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特表2022-548165電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極を製造するための方法
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  • 特表-電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極を製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20221109BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20221109BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517230
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 FR2020051599
(87)【国際公開番号】W WO2021053293
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】1910257
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・サロモン
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ・アブスレーメ
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・アメストイ
(72)【発明者】
【氏名】マルク-ダヴィド・ブライダ
(72)【発明者】
【氏名】エレーヌ・ルオー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・バスクール
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA13
5H050EA21
5H050EA23
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA10
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極を製造するための方法であって、以下の工程:a)電極の構成中に含まれることが意図されている成分を含む組成物を調製する工程と、b)その組成物から、支持体上で電極を形成する工程とを含み、- 工程a)で調製される組成物が、0.1s-1のせん断勾配及び周囲温度で測定して5000Pa.s超の動粘度を有するペースト形態の組成物であり;- 調製工程が、電極の構成中に含まれることが意図されている成分を、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを備えたミキサー内部に導入し、その中で成分を混合することから構成され、調製工程を100℃未満の温度で実施することを特徴とする方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極の製造方法であって、
a)電極の構造中に入るように供給される成分を含む組成物を調製する工程と、
b)前記組成物から、基材上で電極を形成する工程と、
を含み、
- 工程a)で調製される組成物が、0.1s-1のせん断速度及び周囲温度において測定して5000Pa・sより大きな動粘度を有するペーストの形態の組成物であり;かつ、
- 調製工程が、電極の構造中に入るように供給される成分を、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを備えたミキサー内部に導入して混合することからなり、前記調製工程を100℃未満の温度において実施する
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
組成物が、電極を構成する成分として、
- 少なくとも1種の電極活性物質、
- ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される少なくとも1種のポリマー、
- 電解質、
- 任意選択により場合によって、少なくとも1種の電子伝導添加剤
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
1種又は複数のポリマーが、電解質と接触してゲル化し、それによって電解質を閉じ込めるために適切なゲル化するポリマーから選択される、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
1種又は複数のポリマーが、フッ素化モノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位、及び、好ましくは、任意選択により塩の形態であってもよい少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位を含むフッ素化ポリマーから選択される、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記電解質が、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の金属塩、及び任意選択により場合によっては炭素質化合物の類に属する添加剤、を含む液体電解質である、請求項2から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記組成物が、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する少なくとも1種の溶媒を更に含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
形成工程の後に、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する1種又は複数の溶媒を蒸発させる工程を更に含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記組成物が、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する1種又は複数の溶媒を欠いている、請求項2から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
調製工程を連続的に実施する、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
調製工程を周囲温度で実施するか、又は周囲温度よりも高いが100℃未満の温度で実施する、請求項6又は8に記載の製造方法。
【請求項11】
調製工程を、1種又は複数の溶媒が組成物中に存在する場合には、周囲温度より高いが、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する1種又は複数の溶媒の沸点より低い温度で実施し、あるいは、1種又は複数の溶媒が存在しない場合には、周囲温度より高いが、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーの溶融温度未満の温度で実施する、請求項6、8、及び10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
