IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・リサーチ・ファウンデーション・フォー・ザ・ステイト・ユニヴァーシティ・オブ・ニューヨークの特許一覧 ▶ ニューヨーク ユニバーシティの特許一覧

特表2022-548256高利得アモルファスセレン光電子増倍管
<>
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図1
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図2
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図3
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図4
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図5
  • 特表-高利得アモルファスセレン光電子増倍管 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】高利得アモルファスセレン光電子増倍管
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/107 20060101AFI20221110BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20221110BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20221110BHJP
【FI】
H01L31/10 B
B82Y20/00
B82Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516297
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020050311
(87)【国際公開番号】W WO2021050814
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,437
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503035992
【氏名又は名称】ザ・リサーチ・ファウンデーション・フォー・ザ・ステイト・ユニヴァーシティ・オブ・ニューヨーク
(71)【出願人】
【識別番号】514056986
【氏名又は名称】ニューヨーク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アミルホセイン・ゴルダン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】アヤスカンタ・サフ
【テーマコード(参考)】
5F849
【Fターム(参考)】
5F849AA04
5F849AA07
5F849AB01
5F849BA01
5F849BA05
5F849BB03
5F849BB20
5F849CA05
5F849CB05
5F849CB06
5F849DA28
5F849DA30
5F849DA33
5F849FA04
5F849GA02
5F849JA09
5F849XB14
5F849XB38
(57)【要約】
アモルファスセレン(a-Se)から構成される固体光導電膜を含む光電子増倍管が提供される。a-Se含有光電子増倍管において、正孔阻止層が設けられて利得を最大化しかつ低暗伝導度を維持する。また、正孔阻止層は、不可逆的破壊のない信頼できかつ反復可能な衝突電離を達成する。正孔阻止層は、10を超える誘電率(k)を有する非絶縁金属酸化物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極上に設けられる電子阻止層と、
前記電子阻止層上に設けられるアモルファスセレン固体光導電膜と、
前記アモルファスセレン固体光導電膜上に設けられる正孔阻止層であって、非絶縁金属酸化物を含む、正孔阻止層と、
前記正孔阻止層上に設けられる第2の電極と
を備える光電子増倍管。
【請求項2】
前記アモルファスセレン固体光導電膜と前記正孔阻止層との間に挟まれるパッシベーションバッファ層を更に備える、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項3】
前記第1の電極が基板の表面上に設けられる、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項4】
前記第1の電極、前記電子阻止層、前記アモルファスセレン固体光導電膜、前記正孔阻止層および前記第2の電極が順に垂直に積み重ねられる、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項5】
前記アモルファスセレン固体光導電膜が完全にアモルファスである、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項6】
前記非絶縁金属酸化物が10を超える誘電率を有し、かつ金属酸化物ナノ結晶から構成される、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項7】
前記金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウム量子ドットを含む、請求項6に記載の光電子増倍管。
【請求項8】
前記非絶縁金属酸化物が10を超える誘電率を有し、かつペロブスカイトから構成される、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項9】
前記ペロブスカイトがチタン酸ストロンチウムまたはチタン酸バリウムを含む、請求項8に記載の光電子増倍管。
【請求項10】
前記非絶縁金属酸化物がナノ結晶金属酸化物である、請求項1に記載の光電子増倍管。
【請求項11】
少なくとも1つの光電子増倍管を備え、前記少なくとも1つの光電子増倍管が、第1の電極上に設けられる電子阻止層、前記電子阻止層上に設けられるアモルファスセレン固体光導電膜、前記アモルファスセレン光導電膜上に設けられる正孔阻止層であって、非絶縁金属酸化物を含む、正孔阻止層、および前記正孔阻止層上に設けられる第2の電極を備える、装置。
【請求項12】
前記アモルファスセレン固体光導電膜と前記正孔阻止層との間に挟まれるパッシベーションバッファ層を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記非絶縁金属酸化物が10を超える誘電率を有し、かつ金属酸化物ナノ結晶から構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記金属酸化物ナノ結晶が酸化セリウム量子ドットを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記非絶縁金属酸化物が10を超える誘電率を有し、かつペロブスカイトから構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記ペロブスカイトがチタン酸ストロンチウムまたはチタン酸バリウムを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
光電子増倍管を形成する方法であって、
第1の電極上に設けられる電子阻止層を形成するステップと、
前記電子阻止層上にアモルファスセレン固体光導電膜を形成するステップと、
前記アモルファスセレン固体光導電膜上に正孔阻止層を形成するステップであって、前記正孔阻止層が非絶縁金属酸化物を含む、ステップと、
