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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】新規化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20221110BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 213/82 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 491/056 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 213/89 20060101ALI20221110BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/4355 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61P25/00
A61P35/00
A61P31/12
A61P3/10
A61P29/00
A61P1/18
A61P9/12
A61P19/00
A61P21/00
A61P21/04
A61P35/02
A61P25/16
A61K31/4439
A61K31/5377
C07D405/04
A61K31/443
C07D417/04
C07D213/82
C07D487/04 144
C07D471/04 113
C07D471/04 106H
C07D491/048
C07D491/056
C07D213/89
C07D401/14
A61K31/4355
A61K31/436
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515909
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 GB2020052203
(87)【国際公開番号】W WO2021048567
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】1913110.1
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519399947
【氏名又は名称】ベネボレントエーアイ バイオ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ローリング
(72)【発明者】
【氏名】エドワード アイ.バルモンド
(72)【発明者】
【氏名】カラム フィン
(72)【発明者】
【氏名】マートン バス
(72)【発明者】
【氏名】マーク デイビッド ラッカム
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ディー.セイボリー
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ ポール
【テーマコード(参考)】
4C050
4C055
4C063
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050BB07
4C050CC08
4C050CC16
4C050CC18
4C050EE01
4C050EE03
4C050FF01
4C050FF10
4C050GG01
4C050GG04
4C050GG10
4C050HH04
4C055AA04
4C055AA09
4C055AA12
4C055AA13
4C055AA17
4C055BA02
4C055BA41
4C055BA42
4C055BB02
4C055CA02
4C055CA50
4C055CA58
4C055CB08
4C055DA01
4C055EA01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB02
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC29
4C063CC31
4C063CC34
4C063CC42
4C063CC52
4C063CC62
4C063CC73
4C063CC76
4C063CC78
4C063CC79
4C063CC82
4C063DD02
4C063DD03
4C063DD12
4C063EE01
4C065AA04
4C065AA05
4C065BB05
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065DD03
4C065EE02
4C065EE03
4C065HH01
4C065JJ01
4C065JJ08
4C065KK01
4C065LL01
4C065LL08
4C065PP12
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086GA12
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA22
4C086ZA42
4C086ZA66
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、光学異性体、N-オキシド及び/又はプロドラッグに関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物、及び、c-Ablの阻害が有益である病状の治療又は予防におけるそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(上式中、R1はH及びハロからなる群より選ばれ、好ましくは、H, F及びClからなる群より選ばれ、より好ましくは、Hであり、
R2は-OCF2Cl, -OCF3, -SCF3, -SCF2Cl, -CF2CF3, -CF2CF2Cl, -OCF2CF3, -SF5, OF2CH3, -SOCF3, -SO2CF3, -OCF2CF2H及び-SCF2Hからなる群より選ばれ、好ましくは、-SCF2Cl及び-OCF3からなる群より選ばれ、
Aは
【化2】
であり、R3, R4, R5及びR6は以下のもの:
(i)H, ハロ、-OH, -C(O)NRdRe, -NRaRb, シアノ、-C(O)ORc及び-C(O)Rc;
(ii)C1-C7アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6 アルコキシであって、場合により、-NRaRb, シアノ、-ORc, ハロ、オキソ、6-~10-員アリール、5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基によって置換されており、場合により、前記5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルは、ハロ及びC1-C7アルキルから選ばれる1つ以上の置換基により独立して置換されており、前記C1-C7アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
(iii)6-~10-員アリール及び5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、-C(O)NRdRe, -NRdRe, -OH, オキソ、シアノ, -C(O)ORc及び-C(O)Rc, C1-C7 アルキル、C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基によって置換されており、前記4-~10-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、各々、場合により、1つ以上のハロ原子により独立して置換されている;及び、
(iv)4-~10-員ヘテロサイクルであって、ハロ、オキソ、-C(O)NRdRe, -NRdRe, シアノ、 -C(O)ORc及び-C(O)Rc、C1-C7 アルキル、C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)、6-~10-員アリール、5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、各々、場合により、1つ以上のハロ原子により独立して置換されている;
からなる群より独立して選ばれ、
各R7 及びR8 はH及びハロからなる群より独立して選ばれ、好ましくは、H, F及びClからなる群より独立して選ばれ、より好ましくは、H及びFからなる群より独立して選ばれ、最も好ましくはHであり、
各Ra, Rb及びRc はH及びC1-C7 アルキルから独立して選ばれ、前記C1-C7 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、そして、
各Rd 及びReはH及びC1-C7 アルキルから独立して選ばれ、前記C1-C7 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、又は、Rd 及びRe はそれらが結合する窒素原子と一緒になって5-又は6-員飽和、部分飽和又は不飽和環を形成することができ、前記環は1つ以上のヘテロ原子を含み、
好ましくは、R5 及びR3 及び/又はR4 は置換基(iii)から選ばれ、より好ましくは、R5 又はR4 は置換基(iii)から選ばれる)の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、N-オキシド及び/又はそのプロドラッグ。
【請求項2】
前記化合物は式(II):
【化3】
(上式中、XはF又はClであり、
Aは
【化4】
である)の化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XはClである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R3, R4, R5及びR6 は以下のもの、
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
からなる群より独立して選ばれ、
好ましくは、R5 及びR3 及び/又はR4 は置換基(iv)及び(v)から選ばれ、より好ましくは、R5 及びR4 は置換基(iv)及び(v)から選ばれる、先行の請求項のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は式(IIa):
【化5】
(上式中、R3 及びR4 は以下のもの:
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
からなる群より独立して選ばれ、
好ましくは、R3 及び/又はR4 は置換基(iv)及び(v)から選ばれ、より好ましくは、R4 は置換基(iv)及び(v)から選ばれる)の化合物である、請求項2~4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
R 3 は以下のもの:
(i)H, C1-C6 アルコキシ及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキルであって、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(iii)フェニル及び5-又は6-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
からなる群より選ばれ、
好ましくは、R3は置換基(iii)から選ばれる、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R4 は以下のもの:
(i)H;
(ii)C1-C6 アルキルであって、前記C1-C6 アルキルは、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(iv)5-又は6-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)から独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキル は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(vi)基B
【化6】
(上式中、各Y及びZはC, S, O及びNから独立して選ばれ、
少なくとも1つのY又はZはS, O又はNであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルにより独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
nは0又は1であり、
mは0又は1である)
(vii)基C
【化7】
(上式中、各Y及びZはC, S, O及びNから独立して選ばれ、
少なくとも1つのY又はZはS, O又はNであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルにより独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
n は0又は1であり、
m は0又は1である)、及び、
(viii)基D
【化8】
(上式中、各Y及びZは、C, S, O及びNから独立して選ばれ、
少なくとも1つのZはCであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルにより独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
R9 はハロ及びC1-C6 アルキルから選ばれ、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
n は0又は1である)
からなる群より選ばれ、
好ましくは、R4 は置換基(iii), (iv), (vi), (vii)及び(viii)から選ばれる、請求項5又は6記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物は式(IIb):
【化9】
(上式中、R5 及びR6 は以下のもの:
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;及び、
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
からなる群より独立して選ばれ、
好ましくは、R5 は置換基(iv)及び(v)から選ばれる)化合物である、請求項2~4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
R5 は5-又は6-員ヘテロアリール基であって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R6 はH及びC1-C6 アルキルからなる群より選ばれ、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、請求項8又は9記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物は、
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(3-エトキシ-1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
1-(2-モルホリノエチル)-6-オキソ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[(3S)-テトラヒドロフラン-3-イル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-(1H-ピラゾール-5-イル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[(3R)-テトラヒドロフラン-3-イル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-[1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-チアゾール-2-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2-メチル-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-チアゾール-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2-メトキシピリミジン-5-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(6-メトキシ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1-イソプロピルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1-シクロプロピルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[(3R)-1-メチルピロリジン-3-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[(3S)-1-メチルピロリジン-3-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1,5-ジメチルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(3-シクロプロピル-1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-シアノフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[1-(シクロプロピルメチル)ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[1-(2-メトキシエチル)ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
1-(1-tert-ブチルピラゾール-4-イル)-N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-メチル-6-オキソ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-[1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(キノキサリン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(4-メトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジメトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-6-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-メトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(キノキサリン-6-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-7-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-8-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(3-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(1,3-ベンゾオキサゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[4-(2-オキソアゼチジン-1-イル)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド;