更に製造工程のための組成物が、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する1種又は複数の溶媒を含む場合には、組成物の全質量に対して固体質量50%~80%を含むか、あるいは、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給される1種又は複数のポリマーに対する1種又は複数の溶媒を含まない場合には、組成物の全質量に対して固体質量83~90%を含む、請求項2、6、及び8のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質、より特に、ポリマーマトリックスと共にゲルを形成することができる液体電解質を閉じ込めているポリマーマトリックスを含む電極(この場合、電極は、イオンゲル電極ということができる)を製造するための方法に関し、この電極は、電気化学アキュムレーター(二次電池)に組み込むために提供される。
【0002】
本発明の一般的な技術分野は、エネルギー貯蔵デバイス、特に、電気化学アキュムレーターの分野と定義することができる。
【背景技術】
【0003】
電気化学アキュムレーターは、そのそれぞれに電解質により分離されている電極対(それぞれ陽極及び陰極)が存在することによって電流を送達するために適切な電気化学電池の原理で作動し、その電極は、酸化還元反応による反応のために適切な特定の物質を含み、それによって、電流の源における電子の交換、及び電解質の介在を通して一方の電極から他方へと流れるイオンの交換がある。
【0004】
この原理を採用するアキュムレーターのうち、電極で(及び、より具体的には、電極活性物質上で)生じる金属元素の挿入/脱挿入の原理で作動し、金属イオンアキュムレーター(例えば、Liイオン、Naイオン、Kイオン、Caイオン、Mgイオン、又はAlイオン)という用語で公知のアキュムレーターは、特に、エネルギー密度に関するそれらの性能により、鉛-酸アキュムレーター及びNi-MHアキュムレーター等の他の種類のアキュムレーターに取って換わっている。実際のところ、Liイオンアキュムレーター等のM-イオンアキュムレーターは、特に、Ni-MH及びNi-Cdアキュムレーター(50~100Wh・kg-1の範囲であり得る)及び鉛-酸(30~35Wh・kg-1の範囲であり得る)のものよりも明らかに高い重量及び容積エネルギー密度(180Wh・kg-1より大きくなりうる)を得ることを可能にする。
【0005】
機能的観点から、金属イオンアキュムレーターにおいては、電流生成の源における反応(つまり、アキュムレーターが放電モードにあるとき)は、陽極のアクセプターネットワークに差し込まれる陰極に由来する金属カチオンの、金属イオンを導電する電解質を介しての移動が関与する一方、陰極における反応から来る電子は、外部回路をもたらすこととなり、そこへ陽極及び陰極が接続されている。
【0006】
より具体的には、Liイオンアキュムレーターの場合には、陽極は、リチウム挿入物質として、リチウムベースのリン酸物質(例えば、LiFePO)、任意選択で置換されていてもよいリチウム化酸化マンガン(LiMn等)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルトベースの物質LiNiMnCo、ここで、x+y+z=1(略語NMCによっても公知)(例えば、LiNi0.33Mn0.33Co0.33又はLiNi0.6Mn0.2Co0.2)、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウムベースの物質LiNiCoAl、ここで、x+y+z=1(略語NCAによっても公知)(例えば、LiNi0.8Co0.15Al0.05)、を含み得る。
【0007】
リチウム挿入物質として、陰極は、グラファイト等の炭素物質、炭化ケイ素SiC若しくは酸化ケイ素SiO等のケイ素ベースの化合物、LiTi12等のリチウム化酸化チタン、リチウム-ゲルマニウム合金、又は例として、これらのリチウム挿入物質の数種の混合物、例えば、グラファイト及びケイ素ベースの化合物を含む混合物を含み得る。
【0008】
前述のとおり、陰極と陽極の間に、電解質が配置されており、これは、充電及び逆に放電の際に、陽極から陰極へのイオン(一般的に、電解質中に存在する金属塩に由来)の移動を可能にする。
【0009】
この電解質は、液体の形態をとってよく、通常、1種又は複数の有機溶媒(例えば、炭酸エステル溶媒の混合物)を含むことができ、その溶媒中に1種又は複数の金属塩(例えば、アキュムレーターがリチウムイオンアキュムレーターである場合には1種又は複数のリチウム塩)が溶解している。
【0010】
しかしながら、液体電解質の使用は、次のうちのいくつかの欠点を有し、それには以下のものがある:
- 電池から液体電解質が漏出する問題;
- 電解質を含む電池において熱暴走が起こった場合に、液体電解質が陽極の活性物質の酸素と化学的に反応し、それが大容量のガスを発生させることがあり、その結果、電池が発火、又は爆発さえするかもしれない可能性。
【0011】
これらの欠点を克服するために、代替策は、例えば、次の解決策を用いて液体電解質を置き換えることによって液体電解質の使用をなくすことからなる:
- 純粋に固体形態をとっているガラス又はセラミックのリチウムイオン導体、例えば、化学蒸着(CVD)により堆積させた薄層、例えば、LIPONの層、又はポリマーマトリックス、例えば、ポリ(フッ化ビニリデン)のポリマーマトリクス、及びリチウム化酸化物、例えばLiLaZr12によって構成されるフィラーを含む複合材料の層;
- ポリオキシエチレン(POE)タイプのポリマー及びリチウム塩、例えば、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミジド(imidide)(LiTFSI)からできている乾燥ポリマー固体電解質。
【0012】
しかしながら、これらの種々の解決策はすべて、現時点では、いくつかの数の欠点を有する。
【0013】
ガラス又はセラミックのリチウムイオン導体の使用に関しては、これらは、工業的状況において開発するには非常に複雑である実施又は合成技術を必要とし、これは、アキュムレーターの大規模生産のためには障害となることを立証するものでありうる。
【0014】
固体乾燥ポリマー電解質に関しては、室温におけるそれらのイオン伝導度は一般的に、10-5S・cm-1未満であるが、従来の液体電解質では、イオン伝導度は、室温において10-3S・cm-1、又は10-2S・cm-1の次数ですらある。これにより、電解質内でのリチウムイオンの拡散を促進するためには、乾燥ポリマー電解質を含むアキュムレーターは、室温よりも高い温度、例えば、60~80℃の範囲の温度において使用することが必要であることを立証するものでありうる。
【0015】
液体電解質の使用に結びついている欠点及び上述した固体電解質の欠点を軽減するために、国際公開第2015/169835号において開発及び例示されている新たな技術は、液体電解質をポリマーマトリックス中に閉じ込めて(trap)、陽極及び陰極の不可欠な部分を形成することからなり(それらの電極はイオンゲル電極とよぶことができる)、この技術は、室温において、ポリマーマトリックスに閉じ込められていない液体電解質を含むリチウムイオンアキュムレーターのものと同等の電気化学性能を得ることを可能にする。
【0016】
これらの電極は、従来のやり方で、以下の工程を連続的に含む方法によって調製される:
- 電極の構造中に入るように準備した様々な成分を混合することによって、インク(つまり、懸濁液中に電極の固体成分を含む液体分散体)を製造する工程であって、成分が、活性物質、電子伝導添加剤(1又は複数)、液体電解質の閉じ込めを可能にするフッ素化(コ)ポリマー、そのフッ素化コポリマーの少なくとも1種の溶媒(例えば、アセトン)、リチウム塩、そのリチウム塩を可溶化するための1種又は複数の電解質溶媒(炭酸エステル溶媒等)である、工程;
- インクが得られたら、それを堆積させる、一般には、集電器(コレクタ)を構成する基材上に塗り拡げることによってインクを堆積させる工程;
- フッ素化(コ)ポリマーの1種又は複数の溶媒を蒸発させる工程、及び任意選択により場合によっては、続いてカレンダー加工する工程(それによって所定の電極が内在する)。
【0017】
