IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザト エスアールエルの特許一覧

特表2022-548248金属廃棄物を破砕するためのプラント及びそのプラントの使用方法
<>
  • 特表-金属廃棄物を破砕するためのプラント及びそのプラントの使用方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】金属廃棄物を破砕するためのプラント及びそのプラントの使用方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/00 20060101AFI20221110BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221110BHJP
   B02C 25/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B02C23/00 A
G05B23/02 302R
B02C25/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516139
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 IB2020058126
(87)【国際公開番号】W WO2021048685
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019000016316
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522096628
【氏名又は名称】ザト エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザナグリオ,ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】グラジオリ,ミケーレ
【テーマコード(参考)】
3C223
4D067
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223EA06
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF04
3C223FF24
3C223FF26
3C223FF35
3C223FF46
4D067FF04
4D067FF15
4D067GA10
4D067GA20
4D067GB05
(57)【要約】
金属廃棄物を破砕するためのプラントであって、少なくとも1つの作業チャンバと、金属廃棄物を破砕するための手段と、破砕手段に動作可能に接続されたモータ手段と、を備えるプラント。プラントは、その摩耗に関連する少なくとも1つの動作パラメータを所定の時間間隔で監視するためのモータ手段及び/又は破砕手段と動作可能に関連付けられたセンサ手段と、センサ手段に動作可能に接続された少なくとも1つのデータ処理ユニットと、を更に備える。データ処理ユニットは、センサ手段によって検出された少なくとも1つの動作パラメータの値を所定時間期間にわたって記憶するためのデータ記憶手段と、プラント管理者がモータ手段及び/又は破砕手段のメンテナンスを計画することを可能にするための人工知能ソフトウェアプログラムと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属廃棄物を破砕するためのプラントであって、
破砕される金属廃棄物用の少なくとも1つの入口と、
破砕された金属廃棄物用の少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に配置された少なくとも1つの作業チャンバと、
前記作業チャンバ内に配置された金属廃棄物を破砕するための手段と、
前記破砕手段と動作可能に接続されたモータ手段と、
前記モータ手段及び/又は前記破砕手段の摩耗に関連する少なくとも1つの動作パラメータを所定の時間間隔で監視するための、前記モータ手段及び/又は前記破砕手段に動作可能に関連付けられたセンサ手段と、
前記センサ手段に動作可能に接続された少なくとも1つのデータ処理ユニットと、
を備え、
前記少なくとも1つのデータ処理ユニットは、
前記センサ手段によって検出された前記少なくとも1つの動作パラメータの値を所定時間期間にわたって記憶するためのデータ記憶手段と、
人工知能ソフトウェアプログラムであって、
前記記憶された値に基づいて、前記記憶された値の標準偏差及び移動平均を計算するステップと、
前記標準偏差及び前記計算された移動平均に基づいて、所定の予測時間期間内での前記少なくとも1つの動作パラメータの傾向予測値を処理するステップと、
前記記憶された値及び前記傾向値に基づいて、前記所定の予測時間期間内での前記モータ手段及び/又は前記破砕手段の損傷パーセンテージ確率値を計算するステップと、
を実行するための命令を含む、人工知能ソフトウェアプログラムと、
を含み、
前記損傷パーセンテージ確率値が所定の閾値を上回る場合に、プラント管理者が、同じ前記プラントの休止時間中に前記モータ手段及び/又は前記破砕手段のメンテナンスを計画することを可能にする、
プラント。
【請求項2】
前記センサ手段は、前記モータ手段のエネルギー吸収を第1の所定の時間幅で監視するための、前記モータ手段と動作可能に関連付けられた少なくとも1つの第1のセンサを含む、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記センサ手段は、前記モータ手段の温度を第2の所定の時間幅で監視するための、前記モータ手段と動作可能に関連付けられた少なくとも1つの第2のセンサを含む、請求項1又は2に記載のプラント。
【請求項4】
