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特表2022-548298スピーカの音質を改善するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】スピーカの音質を改善するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517428
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2020110632
(87)【国際公開番号】W WO2021052110
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910883760.4
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
3.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】寇 毅▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】秦 ▲鵬▼
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA41
5D220AA50
5D220AB01
(57)【要約】
本出願の実施形態はメディア技術の分野に関し、詳細には、スピーカの音質を改善するための方法および装置に関する。方法は、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップであって、第2の非線形パラメータはスピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである、ステップと、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するステップと、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカの音質を改善するための方法であって、
前記スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて前記スピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップであって、前記第2の非線形パラメータは前記スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである、ステップと、
補償された第1の入力信号を取得するために、前記第3の非線形パラメータに基づいて前記スピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するステップと、
前記スピーカの出力信号を取得するために、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する前記ステップは、
前記スピーカの前記直流抵抗に基づいて前記スピーカのコイルの温度を決定するステップと、
前記第3の非線形パラメータを取得するために、前記コイルの前記温度に基づいて前記第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルタリングゲインを生成するステップをさらに含み、前記フィルタリングゲインは、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スピーカの変位を決定するステップと、
前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、
前記第1の入力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するステップと
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スピーカの変位を決定する前記ステップは、
第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記第2の入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、
変位補正ゲインを決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの前記変位を決定するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
変位補正ゲインを決定する前記ステップは、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するステップを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
スピーカの音質を改善するための方法であって、
第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、
第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップと、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するステップと、
前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、
前記スピーカの出力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの前記入力信号に対してゲイン制御を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する前記ステップは、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第3の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するステップと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補間モジュールと、信号補償モジュールと、フィルタリングモジュールとを備える音質改善装置であって、
前記補間モジュールは、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて前記スピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように構成され、前記第2の非線形パラメータは前記スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータであり、
前記信号補償モジュールは、補償された第1の入力信号を取得するために、前記第3の非線形パラメータに基づいて前記スピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するように構成され、
前記フィルタリングモジュールは、前記スピーカの出力信号を取得するために、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するように構成される、装置。
【請求項11】
前記補間モジュールは、前記スピーカの前記直流抵抗に基づいて前記スピーカのコイルの温度を決定し、前記第3の非線形パラメータを取得するために、前記コイルの前記温度に基づいて前記第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように特に構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
生成モジュールをさらに備え、
