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特表2022-548139ループ状支持構造体を有する非空気圧式タイヤ及びその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ループ状支持構造体を有する非空気圧式タイヤ及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20221109BHJP
   B29D 30/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B29D30/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516721
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020047782
(87)【国際公開番号】W WO2021061323
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/904,891
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リマイ、ベンジャミン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハープ、ニコラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バートン、クリストファー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ハイデット、アンドゥ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ブランドン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ラスク、ティモシー エム.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F215
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131BC51
3D131CC03
3D131LA28
4F215AH21
4F215VA11
4F215VC08
4F215VL32
4F215VM06
(57)【要約】

非空気圧式タイヤは、インナーリングと、アウターリングと、インナーリングとアウターリングとの間に延在している複数のループと、を含む。複数のループは、少なくとも第1のループ及び第2のループを含み、第1のループ及び第2のループはそれぞれ、インナーリング及びアウターリングの両方と直接接触している。第1のループは、内部に配置された単一の補強層を有し、かつインナーリングとアウターリングとの間に延在している第1の範囲と、インナーリングとアウターリングとの間に延在している第2の範囲と、を含む。第2のループは、内部に配置された単一の補強層を有し、かつインナーリングとアウターリングとの間に延在している第3の範囲と、インナーリングとアウターリングとの間に延在している第4の範囲と、を含む。第2の範囲は、第3の範囲と直接接触している。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤであって、
第1の直径を有するインナーリングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリングであって、前記インナーリングと実質的に同軸である、アウターリングと、
前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している支持構造体であって、前記支持構造体が、前記非空気圧式タイヤの第1の側から前記非空気圧式タイヤの第2の側まで横方向に延在している複数のループを含み、
前記複数のループの各々が、前記非空気圧式タイヤの前記第1の側から視認可能である開口部を画定し、
前記複数のループの各々が、前記インナーリング及び前記アウターリングの両方と直接接触しており、
前記複数のループが、少なくとも第1のループ及び第2のループを含み、前記第1のループが、前記第2のループと直接接触している、支持構造体と、
前記インナーリングと前記アウターリングとの間に配置された複数のフィレットと、を備え、前記複数のフィレットが、少なくとも第1のフィレット及び第2のフィレットを含み、
前記第1のフィレットが、前記インナーリング、前記第1のループ、及び前記第2のループと直接接触しており、
前記第2のフィレットが、前記アウターリング、前記第1のループ、及び前記第2のループと直接接触している、非空気圧式タイヤ。
【請求項2】
前記複数のループの各々が、内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料のシートによって形成される、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項3】