前記破砕手段は少なくとも1つの回転軸を含み、前記センサ手段は、前記少なくとも1つの回転軸の振動を第3の所定の時間幅で監視するための、前記少なくとも1つの回転軸と動作可能に関連付けられた少なくとも1つの第3のセンサを含む、請求項1、2又は3に記載のプラント。
【請求項5】
前記破砕手段は少なくとも1つの回転軸を含み、前記センサ手段は、前記少なくとも1つの回転軸の回転速度を第4の所定の時間幅で監視するための、前記少なくとも1つの回転軸と動作可能に関連付けられた少なくとも1つの第4のセンサを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項6】
前記予測値を処理する前記ステップは、第1のニューラルネットワークによって実行される、請求項1から5のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項7】
前記損傷パーセンテージ確率値を計算する前記ステップは、第2のニューラルネットワークによって実行される、請求項1から6のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の金属廃棄物破砕プラントを使用するための方法であって、
第1の所定の時間期間にわたって金属廃棄物を破砕するステップと、
第2の所定の時間期間にわたって前記システムをオフにするステップと、
前記第2の所定の時間期間の間に、前記モータ手段及び/又は前記破砕手段のメンテナンスを実行するステップと、
を含み、
前記メンテナンスステップは、前記損傷パーセンテージ確率値が所定の閾値を上回る場合にのみ実行される、
方法。
【請求項9】
金属廃棄物を破砕するためのプラントのメンテナンスを計画するためのシステムであって、前記プラントは、
破砕される金属廃棄物用の少なくとも1つの入口と、
破砕された金属廃棄物用の少なくとも1つの出口と、
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間に配置された少なくとも1つの作業チャンバと、
前記作業チャンバ内に配置された金属廃棄物を破砕するための手段と、
前記破砕手段と動作可能に接続されたモータ手段と、
を備え、
前記システムは、
前記モータ手段及び/又は前記破砕手段の摩耗に関連する少なくとも1つの動作パラメータを所定の時間幅で監視するための、前記モータ手段及び/又は前記破砕手段に動作可能に関連付けられたセンサ手段と、
前記センサ手段に動作可能に接続された少なくとも1つのデータ処理ユニットと、
を含み、
前記少なくとも1つのデータ処理ユニットは、
前記センサ手段によって検出された前記少なくとも1つの動作パラメータの値を所定時間期間にわたって記憶するためのデータ記憶手段と、
人工知能ソフトウェアプログラムであって、
前記記憶された値に基づいて、前記記憶された値の標準偏差及び移動平均を計算するステップと、
計算された前記標準偏差及び前記移動平均に基づいて、所定の予測時間期間内での前記少なくとも1つの動作パラメータの傾向予測値を処理するステップと、
前記記憶された値及び前記傾向値に基づいて、前記所定の予測時間期間内での前記モータ手段及び/又は前記破砕手段の損傷パーセンテージ確率値を計算するステップと、
を実行するための命令を含む、人工知能ソフトウェアプログラムと、
を含み、
前記損傷パーセンテージ確率値が所定の閾値を上回る場合に、プラント管理者が、前記プラント自体の休止時間中に前記モータ手段及び/又は前記破砕手段のメンテナンスを計画することを可能にする、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プラントエンジニアリングの技術分野に関し、特に、金属廃棄物を破砕するためのプラント及びそのプラントの使用方法を目的とする。
【0002】
本発明はまた、そのようなプラントのメンテナンスを計画するためのシステムを含む。
【背景技術】
【0003】
従来の廃棄物破砕プラントでは、一般に、後手の(問題が発生してからの)又は「故障後」のメンテナンスが行われ、そのメンテナンスは、故障報告の結果として、したがって故障後の、技術的介入と関連する。
【0004】
この種類のメンテナンスは、生産ができなくなる点及び機械自体の修理の両方の点で非常に高いコストを伴う。
【0005】
一方、これらの種類のプラントでは、故障の可能性を低減するために、一定の時間間隔でスケジュールされた一連の介入からなる、いわゆる予防メンテナンスが実施される。
【0006】
この場合も、機械の状態を認識しているか否かにかかわらず介入を繰り返し、本来なら節約できるはずの資源を使用するため、メンテナンスが高額となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、極めて効率的で比較的費用効果の高い金属廃棄物破砕プラントを提供することによって、上述の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0008】
本発明の目的は、メンテナンスのコスト及び時間が最小限である金属廃棄物破砕プラントを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、長寿命で耐久性の高い金属廃棄物破砕プラントを提供することである。
【0010】
そのような目的、並びに以下でより明確になる他の目的は、本明細書に記載され、図示され、及び/又は特許請求されるものによって達成される。
【0011】
