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特表2022-548209クロス圧延ユニット、及びクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】クロス圧延ユニット、及びクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 19/04 20060101AFI20221110BHJP
   B21B 37/78 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B21B19/04
B21B37/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022514161
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 DE2020100779
(87)【国際公開番号】W WO2021043374
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】102019123836.6
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510320690
【氏名又は名称】エスエムエス グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザウアーラント,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ツェラー,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】マティア,クラーン
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124AA13
4E124AA14
4E124AA15
4E124BB06
4E124CC02
4E124DD09
4E124EE22
(57)【要約】
少なくとも2つのロール及びロールハウジングを有し、このロールハウジングにはロールのうち少なくとも1つが取り付けられ、それによってその位置を、圧延パスを変化させるために調整できる、クロス圧延ユニット、及びクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法は、圧延中でも、圧延パスがロール位置決め装置によって調整されるのを可能にする。このロール位置決め装置は、ハウジングに接続された部分と、圧延中にハウジングに接続された部分に対して動かすことができる、ローラミルに接続された部分と、を特徴とする。これらの部分は、互いに対して再配置でき、及び/または、ロール位置決め装置は、圧延力が適用され得るように寸法が決められた駆動部を特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのロール(30)及びロールハウジング(27)を有し、前記ロールハウジング(27)の中に前記ロール(30)のうち少なくとも1つが取り付けられ、それによって、前記ロール(30)の位置を、圧延パスを変化させるために調整することができる、クロス圧延ユニット(10)であって、ロール位置決め装置(22)が、ハウジングに接続された部分と、圧延中に前記ハウジングに接続された部分に対して移動させることができる、ローラミル(21)に接続された部分と、を備え、それらの両方は互いに対して調整することができること、ならびに、(i)前記ロール位置決め装置(22)が、圧延力を適用できるように寸法が決められること、及び/または(ii)マンドレル(30)のマンドレル位置を、マンドレル位置調整装置(31)によって、圧延中にワークピースに対して水平に調整できること、を特徴とする、クロス圧延ユニット(10)。
【請求項2】
前記ロール位置決め装置(22)は、少なくとも1つの液圧シリンダ、好ましくは30mm/sより速く動かされ、及び/または50,000hPaより高くにおいて動作でき、そのストローク高は好ましくは150mm未満、特に100mm未満で、かつ高速弁で起動させることができる液圧シリンダを備えることを特徴とする、請求項1に記載のクロス圧延ユニット(10)。
【請求項3】
2つのロール位置決め装置(22)が、前記ロール(30)のうち少なくとも1つに設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のクロス圧延ユニット(10)。
【請求項4】
少なくとも2つの入力変数、及び少なくとも1つの出力変数を備える多変数制御(70)を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のクロス圧延ユニット(10)。
【請求項5】
前記入力変数及び前記出力変数は、両方とも前記ロール位置決め装置(22)によって判断することができ、及び/もしくは前記ロール位置決め装置(22)へ送信されること、ならびに/または、前記入力変数は、計測された変数である、ワークピース送り込み速度(71)、ワークピース送り出し速度(72)、壁厚(73)、偏心率(74)、外径(75)、楕円率(76)、圧延力(77)、及び/もしくはマンドレルの保持力(78)、を備えること、ならびに/または、前記出力変数は、操作された変数である、前記ロール(20)のうち少なくとも1つの動的位置調整(81)、全てのロール(20)を調整することによる圧延中心の調整(82)、マンドレル位置の動的調整(83)、及び/もしくは拡がり角度の調整(80)、を備えること、を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のクロス圧延ユニット(10)。