前記正孔阻止層上に第2の電極を形成するステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記正孔阻止層を形成する前記ステップが、
金属酸化物ナノ結晶またはペロブスカイトから構成される溶液処理材料を調製するステップと、
前記アモルファスセレン固体光導電膜の表面上に前記溶液処理材料を、セレンに関する結晶化開始温度未満の温度で堆積するステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液処理材料が酸化セリウムナノ結晶のコロイド分散液を含み、前記酸化セリウムナノ結晶のコロイド分散液の堆積が酸化セリウム量子ドットの層を設け、かつ前記酸化セリウム量子ドットの層が更に配位子交換プロセスにかけられて前記正孔阻止層を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記堆積の前記温度が公称室温で行われる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与されたEB025300の下で政府支援を受けてなされたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本発明は、2019年9月12日出願の米国特許仮出願第62/899,437号の利益を主張するものであり、その内容および開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、光電子増倍管に関し、より詳細には、アモルファスセレン(a-Se)から構成される固体光導電膜を含む光電子増倍管に関する。
【背景技術】
【0004】
真の固体光電子増倍管で単一光子レベルまで低光信号を効率的に感知および撮像することは、天文学、分光学、光通信、医用撮像、ならびに量子光学および量子情報科学の急速に発展している分野における広範な用途と共に長年にわたって探求されてきた。しかしながら、低光検出のための、かつ高ダイナミックレンジおよび線形モード動作を達成するための依然として最も普及している商用検出器は、真空光電子増倍管(PMT)である。PMTは光電効果に基づいて動作する。
【0005】
電子がエネルギー光子によって価電子帯から真空準位に昇位され、その後ダイノードによって増倍され、次いでアノードによって収集され得る。PMTの主な利点は超高利得(典型的には10~10)および低過剰雑音である。しかしながら、PMTは、高価であり、嵩張り、脆弱であり、磁界下で動作できず、可視スペクトルにおける量子効率が劣り、赤外スペクトル領域において動作できず、2D撮像アレイへピクセル化できず、かつ高速タイミング用途(ピコ秒飛行時間感知における最近の先進分野など)に適切でない。
【0006】
結晶シリコン(c-Si)ベースのアバランシェフォトダイオード(逆バイアスp-nまたはp-i-n接合デバイス)も、衝突電離過程を介して光発生キャリアを増幅する。相違点は、PMTでは電子だけが存在してダイノードによって極めて決定論的に増倍されるが、結晶半導体では電子も正孔も高電界領域内で衝突電離アバランシェを経験することが可能であるということである。後者の衝突電離過程は極めて確率論的であり、高利得において「過剰雑音」となる。電界Fを上げることによってアバランシェフォトダイオード(APD)において増倍率Mが増加されるにつれて、アバランシェ利得の変動は徐々に悪くなる。マッキンタイヤ理論によれば、M対Fの傾斜は、2つのキャリアの電離率の比率k、但し1≦k<0の強い関数である。結晶半導体における高k値は、APDにおける均一性および収率問題に関与する。
【0007】
多利得段半導体ヘテロ接合を使用するバンド構造エンジニアリングの概念は、1つのキャリア型(電子か正孔か)だけが衝突電離を受け、したがって、結果としてより決定論的電離挙動に至ることを保証するために80年代に提案された。従来のAPDでは、キャリアは、一定の高電界領域において一様確率で極めて確率論的衝突電離過程を受ける。ヘテロ接合の伝導帯不連続性を活用することによって、電離確率は、電子がワイドバンドギャップ半導体からナローバンドギャップ半導体に入った直後に急上昇し、それによってPMTにおけるダイノードの挙動に類似する。しかしながら、電離特性のそのような理想的変更がk約0を生じさせることが可能であったという明白な証拠もなく、しかも低過剰雑音で最適な信号対雑音比(SNR)においてこれらの多段ヘテロ接合で達成された超低利得そのもののため、バンド構造エンジニアリングの領域において真に説得力のある結果が明らかになる前に関心が薄れてしまった。
【0008】
従来のPMTの挙動に類似する最も近い固体デバイスであった別の重要な開発が、無雑音非マルコフ分岐かつF=1のRockwell SiベースのSSPMであった。従来、APDにおけるキャリアは、マルコフ(すなわち、無記憶)分岐と呼ばれる過程を通して弾道衝突電離を受ける。キャリアは次の衝突電離のために非常に短距離(かつ超短時間の間)進行するので、アバランシェ過程はフォノン散乱の履歴(および衝突電離に十分な運動エネルギーを蓄積するために必要とされるステップの履歴)とは無関係である。しかしながら、Si SSPMにおけるキャリアははるかに小さな電界を経験するため、したがって、それらは、次の衝突電離事象に十分な運動エネルギーを得る前に有限期間にわたって加速されなければならない。この「遅延時間」は、多重散乱事象ならびに関連する加速および減速が衝突電離前に有限遅延時間にわたって進行される距離の平均化をもたらすので、そのようなデバイスにおいて過剰雑音を低減させる(かつ潜在的に除去する)(すなわち、過剰雑音係数約1)と期待される。したがって、フォノン散乱の履歴およびエネルギー/運動量緩和事象は、結果として確率過程の内部平均化に至り無雑音決定論的利得を生じさせるSSPMにおける非マルコフ分岐過程において役割を果たす。Si SSPMは、極低温度で動作され(すなわち、約5Kに冷却され)かつ波長が0.4と28μmとの間の個々の光子を計数できる不純物帯アバランシェデバイスであり、低バックグラウンド、近~中IR検出用途に使用するための重要なデバイスとなる。同デバイスは、10の伝導電子までの超高単一キャリア衝突電離利得も有する。アバランシェ衝突電離過程はF=1のSSPMにおいて無雑音である。SSPMは、しかしながら、製造するのが非常に難しく、k=0を保証するために超低収率を有し、かつその用途を厳しく限定した極低温度で動作するため、したがって、同技術は結局その構想後早々に忘れ去られた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Runnerstrom他、「Colloidal Nanocrystals Films Reveal the Mechanism for Intermediate Room Temperature Proton Conductivity in Porous Ceramics」、J. Phys. Chem. C208、122、13624~13635
【非特許文献2】Arul他、「Strong Quantum Confinement Effect In Nanocrystalline cerium oxide」、Mater. Lett. 2011、65、2635~2638
【非特許文献3】Ohshima他、「Excess Noise in Amorphous Selenium Avalanche Photodiodes」、Appl. Phys.、Part 2 1991、30、L1071~L1074
【非特許文献4】Abbaszadeh他、「Investigation of Hole-Blocking Contacts for High-Conversion-Gain Amorphous Selenium Detectors for X-Ray Imaging」、IEEE Trans.、Electron Devices 2021、59、2403~2409
