(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】プッシャ機構及びプッシャ機構を含むストラップを引っ張るためのシステム
(51)【国際特許分類】
F16H 25/02 20060101AFI20221110BHJP
B63B 23/08 20060101ALI20221110BHJP
B63B 23/10 20060101ALI20221110BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20221110BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20221110BHJP
B63B 59/02 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
F16H25/02
B63B23/08
B63B23/10
B25J17/00 G
B25J19/00 A
B63B59/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515833
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2020075119
(87)【国際公開番号】W WO2021048152
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395908
【氏名又は名称】プッシュ4エム
【氏名又は名称原語表記】PUSH4M
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・リュシー,ニコラ
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707HS02
3C707HS12
3C707HS27
3C707HT01
3C707HT19
3J062AA42
3J062AB31
3J062AC08
3J062BA37
3J062CC12
3J062CC33
(57)【要約】
本発明は、使用時に圧縮力又は引張力を受けることができ、第1の方向を画定する高さ(H)、幅(l)、及び厚さ(E)を有するカラム(1)であって、厚さ(E)が一定であり、高さ(H)が、使用時に、静止状態の値(H0)と最大値(HM)との間で可変であり、幅(l)が、使用時に、静止状態の値(l0)と最小値(lm)との間で可変であり、カラムが、互いに対向し、高さ(H)及び厚さ(E)に沿って延在する2つの直立部材(2、3)と、直立部材によって支持され、カラムの幅(l)に沿って直立部材に加えられる圧縮力を、その幅(l)が続いて減少し(l<l0)、その高さ(H)が続いて増加し(H>H0)、逆の場合も同様である、カラムの第1の方向に沿った移動に変換するように設計された可逆手段(6)とを含む、カラム(1)を含むプッシャ機構に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に圧縮力又は引張力を受けることができ、第1の方向を画定する高さ(H)、幅(l)、及び厚さ(E)を有するカラム(1、7)であって、前記厚さ(E)が一定であり、前記高さ(H)が、動作時に静止時の値(H
0)と最大値(H
M)との間で可変であり、前記幅(l)が、動作時に静止時の値(l
0)と最小値(l
m)との間で可変であり、前記カラムが、前記高さ(H)及び前記厚さ(E)に従って延在する互いに対面する2つの直立部(2、3;27、37)と、前記直立部によって支持され、前記カラムの前記幅(l)に従って前記直立部に加えられる圧縮力を、次いで前記カラムの幅(l)が減少し(l<l
0)、前記カラムの高さ(H)が増加し(H>H
0)、逆の場合も同様である、前記カラムの前記第1の方向に従った移動に変換するように設計された可逆手段(6、67)とを含む、カラム(1、7)を含むプッシャ機構において、
前記可逆手段が、
前記厚さ(E)に従って延在し、前記第1の方向に直角な平面に対する第1の傾斜面(510~590;531~571)を画定する少なくとも1つの表面を有する少なくとも2つの角形成部品(50~59、60)であって、前記少なくとも2つの第1の部品が、異なる直立部に位置することによって、2つの対面する直立部のうちの一方に各々固定されている、少なくとも2つの角形成部品(50~59、60)と、
前記厚さ(E)に従って延在し、前記平面に対する第2の傾斜面(400~403;410~413;420~423;430~433)を各々画定する少なくとも2つの表面を有する少なくとも1つの相補的な第2の部品(40~43;407~477)であって、この少なくとも1つの第2の部品が2つの第1の部品の間に配置されており、
前記少なくとも1つの第2の部品の上での角を形成する第1の部品の滑りが、前記少なくとも1つの第2の部品の前記第1の方向に従った移動を駆動するように、第1の部品の前記第1の傾斜面が、前記第2の部品の前記第2の傾斜面のうちの1つの上を滑るように設計されている、少なくとも1つの相補的な第2の部品(40~43;407~477)と
を含むことを特徴とするプッシャ機構。
【請求項2】
前記直立部(2、3;27、37)が、高さ、幅、及び厚さが一定であり、前記高さが(H
0)未満である、少なくとも2つの独立した部品(20~24;30~34;270~278;370~374)として製造されている、請求項1記載のプッシャ機構。
【請求項3】
前記少なくとも2つの角を形成する第1の部品が、前記カラムの前記高さ(H)に従って対面しているか、又はオフセットされている、請求項1及び2のいずれか一項記載のプッシャ機構。
【請求項4】
前記カラムが、前記第1の方向に従って隣接して配置されたいくつかの相補的な第2の部品を含み、前記第1の方向に従ったこれら第2の部品の移動中に、この構成に従って前記第2の部品を保持するために弾性手段(44)が設けられている、請求項2及び3のいずれか一項記載のプッシャ機構。
【請求項5】
作動手段(94)を含む、請求項1~4のいずれか一項記載のプッシャ機構。
【請求項6】
隣接する直立部によって互いに連結された、請求項1~5のいずれか一項記載の少なくとも3つのプッシャ機構を含む、時間的にずらされた一連の推力の発生を可能にするプッシャ装置。
【請求項7】
少なくとも2つのカラムが、垂直案内路リンクによって互いに連結された隣接する直立部を有する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記装置の前記直立部の間に、前記直立部を互いに弾性的に連結するために弾性手段を含む、請求項6又は7記載の装置。
【請求項9】
対応する取り付け点にそれぞれ固定された、遠位端部分(831)と近位端部分(830)との間に長手方向に延在する非伸長可能又は実質的に非伸長可能なストラップ(83)を引っ張るためのシステムにおいて、請求項1~5のいずれか一項記載の少なくとも3つのプッシャ機構、すなわち、前記ストラップの第1の中央部分上の横方向の引っ張りのための第1のプッシャ機構と、前記第1の中央部分の両側に位置するストラップの第2の部分及び第3の部分上の横方向の引っ張りのための2つのプッシャ機構とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
