IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プロ・メディケア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特表2022-548182人体または人体セグメントを支持するためのシステム
<>
  • 特表-人体または人体セグメントを支持するためのシステム 図1
  • 特表-人体または人体セグメントを支持するためのシステム 図2
  • 特表-人体または人体セグメントを支持するためのシステム 図3
  • 特表-人体または人体セグメントを支持するためのシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(54)【発明の名称】人体または人体セグメントを支持するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/12 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61G5/12 702
A61G5/12 701
A61G5/12 707
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542510
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2020058610
(87)【国際公開番号】W WO2021053533
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019000016550
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522105481
【氏名又は名称】プロ・メディケア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】カフォリオ,ロザリア・エウジェニア
(57)【要約】
本発明は、人体または人体セグメントを支持するためのシステム(1)に関し、上記システムは、実質的に平坦な形状を有するベース要素(3)、および1つまたは複数の成形モジュラ要素(5)の群を備える。本発明によれば、上記ベース要素(3)は、動作展開構成から非動作折り畳み構成に移行され得るように、可撓性である。本発明による支持システムは、1つまたは複数の補剛要素(17)を備え、これらの補剛要素(17)は、一方では動作構成にあるときに背もたれに的確な剛性を提供し、他方では非動作構成にあるときに背もたれ(1)を折り畳む可能性を妨げないように設計される。支持システムは、例えば、座部、背もたれ、マットレス、などの形態で作られ得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平坦な形状を有するベース要素(3)、および複数の成形モジュラ要素(5)を備え、前記ベース要素(3)および前記モジュラ要素(5)に、前記モジュラ要素(5)を前記ベース要素(3)に結合するためのそれぞれの結合手段(7、9)が設けられた、人体または人体セグメントを支持するための支持システム(1)であって、前記ベース要素(3)が、動作展開構成から非動作折り畳み構成にまたその逆に移行され得るように可撓性であり、前記支持システム(1)が、前記動作構成において前記人体またはそのセグメントを支持することを可能にするために、前記可撓性ベース要素(3)と一緒に前記動作構成から前記非動作構成に移行され得る1つまたは複数の補剛要素(17)をさらに備えることを特徴とする、支持システム(1)。
【請求項2】
前記ベース要素が、可撓性ベース板(3)の形態で作られ、前記可撓性ベース板(3)が、実質的に平坦な形状を有し、前記モジュラ要素(5)の前記結合手段(9)と協働することができる結合手段(7)が前記可撓性ベース板(3)の面のうちの1つに設けられている、請求項1に記載の支持システム(1)。
【請求項3】
可撓性材料で作られた被覆ライニング(13)をさらに備え、前記ベース要素が、前記被覆ライニングの壁(13a)によって形成される、請求項1に記載の支持システム(1)。
【請求項4】
前記被覆ライニング(13)の前記壁(13a)の内面に、前記モジュラ要素(5)の前記結合手段(9)と協働することができる結合手段が設けられる、請求項3に記載の支持システム(1)。
【請求項5】
前記1つまたは複数の補剛要素(17)も可撓性である、請求項1に記載の支持システム(1)。
【請求項6】