【請求項6】
少なくとも2つのロール(20)を有するクロス圧延ユニット(10)の、圧延パスを設定する方法であって、前記ロール(20)のうち少なくとも1つ、ならびに/または拡がり角度(80)、及び/もしくはマンドレル(30)の軸方向位置が、圧延中に調整されることを特徴とする、圧延パスを設定する方法。
【請求項7】
単一のロール(20)は、第2の固定ロール(20)に対して特定の圧延パスを有するよう設定され、及び/または圧延中に調整させることを特徴とする、請求項6に記載の圧延パスを設定する方法。
【請求項8】
少なくとも2つの対応したロール(20)が、特定の圧延パスを伴い設定されることを特徴とする、請求項6または7に記載の圧延パスを設定する方法。
【請求項9】
少なくとも2つの対応したロール(20)が、圧延中に調整されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の圧延パスを設定する方法。
【請求項10】
少なくとも2つの対応したロール(20)が、特定の圧延パスを伴い同時に設定され、及び/または圧延中に同時に調整されることを特徴とする、請求項9に記載の圧延パスを設定する方法。
【請求項11】
圧延力は、前記ローラミル位置決め装置(22)の駆動によって継続的に適用されることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の圧延パスを設定する方法。
【請求項12】
前記ロール(20)及び/または前記マンドレル(30)の調整が、確定された、計測された変数に依存して実行されることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の圧延パスを設定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロス圧延ユニット、及び圧延ユニットの圧延パスを設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなクロス圧延ユニット及び設定方法は、例えば欧州特許出願公開第2116312号明細書で公知である。ここでは、クロス圧延ユニットは、各々がローラミルに取り付けられた少なくとも2つのロール、及びロールハウジングを備える。ロールハウジングにおいて、ここでは偏心ブッシュであるローラミル設定手段を介して、ここではフィードである圧延パスを変化させるために、その位置を調整可能であるローラミルのうち少なくとも1つが取り付けられる。特開昭53-149858も、対応したクロス圧延ユニットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2116312号明細書
【特許文献2】特開昭53-149858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目標は、クロス圧延ユニット、ならびに最良の可能な圧延結果の実現を可能にする、クロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目標は、独立請求項の特徴を伴う、クロス圧延ユニット、及びクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法、によって実現される。さらに、あるいはそれから独立して、有利な構成が、従属請求項ならびに以下の説明で確認できる。
【0006】
本発明は、良好な圧延結果は、圧延パスが圧延中にも調整できる場合に実現され得る、という基本的知識に基づいている。このように、圧延パスは、圧延パラメータの変化に対して適宜調整でき、それは例えば好適な計測によって得ることができる。
【0007】
クロス圧延ユニットは、少なくとも2つのロール及びロールハウジングを備え、ロールハウジングの中には、ロールのうち少なくとも1つが、圧延パスを変化させるためにロール位置が設定され得るよう、取り付けられる。これは、特定の圧延パスと共にロールを設定することを可能にする。
【0008】
詳細には、各々の事例において、両方のロール、またはより多くのロール及び関連のローラミルが使用される場合、2つのロールにおける全てのローラミルを、それらの位置が、圧延パスを変化させるためのローラミル調整手段を介して設定できるように、取り付けることができる。それは、圧延パスの、より正確な調整または整合を可能にする。
【0009】
最良の可能な圧延結果を実現できる、クロス圧延ユニットを提供するために、及び上述の基本的知識の実施において、少なくとも2つのロールと、ロールのうち少なくとも1つが、圧延パスを変化させるためにその位置を設定できるよう取り付けられた、ロールハウジングと、を有するクロス圧延ユニットは、ロール位置決め装置が、ハウジングに接続された部分と、この部分に対して圧延中に動かすことができる、ローラミルに接続された部分と、を備え、それらの部分は互いに対して調整できることを、特徴とすることができる。
【0010】
ロール位置決め装置の第1の部分は、好ましくはハウジングに固定され、第2の部分は、ローラミルに接続される。ハウジング、及びしたがってロール位置決め装置の第1の部分も、圧延中に同じ位置において静止したままであるか、または必要に応じて、圧延中に一定の経路を循環することもできる。ローラミル、及びしたがってローラミルに接続されたロール位置決め装置の第2の部分も、第1の部分またはロールハウジングに対して調整することができる。ここでハウジングは、好ましくはその位置、必要に応じてその循環経路にもとどまり、ローラミルは適宜順応する。ここで調整は、特に圧延中に行うことができ、ロール位置決め装置の部品も、荷重下で順応することができる。この方法において、圧延パスを圧延中に適応させることができ、例えばワークピースの径の変化を生じさせ、または例えばワークピースの外形の変化、もしくは例えば送り込みもしくは送り出しプロセス中などの圧延中に変化する圧延パラメータにも、適切に反応することができる。例えば、ワークピースの偏心率が一定ではない場合、圧延中に圧延パスを、圧延する部材の形状に個々に適応させることができる。