6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-フルオロ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-シアノ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-フェニル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-メチル-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-メトキシ-6-オキソ-1-ピリミジン-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-メチル-6-オキソ-1-ピリミジン-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-(モルホリン-4-イル)-6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-メトキシ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-クロロ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6'-メチル-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5'-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1,5-ナフチリジン-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-7-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2H,3H-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-6-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2-メチル-2H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-6-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
6'-クロロ-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2H,3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
2'-クロロ-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-6'-(トリフルオロメチル)-2H-[1.3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(オキサン-4-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
5-{[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]カルバモイル}-2-オキソ-2H-[1.3'-ビピリジン]-1'-イウム-1'-オレート;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-シアノ-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-(1-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-(5-フルオロ-3-ピリジル)-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-フェニル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-[3,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-ピラゾール-1-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-イミダゾール-1-イル-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-6-(1H-ピラゾール-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド;
2-オキソ-6-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド; 又は
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミドである、先行の請求項のいずれか1項記載の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、N-オキシド及び/又はそのプロドラッグ。
【請求項12】
先行の請求項のいずれか1項記載の化合物及び医薬的に許容されるキャリア、賦形剤及び/又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
治療に使用するための、請求項1~11のいずれか1項記載の化合物又は請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
神経変性障害、癌、プリオン病、ウイルス感染症、糖尿病、炎症性疾患、急性膵炎(好ましくは重度の急性膵炎)、肺動脈性高血圧又は骨格もしくは筋ジストロフィーの治療又は予防、好ましくは神経変性障害又は癌の治療又は予防に使用するための、請求項1~11のいずれか1項記載の化合物又は請求項12記載の医薬組成物。
【請求項15】
神経変性障害、癌、プリオン病、ウイルス感染症、糖尿病、炎症性疾患、急性膵炎(好ましくは重度の急性膵炎)、肺動脈性高血圧又は骨格もしくは筋ジストロフィーの治療又は予防、好ましくは神経変性障害又は癌の治療又は予防のための医薬品の製造のための、請求項1~11のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項16】
治療有効量の請求項1~11のいずれか1項記載の化合物又は請求項12記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、c-Abl阻害に応答する疾患又は状態の治療又は予防のための方法。
【請求項17】
前記疾患又は状態は、神経変性障害、癌、プリオン病、ウイルス感染症、糖尿病、炎症性疾患、急性膵炎(好ましくは重度の急性膵炎)、肺動脈性高血圧又は骨格もしくは筋ジストロフィー、好ましくは神経変性障害又は癌である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記神経変性障害は、アルツハイマー病、ダウン症候群、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、ピック病、ニーマン-ピック病、パーキンソン病、ハンチントン病(HD)、歯状線維パリドル性萎縮症、ケネディ病及び脊髄小脳失調症、脆弱性X(レット)症候群、脆弱性XE精神遅滞、フリードライヒ性運動失調症、筋緊張症、脊髄小脳失調症8型及び脊髄小脳失調症12型、アレクサンダー病、アルパー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、毛細血管拡張運動失調症、バッテン病、カナバン病、コカイン症候群、皮質基底変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、虚血性脳卒中、クラッベ病、リューイ体認知症、多発性硬化症、多系統萎縮症、ペリザエウス-メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、脊椎脊髄損傷、脊髄性筋萎縮症、スティール-リッチャードソン-オルシェフスキー病及び脊髄癆から選ばれる、請求項14記載の使用のための化合物又は医薬組成物、請求項15記載の化合物の使用、又は、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記神経変性障害は筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はパーキンソン病、好ましくはALSである、請求項18記載の使用のための化合物、化合物の使用、又は方法。
【請求項20】
前記癌は白血病であり、好ましくは慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)又は混合表現型急性白血病(MPAL)又はそれらの中枢神経系(CNS)転移であり、好ましくはCML又はALLである、請求項14記載の使用のための化合物又は医薬組成物、請求項15記載の化合物の使用、又は、請求項16記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、c-Ablの阻害剤である式(I)の化合物に関する。本発明はまた、それらの化合物を含む医薬組成物、及び、c-Ablの阻害が有益である病状の治療又は予防におけるそれらの使用に関する。このような病状としては、神経変性疾患及び癌が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
背景
ABL1(エーベルソンマウス白血病ウイルス性発癌遺伝子ホモログ1(Abelson Murine Leukemia Viral Oncogene Homolog 1))は、チロシンキナーゼ酵素活性を示し、様々な細胞機能に関連するタンパク質である。ヒトでは、このタンパク質は第9染色体上にあるABL1遺伝子によってコードされている。哺乳類のゲノム内に見られるABL1遺伝子の形態はc-Ablと呼ばれている。
【0003】
フィラデルフィア染色体は、t(9,22)の相互染色体転座によって形成される22番染色体の遺伝的異常であり、BCR-ABL1と呼ばれる融合遺伝子をもたらす。この融合遺伝子は、9番染色体のABL1遺伝子及びBCR遺伝子の一部を含む。ABL1タンパク質のチロシンキナーゼ活性は、通常、厳格に調節されているが、融合遺伝子におけるBCRドメインはABL1キナーゼの構成的活性化をもたらす。しかしながら、BCR-ABLとc-Ablの結合ドメインは同一である。
【0004】
c-Ablの活性化は、様々な疾患、特に癌に関係している。例えば、BCR-ABL変異の存在は、慢性骨髄性白血病(CML)と強く関連している。また、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の一部の症例にも見られる。ニロチニブ及びポナチニブはどちらもオルソステリックc-Abl阻害剤であり、c-AblのATP部位に結合し、慢性骨髄性白血病(CML)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に使用されている。
【0005】
アスシミニブ(Asciminib)(ABL001)は、c-Ablのミリスチン酸ポケットに結合するアロステリックc-Abl阻害剤である。アスシミニブは現在、CML及びフィラデルフィア染色体陽性ALLの治療について、単独療法として、又は、ニロチニブ、ポナチニブ、ダサチニブ及びボスチニブなどのc-Ablのオルソステリックチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて臨床試験を行っている。
【0006】
c-Abl阻害によって治療される可能性のある白血病の範囲としては、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、混合表現型急性白血病(MPAL)及びその中枢神経系(CNS)転移が挙げられる。
【0007】
c-Ablの活性化は、神経変性疾患にも関係している。神経変性疾患は、ニューロンの進行性の変性及び最終的な死を特徴とすることができる。特定の神経変性疾患としては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びパーキンソン病(PD)が挙げられる。
【0008】
ALSは、運動ニューロンの進行性変性によって引き起こされる致命的な神経変性疾患である。c-Ablシグナル伝達活性化がニューロンのアポトーシスに寄与し、c-Abl阻害剤が運動ニューロンの死を防ぐことができることが報告されている[Rojasら Frontiers in Cellular Neuroscience, 2015, 9, 203; Imamuraら Science Translational Medicine, 2017]。
【0009】
パーキンソン病(PD)は、黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンの選択的喪失によって引き起こされる進行性神経変性疾患である。c-AblはPD患者の脳で活性化され、c-Abl阻害はドーパミンニューロンの喪失に対して保護することができると報告されている[Paganら Pharmacology Research & Perspectives, 2019; Karuppagounderら Scientific Reports, 2014, 4, 4874]。
【0010】
c-Ablの活性化は、限定するわけではないが、プリオン病、ウイルス感染症、糖尿病、肺線維症などの炎症性疾患、及び、骨格又は筋ジストロフィーなどを含む、他の様々な疾患にも関係している。
【0011】
ウイルス感染は、ポックスウイルス及びエボラウイルスの場合のように、ABL1キナーゼ活性によって媒介されうる。Gleevec(登録商標)及びTasigna(登録商標)は、インビトロで感染細胞からのエボラウイルス粒子の解放を停止することが示されている(例えば、WO2007/002441; Mayraら、Productive Replication of Ebola Virus Is Regulated by the ABL1 Tyrosine Kinase Science translational medicine 2012, 4, 123ra24)。したがって、ABLキナーゼの阻害は、病原体の複製能力を低下させることが期待されうる。
【0012】
プリオン病モデルにおいて、Gleevec(登録商標)は有益な効果を示した。それは、末梢から中枢神経系へのプリオン増殖を阻害することによってプリオン神経浸潤を遅らせた(Yunら The tyrosine kinase inhibitor imatinib mesylate delays prion neuroinvasion by inhibiting prion propagation in the periphery J Neurovirol. 2007, 13, 328-37)。Gleevec(登録商標)及びABL欠損症は、プリオン感染細胞でPrPScの細胞クリアランスを誘導した(Ertmerら The tyrosine kinase inhibitor STI571 induces cellular clearance of PrPSc in prion-infected cells J. Biol. Chem. 2004 279, 41918-27)。したがって、ABL1阻害剤は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などのプリオン病の治療に有効な治療アプローチを表す。
【0013】
X連鎖劣性エメリー・ドレイフス筋ジストロフィーは、核構造、遺伝子調節及びシグナル伝達における役割を有する核膜タンパク質であるエメリンの変異によって引き起こされる。ある研究では、エメリンは細胞モデルでABL1によって直接チロシンリン酸化され、エメリンのリン酸化状態によって、BAFなどの他のタンパク質へのエメリンの結合が変化することが示されている。これは、次に、核から細胞質ゾルへの変異エメリンの誤局在を説明し、その結果、核膜でのシグナル伝達経路の下流エフェクタ及びシグナルインテグレータの変化を説明することができる(Tifftら Tyrosine phosphorylation of nuclear- membrane protein emerin by SRC, ABL1 and other kinases J. Cell Sci. 2009, 122, 3780-90)。有糸分裂と間期の両方でのエメリン-ラミン相互作用の変化は、筋ジストロフィーの病理に関連している。さらに、別の研究の結果は、Gleevec(登録商標)がmdxマウスの骨格筋ジストロフィーを軽減することを示している(Huangら Imatinib attenuates skeletal muscle dystrophy in mdx mice FASEB J. 2009, 23, 2539-48)。したがって、ABL1阻害剤はまた、骨格及び筋ジストロフィーの治療のための治療アプローチを表す。
【0014】
さらに、ABL1キナーゼは、脳卒中及び外傷性脳損傷又は脊髄損傷などの急性CNS疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病及び運動神経疾患などの慢性CNS疾患から、糖尿病、肺線維症などの非CNS炎症性及び自己免疫性疾患に至るまで、様々な人間の疾患に関係する2つの機構である炎症及び酸化ストレスにおける役割を果たす。
【0015】
例えば、Gleevec(登録商標)は全身性硬化症の様々な前臨床モデルで線維症を予防し、確立された線維症の退行を誘発し(Akhmetshinaら Treatment with imatinib prevents fibrosis in different preclinical models of systemic sclerosis and induces regression of established fibrosis Arthritis Rheum. 2009, 60, 219-24)、そしてそれはマウスのブレオマイシン誘発性肺線維症における抗線維化効果を示す(AonoらImatinib as a novel antifibrotic agent in bleomycin-induced pulmonary fibrosis in mice Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2005, 171, 1279-85)。別の研究は、イマチニブ及びニロチニブの両方がマウスのブレオマイシン誘発性急性肺損傷及び肺線維症を軽減することを示した(Rheeら Effect of nilotinib on bleomycin-induced acute lung injury and pulmonary fibrosis in mice. Respiration 2011, 82, 273-87)。これらの研究において、著者は、Rheeらによる研究(Respiration. 2011, 82, 273-87)において、興味深いPDGFRに関連する機構の含意に焦点を合わせていたが、イマチニブよりも強力なc-Abl阻害剤であるニロチニブは、優れた治療的抗線維化効果を示し、そのため、肺の炎症を伴うヒトの疾患の治療に対するc-Abl阻害剤の治療的適用性を裏付けている。別の研究において、マウスを高酸素に暴露すると、ダイナミン2リン酸化及び反応活性酸素種産生及び肺漏出に必要なABL1の活性化が増加した(Singletonら Dynamin 2 and c-Abl are novel regulators of hyperoxia-mediated NADPH oxidase activation and reactive oxygen species production in caveolin-enriched microdomains of the endothelium J. Biol. Chem. 2009, 284, 34964-75)。
【0016】
c-Abl阻害は、重度の急性膵炎における局所及び全身炎症を改善するための有用な戦略である可能性があることも報告されている[R Madhiら Journal of Leukocyte Biology, 2019, 106(2): 455-466]。さらに、BCR-ABL阻害剤は肺動脈性肺高血圧症の治療に使用されている[D. DumitrescuらEuropean Respiratory Journal, 2011, 38: 218-220]。
【0017】
上記を考慮すると、神経変性疾患(すなわちALS及びPD)及び癌(特に白血病)などのc-Ablの阻害が有益である病状の治療及び予防に使用できる新規化合物の満たされていない要求がある。
【発明の概要】
【0018】
発明の開示
