(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ダイナミックビジョンセンサ及び撮像機能を組み合わせた固体撮像デバイス及び撮像デバイス
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20221110BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H04N5/369
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510081
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2020033820
(87)【国際公開番号】W WO2021054183
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モスタファル プーリア
(72)【発明者】
【氏名】ブラディ フレデリック
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA33
4M118GC08
4M118GC14
4M118GD04
4M118GD07
5C024GX02
5C024GY18
5C024HX17
5C024HX40
5C024HX50
(57)【要約】
撮像デバイスは、複数の単位画素又は画素を含み、各画素はアイソレーション構造によって他の各単位画素から分離される。各単位画素は、光電変換ユニットと、画素撮像信号読み出し回路と、アドレスイベント検出読み出し回路とを含む。第1の転送トランジスタは、光電変換ユニットを画素撮像信号読み出し回路に選択的に接続し、第2の転送トランジスタは、光電変換ユニットをアドレスイベント検出読み出し回路に選択的に接続する。所与の画素のための、光電変換ユニット、画素撮像信号読み出し回路、アドレスイベント検出読み出し回路、並びに第1及び第2の転送トランジスタは、アイソレーション構造によって画定された画素領域内に位置する。アイソレーション構造は、全厚誘電性トレンチアイソレーション構造の形態であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素アレイユニットであって、
複数の画素と、
アイソレーション構造と、を含み、前記複数の画素の各画素が、前記アイソレーション構造によって前記複数の画素の1つ又は複数の近隣の画素から分離されており、各画素が、
光電変換領域と、
第1の転送トランジスタと、
第2の転送トランジスタと、
前記第1の転送トランジスタによって前記光電変換領域に選択的に結合された第1の読み出し回路と、
前記第2の転送トランジスタによって前記光電変換領域に選択的に結合された第2の読み出し回路とを含む、
画素アレイユニットを備える撮像デバイス。
【請求項2】
前記第2の読み出し回路がアドレスイベント検出読み出し回路である、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項3】
前記第1の読み出し回路が撮像信号生成読み出し回路である、請求項2に記載の撮像デバイス。
【請求項4】
前記画素アレイユニットが、複数の画素グループを含み、前記複数の画素グループの第1の画素グループを有する各画素が、前記第1の画素グループの他の画素からアイソレートされた、請求項3に記載の撮像デバイス。
【請求項5】
前記アイソレーション構造が誘電性構造である、請求項4に記載の撮像デバイス。
【請求項6】
前記誘電性構造が前記第1の画素グループ内の前記画素のそれぞれを取り囲む、請求項5に記載の撮像デバイス。
【請求項7】
前記誘電性構造が全厚誘電体トレンチである、請求項6に記載の撮像デバイス。
【請求項8】
前記第1の読み出し回路が、フローティングディフュージョン層と、増幅トランジスタと、選択トランジスタと、リセットトランジスタとを含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項9】
前記第2の読み出し回路が、電流電圧変換ユニットと、減算器とを含む、請求項8に記載の撮像デバイス。
【請求項10】
前記第2の読み出し回路が、第1のログトランジスタと、第1の増幅トランジスタとを含む、請求項8に記載の撮像デバイス。
【請求項11】
前記第2の読み出し回路が、第1のログトランジスタと、第2のログトランジスタと、第1の増幅トランジスタと、第2の増幅トランジスタとを含む、請求項8に記載の撮像デバイス。
【請求項12】
前記第1の転送トランジスタが、N型転送ゲート及びP型転送ゲートのうちの第1の転送ゲートを含み、前記第2の転送トランジスタが、前記N型転送ゲート及び前記P型転送ゲートのうちの第2の転送ゲートを含む、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項13】
前記複数の画素に含まれる少なくとも第1の画素の前記光電変換領域が、前記第1及び第2の読み出し回路に同時に選択的に接続された、請求項12に記載の撮像デバイス。
【請求項14】
前記第1の転送ゲートを前記第2の転送ゲートに電気的に接続する、接合信号線をさらに備える、
請求項12に記載の撮像デバイス。
【請求項15】
各画素に対して、前記第1の読み出し回路のすべての前記構成要素が、前記画素の前半に形成され、前記第2の読み出し回路のすべての前記構成要素が、前記画素の後半に形成された、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項16】
前記光電変換領域が平面図において複数の辺を含み、前記第1の転送ゲートが前記光電変換ユニットの第1の辺に沿って位置し、前記第2の転送ゲートが前記光電変換領域の第2の辺に沿って位置する、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項17】
各画素グループが、第1の単位画素と、第2の単位画素と、第3の単位画素と、第4の単位画素とをさらに含み、前記第1、第2、第3、及び第4の単位画素が、2x2配列で配設された、請求項4に記載の撮像デバイス。
【請求項18】
前記アイソレーション構造が前記単位画素のそれぞれの画素領域を画定し、各単位画素の回路素子が、前記画素アレイユニットにおける任意の近隣の単位画素の回路素子から、前記アイソレーション構造によって分離された、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項19】
前記第1のアイソレーション構造が、完全に全厚トレンチアイソレーション構造である、請求項1に記載の撮像デバイス。
【請求項20】
撮像レンズと、
固体撮像デバイスあって、
画素アレイユニットであって、
複数の画素と、
アイソレーション構造と、を含み、前記複数の画素の各画素が、前記アイソレーション構造によって前記複数の画素の1つ又は複数の近隣の画素から分離されており、各画素が、
光電変換領域と、
第1の転送トランジスタと、
第2の転送トランジスタと、
前記第1の転送トランジスタによって前記光電変換領域に選択的に結合された第1の読み出し回路と、
前記第2の転送トランジスタによって前記光電変換領域に選択的に結合された第2の読み出し回路とを含む、画素アレイユニットと、
前記固体撮像デバイスの動作を制御する制御ユニットと、を含む固体撮像デバイスと、
を備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダイナミックビジョンセンサ及び撮像機能を有する撮像デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術において、撮像デバイスなどでは、垂直同期信号などの同期信号に同期して、画像データを収集する同期型固体撮像デバイスが用いられている。典型的な同期型固体撮像デバイスでは、同期信号の周期ごと(例えば1/60秒ごと)に画像データを取得することが困難であるため、自律走行車やロボットなどの高速(例えば、リアルタイム)処理が要求される分野などの、比較的高速な処理が要求される場合に即応することが困難である。この点において、画素ごとに検出回路を設け、受光量が閾値を超えた状況をアドレスイベントとしてリアルタイムに検出する非同期型固体撮像デバイスが提案される。画素ごとにアドレスイベントを検出する非同期型固体撮像デバイスは、ダイナミックビジョンセンサ(DVS)とも称される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
DVS及び通常のフレームベースの撮像を組み合わせたセンサは、様々な手段を使用して達成することができる。その中には、非同期時間ベース画像センサ(ATIS)として知られている、追加のフォトダイオードを使用した時間ベースの読み出しを特徴とするデバイスが含まれる。しかし、ATISシステムは、画像センサ信号及びDVS信号を提供するために、画素あたり2つのフォトダイオードを必要とするため、追加のフォトダイオードを必要としない構成と比較して、解像度や画質が低下してしまう。他のデバイスは、ダイナミック及びアクティブ画素視覚センサ(DAVIS)システムとして知られる、共通のフォトダイオードを使用した、画像センサ信号及びダイナミックビジョンセンサ(DVS)イベント信号を提供する画素を特徴とする。しかし、DAVISシステムでは、画像及びイベント検出機能が十分に分離されていないため、これらの機能間で干渉を受けるおそれがある。さらに、DVS及びアクティブ画像センサ信号の読み出しが困難であるため、DAVISセンサのダイナミックレンジが低下するおそれがある。
【0004】
そこで、本開示は、他の構成と比較して、受光効率を向上させて撮像機能及びイベント検出機能の両方を提供することができる固体撮像デバイス及び撮像デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態及び態様によれば、画素アレイに配置された複数の光電変換領域又は画素を備える撮像デバイスが提供される。各画素は、単一の光電変換領域と、第1の転送ゲート又は転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に接続された第1の読み出し回路と、第2の転送ゲート又は転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に接続された第2の読み出し回路とを含む。さらに、画素アレイの任意の1つの画素の光電変換領域、第1の読み出し回路、第1の転送トランジスタ、第2の読み出し回路、及び第2の転送トランジスタは、画素アレイの近隣の任意の画素の光電変換領域、第1の読み出し回路、第1の転送トランジスタ、第2の読み出し回路、及び第2の転送トランジスタからアイソレーション構造によって分離されている。アイソレーション構造は誘電性構造を含み得る。誘電性構造は、全厚リヤディープトレンチアイソレーション(full-thickness rear deep trench isolation:RFTI)構造として、又は全厚フロントディープトレンチアイソレーション(full-thickness front deep trench isolation:FFTI)構造として設けることができる。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、アイソレーション構造は、画素アレイの各画素を取り囲む。したがって、各画素の画像センサ及びイベント検出機能の両方に単一の光電変換領域を用いることによって、比較的大きな感光面積を可能にすることができる。さらに、隣接する画素の間に形成されたアイソレーション構造によって、隣接する画素間のアイソレーションが提供される。
【0006】
本開示のさらなる実施形態及び態様によると、各画素において、第1の読み出し回路の構成要素の一部又はすべてを、画素の光電変換領域の第1の辺上、又は第1の辺に向けて形成することができ、第2の読み出し回路の構成要素の一部又はすべてを、画素の光電変換領域の第2の辺上、又は第1の辺に向けて形成することができる。本開示のさらなる実施形態によると、各画素において、第1の転送トランジスタは、画素の光電変換領域の第1の側に形成することができ、第2の転送トランジスタは、画素の光電変換領域の第2の側に形成することができる。