前記複数のループの各々が、内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料の螺旋状のリボンによって形成される、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項4】
前記単一層の補強材が、前記エラストマー材料の螺旋状のリボンに埋設された補強材料の少なくとも1本のコードによって形成される、請求項3に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項5】
前記エラストマー材料の螺旋状のリボンが、内部に埋設された正確に2本のスチールコードを含む、請求項4に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項6】
前記第1のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第1の範囲及び第2の範囲を含み、前記第2のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第3の範囲及び第4の範囲を含み、前記第2の範囲が、前記第3の範囲に接触している、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項7】
前記第1の範囲、前記第2の範囲、前記第3の範囲、及び前記第4の範囲の各々が、湾曲している、請求項6に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項8】
前記第1の範囲が、実質的に径方向に延在している第1の補強層を含む、第1の実質的に径方向範囲であり、前記第2の範囲が、前記径方向に対して湾曲している第2の補強層を含む、第2の実質的に径方向範囲である、請求項6に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項9】
非空気圧式タイヤを作製する方法であって、前記方法が、
エラストマー材料のインナーリングを提供することと、
エラストマー材料のアウターリングを提供することと、
前記インナーリングが前記アウターリングと実質的に同軸であるように、前記インナーリング及び前記アウターリングを配列することと、
強化エラストマー材料のリボンを提供することと、
複数のコアを提供することと、
前記強化エラストマー材料のリボンを前記複数のコアの各々の周りに螺旋状に巻き付けることと、
前記複数のコアを前記インナーリングと前記アウターリングの間に配列することと、
前記インナーリング、前記アウターリング、及び前記複数のコアの周りに配置した前記リボンを硬化させることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記強化エラストマー材料のリボンを前記提供することが、少なくとも1本のスチールコード及びエラストマー材料を、押出機を通して押し出し加工して、前記強化エラストマー材料のリボンを形成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記強化エラストマー材料のリボンを前記複数のコアの各々の周りに前記螺旋状に巻き付けることが、前記強化エラストマー材料のリボンをマンドレルの周りに螺旋状に巻き付け、前記強化エラストマー材料のリボンを前記マンドレルから前記複数のコアのうちの1つまで移送することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記強化エラストマー材料のリボンを前記複数のコアの各々の周りに前記螺旋状に巻き付けることが、前記強化エラストマー材料のリボンを前記複数のコアの各々の周りに直接螺旋状に巻き付けることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のコアを前記インナーリングと前記アウターリングとの間に前記配列することが、前記複数のコアのうちの1つの前記螺旋状に巻き付けられたリボンが前記複数のコアのうちの隣接する1つの前記螺旋状に巻き付けられたリボンに接触するように前記複数のコアを配列することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記インナーリング、前記アウターリング、及び前記複数のコアの周りに配置した前記リボンを前記硬化させることの前に、前記複数のコアの各々を拡張することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