通常、従来のミキサー、例えば、分散機又は遊星型ミキサー中で行われるインク製造工程は、高い割合の溶媒(1又は複数)を必要とし、このことが、インク中の固体質量のパーセント割合を限定する。より具体的には、インクの全質量に対する固体質量のパーセント割合は通常、35~49質量%を構成する一方で、液体電解質(塩+電解質溶媒(1又は複数))の質量は、インクの全質量の6~13%を構成し、かつ、フッ素化(コ)ポリマーの1種又は複数の溶媒は、インクの全質量の45~57%を構成する。
【0018】
そのような量の溶媒の存在が、そのような方法の特に工業的規模での実施のための限定因子を構成し、なぜなら、それは、安全性(特に、選択された1種又は複数の溶媒の潜在的な可燃性及び/又は選択された1種又は複数の溶媒の毒性のため)及び溶媒の除去の観点のいずれについても、流出液(この場合、多量に使用される1種又は複数の溶媒)の管理を設けることを暗示しており、このことが更に、この方法に対する高い実施経費をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2015/169835号
【特許文献2】米国特許第6203944号明細書
【特許文献3】国際公開第00/03444号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
このような状況において、本発明者らは、多量の溶媒の使用を制限するか又はできる限り排除することを可能にし、それによって、より安価であり、かつ多量の溶媒の使用に結びついている欠点を限定する、電解質を組み込んでいるポリマーマトリックスを含む電極を製造するための新たな方法を提供することを、目的として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
その目的に向けて、本発明者らは、インクを予め調製することをもはや含まず、むしろ電極の構造中に入るように供給された成分を含むペーストの形態で組成物を予め調製することを含み、この調製がこの工程のあいだに、特定のミキサーを使用することによって可能となる、電極を製造するための方法を開発した。
【0022】
より具体的には、本発明によれば、電解質を閉じ込めている(trapping)ポリマーマトリックスを含む電極を製造するための方法は、以下の工程:
a)電極の構造中に入るように準備された成分を含む組成物を調製する工程;
b)前記の組成物から、基材上に電極を形成する工程、
を含み、
- 工程a)で調製される組成物が、0.1s-1のせん断速度及び室温において測定して5000Pa・sより大きな動粘度を有するペーストの形態の組成物であり;かつ、
- 調製工程が、電極の構造に入るように準備された成分を、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転(co-rotary)噛み合い型(interpenetrating)スクリューを備えたミキサー内部に導入し且つ混合することからなり、前記調製工程を100℃未満の温度において実施すること、を特徴とする。
【0023】
この特定のミキサーの使用により、従来のミキサーを使用する方法と比べてより少量の溶媒を使用すること、したがって、流出液の管理に結びついた欠点を限定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、例1の方法によって得られた陰極についての、容量C(mAh/g単位)の関数としての電圧U(V単位)の変化を示すグラフであり、曲線a)は、第1のサイクルのものであり、曲線b)は、第2のサイクルのものである。
図2図2は、例3の方法によって得られた陽極についての、容量C(mAh/g単位)の関数としての電圧U(V単位)の変化を示すグラフであり、曲線a)は、第1のサイクルのものであり、曲線b)は、第2のサイクルのものである。
図3図3は、先に述べた、本発明の方法との関連において使用可能な特定のバイスクリューミキサーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1に、本発明の方法は、前記の成分を閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを備えたミキサー内部に導入し且つ混合することによって、電極を構成する成分を含むペーストの形態の組成物を調製する工程を含む。
【0026】
成分の導入は、同時でも、又は逐次的であってもよく、その導入は、
- 閉鎖スリーブ1;
- 2つの噛み合い型スクリュー3及び5;
- 第1の成分導入ゾーン7(ゾーンAとよばれる);
- 第2の成分導入ゾーン9(ゾーンBとよばれる)、並びに
- 形成された組成物を排出する出口11;
- スクリューの回転をもたらす、スクリューに接続されているモーター13
を含む本明細書に添付した図3に例示されているミキサーを用いる場合のように、別々の位置で実施してもよい(例えば、ミキサーの1つ又は複数の入り口を介しての第1の導入ゾーンにおける固体構成成分の導入、及びミキサーの1つ又は複数の入り口を介しての第2の導入ゾーンにおける液体構成成分の導入)。
【0027】
より具体的には、この組成物は、電極を構成する成分として、
- 少なくとも1種の電極活性物質;
- ポリマーマトリックスの構成の中に入る、準備された少なくとも1種のポリマー;
- 電解質、
を含み、
- 任意選択より、少なくとも1種の電子伝導添加剤、
を含んでいてもよい。
【0028】
電極活性物質は、その構造中に金属イオンを挿入及び脱挿入するために適した物質であり、金属イオンは、例えば、アルカリイオン(例えば、アキュムレーター(二次電池)がリチウムアキュムレーターである場合はリチウムイオン、アキュムレーターがナトリウムによるアキュムレーターである場合はナトリウムイオン、アキュムレーターがカリウムによるアキュムレーターである場合はカリウムイオン)、アルカリ土類イオン(例えば、アキュムレーターがマグネシウムによるアキュムレーターである場合はマグネシウムイオン、アキュムレーターがカルシウムによるアキュムレーターである場合はカルシウムイオン)、金属イオン(例えば、アキュムレーターがアルミニウムイオンアキュムレーターである場合はアルミニウムイオン)である。
【0029】
活性物質の性質はもちろん、その目的、すなわち、それが陽極又は陰極のために供給されるか否かに応じて異なる。
【0030】
また、本発明の方法が、陽極を製造するための方法である場合、リチウムアキュムレーターの陽極の構造中に入り得る電極活性物質の例として以下のものを挙げることができる:
- 式LiMQ2(式中、Mは、金属元素、例えば、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V、Alから選択される少なくとも1つの金属元素であり、Qは、カルコゲン、例えば、O又はSである)の金属カルコゲニド、好ましい金属カルコゲンは、式LiMO(式中、Mは、上で定義したとおりである)のもの、例えば、好ましくは、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1-x(0<x<1)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルトに基づく物質LiNiMnCo(式中、x+y+z=1)(略語NMCによっても知られている)、例えば、LiNi0.33Mn0.33Co0.33、又はリチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウムに基づく物質LiNiCoAl(式中、x+y+z=1)(略語NCAによっても知られている)、例えば、LiNi0,8Co0.15Al0.05である;
- スピネル構造のカルコゲニド(chalcongenide)、例えば、LiMn
