衝溶液または本明細書に開示される任意の送達剤を含んでもよい。各成分の量は、一貫した、再現性のあるより高濃度の生理食塩水または単純な緩衝液製剤を可能にするように変化させてもよい。構成要素はまた、ある期間にわたっておよび/または様々な条件下で、緩衝液中のARCSの安定性を増加させるために変化させてもよい。
【0130】
本開示は、本開示のARCSを組み込むことができる装置を提供する。これらの装置は、ヒト患者などの、それを必要とする対象に直ちに送達することができる安定した製剤に含まれる。一部の実施形態では、対象は癌を有する。
【0131】
装置の非限定的な例として、ポンプ、カテーテル、針、経皮パッチ、加圧臭覚送達装置、イオン泳動装置、多層マイクロ流体装置が挙げられる。装置は、単一、複数または分割投与レジメンに従って、本開示のコンジュゲートおよび/または粒子を送達するために用いられてもよい。装置は、生体組織、皮内、皮下または筋肉内に本開示のコンジュゲートおよび/または粒子を送達するために用いられてもよい。
【0132】
A.アッセイ
生物学的標的へのARCSの共有結合は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ゲルアッセイ、抗体アレイ、ウェスタンブロット、親和性ELISA、ELISPOT、免疫化学(例えば、IHC)、in situハイブリダイゼーション(ISH)、フローサイトメトリー、免疫細胞学、表面プラズモン共鳴分析、動態排除アッセイ、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、タンデム質量分析(MS/MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、BCAアッセイ、免疫電気泳動、SDS-PAGE、タンパク質免疫沈降および/またはPCRを含む。
【0133】
本明細書で使用される場合、「アッセイ」という用語は、報告された結果に関連する一連の活動を指し、これには、細胞播種、試験材料の調製、感染、溶解、分析および結果の計算が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0134】
いくつかの実施形態では、基材上のアッセイ表面は、滅菌されており、生物学的産物の大規模(例えば、産業規模)製造の間、培養条件を表す条件下で細胞を培養するのに適している。いくつかの実施形態では、基材の外部は、アッセイ表面に対応する位置に、ウェル、くぼみ、境界などを含む。一部の実施形態では、ウェル、くぼみ、境界または類似のものは、アッセイ表面上に、例えば細胞培養培地などの流体を保持する。
【0135】
いくつかの実施形態では、基材は、マイクロアレイプレート、バイオチップなどを含み、培養細胞による生物学的産物の産生に関する、一連の試験剤、条件および/またはそれらの組み合わせのハイスループット、自動試験を可能にする。例えば、基材は、mカラムおよびn列のアッセイ表面(例えば、ウェル内に存在する)を有する2次元マイクロアレイプレートまたはバイオチップを含んでもよく、(例えば、24ウェル、96ウェルまたは384ウェルのマイクロアレイプレート上で)試験剤および/または条件のm×nの組み合わせの試験を可能にする。マイクロアレイ基材は、薬剤および/または条件の試験と並行して、すべての必要なポジティブおよびネガティブコントロールを実施することができるように設計されることが好ましい。
【0136】
B.スクリーニング方法
一般的に、生物学的標的との共有結合を形成する治療用コンジュゲートの合成は、複数の合成および精製工程を伴う。こうした合成および精製工程を使用する場合、スクリーニング目的のために治療用コンジュゲートのライブラリを生成することまたは構造-活性関係(SAR)を開発することは困難な場合がある。有機合成の方法を使用して治療用コンジュゲートのライブラリを自動的に生成する方法およびシステムに対するニーズが依然として存在する。治療用コンジュゲート薬剤リードを発見するためには、タンパク質受容体に対する治療用コンジュゲートのライブラリをスクリーニングし、細胞環境で受容体に特異的に結合する分子を識別しなければならず、結合は共有結合的であり不可逆的である。治療用コンジュゲートが細胞内の特定の標的に共有結合するかどうかを特定することは、証明するのが困難である。
【0137】
生物学的標的へのそれらの共有結合のための治療用コンジュゲートをスクリーニングするための当技術分野の現在の方法は、タンデム質量分析アプローチを含む。タンデムMSまたはMS/MSは、選択されたイオンをフラグメントイオンに分解する方法である。試料がイオン化されてイオンの混合物を生成すると、特定の質量対電荷比(m/z)の前駆体イオンが選択され(MS1)、次いでフラグメント化(MS2)されて、検出用の生成物イオンが生成される。選択されたイオンの化学構造についての情報を、断片から決定することができる。
【0138】
しかしながら、質量分析法に関連する課題がある。質量分析法は、薬物様分子スクリーニングではなく、主に断片スクリーニングに限定される。治療用コンジュゲートの質量分析解析は、いくつかの断片を特定することが困難であるため、未解決の分析をもたらすことになる。このアプローチは、処理時間が長い複数ステップのプロセスを伴い、手動による分析を伴う。MS/MSは、複合体、より大きい分子をデフラグメントし、各ペプチドによって手動で組み合わせることが必要であるため、得られたデータを解釈することが難しい。質量分析法を使用する別の欠点は、検出が存在量よりもイオン化に比例し、この手法をわずかに定量的にすることである。
【0139】
したがって、治療用コンジュゲートの合成およびスクリーニングに関連する課題がある。第一に、システインアミノ酸および非システインアミノ酸の両方にアクセスすることができる標的共有結合性阻害剤を生成することは困難である。偽陽性共有結合性阻害剤を実際の陽性と区別することも困難である。
【0140】
前述の問題に対処するために、発明者らは、コンビナトリアル合成アプローチを、信頼性のあるスクリーニングアプローチと組み合わせて、潜在的な治療用コンジュゲートを識別した。本開示は、治療用コンジュゲートを合成するためのハイスループット複合アプローチを提供し、共有結合を迅速に追跡し、作用持続時間について大型ライブラリを分析し、細胞内の共有結合的標的結合を直接的に定量する。
【0141】
MS/MS法を用いることにより、ナノモル感度を有する数十の分子と比較して、ピコモル感度で1日あたり数千の分子をスクリーニングすることができる。本開示は、任意の薬剤分子に適合し、断片に限定されず、95~99%の再現性で定量的結果をもたらす。
【0142】
いくつかの実施形態では、ARCSのライブラリをスクリーニングする方法は、
組成物中にARCSのライブラリを生成することと、
ライブラリを標的細胞に接触させることと、
標的細胞を溶解して可溶化物を生成することと、
可溶化物を標識することと、および
標的細胞上の生物学的標的へのARCSの共有結合を検出することを含む。
【0143】
標的細胞として本明細書に提供される方法において有用なヒト細胞株の例として、限定されるものではないが、293T(胚性腎臓)、786-0(腎性)、A498(腎)、A549(肺胞基底上皮)、ACHN(腎性)、BT-549(乳房)、BxPC-3(膵臓)、CAKI-1(腎性)、Capan-1(膵臓)、CCRF-CEM(白血病)、COLO205(結腸)、DLD-1(結腸)、DMS114(小細胞肺)、DU145(前立腺)、EKVX(非小細胞肺)、HCC-2998(結腸)、HCT-15(結腸)、HCT-116(結腸)、HT29(結腸)、HT-1080(線維肉腫)、HEK293(胚性腎臓)、HeLa(子宮頸癌)、HepG2(肝細胞癌)、HL-60(TB)(白血病)、HOP-62(非小細胞肺)、HOP-92(非小細胞肺)、HS 578T(乳房)、HT-29(結腸腺がん)、IGR-OV1(卵巣)、IMR32(神経芽腫)、Jurkat(Tリンパ球)、K-562(白血病)、KM12(結腸)、KM20L2(結腸)、LAN5(神経芽腫)、LNCap.FGC(白人前立腺腺がん)、LOX IMVI(黒色腫)、LXFL529(非小細胞肺)、M14(黒色腫)、M19-MEL(黒色腫)、MALME-3M(黒色腫)、MCFlOA(乳腺上皮)、MCF7(乳腺)、MDA-MB-453(乳腺上皮)、MDA-MB-468(乳房)、MDA-MB-231(乳房)、MDA-N(乳房)、MOLT-4(白血病)、NCI/ADR-RES(卵巣)、NCI-H226(非小細胞肺)、NCI-H23(非小細胞肺)、NCI-H322M(非小細胞肺)、NCI-H460(非小細胞肺)、NCI-H522(非小細胞肺)、OVCAR-3(卵巣)、OVCAR-4(卵巣)、OVCAR-5(卵巣)、OVCAR-8(卵巣)、P388(白血病)、P388/ADR(白血病)、PC-3(前立腺)、PERC6(登録商標)(E1形質転換胚性網膜)、RPMI-7951(黒色腫)、RPMI-8226(白血病)、RXF 393(腎性)、RXF-631(腎性)、Saos-2(骨)、SF-268(CNS)、SF-295(CNS)、SF-539(CNS)、SHP-77(小細胞肺)、SH-SY5Y(神経芽細胞腫)、SK-BR3(乳房)、SK-MEL-2(黒色腫)、SK-MEL-5(黒色腫)、SK-MEL-28(黒色腫)、SK-OV-3(卵巣)、SN12K1(腎性)、SN12C(腎性)、SNB-19(CNS)、SNB-75(CNS)SNB-78(CNS)、SR(白血病)、SW-620(コロン)、T-47D(乳房)、THP-1(単球由来マクロファージ)、TK-10(腎性)、U87(膠芽腫)、U293(腎臓)、U251(CNS)、UACC-257(黒色腫)、UACC-62(黒色腫)、UO-31(腎)、W138(肺)およびXF498(CNS)が挙げられる。
【0144】
本明細書に提供される方法に有用な齧歯類細胞株の例として、限定されるものではないが、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞(例えば、BHK21細胞、BHK TK-細胞)、マウスSertoli(TM4)細胞、バッファローラット肝臓(BRL 3A)細胞、マウス乳腺腫瘍(MMT)細胞、ラット肝腫(HTC)細胞、マウス骨髄腫(NS0)細胞、マウスハイブリドーマ(Sp2/0)細胞、マウス胸腺腫(EL4)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびCHO細胞誘導体、マウス胚性(NIH/3T3、3T3Ll)細胞、ラット心筋(H9c2)細胞、マウス筋芽細胞(C2C12)細胞およびマウス腎臓(miMCD-3)細胞が挙げられる。
【0145】
本明細書に提供される方法に有用な非ヒト霊長類細胞株の例として、以下に限定されないが、サル腎臓(CVI-76)細胞、アフリカグリーンサル腎臓(VERO-76)細胞、グリーンサル線維芽細胞(Cos-1)細胞およびSV40(Cos-7)により形質転換されたサル腎臓(CVI)細胞が挙げられる。追加の哺乳類細胞株は、当業者に既知であり、American Type Culture Collectionカタログ(ATCC(登録商標)、ママサス、バージニア州)でカタログ化されている。
【0146】
一部の実施形態では、細胞は、化学的および/または機械的溶解を使用して溶解される。いくつかの実施形態では、化学溶解は、プロテアーゼ阻害剤、リン酸緩衝生理食塩水、およびTriton X100を含む溶解緩衝液を含む。一部の実施形態では、細胞は、溶解緩衝液を-80℃で約30分~約72時間添加した後に凍結させることができる。あるいは、細胞可溶化物は、2~8℃の範囲内または室温で保存することができる。いくつかの実施形態では、細胞は遠心分離され、細胞可溶化物が収集される。いくつかの実施形態では、3,750RPMで、室温で10分間、遠心分離器中で細胞を回転させることによって実施される。
【0147】