驚くべきことに、式(I)の化合物はc-Ablを阻害し、したがって上記の病状を治療又は予防することが見出された。理論に拘束されることを望まないが、式(I)の化合物は、c-Ablのミリスチン酸ポケットに結合し、したがって、アロステリック阻害機構を介して作用すると考えられる。
【0019】
さらに、式(I)の化合物は、既知の化合物と比較して、薬物としての使用の可能性を高める特定の有益な特性を有する。これは、その有効性、脳対血漿比、バイオアベイラビリティ、クリアランス、半減期、溶解性、キナーゼ選択性などの選択性プロファイル、低いhERG阻害活性及び/又は他の注目すべき薬物動態特性の観点からでありうる。
【0020】
したがって、本発明は、式(I)の化合物、又は、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、N-オキシド及び/又はそのプロドラッグに関する。
【0021】
【化1】
【0022】
(上式中、R1はH及びハロからなる群より選ばれ、
R2は-OCF2Cl, -OCF3, -SCF3, -SCF2Cl, -CF2CF3, -CF2CF2Cl, -OCF2CF3, -SF5, OF2CH3, -SOCF3, -SO2CF3, -OCF2CF2H及び-SCF2Hからなる群より選ばれ、
Aは
【化2】
【0023】
であり、R3, R4, R5及びR6は以下からなる群より独立して選ばれる:
(i)H, ハロ、-OH, -C(O)NRdRe, -NRaRb, シアノ、-C(O)ORc及び-C(O)Rc;
(ii)C1-C7アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6 アルコキシであって、場合により、-NRaRb, シアノ、-ORc, ハロ、オキソ、6-~10-員アリール、5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基によって置換されており、場合により、前記5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルは、ハロ及びC1-C7アルキルから選ばれる1つ以上の置換基により独立して置換されており、前記C1-C7アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている、
(iii)6-~10-員アリール及び5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、-C(O)NRdRe, -NRdRe, -OH, オキソ、シアノ, -C(O)ORc及び-C(O)Rc, C1-C7 アルキル、C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基によって置換されており、前記4-~10-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、各々、場合により、1つ以上のハロ原子により独立して置換されている;及び、
(iv)4-~10-員ヘテロサイクルであって、ハロ、オキソ、-C(O)NRdRe, -NRdRe, シアノ, -C(O)ORc及び-C(O)Rc、C1-C7 アルキル、C2-C6 アルケニル、C2-C6 アルキニル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)、6-~10-員アリール、5-~10-員ヘテロアリール及び4-~10-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、各々、場合により、1つ以上のハロ原子により独立して置換されている;
各R7 及びR8 はH及びハロからなる群より独立して選ばれ、
各Ra, Rb及びRc はH及びC1-C7 アルキルから独立して選ばれ、前記C1-C7 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、そして、
各Rd 及びReはH及びC1-C7 アルキルから独立して選ばれ、前記C1-C7 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、又は、Rd 及びRe はそれらが結合する窒素原子と一緒になって5-又は6-員飽和、部分飽和又は不飽和環を形成することができ、前記環は1つ以上のヘテロ原子を含む)。
【0024】
これらの化合物は本発明の化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
R1 がH, F及びClから選ばれることが好ましく、より好ましくは、R1 はHである。
【0026】
各R7 及びR8 はまた、好ましくは、H, F及びClから選ばれ、より好ましくは、H及びFから選ばれ、そして最も好ましくはHである。
【0027】
本発明の好ましい特徴において、R1 ならびに各R7 及びR8はHである。
【0028】
本発明の別の好ましい特徴において、R2 は-OCF2Cl及び-OCF3から選ばれる。
【0029】
上記にかかわらず、分子の残りの部分へのR4 及びR6上の結合点は、ハロ原子ではなく、好ましくは、N-オキシドを形成する場合以外にヘテロ原子ではない。したがって、R4 及びR6はハロではなく、R4 及びR6は好ましくはNRaRb又はC1-C6 アルコキシではない。
【0030】
アミドリンカーに対するメタ位(すなわち、式(I)に存在するR3, R4又はR5の位置)のA基に芳香族又はヘテロ芳香族置換基を含めることは、c-Ablの阻害の増加をもたらすので特に有利であることができる。したがって、特に好ましい式(I)の化合物は、R5 及びR3 及び/又はR4が上記の置換基(iii)から選択されるものである。R5 又はR4が置換基(iii)から選択されることが特に好ましい。
【0031】
R1, R7及びR8がHであり、R2が-OCF2Cl及び-OCF3から選択されることが非常に好ましい。この場合に、本発明の化合物は、式(II)の化合物である。
【0032】
【化3】
(上式中、XはF又はClであり、Aは
【0033】
【化4】
【0034】
(上式中、R3, R4, R5及びR6 は上記に規定されるとおりである)である。
【0035】
XがClである式(II)の化合物は、これらの化合物がc-Ablの阻害の増加を示すので特に好ましい。
【0036】
本発明の好ましい特徴において、R3, R4, R5及びR6 は以下のものからなる群より独立して選ばれる。
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている。
【0037】
本発明のこの好ましい特徴において、特に好ましい式(II)の化合物は、R5及びR3 及び/又はR4が置換基(iv)及び(v)から選択されたものである。R5 及びR4 が置換基(iv)及び(v)から選ばれることが特に好ましい。
【0038】
本発明の1つの態様において、式(II)の化合物は式(IIa)の化合物である。
【化5】
【0039】
(上式中、R3 及びR4 は以下のものからなる群より独立して選ばれる:
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている)。
【0040】
特に好ましい式(IIa)の化合物は、R3 及び/又はR4 が置換基(iv)及び(v)から選ばれるものである。R4 が置換基(iv)及び(v)から選ばれることが特に好ましい。
【0041】
R3 が以下のものからなる群より選ばれることが好ましい:
(i)H, C1-C6 アルコキシ及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキルであって、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(iii)フェニル及び5-又は6-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている。
【0042】
特に好ましい式(IIa)の化合物は、R3 が置換基(iii)、すなわち、場合により置換されたフェニル及び5-又は6-員ヘテロアリールから選ばれるものである。
【0043】
R3 としての特に好ましい5-又は6-員ヘテロアリールとしては以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【0044】
【化6】
【0045】
より好ましくは、以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【化7】
【0046】
さらに、R4 が以下のものからなる群より選ばれることが好ましい。
(i)H;
(ii)C1-C6 アルキルであって、前記C1-C6 アルキルは、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;
(iii)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(iv)5-又は6-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)から独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキル は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(vi)基B
【0047】
【化8】
【0048】
(上式中、各Y及びZはC, S, O及びNから独立して選ばれ、
少なくとも1つのY又はZはS, O又はNであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルにより独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
nは0又は1であり、
mは0又は1である)
(vii)基C
【0049】
【化9】
【0050】
(上式中、各Y及びZはC, S, O及びNから独立して選ばれ、
少なくとも1つのY又はZはS, O又はNであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルから独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
n は0又は1であり、
m は0又は1である)、及び、
(viii)基D
【0051】
【化10】
【0052】
(上式中、各Y及びZは、C, S, O及びNにより独立して選ばれ、
少なくとも1つのZはCであり、
各Y及びZは、場合により、ハロ又はC1-C6 アルキルにより独立して置換され、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
R9 はハロ及びC1-C6 アルキルから選ばれ、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されており、
n は0又は1である)
【0053】
特に好ましい式(IIa)の化合物は、R4 が置換基(iii), (iv), (vi), (vii)及び(viii)から選ばれるものである。
【0054】
R4 としての例示的な5-又は6-員ヘテロアリールとしては以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【化11】
【0055】
より好ましくは、
【化12】
又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【0056】
R4としての基B, C及びDの特に好ましい例としては、以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、上記のように置換されていてよい。
【化13】
【0057】
本発明の別の態様において、式(II)の化合物は式(IIb)のものである。
【化14】
【0058】
(上式中、R5 及びR6 は以下のものからなる群より独立して選ばれる:
(i)H及びシアノ;
(ii)C1-C6 アルキル及びC1-C6 アルコキシであって、場合により、ハロ及び5-又は6-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されている;及び、
(iii)5-又は6-員ヘテロサイクルであって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;及び、
(iv)フェニルであって、場合により、ハロ、シアノ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ及び4-員ヘテロサイクルから独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記4-員ヘテロサイクルは、場合により、オキソ基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている;
(v)5-~10-員ヘテロアリールであって、場合により、ハロ、シアノ、オキソ、C1-C6 アルキル、C1-C6 アルコキシ、(C1-C3 アルキル)-O-(C1-C3 アルキル)からなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記アルキル基は、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている)
【0059】
特に好ましい式(IIb)の化合物は、R5 が置換基(iv)及び(v)から選ばれるものである。
【0060】
R5 が5-又は6-員ヘテロアリール基であって、場合により、ハロ及びC1-C6 アルキルからなる群より独立して選ばれる1つ以上の置換基により置換されており、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されていることが好ましい。
【0061】
R5 としての例示の5-又は6-員ヘテロアリールとしては以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【化15】
【0062】
より好ましくは、以下のもの又はその互変異性体が挙げられ、その各々は、場合により、上記のように置換されていてよい。
【化16】
【0063】
さらに、R6 がH及びC1-C6 アルキルからなる群より選ばれることが好ましく、前記C1-C6 アルキルは、場合により、1つ以上のハロ原子により置換されている。
【0064】
本発明の特定の化合物は以下に示されるものである。
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(3-エトキシ-1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
1-(2-モルホリノエチル)-6-オキソ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[(3S)-テトラヒドロフラン-3-イル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-(1H-ピラゾール-5-イル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[(3R)-テトラヒドロフラン-3-イル]ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-[1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-チアゾール-2-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2-メチル-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-チアゾール-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(2-メトキシピリミジン-5-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(6-メトキシ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1-イソプロピルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
【0065】
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1-シクロプロピルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[(3R)-1-メチルピロリジン-3-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[(3S)-1-メチルピロリジン-3-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1,5-ジメチルピラゾール4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(3-シクロプロピル-1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-シアノフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[1-(シクロプロピルメチル)ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-[1-(2-メトキシエチル)ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
1-(1-tert-ブチルピラゾール-4-イル)-N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
【0066】
1-メチル-6-オキソ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-[1-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(キノキサリン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(4-メトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(5-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジメトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-6-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-メトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(2-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(キノキサリン-6-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
【0067】
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-7-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-8-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾピラン-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(4-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(3-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-フルオロフェニル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
1-(1,3-ベンゾオキサゾール-4-イル)-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[4-(2-オキソアゼチジン-1-イル)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド;
6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
【0068】
