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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】除湿システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20221110BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20221110BHJP
   F24F 11/83 20180101ALI20221110BHJP
【FI】
B01D53/26 230
F24F3/14
F24F11/83
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513693
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 SE2020050854
(87)【国際公開番号】W WO2021049998
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】1951038-7
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417908
【氏名又は名称】ムンタース ヨーロッパ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,マグヌス
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC08
3L260AB07
3L260AB12
3L260BA05
3L260CB37
3L260CB63
3L260EA26
3L260FA06
3L260FB23
3L260FB25
3L260FB65
3L260FC32
4D052AA08
4D052CB04
4D052CE00
4D052DA01
4D052DA06
4D052DB01
4D052FA06
4D052GA01
4D052GA04
4D052GB00
4D052GB02
4D052HA01
(57)【要約】
除湿システム(1)は、収着除湿器ユニット(2)と、除湿器ユニット(2)内のデシカント材料を通して処理空気流を導くように構成された処理空気回路(3)と、除湿器ユニット(2)内のデシカント材料を通して再生空気流を導くように構成された再生空気回路(4)と、蒸発器(6)とコンデンサ(7)とを含むヒートポンプ(5)とを含み、このシステムは、処理空気を除湿器ユニット(2)に注入する前に熱交換器(9)内の処理空気を冷却するように構成された、冷却流体(C)を有する中間流体回路(8)であり、前記中間流体回路(8)が、処理空気冷却熱交換器(9)を通し、さらにヒートポンプの蒸発器(6)を通して冷却流体(C)を導くように構成された流体ポンプ(11)及び主導管(8a)を含み、中間流体回路(8)が、所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)に対応する、処理空気冷却熱交換器(9)の上流の中間流体回路(8)の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を得るために、中間流体回路(8)内の冷却流体(C)の流れを制御するように構成された流れ制御システム(10)をさらに含む、中間流体回路(8)をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収着除湿器ユニット(2)と、
前記除湿器ユニット(2)内のデシカント材料を通して処理空気流を導くように構成された処理空気回路(3)と、
前記除湿器ユニット(2)内のデシカント材料を通して再生空気流を導くように構成された再生空気回路(4)と、
蒸発器(6)とコンデンサ(7)とを含むヒートポンプ(5)と
を含む除湿システム(1)であって、
処理空気を前記除湿器ユニット(2)に注入する前に熱交換器(9)内の前記処理空気を冷却するように構成された、冷却流体(C)を有する中間流体回路(8)をさらに含み、前記中間流体回路(8)が、前記処理空気冷却熱交換器(9)を通し、さらに前記ヒートポンプの前記蒸発器(6)を通して前記冷却流体(C)を導くように構成された流体ポンプ(11)及び主導管(8a)を含み、前記中間流体回路(8)が、所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)に対応する、前記処理空気冷却熱交換器(9)の上流の前記中間流体回路(8)の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を得るために、前記中間流体回路(8)内の前記冷却流体(C)の流れを制御するように構成された流れ制御システム(10)をさらに含むことを特徴とする除湿システム(1)。
【請求項2】
前記中間流体回路(8)の前記流れ制御システム(10)が、前記中間流体回路に配置された前記流体ポンプ(11)及び/又は1つ又は複数の流体制御弁(12、13)を制御することによって前記中間流体回路内の前記冷却流体の流れを制御するように構成された制御ユニット(CU)を含む、請求項1に記載の除湿システム。
