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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】超薄型アルミニウムベースの湯道溝
(51)【国際特許分類】
   F27D 3/14 20060101AFI20221109BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   B22D 35/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F27D3/14 A
F27D1/00 K
F27D1/00 N
B22D35/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532166
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 CN2020109431
(87)【国際公開番号】W WO2021057331
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910916152.9
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522035731
【氏名又は名称】瀋陽恒泰▲しん▼源精鋳耐材有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG HENGTAI XINYUAN CASTING REFRACTORIES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 77 Nujiang Street, Huanggu District Shenyang, Liaoning 110000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滕華楠
【テーマコード(参考)】
4K051
4K055
【Fターム(参考)】
4K051AA06
4K051AB03
4K051AB05
4K051BD01
4K051BE03
4K055AA10
4K055JA01
(57)【要約】
本発明は、超薄型アルミニウムベースの湯道溝を提供し、合金製錬設備の分野に属する。本発明に記載の湯道溝の溝本体の壁厚さは12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体がセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝を含む;本発明によって提供された湯道溝の溝本体は、より軽くて、より薄く、壁の厚さ及び重量の大幅な削減により、製造及び使用のコストが削減され、溝本体のコンポーネント間の接続方式が変更されて、交換が容易になり、根本的に修理材料による合金溶液の汚染のリスクを減らした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超薄型アルミニウムベースの湯道溝であって、前記湯道溝の溝本体の壁厚さが12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体がセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝を含むことを特徴とする超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項2】
前記湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝の接続方式はスプライス又はスナップ接続であることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項3】
前記湯受け溝は緩衝エリアと直流エリアを含み、前記緩衝エリアと直流エリアは斜面の方式で接続されることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項4】
前記緩衝エリアの面積は直流エリアより大きく;前記緩衝エリアの片方の端が密閉され、密閉端面は滑らかな不規則傾斜面であり、前記溝本体の底面との傾斜角が100~120°であり、
前記緩衝エリアの上部断面が台形であり、前記台形の上部平面の夾角が120~150°であることを特徴とする請求項3に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項5】
前記直流エリアにクランプ溝が設置され、前記クランプ溝の中にフィルタプレートが設置されていることを特徴とする請求項3に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項6】