前記1つまたは複数の補剛要素(17)が、張力付与可能なストラップ(17)として作られ、前記張力付与可能ストラップ(17)が、それらの長さを減少させることにより緊張され得るように、および、それらの長さを増大させることにより弛緩され得るように、調節可能な長さを有する、請求項5に記載の支持システム(1)。
【請求項7】
前記1つまたは複数の補剛要素が、取外し可能である、請求項1に記載の支持システム(1)。
【請求項8】
前記補剛要素が、取外し可能な態様で前記ベース要素(3)に取り付けられる薄い剛性シートを備える、請求項7に記載の支持システム(1)。
【請求項9】
前記ベース要素および前記モジュラ要素の前記結合手段(7、9)が、前記モジュラ要素(5)と前記ベース要素(3)との間の取外し可能な結合を実現する、請求項1に記載の支持システム(1)。
【請求項10】
前記支持構成が、前記モジュラ要素(5)上に重ね合わせられる詰め物(11)をさらに備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の支持システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体または人体セグメント(換言すれば、人体の部分)を支持するためのシステムに関する。
より詳細には、本発明は、単一個人の固有の形態およびその要求に適切に順応するように適合されたモジュラ構造を有する、人体またはそのセグメントを支持するためのシステムに関する。
【0002】
上記支持システムは、例えば、支持要素上に配置されるのに適した座部の形態、1対の垂直支持部材間に取り付けられるのに適した背もたれの形態、支持フレーム上に取り付けられるのに適したマットレスの形態、などで作られ得る。
【0003】
限定的ではない例として、本発明は、病人または身体障害者のための支持システムの作製に応用され、かつ、移動性を支援するための手動および/または電子式の車椅子などの医療機器、ならびに屋内および/または学校での使用などのための車輪を含むまたは含まないベースなどのリハビリテーションおよび社会生活もしくは家庭生活のための医療機器などに応用され得る。
【背景技術】
【0004】
正しい姿勢は、無数の要因によって影響されるものであり、個人の肉体的健康に不可欠である。
具体的には、限定されるものではないが、正しい姿勢を確保することは、外的刺激に反応することにより適切でない姿勢をとることを避けられるようにする自己制御機構を有さない、遺伝的なまたは中枢神経系の損傷によりもたらされる後天的な病気に悩む人たちにとって、不可欠である。
【0005】
中枢神経系の損傷からもたらされる一部の症状はまた、身体構造の変化を伴い、それが、呼吸、嚥下、意思疎通、などの基本的な身体機能の制限につながる。そのような人たちにとって、正しい着座姿勢または横臥姿勢ですら、彼らの生存に必須のものである。
【0006】
より一般的には、健康な人たちにとってさえ、個人の固有の形態に適合され、例えば仕事中または睡眠時間中に正しい姿勢を維持することを可能にする、人体のための支持システムが必要とされている。
【0007】
人体の様々なセグメントの支持および拘束に関するそのようなシステムは、先行技術から知られている。
具体的には、個々の対象者の特定の形態を考慮に入れる支持システムが、先行技術から知られている。
【0008】
この目的のために、上記の支持システムは、ベース要素と1つまたは複数の交換可能モジュール群とからなるモジュラ構造を有し、各モジュール群は、異なる身体セグメントに対応する。
【0009】
このようにして、最も適切な最終全体構成を得るために、各モジュール群のうちの最も適切なモジュールが選択されて、ベース要素上に正しく位置決めされ得る。
例として、国際特許出願WO2011/148329は、同一の出願人の名において、完全にモジュール式の性質を有し、かつ、平坦なベース板として作られた支持構造(ベース要素)と、上記ベース板へのまた互いの取外し可能かつ可逆的な接続のための手段を備えたいくつかの成形ブロック群とを提供する、姿勢システムを説明している。この方法では、上記成型ブロックの数、形状、および配置は、個々のユーザの形態に従って毎回選択することができる。
【0010】
具体的には、WO2011/148329で説明されている姿勢システムは、各群が異なる身体セグメントを対象としているいくつかのモジュラブロック群(例えば、ユーザの脚のための第1のモジュラブロック群、ユーザの骨盤のための第2のモジュラブロック群、ユーザの背骨のための第3のモジュラブロック群、など)を使用することを可能にし、それにより、姿勢システムは、全体として個々のユーザの形態構造に順応することができる。