【請求項3】
前記中間流体回路(8)がバイパス導管(8b)を含み、それにより、前記冷却流体(C)の一部が前記処理空気冷却熱交換器(9)をバイパスすることが可能になる、請求項1又は2に記載の除湿システム。
【請求項4】
前記冷却流体温度依存パラメータが冷却流体温度であり、前記冷却流体の前記所与の設定値(T1set)が、好ましくは、10℃より下の温度、より好ましくは5℃より下の温度、最も好ましくは0.5℃より下の温度に設定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項5】
前記処理空気冷却熱交換器(9)が、前記除湿器ユニット(2)の処理空気入口における前記処理空気を所与の一定の空気入口温度値(T2)まで冷却するように寸法設定され、前記空気入口温度値(T2)が、好ましくは、10℃より下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項6】
前記再生空気回路(4)が、前記除湿器ユニット(2)の上流で前記ヒートポンプ(5)の前記コンデンサ(7)に接続される、請求項1~5のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項7】
前記中間流体回路(8)が、前記除湿器ユニット(2)の下流で前記再生空気を冷却するために、前記ヒートポンプの蒸発器(6)の上流に配置された熱交換器(14)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項8】
前記流れ制御システムは、前記除湿器ユニット(2)の前記再生空気入口(4a)において所与の温度(T3)に達するように、前記処理空気冷却熱交換器(9)内の前記処理空気から、及び前記再生空気熱交換器(14)内の前記再生空気から取り除かれた前記熱が、前記ヒートポンプ(5)の前記コンデンサ(7)内の前記再生空気に移送される必要がある前記熱に実質的に対応するために、前記中間流体回路内の前記冷却液の流れを制御するように構成される、請求項7に記載の除湿システム。
【請求項9】
前記再生空気回路(4)が、前記除湿器ユニット(2)の上流に、前記再生空気を任意選択により加熱するように構成された電気ヒータ(15)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の除湿システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の除湿システムを動作させる方法であって、
a)前記処理空気冷却熱交換器(9)の上流の実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を決定する工程と、
b)前記実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)が前記所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)から外れている場合、前記中間流体回路に配置された前記流体ポンプ(11)及び/又は前記1つ又は複数の流体制御弁(12、13)の流量を調節することによって、前記中間流体回路(8)内の前記冷却流体(C)の前記流れを調節する工程と、
c)T1=T1setになるまで工程a)及び工程b)を繰り返す工程と
を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の除湿システムを動作させるためのコンピュータプログラムであって、少なくとも1つのプロセッサで実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項10に記載の前記方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の除湿システムを動作させるための請求項11に記載のコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除湿システムと、除湿システムを動作させる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
収着除湿器(sorption dehumidifier)及び復水除湿器(condensate dehumidifier)などの除湿器は、空気から水分を分離し除去するために使用される。収着除湿器は、一般に、水蒸気を引き寄せて保有するのに有効であるデシカント材料を保持するホイール又はロータの形態の除湿要素を含む。デシカントロータは、2つのセクション、すなわち、処理セクションと再生セクションとに分割することができる。除湿されるべき空気流、すなわち、処理空気は、デシカントロータの処理セクションを通過することになり、ロータ内のデシカント材料は処理空気から水分を抽出し、その結果、処理空気は、乾燥した空気としてロータを出て行くことができる。同時に、デシカント材料は、再生セクションを貫流する別の空気流によって再生され、その間ずっと、デシカントロータは、長手軸のまわりをゆっくり回転することができる。同時に行われる処理空気の除湿とデシカント材料の再生によって、除湿器は連続的に動作することができる。米国特許出願公開第2007056307号は、デシカントホイールを有する除湿器の一例を開示している。