スラグバッフル装置が前記クランプ溝の底部の片側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項7】
前記第1湯道溝と第2湯道溝の長さ、幅、スパンの寸法が同であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項8】
前記出湯溝の一端は密閉され、前記出湯溝の密閉端面が傾斜面であり;前記傾斜面の傾斜角が100~150°であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項9】
前記湯道溝の溝本体の底部が弧状の構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項10】
前記湯道溝の溝本体が層状構造であり、内側から外側に耐火層、遷移層、補強層及び保護層が順次に配置され、前記層状構造がコーティングによって調製されることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項11】
前記耐火層の厚さが3~5mmであり、前記遷移層の厚さが2mmであり、前記補強層の厚さが5~15mmであり、前記保護層の厚さが2~3mmであることを特徴とする請求項10に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項12】
前記耐火層が白いコランダムを使用し、前記白いコランダムが球形又は薄片状の構造であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項13】
前記補強層が第1補強層、第2補強層、及び第1補強層と第2補強層の間に配置された金属メッシュを含み、前記第1補強層と第2補強層が金属メッシュを中心に対称であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項14】
前記第1補強層と第2補強層の厚さは同じであり;前記第1補強層と第2補強層は、シリカゾルを使用することによって金属メッシュに接着されることを特徴とする請求項13に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項15】
前記第1補強層及び第2補強層は両方とも重粘土であることを特徴とする請求項14に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項16】
前記遷移層及び保護層はいずれも酸化物耐火材料であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月26日に中国特許庁に出願された出願番号が201910916152.9、発明名称が「超薄型アルミニウムベースの湯道溝」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は本出願に援用されて組み込まれている。
【0002】
本発明は合金製錬設備の技術分野に関し、特に超薄型アルミニウムベースの湯道溝に関する。
【背景技術】
【0003】
真空誘導炉での合金製錬終了後、注湯する際、製錬炉内のスラグが激しく転倒し、深刻な混合状態にあるため、直接注湯すると溶鋼の純度に対する要求を満たすことができず、同時に設備のスペース上の制約から、溶鋼はまず湯道溝に注湯され、スラグを遮断・濾過した後、インゴット型に注入する必要がある。
【0004】
湯道溝は、通常の金属溶融プロセス、又は真空溶融プロセスにおいて合金溶液を輸送する役割を果たしている;従来の湯道溝は、主に粘土などの耐火材料で構成され、ワンタイム成形によって製造されているが、従来の湯道溝は、製造の初期段階に、内部応力が大きい、型締めギャップがある、構造が強くないなどの大きな欠陥が発生する;従来の湯道溝は使用中の高温により断裂が発生しやすく、その表面層は金属溶液と浸透反応しやすく、壁の内部に残留の金属の洗浄が容易ではなく、スリップ輸送プロセス中に金属(主に高温合金)を汚染しやすくなっている;また、従来の湯道溝の製造プロセスがワンタイムモールド成形であるため、その穴の周り及び端の表面に欠陥が発生しやすく、更に一般的にはユーザーに補修することは許可されない、それは修理された部分の品質が低くなり、全体的な熱衝撃が比較的悪い、実際の用途で製錬によって生成された金属(主に高温合金などの貴金属)の品質が影響を受けているからである;
また、合金の品質と湯道溝の高温耐性を改善する必要がある場合は、湯道溝の使用回数を減らす必要があり、必然的に合金の製造コストを間接的に増加させ、製造コストの入力が出力に近いか、それよりも大きいという不利な状況の発生につながるため、従来の湯道溝は構造と技術を早急に改善する必要がある;また、従来の湯道溝の製造プロセスでは回避できない製品の欠陥は、金属溶液への汚染を引き起こしやすい。
【0005】