【0011】
上記で説明されたタイプの支持システムは、個人の固有の形態に完全に順応する構成をとることができ、かつ、その形態が変化する場合に経時的に修正され得るが、欠点がないわけではない。
【0012】
具体的には、剛体支持構造の存在は、必然的に大きな全体寸法を伴い、それにより、相当な欠点がもたらされ得る。
具体的には、これらの欠点は、そのような支持システムが運ばれなければならないときに生じる。
【0013】
単に限定的ではない例として、上記で説明された姿勢システムが身体障害者用の車椅子への適応のために座部および/または背もたれの形態で作られている事例を参照すると、特に車椅子が非使用期間中に保管されなければならない場合には、剛体支持構造の存在が一連の欠点を伴うことが明らかである。
【0014】
実際には、身体障害者のための車椅子は一般に、使用していないときには折り畳まれ得るように折り畳み式耐荷重フレームを有し、そのため、車椅子の全体寸法は、使用していないときには著しく縮小される。
【0015】
折り畳み式耐荷重フレームの提供は、車椅子が例えば車両で運ばれなければならない場合には、特に重要である。
車椅子支持フレームに取り付けられる剛体ベース要素を含む姿勢システムの提供は、上記フレームを折り畳む可能性を排除する。
【0016】
したがって、車椅子は、使用していないときですら相当な空間を占める。
あるいは、車椅子のフレームを(例えば、車両で運ぶ場合に)折り畳めるようにするために、姿勢システムは、フレームが折り畳まれ得るようにフレームから取り外されなければならない。
【0017】
いずれの場合にも、支持フレームの全体寸法を増大させる姿勢システムの全体寸法は、縮小され得ない。
さらに、支持フレームが折り畳まれなければならないときに毎回姿勢システムを取り外したり再度支持フレームに取り付けたりすることにより、異なる不正確な位置に姿勢システムを配置するおそれが存在する。
【0018】
上記で強調されたように、姿勢システムがユーザの形態に完全になじむことが、根本的に重要なことである。結果として、わずかな位置決めまたは位置合わせの誤差であっても、ユーザの快適さの相当な低下に(さらには、支持システムが特定の病状に苦しんでいる個人を対象としている特定の事例では、重大な健康問題に)つながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主な目的は、ユーザの形態になじんで快適さを保証する動作構成からその全体寸法が縮小され得る非動作構成に切り替わることができる、人体のための、または人体のセグメントのための支持システムを提供することにより、上記で強調された欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記その他の目的は、添付の特許請求の範囲において特許請求される支持システム(換言すれば、支持装置)によって達成される。
本発明による支持システムは、実質的に平坦な形状を有するベース(換言すれば、基部)要素と、取外し可能かつ可逆的な態様で上記ベース要素におよび互いに結合するための手段が設けられた1つまたは複数の成形モジュラ要素(換言すれば、組立要素)群と、を備えるモジュラシステムである。
【0021】
本発明によれば、上記ベース要素は、動作展開構成から非動作折り畳み構成に移行され得るように、可撓性である。
第1に、可撓性ベース要素の提供により、本発明による支持システムの全体寸法は、上記支持システムが使用されていないときに著しく縮小され得る。
【0022】
第2に、上記支持システムが(身体障害者用の車椅子の折り畳み式耐荷重フレームなどの)折り畳み式耐荷重フレームに取り付けられる場合、支持システムは、上記耐荷重フレームと一緒に折り畳まれたり展開されたりすることが可能であり、したがって、毎回支持システムを取り外したり所定の位置に戻したりする必要性が排除される。
【0023】
この第2の利点は、支持システムが不正確にかつユーザの固有の形態に従わずに再位置決めされるおそれを排除するので、特に有意味である。
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、上記ベース要素は、実質的に平坦な形状を有し可撓性材料で作られたベース板として作られる。
【0024】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、上記支持システムは、可撓性材料で作られたライニングを備え、前記ベース要素は、上記可撓性材料のライニングの壁からなる。
