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特表2022-548273再循環式高圧脂質(HPL)抽出器、注入器、及び結合器、並びにそのシステム、並びにその使用の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】再循環式高圧脂質(HPL)抽出器、注入器、及び結合器、並びにそのシステム、並びにその使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C11B 1/10 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
C11B1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516705
(86)(22)【出願日】2020-08-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020044677
(87)【国際公開番号】W WO2021050175
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/899,842
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/881,478
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522101999
【氏名又は名称】ハルシオン ホールディングス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラファーティー、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】パリ―ロ、ナタリア
【テーマコード(参考)】
4H059
【Fターム(参考)】
4H059BC03
4H059BC13
4H059BC23
4H059CA72
4H059CA73
4H059CA93
4H059DA22
(57)【要約】
再循環式高圧脂質抽出器は、流体混合物を加圧及び加熱するように構成されている封止された内部を有するケトルを含む。下側部分には流れファンネルが配置されている。上側セクションにおいて、流れファンネルの上には、着脱可能な材料バスケットが配置されている。着脱可能な材料バスケットは、材料を着脱可能な材料バスケットの内側に保持するように構成されている。ケトルの封止された内部と連通しているケトルの底部に、排出及び導入ポートがある。ケトルの封止された内部と連通しているケトルの頂部の近傍に、再循環ポートがある。この場合、再循環式高圧脂質抽出器は、流体混合物がケトル内に導入されると、流体混合物を加圧及び加熱し、加圧及び加熱された流体混合物を再循環ポートから排出及び導入ポート内へと再循環させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再循環式高圧脂質抽出器であって、
封止された内部にある流体混合物を加圧及び加熱するように構成されている、前記封止された内部を有するケトルと、
前記ケトルの前記封止された内部の下側部分に配置されている流れファンネルと、
前記ケトルの前記封止された内部における上側セクションにおいて前記流れファンネルの上に配置されている、着脱可能な材料バスケットであって、処理すべき材料を、前記ケトルの前記封止された内部の前記上側セクションにある前記着脱可能な材料バスケットの流通内部の内側に保持するように構成されている、着脱可能な材料バスケットと、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している前記ケトルの底部にある排出及び導入ポートと、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している前記ケトルの頂部の近傍にある再循環ポートと
を備え、
前記流体混合物が前記ケトルの前記封止された内部内に導入されるとき、前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記流体混合物を加圧及び加熱し、前記加圧及び加熱された流体混合物を前記ケトルの前記頂部の近傍にある前記再循環ポートから前記ケトルの前記底部にある前記排出及び導入ポート内へと再循環させるように構成されており、前記加圧及び加熱された流体混合物は、前記流れファンネルを通って前記着脱可能な材料バスケット内へと流れ、その中に配置されている前記処理すべき材料を通り、前記再循環ポートの外へと戻る、再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項2】
前記流体混合物は、水と脂肪とを含み、
前記着脱可能な材料バスケット内の前記材料は、脂質を含む脂溶性植物物質であり、
前記加圧及び加熱された流体混合物が前記ケトルを通して再循環され、前記脂溶性植物物質が前記着脱可能な材料バスケット内にあるときに、前記着脱可能な材料バスケット内の前記脂溶性植物物質からの前記脂質に対して、前記流体混合物中の前記脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われ、
前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成されている、
請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項3】
前記流体混合物の前記脂肪は、中鎖トリグリセリド油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、又はこれらの組合せを含み、
前記脂溶性植物物質は、大麻、又はラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、柑橘類抽出物、若しくはミント抽出物を含む他の植物抽出物、或いはこれらの組合せを含み、
溶媒又は化学物質を用いない前記自然的な抽出、注入、及び結合は、前記大麻、前記他の植物抽出物、又はこれらの組合せを自然的に抽出、注入、及び結合するように構成されており、
前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記流体混合物中の前記脂肪が再循環する際にこれを加熱及び冷却して、テルペン、フラボノイド、及び他のカンナビノイドの分解を低減させるように構成されており、前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記大麻、大麻抽出物、大麻抽出物を結合した脂肪、又はこれらの組合せを脱炭酸化するように構成されている、
請求項2に記載の再循環式高圧脂質抽出器、注入器、及び結合器。
【請求項4】
前記ケトルは、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、又は103.42kPa~344.73kPa(15ps~50psi)の圧力で動作するように構成されている、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項5】
前記ケトルは、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、及び103.42kPa~241.31kPa(15psi~35psi)の圧力で又は275.79kPa~310.26kPa(40psi~45psi)の圧力で動作するように構成されている、請求項4に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項6】
前記ケトルの前記頂部の近傍にある前記再循環ポートと前記ケトルの前記底部にある前記排出及び導入ポートとの間に接続されている再循環ポンプを更に含み、前記再循環ポンプは、前記ケトル内の前記流体混合物の圧力及び再循環量を増大させるように構成されている、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項7】
前記再循環ポンプは、定格ケースが501bで(case rated at 501b)ある、請求項6に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項8】
前記ケトルは、
移動可能となるように構成されている、
ステンレス鋼材で製作されている、
3.785リットル(1ガロン)から18,925リットル(5000ガロン)まででスケーリングされるように構成されている、又は
これらの組合せである、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項9】
前記ケトルは、前記ケトルの前記封止された内部にある前記流体混合物を加熱するように構成されている蒸気ジャケットを含み、前記ケトルの前記蒸気ジャケットは、
前記ケトルの前記蒸気ジャケット内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの供給ポートと、
前記ケトルの前記蒸気ジャケットから出る前記蒸気を戻すための少なくとも1つの戻りポートと
を含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項10】
前記ケトルの前記蒸気ジャケットは、
前記ケトルの前記封止された内部の前記上側セクションにおいて前記着脱可能な材料バスケットの周囲にある上側蒸気ジャケットであって、
前記ケトルの前記上側蒸気ジャケット内に前記蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの上側供給ポート、及び
前記ケトルの前記上側蒸気ジャケットから出る前記蒸気を戻すための少なくとも1つの上側戻りポート
を含む、上側蒸気ジャケットと、
前記ケトルの前記封止された内部の前記下側部分において前記流れファンネルの周囲にある下側蒸気ジャケットであって、
前記ケトルの前記下側蒸気ジャケット内に前記蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの下側供給ポート、及び
前記ケトルの前記下側蒸気ジャケットから出る前記蒸気を戻すための少なくとも1つの下側戻りポート
を含む、下側蒸気ジャケットと、
前記封止された内部の前記上側セクション及び下側部分における前記ケトルの内側の温度を感知するように構成されている温度センサ・ポートであって、前記ケトルの内側にある前記流体混合物の前記温度を調節するために、前記ケトルの前記蒸気ジャケットと連通するように構成され得る、温度センサ・ポートと
を含む、請求項9に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項11】
前記流体混合物を、これを前記ケトルの前記封止された内部を通して加圧し、加熱し、再循環させた後で冷却するように構成されている、冷却コイルを更に含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項12】
前記着脱可能な材料バスケットは、
前記着脱可能な材料バスケットの底部部分の周囲にある複数の穴と、
前記ケトルの前記封止された内部から前記着脱可能な材料バスケットを持ち上げて出すように構成されている持ち上げフックを含む、前記着脱可能な材料バスケットの頂部にあるミクロン・サイズの穴を有する着脱可能な蓋と、
前記着脱可能な材料バスケットから前記材料を取り出すために開くように構成されている両開き落とし戸の底部と
を含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項13】
前記ケトルの前記封止された内部は、前記流れファンネルの上に前記着脱可能な材料バスケットを保持するように構成されている棚部を含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項14】
