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  • 特表-メトトレキサートの眼科用製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】メトトレキサートの眼科用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20221110BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P27/02
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/04
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515885
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020050565
(87)【国際公開番号】W WO2021051003
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/900,060
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/044,288
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507387033
【氏名又は名称】アルデイラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリオット, ディーン
(72)【発明者】
【氏名】マチャサ, スティーブン ギツ
(72)【発明者】
【氏名】サルポトダル, プラモッド
(72)【発明者】
【氏名】ストリエフスキ, トマシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF17
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA58
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA33
(57)【要約】
本開示は、硝子体内投与を含む眼投与用のメトトレキサートの製剤、ならびに増殖性硝子体網膜症(PVR)、眼内リンパ腫(例えば、PVRL)、および眼内炎症を処置するための製剤の使用を提供する。本開示は、メトトレキサート(MTX)と、密度増強剤とを含む組成物を提供する。この組成物は、深さ1cmのシリコーンオイル(SiO)を通過する10分未満の通過時間を特徴とし得る。SiOは、網膜剥離の処置に使用されるSiOであり得る。SiOは、少なくとも1000センチストークスの粘度を有するSiO、例えば、1000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトトレキサートと、密度増強剤と
を含む、硝子体内投与用組成物であって、少なくとも1000センチストークスの粘度および1cmの深さを有する1mLのシリコーンオイル(SiO)中で10分未満の通過速度を有する組成物。
【請求項2】
前記通過速度が8分未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記SiOが、ポリジメチルシロキサン5000センチストークスオイルまたはポリジメチルシロキサン1000センチストークスオイルである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
メトトレキサートが約2mg/mL~約20mg/mLの濃度である、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記メトトレキサートが約8mg/mLの濃度である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
20℃で約1.0~約1.20g/cmの密度を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
20℃で少なくとも約1.03g/cmの密度を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記密度増強剤が、スクロース、トレハロース、グルコース、カルボポール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリホスファゼン、ポリオルトエステル、シクロデキストリン、またはこれらの混合物を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記密度増強剤がスクロースを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記スクロースが約0.5%w/v~約20%w/vの濃度である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記スクロースが約7.5%w/vの濃度である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記密度増強剤がPEGである、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記PEGがPEG 4000である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記PEG 4000が約5%~10%w/vの濃度である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記PEG 4000が約7.5%w/vである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
界面活性剤をさらに含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標) 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標) 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標) 65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標) 85)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標) 40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標) 60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標) 80)、ソルビタントリステアレート(Span(登録商標) 65)、およびソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤が0.0015%w/v~約0.05%w/vの濃度で存在する、請求項17から19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
緩衝剤をさらに含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記緩衝剤が、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、四ホウ酸塩、二リン酸塩、トロメタミン、ヒドロキシエチルモルホリン、およびTHAM(トリスヒドロキシメチルアミノ-メタン)から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
約5.5~約8.5のpHである、請求項1から22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記pHが約6.5~約7.5である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
8mg/mLメトトレキサートと、
7.5%w/vスクロースと
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
界面活性剤をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標) 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標) 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標) 65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標) 85)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標) 40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標) 60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標) 80)、ソルビタントリステアレート(Span(登録商標) 65)、およびソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記界面活性剤がTween(登録商標) 20またはTween(登録商標) 80である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記界面活性剤が0.0015%w/v~約0.05%w/vの濃度で存在する、請求項26から29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
緩衝剤をさらに含む、請求項25から30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記緩衝剤が、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、四ホウ酸塩、二リン酸塩、トロメタミン、ヒドロキシエチルモルホリン、およびTHAM(トリスヒドロキシメチルアミノ-メタン)から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記緩衝剤がリン酸塩である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
約5.5~約8.5のpHである、請求項25から33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記pHが約6.5~約7.5である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
8mg/mLメトトレキサートと、
7.5%w/vスクロースと、
0.142w/v-リン酸二ナトリウム二水和物と
を含み、約6~8のpHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
8mg/mLメトトレキサートと、
7.5% PEG4000と、
0.142w/v-リン酸二ナトリウム二水和物と
を含み、約6~8のpHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
増殖性硝子体網膜症(PVR)を予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置する方法であって、治療上有効量の請求項1から37のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする対象の眼に硝子体内投与することを含む方法。
【請求項39】
前記対象が前記眼に対する外傷を患っている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対象の前記眼が網膜剥離を患っている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記対象の前記眼が前記網膜剥離のための網膜硝子体手術を受けている、請求項38から40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記網膜剥離が原発性網膜剥離である、請求項38から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記原発性網膜剥離が裂孔原性網膜剥離である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記網膜剥離が続発性網膜剥離である、請求項38から41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記続発性網膜剥離が、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、または複合型牽引性-裂孔原性網膜剥離である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記眼が、後眼部へのシリコーンオイル(SiO)の投与によって処置される、または処置されている、請求項38から45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記SiOが術後タンポナーデとして投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物が、前記SiOへの硝子体内注射によって投与される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記組成物が、前記SiOと共投与される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項50】