【0003】
再生処理が有効であるためには、ロータ内のデシカント材料を再生するために使用される空気流は、比較的高温である必要があり、一般に、加熱される必要があることになる。冷却により水分を除去するために、除湿器の入口より前に処理空気を冷却することが有利であることがある。冷却中に処理空気流から取り除かれた熱は、除湿システムにヒートポンプを設けることによって、再生空気流に移送することができる。米国特許出願公開第2005/0050906A1号は、これの例を示しており、処理空気は、除湿器の入口より前のヒートポンプの蒸発器によって冷却され、再生空気は、ヒートポンプのコンデンサによって加熱される。
【0004】
経済的理由のために、及び気候面の考慮のために、除湿処理のエネルギー消費量を最小にすること、及び除湿ユニットの安定した動作を得ることに継続的な関心がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安定性と信頼性に優れている処理空気の除湿を可能にする、エネルギーの効果的な除湿システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除湿システムは、収着除湿器ユニットと、除湿器ユニット内のデシカント材料を通して処理空気流を導くように構成された処理空気回路と、除湿器ユニット内のデシカント材料を通して再生空気流を導くように構成された再生空気回路と、蒸発器とコンデンサとを含むヒートポンプとを含む。このシステムは、処理空気を除湿器ユニットに注入する前に熱交換器内の処理空気を冷却するように構成された、冷却流体(C)を有する中間流体回路をさらに含み、前記中間流体回路が、処理空気冷却熱交換器を通し、さらにヒートポンプの蒸発器を通して冷却流体(C)を導くように構成された流体ポンプ及び主導管を含み、中間流体回路が、所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)に対応する、処理空気冷却熱交換器の上流の中間流体回路の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を得るために、中間流体回路内の冷却流体(C)の流れを制御するように構成された流れ制御システムをさらに含む。中間流体回路の流れ制御システムは、好ましくは、中間流体回路に配置された流体ポンプ及び/又は1つ又は複数の流体制御弁を制御することによって中間流体回路内の冷却流体の流れを制御するように構成された制御ユニット(CU)を含むことができる。中間流体回路は、好ましくは、バイパス導管を含み、それにより、冷却流体(C)の一部が処理空気冷却熱交換器をバイパスすることが可能になる。
【0007】
冷却流体温度依存パラメータは、好ましくは、冷却流体温度であり、冷却流体の所与の設定値(T1set)は、好ましくは、10℃より下の温度、より好ましくは5℃より下の温度、最も好ましくは0.5℃より下の温度に設定される。処理空気冷却熱交換器は、有利には、除湿器ユニットの処理空気入口における処理空気を所与の一定の空気入口温度値(T2)まで冷却するように寸法設定され、前記空気入口温度値(T2)は、好ましくは、10℃より下である。
【0008】
再生空気回路は、好ましくは、除湿器ユニットの上流でヒートポンプのコンデンサに接続される。中間流体回路は、好ましくは、除湿器ユニットの下流で再生空気を冷却するために、ヒートポンプ蒸発器の上流に配置された熱交換器を含む。再生空気回路は、除湿器ユニットの上流に、必要に応じて再生空気を任意選択により加熱するように構成された電気ヒータを含むことができる。
【0009】
流れ制御システムは、有利には、除湿器ユニットの再生空気入口において所与の温度(T3)に達するように、処理空気冷却熱交換器内の処理空気から、及び再生空気熱交換器内の再生空気から取り除かれた熱が、ヒートポンプのコンデンサ内の再生空気に移送される必要がある熱に実質的に対応するために、中間流体回路内の冷却液の流れを制御するように構成される。
【0010】
本発明は、さらに、上述の除湿システムを動作させる方法に関し、この方法は、
a)処理空気冷却熱交換器の上流の実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を決定する工程と、
b)実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)が所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)から外れている場合、中間流体回路に配置された流体ポンプ(11)及び/又は1つ又は複数の流体制御弁の流量を調節することによって、中間流体回路(8)内の冷却流体(C)の流れを調節する工程と、