前記再循環ポートは、前記着脱可能な材料バスケットの挿入及び取り出しのために取り外されるように構成されている着脱可能な戻しアームを含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項15】
着脱可能なステンレス鋼製の蓋であって、前記ケトルの前記封止された内部を、前記蓋を前記ケトルの前記封止された内部に封止するように構成されている、二重Oリング・シール及び据付けロッド付きのちょう型据付けボルトを含む封止フランジで封止するように構成されている、着脱可能なステンレス鋼製の蓋、
前記ケトルを持ち上げこのことにより前記再循環式高圧脂質抽出器が移動可能になるように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある持ち上げポイント、
前記ケトルの前記封止された内部のある閾値を超える圧力を解放するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある圧力解放弁、
前記ケトルの前記封止された内部を通気するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある通気弁、
前記ケトルの前記封止された内部を洗浄するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある定置洗浄ポート、
前記流体混合物を前記ケトルの前記封止された内部に導入するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある液体投入ポート、
前記ケトルの前記封止された内部の前記圧力を感知するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある圧力センサ・ポート、
前記流体混合物中の脂肪に抽出された、注入された、結合された、若しくはこれらの組合せである脂質をサンプリングするように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にあるサンプル完成製品ポート、又は、
これらの組合せ、
を更に含む、請求項1に記載の再循環式高圧脂質抽出器。
【請求項16】
脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムであって、
材料から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物を介して抽出、注入、及び結合するように構成されている、再循環式高圧脂質抽出器と、
前記加圧及び加熱された流体混合物を前記再循環式高圧脂質抽出器を通して再循環させるように構成されている再循環ポンプと、
前記再循環式高圧脂質抽出器を加熱するように構成されている加熱器と、
抽出、注入、及び結合された脂質を有する前記流体混合物を保持し冷やすように構成されている保持タンクと、
前記保持タンク内の抽出、注入、及び結合された脂質を有する前記流体混合物を冷やすように構成されている冷却器と、
前記システムの適切な動作、温度、圧力範囲、処理タイミング、材料流量、又はこれらの組合せのための制御を提供するように構成されている制御パネルと、
を備える、脂質抽出、注入、及び結合のためのシステム。
【請求項17】
前記再循環式高圧脂質抽出器は、
封止された内部にある流体混合物を加圧及び加熱するように構成されている、前記封止された内部を有するケトルであって、前記ケトルは、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で又は103.42kPa~344.73kPa(15ps~50psi)の圧力で動作するように構成されており、前記ケトルは、前記ケトルの前記封止された内部にある前記流体混合物を加熱するように構成されている蒸気ジャケットを含み、前記ケトルの前記蒸気ジャケットは、
前記ケトルの前記蒸気ジャケット内に前記蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの供給ポート、及び
前記ケトルの前記蒸気ジャケットから出る前記蒸気を戻すための少なくとも1つの戻りポート
を含む、ケトルと、
前記ケトルの前記封止された内部の下側部分に配置されている流れファンネルと、
前記ケトルの前記封止された内部における上側セクションにおいて前記流れファンネルの上に配置されている、着脱可能な材料バスケットであって、前記着脱可能な材料バスケットは、材料を、前記ケトルの前記封止された内部の前記上側セクションにある前記着脱可能な材料バスケットの流通内部の内側に保持するように構成されており、前記着脱可能な材料バスケットは、
前記着脱可能な材料バスケットの底部部分の周囲にある複数の穴、
前記ケトルの前記封止された内部から前記着脱可能な材料バスケットを持ち上げて出すように構成されている持ち上げフックを含む、前記着脱可能な材料バスケットの頂部にあるミクロン・サイズの穴を有する着脱可能な蓋、及び
前記着脱可能な材料バスケットから材料を取り出すために開くように構成されている両開き落とし戸の底部
を含む、着脱可能な材料バスケットと
を備え、
前記ケトルの前記封止された内部は、前記流れファンネルの上に前記着脱可能な材料バスケットを保持するように構成されている棚部を含み、前記再循環式高圧脂質抽出器は更に、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している前記ケトルの底部にある排出及び導入ポートと、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している、前記ケトルの頂部の近傍にある再循環ポートであって、前記着脱可能な材料バスケットの挿入及び取り出しのために取り外されるように構成されている着脱可能な戻しアームを含む、再循環ポートと
を備え、
前記再循環ポンプは、前記ケトルの前記頂部の近傍にある前記再循環ポートと前記ケトルの前記底部にある前記排出及び導入ポートとの間に接続されており、前記再循環ポンプは、前記ケトル内の前記流体混合物の圧力及び再循環量を増大させるように構成されており、前記再循環式高圧脂質抽出器はまた更に、
着脱可能なステンレス鋼製の蓋であって、前記ケトルの前記封止された内部を、前記蓋を前記ケトルの前記封止された内部に封止するように構成されている、二重Oリング・シール及び据付けロッド付きのちょう型据付けボルトを含む封止フランジで封止するように構成されている、着脱可能なステンレス鋼製の蓋と、
前記ケトルを持ち上げこのことにより前記再循環式高圧脂質抽出器が移動可能になるように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある持ち上げポイントと、
前記ケトルの前記封止された内部のある閾値を超える圧力を解放するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある圧力解放弁と、
前記ケトルの前記封止された内部を通気するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある通気弁と、
前記ケトルの前記封止された内部を洗浄するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある定置洗浄ポートと、
前記流体混合物を前記ケトルの前記封止された内部に導入するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある液体投入ポートと、
前記ケトルの前記封止された内部の前記圧力を感知するように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある圧力センサ・ポートと、
前記流体混合物中の脂肪に抽出された、注入された、結合された、若しくはこれらの組合せである前記脂質をサンプリングするように構成されている、前記着脱可能なステンレス鋼製の蓋にあるサンプル完成製品ポートと
を備え、
前記流体混合物が前記ケトルの前記封止された内部に導入されると、前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記流体混合物を加圧及び加熱し、前記加圧及び加熱された流体混合物を前記ケトルの頂部の近傍にある前記再循環ポートから前記ケトルの前記底部にある前記排出及び導入ポート内へと再循環させるように構成されており、前記加圧及び加熱された流体混合物は、前記流れファンネルを通って前記着脱可能な材料バスケット内へと流れ、その中に配置されている前記材料を通り、前記再循環ポートの外へと戻り、
ただし、
前記流体混合物は、水と脂肪とを含み、
前記着脱可能な材料バスケット内の前記材料は、脂質を含む脂溶性植物物質であり、
前記加圧及び加熱された流体混合物が前記ケトルを通して再循環され、前記脂溶性植物物質が前記着脱可能な材料バスケット内にあるときに、前記着脱可能な材料バスケット内の前記脂溶性植物物質からの脂質に対して、前記流体混合物中の前記脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われ、
前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成されており、
前記流体混合物の前記脂肪は、中鎖トリグリセリド油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、又はこれらの組合せを含み、
前記脂溶性植物物質は、大麻、又はラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、柑橘類抽出物、若しくはミント抽出物を含む他の植物抽出物、或いはこれらの組合せを含み、
溶媒又は化学物質を用いない前記自然的な抽出、注入、及び結合は、前記大麻、前記他の植物抽出物、又はこれらの組合せを自然的に抽出、注入、及び結合するように構成されており、
前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記流体混合物中の前記脂肪が再循環する際にこれを加熱及び冷却して、テルペン、フラボノイド、及び他のカンナビノイドの分解を低減させるように構成されており、前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記大麻、大麻抽出物、大麻抽出物を結合した脂肪、又はこれらの組合せを脱炭酸化するように構成されている、請求項16に記載の脂質抽出、注入、及び結合のためのシステム。
【請求項18】
3つの前記再循環式高圧脂質抽出器と、
前記3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々に対して1つの再循環ポンプである、3つの再循環ポンプと、
3つの保持タンクと
を備え、
前記加熱器は、前記3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々を加熱するために、前記3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々の蒸気ジャケット内で蒸気を提供するように構成されている蒸気ボイラであり、
前記冷却器は、エタノールを循環させこれを45分かけて-40℃まで冷やすように構成されているチラー及びスクリュー・プレスであり、フィルタを通して圧送する前に前記脂肪及び脂質を懸濁液から落とすために、前記循環は更に15分間継続されることになり、前記システムは更に、
前記保持タンクを冷やすように構成されている、屋外に設置されているグリコール・チラー
を備える、請求項16に記載の脂質抽出、注入、及び結合のためのシステム。
【請求項19】
材料から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物を介して抽出、注入、及び結合するように構成されている、再循環式高圧脂質抽出器を提供することであって、前記再循環式高圧脂質抽出器は、