【非特許文献5】Park他、「Avalanche-type High Sensitive Image Pickup Tube using an a-Se photoconductive target」、Jpn. J. Appl. Phys. 2003、42、L209~L211
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
アモルファスセレン(a-Se)から構成される固体光導電膜を含む光電子増倍管が提供される。a-Se含有光電子増倍管において、正孔阻止層が設けられて利得を最大化しかつ低暗伝導度を維持する。また、正孔阻止層は、不可逆的破壊のない、信頼できかつ反復可能な衝突電離を達成する。更に、a-Se含有光電子増倍管は、a-Se含有光電子増倍管を構成する層数削減により低光散乱を有する。
【0011】
正孔阻止層は、高誘電率(k)を有する非絶縁金属酸化物である。「High-k」によって、金属酸化物が10を超える、真空中において測定される誘電率を有することが意味される。High-k金属酸化物正孔阻止層は、high-k正孔阻止層が絶縁正孔阻止層、不定比である非絶縁正孔阻止層、または定比であるがhigh-k正孔阻止層の誘電率より低い誘電率を有する非絶縁正孔阻止層のうちの1つと置き換えられた同等のa-Se含有光電子増倍管と比較して改善を提供する。
【0012】
本発明の1つの態様において、高利得を有する光電子増倍管が提供される。「高利得」によって、光電子増倍管が100以上の利得を有することが意味される。本出願の光電子増倍管は低暗電流密度も呈する。「低暗電流密度」によって、それは、アバランシェの発生時に測定される、1000pA/cm以下の暗電流密度である。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、光電子増倍管は、第1の電極上に設けられる電子阻止層を含む。電子阻止層上にアモルファスセレン固体光導電膜が設けられる。アモルファスセレン固体光導電膜上に正孔阻止層が設けられる。本発明に従って、正孔阻止層は非絶縁金属酸化物を含む。正孔阻止層上に第2の電極が設けられる。一部の実施形態において、本発明の光電子増倍管は、アモルファスセレン固体光導電膜と正孔阻止層との間に挟まれるパッシベーションバッファ層を含む。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、電子阻止層は第1の電極の表面と直接物理的に接触しており、アモルファスセレン膜は電子阻止層の表面と直接物理的に接触しており、正孔阻止層はアモルファスセレン膜の表面と直接物理的に接触しており、第2の電極は正孔阻止層の表面と直接物理的に接触している。本発明の他の実施形態において、電子阻止層は第1の電極の表面と直接物理的に接触しており、アモルファスセレン膜は電子阻止層の表面と直接物理的に接触しており、パッシベーションバッファ層はアモルファスセレン膜の表面と直接物理的に接触しており、正孔阻止層はパッシベーションバッファ層の表面と直接物理的に接触しており、第2の電極は正孔阻止層の表面と直接物理的に接触している。
【0015】
本発明の別の態様において、例えば光検出器またはイメージャなどの装置が提供される。本発明の装置は、第1の電極上に設けられる電子阻止層、電子阻止層上に設けられるアモルファスセレン固体光導電膜、アモルファスセレン光導電膜上に設けられる正孔阻止層であって、非絶縁金属酸化物を含む、正孔阻止層、および正孔阻止層上に設けられる第2の電極を含む少なくとも1つの光電子増倍管を含む。
【0016】
本発明の更なる態様において、光電子増倍管を形成する方法が提供される。1つの実施形態において、上記方法は、第1の電極上に設けられる電子阻止層を形成するステップを含む。電子阻止層上にアモルファスセレン固体光導電膜が形成される。アモルファスセレン固体光導電膜上に正孔阻止層が形成される。本発明に従って、正孔阻止層は非絶縁金属酸化物を含む。正孔阻止層上に第2の電極が形成される。
【0017】
1つの実施形態において、正孔阻止層は、金属酸化物ナノ結晶またはペロブスカイトから構成される溶液処理材料を調製することによって形成される。次に、アモルファスセレン固体光導電膜の表面上に、セレンに関する結晶化開始温度未満の温度で、溶液処理材料が堆積される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に従う高利得a-Se光電子増倍管の横断面図である。
図2】[図2A]異なる正孔阻止層を含む垂直a-Se光電子増倍管内部の電界プロットを示す図であり、本発明のものでなく、SiO正孔阻止層(k=4)を使用しており、k=εに留意のこと。 [図2B]異なる正孔阻止層を含む垂直a-Se光電子増倍管内部の電界プロットを示す図であり、本発明のものであり、CeO量子ドット正孔阻止層(k=28)を使用しており、k=εに留意のこと。 [図2C]異なる正孔阻止層を含む垂直a-Se光電子増倍管内部の電界プロットを示す図であり、本発明のものであり、SrTiO正孔阻止層(k=300)を使用しており、k=εに留意のこと。
図3】15μm厚a-Se固体光導電膜を使用して図2A図2Cで述べたように異なる正孔阻止層を含む様々なa-Se光電子増倍管に対する実効量子効率を例示するプロットを示す図であり、プロットは、アバランシェ利得電界が80V/μmを超えるのを、および最高利得がSrTiO正孔阻止層を使用して達成されることを示す。
図4】[図4A]CeO量子ドット正孔阻止層を含むa-Se含有光電子増倍管の横断面図および対応するFIB-SEMを示す図である。 [図4B図4Aに図示されるCeO量子ドット正孔阻止層を設ける際に使用される、平均粒径が5.3nmのCeOナノ結晶のTEM顕微鏡写真である。 [図4C図4Bに図示されるCeOナノ結晶の粒度分布プロットを示す図であり、挿入図は、立方蛍石CeOの(111)面に対応する、格子縞d間隔が0.316nmの単一のCeO量子ドットの高分解能TEMを示す図である。 [図4D図4Aのアバランシェa-Se光電子増倍管の作動原理を例示する図である。
図5】[図5A]バルク基準パターンが立方蛍石型結晶構造の14nm CeO量子ドットのXRDパターンを示す図である。 [図5B]ガウス-ローレンツ(ボイト)関数を使用してデコンボリューションされたCe3d3/2およびCe3d5/2のXPSスペクトルを示す図である。 [図5C]14nmおよび5.3nm CeO量子ドットに対してUV-Vis-NIR分光法を使用したCeO量子ドットの吸光度プロットを示す図である。 [図5D]14nm CeO量子ドットに対するTaucプロットを示す図であり、示される挿入図は単一の14nm CeO量子ドットの高分解能TEM顕微鏡写真である。 [図5E]5.3nm CeO量子ドットに対するTaucプロットを示す図であり、示される挿入図は単一の5.3nm CeO量子ドットの高分解能TEM顕微鏡写真である。
図6】[図6A]広範な印加電流にわたるa-Se(15μm)/CeO量子ドット(150nm)デバイスの測定された暗電流過渡変化を示すグラフである。 [図6B]CeO量子ドット正孔阻止層を含む本発明に従うa-Se含有光電子増倍管の測定された暗電流密度を示すグラフである。 [図6C]40nmおよび150nm CeO量子ドット正孔阻止層が、それぞれ50および7のアバランシェ利得を達成するデバイスの測定された光応答を示すグラフであり、挿入図は光学TOF実験の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ここで本発明に伴う以下の考察および図面を参照することによって更に詳細に記載されることになる。本発明の図面が単に例示目的で設けられており、そのため、図面が一定の比率で描かれていないことが留意される。同様のおよび対応する要素が同様の参照数字によって参照されることも留意される。