前記生成モジュールはフィルタリングゲインを生成するように構成され、前記フィルタリングゲインは前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとをさらに備え、
前記変位決定モジュールは前記スピーカの変位を決定するように構成され、
前記制御ゲイン決定モジュールは、前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成され、
前記ゲイン制御モジュールは、前記第1の入力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記第2の入力信号に対して第1の変位変換を実行し、変位補正ゲインを決定し、前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するように特に構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記変位決定モジュールは、第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するようにさらに構成される、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記変位決定モジュールは、前記第1の予測される変位の前記実効値と前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて前記変位補正ゲインを決定するように特に構成される、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとを備える音質改善装置であって、
前記変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行し、第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行し、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定し、前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するように構成され、
前記制御ゲイン決定モジュールは、前記スピーカの変位と事前設定された変位しきい値とに基づいて前記スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成され、
前記ゲイン制御モジュールは、前記スピーカの出力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの前記入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される、装置。
【請求項18】
前記変位決定モジュールは、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定し、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第3の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するように特に構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリとを備える音質改善装置であって、
前記メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、前記装置が作動するとき、前記プロセッサは前記メモリ内に記憶された前記コンピュータ命令を実行することにより、前記装置は請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行するか、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行する、音質改善装置。
【請求項20】
チップの製品形態で存在する音質改善装置であって、前記装置の構造はプロセッサとメモリとを備え、前記メモリは前記プロセッサに結合されるように構成され、前記メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、前記プロセッサは前記メモリ内に記憶された前記コンピュータ命令を実行するように構成されることにより、前記装置は請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行するか、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行する、音質改善装置。
【請求項21】
コンピュータ命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令がコンピュータ上で実行されるとき、音質改善装置は請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行すること、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は、メディア技術の分野に関し、詳細には、スピーカの音質を改善するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2019年9月18日に中国国家知識産権局に出願された「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SOUND QUALITY OF SPEAKER」と題する中国特許出願第201910883760.4号に基づく優先権を主張する。
【0003】
スピーカは、ポータブル端末デバイスにおいてますます広く使用されている。例えば、スピーカは、音楽もしくはビデオを再生するため、ハンズフリー通話を行うため、またはモバイルホンの着信音を再生するためなどに使用される。スピーカの音質はスピーカの性能の重要な指標であり、スピーカの音質は主観的な体験に直接的に影響する。
【0004】
いくつかの広く使用されているマイクロスピーカについては、スピーカの非線形性がより明らかになる。その結果、明らかな歪みが出力結果において生成され、スピーカの音質が劣悪になり、聴覚体験が影響を受ける。現在、信号の歪みを低減させるために、非線形補償技術がスピーカの入力信号に対して非線形補償を実行するために使用されることがある。具体的には、スピーカの非線形パラメータ(例えば、力係数、機械的剛性、インダクタンス、またはダンピング)が、関連する非線形パラメータ識別方法において取得され得、その後、スピーカの非線形パラメータに基づいて入力信号に対して非線形補償が実行される。
【0005】
しかしながら、スピーカのステータスは、変化することがあるので、上述の方法において取得された非線形パラメータは実際の非線形パラメータと異なる。その結果、スピーカに対して非線形補償を実行することの貧弱な効果が存在し、スピーカの音質が劣悪になることがある。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、スピーカのサウンド効果を効果的に改善するためのスピーカ改善方法および装置を提供する。
【0007】
上述の目的を達成するために、以下の技術的解決策が本出願の実施形態において使用される。
【0008】
第1の態様によれば、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法を提供する。方法は、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップであって、第2の非線形パラメータは、スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである、ステップと、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するステップと、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するステップとを含む。