- 式M(JO1-fのリチウム化又は部分リチウム化された物質(式中、Mは、別のアルカリ元素により20%未満の置換度まで部分的に置換されていてもよいリチウムであり、Mは、Fe、Mn、Ni及びそれらの組合せから選択される酸化状態+2の遷移金属元素であり、それは、+1~+5の酸化状態の1つ又は複数の追加の金属元素によって35%未満の置換度まで部分的に置換されていてもよく、JOは、JがP、S、V、Si、Nb、Mo、及びそれらの組合せから選択されるオキシアニオンであり、Eは、フッ化物、水酸化物、又は塩化物のアニオンであり、fは、オキシアニオンJOのモル分率であり、且つ、通常、0.75~1(0.75及び1を含む)で含まれる)。
【0031】
より具体的には、リチウム化又は部分リチウム化された物質は、リンをベースとしていてよく(これは言い換えると、オキシアニオンが式POを満たすことを意味する)、かつ、規則的な又は改質されたオリビン型構造を有することができる。
【0032】
リチウム化又は部分リチウム化された物質は、特定の式Li3-xM’M’’2-y(JO(式中、0≦x≦3、0≦y≦2、M’及びM”は、同一か、又は異なる金属元素であり、M’及びM”の少なくとも1つは、遷移金属元素であり、JOは、好ましくは、POであり、これは、S、V、Si、Nb、Mo及びそれらの組合せから選択されるJを有する別のオキシアニオンで部分的に置換されていてもよい)を満たし得る。
【0033】
リチウム化又は部分リチウム化された物質は、式Li(FeMn1-x)POを満たしてもよく、式中、0≦x≦1であり、好ましくは、xは1に等しい(これは言い換えると、対応する物質がLiFePOであることを意味する)。
【0034】
本発明の方法が、陰極を製造するための方法である場合、リチウムアキュムレーターの陰極の構造中に入り得る電極活性物質の例として以下のものを挙げることができる:
- リチウムをインターカレーションするために適切であり、典型的には、粉末、フレーク、ファイバー、又は球体(例えば、メソカーボンマイクロビーズ)の形態で存在し得る炭素物質、例えば、グラファイト炭素;
- ケイ素に基づく化合物、例えば、炭化ケイ素SiC又は酸化ケイ素SiO
- 金属リチウム;
- リチウム合金、例えば、米国特許第6203944号明細書及び/又は国際公開第00/03444号に記載されているもの;
- リチウム化酸化チタン、例えば、式Li(4-x)Ti12又はLiTi(5-y)12の酸化物(式中、x及びyは、0~0.2の範囲であり、Mは、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、及びMoから選択される元素であり、具体的な例はLiTi12であり、これらの酸化物は、リチウムが挿入された後に。低度の熱膨張を有するリチウム挿入物質である);
- 非リチウム化酸化チタン、例えば、TiO
- 式MTi(5-y)12の酸化物(式中、yは、0~0.2の範囲であり、Mは、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、及びMoから選択される元素である);
- リチウム-ゲルマニウム合金、例えば、式Li4.4Geの結晶相を含むもの;又は
- それらの混合物、例えば、グラファイト及びケイ素に基づく化合物を含む混合物。
【0035】
ポリマーマトリックスの構造中に入るために適切な1種又は複数のポリマーは、有利には、電解質と接触してゲル化し、それによって電解質を閉じ込める(trapping)ために適切なゲル化するポリマーから選択され(したがって、生じた電極は、「イオンゲル電極」と一般に称される電極を形成する)、かつ、より具体的には、フッ素化モノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位及び、好ましくは、任意選択によって場合により塩の形態の少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位を含む、フッ素化ポリマーから選択されうる。
【0036】
フッ素化モノマーの重合によって生じる繰り返し単位、及びもしあるならば、任意選択により場合によっては塩の形態の少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーの重合によって生じる繰り返し単位は、化学的に異なる繰り返し単位であり、特に、フッ素化モノマーの重合から生じる繰り返し単位(1又は複数)は、任意選択により場合によっては塩の形態の任意のカルボン酸基を含まないことが理解されるべきである。
【0037】
ゲル化するポリマー(ゲル化ポリマー)については、フッ素化モノマーの重合によって生じる繰り返し単位は、より具体的には、少なくとも1つのフッ素原子及び任意選択により場合によっては1つ又は複数の他のハロゲン原子を含む1種以上のエチレンモノマーの重合によって生じる1つ又は複数の繰り返し単位であってよく、この種類のモノマーの例は、以下のものである:
- C~Cペルフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロペン(HFPとしても知られている);
- C~C水素化フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、1,2-ジフルオロエチレン、及びトリフルオロエチレン;
- 式CH=CHR(式中、Rは、C~Cペルフルオロアルキル基である)のペルフルオロアルキルエチレン;
- 1つ又は複数の他のハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素等)を含むC~Cフルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CF=CFOR(式中、RはC~Cフルオロ-又はペルフルオロアルキル基、例えば、CF、C、Cである)の(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF=CFOR(式中、Rは、C~C12アルキル基、C~C12アルコキシ基、又はC~C12(ペル)フルオロアルコキシ基、例えば、ペルフルオロ-2-プロポキシプロピル基である)のモノマー;及び/又は
- 式CF=CFOCFOR(式中、Rは、フルオロ-又はペルフルオロ-C~C-アルキル、例えば、CF、C、C、又はフルオロ-若しくはペルフルオロ-C~C-アルコキシ基、例えば、-C-O-CFである)のモノマー。
【0038】
更に特に、ゲル化ポリマーは、フッ素化モノマーの重合によって生じる繰り返し単位として、C~Cペルフルオロオレフィンのカテゴリーのモノマー、例えば、ヘキサフルオロプロペンの重合によって生じる繰り返し単位、及びC~C水素化フルオロオレフィンのカテゴリーのモノマー、例えば、フッ化ビニリデンの重合によって生じる繰り返し単位を含んでいてよい。
【0039】
任意選択により場合よっては塩の形態の少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーの重合によって生じる繰り返し単位は、より具体的には、次の式(I)のモノマーの重合によって生じる1つ又は複数の繰り返し単位であってよい:
【化1】
[式中、R~Rは互いに独立に、水素原子又はC~Cアルキル基であり、かつ、Rは、水素原子又は一価カチオン(例えば、アルカリカチオン、アンモニウムカチオン)であり、この種類のモノマーの具体的な例は、アクリル酸又はメタクリル酸である]。
【0040】
本発明との関連で使用可能である特定のゲル化ポリマーは、フッ化ビニリデンの重合によって生じる繰り返し単位、少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマー、例えばアクリル酸の重合によって生じる繰り返し単位、及び任意選択により場合によってはフッ化ビニリデンとは異なるフッ素化モノマーの重合によって生じる繰り返し単位(より特に、ヘキサフルオロプロペンの重合によって生じる繰り返し単位)を含むポリマーであってよい。
【0041】
なおより特に、本発明との関連で使用可能であるゲル化ポリマーは、上述した繰り返し単位が以下のものの重合によって生じるゲル化ポリマーである:
- 少なくとも70モル%の水素化C~Cフルオロオレフィン、好ましくはフッ化ビニリデン;
- 0.1~15モル%のC~Cペルフルオロオレフィン、好ましくはヘキサフルオロプロペン;及び
- 0.01~20モル%の上記の式(I)のモノマー、好ましくはアクリル酸。
【0042】
更に、1種又は複数のゲル化ポリマーは有利には、25℃において、N,N-ジメチルホルムアミド中で測定して0.1~1.0L/g、好ましくは0.25~0.45L/gの範囲の固有粘度を有する。
【0043】
より特に、固有粘度は、ウベローデ型粘度計を使用して、当該ポリマーを溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド)に、およそ0.2g/dLの濃度で溶解して得られる溶液の25℃での下降時間に基づき、下の式により決定される:
【数1】
[式中、
- ηは、固有粘度(dL/g)であり;
- cは、ポリマー濃度(g/dL)であり;
- ηは、相対粘度、つまり、溶液の下降時間と溶媒の下降時間との比であり;
- ηspは、比粘度、すなわち、η-1であり;
- Γは、当該ポリマー対して3に設定された実験因子である]。
【0044】
電解質は、有利には、液体電解質及び、より特に、ポリマーマトリックスと接触するとゲル化することができる液体電解質であり、その場合、後者は、1種又は複数のゲル化するポリマー(ゲル化ポリマー)を含む。
【0045】
液体電解質は、少なくとも1種の有機溶媒、少なくとも1種の金属塩、及び任意選択により場合によっては、炭素質化合物のカテゴリーに属する添加剤(この添加剤は、その場合、電解質中に含まれ得る炭酸エステル溶媒とは異なると理解される)を含むことができる(又は、それらのみから構成されていてもよい)。
【0046】
1種又は複数の有機溶媒は、炭酸エステル溶媒、及びより特に、以下のものであってよい:
- 環状炭酸エステル溶媒、例えば、炭酸エチレン(略語ECにより記号化)、炭酸プロピレン(略語PCにより記号化)、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸フルオロプロピレン、及びそれらの混合物;
- 直鎖状炭酸エステル溶媒、例えば、炭酸ジエチル(略語DECにより記号化)、炭酸ジメチル(略語DMCにより記号化)、炭酸エチルメチル(略語EMCにより記号化)、及びそれらの混合物。
であってよい。
【0047】
1種又は複数の有機溶媒は、エステル溶媒(例えば、プロピオン酸エチル又はプロピオン酸n-プロピル)、ニトリル溶媒(例えば、アセトニトリル)、又はエーテル溶媒(例えば、ジメチルエーテル又は1,2-ジメトキシエタン)であってもよい。
【0048】
1種又は複数の有機溶媒は、イオン性液体、つまり、従来どおり、大気圧下で100℃未満の温度において液体状態にある、正の電荷をもつカチオン及び負の電荷をもつアニオンの組合せによって形成される化合物であってもよい。
【0049】
より具体的には、イオン性液体は、
- カチオンである、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム、ピラゾリウムから選択されるカチオン(これらのカチオンは任意選択により置換されていても、例えば、1~30個の炭素原子を含む少なくとも1個のアルキル基によって置換されていてもよい);
- ハライドアニオン、パーフルオロ化アニオン、ボラートアニオンから選択されるアニオン、
を含むことができる。
【0050】
さらに具体的には、カチオンは、次のカチオン類から選択されうる:
- 下式(II):
【化2】
[式中、R13及びR14は互いに独立に、C~Cアルキル基であり、かつ、R15、R16、R17、及びR18は互いに独立に、水素原子又はC~C30アルキル基、好ましくは、C~C18アルキル基、より好ましくは、C~Cアルキル基である]
のピロリジニウムカチオン;
- 下式(III):
【化3】
[式中、R19及びR20は互いに独立に、C~Cアルキル基であり、かつ、R21、R22、R23、R24、及びR25は互いに独立に、水素原子又はC~C30アルキル基、好ましくは、C~C18アルキル基、より好ましくは、C~Cアルキル基である]
のピペリジニウムカチオン;
- 第四級アンモニウムカチオン;
- 第四級ホスホニウムカチオン;
- イミダゾリウムカチオン;及び
- ピラゾリウムカチオン。
【0051】
特に、正の電荷をもつカチオンは、次のカチオンから選択されうる:
- 下式(II-A):
【化4】
のピロリジニウムカチオン、
- 下式(III-A):
【化5】
のピペリジニウムカチオン。
【0052】
カチオンが第四級アンモニウムカチオンである場合、それは、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルアリールアンモニウムカチオン、又はテトラアリールアンモニウムカチオンであってよく、そのアルキル基は、それが存在する場合、同一か、又は異なり、4~12個の炭素原子、好ましくは4~6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝アルキル基であってよく、また、アリール基は、それが存在する場合、同一か、又は異なり、フェニル基、ベンジル基、又はナフチル基であってよい。より具体的には、カチオンは、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、トリメチルベンジルアンモニウムカチオン、メチルトリブチルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムカチオン、N、N-ジメチル-N-エチル-N-(3-メトキシプロピル)アンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-フェニルエチルアンモニウムカチオン、N-トリブチル-N-メチルアンモニウムカチオン、N-トリメチル-N-ブチルアンモニウムカチオン、N-トリメチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムカチオンであってよい。
【0053】
カチオンが第四級ホスホニウムカチオンである場合、それは、テトラアルキルホスホニウムカチオン、トリアルキルアリールホスホニウムカチオン、又はテトラアリールアンモニウムカチオンであってよく、そのアルキル基は、それが存在する場合、同一か、又は異なり、4~12個の炭素原子、好ましくは4~6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝のアルキル基であってよく、また、アリール基は、それが存在する場合、同一か、又は異なり、フェニル基、ベンジル基、又はナフチル基であってよい。より具体的には、カチオンは、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムカチオン又はテトラブチルホスホニウムカチオンである。
【0054】
カチオンがイミダゾリウムカチオンである場合、それは、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-アリル-3H-イミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオンであってよい。
【0055】
具体的に、負の電荷をもつアニオンは以下のものから選択されうる:
- 4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾール(略語TDIによって知られている);
- ビス(フルオロスルホニル)イミジド(FSIとして知られている);
- 式(SOCFのビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミジド;
- 式PF のヘキサフルオロホスファート;
- 式BF のテトラフルオロボラート;
- 下式(IV):
