(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】経頭蓋磁気刺激コイルの位置合わせ装置
(51)【国際特許分類】
A61N 2/04 20060101AFI20221110BHJP
A61N 2/02 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A61N2/04
A61N2/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502121
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2020041818
(87)【国際公開番号】W WO2021007576
(87)【国際公開日】2021-01-14
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518399047
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ リプレゼンテッド バイ ザ デパートメント オブ ベテランズ アフェアーズ
【氏名又は名称原語表記】UNITED STATES GOVERNMENT AS REPRESENTED BY THE DEPARTMENT OF VETERANS AFFAIRS
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイディア プニト
【テーマコード(参考)】
4C106
【Fターム(参考)】
4C106AA06
4C106BB25
4C106CC40
4C106FF01
4C106FF08
(57)【要約】
装置は、中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、複数の電気コンタクトからなるアレイと、を含む。複数の電気コンタクトからなるアレイは、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成することができる。処理回路は、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成することができる。複数の距離センサは、経頭蓋磁気シミュレーションコイルの中心軸線から離間して配置することができる。ディスプレイは、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、基準角度に対してのコイルの回転と、を表示するように構成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、
複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、
前記導体と、前記複数の電気コンタクトからなる前記アレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、
前記経頭蓋磁気シミュレーションコイルの前記中心軸線から離間して配置された複数の距離センサと、
ディスプレイであり、
前記導体と前記少なくとも2つの電気コンタクトとの間の前記係合に対応した位置と、
各距離センサと前記ターゲット面との間の距離と、を表示するように構成されたディスプレイと、を含む、装置。
【請求項2】
第1ラインを表示するように構成された第1発光デバイスと、第2ラインを表示するように構成された第2発光デバイスと、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1発光デバイス及び前記第2発光デバイスのそれぞれは、レーザダイオードである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの方位センサをさらに含み、前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、前記経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの方位センサは、3軸加速度計と、3軸ジャイロスコープと、3軸磁力計と、を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
メモリをさらに含み、前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位を前記メモリ内に格納するように構成され、プロセッサは、前記基準方位に対しての前記TMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、前記ディスプレイは、前記基準方位に対しての前記TMSコイル装置の前記相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
各電気コンタクトは、それぞれ隣接している電気コンタクトから等間隔に離間して配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の距離センサは、少なくとも2つの距離センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置によって取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の電気コンタクトからなる前記アレイは、前記中心軸線に対して中心合わせされており、前記複数の距離センサは、前記中心軸線から等間隔に離間して配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アレイは、少なくとも2つの行と、少なくとも2つの列と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
第2方位センサをさらに含み、前記処理回路は、前記第2方位センサからの配向性データを、前記少なくとも1つの方位センサからの配向性データと比較するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
装置であって、
経頭蓋磁気刺激コイルデバイスに対して結合するように構成されたハウジングと、
複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、
前記導体と、前記複数の電気コンタクトからなる前記アレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、
前記複数の電気コンタクトからなる前記アレイの周囲を囲むように配置された複数の距離センサと、を含む、装置。
【請求項14】
前記導体と前記少なくとも2つの電気コンタクトとの間の前記係合に対応した位置と、各距離センサと前記ターゲット面との間の距離と、を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの方位センサをさらに含み、前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、前記経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成され、
メモリをさらに含み、
前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位を前記メモリ内に格納するように構成され、プロセッサは、前記基準方位に対しての前記TMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、前記ディスプレイは、前記基準方位に対しての前記TMSコイル装置の前記相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記装置から取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
システムであって、
前記システムは、装置を含み、前記装置は、
中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、
複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、
前記導体と、前記複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、
前記経頭蓋磁気シミュレーションコイルの前記中心軸線から離間して配置された複数の距離センサと、
無線送信機と、を含み、
前記システムは、さらに、受信機を含む遠隔ディスプレイであるとともに、
前記導体と前記少なくとも2つの電気コンタクトとの間の前記係合に対応した位置と、
各距離センサと前記ターゲット面との間の距離と、を表示するように構成された遠隔ディスプレイを、含み、
前記無線送信機は、前記装置によって取り込まれたデータを、前記遠隔ディスプレイの前記受信機に対して送信するように構成されている、システム。
【請求項18】
前記装置は、少なくとも1つの方位センサをさらに含み、前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、前記経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成され、
前記遠隔ディスプレイは、メモリを含み、