【0011】
さらに、最良の可能な圧延結果を実現できる、クロス圧延ユニットを提供するために、少なくとも2つのロールと、ロールのうち少なくとも1つが、圧延パスを変化させるためにその位置を設定できるよう取り付けられた、ロールハウジングと、を有するクロス圧延ユニットは、ロール位置決め装置の駆動が、圧延力を適用できる方法で寸法が決められることを特徴とすることができる。
【0012】
ロール位置決め装置が、圧延力を適用できるよう寸法が決められた場合、ロール位置決め装置は、圧延中にその設定も変化させることができ、したがってロールのうち少なくとも1つを別様に位置付けることができ、それは次に、圧延パスを圧延中に変化させることを可能にする。
【0013】
追加または代替として、最良の可能な圧延結果を実現できる、クロス圧延ユニットを提供するために、少なくとも2つのロールと、ロールのうち少なくとも1つが、圧延パスを変化させるためにその位置を設定できるよう取り付けられた、ロールハウジングと、を有するクロス圧延ユニットは、マンドレル位置調整装置によって、圧延中にマンドレルのマンドレル位置を、ワークピースに対して平行に調整できることを特徴とすることができる。好適で具体的な実施は、上記で説明した基本的知識に従って、圧延中に圧延パスを調整または適応させ得る結果になる。
【0014】
その結果、例えばロールに対するマンドレルの位置、及びそれによってワークピースまたはマンドレルに及ぼす圧延力の影響も変化させることができ、かつ、それによる圧延パスに影響を及ぼすことができる。例えば、マンドレルを、圧延中のワークピースと同じ速度で調整することができ、それによってワークピースの穴開けは、マンドレルがワークピースと同じ速度及び方向に順応しないポイントまでしか到達しない。さらに、ワークピースが完全に穴を開けられないか、または圧延後に、マンドレルをワークピースから、より容易に取り外すことができる。上記の利点は、圧延中にマンドレル位置調整装置によって、マンドレルをワークピースに対して平行に調整できることで、特に促進させることができる。
【0015】
追加として、マンドレル位置調整装置を調整することによって、例えば後者がロールから離隔された圧延軸に沿って、マンドレルホルダとして圧延軸に対して垂直方向に配置された場合、拡がり角など、したがって圧延パスも、マンドレル位置調整装置によって変化させることもできる。それは上述のように、好適な設定またはロールの調整によっても成され得る。しかし前者は、ローラミルもしくはロール位置決め装置のローラミルに接続された部分の移動方向に関わりなく、またはロール位置決め装置自体の移動方向に関わりなく、圧延パスを変化させることが可能であり、それによって、圧延パスの設定可能性が、よりコスト効率よく提供され得る。
【0016】
詳細には、ロール位置決め装置が、少なくとも1つの液圧シリンダを備えた場合に有利であり、それは効率的な動力と、好適な設計とを伴い、特にそれぞれのロールの迅速な設定とを可能にする。
【0017】
液圧シリンダが、高圧を使用できるよう使用されるか、または速い移動速度が可能なように使用される場合、特に有利である。これは特に、それぞれの液圧シリンダに、圧延力の少なくとも一部に耐えさせるか、または圧延中に圧延パスを変化させることを可能にする。詳細には、対応した液圧シリンダが、好ましくは50,0000hPaで動作され得る場合、圧延力をロール位置決め装置によって加えることができる。例えば液圧シリンダを30mm/sよりも速く、好ましくは35mm/sよりも速く動かすことができる場合に、及び/または、高速弁を用いて起動させることができる場合に、十分に迅速な調整の可能性を保証することができる。
【0018】
特定の実施によっては、液圧シリンダのストローク高が150mm未満である場合に、十分である場合がある。特定の実施によっては、100mm未満のストローク高でさえ、満足した結果をもたらすことができる。必要に応じて、2段階システムを提供することができる。そこにおいて圧延パスは、大まかなロール位置決め装置を用いて事前に選択され、次に圧延中の調整を、例えば小さいストローク、高い調整速度、及び/または高い圧力を伴う、より精細なロール位置決め装置を介して、実施することができる。
【0019】
好ましくは、2つ以上のロール位置決め装置が、ロールのうち少なくとも1つ、あるいは複数もしくは全てのロールのために、提供される。これは、対応したロールの、必要に応じてそれらの角度に関しても、より正確な設定を可能にする。さらに、圧延力を複数のロール位置決め装置にわたって配分することができ、それに応じて、構造の観点からより簡単な方法で実施することができる。
【0020】
クロス圧延ユニットが、少なくとも2つの入力変数、及び少なくとも1つの出力変数を含んだ多変数制御システムを備える場合、有利である。それら両方の変数は、ロール位置決め装置によって判断され得るか、またはロール位置決め装置に送られる。入力変数は、計測された変数で構成することができる。これらの変数は、例えばロール位置決め装置によって判断されるか、または他の計測システムによって判断されて、ロール位置決め装置に送られる。これは、計測したデータに基づいて制御動作が実行されるのを可能にし、それによってクロス圧延ユニットまたは関連の制御システムは、圧延プロセスに適宜介入できる。
【0021】