本発明の好適かつ有利な実施形態が従属請求項に規定されている。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的な例として示されているプラント1の好適であるが排他的ではない実施形態の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むことによって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プラント1のスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の図を参照ながら、金属廃棄物を破砕するためのプラント1について以下に説明する。
【0015】
それ自体公知であるこのようなプラント1は、
破砕される金属廃棄物S用の1つの入口10と、
破砕された金属廃棄物S´用の1つの出口20と、
入口10と出口20との間に配置される1つの作業チャンバ30と、
作業チャンバ30内に配置された、それ自体公知の種類の金属廃棄物破砕手段40と、
破砕手段40と動作可能に接続された、ディーゼルエンジン又は電気モータなどのモータ手段50と、
を備える。
【0016】
破砕手段40及び/又はエンジン/モータ50の損傷の確率を予測し、機械の休止時間中にプラントのオペレータがそのメンテナンスを計画することを可能にするために、
所定の時間間隔で少なくとも1つの動作パラメータを監視するための、モータ手段50及び/又は破砕手段40に動作可能に関連付けられたセンサ手段60と、
センサ手段60に動作可能に接続された少なくとも1つのデータ処理ユニット70と、
を含むシステムを提供することが可能であり得る。
【0017】
センサ手段60によって監視されるパラメータは、破砕手段40及び/又はモータ手段50の摩耗に直接的又は間接的に関連する限り、いかなるパラメータであってもよい。
【0018】
例えば、センサ手段は、所定の時間間隔でモータ手段50のエネルギー吸収を監視するための、モータ手段と動作可能に関連付けられた1つ以上のセンサを備えることができる。
【0019】
追加で、又は代わりに、センサ手段は、有利には、所定の時間間隔でモータ手段の温度を監視するための、モータ手段と動作可能に関連付けられた1つ以上のセンサを備えることができる。
【0020】
追加で、又は代わりに、センサ手段は、好適には、破砕手段の回転軸の振動を所定の時間間隔で監視するための、破砕手段の回転軸と動作可能に関連付けられた1つ以上のセンサを含むことができる。
【0021】
追加で、又は代わりに、センサ手段は、好適には、破砕手段の回転軸の回転速度を所定の時間間隔で監視するための、破砕手段の回転軸と動作可能に関連付けられた1つ以上のセンサを含むことができる。
【0022】
摩耗が発生している場合、上記のパラメータは変化し得る。
【0023】
例えば、プラントのプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)又はプラントから遠隔に配置されたワークステーションであってもよいデータ処理ユニットは、上記の動作パラメータのうちの1つ以上の値を所定時間期間にわたって記憶するためのデータ記憶手段71と、人工知能ソフトウェアプログラムと、を含むことができ、人工知能ソフトウェアプログラムは、以下のステップを実行するための命令を含む:
データ記憶手段71内の記憶された値に基づいて、これらの記憶された値の標準偏差及び移動平均を計算するステップと、
第1のニューラルネットワークを介して、標準偏差及び計算された移動平均に基づいて、所定の予測時間期間内での上述の動作パラメータの傾向予測値を処理するステップと、
第2のニューラルネットワークを介して、記憶された値及び傾向値に基づいて、上述の予測時間期間内でのモータ手段50及び/又は破砕手段40の損傷パーセンテージ確率値を計算するステップ。
【0024】
これにより、プラント管理者は、人工知能ソフトウェアによって計算された損傷パーセンテージ確率値が所定の閾値を超えている場合に、プラント自体の休止時間中にモータ手段及び/又は破砕手段のメンテナンスを計画することができる。
【0025】
より正確には、人工知能ソフトウェアは、再帰的構造を有する多層ニューラルネットワークからなる。このソフトウェアは、入力データとして、(ニューロン-センサ比1:1で入力層に接続された)センサ手段60から履歴的に連続して受信された値を使用する。収集されたデータは、大量であっても、上述の移動平均及び標準偏差などの必須の統計パラメータを得ることを可能にする正規化層によって処理される。各センサについて上述の比が2以上であるそのような統計情報は、ソフトウェアの第2の隠れ層に直接接続する補助入力層を使用して第1のニューラルネットワークに送信される。
【0026】
したがって、第1のニューラルネットワークは予測を行い、予測時間期間が短いほど、予測自体がより正確になる。
【0027】
この時点で、生成された傾向値は、(深層学習レベルに基づく多層構造を有する)分類器機能を有する第2のニューラルネットワークに転送され、第2のニューラルネットワークは、考慮される期間内のモータ手段50及び/又は破砕手段40の部品の破損に関して、モータ手段50及び/又は破砕手段40の部品の各々の二項分類を精緻化するタスクを有する。ソフトウェア出力は、故障の確率に関するパーセント値である。
【0028】
機械の故障の可能性は潜在的に無限であるため、第2のモデルの訓練は、メンテナンス/故障履歴に対してのみ行われるのではなく、誤差最小化関数として予想移動平均に対する標準偏差も含めて行われる。これにより、センサの外れ値(又はそれらの線形もしくは非線形の組み合わせ)と故障の確率との間の相関を特定することができる。
【0029】
以上のことから、本発明が目的を達成することは明らかである。
【0030】
本発明は、多数の修正及び変更が可能である。添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、全ての詳細は他の技術的に等価な要素によって置き換えられてもよく、材料は要件に応じて異なってもよい。
図1
【国際調査報告】