前記処理回路は、前記少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位を格納するように構成され、プロセッサは、前記基準方位に対しての前記TMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、
前記ディスプレイは、前記基準方位に対しての前記TMSコイル装置の前記相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
方法であって、
導体と、複数の電気コンタクトのうちの、少なくとも第1電気コンタクト及び第2電気コンタクトと、の間の係合に対応した信号を受信することと、
前記信号に基づいて、接触位置を決定することであり、前記接触位置が、前記第1電気コンタクトと前記第2電気コンタクトとの間の位置である、決定することと、
複数の距離センサのそれぞれから、距離測定値を受信することと、
前記接触位置をディスプレイ上に表示することと、
前記複数の距離センサのそれぞれからの前記距離測定値を前記ディスプレイ上に表示することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記接触位置を前記ディスプレイ上に表示することは、前記接触位置を、中心点からの径方向オフセットとして、グラフィック的に表示することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の距離センサのそれぞれからの前記距離測定値を前記ディスプレイ上に表示することは、前記複数の距離センサのそれぞれからの前記距離測定値を、中心点からの半径として、グラフィック的に表示することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の距離センサのそれぞれからの各距離測定値の関数としてベクトルを計算することと、
前記ベクトルを前記ディスプレイ上に表示することと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記信号及び前記接触位置を前記ディスプレイに対して送信することをさらに含み、前記ディスプレイは、遠隔ディスプレイである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
経頭蓋磁気刺激法(TMS)とは、診断又は治療の目的で(例えば、薬剤耐性の大うつ病性障害の治療)、患者の頭部のターゲット領域上に配置された電磁コイルを介した高強度のパルス磁場を使用して、大脳皮質の焦点領域を無痛で非侵襲的に刺激する脳刺激方法である。
図1を参照すると、臨床現場では、コイルの巻線は、8の字形状とされている。円形形状のコイルと比較して、8の字形状という構成は、コイルの中心の直下で刺激強度が最も強く、かつ、コイルがなす平面に対して刺激強度が垂直に突出した状態で、直下の大脳皮質をより集中的に刺激することを可能とする。
【0002】
TMSパルスから誘導される電気的活性が、極めて集中的であり、かつ、コイルの中心から離間するにつれて非常に急速に減衰することのために、最適な刺激のためには、ターゲットに対しての適切な接触と、3次元空間内における、患者の頭部に対してのコイルの配向性と、が重要である。コイルの配置に関するいくつかの独立した態様は、刺激の効率に影響を与え得る。例えば、コイルと頭部との間の隙間が小さいと、大脳皮質のところにおける刺激強度が著しく低下する可能性があり、その結果、臨床効果が低下する可能性がある。同様に、TMSコイルは、理想的には、患者の頭皮に対して接線方向をなすべきである。TMSコイルが、頭皮に対して接触しているものの、所望のターゲットの直上において中心合わせされていない場合にはあるいは接線方向ではない場合には、有効性が損なわれ得る。加えて、頭部の正中矢状面に対してのコイルの角度は、TMSに対する大脳皮質反応に影響を与え得る。45°という角度が、一般に、大脳皮質刺激に関して最適であると考えられている。
【0003】
ニューロナビゲーションという技術は、TMSコイルの配置に関して精度と信頼性とを向上させるための1つのソリューションである。ニューロナビゲーションシステムは、例えばRogue Research Inc.によって開発されたものであり、コイルと患者の頭部とに対して取り付けられた複数のカメラと光学的トラッカとを使用した複雑な画像処理計算システムを必要とする。このシステムは、患者の脳のMRI画像上に、コイルの位置及び配向性に関する3次元的再構成を作成する。このような技術は、コスト高で時間がかかるため、さらに、日常的な臨床応用には実用的ではないため、典型的には、研究目的に限って使用されている。よって、臨床現場では、TMSコイルを配置するに際し、視覚的近似が最も一般的に使用されており、この視覚的近似は、大うつ病の治療のためにFDAに承認された7つのデバイスのうち、6つにおいて採用されている手法である(もう1つは、ニューロナビゲーションシステムである)。この方法は、コイルの適切な配置に関してまたターゲットとの接触に関して客観的な確認を提供しないものであるため低質なものであり、また、エラーが発生しやすいものであり、さらに、臨床効果を損ない得るものである。
図3を参照すると、TMSコイルの配置のための多くの方法は、水泳帽に似たキャップを、患者の頭部に対して密着して被せることに依存している。ターゲットは、キャップ上にマークされており、コイルは、各治療の開始時に、ターゲット上において中心合わせされる。しかしながら、コイルの寸法のために、コイルを頭部上に配置した後には、ターゲットマークとコイル底面の中心とが目視検査範囲から隠されてしまうため、コイルのエッジの位置が、キャップ上にマークされている。コイルが平坦であることにより、頭部がなす曲面上へのこのエッジの投影は、ターゲットの境界設定時と、その後の治療に際してコイルを配置するたびごとと、の両方において、視差による誤差が不可避である。加えて、
図2に示すように、コイルが頭皮上において接線方向に配置されているかを決定するためには、また、正中矢状面から45°で配置されているかを決定するためには、視覚的な推定に頼らなければならない。これらの潜在的な誤差原因のすべてが、TMSオペレータどうしの間で及び繰り返し的な治療セッションにわたって、コイル配置の著しいばらつきをもたらし、そのため、最適でない治療応答をもたらし得る。
【0004】
大うつ病の治療のためには、TMSコイルは、典型的には19分間~38分間にわたって継続する治療時に、適切に位置決めされなければならない。従来技術によるデバイスは、コイルの適切な配置に関して、オペレータに対して継続的なフィードバックを提供しない。患者の頭部が少し動いただけでも(例えば、頭を回すことにより、咳をすることにより、くしゃみをすることにより、又は、治療椅子が位置ずれすることにより)、コイルとターゲットとの配置が変わってしまい、臨床効果に影響を与えかねない。よって、コイルの位置決めに関するフィードバックが、各治療セッションの開始前だけでなく、各治療セッションの最中においても継続的に、TMSオペレータに対して提供されることが重要である。
【0005】
TMSコイルの配置を補助するための1つの試みは、コイル面の底面上に配置されたタッチセンサ式フィルムを使用することにより、頭皮の接触が維持されているかどうかを検出することである。しかしながら、この方法では、コイルが頭部に対して接触していることしか示すことができず、コイルがターゲット上において中心合わせされているかどうかが特定されないため、この技術には限界がある。例えば、治療中に、患者が治療椅子からずり落ちたり、また、少しではあるけれども臨床的に重大な距離の分だけ頭を回したり、することは珍しいことではない。オペレータは、頭皮に対する接触の欠如を通知され得るとともに、コイルを再配置し得るけれども、システムが、そのような客観的な位置フィードバックを提供しないため、コイルは、もはやターゲット上において中心合わせされ得ない。加えて、この方法では、コイルを、患者の頭部に対して直接的に位置合わせするのではなく、椅子のヘッドレスト上の定規マーキングに対して位置合わせするため、誤差が生じやすい。
【発明の概要】
【0006】
様々な態様で、本明細書で開示するものは、中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、複数の電気コンタクトからなるアレイと、を含む装置であって、複数の電気コンタクトからなるアレイは、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている。処理回路は、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成することができる。複数の距離センサは、経頭蓋磁気シミュレーションコイルの中心軸線から離間して配置することができる。ディスプレイは、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、を表示するように構成することができる。
【0007】
装置は、第1ラインを表示するように構成された第1発光デバイスと、第2ラインを表示するように構成された第2発光デバイスと、をさらに含むことができる。
【0008】
第1発光デバイス及び第2発光デバイスのそれぞれは、レーザダイオードとすることができる。
【0009】
装置は、少なくとも1つの方位センサをさらに含むことができ、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成される。