c)T1=T1setになるまで工程a)及び工程b)を繰り返す工程と
を含む。
【0011】
本発明は、さらに、上述の除湿システムを動作させるためのコンピュータプログラムに関し、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサで実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに上述の方法を実行させる命令を含む。本発明は、さらに、除湿システムを動作させるためのコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読ストレージ媒体に関する。
【0012】
本除湿システムが、図面を参照して本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】入口処理空気冷却熱交換器の上流の冷却流体温度を制御するために使用される中間流体回路を含む除湿システムの第1の例を示す図である。
図2】除湿システムの第2の例を示す図であり、中間流体回路の冷却流体が除湿ユニットの下流の出口再生空気から熱を収集する。
図3】除湿システムの第3の例を示す図であり、中間流体回路は、出口再生空気冷却熱交換器を通して別個の冷却流体流を供給するように構成される。
図4】除湿システムを動作させる方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本除湿システムが、本発明によるシステムの例を示す概略図を参照して本明細書で説明される。
【0015】
図1に示されるように、本発明の除湿システム(1)は、収着除湿器ユニット(2)と、除湿器ユニット内のデシカント材料を通して処理空気流を導くように構成された処理空気回路(3)と、除湿器ユニット内のデシカント材料を通して再生空気流を導くように構成された再生空気回路(4)とを含む。システムは、蒸発器(6)とコンデンサ(7)とを含むヒートポンプ(5)をさらに含み、それによって、システム内の流れの間で熱を移送することができる。除湿システムは、処理空気を除湿器ユニットに注入する前に熱交換器(9)内の処理空気を冷却するように構成された、本明細書では冷却流体(C)と呼ばれる循環流体を有する中間流体回路(8)をさらに含む。除湿器ユニットの上流で処理空気を冷却することによって、除湿ユニットに入る前に水分含有量を既に低減させることができ、それによって、除湿器ユニットでの除湿処理で必要とされるエネルギーが低減される。
【0016】
中間流体回路は、処理空気冷却熱交換器(9)を通し、さらにヒートポンプの蒸発器(6)を通して冷却流体(C)を導くように構成された流体ポンプ(11)及び主導管(8a)をさらに含む。流体制御弁(12)は、主導管(8a)に適切に配置することができる。中間流体回路は、所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)に対応する、処理空気冷却熱交換器の上流の中間流体回路における冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を得るために、中間流体回路内の冷却流体(C)の流れを制御するように構成された流れ制御システム(10)をさらに含む。中間流体回路によって、処理空気は、ヒートポンプ蒸発器によって直接冷却されるのではなく、冷却流体(C)を介して間接的に冷却され、流れ制御システムは、処理空気冷却熱交換器に入る冷却流体の温度を制御することができる。したがって、冷却流体温度が、制御されたレベルに保持され、それによって、処理空気冷却熱交換器内の霜形成のリスクを避けることができることを確実にすることが可能である。熱交換器内の霜を避けることは重要であり、その理由は、霜が氷の堆積をもたらすことがあり、それが、熱交換器を通る空気流を妨げ、熱移送を損ない、システムの制御を困難にすることがあるからである。
【0017】
流れ制御システムによって測定及び制御されるべきパラメータは、温度、密度、粘性などのような流体温度とともに変化する任意の流体パラメータとすることができるが、流体温度は、測定するのに便利なパラメータであるので好ましい。簡単にするために、冷却流体温度依存パラメータは、以下では冷却流体温度と称されるが、任意の温度依存パラメータとすることができる。
【0018】
冷却流体温度の所与の設定値(T1set)は、10℃より下の温度、より好ましくは5℃より下の温度、最も好ましくは0.5℃より下の温度に設定される。冷却流体温度が低いほど、処理空気冷却熱交換器内の処理空気は効果的に冷却される。処理空気冷却熱交換器の構造に応じて、冷却流体温度の所与の設定値(T1set)の最も低い値は、0℃に近いか又は0℃より下であることがある。例えば0.1℃などの0℃よりわずかに上の冷却流体温度は、より簡単な向流熱交換器の使用を可能にするが、0℃より下の冷却流体温度は、より複雑な熱交換器構造を必要とすることがある。中間流体回路の冷却流体は、液体であり、いつでも液体状態のままであり、適切には水であり、任意選択によりある量の凝固点降下添加剤を含む。それは、除湿器ユニットの処理空気入口の上流で入来処理空気を冷却するために使用されるので、「冷却流体」と呼ばれるが、ヒートポンプの蒸発器では加熱流体として機能する。