【0007】
本開示のさらなる実施形態及び態様によれば、画素の第1の転送トランジスタは、N型デバイス又はP型デバイスのうちの第1のものとして提供されてもよく、画素の第2の転送トランジスタは、N型デバイス又はP型デバイスのうちの第2のものとして提供されてもよい。転送ゲートが異なる構成(すなわち、第1の転送トランジスタがN型であり、第2の転送トランジスタがP型であるか、又は第1の転送トランジスタがP型であり、第2の転送トランジスタがN型である)の場合、撮像及びイベントベース検出のためのキャリアが異なり、撮像モード及びDVS検出モードを同時に利用にすることができる。したがって、このような構成において、単一の画素から撮像モード及びDVSモードを同時に利用することが可能である。さらに、撮像信号及びDVS信号間の強化されたアイソレーションを提供することができる。
【0008】
本開示は、受光効率の向上が可能なダイナミックビジョンセンシング及び撮像能力を有する撮像デバイスを提供することができる。さらに、本開示は、画素間のアイソレーションが向上した撮像デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による固体撮像デバイスの概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による固体撮像デバイスの積層構造例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による固体撮像デバイスの機能的構成例を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、カラーフィルタアレイにベイヤーアレイを採用した場合の、本開示の実施形態による単位画素の配列例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による単位画素の概略構成例を示す回路図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態によるアドレスイベント検出ユニットの概略構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による減算器及び量子化器の概略構成例を示す回路図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による列ADCの概略構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による固体撮像デバイスの動作例を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による固体撮像デバイスの動作例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の第1の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図12】
図12は、第1の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図14】
図14は、第2の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図15】
図15は、本開示の第3の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図16】
図16は、第3の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図17】
図17は、本開示の第4の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図18】
図18は、第4の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図19】
図19は、本開示の第5の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図20】
図20は、第5の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図21】
図21は、本開示の第6の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図22】
図22は、第6の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図23】
図23は、本開示の第7の例示的実施形態による画素構成の平面図である。
【
図24】
図24は、第7の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。
【
図25】
図25は、車両制御システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図26】
図26は、車外情報検出ユニット及び撮像ユニットの設置位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。さらに、以下の実施形態では、同一の部分には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
典型的なダイナミックビジョンセンサ(DVS)は、単位画素ごとにアドレスイベントの発火(ignition)の有無を検出し、アドレスイベントの発火が検出された単位画素から画素信号を読み出す、いわゆるイベント駆動型駆動方法を採用している。
【0012】
さらに、本説明における単位画素は、1つの光電変換素子(「受光素子」とも称される)を含む画素又は単位画素の最小単位を表しており、一例として画像センサから読み出される画像データの各ドットに対応し得る。さらに、アドレスイベントとは、2次元格子状に配置された複数の単位画素のそれぞれに割り当て可能なアドレスごとに発生するイベントを表す。イベント検出センサは、強度の変化に非同期に応答する。強度変化は光電流の変化と相関し、この変化が一定の閾値を超えた場合に、イベントとして検出され得る。
【0013】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、撮像デバイスの概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、例えば、撮像デバイス100は、撮像レンズ110、固体撮像デバイス200、記録ユニット120、及び制御ユニット130を含む。例として、撮像デバイス100は、産業用ロボットに実装されるカメラや車載カメラとして、若しくはそれらの一部として、又は他のデバイスや機器の一部として若しくはこれらと接続して、提供され得る。
【0014】
撮像レンズ110は、入射光を導き(例えば集光し)、固体撮像デバイス200(本明細書では単に撮像デバイス200とも称される)の受光面に入射光の画像を撮像させる光学系を含むことができる。受光面とは、固体撮像デバイス200の光電変換素子が配置される基板の面である。固体撮像デバイス200は、入射光を光電変換して画像データを生成する。さらに、固体撮像デバイス200は、生成した画像データに対して、ノイズ除去やホワイトバランス調整などの所定の信号処理を実行することができる。信号処理によって得られた結果及びアドレスイベントの発火の有無を示す検出信号は、信号線209を介して記録ユニット120に出力される。さらに、アドレスイベントの発火の有無を示す検出信号の生成方法については後述する。
【0015】
記録ユニット120は、例えば、フラッシュメモリ、ダイナミック・ランダム・アクセスメモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセスメモリ(SRAM)などで構成され、固体撮像デバイス200から入力されたデータを記録する。
【0016】
制御ユニット130は、例えば、中央処理装置(CPU)などで構成され、信号線139を介して様々な命令を出力し、撮像デバイス100内の固体撮像デバイス200などのそれぞれのユニットを制御する。
【0017】
次に、固体撮像デバイス200の構成例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、固体撮像デバイス200の積層構造例を示す図である。
図2に示すように、固体撮像デバイス200は、受光チップ201と論理チップ202とが垂直に積層された構造を有することができる。受光チップ201と論理チップ202との接合には、例えば、チップの接合面を平坦化し、電子間力でチップを積層する、いわゆる直接接合を用いることができる。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、接合面に形成された銅(Cu)電極パッドを接合する、いわゆるCu-Cu接合や、バンプ接合なども用いることができる。
【0019】
さらに、受光チップ201と論理チップ202とは、例えば、半導体基板を貫通するシリコン貫通ビア(TSV)などの接続部を介して、互いに電気的に接続される。TSVを用いた接続では、例えば、受光チップ201に形成されるTSVと受光チップ201から論理チップ202に形成されるTSVとを含む2つのTSVをチップ外面で互いに接続する、いわゆるツインTSV方式や、受光チップ201と論理チップ202とを両チップを貫通するTSVで接続する、いわゆるシェアードTSV方式などを採用することができる。
【0020】
しかし、受光チップ201と論理チップ202との接合にCu-Cu接合又はバンプ接合を用いる場合、受光チップ201と論理チップ202との両方が、Cu-Cu接合又はバンプ接合を介して互いに電気的に接続される。
【0021】
図3は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、固体撮像デバイスの機能的構成例を示すブロック図である。
図3に示すように固体撮像デバイス200は、駆動回路211、信号処理ユニット212、アービタ213、列ADC220、及び画素アレイユニット300を含む。
【0022】
画素アレイユニット300には、本明細書では単に画素310とも称される複数の単位セル又は画素310が、2次元格子状に配置される。単位画素310の詳細については後述する。例えば、単位画素310のそれぞれは、フォトダイオードなどの光電変換素子と、光電変換素子で生成された電荷量に対応した電圧値の画素信号を生成する回路(以下、画素回路と称する)とを含む。さらに、本明細書で詳細に説明されるように、画素回路は、第1の回路つまり撮像信号生成回路と、第2の回路つまりアドレスイベント検出読み出し回路とを含むことができる。ここで、各光電変換素子には、その光電変換素子にのみ設けられた画素回路が関連付けられる。すなわち、画素回路は複数の光電変換素子で共有されない。
【0023】
複数の単位画素310は、画素アレイユニット300に2次元格子状に配置される。複数の単位画素310は、それぞれが所定数の単位画素を含む複数の画素ブロック又はグループにグループ化され得る。以下では、水平方向に配置された単位画素の集合体を「行」と称し、行に対して直交する方向に配置された単位画素の集合体を「列」と称する。
【0024】
単位画素310のそれぞれは、それぞれの光電変換素子で受光した光量に対応した電荷を生成する。さらに、単位画素310は、光電変換素子で生成された電荷による電流(以下、光電流と称する)の値又はその変動量が所定の閾値を超えるか否かに基づいて、アドレスイベントの発火の有無を検出するように動作させ得る。さらに、アドレスイベントが発火すると、光電変換素子の受光量に対応した電圧値の画素信号の読み出し要求がアービタ213に出力される。
【0025】
駆動回路211は、各単位画素310を駆動して、各単位画素310から列ADC220に画素信号を出力させる。