【0010】
少なくとも1つの方位センサは、3軸加速度計と、3軸ジャイロスコープと、3軸地磁気センサと、を含むことができる。
【0011】
装置は、メモリをさらに含むことができる。処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位をメモリ内に格納するように構成することができる。プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成することができる。ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成することができる。
【0012】
各電気コンタクトは、それぞれ隣接する電気コンタクトから等間隔に離間して配置することができる。
【0013】
複数の距離センサは、少なくとも2つの距離センサを含むことができる。
【0014】
装置は、装置によって取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含むことができる。
【0015】
複数の電気コンタクトからなるアレイは、中心軸線に対して中心合わせすることができ、複数の距離センサは、中心軸線から等間隔に離間して配置することができる。
【0016】
アレイは、少なくとも2つの行と、少なくとも2つの列と、を含むことができる。
【0017】
装置は、第2方位センサをさらに含むことができ、処理回路は、第2方位センサからの配向性データを、少なくとも1つの方位センサからの配向性データと比較するように構成されている。
【0018】
装置は、経頭蓋磁気刺激コイル装置に対して結合するように構成されたハウジングと、複数の電気コンタクトからなるアレイと、を含むことができ、複数の電気コンタクトからなるアレイは、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている。処理回路は、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成することができる。複数の距離センサは、複数の電気コンタクトからなるアレイの周囲を囲むように配置することができる。
【0019】
装置は、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、を表示するように構成されたディスプレイを、さらに含むことができる。
【0020】
装置は、少なくとも1つの方位センサをさらに含むことができ、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成され、装置は、メモリをさらに含むことができる。処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位をメモリ内に格納するように構成することができる。プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成することができる。ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成することができる。
【0021】
装置は、装置から取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含むことができる。
【0022】
システムは、中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、複数の電気コンタクトからなるアレイと、を含む装置を含むことができ、複数の電気コンタクトからなるアレイは、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている。処理回路は、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成することができる。複数の距離センサは、経頭蓋磁気シミュレーションコイルの中心軸線から離間して配置することができる。装置は、無線送信機をさらに含むことができる。システムは、受信機を含む遠隔ディスプレイであるとともに、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、を表示するように構成された遠隔ディスプレイを、さらに含むことができる。無線送信機は、装置によって取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイの受信機に対して送信するように構成することができる。
【0023】
装置は、少なくとも1つの方位センサをさらに含むことができる。処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成することができる。遠隔ディスプレイは、メモリを含むことができる。処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位を格納するように構成することができる。プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成することができる。ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成することができる。
【0024】
方法は、導体と、複数の電気コンタクトのうちの、少なくとも第1電気コンタクト及び第2電気コンタクトと、の間の係合に対応した信号を受信することと、信号に基づいて、接触位置を決定することであり、接触位置が、第1電気コンタクトと第2電気コンタクトとの間の位置である、決定することと、複数の距離センサのそれぞれから、距離測定値を受信することと、接触位置をディスプレイ上に表示することと、複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値をディスプレイ上に表示することと、を含むことができる。
【0025】
接触位置をディスプレイ上に表示することは、接触位置を、中心点からの径方向オフセットとして、グラフィック的に表示することを含むことができる。
【0026】
複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値をディスプレイ上に表示することは、複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値を、中心点からの半径として、グラフィック的に表示することを含むことができる。
【0027】
方法は、複数の距離センサのそれぞれからの各距離測定値の関数としてベクトルを計算することと、ベクトルをディスプレイ上に表示することと、をさらに含むことができる。
【0028】
方法は、信号及び接触位置をディスプレイに対して送信することをさらに含むことができ、ディスプレイは、遠隔ディスプレイである。
【0029】
本発明の追加的な利点は、部分的には以下の説明に記載され、部分的には以下の説明から明らかであり、また、本発明の実施によって学習され得る。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された構成要素によって及び組合せによって、実現されて達成されることとなる。上記の一般的な説明と以下の詳細な説明との両方が、例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことは、理解されよう。
【0030】
本発明の好ましい実施形態に関するこれらの特徴点及び他の特徴点は、添付図面を参照した詳細な説明において、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、円形形状のコイル(左側)と8の字形状のコイル(右側)とによって誘導される電場強度に関する例示的なグラフである。
【
図2】
図2は、TMSコイルの理想的な配置及び配向性を示す例示的な一対の図である。
【
図3】
図3は、患者上に配置された従来的なTMSコイルに関する例示的な画像である。
【
図4】
図4は、本明細書で開示する実施形態によるTMSコイル装置に関する例示的な平面図である。
【
図5】
図5は、
図4のTMSコイル装置に関する例示的な底面図である。
【
図6A】
図6A及び
図6Bは、
図4のTMSコイル装置と共に使用するためのキャップ及びターゲットマーカに関する例示的な画像を示している。
【
図8A】
図8A~
図8Bは、
図4のTMSコイル装置からの距離センサデータに関する例示的なグラフィック表示を示している。
【
図9A】
図9A~
図9Cは、
図4のTMSコイル装置からの距離センサデータを示すベクトルを使用した例示的な表示を示している。
【
図10A】
図10A~
図10Cは、位置合わせレーザと方位センサとを使用することにより
図4のTMSコイル装置を位置合わせするためのステップを示す例示的な画像を示している。
【
図11】
図11は、TMSコイル装置からの配向性データと比較するために患者の配向性データを提供するよう、患者に対して取り付けられた動的基準方位センサに関する例示的な画像を示している。
【
図12】
図12は、
図4のTMSコイル装置と共に使用するための遠隔ディスプレイに関する例示的な画像を示している。
【
図13】
図13は、
図4に示すようなTMSコイル装置の構成要素に関する例示的な概略を示している。
【
図14】
図14は、