【0019】
処理空気冷却熱交換器(9)は、有利には、除湿器ユニットの処理空気入口の上流で処理空気を所与の一定の空気入口温度値(T2)に冷却するように寸法設定される。これが意味するところは、熱交換器は、処理空気冷却熱交換器(9)に入る処理空気の特性にかかわらず、熱交換器の下流の処理空気温度T2がいつでも同じであるように寸法設定されるということである。それによって、処理空気冷却熱交換器(9)は、ある時点でやや過剰な寸法になる可能性がある。除湿ユニットに入る処理空気が所定の一定温度であると、除湿処理を改善することができ、その理由は、除湿ユニットを、特定の予測可能な特性を有する入口処理空気に対して最適化することができ、除湿処理の動作が安定になるからである。除湿ユニットの上流の処理空気温度値(T2)は、処理空気冷却熱交換器(9)の上流の冷却流体温度の所与の設定値(T1set)によって決まることになり、好ましくは、できるだけ低く、好ましくは10℃より下であり、そして適切には0℃より上である。流体流の温度依存パラメータの測定は、空気流での同様のパラメータの測定と比較して、安定性と信頼性に優れており、それゆえに、処理空気冷却熱交換器(9)の上流の冷却流体温度(T1)に基づく除湿システムの制御は、システムの安定な動作をもたらす。
【0020】
除湿システムに入る処理空気の特性、例えば、湿度及び温度などは、時々、大きく変化することがある。特に、処理空気が屋外から取り込まれた外気である場合、これらの特性は、季節変動及び時間帯により大きく変化することあり、さらに、これは、特に、特定の地理的領域では著しくなることがある。しかしながら、さらに、処理空気が、工業用建物などの限られた空間から取り込まれる場合、特性は、建物で行われる活動及び建物の外の天候の変化などの様々な環境に依存して変化することがある。それゆえに、除湿器ユニットの上流で処理空気の一定温度を得るために、処理空気冷却熱交換器(9)は、システムが実装される現場の特定の環境に従って寸法設定される必要があることになる。
【0021】
処理空気冷却熱交換器(9)の上流の冷却流体温度(T1)は、中間流体回路内の冷却流体の流れを調節することによって制御される。これを達成するために、中間流体回路の流れ制御システムは、中間流体回路に配置された流体ポンプ(11)及び/又は1つ又は複数の流体制御弁(12、13)を制御することによって中間流体回路(8)内の冷却流体の流れを制御するように構成された制御ユニット(CU)を適切に含む。流体ポンプは、ポンプの流量を制御できるように可変周波数ドライブを適切に有することができ、及び/又は1つ又は複数の流体制御弁は、冷却流体温度(T1)を設定値(T1set)に保持するのに必要とされる冷却流を得るために、必要に応じて、開閉することができる。主導管(8a)内の冷却流体の流れは、処理空気冷却熱交換器(9)の冷却能力の不足に基づいて、少なくとも部分的に間接的に制御される。処理空気冷却熱交換器(9)の上流の冷却流体の温度(T1)が、設定値(T1set)を超える場合、これは、制御ユニット(CU)によって検出されることになり、制御ユニット(CU)は、冷却流体温度(T1)が設定値(T1set)に戻るまで、主導管(8a)の流量を減少させるように流体ポンプ及び/又は1つ又は複数の流体制御弁に作用することになり、逆に、温度(T1)が設定値(T1set)を下回る場合、主導管(8a)の流量が増加することになる。
【0022】
中間流体回路は、好ましくは、バイパス導管(8b)を含み、流体制御弁(13)を適切に備えることができ、それにより、冷却流体(C)の一部は、処理空気冷却熱交換器(9)をバイパスすることができる。これにより、ポンプ(11)及び/又は主導管の流体制御弁(12)の流量を調節することによって、及び冷却流体流の一部をバイパス導管(8b)を通して熱交換器(9)をバイパスさせることによって、例えば、流体制御弁(13)を開けることによって、中間流体回路の主導管(8a)内の冷却流体流を制御することができるので、除湿システムの柔軟性が高まる。主導管及びバイパス導管の流体制御弁(12、13)は、当然、必要に応じて、三方弁と置き換えることができる。
【0023】
上述の通り、除湿システムは、除湿器ユニット(2)内のデシカント材料を通して再生空気流を導くように構成された再生空気回路(4)を含む。除湿器ユニットは、デシカント材料及び再生空気による処理空気の除湿に適する任意のタイプのものとすることができる。例えば、収着除湿器(2)は、水蒸気を引き寄せて保有するのに有効であるデシカント材料、例えば、シリカゲルを保持するロータの形態の除湿要素を適切に含むことができる。デシカントロータは、2つのセクション、すなわち、除湿セクションと再生セクションとに分割することができる。除湿されるべき処理空気(3)は、デシカントロータの除湿セクションを通過することになり、ロータ内のデシカント材料は処理空気から水分を抽出し、その結果、処理空気は、乾燥した空気(3b)としてロータを出て行くことができる。