(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】工具位置決めデバイスおよび工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/01 20060101AFI20221109BHJP
B23B 29/24 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B23Q1/01 W
B23B29/24 Z
B23B29/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517141
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2020075656
(87)【国際公開番号】W WO2021052911
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522103719
【氏名又は名称】トルノス・エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・ドロー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ノイコム
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・レイス
【テーマコード(参考)】
3C046
3C048
【Fターム(参考)】
3C046NN00
3C046NN02
3C046NN03
3C046NN27
3C048BC02
3C048DD00
3C048EE00
3C048EE07
(57)【要約】
本発明は、工具支持部(102)が工具(101)を装着するための第1の工具装着手段(105)を備える、工具支持部(102)を備える工作機械用のギャング(100)に関する。このギャングは、工具支持部(102)が、中で工作物が機械加工され得る機械加工ゾーンを少なくとも部分的に囲む実質的に平坦状の形状を有することを特徴とする。さらに、本発明は、工具位置決めシステム(200)、回転工具駆動デバイス(300)、および工作機械(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具支持部(102)を備える工作機械用のギャング(100)であって、前記工具支持部(102)は、工具(101)を装着するための第1の工具装着手段(105)を備える、ギャングにおいて、
前記工具支持部(102)は、中で工作物が機械加工され得る機械加工ゾーンを少なくとも部分的に囲む実質的に平坦状の形状を有することを特徴とする、ギャング。
【請求項2】
前記工具支持部(102)は、少なくとも部分的に楕円形、円形、または多角形の形状を有する、請求項1に記載のギャング(100)。
【請求項3】
前記工作支持部は、閉フレーム形状を有する、請求項1または2に記載のギャング(100)。
【請求項4】
前記第1の工具装着手段(105)は、プレート(101a)の形態の工具(101)を装着するために構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項5】
工作機械の工具位置決めデバイスに対して、好ましくは請求項1から6のいずれか一項に記載の位置決めデバイス(200)に対して前記工具支持部(102)を装着することを可能にするために設けられた支持部装着手段(103)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項6】
第1の回転工具(101b)を装着するための第2の工具装着手段および/または第2の回転工具(101c)を装着するための第3の工具装着手段を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項7】
前記第2の工具装着手段は、前記第1の回転工具(101b)が前記工具支持部(102)を含む面に対して平行な回転軸を有するように構成される、請求項6に記載のギャング(100)。
【請求項8】
前記第3の工具装着手段は、前記第2の回転工具(101c)が、前記第1の工具支持部(102)を含む前記面との間に、0°超の、有利には30°超の、さらに有利には60°超の、好ましくは90度の鋭角を形成する回転軸を有するように構成される、請求項6に記載のギャング(100)。
【請求項9】
基準マーキングを、有利には光学マーキングを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項10】
固有の方法で前記ギャングを特定することを可能にする識別手段を、有利には前記工具支持部(102)上に刻印されたコードを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項11】
前記ギャング上の前記工具の位置、工具の個数、工具のタイプ、前記工具の切断方向、前記ギャングの固有の識別子、前記ギャングにより機械加工される工作物の個数、前記ギャング上の前記工具の前記位置の決定日、工作物を機械加工するためのプログラム、および/または前記ギャングの使用日を記憶することを可能にする情報記憶手段を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項12】
前記情報記憶手段への情報送信および前記情報記憶手段からの情報受信を可能にする通信手段を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項13】
前記通信手段は、無線手段であり、好ましくはRFID技術に基づいた通信手段である、請求項12に記載のギャング(100)。
【請求項14】
プレート(101a)、第1の回転工具(101b)、および/または第2の回転工具(101c)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のギャング(100)。
【請求項15】
前記第1の回転工具(101b)および/または前記第2の回転工具(101c)は、請求項24から29のいずれか一項に記載の回転工具駆動デバイス(300)により回転駆動される、請求項14に記載のギャング(100)。
【請求項16】
前記工作機械ゾーンに対して工具の位置決めを行うための工作機械用の位置決めシステム(200)であって、第1の直線線形方向ガイド(201)および第2の直線線形方向ガイド(202)であって、前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する並進移動方向が平行である、第1の直線線形方向ガイド(201)および第2の直線線形方向ガイド(202)と、工具(101)を受けるように設計されたキャリッジ(207)と、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に対して装着された第1の傾斜線形方向ガイド(205)であって、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する並進移動方向が、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に関する前記並進移動方向との間に0°超の角度を形成する、第1の傾斜線形方向ガイド(205)と、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に対して装着された第2の傾斜線形方向ガイド(206)であって、前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する並進移動方向が、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する前記並進移動方向との間に0°超の角度を形成し、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向が、前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する前記並進移動方向に対して平行な面を形成する、第2の傾斜線形方向ガイド(206)と、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に対して作用することにより前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)を並進駆動するために設けられた第1の駆動手段と、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に対して作用することにより前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)を並進駆動するために設けられた第2の駆動手段であって、前記キャリッジ(207)は、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に対して装着される、第2の駆動手段とを備える、位置決めシステム(200)において、
前記第1の直線線形方向ガイド(201)の並進移動面および前記第2の直線線形方向ガイド(202)の並進移動面が交差することを特徴とする、位置決めシステム(200)。
【請求項17】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する前記並進移動方向により形成される前記角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、および/または前記第2の直線線形方向ガイド(202)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向により形成される前記角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、請求項16に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項18】
前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する前記並進移動方向と前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向との間の角度が、60°~120°の間であり、好ましくは70°~110°の間であり、有利には90°である、請求項16または17に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項19】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)と前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)との間に第1のスライド(203)を、および前記第2の直線線形方向ガイド(202)と前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)との間に第2のスライド(204)を備える、請求項16から18のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項20】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)の並進移動面と前記第2の直線線形方向ガイド(202)の並進移動面との交差ラインが、前記工作機械の前記機械加工ゾーンに交差する、請求項16から19のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項21】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)、前記第2の直線線形方向ガイド(202)、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)、前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)、および/または前記キャリッジ(207)の、速度、加速度、および/または位置を計測するためのセンサを備える、請求項16から20のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項22】