荷重(80)を支持する近位部品(810)と遠位部品との間に長手方向に延在するレバーアーム(81)であって、前記近位部品(810)が、ベースに固定された軸(82)を中心に回転移動可能であり、前記ストラップの前記遠位端部分(831)が、その部品のために、前記取り付け点のうちの1つによって前記アームの前記近位部分(810)に固定されており、前記ストラップの前記近位端部分(830)が、前記取り付け点のうちの前記第2の取り付け点を形成する固定点に固定されている、レバーアーム(81)をさらに含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
プッシャ機構の数がn+2(n≧3)に等しく、これらの手段が、前記ストラップに沿って長手方向に、前記固定点と、前記固定点と同じ長手方向平面内に位置するプーリ、回転軸又は回転戻りシリンダとの間に等距離に位置する中央プッシャ機構に関して対称に分配されている、請求項9又は10記載のシステム。
【請求項12】
船体(70)上に静止状態で配置された救命ボートを操縦するためのシステムであって、第1の軸(733)を中心に相互に関節接合された2本のアーム(730、731)であって、前記第1のアーム(730)が第2の軸(732)を中心に前記船体(70)上にも関節接合されており、前記第2のアーム(731)が前記救命ボートを支持する、2本のアーム(730、731)と、請求項9又は11記載の2つのストラップ引っ張りシステムであって、前記システムの一方(734、734a)がボート上に、他方(735、735a)が前記第1のアーム(730)上に位置している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシャ機構の技術分野に関する。
【0002】
そのような手段は周知であり、垂直ピストンから、又はロータリーカムに固定されたロッドからなることができる。
【0003】
しかしながらそのような手段は、複数の装置が単一の駆動源と共に使用され、装置の各々を個別に制御したい場合に欠点を呈する。実際にはその場合、分配器及び制御システムを設けることが必要である。そうすると手段が全体として非常に重くなり、複雑になり、製造及び稼働中の管理が困難になる。本発明の目的は、根本的に異なる設計の、特に、腕の筋肉、より具体的には二頭筋がどのように動作するかの観察に基づくものであるプッシャ機構を提案することによってこれらの欠点を軽減することである。
【0004】
実際、前腕の端部に位置する手によって荷重を持ち上げるには、腕の筋肉の長さが減少し、その構成筋線維の横方向体積を増加させることによって筋肉が硬直する。
【0005】
これが、本発明によるプッシャ機構が、例えば、荷重がある距離から持ち上げられることを可能にするために、ストラップ引っ張り装置に有利に適用可能である理由である。
【0006】
よって、本発明は、動作時に圧縮力又は引張力を受けることができ、第1の方向を画定する高さ(H)、幅(l)、及び厚さ(E)を有するカラムであって、厚さ(E)が一定であり、高さ(H)が、動作時に静止時の値(H0)と最大値(HM)との間で可変であり、幅(l)が、動作時に静止時の値(l0)と最小値(lm)との間で可変であり、前記カラムが、高さ(H)及び厚さ(E)に従って延在する互いに対面する2つの直立部と、前記直立部によって支持され、カラムの幅(l)に従って直立部に加えられる圧縮力を、次いでその幅(l)が減少し(l<l0)、その高さ(H)が増加し(H>H0)、逆の場合も同様である、カラムの前記第1の方向に従った移動に変換するように設計された可逆手段とを含む、カラムを含むプッシャ機構に関する。
【0007】
有利な実施形態では、以下の規定のうちの1つ又は他の規定に依拠する:
反転手段は、
厚さ(E)に従って延在し、前記第1の方向に直角な平面に対して傾斜した第1の平面を画定する少なくとも1つの表面を有する少なくとも2つの角を形成する第1の部品であって、前記少なくとも2つの第1の部品が、異なる直立部に位置することによって、2つの対面する直立部のうちの一方に各々固定されている、少なくとも2つの角を形成する第1の部品と、
厚さ(E)に従って延在し、前記平面に対して傾斜した第2の平面を各々画定する2つの表面を有する少なくとも1つの相補的な第2の部品であって、この少なくとも1つの第2の部品が2つの第1の部品の間に配置されており、
前記少なくとも1つの第2の部品の上での角を形成する第1の部品の滑りが、少なくとも1つの第2の部品の前記第1の方向に従った移動を駆動するように、第1の部品の第1の傾斜面が、第2の部品の第2の傾斜面のうちの1つの上を滑るように設計されている、少なくとも1つの相補的な第2の部品と
を含む。
【0008】
直立部は、少なくとも2つの独立した部品として製造されており、その高さ、幅、及び厚さは一定であり、その高さは(H0)未満である。
【0009】
前記少なくとも2つの角を形成する第1の部品は、カラムの高さ(H)に従って対面しているか、又はオフセットされている。
【0010】
カラムは、前記第1の方向に従って隣接して配置されたいくつかの相補的な第2の部品を含み、前記第1の方向に従ったこれら第2の部品の移動中に、この構成に従って前記第2の部品を保持するために弾性手段が設けられている。
【0011】
本発明はまた、隣接する直立部によって互いに連結された本発明による少なくとも3つのプッシャ機構を含む、時間的にずらされた一連の推力の発生を可能にするプッシャ装置にも関する。
【0012】
有利には、少なくとも2つのカラムは、垂直案内路リンクによって互いに連結された隣接する直立部を有する。
【0013】
本発明はまた、対応する取り付け点にそれぞれ固定された、遠位端部分と近位端部分との間に長手方向に延在する非伸長可能又は実質的に非伸長可能なストラップを引っ張るためのシステムであって、本発明による少なくとも3つのプッシャ機構、すなわち、ストラップの第1の中央部分上の横方向の引っ張りのための第1のプッシャ機構と、第1の中央部分の両側に位置するストラップの第2の部分及び第3の部分上の横方向の引っ張りのための2つのプッシャ機構とを含むことを特徴とするシステムにも関する。
【0014】
有利には、このシステムはまた、荷重を支持する近位部品と遠位部品との間に長手方向に延在するレバーアームであって、近位部品が、ベースに固定された軸を中心に回転移動可能であり、ストラップの遠位部分は、その部分のために、取り付け点のうちの1つによってアームの前記近位部品に固定されており、ストラップの近位端部分が、取り付け点のうちの第2の取り付け点を形成する固定点に固定されている、レバーアームも含む。
【0015】
好ましくは、プッシャ機構の数はn+2(n≧3)に等しく、これらの手段は、ストラップに沿って長手方向に、固定点と、固定点と同じ長手方向平面内に位置するプーリ又は回転戻りシリンダとの間に等距離に位置する中央プッシャ機構に関して対称に分配されている。
【0016】