【0026】
アービタ213は、単位画素310からの要求をアービトレーションして、当該アービトレーション結果に基づいて、要求を発行した単位画素310に所定の応答を送信する。応答を受信した単位画素310は、アドレスイベントの発火の有無を示す検出信号(以下、単に「アドレスイベント検出信号」と称する)を、駆動回路211及び信号処理ユニット212に供給する。
【0027】
列ADC220は、単位画素310の列ごとに、当該列からのアナログ画素信号をデジタル信号に変換する。さらに、列ADC220は、変換により生成されたデジタル信号を、信号処理ユニット212に供給する。
【0028】
信号処理ユニット212は、列ADC220から送信されたデジタル信号に対して、相関二重サンプリング(CDS)処理(ノイズ除去)及びホワイトバランス調整などの所定の信号処理を実行する。さらに、信号処理ユニット212は、信号処理結果及びアドレスイベント検出信号を、信号線209を介して記録ユニット120に供給する。
【0029】
画素アレイユニット300内の単位画素310は、画素グループ314に配設されてもよい。
図3に示す構成では、例えば、画素アレイユニット300は、色の再構成に必要な波長成分を受光する単位画素310の集合体を含む画素グループ314によって構成される。例えば、RGBの3原色に基づいて色を再構成する場合、画素アレイユニット300では、赤(R)色の光を受光する単位画素310と、緑(G)色の光を受光する単位画素310と、青(B)色の光を受光する単位画素310とが、所定のカラーフィルタアレイによるグループ314aに配置される。
【0030】
カラーフィルタレイ構成の例としては、2×2画素のベイヤーアレイ、X-Trans(登録商標)CMOSセンサに採用されている3×3画素のカラーフィルタアレイ(以下、「X-Trans(登録商標)型アレイ」と称する)、4×4画素のクアッドベイヤーアレイ(以下、「クアッドアレイ」とも称する)、ベイヤーアレイにホワイトRGBカラーフィルタを組み合わせた4×4画素のカラーフィルタ(以下、「ホワイトRGBアレイ」とも称する)などの様々なアレイ又は画素グループが挙げられる。ここで、以下の説明では、カラーフィルタアレイとしてベイヤーアレイを採用した場合を例示する。
【0031】
図4Aは、複数のベイヤーアレイ310Aを形成するように構成されたカラーフィルタアレイにおいて、単位画素310及び関連するカラーフィルタを配置した画素グループ314を採用した場合の、単位画素310の配列例を示す概略図である。
図4に示すように、カラーフィルタアレイ構成としてベイヤーアレイを採用した場合、画素アレイユニット300には、2×2画素の計4個の単位画素310を含む基本パターン310Aが、列方向及び行方向に繰り返し配置される。例えば、基本パターン310Aは、赤(R)色のカラーフィルタ401を含む単位画素310Rと、緑(Gr)色のカラーフィルタ401を含む単位画素310Grと、緑(Gb)色のカラーフィルタ401を含む単位画素310Gbと、青(B)色のカラーフィルタ401を含む単位画素310Bと、によって構成される。
【0032】
図4Bは、
図4Aの単位画素310の例を線A-A’に沿って切り取った断面を示す図である。図示のように、単位画素310は、受光チップ201の一部として含められ得る基板402に形成される。さらに、本明細書の別の場所でさらに説明されるように、各単位画素は、アイソレーション構造1208によって縁取られている。アイソレーション構造1208は、光入射面403から基板402の反対面404まで、基板402の厚さ全体にわたって延在する全厚誘電性トレンチ(full thickness dielectric trench:RFTI)構造又は構造のセットの形態であり得る。さらに、各単位画素は、オンチップレンズ476と関連付けることができる。代替的又は追加的に、FFTI構造又は構造のセットを、隣接する単位画素間のアイソレーションのために設けることができる。
【0033】
次に、単位画素310の構成例を説明する。
図5は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、単位画素310の概略構成例を示す回路図である。
図5に示すように、単位画素310は、例えば、画素撮像信号生成ユニット(又は読み出し回路)320と、受光ユニット330と、アドレスイベント検出ユニット(又は読み出し回路)400とを含む。少なくとも1つの実施形態例によれば、読み出し回路400は、光電変換素子(又は光電変換領域)333で生成された電荷に基づいて、読み出し回路320を制御するように構成される。さらに、
図5の論理回路210は、例えば、
図3の駆動回路211、信号処理ユニット212、及びアービタ213を含む論理回路である。
【0034】
例えば、受光ユニット330は、第1の又は撮像送信トランジスタ若しくはゲート(第1のトランジスタ)331と、第2の又はアドレスイベント検出送信トランジスタ若しくはゲート(第2のトランジスタ)332と、光電変換素子333とを含む。受光ユニット330の第1の送信トランジスタ331のゲートには、駆動回路211から送信された第1の送信信号TG1が選択的に供給され、第2の送信トランジスタ332のゲートには、駆動回路211から送信された第2の送信信号TG2が選択的に供給される。受光ユニット330の第1の送信トランジスタ331による出力は、画素撮像信号生成ユニット320に接続され、第2の送信トランジスタ332による出力は、アドレスイベント検出ユニット400に接続される。
【0035】
例えば、画素撮像信号生成ユニット320は、リセットトランジスタ(第3のトランジスタ)321と、増幅トランジスタ(第4のトランジスタ)322と、選択トランジスタ(第5のトランジスタ)323と、フローティングディフュージョン層(FD)324とを含む。
【0036】
本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、受光ユニット330の第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332は、例えば、N型金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタ(以下、単に「NMOSトランジスタ」と称する)を用いて構成される。同様に、画素撮像信号生成ユニット320のリセットトランジスタ321、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323は、それぞれ、例えば、NMOSトランジスタを用いて構成される。
【0037】
アドレスイベント検出ユニット400は、例えば、電流-電圧変換ユニット410と減算器430とを含む。しかし、アドレスイベント検出ユニット400には、バッファ、量子化器、及び送信ユニットがさらに設けられている。アドレスイベント検出ユニット400の詳細は、
図6などを用いて以下で説明する。
【0038】
図示の構成において、受光ユニット330の光電変換素子333は、入射光を光電変換して電荷を生成する。第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333に生成された電荷を、第1の送信信号TG1に従ってフローティングディフュージョン層324に送信する。第2の送信トランジスタ332は、制御信号TG2に従って、光電変換素子333に生成された電荷に基づく電気信号(光電流)をアドレスイベント検出ユニット400に供給する。
【0039】
フローティングディフュージョン層324は、第1の送信トランジスタ331を介して光電変換素子333から送信された電荷を蓄積する。リセットトランジスタ321は、駆動回路211から送信されたリセット信号に従って、フローティングディフュージョン層324に蓄積された電荷を放電(初期化)する。増幅トランジスタ322は、フローティングディフュージョン層324に蓄積された電荷の電荷量に対応した電圧値の画素信号を垂直信号線VSLに出現させる。選択トランジスタ323は、駆動回路211から送信された選択信号SELに従って、増幅トランジスタ322及び垂直信号線VSLの接続を切り替える。さらに、垂直信号線VSLに出現したアナログ画素信号は、列ADC220によって読み出され、デジタル画素信号に変換される。
【0040】
制御ユニット130からアドレスイベント検出開始命令が与えられると、論理回路210の駆動回路211は、制御信号を出力し、画素アレイユニット300の受光ユニット330の第2の送信トランジスタ332をオン状態に設定する。これにより、受光ユニット330の光電変換素子333で生成された光電流が、第2の送信トランジスタ332を介して各単位画素310のアドレスイベント検出ユニット400に供給される。
【0041】
受光ユニット330からの光電流に基づいてアドレスイベントの発火を検出すると、各単位画素310のアドレスイベント検出ユニット400は、アービタ213に要求を出力する。これに対して、アービタ213は、単位画素310のそれぞれから送信された要求をアービトレーションして、そのアービトレーション結果に基づいて、要求を発行した単位画素310に所定の応答を送信する。応答を受信した単位画素310は、アドレスイベントの発火の有無を示す検出信号(以下、「アドレスイベント検出信号」と称する)を、駆動回路211及び論理回路210の信号処理ユニット212に供給する。
【0042】
駆動回路211は、アドレスイベント検出信号の供給源である単位画素310の第2の送信トランジスタ332をオフ状態に設定する。これにより、受光ユニット330から、単位画素310のアドレスイベント検出ユニット400への光電流の供給が停止される。
【0043】
次に、駆動回路211は、送信信号TGによって、単位画素310の受光ユニット330の第1の送信トランジスタ331をオン状態に設定する。これにより、受光ユニット330の光電変換素子333に生成された電荷は、第1の送信トランジスタ331を介してフローティングディフュージョン層324に送信される。さらに、画素撮像信号生成ユニット320の選択トランジスタ323に接続された垂直信号線VSLに、フローティングディフュージョン層324に蓄積された電荷量に対応した電圧値の画素信号が出現する。
【0044】
上述のように、固体撮像デバイス200において、アドレスイベントの発火が検出された単位画素310から、列ADC220に画素信号SIGが出力される。
【0045】
さらに、例えば、受光ユニット330、画素撮像信号生成ユニット320、並びにアドレスイベント検出ユニット400の電流-電圧変換ユニット410内の、2つのログ(LG)トランジスタ(第6、第7のトランジスタ)411、414及び2つの増幅トランジスタ(第8、第9のトランジスタ)412、413は、例えば、
図2に示す受光チップ201に配設され、その他の構成要素は、例えば、Cu-Cu接合によって受光チップ201に接合された論理チップ202に配設され得る。そこで、以下の説明では、単位画素310において、受光チップ201に配設された構成を「上層回路」と称する。
【0046】
図6は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、アドレスイベント検出ユニット400の概略構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、アドレスイベント検出ユニット400は、電流-電圧変換ユニット410と、バッファ420と、減算器430と、量子化器440と、送信ユニット450とを含む。
【0047】
電流-電圧変換ユニット410は、受光ユニット330からの光電流をその対数電圧信号に変換し、当該変換により生成された電圧信号をバッファ420に供給する。
【0048】
バッファ420は、電流-電圧変換ユニット410から送信された電圧信号を補正し、補正後の電圧信号を減算器430に出力する。
【0049】
減算器430は、駆動回路211から送信された行駆動信号に従って、バッファ420から送信された電圧信号の電圧レベルを低下させ、その低下した電圧信号を量子化器440に供給する。