複数のフィレットを、隣接するコアの間に挿入することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ループ形状支持構造体を有する非空気圧式タイヤ及びその作製方法に関する。より具体的には、本開示は、ループ形状スポーク又はウェビングを有する非空気圧式タイヤ及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする様々なタイヤの構造が開発されている。非空気圧式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクし、加圧空気の完全又は部分的な喪失を経験した後で、長期間、比較的高速で動作し続けることができる。非空気圧式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又はインナーリングをアウターリングに接続する他の支持構造体を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、非空気圧式タイヤは、第1の直径を有するインナーリングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリングと、を含む。アウターリングは、インナーリングと実質的に同軸である。タイヤは、インナーリングとアウターリングとの間に延在している支持構造体を更に含む。支持構造体は、非空気圧式タイヤの第1の側から非空気圧式タイヤの第2の側まで横方向に延在している複数のループを含む。複数のループの各々は、非空気圧式タイヤの第1の側から視認可能である開口部を画定する。複数のループの各々は、インナーリング及びアウターリングと直接接触している。複数のループは、少なくとも第1のループ及び第2のループを含み、第1のループは、第2のループと直接接触している。タイヤはまた、インナーリングとアウターリングとの間に配置された複数のフィレットも含む。複数のフィレットは、少なくとも第1のフィレット及び第2のフィレットを含む。第1のフィレットは、インナーリング、第1のループ、及び第2のループと直接接触している。第2のフィレットは、アウターリング、第1のループ、及び第2のループと直接接触している。
【0004】
別の実施形態では、非空気圧式タイヤの作製方法は、エラストマー材料のインナーリングを提供するステップと、エラストマー材料のアウターリングを提供するステップと、インナーリングがアウターリングと実質的に同軸であるようにインナーリング及びアウターリングを配列するステップと、を含む。本方法は、強化エラストマー材料のリボンを提供することと、複数のコアを提供することと、強化エラストマー材料のリボンを複数のコアの各々の周りに螺旋状に巻き付けることと、を更に含む。本方法はまた、複数のコアをインナーリングとアウターリングとの間に配列することと、インナーリング、アウターリング、及び複数のコアの周りに配置したリボンを硬化させることと、を含む。
【0005】
更に別の実施形態では、非空気圧式タイヤは、インナーリングと、アウターリングと、インナーリングとアウターリングとの間に延在している複数のループと、を含む。複数のループは、少なくとも第1のループ及び第2のループを含み、第1のループ及び第2のループはそれぞれ、インナーリング及びアウターリングの両方と直接接触している。第1のループは、内部に配置された単一の補強層を有し、かつインナーリングとアウターリングとの間に延在している第1の範囲と、インナーリングとアウターリングとの間に延在している第2の範囲と、を含む。第2のループは、内部に配置された単一の補強層を有し、かつインナーリングとアウターリングとの間に延在している第3の範囲と、インナーリングとアウターリングとの間に延在している第4の範囲と、を含む。第2の範囲は、第3の範囲と直接接触している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面では、以下の詳細な説明と共に、特許請求される本発明の例示的実施形態を説明する構造が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素は、多数の構成要素に置き換えられ得、多数の構成要素として示されている要素は、単一の構成要素に置き換えられ得ることが理解されるべきである。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
【0007】
図1】非空気圧式タイヤの一実施形態の正面図である。
【0008】
図2図1の非空気圧式タイヤの拡大部分正面図である。
【0009】
図3】構築中の非空気圧式タイヤの部分正面図を例解する概略図である。
【0010】
図4】非空気圧式タイヤのスポークの代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。
【0011】
図5A】非空気圧式タイヤのスポークの他の代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。
図5B】非空気圧式タイヤのスポークの他の代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。
図5C】非空気圧式タイヤのスポークの他の代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。
【0012】
図6】非空気圧式タイヤの更に別の代替的な実施形態の正面図である。
【0013】
図7図6の非空気圧式タイヤのスポークの部分正面図を例解する概略図である。
【0014】
図8】リボンを巻き付けるための折り畳み可能なチャックの一実施形態の斜視図である。
【0015】
図9】上にリボンが巻き付けられた折り畳み可能な巻き付けマンドレルを有する、折り畳み可能なチャックの一実施形態の正面図である。