【化6】
のオキサロボラート。
【0056】
本発明にしたがって使用可能な具体的なイオン性液体は、上で定義した式(II-A)のカチオン及び式(SOCF、PF 、又はBF のアニオンからなるイオン性液体であってよい。
【0057】
金属塩(1又は複数)は、次の式の塩類:MeI、Me(PF、Me(BF、Me(ClO、Me(ビス(オキサラト)ボラート)(略語Me(BOB)によって表すことができる)、MeCFSO、Me[N(FSO、Me[N(CFSO、Me[N(CSO、Me[N(CFSO)(RSO)](式中、Rは、-C、-C、又は-CFOCFCFである)、Me(AsF、Me[C(CFSO、Me、Me(C)(Cは、4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾールであり、MeがLiである場合、その塩はリチウム4,5-ジシアノ-2-(トリフルオロメチル)イミダゾールであり、この塩は、略語LiTDIによって知られている)から選択されることができ、上記式中、Meは、金属元素、好ましくは、遷移金属元素、アルカリ金属元素、又はアルカリ土類金属元素であり、より好ましくは、Meは、Li(特に、本発明のアキュムレーターがリチウムイオン又はリチウム-エアアキュムレーターである場合)、Na(特に、アキュムレーターがナトリウムイオンアキュムレーターである場合)、K(特に、アキュムレーターがカリウムイオンアキュムレーターである場合)、Mg(特に、アキュムレーターがMgイオンアキュムレーターである場合)、Ca(特に、アキュムレーターがカルシウムイオンアキュムレーターである場合)、及びAl(特に、アキュムレーターがアルミニウムイオンアキュムレーターである場合)であり、かつ、nは、金属元素の原子価レベル(典型的には、1、2、又は3)である。
【0058】
MeがLiである場合、塩は、好ましくは、LiPFである。
【0059】
液体電解質中の金属塩の濃度は、有利には、少なくとも0.01M、好ましくは少なくとも0.025M、より好ましくは少なくとも0.05M、かつ、有利には、最高5M、好ましくは、最高2M、及び、より好ましくは、最高1Mである。
【0060】
さらに、液体電解質は、炭素質化合物(carbonaceous compound)の群に属する少なくとも1種の添加剤を含んでいてもよく(この添加剤は、電解質中に含まれる(それが存在する場合には)1種又は複数の炭酸エステル溶媒とは異なることが理解される)、例えば、炭酸ビニレン又は炭酸フルオロエチレンであり、この添加剤は、電解質中に、電解質の全質量の5質量%を超えない量で含まれる。
【0061】
使用することができる液体電解質は、特に、本発明の方法によって製造される電極がリチウムイオンアキュムレーターのためのものである場合、炭酸エステル溶媒の混合物(例えば、環状炭酸エステル類の混合物、例えば、炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの混合物、又は環状炭酸エステルと直鎖状炭酸エステル溶媒の混合物、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、及び炭酸ジメチルの混合物)、リチウム塩、例えば、LiPF(例えば、1M)、及び任意選択により場合によっては、添加剤、例えば、炭酸ビニレン又は炭酸フルオロエチレンを含む電解質である。
【0062】
上述したとおり、組成物は、少なくとも1種の電子伝導添加剤、つまり、それが組み込まれる電極に電子伝導性を付与することができる添加剤を含んでよく、例えば、この添加剤は、炭素質物質(carbonaceous material)、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー(特に、略語VGCFによって知られている気相成長カーボンファイバー)、粉末形態のグラファイト、グラファイトファイバー、グラフェン、及びそれらの混合物から選択されうる。
【0063】
さらに、組成物は、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給されたポリマーのための少なくとも1種の溶媒(場合によって、電解質の有機溶媒とは別に)を含んでよく、1種又は複数のポリマーが、フッ素化モノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位及び、好ましくは、任意選択により塩の形態であってもよい少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーの重合によって生じる少なくとも1つの繰り返し単位を含むフッ素化ポリマーの類から選択される場合、この溶媒はケトン(例えばアセトン)の類からの溶媒であることができる。特定のミキサーを使用するおかげで、この1種又は複数の溶媒は、従来のミキサーを使用する方法と比べて少量で使用することができる。
【0064】
組成物が、上述したように少なくとも1種の溶媒を含む場合、上記の方法は有利には、形成工程の後に、蒸発工程を含み、その蒸発は、ポリマーマトリックスの構造中に入るように供給された1種又は複数のポリマーのための1種又は複数の溶媒に対して選択的であり、蒸発は、例えば、選択的蒸発によるインライン乾燥によるものである。
【0065】
調製工程は、100℃未満の温度において、好ましくは、80℃未満の温度において、なおより好ましくは、70℃未満の温度において、かつ、好ましくは、5℃以上、より好ましくは、10℃以上、なおより好ましくは、15℃以上の温度において実施される。
【0066】
より特に、調製工程を、周囲温度(ambient temperature)(つまり、何らかの加熱素子により加熱することなく調製工程を行う周囲の温度、例えば、15~35℃の範囲の温度、より特に、25℃に等しい温度)で実施することもできるし、又は周囲温度より高い温度、例えば、周囲温度をより高く、100℃未満の温度で実施することもできる。より特に、調製工程は、1種又は複数の溶媒が組成物中に存在する場合には、周囲温度より高いが、ポリマーマトリックスの構造に入るように供給される1種又は複数のポリマーのための1種又は複数の溶媒の沸騰温度未満で、1種又は複数の溶媒が存在しない場合には、室温より高いが、ポリマーマトリックスの構造に入るように供給される1種又は複数のポリマーの溶融温度よりも低い温度において実施することができる(調製工程を実施する温度は常に100℃未満であることが理解される)。
【0067】
調製工程は、非常に高い動粘度、より特に、0.1s-1のせん断速度及び周囲温度(ambient temperature)で測定して、5000Pa・sより高い、好ましくは6000Pa・sより高い、より好ましくは7000Pa・sより高い動粘度を有する均質なペーストの形態の組成物を得ることを可能にする。
【0068】
周囲温度とは、何らかの加熱素子により加熱することなく動粘度測定を行う環境の温度、例えば、15~35℃の範囲の温度、例えば、25℃に等しい温度等を意味することが理解されることに注意されたい。
【0069】
より特に、組成物の動粘度を、ペルチェ(Peltier)支持体並びに直径40mm及び角度4°の可動性コーンプレートを備えたMavernブランドのCVO Bohlinレオメーターで測定する。このために、組成物をペルチェ支持体と可動要素の間に150μmのギャップで置く。場合によって、組成物がポリマーマトリックスを構成するポリマーの少なくとも1種の溶媒を含む場合、溶媒トラップをシステムに追加して、溶媒の過剰に急速な蒸発を回避する。粘度計モードで、0.1s-1のせん断速度及び周囲温度で、5秒の積分時間にわたって測定を実施する。
【0070】
更に、ペースト形態の組成物は、一般に、上で定義したとおりの条件(すなわち、0.1s-1のせん断速度及び周囲温度で)において、20000Pa・sを超えない、好ましくは、18000Pa・sを超えない動粘度を有する。組成物が、上で定義した条件(すなわち、0.1s-1のせん断速度及び周囲温度で)において7000~12000Pa・sの範囲の動粘度を有するペーストの形態である場合に、非常に有利な結果が得られている。