実質的に平坦な形状を有する可撓性ベース要素と、取外し可能かつ可逆的な態様で上記ベース要素におよび互いに接続されるための手段が設けられた1つまたは複数の成形モジュラ要素群とを含む先行技術の緩衝構成が知られていることが、留意されるべきである。
【0025】
例として、文献米国特許第3542421号は、可撓性材料で作られ、詰め物入りインサートの取外し可能な接続のための相互接続手段を有する領域がその表面上に設けられた、パネルを備える緩衝構成に言及しており、詰め物入りインサートには、所望の位置において上記パネルに取り付けられるための相互接続手段が設けられている。
【0026】
しかし、米国特許第3542421号で説明されている緩衝構成は、それ自体ではユーザの身体またはそのセグメントのための支持を提供することができず、むしろ、背もたれなどの外部支持要素に関連付けられることが意図されており、この目的のために、背もたれへの接続の手段を備えている。
【0027】
同様に、文献WO2014/038961は、可撓性基板と、所望の位置において基板に取外し可能に関連付けられ得る様々な形状およびサイズの複数のセルとを含む緩衝構成を説明している。
【0028】
この場合も、WO2014/038961で説明されている緩衝構成は、それ自体ではユーザの身体またはそのセグメントのための支持を提供することができず、基板は、背もたれなどの外部支持要素に固定されるために、取付けの手段を備える。
【0029】
したがって、米国特許第3542421号およびWO2014/038961で説明されている緩衝構成は、ユーザの身体またはそのセグメントのための多少のカスタマイズが可能な支え面を提供することができるが、それらの緩衝構成は、ユーザの身体またはそのセグメントのための十分な支持を提供することができない。そのため、それらの緩衝構成は、既存の典型的な支持要素に取り付けられることが意図されている。例えば、それらの緩衝構成は、それ自体の構造を有する車椅子の背もたれに取り付けられることが意図されている。
【0030】
これに反して、本発明は、既存の支持システムに取り付けられる緩衝構成をその目的として有するのではなく、むしろ、本発明の目的は、ユーザの身体またはそのセグメントのための必要とされる支持をそれ自体で提供することができる支持システムを提供することである。
【0031】
言い換えれば、本発明による支持システムは、その動作位置にあるときに、それ自体で適切な支持を提供し、典型的に作られた外部の支持システムに結合される必要がないので、「自立型」と定義され得る。
【0032】
したがって、本発明による支持システムは、その動作構成においてユーザを正しく支持することを可能にするために、可撓性ベース要素と一緒に動作構成から非動作構成に移行され得る1つまたは複数の補剛要素(換言すれば、補強要素)を備える。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による支持システムは、その動作構成においてユーザを正しく支持することを可能にするために、それ自体が可撓性である1つまたは複数の補剛要素を含み、可撓性により、補剛要素は、ベース要素と一緒に展開位置から折り畳み位置に移行されることが可能であり、その逆も同様である。
【0034】
本発明の代替的な実施形態によれば、本発明による支持システムは、その動作構成においてユーザを正しく支持することを可能にするために、取外し可能な1つまたは複数の補剛要素を含み、それにより、補剛要素は、ベース要素が展開位置から折り畳み位置にされなければならないときに、取り外され得る。
【0035】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に準拠して限定的ではない例として与えられる本発明の好ましい実施形態に関する次の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の構成または動作構成で示された、本発明の好ましい実施形態による支持システムの図である。
図2】そのモジュラ要素に分解された、図1の支持システムの図である。
図3】第2の構成または非動作構成で示された、図1の支持システムの図である。
図4図1の支持システムの補剛要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明による人体を支持するための支持システムの好ましい実施形態に関する次の説明では、背もたれ、特に身体障害者用の車椅子のための背もたれの形態で作られた支持システムが参照される。