封止された内部にある流体混合物を加圧及び加熱するように構成されている、前記封止された内部を有するケトルと、
前記ケトルの前記封止された内部の下側部分に配置されている流れファンネルと、
前記ケトルの前記封止された内部における上側セクションにおいて前記流れファンネルの上に配置されている、着脱可能な材料バスケットであり、材料を、前記ケトルの前記封止された内部の前記上側セクションにある前記着脱可能な材料バスケットの流通内部の内側に保持するように構成されている、着脱可能な材料バスケットと、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している前記ケトルの底部にある排出及び導入ポートと、
前記ケトルの前記封止された内部と連通している前記ケトルの頂部の近傍にある再循環ポートと
を備える、提供することと、
前記ケトルから前記着脱可能な材料バスケットを取り出すことと、
前記材料を前記着脱可能な材料バスケット内に導入することと、
前記導入された材料を有する前記着脱可能な材料バスケットを前記ケトルの前記封止された内部に戻すことと、
前記ケトルを前記流体混合物で充填することと、
前記ケトルの前記封止された内部を封止することと、
前記ケトルを加熱し以って内圧を生じさせることと、
前記加熱及び加圧された流体混合物を前記流れファンネルを通して上向きに再循環させることであって、前記流体混合物は前記着脱可能な材料バスケット内へと移行し、前記着脱可能な材料バスケットの内側にある前記材料を通り、前記着脱可能な材料バスケットから出て、前記再循環ポート内に入り、前記排出及び導入ポート内に戻る、再循環させることと
を含み、
前記流体混合物が水及び脂肪を含み、前記着脱可能な材料バスケット内の前記材料が脂質を含む脂溶性植物物質である場合に、前記加圧及び加熱された流体混合物が前記ケトルを通して再循環され、前記脂溶性植物物質が前記着脱可能な材料バスケット内にあるときに、前記着脱可能な材料バスケット内の前記脂溶性植物物質からの脂質に対して、前記流体混合物中の前記脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われ、
前記再循環式高圧脂質抽出器は、前記脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成されている、
脂質抽出、注入、及び結合のための方法。
【請求項20】
前記ケトルを加熱し以って内圧を生じさせる前記ステップは、前記ケトルを約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)まで加熱して約103.42kPa~241.31kPa(15psi~35psi)の内圧を生じさせることを含み、
前記加熱及び加圧された流体混合物を再循環させる前記ステップは、前記ケトル内の前記流体混合物の圧力及び再循環量を増大させるように構成されている再循環ポンプを提供することを含み、
前記サイクルは、10分~120分までの範囲の所定量の時間の間継続することになり、
サイクルが完了すると、
水道水及びグリコールの両方によって冷やされるプレート熱交換器を通して前記流体混合物を圧送することによって前記流体混合物を冷却することと、
流体混合物を保持タンクへと圧送することと、
水を排出しこのことにより貯蔵容器に移送すべき前記結合済みの脂肪を残すことと、
適切な動作、温度、圧力範囲、処理を実現するように構成されている中央制御パネルを介して、前記脂質抽出、注入、及び結合を制御すること、
請求項19に記載の脂質抽出、注入、及び結合のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大麻及び他の植物抽出物の抽出及び結合の手段及び方法に関する。より詳細には、本開示は、溶媒又は化学物質を用いない大麻及び他の植物抽出物の抽出及び結合のための、再循環式高圧脂質(「HPL」:HIGH PRESSURE LIPID)抽出器、注入器(infuser)、及び/又は結合器(bonder)、並びにそのシステム、並びにその使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、生物学及び生化学において、脂質は非極性溶媒に可溶な生体高分子である。非極性溶媒は一般に、脂肪酸、ロウ、ステロール、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、及びKなど)、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、並びにリン脂質を含む、水に溶解しない(又は容易に溶解しない)他の天然に存在する炭化水素脂質分子を溶解させるために使用される炭化水素である。脂質の機能には、エネルギーの貯蔵、シグナリング、及び細胞膜の構造成分としての作用が含まれる。脂質には化粧品産業及び食品産業並びにナノテクノロジーでの用途がある。科学者によっては、脂質を疎水性又は両親媒性を有する小分子と定義する。用語「脂質」は脂肪の同義語として使用される場合もあるが、脂肪はトリグリセリドと呼ばれる脂質の下位グループである。脂質にはまた、脂肪酸並びにそれらの誘導体(トリ-、ジ-、モノグリセリド及びリン脂質を含む)、並びにコレステロールなどの他のステロール含有代謝産物といった分子も含まれる。ヒト及び他の哺乳類は、脂質の分解及び合成の両方のために様々な生合成経路を使用するが、一部の必須の脂質は、この方法では生成できず、食事から摂取しなければならない。
【0003】
脂質は水に不溶であり、通常は有機溶媒を使用して組織、細胞、又は流体から抽出される。脂質抽出の効率は、様々な脂質の有機相への区分け及び試料の脂質組成に依存する。最も一般に使用されている脂質抽出のための溶媒系は、既知の又は公開されている方法に基づく既知の又は標準的なプロトコルである。これらの及び他の溶媒系が、脂質抽出のために幅広い生化学的試料に通常的に適用されている。
【0004】
本開示では、脂質の抽出、注入、及び/又は結合プロセスのために溶媒又は化学物質を必要とする、それらの脂質抽出に一般に使用される溶媒系に伴う問題を認識した。これらの溶媒又は化学物質の使用は、抽出、注入、及び/又は結合中の脂質中にその溶媒又は化学物質が存在することにつながり、その結果、そのような一般に使用される溶媒系に関して非天然の生成物を生じさせる。更に、本開示では、より迅速且つより効率的な脂質抽出プロセスの必要性又は要望が認識されている。
【0005】
したがって、自然的であるか又は溶媒若しくは化学物質を必要とせず、脂質抽出のための既知の又は一般に使用される溶媒系よりも迅速且つ効率的な、脂質抽出のための手段、システム、及び/又は方法の必要性が存在する。
【0006】
本開示は、再循環式高圧脂質抽出器、注入器、及び結合器、並びにその使用の方法を提供することによって、上で検討した問題又は必要性の少なくとも一部の側面に対処するように設計され得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、再循環式高圧脂質抽出器、注入器、及び結合器、並びにその使用の方法を提供することによって、上述した現在利用可能な抽出、注入、及び/又は結合のデバイス及び方法の制約を解決する。開示されているデバイス、システム、又は方法は、大麻及び他の植物(すなわちラベンダー、ローズマリー、柑橘類、ミント、等)抽出物を抽出し、脂肪(すなわちMCT油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、等)に注入、及び/又は結合するように構成され得る。一般に、本明細書で開示されている再循環式高圧脂質抽出器は、ケトルを含む。ケトルは、封止された内部にある流体混合物を加圧及び加熱するように構成されている、封止された内部を有する。ケトルの封止された内部の下側部分には流れファンネルが配置されている。ケトルの封止された内部における上側セクションにおいて、流れファンネルの上に着脱可能な材料バスケットが配置されている。着脱可能な材料バスケットは、材料を、ケトルの封止された内部の上側セクションにある着脱可能な材料バスケットの流通内部の内側に保持するように構成されている。ケトルの底部に、ケトルの封止された内部と連通している排出及び導入ポートがある。ケトルの頂部の近傍に、ケトルの封止された内部と連通している再循環ポートがある。この場合、再循環式高圧脂質抽出器は、流体混合物がケトルの封止された内部に導入されると、流体混合物を加圧及び加熱し、加圧及び加熱された流体混合物をケトルの頂部の近傍にある再循環ポートからケトルの底部にある排出及び導入ポート内へと再循環させるように構成されており、加圧及び加熱された流体混合物は、流れファンネルを通って着脱可能な材料バスケット内へと流れ、その中に配置されている材料を通り、再循環ポートの外へと戻る。
【0008】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、流体混合物は、水と脂肪とを含むことができ、着脱可能な材料バスケット内の材料は、脂質を含む脂溶性植物物質である。加圧及び加熱された流体混合物がケトルを通して再循環され、脂溶性植物物質が着脱可能な材料バスケット内にあるときに、着脱可能な材料バスケット内の脂溶性植物物質からの脂質に、流体混合物中の脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われ得る。
【0009】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の1つの特徴は、再循環式高圧脂質抽出器が、脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成され得ることであり得る。
【0010】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、流体混合物の脂肪は、中鎖トリグリセリド油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、又はこれらの組合せを含み得、脂溶性植物物質は、大麻、又は、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、柑橘類抽出物、若しくはミント抽出物を含む他の植物抽出物、或いはこれらの組合せを含み得る。この場合、溶媒又は化学物質を用いない自然的抽出、注入、及び結合は、大麻、その他の植物抽出物、又はこれらの組合せを自然的に抽出、注入、及び結合するように構成される。
【0011】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の別の特徴は、再循環式高圧脂質抽出器が、流体混合物中の脂肪が再循環する際にこれを加熱及び冷却して、テルペン、フラボノイド、及び他のカンナビノイドの分解を低減させるように構成され得ることであり得る。
【0012】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の別の特徴は、再循環式高圧脂質抽出器が、大麻、大麻抽出物、大麻抽出物を結合した脂肪、又はこれらの組合せを脱炭酸化するように構成され得ることであり得る。
【0013】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、ケトルは、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、又は103.42kPa~344.73kPa(15ps~50psi)の圧力で動作するように構成され得る。選択された実施例では、ケトルは、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、及び103.42kPa~241.31kPa(15psi~35psi)の圧力で又は275.79kPa~310.26kPa(40psi~45psi)の圧力で動作するように構成され得る。