同時に、湿気をたっぷり含んだデシカント材料は、再生セクションで再生され、水分は、デシカントロータがゆっくり回転している間ずっと、再生セクションを通って流れている再生空気流(4)に移送される。同時に行われる処理空気の除湿とデシカント材料の再生によって、除湿器ユニット(2)は、連続的に動作することができる。例えば、デシカント材料を保持する複数のロータを含んでおり、ロータが3つ以上のセクションを有するもの、及び/又は処理空気流及び再生空気流の一方又は両方が除湿器ユニット内で複数の空気流に分割されている除湿器ユニットの他の構成を企図することができる。除湿器ユニットは、必ずしも単一の処理ユニットである必要はなく、直列又は並列の複数の工程又はセクションで構成されてもよい。
【0024】
再生処理が有効であるためには、ロータ内のデシカント材料を再生するために使用される空気流は、比較的高温である必要があり、一般に、加熱される必要があることになる。本開示の除湿システムでは、再生空気回路(4)は、好ましくは、除湿器ユニットの上流でヒートポンプのコンデンサ(7)に接続することができる。これが意味するところは、ヒートポンプ蒸発器(6)内で冷却流体(C)から取り除かれた熱は、ヒートポンプ及びコンデンサの冷媒回路(16)を介して入口再生空気(4a)に移送することができる、すなわち、空気冷却熱交換器(9)で処理空気(3)から取り除かれた熱は、中間流体回路(8)とヒートポンプ(5)の冷媒回路(16)とを介して、入口再生空気(4a)を加熱するために利用することができるということである。電気ヒータ(15)が、除湿器ユニットの上流の再生空気回路(4)に含まれ、必要に応じて入口再生空気(4a)を任意選択により加熱するように構成されてもよい。
【0025】
再生空気は、除湿ユニット出口(4b)を出て行くとき、除湿ユニット入口(4a)よりも高い水分含有量及び低い温度を有する。出口再生空気は環境に解放することができるが、出口再生空気は、一般に、周囲温度よりもかなり高い温度を有することがあるので、処理に対する熱の少なくとも一部を回収することが有利である場合がある。それゆえに、熱交換器(14)が、出口再生空気流に適切に配置されて、そこに保持されている熱の回収を可能にする。熱交換器(14)は、好ましくは、中間流体回路(8)に組み込まれ、そのとき、好ましくは、除湿器ユニットの下流の再生空気(4b)を冷却し、それにより、再生空気流(4b)から熱を抽出するように、ヒートポンプ蒸発器(6)の上流の中間流体回路(8)に配置される。再生空気の温度が熱交換器(14)において冷却中に低下すると、空気流の水分含有量は凝縮により減少し、必要に応じて、出口再生空気(4b)は、任意選択による水分のさらなる除去の後、再生入口空気(4a)として再生空気回路(4)に戻すことができ、その結果、再生空気回路(4)は閉回路となる。
【0026】
このようにして、熱交換器(14)内で再生空気(4b)から取り除かれた熱は、ヒートポンプ(5)によって入口再生空気(4a)を加熱するために利用することができる。熱交換器(14)において、再生空気の熱は、冷却流体に適切に移送され、冷却流体は、好ましくは、図2に示されるように、上記のような中間流体回路の冷却流体(C)、又はその一部の流れとすることができる。
【0027】
除湿ユニットの上流で、再生空気回路(4)がヒートポンプのコンデンサ(7)に接続されて、それによって、熱は、出口再生空気(4b)から中間流体回路(8)及び冷媒回路(16)を介して入口再生空気(4a)に移送され得る。
【0028】
上述のような出口再生空気熱交換器(14)は、処理空気冷却熱交換器(9)に移送される熱、すなわち、入口処理空気(3)から中間流体回路の流体(C)に移送される熱が、ヒートポンプ・コンデンサ(7)内の入口再生空気(4)を十分に加熱するのに必要とされるヒートポンプ蒸発器(6)のエネルギー要件に適合しない状況では、特に有用であり得る。そのような状況は、例えば、処理空気冷却熱交換器(9)に入る処理空気(3)の温度が低い場合、又は出口処理空気(3b)が特別に乾燥している必要がある(例えば、-20℃より下の露点である)場合である可能性があり、それは、特定の工業処理の場合であり得る。次いで、出口再生空気の温度(T6)は、一般に、処理空気冷却熱交換器(9)を出て行く冷却流体(C)の温度(T4)よりもかなり高いので、出口再生空気熱交換器(14)は、中間流体回路内の冷却流体(C)の追加の加熱を行うことができる。
【0029】
出口再生空気熱交換器(14)が除湿システムに配置されると、上記のバイパス導管(8b)は、蒸発器(6)の下流の低温の冷却流体(C)の部分的な流れを再生空気熱交換器(14)に直接導く可能性を可能にし、それによって、冷却流体(C)(T5)と、熱交換器(14)に入る再生空気(T6)との間の温度差がより大きくなることになる。中間流体回路は、熱交換器(14)とヒートポンプ蒸発器(6)との間に冷却流体(C)の別個の流れを導いて、再生空気(4b)からの熱をヒートポンプの冷媒回路(16)に移送することができるように配置することができる。これは、例えば、図3に示されように、低温の冷却流体(C)を蒸発器(6)から出口再生空気熱交換器(14)に直接導くようにバイパス流導管(8b)を配置し、それによって、出口再生空気(T6)と冷却流体(T5)との間の最大温度差を達成することによって得ることができる。流体制御弁(13)が閉じられ、その結果、バイパス流導管(8b)が使用されない場合、処理空気冷却熱交換器(9)の後の冷却流体温度(T4)は、出口再生空気熱交換器(14)の前の冷却流体温度(T5)と同じになることになる。