図4に示すようなTMSコイル装置のためのコンピューティングデバイスを含む例示的なシステムを示している。
【
図15】
図15は、TMSコイル後付け装置に関する例示的な概略を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、本発明について、すべての実施形態ではないもののいくつかの実施形態を図示している添付図面を参照しつつ、以下においてより完全に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得るものであって、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の符号は、全体を通して同様の構成要素を指す。本発明が、説明された特定の方法論及びプロトコルに限定されないこと、それ自体が変更され得ることは、理解されよう。また、本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲を限定することを意図していないことは、理解されよう。
【0033】
本明細書に記載された本発明の多くの変更及び他の実施形態は、上記の説明及び関連する図面において提示された教示の利益を有する本発明に係る当業者であれば、想起されるであろう。したがって、本発明が、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることは、理解されよう。本明細書では特定の用語が採用されているけれども、これらは、一般的で説明的な意味合いで使用されているに過ぎず、限定を目的としたものではない。
【0034】
本明細書で使用した際には、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、文脈が明確に他のことを指定していない限り、複数形の参照を含む。例えば、「1つのセンサ」という用語の使用は、1つ又は複数のそのようなセンサを指すことができる、などである。
【0035】
本明細書で使用されるすべての技術的な及び科学的な用語は、他のことを明確に指定していない限り、本発明が属する技術分野における当業者が通常的に理解するのと同じ意味を有している。
【0036】
本明細書で使用した際には、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、その後に説明された事象又は状況が、発生してもあるいは発生しなくてもよいことを意味し、また、その説明が、そのような事象又は状況が発生する実例と発生しない実例とを含むことを意味する。
【0037】
本明細書で使用した際には、「少なくとも1つの」という用語は、「1つ又は複数の」と同義であることが意図されている。例えば、「A、B、及びC、のうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、及び、それぞれの組合せ、を明示的に含む。
【0038】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、として表現することができる。このような範囲が表現されている場合には、別の態様は、その1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値まで、を含む。同様に、値が近似値として表現されている場合には、「約」という先行詞の使用により、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。さらに、各範囲の終点が、他の終点との関係においても、他の終点から独立しても、有意であることは、理解されよう。任意選択的に、いくつかの態様では、値が、「約」という先行詞の使用によって近似されている場合には、特に記述された値の、最大15%、最大10%、最大5%、又は最大1%(上又は下)以内の値が、それらの態様の範囲内に含まれ得ることが想定されている。
【0039】
本明細書で使用された際には、「又は」という単語は、特定のリストのうちの、任意の1つのメンバーを意味し、また、そのリストの中のメンバーどうしの任意の組合せを含む。
【0040】
他のことが明示的に記述されていない限り、本明細書に記載されるいずれの方法も、その方法のステップが特定の順序で実行される必要があるとして解釈されることを、決して意図されていないことは、理解されよう。したがって、方法の請求項が、そのステップによって従うべき順序を実際に記載していない場合には、あるいは、ステップが特定の順序に限定されるべきことが、請求項にも説明にも明確に記述されていない場合には、いかなる点においても、順序が推測されることは何ら意図していない。これは、ステップの構成又は操作フローに関する論理の問題と、文法的な組織化又は句読点に由来する平易な意味と、本明細書で説明する態様の数又はタイプと、を含めて、解釈のためのあらゆる可能な非明示的根拠について、当てはまるものである。
【0041】
以下の説明では、完全な理解を提供するために、具体的な詳細を提供している。それにもかかわらず、当業者であれば、装置と、システムと、装置を使用するための関連方法とが、これらの具体的な詳細を採用することなく実装されて使用され得ることは、理解されよう。実際、装置とシステムと関連方法とは、例示された装置とシステムと関連方法とを変更することによって実施することができ、業界で従来より使用されている任意の他の装置及び技術と共に使用することができる。
【0042】
図4及び
図5を参照すると、様々な態様で、本明細書で開示するものは、TMSコイル装置100である。いくつかの実施形態では、TMSコイル装置100は、8の字コイルパターンを含むことができる。更なる実施形態では、TMSコイル装置100は、末梢神経の刺激に有益であり得る円形コイルパターンを含むことができる。なおも更なる実施形態では、TMSコイル装置100は、例えばh-コイルパターンなどの、様々な他のコイルパターンを含むことができる。TMSコイルは、軸線90(
図1)に沿って電磁場を生成することにより患者の脳のターゲット領域を選択的に刺激するように、構成することができる。
【0043】
TMSコイル装置100は、複数のコンタクトパッド110からなるアレイ108を含むことができる。各コンタクトパッド110は、間隔をあけて配置されたトレーシング部材がなす対112からなるアレイを含むことができる。間隔をあけて配置されたトレーシング部材からなる対112内において、トレーシング部材どうしは、非導電性材料からなる薄いストリップによって分離されることができる。したがって、間隔をあけて配置されたトレーシング部材からなる対112が、導体に対して同時に接触した時には、導体は、非導電性材料からなる薄いストリップを橋渡しすることにより、間隔をあけて配置されたトレーシング部材がなす対112を電気的に結合することができる。コントローラ(例えば、本明細書においてさらに説明するように、コンピューティングデバイス1001)は、間隔をあけて配置されたトレーシング部材がなす各対112が電気的に結合された時点を検出することができる。いくつかの実施形態では、アレイ108は、2インチ×2インチ(50.8mm×50.8mm)の正方形領域を覆うように配置された複数のコンタクトパッド110からなる7×7マトリクスを含むことができる。アレイ108は、本明細書でさらに説明するように、アレイ108がコイルをターゲット領域に対して位置合わせすることを補助し得るよう、TMSコイルの軸線に対して中心合わせすることができる。
【0044】
図6A及び
図6Bも参照すると、TMSコイル装置100は、患者の頭部上に配置されたキャップ300と協働することができる。キャップ300は、薄いものとすることができ、患者に対して密着してフィットすることができる。キャップ300は、キャップ300が患者の頭部上において同じ位置で繰り返し的に配置され得るよう、患者の頭部上の固定的特徴物(例えば、目及び鼻)に対して位置決めされることができる。任意選択的に、キャップ300は、キャップ300が患者の頭部上において同じ位置で繰り返し的に配置され得るよう、患者の頭部上の固定的特徴物に対してマーキングされることができる。ターゲットマーカ310は、意図された刺激領域のところで、キャップ300上に配置することができる。ターゲットマーカ310は、患者の頭部からのTMSコイルの離間距離を最小とするために、円形(例えば、直径が1/2センチメートル)で薄いものとすることができる。ターゲットマーカ310は、粘着性の裏当て材を有し得る導体とすることができる。
【0045】
TMSコイル装置100は、複数のコンタクトパッド110からなるアレイ108がターゲットマーカ310に対して接触するようにして、患者の頭部に対して配置することができる。ターゲットマーカ310は、ターゲットマーカ310が同時に接触している、間隔をあけて配置されたトレーシング部材がなす対112のそれぞれを電気的に結合することができ、これにより、間隔をあけて配置されたトレーシング部材がなす対のうちの、トレーシング部材どうしの間に延びる回路を閉塞することができる。コントローラは、アレイ108内のどの1つ又は複数のパッド110がターゲットマーカ310に対して接触しているかを検出するために、連続的に又は断続的に調査することができる。このようにして、コントローラは、ターゲットマーカ310に対してのTMSコイル装置100の位置を、ひいては、刺激が意図された領域を、決定することができる。
【0046】
図7A~