【0014】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、再循環ポンプが含まれてもよい。再循環ポンプは、ケトルの頂部の近傍にある再循環ポートと、ケトルの底部にある排出及び導入ポートとの間に接続され得る。この場合、再循環ポンプは、ケトル内の流体混合物の圧力及び再循環量を増大させるように構成され得る。選択された実施例では、実例として、再循環ポンプは定格ケースが501bで(case rated at 501b)あってもよい。
【0015】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の別の特徴は、ケトルが移動可能に構成されることであり得る。
【0016】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の別の特徴は、ケトルがステンレス鋼材で製作されることであり得る。
【0017】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の別の特徴は、ケトルが3.785リットル(1ガロン)から18,925リットル(5000ガロン)まででスケーリングされるように構成されることであり得る。
【0018】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、ケトルは蒸気ジャケットを含み得る。蒸気ジャケットは、ケトルの封止された内部にある流体混合物を加熱するように構成され得る。ケトルの蒸気ジャケットは、ケトルの蒸気ジャケット内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの供給ポートと、ケトルの蒸気ジャケットから出る蒸気を戻すための少なくとも1つの戻りポートと、を含み得る。選択された実施例では、ケトルの蒸気ジャケットは、上側蒸気ジャケットと下側蒸気ジャケットとを含み得る。上側蒸気ジャケットは、ケトルの封止された内部の上側セクションにおいて、着脱可能な材料バスケットの周囲に存在し得る。上側蒸気ジャケットは、ケトルの上側蒸気ジャケット内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの上側供給ポートと、ケトルの上側蒸気ジャケットから出る蒸気を戻すための少なくとも1つの上側戻りポートと、を含み得る。下側蒸気ジャケットは、ケトルの封止された内部の下側部分において、流れファンネルの周囲に存在し得る。下側蒸気ジャケットは、ケトルの下側蒸気ジャケット内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの下側供給ポートと、ケトルの下側蒸気ジャケットから出る蒸気を戻すための少なくとも1つの下側戻りポートと、を含み得る。選択された実施例では、ケトルの蒸気ジャケットと共に、温度センサ・ポートが含まれてもよい。温度センサ・ポートは、封止された内部の上側セクション及び下側部分におけるケトルの内側の温度を感知するように構成され得る。この場合、温度センサ・ポートは、ケトルの内側にある流体混合物の温度を調節するために、ケトルの蒸気ジャケットと連通するように構成され得る。
【0019】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、冷却コイルが含まれてもよい。冷却コイルは、流体混合物を、これをケトルの封止された内部を通して加圧、加熱、及び再循環させた後で冷却するように構成され得る。選択された実施例では、冷却コイルは、冷却コイル水イン・コネクタと冷却コイル水アウト・コネクタとを含み得る。
【0020】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、着脱可能な材料バスケットは、着脱可能な材料バスケットの底部部分の周囲にある複数の穴を含み得る。他の選択された実施例では、着脱可能な材料バスケットは、着脱可能な材料バスケットの頂部に、ミクロン・サイズの穴を有する着脱可能な蓋を含み得る。選択された実施例では、着脱可能な蓋は、ケトルの封止された内部から着脱可能な材料バスケットを持ち上げて出すように構成されている、持ち上げフックを含み得る。着脱可能な材料バスケットの選択された実施例では、着脱可能な材料バスケットから材料を取り出すために開くように構成されている、両開き落とし戸の底部(split trap door bottom)が含まれてもよい。
【0021】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、ケトルの封止された内部は棚部を含み得る。棚部は、流れファンネルの上に着脱可能な材料バスケットを保持するように構成され得る。
【0022】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、再循環ポートは着脱可能な戻しアームを含み得る。着脱可能な戻しアームは、着脱可能な材料バスケットの挿入及び取り出しのために取り出すように構成され得る。
【0023】
本明細書で開示されている開示された再循環式高圧脂質抽出器の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋が含まれてもよい。着脱可能なステンレス鋼製の蓋は、ケトルの封止された内部を、蓋をケトルの封止された内部に封止するように構成されている二重Oリング・シール及び据付けロッド付きのちょう型据付けボルトを含む封止フランジで封止するように構成され得る。選択された実施例では、ケトルを持ち上げこのことにより再循環式高圧脂質抽出器が移動可能になるように構成されている、着脱可能なステンレス鋼製の蓋にある持ち上げポイントが含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋に、ケトルの封止された内部のある閾値を超える圧力を解放するように構成されている、圧力解放弁が含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋には、ケトルの封止された内部を通気するように構成されている、通気弁が含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋には、ケトルの封止された内部を洗浄するように構成されている、定置洗浄ポートが含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋には、ケトルの封止された内部内に流体混合物を導入するように構成されている、液体投入ポートが含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋には、ケトルの封止された内部の圧力を感知するように構成されている、圧力センサ・ポートが含まれてもよい。他の選択された実施例では、着脱可能なステンレス鋼製の蓋には、流体混合物中の脂肪に抽出された、注入された、結合された、若しくはこれらの組合せである脂質をサンプリングするように構成されている、サンプル完成製品ポートが含まれてもよい。
【0024】
別の態様では、本開示は、脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムを含む。開示されているシステムは一般に、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、再循環式高圧脂質抽出器を利用することを含む。その場合、脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムは一般に、材料から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物を介して抽出、注入、及び結合するように構成されている、再循環式高圧脂質抽出器と、再循環ポンプと、加熱器と、保持タンクと、冷却器と、制御パネルと、を含み得る。ポンプは、加圧及び加熱された流体混合物を、再循環式高圧脂質抽出器を通して再循環させるように構成され得る。加熱器は、再循環式高圧脂質抽出器を加熱するように構成され得る。保持タンクは、抽出、注入、及び結合された脂質を有する流体混合物を保持し、冷やすように構成され得る。冷却器は、保持タンク内の抽出、注入、及び結合された脂質を有する流体混合物を冷やすように構成され得る。制御パネルは、システムの適切な動作、温度、圧力範囲、処理タイミング、及び/又は材料流量の制御を提供するように構成され得る。
【0025】
本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムの選択された実施例では、3つの再循環式高圧脂質抽出器が、3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々に対して1つの再循環ポンプである3つの再循環ポンプと共に含まれてもよい。その場合、本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステムは、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、再循環式高圧脂質抽出器を提供することを含み得る。更に、3つの保持タンクが含まれてもよい。本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムの選択された実施例では、加熱器は、3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々を加熱するために、3つの再循環式高圧脂質抽出器の各々の蒸気ジャケット内で蒸気を提供するように構成されている蒸気ボイラであり得る。本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムの選択された実施例では、冷却器は、エタノールを循環させこれを45分かけて-40℃まで冷やすように構成されているチラー及びスクリュー・プレスであり得、フィルタを通して圧送する前に脂肪及び脂質を懸濁液から落とすために、循環が更に15分間継続されることになる。他の選択された実施例では、保持タンクを冷やすように構成されているグリコール・チラーが屋外に設置され得る。
【0026】
別の態様では、本開示は、脂質抽出、注入、及び結合のための方法を含む。一般に、脂質抽出、注入、及び結合のための本方法は、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、再循環式高圧脂質抽出器を利用することを含む。その場合、本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法は、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、再循環式高圧脂質抽出器を提供することを含み得る。提供される再循環式高圧脂質抽出器は、材料から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物を介して抽出、注入、及び結合するように構成され得る。提供される再循環式高圧脂質抽出器を用いて、方法は、以下のステップを更に含み得る:ケトルに流体混合物を充填するステップ、ケトルから着脱可能な材料バスケットを取り出すステップ、着脱可能な材料バスケット内に材料を導入するステップ、導入された材料を有する着脱可能な材料バスケットをケトルの封止された内部に戻すステップ、ケトルの封止された内部を封止するステップ、ケトルを加熱し以って内圧を生じさせるステップ、並びに、加熱及び加圧された流体混合物を流れファンネルを通して上向きに再循環させるステップであって、流体混合物は着脱可能な材料バスケット内へと移行し、着脱可能な材料バスケットの内側にある材料を通り、着脱可能な材料バスケットから出て、再循環ポート内に入り、排出及び導入ポート内に戻る、再循環させるステップ。この場合、流体混合物が水及び脂肪を含み、着脱可能な材料バスケット内の材料が脂質を含む脂溶性植物物質である場合に、加圧及び加熱された流体混合物がケトルを通して再循環され脂溶性植物物質が着脱可能な材料バスケット内にあるときに、着脱可能な材料バスケット内の脂溶性植物物質からの脂質に対して、流体混合物中の脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われる。この場合、再循環式高圧脂質抽出器は、脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成される。