前記SiOが、少なくとも1000センチストークスの粘度を有するSiOである、請求項46から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記SiOが、約1000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記SiOが、約5000センチストークスの粘度を有するSiOである、請求項46から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記SiOが、約5000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
投与されるメトトレキサートの用量が、各投与について約50μg~約600μgである、請求項38から53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
投与されるメトトレキサートの用量が、各投与について約400μgである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が、網膜損傷後少なくとも5日間にわたって少なくとも1日1回前記眼に投与される、請求項38から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が、網膜損傷のための処置後少なくとも5日間にわたって少なくとも1日1回前記眼に投与される、請求項38から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が、1週間に1回または隔週で前記眼に投与される、請求項38から55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記処置が少なくとも1週間にわたる、請求項38から58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記処置が、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、または少なくとも1年間にわたる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、PVRを発症する1またはそれを超える危険因子を有する、請求項38から60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、慢性眼炎症、感染性網膜炎、複数の網膜剥離、大きな網膜破壊または巨大網膜裂孔、複数の網膜破壊、眼外傷、硝子体出血に関連する網膜剥離、脈絡膜剥離、およびこれらの組み合わせのうちの1またはそれを超える数の以前の病歴を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、硝子体もしくは網膜下出血、過剰な凍結療法、エンドドレナージ中の色素放出、またはこれらの組み合わせを有していた、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
眼内リンパ腫または眼内炎症を処置する方法であって、治療上有効量の請求項1から37のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする対象の眼に硝子体内投与することを含む方法。
【請求項65】
前記対象が眼内リンパ腫について処置される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記眼内リンパ腫が原発性硝子体網膜リンパ腫(PVRL)である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が脳神経系リンパ腫(PCNSL)も有する、請求項65から66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が眼内炎症について処置される、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記眼内炎症が、ブドウ膜炎;嚢胞様黄斑浮腫(CME);黄斑浮腫または糖尿病性黄斑浮腫;脈絡膜新生血管;および補綴膜症から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
投与されるメトトレキサートの用量が100μg~800μg、または100μg/0.1mL~800μg/0.1mLである、請求項64から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
投与されるメトトレキサートの用量が400μgまたは400μg/0.1mLである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記組成物が、4週間(月)に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または1週間に4回投与される、請求項64から72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記処置が、誘導期、ならびに必要に応じて地固め期および/または維持期を含む、請求項64から73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記誘導期が、1週間に2回、または最大1週間に4回の前記組成物の投与である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記地固め期が、存在する場合、1週間に1回または2週間に1回の投与を含む、請求項74から75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記維持期が、存在する場合、2週間に1回または1か月に1回の投与を含む、請求項74から76のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、各々の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年9月13日に出願された米国仮出願第62/900,060号および2020年6月25日に出願された米国仮出願第63/044,288号に基づく米国特許法第119条(e)項の下での利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
2.背景
増殖性硝子体網膜症(PVR)は、網膜の破壊(例えば、網膜裂孔または網膜円孔)およびその外科的修復によって引き起こされるなど、裂孔原性網膜剥離の後に生じる臨床症候群である。PVRの病因は、細胞が複製して網膜の内面および/または外面に網膜周囲線維細胞性膜を形成し、網膜の短縮および網膜牽引を作り出す、硝子体腔への細胞の放出(網膜外細胞)を伴う。PVRは、網膜内線維症および弾性低下を特徴とし、網膜の牽引上昇、ならびにその後の新たな網膜破壊および再発性網膜剥離につながる。PVRは、網膜剥離を有する未処置の眼において、あるいは網膜冷凍凝固術、レーザー網膜復位術、気体網膜復位術、強膜バックルおよび/または毛様体扁平部硝子体切除術などの網膜手技後に起こり得る。PVRの有病率は広く変動するが、裂孔原性網膜剥離の全症例の約5~12%の範囲であると推定される(Kwonら、Dev Ophthalmol.、2016;55:154-62)。PVRおよびその関連する網膜牽引は、最初に成功した網膜剥離の修復の失敗(すなわち、再発性網膜剥離)の主な理由の1つであり、失敗した網膜剥離修復のおよそ75%に存在する(Sadakaら、Clinical Ophthalmology、2016;10 1811-1817)。
【0003】
網膜剥離手術には、強膜バックリング、気体網膜復位術、および毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)が含まれ得る。気体網膜復位術は硝子体腔にガスを注入することを伴う一方、網膜剥離のためのPPVは、硝子体の除去、およびシリコーンオイルまたはガスなどのタンポナーデ剤によるその置換を伴う。タンポナーデ剤は、網膜破壊全体に表面張力をもたらし、網膜復位術(光凝固または冷凍凝固術)が永久的な封止をもたらすまで網膜下腔へのさらなる流体の流動を妨げる。PVRを伴う複雑な剥離のために、シリコーンオイルがしばしば使用される。シリコーンオイルの一般的に使用される粘度には、1,000および5,000センチストークスが含まれる。シリコーンオイルは、硝子体(1.005~1.008g/mL)よりも低い比重(0.97g/mL)を有し、結果として、これらは硝子体腔に浮く。同様に、ガスもまた、それらの非常に低い比重(約0.001g/mL)のために硝子体腔に浮き、シリコーンオイルよりもはるかに高い浮力を有する。より軽いシリコーンオイルおよびガスは、これらの位置での網膜破壊に対してあまり有効でないタンポナーデとなり得るので、ヘビーシリコーンオイル(HSO)および液体パーフルオロカーボンが下部網膜破壊に使用されてきた。網膜剥離および網膜剥離手術後のPVRの有病率を考慮すると、PVRを制御し、PPVの失敗率を低下させるために抗炎症薬および免疫抑制薬が投与されてきた。抗炎症薬または免疫抑制薬の使用は、PVRのリスクが高い対象にとって有益であり得る。
メトトレキサート(MTX)は、免疫抑制特性を有する抗悪性腫瘍性代謝拮抗薬であり、DNA複製に必要なヌクレオチド生合成に関与する酵素を含む、補因子として葉酸塩を必要とする酵素を阻害する。MTXは、慢性炎症性症状および線維性症状を処置するために使用されている。眼科学において、MTXは、ブドウ膜炎、類天疱瘡、強膜炎および上強膜炎、ならびに原発性眼内リンパ腫を処置するために使用されている。網膜復位手術後の硝子体内MTX投与の研究は、手術後の網膜剥離の発生率の低下における有望性を示している(Bennerら、BMJ Open Ophth.、2019;4:e000293;Sadakaら、Clinical Ophthalmology、2016;10:1811-1817)。網膜剥離後のPVRを処置するための、特にシリコーンオイルが好ましいタンポナーデ剤として使用される場合のための、ならびに眼内リンパ腫および眼内炎症症状などの、MTXによる処置を受けることができる他の眼障害を処置するためのMTXの製剤が望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kwonら、Dev Ophthalmol.、2016;55:154-62
【非特許文献2】Sadakaら、Clinical Ophthalmology、2016;10 1811-1817
【非特許文献3】Bennerら、BMJ Open Ophth.、2019;4:e000293
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
3.概要
本開示は、メトトレキサート(MTX)と、密度増強剤とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物が、深さ1cmのシリコーンオイル(SiO)を通過する10分未満の通過時間を特徴とする。いくつかの実施形態では、SiOが、網膜剥離の処置に使用されるSiOである。いくつかの実施形態では、SiOが、少なくとも1000センチストークスの粘度を有するSiO、例えば、1000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態では、SiOが、約5000センチストークスの粘度を有するSiOである。いくつかの実施形態では、SiOが、約5000センチストークスの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0006】
いくつかの実施形態では、密度増強剤が、スクロース、トレハロース、グルコース、カルボポール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリホスファゼン、ポリオルトエステル、シクロデキストリン、およびこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、密度増強剤が、所望の密度を提供するために適切な量で使用される。いくつかの実施形態では、組成物の密度が1.01g/cmまたはそれを超えるものである。いくつかの実施形態では、組成物の密度が約1.01g/cm~約1.08 g/cmである。
【0007】
いくつかの実施形態では、組成物が界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、水相中のMTXの分散を増強することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標) 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標) 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標) 65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標) 85)、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標) 40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標) 60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標) 80)、およびソルビタントリステアレート(Span(登録商標) 65)から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤がTween(登録商標) 20(ポリソルベート20)またはTween(登録商標) 80(ポリソルベート80)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、約0.001 w/v~約0.05%w/vで存在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物が緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤が、特に硝子体内投与のための、薬学的に許容され得る緩衝剤である。いくつかの実施形態では、緩衝剤が、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、四ホウ酸塩、二リン酸塩、トロメタミン、ヒドロキシエチルモルホリン、またはTHAM(トリスヒドロキシメチルアミノ-メタン)である。