図7Cも参照すると、TMSコイル装置100は、例えばLCD画面などのディスプレイ130を含むことができる。ディスプレイ130は、どのコンタクトパッド110(もし存在すれば)がターゲットマーカ310に接触しているかに基づいて、ターゲットマーカ310に対してのアレイ108の位置を表示することができる。少なくとも1つの実施形態では、ディスプレイ130は、もし存在すれば、どのコンタクトパッド110がターゲットマーカに対して接触しているかに対応するスポット234を、十字線232に関連して表示することができる。例えば、
図7Aでは、ディスプレイ130はスポット234を示しておらず、このことは、アレイ108内のどのコンタクトパッド110も、ターゲットマーカ310に対して接触していないことを示している。
図7Bでは、スポット234は、十字線232の中心から離れており、このことは、TMSコイル装置100が、中心合わせされていないことを示している。
図7Cは、スポット234が十字線232の中心にあることを示しており、このことは、TMSコイル装置100の軸線がターゲットマーカ310上において中心合わせされていることを、したがって、ターゲット領域上において中心合わせされていることを、示している。このようにして、オペレータは、ディスプレイ130からフィードバックを受け取ることができ、TMSコイルがターゲット領域に対して適切に位置決めされるまで、TMSコイル装置を移動させることができる。任意選択的に、ディスプレイ130は、TMSコイル装置100がターゲットマーカ310に対して接触した時点で色を変化させる(例えば、赤から緑へ)境界235を表示することができる。
【0047】
ディスプレイ130が、ターゲットマーカ310に対して接触しているコンタクトパッド110の平均位置を表示し得ることは、理解されるべきである。例えば、2つのコンタクトパッド110がターゲットマーカ310に対して同時に接触している場合には、ディスプレイ130は、それら2つのコンタクトパッド110の間の位置に対応するスポット234を、十字線232に対する位置に、表示することができる。別の例として、2×3グリッドで配置された6つのコンタクトパッド110が接触している場合には、ディスプレイは、2×3グリッドの中心位置に対応する位置を、表示することができる。
【0048】
図5を参照すると、TMSコイル装置100は、患者の頭部に対してTMSコイル装置100を接線方向で位置合わせするためのシステムを、さらに含むことができる。TMSコイル装置100は、TMSコイルの軸線を中心とした環状パターンでもって間隔をあけて配置された複数の距離センサ120を含むことができる。複数の距離センサ120は、レーザパルスを送信し得るとともに各パルスが表面から反射されて検出器へと戻るまでの時間を測定し得る飛行時間型センサとすることができる。複数の距離センサ120は、TMSコイルの軸線から等距離のところに配置することができる。複数の距離センサ120のうちの、各距離センサは、それぞれ、患者の頭部までのそれぞれの距離を検出することができる。複数の距離センサ120は、距離の測定値を取り込むことができ、TMSデバイスは、測定された距離をその大きさとして有しかつTMSコイルの軸線まわりにおける距離センサの方位角として定義される角度値を有したベクトルとして、距離の測定値を表すことができる。TMSコイル装置100は、ベクトルのすべての合計がゼロである時に、患者の頭部に対して接線方向に配向していると見なすことができる。
【0049】
図8A及び
図8Bも参照すると、ディスプレイ130は、複数の距離センサ120をなす各距離センサのそれぞれの距離を、多角形238の頂点236として表示することができ、ここで、十字線232の中心からの距離が、患者の頭部に対しての距離に対応する。任意選択的に、十字線232の中心から各頂点までの距離は、複数の距離センサ120をなすそれぞれの距離センサが患者の頭部に近づくにつれて、増加することができる。したがって、オペレータは、十字線232の中心に対して多角形238を中心合わせするように、TMSコイル装置100を配向させることができ、このことは、TMSコイル装置100が、患者の頭部に対して全体的に接線方向であることを示している。
【0050】
さらに、
図9A~
図9Cを参照すると、コントローラは、距離センサ120からのデータを集約することにより、TMSコイル装置100が患者の頭部に対する接線方向に対してどれだけ近いかに関しての指示を、及び、その接線方向の配向性をさらに改良するためにTMSコイル装置100をどのように調整し得るかに関して指示を、オペレータに対して提供することができる。例えば、コントローラは、患者の頭部に対しての各距離センサの距離と、TMSコイルの軸線まわりにおける距離センサのそれぞれの方位角と、に対応するベクトルの平均を計算することができる。例えば、コントローラは、距離測定値に基づいて、及び、複数の距離センサ120をなす各距離センサの位置に基づいて、ベクトル和を計算することができる。相対的な距離(例えば、ベクトル)どうしが、頭部に対してのコイルの角度を決定するために比較されてもよい。例えば、12時の位置に位置した距離センサが、6時の位置に位置した距離センサよりも頭部に近い場合には、コイルが頭部に対して傾いていることが決定されてもよい。その場合、ディスプレイ130は、距離センサのベクトルどうしの和に基づくベクトルを示す第1スポット250を表示することができる。第1スポット250は、十字線232の中心から離間した位置で、接線方向の配向性を改良するためにTMSコイル装置100を傾斜させるべき向きを表示することができる。ディスプレイ130は、十字線232の中心から逆方向に等間隔のところに位置した相補的な第2スポット252と、第1スポット250と第2スポット252との間のライン254と、をさらに表示することができ、これにより、TMSコイル装置100を傾斜させるべき向きをさらに示す可視ベクトルを表示することができる。ディスプレイ130は、任意選択的に、距離センサ120から患者の頭部までの平均距離258を表示することができる。
【0051】
第1スポット250と第2スポット252が収束するにつれて、十字線の中心からの相対的な方向を確認しづらくなるように、それらがオーバーラップすることとなることは、理解されるべきである。したがって、第1スポット250が十字線の中心に近づくにつれて、ディスプレイ130は、第1スポット250の周囲に、数が増加する同心円状リング256を表示することができる。例えば、ゼロ個の同心円状リング256(
図9A)は、TMSコイル装置100が接線方向の位置合わせから遠いことを示すことができ、1個の同心円状リング(
図9B)は、より良好な接線方向の位置合わせを示すことができ、2個の同心円状リング(図示せず)は、さらに良好な接線方向の位置合わせを示すことができ、3個の同心円状リング(
図9C)は、最適な接線方向の位置合わせを示すことができる。
【0052】
任意選択的に、1つ又は複数のボタン140は、ディスプレイ上に表示されるものを切り替えることができる。したがって、少なくとも1つの実施形態では、オペレータは、スポット234を表示しているディスプレイと、第1スポット250及び第2スポット252を表示しているディスプレイと、の間で切り替えることができる。更なる実施形態では、ディスプレイは、スポット234と、第1スポット250及び第2スポット252と、のすべてを同時に表示することができる。
【0053】
図5、
図10A~
図10C、及び
図13を参照すると、TMSコイル装置100は、1つ又は複数のレーザガイドと、絶対3軸方位感知システムと、をさらに含むことができる。いくつかの態様によれば、TMSコイル装置は、それぞれがレーザダイオードを含み得る鉛直方向軸線レーザ180及び水平方向軸線レーザ182を含むことができる。鉛直方向軸線レーザ180は、TMSコイルの軸線に対して位置合わせされた第1レーザライン280を放出することができ、水平方向軸線レーザ182は、第1レーザライン280に対して垂直であるとともに、TMSコイルの軸線に対して位置合わせされた第2レーザライン282を放出することができる。したがって、第1レーザライン280及び第2レーザライン282は、刺激部位のところで交差することができる。レーザラインは、任意選択的に、ボタン140を介して、オンオフすることができる。
【0054】
TMSコイル装置100は、例えば、3軸加速度計152、3軸ジャイロスコープ154、及び/又は3軸磁力計156、などの方位センサ150を含むことができる。3軸加速度計152は、任意選択的に、それぞれの軸線に沿って配向性を感知するようにして互いに対して配向される複数の加速度計を含むことができ、これにより、それらの累積配向性データを協働させることによって、すべての三次元における3軸加速度計152の配向性を提供することができる。
【0055】
オペレータは、キャップ300上の鉛直方向線に対して、第1レーザライン182を位置合わせすることができる。レーザライン282と鉛直方向線とが位置合わせされた(TMSコイルが、正中矢状面に対して0度の位置合わせであることに対応する)後には、オペレータは、ボタン140を起動することにより、基準方位として使用され得る3次元方位情報の格納を、TMSコイル装置100に実行させることができる。したがって、TMSコイル装置100を、正中矢状面に対して45度に配向させることが望ましいことであり得るため、最適な結果を得るために、TMSコイル装置100を正中矢状面に対する基準方位から45度傾斜させることができる。ディスプレイ130は、基準方位に対してのTMSコイル装置の配向性を、数値表示290として、及び、十字線232に対して傾斜したライン292として幾何学的に、表示することができる。