【0050】
量子化器440は、減算器430から送信された電圧信号をデジタル信号に量子化し、量子化によって生成されたデジタル信号を検出信号として送信ユニット450に出力する。
【0051】
送信ユニット450は、量子化器440から送信された検出信号を、信号処理ユニット212などに送信する。例えば、アドレスイベントの発火が検出されると、送信ユニット450は、送信ユニット450から駆動回路211及び信号処理ユニット212へのアドレスイベント検出信号の送信要求を、アービタ213に供給する。さらに、送信ユニット450は、アービタ213から要求に対する応答を受信すると、検出信号を駆動回路211及び信号処理ユニット212に供給する。
【0052】
例えば、
図6に例示した構成の電流-電圧変換ユニット410は、
図5に示すように、2つのLGトランジスタ411、414と、2つの増幅トランジスタ412、413と、定電流回路415とを含む。
【0053】
例えば、LGトランジスタ411のソース及び増幅トランジスタ413のゲートは、受光ユニット330の第2の送信トランジスタ332のドレインに接続される。さらに、例えば、LGトランジスタ411のドレインは、LGトランジスタ414のソース及び増幅トランジスタ412のゲートに接続される。例えば、LGトランジスタ414のドレインは、電源端子VDDに接続される。
【0054】
さらに、例えば、増幅トランジスタ413のソースは接地され、そのドレインはLGトランジスタ411のゲート及び増幅トランジスタ412のソースに接続される。例えば、増幅トランジスタ412のドレインは、定電流回路415を介して電源端子VDDに接続される。例えば、定電流回路415は、p型MOSトランジスタなどの負荷MOSトランジスタによって構成される。
【0055】
この接続関係において、ループ状ソースフォロワ回路が構成される。これにより、受光ユニット330からの光電流は、その電荷量に対応した対数値電圧信号に変換される。さらに、LGトランジスタ411、414、及び増幅トランジスタ412、413は、それぞれ例えばNMOSトランジスタによって構成され得る。
【0056】
図7は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、減算器及び量子化器の概略構成例を示す回路図である。
図7に示すように、減算器430は、キャパシタ431及び433と、インバータ432と、スイッチ434とを含む。さらに、量子化器440は、コンパレータ441を含む。
【0057】
キャパシタ431の一端は、バッファ420の出力端子に接続されており、他端は、インバータ432の入力端子に接続される。キャパシタ433は、インバータ432に並列に接続される。スイッチ434は、行駆動信号に従って、キャパシタ433の両端を接続する経路を開閉する。
【0058】
インバータ432は、キャパシタ431を介して入力された電圧信号を反転させる。インバータ432は、反転した信号を、コンパレータ441の非反転入力端子(+)に出力する。
【0059】
スイッチ434がオンになると、電圧信号Vinitが、キャパシタ431のバッファ420側に入力される。さらに、その反対側は、仮想接地端子となる。この仮想接地端子の電位を便宜上、ゼロとする。このとき、キャパシタ431の容量をC1とすると、キャパシタ431に蓄積される電位Qinitは、次式(1)で表される。一方、キャパシタ433の両端は短絡され、その蓄積電荷はゼロとなる。
【0060】
Qinit=C1×Vinit(1)
【0061】
次に、スイッチ434がオフになり、バッファ420側のキャパシタ431の電圧が変動してVafterに到達した場合を考えると、キャパシタ431に蓄積される電荷Qafterは、次式(2)で表される。
【0062】
Qafter=C1×Vafter(2)
【0063】
一方、出力電圧をVoutとした場合、キャパシタ433に蓄積される電荷Q2は、次式(3)で表される。
【0064】
Q2=-C2×Vout(3)
【0065】
このとき、キャパシタ431及び433の総電荷量は変動しないので、次式(4)が成立する。
【0066】
Qinit=Qafter+Q2(4)
【0067】
式(1)~式(3)を式(4)に代入すると、次式(5)が得られる。
【0068】
Vout=-(C1/C2)×(Vafter-Vinit)(5)
【0069】
式(5)は電圧信号の減算動作を表しており、減算結果の利得はC1/C2となる。典型的には、この利得を最大にする(あるいは向上させる)ことが所望されるので、C1が大きく、C2が小さくなるように設計することが好ましい。一方、C2が過度に小さくなると、kTCノイズが増大し、ノイズ特性の悪化が懸念される。したがって、C2の容量の低減は、ノイズを許容できる範囲に限定される。さらに、減算器430を含むアドレスイベント検出ユニット400は、単位画素310ごとに実装されるので、容量C1、C2には面積の制約がある。容量C1、C2の値は、その制約を考慮して決定される。
【0070】
コンパレータ441は、減算器430から送信される電圧信号と、反転入力端子(-)に印加される所定の閾値電圧Vthとを比較する。コンパレータ441は、比較結果を示す信号を、検出信号として送信ユニット450に出力する。
【0071】
さらに、電流-電圧変換ユニット410による変換利得をCGlogとし、バッファ420の利得を「1」とすると、アドレスイベント検出ユニット400の全体の利得Aは、次式(6)で表される。
【0072】
【0073】
式(6)において、iphoto_nは、n番目の単位画素310の光電流を表し、その単位は、例えば、アンペア(A)である。Nは、画素ブロック内の単位画素310の数を表し、本実施形態では「1」である。
【0074】
図8は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、列ADCの概略構成例を示すブロック図である。列ADC220は、単位画素310の列ごとに設けられた複数のADC230を含む。
【0075】
ADC230のそれぞれは、垂直信号線VSLに出現するアナログ画素信号をデジタル信号に変換する。例えば、画素信号は、ビット長が検出信号のビット長よりも長いデジタル信号に変換される。例えば、検出信号を2ビットとすると、画素信号は、3ビット以上(16ビットなど)のデジタル信号に変換される。ADC230は、生成されたデジタル信号を、信号処理ユニット212に供給する。
【0076】
次に、少なくとも本開示の実施形態による、固体撮像デバイス200の動作について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0077】
最初に、固体撮像デバイス200の動作の一例を、タイミングチャートを用いて説明する。
図9は、第1の実施形態による固体撮像デバイスの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0078】
図9に示すように、タイミングT0において、制御ユニット130によってアドレスイベント検出開始命令が与えられると、駆動回路211は、画素アレイユニット300のすべての受光ユニット330の第2の送信トランジスタ332のゲートに印加される制御信号TG2をハイレベルに立ち上げる。これにより、すべての受光ユニット330内の複数の第2の送信トランジスタ332がオン状態となり、受光ユニット330のそれぞれの光電変換素子333に生成された電荷に基づく光電流が、各受光ユニット330から複数のアドレスイベント検出ユニット400のそれぞれに供給される。
【0079】
さらに、制御信号OFGがハイレベルである期間は、受光ユニット330のそれぞれの第1の送信トランジスタ331のゲートに印加される送信信号TG1のすべてがローレベルに維持される。したがって、この期間は、すべての受光ユニット330における複数の送信トランジスタ331がオフ状態になる。
【0080】
次に、任意の単位画素310のアドレスイベント検出ユニット400が、制御信号TG2がハイレベルである期間に、アドレスイベントの発火を検出する場合を想定する。この場合、アドレスイベントの発火を検出したアドレスイベント検出ユニット400は、アービタ213に要求を送信する。これに対して、アービタ213は、要求をアービトレーションして、要求を発行したアドレスイベント検出ユニット400に、要求に対する応答を返す。
【0081】
応答を受信したアドレスイベント検出ユニット400は、駆動回路211及び信号処理ユニット212に入力される検出信号を、例えば、タイミングT1からタイミングT2の期間において、ハイレベルに立ち上げる。さらに、本説明では、検出信号が1ビットの信号であることを想定している。
【0082】
タイミングT1でアドレスイベント検出ユニット400からハイレベルの検出信号が入力された駆動回路211は、次のタイミングT2ですべての制御信号OFGをローレベルに下げる。これにより、画素アレイユニット300のすべての受光ユニット330から、アドレスイベント検出ユニット400への光電流の供給が停止される。
【0083】
さらに、タイミングT2において、駆動回路211は、アドレスイベントの発火が検出された単位画素310(以下、「読み出し対象単位画素」と称する)の画素撮像信号生成ユニット320の選択トランジスタ323のゲートに印加される選択信号SELをハイレベルに立ち上げ、さらに同一画素撮像信号生成ユニット320のリセットトランジスタ321のゲートに印加されるリセット信号RSTを、一定パルス期間ハイレベルに立ち上げることによって、画素撮像信号生成ユニット320のフローティングディフュージョン層324に蓄積された電荷を放電(初期化)する。このようにして、フローティングディフュージョン層324が初期化された状態で垂直信号線VSLに出現する電圧が、列ADC220の垂直信号線VSLに接続されたADC230によって、リセットレベル画素信号(以下、単に「リセットレベル」と称する)として読み出され、デジタル信号に変換される。
【0084】
次に、リセットレベルの読み出し後のタイミングT3において、駆動回路211は、読み出し対象単位画素310の受光ユニット330の第1の送信トランジスタ331のゲートに、一定パルス期間の送信信号TGを印加する。これにより、受光ユニット330の光電変換素子333に生成された電荷が、画素撮像信号生成ユニット320のフローティングディフュージョン層324に送信され、フローティングディフュージョン層324に蓄積された電荷に対応した電圧が、垂直信号線VSLに出現する。このようにして、垂直信号線VSLに出現した電圧は、列ADC220で垂直信号線VSLに接続されたADC230によって、受光ユニット330の信号レベルの画素信号(以下、単に「信号レベル」と称する)として読み出され、デジタル値に変換される。
【0085】
信号処理ユニット212は、リセットレベルと上述のようにして読み出された信号レベルとの差異を、光電変換素子333の受光量に対応したネット画素信号として得られるCDS処理を実行する。
【0086】
次に、タイミングT4において、駆動回路211は、読み出し対象単位画素310の画素撮像信号生成読み出し回路320の選択トランジスタ323のゲートに印加される選択信号SELを、ローレベルに低下させ、画素アレイユニット300のすべての受光ユニット330の第2の送信トランジスタ332のゲートに印加される制御信号TG2を、ハイレベルに立ち上げる。これにより、画素アレイユニット300のすべての受光ユニット330のアドレスイベントの発火検出が再開される。
【0087】
次に、固体撮像デバイス200の動作の一例を、フローチャートを用いて説明する。
図10は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、固体撮像デバイスの動作の一例を示すフローチャートである。例えば、本動作は、アドレスイベントを検出するための所定のアプリケーションが実行されたときに開始される。
【0088】