【0009】
任意選択で、第2の非線形パラメータは、スピーカの第1の非線形パラメータを調整することによって取得され得る。
【0010】
スピーカの非線形パラメータはスピーカの非線形特性であり、スピーカのハードウェア構造(例えば、スピーカの小さいサイズおよび大きい変位などの構造的特徴)によってもたらされる固有の非線形特性である。スピーカの非線形パラメータは、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、またはダンピングなどを含む。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータ(例えば、第1の非線形パラメータ、第2の非線形パラメータ、および第3の非線形パラメータ)は、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、およびダンピングのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法によれば、第3の非線形パラメータは、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することによって取得される。非線形パラメータ(すなわち、第3の非線形パラメータ)は、スピーカの現在の作動状態に対応する非線形パラメータであり、言い換えると、リアルタイム非線形パラメータである。非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、信号補償は第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対してより効果的に実行されることができ、信号歪みをさらに低減させるために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。このようにして、スピーカの音質はより効果的に改善されることができる。
【0012】
可能な実装においては、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行するための方法は、具体的には、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定するステップと、第3の非線形パラメータを取得するために、コイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップとを含み得る。
【0013】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗と、現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度とを取得するために、スピーカの出力信号、第2の非線形パラメータ、およびスピーカの線形パラメータがスピーカモデルに入力される。現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度は、入力信号における次の信号に対して信号補償を実行するために使用される。
【0014】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの(ボイスコイルの温度と呼ばれることもある)コイルの温度と、スピーカのコイルの直流抵抗との間の関係は以下の通りである。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、Tはスピーカのコイルの温度であり、Rはスピーカのコイルの直流抵抗であり、ηは、温度上昇係数であり、R0は較正温度に対応するコイルの直流抵抗であり、ボイスコイルの温度は、通常摂氏25度に較正される。
【0017】
スピーカの直流抵抗が取得された後、スピーカのコイルの温度が上述の式に基づいて取得され得る。
【0018】
本出願のこの実施形態においては、スピーカのコイルの温度が異なる温度値を有するときに存在する、非線形パラメータの特性曲線が取得され得、その後、目標特性曲線(目標特性曲線は第3の非線形パラメータの特性曲線の推定結果と理解され得る)を取得するために、スピーカのコイルの温度、温度しきい値1、および温度しきい値2に基づいて非線形パラメータの特性曲線に対して線形補間が実行される。温度しきい値2は温度しきい値1よりも大きい。
【0019】
例えば、スピーカのコイルの温度はTと表記され、温度しきい値1はTminと表記され、温度しきい値2はTmaxと表記される。
【0020】
T<Tminである場合、Tminに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0021】
T>Tmaxである場合、Tmaxに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0022】
min≦T≦Tmaxである場合、目標特性曲線を生成するために、スピーカのコイルの温度に基づいて、Tminに対応する特性曲線と、Tmaxに対応する特性曲線とに対して線形補間が実行される。
【0023】
最後に、目標特性曲線に対応する多項式の各係数を取得するために、目標特性曲線に対して多項式フィッティングが実行される。各係数は非線形パラメータと1対1の対応にある。したがって、第3の非線形パラメータは多項式の各係数に基づいて決定され得る。
【0024】
本出願のこの実施形態における可能な実装においては、補償された第1の入力信号は第1の信号として記録され、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行する処理は、第2の信号を取得するために、ウェーブトラップを使用することによって、第1の信号に対してフィルタリングを実行するステップと、第3の信号を取得するために、第1の信号と第2の信号との間の差を計算するステップと、第4の信号を取得するために、フィルタリングゲインを第3の信号によって乗算するステップと、第5の信号を取得するために、第1の信号と第4の信号との間の差を計算するステップと、スピーカの出力信号として第5の信号を使用するステップとを含む。
【0025】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、フィルタリングゲインを生成するステップをさらに含み得る。フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対して、フィルタリングを実行するために使用される。
【0026】
本出願のこの実施形態においては、フィルタリングゲインは入力信号に基づいて生成され得る。具体的には、フィルタリングゲインを生成するステップは、S1と、S2とを含み得る。
【0027】
S1:電流フレームにおける絶対電圧値の最大値を決定する。
【0028】
第1の入力信号は、複数の信号フレームを含み、各信号フレームは、複数の入力電圧を含み、複数の入力電圧のうちの最大絶対値を有する電圧が、現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値であることが理解されるべきである。
【0029】
S2:絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定する。
【0030】
本出願のこの実施形態においては、絶対電圧値の最大値は、Umaxと表記され、フィルタリングゲインはαと表記され、絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定するステップは以下を含む。