【0056】
基準方位センサモジュール320は、例えば、キャップ300に対して一体の部品として、あるいは、面ファスナなどの取付部材を使用してキャップに対して取り付けられることにより、患者に対して固定することができる。基準方位センサモジュール320は、方位センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、これらの組合せ、及び同種のもの)を含むことができ、患者の動きに対して、TMSコイル装置100の動きを比較するための基準として機能することができる。このようにして、位置合わせの後には、オペレータは、TMSコイル装置100の動きが患者のそれぞれの動きに対応しているかどうかを、あるいは、TMSコイル装置100が患者に対して動いたかどうかを、決定することができる。例えば、基準方位センサモジュール320が、患者が患者自身の頭部を軸線まわりに5度だけ動かしたことを検出するとともに、方位センサ150が、TMSコイル装置が同様に軸線まわりに5度だけ回転したことを検出した場合には、TMSコイル装置が、依然としてターゲット領域に対して適切に位置合わせされている可能性が高いことを、理解することができる。しかしながら、方位センサ150が、TMSコイル装置が軸線まわりに5度だけ回転したことを検出するとともに、基準方位センサモジュール320が移動を検出しなかった場合には、TMSコイルが患者に対して移動した可能性が高く、ターゲット領域ともはや適切な位置合わせされていないことを、理解することができる。
【0057】
図10Cを参照すると、任意選択的に、二次ディスプレイ121は、一対の軸線に対しての配向性を表示し得る仮想「バブルレベル」を含めた様々な情報を、オペレータに対して提供することができる。オペレータは、任意選択的に、一対の軸線に対しての基準位置を設定することができる。仮想バブルレベルは、コイルを配向させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、仮想バブルレベルは、加速度計データのグラフィック表現を、絶対的な読み取り値で、あるいは、基準方位と比較して、提供することができる。更なる実施形態では、仮想バブルレベルは、TMSコイル装置100と基準方位センサモジュール320との間の関係に関するグラフィック表現を提供することができる。なおも更なる実施形態では、仮想バブルレベルは、治療方位に関しての、すなわち、TMSコイル装置100が治療のために位置決めされるよりも以前の時間に取り込まれた配向性データに関しての、配向性変化を示すことができる。
【0058】
TMS操作時には、オペレータが患者から数フィートの距離だけ離れていることが一般的であり、そのため、オペレータは、ディスプレイ130を見ることができない。その上、TMS操作は、典型的には、19分間~38分間にわたって行われ得るものであり、その間、患者は動くことができる。TMSコイル装置100は、当該技術分野において一般的に使用されている関節支持アームによって所定位置にロックされて固定され得るけれども、患者が少し動いただけであっても、ターゲットとTMSコイル装置100との係合が乱れることがあり、最適な結果が得られないことがあり得る。したがって、TMSコイル装置100は、ディスプレイ130の情報と同様のリアルタイムの位置決め情報を提供し得る遠隔ディスプレイ400と通信する無線送信機を含むことができる。例えば、遠隔ディスプレイ400は、LED画面402を含むことができる。遠隔ディスプレイ400は、十字線232及びスポット234と、多角形238並びに第1スポット150及び第2スポット252と、ライン254と、を含めて、ディスプレイ130と同じすべての情報を表示することができる。遠隔ディスプレイ400は、数値表示290と、十字線232に対して傾斜したライン292と、をさらに表示することができる。したがって、遠隔ディスプレイ400は、ディスプレイ130上に提供されるすべての情報を表示することができる。その上、遠隔ディスプレイ400は、例えば、コイルの過熱に寄与し得る室温404、及びコイル温度406、などの、追加的な情報を表示することができる。
【0059】
したがって、本明細書で開示するTMSコイル装置100は、オペレータがTMSコイルをターゲットに対して位置合わせすることを可能とする。特に、TMSコイル装置100は、オペレータに対して、TMSコイルの適切な位置合わせに関する視覚的フィードバック(ディスプレイ130、鉛直方向軸線レーザ180、及び、水平方向軸線レーザ184、を含む)を、提供することができる。
【0060】
TMSコイル装置100及び/又は遠隔ディスプレイ400は、オペレータに対してオーディオフィードバックを提供するためのスピーカ170を、さらに含むことができる。例えば、コンピューティングデバイス1001は、TMSコイル装置がターゲットとの位置合わせからしきい値量にわたって移動したことを、決定することができる。これに応答して、TMSコイル装置は、オペレータに可聴フィードバックを提供することができる。さらに、TMSコイル装置100及び/又は遠隔ディスプレイ400は、アラームライト172(例えば、RGBのLEDs)を含むことができる。アラームライト172は、例えば、どのライトが点灯しているかに基づいて、点灯しているライトの数に基づいて、ライトの強度に基づいて、及びライトの色に基づいて、様々な状況(例えば、TMSコイル装置が、ターゲット上において中心合わせされているか、また、患者の頭部に対して接線方向であるか、さらに、正中矢状面に対して適切に傾斜しているか)を知らせることができる。コンピューティングデバイス1001は、様々な状況に応じてスピーカ170及びアラームライト172を使用してフィードバックを提供するように、プログラムすることができる。いくつかの実施形態では、TMSコイル装置100は、コイル温度センサ174を有することができる。スピーカ170及び/又はアラームライト172は、コイル温度がしきい値を超えたことを示す通知を提供することができる。
【0061】
様々な実施形態では、TMSコイル装置は、ディスプレイ130の周囲において間隔をあけて環状に配置されるとともに(例えば、色に基づいて、強度に基づいて、及び、オン/オフ状態に基づいて)通知を提供し得る複数のLEDsを含むことができる。様々な実施形態では、間隔をあけて環状に配置された複数のLEDsは、TMSコイル装置をどの向きに移動させるべきか、TMSコイル装置をどのように傾斜させるべきか、及び/又は、TMSコイル装置をどのように回転させるべきかを、知らせることができる。一実施形態では、センサからの情報に基づいて、コイルの配置を補助するために表示され得る詳細な指示が、決定されてもよい。例えば、「コイルを左に移動させる」、「コイルを前に傾斜させる」、「コイルを時計回りに回転させる」などの指示が表示されてもよい。このような指示は、テキストによって、オーディオ出力によって、あるいは、グラフィックディスプレイなどの視覚的表示によって、伝達されてもよい。
【0062】
図15を参照すると、いくつかの実施形態では、TMSコイル装置100の構成要素は、TMSコイル504を後付けするように構成することができる。例えば、一実施形態では、TMS後付け装置500は、ハウジング502を含むことができる。ハウジング502は、TMSコイルの刺激軸線に対して固定された位置で、TMSコイル504に対して結合することができる。ハウジング502は、例えばクリップ又は面ファスナを介して、TMSコイルに対して着脱可能に取り付けられるように構成することができる。好ましくは、ハウジング502は、患者の頭部からの軸線方向寸法において最小限の追加的な間隔を形成するように構成することができる。したがって、ハウジング502は、薄い材料を含むことができる。TMS後付け装置500は、複数のコンタクトパッド110からなるアレイ108と、複数の距離センサ120と、鉛直方向軸線レーザ180及び水平方向軸線レーザ184と、コンピューティングデバイス1001と、ディスプレイ130及び/又は他の出力デバイスと、を含むがこれらに限定されるものではない、TMSコイル装置100のいくつかの又はすべての特徴点を含むことができる。
【0063】