【0016】
図10】エラストマー材料のリボンが上に配置されたコアを有し、コアが第1の方向に拡張している、グリーンタイヤの一実施形態の部分正面図である。
【0017】
図11】エラストマー材料のリボンが上に配置されたコアを有し、コアが第2の方向に拡張している、グリーンタイヤの一実施形態の部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、非空気圧式タイヤ100の一実施形態の正面図である。非空気圧式タイヤ100は、第1の直径を有するインナーリング110と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリング120と、を含む。アウターリング120は、インナーリング110と実質的に同軸である。例解される実施形態では、インナーリング110は、ハブHに取り付けられるように示されている。複数のスポーク130は、インナーリング110とアウターリング120との間に延在している。代替的な実施形態では、スポークの代わりに、ウェビング又は他の支持構造体が採用され得る。
【0019】
例解される実施形態では、アウターリング120の周りに周方向トレッド140が配置されている。トレッド140は、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などの、トレッド要素を含み得る。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、アウターリング120とトレッド140との間に配置され得る。代替的な実施形態(図示せず)では、別々のトレッドが省略され得、代わりに、トレッド要素がアウターリングに直接形成され得る。
【0020】
図2は、図1の非空気圧式タイヤの拡大部分正面図である。この図を見て分かるように、スポーク130は、タイヤの周りに連続して配置された複数のループによって形成される。個々のループの各々は、非空気圧式タイヤ100の第1の側から非空気圧式タイヤ100の第2の側まで横方向に延在している。複数のループの各々は、タイヤの第1の側から視認可能である開口部を画定する。
【0021】
例解される実施形態では、複数のループの各々が、インナーリング110及びアウターリング120の両方と直接接触している。複数のフィレット150もまた、インナーリング110とアウターリング120との間に配置されている。複数のフィレット150は、内側フィレット150iと、外側フィレット150oと、を含む。内側フィレット150iは、インナーリング110、並びに第1のループ及び第2のループの両方のそれぞれの隣接する一対のループと直接接触している。外側フィレット150oは、アウターリング120、並びに第1のループ及び第2のループの両方のそれぞれの隣接する一対のループと直接接触している。
【0022】
インナーリング110及びアウターリング120は、天然ゴム又は合成ゴムなどのポリマー材料、他のエラストマー材料で構築され得る。代替的に、インナーリング110及びアウターリング120は、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、及びポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)などの、より硬いポリマー材料で構築され得る。スポーク130は、内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料で構成されたループで形成される。ループは、エラストマー材料のシートから、又は内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料の螺旋状のリボンから構築され得る。ループがシートによって形成される場合、シートの端部は、一緒に突き合わせ接合され得る。接合部は、非空気圧式タイヤのインナーリング又はアウターリングに位置付けられ得る。ループが螺旋状のリボンによって形成される場合は、突き合わせ接合が省略され得る。
【0023】
どちらの場合でも、補強材は、スチールコードであり得る。他の実施形態では、補強材は、ナイロン、ポリエステル、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド、ガラス、ポリエチレン(ポリエチレンテレフタレート)、又は他の補強材料で構築されたコードによって形成され得る。代替的な実施形態では、ループは、2層以上の補強材を有するエラストマー材料で構築され得る。
【0024】
トレッド140及びフィレット150はどちらも、天然ゴム又は合成ゴムなどのエラストマー材料、他のエラストマー材料で構築される。
【0025】
ループの追加的な詳細は、その構築中の非空気圧式タイヤ200の部分正面図を例解する概略図である図3に示され得る。非空気圧式タイヤ200は、第1の直径を有するインナーリング210と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリング220と、を含む。アウターリング220は、インナーリング210と実質的に同軸である。この図に示されるように、スポーク230は、第1のループ240a及び第2のループ240bによって形成されている。第1のループは、補強コードの第1の層250aを含み、第1のループは、第1の実質的に径方向範囲260a及び第2の実質的に径方向範囲260bを形成する。第2のループは、補強コードの第2の層250bを含み、第2のループは、第3の実質的に径方向範囲260c及び第4の実質的に径方向範囲260dを形成する。