前記センサは、光電子走査スケールタイプの、干渉走査スケールタイプの、速度測定走査スケールタイプの、加速度走査スケールタイプの、および/または傾斜走査スケールタイプのセンサである、請求項21に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項23】
前記キャリッジ(207)は、ヤング率がGPaで表され密度がkg/m
3で表される場合に、0.010超の、有利には0.015超の、好ましくは0.020超のヤング率対密度比を有する、および/または0.0010超の、有利には0.0015超の、好ましくは0.0020超の減衰率を有する材料から、少なくとも部分的に構成される、請求項16から22のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項24】
回転工具駆動デバイス(300)であって、実質的に円筒形状の第1のサブフレーム(301a)と、実質的に円筒形状であり前記第1のサブフレーム(301a)の一端部に位置決めされた第2のサブフレーム(301b)であって、前記第1のサブフレーム(301a)の長手方向軸および前記第2のサブフレーム(301b)の長手方向軸が、180度未満の鈍角を形成する、第2のサブフレーム(301b)と、工具(304)をクランプするために設けられた工具クランプ手段(303)とを備える、回転工具駆動デバイス(300)において、
前記デバイス(300)は、前記第1のサブフレーム(301a)と前記第2のサブフレーム(301b)との間の境界部に位置決めされた磁気歯車装置(302)を備え、前記磁気歯車装置(302)は、前記第1のサブフレーム(301a)内に配置され、前記第1のサブフレーム(301a)の前記長手方向軸を中心として回転駆動され得る入力ホイール(302a)と、前記第2のサブフレーム(301b)内に配置され、前記第2のサブフレーム(301b)の前記長手方向軸を中心として回転駆動され得る出力ホイール(302b)とを備え、前記入力ホイール(302a)および前記出力ホイール(302b)は、磁気結合され、前記入力ホイール(302a)が前記出力ホイール(302b)を回転駆動するように構成されることと、
前記工具クランプ手段(303)は、前記磁気歯車装置(302)の前記出力ホイール(302b)により回転駆動されるように構成されることと
を特徴とする、回転工具駆動デバイス(300)。
【請求項25】
前記磁気歯車装置(302)は、ベベルタイプ、ウォームタイプ、外部平歯車タイプ、内部平歯車タイプ、曲がり歯傘歯車タイプ、または遊星歯車タイプである、請求項24に記載のデバイス(300)。
【請求項26】
前記第1のサブフレーム(301a)の前記長手方向軸と前記第2のサブフレーム(301b)の前記長手方向軸とにより形成された前記鈍角は、150°未満、有利には120°未満、好ましくは90度である、請求項24または25に記載のデバイス(300)。
【請求項27】
前記工具クランプ手段(303)は、前記工具(304)の回転軸に対して垂直な方向へと油圧システムにより並進駆動され得るクランプジョー(305)を備える、請求項24から26のいずれか一項に記載のデバイス(300)。
【請求項28】
前記クランプジョー(305)は、前記油圧システムの油圧流体の圧力変化に応答して変形可能クランプメンブレンにより並進駆動され得る、請求項24から27のいずれか一項に記載のデバイス(300)。
【請求項29】
前記油圧流体の前記圧力は、例えば油圧ねじなどの加圧手段により調節可能であり、前記加圧手段の長手方向軸が、前記第2のサブフレーム(301b)の前記長手方向軸に対して実質的に平行である、請求項27または28に記載のデバイス(300)。
【請求項30】
請求項16から23のいずれか一項に記載の工具位置決めデバイス(200)、請求項1から15のいずれか一項に記載のギャング(100)、および/または請求項24から29のいずれか一項に記載の回転工具駆動デバイス(300)を備える、工作機械(1)。
【請求項31】
機械加工対象のバーの長手方向軸に沿って機械加工対象の前記バーを回転駆動させるための可動ヘッドストックを備える、請求項30に記載の工作機械(1)。
【請求項32】
前記可動ヘッドストックは、機械加工対象の前記バーの前記長手方向軸に対して平行な方向に機械加工対象の前記バーを並進駆動させるように構成される、請求項30または31に記載の工作機械(1)。
【請求項33】
前記ギャングの通信手段と通信するために設けられた通信手段を備える、請求項30から32のいずれか一項に記載の工作機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の分野に関し、さらに詳細には例えば自動旋盤などの旋盤の分野に関する。さらに詳細には、第1の態様では、本発明は、例えば自動旋盤用のギャングなどの、工具支持部とも呼ばれる工作機械用のギャングに関する。さらに詳細には、本発明は、ギャングが再使用される場合にこのギャングに対して装着された工具の位置を再較正する必要性を解消するギャングに関する。第2の態様では、本発明は、工作機械用の工具位置決めデバイスに関する。さらに詳細には、本発明は、位置決めの最中に工具位置決めデバイスの駆動手段を移動させる必要を伴わずに、機械加工対象のバーに対して工具を正確にかつ迅速に位置決めすることが可能となる工具位置決めデバイスに関する。第3の態様では、本発明は、工作機械用の回転工具駆動デバイスに関する。さらに詳細には、本発明は、磁気歯車装置を有する回転工具駆動デバイスに関する。最後に、第4の態様では、本発明は、本発明による工具位置決めデバイス、本発明によるギャング、および/または本発明による回転工具駆動デバイスを備える、例えば自動旋盤などの工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、とりわけ例えば自動旋盤などの精密工作機械による機械パーツの機械加工時には、所望のパーツを機械加工するために必要な工具を、機械加工対象のバーに対して非常に正確に位置決めすることが可能であることが必須となる。さらに、昨今においては、機械加工の総時間を短縮することにより最終的に機械加工コストを削減しパーツの製造速度を高めることを可能にするために、この位置決めを可能な限り迅速に行い得ることが必要とされる。
【0003】
従来技術により知られる工作機械用の工具位置決めデバイスは、1つまたは複数の工具の移動あるいはこれらの工具が装着されるキャリッジの移動に関する、2つの独立した線形方向ガイドを通常備える。一般的に、既知の機械のこれらの線形方向ガイドは、好ましくは相互に対して直角に配向され、機械加工対象のバーに対する工具の移動を可能にする各モータに対して結合される。これら2つの線形方向ガイドの並進移動を組み合わせることにより、工具は、バーに対して垂直な面内において任意の方向に移動されることが可能となる。
【0004】
しかし、従来技術の位置決めデバイスは、大きな欠点を有する。実際には、線形方向ガイドは、「直列状態」に配置され、これにより、2つの線形方向ガイドの一方およびそのそれぞれのモータは、他方の線形方向ガイドにより移動されなければならないことになる。すなわち、特にモータ質量などの大きな質量が、工具の位置決め時には常に移動されなければならなくなる。これは、機械加工対象のバーに対する工具の位置決めのための移動時間が増大することを意味するために、欠点となる。最終的に、これにより、機械加工速度が限定される。さらに、工具が高速で移動される場合には、かかるシステムの慣性が高いことに起因して、工具を正確に位置決めすることが困難になる。最後に、軸スタック、すなわち直列状態に配置された軸は、並列構造よりも低い剛性を有する。
【0005】
従来技術により知られているいわゆる工具支持部であるギャングは、例えば工具ホルダが上に取り付けられる金属プレートの形態などの、工具支持部から通常なる。工具ホルダは、プレートすなわち切削工具自体が最終的に装着されるプレートホルダを受けるように通常設計される。
【0006】
既知のギャングは、高い機械加工精度を実現することが可能であるが、高バルクであり高重量である。既知のギャングの質量は高いため、機械加工対象のバーに対して工具を位置決めするための位置決め時間は長くなる。さらに、これらの既知のギャングのジオメトリおよび寸法により、パーツの機械加工に必要な種々の工具を機械加工対象のバー付近に位置決めするためには、大きな移動を実施しなければならない結果となる。当然ながら、これらの変位により、機械加工速度は限定される。さらに、従来技術において知られるギャングは、相互に対して基本的に平行に配向された工具ホルダのみに向けられたものである。したがって、既知のギャングは、相互に隣接して配置された工具向けのものである。多数の工具を有する大型ギャングの場合には、ギャングの端部に位置決めされた工具同士が相互に遠く離れて位置する。機械加工の最中に、これらの工具の中の第1の工具が使用され、次いで他の工具が使用される場合に、ギャングは、比較的大きな距離にわたり移動されなければならず、すなわち位置決め時間が増大し当然ながら機械加工速度が限定されることになる。最後に、従来技術において知られるギャングは、ギャング上における工具の装着箇所と作用点との間の距離が大きいことを特徴とする。これにより、機械加工の最中に工具が変形する恐れが出てくるため、機械加工品質が低下する可能性がある。
【0007】
従来技術において知られる工作機械用の回転工具ドライブは、工具を回転駆動するための機械歯車装置を一般的に使用する。機械歯車装置は、振動、ノイズ、および熱を多く発生させる欠点を有する。高精度機械歯車装置は、非常に高価である。さらに、機械歯車装置により、回転駆動される工具の限定的な加速および減速のみが可能となる。さらに、従来技術のデバイスは、大型サイズおよび高重量であり、これは、機械加工の最中にこれらのデバイスが移動されなければならない場合の移動時間が長いことを意味する。さらに、既知のデバイスの質量が高いことにより、高精度の位置決めを保証しつつ、これらのデバイスを最小限の時間で移動させることが不可能となる。
【0008】
工具位置決めデバイス、ギャング、および/または回転工具駆動デバイスを備える、従来技術において知られる工作機械は、高精密パーツを非常に高い速度で機械加工することができない。実際に、これらの要素の質量および/または寸法により、実現可能な機械加工速度および機械加工精度が限定されてしまう。
【0009】
したがって、ピースの機械加工の高い精度を保証しつつ、機械加工速度を上昇させることを可能にする、工具位置決めデバイス、工作機械用の回転工具駆動デバイス、ギャング、および工作機械が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、前述の制約を解消することを可能にする、工作機械用のギャング、工具位置決めデバイス、回転工具駆動デバイス、および工作機械を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、これらの目的は4つの独立請求項の主題により達成される。本発明のより特定的な態様は、独立請求項および本記載において説明される。
【0012】
より具体的には、本発明の目的は、工具支持部を備える工作機械用のギャングであって、工具支持部が工具を装着するための第1の工具装着手段を備えるギャングにおいて、工具支持部が、中で工作物が機械加工され得る機械加工ゾーンを少なくとも部分的に囲む実質的に平坦状の形状を有することを特徴とする、ギャングによって達成される。