【0009】
いくつかの実施形態では、組成物が約6~8のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物が約6.5~約7.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物が硝子体内投与に適したpHを有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物が、約2mg/mL~約20mg/mLの濃度のMTXまたはその薬学的塩を有する。いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的塩が、約5mg/mL~約15mg/mLの濃度である。
【0011】
別の態様では、MTX組成物が、増殖性硝子体網膜症(PVR)を予防するため、またはそのリスクを低下させるため、またはこれを処置するために使用される。いくつかの実施形態では、PVRを予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置する方法が、治療上有効量の本明細書に記載される組成物を、それを必要とする対象の眼に投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物が硝子体内投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物による処置のための対象が、眼に対する外傷を患っている。いくつかの実施形態では、対象が網膜剥離を患っている。いくつかの実施形態では、処置のための対象の眼が、網膜剥離のための網膜硝子体手術で処置されている。いくつかの実施形態では、網膜剥離が原発性網膜剥離または続発性網膜剥離である。いくつかの実施形態では、網膜剥離が裂孔原性網膜剥離である。
【0013】
いくつかの実施形態では、処置のための対象の眼が、網膜剥離のためのタンポナーデなどの後眼部へのシリコーンオイル(SiO)の投与によって処置される、または処置されている。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、硝子体腔内のSiOへの硝子体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、網膜剥離を処置するために投与されるSiOと共投与される。いくつかの実施形態では、SiOが、少なくとも1000センチストークスの粘度を有する。いくつかの実施形態では、SiOが、約1000センチストークスまたは約5000センチストークスの粘度を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、PVRを予防するため、またはそのリスクを低下させるため、またはこれを処置するための頻度および持続時間での治療上有効量である。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が約50μg~約600μgである。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が約400μgである。いくつかの実施形態では、組成物が、1日1回、1週間に2回、または1週間に1回投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月間、少なくとも6か月間、少なくとも9か月間、または1年間組成物で処置される。対象がタンポナーデとしてのガスまたはSiOで処置されているいくつかの実施形態では、対象が、眼内のガスによる処置の持続時間またはSiOの除去まで組成物で処置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物による処置のための対象が、PVRを発症する1またはそれを超える危険因子を有する。いくつかの実施形態では、処置のための対象が、以下の症状:慢性眼炎症、感染性網膜炎、複数の網膜剥離、大きな網膜破壊または巨大網膜裂孔、複数の網膜破壊、眼外傷、硝子体出血に関連する網膜剥離、脈絡膜剥離、およびこれらの組み合わせのうちの1またはそれを超える数の以前の病歴を有する。いくつかの実施形態では、処置のための対象が、硝子体もしくは網膜下出血、過剰な凍結療法、エンドドレナージ(endodrainage)中の色素放出、またはこれらの組み合わせを有していた。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書の組成物が、メトトレキサートの硝子体内投与から利益を得る他の疾患、障害、または症状を処置するのにも有用である。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書の組成物が、眼内リンパ腫を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫を処置する方法が、本明細書に開示される例示的製剤を含む、治療上有効量の本明細書に開示される組成物を、眼内リンパ腫を有する対象の眼に硝子体内投与することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、処置される眼内リンパ腫が原発性硝子体網膜リンパ腫(PVRL)である。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫(例えば、PVRL)が脳神経系リンパ腫(PCNSL)を伴う。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書の組成物が、眼内炎症を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、眼内炎症を処置する方法が、治療上有効量の本明細書に開示される組成物を、眼内炎症を有する対象に硝子体内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMTX組成物による処置のための炎症性疾患、障害または症状が、とりわけ、ブドウ膜炎、例えば汎ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎および後部ブドウ膜炎、特に非感染性後部ブドウ膜炎;嚢胞様黄斑浮腫(CME);例えばブドウ膜炎を伴う黄斑浮腫または糖尿病性黄斑浮腫;脈絡膜新生血管;ならびに補綴膜症(prosthetic membranopathy)を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、眼内リンパ腫を予防するため、もしくはそのリスクを低下させるため、もしくはこれを処置するため、または眼内炎症を予防するため、もしくはそのリスクを低下させるため、もしくはこれを処置するための頻度および持続時間での治療上有効量である。
【0022】
眼内リンパ腫または眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、MTX組成物が、眼内リンパ腫または眼内炎症を処置するために、4週間(月)に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または1週間に4回投与される。
【0023】
眼内リンパ腫または眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、処置レジメンが、誘導期、ならびに必要に応じて地固め期(consolidation phase)および/または維持期を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、誘導期が、1週間に2回、1週間に3回、最大1週間に4回のMTX組成物の投与である。
【0025】
いくつかの実施形態では、地固め期が、存在する場合、1週間に1回または1週間に2回の投与を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、維持期が、存在する場合、2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回の投与を含む。
【0027】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されるMTX組成物を含むキットを提供する。キットのいくつかの実施形態では、MTX組成物が、複数回投与バイアルまたは単回投与バイアルとして提供され得る。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、投与のための組成物を調製するための適切な溶媒で再構成される乾燥形態であり得る。
4.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、非混和性シリコーンオイル/緩衝液混合物のシリコーンオイル層の底部、すなわちオイル-緩衝液界面に到達するためにポリジメチルシロキサン5000センチストークスオイルを通過する際の製剤F1、F2およびF3の特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
5.詳細な説明
5.1.メトトレキサート組成物
本開示は、増殖性硝子体網膜症(PVR)、眼内リンパ腫、または眼内炎症を予防する、そのリスクを低下させる、またはこれを処置するためのメトトレキサート(MTX)またはその薬学的に許容され得る塩の組成物を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、MTXの組成物が、網膜剥離手術後などのPVRに対する予防として使用される。いくつかの実施形態では、本組成物が、PVRを予防する、そのリスクを低下させる、またはこれを処置するために治療上有効量でMTXを送達するために、網膜剥離手術で使用されるシリコーンオイル(SiO)を通過する十分な通過速度を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、MTXの組成物が、原発性硝子体網膜リンパ腫(PVRL)などの眼内リンパ腫を処置するために使用される。
【0032】
いくつかの実施形態では、MTXの組成物が、ブドウ膜炎;嚢胞様黄斑浮腫(CME)もしくは糖尿病性黄斑浮腫;脈絡膜新生血管;または補綴膜症などの眼内炎症を処置するために使用される。
【0033】
本開示および以下の詳細な説明を参照すると、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物(a compound)」への言及は、2つ以上の化合物を指す。
【0034】
また、「または(or)」の使用は、特に明記しない限り、「および/または(and/or)」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」は互換的であり、限定することを意図するものではない。
【0035】
様々な実施形態の説明が「含む(comprising)」という用語を使用する場合、当業者であれば、いくつかの具体例において、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という言語を使用して実施形態を代替的に説明できることを理解するであろうことをさらに理解すべきである。
【0036】
本明細書で使用される場合、疾患、障害、または症候群を「処置する(treating)」またはその「処置(treatment)」という用語は、本明細書で使用される場合、(i)疾患、障害、または症候群が対象で発生するのを予防すること、すなわち、疾患、障害、または症候群に曝露され得る、またはその素因を有し得るが、疾患、障害、または症候群の症状をまだ経験しておらず、示してもいない動物において、疾患、障害、または症候群の臨床症状が発生しないようにすること;(ii)疾患、障害または症候群を阻害すること、すなわち、その発症を停止させること;および(iii)疾患、障害または症候群を軽減すること、すなわち、疾患、障害または症候群の退縮を引き起こすことを含む。当技術分野で知られているように、全身送達対局所送達、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用および症状の重症度のための調整が必要であり得、当業者によって確認可能である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「予防的処置(prophylactic treatment)」という用語は、疾患、病態、または医学的障害の発症リスクを減少、予防、または低下させる目的で、疾患、病態、もしくは医学的障害の徴候も症状も示さない、または疾患、病態、もしくは障害の初期徴候もしくは症状のみを示す対象に投与される処置を指す。予防的処置は、疾患または障害に対する予防的処置として機能する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量(therapeutically effective amount)」という用語は、このような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患もしくは障害の改善された処置、治癒、予防もしくは改善、または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味し、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量も含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る(pharmaceutically acceptable)」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応および他の問題合併症なしに、対象、例えば哺乳動物またはヒトへの投与に適した化合物、生物学的薬剤、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0040】