【0027】
開示されている脂質抽出、注入、及び結合のための方法の選択された実施例では、ケトルを加熱し以って内圧を生じさせるステップは、ケトルを約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)まで加熱するステップと、以って約103.42~241.31kPa(15~35psi)の又は275.79~310.26kPa(40~45psi)の間の内圧を生じさせるステップと、を含み得る。
【0028】
開示されている脂質抽出、注入、及び結合のための方法の選択された実施例では、加熱及び加圧された流体混合物を再循環させるステップは、ケトル内の流体混合物の圧力及び再循環量を増大させるように構成されている再循環ポンプを利用することを含み得る。
【0029】
開示されている脂質抽出、注入、及び結合のための方法の選択された実施例では、方法は、10分~120分までの範囲の所定量の時間の間サイクルを継続することを更に含み得る。サイクルが完了すると、方法は、流体混合物を、水道水及びグリコールの両方によって冷やされるプレート熱交換器を通して圧送することと、流体混合物を分離タンクへと圧送することと、水を排出し、このことにより貯蔵容器に移送すべき結合済みの脂肪を残すことと、適切な動作、温度、圧力範囲、処理を実現するように構成されている中央制御パネルを介して、脂質抽出、注入、及び結合を制御することと、を更に含み得る。
【0030】
前述の例示の概要、並びに本開示の他の例示的な目的及び/又は利点並びにそれらが達成される様式が、以下の詳細な説明及びその添付の図面において更に説明される。
【0031】
本開示は添付の図面を参照して「発明を実施するための形態」を読むことでよりよく理解されるであろう。図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、図面において同様の参照符号は類似の構造を表しており、全体を通して同様の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の選択された実施例に係る高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の正面図である。
図2図1の高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の斜視断面図である。
図3】ケトルの封止された内部から取り外された着脱可能な材料バスケットを示す、図1の高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の別の斜視断面図である。
図4】再循環ポートと排出及び導入ポートとの間をつないでいる再循環ポンプを示す、図1の高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の概略的表現である。
図5】本開示の選択された実施例に係る、脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムの環境斜視図である。
図6】本開示の選択された実施例に係る高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の、別の実施例の概略表現である。
図7】本開示の選択された実施例に係る高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の、別の実施例の概略表現である。
図8】本開示の選択された実施例に係る高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器の、別の実施例の概略表現である。
図9】本開示の選択された実施例に係る、脂質抽出、注入、及び結合のための方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
提示されている図面は例示の目的だけを意図していること、及び、したがってそれらは、示されている構造の厳密な詳細のいずれか又は全てが特許請求される開示に必須であると判断され得る場合を除いて、本開示をそれらの詳細に限定することを望むものでも意図するものでもないことに、留意すべきである。
【0034】
ここで図1図9を参照すると、本開示の例示的な実施例について記載する際に、明確にするために特定の専門用語が使用されている。しかしながら本開示はそのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図しておらず、特定の各要素は同様の様式で動作して同様の機能を達成する全ての技術的等価物を含むことが理解されるべきである。ただし特許請求の範囲の実施例は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に明記する実施例に限定されるものと解釈するべきではない。本明細書に明記する実例は非限定的な実例であり、他のあり得る実例の中のいくつかの実例に過ぎない。
【0035】
本開示は、上述した現在利用可能な抽出、注入、及び/又は結合のデバイス及び方法の制約を、再循環式高圧脂質(「HPL」)抽出器10(図1図4及び図6図8を参照)、HPL抽出器10を利用した脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200(図5を参照)、並びに脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300(図9を参照)を提供することによって解決する。開示されているHPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300は、限定するものではないが、大麻及び他の植物(すなわちラベンダー、ローズマリー、柑橘類、ミント、等)抽出物を抽出し、脂肪(すなわちMCT油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、等)に注入、及び/又は結合するように構成され得る。
【0036】
ここで図1図4を参照すると、本開示は、開示されている再循環式高圧脂質(「HPL」)抽出器、注入器、及び/又は結合器10を提供することによって、上述した欠点を克服し、そのような装置、システム、又は方法に関して認識されている必要性を満たす。開示されている再循環式高圧脂質抽出器、注入器、及び/又は結合器10を、本明細書では単に再循環式高圧脂質抽出器10、又は単にHPL抽出器10と呼ぶ場合がある。HPL抽出器10に関する本開示は、現在利用可能なデバイス、システム、又は方法の上述した制約を解決し得る。本明細書で開示されている再循環式高圧脂質抽出器は一般に、ケトル12を含む。ケトル12は、脂質抽出、注入、及び/又は結合のための上昇した温度及び圧力において材料26を処理するための、処理用の容器を提供するためのものであり得る。その場合、ケトル12は、封止された内部14内の流体混合物16を加圧及び加熱するように構成されている、封止された内部14を有し得る。流れファンネル18は、ケトル12の封止された内部14の下側部分20内に配置され得る。流れファンネル18は、再循環する材料26を、ケトル12の封止された内部14における上側セクション24において流れファンネル18の上に配置されている、着脱可能な材料バスケット22を通して導くためのものであり得る。流れファンネル18は、ステンレス鋼製のファンネルであり得る。この場合、着脱可能な材料バスケット22は、材料26を、ケトル12の封止された内部14の上側セクション24において、着脱可能な材料バスケット22の流通内部28の内側に保持するように構成され得る。排出及び導入ポート30は、ケトル12の底部32に存在し得る。実例として、排出及び導入ポート30は、5.08cm(2インチ)の導入ポート及び主排出弁であり得る。排出及び導入ポート30は二重の目的を果たす。動作中、排出及び導入ポート30は、再循環中の流体混合物16を、ケトル12の封止された内部14の底部32内に投入するために利用され得る。動作後、排出及び導入ポート30は、ケトル12の封止された内部14からの排出を行うために利用され得る。排出及び導入ポート30はこの場合、ケトル12の封止された内部14と連通し得る。再循環ポート34は、ケトル12の頂部36の近傍に存在し得、ケトル12の封止された内部14と連通し得る。この場合、再循環式HPL抽出器10は、流体混合物16がケトル12の封止された内部14内に導入されると、流体混合物16を加圧及び加熱し、加圧及び加熱された流体混合物を、ケトル12の頂部36の近傍にある再循環ポート34から、ケトル12の底部32にある排出及び導入ポート30内へと再循環させるように構成され得、加圧及び加熱された流体混合物16は、流れファンネル18を通って着脱可能な材料バスケット22内へと流れ、その中に配置されている材料26を通り、再循環ポート34の外へと戻る。
【0037】
本明細書で開示されている再循環式HPL抽出器10のケトル12は、様々な所望の温度及び結果的な圧力で動作するように設計及び構成され得る。選択された好ましい可能性のある実施例では、ケトル12は、98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、又は結果的な103.42kPa~344.73kPa(15ps~50psi)の圧力で動作するように構成され得る。選択された実施例では、ケトル12は、約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)の温度で、及び103.42kPa~241.31kPa(15psi~35psi)の圧力で又は275.79kPa~310.26kPa(40psi~45psi)の圧力で動作するように構成され得る。選択された実施例では、ケトル12は、圧力定格60psiの304ステンレス鋼材を含むがこれに限定されない、ステンレス鋼材54で製作され得る。実例として、ケトル12は、0.3175cm(1/8インチ)ステンレス鋼製の円筒壁を有し得る。ケトル12は、限定するものではないが3.785リットル(1ガロン)から18,925リットル(5000ガロン)までを含む、任意の所望のサイズ及び寸法にスケーリングされるように設計及び構成され得る。
【0038】
再循環式HPL抽出器10の選択された実施例と共に、再循環ポンプ52が含まれてもよい。図4及び図6図9を参照されたい。再循環ポンプ52は、ケトル12の封止された内部14を通る流体混合物16の再循環を支援するための、及びケトル12の封止された内部14の圧力を増大させるためのものであり得る。再循環ポンプ52は、ケトル12の頂部36の近傍にある再循環ポート34とケトル12の底部32にある排出及び導入ポート30との間に接続され得る。この場合、再循環ポンプ52は、ケトル12内の流体混合物16の圧力及び再循環量を増大させるように構成され得る。選択された実施例では、実例として、再循環ポンプ52は、定格ケースが501bで(case rated at 501b)あってもよく、316ステンレス鋼を含んでもよく、最高温度が126.667℃(260°F)であってもよく、定格流量が64.352リットル/分(17GPM)であってもよく、及び/又は、ステンレス鋼製ハウジング材料を有してもよいが、これらに限定されないことは明らかである。
【0039】