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(1メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-フルオロ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-シアノ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-フェニル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-メチル-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-メトキシ-6-オキソ-1-ピリミジン-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-メチル-6-オキソ-1-ピリミジン-5-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-(モルホリン-4-イル)-6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-メトキシ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-オキソ-1-[5-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]ピリジン-3-カルボキサミド;
【0069】
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-クロロ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6'-メチル-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5'-(ジフルオロメチル)-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1,5-ナフチリジン-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-7-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2H,3H-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-7-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{1-メチル-1H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-6-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2-メチル-2H-ピラゾロ[4,3-b]ピリジン-6-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
6'-クロロ-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-{2H,3H-フロ[2,3-b]ピリジン-5-イル}-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
2'-クロロ-N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-2H-[1,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
【0070】
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-6'-(トリフルオロメチル)-2H-[1.3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(オキサン-4-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
5-{[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]カルバモイル}-2-オキソ-2H-[1.3'-ビピリジン]-1'-イウム-1'-オレート;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-シアノ-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-(ピリミジン-5-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-(1-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-5-(1-メチルピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-(5-フルオロ-3-ピリジル)-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-フェニル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-[3,3'-ビピリジン]-5-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-ピラゾール-1-イル-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-イミダゾール-1-イル-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-6-(1H-ピラゾール-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド;
2-オキソ-6-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド;
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド。
【0071】
本発明の化合物は、同位体標識された及び/又は同位体濃縮された形態の化合物を含むことができる。本明細書の本発明の化合物は、そのような化合物を構成する1つ以上の原子に不自然な割合の原子同位体を含むことができる。開示された化合物に組み込むことができる同位体の例としては、2H, 3H, 11C, 13C, 14C, 13N, 15O, 17O, 32P, 35S, 18F, 36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、塩素などの同位体が挙げられる。
【0072】
本発明の化合物は、それ自体で、又は適切な場合には、その薬理学的に許容される塩(酸又は塩基付加塩)として使用することができる。以下に記載される薬理学的に許容される付加塩は、化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性酸及び塩基付加塩の形態を含むことが意図されている。塩基性を有する化合物は、塩基形態を適切な酸で処理することにより、それらの薬学的に許容される酸付加塩に転化することができる。例示的な酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸、安息香酸、アスコルビン酸などの有機酸酸が挙げられる。例示的な塩基付加塩形態は、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、及び、薬学的に許容されるアミン、例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンザチン及びアミノ酸、例えば、アルギニン及びリジンの塩である。本明細書で使用される付加塩という用語は、例えば、水和物、アルコラートなどの、その化合物及びその塩が形成することができる溶媒和物も含む。
【0073】
本開示全体を通して、所与の化学式又は名称はまた、それらのすべての薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド及び/又はプロドラッグ形態を包含する。本発明の化合物は、化合物式のありとあらゆる水和物及び/又は溶媒和物を含むことが理解されるべきである。ヒドロキシ、アミノ及び同様の基などの特定の官能基は、化合物の様々な物理的形態において、水及び/又は様々な溶媒と錯体及び/又は配位化合物を形成することが理解される。したがって、上記の式は、それらの様々な水和物及び/又は溶媒和物を含み、それらを表すと理解されるべきである。
【0074】
本発明の化合物はまた、互変異性形態を含む。互変異性体は、プロトンの同時移動とともに、隣接する二重結合との単結合の交換から生じる。互変異性体としては、同じ実験式と総電荷を持つ異性体のプロトン化状態であるプロトン性互変異性体が挙げられる。プロトン性互変異性体の例としては、ケトン-エノールペア、アミド-イミド酸ペア、ラクタム-ラクチムペア、アミド-イミド酸ペア、エナミン-イミンペア、及び、プロトンが複素環系の2つ以上の位置を占めることができる環状形態、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、及び、1H-及び2H-ピラゾールが挙げられる。互変異性形態は、平衡状態にあるか、又は、適切な置換によって1つの型に立体的に固定されうる。
【0075】
本明細書に記載の化合物は、非対称であることができる(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。エナンチオマー及びジアステレオマーなどのすべての立体異性体は、特に明記されていない限り意図されている。非対称に置換された炭素原子を含む本発明の化合物は、光学活性又はラセミ形態で単離することができる。ラセミ混合物の分割又は立体選択的合成などによって、光学活性出発物質から光学活性形態をどのように調製するかについての方法は当該技術分野で知られている。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体もまた、本明細書に記載の化合物に存在することができ、そのようなすべての安定な異性体は本発明で考えられる。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体は記載されており、異性体の混合物として、又は分離された異性体形態として単離することができる。
【0076】
不斉炭素原子を含む化合物の場合に、本発明は、D型、L型及びD,L混合物に関し、また、2つ以上の不斉炭素原子が存在する場合に、ジアステレオマー型に関する。不斉炭素原子を含み、原則としてラセミ体として含む本発明の化合物は、例えば光学活性酸を使用して、既知の様式で光学活性異性体に分離することができる。しかしながら、最初から光学活性な出発物質を使用することも可能であり、次いで、対応する光学活性又はジアステレオマー化合物は最終生成物として得られる。
【0077】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で又は加溶媒分解によって本発明の生物学的に活性な化合物に転化されうる化合物を指す。プロドラッグは、それを必要とする対象に投与されるときに不活性であることができるが、インビボで本発明の活性化合物に転化される。プロドラッグは、通常、血中の加水分解などにより、インビボで急速に転化されて、本発明の親化合物を生成する。プロドラッグ化合物は通常、哺乳動物生物における溶解性、組織適合性又は遅延放出の利点を提供する(Silverman, R. B., The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press (2004), p 498~549を参照されたい)。本発明の化合物のプロドラッグは、通常の操作又はインビボのいずれかで修飾が切断されるように、本発明の化合物に存在するヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基などの官能基を本発明の親化合物に修飾することによって調製されうる。プロドラッグの例としては、限定するわけではないが、ヒドロキシ官能基又のアセテート、ホルメート及びスクシネート誘導体、又は、アミノ官能基のフェニルカルバメート誘導体が挙げられる。
【0078】
本発明の別の目的は、治療に使用するための本発明の化合物に関する。
【0079】
本発明の化合物は、c-Ablの阻害剤として有用である。このように、それらは、c-Ablの阻害が有益である病状(状態又は疾患)の治療又は予防に有用である。したがって、治療有効量の本発明の化合物を対象に投与することを含む、c-Abl阻害に応答する疾患又は状態の治療又は予防のための方法が提供される。本発明の化合物は、ある範囲の疾患及び状態を予防するのに適している可能性があるが、それらは、前記疾患及び状態を治療するために使用されることが好ましい。したがって、この方法は、疾患又は状態の治療のためのものであることが好ましく、したがって、この方法は、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0080】
本明細書で使用されるときに、「治療」という用語は、指定された障害又は状態の予防、又はそれが確立された後の障害の改善又は排除を含むことができる。「予防」という用語は、指定された障害又は状態の予防を指す。
【0081】
c-Abl阻害によって治療可能又は予防可能な疾患及び状態の範囲はよく知られている。したがって、本発明の化合物は、この範囲の疾患又は状態を治療又は予防するために使用することができる。これには、神経変性障害、癌、プリオン病、ウイルス感染症、糖尿病、肺線維症などの炎症性疾患、急性膵炎(好ましくは重度の急性膵炎)、肺動脈性高血圧、又は骨格もしくは筋ジストロフィーが挙げられる。好ましくは、疾患は神経変性障害又は癌である。
【0082】
治療可能又は予防可能な神経変性障害としては、限定するわけではないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、前頭側頭認知症、進行性核上性麻痺症、ピック病、ニーマンピック病、パーキンソン病、ハンチントン病(HD)、歯状脊髄小脳変性症、ケネディ病及び脊髄小脳失調症、脆弱性X(レット)症候群、脆弱性XE精神遅滞、フリードライヒ失調症、筋緊張症、脊髄小脳失調症8型及び脊髄小脳失調症12型、アレクサンダー病、アルパー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、血管拡張性運動失調症、バッテン病、カナバン病、コカイン症候群、皮質基底変性症、クロイツフェルト-ヤコブ病、虚血性脳卒中、クラッベ病、リューイ体痴呆、多発性硬化症、多系統萎縮症、ペリザエウス-メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、脊椎脊髄損傷、脊髄性筋萎縮症、スティールリッチャードソン-オルシェフスキー病及び脊髄癆が挙げられる。
【0083】
治療可能又は予防可能な神経変性疾患の中で、最も注目すべきは筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びパーキンソン病である。最も好ましくは、神経変性障害はALSである。
【0084】
治療可能又は予防可能な癌としては、限定するわけではないが、白血病が挙げられる。
【0085】
治療可能又は予防可能な癌のうち、最も注目すべきは、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)及び混合表現型急性白血病(MPAL)、又はその中枢神経系(CNS)転移である。最も好ましくは、癌はCML又はALLである。
【0086】
したがって、本発明は、上記の神経変性障害及び癌などの疾患又は状態の治療又は予防のための医薬品の製造における本発明の化合物の使用を含む。本発明はまた、上記の神経変性障害及び癌などの疾患又は状態の治療に使用するための本発明の化合物に関する。
【0087】
本発明の化合物は、単独療法として、又は、他のc-Abl阻害剤と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物と組み合わせて使用することができるc-Abl阻害剤の例としては、ニロチニブ、ポナチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ及びそれらの混合物である。
【0088】
本明細書に記載されている方法としては、対象が特定の記載された治療を必要としていると特定される方法が挙げられる。そのような治療を必要とする対象を特定することは、対象又は医療専門家の判断であることができ、主観的(例えば、意見)又は客観的(例えば、試験又は診断方法によって測定可能)であることができる。
【0089】
他の態様において、本明細書の方法としては、治療投与に対する対象の応答をモニタリングすることをさらに含む方法が挙げられる。このようなモニタリングとしては、治療計画のマーカー又は指標として、対象の組織、体液、標本、細胞、タンパク質、化学的マーカー、遺伝物質などの定期的なサンプリングを挙げることができる。他の方法において、対象は、そのような治療への適合性の関連するマーカー又は指標による評価によりそのような治療が必要であるとして事前にスクリーニング又は識別される。
【0090】
本発明は、治療の進行をモニタリングする方法を提供する。この方法は、本明細書に記載される障害又は兆候に罹患している又はかかりやすい対象における診断マーカー(マーカー(Marker))(例えば、本明細書に記載の化合物によって調節される本明細書に記載の任意の標的又は細胞型)のレベル又は診断測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)を決定する工程を含み、対象は、疾患又はその症状を治療するのに十分な治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与されている。この方法で決定されたマーカーのレベルは、健康な正常な対照又は他の苦しんでいる患者のいずれかにおける既知のマーカーのレベルと比較して、対象の疾患状態を確立することができる。好ましくは、対象におけるマーカーの第二のレベルを、第一のレベルの決定よりも遅い時点で決定し、2つのレベルを、疾患の経過又は治療の有効性をモニタリングするために比較する。特定の好ましい実施形態において、対象におけるマーカーの治療前レベルは、本発明による治療を開始する前に決定される。次に、この治療前のマーカーのレベルを、治療開始後の対象におけるマーカーのレベルと比較して、治療の有効性を決定することができる。
【0091】
対象におけるマーカー又はマーカー活動のレベルを少なくとも1回決定することができる。マーカーレベルの比較、例えば、同じ患者、別の患者又は正常な対象から事前又は事後に得られたマーカーレベルの別の測定との比較は、本発明による治療が所望の効果を有するかどうか、それによって適宜投薬レベルの調整を可能にするかどうかを決定するのに有用であることができる。マーカーレベルの決定は、当該技術分野で知られている又は本明細書に記載されている任意の適切なサンプリング/発現アッセイ法を使用して実施することができる。好ましくは、組織又は流体サンプルは最初に対象から取り出される。適切なサンプルの例としては、血液、尿、組織、口又は頬の細胞、及び、根を含む毛髪サンプルが挙げられる。他の適切なサンプルは当業者に知られている。サンプル中のタンパク質レベル及び/又はmRNAレベル(例えば、マーカーレベル)の決定は、酵素免疫測定法、ELISA、放射性標識/アッセイ技術、ブロッティング/化学発光法、リアルタイムPCRなどを含む、当該技術分野で知られている任意の適切な技術を使用して実施することができる。
【0092】