本発明は、非限定的な例として与えられ、添付の図面に関してなされる以下の実施形態の説明を読めば、よりよく理解され、本発明の他の目的、利点及び特徴がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】静止状態の本発明による例示的なプッシャ機構の斜めから見た正面図である。
【
図4】圧縮位置にある
図1のプッシャ機構の斜視図である。
【
図5A】本発明によるプッシャ機構の動作原理を説明する図である
図5A及び
図5Bを含む図である。
【
図5B】本発明によるプッシャ機構の動作原理を説明する図である
図5A及び
図5Bを含む図である。
【
図6】本発明による装置の半分のみが示されている正面図である。
【
図7】装置に張力が加えられたときの、
図6に示されるシステムの圧縮の4つの異なるステップを表す、
図6に示されるプッシャ装置の正面図である。
【
図8】装置に張力が加えられたときの、
図6に示されるシステムの圧縮の4つの異なるステップを表す、
図6に示されるプッシャ装置の正面図である。
【
図9】装置に張力が加えられたときの、
図6に示されるシステムの圧縮の4つの異なるステップを表す、
図6に示されるプッシャ装置の正面図である。
【
図10】装置に張力が加えられたときの、
図6に示されるシステムの圧縮の4つの異なるステップを表す、
図6に示されるプッシャ装置の正面図である。
【
図11】荷重なしで圧縮されているときの
図6の装置を示す正面図である。
【
図12】荷重なしで圧縮されているときの
図6の装置を示す正面図である。
【
図13】荷重なしで圧縮されているときの
図6の装置を示す正面図である。
【
図14】
図1に示されるプッシャ機構とは異なる形態を有する、静止状態の本発明によるプッシャ機構を示す正面図である。
【
図15】圧縮を受けた後の、
図1及び
図14に示されるような2つのプッシャ機構によって形成されたプッシャ装置を示す図である。
【
図16】異なる動作ステップ中の、本発明によるプッシャ装置を使用する荷重持ち上げ機構を示す正面図である。
【
図17】異なる動作ステップ中の、本発明によるプッシャ装置を使用する荷重持ち上げ機構を示す正面図である。
【
図18】異なる動作ステップ中の、本発明によるプッシャ装置を使用する荷重持ち上げ機構を示す正面図である。
【
図19】異なる動作ステップ中の、本発明によるプッシャ装置を使用する荷重持ち上げ機構を示す正面図である。
【
図20】ストラップが装置に圧力を加える、本発明によるプッシャ装置の動作を示すスケルトン図である。
【
図21】プッシャ装置が減圧位置にある、作動手段を示す本発明による別のプッシャ装置の正面図である。
【
図22】圧縮位置にある、
図21に示される装置の正面図である。
【
図23A】救命ボートの降下のための本発明による装置の異なる動作ステップを示す図である。
【
図23B】救命ボートの降下のための本発明による装置の異なる動作ステップを示す図である。
【
図23C】救命ボートの降下のための本発明による装置の異なる動作ステップを示す図である。
【
図23D】救命ボートの降下のための本発明による装置の異なる動作ステップを示す図である。
【0018】
異なる図に共通する要素は、同じ参照符号によって示される。
【0019】
まず、
図1~
図3を参照すると、これらの図は、本発明によるプッシャ機構の一例を示している。
【0020】
この機構は、より詳細に説明されることになる手段6がその間に配置されている、互いに対面する2つの直立部2、3を有するカラム1を含む。
【0021】
このカラムは、ここでは、機構が静止している、すなわちカラム1に圧縮力又は引張力が加えられていない、(H0)に等しい高さ(H)を有する。
【0022】
この値(H0)は、カラム1の高さの最小値である。
【0023】
直立部の各々は、この高さ(H)にわたって延在し、ここではH0に等しい。
【0024】
カラム1はまた、ここでは、静止時、すなわち圧縮力又は引張力が存在しない状態のカラムの幅の値である、(l0)に等しい幅(l)を有する。
【0025】
この値(l0)は、カラムの最大幅に対応する。
【0026】
最後に、このカラム1は厚さ(E)を有し、この値(E)はプッシャ機構の動作全体を通して一定のままである。この「一定」という概念は、値(E)が、静止しているときの機構の厚さの値に対して非常に低い、すなわち10%未満、好ましくは5%未満の変動幅を有することを意味する。
【0027】
逆に、寸法(H)及び(l)は、プッシャ機構の静止位置におけるそれらの値に対して、はるかに大きな割合で、例えば少なくとも25%だけ変動するため可変であり、この変動は、有利には、(H)について少なくとも50%、さらには少なくとも100%でさえある。
【0028】
直立部の各々はまた、この厚さ(E)にわたって延在し、所定の幅を有する。
【0029】
2つの直立部2及び3の高さ(H)は、プッシャ機構が平坦な支持体上に配置されたときの垂直方向である第1の方向を画定し、2つの直立部2及び3はこの支持体を圧迫している。これはストラップからなり得る。
【0030】
図1に示される例では、2つの直立部2及び3の各々は、いくつかの独立した部品によって形成されており、それらのうちの3つ、それぞれ20、21及び22並びに30、31及び32が、
図1で見えている。これらの部品の各々の高さ、幅、及び厚さは一定であるが、これらの様々な部品は、後述するように、高さ(H)によって画定される方向に従って互いから離れるように移動することができる。
【0031】
次に、カラム1を分解図で示す
図2及び
図3を参照して、手段6をより詳細に説明する。
【0032】
まず、これらの2つの図は、カラム2及び3の各々が、
図1に示されているものの間に挿入された2つの相補的な部品を含むことを示している。
【0033】
よって、直立部2については、構成部品20及び21の間に別の部品23が挿入されており、構成部品21及び22の間に別の部品24が挿入されている。
【0034】
同様に、直立部3については、
図1に示される直立部の部品30及び31の間に別の部品33が挿入されており、構成部品31及び32の間に別の部品34が挿入されている。
【0035】
手段6は、次に説明される相補的な第1の部品及び第2の部品のアセンブリから構成されている。
【0036】
第1の部品は、カラム1の厚さ(E)に従って延在する角形成部品である。
【0037】
第1の部品51、53、55、57及び59は直立部2に固定されており、部品50、52、54、56及び58は直立部3に固定されている。
【0038】
これらの第1の角形成部品50~59は、ここでは、対応する直立部の構成部品に固定されている。
【0039】
それらの各々が、これらの第1の部品すべてについて同一である頂角αを有する三角形の前端部分を有する。
【0040】
この角度αは、例えば、第1の部品(及び次に説明される第2の部品)の構成材料が鋼である場合、22°に実質的に等しい。
【0041】
さらに、これらの第1の部品の各々は、横断面、すなわちカラムの直立部の高さによって画定される第1の方向に直角な平面に対して角度α/2だけ傾斜した第1の平面510~590を画定する。
【0042】
図2及び
図3において、いくつかの第1の部品52~57は、横断面に関して第1の傾斜面530~570に対称な別の第1の傾斜面521~571を画定することに気付くであろう。