本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10の別の特徴は、ケトル12を移動可能に構成可能なことであり得る。この特徴によって、処理施設又はプラントの内部又は外部の様々な場所に、HPL抽出器10を移送することが可能になり得る。選択された実施例では、HPL抽出器10は、ケトル12の頂部36に、HPL抽出器10の移動又は輸送を支援するための持ち上げポイント110を含み得る。ケトル12の着脱可能な蓋100に持ち上げポイント110が含まれてもよい。ケトル12は所望に応じてサイズ設定及びスケーリングされ得る。例示の実施例として、ケトル12は、75.7リットル(20ガロン)の空寸を有する約378.5リットル(100ガロン)の充填容積を有し得るが、これに限定されないことは明らかである。
【0040】
再循環式HPL抽出器10のケトル12は、ケトル12の封止された内部14の内側にある流体混合物16を加熱するように構成されている、様々なデバイス及び方法によって加熱され得る。選択された実施例では、図に示すように、ケトル12の周囲に、ケトル12の封止された内部14の内側にある流体混合物16を加熱するための、蒸気ジャケット56が含まれてもよい。蒸気ジャケット56は、ケトル12の周囲に蒸気を閉じ込めるための、ケトル12の周囲にある1つのチャネル又は一連のチャネルであり得る。蒸気ジャケット56は、ケトル12の蒸気ジャケット56内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの供給ポート58と、ケトル12の蒸気ジャケット56から出る蒸気を戻すための少なくとも1つの戻りポート60と、を含み得る。選択された実施例では、ケトル12の蒸気ジャケット56は、上側蒸気ジャケット62及び/又は下側蒸気ジャケット68を含み得る。上側蒸気ジャケット62は、ケトル12の封止された内部14の上側セクション24において、着脱可能な材料バスケット22の周囲に存在し得る。上側蒸気ジャケット62は、ケトル12の上側蒸気ジャケット62内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの上側供給ポート64と、ケトル12の上側蒸気ジャケット62から出る蒸気を戻すための少なくとも1つの上側戻りポート66と、を含み得る。下側蒸気ジャケット68は、ケトル12の封止された内部14の下側部分20において、流れファンネル18の周囲に存在し得る。下側蒸気ジャケット68は、ケトル12の下側蒸気ジャケット68内に蒸気を供給するように構成されている少なくとも1つの下側供給ポート70と、ケトル12の下側蒸気ジャケット68から出る蒸気を戻すための少なくとも1つの下側戻りポート72と、を含み得る。選択された実施例では、ケトル12の蒸気ジャケット56と共に、温度センサ・ポート74が含まれてもよい。温度センサ・ポート74は、ケトル12の封止された内部14の上側セクション24及び/又は下側部分20における、ケトル12の内側の温度を感知するように構成され得る。温度センサ・ポート74は、その中に配置されている、ケトル12の封止された内部14の上側セクション24及び/又は下側部分20におけるケトル12の内側の温度を感知するための、任意の種類の形態の温度センサを含み得る。この場合、温度センサ・ポート74は、ケトル12の内側にある流体混合物16の温度を調節するために、ケトル12の蒸気ジャケット56と連通するように構成され得る。
【0041】
再循環式HPL抽出器10と共に又はその周囲に、冷却コイル76が含まれてもよい。冷却コイル76は、流体混合物16を、これが再循環式HPL抽出器10内で処理された後で冷却する又は冷やすように構成され得る。この場合、冷却コイル76は、流体混合物16を、これを加圧し、加熱し、ケトル12の封止された内部14を通して再循環させた後で、冷却するように構成され得る。選択された実施例では、冷却コイルは、冷却コイル水イン・コネクタと冷却コイル水アウト・コネクタとを含み得る。図5に示すように、冷却コイル76は、冷却器206、チラー及びスクリュー・プレス207、グリコール・チラー210、又はこれらの組合せであり得る。
【0042】
ここで特に図3を参照すると、着脱可能な材料バスケット22の詳細が示されている。開示されている再循環式HPL抽出器10の選択された実施例では、図に示すように、着脱可能な材料バスケットは、着脱可能な材料バスケット22の底部部分84の周囲に、複数の穴82を含み得る。穴82は、流体混合物16が、着脱可能な材料バスケット22の内側に配置されている材料26を通って流れることを可能にするためのものであり得る。穴82はまた、再循環ポンプ52に小さな流れ保護ももたらす。穴82は、処理中の材料26に基づく構成及びサイズであり得る。着脱可能な材料バスケット22は、着脱可能な蓋86を含み得る。選択された実施例では、着脱可能な蓋86は、着脱可能な材料バスケット22の頂部90に、ミクロン・サイズの穴88を含み得る。これらのミクロン・サイズの穴88は、流体混合物16中の脂肪に抽出、注入、及び/又は結合された材料26からの脂質を有する流体混合物16が自由に着脱可能な材料バスケット22から流出することを可能にしつつ、材料26を着脱可能な材料バスケット22の内側に維持するように設計及び構成され得る。選択された好ましい可能性のある実施例では、ミクロン・サイズの穴88は20~240ミクロンの間であり得るが、これに限定されないことは明らかであり、好ましくは約50ミクロン又はちょうど50ミクロンであり得る。選択された実施例では、着脱可能な材料バスケット22の着脱可能な蓋86は、ケトル12の封止された内部14から着脱可能な材料バスケット22を持ち上げて出すように構成されている、持ち上げフック92を含み得る。着脱可能な材料バスケット22の選択された実施例では、両開き落とし戸の底部94が含まれてもよい。図2及び図3を参照されたい。両開き落とし戸の底部94は、処理後に着脱可能な材料バスケット22から材料を容易に取り出すために開くように構成され得る。着脱可能な材料バスケット22の目的は、再循環式HPL抽出器10に対して材料の装填又は除去を行うときの、高速化及び容易化であり得る。着脱可能な材料バスケット22はまた、ユニットのより容易な洗浄も可能にし得る。実例として、着脱可能な材料バスケット22は、ケトル12に必要なサイズに応じて0~454キログラム(0~1000ポンド)の材料を保持し得るが、これに限定されないことは明らかである。その場合、各着脱可能な材料バスケット22は、どのようなサイズの再循環式HPL抽出器10にも適合するように構築され得る。実例として、着脱可能な材料バスケットは0.1203立方メートル(4.25立方フィート)の容積を有してもよく、且つ/又は、56.69キログラム(125ポンド)の刻んだヘンプに対する推定容積必要量を有してもよいが、これらに限定されないことは明らかである。
【0043】
ここで図2及び図3を参照すると、本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10の選択された実施例では、ケトル12の封止された内部14は、棚部96を含み得る。棚部96は、流れファンネル18の上に着脱可能な材料バスケット22を保持するように構成され得る。これらの図に示すように、棚96は、流れファンネル18の上に着脱可能な材料バスケット22を配置するように設計及び構成される、ケトル12の封止された内部14全体の周囲にある突出部であり得る。
【0044】
図2図4を参照すると、本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10の選択された実施例では、再循環ポート34は戻しアーム98を含み得る。着脱可能な戻しアーム98は、着脱可能な材料バスケット22の挿入及び取り出しのために取り外されるように構成され得る。実例として、再循環ポート34及び着脱可能な戻しアームは、5.08cm(2インチ)再循環パイプであり得るが、これに限定されないことは明らかである。
【0045】
図1図4及び図6図8に示すように、再循環式HPL抽出器10のケトル12上に、着脱可能な蓋100が含まれていてもよい。着脱可能な蓋100は、ケトル12のステンレス鋼材54と同様のステンレス鋼材から製作され得る。着脱可能なステンレス鋼製の蓋100は、ケトル12の封止された内部14を閉鎖し封止するが、ケトル12の封止された内部14へのアクセスが可能になるように開放可能又は着脱可能であるように構成され得る。着脱可能な蓋100は、任意の手段でケトル12の封止された内部14に封止され得る。選択された実施例では、図に示すように、着脱可能な蓋100は、封止フランジ102で封止され得る。封止フランジ102は、蓋100をケトル12の封止された内部14に封止するように構成されている、二重Oリング・シール104及び据付けロッド108付きのちょう型据付けボルト106を含み得る。選択された実施例では、ケトル12を持ち上げこのことにより再循環式HPL抽出器が移動可能になるように構成されている、着脱可能なステンレス鋼製の蓋100にある持ち上げポイント110が含まれてもよい。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100に、圧力解放弁112を含んでもよい。圧力解放弁112は、安全の目的で、ケトル12の封止された内部14のある閾値を超える圧力を解放するように構成され得る。選択された実施例では、実例として、圧力解放弁を、344.73kPa(50psi)以上の圧力を開放するように構成してもよいが、これに限定されないことは明らかである。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100に、通気弁114を含んでもよい。通気弁114は、ケトル12の封止された内部14を通気するように構成され得る。通気弁114は、1.27cm(1/2インチ)のベントであり得る。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100には、定置洗浄ポート116が含まれてもよい。定置洗浄ポート116は、ケトル12の封止された内部14を洗浄するように構成され得る。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100に、液体投入ポート118を含んでもよい。液体投入ポート118は、流体混合物16をケトル12の封止された内部14の中に導入するように構成され得る。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100に、圧力センサ・ポート120を含んでもよい。圧力センサ・ポート120は、ケトル12の封止された内部14内の圧力を感知するように構成され得る。他の選択された実施例では、限定するものではないが着脱可能なステンレス鋼製の蓋100に、サンプル完成製品ポート122を含んでもよい。サンプル完成製品ポート122は、流体混合物16中の脂肪に抽出された、注入された、結合された、又はこれらの組合せである脂質をサンプリングするように構成され得る。実例として、サンプル完成製品ポート122は、0.635cm(1/4インチ)のサンプル・ポイントであり得るが、これに限定されないことは明らかである。
【0046】
ここで図6図8を参照すると、開示されている再循環式HPL抽出器10の選択された実施例の以前のバージョン並びに開発中に成された進歩及び変更の、予備的な図面が示されている。出願人は、図1図4が開示されている再循環式HPL抽出器10のバージョン3であり、開示されている再循環式HPL抽出器10の好ましい可能性のある実施例であることを指摘しておく。
【0047】