ロール位置決め装置によって判断された、計測された変数は、比較的簡易な方法でクロス圧延ユニットに利用可能である。ここで、特に圧延力、さらにはロール及びローラミルの位置は、好適な計測された変数として言及されることになる。
【0022】
追加または代替として、詳細には、計測された変数であるワークピースの送り込み速度、ワークピースの送り出し速度、壁厚、偏心率、外径、楕円率、圧延力、及びマンドレルの保持力を、入力変数として記録することが可能である。それらは次に、追加または代替として、多変数制御のために使用される。
【0023】
この点で、少なくとも2つの入力変数及び少なくとも1つの出力変数を備えた多変数制御は、有利である。なぜならこれによって、圧延プロセスをより正確に監視し、適宜対応するのを可能にするからである。この利点を、追加の入力及び出力変数によってさらに高めることができることを、理解されたい。他方で、特定の用途について十分であることが明らかである場合、1つのみの変数、及び/または1つのみの出力変数が使用されることも考えられる。
【0024】
ワークピースの送り込み速度は、圧延前のロールに対するワークピースの速度を表わす。ワークピースの送り込み速度に依存して、必要な、または有利な圧延パスも変化させることができる。さらに、ワークピースの寸法は、例えばどのようなワークピースの送り込み速度が可能であるかを判断する際に、重要となる場合がある。追加として、マンドレルがワークピースに対する特定の速度比に調整されることになる場合、この速度は、制御するために必要な変数となる場合がある。ブロックまたは中空ブロックをワークピースとして使用し、それらを次に穴を開けた状態または開けない状態で、クロス圧延ユニットを通過させる場合があるので、ブロックまたは中空ブロックの送り込みが、計測された変数としての役割を担えることを理解されたい。
【0025】
他方で、ワークピースの送り出し速度は、圧延後、穴開け後、またはワークピースを出す間もしくは送り出す間の、ロールに対するワークピースの速度を表わす。中空ブロックの送り出し速度は、ブロックの送り込み速度よりも速いことが多い。なぜなら圧延は、ワークピースの移動方向に材料を頻繁に移動させるからである。しかし、特に膨張プロセスの場合、穴開け中または他の圧延プロセスの間も、ワークピースの送り出し速度がワークピースの送り込み速度よりも速い場合もある。
【0026】
必要に応じて、ワークピースの送り込み速度と送り出し速度との間の差を、計測した係数またはそこから導出した変数として、有利に使用することができる。なぜなら、特定の状況下で、この変数は、圧延プロセスについての重要な情報を提供することもできるからである。
【0027】
特にクロス圧延の場合、必要に応じて入口側及び/または出口側に差が付けられた、ワークピースの回転速度は、計測された変数としての役割を担うことができる。なぜなら、圧延プロセスについての情報も、そこから得ることができるからである。
【0028】
既に圧延されたワークピースの長さ、またはまだ圧延されていないワークピースの長さなど、ワークピースの位置を、目標の態様で圧延プロセスを最適化するために、好適な計測された変数とすることができる。これによって、例えば操作された様々な変数値を、圧延の開始時、または圧延の終了時にも提供することができるか、または、計測された変数の様々な重み付けを、操作された変数を判断するときに提供することができる。
【0029】
壁厚は、特に穴が開けられたブロックまたは中空ブロックであるワークピースの、外形と内径との間の差を表わす。追加または代替として、必要とする壁圧、または計測した壁厚は、計測された変数としての役割を担うことができる。
【0030】
偏心率は、円形からの楕円形の逸脱を表わす。この計測された変数は、圧延前のワークピースの偏心率を判断し、適宜反応できるよう、予防的制御のために必要な場合がある。例えば、圧延は、ワークピースの偏心率に関わらず、圧延プロセス、または特に他の操作された変数もしくは出力変数が、所望の圧延結果が実現できるよう、または偏心率が例えば好適なプロセス計測によって最適化できるよう、かつ外形の不規則性を補正できるよう、調整され得るように制御することができる。偏心率を、圧延がワークピースの偏心率を変化させたかどうかを確認するための、後続の制御規準とすることもできる。ここで、偏心率は外径、及び内径の両方が重要となり得る。
【0031】
外径は、ワークピースの外側の径を表わす。壁厚を参照すると、特にパイプであるワークピースの内径を、例えば入力変数として判断され、かつ使用することができる。
【0032】
ワークピースの楕円率は、1つの面における最大外径と最小外径との間の差を表わす。一方でこれは、操作された変数に対するプロセス調整が、最良の可能な圧延結果を実現するために必要かどうかを確認する助けとなり得る。他方では、楕円率は、とりわけその後の許容などの検証の確認、またはどの程度の圧延がワークピースの寸法に影響を及ぼしたかの確認、の役割を担うことができる。
【0033】
圧延力は、圧延中にワークピースが受ける力、または圧延中にロールがワークピースに加える力、を表わす。圧延力は、ワークピースの寸法及び特性に従って変化し得る。しかし圧延力は、信頼できる圧延を保証するために、圧延プロセスの全期間に加えられなければならない。
【0034】
マンドレルの保持力は、特に圧延中にマンドレルがワークピースに作用する力を表わし、マンドレルを圧延中に保持しなければならない力に相当する。マンドレルの保持力の大きさは、特にワークピースの性質及びワークピースの送り込み速度に依存することができる。さらにこの力は、マンドレル位置または拡がり角度を調整するときに、適宜変化し得る。
【0035】
出力変数は、好ましくは操作された変数を備え、それは例えば、特に圧延中に圧延パスを制御するために調整される。
【0036】