【0043】
手段6はまた、第1の部品を補完する、やはりカラムの厚さ(E)に従って延在する4つの第2の部品40~43も含む。
【0044】
これらの第2の部品の各々は、矢状面に対して傾斜した第2の平面を各々画定する2つの表面を有する。
【0045】
図に示される例では、これらの第2の部品の各々は、菱形の前端面の断面を有し、そのため横断面に対して傾斜した第2の平面を各々画定する4つの表面を有する。
【0046】
図1~
図3が示すように、これら4つの表面は、矢状面と横断面とに関して2つずつ対称である。
【0047】
よって、例えば、第2の部品40については、一方では傾斜面400、402が、他方では傾斜面401、403が、矢状面に関して対称であり、これらの2対の各々が、角を形成する第1の部品によって画定されるものと同一の頂角αを画定する。平面400~403は、したがって、横断面に対して角度α/2だけ傾斜している。
【0048】
さらに、一方では傾斜面400、401が、他方では傾斜面402、403が、この横断面に関して対称であり、頂角βを形成する。これらの平面400~403は、したがって、この矢状面に対して角度β/2だけ傾斜している。
【0049】
さらに、これらの図は、2つの第1の部品間に第2の部品が配置されていることを示している。
【0050】
よって、例えば、第2の部品41については、これは、2つの対面する直立部に固定された、同じ高さに位置する2つの第1の部品52及び53の間に位置している。
【0051】
この第2の部品41は、2つの対面する直立部に固定された、ただし今回は、カラムの高さ(H)に従ってオフセットされた、2つの第1の部品53及び54の間に位置していることも考慮することができる。
【0052】
同じ角度αを選択すると、第1の部品の第1の傾斜面は、第2の部品の第2の傾斜面のうちの1つの上を滑るように設計されることが理解される。
【0053】
よって、第2の部品41について、第1の部品53の第1の傾斜面530は、第2の部品41の第2の傾斜面411上を滑るように設計されている。
【0054】
同様に、第1の部品52の第1の傾斜面520は、第2の部品41の第2の傾斜面410上を滑るように設計されている。
【0055】
同じことが、第2の部品41の第2の傾斜面412上での、第2の部品54の第1の傾斜面541にも当てはまる。
【0056】
相補的な第2の部品40~43は、頂角βに対応するこれらの部品の各々の縁部が、その高さ(H)によって画定されるカラムの第1の方向に従って位置合わせされるように、手段6内に配置されている。
【0057】
図1に示されるプッシャ機構が組み立てられた状態にあるとき、第2の部品は、弾性手段44によってこの位置に保持される。これらの手段は、第1の方向に従ったこれら第2の部品の相対移動を可能にする。
【0058】
互いに対面する第1の部品及び第2の部品をそれらの相対的な滑りを確実にするように保持するために、止め具404、405~434、435が、第2の部品40~43上に設けられており、第1の部品50~57の上面に設けられた案内路512~572及び第1の部品50~59の底面に設けられた案内路531~591と協働する(
図2では第1の部品51~59上に設けられた案内路のみが見えている)。
【0059】
図3に、カラムの両端に位置する第2の部品40及び43が、これらの弾性手段を通過させるためのノッチ440、441を含むことを示す。
【0060】
本発明は、当然ながら、この実施形態に限定されず、この構成に従って第2の部品を保持するための別のシステムを設けることもできる。
【0061】
次に
図4を参照すると、この図は、カラムの幅に従ってカラムの内部に向かって直立部2及び3の各々に圧縮力が加えられた後のプッシャ機構のカラム1を示している。
【0062】
この圧縮力は、矢印F1及び矢印F2によって示されている。
【0063】
この圧縮力は、プッシャ機構の一部を形成する場合も形成しない場合もある任意の適切な手段によってカラム1に加えられる。それらは、機械的手段、例えば、シリンダ、ウォームスクリュー万力、ウインチに巻かれたケーブル、油圧シリンダ又は空気圧シリンダ、とすることができる。そのような作動手段の一実施形態が、
図21及び
図22を参照して説明されている。
【0064】
例えば、誘電エラストマーなどの電場の作用下で変形可能な材料でプッシャ機構を製造することも想定可能である。電場の作用は、その場合、圧縮力又は引張力によっても反映される。
【0065】
そのような圧縮力がカラムの直立部に加えられると、角を形成する第1の部品は、相補的な第2の部品によって画定された傾斜面上を滑り、カラムの内部に接近する。第1の部品のこの移動は、カラムの第1の方向に従って互いから離れる第2の部品の動きを引き起こし、さらにこの第1の方向に従って直立部の各々の様々な構成部品の互いから離れる動きを引き起こす。
【0066】
図4は、よって、完全な圧縮位置にあるカラム1を示している。
【0067】
この位置では、カラムの高さ(H)が増加して最大値(HM)に達していることが分かる。さらに、カラムの幅(l)は減少して最小値(lm)に達している。
【0068】
第1の部品と第2の部品との相対的な滑りによって生じる効果は、
図5A及び
図5Bに概略的に示されている。
【0069】
これらの図は、2つの角を形成する第1の部品5a及び5bと、2つの相補的な第2の部品4a及び4bとを概略的に示している。
【0070】
第1の部品5a及び5bは、各対が頂角αを画定する、50a、51aと50b、51bとで参照される、矢状面に対して傾斜した2つの第1の平面を画定している。
【0071】
同様に、2つの相補的な部品4a及び4bも、頂角βを画定し、横断面に関して対称な傾斜面の対42a、43aと40b、41bとを画定している。
【0072】
図5Aは、第2の部品が横断面に従って隣接して配置され、第1の部品が互いに対面し、第2の部品によって画定された傾斜面の外側部分を圧迫している、静止時の4つの部品のアセンブリを示している。
【0073】
図5Bは、矢印F1及び矢印F2によって概略的に表される圧縮力が、アセンブリの内部に向かって第1の部品5a及び5bに加えられた後の、
図5Aに示されたアセンブリを示している。
【0074】
図5Bは、第1の部品5a及び5bが、次いで、それらが接触している第2の部品の傾斜面上を滑り、第2の部品5a及び5bが離れる動きを引き起こすことを示している。
【0075】
第2の部品は、したがって、矢印F3及び矢印F4に従って移動する。
【0076】
アセンブリの高さは、したがって、アセンブリに圧縮力が加えられたときに静止位置から増加する。
【0077】
一般に、アセンブリの最大高さは、第1の部品及び第2の部品の傾斜面の長さと頂角αとに依存する。
【0078】
このアセンブリの動作は可逆的である。
【0079】
よって、引張力、すなわち矢印F1及び矢印F2の方向とは反対の方向の引張力が第1の部品5a及び5bに加えられる場合、第2の部品4a及び4bは互いに向かって近づき、
図5Aに示される静止位置に戻る。
【0080】