特許CN205526168Uは、金属製錬用の湯道溝であって、溝型本体を含み、溝型本体は内壁から外壁に層ごとに接合された層状構造であり;溝型本体は、内壁から外壁に耐火層、遷移層、補強層及び保護層を順次に備えている。当該特許は、湯道溝本体の層状構造を変更することにより、従来の湯道溝のワンタイム成形による製造時に発生する内部応力を回避して、構造が強化され、高温耐性を向上させ、耐熱衝撃性も大幅に向上させている。
【0006】
超薄湯道溝は溝内壁の層状構造を変更することにより、湯道溝の厚さが大幅に減少され、このタイプ製品の重量が減少され、高品質の合金を製造する際のユーザーのコストとオペレーターの労働強度を削減し、製造工程の変更により、湯道溝の内部応力と高温抵抗のバランスが取れて、ほとんどの合金製錬工程に適用できる。
【0007】
ただし、コバルト・クロム・ニッケル系超合金製錬では、その注湯温度が1450~1570℃と高く、注湯時間は約20分を維持する必要があるため、実際の使用では、湯道溝がコバルト・クロム・ニッケルベースの超合金溶液で洗浄された後、従来の湯道溝はわずかな局所収縮を引き起こして、湯道溝の内部応力を強烈させ、数回使用すると、湯道溝にひびが入り、修理又は交換が必要になる。
【0008】
ただし、上記の湯道溝はワンタイム成形で製造されるため、その全体構造が分解できず、かさばって重く、比較的複雑であり、割れ問題が発生すると、補修できる場合は、補修材が後で追加されて、溝本体との結合が緊密ではなく、合金溶液の洗浄下で脱落しやすく、溶鋼の品質に影響を与える汚染が発生するリスクがあり;修理できない場合は、湯道溝全体を交換する必要があり、原材料の消費量が多いだけでなく、廃棄物も多く、新製品を使用する前の洗浄作業にも時間がかかり、1セットの湯道溝を交換するためにより多くの人力資源と材料資源が必要になり、製錬プロセスの効率が大幅に低下される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、一体成形された湯道溝を複数の局部コンポーネントに分割した超薄型アルミニウムベースの湯道溝を提供することであり、それにより、製造された湯道溝コンポーネントは歩留まりが改善され、湯道溝の修理時にセクションごとに交換することもできるので、人件費と材料費が削減され、作業効率を向上させる;さらに、セグメント化された形式により、溝本体の応力欠陥を解決することを前提に溝本体の厚みを大幅に薄くしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決策を提供する。
本発明は超薄型アルミニウムベースの湯道溝を提供し、前記湯道溝の溝本体の壁厚さは12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体はセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝を含む。
【0011】
好ましくは、前記湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝の接続方式はスプライス又はスナップ接続である。
【0012】
好ましくは、前記湯受け溝は緩衝エリアと直流エリアを含み、前記緩衝エリアと直流エリアは斜面の方式で接続される。
【0013】
好ましくは、緩衝エリアの面積は直流エリアより大きく、前記緩衝エリアの片方の端は密閉され、密閉端面は滑らかな不規則傾斜面であり、前記溝本体の底面との傾斜角は100~120°であり;
前記緩衝エリアの上部断面は台形であり、前記台形の上部平面の夾角は120~150°である。
【0014】
好ましくは、前記直流エリアにクランプ溝が設置され、前記クランプ溝の中にフィルタプレートが設置されている。
【0015】
好ましくは、前記クランプ溝の底部の片側にスラグバッフル装置が設置されている。
【0016】
好ましくは、前記第1湯道溝と第2湯道溝の長さ、幅、スパンの寸法は同である。
【0017】
好ましくは、前記出湯溝の一端は密閉され、前記出湯溝の密閉端面は傾斜面であり;前記傾斜面の傾斜角は100~150°である。
【0018】
好ましくは、前記湯道溝の溝本体の底部は弧状の構造である。
【0019】
好ましくは、前記湯道溝の溝本体は、内側から外側に耐火層、遷移層、補強層及び保護層が順次に配置された層状構造であり、前記層状構造はコーティングによって調製される。
【0020】
好ましくは、前記耐火層の厚さは3~5mmであり、前記遷移層の厚さは2mmであり、前記補強層の厚さは5~15mmであり、前記保護層の厚さは2~3mmである。
【0021】
好ましくは、前記耐火層は白いコランダムを使用し、前記白いコランダムは球形又は薄片状の構造である。
【0022】
好ましくは、前記補強層は、第1補強層、第2補強層、及び第1と第2の補強層の間に配置された金属メッシュを含み、前記第1補強層と第2補強層は、金属メッシュを中心に対称である。
【0023】