臨床使用のために、本明細書に開示される化合物は、様々な投与様式のための医薬組成物(又は製剤)に製剤化される。本発明の化合物は、生理学的に許容されるキャリア、賦形剤及び/又は希釈剤(すなわち、これらのうちの1つ、2つ又は3つすべて)と一緒に投与されうることが理解される。本明細書に開示される医薬組成物は、任意の適切な経路によって、好ましくは経口、直腸、鼻、局所(頬及び舌下を含む)、舌下、経皮、髄腔内、経粘膜又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与によって投与することができる。他の製剤は、単位剤形で都合よく提示することができ、例えば、錠剤及び徐放性カプセル、ならびにリポソームであり、医薬の分野でよく知られている任意の方法によって製剤化することができる。医薬製剤は、通常、活性物質又はその薬学的に許容される塩を、従来の薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤と混合することによって製剤化される。賦形剤の例は、水、ゼラチン、アラビカムガム、ラクトース、微結晶性セルロース、デンプン、デンプングリコレートナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルカン、コロイド状二酸化ケイ素などである。そのような製剤はまた、他の薬理学的に活性な薬剤、及び、安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、緩衝剤などの従来の添加剤を含むことができる。通常、活性化合物の量は、好ましくは非経口使用の製剤では、製剤の0.1~95質量%、0.2~20質量%、より好ましくは経口投与の製剤では1~50質量%である。製剤は、造粒、圧縮、マイクロカプセル化、スプレイコーティングなどの既知の方法によってさらに製剤化することができる。製剤は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、坐剤又は注射の剤形で従来の方法によって製剤化することができる。液体製剤は、活性物質を水又は他の適切なビヒクル中に溶解又は懸濁することによって製剤化することができる。錠剤及び顆粒は、従来の方法でコーティングされることができる。治療上有効な血漿中濃度を長期間維持するために、本明細書に開示される化合物を徐放性製剤に取り込むことができる。
【0093】
特定の化合物の用量レベル及び投与頻度は、使用される特定の化合物の効力、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与のモード及び時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、治療される状態の重症度、及び治療を受けている患者を含む様々な要因に応じて変化する。1日投与量は、例えば、体重1キロ当たり約0.001mg~約100mgの範囲であることができ、単回又は複数回投与されることができ、例えば、それぞれ約0.01mg~約25mgまでであることができる。通常、そのような投与量は経口投与されるが、非経口投与も選択されうる。
【0094】
定義
用語「N-オキシド」は以下の例などのN+-O-基を含む化合物を表す。
【0095】
【化17】
【0096】
である。用語「ヘテロ原子」はO, N又はSを意味する。ヘテロ原子がO又はNであることが好ましい。
【0097】
「場合により存在する(任意選択的な)」又は「場合により(任意選択的に)」は、次いで記載する事象又は状況が発生する可能性があるが、発生する必要はないこと、及び、記載には、事象又は状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0098】
用語「C1-C7 アルキル」は直鎖、枝分かれ、又は環式もしくは部分環式アルキル基を表し、1~7個の炭素原子、すなわち、1, 2, 3, 4, 5, 6又は7個の炭素原子を含む。環式部分を含む「C1-C7 アルキル」基では、3~7個の炭素原子を含むべきである。「C1-C7 アルキル」の範囲の一部について、そのすべてサブグループは考えられ、例えば、C1-C6 アルキル、C1-C5 アルキル、C1-C4 アルキル、C1-C3 アルキル、C1-C2 アルキル、C1 アルキル、C2-C7 アルキル、C2-C6 アルキル、C2-C5 アルキル、C2-C4 アルキル、C2-C3 アルキル、C2 アルキル、C3-C7 アルキル、C3-C6 アルキル、C3-C5 アルキル、C3-C4 アルキル、C3 アルキル、C4-C7 アルキル、C4-C6 アルキル、C4-C5 アルキル、C4 アルキル、C5-C7 アルキル、C5-C6 アルキル、C5 アルキル、C6-C7 アルキル、C6 アルキル及びC7 アルキルである。「C1-C7 アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル及び直鎖、枝分かれ又は環式又は部分環式ペンチル及びヘキシルなどが挙げられる。
【0099】
用語が範囲、例えば、C1-C7 アルキルの定義において「1~7個の炭素原子」を表すときに、各整数、すなわち、1, 2, 3, 4, 5, 6及び7が開示されていると考えられる。
【0100】
用語「C2-C6 アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、2~6個の炭素原子を有する、直鎖、枝分かれ、環式又は部分環式アルキル基を表す。アルケニル基は、3~6個の炭素原子からなる環を含むことができる。範囲の一部について、「C2-C6 アルケニル」は、そのすべてのサブグループ、例えば、C2-C5 アルケニル、C2-C4 アルケニル、C2-C3 アルケニル、C2 アルケニル、C3-C6 アルケニル、C3-C5 アルケニル、C3-C4 アルケニル、C3 アルケニル、C4-C6 アルケニル、C4-C5 アルケニル、C4 アルケニル、C5-C6 アルケニル、C5 アルケニル及びC6 アルケニルが考えられる。「C2-C6 アルケニル」の例としては、2-プロぺニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-2-プロぺニル、2-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルが挙げられる。
【0101】
用語「C2-C6 アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、2~6個の炭素原子を有する、直鎖、枝分かれ、環式又は部分環式アルキル基を表す。アルキニル基は、3~6個の炭素原子からなる環を含むことができる。範囲の一部について、「C2-C6 アルキニル」は、そのすべてのサブグループ、例えば、C2-C5 アルキニル、C2-C4 アルキニル、C2-C3 アルキニル、C2 アルキニル、C3-C6 アルキニル、C3-C5 アルキニル、C3-C4 アルキニル、C3 アルキニル、C4-C6 アルキニル、C4-C5 アルキニル、C4 アルキニル、C5-C6 アルキニル、C5 アルキニル及びC6 アルキニルが考えられる。「C2-C6 アルキニル」の例としては、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、3-メチル-4-ペンチニル、2-ヘキシニル、5-ヘキシニルなどが挙げられる。
【0102】
用語「C1-C6 アルコキシ」は、-O-(C1-C6アルキル)を表し、ここで、C1-C6 アルキル基は上記に定義されており、酸素原子を介して化合物の残りの部分に結合されている。「C1-C6 アルコキシ」の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシならびに直鎖及び枝分かれ鎖ペントキシ及びヘキソキシが挙げられる。
【0103】
用語「ハロ」はハロゲン原子を意味し、特に指示がない限り、好ましくは、F, Cl, Br及びIであり、より好ましくは、F及びClであり、最も好ましく、Fである。
用語「オキソ」は酸素原子に結合される二重結合(=O)を表す。これは、典型的に、ケトン又はアルデヒド基を形成し、前者はカルボン酸又はアミドなどの別の官能基の一部を形成することができる。
【0104】
用語「6-~10-員アリール」は、6~10個の環原子を含む安定的な芳香族単環式もしくは縮合二環式炭化水素環系を表す。用語「6-~10-員アリール」としては、1つの環が部分的に不飽和であるか又は完全に飽和である縮合二環式環系であって、分子の残りへの結合点は芳香環上にあるものが挙げられる。「6-~10-員アリール」基の例としては、フェニル、インデニル、ナフチル、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル及びインダニルが挙げられる。
【0105】
用語「5-~10-員ヘテロアリール」は、5~10個の環原子を有する安定な芳香族単環式もしくは縮合二環式ヘテロ芳香族環系であって、環原子の1~9個が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれるものを表す。「5-~10-員ヘテロアリール」の例としては、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、キナゾリニル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、イソインドリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、ベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、1,3-ベンゾジオキソリル、1,4-ベンゾジオキシニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシニル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、クロマニル及びテトラヒドロキノリンが挙げられる。用語「5-~10-員ヘテロアリール」としては、次の例のように、1つの環が部分的に不飽和又は完全に飽和である縮合二環式環系であって、分子の残りの部分への結合点が芳香族環上にあるものが挙げられる。
【0106】
【化18】
【0107】
用語「5-員ヘテロアリール」は、1~4個の環原子が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれる、5個の環原子を有する単環式の「5~10員ヘテロアリール」を表す。「5員ヘテロアリール」の例としては、ピロリル及びフリルが挙げられる。
【0108】
用語「6-員ヘテロアリール」は、1~5個の環原子が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれる、6個の環原子を有する単環式「5-~10-員ヘテロアリール」を表す。「6-員ヘテロアリール」の例としては、ピリジニル及びピリミジニルが挙げられる。
【0109】
用語「4~10-員ヘテロサイクル」は、1~9個の環原子が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれる、5~10個の環原子を有する完全飽和又は部分不飽和である非芳香族単環式もしくは縮合二環式環系を表す。存在する場合に、硫黄原子は酸化された形であってよい(すなわち、S=Oの二価基又はO=S=Oの二価基)。用語「4-~10-員ヘテロサイクル」は、1つの環が芳香族であり、分子の残りの部分への結合点が非芳香環上にある縮合二環式環系を含む。「4-~10-員ヘテロサイクル」の例としては、アゼチジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、アゼピニル、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、チオモルホリニル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル及び5,6-ジヒドロ-4H-1,3-オキサジン-2-イルが挙げられる。
【0110】
用語「5員ヘテロサイクル」は、1~4個の環原子が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれる、5個の環原子を有する、単環式「4-~10-員ヘテロサイクル」を表す。「5員ヘテロサイクル」の例としては、テトラヒドロフラニル及びピロリジニルが挙げられる。
【0111】
用語「6員ヘテロサイクル」は、1~5個の環原子が炭素であり、1個以上の環原子が窒素、硫黄及び酸素から選ばれる、6個の環原子を有する、単環式「4-~10-員ヘテロサイクル」を表す。「6員ヘテロサイクル」の例としては、ピペリジニル及びモルホリニルが挙げられる。
【0112】
「有効量」は、治療対象に治療効果を与える本発明の化合物の量を指す。治療効果は、客観的(すなわち、ある試験又はマーカーによって測定可能)又は主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示すか又は効果を感じる)であることができる。
【0113】
本明細書で使用されるときに、用語「投与」又は「投与する」は、本明細書に開示される化合物の投与経路を意味する。例示的な投与経路としては、限定するわけではないが、経口、静脈内、腹腔内、動脈内及び筋肉内が挙げられる。好ましい投与経路は、様々な要因、例えば、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物の成分、潜在的又は実際の疾患の部位、及び、疾患の重症度に応じて変化することがある。
【0114】
用語「対象」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用される。それらは、疾患及び障害に苦しんでいる又は疾患及び障害にかかりやすいが、疾患及び障害に罹患していても又はいなくてもよいヒト又は別の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ラビット、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ又は霊長類動物)を指す。対象はヒトであることが好ましい。
【0115】
本発明の化合物は、名前又は化学構造によって開示されうる。ここでの化合物は、OpenEye命名規則を使用して命名された。化合物の名前とそれに関連する化学構造の間に矛盾が存在する場合は、化学構造が優先される。
【0116】
次に、本発明を以下の非限定的な例によってさらに説明する。以下の特定の例は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法においても、開示の残りの部分を限定するものではない。さらなる詳細なしに、当業者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書で引用されているすべての参考文献及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
本発明の化合物の調製
本明細書に開示される式(I)の化合物は、従来の方法によって又はそれと類似して調製することができる。本発明の実施例による中間体及び化合物の調製は、特に、以下のスキームによって照らされることができる。本明細書のスキームにおける構造における変数の定義は、本明細書に描写される式における対応する位置の変数の定義と同一基準である。
【0118】
【化19】
【0119】
(上式中、R1, R2, R3, R4, R7 及びR8 は式(I)に規定されているとおりであり、MはNa又はLiである)
【0120】
Aがスキーム1に示されるピリドン位置異性体である一般式(I)の化合物(一般式(Ia)の指定された化合物)は、幾つかの経路によって容易に調製することができる。例えば、一般式(Ia-i)のピリドンは、R4IアルキルヨージドでN-アルキル化を受けて一般式(Ia-ii)の化合物になり、次にエステル加水分解を受けて一般式(Ia-iii)の化合物を提供し、その後、WNH2アニリンとアミドカップリングして一般式(Ia)の化合物を提供することができる。あるいは、一般式(Ia-ii)の化合物は、一般式(Ia-iv)のクマレートをR4NH2アミンで開環し、続いて縮合環化することによって調製することもできる。あるいは、一般式(Ia)の化合物は、アルキル化、チャンラム又はウルマン反応を含む標準的な化学方法によって、式(Ia-v)の化合物から調製することができる。式(Ia-v)の化合物は、スズキ反応及びブッフバルト反応などの標準的なクロスカップリング反応を使用して、一般式(Ia-vi)の5-ブロモ-6-メトキシニコチネートから調製し、一般式(Ia-vii)の6-メトキシニコチネートを提供し、次に酸で処理して一般式(Ia-viii)の化合物を提供し、続いてWNH2アニリンとアミドカップリングすることができる。必要ならば、標準的な保護基戦略を使用して、スキーム1に概説されている合成を容易にすることができる。
【0121】
場合により、式(Ia)の化合物は、1つ以上の合成工程で式(Ia)の別の化合物に転化することができる。
【0122】
【化20】
【0123】
(上式中、R1, R2, R5, R7及びR8は、式(I)で規定されるとおりである)。
【0124】
Aがスキーム2に示されるピリドン位置異性体であり、R6がHである一般式(I)の化合物(一般式(Ib)の指定された化合物)は、幾つかの経路によって容易に調製することができる。例えば、一般式(Ib-i)のイソニコチン酸はWNH2アニリンとアミド形成して一般式(Ib-ii)のイソニコチンアミドを提供し、続いてスズキ反応して一般式(Ib-iii)の化合物を提供することができる。次に、一般式(Ib-iii)の化合物をHClなどの酸で処理して、一般式(Ib)の化合物を提供することができる。あるいは、一般式(Ib-iii)の化合物は、一般式(Ib-iv)のイソニコチン酸から、WNH2アニリンとのアミド形成によって一般式(Ib-v)のイソニコチンアミドを提供し、次いでスズキ反応により、一般式(Ib-vi)の化合物を提供し、その後のナトリウムメトキシドによる処理を行うことができる。必要ならば、標準的な保護基戦略を使用して、スキーム2で概説されている合成を容易にすることができる。
【0125】
場合により、式(Ib)の化合物は、1つ以上の合成工程で式(Ib)の別の化合物に転化することができる。
【0126】
【化21】
【0127】
(上式中、R1, R2, R5, R6, R7 及びR8は、式(I)で規定されるとおりである)。
【0128】
Aがスキーム3に示されるピリドン位置異性体であり、R6がHではない一般式(I)の化合物(一般式(Ic)の指定された化合物)は、標準的な手段によって容易に調製することができる。例えば、一般式(Ic-i)の酸は、WNH2アニリンとアミド形成して一般式(Ic-ii)の化合物を提供し、続いてR6Iアルキルヨージドを用いてN-アルキル化して一般式(Ic-iii)の化合物を提供することができる。その後のスズキ反応は、一般式(Ic)の化合物を提供することができる。必要ならば、標準的な保護基戦略を使用して、スキーム3で概説されている合成を容易にすることができる。
【0129】
場合により、式(Ic)の化合物は、1つ以上の合成工程で式(Ic)の別の化合物に転化することができる。
【0130】
個々の反応工程のための適切な反応条件は当業者に知られている。本発明の例の特定の反応条件は、実験セクションにも記載されている。式(I)の化合物を調製するために必要な出発材料は、市販されているか、又は当該技術分野で知られている方法によって調製することができる。
【0131】
以下の実験セクションで説明する方法を実施して、遊離塩基の形態で、又は酸付加塩として、本発明の化合物を提供することができる。塩基性化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することにより、医薬上許容される酸付加塩を得ることができる。付加塩形成性酸の例は上に述べた。
【0132】
式(I)の化合物は、1つ以上のキラル炭素原子を有することができ、したがって、それらは、光学異性体の形態で、例えば、純粋なエナンチオマーとして、又はエナンチオマーの混合物(ラセミ体)として、又は、ジアステレオマーを含む混合物として得ることができる。純粋なエナンチオマーを得るための光学異性体の混合物の分離は、当該技術分野でよく知られており、例えば、光学活性(キラル)酸による塩の分別結晶化によって、又はキラルカラムでのクロマトグラフィー分離によって得ることができる。
【0133】
本明細書に記載の合成経路で使用される化学物質としては、例えば、溶媒、試薬、触媒、ならびに保護基及び脱保護基試薬を挙げることができる。保護基の例は、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジル及びトリチル(トリフェニルメチル)である。上記の方法はまた、化合物の合成を最終的に可能にするために、適切な保護基を付加又は除去するための、本明細書に具体的に記載される工程の前又は後のいずれかの工程をさらに含むことができる。さらに、様々な合成工程を代替のシーケンス又は順序で実行して、所望の化合物を提供することができる。適用可能な化合物を合成するのに有用な合成化学変換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は当該技術分野で知られており、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);及びL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)及びその次版に記載されたものが挙げられる。