操作された変数は、ロールのうち少なくとも1つの動的位置決め調整、全てのロールを調整することによるロールの中心の調整、マンドレル位置の動的調整、及び/または拡がり角度の調整、を特に備えることができる。操作された変数は、操作された変数が入力変数に反応するよう使用され得る点、または入力変数が適宜制御され得る点で、多変数制御のために使用される。操作された変数の全ては、ロール及びマンドレルの設定など、クロス圧延ユニットの個々の要素における設定の可能性を表わす。操作された変数によって判断される、これらの設定の可能性は、計測された変数に積極的に影響を及ぼすために使用される。例えば、特定の圧延力は、上部ロール及び底部ロールそれぞれの、対応した位置調整によってのみ、判断できる。
【0037】
しかし、これに対する追加または代替として、ロールの回転速度、またはロールに作用する回転駆動力なども、出力変数として使用することができる。
【0038】
良好で可能な圧延結果を実現できる、クロス圧延ユニットの圧延パスを調整する方法を提供するために、少なくとも2つのロールを伴うクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法は、ロールのうち少なくとも1つが圧延中に調整されることを、特徴とすることができる。クロス圧延ユニットの2つ、または全てのロールを、対応した有利な方法で調整できることも、理解されたい。これも、圧延中に圧延パスを調整可能であることが望ましいという、前に説明した基本的知識の追加、または代替として実施する。
【0039】
追加または代替として、最良の可能な圧延結果を実現するために、少なくとも2つのロールを伴うクロス圧延ユニットの圧延パスを設定する方法は、マンドレルの拡がり角度もしくは迎え角度、及び/または軸方向位置が、圧延中に調整されることを、特徴とすることができる。さらに、マンドレルを移動させることによって、拡がり角度もしくは抑え角度、またはロールに対するマンドレルの軸方向位置のいずれかに対して、圧延パスを、それぞれ特定の圧延プロセスにおける任意の変化または逸脱に対して、圧延中に適応させることができる。
【0040】
マンドレルの軸方向位置が、通常は圧延中心ラインに対して、またはそれぞれのクロス圧延ユニットを通るワークピースのパスラインに対して画定されること、及びその後の、圧延中心ラインまたはパスラインにおけるマンドレルの、ロールに対する相対位置が判断または特定されること、に留意するべきである。この軸方向位置は、詳細にはマンドレルホルダによって、マンドレルバーホルダによって、またはマンドレルを保持するマンドレル位置調整装置によって、判断することができ、必要に応じて調整することができる。
【0041】
好ましくは、マンドレルとワークピースとの間の角度を判断する、マンドレルの拡がり角度または抑え角度を、調整することができる。その結果、ワークピースの穴開けまたは圧延中に、ワークピースと直接接触するマンドレルヘッドの形状または領域を変化させ、それによって圧延中にその位置を判断する。ここで、任意の圧延力またはさらに必要とされ得るワークピースの速度を、変化させることができる。調整可能な拡がり角度を、例えば楕円率、偏心率、または一般的に穴の形状を変化させるか、または最適化するために、必要に応じて使用することができる。
【0042】
単一のロールが、特定の圧延パスを伴う第2の固定ロールに対して設定される場合、または単一のロールが、圧延中に調整されて特定の圧延パスを提供する場合、有利である。この場合、圧延パスを調整する作用力は、可能な限り小さくなる。なぜなら1つのロールしか、駆動させるか、または調整もしくは設定させる必要がないからである。確定した、計測された変数に依存して、かつ他の要件に依存して、これは良好な圧延結果を実現するために、既に十分である場合がある。
【0043】
少なくとも2つの対応したロールが、特定の圧延パスで設定されるか、または圧延中に調整されることも考えられる。適用される合計の圧延力は、1つのロールの駆動によって適用できないが、少なくとも2つのロールによって適用できるという事実によって、ロールの各駆動は、1つのロールを調整しているとき、あまり力を適用しない。例えば2つのロールを調整しているとき、1つのロールを調整するときに必要な力の半分が、適用されることになる。
【0044】
有利には、少なくとも2つの対応したロールを調整するとき、これら対応したロールは、特定の圧延パスを伴って同時に設定されるか、または圧延中に同時に設定される。対応したロールの同時調整中、圧延中心ラインは場合によって位置が変化する場合があるが、これは意図的に成される場合がある。しかしこれは、ロールの位置付けにおける特定の構成に依存して、ロールを互いに対して正確に動かすことによっても、または単にそれらの傾斜角度を変化させることによっても、防止することができる。これは、デバイス全体によって非常に有利である。なぜなら、ワークピースを、そのラインに沿ってさらに動かすこともできるからである。圧延中心ラインを変えるとき、ワークピースを真直ぐに搬送する圧延は、もはや動作的に信頼できる方法を保証し得ない。
【0045】
さらに、好適な構成を用いて、より正確な圧延パス調整、または圧延パス設定は、1つのロールを調整または設定するよりも、少なくとも2つの対応したロールを調整または設定することによって、提供することができる。
【0046】
動作的に信頼できる圧延プロセス、または可能な限り不具合のない圧延プロセスを提供することを可能にするため、ローラミル位置決めデバイスの駆動によって、圧延力を継続的に適用することができる。これは、圧延中でさえ、ロールの設定または調整を可能にする。なぜなら、スティッキングの危険または同様の困難を最小限に抑えることができるからである。
【0047】