本明細書に記載される方法は、限定されるものではないが、細胞プレート、例えば、24ウェルプレート、48ウェルプレート、96ウェルプレートまたは384ウェルプレート、個々の細胞培養プレートまたはフラスコ、例えば、Tフラスコまたは振とうフラスコを含む、広範な細胞アッセイフォーマットのいずれかを利用することによって実施することができる。
【0148】
ARCSの共有結合は、限定されるものではないが、ゲルアッセイ、NanoBRETアッセイ、ウェスタンブロット、ELISAまたはマイクロアレイなどのアッセイによって検出することができる。例えば、ゲルアッセイは、マイクロ流体または毛細管技術を含んで、タンパク質をサイズ別に分離することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、共有結合は、ゲルアッセイによって検出される。「ゲルアッセイ」は、細胞または細胞可溶化物が、まず、1ピコモル-1ミリモルの用量で、2分~120時間の長さで、一般的な細胞培養技術を含むが、これらに限定されない当業者に公知の技術を使用して、ARCSで最初に処理されるアッセイとして定義される。次いで、細胞を、限定されないが、超音波処理または緩衝液溶解を含む当業者に公知の技術を使用して溶解する。細胞の非精製可溶化物としても記載される、得られた可溶化物は、さらに調製されて、遠心分離を含むがこれに限定されない当業者に公知の技術を使用して、精製された可溶化物を生成することができる。精製または未精製の可溶化物は、対象の分子に共有結合しているタンパク質を含有する可能性が高い。「カップリング試薬」および標識分子を、精製または未精製の可溶化物に添加し、反応混合物中のARCSを、銅を含まないまたは銅駆動のクリック化学反応を介して標識分子で共有結合的に標識する。次いで、標識分子に結合している化合物が添加され、これにより、化学量論の信頼性の高い分離および信頼性の高い共有結合性薬物追跡が可能となる。次いで、試料を、当業者に周知のウェスタンブロット法を介して実行する。その後、共有結合の量は、未処置のバンドと比較した薬物処置されたバンドのシフトに基づいて追跡することができる。バンドは、デンシトメトリーを使用して定量することができ、バンドの相対存在量を使用して、共有結合標識の定量的量を決定することができる。
【0150】
概して、高分子量のタンパク質/質量のARCSへの共有結合が、ゲル中の標的-ARCS-高分子量のタンパク質質量複合体のシフトにつながる。高分子量タンパク質または任意の種類の分子に結合されたアジド結合分子が、ARCS上でアルキンに直接的に連結されている場合、シフトは依然として起こり、ARCSの標的への共有結合を検出することが可能になる。
【0151】
いくつかの実施形態では、共有結合は、ゲルのみのシフトアッセイによって検出される。「ゲルのみのシフトアッセイ」は、タンパク質が(トランスフェクションまたは感染を介して)任意の細胞型に発現され、タグ付けドメインに連結されるアッセイとして定義される。このタグ付けドメインは、蛍光タンパク質またはリンカータンパク質を含む。蛍光タンパク質には、GFP、RFPなどが含まれる。このリンカータンパク質には、HALO、SNAP-、CLIP-、ACP-およびMCP-タグが含まれる。トランスフェクションまたは感染の後、細胞は次に、本開示の治療用コンジュゲートで処理され、治療用コンジュゲートは、潜在的に共有結合することができるアルキンを含有する。その後、細胞は溶解する。リンカータンパク質を用いたタンパク質の発現の場合、次いで、蛍光染料を対象タンパク質に共有結合するために「カップリング試薬」が加えられる。次いで、可溶化液をゲル上で実行し、ゲル内蛍光を介して標的タンパク質を、ウェスタンブロット転写を必要とせずに可視化することができる。共有結合の量は、未処理のバンドと比較した薬剤処理されたバンドのシフトに基づいて追跡することができる。バンドは、デンシトメトリーを使用して定量することができ、バンドの相対存在量を使用して、共有結合標識の定量的量を決定することができる。
【0152】
タグ付けドメインは、標的の標識化を可能にする任意のドメインとすることができる。いくつかの実施形態では、タグ付けドメインは、標識を含む。この標識は、抗体によって認識されるエピトープまたは検出可能な光もしくは放射性標識などのドメイン自体に含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光マーカー、例えば、FITC、フィコビリタンパク質、例えば、R-もしくはB-フィコエリスリン、アロフィコシアニン、AlexaFluor染料、Cy3、Cy5、Cy7、発光マーカー、125Iもしくは32Pなどの放射性標識、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼなどの酵素またはアルカリホスファターゼ、例えば、アルカリシュリンプホスファターゼからなる群から選択される。
【0153】
一部の実施形態では、本明細書で使用される場合「蛍光タンパク質」は、限定されるものではないが、オワンクラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、GFPの構造バリアント(すなわち、循環置換、単量体型)、GFPのフォールディングバリアント(すなわち、より可溶性の型、スーパーフォルダー型)、GFPのスペクトルバリアント(すなわち、YFP、CFP)およびGFP様蛍光タンパク質(すなわちDsked)である。「GFP様蛍光タンパク質」という用語は、11ベータ鎖のGFPのバレル構造ならびにその構造、折り畳みおよびスペクトルバリアントを共有するAntho Zoa蛍光タンパク質のメンバーを指すために使用される。「GFP様非蛍光タンパク質」および「GFP様発色タンパク質」(または単に「発色タンパク質」または「色素タンパク質」)は、11ベータ鎖のGFPのバレル構造ならびにその構造、折り畳みおよびスペクトルバリアントを共有する、花虫綱およびヒドロ虫綱の発色タンパク質を指すために使用される。
【0154】
いくつかの実施形態では、共有結合は、ウェスタンブロットベースシフトアッセイによって検出される。「ウェスタンブロットベースシフトアッセイ」は、試料が当業者に周知のウェスタンブロット法を介して実行されるアッセイとして定義される。その後、共有結合タンパク質が非共有結合バンドと比較してシフトするため、標的のシフトに基づいて共有結合の量を追跡することができる。バンドは、デンシトメトリーを使用して定量することができ、バンドの相対存在量を使用して、共有結合標識の定量的量を決定することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、共有結合は、ELISAアッセイによって検出される。いくつかの実施形態では、共有結合は、ELISAアッセイ1によって検出される。「ELISAアッセイ1」は、ビオチン標識薬剤を含有する可溶化液が、単量体もしくは四量体ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンバリアントもしくはビオチンに結合する分子とのハイブリダイゼーションを介して、固体支持体上に固定されているアッセイとして定義される。薬剤を固定した後、検出抗体を加えて、対象の薬剤標的を検出する。検出抗体は、酵素に共有結合されてもよく、または酵素または蛍光標識に連結された二次抗体によってそれ自体が検出されてもよい。生体共役反応を通して。各工程の間で、プレートは溶液で洗浄されて、非特異的に結合されている任意のタンパク質または抗体を除去する。最終洗浄工程の後、プレートは、酵素基質を添加して可視シグナルを生成することによって開発され、対象の標的への共有薬剤結合の量を示す。共有結合の量は、シグナルの量に基づいて追跡することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、共有結合は、ELISAアッセイ2によって検出される。「ELISAアッセイ2」は、対象の標的を結合する抗体とのハイブリダイゼーションを介して固体支持体上に固定化されるアッセイとして定義される。対象の標的を固定した後、検出抗体、単量体/四量体ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンバリアントを添加して、対象の標的に結合されている薬剤を検出する。検出抗体、単量体/四量体ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンバリアントは、酵素または蛍光標識に共有結合されていてもよく、または生体共役反応によって酵素または蛍光標識に連結された二次抗体によってそれ自体が検出されてもよい。各工程の間で、プレートは溶液で洗浄されて、非特異的に結合されている任意のタンパク質または抗体を除去する。最終洗浄工程の後、プレートは、酵素基質を添加して可視シグナルを生成することによって開発され、または蛍光シグナルを直接的に測定し、対象の標的への共有薬剤結合の量を示す。共有結合の量は、シグナルの量に基づいて追跡することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、共有結合は、抗体アレイによって検出される。「抗体アレイ」は、個々の抗体または複数の抗体が固体支持体に結合されて、その抗体に結合する対象のタンパク質および対象のタンパク質に結合している分子の検出を可能にするシステムとして定義される。抗体マイクロアレイは、特定の抗体が各ドットまたはウェルにハイブリダイズされた一連の個々のドットまたはウェルからなる(米国特許第20120231963A1号に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。結合した精製または未精製の可溶化液を「抗体マイクロアレイ」に添加して、異なるタンパク質の分離、抗体結合パートナーへの特異的タンパク質の局在化または追加のタンパク質の洗浄を可能にする。標識された対象の分子は、各マイクロアレイドットまたはウェルで検出されて、ビオチン標識分子の存在を検出して標識レベルを明らかにすることによって、特定のタンパク質または複数のタンパク質への対象分子の共有結合の量を調べる。各ドットでの標識レベルは、特定の抗体にハイブリダイズした特定のタンパク質の共有結合標識の量を示す。分子上のビオチン標識は、蛍光、発光、FRETまたはBRETアッセイなどの当業者に公知の技術を含むがこれに限定されない、標識に結合する蛍光分子または発光酵素の添加を介して検出することができる。この読み出しは、限定されるものではないが、蛍光または発光検出スキームを含む、当業者に公知のアプローチを使用して検出することができる。
【0158】
いくつかの実施形態では、可溶化液は、ビオチンで標識されて、ビオチン化化合物を生成する。いくつかの実施形態では、ストレプトアビジンは、ビオチン化化合物に結合するように添加される。一部の実施形態では、ストレプトアビジンは単量体である。いくつかの実施形態では、ビオチン化化合物は、クリックケミストリーによって生成される。いくつかの実施形態では、化合物は、ARCSを用いた処理、細胞の単離および細胞溶解の後、クリックケミストリーで標識される。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー試薬は、ピコリルアジドを含む。
【0159】
本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー」という用語は、ヒュスゲン環化付加反応またはアジドと末端アルキンとの間の2,3-二極性環化付加反応を指し、1,2,4-トリアゾールを形成する。本明細書で使用される場合、「環化付加反応」という用語は、二つ以上のπ電子系(例えば、同じ分子の不飽和分子または不飽和部分)が結合して、結合多重性の正味の減少がある環状生成物を形成する化学反応を指す。環化付加反応では、π電子を使用して新しいシグマ結合が形成される。π電子の生成物は、「付加体」または「環化付加物」と呼ばれる。[3+2]環化付加反応およびディールス・アルダー反応を含むがこれらに限定されない異なる種類の環化付加反応は当技術分野で公知である。[3+2]環化付加反応は、2,3-二極性環化付加反応とも呼ばれ、1,3-二極と親双極子との間で生じ、一般的に5員のヘテロ環の構築に使用される。「[3+2]環化付加反応」という用語は、アジド、シクロオクチン誘導体とジフルオロシクロオクチンとの間で「銅抜き」[3+2]環化付加反応も含み、Bertozziら、J.Am.Chem.Soc.,2004,126:15046-15047に記載されている。ヒュスゲン環化付加反応を促進するために使用することができる任意の試薬を、クリックケミストリー試薬として使用することができる。いくつかの実施形態では、クリックケミストリー試薬は、ピリジルアジドを含む。いくつかの実施形態では、クリック化学試薬は、ピリジルアジドを含む。限定されないが、ピリジルアジドの任意の異性体を使用してもよい。