【0031】
max<Ulowlimitであるとき、
α=αbuffer*αsmoothであり、ここで、
lowlimitは、電圧制御下限であり、αbufferは以前のフレームに対応するフィルタリングゲインであり、αsmoothはフィルタリングゲインの平滑化係数であり、*は畳み込みを表し、
uplimit≦Umax≦Ulowlimitであるとき、
【0032】
【数2】
【0033】
であり、ここで、
uplimitは電圧制御上限であり、αuplimitはフィルタリングゲインの制御上限であり、αlowlimitはフィルタリングゲインの制御下限であり、または
max>Uuplimitであるとき、
α=αbuffer*αsmooth+αuplimit*(1-αsmooth)である。
【0034】
可能な実装においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータが調整され得る。
【0035】
本出願のこの実施形態においては、第1の非線形パラメータは(スピーカが製造され、使用されていない状態と理解されることができる)元の状態におけるスピーカの非線形パラメータである。スピーカの納入前に、スピーカの第1の非線形パラメータが最初に調整され、スピーカのパラメータが第1の非線形パラメータから第2の非線形パラメータに調整され、その後、スピーカが、納入され、使用される。
【0036】
可能な実装においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータを調整するための方法は、具体的には、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定するステップと、第2の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正するステップとを含み得る。
【0037】
本出願のこの実施形態においては、目標方向は順方向と逆方向とを含み得る。順方向は非線形パラメータが増加させられる方向と定義され得、逆方向は非線形パラメータが減少させられる方向と定義され得る。目標方向は、実際の要件に基づいて具体的に定義され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0038】
目標ステップは、非線形パラメータの調整(増加または減少)の大きさを表し、目標ステップは、順方向に対応する目標ステップと、逆方向に対応する目標ステップとを含み得る。
【0039】
任意選択で、順方向に対応する目標ステップは、逆方向に対応する目標ステップと同じであってよく、または異なっていてよい。これは、本出願のこの実施形態においては特に限定されない。
【0040】
可能な実装においては、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定するための方法は、高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対してフーリエ変換を実行するステップと、高調波歪みに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定するステップと、候補の調整されるパラメータから目標の調整されるパラメータを決定するステップとを含み得る。
【0041】
本出願のこの実施形態においては、入力信号に対して信号補償が実行された後に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第1の高調波歪みと呼ばれ、入力信号に対して補償が実行される前に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第2の高調波歪みと呼ばれる。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータから、候補の調整されるパラメータを決定するステップは、第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定するステップを含み得る。第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定するステップは、具体的には、第2の高調波歪みにおける各次数の高調波歪みの、第1の高調波歪みに対応する各次数の高調波歪みに対する比を決定するステップと、高調波歪みについてのものであり、事前設定されたしきい値よりも大きい、各比に対応する非線形パラメータを、候補の調整されるパラメータとして決定するステップとを含む。
【0042】
候補の調整されるパラメータが、決定された後、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が、取得され、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差は、各非線形パラメータに対応する事前設定された誤差しきい値と比較され、候補の調整されるパラメータのうちの、収束誤差が誤差しきい値よりも大きい各非線形パラメータが、目標の調整されるパラメータとして決定される。
【0043】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、スピーカの音響信号を取得するステップ、またはスピーカの変位信号を取得するステップをさらに含み得る。
【0044】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、スピーカの変位を決定するステップと、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するステップとをさらに含み得る。
【0045】
本出願のこの実施形態においては、入力信号のゲインを低減させ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化を回避し、スピーカの変位が安全上限を超えないことを保証し、スピーカのサウンド効果を改善するために、スピーカの変位を決定し、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定し、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行することによって、スピーカに対して、変位保護が実行され得る。
【0046】
さらに、スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御が実行された後に取得された信号は、第1の入力信号として使用され、信号補償効果が改善されることができ、スピーカのサウンド効果がさらに改善されることができるように、これに基づいて信号補償が実行される。
【0047】
可能な実装においては、スピーカの変位を決定するための方法は、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、第2の入力信号に対して、第1の変位変換を実行するステップと、変位補正ゲインを決定するステップと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定するステップとを含み得る。
【0048】
本出願のこの実施形態においては、第1の変位変換が実行されるとき、スピーカの変位伝達関数が使用され、変位伝達関数はリアルタイムに取得される非線形パラメータに基づいて更新され得る。具体的には、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され、さらに、線形パラメータに基づいて変位伝達関数が更新される。
【0049】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップをさらに含み得る。