特定の構成によって、ローラミルを、複数のロール位置決め装置を介して、または単一のロール位置決め装置のみを介して設定できるよう、ローラミルを取り付けることができる。ローラミルの複数のロール位置決め装置の場合、例えばロール位置決め装置を介して、ロールに対して特定の角度変更を成すために、ロール位置決め装置を使用することができる。他方で、1つのロール位置決め装置のみを使用して、ローラミルを設定することは、より容易なセットアップを可能にする。それは、特にロールの両側を支持するローラミルにとって、有利となる場合がある。
【0048】
好ましくは、ロール、複数のロール、またはマンドレルの調整は、特に、以前に確定されたワークピースの位置または時間のみに依拠した圧延計画だけに従わず、既に上述した、確定された、計測された変数に依存して行なわれる。
【0049】
一般に、圧延中心ラインは、理論的かつ機械的に事前に決められた理想のラインであり、その上で、圧延ストックはクロス圧延ユニットを通過する。この文脈において、クロス圧延用ロールまたはクロス圧延ユニットは、長手方向のロールまたは長手方向の圧延ユニットとは、2つのロールの軸が、クロス圧延ユニットまたはクロス圧延用ロールの圧延中心ラインに対して平行の構成要素を有する、という事実によって区別されることは、重ねて強調すべきである。クロス圧延ユニットまたはクロス圧延用ロールの場合、圧延中のロールにおけるロール表面は、クロス圧延ユニットまたはクロス圧延用ロールの圧延中心ラインに対して垂直の回転要素を有する。それは、ロール表面が、圧延中心ラインに対して平行に動かされるか、またはマンドレルの移動方向に対して平行に動かされる各場合において、長手方向のロールとは異なる。その結果、特定の圧延動作における正確なロール位置を判断することは、長手方向の圧延よりも困難かつ複雑である。さらに通常、クロス圧延中のロールの位置は、より複雑な影響を圧延プロセスに及ぼす。特に、対応したローラミル及びそれらのロールハウジングへの接続も、非常に複雑である。
【0050】
この文脈において、圧延パスは、特にクロス圧延ユニットが圧延中にワークピースを向ける自由空間を表わす。したがって圧延パスは、特にロールの位置、及び存在する場合はマンドレルの位置、を備える。しかし、特にクロス圧延ユニットに関しては、圧延中心ラインに対するワークピースに関する、ロール表面の角度設定も表わす。
【0051】
上記の説明または特許請求の範囲で説明するソリューションの特徴を、対応した追加的方法における利点を実施できるよう、必要に応じて組み合わせることもできることを、理解されたい。
【0052】
本発明の別の利点、目標、及び特性を、添付の図面にも詳細に示された例示的実施形態の、以下の記載によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】クロス圧延ユニットにおける2つのクロスロールの概略上面図である。
図2】第1のクロス圧延ユニットの概略側面図である。
図3】第2のクロス圧延ユニットの概略側面図である。
図4】第3のクロス圧延ユニットの概略正面図である。
図5】第3のクロス圧延ユニットの概略側面図である。
図6】第4のクロス圧延ユニットの概略正面図である。
図7】第4のクロス圧延ユニットの概略側面図である。
図8】計測された変数、及び操作された変数を伴う、マンドレルを有するクロス圧延ユニットを通過するワークピースの、概略側面図である。
図9】入力及び出力変数を伴う多変数制御の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面に示されるクロス圧延ユニット10は各々、少なくとも2つのロール20(図1図3参照)または3つのロール20(図4図7参照)を備え、それらはローラミル21で支持され、次にロールハウジング27に取り付けられ、それによってロール位置決め装置22を介して設定できる。
【0055】
ロール20は、ロール軸25の周りを回転でき、図8でのみ詳細に示される、細長いワークピース32と継続して接触するロール表面26を有する。
【0056】
ここでは、ワークピース32は、圧延中心ライン11に実質的に沿って進む。圧延中心ライン11は、通過する材料のおおよその重心を表わし、より正確には、図示しない送り込み圧延テーブルから、圧延ユニットの中心を通り、図示しない送り出し圧延テーブルまでの軸を表わす。
【0057】
この場合、ロール軸25は、圧延中心ライン11に対して実質的に平行に整合され、本例示的実施形態において、5°~8°の僅かな傾斜角を伴う。逸脱した実施形態において、ここでは場合によっては水平方向に対しても他の傾斜角が、当然ながら提供され得る。
【0058】
ロール20自体は、比較的複雑なロール表面26を有し、それは次に、比較的複雑な圧延パスをもたらし、特にロール20のそれぞれのローラミル21に様々な荷重ももたらす。これは、ロール軸25が水平方向に対して傾斜される場合があることを意味し、それによって、クロス圧延ユニット10に荷重を提供しない場合もある。
【0059】
図1及び図2に示される例示的実施形態の、ロール位置決め装置22は、係合ポイント24としての役割を担う長手方向梁を介して、ロールハウジング27に接続される。それによって、係合ポイント24を介して、または係合手段23と称する場合がある、係合ポイント24とロールハウジング27との間の接続を介して、圧延力はロールハウジング27の中に移され、それによってロールハウジング27の対応した跳ね返りをもたらし、それは、既に上記で示した、ロール20及びローラミル21の非均一的な装荷の結果、最終的に、ロールハウジング27の対応した非均一的な装荷をもたらす場合がある。
【0060】