一態様では、本開示は、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩と、密度増強剤とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、密度増強剤が、1mlのシリコーンオイル(SiO)中で10分未満の通過速度を提供するのに有効な量で存在する。本明細書で使用される場合、「通過速度(transit rate)」は、MTX組成物が、非混和性水層、好ましくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から分離されたSiO層に適用された場合に、SiO層と水層の界面に到達する時間を指す。いくつかの実施形態では、組成物がSiOの密度よりも高い密度を有する場合、通過速度を「降下速度」と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、組成物の通過速度または降下速度が、1cmの深さを有する1mlのSiO中で10分未満、8分未満、7分未満、6分未満、または5分未満である。いくつかの実施形態では、組成物の通過速度または降下速度が、網膜剥離を処置するためのタンポナーデとして使用されるSiOで測定される。
【0041】
いくつかの実施形態では、SiOが水よりも低い密度を有する。これらのSiOでは、SiO層が水層の上に浮いており、MTX組成物がSiO中でSiO層と水層の界面に沈んでいる。
【0042】
いくつかの実施形態では、通過速度または降下速度が、少なくとも1000センチストークスの粘度を有するSiO中におけるものである。いくつかの実施形態では、SiOが、約1000センチストークスの粘度を有する。いくつかの実施形態では、1000センチストークスの粘度を有するSiOがポリジメチルシロキサン1000センチストークスオイルである。
【0043】
いくつかの実施形態では、通過速度または降下速度が、約5000センチストークスの粘度を有するSiO中におけるものである。いくつかの実施形態では、5000センチストークスの粘度を有するSiOがポリジメチルシロキサン5000センチストークスオイルである。
【0044】
いくつかの実施形態では、MTX組成物の密度が、適切な通過速度または降下速度を提供するために、SiOの密度よりも高い。いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で少なくとも約1.01g/cm、少なくとも約1.02g/cm、少なくとも約1.03 g/cm、少なくとも約1.04g/cm、少なくとも約1.05 g/cm、少なくとも約1.06g/cm、少なくとも約1.07g/cm、少なくとも約1.08g/cm、少なくとも約1.09g/cm、少なくとも約1.10g/cm、少なくとも約1.11g/cm、少なくとも約1.12g/cm、少なくとも約1.13g/cm、少なくとも約1.14g/cm、少なくとも約1.15g/cm、少なくとも約1.20g/cm、または少なくとも約1.25g/cmである。
【0045】
いくつかの実施形態では、MTX組成物の密度が、20℃で約1.01~約1.2g/cm、約1.02g/cm~約1.2g/cm、約1.03g/cm~約1.2g/cm、約1.04g/cm~約1.2g/cm、約1.05g/cm~約1.2g/cm、約1.06g/cm~約1.2g/cm、約1.07g/cm~約1.2g/cm、約1.08g/cm~約1.2g/cm、約1.09g/cm~約1.2g/cm、約1.10g/cm~約1.2g/cm、約1.11g/cm~約1.2g/cm、約1.12g/cm~約1.2g/cm、約1.13g/cm~約1.2g/cm、約1.14g/cm~約1.2g/cm、約1.15g/cm~約1.2g/cm、約1.16g/cm~約1.2g/cm、約1.17g/cm~約1.2g/cm、約1.18g/cm~約1.2g/cm、または約1.19g/cm~約1.2g/cmである。いくつかの実施形態では、組成物が、20℃で約1.01g/cm~約1.08g/cmの密度を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で約1.01~約1.25g/cmである。いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で約1.02~約1.2g/cmである。いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で約1.03~約1.15g/cmである。いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で約1.04~約1.1g/cmである。
【0047】
いくつかの実施形態では、組成物の密度が、20℃で約1.01g/mL、約1.02g/cm、約1.03g/cm、約1.04g/cm、約1.05g/cm、約1.06g/cm、約1.07g/cm、約1.08g/cm、約1.09g/cm、約1.10g/cm、約1.11g/cm、約1.12g/cm、約1.13g/cm、約1.14g/cm、約1.15g/cm、約1.16g/cm、約1.17g/cm、約1.18g/cm、約1.19g/mL、約1.2g/cm、約1.21g/cm、約1.22g/cm、約1.23g/cm、約1.24g/cm、または約1.25g/cmである。
【0048】
いくつかの実施形態では、SiOが、水の密度よりも高い密度を有するSiOを指す、ヘビーシリコーンオイル(HSO)である。このような実施形態では、水層がHSO層の上に浮いている。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、HSOの密度よりも低い密度を有するように製剤化され、よって、MTX組成物がSiOからSiOと水層の界面に浮くことを可能にする。いくつかの実施形態では、MTX組成物の通過速度が、1cmの深さの1mlのHSO中で10分未満である。いくつかの実施形態では、MTX組成物の通過速度が、1cmの深さを有する1mlのHSO中で8分未満、7分未満、6分未満、または5分未満である。いくつかの実施形態では、MTX組成物を、HSOと水層との界面から1cm離れたSiO層の底部に適用して、通過速度を評価する。
【0049】
いくつかの実施形態では、HSOが、Oxane HD(5700センチストークスSiOとRMN-3、部分的フッ素化オレフィンの混合物;25℃での密度1.02g/cmおよび粘度3,300~3,500mPas)、Densiron 68(パーフルオロヘキシルオクタン(F6H8)と5,000センチストークスのシリコーンオイルの混合物;25℃での密度1.06g/cm;粘度1400mPas)、またはHSV-45 3000である。いくつかの実施形態では、HSOが、パーフルオロヘキシルオクタン(F6H8;密度1.331g/cm)などの、液体パーフルオロカーボン(PFCL)または半フッ素化アルカンである。PFCLには、パーフルオロ-n-オクタン(C8F18;密度1.759g/cm)およびパーフルオロデカリン(C10F18)が含まれる。これらのSiOの比重は、1.7g/mL~2.0g/mL超の範囲であり得る。
【0050】
HSOが使用されるいくつかの実施形態では、MTX組成物の密度がHSOの密度よりも低い。いくつかの実施形態では、組成物の密度が、約2.0g/cm未満、約1.8g/cm未満、約1.6g/cm未満、約1.5g/cm未満、約1.4g/cm未満、約1.3g/cm未満、約1.2g/cm未満、約1.19g/cm未満、約1.18g/cm未満、約1.17g/cm未満、約1.16g/cm未満、約1.15g/cm未満、約1.14g/cm未満、約1.13g/cm未満、約1.12g/cm未満、約1.11g/cm未満、約1.10g/cm未満、約1.09g/cm未満、約1.08g/cm未満、約1.07g/cm未満、約1.06g/cm未満、約1.05g/cm未満、約1.04g/cm未満、約1.03g/cm未満、または約1.02g/cm未満である。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物の密度が、約2.0g/cm~約1.01g/cm、約1.8g/cm~約1.01g/cm、約1.6g/cm~約1.01g/cm、約1.5g/cm~約1.01g/cm、約1.4g/cm~約1.01g/cm、約1.3g/cm~約1.01g/cm、約1.2g/cm~約1.01g/cm、約1.19g/cm~約1.01g/cm、約1.18g/cm~約1.01g/cm、約1.17g/cm~約1.01g/cm、約1.16g/cm~約1.01g/cm、約1.15g/cm~約1.01g/cm、約1.14g/cm~約1.01g/cm、約1.13g/cm~約1.01g/cm、約1.12g/cm~約1.01g/cm、約1.11g/cm~約1.01g/cm、約1.10g/cm~約1.01g/cm、約1.09g/cm~約1.01g/cm、約1.08g/cm~約1.01g/cm、約1.07g/cm~約1.01g/cm、約1.06g/cm~約1.01g/cm、約1.05g/cm~約1.01g/cm、約1.04g/cm~約1.01g/cm、または約1.03g/cm~約1.01g/cmである。
【0052】
いくつかの実施形態では、水よりも低い密度を有するオイルと水よりも高い密度を有するオイルの組み合わせがタンポナーデとして使用される場合、MTX組成物が、水よりも低い密度を有するオイルよりも高い密度および水よりも高い密度を有するオイルよりも低い密度を有する。適切な密度を有するMTX組成物は、本明細書に提供されるガイダンスに基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、上記の適用可能な範囲の適切な密度を有する組成物を使用することができる。
【0053】
一定の実施形態では、組成物が、所望の通過速度または降下速度を付与するための適切な密度を提供するための密度増強剤を含む。いくつかの実施形態では、密度増強剤が、スクロース、トレハロース、グルコース、カルボポール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリホスファゼン、ポリオルトエステル、シクロデキストリン、またはこれらの混合物である。いくつかの実施形態では、好ましい密度増強剤がスクロースまたはPEG 4000である。
【0054】
いくつかの実施形態では、密度増強剤がスクロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物が、約0.5%w/v~約20%w/v;約1%w/v~約20%w/v、2%w/v~約20%w/v、約3%w/v~約20%w/v、約4%w/v~約20%w/v、約5%w/v~約20%w/v、約6%w/v~約20%w/v、約7%w/v~約20%w/v、約8%w/v~約20%w/v、約9% ~約20%w/v、約10%w/v~約20%w/v、約11%w/v~約20%w/v、約12%w/v~約20%w/v、約13%w/v~約20%、約14%w/v~約20%、約15%w/v~約20%、または約16%w/v~約20%の濃度のスクロースを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物が、約0.5%w/v~約18%w/v、約1%w/v~約17%w/v、2%w/v~約16%w/v、約3%w/v~約15%w/v、約4%w/v~約14%w/v、約5%w/v~約1%w/v、約6%w/v~約13%w/v、約7%w/v~約12%w/v、または約8%~約11%w/vの濃度のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物が、約7%w/v~約9%w/v、好ましくは約7.7%w/vの濃度のスクロースを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物が、約0.5%w/v、約0.6%w/v、約0.7%w/v、約0.8%w/v、約0.9%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約3%w/v、約4%w/v、約5%w/v、約6%w/v、約7%w/v、約8%w/v、約9%w/v、約10%w/v、約11%w/v、約12%w/v、約13%w/v、約14%w/v、約15%w/v、約16%w/v、約17%w/v、約18%w/v、約19%w/v、または約20%w/vの濃度のスクロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物が、約7.5%w/v、8.5%w/v、または約9.5%w/vの濃度のスクロースを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、密度増強剤がポリエチレングリコール(PEG)を含む。