【0050】
本出願のこの実施形態においては、第2の変位変換が実行されるとき、スピーカの誘導起電力モデルが使用され、誘導起電力モデルは、リアルタイムに取得される非線形パラメータに基づいて更新され得る。具体的には、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され、さらに、線形パラメータに基づいて誘導起電力モデルが更新される。
【0051】
可能な実装においては、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップを含み得る。
【0052】
可能な実装においては、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップとを含み得る。
【0053】
本出願のこの実施形態においては、変位補正ゲインGc(tn)は、以下の通りであり得る。
【0054】
【数3】
【0055】
ここで、Xmean_est(tn)=KalmanFilter[Xmean_ts(tn),Xmean_emf(tn)]であり、Xmean_ts(tn)は第1の予測される変位の実効値を表し、Xmean_emf(tn)は第2の予測される変位の実効値を表しXmean_est(tn)は第3の予測される変位の実効値を計算することを表し、KalmanFilterはカルマンフィルタを表す。
【0056】
第2の態様によれば、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法を提供する。方法は、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定するステップと、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行するステップとを含み得る。
【0057】
従来技術と比較すると、上述の方法においては、スピーカの変位はリアルタイムに決定されることができ、入力信号のゲインが低減させられ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化が回避され、スピーカの変位が安全上限を超えないことが保証されることができ、スピーカのサウンド効果が改善されることができるように、決定されたスピーカの変位に基づいてスピーカに対して変位保護が実行される(これは、スピーカの変位に基づいて決定された、信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行することを示す)。
【0058】
可能な実装においては、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップとを含む。
【0059】
第3の態様によれば、本出願の実施形態は、補間モジュールと、信号補償モジュールと、フィルタリングモジュールとを含む、音質改善装置を提供する。補間モジュールは、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように構成される。第2の非線形パラメータは、スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである。信号補償モジュールは、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するように構成される。フィルタリングモジュールは、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するように構成される。
【0060】
可能な実装においては、補間モジュールは、具体的には、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定することと、第3の非線形パラメータを取得するために、コイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することとを行うように構成される。
【0061】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される音質改善装置は、生成モジュールをさらに含む。生成モジュールは、フィルタリングゲインを生成するように構成される。フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される。
【0062】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、パラメータ調整モジュールをさらに含む。パラメータ調整モジュールは、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータを調整するように構成される。
【0063】
可能な実装においては、パラメータ調整モジュールは、具体的には、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定することと、第2の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正することとを行うように構成される。
【0064】
可能な実装においては、パラメータ調整モジュールは、具体的には、高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対して、フーリエ変換を実行することと、高調波歪みに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから、候補の調整されるパラメータを決定することと、候補の調整されるパラメータから、目標の調整されるパラメータを決定することとを行うように構成される。
【0065】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、取得モジュールをさらに含み得る。取得モジュールは、スピーカの音響信号を取得するように、またはスピーカの変位信号を取得するように構成される。
【0066】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとをさらに含む。変位決定モジュールは、スピーカの変位を決定するように構成される。制御ゲイン決定モジュールは、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成される。ゲイン制御モジュールは、第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される。
【0067】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、第2の入力信号に対して、第1の変位変換を実行することと、変位補正ゲインを決定することと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定することとを行うように構成される。
【0068】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するようにさらに構成される。
【0069】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するように構成される。
【0070】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定することと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することとを行うように構成される。
【0071】