【0038】
しかし、この実施形態は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明による支持システムは、それぞれがユーザの1つまたは複数の身体セグメントを支持することができる、多くの異なる方法で実現され得る。
【0039】
例えば、本発明による支持システムは、座部の形態、マットレスの形態、座部および背もたれを含む肘掛け椅子の形態、または他の多くの形態で作られ得る。
さらに、支持システムは、必ずしも病人または身体障害者を対象とするものではない場合がある。
【0040】
図1を参照すると、示された実施形態では、支持システムは、この図ではその動作位置または展開位置で示されている背もたれ1の形態を有する。
背もたれ1の構造は、図2でより良く理解することができる。
【0041】
上記背もたれ1は、実質的に平坦な形状を有するベース要素3を備える。
具体的には、示された実施形態では、上記ベース要素は、実質的に平坦なベース板3の形態で作られる。
【0042】
上記背もたれ1は、複数の成形モジュラ要素5をさらに備える。
上記モジュラ要素5は、プラスチックまたは複合材料で作られてよく、予め成形され、かつ、切断、材料除去、または他の類似の作業工程によって構成され得る。
【0043】
あるいは、上記モジュラ要素5は、各ポケットが異なる特性を有する材料で満たされ得るマルチポケット要素を使用することによって作られてもよく、それにより、様々な剛性を有するシステムを得ることが可能になる。
【0044】
ベース要素3は、上記モジュラ要素5に結合するための結合手段7が設けられた表面(上面)を有する。
それに応じて、モジュラ要素5のそれぞれには、その表面(底面)にわたって、ベース要素3に結合するための結合手段9が設けられる。
【0045】
具体的には、モジュラ要素5の結合手段9は、上記ベース要素と上記モジュラ要素との間の結合を達成するために、ベース要素3の結合手段7と協働するように選択される。
より具体的には、結合手段7、9は、これらのモジュラ要素が調節可能位置においてこのベース要素に取り付けられまた再位置決めが必要な場合にベース要素から取り外されることを可能にするベース要素とモジュラ要素との間の結合を達成するように選択される。
【0046】
上記結合要素7、9は、例えば、バインダロッキングシステムならびに/または雄および/もしくは雌の面ファスナー式ストラップを含む結合システムで構成され得る。
モジュラ要素5をベース要素3に結合することによる背もたれ1の実現は、上記モジュラ要素5を所望の位置において互いに無関係に固定することにより、個々のユーザの固有の形態に最も適した構成を毎回得ることを可能にする。
【0047】
モジュラ要素5は、背もたれ1の多用途性を高めるために、様々なサイズ、形状、寸法、および機能を有して適切に設計され得ることが、当業者には明らかであろう。
背もたれ1は、モジュラ要素5上に重ね合わせられるように、したがって使用時にベース要素3およびモジュラ要素5からなるモジュラ支持構造とユーザの背中(または、より一般的には、ユーザの身体の一部分)との間に挟まれるように適合された詰め物11を、さらに備える。
【0048】
有利には、詰め物11も、モジュラ構造を有することができ、詰め物によって支えられるべき荷重および使用中に詰め物が受ける応力に従って適切に組み合わせられる同じまたは異なる形状および厚さを有する複数の詰め物入りクッションを含む。
【0049】
詰め物11、または詰め物を形成する詰め物入りクッションは、様々なタイプならびに組合わせの高性能ポリマー発泡体、通気を促進するための架橋発泡体、粘弾性低速反発記憶発泡体(visco-elastic slow rebound memory foam)および類似の材料を使用することによって作られ得る。
【0050】
あるいは、上記詰め物11、または上記詰め物を形成する詰め物入りクッションは、各ポケットが異なる特性を有する材料で満たされ得るマルチポケット要素を使用することによって作られてもよく、それにより、様々な剛性を有するシステムを得ることが可能になる。
【0051】
背もたれ1は、ベース要素3、ベース要素5、および詰め物11が内部に受け入れられる被覆ライニング13をさらに備える。
上記被覆ライニング13は、例えばベース要素3に対するモジュラ要素5の位置決めを修正することが必要な場合に被覆ライニング13内の要素へのアクセスを可能にするジッパ15または類似の閉鎖システムを備える。