【0160】
一部の実施形態では、ARCSは、一つ以上の放射性物質または検出可能な薬剤と会合、または結合していてもよい。これらの薬剤として、様々な有機小分子、無機化合物、ナノ粒子、酵素または酵素基質、蛍光材料、発光材料(例えば、ルミノール)、生物発光材料(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリン)、化学発光材料、放射性物質(例えば、18F、67Ga、81mKr、82Rb、111In、123I、133Xe、201Tl、125I、35S、14C、3Hまたは99mTc(例えば、ペルテクネチン酸(テクネチン酸(VII)、TcO4
-))および造影剤(例えば、金(例えば、金ナノ粒子)、ガドリニウム(例えば、キレート化Gd)、酸化鉄(例えば、超常磁性酸化鉄(SPIO)、単結晶酸化鉄ナノ粒子(MION)、超々常磁性酸化鉄(USPIO)、マンガンキレート(例えば、Mn-DPPP)、硫酸バリウム、ヨウ素化造影剤(イオヘキソール)、マイクロバブルまたはペルフルオロカーボン)が挙げられる。こうした光学的に検出可能な標識としては、例えば、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸、アクリジンおよび誘導体(例えば、アクリジンおよびアクリジンイソチオシアネート)、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5 ジスルホナート、N-(4-アニリノ-L-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、BODIPY、ブリリアントイエロー、クマリンおよび誘導体(例えば、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)および7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151))、シアニン染料、シアノシン、4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、5’5’ ’-ジブロモピロガロール-スルホナフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、ジエチレントリアミンペンタ酢酸塩、4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、5-[ジメチルアミノ]-ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダニルクロリド)、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC)、エオシンおよび誘導体(例えば、エオシンおよびエオシンイソチオシアネート)、エリスロシンおよび誘導体(例えば、エリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネート)、エチジウム、フルオレセインおよび誘導体(例えば、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、キスローダミン-5-(および-6)-イソチオシアン酸塩(QFITCまたはXRITC)およびフルオレスカミン)、2-[2-[3-[[1,3-ジヒドロ-1,1-ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-2ーベンゾ[e]インドール-2-イリデン]エチリデン]-2-[4-(エトキシカルボニル)-1-ピペラジニル]-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-1,1-ジメチル-3-(3-スルホルプロピル)-1ーベンゾ[e]インドリウム水酸化物、分子内塩、N,N-ジエチルエタンアミン(1:1)(IR144)有する化合物、5-クロロ-2-[2-[3-[(5-クロロ-3-エチル-2(3H)-ベンゾチアゾール-イリデン)エチリデン]-2-(ジフェニルアミノ)-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-3-エチルベンゾチアゾリウムペルクロラート(IR140)、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリフェロンオルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラロサニリン、フェノールレッド、B-フィコエリスリン、オフタジアルデヒド、ピレンおよび誘導体(例えば、ピレン、ピレンブチレートおよびスクシンイミジル1-ピレン)、酪酸量子ドット、Reactive Red4(CIBACRONTM Brilliant Red 3B-A)、ローダミンおよび誘導体(例えば、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミンの塩化スルホニル誘導体101(テキサスレッド)、N,N,N’,N’テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)テトラメチルローダミンおよびテトラメチルローダミンイソシアネート(TRITC))、リボフラビン、ロゾール酸、テルビウムキレート誘導体、シアニン-3(Cy3)、シアニン-5(Cy5)、シアニン-5.5(Cy5.5)、シアニン-7(Cy7)、IRD 700、IRD 800、Alexa 647、La Jolta Blue、フタロシアニン、およびナフタロールシアニンが挙げられる。
【0161】
いくつかの実施形態では、検出可能な薬剤は、活性化時に検出可能になる非検出可能前駆体(例えば、蛍光テトラジン-フルオロフォア構築物(例えば、テトラジン-BODIPY FL、テトラジン-オレゴングリーン488またはテトラジン-BODIPY TMR-X))または酵素活性化性蛍光発生剤(例えば、PROSENSE(登録商標)(Vis Medical社)))であってもよい。
【0162】
IV.定義
本明細書で使用される場合、「ARCS」という用語は、FCBおよびCLMを結合またはリンカーによって連結することによって形成される任意の治療用コンジュゲートを指す。一部の実施形態では、ARCSは、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチドまたはタンパク質などの一つ以上の標的との共有結合を形成することができる。いくつかの実施形態では、共有結合は、0~50℃の温度で、48時間以内に、10mMの治療用量で、水溶液中に形成される。
【0163】
本明細書で使用される場合、「FCB」という用語は、既知の薬剤、診断化合物、薬剤候補および機能的断片および/または前述のいずれかの組み合わせであり得る治療モダリティを指す。FCBは、遊離酸および遊離塩基形態、光学異性体および互変異性体、薬剤の放射性同位体および薬学的に許容される塩、そのプロドラッグまたは断片を含むアイソトープを含む。FCBは、小分子、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、糖、核酸またはそれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、FCBは、DNAまたはRNAを含むがこれに限定されない核酸である。FCBは、限定されないが、抗癌剤、抗神経変性剤、自己免疫薬および抗老化剤などの治療剤であってもよい。FCBは、非共有結合的に生物学的標的に結合していてもよい。一部の実施形態では、FCBは薬剤の機能的断片であってもよい。本明細書で使用される場合、「機能的断片」という用語は、薬剤の望ましい効果を誘発することができる薬剤またはその誘導体もしくは類似体の一部を指す。一部の実施形態では、FCBはアルキン官能基を含んでいてもよい。一部の実施形態では、FCBはアルキン官能基を含んでいなくてもよい。
【0164】
本明細書で使用される場合、「CLM」という用語は、生物学的標的との共有結合を形成することができる任意の共有結合モダリティを指す。CLMは、結合またはリンカーによってFCBに連結されていてもよい。CLMは、生物学的標的と共有結合を形成することができる一つ以上の化学的部分を含んでいてもよい。化学的部分は、親電子基または求核基であってもよい。
【0165】
本明細書において使用される場合、「リンカー」という用語は、化合物の二つの部分を接続する有機部分を指す。リンカーは、外部リンカーまたは内部リンカーであってもよい。外部リンカーは、FCB部分とCLM部分を接続することができる。内部リンカーを使用して、CLM部分を結合することができる。特定の実施形態では、CLMは内部リンカーまたはスペーサーを含んでいてもよい。内部リンカーまたはスペーサーは、CLMの二つの部分を組み合わせてもよく、またはCLMに結合することができる。外部または内部リンカーは、結合、置換および非置換C1~C30アルキル、置換および非置換C2~C30アルケニル、置換および非置換C2~C30アルキニル、置換および非置換C3~C30シクロアルキル、置換および非置換C1~C30ヘテロシクロアルキル、置換および非置換C3-C30シクロアルケニル、置換および非置換C1-C30ヘテロシクロアルケニル、置換および非置換アリールならびに置換および非置換ヘテロアリールからなる群から選択することができる。リンカーは、切断可能であっても非切断可能であってもよい。
【0166】
本明細書において使用される場合、「生物学的標的」という用語は、FCBが非共有結合的に結合して治療効果を産生する任意の標的を指す。CLMは、共有結合的に生物学的標的に結合している。一部の実施形態では、生物学的標的はタンパク質である。
【0167】
本明細書で使用される場合、「毒性」という用語は、細胞、生体組織または細胞環境に有害または有毒である物質または組成物の能力を指す。低毒性は、細胞、生体組織または細胞環境に有害または有毒である物質または組成物の弱毒した能力を指す。こうした弱毒または低毒性は、標準尺度、治療に対して、または治療の非存在に対して相対的であってもよい。
【0168】
本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、図示した構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物は、ARCSと交換可能に使用される。したがって、本明細書で使用される場合、ARCSは、図示した構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含むことも意味する。本明細書で使用される場合、FCBおよびCLMは、図示した構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体および同位体を含むことも意味する。
【0169】
本明細書に記載される化合物は、非対称であってもよい(例えば、一つ以上の立体中心を有する)。エナンチオマーおよびジアステレオマーなどのすべての立体異性体は、別段の示唆がない限り意図される。非対称に置換された炭素原子を含む本開示の化合物は、光学的に活性またはラセミ形態で単離することができる。ラセミ混合物の解像度または立体選択的合成など、光学的に活性な出発材料から光学的に活性な形態を調製する方法は、当技術分野で公知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体も、本明細書に記載される化合物中に存在することができ、こうした安定異性体のすべては本開示で意図されている。本開示の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離された異性体形態として単離されてもよい。