第4の態様によれば、本出願の実施形態は、変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとを含む、音質改善装置を提供する。変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して、第1の変位変換を実行することと、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して、第2の変位変換を実行することと、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定することとを行うように構成される。制御ゲイン決定モジュールは、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成される。ゲイン制御モジュールは、スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される。
【0072】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定することと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することとを行うように構成される。
【0073】
第5の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む、音質改善装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成される。装置が動作するとき、プロセッサは、装置が第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行する。
【0074】
第6の態様によれば、本出願の実施形態は音質改善装置を提供する。装置はチップの製品形態で存在する。装置の構造は、プロセッサとメモリとを含む。メモリはプロセッサに結合されるように構成され、メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、装置が第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行するように構成される。
【0075】
第7の態様によれば、本出願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ命令を含み得、コンピュータ命令がコンピュータ上において動作するとき、音質改善装置は、第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる。
【0076】
第8の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む、音質改善装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成される。装置が動作するとき、プロセッサは、装置が第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行する。
【0077】
第9の態様によれば、本出願の実施形態は、音質改善装置を提供する。装置はチップの製品形態で存在する。装置の構造は、プロセッサとメモリとを含む。メモリはプロセッサに結合されるように構成され、メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、装置が第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行するように構成される。
【0078】
第10の態様によれば、本出願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ命令を含み得、コンピュータ命令がコンピュータ上において動作するとき、音質改善装置は、第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる。
【0079】
本出願の実施形態の第3の態様から第10の態様、および対応する可能な実装における技術的解決策によって達成される有益な効果については、第1の態様および第1の態様の対応する可能な実装、または第2の態様および第2の態様の対応する可能な実装の上述の技術効果を参照することが理解されるべきである。詳細がここで再び説明されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本出願の実施形態によるモバイルホンの構造の概略図である。
図2】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図1である。
図3】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図2である。
図4】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図1である。
図5】本出願の実施形態によるスピーカの非線形パラメータを調整するための方法の概略図である。
図6】本出願の実施形態によるスピーカの非線形パラメータを調整するための方法のフローブロック図である。
図7】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図3である。
図8】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図2である。
図9】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図3である。
図10】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図4である。
図11】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図1である。
図12】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図2である。
図13】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図3である。
図14】本出願の実施形態による音質改善装置の構成の概略図4である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本明細書における「および/または」という用語は、関連付けられたオブジェクトを記述するための関連付け関係だけを記述し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つのケース、すなわち、Aだけが存在するケース、AとBの両方が存在するケース、およびBだけが存在するケースを表し得る。
【0082】
明細書および特許請求の範囲における本出願の実施形態においては、「第1の」および「第2の」などの用語は、異なるオブジェクトを区別することを意図しており、オブジェクトの特定の順序を示していない。例えば、第1の非線形パラメータ、および第2の非線形パラメータなどは、異なる非線形パラメータを区別するために使用されるが、非線形パラメータの特定の順序を記述するためには使用されない。第1の入力信号、および第2の入力信号は、異なる入力信号を区別するために使用されるが、入力信号の特定の順序を記述するためには使用されない。
【0083】
本出願の実施形態においては、「例」または「例えば」などの語は、例、例示、または説明を与えることを表すために使用される。本出願の実施形態において、「例」または「例えば」として説明されるいずれの実施形態または設計スキームも、別の実施形態または設計スキームよりも好ましい、またはより多くの利点を有するものとして説明されるべきではない。正確には、「例」および「例えば」などの表現の使用は、関連する概念の具体的な提示を与えることを意図している。
【0084】