【0071】
実際のところ、本発明の方法の特に有利な側面は、液体電解質及び/又は有機溶媒の使用を最小限にすることを可能にする非常に高い動粘度を有する電極形成組成物を調製することを可能にするその能力にある。これは、分散機又は遊星型ミキサー型の従来のミキサーに基づいて製造される、上の測定条件で測定して5000Pa・s未満、又は1000Pa・s未満ですらありうる動粘度を有するインクから電極を製造するための十分に確立された方法と比べて有利である。
【0072】
組成物がポリマーマトリックスの構造に入るように供給されるポリマーの少なくとも1種の溶媒を含む場合、これらの組成物は、更に調製工程に対して、組成物の全質量に対して50~80%の固体質量を含んでよい。
【0073】
より特に、組成物が、構成成分として少なくとも1種の電極活性物質、ポリマーマトリックスの構造に入るように供給される少なくとも1種のポリマー、電解質、並びに任意選択により場合によっては少なくとも1種の電子伝導添加剤及びポリマーの少なくとも1種の溶媒を含む場合、この調製工程に対して更に得られる組成物は、有利には、組成物の全質量に対して50~80%の範囲であり得る固体質量のパーセンテージ(従来のミキサーによる方法での35~49%と比較して)を有する。更に、これらの組成物は、組成物の全質量の6~11%となる電解質の質量及び組成物の全質量の11~42%となるポリマーの溶媒の質量(従来のミキサーを使用する方法での45~57%と比較して)を含んでよい。
【0074】
特定のかつ有利な実施形態では、組成物は、ポリマーマトリックスの構造に入るように供給される1種又は複数のポリマーの1種又は複数の溶媒を欠いていてもよい。これらの条件では、組成物は、更に調製工程に対して、組成物の全質量に対して固体質量83~90%を含んでよい。
【0075】
より特に、組成物は、構成成分として、少なくとも1種の電極活性物質、ポリマーマトリックスの1つの構造中に入るように供給された少なくとも1種のポリマー、電解質、及び任意選択により場合によっては少なくとも1種の電子伝導添加剤を含むが、1種又は複数のポリマーの1種又は複数の溶媒を欠いている場合、前記固体質量のパーセント割合は、組成物の全質量の83~90%であってよく、電解質の質量は、組成物の全質量の10~17%であってよい。
【0076】
これらの条件下では上述した溶媒蒸発工程は不要である。
【0077】
調製工程は連続的に実施することができ、つまり、成分の導入及び特定のミキサー内部でのそれらの混合を、連続的に、つまり、方法の全実施期間にわたって行う。
【0078】
組成物から電極を形成する工程は、ダイ、例えば、スロットダイを介してそれを堆積させることにより実施することができ、基材上でストリップを形成するように、その目的が円形の形状から長方形の形状への組成物のフローであるダイを介して、前記組成物を基材の上へと運ぶ。
【0079】
予め、その厚さを減少させるように、組成物を、基材に到達する前に任意選択により積層させてもよく、そのように積層された組成物を、基材の上に、基材との同時積層(co-laminating)の操作によって堆積させることができる。
【0080】
形成工程の前及び製造工程の後に、組成物を、別のミキサー、例えば、閉鎖スリーブ内で回転し、かつ製造工程で使用される混合物よりも高い圧力に耐えるモノスクリューコンベヤー等の圧力下の搬送デバイスの中を通過させることができ、この場合には形成工程を、好ましくは、他のミキサーの出口に配置されたダイを介して実施することも可能であり、このダイは、基材上でストリップを形成するように、円形の形状から長方形の形状への組成物のフローの目的も有する。
【0081】
別のミキサー、例えば、モノスクリューコンベヤーの内部に導入する前に、組成物は、顆粒の形態を有していてもよく、これらの顆粒は、製造工程のために使用されるバイスクリューミキサーからの出口で、例えば、ミキサーからの出口に配置されている丸形ダイにより、ロッドを形成するように形成され、このダイは、バイスクリューミキサーからの出口に配置されているカッティングシステムを備えている。
【0082】
電極を形成する工程及び任意選択により場合によって蒸発工程の後に、上記方法は、容積エネルギー密度を上昇させるように、電極をカレンダー加工する工程を更に含んでよい。
【0083】
製造方法は、連続方法、つまり、その全実施期間にわたって中断せずに行われる方法であってよく、これは言い換えると、方法の実施の期間全体で中断せずに電極を製造することを意味する。言い換えると、これは、工程a)及び工程b)を方法の全期間にわたって同時に中断なしに実施することを意味し、これは、言い換えると、方法の期間の各時点tにおいて、組成物の画分(フラクション)が製造工程にかけられている一方で、組成物の別の画分(フラクション)が形成工程にかけられていることを意味する。この場合、方法のすべての任意選択工程(例えば、積層工程、乾燥工程)が、それが存在する場合には、連続的に実施されることも理解されるべきである。
【0084】
ここで、本発明を、非限定的例示として下に与えられている実施例を踏まえて説明する。
【実施例1】
【0085】
この実施例では、電極の全質量に対して固体質量55%を含む陰極の、本発明に従った連続方法による製造を例示する。
【0086】
第1のフェーズでは、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを有するミキサーの内部で、アセトンの存在下で電極の構成成分を連続的に導入し、25°で混合することにより、イオンゲル電極ペーストを調製した。それらの導入は、第1に、固体構成成分を導入し、次いで、第2に、液体構成成分を導入することにより実施する。ペーストの組成は次のとおりである:炭酸ビニル2質量%を含有する炭酸エチレン及び炭酸プロピレン(1:1)の混合物中の、グラファイト(D50=20μm)39.2質量%、グラファイト(D50=3.5μm)13.1質量%、ポリマーマトリックスを構成するコポリマー2.7質量%(このコポリマーは、フッ化ビニリデン(96.7mol%)、アクリル酸(0.9mol%)及びヘキサフルオロプロペン(2.4mol%)の重合によって生じる繰り返し単位を含むコポリマーであり、ジメチルホルムアミド中、25℃において0.30L/gの固有粘度を有する)、無水アセトン37.5質量%、及び1M LiPF電解質7.5質量%。
【0087】
組成物の動粘度を、ペルチェ台並びに直径40mm及び角度4°の可動性コーンプレートを備えたMalvernブランドのCVO Bohlinレオメーターで測定した。このために、ペーストをペルチェ台と可動要素との間に150μmのギャップで置き、溶媒トラップをシステムに追加して、アセトンの過剰に急速な蒸発を回避し、粘度計モードで、0.1s-1のせん断速度及び25℃で、5秒の積分時間にわたって、測定を行う。
【0088】
得られた動粘度測定値は、7200Pa・sである。
【0089】
第2のフェーズでは、こうして形成された電極ペーストを特定のミキサーの出口において、10μm厚の銅のシート上に広げ、次いで、乾燥及びカレンダー加工し、それによってイオンゲルグラファイト電極を形成する。電極の単位面積あたりの質量は、90μmの厚さに対して11.3mg/cm(3.6mAh/cm)である。この電極の容量をリチウム金属に対するボタン型電池で検証した。
【0090】
測定された総容量は350mAh/gであり、可逆容量は、C/20での第1のサイクルで300mAh/gである。可逆容量は、C/20での第2のサイクルで350mAh/gであり、これらのデータは、図1において示されており、容量C(mAh/g単位)の関数としての電圧U(V単位)の変化を表しており、曲線a)は第1のサイクルのものであり、曲線b)は第2のサイクルのものである。
【実施例2】
【0091】