【0026】
加えて、第1のフィレット270aは、第1のループ240aと、第2のループ240bと、インナーリング210との間に配置されている。同様に、第2のフィレット270bは、第1のループ240aと、第2のループ240bと、アウターリング220との間に配置されている。
【0027】
図3に示される段階では、第1のループ240aは、第2のループ240bから離間されている。この間隔は、例解の目的で誇張され得る。非空気圧式タイヤを形成する過程の間、硬化過程中に熱及び圧力が印加される。具体的には、第1のループ240aの第2の範囲260b及び第2のループ240bの第3の範囲260cに圧力が印加されて、第2の範囲260bを第3の範囲260cに接触させる。熱及び圧力が印加されると、第2の範囲260bが第3の範囲260cと接合され、それにより、第1のループ240a及び第2のループ240bが、補強コード250a、bの第1及び第2の層によって形成された2層の補強コードを有する単一のスポーク230を形成する。結果として生じるスポーク230は、図1及び図2のスポーク130と同じ様式で、実質的に半径方向に延在している。
【0028】
一実施形態では、第2の範囲260bの少なくとも半分が、第3の範囲260cの少なくとも半分と接触している。代替的な実施形態では、第2の範囲260bのうちの少なくとも2/3が、第3の範囲260cの少なくとも2/3と接触している。
【0029】
例解される実施形態では、補強コードの第1の層250a及び第2の層250bの各々は、得られるスポーク130の実質的に径方向に延在している。代替的な実施形態では、補強コードの層の一方又は両方が、径方向に関して偏向している。そのような一実施形態では、補強コードの層の一方又は両方が、50°~90°の角度で偏向している。そのような実施形態では、突き合わせ接合もまた角度付けされ得る。
【0030】
代替的な実施形態では、インナーリングとアウターリングとの間の範囲が、直線状ではなく、湾曲している。湾曲した範囲は、タイヤが回転するときのスポークの座屈の方向及び大きさを制御するために使用され得る。そのような湾曲した範囲は、それでも、実質的に径方向であるとみなされ得る。そのような一実施形態では、補強コードが、範囲と同じ湾曲部を有し得る。代替的な実施形態では、補強コードが、範囲とは異なる湾曲部を有し得る。別の代替の実施形態では、補強コードは、直線状に延在し、一方で、範囲は、湾曲し得る。
【0031】
他の代替的な実施形態では、範囲は、実質的に直線状であり、一方で、補強コードの層のうちの1つ以上は、径方向に関して湾曲している。補強コードの湾曲した層は、タイヤが回転するときのスポークの座屈の方向及び大きさを制御するために使用され得る。そのような実施形態では、補強コードの層のうちの1つ以上が湾曲している場合であっても、得られるスポークは、それでも、非圧縮状態にあるときに直線状に延在し得る。そのような配列では、スポークは、補強材予備曲率を有するとして説明され得る。
【0032】
図4は、補強材予備曲率を有するスポークの一例を提供する。図4は、非空気圧式タイヤ300の代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。スポーク310は、補強コードの第の1層330aを有する第1のループ320a及び補強コードの第2の層330bを有する第2のループ320bによって画定される。スポーク310は、実質的に径方向に延在している。補強コードの第2の層330bもまた、スポーク310の長さに沿って実質的に径方向に延在しているが、補強コードの第1の層330aは、スポーク310の内側に湾曲している。
【0033】
例解される実施形態では、補強コードの第1の層330aは、湾曲しており、一方で、補強コードの第2の層は、実質的に直線状である。代替的な実施形態では、補強コード第1及び第2の層は、どちらも湾曲している。
【0034】
図5A図5Cは、非空気圧式タイヤのスポーク400a~cの他の代替的な実施形態の部分正面図を例解する概略図である。図5Aでは、スポーク400aは、補強コードの第1の層410aと、補強コードの第2の層420aと、を含む。補強コードの層410a、420aの各々は、スポーク400aの長さに沿って複数の湾曲部を有し、したがって、波形であるとして説明され得る。例解される実施形態では、補強コードの層410a、420aは、補強コードの第1の層410aのピークが補強コードの第2の層420aのピークに対応するように反対方向に湾曲している。代替的な実施形態(図示せず)では、補強コードの層の湾曲部は、オフセットされ得、又は補強コードの層は、それらが異なる周期性の波状部を有するように湾曲し得る。
【0035】