しかしながら、引張力が存在しない場合、アセンブリは、圧縮力が作用を停止しても、アセンブリが到達した位置を維持する。これは、第1の部品と第2の部品との傾斜面間の摩擦によって得られる。
【0081】
一例として、アセンブリのこの安定性は、すべての部品が、摩擦係数が0.2である、22°未満の角度αの鋼で作られている場合に得ることができる。
【0082】
よって、一般に、角度αは、装置の動作を保証するのに必要な圧縮力又は引張力を最小値に保ちながら装置の安定性を保証するような部品の構成材料の関数として選択される。
【0083】
次に
図6を参照すると、この図は、9つのカラムを含む本発明によるプッシャ装置8を示しており、装置の半分のみが示されている。この装置は静止状態である。
【0084】
図6は、したがって、カラム10~13及び部分的にカラム14を示している。
【0085】
これらのカラムの各々は、
図1に示される種類のものであり、互いに隣接して配置されている。
【0086】
加えて、カラム10及び11のような2つの隣接するカラムは、垂直案内路型のリンクによって互いに連結された隣接する直立部を有する。
【0087】
よって、直立部103は、カラム10及び11の2つの直立部を結合している。同じことが直立部113とカラム11及び12、直立部123とカラム12及び13、並びに最後に直立部133とカラム13及び14についても当てはまる。
【0088】
図6に示されるプッシャ装置8の動作を、まず、
図7~
図10を参照して説明する。
【0089】
この動作モードでは、プッシャ装置8は、平坦な固体支持体(図示されていない)上に配置されており、カラム10~14は、したがってその場合、この水平支持体に対して垂直な第1の方向に従って延在する。この支持体は、プッシャ装置が動作しているときにカラムの滑りを容易にするように選択される。
【0090】
さらに、この動作モードでは、ストラップが、プッシャ装置1の両側で張っており、この装置に、ベースとは反対側で、又は装置の上部にさえ圧力を加える。
【0091】
このストラップは、非伸長可能又は実質的に非伸長可能であり、プッシャ装置に対するその位置決めを見るために、後述する
図16~
図19を参照することができる。
【0092】
実質的に非伸長可能な部材とは、その破断点、例えば500MPa未満の決定された最大張力でその長さの5%未満の伸長を被るように構成された部材であると理解される。この伸長は、例えば、3%未満、有利には1%未満、さらには0.5%又は0.05%である。
【0093】
図7に、装置の幅に従って、装置の端部直立部102に圧縮力が加えられ始めた後の、本発明によるプッシャ装置の動作のステップを示す。この圧縮力は、2つの矢印(F
1)及び(F
2)によって概略的に表されている。
【0094】
図7は、この圧縮力が主に、装置の中心に位置するカラムに影響を及ぼしたことを示している。実際には、直立部123及び133の様々な構成部品のみが互いから離れるように移動し始めており、この離れる動きは、装置の中心に最も近く位置する直立部133の方が大きい。
【0095】
装置が固体支持体上に配置される限りにおいて、カラムは、この支持体から離れるように移動することによって第1の方向に従って変形されることが理解される。言い換えると、カラムの各々の第2の部品は、支持体が水平である限り、垂直に変位されることによって互いから離れるように移動するが、これらのカラムの幅は減少する。
【0096】
図8に、圧縮力がプッシャ装置の端部直立部に加えられ続けた後の次のステップを示す。
【0097】
図8は、すべての直立部の構成部品が互いから離れるように移動したことを示しているが、離れる動きは、装置の中心に最も近く位置する直立部133の方が大きく、この離れる動きは、直立部123から直立部102に向かって減少する。
【0098】
図9に、圧縮力が加えられ続けたときの装置の動作の別の後続の段階を示す。
【0099】
実質的に装置の中央に位置する直立部133は、実際上その最大高さに達しているが、その他の直立部123~102では、それらの構成部品が互いから次第に離れるように移動していることが観察されるであろう。
【0100】
最後に、
図10に、本発明によるプッシャ装置の完全な圧縮位置を示す。
図4に示されるように、すべての直立部133~102は最大高さ(H
M)に達しており、他方カラム10~14の各々の幅はその最小値(l
m)に達している。
【0101】
ストラップが圧力を加えるこの動作モードでは、様々なカラムは、ストラップに作用するように、
図20に示される以下の原理に従って変形される。
【0102】
考慮されるプッシャ装置は、互いに離間した、例えば
図1に示される種類の3つのカラムを含む。
【0103】
さらに、ストラップ83は、その近位端部分830によってベース832に固定されており、その遠位端部分831によってレバーアームの近位部品810に固定されている。
【0104】
参照符号82は、それを中心にレバーアームが回転移動可能である軸を表しており、参照符号833は、ストラップを保持する固定軸を表している。参照符号84、85及び86は、ストラップの一部分の中心を各々表しており、したがってストラップは3つの部分に分かれている。
【0105】
図20に示される例では、これらの中心は、互いから、また固定点832及び833と実質的に等距離にある。
【0106】
これら3つの中心の各々に面してカラム(図示されていない)が配置されている。
【0107】
静止状態では、ストラップ83は、ベース832と軸82との間(実線で示される位置)に水平に延在する。
【0108】
プッシャ装置に加えられる圧縮は、(その中心84によって概略的に表される)ストラップ83の略中央部分に、矢印90によって概略的に表される第1の張力を発生させる。この加圧により、この部分が高さh1だけ持ち上げられ、静止時のストラップの方向とこの第1の加圧後のストラップの方向(
図20に点線で示される位置)との間に角度αが形成される。
【0109】
この第1の加圧は、後続の加圧と同様に、ストラップの初期位置に直角に、すなわちここでは垂直に加えられる。
【0110】
プッシャ装置に対する圧縮は、矢印91及び92によって概略的に表される第2の及び第3の加圧を同時に又は連続的に発生させる。
【0111】
これらの張力の各々は、(その中心85、86によって概略的に表される)ストラップの側方部分に加えられ、ストラップのこの部分を高さh2、h3だけ持ち上げさせる。
【0112】
したがって、(点線で示される)第1の加圧後のストラップ83の方向と(実線で示される)第2及び第3の加圧後のストラップ83の方向との間の角度βの形成につながる。
【0113】
プッシャ装置の圧縮はまた、矢印93によって概略的に表されるストラップの実質的に中央部分に対する、第4の加圧を発生させる。これにより、ストラップのこの部分が高さh4だけ持ち上げられる。
【0114】
図16~
図19を参照して説明されるように、これらの加圧は、ストラップが非伸長可能又は実質的に非伸長可能である程度までストラップを持ち上げることを可能にし、これは、補償するために、軸82を中心に反時計回り方向に回転するレバーアームの移動を引き起こす。
【0115】
明らかに、