【0170】
本開示の化合物はまた、互変異性体を含む。互変異性体は、隣接する二重結合との単結合のスワップおよびプロトンの同時移動から生じる。互変異性体は、同じ経験的式および総電荷を有する異性体プロトン化状態である、プロトトロピーの互変異性体を含む。プロトトロピーの互変異性体の例として、ケトン-エノール対、アミド-イミジン酸対、ラクタム-ラクチム対、アミド-イミジン酸対、エナミン-イミン対および、プロトンが、1H-および3H-イミダゾール、1H-、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール1H、および1H-、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドールならびに1H-および2H-ピラゾールが挙げられる。互変異性体は、平衡状態であってもよく、または適切な置換によって一つの形態に立体的にロックされていてもよい。
【0171】
本開示の化合物はまた、中間化合物または最終化合物に発生する原子のすべての同位体を含む。「同位体」は、原子番号が同じであるが、核内に異なる数の中性子から生じる異なる質量番号を有する原子を指す。例えば、水素の同位体は、トリチウムおよび重水素を含む。
【0172】
本開示の化合物および塩は、溶媒または水分子と組み合わせて調製され、日常的な方法によって溶媒和物および水和物を形成することができる。
【0173】
本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」という用語は、例えば、実験的、治療的、診断的および/または予防的目的のために、粒子が投与されうる任意の生物体を指す。典型的な対象として、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ハムスター、ラマ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳類)が挙げられる。
【0174】
本明細書で使用される場合、「治療する」または「予防する」という用語は、疾患、障害および/または状態に罹患しやすいと思われるが、疾患、障害または状態を有していると診断されてはいない動物において、疾患、障害または状態が発症することを予防すること、疾患、障害または状態を阻害すること、例えば、その進行を阻害すること、疾患、障害または状態を軽減すること、例えば、疾患、障害および/または状態の退縮を引き起こすことを含むことができる。疾患、障害または状態を治療することは、たとえ根底にある病態生理が影響を受けていなくても、特定の疾患、障害または状態のうちの少なくとも一つの症状を改善すること、例えば、鎮痛剤が疼痛の原因を治療することはなくとも、鎮痛剤の投与によって対象の疼痛を治療することを含むことができる。
【0175】
本明細書で使用される場合、「標的」は、ARCS、FCBおよび/またはCLMが結合する部位を意味する。標的は、インビボまたはインビトロのいずれかであってもよい。特定の実施形態では、標的は、白血病または腫瘍(例えば、脳、肺(小細胞および非小細胞)、卵巣、前立腺、乳房および結腸ならびに他の癌および肉腫の腫瘍)に見られる癌細胞であってもよい。標的は、一種の組織、例えば、神経組織、腸組織、膵組織、肝臓、腎臓、前立腺、卵巣、肺、骨髄または乳房組織であってもよい。
【0176】
治療用コンジュゲートの標的として機能し得る「標的細胞」は、概して動物細胞、例えば哺乳類細胞である。本発明の方法は、細胞が動物組織の一部を形成する、またはさもなくば動物組織に存在する生細胞の細胞機能を、インビトロ、すなわち、細胞培養、またはインビボにおいて改変するために使用することができる。したがって、標的細胞として、例えば、血液、リンパ組織、口腔粘膜や咽頭粘膜などの消化管を覆う細胞、小腸の毛様体を形成する細胞、大腸を覆っている細胞、動物の呼吸器系(鼻腔/肺)を覆う細胞(対象の吸入によって接触し得る)、皮膚/表皮細胞、膣および直腸の細胞、胎盤の細胞およびいわゆる血液/脳関門を含む内臓の細胞を挙げることができる。
【0177】
「治療効果」という用語は、当技術分野で認識され、動物、特に哺乳動物、より詳細にはヒトにおいて、薬理活性物質によって引き起こされる局所的または全身的効果を指す。したがって、この用語は、疾患の診断、治癒、軽減、治療または予防においてまたは動物もしくはヒトにおける望ましい身体的もしくは精神的発達および状態の強化に使用することが意図される任意の物質を意味する。
【0178】
「調節」という用語は、当技術分野で認識され、応答の上方調節(すなわち、活性化または刺激)、下方調節(すなわち、阻害または抑制)またはそれら二つの組み合わせまたは別々のことを指す。
【0179】
本明細書で使用される場合、「経腸投与」は、消化管(経腸)または非侵襲的な局所経路以外の任意の方法による投与を意味する。例えば、非経口投与として、静脈内、皮内、腹腔内、胸膜内、気管内、骨内、脳内、髄腔内、筋肉内、皮下、結膜下、注射および注入による患者への投与を挙げることができる。
【0180】
本明細書で使用される場合、「局所投与」は、皮膚、開口部または粘膜への非侵襲的投与を意味する。局所投与は、局所的に投与することができ、すなわち、全身曝露することなく、適用領域に局所的効果を提供することができる。局所製剤は、個体の血流への吸着を介して全身的効果を提供することができる。局所投与として、皮膚および経皮投与、バッカル投与、鼻腔内投与、膣内投与、膀胱内投与、眼投与および直腸投与を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0181】
本明細書で使用される場合、「経腸投与」は、消化管を介した吸収を介した投与を意味する。経腸投与として、経口および舌下投与、胃投与または直腸投与を挙げることができる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「肺投与」は、吸入または気管内投与による肺への投与を意味する。本明細書で使用される場合、「吸入」という用語は、肺胞への空気の吸入を指す。空気の摂取量は、口または鼻を通して発生し得る。
【0183】
本明細書で互換的に使用される場合、「十分な」および「有効な」という用語は、一つ以上の所望の結果を達成するために必要な量(例えば、質量、体積、用量、濃度および/または期間)を指す。「治療有効量」は、少なくとも一つの症状特定の状態または障害を測定可能な改善または予防をもたらし、平均余命の測定可能な増加をもたらし、または概して患者のQOLを改善するのに必要とされる少なくとも最小の濃度である。したがって、治療有効量は、特定の生物活性分子および治療される特定の状態または障害に依存する。抗体などの多くの活性剤の治療有効量は、当技術分野で公知である。例えば、特定の障害を治療するために、本明細書に記載の化合物および組成物の治療有効量は、医師などの当業者の技術範囲内である技術によって決定することができる。
【0184】
「プロドラッグ」という用語は、インビトロおよび/またはインビボで生物学的に活性な形態に変換される核酸またはタンパク質を含む薬剤を指す。一部の状況では、親化合物よりも投与しやすい場合があるため、プロドラッグが有用である場合がある。例えば、プロドラッグは、経口投与によって生物学的に利用可能な場合があり、一方で親化合物はそうではない。プロドラッグは、親薬物と比較して、医薬組成物において完全された可溶性も有する場合がある。プロドラッグは、酵素的プロセスおよび代謝加水分解を含む様々な機構によって親薬物に変換されてもよい。Harper,N.J.(1962)Drug Latentiation in Jucker、d.Progress in Drug Research、4:221-294;Molozowichら(1977)Application of Physical Organic Principles to Prodrug Design in E.B.Roche ed.Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs, APhA;Acad.Pharm.Sci.;E.B.Roche、ed.(1977)Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design、Theory and Application、APhA;H.Bundgaard、ed.(1985)Design of Prodrugs、Elsevier、Wangら(1999)Prodrug approachs to the professional of peptide drug、Curr.Pharm.Design.5(4):265-287;Paulettiら(1997)Improvement in peptide bioavailability: Peptidomimetics and Prodrug Strategies、Adv.Drug.Delivery Rev.27:235-256;Mizenら(1998)。The Use of Esters as Prodrugs for Oral Delivery of β-Lactam antibiotics、Pharm.Biotech.11:345-365;Gaignaultら(1996)Designing Prodrugs and Bioprecursors I.Carrier Prodrugs、Pract.Med.Chem.671-696;M.Asgharnejad(2000)。Improving Oral Drug Transport Via Prodrugs、in G.L.Amidon,P.I.Lee and E.M.Topp、Eds.、Transport Processes in Pharmaceutical Systems、Marcell Dekker、p.185-218;Balantら(1990)Prodrugs for the improvement of drug absorption via different routes of administration、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.、15(2):143-53;Balimane and Sinko(1999)。Involvement of multiple transporters in the oral absorption of nucleoside analogs、Adv.Drug Delivery Rev.、39(1-3):183-209;Browne(1997)。Fosphenytoin(Cerebyx)、Clin.Neuropharmacol.20(1):1-12;Bundgaard(1979)。Bioreversible derivatization of drugs--principle and applicability to improve the therapeutic effects of drugs、Arch.Pharm.Chemi.86(1):1-39;H.Bundgaard、ed.(1985)Design of Prodrugs、Elsevier、Fleisherら(1996)Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs、Adv.Drug Delivery Rev.19(2):115-130;Fleisherら(1985)Design of prodrugs for imprograms for imprograms gastrounic absorption by intestinal enzyme targeting、Methods Enzymol.112:360-81;Farquhar Dら(1983)Biologically Reversible Phosphate-Protective Groups、J.Pharm.Sci.,72(3):324-325;Han,H.K.ら(2000)Targeted prodrug design to optimize drug delivery、AAPS PharmSci.,2(1):E6;Sadzuka Y.(2000)Effective prodrug liposome and conversion to active metabolite、Curr.Drug Metab.、1(1):31-48;.M.Lambert(2000)Rationale and applications of lipids as prodrug carriers、Eur.J.Pharm.Sci.、11 Suppl.2:S15-27;Wangら(1999)Prodrug approaches to the improved delivery of peptide drugs.Curr.Pharm.Des.,5(4):265-87。