図4図7に示される例示的実施形態において、堅固なロールハウジング27が提供される。図4及び図5による例示的実施形態において、ロール位置決め装置22へのスレッドが設けられる。図6及び図7による例示的実施形態において、液圧シリンダ及びピストン装置が設けられ、それらをロール20の設定に使用でき、かつ係合手段23として画定できる。逸脱した実施形態において、さらに場合によっては図6及び図7による例示的実施形態においても、スレッドをロール位置決め装置として、例示的実施形態で設けることができ、その一方で、図4及び図5に示された例示的実施形態において、液圧式ロール位置決め装置22を、スレッドの代わりに使用することもできることを、理解されたい。
【0061】
図2図5による配置において、各ローラミル21は、ロールスタンド27に取り付けられ、それによって各ローラミル21を、2つのロール位置決め装置22によって設定することができる。その結果、ロール軸25の、圧延中心ライン11に対する角度も設定することが特に可能であり、または非均一的な荷重変化に対して反応することも可能である。
【0062】
他方で、図6及び図7による例示的実施形態は、ローラミル21に対して1つのロール位置決め装置22のみを有し、それは設計する点において、より容易である。
【0063】
図2図5による例示的実施形態においても、各事例において1つのロール位置決め装置22、及び/または1つの液圧式ロール位置決め装置22のみが設けられ得ること、その一方で、図6及び図7による例示的実施形態において、必要に応じて2つのロール位置決め装置22または機械式ロール位置決め装置22を設けることも可能であること、を理解されたい。必要に応じて、機械式及び液圧式ロール位置決め装置22を組み合わせることも可能である。同様に、圧電式または圧縮空気式の設定手段など、他のロール位置決め装置22を設けることが可能である。
【0064】
図面から直接的に確認できるように、ロール20のロール表面26は、圧延中の、クロス圧延ユニット10の圧延中心ライン11に対して、垂直方向の移動成分を有する。したがって、一般的にこのことから、ロール20のロール表面26は、圧延中に、クロス圧延ユニット10を通るワークピース32の移動方向に対して、垂直方向の移動成分を有する。さらに、2つのロール20の軸25は、図面から極めて明確であるように、クロス圧延ユニット10の圧延中心ライン11に対して平行の成分を有する。
【0065】
図2に示される例示的実施形態において、両方のロール20における2つのローラミル間の変位40は、距離計測システム41を、各事例において、ローラミル21上のロールの基準ポイント50と、それぞれのローラミル21上に配置されたデータム60と、の間に配置することによって計測される。この計測は、圧延中にも容易に実行できる。ここで具体的に、同じ距離計測システム41を使用して、第1のローラミル21におけるロールの基準ポイント50を、第2のローラミル21の基準データム60として指定することができる。
【0066】
逸脱した実施形態において、単一の距離計測システム41のみを使用することも可能であり、それは2つのローラミル21間、または基準50、60間にのみ設けられ、それは各事例において2つのロール20のうち一方に設けられるが、場合によってはその結果、それぞれの圧延パスについての、より不正確な提示のみしか成さない可能性があることを、理解されたい。
【0067】
この例示的実施形態において、距離計測システム41のそれぞれの端部は、ローラミル21に直接装着され、それによってローラミル21自体は、ローラのデータムポイント51または基準データムポイント61としての役割を担う。したがってローラミル21も、それぞれの他のローラミル21までの変位40を計測するための、それぞれの基準としての役割を担う。
【0068】
図2による例示的実施形態において、別個のアセンブリも、図3による例示的実施形態の例によって示されるように、ローラのデータムポイント51または基準データムポイント61としての役割を担うことができることを、理解されたい。ロール位置決め装置22と、ローラミル21または長手方向梁もしくはハウジング梁と、の間に設けられたアセンブリなど、他のアセンブリも適宜使用することができる。または対応した別個のアセンブリが、ローラのデータムポイント51または基準データムポイント61のための支持としての役割を担うことができる。
【0069】
図3に示される実施形態において、各事例で突起部が、ローラのデータムポイント51及び基準データムポイント61としてそれぞれ設けられる。ローラのデータムポイント51のための突起部は、ローラミル21上に配置され、基準データムポイント61のための突起部は、別個の基準フレーム62上に配置される。
【0070】
基準フレーム62は、それぞれの圧延力から独立した基準または基準データム61を提供するよう、ロールハウジング27から切り離される。後者も、図4及び図5に従った例示的実施形態の事例であり、ここでローラのデータムポイント51またはローラのデータム50は、ローラミル21上に設けられるが、それは逸脱した実施形態において、基準フレーム62も使用する図6及び図7による例示的実施形態の事例のように、他のアセンブリ上に設けられる。
【0071】
図3図6、及び図7に示される例示的実施形態の逸脱した実施形態において、ローラのデータムポイント51または基準データムフレーム61に設けるための、別個の突起部は、構造的、特に空間に関して実現可能である場合には、省くこともできることを、理解されたい。必要に応じて、結果として変えられたローラミル21の配置を伴う、傾斜した配置のロール20を、別個の突起部なしで距離計測システム41を連結できるよう、使用することができる。
【0072】
さらに、図3図7に示される例示的実施形態において、必要に応じて距離計測を、図2に示される例示的実施形態による例で例示されるように、ロール20間またはローラミル21自体の間で実行できる。