【0013】
かかるギャングにより、ギャング上に取り付けられた工具を機械加工されるバーに対して可能な限り近づけることが可能となる。これにより、パーツの機械加工に必要なギャングの移動が抑制され、したがって機械加工速度を上昇させることが可能となる。さらに、本発明によるギャングにより、同一個数の工具を担持する従来技術において知られるギャングと比較してギャングのサイズを小さくすることが可能となる。さらに、寸法が縮小されることにより、質量が低下する。これにより、ギャングはより高速におよびより高い精度で移動されることが可能となる。
【0014】
本発明のこの態様の第1の好ましい実施形態によれば、工具支持部は、少なくとも部分的に楕円形、円形、または多角形の形状を有する。これにより、多数の工具を機械加工対象のバーに対して可能な限り近くに配置することが可能となる。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、工作支持部は、閉フレーム形状を有する。これにより、高い剛性度をギャングに与えることが可能となる。この剛性により、機械加工プロセスの全体にわたりギャング上における工具の位置を一定に保つように確保することが可能となる。
【0016】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1の工具装着手段は、プレートの形態の工具を装着するために構成される。これにより、工具ホルダまたはプレートホルダを使用する必要性を伴うことなく、工具支持部に対して直接的にプレートを装着することが可能となる。したがって、機械加工の最中にギャングに必要とされる移動サイズを抑制することが可能となり、したがって機械加工速度が上昇する。また、第1の工具装着手段は、内部機械加工用の穿孔棒およびドリルビットなどの工具を装着するようにさらに構成されることを実現することが有利である。
【0017】
本発明の次の好ましい一実施形態によれば、ギャングは、工作機械の工具位置決めデバイスに対して、好ましくは本発明による位置決めデバイスに対して、工具支持部を装着するために設けられた支持部装着手段を備える。したがって、ギャングが常に同一位置をとるように、工作機械の位置決めデバイスに対してギャングを装着するおよび位置決めデバイスからギャングを取り外すことが可能となる。したがって、工作機械に対してギャングを装着した直後に機械加工を開始することが可能になり、したがって機械加工速度が上昇する。
【0018】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、ギャングは、第1の回転工具を装着するための第2の工具装着手段および/または第2の回転工具を装着するための第3の工具装着手段を備える。かかるギャングは、複雑なパーツを機械加工するために必要なすべての工具を備える。したがって、工作物ごとに1つのギャングを有することが可能となる。これにより、他のパーツを機械加工しなければならない場合にいつでも、ギャングを迅速に交換し可能な限り早く機械加工を開始することが可能となる。
【0019】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第2の工具装着手段は、第1の回転工具が工具支持部を含む面に対して平行な回転軸を有するように構成される。これにより、例えば穴、ねじ山、またはフライス加工された表面などを機械加工するための工具を、機械加工されるバーの軸に対して垂直に設けることが可能となる。
【0020】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、第3の工具装着手段は、第2の回転工具が、第1の工具支持部を含む面との間に、0°超の、有利には30°超の、さらに有利には60°超の、好ましくは90度の鋭角を形成する回転軸を有するように構成される。これにより、高度に複雑なパーツを機械加工するための工具を設けることが可能となる。
【0021】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、ギャングは、基準マーキングを、有利には光学マーキングを備える。これにより、ギャングに装着された工具の位置をこの光学マーキングに対して較正することが、およびさらにギャング自体の位置を決定することが可能となる。
【0022】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ギャングは、固有の方法でギャングを識別することを可能にする識別手段を、有利には工具支持部上に刻印されたコードを備える。これにより、特定のパーツに特定のギャングを関連づけることが可能となる。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ギャングは、ギャング上の工具の位置、工具の個数、工具のタイプ、工具の切断方向、ギャングの固有の識別子、ギャングにより機械加工される工作物の個数、ギャング上の工具の位置の決定日、工作物を機械加工するためのプログラム、および/またはギャングの使用日を記憶することを可能にする情報記憶手段を備える。これにより、パーツを機械加工するために有用なあらゆる情報を格納することが、およびさらにギャングの履歴をたどることが可能となる。工具位置がギャングに記憶されることにより、この対応する情報を読み取る手段によって、パーツの機械加工を開始し得るように工作機械へ入力することのできるこの情報を引き出すことが可能となる。
【0024】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、ギャングは、情報記憶手段への情報送信および情報記憶手段からの情報受信を可能にする通信手段を備える。これにより、ギャングと工作機械または較正デバイスとの間の通信が可能となる。また、この通信手段が、ラップトップ、スマートフォンと通信するように、および遠隔通信ネットワークまたはインターネットを介した通信を行うように適合化されるのを実現することが可能となる。
【0025】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、この通信手段は、無線手段であり、好ましくはRFID技術に基づいた通信手段である。したがって、遠隔的な方法でギャングと通信することが可能となる。したがって、例えばギャング内に収容された情報をスマートフォンにより読み取ることが可能となる。
【0026】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ギャングは、少なくとも1つのプレート、第1の回転工具、および/または第2の回転工具を備える。かかるギャングにより、複雑なパーツを完全に機械加工することが可能となる。
【0027】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1の回転工具および/または第2の回転工具は、本発明による回転工具駆動デバイスにより回転駆動される。これにより、より小さな寸法を有する回転工具を使用することが可能となり、これにより機械加工速度が上昇する。
【0028】
さらに、本発明の目的は、工作機械ゾーンに対して工具の位置決めを行うための工作機械用の位置決めシステムであって、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドであって、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向が平行である、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドと、工具を受けるように設計されたキャリッジと、第1の直線線形方向ガイドに対して装着された第1の傾斜線形方向ガイドであって、第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第1の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向との間に0°超の角度を形成する、第1の傾斜線形方向ガイドと、第2の直線線形方向ガイドに対して装着された第2の傾斜線形方向ガイドであって、第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向との間に0°超の角度を形成し、第1の傾斜線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向に対して平行な面を形成する、第2の傾斜線形方向ガイドと、第1の直線線形方向ガイドに対して作用することにより第1の傾斜線形方向ガイドを並進駆動するために設けられた第1の駆動手段と、第2の直線線形方向ガイドに対して作用することにより第2の傾斜線形方向ガイドを並進駆動するために設けられた第2の駆動手段であって、キャリッジが第1の傾斜線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに対して装着される、第2の駆動手段とを備える、位置決めシステムにおいて、第1の直線線形方向ガイドの並進移動面および第2の直線線形方向ガイドの並進移動面が交差することを特徴とする、位置決めシステムによって達成される。
【0029】
かかる位置決めデバイスにより、機械加工対象のバーに対して工作機械の工具を正確にかつ最小限の時間量で位置決めすることが可能となる。本発明による位置決めデバイスの主な利点は、位置決めに必要な例えばモータなどの駆動手段が、従来技術において知られるデバイスの場合のように位相幾何学的に直列状態ではなく並列状態で配置される点によって得られる。この並列構成により、位置決めの最中において駆動手段はいずれも変位されない。これにより、従来技術において知られるデバイスと比較した場合に、位置決めの最中に変位される質量が大幅に低下した位置決めデバイスを実現することが可能となる。質量の低下により、位置決め精度の高さを保証しつつ、工具の位置決めを最小限の時間量で実施し得ることが確保される。さらに、キャリッジにより第2の傾斜線形方向ガイドに対して第1の傾斜線形方向ガイドが連結されることによって、より高い剛性度およびしたがって高い機械加工精度が実現される。
【0030】
さらに、直線線形方向ガイドおよび傾斜線形方向ガイドの組合せにより、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向によって形成される面内に含まれる任意方向への変位を実施することが可能となる。
【0031】
最後に、第1の直線線形方向ガイドの並進移動面と第2の直線線形方向ガイドの並進移動面とを交差させる利点は、軸構造およびその力ループのコンパクト性によって得られ、これは、その剛性および精度にとって好都合となる。このコンパクト性によりさらなる軽量化がもたらされ、それにより動力学作用およびしたがって速度の上昇が可能となる。これらの面の交差は非常に好適ではあるが、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドの並進移動面を平行にしかし混同のないものにすることがさらに可能となる点に留意されたい。
【0032】
本発明の第2の態様の第1の好ましい実施形態によれば、第1の直線線形方向ガイドおよび第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、および/または第2の直線線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である。
【0033】