図10に示すように、本動作では、最初に、画素アレイユニット300の単位画素310のそれぞれが、アドレスイベントの発火の有無を検出する(ステップS901)。さらに、駆動回路211は、いずれか1つの単位画素310でアドレスイベントの発火が検出されたか否かを判断する(ステップS902)。
【0089】
アドレスイベントの発火が検出されない場合(ステップS902でNO)、本動作はステップS904に進む。一方、アドレスイベントの発火が検出された場合(ステップS902でYES)、駆動回路211は、アドレスイベントの発火が検出された単位画素310に対して、画素信号の読み出しを実行し(ステップS903)、ステップS904へ進む。
【0090】
ステップS904では、本動作を終了するか否かを判断する。本動作を終了しない場合(ステップS904でNO)、本動作はステップS901に戻り、次の動作を繰り返す。一方、本動作を終了する場合(ステップS904でYES)は、本操作を終了する。
【0091】
図11は、本開示の第1の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図12は、第1の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図11は、第1の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。この例では、単位画素310の光電変換素子333は、六角形の形状を有する。本開示のさらなる実施形態によると、光電変換素子331は、長方形、楕円形、又は円形を含むがこれらに限定されない、任意の他の形状を有することができる。また、この例では、光電変換素子333の中心線Cの第1の側には、画素撮像信号生成ユニット又は読み出し回路320に関連する回路素子が位置し、一方、光電変換素子333の中心線Cの第2の側には、アドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400に関連する回路素子が位置する。単位画素310の構成要素は、画素領域311内に配置されており、この例では長方形の形状を有するが他の形状も可能であり、アイソレーション構造1208によって縁取られている。
【0092】
この第2の例示的実施形態では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1及び第2のログトランジスタ(log transistor)411、414と、第1及び第2の増幅トランジスタ412、413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0093】
また、本実施形態例では、第1の送信トランジスタ331は、六角形の光電変換素子333の一辺の一部に沿って形成される。さらに、第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の中心線Cの第1の側に形成される。第2の送信トランジスタ332は、六角形の光電変換素子333の別の辺の一部に沿って形成される。さらに、第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の中心線Cの第2の側に形成される。
図11に図示されるように、第1の送信トランジスタ331が沿って形成される光電変換素子333の辺又はファセットは、第2の送信トランジスタ332が沿って形成される辺又はファセットから、光電変換素子の別の辺又はファセットによって分離され得る。しかし、六角形の光電変換素子333では、送信トランジスタ331及び332の最小間隔は、0~3ファセットの間の任意の数のファセットであることを理解されたい。本開示のさらに他の実施形態によると、第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、光電変換素子333の同じ辺又はファセットに形成することができる。
【0094】
図12は、それぞれが第1の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図12に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0095】
図13は、本開示の第2の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図14は、第2の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図13は、第2の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。この例では、単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有する。しかし、本開示のさらなる実施形態によると、光電変換素子331は、六角形、楕円形、又は円形を含むがこれらに限定されない、任意の他の形状を有することができる。また、この例では、アドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の一方の側(
図13では上側)付近に位置し、一方、画素撮像信号生成ユニット又は読み出し回路320に関連する回路素子の一部が、光電変換素子333の上側付近に位置し、画素撮像信号生成読み出し回路320の他の構成要素が、光電変換素子333の反対側(
図13では下側)付近に位置する。本明細書で使用されるとき、「上」や「下」などの用語は、図内の構成要素の相対的位置を説明するために用いられ、それらの構成要素の絶対的位置を意味するものではない。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に配置される。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0096】
この第2の実施形態例では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1及び第2のログトランジスタ411、414と、第1及び第2の増幅トランジスタ412、413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0097】
第2の例示的実施形態における第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の第1の側面(
図13では上側)と第2の側面(
図13では右側)とで形成される光電変換素子333の第1の部分又はコーナに対応する位置に形成される。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の第1の側面と第3の側面(
図13では左側)とで形成される光電変換素子333の第2の部分又はコーナに対応する位置に形成される。
【0098】
図14は、それぞれが第2の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図14に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0099】
図15は、本開示の第3の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図16は、第3の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図15は、第3の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。第2の実施形態のように、この第3の実施形態の単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有するが、他の形状も可能である。しかし、この第3の構成例では、単位画素310の構成要素は、第2の実施形態の配置とは異なる配置である。この代替構成により、単位画素310の様々な回路素子を相互接続するために必要な配線を簡素化することができる。特に、この第3の実施形態例では、画素撮像信号生成ユニット又は読み出し回路320に関連する回路素子は、光電変換素子333の一辺(
図15では上側)付近に位置する。アドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400の第1のログトランジスタ411は、画素撮像信号生成読み出し回路320の回路素子と同じ側の光電変換に位置する。アドレスイベント検出読み出し回路400の増幅トランジスタ412、413は、光電変換素子333の反対側(
図15では下側)の別の位置付近に位置する。アドレスイベント検出読み出し回路400の第2のログトランジスタ414は、光電変換素子333の上側端部と下側端部との間の光電変換素子333の一辺(
図15では左側)に隣接して位置する。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に配置される。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0100】
この第3の実施形態では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1及び第2のログトランジスタ411、414と、第1及び第2の増幅トランジスタ412、413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0101】
第3の実施形態例では、第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の第1の側面(
図15では上側)と第2の側面(
図15では右側)とで形成される光電変換素子333の第1の部分又はコーナに対応する位置に形成される。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の第1の側面と第3の側面(
図15では左側)とで形成される光電変換素子333の第2の部分又はコーナに対応する位置に形成される。
【0102】
図16は、それぞれが第3の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図16に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0103】
図17は、本開示の第4の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図18は、第4の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図17は、第4の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。第2及び第3の実施形態のように、この第4の実施形態の単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有するが、他の形状も可能である。しかし、この第4の構成例のアドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400の回路素子は、2つのトランジスタを含んでいるが、第1、第2、及び第3の実施形態例は、4つのトランジスタを含むアドレスイベント検出読み出し回路400を特徴とする。この2トランジスタ構成により、4トランジスタのアドレスイベント検出読み出し回路400を組み込んだ実施形態と比較して、光電変換素子333が所与の画素領域311内でより大きな面積を有することができる。しかし、2トランジスタ配置の利得は、4トランジスタ構成よりも小さい可能性がある。この第4の実施形態例では、アドレスイベント検出読み出し回路400に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の一方の側(
図17では上側)付近に位置し、一方、画素撮像信号生成読み出し回路320に関連する回路素子の一部が、光電変換素子333の上側付近に位置し、画素撮像信号生成読み出し回路320の他の構成要素が、光電変換素子333の反対側(