ここで特に図5を参照すると、別の態様では、本開示は、脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200を含む。開示されているシステム200は一般に、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、1つの再循環式HPL抽出器10又は複数の再循環式HPL抽出器10を利用することを含む。その場合、脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200は一般に、材料26から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物16を介して抽出、注入、及び/又は結合するように構成されている、1つの再循環式HPL抽出器10又は複数の再循環式HPL抽出器10と、再循環ポンプ52と、加熱器202と、保持タンク204と、冷却器206と、制御パネル208と、を含み得る。再循環ポンプ52は、加圧及び加熱された流体混合物16を、再循環式HPL抽出器10を通して再循環させるように構成され得る。加熱器202は、再循環式HPL抽出器10を加熱するように構成され得る。保持タンク204は、抽出、注入、及び結合された脂質を有する流体混合物を保持し、冷やすように構成され得る。実例として、保持タンク204は、304ステンレス鋼で製作されてもよく、圧力定格が103.42kPa(15psi)であってもよく、グリコール・ジャケット付きであってもよく、面一な側面マンウェイを含んでもよく、378.54リットル(100ガロン)の容量を有してもよく、定置洗浄アーム及びスプレー・ボールを有してもよく、並びに/又はこれらの組合せであってもよいが、これらに限定されないことは明らかである。冷却器は、保持タンク204内の抽出、注入、及び結合された脂質を有する流体混合物16を冷やすように構成され得る。制御パネル208は、システム200の適切な動作、温度、圧力範囲、処理タイミング、及び/又は材料流量の制御を提供するように構成され得る。制御パネル208は、全てのポンプ、弁、及び蒸気ゾーンの制御能力を含み得る。制御パネル208は、カラー・グラフィック・インターフェースを有する30.734cm(12.1インチ)のタッチ・スクリーンであり得るが、これに限定されない。ケトル12は、モータ駆動の可変位置蒸気弁によって制御され得る。グリコール・ゾーンはプレート熱交換器を制御する。更に、温度プローブ又はセンサ及び弁位置信号は全て、制御パネル208に配線され得る。
【0048】
図5に示すように、本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び結合のためのシステムの選択された実施例では、3つの再循環式HPL抽出器10が、3つの再循環式HPL抽出器10の各々に対して1つの再循環ポンプ52である3つの再循環ポンプ52と共に含まれてもよい。その場合、本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200は、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、3つの再循環式HPL抽出器10を提供することを含み得る。更に、再循環式HPL抽出器10の各々からの処理済み流体混合物16を取り扱うために、3つの保持タンク204が含まれてもよい。本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200の選択された実施例では、加熱器202は、3つの再循環式HPL抽出器10の各々を加熱するために、3つの再循環式HPL抽出器10の各々の蒸気ジャケット56に蒸気を提供するように構成されている、蒸気ボイラ203であり得る。実例として、ボイラ203は、Columbia Boiler Company(Pottstown、PA)が提供する10HP圧力蒸気ボイラであってもよく、ガス燃料、蒸気のMPH-10にCRT-7供給システム及びBS-2ブローダウン・セパレータを有するが、これに限定されないことは明らかである。本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のためのシステム200の選択された実施例では、冷却器206は、エタノールを循環させこれを45分かけて-40℃まで冷やすように構成されている、チラー及びスクリュー・プレス207であり得る。フィルタを通して圧送する前に脂肪及び脂質を懸濁液から落とすために、循環が更に15分間継続されることになる。実例として、スクリュー・プレス207は、5HPモータ、VFD、毎時113.5+キログラム(250+ポンド)、スクリーン最小値152ミクロン、架台、及び/又はこれらの組合せとなる、CP-6ビンセント型スクリュー・プレスであり得るが、これらに限定されないことは明らかである。フィーダ・スクリュー・コンベヤ及びホッパが含まれてもよく、これらは、限定するものではないがVFDで3HPモータを有してもよく、スクリュー・プレスに取り付けられてもよく、且つ/又は、ホッパは53.48キログラム(120ポンド)のバイオマスを保持し得る。更に、液体を回収しプレスから処理へと移送するための、認可バッファ・タンクが含まれてもよい。認可バッファ・タンクは60.56L(16G)の容量を有してもよく、センサ・ポートと脚部とを有してもよい。他の選択された実施例では、保持タンク204を冷やすのを支援するように構成されたグリコール・チラー210が、屋外に設置され得る。実例として、グリコール・チラー210は、75,930,260J(71968BTU)の容量を有する9HPチラーであってもよいが、これに限定されないことは明らかである。
【0049】
ここで図9を参照すると、別の態様では、本開示は、脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300を含む。一般に、脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300は、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、1つの再循環式HPL抽出器10又は複数の再循環式HPL抽出器10を利用することを含み得る。その場合、本明細書で開示されている脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300は、本明細書に示す及び/又は記載する様々な実施例又は実施例の組合せのうちのいずれかにおいて、1つの再循環式HPL抽出器10又は複数の再循環式HPL抽出器10を提供するステップ302を含み得る。提供される再循環式高圧脂質抽出器10は、材料26から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに加圧及び加熱された流体混合物16を介して抽出、注入、及び/又は結合するように構成され得る。提供されるHPL抽出器10を用いて、方法は、以下のステップを更に含み得る:ケトル12から着脱可能な材料バスケット22を取り出すステップ304、材料26を着脱可能な材料バスケット22内に導入するステップ306、導入された材料26を有する着脱可能な材料バスケット22をケトル12の封止された内部14に戻すステップ308、ケトル12の封止された内部14に流体混合物16を充填するステップ310、ケトル12の封止された内部14を封止するステップ312、ケトル12を加熱し以って内圧を生じさせるステップ314、並びに、加熱及び加圧された流体混合物16を流れファンネル18を通して上向きに再循環させるステップ316であって、流体混合物16は再循環ポンプ52によって着脱可能な材料バスケット22内へと移行し、着脱可能な材料バスケット22の内側にある材料26を通り、着脱可能な材料バスケット22から出て再循環ポート34内に入り、排出及び導入ポート30内に戻る、ステップ316。この場合、流体混合物16が水及び脂肪を含み、着脱可能な材料バスケット22内の材料26が脂質を含む脂溶性植物物質である場合に、この場合、加圧及び加熱された流体混合物16がケトル12を通して再循環され脂溶性植物物質が着脱可能な材料バスケット22内にあるとき、ステップ318において、着脱可能な材料バスケット22内の脂溶性植物物質からの脂質に対して、流体混合物16中の脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われる。この場合、再循環式HPL抽出器10は、ステップ320において脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成される。脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300の選択された実施例では、ケトル12を加熱し以って内圧を生じさせるステップ314は、以下のステップを含み得る:ケトルを約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)まで加熱するステップ322、及び、以って約103.42~241.31kPa(15~35psi)の又は275.79~310.26kPa(40~45psi)の間の内圧を生じさせるステップ324。脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300の選択された実施例では、加熱及び加圧された流体混合物16を再循環させるステップ316は、ケトル12内の流体混合物16の圧力及び再循環量を増大させるように構成されている再循環ポンプ52を利用する、ステップ317を含み得る。脂質抽出、注入、及び/又は結合のための方法300の選択された実施例では、方法300は、限定するものではないが10分~120分までの範囲を含む所定量の時間の間、サイクルを継続するステップ326を更に含み得る。サイクルが完了すると、方法300は以下を更に含み得る:流体混合物16を、水道水及びグリコールの両方によって冷やされるプレート熱交換器を通して冷却するステップ328、流体混合物16を分離タンク204へと圧送するステップ330、並びに、流体混合物16から水を排出し、このことにより貯蔵容器に移送すべき結合済みの脂肪を残すステップ332、並びに、適切な動作、温度、圧力範囲、処理、等を実現するように構成されている中央制御パネル208を介して、脂質抽出、注入、及び/又は結合を制御するステップ334。
【0050】
実例
脂質抽出、注入、及び/又は結合のための、図1図4の再循環式HPL抽出器10、図5のシステム200、及び図9の方法300の実施例を参照すると、プロセスのある実例では、ヘンプの56.69kg(125ポンド)のバッチを3個処理できた。各バッチを、キャリア・オイルと水とを有する378.5リットル(100ガロン)の流体混合物16とブレンドすることができた。
【0051】
システム200は図5に示す構成に基づいて設計されている。ケトル12は水と所望の脂肪のブレンドを有する流体混合物16で充填されることになり、着脱可能な材料バスケット22は、処理すべき材料26で充填され得る。着脱可能な材料バスケット22がケトル12に戻され蓋100がしっかりと閉じられると、蒸気加熱されたケトル12は約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)まで加熱され、約103.42~241.31kPa(15~35psi)(344.73kPa(50psi)を超えることはない)の内圧を生じることになる。圧力及び再循環ポンプ52は、水/脂肪混合物を流れファンネル18を通して上向きに移動させることになり、これが着脱可能な材料バスケット22を通過する際に、脂肪は脂溶性有機化合物と結合することになる。再循環ポンプ52は、タンクの下側部分20内の圧力の上昇に伴って、水/脂肪混合物を上側セクション24内へと移動させ、着脱可能な戻しアーム98を通して、ケトル12内へと戻す。このサイクルは、10分~120分までの範囲の所定量の時間の間継続することになる。このサイクルが完了すると、水/脂肪混合物は、グリコール・チラー210を介して水道水及びグリコールの両方によって冷やされるプレート熱交換器207を通して圧送されることになる。プレート熱交換器207は、エタノールを循環させこれを45分かけて40℃まで冷やす設計され得る。フィルタを通して圧送する前に脂肪及び脂質を懸濁液から落とすため、循環を更に15分間継続してもよい。プレート熱交換器207は、316ステンレス鋼で製作され得る、及び/又は、ステンレス・フレームを含み得る。水/脂肪混合物は分離タンク204に圧送されることになり、そこで水が排出され、貯蔵容器に移送すべき結合済みの脂肪が残される。システム200は、適切な動作、温度及び圧力範囲、処理タイミング、並びに材料流量を確保すべく、中央制御パネル208を介して制御されることになる。