第1の直線線形方向ガイドに沿った変位の、第1の直線線形方向ガイドに対して垂直な変位への変換は、第1の直線線形方向ガイドおよび第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度に比例する。角度がより大きいことによって、第1の直線線形方向ガイドに沿った移動は、結果的に垂直方向においてより大きな移動をもたらす。これと同じことが、第2の直線線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度についても該当する。
【0034】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向と第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向との間の角度が、60°~120°の間であり、好ましくは70°~110°の間であり、有利には90°である。これらの数値により、キャリッジの並進移動面内における機械加工ゾーンのジオメトリを変更することが可能となり、およびしたがって例えば有利な位置に工具を固定することが可能となる。さらに、これらの数値により、分解および動力学作用の変更が可能となる。すなわち、選択される角度値によっては、入力モータに対して適用される分解/動力学作用と、運動学的出力位置に位置する工具から直角な領域にて取得される分解/動力学作用との間におけるギアダウン/減速効果が得られる、キャリッジの並進移動面のある方向におけるこれ。また、このギアダウン/減速効果により、これらの力は、運動学的入力位置と運動学的出力位置との間で変更されることが可能となる。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、位置決めシステムは、第1の直線線形方向ガイドと第1の傾斜線形方向ガイドとの間に第1のスライドを、および第2の直線線形方向ガイドと第2の傾斜線形方向ガイドとの間に第2のスライドを備える。直線線形方向ガイドと傾斜線形方向ガイドとの間にこれらのスライドが存在することにより、これらの要素間における角伝達が可能となる。これにより、位置決めデバイスのキャリッジおよびしたがって工具が工作機械のバレルの直ぐ付近に位置することが可能になるように、直線線形方向ガイド同士を位置合わせすることが可能となる。これにより、位置決め距離のさらなる短縮化が可能となり、これにより高速かつ高動力学作用の機械加工が保証される。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、第1の直線線形方向ガイドの並進移動面と第2の直線線形方向ガイドの並進移動面との交差ラインが、工作機械の機械加工ゾーンに交差する。これは、レバーアームを最小化し、それにより、機械加工点における軸およびフレームジオメトリのエラーによる負の影響が軽減される。したがって、これは、機械加工点における軸構造の精度を最大化する。
【0037】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、位置決めシステムは、第1の直線線形方向ガイド、第2の直線線形方向ガイド、第1の傾斜線形方向ガイド、第2の傾斜線形方向ガイド、および/またはキャリッジの、速度、加速度、および/または位置を計測するためのセンサを備える。これらのセンサにより、キャリッジまたは工具の正確な位置を任意時点において知ることが可能となる。さらに、位置センサが傾斜線形方向ガイド上に設けられる場合に、較正を実施する必要性を伴うことなく、工作機械に対するキャリッジの絶対位置を、およびしたがってキャリッジ上に取り付けられる工具の絶対位置を知ることが可能となる。
【0038】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、これらのセンサは、光電子走査スケールタイプの、干渉走査スケールタイプの、速度測定走査スケールタイプの、加速度走査スケールタイプの、および/または傾斜走査スケールタイプのセンサである。かかるセンサにより、高精度の位置決めを保証するために必要なあらゆる情報が利用可能となる。したがって、機械加工速度を上昇させ、例えば許容可能なクオリティの機械加工を保証する位置決めパラメータの上限値/下限値を決定することが可能となる。
【0039】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、キャリッジは、ヤング率がGPaで表され密度がkg/m3で表される場合に、0.010超の、有利には0.015超の、好ましくは0.020超のヤング率対密度比を有する、および/または0.0010超の、有利には0.0015超の、好ましくは0.0020超の減衰率を有する材料から、少なくとも部分的に構成される。これにより、キャリッジは、最大限の剛性を有しつつ可能な限り軽量化されることが確保される。好ましくは、減衰率は、衝撃ハンマーにより叩いた後の材料の応答を計測することによって判定される点に留意されたい。最小の質量および最大の剛性をキャリッジに与えることにより、動力学作用を上昇させる、すなわち位置決め精度を高めつつ位置決め時間を短縮することが可能となる。適切な材料は、例えば鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄、好ましくはEN-GJS-400タイプのものである。さらに、複合材料、例えば繊維およびポリエステル樹脂を含む材料、ならびにカーボン、例えば紡糸炭素繊維が、本発明による位置決めシステムのキャリッジの製造に適する。
【0040】
さらに、本発明の目的は、回転工具駆動デバイスであって、実質的に円筒形状の第1のサブフレームと、実質的に円筒形状であり第1のサブフレームの一端部に位置決めされた第2のサブフレームであって、第1のサブフレームの長手方向軸および第2のサブフレームの長手方向軸が180度未満の鈍角を形成する、第2のサブフレームと、工具をクランプするために設けられた工具クランプ手段とを備える、回転工具駆動デバイスにおいて、デバイスが、第1のサブフレームと第2のサブフレームとの間の境界部に位置決めされた磁気歯車装置を備え、磁気歯車装置が、第1のサブフレーム内に配置され第1のサブフレームの長手方向軸を中心として回転駆動され得る入力ホイールと、第2のサブフレーム内に配置され第2のサブフレームの長手方向軸を中心として回転駆動され得る出力ホイールとを備え、入力ホイールおよび出力ホイールが、磁気結合され、入力ホイールが出力ホイールを回転駆動するように構成されることと、工具クランプ手段が、磁気歯車装置の出力ホイールにより回転駆動されるように構成されることとを特徴とする、回転工具駆動デバイスによって達成される。
【0041】
本発明による回転工具駆動デバイスにより、工具を回転駆動するモータと工具自体との間に角伝達を含む回転工具を設けることが可能となる。これは、回転工具のジオメトリにおいて非常に高い自由度をもたらし、機械加工対象のバーに対して可能な限り近くに回転工具を配置することを可能にする。機械加工対象のバーの直ぐ付近に回転工具を配置することにより、パーツを機械加工するために必要な移動を最小限に抑制することが可能となり、したがって機械加工速度が上昇する。さらに、変位量がより小さくなることによって、位置決め精度が改善され得る。
【0042】
本発明のこの第3の態様の第1の好ましい実施形態によれば、磁気歯車装置は、ベベルタイプ、ウォームタイプ、外部平歯車タイプ、内部平歯車タイプ、曲がり歯傘歯車タイプ、または遊星歯車タイプである。これにより、駆動対象の特定の回転工具に対して磁気歯車装置のタイプを適合化することが可能となる。また、これにより、駆動デバイスのジオメトリに対してギアタイプを適合化することが可能となる。
【0043】
本発明のこの第3の態様の他の好ましい実施形態によれば、第1のサブフレームの長手方向軸と第2のサブフレームの長手方向軸とにより形成された鈍角は、150°未満、有利には120°未満、好ましくは90度である。かかる角度により、回転工具は、駆動デバイス自体を枢動または並進移動させる必要性を伴うことなく、高度に複雑なピースの機械加工に必要なあらゆる方向へと配向されることが可能となる。
【0044】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、工具クランプ手段は、工具の回転軸に対して垂直な方向へと油圧システムにより並進駆動され得るクランプジョーを備える。かかる油圧クランプシステムにより、回転工具に対する非常に高いクランプ力が確保され得る。したがって、回転工具は、機械加工プロセスの最中に定位置に保持されることが可能となり、これにより正確な機械加工を確保することが可能となる。
【0045】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、クランプジョーは、油圧システムの油圧流体の圧力変化に応答して変形可能クランプメンブレンにより並進駆動され得る。クランプメンブレンは、回転工具に対するクランプジョーの非常に正確な移動を可能にするという利点を有する。したがって、クランプジョーにより工具に対して印加される力が、正確に調節され得る。さらに、クランプジョーにより、回転軸に関する工具の同心性が保証され得る。
【0046】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、油圧流体の圧力は、例えば油圧ねじなどの加圧手段により調節可能であり、加圧手段の長手方向軸は、第2のサブフレームの長手方向軸に対して実質的に平行である。第2のサブフレームのおよびしたがって回転工具の長手方向軸に対して長手方向が実質的に平行になるように設けられたこの加圧手段により、この手段へのアクセスが容易になり、したがって油圧流体圧の調節がより容易になる。
【0047】
また、本発明の目的は、本発明による工具位置決めデバイス、ギャング、および/または回転工具を備える、工作機械によって達成される。かかる工作機械により、機械加工されるパーツの高い精度を保証しつつ、高速の機械加工を達成することが可能となる。この位置決めデバイスにより、工具は、最小の時間量でおよび高い精度で任意方向に移動されることが可能となる。このギャングにより、パーツの機械加工に必要なあらゆる工具をパーツの直ぐ付近に配置することが可能となり、これにより工具の変位量を抑制し、したがって機械加工の速度および精度を上昇させることが可能となる。これは、機械加工対象のバーに対して可能な限り近くに工具を位置決め可能にする回転工具デバイスに対しても該当する。
【0048】
本発明の第4の態様の第1の好ましい実施形態によれば、工作機械は、機械加工対象のバーの長手方向軸に沿って機械加工対象のバーを回転駆動させるための可動ヘッドストックを備える。この可動ヘッドストックにより、機械加工対象のバーは、単純ではあるが正確な様式で回転され得る。
【0049】
本発明のさらに他の好ましい実施形態によれば、可動ヘッドストックは、機械加工対象のバーの長手方向軸に対して平行な方向に機械加工対象のバーを並進駆動させるように構成される。機械加工対象のバーを並進駆動させ得る可動ヘッドストックにより、バーを並進駆動する他の手段を用意する必要を伴うことなく、パーツを機械加工することが可能となる。
【0050】
本発明の次の好ましい実施形態によれば、工作機械は、ギャングの通信手段と通信するために設けられた通信手段を備える。工作機械の通信手段により、ギャング内に収容された情報を工作機械に対して送信することが可能となる。したがって、例えば、ギャングが工作機械に対して装着されると、例えばギャングの識別子、ギャング上の工具の個数、工具のタイプ、工具の位置、およびさらに機械加工プログラムなどのギャング内に収容された情報は、工作機械に対して自動的に送信される。工作機械は、ピースの機械加工に必要なあらゆる情報を自動的に受信し、機械加工が即座に開始され得る。
【0051】
添付の13個の図面を参照として例としておよび非限定的に提示される実装形態の例を含む以降の説明の文脈の範囲内において、本発明の具体的な特徴および利点がさらに詳細に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの第1の図である斜視図である。