図20は、単なるスケルトン図であり、実際には、本発明によるプッシャ装置は、ストラップに対する一連の推力サイクルを発生させることができ、装置が4つ以上のカラムを含む場合には、ストラップの4つ以上の部分にわたってこれを行うことができる。
【0116】
このカラムがストラップによって圧縮された2つの隣接するカラムによって取り囲まれている場合、高さ(したがって幅)が変形されるカラムの影響下でストラップの任意の部分をさらに変形させることができる。
【0117】
明らかに、
図6に示されるプッシャ装置8の動作は可逆的である。
【0118】
言い換えると、引張力、すなわち矢印F1及び矢印F2によって概略的に表される圧縮力の反対の力が
図10に示されるプッシャ装置に加えられる場合、この装置は、
図6に示される静止状態に戻ることができ、例えば
図9、
図8、及び
図7に示される動作ステップを通過する。
【0119】
一方、引張力が存在しない場合、プッシャ装置は、圧縮力が排除されても、圧縮力が配置した位置を維持する。これは、対面する傾斜面の間に十分な摩擦力が存在する場合に可能になる。
【0120】
【0121】
前述の動作モードに関して、プッシャ装置は平坦な支持体(図示されていない)上に配置されている。
【0122】
一方、装置8には圧縮が加えられない。
【0123】
図11に、装置の幅に従って、装置の端部直立部102に圧縮力が加えられ始めた後の、
図6のプッシャ装置の動作のステップを示す。この圧縮力は、2つの矢印F1及び矢印F2によって概略的に表されている。
【0124】
図12は、この圧縮力が、装置の端部に位置するカラムに本質的に影響を及ぼしたことを示している。実際、直立部102及び103の様々な構成部品のみが互いから離れるように移動し始めており、この離れる動きは、装置の端部に位置する直立部102の方が大きい。
【0125】
装置が固体支持体上に配置される限りにおいて、カラムは、この支持体から離れるように移動することによって第1の方向に従って変形されることが理解される。よって、カラムの2つの直立部の間に位置する第2の部品は、支持体から離れるように移動することによって、又は支持体が水平である限り、垂直方向に従ってさえも、互いから離れるように移動する傾向がある。
【0126】
図12に、圧縮力がプッシャ装置の端部直立部に加えられ続けた後の次のステップを示す。
【0127】
図12は、すべての直立部の構成部品が互いに離れるように移動することを示しているが、離れる動きは、装置の端部に位置する直立部102の方が大きく、この離れる動きは、直立部102から直立部133に向かって減少する。
【0128】
図13に、圧縮力がプッシャ装置に加えられ続けたときの装置の動作の別の後続のステップを示す。
【0129】
装置の端部に位置する直立部102は、実際上その最大値に達しているが、その他の直立部103~123では、それらの構成部品が互いから次第に離れるように移動していることが観察されるであろう。
【0130】
前述のように、
図10は、この第2の動作モードにおける、本発明によるプッシャ装置の完全な圧縮位置を示している。
【0131】
よって、
図4に示されるように、すべての直立部102~133は最大高さ(H
M)に達しており、他方カラム10~14の各々の幅はその最小値(l
m)に達している。
【0132】
ここでもやはり、プッシャ装置8の動作は、
図7~
図10に照らして説明されたように、可逆的であるが安定している。
【0133】
本発明によるプッシャ装置の動作は、特に電子的手段を含む、どんな制御機構も必要としないことも分かる。
【0134】
カラムの変形は、装置に加えられる圧縮力又は引張力によってのみ生じる。
【0135】
前述のように、最初に変形されるカラムは、装置の上部に圧縮が加えられるか否かに応じて異なる。
【0136】
さらに、図に示されている動作ステップは、純粋に例示的なものである。実際、それらは、異なるカラムのすべての連続した交互の変形を反映していない。
【0137】
次に、
図1に示されるものとは異なる設計の本発明によるプッシャ機構を示す
図14を参照する。
【0138】
図6に示されるような本発明によるプッシャ装置8の例では、この装置のすべてのカラムは同一であり、
図1に示される構造、すなわち4つの隣接する第2の部品を含む構造を有する。
【0139】
しかしながら、本発明はこの実施形態に限定されず、カラムは、より多いか又はより少ない数の第1の部品及び第2の部品を含むことができ、カラムの直立部の構造はその場合、それに応じて変更される。
【0140】
よって、
図14に、カラム7が、可逆手段67が間に取り付けられている2つの対面する直立部27及び37を含む異なる実施形態を示す。
【0141】
図14は、これらの手段67が、カラム7の高さHに従って隣接して配置され、弾性手段44によって一緒に保持されている8つの第2の部品407~477のアセンブリを含むことを示している。
【0142】
これらの手段67はまた、各直立部の5つの構成部品、それぞれ、直立部27については270~278、直立部37については370~374によって支持される複数の第1の部品60も含む。
【0143】
このカラム7は、
図1に示されるカラム1を備えたプッシャ装置で使用されるように設計されている。
【0144】
よって、機構が静止しているとき、すなわち
図14に示される位置にあるとき、カラム7の高さ(H)は(H
0)に等しく、カラム7に圧縮力又は引張力は加えられない。
【0145】
図1に示されるカラム1に関して、この値(H
0)は、カラム7の高さの最小値である。
【0146】
カラム7は、ここでは、静止時、すなわち圧縮力又は引張力が存在しない状態のカラム7の幅の値に対応する、(l’0)に等しい幅(l)を有する。
【0147】
この値(l’0)は、カラムの最大幅に対応する。
【0148】
カラム7の直立部37の構造は、カラム7がそれぞれ2隣接する直立部37を介してカラム1に接続されることを可能にするために、直立部27の構造とは異なることに留意されたい。これには、垂直案内路リンクが関与する。
【0149】
よって、直立部は、その相対的な垂直方向の滑りを可能にするように互いに入れ子になっている。
【0150】
よって、カラム1及び7からなるプッシャ装置が静止しているとき、装置は、直立部37及び2の入れ子を考えると、H0に等しい高さ及びl0+l’0未満の幅を有する。
【0151】
図14に示される例では、カラム7の第1の部品60の頂角αは、カラム1の第1の部品50~59の頂角に等しい。同様に、カラム7の第2の部品407~477によって画定される傾斜面は、カラム1の第1の部品40~43の傾斜面と同様に、横断面に対して角度α/2を形成している。これらの傾斜面は、明確にするために
図14では参照されていない。
【0152】
次に、カラム7及び1の直立部27及び3への圧縮力、すなわち、プッシャ装置の幅に従ってこの装置の内部に向かって加えられる力の印加に続いて、完全に圧縮された後のこのプッシャ装置を示す
図15を参照する。
【0153】
次いで、直立部27、37、2、及び3の各々の様々な構成部品は、互いから離れるように移動し、一方、角を形成する第1の部品60、50~59は、相補的な第2の部品407~477、それぞれ40~43によって画定される傾斜面上を滑って実質的に接触していることが分かる。