【0052】
以下は動作のステップの実例である:
・ケトル12に、流体混合物16のための、水と所望の脂肪の独自のブレンドを充填する、
・着脱可能な材料バスケット22を取り外した状態で、所望の量の材料26を充填する、
・持ち上げフック92の場所で、持ち上げ装置を着脱可能な材料バスケット22に接続する、
・持ち上げ装置を使用して、着脱可能な材料バスケット22をケトル12内に設置する、
・据付けロッド108を固止する、
・着脱可能な戻しアーム98を再設置する、
・着脱可能な蓋100をケトル12上に再設置する、
・ちょう型据付けボルト106を用いて着脱可能な蓋100を固止する、
・制御パネル208を使用してユニットを起動する、
・サイクルを実行する、
・サイクル終了後、指定された時間量の間、ユニットを冷却しなければならない、
・ちょう型据付けボルト106を取り外すことによって着脱可能な蓋100を解放する、
・着脱可能な戻しアーム98を取り外し、洗浄エリア内に置く、
・据付けロッド108を取り外し、洗浄エリア内に置く、
・持ち上げフック92の場所で、持ち上げ装置を着脱可能な材料バスケット22に接続する、
・持ち上げ装置を使用して、着脱可能な材料バスケット22を指定されたプレス・エリア内に置く、
・排出ビンの内容物を空にする、
・持ち上げ装置を利用して、着脱可能な材料バスケット22を洗浄エリアに移動させる、
・ケトル12の内部構成要素を圧力洗浄して清浄性を確保する。
【0053】
運用時、再循環式HPL抽出器10に処理すべき材料26と脂肪及び水を有する流体混合物16とを装填し起動させると、処理が開始される。再循環式HPL抽出器10は、有機物に由来する任意の脂溶性有機化合物に対して使用できる。ケトル12は約98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)で動作することができ、正常動作時には、103.42kPa~241.31kPa(15psi~35psi)の間、又は275.79kPa~310.26kPa(40psi~45psi)の間の圧力が、内部で生じることになる。加熱することは、ケトル12の周囲の加熱要素及び/又は蒸気ジャケット56を使用して達成されてもよい。流体混合物16(脂肪/水混合物)が着脱可能な材料バスケット22を通って移動するのを助けるために、及びケトル12の再循環を可能にするために、再循環ポンプ52は、再循環ポート34と排出及び導入ポート30との間をつなぐように設置され得る。
【0054】
この場合、流体混合物16(水/脂肪)が98.88℃~104.44℃(210°F~220°F)まで加熱され得る。流体混合物16の水がその沸点に達するにつれ、ケトル12内に圧力が蓄積する。加圧されたケトル12は次いで流体混合物16を流れファンネル18に押し通す。流体混合物16が着脱可能な材料バスケット22を通過する際に、流体混合物16からの脂肪が、材料26の脂溶性有機化合物に直接結合することができる。次いでケトル12内の圧力によって、この時点で結合済みの流体混合物16が、着脱可能な戻しアーム98を通って再循環ポート34の外へと移動し、再循環ポンプ52を通り、その後排出及び導入ポート30を介してケトル12内へと戻る。このサイクルは、材料26として仕様されている有機材料に応じて10分~120分までの範囲であり得る、所定量の時間の間継続し得る。サイクルの終了後、結合済み流体混合物16は、ケトル12内に留まって冷却されるか、又は、保持タンク204に圧送されて冷却されるか、のいずれかである。ケトル冷却コイル76はこの時間中、結合済み流体混合物16を冷却するために動作していることになる。冷却後、結合済み流体混合物16は、排出の前に分離していることになる。排出及び導入ポート30を通して混合物から水が排出されて、容器に入れるべき結合済みの脂肪が残ることになる。
【0055】
再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300で使用される流体混合物16は、脂質抽出及び/又は溶媒若しくは化学物質を用いない自然的な脂質抽出のための、任意の所望の流体混合物であり得る。更に、再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300において処理すべき材料26は、任意の所望の材料又は類似ものであり得る。選択された実施例では、流体混合物16は水と脂肪とを含むことができ、着脱可能な材料バスケット22内の材料26は、脂質を含む脂溶性植物物質であり得る。この場合、加圧及び加熱された流体混合物がケトル12を通して再循環され脂溶性植物物質が着脱可能な材料バスケット22内にあるときに、着脱可能な材料バスケット22内の脂溶性植物物質からの脂質に対して、流体混合物中の脂肪への抽出、注入、結合、又はこれらの組合せが行われ得る。
【0056】
本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300の1つの特徴は、それらを、脂溶性植物物質から脂質を溶媒又は化学物質を用いずに自然的に抽出、注入、及び結合するように構成できることであり得る。再循環式HPL抽出器10の選択された例示の実施例では、流体混合物16の脂肪は、中鎖トリグリセリド油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、又はこれらの組合せを含み得、脂溶性植物物質は、大麻、又は、ラベンダー抽出物、ローズマリー抽出物、柑橘類抽出物、若しくはミント抽出物を含む他の植物抽出物、或いはこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されないことは明らかである。この場合、溶媒又は化学物質を用いない自然的抽出、注入、及び結合は、大麻、その他の植物抽出物、又はこれらの組合せを自然的に抽出、注入、及び結合するように構成される。
【0057】
本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300の別の特徴は、再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300が、流体混合物16中の脂肪が再循環する際にこれを加熱及び冷却して、テルペン、フラボノイド、及び他のカンナビノイドの分解を低減させるように構成され得ることであり得る。
【0058】
本明細書で開示されている開示された再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300の別の特徴は、再循環式HPL抽出器10、システム200、及び/又は方法300が、大麻、大麻抽出物、大麻抽出物を結合した脂肪、又はこれらの組合せを脱炭酸化するように構成され得ることであり得る。
【0059】
要約すれば、開示されている再循環式HPL抽出器10、システム200、及び方法300の目的は、以下であり得る:大麻及び他の植物(すなわちラベンダー、ローズマリー、柑橘類、ミント、等)抽出物を、脂肪(すなわちMCT油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、等)に抽出、注入、及び結合すること、未加工の大麻、大麻抽出物、大麻抽出物を結合した脂肪を脱炭酸化すること、脂肪をキャリアとして利用して、ありとあらゆる脂溶性植物物質(大麻及び他の植物)から、医療分野で使用するための医薬品グレードのチンキ剤を創出及び製造すること、脂肪をキャリアとして利用して、ありとあらゆる脂溶性植物物質(大麻及び他の植物)から、栄養補助剤として使用するための医薬品グレードのチンキ剤を創出及び製造すること、脂肪をキャリアとして利用して、ありとあらゆる脂溶性植物物質(大麻及び他の植物)から、食品サービス業界で使用するための医薬品グレードのチンキ剤を創出及び製造すること、並びに/又はこれらの組合せ。
【0060】
大麻は、本明細書で使用する場合、大麻(cannabis)、大麻草(cannabis sativa)、インド大麻(cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(cannabis ruderalis)、ヘンプ(hemp)、産業用ヘンプ(industrial hemp)、並びにあらゆるカンナビノイド(例えばCBD、THCデルタ9、CBN、CBG、CBDA、THCA、及びその他全て)、テルペン、フラボノイド、並びに大麻が含有するその他の生物化合物を指し得る。
【0061】
脂肪は、本明細書で使用する場合、脂溶性キャリアを担持できる及び又はそれに結合できる、任意の脂肪を指し得る。
【0062】
脱炭酸化するとは、本明細書で使用する場合、カルボキシル基を除去し二酸化炭素を放出する化学反応を指し得る。通常、脱炭酸化とは、炭素鎖から炭素原子を除去するカルボン酸の反応を指す。
【0063】
チンキ剤とは、本明細書で使用する場合、大麻及び他の植物(すなわちラベンダー、ローズマリー、柑橘類、ミント、等)抽出物を抽出し、脂肪(すなわちMCT油、ヘンプ油、バター、バター脂、あらゆる種子油、オリーブ油、等)に注入、溶融、及び/又は結合することによって作られる溶液を指し得る。
【0064】
本開示の特徴は、それにより、溶媒又は化学物質を用いない大麻及び他の植物抽出物の完全に自然的な抽出及び結合が可能になり得ることである。
【0065】
本開示の別の特徴は、脂肪が再循環する際にこれを加熱及び冷却して、テルペン、フラボノイド、及び他のカンナビノイドの分解を低減させる、その能力であり得る。
【0066】
本開示の別の特徴は、抽出(brewing)プロセス中にその液体を再循環させる能力であり得る。
【0067】
本開示の別の特徴は、脂肪の結合及び生成の達成量であり得る。
【0068】
本開示の別の特徴は、それが動作する際の圧力であり得る。
【0069】
本開示の別の特徴は、それが、圧力及び再循環の能力を向上させるために再循環ポンプ52を利用できることであり得る。
【0070】
本開示の別の特徴は、それを移動可能にできることであり得る。
【0071】
本開示の別の特徴は、それが3.785リットル(1ガロン)から18,925リットル(5000ガロン)まででスケーリングされ得ることであり得る。
【0072】
明細書及び/又は図には、本開示の典型的な実施例が開示されている。本開示はそのような例示的な実施例限定されない。用語「及び/又は」の使用は、関連する列挙された事物のうちの1つ以上の、ありとあらゆる組合せを含む。図は概略的表現であり、したがって必ずしも原寸に比例して描かれていない。特に断らない限りは、特定の用語は総称的及び説明的な意味で使用され、限定を目的としていない。
【0073】
前述の説明及び図面は例示の実施例を含む。例示的な実施例をそのように記載したが、ここでの開示は例示的なものに過ぎないこと、並びに、本開示の範囲内で様々な他の代替例、改変例、及び修正例が製作され得ることが、当業者には当然理解されよう。ある順序での方法のステップの単なる列挙又は番号付けは、その方法のステップの順序に対する限定を何ら構成しない。前述の説明及び関連する図面で提示されている教示の利益を有する、本開示に関連する技術の当業者は、本発明の多くの修正及び他の実施例に想到するであろう。本明細書において特定の用語が採用される場合があるが、それらは総称的及び説明的な意味でのみ使用され、限定を目的としていない。したがって、本開示は本明細書に示されている特定の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
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【国際調査報告】