【0134】
次に、本発明を以下の非限定的な例によってさらに説明する。以下の特定の例は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法においても、開示の残りの部分を限定するものではない。さらなる詳細なしに、当業者は、本明細書の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書で引用されているすべての参考文献及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
次の略語が使用されている。
【表1】
【0136】
【表2】
【実施例
【0137】
実施例及び中間体化合物
すべての試薬は商用グレードであり、特に指定がない限り、さらに精製することなく受け取ったまま使用した。特に指定のない限り、試薬グレードの溶媒を使用した。マイクロ波加熱によって促進される反応は、アルミニウムキャップ及びセプタムが取り付けられたプロセスバイアルを使用して、Biotage Initiatorシステムで実行した。分取低圧クロマトグラフィーは、RediSep又はGraceResolvシリカ及びC18RPカラムを備えたCombiFlash Companion又はCombiflash RFシステムを使用して実行した。分取RP HPLCは、UV検出器を備えたGilsonシステム、200~400nmのUV可変波長検出器及びPurIon質量分析計を備えたTeledyne Isco ACCQPrep HP125システム、又は、DAD及び質量検出器を備えたAgilent 1260 Infinityシステムのいずれかで実行した。RP HPLCシステムには、次のカラムの少なくとも1つが装備されていた:ACE-5AQ、100 x 21.2mm、5μmカラム、Phenomenex Synergi Hydro-RP 80A AXIA、100 x 21.2mm、4μmカラム、 ACE SuperC18、100 x 21.2mm、5μmカラム、RediSep C18Prep、250mm x 50.0mm、5μmカラム、又は、Waters Sunfire C18 OBD Prepカラム、100Å、5μm、19mm X 100mm、SunFire C18プレップガードカートリッジ付き、100Å、10μm、19mmX10mm。最も純粋な画分を集め、濃縮し、真空下で乾燥させた。化合物は、典型的に、純度分析の前に40℃~60℃の真空オーブンで乾燥させた。上付き文字$でマークされている場合、引用した収率には純度換算係数が含まれる。特に明記しない限り、反応はRTで行った。化合物は、OpenEye規則を使用して自動的に名前が付けられた。
【0138】
化合物分析は、LCMS、HPLC及びUPLCで行った。LCMSデータは、WatersZQ質量分析計が接続されたAgilent 1100 HPLCシステム、ACQUITY QDa質量分析計が接続されたWaters ACQUITY H-クラスUPLC、DAD/ELSD及びAgilent LC/MSD VL(G1956A)、SL(G1956B)質量分析計を備えたAgilent 1100シリーズ LC/MSDシステム、又は、DAD/ELSD及びAgilent LC/MSD SL(G6130A)、SL(G6140A)質量分析計を備えたAgilent1200シリーズLC/MSDシステムを使用して収集された。報告された質量値は、水素付加[MH]+又はナトリウム付加[MNa]+の親分子に対応する。HPLC及びUPLCデータは、DADを備えたAgilent 1100システム、DADを備えたAgilent 1200システム、又はDADを備えたAgilent 1290 Infinityシステムのいずれかで収集された。分析用HPLC又はUPLCシステムは、次のカラム及び方法を使用した。Phenomenex Kinetex XB-C18カラム(1.7μm, 2.1 x 100mm)、40℃及び0.5mL/min、5%MeCN(+0.085%TFA)の水中(+0.1%TFA)勾配で1.0分間、8.0分間にわたって5~100%、0.2分間保持した後、収集波長200~300nmで0.8分間再平衡化する。Phenomenex Kinetex XB-C18カラム(1.7μm、2.1 x 50mm)、40℃、0.8mL/min、5%MeCN(+ 0.085%TFA)の水中(+ 0.1%TFA)勾配で1.0分間、3.0分にわたって5~100%、0.2分保持し、次に200~300nmの収集波長で0.8分再平衡化する。Zorbax SB-C18カラム(1.8μm, 4.6 x 15mmラピッドレゾリューションカートリッジ)、3.0mL/min、0%MeCN(0.1%ギ酸)の水中(0.1%ギ酸)勾配で0.01分、1.5分にわたって0~100%、0.3分保持してから0.2分再平衡化する。又は、Phenomenex Kinetex XB-C18カラム(1.7μm, 2.1 x 50mm)、40℃、0.8mL/min、0~20%MeCN(+ 0.085%TFA)の水中(+ 0.1%TFA)勾配で0.9分、0.1分で100%まで上昇し、0.2分保持してから、200~300nmの収集波長で0.8分再平衡化する。
【0139】
中間体1
メチル 1-(2-モルホリノエチル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレート
【0140】
【化22】
【0141】
メチル 6-オキソ-1,6-ジヒドロ-3-ピリジンカルボキシレート (123mg, 0.80mmol)、4-(2-クロロエチル)モルホリンHCl (223mg, 1.20mmol)、TBAI (29.6mg, 0.08mmol)及びK2CO3 (332mg, 2.40mmol)をMeCN (4.0mL)中で110℃でマイクロ波反応器を用いて60分間加熱し、ろ過し、次いで真空中で濃縮した。RPカラムクロマトグラフィーによる精製により、題記の化合物(162mg, 76.0%)を無色ガムとして提供した。LCMS (ES+): 267.1 [MH]+。 HPLC: Rt 0.64min, 100%純度。
【0142】
中間体2
メチル 1-(1メチル-ピラゾール-3-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレート
【0143】
【化23】
【0144】
1-メチル-1H-ピラゾール-3-アミン(2.19g, 22.5mmol)及びクマリン酸メチル(2.16g, 20.5mmol)をMeOH (20mL)中で20分間撹拌し、次いで、沈殿物をろ過により回収し、そして45℃で真空下に4時間乾燥した。未精製固形分を15% aq Na2CO3 (40mL)中に溶解し、40~45℃に加熱し、15分間撹拌し、RTに冷却し、そして固体材料をろ過により回収し、次いで、IPAから再結晶化し、題記の化合物(2.62g, 57.3%)をオフホワイト固形分として提供した。LCMS (ES+): 234.1 [MH]+
【0145】
中間体3~25
中間体3~25を、適切な第一級アミンでクマリン酸メチルを開環し、次いで縮合環化することにより、中間体2と同様に調製した。以下の表1を参照されたい。
【0146】
表 1:クマリン酸メチルの適切な第一級アミンとの反応
【化24】
【0147】
【表3】
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【0150】
【表6】
【0151】
中間体26
1-(3,4-ジメトキシフェニル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボン酸
【0152】
【化25】
【0153】
クマリン酸メチル(503mg, 3.25mmol)及び3,4-ジメトキシアニリン(510mg, 3.24mmol) を乾燥MeOH (10mL)中で2時間還流し、RTに冷却し、次いで、NaOH (264mg, 6.50mmol)を添加し、RMをさらに12時間撹拌した。RMを水(40mL)で処理し、EtOAc (20mL)及びCHCl3(20mL)で洗浄した。水層をpH 2に10% HClを用いて酸性化し、EtOAc (2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4 上で乾燥し、溶媒を蒸発させた。粗製生成物をRP HPLCで精製し、題記の化合物(54.0mg, 6.2%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 276.0 [MH]+
【0154】
中間体27~47
中間体27~47を、適切な第一級アミンでクマリン酸メチルを開環し、次いで縮合環化し、次いで、エステル加水分解することにより、中間体26と同様に調製した。以下の表2を参照されたい。
【0155】
表2:クマリン酸メチルの適切な第一級アミンとの反応、続くエステル加水分解
【0156】
【化26】
【0157】
【表7】
【0158】
【表8】
【0159】
【表9】
【0160】
【表10】
【0161】
中間体48
5-ブロモ-1-(1メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボン酸
【化27】
【0162】
中間体48を、メチル3-ブロモ-2-オキソ-2H-ピラン-5-カルボキシレートを、クマリン酸メチルの代わりに、そして1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミンを3,4-ジメトキシアニリンの代わりに使用して、中間体26と同様に、調製して、題記の化合物 (9.54g, 78.3%)を黄色固形分として提供した。LCMS (ES+): 298.0 [MH]+
【0163】
中間体49
リチウム1-(1,3-ベンゾオキサゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキシレート
【0164】
【化28】
【0165】
中間体25 (312mg, 1.12mmol)及びLiOH (442mg, 1.12mmol)を1:1 EtOH:水(10mL)中でRTで、TLC分析(EtOAc/10%MeOH)が出発材料の完全な消費を示すまで撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を真空下で乾燥し、題記の化合物(244mg, 78.4%)を黄色固形分として提供し、それをさらなる精製又は特性化を行うことなく次の工程で使用した。
【0166】
中間体50
メチル 6-メトキシ-5-モルホリノ-ピリジン-3-カルボキシレート
【0167】
【化29】
【0168】
メチル5-ブロモ-6-メトキシニコチネート (3.04g, 12.2mmol)及びモルホリン(2.13g, 24.4mmol)を乾燥ジオキサン(30mL)中でCs2CO3 (11.9g, 36.6mmol)、Pd2(dba)3 (331mg, 366μmol)及びXantPhos (421mg, 732μmol)で処理し、次いで、100℃に一晩加熱した。RMは水(50mL)と混合し、EtOAc (3x50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を真空下に濃縮して題記の化合物を提供し、それをさらなる精製又は特性化を行うことなく次の工程で使用した。
【0169】
中間体51
5-モルホリノ-6-オキソ-1H-ピリジン-3-カルボン酸
【0170】
【化30】
【0171】
中間体50 (1.03g, 3.97mmol)及び濃HCl水溶液 (5.0mL)を12時間還流下に加熱し、次いで、真空下で濃縮し、題記の化合物を提供し、それをさらなる精製又は特性化を行うことなく次の工程で使用した。
【0172】
中間体52
6-オキソ-5-(1H-ピラゾール-5-イル)-1H-ピリジン-3-カルボン酸
【0173】
【化31】
【0174】
メチル5-ブロモ-6-メトキシニコチネート (3.04g, 12.2mmol)、3-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール (3.08g, 15.9mmol)、K2CO3 (6.73g, 48.8mmol)及びPd(dppf)Cl2 .DCM (500mg, 0.61mmol)をジオキサン-水(100mL, 1:1, v/v)中で、90℃に12時間加熱した。RMを水 (50mL)で希釈し、EtOAc (2x30mL)で抽出し、合わせた有機層を真空中で濃縮した。残留物を濃HCl溶液(10mL)及びTHF (10mL)で処理し、35~40℃で1時間撹拌し、次いで、沈殿した固形分をろ過し、乾燥して題記の生成物 (922mg, 36.7%)を灰色粉末として提供した。LCMS (ES+): 206.0 [MH]+
【0175】
一般アミド化手順A, B, C, D及びE
【化32】
【0176】
本発明を通して幾つかのアミド化手順を使用して、適切なカルボン酸と適切なアニリンの反応により、様々な中間体及び例示の化合物を調製した。R1 及びR2 は式(I) に規定されるとおりであり、Zは式(I)中に規定されるAであるか、又は、ZはAの調製において使用される中間体である。一般に、代表的なアミド化手順A~Eを以下に示す。
【0177】
一般なアミド化手順A:
適切なカルボン酸 (25.8mmol)を乾燥DCM (100mL)及び乾燥DMF (200μL)中に0℃で懸濁させ、次いで、COCl2 (2.22mL, 25.8mmol)を滴下して加え、そして混合物をRTにて2時間撹拌した。DIPEA (9.00mL, 51.7mmol)及び適切なアニリン(25.8mmol)を添加して、反応物をRTにて18時間撹拌し、飽和NaHCO3水溶液(50mL)を注意深く添加し、混合物をDCM又はEtOAc (3x50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮し、典型的に、カラムクロマトグラフィー、RP HPLC、研和又は結晶化により精製した。
【0178】
一般アミド化手順B:
適切なカルボン酸 (5.91mmol)、適切なアニリン(8.87mmol)、EDCI・HCl (2.27g, 11.8mmol)、DMAP (72.2mg, 591μmol)及びDIPEA (3.09mL, 17.7mmol)をジオキサン (20mL)中で、LCMSによる反応の完了まで還流下に撹拌し、次いで、真空中で濃縮し、典型的に、カラムクロマトグラフィー、RP HPLC、研和又は結晶化により精製した。
【0179】
一般アミド化手順C:
適切なカルボン酸をジオキサン(12mL) 中で懸濁させ、次いで、HATU (466mg, 1.22mmol)及びDIPEA (213μL, 1.22mmol)を添加し、RMを80℃で15分間撹拌した。ジオキサン (1.0mL)中の適切なアニリン(284mg, 1.47mmol)を添加し、RMを80℃で一晩撹拌し、次いで、真空中で濃縮し、典型的に、カラムクロマトグラフィー、RP HPLC、研和又は結晶化により精製した。
【0180】
一般アミド化手順D:
適切なカルボン酸 (14.3mmol, 1 equiv.)及びCDI (17.2mmol, 1.2 equiv.)をDMF (10mL)中で80℃で2時間撹拌し、次いで、要求されるアニリン(15.7mmol, 1.1 equiv.)を添加し、RMを80℃で一晩攪拌した。RMをRTに冷却し、DMFを真空下で除去し、残留物を水と混合し、EtOAc (3x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、そして真空下で濃縮し、次いで、典型的に、カラムクロマトグラフィー、RP HPLC、研和又は結晶化により精製した。
【0181】
一般アミド化手順E:
PyBop (253mg, 1.12mmol, 1.0 equiv.)を、適切なカルボン酸 (1.12mmol, 1.0 equiv.)、適切なアニリン(1.12mmol, 1.0 equiv.)及びDIPEA (213mg, 1.65mmol, 1.5 equiv.)の乾燥DMF (10mL)中の溶液に加えた。RMをRTで一晩攪拌し、次いで、水(10mL)で処理し、EtOAc (2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4下に乾燥し、真空下で濃縮し、典型的に、カラムクロマトグラフィー、RP HPLC、研和又は結晶化により精製した。
【0182】
中間体53~63
中間体53~63を、適切なカルボン酸と適切なアニリンとの間の一般アミド化手順A~E と類似の手順により調製した。表3を参照されたい。中間体を特定しない場合には、適切な反応体は市販供給源から得た。
【0183】
【表11】
【0184】
【表12】
【0185】
中間体 64
5-ブロモ-N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド
【0186】
【化33】
【0187】
中間体 55 (1.70g, 89.6%純度, 3.87mmol)、ヨードメタン(241μL, 3.87mmol)及びK2CO3(535mg, 3.87mmol)をDMSO (25mL)中で18時間攪拌した。水(30mL)を急速に撹拌している反応混合物に加え、次いで、0~5℃に冷却し、10分間撹拌した。固体材料をろ過により回収し、水(3x20mL)で洗浄し、次いで、真空炉内で50℃で4時間乾燥し、題記の化合物(1.58g, 94.4%$)をオフホワイト固形分として提供した。LCMS (ES+): 407.1 [MH]+。 HPLC: Rt 5.71min, 94.2%純度。
【0188】
中間体 65
2-クロロ-6-ピリミジン-5-イル-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-4-カルボキサミド
【0189】
【化34】
【0190】
中間体 62 (4.64g, 13.0mmol)、(ピリミジン-5-イル)ボロン酸 (813mg, 6.53mmol)、25% aq K2CO3 (4.10g, 29.5mmol)及びPd(dppf)Cl2 .DCM (114mg, 0.13mmol)をジオキサン(20mL)中でアルゴン下に90℃で4時間撹拌した。RMをRTに冷却し、水(100mL)及びEtOAc (100mL)と混合し、分離された有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(Hex/TBME)による精製により、題記の化合物 (1.10g, 35.4%)を黄色固形分として提供した。LCMS (ES+): 394.0 [MH]+
【0191】
中間体 66
2-メトキシ-6-ピリミジン-5-イル-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-4-カルボキサミド
【0192】
【化35】
【0193】
MeOH (0.12mL, 3.00mmol)を乾燥DMF (5.0mL)中に溶解し、次いで、NaH (鉱油中60%、61.0mg, 1.50mmol)を添加し、次いで、得られた混合物をRTで30分間、そして60℃で30分間撹拌した。中間体 65 (203mg, 0.51mmol)を添加し、RMを60℃で一晩撹拌下に放置した。RMを数滴のAcOHで中和し、真空下に濃縮し、次いで、HPLCにより精製し、題記の化合物(113mg, 55.4%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 390.0 [MH]+
【0194】
中間体 67
2-クロロ-N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-4-カルボキサミド
【0195】
【化36】
【0196】
中間体 63 (1.52g, 4.30mmol)をDMF (4.0mL)中に溶解し、NaH (鉱油中60%、213mg, 4.70mmol)を添加した。RMをRTで15分間撹拌し、次いで、ヨードメタン(904mg, 6.45mmol)を添加した。RMを70℃で一晩加熱し、水 (10mL)で希釈し、そして沈殿物をろ過により回収した。再結晶化(1:2 EtOAc:Hex)により、題記の化合物(484mg, 31.5%)を淡褐色固形分として提供した。LCMS (ES+): 364.0 [MH]+