【
図2】本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図3】本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの第2の図である部分分解斜視図である。
【
図4】本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの第3の図である部分分解斜視図である。
【
図5】本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの部分分解正面図である。
【
図6】位置決めデバイスのキャリッジが直線方向に移動された、本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図7】位置決めデバイスのキャリッジが対角線方向に移動された、本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図8】位置決めデバイスのキャリッジが水平方向に移動された、本発明の第4の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第2の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、および本発明の第1の態様の好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図9】切断工具および回転工具が装着された、本発明の第1の態様の第2の好ましい実施形態によるギャングの第1の図である斜視図である。
【
図10】切断工具および回転工具が装着された、本発明の第1の態様の第2の好ましい実施形態によるギャングの背面図である。
【
図11】切断工具および回転工具が装着された、本発明の第1の態様の第2の好ましい実施形態によるギャングの第2の図である斜視図である。
【
図12】本発明の第3の態様の好ましい一実施形態による回転工具用の駆動デバイスの側方断面図である。
【
図13】本発明の第3の態様の好ましい一実施形態による回転工具用の駆動デバイスの断面斜視図である。
【
図14】切断工具および回転工具が装着された、本発明の第1の態様の第2の好ましい実施形態によるギャングの第3の図である斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明のこの態様の第1の実施形態による、ここでは自動旋盤である工作機械1の第1の図を斜視図において示す。自動旋盤1は、フレーム2と、この実現モードでは好ましくは固定されたバレル3と、機械加工対象のバーのクランピングならびにバーの回転駆動およびバーの長手方向軸に対応する軸zに沿ったバーの並進駆動を可能にする可動ヘッドストック(図示せず)と、機械加工に必要な工具101(
図2をさらに参照)を担持するギャング100とを備える。好ましくは、ギャング100は、機械加工されているバーに対して正確にかつ最小限の時間量で工具101を位置決め可能にする本発明の位置決めデバイス200の一部であるキャリッジ207に対して装着される。
【0054】
最初に、
図2~
図5を参照として、本発明の位置決めデバイス200の構造的特徴および機能的特徴を説明する。
【0055】
図2は、本発明のこの態様の第1の実施形態による位置決めデバイス200を備える工作機械1の正面図を示す。分かるように、デバイス200は、ギャング100を装着することが可能になるように構成されたキャリッジ207を備える。位置決めデバイス200の基本位置、すなわちキャリッジ207が機械加工対象のバーに対して対称的に位置決めされる位置では、ギャング100は、工作機械1のバレル3に対して同様に対称的に位置決めされ、したがって機械加工対象のバーに対して対称的に位置決めされる(ここでは図示せず)。この図では、x軸、x'軸、x''軸、y軸、およびz軸が図示されており、これらの軸は、以降において位置決めシステム200の動作原理を説明するために使用される。y軸は、以降においては鉛直軸と呼ばれ、x軸は、以降においては水平軸と呼ばれ、x'軸は、以降においては第1の傾斜軸と呼ばれ、x''軸は、以降においては第2の傾斜軸と呼ばれる。この図で分かるように、傾斜軸x'およびx''は、この実施形態においては直角を成す。
【0056】
図3~
図5は、工作機械1および位置決めデバイス200のそれぞれ部分分解底面斜視図、部分分解正面斜視図、および部分分解正面図を示す。位置決めデバイス200は、第1の直線線形方向ガイド201および第2の直線線形方向ガイド202を備え、これらの直線線形方向ガイドは、この実施形態では工作機械1のフレーム2の傾斜面2aおよび2b上にz軸に対して対称的に配置される(
図3を参照)。これらの傾斜面2aおよび2bの存在は、位置決めデバイス200の動作にとって必須ではない点に留意することが重要である。第1の直線線形方向ガイド201および第2の直線線形方向ガイド202は、z軸に対して法線方向にフレーム2の面上に装着され得る。しかし、傾斜面2aおよび2bの存在により、スライド203および204は、直線線形方向ガイドと傾斜線形方向ガイドとの間に設けられることが可能となる。これにより、工具101は、工作機械1のバレル3のより近くに位置決めされることが可能となり、そのため非常に小さな寸法を有する工作物が、工具オフセットを伴わずに機械加工され得る。有利には、スライド203および204は、非常に高い剛性および軽量の材料で形成され、例えば鋳鉄、好ましくはEN-GJS-400-15で形成される。さらに、好ましくは、これらのスライド203および204は、可能な限りそれらの重量を、それぞれそれらのバルク性を限定するために中空化される。さらに、理解されるように、好ましくはキャリッジ207もまた中空化され、これによりその重量を、それぞれそのバルク性を限定する。
【0057】
図3~
図5に示すように、第1の傾斜線形方向ガイド205および第2の傾斜線形方向ガイド206が、第1のスライド203および第2のスライド204の上にそれぞれ装着される。スライド203および204は、第1の傾斜線形方向ガイド205および第2の傾斜線形方向ガイド206に関する並進移動方向x'およびx''が、z軸に対して法線方向を成す面を、すなわち機械加工対象のバーの長手方向軸に対して法線方向を成す面を形成するように設計される。さらに、傾斜線形方向ガイド205および206に対して連結されるキャリッジ207は、好ましくはギャング100を介してキャリッジ207に対して装着される工具101が、z軸に対して法線方向を成す面内のみにおいて移動されるように設けられる。
【0058】
さらに、デバイス200は、第1の直線駆動モータおよび第2の直線駆動モータ(図面には図示せず)を備え、これらのモータは、第1のスライド203および第2のスライド204のそれぞれに対して第1のボールねじカップリング201aおよび第2のボールねじカップリング202aを介して作用することにより、第1のスライド203および第2のスライド204を鉛直軸yに対して平行に駆動する。
【0059】
次に、キャリッジ207およびしたがって工具101がバレル3および機械加工対象のバーに対して様々な位置にあるのを示す
図1および
図6~
図8を用いて、位置決めデバイス200の動作原理を説明する。
【0060】
上述のように、
図2は、バレル3に対するキャリッジ207の「基本」位置を、すなわちキャリッジ207が機械加工対象のバーに対して対称的に位置決めされる位置を示す。スライド203および204が、第1の直線線形方向ガイド201および第2の直線線形方向ガイド202により、鉛直軸yに対して平行である方向Aに沿って同期的にすなわち同一速度および同一方向に駆動されると、キャリッジ207自体もまた、軸yに対して平行に並進駆動される。したがって、スライド203、204が同期移動することにより、
図6に示すように工具101のy軸位置が調節され得る。
【0061】
他方では、例えば第1のスライド203が、それぞれの直線線形方向ガイドを介して、
図7に示すように方向Aへとへと駆動されるなど、スライド203、204の一方のみが鉛直軸yに対して平行に並進駆動されると、キャリッジ207は、y軸方向に対して平行に直線並進移動されるだけでなく、さらにx軸に対して平行に水平並進移動される。したがって、キャリッジは、かかる場合には対角線方向に移動される。実際に、第2のスライド204が、第2のモータ202bを介して直線線形方向ガイド202と一体になることにより、第2のスライド204は、第1のスライド203の移動に応答して方向Aに沿って並進移動することはできない。しかし、第1のスライド203の方向Aへの移動に応答して、キャリッジ207は、方向Bへと第1の傾斜軸x'に対して平行に第1のスライド203に対して、および方向Cへと第2の傾斜軸x''に対して平行に第2のスライド204に対して駆動される。この実施形態では、位置決めデバイス200が対称的に構成されることにより、B方向およびC方向に沿った変位が同等量のものになる点に留意されたい。したがって、第1のスライド203が方向Aに沿って変位し、その一方で第2のスライド204が静止状態にとどまることにより、最終的にはキャリッジ207の「対角線方向」変位がもたらされ、すなわち水平方向x軸に沿った成分と鉛直方向y軸に沿った成分とを有する変位がもたらされる。
【0062】
水平軸xに対して平行なキャリッジ207の並進移動は、相反する平行方向AおよびDへと第1のスライド203および第2のスライド204を並進移動させることにより実現される。例えば
図8を参照すると、キャリッジ207をy軸に沿って移動させずにE方向に沿ってのみ変位させることは、A方向に沿った第1のスライド203の並進移動と、それに伴うD方向への第2のスライド204の同量の並進移動とによって実現される。同様の様式において、水平方向Fへキャリッジ207を変位させることは、方向Aへの第2のスライド204の並進移動と、方向Dへの第1のスライド203の並進移動とによって実現される。
【0063】
位置決めデバイス200の動作原理の上記の説明から理解されるように、直線方向y軸に対して平行な方向のみにおける第1のスライド203および第2のスライド204の変位の方向および量を組み合わせることにより、キャリッジ207およびしたがって工具101をx軸およびy軸によって規定される面内において任意の方向に移動させることが可能となる。したがって、キャリッジ207に対して直接的に装着されたまたはギャング100に対して装着された任意の工具101を、工作物の機械加工に必要な位置へと配置することが可能となる。
【0064】
従来技術の既知のデバイスに対する位置決めデバイス200の大きな利点の1つは、工具を任意方向に移動させるために必要な線形方向ガイドが、位相幾何学的に「直列状態」ではなく「並列状態」で配置される点にある。従来技術において知られるデバイスでは、線形方向ガイドおよびそれらの駆動モータは直列状態で配置され、これは、駆動モータの中の少なくとも1つが常にキャリッジ207と同時に移動されなければならないことを意味する。したがって、機械加工対象のバーに対して工具を位置決めすることを可能にするためには、位置決めデバイスの他の要素の質量に比較して一般的に高いモータの質量を移動させなければならない。これは、従来技術の既知の位置決めデバイスが高い慣性を有することを意味し、これにより、位置決めが実施可能となる最短時間だけでなくさらにはその精度までもが限定されてしまう。実際に、慣性が高いことにより、高速で動かされるキャリッジの減速がさらに難しくなる。対照的に、本発明の位置決めデバイスによれば、モータは固定され、移動される必要がない。したがって、キャリッジ、スライド、および工具のみが移動される必要があり、これにより工具を位置決めするときに移動されることとなる総質量または総バルクを抑制することが可能となる。これにより、高い位置決め精度およびしたがって機械加工精度を保証しつつ、はるかに短い位置決め時間およびしたがってより高速の機械加工速度の実現が可能となる。