【0020】
以下の説明において、本発明の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、部品、材料、寸法、処理ステップおよび技術などの、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明の様々な実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることが当業者によって認識されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にすることを回避するために周知の構造または処理ステップは詳細には記載されていない。
【0021】
層、領域または基板などの要素が別の要素「上に」または「上方に」あると言及される場合、それは他方の要素上に直接あることができる、または介在要素も存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素「上に直接」または「上方に直接」あると言及される場合、存在する介在要素はない。要素が別の要素「の下に」または「の下方に」あると言及される場合、それは他方の要素の下もしくは下方に直接あることができる、または介在要素が存在し得ることも理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素「の下に直接」または「の下方に直接」あると言及される場合、存在する介在要素はない。
【0022】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、高利得アモルファスセレン光電子増倍管およびそれを形成する方法を提供する。本発明の実施形態は、アモルファスセレンにおいて高利得を達成することを可能にするために正孔阻止層として高誘電率の溶液処理されたナノ結晶/ナノ粒子(量子ドットを含む)および/またはペロブスカイトを使用する。本発明の実施形態は、天文学、分光学、光通信、医用撮像、ならびに量子光学および量子情報科学の急速に発展している分野における用途に関して、初の真の固体光電子増倍管の開発ならびに固体光検出および撮像を変革する将来性を可能にする。
【0023】
固体光導電膜としてのアモルファスセレン(a-Se)は、その固有のアバランシェ増倍過程を通して光検出を変革する態勢が整っている。a-Se内のアバランシェ現象の2つの主要な特徴は、第一に、電子および正孔衝突電離率間の大きな差から見られるように、正孔だけが熱くなって衝突電離を受けること、ならびに第二に、アバランシェ過程が無雑音かつ非マルコフであることである。加えて、a-Seは、ワイドバンドギャップおよび高電界においてさえ極低漏れ電流の大面積室温半導体であり、したがって冷却を必要としない。
【0024】
a-SeはPMTに類似の利得を理想的に提供できるが、そのアバランシェ利得は、(A)絶縁正孔阻止層(HBL)、または(B)不定比である非絶縁HBL、または(C)定比であるが低誘電率(すなわち、10以下)を有する非絶縁HBLにより固体検出器構造として厳しく制限されていた。用語「定比」は、本明細書においてその構成要素がその式による精密な割合で存在する化合物を定義するために使用される。
【0025】
項目Aは、絶縁体が捕獲空間電荷効果および分極をもたらすので不適切である。項目Bは、HBLにおける欠陥状態が電荷注入を実質的に強化するので効率的に作用しない。項目Cも、電極縁部および角部に近い電界ホットスポットの存在のため超高利得の達成を制限する。利得を最大化しかつ低暗伝導度を維持できるa-Se光電子増倍管のために代替のHBLが必要とされる。また、代替のHBLは、不可逆的破壊のない信頼できかつ反復可能な衝突電離を達成するべきである。
【0026】
本発明において、非絶縁n型正孔阻止/電子輸送層(以降「正孔阻止層」)が設けられ、非絶縁金属酸化物を含んでいる。非絶縁金属酸化物は10を超える誘電率を有する、すなわち非絶縁金属酸化物はhigh-k材料である。正孔阻止層として使用される非絶縁金属酸化物は実質的に定比である。「実質的に定比」によって、非絶縁材料酸化物が完全に定比であるまたは完全に定比から±5%以内であることが意味される。
【0027】
a-Se含有光電子増倍管におけるそのような正孔阻止層の使用は、真空PMTに対する真の固体代替物を提供する。本発明において、正孔阻止層を設ける際に、溶液処理された金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子または溶液処理されたペロブスカイトが使用される。溶液処理材料は、a-Se層の結晶化を(表面もバルクも)もたらさない温度で堆積される。正孔阻止層としてhigh-kを有する非絶縁金属酸化物を含有して製造されたa-Se含有光電子増倍管の実験結果が、欠陥状態および酸素空孔なしで、アバランシェ電界においてこれまでに報告された最低暗電流密度を示している。正孔阻止層としての低温度溶液処理材料の使用は、アバランシェセレンデバイスの性能を実質的に改善し、かつ従来のPMTの挙動に類似する固体光電子増倍管を開発する長年にわたる探求を最終的に終わらせ得る。
【0028】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態に従う高利得、低暗電流密度a-Se光電子増倍管が例示される。図1のa-Se光電子増倍管は、光検出器、イメージャ、センサ、または光子の検出が所望される任意の他の装置における部品として使用できる。図1のa-Se光電子増倍管は、基板10、第1の電極12、電子阻止層14(すなわち、p層)、アモルファスセレン固体光導電膜16(すなわち、i層)、パッシベーションバッファ層18、正孔阻止層20(すなわち、n層)および第2の電極22を含む。一部の実施形態において、パッシベーションバッファ層18は省略できる。一部の実施形態において、基板10は省略できる。
【0029】
実施形態においてかつ図1に描写されるように、基板10、第1の電極12、電子阻止層14、アモルファスセレン固体光導電膜16、パッシベーションバッファ層18、正孔阻止層20および第2の電極22は順に垂直に積み重ねられる。
【0030】
存在する場合、基板10は、典型的には、例えば半導体基板またはガラス基板などの透明基板である。半導体基板は、例えばシリコンなどの少なくとも1つの半導体材料を含む。
【0031】
第1の電極12は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を含む任意の透明導電材料から構成できる。一部の実施形態(図示せず)において、第1の電極12は基板10の全体上に存在できる。他の実施形態において、かつ図1に描写されるように、第1の電極12は基板10の一部分上に存在する。一部の実施形態において、第1の電極12は、基板10と直接物理的に接触し、したがってそれと材料界面を形成できる。第1の電極12は10nmから1000nmの厚さを有することができるが、第1の電極12のための他の厚さが企図されており、第1の電極12の厚さとして使用できる。第1の電極12は、当業者に周知の技術を活用して形成できる。例えば、第1の電極12は、例えば物理気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)またはメッキなどの堆積プロセスを活用して形成できる。一部の実施形態において、第1の電極12を設ける透明導電材料の堆積後に、例えばフォトリソグラフィなどのパターニングプロセスが続くことができる。
【0032】