【0185】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用する場合、米国食品医薬品局などの機関のガイドラインに従って、妥当な利益/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題または合併症なしに、ヒトおよび動物の組織に接触して使用するのに適した、健全な医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、インビボでの組成物の送達を促進する医薬製剤の全成分を指す。薬学的に許容される担体として、希釈剤、保存剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、膨潤剤、充填剤、安定剤およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
本明細書で使用される場合、「分子量」という用語は、概して、材料の質量または平均質量を指す。ポリマーまたはオリゴマーの場合、分子量は、バルクポリマーの相対平均鎖長または相対鎖質量を指すことができる。実際には、ポリマーおよびオリゴマーの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)または毛細管粘度測定を含む様々な方法で推定または特徴化することができる。GPC分子量は、数平均分子量(Mn)とは対照的に、重量平均分子量(Mw)として報告される。毛細管粘度測定は、特定の濃度、温度および溶媒条件のセットを使用して、希釈ポリマー溶液から決定された固有粘度としての分子量の推定値を提供する。
【0187】
本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は概して、2000g/mol未満、1500g/mol未満、1000g/mol未満、800g/mol未満または500g/mol未満の分子量である有機分子を指す。小分子は、非ポリマーおよび/または非オリゴマーである。
【0188】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基のラジカルを指す。
【0189】
一部の実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格に30以下の炭素原子(例えば、直鎖はC1-C30、分岐鎖はC3-C30)、20以下、12以下または7以下の炭素原子を有する。同様に、一部の実施形態では、シクロアルキルは、環構造に3~10個の炭素原子を有し、例えば、環構造に5、6または7個の炭素を有する。本明細書、実施例および特許請求の範囲全体で使用される「アルキル」という用語(または低級アルキル)は、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、後者は、炭化水素骨格の一つ以上の炭素において水素を置換する一つ以上の置換基を有するアルキル部分を指す。かかる置換基として、限定されるものではないが、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミルまたはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートまたはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸、スルホン酸、スルファモイル、スルホンアミドスルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられる。
【0190】
炭素の数が別途指定されない限り、本明細書で使用される場合、「低級アルキル」は、上記で定義されるが、その骨格構造に1~10個の炭素または1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、類似の鎖長を有する。本出願全体を通して、好ましいアルキル基は、低級アルキルである。いくつかの実施形態では、本明細書でアルキルとして指定される置換基は、低級アルキルである。
【0191】
炭化水素鎖上で置換された部分は、適切な場合、それ自体が置換され得ることが当業者には理解される。例えば、置換アルキルの置換基として、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、チオール、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィナートを含む)、スルホニル(硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホン酸塩を含む)およびシリル基ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒドおよびカルボキシレートおよびエステルを含む)、-CF3、-CNなどを含むことができる。シクロアルキルは、同様に置換することができる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも一つのヘテロ原子を含有する直鎖または分岐鎖または環状炭素含有ラジカルまたはそれらの組み合わせを指す。適切なヘテロ原子として、限定されるものではないが、O、N、Si、P、Se、BおよびSが挙げられ、リン原子および硫黄原子は任意選択的に酸化され、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化される。ヘテロアルキルは、アルキル基に対して上記で定義されるように置換することができる。
【0193】
「アルキルチオ」という用語は、上記で定義されるように、それに結合されている硫黄ラジカルを有するアルキル基を指す。一部の実施形態では、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニルおよび-S-アルキニルのうちの一つによって表される。代表的なアルキルチオ基として、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。「アルキルチオ」という用語はまた、シクロアルキル基、アルケン基およびシクロアルケン基ならびにアルキン基を包含する。「アリールチオ」は、アリール基またはヘテロアリール基を指す。アルキルチオ基は、アルキル基に対して上記で定義されるように置換することができる。
【0194】
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、上述のアルキルに対して長さおよび可能な置換において類似しているが、それぞれ少なくとも一つの二重結合または三重結合を含有する不飽和脂肪族基を指す。
【0195】
本明細書で使用される場合、「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、上記に定義されるアルキル基を指し、それに結合している酸素ラジカルを有する。代表的なアルコキシル基として、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合された二つの炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、アルコキシルである、またはアルコキシルに類似し、例えば、-O-アルキル、-O-アルケニルおよび-O-アルキニルのうちの一つによって表すことができる。アロキシ(aroxy)は、-O-アリールまたはO-ヘテロアリールによって表されてもよく、アリールおよびヘテロアリールは以下に定義されるとおりである。アルコキシ基およびアロキシ基は、アルキルについて上述したように置換することができる。
【0196】
「アミン」および「アミノ」という用語は、当技術分野で認識され、非置換と置換アミンの両方を指し、例えば、一般式:
【化47】
によって表すことができる部分であり、R
9、R
10、およびR’
10は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、-(CH
2)
m-R
8またはR
9およびR
10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する。R
8は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環またはポリ環を表し、mは、ゼロまたは1~8の範囲の整数である。一部の実施形態では、R
9またはR
10のうちの一つのみ、カルボニルであることができ、例えば、R
9、R
10および窒素を一緒になってイミドを形成しない。さらに他の実施形態では、「アミン」という用語は、アミドを包含せず、例えば、R
9およびR
10のうちの一つはカルボニルを表す。追加の実施形態において、R
9およびR
10(及び任意選択的にR’
10)はそれぞれ独立して、水素、アルキルまたはシクロアルキル、アルケニルまたはシクロアルケニルまたはアルキニルを表す。したがって、本明細書で使用される場合、「アルキルアミン」という用語は、上記で定義されるように、それに結合している置換された(アルキルについて上述した)または非置換アルキルを有するアミン基であり、すなわち、R
9およびR
10のうちの少なくとも一つはアルキル基であることを意味する。
【0197】
「アミド」という用語は、アミノ置換カルボニルとして当技術分野で認識され、一般式:
【化48】
によって表すことができる部分を含み、R
9およびR
10は上記に定義されるとおりである。
【0198】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、C5-C10員の芳香族、ヘテロ環式、融合芳香族、融合ヘテロ環式、二芳香族または二ヘテロ環系を指す。広義に定義される「アリール」は、本明細書で使用される場合、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどの、0~4個のヘテロ原子を含み得る、5員、6員、7員、8員、9員および10員の単環式芳香族基を含む。環構造中にヘテロ原子を有するアリール基はまた、「アリールヘテロ環」または「ヘテロ芳香族」と呼んでもよい。芳香族環は、限定されるものではないが、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ(または四級化アミノ)、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族環またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CN;およびそれらの組み合わせを含む。
【0199】