【0065】
図9~
図11および
図14は、本発明のこの態様の第1の実施形態による工作機械用のギャング100を示す。ギャング100は、コーナ106により共に連結された6つの実質的に矩形の工具装着プレート104a~104fを備える工具支持部102を備える。したがって、これらの図面に示す実施形態の工具支持部102は、角を切断された正方形フレームの形態をとる。本発明の範囲内において、工具支持部102は、中で工作物が機械加工され得る機械加工ゾーンを少なくとも部分的に囲む別の実質的に平坦な形状を有することが可能である。したがって、本発明の範囲内において、異なる個数の工具装着プレートを設けることが可能となる。また、これらのプレートの形状は、
図9~
図11および
図14に示すものとは異なることが可能である。これらのプレートは、アーチ形状を有することが可能である。この場合に、工具支持部102は、リングまたはクラウンの形態をとり得る。当然ながら、工具支持部102は、多角形形状を有することもまた可能であり、例えば三角形、正方形、矩形、五角形、六角形、七角形、八角形、または任意の他のタイプの正多角形もしくは非正多角形などを有することが可能である。本発明においては、工具支持部102により形成されたフレームが閉構成であることは必須ではない。唯一重要な点は、工具支持部の形状により、中でピースが機械加工されることになるゾーンが少なくとも部分的に囲まれ得る点である。
【0066】
図9~
図11および
図14において分かるように、装着支持部103が、4つの工具装着プレート104a、104b、104d、104eの外方エッジに対して装着される。有利には、これらの装着支持部103は、例えば本発明の位置決めシステム200のキャリッジ207となど、工作機械または工具位置決めデバイスに設けられた対応する穴と協働するように意図されたピン103aを備える。さらに、装着支持部103は、例えば本発明の位置決めデバイス200などの工作機械または工具位置決めデバイスのピンと協働するように意図された位置決め穴103bを備える。したがって、工作機械に対してギャング100を位置決めおよび装着することが可能となり、これにより支持部102は、工作機械および/または工作機械のキャリッジに対して明確に規定された位置をとることが確実になる。
【0067】
さらに、工具装着手段105が、各工具装着プレート104a~104fに設けられる。図示する実施形態では、ギャング100は、合計で24個の工具装着手段105を備える。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる、より多数の、またはより少数の工具装着手段105を設けることが可能である。これらの工具装着手段105は、ここではプレート101aの形態である工具101が、ギャング100の工具装着プレート104a~104fに対して直接的に装着され得るように構成される。従来技術において知られるギャングとは対照的に、ここではプレートホルダや工具ホルダは一切不要となる。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、プレート101aと装着プレートとの間の距離を調節するために、プレート101aと工具装着プレート104a~104fとの間にスペーサを設けることが可能である点に留意することは重要である。プレート101aが工具支持部102に対して直接的に装着されることにより、小さなフレーム幅102Dを有する工具支持部102を実現することが可能となり(
図9を参照)、したがってギャング100の質量および寸法が抑制される。さらに、プレート101aが工具支持部102に対して直接的に装着されることにより、パーツの機械加工時にギャング100が通らなければならない経路サイズが縮小され、したがってより高速の機械加工が可能となる。
【0068】
図9~
図11および
図14から分かるように、工具支持部102は、少なくとも2つの異なる方向に沿って配向されこれらの方向間に角度βを形成する工具装着プレート104a~104bを備えるように設計される。これらの図に示す実施形態では、90°の角度β1が、例えば工具装着プレート104aおよび104b上に配置された工具101同士の間などに設定される。一方で、45°の角度β2が、工具装着プレート104aおよび104f間に存在する(
図10を参照)。装着プレート上に配置された工具101を少なくとも2つの異なる方向に配向することが可能になることにより、単一のギャング上に非常に多数の工具を設けることが可能となるとともに、パーツの機械加工時にギャングが移動しなければならない並進移動距離が短縮される。これにより、やはり同様に機械加工速度を高めることが可能となる。上述のように、これらの図面に示す実施形態のギャング100のジオメトリは、限定的なものであると見なされるべきではない。機械加工ゾーンを少なくとも部分的に囲むことが可能な形状を有する工具支持部を有するギャングによって、所望の技術的効果が実現される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、ギャング100は、開リングまたは閉リングとして実現され得る。
【0069】
図9~
図11および
図14に示す実施形態では、工具支持部102は、装着プレート104a~104fが閉フレームを形成するように設計される。これは、ギャング100に非常に高い剛性を持たせるという利点を有する。工具支持部102のこの剛性により、ギャング100上に取り付けられた工具101同士の相対位置が相互に対して一定にとどまる。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、工具支持部102を様々なジオメトリにて実現することが可能である。上述のように、本発明によるギャングは、180°未満の鈍角を形成するように相互に対して配向された2つのみの工具装着プレート104a~104bを備えることが可能である。
【0070】
図9~
図11および
図14において分かるように、ギャング100は、例えばノミなどのプレート101aの形態の工具101だけでなく、さらに例えば穴もしくはねじ山などを機械加工するための回転工具101bおよび101cをさらに備える。ギャング100は、工具の回転軸が支持部102により画定された面に対して平行である、第1の回転工具101bを備え得る。有利な一方法では、第1の回転工具の回転軸は、プレート101aと同一面内に位置する。これらの第1の回転工具101bは、
図14に示すような角度をつけられたピンの形態をとってもよい。かかる角度をつけられたピンは、例えば回転工具用の本発明の駆動デバイス300の形態をとってもよい。また、ギャングは、プレート101aにより画定された面外に位置する回転軸を有する第2の回転工具101cを備える。有利には、第2の回転工具101cの回転軸は、プレート101aにより画定された面に対して垂直となる。第2の回転工具101cは、工具支持部102に対して直接的に装着されるか、または工具支持部102に対して装着される回転工具支持部107を介して装着されるかのいずれかが可能である。独立した回転工具支持部107を用意することにより、ギャング100上にさらに多い総数の工具を設けることが可能となり、および/または工具支持部102上における工具101aの位置を変更することなく回転工具101bまたは101cを交換することが可能となる。ギャング100は、ピースを機械加工するために必要なすべての工具を担持するように設計される。したがって、工作物ごとに1つのギャングを有することを考慮することが可能となる。これにより、パーツ間の切替えをより迅速に行うことが可能になるため、より高速の機械加工速度が可能となる。
【0071】
上述のように、好ましくは、ギャング100は、ピン103aおよび位置決め穴103bを備え、これらのピン103aおよび位置決め穴103bにより、ある特定の工作機械に対する装着および装着解除を反復的に行うことが可能となり、同時に工具101同士が常に同一位置に位置することが確保される。当然ながら、ギャング100が取外し可能に設計されることにより、同一のギャング100が複数の工作機械上において使用されることも可能となる。
【0072】
上述のように、ギャング100は、ギャングが1つまたは複数の工作機械との間で取外しおよび再装着を行われた場合でも、工具101同士の相対位置が変化しないように設計される。これは、ギャング100が再使用される場合に、工具同士の相対位置を再度決定する必要がなく、大きなタイムロスを伴う再較正を伴わずに工作物の機械加工を即座に開始することが可能になるため、非常に有利となる。実際に、高精密機械パーツの機械加工の分野では、較正は、多大な注意および時間を一般的に必要とするプロセスである。しかし、ギャング100上に取り付けられた工具101が、高精密工作物の作製に使用され得るようにするためには、較正の最中に一度ギャング100上における工具101の絶対位置を好ましくはギャング100上の基準マーキングに対して決定することが重要となる。この基準マーキングは、例えば十字形状または均等形状などの、例えばギャング上の光学マーキングなどであることが可能である。当然ながら、ギャング上における工具の絶対位置の決定は、例えばピン103aの中の1つなどのギャングの基準要素に対して行うことも可能である。較正の最中に、ギャング100上に取り付けられた各工具101の例えば切断方向などの機械加工方向を決定することもまた重要である。
【0073】
ギャング100上における工具101の絶対位置の決定は、例えば光学式較正機などの専用較正機により工作機械から独立して行うか、またはギャング100を有する較正ピースを機械加工しその後にこれらの較正ピースの機械加工結果を解析することにより工作機械上で直接的に行うかのいずれかが可能である点に留意することが重要である。
【0074】
ギャング100の再使用を容易にするために、有利には、このギャングが自己識別を可能にする固有の識別手段を備えることが予期される。この識別手段は、例えば工具支持部102上など、ギャングの一部上に刻印もしくは他の様式で配置された数字またはコードであることが可能である。次いで、この数字は、ギャング100が上に取り付けられた工作機械を取り扱う人によって手作業で導入されることにより、ギャング100が装着される工作機械に対して示唆され得る。好ましくは、工作機械は、ギャングを識別することが可能なデータベースを有する。このデータベースは、例えば既知のギャングごとの工具101の絶対位置および/または相対位置などを含み得る。実際に、ギャング上における工具のすべての絶対位置が、既知であり、データベース内に記録されることを予期することが可能である。また、単一の工具のまたは例えば上述の光学マーキングなどの単一の基準点の絶対位置ならびにこの基準要素に対する工具の相対位置が、既知であり、データベース内に記録されることが可能である。
【0075】