一部の実施形態において、電子阻止層14は、例えばパリレンまたはポリイミド(PI)などのポリマーから構成される高温、高電界電子阻止層であることができる。他の実施形態において、電子阻止層14は、例えば三セレン化ヒ素(AsSe)または酸化ニッケル(NiO)などの無機電子阻止材料から構成される。電子阻止層14は10nmから6000nmの厚さを有することができるが、電子阻止層14のための他の厚さが企図されており、電子阻止層14の厚さとして使用できる。電子阻止層14は、当業者に周知の技術を活用して形成できる。例えば、電子阻止層14は、例えば化学気相堆積(CVD)、プラズマ-プラズマ強化化学気相堆積(PECD)、溶液堆積、熱蒸着またはスピンオンコーティングなどの堆積プロセスを活用して形成できる。電子阻止層14は、典型的には第1の電極12と直接物理的に接触し、したがってそれと材料界面を形成する。
【0033】
アモルファスセレン固体光導電膜16は、任意の結晶構造を欠くセレンの膜であり、アモルファスセレン固体光導電膜16内の原子の局所配列があり得るが、長期配列は存在しない。アモルファスセレン固体光導電膜16にドープする(安定化させる)またはドープしないことができる。アモルファスセレン固体光導電膜16に対するドーパントの例にはヒ素、テルルまたは塩素を含むが、これに限定されない。ドーパントは、0.1原子百分率から0.5原子百分率の量でアモルファスセレン固体光導電膜16に存在することができる。アモルファスセレン固体光導電膜16は0.5μmから100μmの厚さを有することができるが、アモルファスセレン固体光導電膜16のための他の厚さが企図されており、アモルファスセレン固体光導電膜16の厚さとして使用できる。アモルファスセレン固体光導電膜16は、当業者に周知の技術を活用して形成できる。1つの例では、アモルファスセレン固体光導電膜16は、安定化されたガラス状セレンペレットの熱蒸着によって形成できる。アモルファスセレン固体光導電膜16は、典型的には電子阻止層14と直接物理的に接触し、したがってそれと材料界面を形成する。
【0034】
存在する場合、パッシベーションバッファ層18は、下にあるアモルファスセレン固体光導電膜16を酸化から保護する任意の材料から構成される。1つの例では、パッシベーションバッファ層18はSiOから構成できる。パッシベーションバッファ層18は10nmから1000nmの厚さを有することができるが、パッシベーションバッファ層18のための他の厚さが企図されており、パッシベーションバッファ層18の厚さとして使用できる。パッシベーションバッファ層18は、例えばスパッタリングなどの堆積を活用して形成できる。本発明において、パッシベーションバッファ層18の堆積は、下にあるアモルファスセレン固体光導電膜16の部分を(すなわち、表面もバルクも)結晶化させない条件を活用して行われる。そのため、アモルファスセレン固体光導電膜16は、パッシベーションバッファ層18の形成後に完全にアモルファスのままである。パッシベーションバッファ層18は、典型的にはアモルファスセレン固体光導電膜16と直接物理的に接触し、したがってそれと材料界面を形成する。
【0035】
デバイスに高利得および低暗電流密度を提供するために、正孔阻止層20は非絶縁金属酸化物を含む。正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物はhigh-k(すなわち、10を超える誘電率)を有する。一部の実施形態において、正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物は、10を超えて100までの誘電率を有する。他の実施形態において、正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物は、10を超えて20,000までの誘電率を有する。正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物は、上記したように、実質的に定比であることができる。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物は金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子から構成される。用語「ナノ結晶」および「ナノ粒子」は本発明において互換的に使用される。ナノ結晶/ナノ粒子は、典型的には直径が100nm未満である粒径を有する。金属酸化物ナノ結晶は金属酸化物量子ドットを設けることができる。量子ドットは、量子閉込めを実証するナノ結晶である。金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子として本発明において使用できる金属酸化物の例には元素周期表の遷移族金属の酸化物を含むが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、正孔阻止層20として使用される金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子は酸化セリウムCeO量子ドットを含む。
【0037】
他の実施形態において、正孔阻止層20を設ける非絶縁金属酸化物はペロブスカイトから構成される。ペロブスカイトは、鉱物の酸化チタンカルシウムと同じ結晶構造を有する材料である。一般に、ペロブスカイトは化学式ABXを有し、式中AおよびBはカチオンを表し、Xは両カチオンに結合するアニオンである。本発明において使用できるペロブスカイトの例にはチタン酸ストロンチウム(すなわち、SrTiO)またはチタン酸バリウム(BaTiO)を含むが、これに限定されない。1つの実施形態において、電子正孔阻止層20を設けるペロブスカイトはSrTiOである。ペロブスカイトはナノ結晶でもある。
【0038】
正孔阻止層20を設ける際に使用される非絶縁金属酸化物の種類にも関わらず、正孔阻止層20は10nmから150nmの厚さを有することができるが、正孔阻止層20のための他の厚さが企図されており、正孔阻止層20の厚さとして使用できる。
【0039】
本発明の正孔阻止層20は、上記したように、第一に金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子またはペロブスカイトから構成される溶液処理材料を調製することによって形成される。溶液処理材料の形成は、金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子またはペロブスカイトのコロイド分散液を調製することを含む。コロイド分散液は溶媒または溶媒の混合液を更に含む。用語「コロイド分散液」は、本発明において分散相(すなわち、金属酸化物またはペロブスカイト)および分散媒(すなわち、溶媒または溶媒の混合液)から構成される不均一系を示すために使用される。コロイド分散液では、1つの物質(すなわち、金属酸化物またはペロブスカイト)が分散媒(すなわち、溶媒または溶媒混合液)に微粒子として分散される。溶媒または溶媒の混合液は、したがって、分散するが溶解しない物質、金属酸化物またはペロブスカイトを含む。溶液処理材料を形成する際に使用できる溶媒の例には、例えばヘキサン、オクタン、ヘプタン、デカン、クロロホルムまたはトルエンを含む有機溶媒を含むが、これらに限定されない。1つの例では、溶液処理材料を提供する際に使用される溶液はヘキサンおよびオクタンの溶媒混合液を含む。
【0040】
ナノ結晶/ナノ粒子またはペロブスカイトおよび溶媒または溶媒の混合液のコロイド分散液の調製は、ナノ結晶/ナノ粒子またはペロブスカイトおよび溶媒または溶媒の混合液を、任意の順に加えることを含む。金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子は、当業者に周知の技術によって調製できる。付加ステップに続いて、金属酸化物ナノ結晶/ナノ粒子またはペロブスカイトおよび溶媒が、コロイド分散液の調製を容易にする条件下で混合される。