【0073】
図3に示される例示的実施形態例において、各ロール20における1つのみのローラミル21の変位40は適宜計測される。破線で示されるように、圧延パスのより正確な提示を得られるよう、別の基準フレーム62を、各ロール20におけるそれぞれ他のローラミル21における計測のために、設けることもできることを理解されたい。同様に、図4図7による例示的実施形態において、個々の距離計測システム41は、必要に応じて省くこともできるが、対応した計測精度は得られない。
【0074】
図3図7による例示的実施形態で極めて明確であるように、ロール20のローラミルと、係合手段23の外側に設けられた基準との間の変位40が、計測される。この目的のため、基準データム61は、ローラミル21のロール位置決め装置22における係合ポイント24の外側に配置される。この係合ポイントは、ロールハウジング27に係合する。
【0075】
本実施形態において、抵抗センサ、容量センサ、及び/または誘導性センサは、距離計測システム41または距離計測のために使用される。代替として、光学レンジファインダ、超音波センサ、またはレーダセンサを、適宜使用することができる。
【0076】
このように、接触または非接触の計測が実行できる。
【0077】
図8に示される例示的実施形態において、マンドレル30及び2つのロール20による、ワークピース32の穴開けプロセスが、概略で示される。対応した手順を、特に、本明細書で提示した他のクロス圧延ユニット20との相互作用において、適用することができる。
【0078】
代替として、内部ツールとしての、マンドレル30を伴う中空ブロックも、対応したクロス圧延ユニット10を用いて圧延することができることを理解されたい。さらに必要に応じて、内部ツールまたはマンドレル30は、ブロックまたは中空ブロックのいずれがワークピース32としてクロス圧延されるかに関わらず、省くことができる。
【0079】
操作された変数、及び計測された変数が、図8及び図9に例として示され、それは、他の操作された変数、及び計測された変数の中でも、本明細書で示される全ての実施形態における多変数制御70のための、入力変数及び出力変数それぞれとして有利に使用することができる。必要に応じて個々の計測された変数、及び操作された変数のみを使用することも可能であり、それら計測された変数、及び操作された変数の個々のものは、除外することができるか、または別の計測された変数、及び操作された変数、ならびにそれらから導出された変数を、多変数制御器70のために使用することができることを理解されたい。
【0080】
例えば、ワークピースの送り込み速度71、ワークピースの送り出し速度72、壁厚73、偏心率74、外径75、楕円率76、圧延荷重77、及びマンドレルの保持力78は、計測された変数としての役割を担うことができ、それらは図8に概略で示される。これら計測された変数、及び別の計測された変数、ならびに計測された変数から導出された変数は、図9に例として示されるように、多変数制御器70の入力変数としての役割を担うことができる。
【0081】
さらに図8及び図9において、操作された変数として例によって概略示されるのは、拡がり角度の調整80、ここでは上部及び底部ロールとして使用される、ロール20の動的位置決め調整81、上部及び底部ロールとして使用されるロールを同時に調整することによる、圧延中心の動的調整82、ならびにマンドレル位置の動的調整83、である。
【0082】
具体的には、これら操作された変数は、必要に応じて個々の出力変数によって、それぞれロール位置決め装置22、及びマンドレル30を保持するマンドレル位置調整装置31に対して実施することができる。その一方で、この例示的実施形態において、これら操作された変数の各々は、例えばロール20の同時移動を保証するために、関連のアクチュエータ、すなわちロール位置決め装置22及びマンドレル位置調整装置31それぞれを連携して起動させる。
【0083】
拡がり角度の調整80が、例えば圧延中心ライン11に対して垂直方向の、対応したマンドレル30の調整によって、マンドレル位置調整装置31を使用して、または圧延中心の動的調整82によって、成されることを理解されたい。
【0084】
それ以外で、マンドレル位置調整装置31は、圧延中心ライン11に沿って見られるように、マンドレル30の軸位置、すなわちロール20に対するマンドレル30の位置を調整することもできる。それは、必要に応じて操作された変数として使用することもできる。
【0085】
これら例示的実施形態で示される、全ての操作された変数を、特に圧延中に調整することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 クロス圧延装置
11 圧延中心ライン
20 ロール
21 ローラミル
22 ロール位置決め装置
23 係合手段
24 係合ポイント
25 ロール軸
26 ロール表面
27 ロールハウジング
30 マンドレル
31 マンドレル位置調整装置
32 ワークピース
40 変位(例として示す)
41 距離計測システム
50 ロールのデータム(例として指定)
51 ロールのデータムポイント(例として指定)
60 基準データム(例として指定)
61 基準データムポイント(例として指定)
62 基準フレーム
70 多変数制御
71 ワークピースの送り込み速度
72 ワークピースの送り出し速度
73 壁厚
74 偏心率
75 外径
76 楕円率
77 圧延力
78 マンドレルの保持力
80 拡がり角度の調整
81 個々の動的位置決め調整
82 圧延中心の動的調整
83 マンドレル位置の動的調整
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】