図5Bでは、スポーク400bは、補強コードの第1の層410bと、補強コードの第2の層420bと、を含む。補強コードの層410b、420bの各々は、スポーク400abの長さに沿って単一の湾曲部を有する。例解される実施形態では、補強コードの層410b、420bは、それらが両凹面形状を形成するように反対方向に湾曲している。代替的な実施形態(図示せず)では、補強コードの層は、同じ方向に湾曲し得るか、又はオフセットされた湾曲部を有し得る。
【0036】
図5Cでは、スポーク400cは、補強コードの第1の層410cと、補強コードの第2の層420cと、を含む。補強コードの層410c、420cの各々は、スポーク400cの長さに沿って単一の湾曲部を有する。例解される実施形態では、補強コードの層410c、420cは、それらが両凸形状又はオジーブ形状を形成するように、反対方向に湾曲している。代替的な実施形態(図示せず)では、補強コードの層は、同じ方向に湾曲し得るか、又はオフセットされた湾曲部を有し得る。
【0037】
代替の実施形態では、スポーク自体は、湾曲し得る。例えば、図6は、非空気圧式タイヤ500の更に別の代替的な実施形態の正面図である。非空気圧式タイヤ500は、第1の直径を有するインナーリング510と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリング520と、を含む。アウターリング520は、インナーリング510と実質的に同軸である。複数のスポーク530は、インナーリング510とアウターリング520との間に延在している。代替的な実施形態では、スポークの代わりにウェビング又は他の支持構造体が採用され得る。周方向トレッド(図示せず)は、アウターリング520の周りに配置され得る。非空気圧式タイヤ500は、本明細書で説明される違いを除いて、非空気圧式タイヤ100と実質的に同じである。同様の構成要素には、同様の材料が使用され得る。
【0038】
スポーク530は、非空気圧式タイヤ500の周りに配置された複数のループによって形成されている。各個々のループは、非空気圧式タイヤ500の第1の側から非空気圧式タイヤ500の第2の側まで横方向に延在している。複数のループの各々は、タイヤの第1の側から視認可能である開口部を画定する。この実施形態では、ループは、腎臓形状であり、したがって、湾曲したスポーク530を形成する。代替的な実施形態(図示せず)では、ループは、他の曲率を有し得る。例えば、ループは、円形又は楕円形であり得る。
【0039】
例解される実施形態では、複数のループの各々は、インナーリング510及びアウターリング520の両方と直接接触している。複数のフィレット540もまた、インナーリング510とアウターリング520との間に配置されている。複数のフィレット540は、内側フィレット540iと、外側フィレット540oと、を含む。内側フィレット540iは、インナーリング510、並びに第1のループ及び第2のループの両方のそれぞれの隣接する一対のループと直接接触している。外側フィレット540oは、アウターリング520、並びに第1のループ及び第2のループの両方のそれぞれの隣接する一対のループと直接接触している。
【0040】
図7は、図6の非空気圧式タイヤ500のスポーク530の部分正面図を例解する概略図である。この図に示されるように、スポーク530は、第1のループ560a及び第2のループ560bによって形成されている。第1のループは、補強コードの第1の層570aを含む。第2のループは、補強コードの第2の層570bを含む。ループの各々は、インナーリングとアウターリングとの間に延在し、かつ隣接するループの湾曲した範囲と接触している一対の湾曲した範囲を有し、それによって、スポーク530を形成する。例解される実施形態では、各ループの湾曲した範囲は、互いに実質的に平行である。代替的な実施形態(図示せず)では、隣接する湾曲した範囲の各対は、反対方向に湾曲している。そのような配列は、円形又は楕円形のループで存在することになる。
【0041】
一実施形態では、第1のループ560aの湾曲した範囲の少なくとも半分が、第2のループ560bの湾曲した範囲の少なくとも半分と接触している。代替的な実施形態では、第1のループ560aの湾曲した範囲の少なくとも2/3が、第2のループ560bの湾曲した範囲の少なくとも2/3と接触している。
【0042】
例解される実施形態では、補強コードの第1の層570a及び第2の層570bは、ループ560a、bの範囲と同じ様態で湾曲している。代替的な実施形態(図示せず)では、補強コードの層の1つ以上は、直線状であり得る。他の代替的な実施形態(図示せず)では、補強コードの層は、異なる様式で湾曲し得、図4及び図5A~cに示される湾曲部に類似し得る。
【0043】
非空気圧式タイヤ100、200、300、500などの非空気圧式タイヤを構築するために、操作者は、エラストマー材料のインナーリングを提供するステップと、エラストマー材料のアウターリングを提供するステップと、インナーリングがアウターリングと実質的に同軸であるようにインナーリング及びアウターリングを配列するステップと、を行い得る。一実施形態では、操作者は、強化エラストマー材料のシートを提供して、強化エラストマー材料のシートを有する複数のループを形成する。各ループは、シートの端部を一緒に突き合わせ接合することによって形成され得る。操作者は、次いで、強化エラストマー材料のループをインナーリングとアウターリングとの間に置く。ループは、突き合わせ接合がアウターリング又は内部リングのいずれかに接するように配列され得る。