「アリール」という用語はまた、二つ以上の環状環を有する大環状系であり、二つ以上の炭素が二つの隣接する環(すなわち、融合環)に対して共通であり、環の少なくとも一つは芳香族であり、例えば、他の環状環または環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロ環であることができる。ヘテロ環の例として、限定されるものではないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンジソキサゾリル、ベンジソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル,フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌシジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルが挙げられる。一つ以上の環は、上記で定義されるように、「アリール」に置換することができる。
【0200】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」という用語は、アリール基(例えば、芳香族基または複素芳香族基)で置換されたアルキル基を指す。
【0201】
本明細書で使用される場合、「炭素環」という用語は、環の各原子が炭素である芳香族環または非芳香族環を指す。
【0202】
「ヘテロ環」または「ヘテロ環式」は、本明細書で使用される場合、3~10個の環原子、好ましくは5~6個の環原子を含有する単環式または二環式環の環炭素または窒素を介して結合される環状ラジカルを指し、非ペルオキシド酸素、硫黄およびN(Y)からなる群から選択される1~4個のヘテロ原子から構成され、Yが存在しない、またはH、O、(C1-C10)アルキル、フェニルまたはベンジルであり、任意選択的に1~3個の二重結合を含有し、一つ以上の置換基で任意選択的に置換されている。ヘテロ環式環の例として、限定されるものではないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズソキサゾリル、ベンズソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌシジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニルおよびキサンテニルが挙げられる。芳香族環基は、上記で定義されるように、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族環またはヘテロ芳香族部分、-CF3および-CNについて、一つ以上の位置において、一つ以上の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0203】
「カルボニル」という用語は、当技術分野で認識され、一般式:
【化49】
によって表され得るような部分を含み、Xは、結合である、または酸素もしくは硫黄を表し、R
11は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルを表し、R’
11は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニルまたはアニルを表す。Xが酸素であり、R
11またはR’
11が水素ではない場合、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R
11が上記に定義されるとおりである場合、部分は本明細書ではカルボキシル基と呼称され、特にR
11が水素である場合、式は「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり、R’
11が水素である場合、式は「ギ酸」を表す。概して、上記式の酸素原子が硫黄で置換される場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり、R
11またはR’
11が水素ではない場合、式は「チオエステル」を表す。Xが硫黄であり、R
11が水素である場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり、R’
11が水素である場合、式は「チオギ酸」を表す。一方、Xが結合であり、R
11が水素ではない場合、上の式は「ケトン」基を表す。Xが結合であり、R
11が水素である場合、上記の式は、「アルデヒド」基を表す。
【0204】
本明細書で使用される場合、「モノエステル」という用語は、ジカルボン酸の類似体を指し、カルボン酸の一方がエステルとして官能化され、他方のカルボン酸が遊離カルボン酸またはカルボン酸の塩である。モノエステルの例としては、以下に限定されないが、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、亜硫酸、セバシン酸、アゼレイン酸、シュウ酸およびマレイン酸のモノエステルが挙げられる。
【0205】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンが挙げられる。他のヘテロ原子は、シリコンおよびヒ素が含まれる。
【0206】
本明細書で使用される場合、「ニトロ」という用語は、-NO2を意味する。「ハロゲン」という用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを示し、「スルフヒドリル」という用語は-SHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は-OHを意味し、「スルホニル」という用語は-SO2-を意味する。
【0207】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、本明細書に記載される化合物のすべての許容される置換基を指す。もっとも広い意味で、許容される置換基として、有機化合物の非環式および環状、分岐および非分岐、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基として、限定されるものではないが、ハロゲン、ヒドロキシル基または任意の数の炭素原子、好ましくは1~14個の炭素原子を含有する任意の他の有機族が含まれ、任意選択的に、線形、分岐または環状構造フォーマットにおける酸素、硫黄、または窒素属などの一つ以上のヘテロ原子を含む。代表的な置換基として、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、置換アルコキシ、フェノキシ、置換フェノキシ、アロキシ、置換アロキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、フェニルチオ、置換フェニルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、シアノ、イソシアノ、置換イソシアノ、カルボニル、置換カルボニル、カルボキシル、置換カルボキシル、アミノ、置換アミノ、アミド、置換アミド、スルホニル、置換スルホニル、スルホン酸、ホスホリル、置換ホスホリル、ホスホニル、置換ホスホニル、ポリアリール、置換ポリアリール、C3-C20環状、置換C3-C20環状、ヘテロ環式、置換ヘテロ環式、アミノ酸、ペプチドおよびポリペプチド基を含む。
【0208】
窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の水素置換基および/または任意の許容される置換基を有していてもよい。当然のことながら、「置換」または「置換された」は、こうした置換が、置換された原子および置換基の許容される原子価に従っていること、置換が、安定した化合物、すなわち、再構成、環化または除去などにより、自発的に形質転換を経ない化合物をもたらすことを暗黙の条件で含む。
【0209】
広い態様において、許容される置換基として、有機化合物の非環式および環状、分岐および非分岐、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。例示的な置換基には、例えば、本明細書に記載されるものが含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して一つ以上の同一または異なる置換基であってもよい。窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の水素置換基および/または任意の許容される置換基を有していてもよい。
【0210】
様々な実施形態において、置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバミン酸、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ケトン、ニトロ、リン酸塩、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミドおよびチオケトンから選択され、それぞれ一つ以上の適切な置換基で任意選択的に置換される。一部の実施形態では、置換は、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバミン酸、カルボキシ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ケトン、リン酸、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミドおよびチオケトンから選択され、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールアルキル、カルバミン酸、カルボキシ、シクロアルキル、エステル、エーテル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ケトン、リン酸、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルホン酸、スルホンアミドおよびチオケトンは、一つ以上の適切な置換基でさらに置換されていてもよい。
【0211】
置換基の例としては、限定されるものではないが、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ,スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、チオケトン、エステル、ヘテロシクリル、-CN、アリール、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキサミド、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、シアノ、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキル等が挙げられる。いくつかの実施形態では、置換基は、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシルおよびニトロから選択される。
【0212】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、概してアミノ酸残基のポリマーを指す。本明細書で使用される場合、この用語はまた、一つ以上のアミノ酸が、対応する天然由来のアミノ酸の化学類似体または修飾誘導体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。本明細書で一般的に使用される「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸のポリマーを指し、その鎖長が三次構造および/または四次構造を作製するのに十分であるポリペプチドを形成する。「タンパク質」という用語は、定義により小さなペプチドを除外し、小さなペプチドは、タンパク質とみなされるために必要な高次構造を欠く。
【0213】