【0154】
図15は、この位置において、カラム1及び7の各々が、この高さの最大値(H
m)に対応する同じ高さを有することを示している。
【0155】
さらに、カラム1及び7の各々の幅は、最小値、それぞれ(lm)及び(l’m)に達するまで減少している。
【0156】
カラム7及び1の直立部37及び2が互いに入れ子になっていると仮定すると、
図15に示されるプッシャ装置の最小幅は、l
m+l’
m未満である。
【0157】
よって、
図15に示される実施形態は、異なる幅の、それにもかかわらず、圧縮力の影響下で同じ最大高さに到達することを可能にするカラムを設計することが可能であることを示している。
【0158】
本発明によるプッシャ装置の他の変形形態を想定することができる。特に、本発明によるプッシャ装置を、第1の部品及び第2の部品が一方のプッシャ機構と他方のプッシャ機構とで異なる頂角を有するプッシャ機構から構成することができる。
【0159】
実際、前述のように、圧縮力の影響下で到達されるプッシャ機構の最大高さは、第1の部品及び第2の部品によって画定される傾斜面の長さと、第1の部品の頂角とに依存し、ゆえに、第2の部品の傾斜面の傾斜に依存する。
【0160】
図21及び
図22に、支持体9d上に配置された、本発明によるプッシャ装置9の作動手段の一実施形態を示す。
【0161】
このプッシャ装置は、2つの端部直立部9a、9bの間に、隣接して配置された10個のカラム100を含み、中間直立部9cは2つの隣接するカラムに共通である。これらのカラムの各々は、
図1に示される種類のカラムである。
【0162】
弾性手段101は、直立部の間に、直立部を互いに弾性的に連結するように設けられている。これらの手段は、2つの端部直立部に固定されることによってすべての直立部を通っているか、又は装置全体にわたって2つの隣接する直立部の間に設けられている。
【0163】
作動手段94は、ウォームスクリュー95を含み、ウォームスクリュー95の第1の端部は、装置の端部直立部9aの反対側に位置するモータ96に連結されており、装置の他方の端部直立部9bを越えて延在するように装置9を貫通している。
【0164】
モータ96は、支持体9dに対して固定して保持されている。
【0165】
第1の端部とは反対側のねじの第2の端部は、やはり支持体9dに対して固定して保持される軸受97内で回転するように取り付けられている。
【0166】
装置の各端部直立部を圧迫する際に、作動手段はバットレス98a、98bを含む。各バットレスは、端部直立部を圧迫する傾斜面の形態の中央部980a、980bと、接触領域981a、981bとを含む。キャリッジ99が、ウォームスクリュー95上で並進移動可能に取り付けられている。キャリッジ99は、バットレス98bの接触領域981bを圧迫し、この接触領域に固定されている。
【0167】
バットレス98aの接触領域981aを圧迫し、この接触領域に固定されているブロック96aがモータ96に固定されている。ブロック96aは、したがって、装置9のための止め具を形成する。
【0168】
【0169】
この図では、プッシャ装置9は減圧位置にある。この位置では、弾性手段101は、弾性エネルギーを貯蔵するようにピンと張っている。さらに、キャリッジ99は、その軸受97に最も近い位置にある。
【0170】
モータ96は、まず、スクリュー95を第1の回転方向に駆動するように作動される。この回転運動は、ねじに沿って端部直立部9aに向かうキャリッジ99の並進を引き起こす。キャリッジ99は、次いで、バットレス98bを介して直立部9bに圧縮力を加える。他方の端部直立部9aがブロック96aによってその初期位置に保持されている限り、直立部9bは、中間直立部9cと同様に、この他方の端部直立部9aに接近する。
【0171】
【0172】
直立部及びカラム100のこの移動は、圧縮される傾向がある弾性手段101によって促進される。さらに、これらの弾性手段は、圧縮力をカラム間で分散する。
【0173】
前述のように、装置9の動作は可逆的である。
【0174】
よって、その場合、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向にスクリュー95を駆動するようにモータ96を作動させることができる。この回転運動は、ねじに沿って端部直立部9aから離れるキャリッジ99の並進を引き起こす。キャリッジ99は、その場合、バットレス98bを介して直立部9bに引張力を加える。他方の端部直立部9aがブロック96aによってその初期位置に保持されている限り、直立部9bは、中間直立部9cと同様に、この他方の端部直立部9aから離れるように移動する。
【0175】
装置9は、次いで、
図21に示される減圧位置に戻る。
【0176】
ここでもやはり、弾性手段の存在は、カラム間のけん引力を分散させることを可能にし、これにより、カラムのバランスのとれた離れる動きが保証される。
【0177】
次に持ち上げ機構における本発明によるプッシャ装置の使用を示す
図16~
図19を参照する。
【0178】
図16~
図19は、持ち上げ機構に使用される
図6に示されるプッシャ装置8を表す正面図である。いくつかの参照符号は、
図20に示されるスケルトン図と共通している。
【0179】
より具体的には、プッシャ装置8は、レバーアーム81の遠位端又は遠位部品で(重りを表す矢印で表される)荷重80を持ち上げるように構成されている。
【0180】
アーム81は、最初の低い垂直位置(
図16)と最後の高い垂直位置(
図19)との間で軸82を中心に回転移動可能である。
【0181】
非伸長可能又は実質的に非伸長可能なストラップ83が、その近位端部分830をベース(
図16には示されていない)に固定し、その遠位端部分831をアーム81の近位部品810に固定することによって、プッシャ装置8上で引っ張られている。回転軸82に面して位置するストラップ、例えばローラ(図示されていない)の垂直変位を阻止する手段を設けることができる。
【0182】
図16に示される位置では、レバーアームはしたがって、低い垂直位置にあり、プッシャ装置8は静止している。
【0183】
図7~
図10を参照して説明されたように、次いで圧縮力がプッシャ装置8に加えられる。
【0184】
図16に示される低い垂直位置(水平に対して-90°)と
図17に示される中間位置(水平に対して-45°)との間では、装置8はストラップが存在しないかのように動作する。装置の動作は、したがって、
図11~
図13を参照して説明された動作である。
【0185】
よって、まず変形されるのは、したがって、プッシャ装置の最も外側のカラムであり、最初の張力が加えられるのもストラップの外側領域である。したがって、非伸長可能ストラップを持ち上げることを可能にし、これは、補償するために、レバーアームの上方移動を生じさせる。
【0186】
プッシャ装置8に圧縮力を加え続けることにより、ストラップの異なる部分に連続的又は同時の張力が発生し、
図17に示されるように、レバーアーム80を再び上方(矢印F6)に移動させることが可能になる。
【0187】