図17では下側)付近に位置する。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に位置する。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0104】
この第4の実施形態では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1のログトランジスタ411と、第1の増幅トランジスタ413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0105】
この第4の実施形態例では、第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の第1の側面(
図17では上側)と第2の側面(
図17では右側)とで形成される光電変換素子333の第1の部分又はコーナに対応する位置に形成される。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の第1の側面と第3の側面(
図17では左側)とで形成される光電変換素子333の第2の部分又はコーナに対応する位置に形成される。
【0106】
図18は、それぞれが第4の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図18に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0107】
図19は、本開示の第5の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図20は、第5の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図19は、第5の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。第2、第3及び第4の実施形態のように、この第5の実施形態の単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有するが、他の形状も可能である。第4の例と同様に、この第5の構成例のアドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400の回路素子は、2つのトランジスタを含む。この第5の実施形態例では、画素撮像信号生成読み出し回路320に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の上側付近に位置し、アドレスイベント検出読み出し回路400に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の反対側つまり下側付近に位置する。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に位置する。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0108】
この第5の実施形態では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1のログトランジスタ411と、第1の増幅トランジスタ413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0109】
この第5の実施形態例では、第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の第1の側面(
図19では上側)と第2の側面(
図19では右側)とで形成される光電変換素子333の第1の部分又はコーナ部分に対応する位置に形成される。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の第3の側面(
図19では左側)と第4の側面(
図19では下側)とで形成される光電変換素子333の第2の部分又はコーナに対応する位置に形成される。
【0110】
図20は、それぞれが第5の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図20に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。また、図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0111】
図21は、本開示の第6の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図22は、第6の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図21は、第6の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。第2、第3、第4及び第5の実施形態のように、この第6の実施形態の単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有するが、他の形状も可能である。第4及び第5の例と同様に、この第6の構成例のアドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400の回路素子は、2つのトランジスタを含む。この第6の実施形態例では、アドレスイベント検出読み出し回路400に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の左側付近に位置し、一方、画素撮像信号生成読み出し回路320に関連する回路素子が、光電変換素子333の右側及び下側付近に位置する。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に位置する。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0112】
この第6の実施形態では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1のログトランジスタ411と、第1の増幅トランジスタ413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0113】
この第6の実施形態例では、第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の一辺(
図21では右側)の一部に沿って配置される。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の別の辺(
図21では左側)の一部に沿って配置される。
【0114】
図22は、それぞれが第6の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図22に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。また、図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0115】
図23は、本開示の第7の例示的実施形態による画素構成の平面図であり、
図24は、第7の例示的実施形態のように構成された画素グループを備える画素アレイの一部の平面図である。より詳細には、
図23は、第2の例示的実施形態による単位画素310の概略構成例を示す上面図である。この例では、単位画素310の光電変換素子333は、概ね長方形の形状を有する。しかし、本開示のさらなる実施形態によると、光電変換素子331は、六角形、楕円形、又は円形を含むがこれらに限定されない、任意の他の形状を有することができる。また、この例では、アドレスイベント検出ユニット又は読み出し回路400に関連する回路素子のすべてが、光電変換素子333の一方の側(
図13では上側)付近に位置し、一方、画素撮像信号生成ユニット又は読み出し回路320に関連する回路素子の一部が、光電変換素子333の上側付近に位置し、画素撮像信号生成読み出し回路320の他の構成要素が、光電変換素子333の反対側(
図13では下側)付近に位置する。単位画素310の構成要素は、アイソレーション構造1208で縁取られた画素領域311内に配置される。この例では、画素領域311は、長方形の形状を有しているが、他の形状も可能である。
【0116】
この第7の実施形態例では、画素領域311内に位置する単位画素310の画素撮像信号読み出し回路320の回路素子は、リセットトランジスタ321、フローティングディフュージョン324、増幅トランジスタ322、及び選択トランジスタ323を含む。画素領域311内に位置する単位画素310のアドレスイベント検出読み出し回路400の回路素子は、第1及び第2のログトランジスタ411、414と、第1及び第2の増幅トランジスタ412、413とを含む。画素撮像信号読み出し回路320は、第1の送信トランジスタ331によって光電変換素子333に接続され、一方、アドレスイベント検出読み出し回路320は、第2の送信トランジスタ332によって光電変換素子333に接続されている。第1及び第2の送信トランジスタ331、332は、画素領域311内に位置する。
【0117】
第7の例示的実施形態の第1の送信トランジスタ331は、光電変換素子333の第1の側面(
図23では上側)と第2の側面(
図23では右側)とで形成される光電変換素子333の第1の部分又はコーナ部分に対応する位置に形成される。さらに、第1の送信トランジスタ331は、P型MOSトランジスタである。第2の送信トランジスタ332は、光電変換素子333の第1の側面と第3の側面(
図13では左側)とで形成される光電変換素子333の第2の部分又はコーナに対応する位置に形成される。第2の送信トランジスタ332は、N型MOSトランジスタである。第1の送信トランジスタ331の転送ゲートは、第2の送信トランジスタ332の転送ゲートと、接合信号線2301によって電気的に接続することができる。この構成により、第1及び第2の転送トランジスタ331、332を単一の信号線で動作させることができる。より詳細には、接合信号線2301によって提供される第1の信号に応答して、第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332のうちの第1の送信トランジスタをオン状態にし、一方、第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332のうちの第2の送信トランジスタをオフ状態にすることができる。逆に、接合信号線2301によって提供される第2の信号に応答して、第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332のうちの第1の送信トランジスタをオフ状態にし、一方、第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332のうちの第2の送信トランジスタをオン状態にすることができる。この第7の例示的実施形態のように構成された単位画素310は、イベント検出モードと撮像モードとの切り替え速度の向上を提供することができる。本開示のさらなる実施形態によると、第1の送信トランジスタ331及び第2の送信トランジスタ332に別個の信号線を設けることにより、撮像モード及びDVSモードを同時に有効にすることができる。本開示を考察後、代替構成では、第1の送信トランジスタ331は、N型MOSトランジスタであってもよく、第2の送信トランジスタ332は、P型MOSトランジスタであってもよいことが当業者によって理解されるであろう。さらに、本開示から理解できるように、この第7の例示的実施形態における単位画素310の一般的なレイアウトは、第1の転送トランジスタ331及び第2の転送トランジスタ332の構成が異なることを除いて、第2の例示的実施形態と同様である。しかし、本開示のさらなる実施形態によると、例示的実施形態1及び3~6を含む他の実施形態は、1つのN型転送トランジスタ331又は332及び1つのP型転送トランジスタ331又は332を特徴とし、撮像モード及びDVSモードの同時動作の利点又はモード間の切り替え速度の向上を達成することができる。本開示を考察後、転送トランジスタ331又は332が特殊なタイプである場合、他の関連する読み出しトランジスタのタイプは、そのタイプに一致し、したがって、転送トランジスタ331又は332によって読み出されたキャリアに対処するように変更されるべきであることが当業者によって理解されるであろう。