【0041】
溶液処理材料を調製した後に、溶液処理材料は、アモルファスセレン固体光導電膜16の表面上に、セレンに関する結晶化開始温度未満の温度で堆積される。「セレンに関する結晶化開始温度未満の温度」によって、アモルファスセレン固体光導電膜16の下層が、アモルファスセレン固体光導電膜16の表面上においてもアモルファスセレン固体光導電膜16のバルク内においても、結晶化を受けない温度、例えば80℃以下が意味される。したがって、アモルファスセレン固体光導電膜16は、正孔阻止層20を設ける溶液処理材料の堆積後に完全にアモルファスのままである。1つの実施形態において、正孔阻止層20を設ける溶液処理材料の堆積は60℃以下の温度で行われる。更に別の実施形態において、正孔阻止層20を設ける溶液処理材料の堆積は公称室温(すなわち、20℃から30℃の温度)で行われる。
【0042】
正孔阻止層20を設ける溶液処理材料の堆積は、スプレーコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ドクターブレーディング、ロールツーロール印刷、浸漬コーティング、スクリーン印刷、ドロップキャスティング、刷毛塗り、スタンプ印刷、ゾーンキャスティング、ホローペンライティング、スロットダイコーティングまたは溶液剪断を含むが、これに限定されない任意の周知の堆積技術を含むことができる。
【0043】
本発明の一部の実施形態において、堆積された溶液処理材料に配位子交換プロセスが行われて正孔阻止層20を設けることができる。配位子交換プロセスは、合成および堆積中に使用されるネイティブ配位子を、新たな有機および無機配位子と置換することを含んでおり、典型的には、必ずしも常にではなく、新たな有機および無機配位子はコンパクトな短鎖配位子である。この配位子交換プロセスは、堆積前でも後でも行うことができる。典型的な短鎖配位子は、エタンジチオール、エチレンアミン、ピリジン、ヒドラジンなどの有機的でも、硫化物、水酸化物、セレン化物、テルル化物、チオシアネート、水硫化物等などの無機配位子でもあることができる。
【0044】
第2の電極22は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)を含む任意の透明導電材料から構成できる。第2の電極22を設ける透明導電材料は、第1の電極12を設ける透明導電材料と組成的に同じである、または組成的に異なることができる。1つの実施形態において、第1の電極12も第2の電極も酸化インジウムスズから構成される。一部の実施形態(図示せず)において、第2の電極22は正孔阻止層20の全体上に存在できる。他の実施形態において、かつ図1に描写されるように、第2の電極22は正孔阻止層20の一部分上に存在する。一部の実施形態において、第2の電極22は、正孔阻止層20と直接物理的に接触し、したがってそれと材料界面を形成できる。第2の電極22は10nmから1000nmの厚さを有することができるが、第2の電極22のための他の厚さが企図されており、第2の電極22の厚さとして使用できる。第2の電極22は、当業者に周知の技術を活用して形成できる。例えば、第2の電極22は、例えば物理気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)またはメッキなどの堆積プロセスを活用して形成できる。一部の実施形態において、第2の電極22を設ける透明導電材料の堆積後に、例えばフォトリソグラフィなどのパターニングプロセスが続くことができる。
【0045】
以下の実施例は、本発明の一部の態様を例示するために提供される。本発明は、しかしながら以下の実施例によって限定されない。
【0046】
[実施例I]
異なる正孔阻止層を含むアモルファスセレン(a-Se)光電子増倍管。
【0047】
この実施例では、異なる正孔阻止層を含む様々な垂直a-Se光電子増倍管に対して電界および実効量子効率が調査された。特に、様々な垂直a-Se光電子増倍管は、光導電膜16としてアモルファスセレン、下記に定義する異なる正孔阻止層20、および酸化インジウムスズ第2の電極22を含んだ。
【0048】
異なる正孔阻止層20には、図2A(本発明のものでない)に関して100nm SiO正孔阻止層(k=4)、図2Bに関して、本発明のものであり、100nm CeO量子ドット正孔阻止層(k=28)、図2Cに関して、本発明のものであり、100nm SrTiO正孔阻止層(k=300)を含んでおり、k=εに留意のこと。SiO正孔阻止層がスパッタリングによって堆積された一方で、CeO量子ドット正孔阻止層およびSrTiO正孔阻止層は、第一に溶液処理材料を設け、次いでセレンに関する結晶化開始温度未満の温度で溶液処理材料を堆積させることによって準備された。
【0049】
ここで図2A図2Bおよび図2Cを参照すると、様々なa-Se光電子増倍管内の電界プロットが図示される。全ての場合に、バルク内部の電界が100V/μmであることに留意されたい。図2Aに図示されるように、SiO正孔阻止層を使用すると電界ホットスポットが存在した。図2Bにおいて、CeO正孔阻止層を使用すると電界ホットスポットが存在したが、SiO正孔阻止層を使用するよりも小規模である。例えば、CeO正孔阻止層を使用すると、電極/酸化物および酸化物/a-Se界面の付近の電界は、それぞれ300V/μmおよび200V/μmに達し、バルクは僅か100V/μmでバイアスされる。図2Cに図示されるように、SrTiO正孔阻止層を使用すると電界ホットスポットは完全に消去される。
【0050】
ここで図3を参照すると、電界ホットスポットの存在のためアバランシェ利得が厳しく制限される様々なa-Se光電子増倍管の実効量子効率が図示される。しかしながら、SrTiO正孔阻止層を使用して10の高利得が達成された。
【0051】
[実施例II]
正孔阻止層として溶液処理されたCeO量子ドットを使用した調査。
【0052】
この実施例では、3.77eVの大バンドギャップを有する溶液処理されたCeO量子ドット層がa-Se光導電体上方に表面またはバルク結晶化なしで室温で堆積された。図4Aは、p-i-n構造の概略ならびにp-i-nおよびITO電極層を示す製造されたプロトタイプの横断集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB-SEM)を表す。7~9mmの励起子ボーア半径未満の粒径で、CeO量子ドットは量子閉込め効果およびサイズ可変バンドギャップを呈し、正孔ポテンシャル障壁を2.8eVを越えて更に増加させる。以前に報告されたCeO量子ドット合成の多くが高温か焼(500℃~600℃)を要し、結果として不定比CeOに至り、かつ形態不安定および無制御凝集の傾向があった。ここで、かつこの実施例では、14nmから5.3nmまで量子閉込め法で配位子によって表面不活性化される実質的に定比の非凝集CeO量子ドットを得る容易なコロイド手法により、それぞれ3.66eVから3.77eVに及ぶ範囲のバンドギャップを実証する。Runnerstrom他によって「Colloidal Nanocrystals Films Reveal the Mechanism for Intermediate Room Temperature Proton Conductivity in Porous Ceramics」、J. Phys. Chem. C208、122、13624~13635という名称で提案された高温分解手法を使用してコロイドCeO量子ドットが合成された。
【0053】
図4Bは、平均粒径が5.3±0.7nm(図4C)のかなり単分散の量子ドットの集合の透過電子顕微鏡(TEM)画像を示す。図4Cの挿入図は、立方蛍石の(111)面に対応する、格子縞から測定される0.316nm面間隔の単一のCeO量子ドットの高分解能TEM顕微鏡写真を示す。
【0054】