好ましくは、前記第1補強層と第2補強層の厚さは同じであり、前記第1補強層と第2補強層は、シリカゾルを使用することによって金属メッシュに接着される。
【0024】
好ましくは、前記第1補強層及び第2補強層は両方とも重粘土である。
【0025】
好ましくは、前記遷移層及び保護層はいずれも酸化物耐火材料である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は超薄型アルミニウムベースの湯道溝を提供し、前記湯道溝の溝本体の壁の厚さは12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体はセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝を含み、本発明は、湯道溝の接続方式を変更することにより、元の一体成形の湯道溝がセグメント化された構造に変更されて、以下の利点を有する。
1)湯道溝はセグメント化された構造であるため、湯道溝を製造する場合、セグメント化された溝本体コンポーネントの歩留まりは、一体成形された湯道溝の歩留まりより高い。
【0027】
2)従来の湯道溝は一体成形の細長い構造であり、アスペクト比が大きくなると内部応力が高くなり、壊れやすくなるので、溝本体の層状構造を改善することで内部応力を低減できるが工業用湯道溝の体積と長さが増加するにつれて、溝体の内部応力は徐々に増加し、大規模生産工程での湯道溝の割れを防ぐために、この分野での従来の方法は、溝本体の厚さを50mm以上に設定することであるが、壁の厚さが増すと、湯道溝の体積が増加し、製造コストが高くなり、輸送が困難になるが、本発明は湯道溝をセクションに分割し溝本体を分割するという技術的なアイデアを通じて、過度に高いアスペクト比と過大の内部応力の欠陥を排除し、使用中の湯道溝の亀裂の発生を回避し、同時に、溝本体の厚さを薄くして、工業生産における湯道溝の溝本体の軽量性と薄さの要件を満たす。
【0028】
3)湯道溝の交換において、コンポーネント1つに絞って交換できるので、湯道溝の修復プロセスに必要な時間と労力が削減されて、超薄型アルミニウムベースの湯道溝のコンポーネントを繰り返し交換して使用できて、修理の回数を減らし、また、補修方法と比較して、コンポーネントを交換する方法は補修材による合金汚染の可能性がなくなり、製錬合金の純度とプロセス安定性を向上させ、フォローアッププロセスでの製品の合格率と耐用年数を間接的に向上させた。
【0029】
4)使用中、本発明によって提供される湯道溝は設置がより便利であり、製品が薄く、高温で使用されて損傷がなく、高温で長期間使用しても表面にひび割れや剥がれがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の超薄型アルミニウムベースの湯道溝の平面構造の概略図であり、ここで、1-湯受け溝、2-第1湯道溝、3-第2湯道溝、4-出湯溝である;
図2】湯受け溝の3次元構造図であり、ここで、11-緩衝エリア、12-直流エリア、13-湯受け溝の密閉端面、14-クランプ溝、15-スラグバッフル装置である;
図3】第1湯道溝の3次元構造図である;
図4】第2湯道溝の3次元構造図であり、ここで、31-クランプ溝である;
図5】出湯溝の3次元構造図であり、41-出湯口、42-クランプ溝、43-出湯溝の密閉端面である;
図6】本発明の超薄型アルミニウムベースの湯道溝のスナップ接続の概略図である;
図7図2における直流エリア12の左側面図であり、14-クランプ溝、15-スラグバッフル装置、16フィルタプレートである;
図8図7における溝本体の側壁aの一部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は超薄型アルミニウムベースの湯道溝を提供し、構造を図1に示し、前記湯道溝の溝本体の壁厚さは12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体はセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝1、第1湯道溝2、第2湯道溝3及び出湯溝4を含み;本発明では、湯受け溝1、第1湯道溝2、第2湯道溝3及び出湯溝4の寸法には特別な制限がない、工業生産の調整に適応させればよい。
【0032】
本発明によって提供される湯道溝の溝本体の厚さは12~25mmであり、好ましくは20~25mmであり;本発明では、超薄型アルミニウムベースの湯道溝の壁厚さは一体成形の超薄型アルミニウムベースの湯道溝の約1/3であるため、工業生産の過程で、湯道溝への追求は、高温条件下での亀裂を防ぐうえ、溝本体の体積と重量を可能な限り減らすことであり、材料を変更することに加えて、壁厚さを減らすことが最良の選択である;本発明では、湯道溝の溝本体をセグメント化された構造として設定することにより、溝本体の壁厚さを薄くしながら、過大な内部応力によって引き起こされる溝本体が容易に亀裂される欠陥を排除して、工業生産における軽量でポータブルな製錬施設のニーズを満たす。