装置を形成する異なるカラムのさらなる上方移動を生じさせるように、プッシャ装置に圧縮力がさらに加えられ続ける。これらの垂直移動の各々が、非伸長可能ストラップの一部分の張力を発生させる。これらの張力の各々は、これらのカラムの各々によって得られる高さに依存する。
【0188】
よって、
図18は、プッシャ装置8の動作の後続のステップを示しており、プッシャ装置8により、軸82を中心に回転(矢印F7)し続けるレバーアーム81が水平位置を越えている。
【0189】
図17に示されるレバーアームの位置(水平に対して-45°)と
図18に示される位置(水平に対して+45°)との間では、装置9は、それに圧縮を加えるストラップで動作する。装置の動作は、したがって、
図7~
図10を参照して説明された動作である。
【0190】
図19に、
図10に示されるようにすべてのカラムがその最大高さに達した、プッシャ装置8の完全な圧縮状態を示す。
【0191】
プッシャ装置8のこの完全な圧縮状態では、レバーアーム81は垂直位置にある。したがって、
図16に示される初期状態に対して180°の回転を行っている。
【0192】
図18に示される位置(水平に対して+45°)と
図19に示される位置(水平に対して+90°)との間では、ストラップが装置を圧縮しないため、装置9はあたかもストラップが存在しないかのように動作することに留意されたい。
【0193】
プッシャ装置8は可逆的であるため、引張力によって
図6に示される静止状態に戻ることが可能になり、レバーアーム81はその低い垂直位置に戻る。
【0194】
図23A~
図23Dを参照して、本発明によるプッシャ装置の救命ボートの降下への適用について説明する。
【0195】
まず、船の種類に応じて異なる方法で救命ボートが出港することが想起されるであろう。
【0196】
自由落下船は、傾斜路に配置された閉鎖船である。その進水の前に10~20m垂直落下し、これにより、水面に戻る前に水中に入る。その減速のために、船が水中に入るときに、乗員は負傷を引き起こす可能性がある衝撃を受ける。
【0197】
ダビット支持船は、開放型又は閉鎖型とすることができる。空の救命ボートを積み込むためにウインチが設けられているが、緊急避難時に発生する可能性が高い重量過負荷には必ずしも適していない。この問題を軽減するために、ダビットの回転の全か無かのトリガを可能にして、ボートから離れるように救命ボートを移動させてから、サスペンションケーブルからの繰り出しを遅くするシステムも提供される。このシステムは、ハンドルを介して作動される。ハンドル間のいかなる混乱も、救命ボートとボートとの間の衝撃及び乗員で一杯の救命ボートの転覆の危険性をもたらす。
【0198】
本発明によるプッシャ装置を使用することにより、救命ボートの進水を、むしろ、完全に安全に、低減されたエネルギー入力で行うことができる。
【0199】
図23Aに、救命ボート72を操縦するためのシステム73が搭載されたボートの船体70を示す。
【0200】
このシステムは、2つのアーム730及び731を含む。
【0201】
アーム730は、その近位端7300において、船体70に固定された軸732を中心に回転移動可能に取り付けられている。
【0202】
アーム731は、その近位端7310において、軸732とは反対側のアーム730の遠位端7301に位置する軸733を中心に、アーム730に対して回転移動可能に取り付けられている。救命ボート72は、関節を介して、軸733とは反対側のアーム731の遠位端7311に取り付けられている。
【0203】
アーム730、731の各々は、ストラップ734a、735aと関連付けられた、本発明による少なくとも1つのプッシャ装置734、735と関連付けられている。装置734は、ボート内の支持体734b上に位置し、装置735は、アーム730上に位置する。よって、装置734及びストラップ734aは、第1のストラップを引っ張るための第1のシステムを形成し、装置735及びストラップ735aは、第2のストラップを引っ張るための第2のシステムを形成する。
【0204】
ストラップ734aは、その近位端部分7340aを支持体734bに固定し、その遠位端部分7341aをアーム730の近位部品7300に固定することによって装置734上で引っ張られる。
【0205】
ストラップ735aは、その近位端部分7350aをアーム730に固定し、その遠位端部分7351aをアーム731の近位部品7310に固定することによって装置735上で引っ張られる。
【0206】
2つのストラップは、非伸長可能又は実質的に非伸長可能である。
【0207】
図23Aに示されるステップ1では、救命ボート72は船体上に配置されており、したがって安定した位置にある。
【0208】
装置734、735は、2つのアーム730、731が剛性であり、それらの位置を維持するように圧縮位置にある。
【0209】
ステップ1と
図23Bに示されるステップ2との間で、装置735は圧縮位置のままであり、装置734は徐々に減圧される。これが、重力の影響下での、軸732を中心とした時計回り方向のアーム730の回転をもたらし、アーム730及び731の間の間隔は不変のままである。
【0210】
救命ボートの離船を確実にするために相補的手段が設けられている。
【0211】
ステップ2では、救命ボート72は船体から離れたが、依然として少なくとも部分的に船体の上方にある。
【0212】
ステップ2と
図23Cに示されるステップ3との間で、装置735は減圧され始め、一方で装置734は徐々に減圧し続ける。
【0213】
よって、2本のアーム730、731間の間隔が増加し、アーム731は、救命ボートを軸733に対して垂直に位置決めするために、軸733を中心に反時計回り方向に回転し、装置734は、救命ボートの落下を抑える。
【0214】
ステップ3では、アーム730は実質的に水平であり、アーム731は実質的に垂直である。
【0215】
ステップ3と
図23Dに示されるステップ4との間で、救命ボート72の降下段階は、水面に到達するまで続く。
【0216】
そのために、装置734及び735は徐々に減圧し続ける。
【0217】
この降下段階のすべてが、ジャークなしで制御された方法で行われ、救命ボートは、放たれるのではなく、水面に置かれる。これにより、公知のシステムとは異なり、乗員の安全性が保証される。
【0218】
装置は可逆的に動作するので、他のステップは、ボート上に救命ボートを戻すことを可能にする。
【0219】
ステップ1又はステップ2において、乗員の救命ボートへの乗り込みを行うことができる。明らかに、乗員がステップ2でのみ救命ボートに乗り込めば、相補的手段が救命ボートの離船を確実にするために必要なエネルギーが少なくて済む。
【0220】
この場合、装置734及び735を、1人の人間によって手動で作動される単純なウインチを使用して制御することができる。これは、ボート上で停電した場合に有利であることが分かる。
【0221】
言うまでもなく、上記の結果として、本発明は、より具体的に説明された実施形態に限定されない。本発明は、むしろ、特に、プッシャ機構の構造がその動作原理を保持しながら変更され、これらの機構の代替実施形態が保持されるすべての変形形態を包含する。
【国際調査報告】