いくつかの実施形態では、PEGがPEG 400~PEG 20000である。いくつかの実施形態では、PEGが、PEG 400、PEG 500、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1100、PEG 1200、PEG 1300、PEG 1400、PEG 1450、PEG 1500、PEG 1600、PEG 1700、PEG 1800、PEG 1900、PEG 2000、PEG 2100、PEG 2200、PEG 2300、PEG 2400、PEG 2500、PEG 2600、PEG 2700、PEG 2800、PEG 2900、PEG 3000、PEG 3250、PEG 3350、PEG 3500、PEG 3750、PEG 4000、PEG 4250、PEG 4500、PEG 4750、PEG 5000、PEG 5500、PEG 6000、PEG 6500、PEG 7000、PEG 7500、PEG 8000、またはこれらの混合物である。いくつかの実施形態では、PEGが、PEG 9000、PEG 10000、PEG 11000、PEG 12000、PEG 13000、PEG 14000、PEG 15000、PEG 16000、PEG 17000、PEG 18000、PEG 19000、PEG 20000、またはこれらの混合物である。好ましい実施形態では、PEGがPEG 4000である。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物が、組成物が本明細書に記載される通過速度または降下速度を有するのに十分な密度を提供する濃度のPEGを含む。様々な分子量のPEG溶液の密度が、当技術分野で利用可能である(例えば、Gonzalez-Telloら、J Chem Eng Data、1994;39:611-614;Regupahtiら、J.Chem.Eng.Data、2009;54(3):1100-1106;参照により本明細書に組み込まれる刊行物参照)。例えば、水中50%w/vのPEG 4000は、20℃で約1.13g/cmの密度を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物が、約1%w/v~約60%w/v、約1%w/v~約60%w/v、約2%w/v~約60%w/v、約3%w/v~約60%w/v、約4%w/v~約60%w/v、約5%w/v~約60%w/v、約6%w/v~約60%w/v、約7%w/v~約60%w/v、約8%w/v~約60%w/v、約9%w/v~約60%w/v、約10%w/v~約60%w/v、約15%w/v~約60%w/v、約20%w/v~約60%w/v、約25%w/v~約60%w/v、約30%w/v~約60%w/v、約35%w/v~約60%w/v、約40%w/v~約60%w/v、約45%w/v~約60%、約50%w/v~約60%w/v、または約55%w/v~約60%w/vの濃度のPEG 4000を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物が、約1%w/v~約60%w/v、約1%w/v~約55%w/v、約2%w/v~約50%w/v、約3%w/v~約45%w/v、約4%w/v~約40%w/v、約5%w/v~約35%w/v、約6%w/v~約30%w/v、約7%w/v~約28%w/v、約8%w/v~約26%w/v、約9%w/v~約24%w/v、約10%w/v~約22%w/v、または約15%w/v~約20%w/vの濃度のPEG 4000を含む。いくつかの実施形態では、組成物が、約1%w/v~約15%w/v、12%w/v~約14%w/v、3%w/v~約13%w/v、4%w/v~約12%w/v、5%w/v~約11%w/v、6%w/v~約10%w/v、または7%w/v~約9%w/vの濃度のPEG 4000を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、組成物が、約1%w/v、約2%w/v、約3%w/v、約4%w/v、約5%w/v、約6%w/v、約7%w/v、約8%w/v、約9%w/v、約10%w/v、約11%w/v、約12%w/v、約13%w/v、約14%w/v、約15%w/v、約16%w/v、約17%w/v、約18%w/v、約19%w/v、約20%w/v、約25%w/v、約30%w/v、約35%w/v、約40%w/v、約45%w/v、約50%w/v、約55%w/vまたは約60%w/vの濃度のPEG 4000を含む。
【0062】
本明細書におけるMTX組成物の説明では、例示的な密度増強剤としてスクロースまたはPEG 4000を使用しているが、所望の通過速度もしくは降下速度および/または所望の密度を達成するための適切な濃度の他の密度増強剤を、本明細書に記載される様々な密度増強剤についての密度の当技術分野の知識を考慮して使用することができることを理解すべきである。
【0063】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が1またはそれを超える界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤が硝子体内投与に適している。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標) 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標) 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標) 65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標) 85)、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標) 40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標) 60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標) 80)、ソルビタントリステアレート(Span(登録商標) 65)、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、界面活性剤がTween(登録商標) 20(ポリソルベート20)またはTween(登録商標) 80(ポリソルベート80)である。
【0064】
いくつかの実施形態では、組成物が、約0.001%w/v~約0.5%w/v、約0.002%w/v~約0.5%w/v、約0.004%w/v~約0.5%w/v、約0.006%w/v~約0.5%w/v、約0.008%w/v~約0.5%w/v、約0.010%w/v~約0.5%w/v、約0.012%w/v~約0.5%w/v、約0.014%w/v~約0.5%w/v、約0.016%w/v~約0.5%w/v、約0.018%w/v~約0.5%w/v、約0.02%w/v~約0.5%w/v、約0.03%w/v~約0.5%w/v、約0.04%w/v~約0.5%w/v、約0.05%w/v~約0.5%w/v、約0.06%w/v~約0.5%w/v、約0.07%w/v~約0.5%w/v、約0.08%w/v~約0.5%w/v、約0.1%w/v~約0.5%w/v、約0.12%w/v~約0.5%w/v、約0.14%w/v~約0.5%w/v、約0.16%w/v~約0.5%w/v、約0.18%w/v~約0.5%w/v、約0.2%w/v~約0.5%w/v、約0.3%w/v~約0.5%w/v、または約0.4%w/v~約0.5%w/vの界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、0.0015%w/v~約0.05%w/vで存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、0.01%w/v~0.05%w/vで存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、0.015%w/v~約0.03%w/vで存在する。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物が、約0.001%w/v、約0.002%w/v、約0.004%w/v、約0.006%w/v、約0.008%w/v、約0.010%w/v、約0.012%w/v、約0.014%w/v、約0.016%w/v、約0.018%w/v、約0.02%w/v、約0.03%w/v、約0.04%w/v、約0.05%w/v、約0.06%w/v、約0.07%w/v、約0.08%w/v、約0.1%w/v、約0.12%w/v、約0.14%w/v、約0.16%w/v、約0.18%w/v、約0.2%w/v、約0.22%w/v、約0.24%w/v、約0.26%w/v、約0.28%w/v、約0.3%w/v、約0.32%w/v、約0.34%w/v、約0.36%w/v、約0.38%w/v、約0.4%w/v、約0.42%w/v、約0.44%w/v、約0.46%w/v、約0.48%w/v、または約0.5%w/vの界面活性剤を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物が、保存剤、特に硝子体内注射用の薬学的に許容され得る保存剤を含む。いくつかの実施形態では、保存剤がベンジルアルコールである。いくつかの実施形態では、組成物が保存剤を含まない。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物が緩衝剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤が、薬学的に許容され得る緩衝剤、特に硝子体内投与に適した緩衝剤である。いくつかの実施形態では、緩衝剤が、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、四ホウ酸塩、二リン酸塩、トロメタミン、ヒドロキシエチルモルホリン、またはTHAM(トリスヒドロキシメチルアミノ-メタン)である。いくつかの実施形態では、緩衝剤がリン酸塩である。
【0068】
いくつかの実施形態では、緩衝剤が、組成物に緩衝能を提供するのに十分な量で存在する。いくつかの実施形態では、緩衝剤が、約0.005mM~約5mM、約0.01mM~約4mM、約0.02mM~約3mM、約0.03mM~約2mM、約0.04mM~約1.5mM、約0.05mM~約1mM、または約0.1mM~約0.8mMの濃度で存在する。
【0069】
いくつかの実施形態では、緩衝剤が、必要に応じて、約0.005mM、0.01mM、0.02mM、0.03mM、0.04mM、0.05mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mMまたはそれを超える濃度で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物のpHが約5.5~約8.5である。いくつかの実施形態では、pHが約6~約8、または約6.5~約7.5である。いくつかの実施形態では、組成物が、約5.5、約6.0、約6.5、約7、約7.5または約8のpHを有する。好ましくは、組成物のpHが、眼内の硝子体のおおよそのpHである。
【0071】
いくつかの実施形態では、MTXが、投与されると、本明細書に開示される疾患、障害、または症状を予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置するのに十分な濃度で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、MTXが、PVRを予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置するのに十分な濃度で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、MTXが、眼内リンパ腫を予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置するのに十分な濃度で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、MTXが、眼内炎症を予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置するのに十分な濃度で組成物中に存在する。メトトレキサートは、その化学名N-[4-[[(2,4-ジアミノ-6-プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸および4-アミノ-10-メチル葉酸によっても知られている。いくつかの実施形態では、組成物中のMTXが、硝子体内投与が予防上有効用量を含む治療上有効用量を提供するような量で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩が、約2mg/mL~約20mg/mLで存在する。いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩が、約3mg/mL~約20mg/mL、約4mg/mL~約20mg/mL、約5mg/mL~約20mg/mL、約6mg/mL~約20mg/mL、約7mg/mL~約20mg/mL、約8mg/mL~約20mg/mL、約9mg/mL~約20mg/mL、約10mg/mL~約20mg/mL、約11mg/mL~約20mg/mL、約12mg/mL~約20mg/mL、約13mg/mL~約20mg/mL、約14mg/mL~約20mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、約16mg/mL~約20mg/mL、または約18mg/mL~約20mg/mLで存在する。
【0073】
いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩が、約2mg/mL~約19mg/mL、約3mg/mL~約18mg/mL、約4mg/mL~約18mg/mL、約5mg/mL~約17mg/mL、約6mg/mL~約16mg/mL、約7mg/mL~約15mg/mL、約8mg/mL~約14mg/mL、約9mg/mL~約13mg/mL、約10mg/mL~約12mg/mLで存在する。いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩が、約5mg/mL~約12mg/mL、6mg/mL~約11mg/mL、または約7mg/mL~約10mg/mLで存在する。
【0074】
いくつかの実施形態では、MTXまたはその薬学的に許容され得る塩が、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約18mg/mL、または約20mg/mLで存在する。好ましくは、MTXが約8mg/mLで存在する。
【0075】
いくつかの実施形態では、MTXが、MTXの薬学的に許容され得る塩として、またはエステルとして組成物中に存在する。薬学的に許容され得る塩は、それだけに限らないが、ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類塩またはアンモニウム塩(これらの全てが本明細書では薬学的に許容され得る塩と呼ばれる)から選択され得る。いくつかの実施形態では、メトトレキサートがメトトレキサート二ナトリウムを指す。メトトレキサートには、アセチル化形態、ベンズヒドリル-スルフィニル酢酸形態、スルホン形態、ヒドロキシル化形態、多形形態、類似体、誘導体、同族体(cogener)、プロドラッグ、代謝酸およびこれらの混合物によって生成された化合物も含まれる。いくつかの実施形態では、メトトレキサートが、メトトレキサートの個々のエナンチオマーまたはラセミ混合物も含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物が、本明細書に開示される疾患、障害、または症状の処置におけるその使用に適合性の容量オスモル濃度を有する。いくつかの実施形態では、組成物の容量オスモル濃度が、硝子体内使用に適合性である。いくつかの実施形態では、組成物が、約200~約1000mOsm/Lもしくは約200~約500mOsm/L、または前記範囲内の任意の具体的な値、例えば、200mOsm/L、210mOsm/L、220mOsm/L、230mOsm/L、240mOsm/L、250mOsm/L、260mOsm/L、270mOsm/L、280mOsm/L、290mOsm/L、300mOsm/L、310mOsm/L、320mOsm/L、330mOsm/L、340mOsm/L、350mOsm/L、360mOsm/L、370mOsm/L、380mOsm/L、390mOsm/L、または400mOsm/Lの容量オスモル濃度を有する。特定の実施形態では、眼科用製剤が、等張化剤により、約250~約450mOsm/L、または約300~約400mOsm/Lの範囲の容量オスモル濃度に調整される。好ましくは、組成物の容量オスモル濃度が約350±50mOsm/Lである。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物が、組成物の張度を、例えば硝子体内使用に適した張度に調整するために使用することができる1またはそれを超える等張化剤を有することができる。適切な等張化剤には、例として、限定されないが、デキストラン(例えば、デキストラン40または70)、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、および塩化ナトリウムが含まれる。カリウム、アンモニウムなどのカチオン;および塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、重硫酸塩などのアニオン;重硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウム塩で構成される等価な量の1またはそれを超える塩も使用することができる。等張化剤の量は、添加される特定の薬剤に応じて変動し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:2mg/mL~約20mg/mL;と
スクロース:0.5%w/v~約20%w/vと
を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:5mg/mL~約15mg/mL;と
スクロース:4%w/v~約15%w/vと
を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:2mg/mL~約20mg/mL;と
PEG 4000:1%w/v~約60%w/vと
を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:5mg/mL~約15mg/mL;と
PEG 4000:4%w/v~約15%w/vと
を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、上記組成物の各々が、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される界面活性剤のいずれかを使用することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween(登録商標) 40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween(登録商標) 60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標) 80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標) 65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標) 85)、およびソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)、ソルビタンモノパルミテート(Span(登録商標) 40)、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標) 60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標) 80)、またはソルビタントリステアレート(Span(登録商標) 65)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤がTween(登録商標) 20またはTween(登録商標) 80である。
【0083】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:2mg/mL~約20mg/mL;と
スクロース:0.5%w/v~約20%w/v;と
界面活性剤:0.001%~約0.5%w/vと
を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:5mg/mL~約15mg/mL;と
スクロース:4%w/v~約15%w/v;と
界面活性剤:0.01%~約0.05%w/vと
を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:2mg/mL~約20mg/mL;と
PEG 4000:1%w/v~約60%w/v;と
界面活性剤:0.001%~約0.5%w/vと
を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下:
メトトレキサート:5mg/mL~約15mg/mL;と
PEG 4000:4%w/v~約15%w/v;と
界面活性剤:0.01%~約0.05%w/vと
を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、上記実施形態の界面活性剤が、ポリソルベート20とも呼ばれるTween(登録商標) 20である。いくつかの実施形態では、上記実施形態の界面活性剤が、ポリソルベート80とも呼ばれるTween(登録商標) 80である。
【0088】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F1)を有する:
【表2】
【0089】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F2)を有する:
【表3】
【0090】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F3)を有する:
【表4】
【0091】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F4)を有する:
【表5】
【0092】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F5)を有する:
【表6】
【0093】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F6)を有する:
【表7】
【0094】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F7)を有する:
【表8】
【0095】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、以下の製剤(F8)を有する:
【表9】
【0096】
上記具体的な実施形態の変形は、本明細書で提供されるガイダンスに従って調製することができることを理解すべきである。
5.2.使用および方法
【0097】
別の態様では、本開示は、PVR、眼内リンパ腫、または眼内炎症を予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置するためのMTX組成物の使用を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、PVRを予防する、またはそのリスクを低下させる、またはPVRを処置するためのMTX組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、PVRを予防する、またはそのリスクを低下させる、またはこれを処置する方法が、治療上有効量の本明細書に記載されるMTX組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MTX組成物が硝子体内投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示は、PVR、眼内リンパ腫、または眼内炎症を処置するための医薬の調製におけるMTXの使用であって、医薬が上記の組成物のいずれかを含む、使用を提供する。いくつかの実施形態では、医薬が、本明細書に記載されるMTXと、密度増強剤とを含む。いくつかの実施形態では、医薬が、本明細書に記載されるMTXと、密度増強剤と、界面活性剤とを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜の裂孔または円孔などの網膜損傷を有するが、網膜剥離をもたらさなかった。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜裂孔または円孔を処置するためのレーザー手術(例えば、光凝固)を受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜裂孔または円孔を処置するための冷凍凝固術を受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜裂孔または円孔のための処置を受けており、以下にさらに論じられる、PVRの1またはそれを超える危険因子を有する。いくつかの実施形態では、本方法が、治療上有効量の本開示のMTX組成物を、網膜裂孔または円孔を処置するためのレーザー手術(例えば、レーザー網膜復位術)または冷凍凝固術を受けている対象の眼に投与することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離である網膜損傷を患っている。いくつかの実施形態では、組成物による処置のための対象が、原発性網膜剥離を患っている。いくつかの実施形態では、処置のための対象が、裂孔原性網膜剥離である原発性網膜剥離を有する。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、続発性網膜剥離を患っている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、裂孔原性網膜剥離、牽引性網膜剥離、または複合型牽引性-裂孔原性網膜剥離を患っている。
【0102】
いくつかの実施形態では、網膜剥離が限局性網膜剥離であり、いくつかの実施形態では、網膜剥離が完全網膜剥離である。いくつかの実施形態では、本方法が、治療上有効量の本開示のMTX組成物を、網膜剥離に罹患した対象の眼に投与することを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離のための処置を受けている。いくつかの実施形態では、本方法が、治療上有効量の本開示のMTX組成物を、網膜剥離のために処置された対象の眼に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離に関連する網膜裂孔または円孔を処置するためのレーザー手術(例えば、光凝固、レーザー網膜復位術等)を受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離に関連する網膜裂孔または円孔を処置するための冷凍凝固術を受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離を処置するための気体網膜復位術を受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離を処置するための強膜バックリングを受けている。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離を処置するための硝子体切除術、例えば、ガスまたはシリコーンオイルなどの眼内タンポナーデを用いた毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)を受けている。