【0033】
本発明では、前記湯受け溝1の構造は図2に示すとおりであり、緩衝エリア11と直流エリア12を含み、前記緩衝エリア11と直流エリア12の接続ポイントは斜面の方式による接続であり(図2を参照)、合金液を注入する際のスパッタリングの発生を緩和するために、前記衝エリア11の面積は直流エリア12の面積よりも大きくなっている;本発明では、前記緩衝エリア11の片方の端が密閉され、密閉端面13は不規則で滑らかな傾斜面であり、溝本体の底面との傾斜角は好ましくは100~120°であり、本発明の密閉端面13が傾斜面であるため、合金液を湯道溝に注ぐ際に、傾斜角を設定することにより、液の飛散を効果的に回避できる;本発明では、前記緩衝エリア11の上部断面は台形であり、前記台形の上部平面の夾角は120~150°である。
【0034】
本発明では、前記直流エリア12の中にクランプ溝14とスラグバッフル装置15が設置されている;本発明では、前記クランプ溝14は、それぞれ溝本体の内壁の両側に設置された左右のクランプ溝を含み、左右のクランプ溝の底部の交差点に隙間がある、目的は、底部での合金液体の流れを促進することにある;クランプ溝14の中にフィルタプレート16が設置され、前記フィルタプレート16の構造は図7に示すとおりであり、フィルタプレート16は、合金液が直流エリアを流れるときに合金液中のスラグをブロックできて、スラグが次のプロセスに流入するのを防ぐ;本発明において、前記スラグバッフル装置15は、クランプ溝14の底部の片側に配置され、クランプ溝装置15を設置する理由はクランプ溝14の底部に隙間が残され、堆積した大きな粒子のスラグが隙間を通過する可能性があるが、スラグバッフル装置15の設置は、スラグをさらに遮断できる。
【0035】
本発明では、前記第1湯道溝の構造は図3に示すとおりいであり、前記第2湯道溝3は図4に示すとおりいである;本発明では、前記第1湯道溝2と第2湯道溝3の長さ、幅、スパンの寸法は同であり、本発明の特定の実施中前記第1湯道溝と第2湯道溝のそれぞれのスパンは120mm、それぞれの高さは25mm、それぞれの厚さは25mmであり;本発明では、クランプ溝31は前記第2湯道溝3に設置されている;本発明の一実施形態では、フィルタプレートはクランプ溝31に設置され、本発明の別の実施形態では、前記リストリクタープレートはクランプ溝31に設置され、前記リストリクタープレートには、上部のブロッキングプレートと下部のフィルタプレートを含み、リストリクタープレートの設定は、前のプロセスでブロックされなかったスラグを第2湯道溝エリアの上部に集めて、統一された洗浄を容易にし、複数のバリアを実現し、合金液を深く精製するためである。
【0036】
本発明では、前記出湯溝4の構造は図5に示すように、前記出湯溝4の一端は密閉しており、密閉した端面43は傾斜面であり、前記傾斜面の傾斜角は好ましくは100~150°であり;本発明では、前記密閉端面43の左側には、順次に出湯口41とクランプ溝42が設置される。
【0037】
本発明では、前記湯受け溝1、第1湯道溝2、第2湯道溝3及び出湯溝4の接続方式は、好ましくはスプライス又はスナップ接続である。
本発明において、前記接続方式がスプライシング接続である場合、溝本体コンポーネント1~4の間のスプライシング面は滑らかな面であり、前記スプライシング面の角度は好ましくは45°/135°である;本発明の一実施形態では、好ましくはスプライスされた溝本体を付設した高温耐性シェルと組み合わせて使用し、高温耐性シェルは、湯道溝の外部に巻き付けられて、シェルを利用してスプライシングした湯道溝を締着することで、湯道溝の接合後の安定性の低下の欠陥を補い、合金液の流出を回避した;本発明の別の実施形態では、好ましくは湯道溝の安定性を改善するために、高温耐性の泥を使用して、接合された湯道溝を外側から密封する;本発明において、高温耐性シェル及び高温耐性接着剤の材料は特に限定せず、本分野の通常の高温耐性材料及び高温耐性泥(合金液の溶融温度より高い)を使用すればよい。
【0038】
本発明では、前記接続方式がスナップ接続である場合、本発明は、好ましくは図6に示すスナップ構造を採用し連接させ、本発明の一実施形態では、第1湯道溝と第2湯道溝を例として、第1湯道溝2の一端が凸状である場合、それに接続された第2湯道溝3の端面は内側へ引っ込んでいる凹面であり、前記凹面の溝内の傾斜角は10~30°であり、傾斜角が大きすぎると、凸溝の伸びる長さが大きくなり、溝本体を接続する際に鋭い角が折れやすくなることを考慮すると、角度を小さく設定することで、凸溝の伸びる長さが長くなることを効果的に回避でき、鋭い角での破損の可能性を減らした。
【0039】
本発明では、前記湯道溝の溝本体の底部は、好ましくは円弧状の構造であり、特許CN205526168Uと比較して、円弧状の構造は、体積が軽く、角がなく、容易折れず、また、本発明はセグメント構造を採用しているため、円弧状構造の内部応力をT型構造と比較し、内部応力の問題もある程度解消するので、高温条件下で使用した場合でも、溝本体にひびが入ることはない。