【0197】
中間体 68
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-3-ヨード-ベンズアミド
【0198】
【化37】
【0199】
中間体 68を、3-ヨード安息香酸を酸試薬として使用して一般アミド化手順 Cと同様に合成し、題記の化合物(3.56g, 98.7%)を淡褐色固形分として提供した。 LCMS (ES+): 423.9 [MH]+。 UPLC: Rt 3.25min, 98.1%純度。
【0200】
中間体 69
3-ヨード-4-メチル-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ベンズアミド
【0201】
【化38】
【0202】
中間体 69を、3-ヨード-4-メチル-安息香酸を酸試薬として使用してアミド化手順 Cと同様に合成し、題記の化合物(3.21g, 74.7%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 421.9 [MH]+。 UPLC: Rt 3.29min, 97.2%純度。
【0203】
中間体 70
メチル 5-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキシレート
【0204】
【化39】
【0205】
1,4-ジオキサン (20mL)及び水(1.5mL)中のメチル 5-ブロモピリジン-3-カルボキシレート (2.08g, 9.61mmol)をN2で5分間脱気し、3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン (2.07g, 10.1mmol)、Pd(PPh3)4 (1.11g, 0.96mmol)及びK2CO3 (1.99g, 14.4mmol)を添加し、そして80℃で20時間加熱した。混合物をRTに冷却させ、ろ過しそして真空中で濃縮した。粗製材料を2M HCl (40mL)及びEtOAc (160mL)で処理し、水層を分離し、そしてEtOAc (200mL)に加えた。混合物をNa2CO3で約pH 7に中和し、そして相を分離させた。有機相を乾燥し(MgSO4)、そして真空中で濃縮し、題記の化合物(1.78g, 86.4%$)をオフホワイト固形分として提供した。LCMS (ES+): 215.1 [MH]+。 UPLC: Rt 1.99min, 98.3%純度。
【0206】
中間体 71
5-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボン酸
【0207】
【化40】
【0208】
中間体 70 (1.78g, 8.30mmol)をTHF (10mL)及び水(10mL)中に溶解し、0℃に冷却し、LiOH (522mg, 12.5mmol)を添加しそして30分間攪拌した。有機物を蒸発させ、水性相を水(20mL)で希釈し、そしてEtOAc (20mL)で洗浄した。水性相をaq KHSO4 (1M)でpH約4まで酸性化し、沈殿物をろ過により回収し、そして水で洗浄して、題記の化合物(929mg, 55.9%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 201.1 [MH]+。 UPLC: Rt 1.20min, 100%純度。
【0209】
例1
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(3-エトキシ-1-メチル-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド
【0210】
【化41】
【0211】
中間体 3 (144mg, 99.4%純度, 516μmol)及び1M aq NaOH (568μL, 568μmol)をTHF:水(1:1, 4.0mL)中で1時間撹拌した。1M aq HCl (568μL, 568μmol)を添加し、次いで、混合物を真空中で濃縮し、そして真空炉内で60℃で一晩乾燥した。残留物を4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]アニリン (120mg, 620μmol)と一般アミド化手順 Cと同様に反応させた。RP HPLC及び研和(MeOH:水)による精製で、題記の化合物(62.1mg, 27.3%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 439.0 [MH]+。 UPLC: Rt 5.80min, 99.4%純度。
【0212】
例2~24
例2~24 を、中間体 1, 2及び4~24をエステル加水分解し、次いで、一般アミド化手順 A~Eと同様に適切なアニリンとアミドカップリングさせることにより、例1と同様に調製した。下記の表4を参照されたい。
【0213】
【化42】
【0214】
【表13】
【0215】
【表14】
【0216】
【表15】
【0217】
【表16】
【0218】
例25
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0219】
【化43】
【0220】
中間体 27 (248mg, 1.14mmol)を、一般アミド化手順 Dと同様に、4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]アニリン (263mg, 1.14mmol)と反応させた。RP HPLCによる精製で、題記の化合物(132mg, 29.2%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 395.2 [MH]+。 UPLC: Rt 5.38min, 99.9%純度。
【0221】
例26~49
例26~49を、一般アミド化手順 A~Eと同様の手順を使用して適切なカルボン酸を適切なアニリンとアミドカップリングさせることにより、例25と同様に調製した。下記の表5を参照されたい。中間体を特定しない場合には、市販の試薬を使用した。
【0222】
表5:アミド化反応
【化44】
【0223】
【表17】
【0224】
【表18】
【0225】
【表19】
【0226】
【表20】
【0227】
例50
6-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0228】
【化45】
【0229】
MeOH (10mL)中の(ピリミジン-5-イル)ボロン酸 (398mg, 3.22mmol)、Cu(OTf)2 (1.17g, 3.22mmol)及び中間体 54を順次に添加し、次いでピリジン (551μL, 5.15mmol)を添加した。RMを、バブルカウンタを備えたシール化容器内で25℃で16時間撹拌し、次いで、沈殿物をろ過し、ろ液を真空下に濃縮した。残留物をEtOAc (20mL)中に溶解し、水性アンモニア(2×50mL)で洗浄し、そして有機層を真空下に濃縮した。HPLCによる精製で、題記の化合物(253mg, 20.9%)を褐色固形分として提供した。LCMS (ES+): 377.0 [MH]+。 HPLC: Rt 4.95min, 99.7%純度。
【0230】
例51~60
例51~60を、適切なアリール又はヘテロアリールボロン酸エステルもしくはボロン酸と、中間体53, 56, 57及び60のチャンラムカップリングにより、例50と同様に調製した。下記の表6を参照されたい。
【0231】
表6: チャンラム反応
【化46】
【0232】
【表21】
【0233】
【表22】
【0234】
例61
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-(5-メトキシ-3-ピリジル)-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド
【0235】
【化47】
【0236】
中間体 53 (200mg, 97.8%純度, 622μmol)、Cs2CO2(621mg, 1.91mmol)、DMEDA (137μL, 1.27mmol)及び3-ブロモ-5-メトキシピリジン (239mg, 1.27mmol)を1,4-ジオキサン (3.0mL)中でN2で5分間脱気した。CuI (60.5mg, 318μmol)を添加し、バイアルをシールし、そして120℃で15時間加熱した。RM を水(30mL)に添加し、そしてDCM (30mL)で抽出した。有機相を乾燥し(MgSO4)、そして真空中で濃縮した。残留物をRPカラムクロマトグラフィーにより精製し、題記の化合物(53.5mg, 20.4%$)をオフホワイト固形分として提供した。LCMS (ES+): 422.0 [MH]+。 HPLC: Rt 5.40min, 99.8%純度。
【0237】
例62~75
例62~75を、中間体 53の適切なアリールもしくはヘテロアリールハロゲン化物とのウルマン反応により、例61と同様に調製した。下記の表7を参照されたい。
【0238】
表7: ウルマン反応
【化48】
【0239】
【表23】
【0240】
【表24】
【0241】
【表25】
【0242】
例76
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0243】
【化49】
【0244】
例61の合成に使用した手順と類似の手順に従って、中間体 53と3-ブロモ-5-フルオロ-4-メトキシピリジンとの間で試みたウルマンカップリングから副生成物として例76を分離した。例76 (16.0mg, 16.3%)を白色固形分として単離した。LCMS (ES+): 329.1 [MH]+。 HPLC: Rt 2.55min, 100%純度。
【0245】
4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]アニリンを4-(トリフルオロメトキシ)アニリンの代わりに使用して、一般アミド化手順 Cに従って、例76を例26と同様に製造しうることが期待される。
【0246】
例77
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-(オキサン-4-イル)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0247】
【化50】
【0248】
中間体 53 (223mg, 0.63mmol)、Na2CO3 (134mg, 1.26mmol)及び4-ヨードテトラヒドロ-2H-ピラン (164mg, 0.76mmol)をDMF (5.0mL)中でRTで一晩攪拌し、次いで、EtOAc (30mL)と水(10mL)との間で分離した。EtOAc層をNa2SO4上で乾燥し、ろ過しそして乾燥まで蒸発させた。残留物を分取HPLCにより精製し、題記の化合物 (12.0mg, 5.3%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 399.0 [MH]+。 HPLC: Rt 6.24min, 99.4%純度。
【0249】
例78
5-{[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]カルバモイル}-2-オキソ-2H-[1.3'-ビピリジン]-1'-イウム-1'-オレート
【0250】
【化51】
【0251】
例53 (213mg, 0.54mmol)をDCM (5.0mL)中に溶解し、そしてmCPBA (284mg, 1.60mmol) を添加した。得られた混合物をRTで24時間撹拌し、1M aq NaOH (2×10mL)で洗浄し、次いで、有機層をNa2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮し、そして分取HPLCにより精製し、題記の化合物(27.0mg, 12.3%)を黄色固形分として提供した。LCMS (ES+): 408.0 [MH]+。 HPLC: Rt 2.45min, 95.8%純度。
【0252】
例70
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-5-シアノ-1-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-オキソ-1.6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0253】
【化52】
【0254】
CuCN (94.0mg, 1.05mmol)を中間体 61 (335mg, 0.70mmol)に添加し、次いで、混合物を還流下に10時間加熱し、80℃に冷却し、そしてNaCN (214mg, 4.37mmol)の水(10mL)中の溶液注いだ。1時間RTで撹拌した後に、混合物をEtOAc (2×25mL)で抽出し、そして有機相をブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、減圧下で濃縮し、そしてRP HPLCにより精製し、題記の化合物(104mg, 34.1%)をベージュ色固形分として提供した。LCMS (ES+): 420.0 [MH]+。 UPLC: Rt 2.75min, 99.6%純度。
【0255】
例80
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-6-オキソ-5-(1H-ピラゾール-3-イル)-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0256】
【化53】
【0257】
例80を、中間体 52を中間体 27の代わりに使用し、そして一般アミド化手順 Dに従って、例25と同様に調製し、題記の化合物(63.0mg, 6.6%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 381.0 [MH]+。 HPLC: Rt 2.51min, 99.2%純度。
【0258】
例81
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-(3-ピリジル)ピリジン-3-カルボキサミド
【0259】
【化54】
【0260】
中間体 64 (100mg, 94.2%純度, 231μmol)、ピリジン-3-イルボロン酸 (56.8mg, 462μmol)、K2CO3(95.8mg, 693μmol)、Pd(OAc)2(10.4mg, 46.2μmol)及びPPh3(30.3mg, 116μmol)をジオキサン(1.0mL)中でシールされたチューブ中で110℃でN2下に18時間加熱し、次いで、RMをカラムクロマトグラフィーにより精製し、題記の化合物(48.3mg, 50.8%$)をベージュ色固形分として提供した。LCMS (ES+): 406.0 [MH]+。 UPLC: Rt 4.54min, 98.7%純度。
【0261】
例82~89
例82~89を、中間体61及び中間体64の適切なアリールもしくはヘテロアリールボロン酸もしくはボロン酸エステルとのスズキ反応により、例81と同様に調製した。下記の表8を参照されたい。
【0262】
表8:スズキ反応
【化55】
【0263】
【表26】
【0264】
【表27】
【0265】
例90
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-1-メチル-6-オキソ-5-ピラゾール-1-イル-ピリジン-3-カルボキサミド
【0266】
【化56】
【0267】
中間体 64 (100mg, 94.2%純度, 231μmol)、CuI (8.80mg, 46.2μmol)及びK2CO3(95.8mg, 693μmol)のトルエン(4.0mL)中の混合物に、トランスN,N'-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(7.29μL, 46.2μmol)及びピラゾール(31.5mg, 462μmol)を添加し、次いで、RMを窒素下に66時間110℃で加熱した。RMをDCM (5.0mL)で希釈し、ろ過し、次いで、カラムクロマトグラフィー及びRP HPLCにより精製し、題記の化合物(21.6mg, 23.5%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 394.8 [MH]+。 UPLC: Rt 5.81min, 99.4%純度。
【0268】
例91
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-5-イミダゾール-1-イル-1-メチル-6-オキソ-ピリジン-3-カルボキサミド
【0269】
【化57】
【0270】
例 91を、イミダゾールをピラゾールの代わりに使用して中間体 64から例90と同様に調製し、題記の化合物(8.25mg, 5.9%$)をベージュ色固形分として提供した。LCMS (ES+): 395.0 [MH]+。UPLC: Rt 4.53min, 97.7%純度。
【0271】
例92
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-2-オキソ-6-(1H-ピラゾール-5-イル)-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド
【0272】
【化58】
【0273】
中間体 59 (201mg, 554μmol)、3-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール (140mg, 720μmol)、K2CO3 (305mg, 2.22mmol)及びPd(dppf)Cl2 .DCM (23.0mg, 28.0μmol)をジオキサン-水(10mL, 1:1, v/v)中で90℃に12時間加熱した。RMを水(5.0mL)と混合し、EtOAc (2x10mL)で抽出し、そして真空中で濃縮した。残留物を濃HCl (5.0mL)及びTHF (5.0mL)で処理し、そして35~40℃で1時間撹拌した。RTに冷却した後に、RMをEtOAc (2x10mL)で抽出し、そして合わせた有機抽出物MgSO4, 上で乾燥し、真空中で濃縮し、そしてRP HPLCにより精製し、題記の化合物 (12.0mg, 5.7%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 381.2 [MH]+。 UPLC: Rt 2.56min, 99.2%純度。
【0274】
例93
2-オキソ-6-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド
【0275】
【化59】
【0276】
中間体 66 (313mg, 0.77mmol) をAcOH (2.0mL)中に溶解し、濃HCl (2.0mL)を添加し、そしてRMを12時間50℃で撹拌し、次いで、真空中で濃縮し、そしてRP HPLCにより精製し、題記の化合物(14.0mg, 3.1%)をオフホワイト固形分として提供した。LCMS (ES+): 377.2 [MH]+。 HPLC: Rt 1.26min, 100%純度。
【0277】
例94
N-[4-(クロロジフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-4-カルボキサミド
【0278】
【化60】
【0279】
中間体 67 (152mg, 0.41mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール (134mg, 0.62mmol)、30% aq K2CO3 (284mg, 2.07mmol)及びPd(dppf)Cl2 .DCM (9.1mg, 12.4μmol)の混合物を排出し、そしてアルゴンで3回バックフィルした。ジオキサン(2.0mL)を添加し、そしてRMを100℃で一晩撹拌し、次いで、RTに冷却し、有機層を分離し、Na2SO4 下に乾燥し、そして蒸発させた。粗製生成物をRP HPLC (水/MeCN)により精製し、題記の化合物(25.0mg, 15.2%)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 409.2 [MH]+, Rt 5.40min, 99.4%純度。
【0280】
参考化合物
参考例1