【0044】
別の実施形態では、操作者は、強化エラストマー材料のリボンを提供する。特定の一実施形態では、操作者は、正確に2本のスチールコードと共にグリーンゴムのリボンを押し出し加工することによってリボンを形成し、したがって、内部に2本のスチールコードが埋設されたグリーンゴムのリボンを形成する。
【0045】
更に別の実施形態では、操作者は、1本のスチールコードと共にグリーンゴムのリボンを押し出し加工することによってリボンを形成する。更に別の実施形態では、操作者は、3本以上のスチールコードと共にグリーンゴムのリボンを押し出し加工することによってリボンを形成する。
【0046】
代替的な実施形態では、リボンは、押し出し加工作業ではなく、カレンダー加工作業によって作製され得る。例えば、一実施形態では、リボンは、ゴムをコードの上にカレンダー加工し、カレンダー加工したシートを、1本、2本、又はより多くのコードを含む薄いリボンにスリット加工することによって作製される。
【0047】
リボンの実施形態では、操作者は、複数のコアを提供して、強化エラストマー材料のリボンを複数のコアの各々の周りに螺旋状に巻き付ける。そのような一実施形態では、操作者は、リボンを巻き付けるための折り畳み可能なチャックを採用する。図8は、折り畳み可能なチャック600の一実施形態の斜視図である。折り畳み可能なチャック600の使用は、強化エラストマー材料のリボンの取り外しを可能にする。エンドストップ640及びアウターリング630は、巻き付けマンドレルの直径を制御するために使用される。これらの構成要素は、ループの内径を変化させるために変更され得る。
【0048】
折り畳み可能なチャック600は、折り畳み可能な巻き付けマンドレルを形成する旋盤チャック610及びジョー拡張部620を含む。代替的な実施形態(図示せず)では、一組の折り畳み可能なマンドレルが、コード押出機の端部において巻き付け機械に直接装着され得る。そのような機械は、1つを超えるループの同時製造を可能にする複数のヘッドを有することができる。
【0049】
折り畳み可能なチャック600が装着される機械は、折り畳み可能な巻き付けマンドレルの回転及び横方向位置の制御を提供する。回転速度と並進速度との比率がリボンの間隔を制御する。この比率は、リボンの最終エンド数を制御するために使用される。
【0050】
強化エラストマー材料のリボンは、折り畳み可能なチャック600の折り畳み可能な巻き付けマンドレルの周りに巻き付けられた後に、コアに移送される。
【0051】
図9は、折り畳み可能なチャックの把持部にコア710を直接挿入した、折り畳み可能なチャック700の代替的な実施形態の正面図である。そのような実施形態では、強化エラストマー材料のリボンが、コアの上へ直接巻き付けられる。続いて、折り畳み可能なチャックからコアを取り外す。
【0052】
強化エラストマー材料のリボンがコアの少なくとも1つの周りに巻き付けられた後に、操作者は、インナーリングとアウターリングの間に複数のコアを配列する。コアは、複数のコアのうちの1つの螺旋状に巻き付けられたリボンが、複数のコアのうちの隣接する1つの螺旋状に巻き付けられたリボンに接触するように配列される。
【0053】
一実施形態では、コアは、拡張可能なコアである。図10は、強化エラストマー材料のリボンが上に配置され、強化エラストマー材料が隣接するコア810と接触するようにコア810が第1の方向に拡張している、コア810を有するグリーンタイヤ800の一実施形態の部分正面図である。
【0054】
図11は、エラストマー材料のリボンが上に配置され、コア910の強化エラストマー材料のリボンがインナーリング920及びアウターリング930と接触するようにコア910が第2の方向に拡張している、コア910を有するグリーンタイヤ900の一実施形態の部分正面図である。
【0055】
操作者は、次いで、複数のフィレットをコアと、インナーリングと、アウターリングとの間に置く。操作者は、次いで、インナーリング、アウターリング、複数のフィレット、及び複数のコアの周りに配置したリボンを硬化させて、硬化したタイヤを形成する。
【0056】
一実施形態では、タイヤは、複数組のコアを使用して、複数の段階で硬化される。例えば、操作者は、最初に、強化エラストマー材料のリボンを、図10に示されるコア800などの第1の組のコアの周りに巻き付け、強化エラストマー材料のリボンが互いに接触するようにコア800を拡張することができる。操作者は、次いで、コアの各々の強化エラストマー材料のリボンが一緒に部分的に硬化するように、第1の硬化を行う。
【0057】
操作者は、次いで、強化エラストマー材料の部分的に硬化したリボンを、図11に示されるコア900などの第2の組のコアに移送し得る。操作者は、次いで、第2の組のコア900をインナーリングとアウターリングとの間に置き、強化エラストマー材料の部分的に硬化したリボンがインナーリング920及びアウターリング930と接触するように、コア900を拡張することができる。操作者は、次いで、コアの各々の強化エラストマー材料のリボンが一緒にかつインナーリング及びアウターリングに対して完全に硬化するように、第2の硬化を行う。