【0104】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、網膜剥離を処置するためのタンポナーデなど、罹患眼においてSiOを硝子体内投与される、または投与されている。いくつかの実施形態では、投与されるSiOが、少なくとも1000センチストークスの粘度を有するSiOである。いくつかの実施形態では、投与されるSiOが、約1000~約5000センチストークスの粘度を有する。いくつかの実施形態では、投与されるSiOが、1000センチストークスオイル、特にポリジメチルシロキサン1000センチストークスオイルである。いくつかの実施形態では、投与されるSiOが、5000センチストークスオイル、特にポリジメチルシロキサン5000センチストークスオイルである。
【0105】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、下部網膜剥離を処置するためのタンポナーデなど、ヘビーシリコーンオイル(HSO)を硝子体内投与される、または投与されている。いくつかの実施形態では、HSOがOxane HD、Densiron 68、またはHSV-45 3000である。いくつかの実施形態では、処置のための対象の眼が、パーフルオロヘキシルオクタン(F6H8)などの、液体パーフルオロカーボン(PFCL)または半フッ素化アルカンを硝子体内投与される、または硝子体内投与されている。PFCLには、パーフルオロ-n-オクタン(C8F18)およびパーフルオロデカリン(C10F18)が含まれる。
【0106】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、硝子体内SiOで処置されている対象のSiOへの硝子体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、SiOおよびMTX組成物で処置された眼に投与されるSiOと共投与される。いくつかの実施形態では、組成物が、SiOが後眼部に投与される場合、SiO中に存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、裂孔原性網膜剥離の1またはそれを超える危険因子を有する。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、以下:慢性眼炎症、感染性網膜炎、複数の網膜剥離、大きな網膜破壊または巨大網膜裂孔、複数の網膜破壊、眼外傷、硝子体出血に関連する網膜剥離、脈絡膜剥離、およびこれらの組み合わせのうちの1またはそれを超える数の以前の病歴を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置のための対象が、硝子体もしくは網膜下出血、過剰な凍結療法、エンドドレナージ中の色素放出、またはこれらの組み合わせを特徴とする。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物を、メトトレキサートによる処置から利益を得る他の眼疾患、障害、または症状を処置するために使用することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書の組成物が、眼内リンパ腫を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫を処置する方法が、本明細書に開示される例示的製剤を含む、治療上有効量の本明細書に開示される組成物を、眼内リンパ腫を有する対象の眼に硝子体内投与することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、処置される眼内リンパ腫が原発性硝子体網膜リンパ腫(PVRL)である。よって、対象はPVRLに罹患している、またはPVRLと診断されている。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫(例えば、PVRL)が脳神経系リンパ腫(PCNSL)を伴う。いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0112】
眼内リンパ腫を処置するための投与および投与量は、本明細書でより詳細に提供される。
【0113】
障害またはPVRおよび眼内リンパ腫に加えて、本明細書に開示されるMTX組成物は、眼の炎症性疾患、障害、または症状、特に眼内炎症を処置するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、眼内炎症を処置する方法が、本明細書に開示される例示的製剤を含む、治療上有効量の本明細書に開示される組成物を、眼内炎症を有する対象の眼に硝子体内投与することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるMTX組成物による処置のための炎症性疾患、障害または症状が、とりわけ、ブドウ膜炎、例えば汎ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎および後部ブドウ膜炎、特に非感染性後部ブドウ膜炎;嚢胞様黄斑浮腫(CME);例えばブドウ膜炎を伴う黄斑浮腫または糖尿病性黄斑浮腫;脈絡膜新生血管;ならびに補綴膜症(prosthetic membranopathy)を含む。
【0115】
眼内炎症を処置するための投与および投与量は、本明細書でより詳細に提供される。
5.3.投与および投与量
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法または使用が、「治療上有効量(therapeutically effective amount)」の本明細書に記載されるMTX組成物の使用を含む。「治療上有効量(therapeutically effective amount)」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量を指す。
【0117】
いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、予防上有効量を含む治療上有効量の、PVRを予防する、またはこれを発症するリスクを低下させる本開示のMTX組成物が投与される。いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、治療上有効量のPVRを処置するための本開示のMTX組成物が投与される。
【0118】
いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、治療上有効量の眼内リンパ腫を処置するための本開示のMTX組成物が投与される。いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、治療上有効量のPVRLを処置するための本開示のMTX組成物が投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、治療上有効量の眼内炎症を予防する、そのリスクを低下させる、またはこれを処置するための本開示のMTX組成物が投与される。いくつかの実施形態では、投与を必要とする対象の眼に、治療上有効量の眼内炎症を処置するための本開示のMTX組成物が投与される。
【0120】
投与されるMTXの量は、とりわけ、処置される疾患、障害または症状の種類(例えば、眼に対する損傷の性質もしくは位置;眼内リンパ腫の程度;または眼内炎症の種類)、対象の年齢および性別、危険因子の存在、ならびに眼を処置するために対象に与えられる処置の種類を考慮に入れることができる。
【0121】
治療上有効量は、1またはそれを超える投与、適用、または投与量で投与することができる。いくつかの実施形態では、対象の眼に、約25μg~約600μgの用量のMTXを送達するのに十分な本明細書に記載されるMTX組成物が投与される。いくつかの実施形態では、対象の眼に、約30μg~約580μg、約35μg~約560μg、約40μg~約540μg、約45μg~約520μg、約50μg~約500μg、約60μg~約480μg、約70μg~約460μg、約80μg~約440μg、約90μg~約430μg、約100μg~約420μg、約120μg~約400μg、約140μg~約380μg、約160μg~約360μg、約180μg~約340μg、または約200μg~約320μgの用量のMTXが投与される。いくつかの実施形態では、MTXの用量が約200μg~約600μg、または約300μg~約500μgである。
【0122】
いくつかの実施形態では、対象の眼に、約25μg、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg、約50μg、約60μg、約65μg、約70μg、約75μg、約80μg、約85μg、約90μg、約95μg、約100μg、約110μg、約120μg、約130μg、約140μg、約150μg、約160μg、約170μg、約180μg、約190μg、約200μg、約210μg、約220μg、230μg、240μg、250μg、260μg、270μg、280μg、290μg、約300μg、約320μg、約340μg、約360μg、約300μg、約350μg、約400μg、約450μg、約500μg、約550μg、または約600μgの用量のMTXが投与される。好ましくは、MTXの用量は、約200μg、300μg、400μg、または約500μgである。
【0123】
硝子体内投与のためのいくつかの実施形態では、投与される組成物の体積が、硝子体内投与に適している。例として、限定されないが、投与がガスまたはSiOで満たされた眼への硝子体内投与である場合、体積を調整することができる。いくつかの実施形態では、投与される組成物の体積が、約20μl~約300μl、約25μl~約200μl、約30μl~約190μl、約35μl~約180μl、約40μl~約170μl、約45μl~約150μl、約50μl~約140μl、約55μl~約130μl、約60μl~約120μl、約70μl~約110μl、または約80μl~約100μlである。
【0124】
硝子体内投与のためのいくつかの実施形態では、投与される組成物の体積が、約25μl、約30μl、約35μl、約40μl、約45μl、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl、約90μl、約100μl、約120μl、約140μl、約160μl、約180μl、約200μl、約220μl、約240μl、約260μl、約280μl、または約300μlである。硝子体内投与のための例示的な体積は100μlである。
【0125】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、予防効果を提供するため、または罹患眼における本明細書に開示される疾患、障害、もしくは症状を処置するための頻度および持続時間で投与される。
【0126】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、予防効果を提供するため、またはPVRを処置するための頻度および持続時間で投与される。
【0127】
PVRを処置するためのいくつかの実施形態では、用量、頻度、および持続時間が、とりわけ、網膜損傷の程度、網膜損傷の位置、眼損傷を処置するために使用される手術の種類、対象の年齢および性別、ガスまたはSiOで必要とされるタンポナーデの持続時間、ならびにPVRの1またはそれを超える危険因子の存在などの因子を考慮して調整され得る。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回投与される。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、1週間に1回、または2週間に1回、3週間に1回、または1か月に1回投与される。
【0128】
いくつかの実施形態では、PVRを処置するために以下が使用される。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、1日に2回以上、例えば1日2回または1日3回投与される。いくつかの実施形態では、対象に、手術後に、例えば手術が完了した日、および/または外科的処置の1日後、2日後、3日後もしくは4日後に、MTX組成物が1日2回または3回投与される。