【0040】
本発明では、前記湯道溝の溝本体は、図8に示すような層状構造であり、耐火層6、遷移層5、補強層及び保護層3は、内側から外側に向かって順次に配置され、前記補強層は、第1補強層2、第2補強層4と第1補強層及び第2補強層の中間に配置された金属メッシュ1、前記第1補強層2と第2補強層4は、金属メッシュを中心として左右対称に配置されている。
【0041】
本発明では、前記層状構造はコーティングによって調製され、本発明はコーティングによって調製され、各層の材料は事前にスラリーにされて、次に、粒子サイズの小さいアルミナ高温耐火材料を追加して、各層の材料を取得し、厚さの要件に応じて、耐火層、遷移層、補強層、及び保護層は、乾燥するまで(即ち、1つの層が乾燥した後に次の層がブラッシングによって塗布される)、連続的かつ繰り返しコーティングされ、コーティングの方式によって形成された層構造はより緊密に結合され、高温焼結後、それはさらに応力相転移点を突破できるので、基本的に各層構造の応力問題を相殺及び解放でき、層ごとの接合方法により、補強層の厚さを薄くしても、高温条件下でも層間剥離や破壊の現象が起こりにくくなる。
【0042】
本発明では、前記耐火層の厚さは好ましくは3~5mmであり、前記遷移層の厚さは好ましくは2mmであり、前記補強層の厚さは好ましくは5~15mmであり、前記保護層の厚さは、好ましくは2~3mmである;前記第1補強層と第2補強層の厚さは同じであり、好ましくはそれぞれが2~7mmであり、前記金属メッシュ1の厚さは好ましくは1mmであり、前記第1補強層2と第2補強層4は好ましくはシリカゾルを使用して金属メッシュ1に接着する。
【0043】
本発明では、前記耐火層6は好ましくは白色コランダムであり、前記白色コランダムは好ましくは球形又はシート状構造である;前記遷移層5及び保護層3はそれぞれが好ましくは酸化物耐火材料である;前記第1補強層2及び第2補強層4は、それぞれが好ましくは重粘土を使用する。本発明の耐火層に白色コランダムを選択し使用することは、耐火性能を向上させるだけでなく、白いコランダムは熱振動特性が良く、溶鋼による侵食にも耐えられ、材料の性質と製造工程により、加熱後の膨張応力が低減され、溝本体の内部応力の一部が低減されて、さらに補強層が低減でき、溝本体の厚さを薄くしたままの場合でも、割れ現象は発生しない。
【0044】
以下は、実施例を参照して本発明によって提供される超薄型アルミニウムベースの湯道溝を詳細に説明するが、それらは、本発明の保護範囲を限定するものとして理解することはできない。
【実施例1】
【0045】
超薄型アルミニウムベースの湯道溝であって、溝本体はセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝1、第1湯道溝2、第2湯道溝3及び出湯溝4を含み、溝本体の間は45°/135°の滑らかな表面で接続されている;溝本体は、内壁から外壁にかけて層状構造になっており、具体的には、図8に示すように、内側から外側にかけて順次に耐火層6、遷移層5、第2補強層4、金属メッシュ1、第1補強層2及び保護層3であり、上記の層状構造はすべてがコーティングにより作製され、耐火層6、遷移層5、補強層及び保護層3はすべて耐火材料であり、耐火層6は球形とフレーク状の白いコランダム材料を採用する;遷移層5と保護層3はいずれも酸化物耐火材料を使用して、補強層は重粘土を使用して、金属メッシュは銅金属制であり、その中の耐火層6の厚さは5mmであり、遷移層6の厚さは2mmであり、補強層の厚さは15mm(第1補強層は7mm+金属メッシュは1mm+第2補強層は7mm)であり、保護層3の厚さは3mmである。
【実施例2】
【0046】
超薄型アルミニウムベースの湯道溝であって、溝本体はセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝1、第1湯道溝2、第2湯道溝3及び出湯溝4を含み、溝本体の間は図6に示すように、スナップの方式で接続されている;溝本体は、内壁から外壁にかけて層状構造になっており、具体的には、図8に示すように、内側から外側にかけて耐火層6、遷移層5、第2補強層4、金属メッシュ1、第1補強層2及び保護層3であり、上記の層状構造はすべてがコーティングにより作製され、耐火層6、遷移層5、補強層及び保護層3はすべてが耐火材料であり、耐火層6は球形とフレーク状の白いコランダム材料を採用する;遷移層5と保護層3は酸化物耐火材料を採用し、補強層は重粘土を採用し、金属メッシュは銅金属制であり、その中の耐火層6の厚さは5mmであり、遷移層6の厚さは2mmであり、補強層の厚さは15mm(第1補強層は7mm+金属メッシュは1mm+第2補強層は7mm)であり、保護層3の厚さは3mmである。