【0118】
図24は、それぞれが第7の例示的実施形態に従って構成された単位画素310のグループ314を備える画素アレイユニット300の一部の平面図である。より詳細には、画素グループ314の単位画素310は、第1の単位画素310.1、第2の単位画素310.2、第3の単位画素310.3、及び第4の単位画素310.4の2x2サブアレイを含む。本開示の少なくともいくつかの実施形態によると、単位画素310のグループ314は、異なる波長成分を受信する単位画素310の集合体を含むパターン310Aで構成された画素グループ314として構成され得る。
図24に図示するように、各個々の単位画素310に含まれるように示された回路素子は共有されない。その代わりに、単位画素領域311のそれぞれの周囲に設けられたアイソレーション構造1208が、単位画素310を互いに分離する。図示のように、単位画素310がグループ314に集約されると、近隣の単位画素310間のアイソレーション構造を共有することができ、それによって、第1の単位画素(例えば単位画素310.1)の一辺を画定するアイソレーション構造1208が、隣接する単位画素(例えば単位画素310.2)の一辺も画定することができる。本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208は、全厚誘電性トレンチアイソレーション又は単に全厚トレンチアイソレーション(RFTI)構造の形態であり得る。
【0119】
撮像モードでは、画素アレイユニット300内の1つ又は複数の単位画素310の光電変換ユニット333に関連する第1の転送トランジスタ331は、光電変換ユニット333を画素撮像信号生成読み出し回路320のフローティングディフュージョン324に動作可能に接続するために、導電状態(例えば、オン状態)にされる。イベント検出又はダイナミックビジョンセンサ(DVS)モードでは、1つ又は複数の単位画素の光電変換ユニット333に関連する第2の転送トランジスタ332は、選択された光電変換ユニット333をアドレスイベント検出読み出し回路400に動作可能に接続するために、導電状態にされる。
【0120】
少なくともいくつかの動作モードでは、選択された単位画素310の第2の転送トランジスタ332は、撮像動作中は閉じたまま(例えばオフ状態)であり、第1の転送トランジスタ331は、イベント検出モード中は閉じたままである。本開示を考察後、第1の転送トランジスタ331の開放、第2の転送トランジスタ332の閉鎖、及び画素画像信号生成回路320の動作は、画素グループ310に対するアドレスイベント検出読み出し回路400によるイベントの検出によってトリガされ得ることが当業者によってさらに理解されるであろう。
【0121】
少なくともいくつかの他の動作モード、特に、第1の転送トランジスタ331がP型MOSトランジスタとして構成され、第2の転送トランジスタ332がN型MOSトランジスタとして構成されている場合、正孔キャリアを画素撮像信号生成読み出し回路320に提供することができ、電子を同時にアドレスイベント検出読み出し回路400に提供することができる。あるいは、第1の転送トランジスタ331がN型MOSトランジスタとして構成され、第2の転送トランジスタ332がP型MOSトランジスタとして構成されている場合、電子を画素撮像信号生成読み出し回路320に提供することができ、正孔キャリアを同時にアドレスイベント検出読み出し回路400に提供することができる。さらに他の動作モードによると、特に、第1の転送トランジスタ331及び第2の転送トランジスタ332を電気的に接続する信号線2301を設け、第1の転送トランジスタ331及び第2の転送トランジスタ332の第1の転送トランジスタがP型MOSトランジスタとして構成され、第1の転送トランジスタ331及び第2の転送トランジスタ332の第2の転送トランジスタがN型MOSトランジスタとして構成されている場合、第1の転送トランジスタ331及び第2の転送トランジスタ332に同時に供給される単一の切り替え信号を用いて、撮像モード及びDVSモードの切り替えを高速に行うことができる。
【0122】
したがって、本開示の実施形態は、イベント検出及び撮像動作の両方を行うことができる撮像デバイス100の単位画素310を提供する。さらに、任意の1つの単位画素310の回路素子が、任意の他の単位画素310の回路素子から分離されているため、単位画素310間のそのようなアイソレーションが提供されていない構成と比較して、画質の向上を実現することができる。
【0123】
本開示の実施形態によると、アイソレーション構造1208はRFTI構造の形態であり得る。RFTI構造1208は、単位画素314のフォトダイオード333が形成された受光チップ201の基板402の厚さ全体にわたって延在する。すなわち、本開示の少なくともいくつかの実施形態によれば、RFTI構造1208は、受光チップ201の基板402の少なくとも第1の光入射面403から、受光チップ201の基板402の第2の非光入射面404まで延在する。したがって、隣接する単位画素間の優れたアイソレーションを達成することができる。
【0124】
図25は、本開示による技術が適用可能な移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略構成例を示すブロック図である。
【0125】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して互いに接続される複数の電子制御ユニットを含む。
図25に示す例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010と、車体系制御ユニット12020と、車外情報検出ユニット12030と、車内情報検出ユニット12040と、統合制御ユニット12050とを含む。さらに、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051と、音声画像出力ユニット12052と、車載ネットワークI/F(インタフェース)12053とが図面に示されている。
【0126】
駆動系制御ユニット12010は、様々なプログラムに従って、車両の駆動系に関するデバイスの動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、車両の駆動力を発生する内燃機関や駆動モータなどの駆動力発生デバイス、駆動力を車輪に伝達する駆動力伝達機構、車両の操舵角を調整する操舵機構、車両の制動力を発生する制動デバイスなどの制御デバイスとして機能する。
【0127】
車体系制御ユニット12020は、車体に実装される様々なデバイスの動作を、様々なプログラムに従って制御する。例えば、車体系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウデバイス、及びヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカーやフォグランプなどの様々なランプの制御デバイスとして機能する。この場合、キーの代わりとなるポータブルデバイスから送信される電波や、様々なスイッチの信号を、車体系制御ユニット12020に入力することができる。車体系制御ユニット12020は、電波や信号の入力を受信して、車両のドアロックデバイス、パワーウィンドウデバイス、ランプなどを制御する。
【0128】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000が実装されている車両の外部に関する情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像ユニット12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像ユニット12031に車外の画像を収集させ、収集された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車両、障害物、標識、路上の文字などの物体検出処理、又は距離検出処理を行うことができる。
【0129】
撮像ユニット12031は、光を受光し、受光量に対応した電気信号を出力する光学センサである。撮像ユニット12031は、画像又は距離測定情報として、電気信号を出力することができる。さらに、撮像ユニット12031が受光する光は、可視光であっても、又は赤外線などの非可視光であってもよい。さらに、撮像ユニット12031は、本開示の実施形態によって、単位画素310が構成され、画素アレイユニット300内の他の単位画素310からアイソレートされた画素アレイユニット300を組み込んだ固体撮像デバイス200を含むことができる。
【0130】
車内情報検出ユニット12040は、車内情報を検出する。例えば、車内情報検出ユニット12040には、運転者の状態を検出する運転者状態検出ユニット12041が接続される。例えば、運転者状態検出ユニット12041は、運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出ユニット12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度や集中度を計算したり、運転者が居眠りをしているか否かを判断したりすることができる。
【0131】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040によって取得された車両内外の情報に基づいて、駆動力発生デバイス、操舵機構、又は制動デバイスの制御目標値を計算し、駆動系制御ユニット12010に制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、協調制御を行い、車両の衝突回避や衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両衝突警報、車線逸脱警報などを含む先進運転支援システム(ADAS)の機能を実現することができる。
【0132】
さらに、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040によって取得された車両周辺の情報に基づいて、駆動力発生デバイス、操舵機構、制動デバイスなどを制御することによって、運転者の操作を伴わずに、車両が自律的に走行する自動運転などの協調制御を行うことができる。
【0133】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030によって取得された車外情報に基づいて、車体系制御ユニット12020に制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030によって検出された先行車両や対向車両の位置に応じてヘッドランプを制御することによって、ハイビームをロービームへ切り替えるなどのまぶしさ防止を実現するための協調制御を行うことができる。
【0134】
音声画像出力ユニット12052は、音声及び画像間の少なくとも1つの出力信号を、車内の乗員や車外に情報を視覚的又は聴覚的に通知可能な出力デバイスに送信する。
図30の例では、出力デバイスとして、音声スピーカ12061、ディスプレイユニット12062、及びインストルメントパネル12063が例示される。例えば、ディスプレイユニット12062は、車載ディスプレイやヘッドアップディスプレイの少なくとも1つを含み得る。
【0135】
図26は、撮像ユニット12031の設置位置の一例を示す図である。
【0136】