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-6-[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]-5-(1H-ピラゾール-5-イル)ピリジン-3-カルボキサミド
【0281】
【化61】
【0282】
アスシミニブ(Asciminib)をMedChemExpress (CAS: 1492952-76-7)から購入し、そして受け取ったまま使用した。
【0283】
参考例2
N-[4-[クロロ(ジフルオロ)メトキシ]フェニル]-3-ピリミジン-5-イルベンズアミド
【0284】
【化62】
【0285】
中間体 68 (250mg, 0.59mmol)、ピリミジン-5-ボロン酸ピナコールエステル(304mg, 1.48mmol)及びPd(dppf)Cl2 .DCM (48.2mg, 0.06mmol)を、1,4-ジオキサン (15mL)及び2M aq Na2CO3(5.0mL, 10.0mmol)の混合物中でマイクロ波により130℃で30分間加熱した。RMをEtOAc (20mL)と水(20mL)との間で分離し、そして分離された水層をEtOAc (20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン (20mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空中で濃縮し、そして残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、題記の化合物(174mg, 78.5%)を灰色固形分として提供した。LCMS (ES+): 376.0 [MH]+。 Rt 5.96min, 100%純度。
【0286】
参考例3
4-メチル-3-(3-ピリジル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ベンズアミド
【0287】
【化63】
【0288】
中間体 69 (2.40g, 5.70mmol)、ピリジン-3-イルボロン酸 (1.05g, 8.55mmol)、Na2CO3 (1.81g, 17.1mmol)及びPd(PPh3)4 (400mg, 570μmol)をEtOH/DME/水(13.5mL, 1.5:10:2)中に溶解した。反応物をマイクロ波反応器を使用して130℃に30分間加熱した。溶媒を真空中で除去し、そして残留物をカラムクロマトグラフィー及びRP HPLCにより精製し、題記の化合物(320mg, 15.1%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 373.1 [MH]+。 UPLC: Rt 4.93min, 99.1%純度。
【0289】
参考例4
5-(3-ピリジル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピリジン-3-カルボキサミド
【0290】
【化64】
【0291】
参考例4を、中間体 71及び4-(トリフルオロメトキシ)アニリンを使用して一般アミド化手順 Cと同様に合成し、題記の化合物(104mg, 58.1%$)を白色固形分として提供した。LCMS (ES+): 360.1 [MH]+。 UPLC: Rt 4.44min, 100%純度。
【0292】
参考例5
2-オキソ-1-(ピリミジン-5-イル)-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド
【0293】
【化65】
【0294】
中間体 58 (483mg, 1.62mmol)、(ピリミジン-5-イル)ボロン酸 (206mg, 1.62mmol)及びCu(OTf)2 (604mg, 1.62mmol)にMeOH (10mL)中でピリジン (0.27mL, 2.56mmol)を添加し、次いで、混合物を25℃で16時間、バブルカウンタを備えたシールされた容器内で撹拌した。沈殿物をろ過し、そしてろ液を真空下に濃縮した。残留物をEtOAc (20mL)中で溶解し、水性アンモニア(2×50mL)で洗浄し、次いで、有機層をNa2SO4上で乾燥し、真空下に濃縮し、そしてHPLCにより濃縮し、題記の化合物(33.0mg, 5.2%)をベージュ色固形分として提供した。LCMS (ES+): 377.0 [MH]+。 Rt 2.67min, 99.6%純度。
【0295】
【表28】
【0296】
【表29】
【0297】
【表30】
【0298】
生物学的データ
Ba/F3 CellTiter-Glo アッセイ
CellTiter-Glo発光細胞生存性アッセイは、存在するATPの定量化に基づいて、培養中の生存細胞の数を決定するための均一な方法である。端的には、BCR-ABL を発現するようにIL-3依存性Ba/F3細胞を変性する。形質転換されたキナーゼの活性は、細胞増殖及び生存についてIL3依存性を打ち消す。キナーゼ活性を特異的に阻害する試験化合物は、CellTiter-Glo試薬の添加により測定できるプログラム細胞死を引き起こす。このアッセイにおいて、BCR-ABLを発現するBa/F3細胞(Advanced Cellular Dynamics)又は親Ba/F3(対照)細胞を、10%FBS、1 x Glutamax及び750ng/mLピューロマイシンを含むRPMI 1640中で5x104/mLで調製した。試験化合物は、Tecan D300eを使用して384ウェルプレートに分注され、最終アッセイ濃度は10μMで、投与量は50μL体積で0.1%DMSOに正規化されている。調製した384ウェルプレートの各ウェルに50μLの細胞を添加し、プレートを1000rpmで1分間回転させた後、37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。 48時間後に、15μLのCellTiterGlo試薬をプレートの各ウェルに添加した。RTで60分間インキュベートした後に、Pherastar FSリーダで発光を読み取った。
【0299】
本発明の例示された化合物をBa/F3 CellTiter-Gloアッセイで試験し、IC50データは表9に示されている。本発明の例示されたすべての化合物は、1000nM以下のIC50値を有した。このデータは、本発明の化合物がc-Ablを阻害できることを示している。
【0300】
参考例5はIC50値>10μMであったため、c-Ablに対して不活性である。理論に拘束されることを望まないが、参考例5のピリドンC=O結合は、アミド基と立体的に衝突し、アミド-ピリドン結合に好ましくないねじれを引き起こして、2つの部分がもはや同一平面上になくなる可能性がある。これは、ピリドン環とc-AblのTyr454残基との間でエッジツーフェイスπスタッキング相互作用を混乱させうる。さらに、ピリドンC=O結合は、アミド基のNHとの分子内水素結合を介して、6員環を形成することができる、これは、NHがc-Ablの活性部位内の水分子に対して潜在的に致命的な水素結合を形成するのを防ぎ、そして上記の水分子を置き換えることさえあり得る。本発明の化合物中のピリドン位置異性体は、これらの欠点を被らず、したがって、c-Ablのはるかに改善された阻害を示す。
【0301】
【表31】
【0302】
ラットにおける薬物動態プロファイル及び脳浸透度の決定
オスのSprague Dawleyラット300~350g(チャールズリバー、UK)をグループで飼育し、n=3であり、12時間の明暗サイクルで、餌と水を自由に摂取させた。投薬の前日の17:00にすべての食物を除去した。投薬の日に、動物の体重を量り、尾に印を付け、5mL/kgの体積で3mg/kgの化合物を経口強制投与により投与した。ペントバルビタールの腹腔内投与により、投与後30分、1時間及び4時間で動物を淘汰した。死後の血液を心臓穿刺により採取し、氷上でK2 EDTA血液チューブに短時間保存した後に、14,000gで4分間4℃で回転させた。血漿を96ウェルプレートに回収し、ドライアイス上に置き、-80℃で保存した。脳をすばやく解剖し、ドライアイス上に置いた後に-80℃で保存した。血漿及び脳サンプルの生物分析を以下に詳述するように実行する。その方法は、業界標準の文献からのガイダンスに基づいて調製した。i、ii
【0303】
血漿生物分析
10 mM DMSOストックを使用して、希釈剤(MeCN:水、1; 1)中で10~100,000 ng/mLの範囲の試験化合物のスパイク溶液を調製する。検量線は、2.5μLの検量スパイク溶液を25μLの対照血漿にスパイクすることにより、1~10000ng/mLの範囲の既知の濃度で対照オスSprague-Dawleyラット血漿において調製される。実験サンプルをRTに解凍し、タンパク質沈殿を使用して検量線に沿って25μLアリコートを抽出する(内部標準として25ng/mLトルブタミドを含む400μLのMeCNを使用してRTで少なくとも5分間攪拌)。タンパク質沈殿物を、4000rpmで5分間、4℃で遠心分離することにより、抽出された試験化合物から分離する。得られた上清を、妥当な希釈剤(例えば、水又は1:1のMeOH:水中の0.1%ギ酸)で1:2の比率で希釈する。サンプルを、API6500 QTrap又はWaters 30 TQS質量分析計のいずれかで、UPLC-MS/MSによって、試験化合物に特有の以前に最適化された分析MRM(多重反応モニタリング)法を使用して分析する。分離されたサンプル中の試験化合物の濃度は、適切な回帰及び重み付けを使用してサンプルセットの前後に注入された、検量線の2つの複製に対するサンプルの分析に従って決定される。予想される試験濃度の20%以内のサンプルのみが検量線に含まれ、検量線の限界を超えるサンプルは、定量限界未満又はそれを超える(LLoQ/ALoQ)と認められる。
【0304】
脳の生物分析
10 mM DMSOストックを使用して、希釈剤(1:1 MeCN:水)中で10~100,000 ng/mLの範囲の試験化合物のスパイク溶液を調製する。検量線は、対照のオスのSprague-Dawley Rat脳ホモジネートで、2.5μLの検量スパイク溶液を25μLの対照ホモジネートにスパイクすることにより、既知の濃度で3~30000ng/gの範囲で調製される。対照脳ホモジネート及び実験脳ホモジネートを調製するために、脳を解凍し、秤量し、そして脳1グラムあたり2mLの比率の体積の希釈剤(水)を添加する。脳の均一化は、Precellys Evolution及びCK14 7mLの小セラミックビーズホモジナイゼーションチューブを使用したビーズビータ均一化によって行われる。25μLの実験サンプルのアリコートを、タンパク質沈殿を使用して検量線に沿って取る(内部標準として25ng / mLトルブタミドを含む400μLのMeCNを使用して、RTで少なくとも5分間攪拌する)。タンパク質沈殿物は、4000rpmで5分間、4℃で遠心分離することにより、取り出された試験化合物から分離される。得られた上清を、妥当な希釈剤(例えば、水又は1:1のMeOH:水中の0.1%ギ酸)で1:2の比率で希釈する。サンプルを、API6500 QTrap又はWaters TQS質量分析計のいずれかでUPLC-MS/MSによって、試験化合物に特有の事前に最適化された分析MRM(多重反応モニタリング)法を使用して分析される。分離されたサンプル中の試験化合物の濃度は、適切な回帰及び重み付けを使用してサンプルセットの前後に注入された、検量線の2つの複製に対するサンプルの分析に従って決定される。予想される試験濃度の20%以内のサンプルのみが検量線に含まれ、検量線の限界を超えるサンプルは、定量限界未満又はそれを超える(LLoQ / ALoQ)と認められる。
【0305】
脳/血漿(B:P)の比率の決定
総脳/血漿(B:P)比は、各時点の血漿中濃度で脳内の濃度を割ることによって計算された。平均脳/血漿比は、特定の時点でこれらの脳/血漿比を平均することによって計算される。表10は、本発明の化合物及び参考例の脳/血漿(B:P)比を示している。 本発明の例は、参考例と比較して、脳/血漿(B:P)比が大幅に改善されている。 したがって、本発明の化合物は、血液脳関門の浸透が重要である特定の疾患及び状態の治療において特に有用である。血液脳関門の浸透は予測不可能であり、経験的に確立されていることに留意されたい。脳の特定の領域に治療剤をデリバリーすることに関連する課題を克服することは、ほとんどの脳障害の治療に大きな課題を提示する。
【0306】
【表32】
【0307】
インビボでの生物学的利用能、クリアランス及び半減期の決定
生物学的利用能(%F)、クリアランス(CL)、半減期(T1/2)、分布体積などの薬物動態パラメータは、Phoenix Winnonlin 64ソフトウェア(ビルド8.0)を使用した非コンパートメント分析によって計算される。生物学的利用能はp.o. 投与されたラットから計算したが、クリアランス及び半減期はi.v.投与されたラットから計算した。簡単に説明すると、インビボ血漿濃度、時点及び用量値は互換性のある形式でソフトウェアにインポートされる。各動物の血漿中濃度を時間に対してプロットし、排泄段階を特定して選択する。各プロットの曲線の下の面積は、線形台形線形内挿法を使用して計算され、そこから薬物動態パラメータを後で決定することができる。表11は、本発明の化合物及び参考例の薬物動態パラメータを示している。本発明の化合物は、参考例と比較して、クリアランス(CL)及び半減期(T1/2)がはるかに改善されている。
【0308】
【表33】
【0309】
動的水溶性アッセイ
100%DMSO中の試験化合物の10 mMストック溶液を使用して、試験化合物を最終濃度250μMで0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)にスパイクした。緩衝液中のサンプル(96ウェルプレート中のn=2水性サンプル)をオービタルシェーカー上でRTで30分間(300rpm)平衡化させ、試験化合物の沈殿を誘導した。各サンプルの外観を目視検査によって決定し、記録した(透明性、曇り、沈殿物が観察されたなど)。マルチスクリーンHTS溶解度フィルタプレート(Millipore)を使用して水性リン酸緩衝液サンプルをろ過し、50:50アセトニトリル:水中で5、25、100及び250μMで調製した試験化合物の検量標準とともにろ液をLC-UVで分析した。リン酸緩衝ろ液中の化合物の濃度は、各複製のUV吸光度ピーク面積を検量標準のそれと比較することによって決定した。表12は、本発明の化合物及び参考例の動的水溶解度値を示している。本発明の化合物は、参考例と比較してはるかに改善された溶解度を有する。
【0310】
【表34】
【0311】
hERGアッセイ
ヒトエーテル-a-go-go関連遺伝子(hERG)カリウムチャネル(Kv11.1)は、ヒト心臓活動電位再分極に寄与する。hERGチャネルの阻害は、ヒト心臓活動電位を延長し、QTc延長及び潜在的に致命的な不整脈(トルサードドポアントなど)を引き起こす可能性がある。
【0312】
試験サンプルは、hERGチャネルをコードするヒトエーテル-a-go-go関連遺伝子を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を使用して、QPatch48ギガシール自動パッチクランププラットフォームでhERGチャネルに対してスクリーニングされた。すべての記録は、従来の全細胞構成で行われ、標準のシングルホールチップ(Rchip 1.5~4MΩ)を使用してRT(約21℃)で行われた。直列抵抗(4~15MΩ)は>80%補償された。電流は、0.1Hzの刺激周波数で適用された業界標準の「+40/-40」電圧プロトコルを使用して、-90mVの保持電位から誘導された。全細胞構成を達成すると、ビヒクル(外部記録溶液中0.1%DMSO v/v)を2回のボーラス添加で各細胞に適用し、各添加の間に2分の記録期間を設けた。ビヒクル期間に続いて、試験サンプルの8つの増加している濃度を0.003μM~10μMまで、試験濃度ごとに1回のボーラス添加として適用し、2分間の記録期間中にhERGテール電流振幅への影響を測定した。各8ポイントの濃度応答曲線は、同じ細胞への各濃度の累積単一サンプル添加を使用して作成された。この研究で使用した陽性対照は、塩酸ベラパミル(Tocris、カタログ番号0654、バッチ番号5A/61673)であり、100%DMSOで10 mMのストック濃度に調製し、凍結アリコートとして保存した。
【0313】
データ分析:QCパラメータ(すなわち、>200pAの外向き電流、膜抵抗及びランダウン)を通過するすべての細胞を、QPatchソフトウェアを使用して「通過QC」として選択する。このソフトウェアは、次に、規定されたカーソル位置からの各濃度適用期間での少なくとも3つのスィープの平均ピーク電流を計算する。%阻害率は、各試験濃度適用期間について、対照(つまり、ビヒクル)期間の終わりに測定されたカーソル値に対する平均カーソル値(ピーク電流又は電荷)の減少として計算される。各細胞からの%阻害率を使用して、それぞれ非常に低い濃度と非常に高い濃度で固定された0%及び100%の阻害レベル、及びフリーヒル勾配係数に適合する4つのパラメトリックロジスティックを使用して濃度応答曲線を作成する。次に、IC50(50%阻害濃度)及びヒル係数を決定するが、ヒルの傾きが0.5>nH<2.0以内の細胞からのデータのみが含まれる。以下に報告されているIC50データは、少なくとも3つの別々の細胞(N≧3)の平均(及びS.D.)を表す。試験サンプルが最高濃度で>50%阻害を達成できなかった場合には、それは不活性であると認め、「> 10μM」の任意のIC50値を割り当てた。表13は、本発明の化合物及び参考例のhERG IC50値を示す。本発明の化合物は、参考例と比較して、低下したhERG阻害活性を示す。
【0314】
【表35】
【0315】
エームス試験
例50、52及び54は、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)の2つのヒスチジン依存性栄養要求性変異株である株TA98及びTA100において突然変異を誘発するそれらの能力について、インビトロで試験された。突然変異スクリーニングを、プレート取り込み法を使用してS-9ミックス(アロクロール1254処理ラットの肝臓に由来する肝臓ポストミトコンドリア画分)の存在下及び非存在下の両方で実施した。細菌を、DMSO中に溶解した試験品に曝露し、それは陰性対照でもあった。試験品を、規制上の最大用量レベルまで試験した。試験品の最高処理レベルが溶解性又は背景の菌叢に対する毒性によって制限されていない限り、使用された用量レベルは5、15、50、150、500、1500又は5000μg/プレートであった。用量レベルを遊離塩基に関して表した。
【0316】
S-9混合物の存在下又は非存在下で、いずれの用量レベルでいずれの株の陰性対照値と比較しても、復帰突然変異体数で2倍以上の増加はなかったため、例50、52及び54はこのスクリーニングの条件下での細菌の復帰変異(すなわち、エイムス)試験で変異原性を示さなかった。
【0317】
オフターゲット選択性アッセイ
例50及び54は、脂質キナーゼのパネルを含む430の野生型及び変異型キナーゼからなるEurofins KinaseProfiler(商標)キナーゼスクリーンに対するキナーゼ選択性について、最高濃度1μMまで試験した。放射性キナーゼ活性アッセイをATPKmで実行した。どちらの化合物も、最高濃度のいずれのキナーゼに対しても50%を超える阻害を示さなかった。
【0318】
例50を、GPCR、イオンチャネル及び酵素で87のターゲットからなるEurofins SafetyScreen(商標)パネルに対してスクリーニングした。87のターゲットのうちの2つだけが、最高濃度10μMで50%を超えて阻害され、最大阻害は65%であった。
【0319】
参考文献
i Food and Drug Administration. (2018). Bioanalytical Method Validation: Guidance for Industry.
ii Whitmire M, Ammerman J, de Lisio P, Killmer J, Kyle D (2011) LCMS/MS Bioanalysis Method Development, Validation, and Sample Analysis: Points to Consider When Conducting Nonclinical and Clinical Studies in Accordance with Current Regulatory Guidances. J Anal Bioanal Techniques S4:001. doi:10.4172/2155-9872.S4-001.
【国際調査報告】