TMSコイル装置100は、以下の方法に従って使用することができる。キャップ300を、患者上に配置し得るとともに、患者の頭部/顔面の特徴物に対して位置合わせすることができる。ターゲットマーカ310を、刺激のための所望ターゲットのところで、キャップ300上に配置することができる。オペレータは、鉛直方向軸線レーザ180及び水平方向軸線レーザ182を使用して、TMSコイル装置を配向させることにより、0度の基準方位を得ることができ、それに基づいて正中矢状面からの45度の配向性が決定される。次に、オペレータは、TMSコイル装置を、所望の45度配向性へと回転させることができる。その後、オペレータは、ディスプレイ230からの、コンタクトパッド110とターゲットマーカ310との間の係合を示すフィードバックを使用して、TMSコイル装置100がターゲットのところで中心合わせされるように、TMSコイル装置100を位置合わせすることができる。次に、オペレータは、TMSコイル装置100が患者の頭部に対して接線方向で位置合わせされるまで、TMSコイル装置100を回転駆動することができ、TMSコイルが依然としてターゲットのところで中心合わせされているようにして、必要に応じて位置を調節することができる。オペレータは、遠隔ディスプレイ400を使用することにより遠隔地から配向性及び他の態様(例えば、コイル温度)を継続的に監視しながら、TMSコイルを使用してターゲット領域を刺激し始めることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、TMSコイル装置100は、特に、複数のコンタクトパッド110からなるアレイ及びターゲットマーカ310は、運動ホットスポットなどのターゲット領域を特定するために使用することができる。運動ホットスポットは、患者の運動皮質の上方の領域とすることができる。従来より、TMS強度は、患者の対側の多裂筋外転筋の単収縮を確実に刺激するまで、変化される。これは、時間を要するプロセスである。ターゲットマーカ310を使用してホットスポットをマークすることにより、運動しきい値を、迅速にかつ確実に評価することができる。
【0065】
コンピューティングデバイス
図13は、TMSコイル装置100と、コントローラ/コンピューティングデバイス1001と通信しているその構成要素と、に関する概略を示している。
図14は、TMSコイル装置100と共に使用するための、コンピューティングデバイス1001を含むシステム1000を示している。
【0066】
コンピューティングデバイス1001は、1つ又は複数のプロセッサ1003と、システムメモリ1012と、コンピューティングデバイス1001の、1つ又は複数のプロセッサ1003を含めた様々な構成要素を、システムメモリ1012に対して結合するバス1013と、を含んでもよい。複数のプロセッサ1003の場合には、コンピューティングデバイス1001は、並列コンピューティングを利用してもよい。
【0067】
バス1013は、メモリバス、メモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、及び、様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用したプロセッサ又はローカルバス、などのいくつかの可能なタイプのバス構造のうちの、1つ又は複数を含んでもよい。
【0068】
コンピューティングデバイス1001は、様々なコンピュータ可読媒体(例えば、非一時的)上で動作してもよい、及び/又は、そのようなコンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイス1001によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、非一過性の媒体と、揮発性及び/又は不揮発性の媒体と、着脱可能な及び着脱不可能な媒体と、を含む。システムメモリ1012は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又は、読み取り専用メモリ(ROM)などの不揮発性メモリ、の形態とされたコンピュータ可読媒体を有している。システムメモリ1012は、配向性データ1007などのデータを格納してもよい、並びに/又は、1つ若しくは複数のプロセッサ1003に対してアクセス可能であるような及び/又は1つ若しくは複数のプロセッサ1003によって操作されるようなオペレーティングシステム1005及び方位表示ソフトウェア1006などの、プログラムモジュールを格納してもよい。
【0069】
コンピューティングデバイス1001は、また、他の、着脱可能な/着脱不可能な、揮発性/不揮発性の、コンピュータストレージ媒体を含んでもよい。大容量ストレージデバイス1004は、コンピュータコード、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、及び、コンピューティングデバイス1001のための他のデータ、に関する不揮発性ストレージを提供してもよい。大容量ストレージデバイス1004は、ハードディスク、着脱可能な磁気ディスク、着脱可能な光ディスク、磁気カセット又は他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリカード、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、及び同種のもの、であってもよい。
【0070】
大容量ストレージデバイス1004上には、任意の数のプログラムモジュールが格納されてもよい。大容量ストレージデバイス1004上には、オペレーティングシステム1005と、方位表示ソフトウェア1006と、が格納されていてもよい。オペレーティングシステム1005及び方位表示ソフトウェア1006のうちの1つ又は複数(あるいは、これらのいくつかの組合せ)は、プログラムモジュールと、方位表示ソフトウェア1006と、を含んでもよい。また、大容量ストレージデバイス1004上には、配向性データ1007が格納されてもよい。配向性データ1007は、当該技術分野で公知の1つ又は複数のデータベースのいずれか内に格納されてもよい。データベースは、一元化されてもよい、あるいは、ネットワーク1015内の複数の場所に分散されてもよい。
【0071】
ユーザ(例えば、臨床医)は、入力デバイス(図示せず)を介して、コマンド及び情報を、コンピューティングデバイス1001内へと、入力してもよい。そのような入力デバイスは、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、コンピュータマウス、リモートコントロール)、マイクロホン、ジョイスティック、スキャナ、手袋及び他の身体カバーなどの触覚入力デバイス、モーションセンサ、及び同種のもの、を含むけれども、これらに限定されるものではない。これらの入力デバイス及び他の入力デバイスは、バス1013に対して結合されたヒューマンマシンインターフェース1002を介して1つ又は複数のプロセッサ1003に対して接続されてもよいけれども、パラレルポート、ゲームポート、IEEE1394ポート(Firewireポートとしても知られている)、シリアルポート、ネットワークアダプタ1008、及び/又は、ユニバーサルシリアルバス(USB)、など他のインターフェース及びバス構造によって接続されてもよい。
【0072】
また、ディスプレイデバイス1011は、ディスプレイアダプタ1009などのインターフェースを介して、バス1013に対して接続されてもよい。コンピューティングデバイス1001が、2つ以上のディスプレイアダプタ1009を有してもよいこと、及び、コンピューティングデバイス1001が、2つ以上のディスプレイデバイス1011を有してもよいことが、想定される。ディスプレイデバイス1011は、モニタ、LCD(液晶ディスプレイ)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、テレビ、スマートレンズ、スマートガラス、及び/又は、プロジェクタ、であってもよい。ディスプレイデバイス1011に加えて、他の出力周辺デバイスは、入出力インターフェース1010を介してコンピューティングデバイス1001に対して接続され得るスピーカ(図示せず)及びプリンタ(図示せず)などの構成要素を含んでもよい。方法の任意のステップ及び/又は結果は、出力デバイスに対して、任意の形態で出力されてもよい(あるいは、出力するように駆動されてもよい)。そのような出力は、テキスト、グラフィック、アニメーション、オーディオ、触覚、及び同種のもの、を含むがこれらに限定されない、任意の形態の視覚的表現であってもよい。ディスプレイ1011及びコンピューティングデバイス1001は、1つのデバイスの一部であってもよい、あるいは、別個のデバイスであってもよい。
【0073】
コンピューティングデバイス1001は、1つ又は複数の遠隔コンピューティングデバイス1014a、1014b、1014cに対しての論理接続を使用して、ネットワーク化された環境下で動作してもよい。遠隔コンピューティングデバイス1014a、1014b、1014cは、パーソナルコンピュータ、コンピューティングステーション(例えば、ワークステーション)、ポータブルコンピュータ(例えば、ラップトップ、携帯電話、タブレットデバイス)、スマートデバイス(例えば、スマートフォン、スマート時計、活動度トラッカ、スマートアパレル、スマートアクセサリ)、セキュリティ及び/又は監視デバイス、サーバ、ルータ、ネットワークコンピュータ、ピアデバイス、エッジデバイス、あるいは、他の共通ネットワークノード、及び同種のもの、であってもよい。コンピューティングデバイス1001と、遠隔コンピューティングデバイス1014a、1014b、1014cと、の間の論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び/又は一般的な広域ネットワーク(WAN)などの、ネットワーク1015を介して行われてもよい。このようなネットワーク接続は、ネットワークアダプタ1008を経由して行われてもよい。ネットワークアダプタ1008は、有線環境及び無線環境の両方で実装されてもよい。そのようなネットワーク環境は、住居、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、及び、インターネット、において従来より一般的である。
【0074】