図26では、撮像ユニット12031として、撮像ユニット12101、12102、12103、12104及び12105が設けられている。
【0137】
例えば、撮像ユニット12101、12102、12103、12104及び12105は、車両12100の、フロントノーズ、サイドミラー、リヤバンパ、バックドア、車内のフロントガラスの上側などの位置に設置される。フロントノーズに設けられた撮像ユニット12101と、車内のフロントガラスの上側に設けられた撮像ユニット12105とは、主に車両12100の前方側の画像を取得する。サイドミラーに設けられた撮像ユニット12102及び12103は、主に車両12100の側面の画像を取得する。リヤバンパ又はバックドアに設けられた撮像ユニット12104は、主に車両12100の後方側の画像を取得する。車内のフロントガラスの上側に設けられた撮像ユニット12105は、主に先行車両、歩行者、障害物、信号機、交通標識、車線などを検出するために使用できる。
【0138】
さらに、
図26は、撮像ユニット12101~12104の撮影範囲の一例を示す。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像ユニット12101の撮像範囲を表し、撮像範囲12112及び12113は、サイドミラーに設けられた撮像ユニット12102及び12103の撮像範囲をそれぞれ表し、撮像範囲12114は、リヤバンパ又はバックドアに設けられた撮像ユニット12104の撮像範囲を表す。例えば、撮像ユニット12101~12104によって収集された複数の画像データを互いに重ね合わせると、車両12100を上側から見たときの俯瞰画像を得ることができる。
【0139】
撮像ユニット12101~12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有し得る。例えば、撮像ユニット12101~12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子を含むステレオカメラであってもよく、位相差検出用の画素を含む撮像素子であってもよい。
【0140】
例えば、撮像ユニット12101~12104から得た距離情報に基づいて、撮像範囲12111~12114のそれぞれの3次元物体までの距離と時間経過に伴う距離の変動(車両12100に対する相対速度)とを得ることにより、マイクロコンピュータ12051は、特に、車両12100の進行経路上にあり、所定速度(例えば、0km/h以上)で走行する車両12100とほぼ同一方向に走行する最も近接した3次元物体を、先行車両として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車両の手前に予め確保すべき車間距離を設定して、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)、自動加速制御(追従加速制御も含む)などを行うことができる。上述のように、運転者の操作を伴わずに、車両が自律的に走行する自動運転のための協調制御などを行うことができる。
【0141】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像ユニット12101~12104から得た距離情報に基づいて、複数の3次元物体データを、二輪車両のデータ、一般的な車両のデータ、大型車両のデータ、歩行者のデータ、及び電柱などの他の3次元物体のデータに分類することにより、3次元物体に関する3次元物体データを抽出することができ、3次元物体データを自動障害物回避に使用することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周囲にある障害物を、車両12100の運転者が視覚的に認識できる障害物と、運転者が視覚的に認識することが困難な障害物とに区別する。さらに、マイクロコンピュータ12051は、障害物のそれぞれとの衝突の危険度を示す衝突リスクを判断する。衝突リスクが設定値以上であり、衝突が発生するおそれがある状況では、マイクロコンピュータ12051は、音声スピーカ12061やディスプレイユニット12062を介して運転者に警報を出力したり、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行ったりすることによって、衝突回避のために運転を支援することができる。
【0142】
撮像ユニット12101~12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像ユニット12101~12104によって収集された画像に歩行者が存在するか否かを判断することで、歩行者を認識することができる。例えば、歩行者認識は、赤外線カメラとしての撮像ユニット12101~12104によって収集された画像中の特定点を抽出する手順と、物体の輪郭線を示す一連の特定点に対してパターンマッチング処理を行い、物体が歩行者であるか否かを判断する手順とによって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像ユニット12101~12104によって収集された画像上に歩行者が存在すると判断して、歩行者を認識すると、音声画像出力ユニット12052は、ディスプレイユニット12062を制御して、認識された歩行者を強調するために四角形輪郭線を重ねて表示する。さらに、音声画像出力ユニット12052は、ディスプレイユニット12062を制御して、歩行者を示すアイコンなどを所望の位置に表示させてもよい。
【0143】
以上、本開示による技術が適用可能な車両制御システムの一例について説明してきた。本開示による技術は、上述した構成のうち、撮像ユニット12031、運転者状態検出ユニット12041などに適用可能である。
【0144】
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、本開示の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。さらに、他の実施形態や変更例における構成要素を、適宜組み合わせることができる。
【0145】
さらに、本明細書に記載されている実施形態の効果は例示的なものに過ぎず、他の効果が限定されることなく制限なく存在する可能性がある。
【0146】
さらに、本技術では以下の構成を採用することができる。
(1)
画素アレイユニットであって、
複数の画素と、
アイソレーション構造と、を含み、複数の画素の各画素が、アイソレーション構造によって複数の画素の1つ又は複数の近隣の画素から分離されており、各画素が、
光電変換領域と、
第1の転送トランジスタと、
第2の転送トランジスタと、
第1の転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に結合された第1の読み出し回路と、
第2の転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に結合された第2の読み出し回路とを含む、画素アレイユニット
を備える撮像デバイス。
(2)
第2の読み出し回路がアドレスイベント検出読み出し回路である、(1)に記載の撮像デバイス。
(3)
第1の読み出し回路が撮像信号生成読み出し回路である、(1)又は(2)に記載の撮像デバイス。
(4)
画素アレイユニットが、複数の画素グループを含み、複数の画素グループの第1の画素グループを有する各画素が、第1の画素グループの他の画素からアイソレートされた、(1)~(3)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(5)
アイソレーション構造が誘電性構造である、(1)~(4)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(6)
誘電性構造が第1の画素グループ内の画素のそれぞれを取り囲む、(5)に記載の撮像デバイス。
(7)
誘電性構造が全厚誘電体トレンチである、(6)に記載の撮像デバイス。
(8)
第1の読み出し回路が、フローティングディフュージョン層と、増幅トランジスタと、選択トランジスタと、リセットトランジスタとを含む、(1)~(7)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(9)
第2の読み出し回路が、電流電圧変換ユニットと、減算器とを含む、(1)~(8)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(10)
第2の読み出し回路が、第1のログトランジスタと第1の増幅トランジスタとを含む、(1)~(8)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(11)
第2の読み出し回路が、第1のログトランジスタと、第2のログトランジスタと、第1の増幅トランジスタと、第2の増幅トランジスタとを含む、(1)~(8)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(12)
第1の転送トランジスタが、N型転送ゲート及びP型転送ゲートのうちの第1の転送ゲートを含み、第2の転送トランジスタが、N型転送ゲート及びP型転送ゲートのうちの第2の転送ゲートを含む、(1)~(11)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(13)
複数の画素に含まれる少なくとも第1の画素の光電変換領域が、第1及び第2の読み出し回路に同時に選択的に接続された、(12)に記載の撮像デバイス。
(14)
第1の転送ゲートを第2の転送ゲートに電気的に接続する、接合信号線をさらに備える
(12)に記載の撮像デバイス。
(15)
各画素に対して、第1の読み出し回路のすべての構成要素が、画素の前半に形成され、第2の読み出し回路のすべての構成要素が、画素の後半に形成された、(1)~(14)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(16)
光電変換領域が平面図において複数の辺を含み、第1の転送ゲートが光電変換ユニットの第1の辺に沿って位置し、第2の転送ゲートが光電変換領域の第2の辺に沿って位置する、(1)~(15)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(17)
各画素グループが、第1の単位画素と、第2の単位画素と、第3の単位画素と、第4の単位画素とをさらに含み、第1、第2、第3、及び第4の単位画素が、2x2配列で配設された、(4)に記載の撮像デバイス。
(18)
アイソレーション構造が単位画素のそれぞれの画素領域を画定し、各単位画素の回路素子が、画素アレイユニットにおける任意の近隣の単位画素の回路素子からアイソレーション構造によって分離された、(1)~(17)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(19)
第1のアイソレーション構造が、完全に全厚トレンチアイソレーション構造である、(1)~(18)のいずれかに記載の撮像デバイス。
(20)
撮像レンズと、
固体撮像デバイスあって、
画素アレイユニットであって、
複数の画素と、
アイソレーション構造と、を含み、複数の画素の各画素が、アイソレーション構造によって複数の画素の1つ又は複数の近隣の画素から分離されており、各画素が、
光電変換領域と、
第1の転送トランジスタと、
第2の転送トランジスタと、
第1の転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に結合された第1の読み出し回路と、
第2の転送トランジスタによって光電変換領域に選択的に結合された第2の読み出し回路とを含む、画素アレイユニットと、
固体撮像デバイスの動作を制御する制御ユニットと、を含む固体撮像デバイスと、
を備える電子装置。
【0147】
当業者は、添付特許請求の範囲又はその等価物の範囲内であれば、設計要件やその他の要因に応じて、様々な変更、組み合わせ、サブコンビネーション、改変を見出し得ることを理解すべきである。
【国際調査報告】