タンパク質、ポリペプチドまたは核酸の「機能的断片」は、その配列が全長タンパク質、ポリペプチド、または核酸と同一ではなく、全長タンパク質、ポリペプチドまたは核酸として少なくとも一つの機能を保持するタンパク質、ポリペプチドまたは核酸である。機能的断片は、対応する天然分子より多い、少ないまたは同じ数の残基を有することができ、および/または一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドの置換を含有してもよい。核酸の機能(例えば、コード機能、別の核酸にハイブリダイズする能力)を決定する方法は、当技術分野で周知である。同様に、タンパク質機能を決定する方法は周知である。例えば、ポリペプチドのDNA結合機能は、例えば、フィルター結合、電気泳動移動度シフトまたは免疫沈降アッセイによって決定することができる。DNA切断は、ゲル電気泳動によりアッセイすることができる。タンパク質が別のタンパク質と相互作用する能力は、例えば、共免疫沈降、二ハイブリッドアッセイまたは相補によって、例えば、遺伝子または生化学的に決定することができる。例えば、Fieldsら(1989)Nature 340:245-246、米国特許第5,585,245号およびPCT WO98/44350号を参照されたい。
【0214】
「薬学的に許容される対イオン」という用語は、薬学的に許容されるアニオンまたはカチオンを指す。様々な実施形態において、薬学的に許容される対イオンは、薬学的に許容されるイオンである。例えば薬学的に許容される対イオンは、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸、リン酸塩、イソニコチン酸、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)から選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容される対イオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、二硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩および乳酸塩から選択される。特定の実施形態では、薬学的に許容される対イオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、二硫酸塩およびリン酸塩から選択される。
【0215】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の組成物で使用される化合物に存在し得る酸性基または塩基性基の塩を指す。塩基性の性質である本発明の組成物に含まれる化合物は、様々な無機酸および有機酸で多種多様な塩を形成することができる。こうした塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性の酸付加塩を形成する酸であり、すなわち、薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩であり、以下に限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、二硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)塩を含む。アミノ部分を含む本発明の組成物に含まれる化合物は、上述の酸に加えて、様々なアミノ酸を有する薬学的に許容される塩を形成することができる。酸性の性質である本発明の組成物に含まれる化合物は、様々な薬理学的に許容されるカチオンで塩基性塩を形成することができる。こうした塩の例としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウムおよび鉄塩が挙げられる。
【0216】
本明細書に記載の化合物が酸付加塩として取得される場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基性化することによって取得することができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来的な手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって作製することができる。当業者は、非毒性の薬学的に許容される付加塩を調製するために使用することができる様々な合成方法論を認識している。
【0217】
薬学的に許容される塩は、1-ヒドロキシ-2-ナフト酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタミン酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフル酸、カンフル-10-スルホン酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロ酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロホスホリン酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、イソブチル酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモイン酸、パントテニック、リン酸、プロプリオン酸、ピログルタミン酸、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チオシアニン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸およびウンデシレン酸に生じることができる。
【0218】
本明細書で使用される場合、「アッセイ」という用語は、報告された結果に関連する一連の活動を指し、これには、細胞播種、試験材料の調製、感染、溶解、分析および結果の計算が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0219】
本明細書で使用される場合、「検出可能な応答」という用語は、観察または計測手段のいずれかによって直接的または間接的に検出可能なシグナルの発生または変化を指す。典型的には、検出可能な応答は、シグナルの発生であり、フルオロフォアは本質的に蛍光であり、金属イオンまたは生物学的化合物に結合するとシグナルの変化を生じさせない。あるいは、検出可能な応答は、波長分布パターンもしくは吸光度もしくは蛍光の強度の変化または光散乱、蛍光寿命、蛍光偏光または上記のパラメータの組み合わせの変化が生じる光学応答である。他の検出可能な応答として、例えば、化学発光、リン光、放射性同位元素からの放射、磁気引力および電子密度が挙げられる。
【0220】
当然のことながら、以下の実施例は、本開示を例示するが、限定するものではない。様々な他の実施例および前述の説明および例の修正は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の読んだ後に当業者に明らかであり、そのような例または修正のすべては、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。本明細書に参照されるすべての刊行物および特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0221】
実施例1:ARCSの一般的な合成
本開示のARCSは、一般的な化学合成原理および技術を使用して、当業者によって合成することができる。合理的なアプローチでは、ARCSは、その個々の構成要素、すなわち治療モダリティ、任意のリンカーおよび共有結合モダリティから構築される。構成要素は、当技術分野で知られているように、官能基を介して互いに共有結合されてもよく、こうした官能基は、構成要素上に存在してもよく、または一つ以上のステップを使用して構成要素上に導入されてもよい。構成要素を一緒に共有結合してARCSを生成するのに使用することができる官能基として、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基またはアミノ基が挙げられるが、これらに限定されない。共有結合を提供するために改変される異なる構成要素の特定の部分は、例えば、共有結合モダリティについて、その構成要素に所望の結合活性に実質的に悪影響を及ぼさないように選択され、共有結合活性に影響を与えない領域は、十分な量の所望の活性が保持されるように、改変される。必要および/または所望される場合、構成要素上の特定の部分は、当技術分野で公知のブロッキング基を使用して保護されてもよく、例えば、Green & Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & Sons)(1991)を参照されたい。
【0222】
あるいは、ARCSは、周知のコンビナトリアル法を使用して作製されて、ARCSの大きなライブラリを作製することができ、その後、所望の薬物動態プロファイルを有する標的と共有結合を形成する分子の特定のためにスクリーニングされてもよい。
【0223】
実施例2:化合物1-1~化合物1-172の一般合成
本開示の化合物1-1~化合物1-172は、一般的な化学合成原理および技術を使用して、当業者によって合成することができる。化学は、米国特許第9,724,352号B2の実施例1に記載されているとおりであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0224】
化合物1-1~化合物1-172の多くの前駆体である化合物1-IVは、スキーム1に示すように調製することができる。米国特許第9,724,352号に記載されるように、出発のピロール(1-I)をアルデヒド(1-II)と反応させて中間体(1-III)を形成することができる。モルホリノ化合物1-IVは、化合物(1~III)をオキシ塩化リンで還元してCl脱離基を提供することによって形成され、次にモルホリンの添加によって置換することができる。1-IV中のR
6’がニトロ基である場合、H
2雰囲気下でC/Pdと反応することによって、対応するNH
2基に還元することができる。次いで、アミンを、適切なエステル(例えば、炭酸ジメチル)または活性化エステル(例えば、メチルクロロホルメート)とさらに反応させて、化合物のメチルカルバメートを形成する、またはイソシアネート(例えば、イソシアネートメチル)と反応させて、ウレア化合物1-Vを得ることができる。
スキーム1
【化50】
【0225】
ピペラジニル化合物(例えば、化合物1-11および化合物1-12)に到達するために、化合物1-IVのメチルエステル部分を改変し、その後、R
6’を最終R
6基に変換することが有利な場合がある。上述のように、1-IVのR
6’がニトロ基である場合、H
2雰囲気下で、対応するNH
2基に対してPd/Cによって還元させることができる。スキーム2に示されるように、1-IVのメチルエステルを加水分解し(例えば、EtOH中の2Mの水性NaOH)、得られた酸を、塩基(例えば、K
2CO
3)の存在下でtert-ブチルピペラジン-1-カルボン酸(1-BOC-ピペラジン)と反応させて、BOC-ピペラジニル化合物を得ることができる。次いで、ピペラジニル添加後に残留するカルボニル部分(例えば、ボラン-ジメチルスルフィド)を還元して、保護されたピペラジニル化合物1-VIを得ることができる。次いで、化合物1-VIのアミン基を、適切なエステル(例えば、炭酸ジメチル)または活性化エステル(例えば、メチルクロロホルメート)とさらに反応させて、化合物1-Vのメチルカルバメートを形成する、またはイソシアネート(例えば、メチルイソシアナート)と反応させて、ウレア化合物1-VII
A(例えば、化合物1-105および化合物1-106のグループを参照されたい)を得ることができる。化合物1-VIのアミン基は、それが最終的な所望の基である場合、保護することもできる(図示せず)(化合物1-121を参照)。所望のX基が加えられた後、アミノ保護基を除去して、最終生成物を得ることができる。例えば、N-BOC-ピペラジンの代わりにN-アセチル-ピペラジンを使用して、化合物1-VI中にN-アセチル保護基を得ることができる。次いで、化合物1-VIのアミノ基は、N-アセチルよりも安定であるN-BOC基で保護することができる。次いで、化合物1-VIをX基で修飾し、N-BOCを除去して、最終アミノ基を残すことができる。