この実施例では、イオンゲル電極ペーストの製造を例示しており、前記のペーストは、本発明の方法の製造工程に従って調製され、電極の全質量に対して固体質量65%を含む。
【0092】
この電極ペーストは、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを有するミキサーの内部に、アセトンの存在下で電極の構成成分を連続的に導入し、25°で混合することによって調製し、それらの導入は、第1に固体構成成分を導入し、次いで、第2に液体構成成分を導入することにより実施する。ペーストの組成は次のとおりである:グラファイト(D50=20μm)46.4質量%、グラファイト(D50=3.5μm)15.4質量%、ポリマーマトリックスを構成するコポリマー3.2質量%(このコポリマーは、フッ化ビニリデン(96.7mol%)、アクリル酸(0.9mol%)、及びヘキサフルオロプロペン(2.4mol%)の重合によって生じる繰り返し単位を含むコポリマーであって、ジメチルホルムアミド中、25℃において0.30L/gの固有粘度を有する)、無水アセトン24.2質量%、及び炭酸ビニル2質量%を含有する炭酸エチレン、炭酸プロピレン、及び炭酸ジメチル(1:1:3)の混合物中の1M LiPF電解質10.8質量%。
【0093】
高すぎる動粘度(0.1s-1のせん断速度において10000Pa.sをかなり上回る)により、MalvernブランドのCVO Bohlinレオメーターを使用して、得られた組成物の動粘度を測定することは不可能であった。
【実施例3】
【0094】
この実施例では、電極の全質量に対して70%の固体質量を含む陽極の、本発明に従った連続方法による製造を例示する。
【0095】
第1のフェーズでは、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを有するミキサーの内部に、アセトンの存在下で電極の構成成分を連続的に導入し、25°で混合することにより、イオンゲル電極ペーストを調製し、それらの導入は、第1に固体構成成分を導入し、次いで、第2に液体構成成分を導入することにより実施する。このペーストの組成は次のとおりである:LiNi0.33Mn0.33Co0.33 65.8質量%、電子伝導添加剤2.8質量%、ポリマーマトリックスを構成するコポリマー1.4質量%(このコポリマーは、フッ化ビニリデン(96.7mol%)、アクリル酸(0.9mol%)、及びヘキサフルオロプロペン(2.4mol%)の重合によって生じる繰り返し単位を含むコポリマーであって、ジメチルホルムアミド中、25℃において0.30L/gの固有粘度を有する)、無水アセトン22.4質量%、及び炭酸ビニル2質量%を含有する炭酸エチレン及び炭酸プロピレン(1:1)の混合物中の1M LiPF電解質7.6質量%。
【0096】
この組成物の動粘度を、ペルチェ台並びに直径40mm及び角度4°の可動性コーンプレーンを備えたMalvernブランドのCVO Bohlinレオメーターで測定した。そのために、ペーストをペルチェ台と可動要素との間に150μmのギャップで置き、溶媒トラップをシステムに追加して、アセトンの過剰に急速な蒸発を回避し、粘度計モードで、0.1s-1のせん断速度及び25℃において、5秒の積分時間にわたって測定を行う。
【0097】
得られた動粘度測定値は、11000Pa・sである。
【0098】
第2のフェーズでは、こうして形成した電極ペーストを特定のミキサーの出口で、20μm厚のアルミニウムのシート上に塗布し、次いで、乾燥及びカレンダー加工し、それによってイオンゲルグラファイト電極を形成する。電極の単位面積あたり質量は、95μmの厚さに対して19.5mg/cm(2.9mAh/cm)である。電極の容量をリチウム金属に対するボタン型電池で検証した。測定された総容量は170mAh/gであり、可逆容量は、C/20での第1のサイクルで147mAh/gである。可逆容量は、C/20での第2のサイクルで143mAh/gであり、これらのデータは、図2に示しており、容量C(mAh/g)の関数としての電圧U(V)の変化を表しており、曲線a)は第1のサイクルのものであり、曲線b)は第2のサイクルのものである。
【実施例4】
【0099】
この実施例では、電極の全質量に対して固体質量80%を含む陽極の、本発明に従った連続法による製造を例示する。
【0100】
第1のフェーズでは、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを有するミキサーの内部に、アセトンの存在下で電極の構成成分を連続的に導入し、25°において混合することによって、イオンゲル電極ペーストを調製し、それらの導入は、第1に固体構成成分を導入し、次いで、第2に液体構成成分を導入することにより実施する。ペーストの組成は次のとおりである:LiNi0,33Mn0,33Co0,33 75.2質量%、電子伝導添加剤3.2質量%、ポリマーマトリックスを構成するコポリマー1.6質量%(このコポリマーは、フッ化ビニリデン(96.7mol%)、アクリル酸(0.9mol%)、及びヘキサフルオロプロペン(2.4mol%)の重合によって生じる繰り返し単位を含むコポリマーであって、ジメチルホルムアミド中、25℃において0.30L/gの固有粘度を有する)、無水アセトン11.3質量%、及び炭酸ビニル2質量%を含有する炭酸エチレン及び炭酸プロピレン(1:1)の混合物中の1M LiPF電解質8.7質量%。
【0101】
高すぎる動粘度(0.1s-1のせん断速度において10000Pa.sをかなり上回る)により、MalvernブランドのCVO Bohlinレオメーターを使用して、得られた組成物の動粘度を測定することは不可能であった。
【0102】
第2のフェーズでは、こうして作製された電極ペーストを、ミキサーの出口に配置されたスロットダイを介してストリップに形成し、次いで、その厚さを減少させるために、ストリップを積層させ、次いで、同時積層によりアルミニウムの集電器上に堆積させて、イオンゲル電極を形成する。
【実施例5】
【0103】
この実施例では、電極の全質量に対して固体質量90%を含む陽極の、本発明に従った連続法による製造を例示する。
【0104】
第1のフェーズでは、閉鎖スリーブ内で回転する2つの共回転噛み合い型スクリューを有するミキサーの内部の、アセトンの存在下で電極の構成成分を連続的に導入し、25°で混合することによって、イオンゲル電極ペーストを調製し、それらの導入は、第1に固体構成成分を導入し、次いで、第2に液体構成成分を導入することにより実施する。ペーストの組成は次のとおりである:LiNi0,33Mn0,33Co0,33 84.6質量%、電子伝導添加剤3.6質量%、ポリマーマトリックスを構成するコポリマー1.8質量%(このコポリマーは、フッ化ビニリデン(96.7mol%)、アクリル酸(0.9mol%)、及びヘキサフルオロプロペン(2.4mol%)の重合によって生じる繰り返し単位を含むコポリマーであって、ジメチルホルムアミド中、25℃において0.30L/gの固有粘度を有する)、炭酸ビニル2質量%を含有する炭酸エチレン及び炭酸プロピレン(1:1)の混合物中の1M LiPF電解質10質量%。
【0105】
高すぎる動粘度(0.1s-1のせん断速度で10000Pa.sをかなり上回る)により、MalvernブランドのCVO Bohlinレオメーターを使用して、得られた組成物の動粘度を測定することは不可能であった。
【0106】
第1のフェーズでは、こうして作製された電極ペーストを、ミキサーの出口に配置したスロットダイを介してストリップに形成し、次いで、その厚さを減少させるために、ストリップを積層させ、次いで、同時積層によりアルミニウムの集電器上に堆積させて、イオンゲル電極を形成する。
【符号の説明】
【0107】
1 閉鎖スリーブ
3 噛み合い型スクリュー
5 噛み合い型スクリュー
7 第1の成分導入ゾーン
9 第2の成分導入ゾーン
11 出口
13 モーター
図1
図2
図3
【国際調査報告】