【0052】
本発明によれば、背もたれ1のベース要素3は、図1に示された動作展開構成から図3に示された非動作折り畳み構成にまたその逆に移行され得るように、可撓性である。
有利には、図3から分かるように、可撓性ベース要素3の存在により、背もたれ1の全体寸法は、使用していないときに著しく縮小され得る。
【0053】
とりわけ、上記背もたれ1が身体障害者用の車椅子または移動もしくはリハビリテーションのための類似の医療機器の折り畳み式耐荷重フレームに取り付けられる場合、上記背もたれ1は、上記耐荷重フレームと一緒に折り畳まれることおよび展開されることが可能であり、したがって、毎回上記背もたれ1を取り外したり所定の位置に戻したりする必要性が排除される。
【0054】
当業者には明らかなように、この方策は、背もたれ1が不正確にかつユーザの固有の形態に従わずに位置決めされるおそれを排除する。
本発明の代替的な実施形態では、ベース要素3は、特別に設計されたベース板ではなく、ライニング13の壁、具体的には、使用時にユーザの身体からさらに離れる上記ライニングの壁13aで構成され得ることが、留意されるべきである。
【0055】
この代替的な実施形態では、ライナ13の壁13aの内面には、モジュラ要素5の結合手段9と協働するための結合手段が適切に設けられる。
可撓性ベース要素の存在は上述の利点を保証するが、背もたれ1が使用時に正しい支持をユーザに提供することを確実にすることも、必要である。
【0056】
この目的のために、背もたれ1は、1つまたは複数の補剛要素を備えることが好ましく、それらの補剛要素は、一方では動作構成にあるときに背もたれ1に的確な剛性を提供し、他方では非動作構成にあるときに背もたれ1を折り畳む可能性を妨げないように、設計される。
【0057】
本明細書において示された本発明の好ましい実施形態では、本発明による背もたれは、1つまたは複数の補剛要素を備え、それらの補剛要素も、背もたれの折り畳みを邪魔しないように、可撓性である。
【0058】
具体的には、本明細書に示された本発明の好ましい実施形態では、本発明による背もたれは、図4に見られる複数の張力付与可能な(tensionable)ストラップ17を備える。
【0059】
図4に示されるように、上記張力付与可能なストラップ17は、使用時にユーザの背中に向けられる面とは反対側の背もたれ1の面に取り付けられ得る。
ストラップ17は、背もたれ1に取り付けられる中央部分17aと、耐荷重フレームのそれぞれの垂直部材に固定されるように適合された対向する環状端部分17a、17cとを備える。
【0060】
ストラップ17は、それらの長さを減少させることにより緊張され得るように、また、それらの長さを増大させることにより弛緩され得るように、調節可能な長さを有する。
このようにして、ストラップ17は、背もたれの的確な剛性を確保するために、上記背もたれが使用されているときには緊張されることが可能であり、かつ、背もたれの折り畳みを可能にするために、背もたれが使用されていないときには弛緩されることが可能である。
【0061】
したがって、ストラップ17は、背もたれ1に恒久的に取り付けられ得る。
いずれの場合にも、ストラップ17はまた、例えば雄および雌の面ファスナー式ストラップまたは類似の結合手段を使用することにより、取外し可能な態様で上記背もたれに結合され得る。
【0062】
本発明の代替的な実施形態では、本発明による背もたれは、補剛要素を含むことができ、この補剛要素は、ベース要素が展開位置から折り畳み位置に移行されなければならないときに補剛要素が取り外され得るように、取外し可能である。
【0063】
上記補剛要素は、例えば、詰め物11とは反対側の面上でベース要素3に取り付けられる薄い剛性シートとして作られ得る。
ジッパ15により、背もたれ1が折り畳まれるべきときに、ライニング13は開かれることが可能であり、剛性シートは引き出されることが可能である。
【0064】
本発明による支持システムは、その動作構成においてユーザのための快適さおよび正しい支持を損なうことなしに、動作展開構成から折り畳み非動作構成に移行されることが可能であり、上記の目的を達成することを可能とすることが、上記の説明から明らかである。
【0065】
上記で説明された実施形態は、単に例として与えられたものであり、添付の特許請求の範囲によって定められるような本発明の保護範囲から逸脱することなしに多くの修正および変形が可能であることも、明らかである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】