好ましくは、ギャング100は、ギャング100上の工具101の絶対位置および/または相対位置と、このギャングの固有の識別子とを格納および記憶することが可能な情報記憶手段(図面には図示せず)を有する。この場合には、ギャング100は、ギャングが工作機械に装着された場合にこの工作機械に対してこの情報およびあらゆる他の情報を送信するために電子通信手段を備え得る。これらの電子通信手段は、例えば電子コネクタの形態などのギャング上および工作機械上に設けられた適合するコネクタの形態などで有線接続されることが可能であり、または例えば当業者には既知のRFIDチップまたは他の均等手段の形態などで無線接続されることが可能である。有利には、情報記憶手段は、工具の位置および工具の機械加工方向に加えて、例えばこのギャングにより機械加工されるピースの個数、このギャングの使用日、工具の交換日、較正日、ギャングが使用された工作機械のリスト、および/またはギャングに対応する工作物などの情報を含むように設定されることが可能である点に留意されたい。当然ながら、このリストは限定的なものではない。好ましくは、この記憶手段は、対応する工作物を記述するCADファイルをさらに含むように設定され得る。さらに、好ましくは、有線接続または無線接続されるギャング100の電子通信手段は、ギャング100と記憶手段に収容されたデータを読み取るための手段との間における一方向通信または双方向通信を可能にし得るように設定され得る。これらの読み取り手段は、例えばギャングを較正するための専用較正機内に、または例えばスマートフォンなどのモバイル通信手段などの任意の他のデバイス内に設けることが可能である。これにより、記憶手段内に収容された情報を迅速に読み取ることと、例えばある特定のギャングおよび対応する工作物などを識別することとが可能となる。ギャング内に設けられた通信記憶手段により、ギャングが均等な通信手段を有する工作機械に対して装着された場合に、ギャング内に格納された情報が工作機械へ自動的に送信されるようにすることが可能となる。例えば、いずれもギャングの記憶手段に格納された工作物および対応する機械加工プログラムを記述するCADファイルが、工作機械へ送信されることを予期することが可能である。この場合に、工作機械は、オペレータによるこれらのデータ入力を必要とすることなく機械加工を開始することが可能な状態になる。
【0076】
上述のように、較正が一度実施されると、すなわち工具101の位置が基準点に対して一度決定されると、ギャング100は、新規の較正の実施を必要とすることなく複数の工作機械に対して使用することが可能となる。さらに、ギャング100は、較正に関してもう1つの利点を有する点を強調しておくことが重要である。実際に、例えば破損後などにギャング100の工具101を交換する必要がある場合には、この基準点に対して交換工具の位置を決定するだけで、あらゆる相対位置を認識することが可能となる。
【0077】
図12および
図13は、本発明のこの態様の好ましい一実施形態による回転工具の駆動デバイス300の断面図を示す。デバイス300は、第1のサブフレーム301aおよび第2のサブフレーム301bに下位区分されるフレーム301を備え、これらの両サブフレームは実質的に円筒形状からなる。これらの図面において分かるように、第2のサブフレーム301bは、第1のサブフレーム301aの端部に位置決めされ、この第1のサブフレーム301aとの間に180°未満の鈍角αを形成する。この特定の実施形態では、鈍角αは、90°に等しい。当然ながら、本発明の範囲内において、90°以外の角度αと設定することが可能である。
【0078】
また、デバイス300は、第1のサブフレーム301a内に配置された入力ホイール302aと、第2のサブフレーム301b内に配置された出力ホイール302bとを備える磁気歯車装置を備える。入力ホイール302aは、例えば電気モータ(ここでは図示せず)により高速で第1のサブフレーム301aの長手方向軸wを中心として回転駆動され得るように構成される。磁気歯車装置302の入力ホイール302aを回転駆動するために電気モータを第1のサブフレーム301a内にどのように設けることが可能であるかについては、当業者には容易に想像されよう。
【0079】
入力ホイール302aおよび出力ホイール302bは、磁気結合される。換言すれば、入力ホイール302aおよび出力ホイール302bは、これらのホイール間に磁気結合を発生させる磁気要素を備える。入力ホイール302aと出力ホイール302bとの間の磁気結合により、入力ホイール302aを介して第2のサブフレーム301bの長手方向軸vを中心として出力ホイール302bを回転駆動することが可能となる。
【0080】
また、デバイス300は、例えばドリルなどの工具304をクランプし解除するために設けられたクランプ手段303を備える。クランプ手段303は、クランプ手段303およびしたがって工具304が、磁気歯車装置302により第2のサブフレーム301bの長手方向軸vを中心として回転駆動され得るように、出力ホイール302bに対して連結される。
【0081】
好ましくは、クランプ手段303は、軸vに対して垂直な方向に並進変位され得るクランプジョー305を備える。有利には、クランプジョー305は、油圧システムに対して結合された可撓性メンブレン(ここでは図示せず)により並進駆動され得る。有利な一方法では、可撓性メンブレン306は、油圧システムの油圧流体の圧力変化に応答して変形可能である。この流体の圧力を調節することにより、可撓性メンブレンは、多少なりとも変形されて、それによりクランプジョー305の位置を調節し、したがって工具304上のジョー305のクランプ力および/または工具304の解除力を調節することが可能となる。この実施形態では、油圧流体の圧力は、工具304に対して同軸方向にしかし第2のサブフレーム301bの対向側の端部に設けられたねじ山307へと螺入された調節ねじ(ここでは図示せず)によって、有利な方法で調節され得る。
【0082】
本発明による回転工具駆動デバイス300は、回転駆動される工具304に対してデバイスの駆動モータを同軸状に配置させないことが可能になるため、従来技術より知られているデバイスよりも有利である。これにより、回転工具の変位を可能にする位置決めデバイスのみを備える工作機械により、機械加工対象のバーの軸に対して平行なねじ山を例えば備える複雑なピースの機械加工が可能となる、しかしさらに例えば本発明の位置決めデバイス200などの切断工具も。さらに有利には、回転工具駆動デバイス300は、本発明のギャング100と組み合わされ得る。デバイス300により、複雑なピースを機械加工する最中にギャングに必要となる移動を最小限に抑えることが可能となる。これにより、機械加工速度が上昇し得る。
【0083】
本発明は、その実施に関して多数の変更がなされることが明白である。非限定的な実施形態を例として示したが、当然ながら、すべての可能な変更を包括的に特定することは考えられない点が理解される。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、既述の手段を均等な手段で置き換えることが考えられる。あらゆるこれらの修正は、工作機械の分野の当業者にとって共通の知識の一部をなすものである。
【符号の説明】
【0084】
1 工作機械、自動旋盤
2 フレーム
2a 傾斜面
2b 傾斜面
3 バレル
100 ギャング
101 工具
101a プレート、工具
101b 回転工具、第1の回転工具
101c 回転工具、第2の回転工具
102 工具支持部
102D フレーム幅
103 装着支持部
103a ピン
103b 位置決め穴
104a 工具装着プレート
104b 工具装着プレート
104c 工具装着プレート
104d 工具装着プレート
104e 工具装着プレート
104f 工具装着プレート
105 工具装着手段
106 コーナ
107 回転工具支持部
200 位置決めデバイス、位置決めシステム
201 第1の直線線形方向ガイド
201a 第1のボールねじカップリング
202 第2の直線線形方向ガイド
202a 第2のボールねじカップリング
202b 第2のモータ
203 第1のスライド
204 第2のスライド
205 第1の傾斜線形方向ガイド
206 第2の傾斜線形方向ガイド
207 キャリッジ
300 回転工具駆動デバイス
301 フレーム
301a 第1のサブフレーム
301b 第2のサブフレーム
302 磁気歯車装置
302a 入力ホイール
302b 出力ホイール
303 クランプ手段
304 工具
305 クランプジョー
306 可撓性メンブレン
307 ねじ山
【手続補正書】
【提出日】2022-05-17
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、工作機械の分野に関し、さらに詳細には例えば自動旋盤などの旋盤の分野に関する。さらに詳細には、第1の態様では、本発明は、工作機械用の工具位置決めデバイスに関する。さらに詳細には、本発明は、位置決めの最中に工具位置決めデバイスの駆動手段を移動させる必要を伴わずに、機械加工対象のバーに対して工具を正確にかつ迅速に位置決めすることが可能となる工具位置決めデバイスに関する。第2の態様では、本発明は、本発明による工具位置決めデバイスを備える、例えば自動旋盤などの工作機械に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
工具位置決めデバイスを備える、従来技術において知られる工作機械は、高精密パーツを非常に高い速度で機械加工することができない。実際に、この要素の質量および/または寸法により、実現可能な機械加工速度および機械加工精度が限定されてしまう。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
したがって、ピースの機械加工の高い精度を保証しつつ、機械加工速度を上昇させることを可能にする、工具位置決めデバイスおよび工作機械が必要である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
したがって、本発明の目的は、前述の制約を解消することを可能にする、工具位置決めデバイスおよび工作機械を提案することである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明によれば、これらの目的は2つの独立請求項の主題により達成される。本発明のより特定的な態様は、独立請求項および本記載において説明される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
より具体的には、本発明の目的は、工作機械ゾーンに対して工具の位置決めを行うための工作機械用の位置決めシステムであって、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドであって、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向が平行である、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドと、工具を受けるように設計されたキャリッジと、第1の直線線形方向ガイドに対して装着された第1の傾斜線形方向ガイドであって、第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第1の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向との間に0°超の角度を形成する、第1の傾斜線形方向ガイドと、第2の直線線形方向ガイドに対して装着された第2の傾斜線形方向ガイドであって、第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向との間に0°超の角度を形成し、第1の傾斜線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向が、第1の直線線形方向ガイドおよび第2の直線線形方向ガイドに関する並進移動方向に対して平行な面を形成する、第2の傾斜線形方向ガイドと、第1の直線線形方向ガイドに対して作用することにより第1の傾斜線形方向ガイドを並進駆動するために設けられた第1の駆動手段と、第2の直線線形方向ガイドに対して作用することにより第2の傾斜線形方向ガイドを並進駆動するために設けられた第2の駆動手段であって、キャリッジが第1の傾斜線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに対して装着される、第2の駆動手段とを備える、位置決めシステムにおいて、第1の直線線形方向ガイドの並進移動面および第2の直線線形方向ガイドの並進移動面が交差する、位置決めシステムによって達成される。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本発明の第1の態様の第1の好ましい実施形態によれば、第1の直線線形方向ガイドおよび第1の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、および/または第2の直線線形方向ガイドおよび第2の傾斜線形方向ガイドに関する並進移動方向により形成される角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正34】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正35】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