【0047】
[比較例1]
この比較例と実施例1の主な違いは、超薄型アルミニウムベースの湯道溝が、セグメント化された構造ではなく一体成形であることである。
【0048】
本発明の実施例1で作製した湯道溝の仕様及び性能試験結果は以下のとおりである:
【表1】
【実施例3】
【0049】
実施例1及び比較例1で製造された超薄型アルミニウムベースの湯道溝製品を使用して、注入実験を実施する:
注湯量:4000kg コバルト・クロム・ニッケル系高温合金鋼液
注湯温度:1450~1570℃、注湯時間:20分
工程過程:
1)湯道溝コンポーネントを8~10時間予熱し、予熱温度は1000℃以上にしてから、図1に示すように湯道溝を組み立てる;
2)組み立てた湯道溝に4000kg コバルト・クロム・ニッケル系高温合金鋼液を注ぎ、湯道溝を介して鋳造工程に送られた。
【0050】
実験結果:観察により、使用から最終までの1回の工程において、実施例1の湯道溝製品は、亀裂、耐侵食性、剥離、欠け、スラッギング現象がなく、第一湯道溝エリアでのスラグ保持効果は非常に良好であり、合金溶液の純度を効果的に向上でき、下流の製品の歩留を改善し、製品のすべての物理化学的パラメータを統合的に改善し、残留鋼の回収率を高めた;
【0051】
[リサイクルテスト]
3回リサイクルで使用した場合、比較例1の一体成形された湯道溝は先に亀裂を生じたが、実施例1の湯道溝には明らかな亀裂がなかった;
7回リサイクルで使用した場合、実施例1の湯道溝に亀裂が生じ、比較例1の湯道溝は、修理後に再び使用できる;
15リサイクルで使用した場合、実施例1の湯受け溝は交換する必要があり、比較例1の湯道溝には亀裂が多く、合金液の純度を確保するために、それ以上の修理使用はできない。
【0052】
以上、説明したのは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとっては、本発明の原理を逸脱することなく、多くの改良や装飾が可能であり、これらの改良や装飾も本発明の保護の範囲内であると考えられることに留意すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超薄型アルミニウムベースの湯道溝であって、前記湯道溝の溝本体の壁厚さが12~25mmであり、前記湯道溝の溝本体がセグメント化された構造であり、順次に接続された湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝を含むことを特徴とする超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項2】
前記湯受け溝、第1湯道溝、第2湯道溝及び出湯溝の接続方式はスプライス又はスナップ接続であることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項3】
前記湯受け溝は緩衝エリアと直流エリアを含み、前記緩衝エリアと直流エリアは斜面の方式で接続されることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項4】
前記直流エリアにクランプ溝が設置され、前記クランプ溝の中にフィルタプレートが設置されていることを特徴とする請求項3に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項5】
スラグバッフル装置が前記クランプ溝の底部の片側に設けられていることを特徴とする請求項に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項6】
前記出湯溝の一端は密閉され、前記出湯溝の密閉端面が傾斜面であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項7】
前記湯道溝の溝本体の底部が弧状の構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項8】
前記湯道溝の溝本体が層状構造であり、内側から外側に耐火層、遷移層、補強層及び保護層が順次に配置され、前記層状構造がコーティングによって調製されることを特徴とする請求項1に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項9】
前記耐火層の厚さが3~5mmであり、前記遷移層の厚さが2mmであり、前記補強層の厚さが5~15mmであり、前記保護層の厚さが2~3mmであることを特徴とする請求項に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【請求項10】
前記耐火層が白いコランダムを使用し、前記白いコランダムが球形又は薄片状の構造であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の超薄型アルミニウムベースの湯道溝。
【国際調査報告】