バルクCeO量子ドット正孔阻止層を持つa-Seアバランシェ光検出器内の光相互作用のより鮮明な物理像を確立するためにSILVACO TCAD(ATLASバージョン5.25.1.R)を使用してデバイスレベルシミュレーションが行われた。図4Dは、アバランシェ閾値電圧(≒80V/μm)が越えられた後に輸送が局在から拡張状態に移り、正孔誘起アバランシェ利得となる、異なる電界における検出器構造に対するシミュレーションエネルギーバンド図を示す。
【0055】
図5Aに図示されるCeO量子ドットの粉末X線回折パターンが、幅広いピークの原因となるシェラー広がりを持つCeOの立方蛍石型構造のそれに一致する。平均粒子径が5.3nmから14nmに増加するにつれて、回折ピークは予想通りに鋭くなる。CeOの酸化状態および定比性を解明するために、X線光電子分光法(XPS)を使用してCe3d発光スペクトルが研究された(Ce4+とCe3+両方の共存を図5Bが図示する。Ce3+およびCe4+のピークが互いにほぼ重複するので、図5Bにおけるスペクトルはデコンボリューションされ、そのためCe3+の濃度は、他の方法を通じて合成されたCeO量子ドットの以前に報告された値よりほぼ10%~20%低い、18.5%の非自明な値であると推定された。結晶内の大量のCe3+が酸素空孔に至り、そのため量子ドットに欠陥状態を引き起こす。本発明のコロイド手法では、配位子は、コロイド安定性を提供するためにも欠陥を不活性化するためにも使用される。その上、これらの界面活性剤は、最大価電子帯におけるエネルギー準位シフトに関与する量子ドット-配位子界面双極子を誘発でき、したがって潜在的に正孔障壁を更に一層増加させる。
【0056】
合成されたままのCeO量子ドットのバンドギャップがUV-Vis-NIR吸収スペクトル(図5C)を通じて測定された。四塩化炭素に分散された量子ドットの吸収スペクトルは、バンドエッジにおいて明瞭な吸収ピークを呈しなかった。そのためバンドギャップは、量子ドットのサイズが14nmから5.3nmに減少するにつれて、光学直接バンドギャップが量子閉込め効果から予想通りに3.66eVから3.77eV(図5Dおよび図5E)に増加することを実証したTaucプロットを使用して実験データから計算された。
【0057】
この手法において合成されたままの量子ドットのコロイド分散性が配位子によって強化されたので、デバイスは、インクジェット印刷またはスピンコーティングなどの安価な堆積技術を使用して室温で製造できる。バンドギャップ7が3.77eVの5.3nm CeO量子ドットは、室温で110nm SiOのa-Se基板にスピンコートされ、40nmおよび150nm厚のCeO量子ドット層を達成した。
【0058】
本発明によるコロイド手法から堆積される薄い量子ドット膜の品質は、「Strong Quantum Confinement Effect In Nanocrystalline cerium oxide」、Mater. Lett. 2011、65、2635~2638という名称のArul他の手順に従ってカスタムメイドのCeO量子ドットを使用して沈殿法と比較された。配位子を持つコロイド状に合成されたCeO量子ドットは、量子ドットの微小割れ、空隙および集合のない均一な堆積を達成し、薄膜製造のためのより良好なコロイド分散液を達成する際の適切な界面活性剤の重要性を明らかに強調した。
【0059】
長鎖配位子を持つ合成されたままのCeO量子ドットは、堆積された薄膜内の短鎖NHSCN配位子と交換されて真の固体デバイス上の量子ドット中の電子結合を増加させ、配位子交換はフーリエ変換-赤外分光法(FT-IR)を使用して追跡された。NHSCNに対応する配位子交換後の2048cm-1における明瞭なピークの出現は、配位子交換のほぼ88%が生じたことを示す。本発明の溶液処理がa-Se上で結晶化を開始しなかったとXRDから結論された。
【0060】
図6Aは、広範な印加電場Eにわたる150nm厚のCeO量子ドットベースのp-i-nデバイスの測定された暗電流密度過渡変化を図示する。各場合に、過渡変化は、25分後に定常状態(点線)に達するまで2項指数(実線)とフィットした。暗電流の急速な初期低下は、注入されたキャリアが正孔阻止層内にトラップされて、界面における実効Eを低下させるためである一方で、定常状態平衡への第2の段階的な減衰はバルク空間電荷のデトラッピングのためである。
【0061】
図6Bは、1分(点線)および30分(実線)時点でのEの関数としての本発明によるデバイス(40nm緑および150nm青)の測定された暗電流密度を図示し、過渡および定常状態暗電流を比較する。サブアバランシェ電界(E<70V/μm)では、150nm CeO量子ドット層を持つ本発明によるデバイスの定常状態暗電流が30pA/cm未満に落ちつくと見られた。アバランシェ利得のために必要とされる高電界では、暗電流は極めて低いと測定され、E=88V/μmでほぼ50pA/cmに達した。
【0062】
図6Bは、「Excess Noise in Amorphous Selenium Avalanche Photodiodes」、Appl. Phys.、Part 2 1991、30、L1071~L1074という名称のOhshima他および「Investigation of Hole-Blocking Contacts for High-Conversion-Gain Amorphous Selenium Detectors for X-Ray Imaging」、IEEE Trans.、Electron Devices 2021、59、2403~2409という名称のAbbaszadeh他から適合された、n-i-pシーケンスで製造された固体a-Seアバランシェデバイスに対する暗電流密度も比較する。各場合に、アバランシェの発生後(E>70V/μm)の測定された定常状態暗電流は、固体n-i-p a-Seアバランシェデバイスより少なくとも2桁低かった。追加的に、ほぼ10の利得を達成することが可能な真空HARP撮像管からの暗電流値も適合されて、比較のために含まれる。真空HARPデバイスに関して低電界データが入手可能でないが、「Avalanche-type High Sensitive Image Pickup Tube using an a-Se photoconductive target」、Jpn. J. Appl. Phys. 2003、42、L209~L211という名称のPark他と同一の衝突電離曲線を活用して結果が延長され(破線)、本発明によるデバイスで類似の利得に達すれば、高電界における感度の有意な潜在的改善を示す。図6Bに図示される適合されたn-i-p HARP結果の各々は、高温真空堆積を介して堆積されたCeO正孔阻止層を活用した。n-i-pデバイスに活用されるCeO膜は、p-i-n製造シーケンスと非互換であり、酸素空孔のため欠陥準位を持ち、かつ一般に膜厚増加の関数として性能悪化を呈する。本発明によるp-i-nデバイスの実験結果は、クラス最高の固体垂直デバイスより300%を超える改善かつ真空デバイスにさえほぼ200%勝る改善により、アバランシェ電界において最も低く報告された暗電流密度を示した。
【0063】
バルクCeOと異なり、図6Bによって提供される結果は、CeO膜厚増加と共に暗電流の実質的な減少を示しており、以下の可能性として仮定できる:(i)コロイド合成法が、XPSスペクトルにおいて比較的低強度Ce3+ピークから示される表面において少数のCeO量子ドットに専ら離散的な局在欠陥準位を引き起こす。この結果は、量子ドット内の「固有」欠陥の形成エネルギーが典型的にはバルクにおけるよりはるかに大きく、したがって欠陥の形成を抑制するという事実と一致し、(ii)薄膜内の疎な孤立欠陥の存在は、膜の厚さを増加させてさえ、互いと強く相互作用せず、かつバンドギャップ内に連続欠陥バンドを形成しない。これらの量子ドット内の欠陥の大部分は表面に追いやられ、各量子は欠陥準位を(仮にあるとしても)ランダムなエネルギー状態で有し、コヒーレントバンドよりもむしろ極めて低い状態密度のエネルギー状態のランダム分散を発生させる。(iii)チオシアン酸アンモニウム配位子が、供与結合を通して酸素空孔からもたらされる表面欠陥状態を潜在的に不活性化し得る。しかしながら、暗電流の有意な減少は、正孔阻止層としての低温溶液処理された量子ドットの潜在的用途を明らかに約束する。