アプリケーションプログラム、及び、オペレーティングシステム1005などの他の実行可能なプログラム構成要素は、本明細書では個別のブロックとして示されているけれども、そのようなプログラム及び構成要素が、コンピューティングデバイス1001の異なるストレージ構成要素内に様々なタイミングで存在してもよいこと、及び、コンピューティングデバイス1001の1つ又は複数のプロセッサ1003によって実行されることが、認識される。方位表示ソフトウェア1006の実装は、いくつかの形態のコンピュータ可読媒体上に格納されてもよい、あるいは、そのようなコンピュータ可読媒体にわたって送信されてもよい。任意の開示した方法は、コンピュータ可読媒体上に具現化されたプロセッサ実行可能命令によって実行されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1001は、例えば、コンピュータ断層撮影、X線撮影、医療共鳴画像、又は、超音波、のうちの1つ若しくは複数を実行するためのデバイス又はシステムなどの、1つ若しくは複数の画像処理デバイスに対して電子的に接続されてもよい。
【0076】
例示的な態様
説明した、製品、システム、及び方法、ならびにそれらの変形例に鑑みて、本明細書では以下において、本発明のより具体的に説明した特定の態様について説明する。しかしながら、これらの特に記載された態様は、本明細書で説明する異なる教示又はより一般的な教示を含む任意の異なる請求項に対していかなる制限的効果も有していないと解釈されるべきであり、あるいは、「特定の」態様が、そこで文字通り使用された言語の本来的な意味合い以外のいかなる方法でも制限されないと解釈されるべきである。
【0077】
態様1:装置であって、中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、経頭蓋磁気シミュレーションコイルの中心軸線から離間して配置された複数の距離センサと、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、基準位置に対してのコイルの回転角度と、を表示するように構成されたディスプレイと、を含む、装置。
【0078】
態様2:第1ラインを表示するように構成された第1発光デバイスと、第2ラインを表示するように構成された第2発光デバイスと、をさらに含む、態様1に記載の装置。
【0079】
態様3:第1発光デバイス及び第2発光デバイスのそれぞれは、レーザダイオードである、態様2に記載の装置。
【0080】
態様4:少なくとも1つの方位センサをさらに含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成されている、態様1に記載の装置。
【0081】
態様5:少なくとも1つの方位センサは、3軸加速度計と、3軸ジャイロスコープと、3軸磁力計と、を含む、態様4に記載の装置。
【0082】
態様6:メモリをさらに含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位をメモリ内に格納するように構成され、プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、態様4又は5に記載の装置。
【0083】
態様7;各電気コンタクトは、それぞれ隣接している電気コンタクトから等間隔に離間して配置されている、態様1~6のいずれかの態様に記載の装置。
【0084】
態様8:複数の距離センサは、少なくとも2つの距離センサを含む、態様1~7のいずれかの態様に記載の装置。
【0085】
態様9:装置によって取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含む、態様1~8のいずれかの態様に記載の装置。
【0086】
態様10:複数の電気コンタクトからなるアレイは、中心軸線に対して中心合わせされており、複数の距離センサは、中心軸線から等間隔に離間して配置されている、態様1~9のいずれかの態様に記載の装置。
【0087】
態様11:アレイは、少なくとも2つの行と、少なくとも2つの列と、を含む、態様1~10のいずれかの態様に記載の装置。
【0088】
態様12:第2方位センサをさらに含み、処理回路は、第2方位センサからの配向性データを、少なくとも1つの方位センサからの配向性データと比較するように構成されている、態様1~11のいずれかの態様に記載の装置。
【0089】
態様13:装置であって、経頭蓋磁気刺激コイルデバイスに対して結合するように構成されたハウジングと、複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、複数の電気コンタクトからなるアレイの周囲を囲むように配置された複数の距離センサと、を含む、装置。
【0090】
態様14:導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、を表示するように構成されたディスプレイをさらに含む、態様13に記載の装置。
【0091】
態様15:少なくとも1つの方位センサをさらに含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成され、メモリをさらに含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位をメモリ内に格納するように構成され、プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、態様14に記載の装置。
【0092】
態様16:装置から取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイに対して動作可能に結合された受信機に対して送信するように構成された無線送信機を、さらに含む、態様13~15のいずれかの態様に記載の装置。
【0093】
態様17:システムであって、システムは、装置を含み、装置は、中心軸線を有した経頭蓋磁気刺激コイルと、複数の電気コンタクトからなるアレイであり、ターゲット面のターゲット領域上の導体に対して接触するように構成されている、複数の電気コンタクトからなるアレイと、導体と、複数の電気コンタクトからなるアレイのうちの、少なくとも2つの電気コンタクトと、の間の係合を検出するように構成された処理回路と、経頭蓋磁気シミュレーションコイルの中心軸線から離間して配置された複数の距離センサと、無線送信機と、を含み、システムは、さらに、受信機を含む遠隔ディスプレイであるとともに、導体と少なくとも2つの電気コンタクトとの間の係合に対応した位置と、各距離センサとターゲット面との間の距離と、基準位置に対してのコイルの回転角度と、を表示するように構成された遠隔ディスプレイを、含み、無線送信機は、装置によって取り込まれたデータを、遠隔ディスプレイの受信機に対して送信するように構成されている、システム。
【0094】
態様18:装置は、少なくとも1つの方位センサをさらに含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからのデータに基づいて、経頭蓋磁気刺激コイル装置の配向性を決定するように構成され、遠隔ディスプレイは、メモリを含み、処理回路は、少なくとも1つの方位センサからの少なくとも1つの測定値に基づいて、基準方位を格納するように構成され、プロセッサは、基準方位に対してのTMSコイルの相対的配向性を決定するように構成され、ディスプレイは、基準方位に対してのTMSコイル装置の相対的配向性を表示するようにさらに構成されている、態様17に記載のシステム。
【0095】
態様19:方法であって、導体と、複数の電気コンタクトのうちの、少なくとも第1電気コンタクト及び第2電気コンタクトと、の間の係合に対応した信号を受信することと、信号に基づいて、接触位置を決定することであり、接触位置が、第1電気コンタクトと第2電気コンタクトとの間の位置である、決定することと、複数の距離センサのそれぞれから、距離測定値を受信することと、接触位置をディスプレイ上に表示することと、複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値をディスプレイ上に表示することと、を含む、方法。
【0096】
態様20:接触位置をディスプレイ上に表示することは、接触位置を、中心点からの径方向オフセットとして、グラフィック的に表示することを含む、態様19に記載の方法。
【0097】
態様21:複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値をディスプレイ上に表示することは、複数の距離センサのそれぞれからの距離測定値を、中心点からの半径として、グラフィック的に表示することを含む、態様19又は20に記載の方法。
【0098】
態様22:複数の距離センサのそれぞれからの各距離測定値の関数としてベクトルを計算することと、ベクトルをディスプレイ上に表示することと、をさらに含む、態様19~21のいずれかの態様に記載の方法。
【0099】
態様23:信号及び接触位置をディスプレイに対して送信することをさらに含み、ディスプレイは、遠隔ディスプレイである、態様19~22のいずれかの態様に記載の方法。
【0100】
上記においては本発明について、理解を明確とする目的で、図示及び例によってある程度詳細に説明したけれども、特定の変更及び修正は、添付の請求項の範囲内で実施されてもよい。
【国際調査報告】