【0129】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、最初の網膜損傷および/または術後手術の3、4、5、6、または7日後に少なくとも1日1回、引き続いてより低い投与頻度で投与され得る。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、少なくとも2週間にわたって少なくとも1日1回、引き続いてより低い投与頻度で投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、処置の持続時間が、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、または少なくとも12か月間(すなわち、1年間)にわたる。いくつかの実施形態では、処置が例えばタンポナーデとしてのガスまたはSiOを伴う場合、処置の持続時間が、それぞれガスによる処置またはSiOの除去が完了するまでである。いくつかの実施形態では、MTX組成物による処置が、例えば対象がPVRの1またはそれを超える危険因子を有する場合、ガスによる処置またはSiOの除去の完了後に継続される。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される疾患、障害、または症状を処置するためのMTX組成物の硝子体内投与が、当技術分野で使用される標準的な方法に従って実施される。いくつかの実施形態では、硝子体内投与が、結膜嚢への麻酔および消毒薬、例えば5%ポビドンヨードの局所施用後に無菌的に実施される。いくつかの実施形態では、対象の眼に、例えば30ゲージ針による、MTX組成物の硝子体内注射が投与される。
【0132】
PVRを処置するためのいくつかの実施形態では、MTX組成物が眼内のSiOに硝子体内投与される場合、対象が、SiOの投与後、MTX組成物がSiOを通過するのに適した位置(例えば、仰向けに横たわる)で、ならびにいくつかの実施形態では、MTX組成物のSiOの通過および網膜組織への、特に後極上の吸着のための水相への分散に十分な時間維持される。いくつかの実施形態では、患者が、特定の領域にメトトレキサートを向けるための他の位置(例えば、横向きに寝ている)に配置され得る。いくつかの実施形態では、対象が、MTX組成物をSiOに投与した後、少なくとも30分間、少なくとも25分間、少なくとも20分間、少なくとも15分間、少なくとも10分間、または少なくとも5分間適切に配置される。
【0133】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、眼内リンパ腫、例えばPVRLを処置するのに有効な頻度および持続時間で投与される。
【0134】
眼内リンパ腫を処置するためのいくつかの実施形態では、用量、頻度および持続時間が、とりわけ、眼内リンパ腫および他の症状の重症度または病期、例えば付随するPCNSLの存在または非存在などの因子を考慮して調整され得る。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、眼内リンパ腫を処置するために、4週間(月)に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または1週間に4回投与される。
【0135】
眼内リンパ腫を処置するためのいくつかの実施形態では、処置レジメンが、誘導期、ならびに必要に応じて地固め期および/または維持期を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、誘導期が、1週間に2回、最大1週間に4回のMTX組成物の投与である。
【0137】
いくつかの実施形態では、地固め期が、存在する場合、1週間に1回または1週間に2回の投与を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、維持期が、存在する場合、2週間に1回または1か月に1回の投与を含む。
【0139】
眼内リンパ腫を処置するためのいくつかの実施形態では、投与される用量が、治療効果を提供するのに十分である。いくつかの実施形態では、上に開示される用量のいずれかを、眼内リンパ腫を処置するための有効量で使用することができる。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、約100~800μg、約200~600μg、または約300~500μgである。
【0140】
いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫を処置するために投与されるMTXの用量が、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg、約600μg、約700μg、または約800μgである。好ましい実施形態では、投与されるMTXの用量が、約200μg、約300μg、約400μg、または約500μgである。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が約400μgである。
【0141】
眼内リンパ腫を処置するためのいくつかの実施形態では、投与される用量が、治療効果を提供するのに十分である。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、約100~800μg/0.1mL、約200~600μg/0.1mL、または約300~500μg/0.1mLである。
【0142】
いくつかの実施形態では、眼内リンパ腫を処置するために投与されるMTXの用量が、約100μg/0.1mL、約200μg/0.1mL、約300μg/0.1mL、約400μg/0.1mL、約500μg/0.1mL、約600μg/0.1mL、約700μg/0.1mL、または約800μg/0.1mLである。好ましい実施形態では、投与されるMTXの用量が、約200μg/0.1mL、約300μg/0.1mL、約400μg/0.1mL、または約500μg/0.1mLである。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が約400μg/0.1mLである。
【0143】
眼内リンパ腫を処置するためのいくつかの実施形態では、MTXによる処置が、リンパ腫の処置に有効な二次治療薬と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、MTXと組み合わせて投与される二次治療薬が抗CD20抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体が、リツキシマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オビヌツズマブおよびオファツムマブから選択される。
【0144】
いくつかの実施形態では、MTX組成物が、眼内炎症を処置するために有効な頻度および持続時間で投与される。いくつかの実施形態では、処置のための眼内炎症が、ブドウ膜炎、例えば汎ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎または後部ブドウ膜炎、特に非感染性後部ブドウ膜炎;嚢胞様黄斑浮腫(CME);例えばブドウ膜炎を伴う黄斑浮腫または糖尿病性黄斑浮腫;脈絡膜新生血管;および補綴膜症である。
【0145】
眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、用量、頻度、および持続時間が、とりわけ、眼内炎症の種類、および眼内炎症の重症度または病期などの因子を考慮して調整され得る。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、眼内炎症を処置するために、4週間(月)に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または1週間に4回投与される。
【0146】
眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、処置レジメンが、誘導期、ならびに必要に応じて地固め期および/または維持期を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、誘導期が、1週間に2回、最大1週間に4回のMTX組成物の投与である。
【0148】
いくつかの実施形態では、地固め期が、存在する場合、1週間に1回または1週間に2回の投与を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、維持期が、存在する場合、2週間に1回または1か月に1回の投与を含む。
【0150】
眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、投与される用量が、治療効果を提供するのに十分である。いくつかの実施形態では、上に開示される用量のいずれかを、眼内炎症を処置するための有効量で使用することができる。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、約100~800μg、約200~600μg、または約300~500μgである。
【0151】
いくつかの実施形態では、眼内炎症を処置するために投与されるMTXの用量が、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg、約600μg、約700μg、または約800μgである。好ましい実施形態では、投与されるMTXの用量が、約200μg、約300μg、約400μg、または約500μgである。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が400μgである。
【0152】
眼内炎症を処置するためのいくつかの実施形態では、投与される用量が、治療効果を提供するのに十分である。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が、約100~800μg/0.1mL、約200~600μg/0.1mL、または約300~500μg/0.1mLである。
【0153】
いくつかの実施形態では、眼内炎症を処置するために投与されるMTXの用量が、約100μg/0.1mL、約200μg/0.1mL、約300μg/0.1mL、約400μg/0.1mL、約500μg/0.1mL、約600μg/0.1mL、約700μg/0.1mL、または約800μg/0.1mLである。好ましい実施形態では、投与されるMTXの用量が、約200μg/0.1mL、約300μg/0.1mL、約400μg/0.1mL、または約500μg/0.1mLである。いくつかの実施形態では、投与されるMTXの用量が約400μg/0.1mLである。
5.4.キット
【0154】
別の態様では、MTX組成物がキットの形態で提供される。いくつかの実施形態では、キット中のMTX組成物が、複数回投与バイアルで提供される。いくつかの実施形態では、キット中のMTX組成物が、単回使用バイアルとして提供される。いくつかの実施形態では、キットが、MTX組成物の1またはそれを超える単回使用バイアルを含む。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、パイロジェンフリー滅菌水または緩衝液などの適切な溶媒で再構成するための乾燥組成物の形態で提供される。いくつかの実施形態では、キットが、乾燥組成物として提供される場合、注射用のMTX溶液の再構成のための溶媒のバイアルを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、キットが、MTX組成物を注射するための注射器をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットが、MTX組成物を注射するための1またはそれを超える注射器を含む。いくつかの実施形態では、MTX組成物が、対象の眼に投与するための充填済注射器で提供される。
【0156】
一定の実施形態では、キットが、組成物の適切な使用のための処方情報も含む。情報は、印刷物またはコンピュータ可読媒体の形態であってもよい。
【0157】
以下の例は、本開示の実施形態をさらに例示するために提供される。記載される例は例示にすぎず、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0158】
6.実施例
実施例1:組成物の調製およびシリコーンオイルの通過の評価
水を適切な容器に入れ、各成分、例えば、製剤に適した界面活性剤、緩衝剤、密度増強剤、メトトレキサート等を一度に1つ添加し、溶液に溶解する。1M水酸化ナトリウムまたはHClの添加によってpHを7.4±0.2に調整する。水を添加して所望の最終体積にする。
【0159】
様々な粘度および量のシリコーン層を通過するメトトレキサートの移動時間に対する製剤組成物の影響を、2つのグレードのシリコーンオイル:ポリジメチルシロキサン1,000 cps(Sigma Aldrich、英国)および5,000 cps(Mistral industrial chemicals、英国)を使用して調査した。
1.2つの高さのシリコーンオイルを試験した:使用する最良の高さを確認するために、0.5cmまたは1cmのオイルを2mLのPBS緩衝液の上に配置した。
2.1滴の製剤(約50mg)をシリコーン層の上に配置した。
API(製剤液滴、黄色)が移動するのにかかる時間を監視し(cm/分)、同様にシリコーン相を通過して移動した後の水相への製剤相の分布についての目視観察、例えば自発的、ゆっくり等も監視した。
【0160】
調査したいくつかの異なる製剤の通過時間を図1に示す。
【0161】
製剤のいくつかを、製剤が2時間以内にオイル界面を通過する回数についても評価した。各製剤を最大2時間測定し、結果は、製剤が評価した期間にシリコーンオイル-PBS緩衝液界面を通過した回数を表す。両方の高さおよび両方の粘度(9つの試験のうち)での総回数および%を以下の表に示す。
【0162】
【表1】
【0163】
本出願で引用される全ての刊行物、特許、特許出願および他の文献は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願または他の文献が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
様々な具体的な実施形態を例示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されよう。
図1
【国際調査報告】