【0064】
図6Cは、40nm(緑)および150nm(青)CeO量子ドット正孔阻止層が、それぞれ50および7のアバランシェ利得を達成するデバイスの光応答を図示する。図6Cの挿入図は、Eの関数として各サンプルの光応答を測定するために使用される光学飛行時間(TOF)光伝導実験を概略的に表す。実効量子効率η*は広範な電界(E=6-100V/μm)にわたって測定された。サブアバランシェ電界では、光発生効率が対再結合によって制限されるが、しかしながらEが増加するにつれて、電子正孔対がより効率的に引き離されるので再結合の可能性は減少し、全体的に安定状態に達するまでη*を増加させ、オンサーガー解離モデルに従う。一旦アバランシェ閾値が越えられると、正孔のドリフト機構が局在トラップ制限移動度から拡張状態帯状輸送に移るにつれてη*は急増して、正孔を衝突電離させ、これにより追加のEHPを解放し、したがって信号電流を増幅する。電気破壊前の最大印加電界(E≒120V/μm)は結果として≒50のアバランシェ利得に至った。
【0065】
結論として、この実施例は、正孔阻止層としての低温溶液処理された量子ドットの使用がp-i-nアバランシェa-Se検出器の性能を実質的に改善し、かつ従来のPMTの挙動に類似する固体光電子増倍管を開発する長年にわたる探求を終わらせることができることを実証する。
【0066】
CeO量子ドットの合成
全ての化学物質が浄化なしで購入されたまま使用された。Runnerstrom他によって提案された改良手順を使用して5.3nm CeOコロイド量子ドット(QD)が合成された(J. Phys. Chem. C208、122、13624~13635を参照されたい)。典型的な合成では、8mlのオレイルアミンおよび5mlの1-オクタデセンが868.4mgのCe(NOに加えられた。室温で250ml丸底三つ口フラスコに6HO。温度が次いで80℃に上げられて30分間一定に保たれ、反応混合物を均質化した。その後、温度が再び250℃に上げられて2時間維持された結果として、前駆体の分解および核形成および量子ドットの成長に至った。上記プロセス中に、栓に針で穴をあけ、Ce(NOの分解中の二酸化窒素(NO)ガスの放出によりフラスコの過圧を回避した。2時間後、コロイド安定性を改善しかつ凝集を最小化するために一般的な界面活性剤オレイン酸(典型的には反応混合物の約1体積%)が加えられた。反応混合物は次いで更に5分間250℃で焼なまされ、次いで室温に空冷された。得られた反応混合物に抗溶剤としてエタノールが加えられ、量子ドットを砕くために8500rpmで5分間遠心処理した。収集された量子ドットは5mlのヘキサンに分散され、その後オレイン酸(混合物の約10体積%)が加えられて一晩撹拌された。浄化のプロセスは、エタノールおよびヘキサン中の再分散を使用して3回繰り返された。合成されたままの量子ドットがヘキサンおよびオクタンの8:2溶媒比に分散され、薄膜製造に更に使用するための30mg/mlおよび50mg/mlコロイド分散液を形成した。量子閉込めの効果を研究するために、Runnerstrom他による手順に従って大サイズのCeOコロイド量子ドット(約14nm)が合成された(J. Phys. Chem. C208、122、13624~13635を参照されたい)。40mgのオクタデシルアミン、4.9mlのオレイルアミンおよび5mlのオクタデセンが窒素流の下で250ml丸底三つ口フラスコに加えられ、70℃に加熱されてオクタデシルアミンを溶融させた。上記の反応混合物に4342.4mgのCe(NO.6HOおよび0.725mlの脱イオン水が加えられた。混合物は175°に加熱され、次いで30分間焼なまされて均質性を達成し、それに続いて温度が230℃に上げられた。230℃で2分後に大量のNOの放出が蒸発して反応の完了を示唆する。得られた溶液はその後空冷された。フラスコの過圧を回避するために、前述したように、栓に針で穴をあけた。収集されたコロイド溶液は、5.3nm CeO量子ドットに関して利用されたプロセスと類似して、エタノールおよびヘキサンで洗浄された。
【0067】
デバイス製造
各アバランシェデバイスは、n2.5×2.5inITO被覆ガラス基板に開発されたp-i-n製造プロセスを活用した。p-i層は高真空下でITO被覆ガラス上へ直接堆積された。p層は2μm熱蒸着無機電子阻止層から成り、続いて安定化されたガラス状セレンペレットの熱蒸着により、15μm a-Se i層を形成する。パッシベートバッファ層としてa-Se表面にわたって低温スパッタSiO(Hionix Inc.によって提供される)の110nm膜が堆積された。上記した溶液合成CeO量子ドットが室温でスピンコートされてn層を形成した。CeO量子ドットの30mg/ml分散液が2000rpmで45秒間スピンコートされ、類似して50mg/ml分散液が1700rpmで45秒間スピンコートされた。組み合わされたCeO量子ドット膜は、アセトン中のチオシアン酸アンモニウム(NHSCN)の130mM(1%w/v)溶液と交換される配位子であり、続いてCeOと同じスピンパラメータでの純アセトンのスピンコーティングにより、非結合NHSCNを除去した。
【0068】
CeO量子ドットの薄膜堆積および配位子交換は、所望厚を達成するために2回繰り返された。透明ITO高電圧電極がシャドーマスクによってパターニングされ、酸素支援電子ビーム堆積を介して堆積された。ITOベースの読取りおよび高電圧電極へのワイヤボンディングの完了に続いて、デバイス全体がパリレンで封止され、上面の高電圧効果を防止した。
【0069】
光伝導測定
各測定のため、アバランシェa-Seデバイスの上電極を正にバイアスするためにCAEN N1471Aプログラマブル高圧電源が使用された。時間(I-t)および電圧(I-V)依存暗電流特性がKeithley 6514電位計で測定された。Tektronix AFG3021B関数発生器によって駆動される、170ns FWHMの450nmパルスLED源を使用して光学TOF過渡実験を通して電荷輸送特性およびアバランシェ利得が測定された。誘導光電流はTektronix TDS7104デジタルオシロスコープによって捕えられた。高電界におけるデバイス故障から保護するためにTektronix P6245アクティブプローブが活用された。アバランシェ利得の全ての光電流測定のため、a-Seデバイスは、遮光の接地した金属ボックスに装着された。
【0070】
本発明が特にその好適な実施形態に関して図示および記載されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細の上記および他の変化がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。それゆえに、本出願が記載および例示された厳密な形態および詳細に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲内に収まることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
10 基板
12 第1の電極
14 電子阻止層
16 アモルファスセレン固体光導電膜
18 パッシベーションバッファ層
20 正孔阻止層
22 第2の電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】