【0058】
そのような一実施形態では、第1の硬化の前に、コアの間にフィレットが置かれる。代替的な実施形態では、第1の硬化の後だが第2の硬化の前に、フィレットが、コアと、インナーリングと、アウターリングとの間に置かれる。更に別の代替の実施形態では、第2の硬化の後だが第3の硬化の前に、フィレットが、コアと、インナーリングと、アウターリングとの間に置かれる。
【0059】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲まで、「含む(comprising)」という用語が特許請求項で移行句として採用される際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が採用される範囲において(例えば、A又はBなど)、「A又はB、又はAとBの両方とも」を意味することが意図されている。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が採用されるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0060】
本出願をその実施形態の記述によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明てきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの本意ではない。追加の利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに例解的な実施例に限定されない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤであって、
第1の直径を有するインナーリングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリングであって、前記インナーリングと実質的に同軸である、アウターリングと、
前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している支持構造体であって、前記支持構造体が、前記非空気圧式タイヤの第1の側から前記非空気圧式タイヤの第2の側まで横方向に延在している複数のループを含み、
前記複数のループの各々が、前記非空気圧式タイヤの前記第1の側から視認可能である開口部を画定し、
前記複数のループの各々が、前記インナーリング及び前記アウターリングの両方と直接接触しており、
前記複数のループが、少なくとも第1のループ及び第2のループを含み、前記第1のループが、前記第2のループと直接接触している、支持構造体と、
前記インナーリングと前記アウターリングとの間に配置された複数のフィレットと、を備え、前記複数のフィレットが、少なくとも第1のフィレット及び第2のフィレットを含み、
前記第1のフィレットが、前記インナーリング、前記第1のループ、及び前記第2のループと直接接触しており、
前記第2のフィレットが、前記アウターリング、前記第1のループ、及び前記第2のループと直接接触している、非空気圧式タイヤ。
【請求項2】
前記複数のループの各々が、内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料のシートによって形成される、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項3】
前記複数のループの各々が、内部に配置された単一層の補強材を有するエラストマー材料の螺旋状のリボンによって形成される、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項4】
前記第1のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第1の範囲及び第2の範囲を含み、
前記第2のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第3の範囲及び第4の範囲を含み、
前記第2の範囲が、前記第3の範囲に接触しており、
前記第1の範囲、前記第2の範囲、前記第3の範囲、及び前記第4の範囲の各々が、湾曲している、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。
【請求項5】
前記第1のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第1の範囲及び第2の範囲を含み、
前記第2のループが、前記インナーリングと前記アウターリングとの間に延在している第3の範囲及び第4の範囲を含み、
前記第2の範囲が、前記第3の範囲に接触しており、
前記第1の範囲が、実質的に径方向に延在している第1の補強層を含む、第1の実質的に径方向範囲であり、
前記第2の範囲が、前記径方向に対して湾曲している第2の補強層を含む、第2の実質的に径方向範囲である、請求項1に記載の非空気圧式タイヤ。

【国際調査報告】