スキーム2
【化51】
【0226】
追加の出発化合物1-III
A-C(化合物1-101~化合物1-172の化合物を参照)を、スキーム3に示すように調製することができる。次いで、これらの出発化合物を、本明細書に記載されるように改変することができる。
スキーム3
【化52】
【0227】
本開示のX基(例えば、化合物1-101~化合物1-172の化合物を参照)は、スキーム4に示されるように結合することができる。化合物1-VII(または上述のアセチル)のBOC保護基は、酸加水分解(例えば、メタノール中のHCl)を介して除去されて、化合物1-VIIIを得ることができる。次いで、塩基(例えば、K
2CO
3またはジメチルアミノピリジン)の存在下で、化合物1-VIIIのピペラジニル基を適切なエステル(例えば、1-IXおよび1-IX
Aについては、CH
2=CHC(O)(CH
2)
2C(O)OCH
3またはその酸もしくは活性化酸を使用することができる)と反応させて、最終化合物1-IX(化合物1-101)または化合物1-IX
A(化合物1-105)を得ることができる。X基が、アミド形成条件下で反応し得る部分を含有する場合、保護されているX’基(例えば、保護されている末端アミン)を使用してもよく、その後、脱保護され、修飾されて、所望の最終化合物に到達することができる(例えば、末端アミンは脱保護され、次いで適切なエステルまたは酸と反応して、Xに対して最終アミドを形成することができる)。
スキーム4
【化53】
【0228】
実施例3:化合物1-102の合成
化合物1-101~化合物1-172の化合物の多くに対する中間体である化合物1-XXIIおよび化合物1-XXVをスキーム5に示すように調製することができる。前駆体化合物1-XXXIIおよび化合物1-102は、スキーム6に示されるように合成することができる。残っている化合物は、同様の方法で合成することができる。
スキーム5
【化54-1】
スキーム6
【化54-2】
【0229】
実施例4:ARCSのスクリーニングの一般的方法
本開示のARCSは、一般的な化学合成原理および技術を使用して、当業者によって合成することができる。あるいは、既知のコンビナトリアル法を使用してARCSを作製して、ARCSの大きなライブラリを作製することができる。本開示のARCSはまた、実施例1~3に示されるように合成することができる。次いで、標的細胞の生物学的標的に共有結合するARCSを、ゲルアッセイ、ウェスタンブロット、ELISA、抗体アレイまたはNanoBRETアッセイによりスクリーニングすることができる。
【0230】
実施例5:ARCSのNanoBRETスクリーニングのためのトランスフェクションプロトコルおよび読み取り
ヒト胚性腎臓293-H(HEK 293、Gibco 293-H、#11631017)細胞株は、水飽和インキュベーターにおいて、37℃および5%のCO2で、10%のウシ胎児血清(FBS、Gibco、#10082147)および1×ペニシリン-ストレプトマイシン(100×溶液、Gibco、#15140148)を補充したダルベッコ変法イーグル培地、高グルコース、ピルビン酸(DMEM、Gibco、#11995065)に、維持されている。細胞は、0.05%または0.25%のトリプシン-EDTA溶液(トリプシン-EDTA、フェノールレッド、Gibco、#25200056(0.25%)または#25300054)を使用してトリプシン化される。10%のウシ胎児血清(Opti-MEM I還元血清培地、フェノールレッドなし、Gibco、#11058021)を補充したOpti-MEM培地を、NanoBRET読み取り実験のために、細胞を一晩培養するために使用する。
【0231】
HEK293細胞は、アッセイ前に適切に培養される。細胞フラスコからの培地は、吸引を介して除去され、PBSで1回洗浄され、次いで吸引され、トリプシン化され、細胞をフラスコから解離させる。トリプシンは、成長培地を使用して中和され、細胞は、200×gで5分間遠心分離を介してペレット化される。培地を吸引し、10%のFBSで補充されたOpti-MEM Iを使用して、細胞を単一の細胞懸濁液に再懸濁する。細胞密度は、滅菌された円錐管中の10%のFBSで補充されたOpti-MEM Iにおいて、2×105/mLに調整される。細胞をトランスフェクトし、翌日に、NanoBRETアッセイ用の96ウェルプレートに直接アリコートし、したがって、細胞をOpti-MEM中で一晩培養する。細胞はまた、大量にトランスフェクトされ、96ウェルプレートに分注されて、細胞をプレートに一晩接着させ、それによって洗浄試験を可能にする。
【0232】
脂質:DNA複合体は以下のように調製される:
【0233】
DNAの10μg/mLの溶液を、血清を含まないOpti-MEMにおいて調製する。この溶液は、以下の比の生物学的標的に融合されたNanoLucをコードしている担体DNAとDNAを含有する。連続希釈ステップは、NanoLuc融合DNAを正確に希釈するために保証されてもよい。順番に、以下の試薬を滅菌ポリスチレン試験管に添加した:フェノールレッドを含まない1mLのOpti-MEM;9.0μg/mLの担体DNA;1.0μg/mLのNanoLuc融合DNA(一部の標的については、量が少ない)。試薬を完全に混合する。
【0234】
30μLのFuGENE HDを、各mLのDNA混合物に添加して、脂質:DNA複合体を形成する。FuGENE HDがチューブのプラスチック側に触れないように注意し、チューブ内の液体にピペットで直接的に分注する。上下にピペッティングすることによって5~10回混合し、室温で20分間インキュベートして、複合体を形成する。脂質:DNA複合体の1部(例えば、1mL)を、2×10
5/mLで懸濁液中のHEK293細胞の20部(例えば、20mL)と混合し、滅菌円錐管で上下に5回、ピペッティングによって穏やかに混合する。より大きなまたはより小さいバルクトランスフェクションは、この比を使用して、それに応じてスケーリングされる。100μLの細胞+脂質:DNA複合体を、滅菌された組織培養処理済みの96ウェルプレート(20,000細胞/ウェル)に分注し、少なくとも16時間インキュベートして発現させる。細胞を37℃+5%のCO2インキュベーターで16時間超インキュベートする。連続希釈された阻害剤または試験化合物を、100%DMSO中、100×最終濃度で調製する。連続希釈された阻害剤ストックは、PCRプレートに調製される。100回連続希釈された阻害剤/試験化合物のウェル当たり1μLを、一晩一過性にトランスフェクトされた96ウェルプレートの細胞に添加し、プレートを手で軽くたたくことによって混合する。プレートを37℃+5%のCO2インキュベーターで一晩インキュベートする。基質混合の1X溶液(500Xストック)およびトレーサーの適切な濃度を、Opti-Memに調製する。その都度200μLのPBSを加えることによって、pH7.4のPBSにおける96ウェルプレート5Xにプレートワッシャーを設定することによって、細胞を洗浄する。細胞を37℃で2時間インキュベートする。100μLの1X Substrate-Tracer溶液を添加し、96ウェルプレートを穏やかに軽くたたいて混合する。プレートリーダー上のプレートを、次の6時間、毎時読み取る。いくつかのARCSの結合アッセイを以下に示す。化合物1-XXXIIは、約5%~20%のPI3キナーゼと共有結合を形成した。化合物1-101、1-102、1-113、1-114、1-119、1-120、1-125および1-126からなる群から選択されたARCSは、約80%~100%のPI3キナーゼと共有結合を形成した。化合物1-171および1-172は、約50%~80%のPI3キナーゼと共有結合を形成した。PI3キナーゼの活性は、化合物1-XXXIIによって約5%~20%阻害される。PI3キナーゼの活性は、化合物1-101、1-102、1-113、1-114、1-119、1-120、1-125および1-126からなる群から選択されたARCSによって、約80%~100%阻害される。PI3キナーゼの活性は、化合物1-171および1-172によって約50%~80%阻害される。
【表1】
【0235】
等価物および範囲
当業者は、本明細書に記載される開示に従って、通常の実験のみを使用して、特定の実施形態に対する多くの等価物を認識する、または確認することができる。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることを意図しておらず、添付の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【0236】
特許請求の範囲において、相反する指示がない限り、または文脈から別の形で明らかでない限り、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、一つ以上を意味する場合がある。グループの一つ以上のメンバーの間に「または」を含む請求項または説明は、グループメンバーの一つ、一つ以上またはすべてが、その文脈から反対に示唆されない限り、または別の方法で明らかでない限り、所与の製品または方法に存在する、またはそれに使用されている、または他の方法で関連がある場合、満たされるとみなされる。本開示は、正確にグループの一つのメンバーが、所与の製品または方法に存在する、またはそれらに使用される、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。本開示は、一つ以上またはグループのメンバー全体が、所与の製品または方法に存在する、またはそれらに使用される、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。
【0237】
また、「含む」という用語は、オープンであり、許可するが、追加の要素またはステップを含める必要はないことに留意されたい。「含む」という用語が本明細書で使用される場合、「からなる」という用語も包含され、開示される。
【0238】
範囲が与えられる場合、終点が含まれる。さらに、当業者の文脈および理解から別段の示唆または別の方法で明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈が別の意味を明確に示さない限り、本開示の異なる実施形態で記載される範囲内の任意の特定の値または範囲を、範囲の下限の単位の10分の1まで仮定することができる。
【0239】
さらに、当然のことながら、先行技術に属する本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲の任意の一つ以上から明示的に除外されうる。こうした実施形態は、当業者に公知であるとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記載されていない場合でも除外されうる。本開示の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療剤または活性成分、任意の製造方法、任意の使用方法など)は、任意の理由のために、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、任意の一つ以上の特許請求の範囲から除外することができる。
【0240】
使用された用語は、限定というよりは説明の言葉であり、そのより広い態様における本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【0241】
本開示は、いくつかの記載される実施形態に関して何らかの長さおよび何らかの特殊性で記載されてきたが、そのような詳細または実施形態または任意の特定の実施形態に限定されることは意図されていないが、先行技術の観点からそのような特許請求の範囲の最も広範な解釈を提供するように、従って、本開示の意図された範囲を効果的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきである。
【国際調査報告】