また、本発明の目的は、本発明による工具位置決めデバイスを備える、工作機械によって達成される。かかる工作機械により、機械加工されるパーツの高い精度を保証しつつ、高速の機械加工を達成することが可能となる。この位置決めデバイスにより、工具は、最小の時間量でおよび高い精度で任意方向に移動されることが可能となる。
【手続補正36】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
本発明の第2の態様の第1の好ましい実施形態によれば、工作機械は、機械加工対象のバーの長手方向軸に沿って機械加工対象のバーを回転駆動させるための可動ヘッドストックを備える。この可動ヘッドストックにより、機械加工対象のバーは、単純ではあるが正確な様式で回転され得る。
【手続補正37】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
添付の14個の図面を参照として例としておよび非限定的に提示される実装形態の例を含む以降の説明の文脈の範囲内において、本発明の具体的な特徴および利点がさらに詳細に明らかになろう。
【手続補正38】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
【
図1】本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの第1の図である斜視図である。
【
図2】本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図3】本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの第2の図である部分分解斜視図である。
【
図4】本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの第3の図である部分分解斜視図である。
【
図5】本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの部分分解正面図である。
【
図6】位置決めデバイスのキャリッジが直線方向に移動された、本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図7】位置決めデバイスのキャリッジが対角線方向に移動された、本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図8】位置決めデバイスのキャリッジが水平方向に移動された、本発明の第
2の態様の好ましい一実施形態による工作機械、本発明の第
1の態様の好ましい一実施形態による位置決めデバイス、およ
び好ましい一実施形態によるギャングの正面図である。
【
図9】切断工具および回転工具が装着された
、第2の好ましい実施形態によるギャングの第1の図である斜視図である。
【
図10】切断工具および回転工具が装着された
、第2の好ましい実施形態によるギャングの背面図である。
【
図11】切断工具および回転工具が装着された
、第2の好ましい実施形態によるギャングの第2の図である斜視図である。
【
図12】
回転工具用の駆動デバイスの側方断面図である。
【
図13】
回転工具用の駆動デバイスの断面斜視図である。
【
図14】切断工具および回転工具が装着された
、第2の好ましい実施形態によるギャングの第3の図である斜視図である。
【手続補正39】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械ゾーンに対して工具の位置決めを行うための工作機械用の位置決めシステム(200)であって、第1の直線線形方向ガイド(201)および第2の直線線形方向ガイド(202)であって、前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する並進移動方向が平行である、第1の直線線形方向ガイド(201)および第2の直線線形方向ガイド(202)と、工具(101)を受けるように設計されたキャリッジ(207)と、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に対して装着された第1の傾斜線形方向ガイド(205)であって、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する並進移動方向が、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に関する前記並進移動方向との間に0°超の角度を形成する、第1の傾斜線形方向ガイド(205)と、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に対して装着された第2の傾斜線形方向ガイド(206)であって、前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する並進移動方向が、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する前記並進移動方向との間に0°超の角度を形成し、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向が、前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第2の直線線形方向ガイド(202)に関する前記並進移動方向に対して平行な面を形成する、第2の傾斜線形方向ガイド(206)と、前記第1の直線線形方向ガイド(201)に対して作用することにより前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)を並進駆動するために設けられた第1の駆動手段と、前記第2の直線線形方向ガイド(202)に対して作用することにより前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)を並進駆動するために設けられた第2の駆動手段であって、前記キャリッジ(207)は、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に対して装着される、第2の駆動手段とを備える、位置決めシステム(200)において、
前記第1の直線線形方向ガイド(201)の並進移動面および前記第2の直線線形方向ガイド(202)の並進移動面が交差することを特徴とする、位置決めシステム(200)。
【請求項2】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)および前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する前記並進移動方向により形成される前記角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、および/または前記第2の直線線形方向ガイド(202)および前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向により形成される前記角度は、20°超であり、有利には30°超であり、好ましくは45°以上である、請求項
1に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項3】
前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)に関する前記並進移動方向と前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)に関する前記並進移動方向との間の角度が、60°~120°の間であり、好ましくは70°~110°の間であり、有利には90°である、請求項
1または
2に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項4】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)と前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)との間に第1のスライド(203)を、および前記第2の直線線形方向ガイド(202)と前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)との間に第2のスライド(204)を備える、請求項
1から
3のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項5】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)の並進移動面と前記第2の直線線形方向ガイド(202)の並進移動面との交差ラインが、前記工作機械
の機械加工ゾーンに交差する、請求項
1から
4のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項6】
前記第1の直線線形方向ガイド(201)、前記第2の直線線形方向ガイド(202)、前記第1の傾斜線形方向ガイド(205)、前記第2の傾斜線形方向ガイド(206)、および/または前記キャリッジ(207)の、速度、加速度、および/または位置を計測するためのセンサを備える、請求項
1から
5のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項7】
前記センサは、光電子走査スケールタイプの、干渉走査スケールタイプの、速度測定走査スケールタイプの、加速度走査スケールタイプの、および/または傾斜走査スケールタイプのセンサである、請求項
6に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項8】
前記キャリッジ(207)は、ヤング率がGPaで表され密度がkg/m
3で表される場合に、0.010超の、有利には0.015超の、好ましくは0.020超のヤング率対密度比を有する、および/または0.0010超の、有利には0.0015超の、好ましくは0.0020超の減衰率を有する材料から、少なくとも部分的に構成される、請求項
1から
7のいずれか一項に記載の位置決めシステム(200)。
【請求項9】
請求項
1から
8のいずれか一項に記載の工具位置決め
システム(200
)を備える、工作機械(1)。
【請求項10】
機械加工対象のバーの長手方向軸に沿って機械加工対象の前記バーを回転駆動させるための可動ヘッドストックを備える、請求項
9に記載の工作機械(1)。
【請求項11】
前記可動ヘッドストックは、機械加工対象の前記バーの前記長手方向軸に対して平行な方向に機械加工対象の前記バーを並進駆動させるように構成される、請求項
9または
10に記載の工作機械(1)。
【請求項12】
ギャングの通信手段と通信するために設けられた通信手段を備える、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の工作機械(1)。
【国際調査報告】