【0030】
第2の流体ポンプ(18)をバイパス流導管(8b)に設けて、中間流体回路のこの部分での独立した流れ制御を可能にすることができ、さらなる接続導管及びバルブ(13、17)を配置することができ、その結果、所望に応じて、主導管(8a)とバイパス導管(8b)の流れを組み合わせることができ、それにより、除湿システムの高い柔軟性が提供される。
【0031】
様々なヒートポンプ構成が当技術分野で利用可能であり、その構成要素、例えば、蒸発器及びコンデンサなどは、中間流体回路の選択されたセットアップに応じて選ばれる。したがって、蒸発器及びコンデンサの異なる構造が適切である場合があり、さらに、蒸発器及び/又はコンデンサの複数のユニットを直列又は並列に配置して使用されてもよいことが考えられる。同じことが、入口処理空気(3a)及び出口再生空気(4b)を冷却するための熱交換器(9、14)に当てはまり、様々な熱交換器設計及び複数のユニットが、所望に応じて、使用されてもよい。
【0032】
流れ制御システム(10)は、有利には、電気ヒータ(15)による追加の加熱の必要性を実質的に排除するために除湿器ユニット(2)の再生空気入口において所与の温度(T3)に達するように、処理空気冷却熱交換器(9)内の入口処理空気(3a)から、及び再生空気熱交換器(14)内の出口再生空気(4b)から取り除かれた熱が、ヒートポンプのコンデンサ(7)内の入口再生空気(4a)に移送される必要がある熱に実質的に対応するために、中間流体回路(8)内の冷却液(C)の流れを制御するように構成される。
【0033】
流れ制御システムは、好ましくは、制御ユニット(CU)に加えて、ポンプ(11)と処理空気冷却熱交換器(9)との間の流導管(8a)内のシステムに適切に配置された、冷却流体温度依存パラメータを決定するための測定機器を含む。決定されたパラメータ値(T1)を冷却流体の所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)と比較するように構成された制御ユニット(CU)に、決定されたパラメータ値(T1)の情報を転送する手段が設けられ、値(T1)に基づいて中間流体回路の様々な部分の冷却流体流を調節するために、流体ポンプ(11、18)、及び/又は流体制御弁(12、13、17)のうちの1つ又は複数に作用する手段が設けられる。
【0034】
除湿システムの例の概略図が、図1図3に示されている。図1は、入口処理空気冷却熱交換器の上流の冷却流体温度を制御するために使用される中間流体回路(8)を含む除湿システム(1)の第1の例を示す。ヒートポンプのコンデンサ(7)による入口再生空気(4a)の加熱も示されている。図2に示される第2の例では、中間流体回路の冷却流体は、除湿ユニットの下流の出口再生空気から熱を収集する。図3は、除湿システムの第3の例を示し、中間流体回路は、出口再生空気冷却熱交換器を通して別個の冷却流体流を供給するように構成される。
【0035】
図4に示されるように、本発明は、さらに、上述の除湿システムを動作させる方法(100)に関し、この方法は、
a)処理空気冷却熱交換器(9)の上流の実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)を検出する(101)工程と、
b)値(T1)を所与の設定値(T1set)と比較し(102)、実際の冷却流体温度依存パラメータ値(T1)が所与の設定冷却流体温度依存パラメータ値(T1set)から外れている(NOである)場合、中間流体回路に配置された流体ポンプ(11)及び/又は1つ又は複数の流体制御弁(12、13)の流量を調節することによって、中間流体回路(8)内の冷却流体(C)の流れを調節する(103)工程と、
c)T1=T1set(YES)になるまで工程a)及び工程b)を繰り返す工程と
を含む。
【0036】
この方法は、好ましくは、上述の除湿システムを動作させるためのコンピュータプログラムによって実行され、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサで実行されたとき、少なくとも1つのプロセッサに上述の方法を実行させる命令を含む。本発明は、さらに、除湿システムを動作させるためのコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読ストレージ媒体に関する。
【0037】
図面に示された例は、単に例証するためのものであり、多くの他の代替案が本発明の範囲内で考えられ得ることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】