本出願の実施形態の説明において特に断らない限り、「複数の」は2つ以上を意味する。例えば、複数の処理ユニットは2つ以上の処理ユニットを指し、複数のシステムは2つ以上のシステムを指す。
【0085】
最初に、本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法および装置におけるいくつかの基本的な知識および概念が説明および記述される。
【0086】
現在、スピーカの音質に影響する因子は、スピーカの非線形因子と、スピーカの変位(以下のスピーカの変位は、スピーカの振動板の変位である)とを含み得る。
【0087】
音質に対するスピーカの非線形因子の影響:スピーカの非線形性は、スピーカのハードウェア構造(例えば、スピーカの小さいサイズおよび大きい変位などの構造的特徴)のせいで、スピーカの出力音質が歪められる現象であり、非線形歪みと呼ばれることがある。特に、高振幅の信号がスピーカに入力されたとき、スピーカの非線形性はより明らかになり、あまりにも大きい歪みが出力信号に存在することがあり、聴覚体験に影響する。
【0088】
音質に対するスピーカの変位の影響:スピーカの振動板の変位があまりにも大きいとき、スピーカの振動板は物理的な衝突を起こすことがあり、ノイズを生じさせ、スピーカに対する機械的損傷さえも引き起こす。
【0089】
本出願の実施形態においては、スピーカの非線形パラメータがスピーカのハードウェアによって引き起こされる非線形歪みを補償して、スピーカの音質を改善するために使用され得る。加えて、スピーカの変位が、スピーカの音質を改善するために制御されることができる。
【0090】
スピーカの非線形パラメータは以下のパラメータを含み得るが、それらに限定されないことが理解されるべきである。
【0091】
力係数BL(x)は、スピーカの磁気回路システムの力係数である。
【0092】
機械的剛性Kms(x)は、スピーカのサスペンションシステムの剛性であり、Kms(x)は、1次係数、2次係数、3次係数など、異なる係数を含み得る。
【0093】
インダクタンスLe(x)は、スピーカのコイルのインダクタンスである。
【0094】
ダンピングRm(v)は、スピーカのダンピング係数であり、Rm(v)は、1次係数、2次係数、3次係数など、異なる係数を含み得る。
【0095】
本明細書においては、xはスピーカの振動板の変位であり、vはスピーカの振動板の移動速度である。
【0096】
スピーカの非線形パラメータは、スピーカの異なる作動状態において変化することがあることが留意されるべきである。例えば、スピーカのコイルが異なる温度にあるとき、Kms(x)の値は変化し得、Rm(v)の値も変化し得る。言い換えると、異なる温度においては、Kms(x)の異なる値が存在し、異なる温度においては、Rm(x)の異なる値が存在する。
【0097】
スピーカの入力信号は、M個(Mは1以上の正の整数)のデジタル信号と、(n個の点と呼ばれることもある)n個の対応する電圧値とを含む。例えば、入力信号Uin=[Uin(1),Uin(2),...,Uin(n),...,Uin(M)]である。本出願の実施形態においては、入力信号を処理することは、入力信号内のすべてのデジタル信号を順次的に処理することである。説明を簡単にするために、第nのデジタル信号が入力される瞬間はtnと表記され、瞬間tnに対応する入力信号はUin(n)またはUin(tn)と表記される。
【0098】
背景に存在する問題に基づいて、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法および装置を提供する。スピーカの非線形パラメータ(すなわち、以下の実施形態における第3の非線形パラメータ)が、スピーカの直流抵抗に基づいた補間方法において取得され得、非線形補償が非線形パラメータに基づいてスピーカの入力信号に対して実行され、スピーカの出力信号を取得するために、フィルタリングが、補償された入力信号に対して実行される。したがって、非線形補償がスピーカに対して実行され、スピーカの音質が改善されることができる。
【0099】
本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法および装置は、スピーカ機能を有する端末デバイス、例えば、モバイルホン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートスピーカ、またはテレビなど、スピーカを提供された電子デバイスに適用され得る。例えば、本出願の実施形態において提供される技術的解決策は、スピーカの音質を改善し、ユーザの主観的体験を改善するために、(モノラル、バイノーラル、および4チャンネルステレオ再生を含む)スピーカモードにおける音楽および映画の再生、(オペレータ通話、もしくはインターネット通話などを含む)ハンズフリー通話、(スピーカモード、およびヘッドホンモードを含む)モバイルホンの着信音、またはスピーカモードにおけるゲームのプレイなどのシナリオにおいて使用され得る。
【0100】
例えば、端末デバイスはモバイルホンである。図1は、モバイルホン100の構造の概略図である。モバイルホン100は、プロセッサ110、外部メモリインターフェース120、内部メモリ121、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus,USB)インターフェース130、充電管理モジュール140、電力管理モジュール141、バッテリ142、アンテナ1、アンテナ2、モバイル通信モジュール150、無線通信モジュール160、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信機170B、マイクロホン170C、ヘッドセットジャック170D、センサモジュール180、ボタン190、モータ191、インジケータ192、カメラ193、ディスプレイ194、および加入者識別モジュール(subscriber identification module,SIM)カードインターフェース195などを含み得る。センサモジュール180は、圧力センサ180A、ジャイロセンサ180B、気圧センサ180C、磁気センサ180D、加速度センサ180E、距離センサ180F、光近接センサ180G、指紋センサ180H、温度センサ180J、タッチセンサ180K、環境光センサ180L、および骨伝導センサ180Mなどを含み得る。
【0101】
本出願のこの実施形態において示される構造は、モバイルホン100に対する具体的な限定を構成しないことが理解され得る。本出願の他のいくつかの実施形態においては、モバイルホン100は図に示されたものよりも多いもしくは少ないコンポーネントを含んでよく、またはいくつかのコンポーネントは組み合わされてよく、またはいくつかのコンポーネントは分割されてよく、または異なるコンポーネントレイアウトが存在してよい。図に示されたコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、実施され得る。
【0102】
プロセッサ110は、1つまたは複数の処理ユニットを含み得る。例えば、プロセッサ110は、アプリケーションプロセッサ(application processor,AP)、モデムプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit,GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor,ISP)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、ベースバンドプロセッサ、および/またはニューラル-ネットワーク処理ユニット(nural-network processing unit,NPU)を含み得る。異なる処理ユニットは、独立したデバイスであり得、または1つもしくは複数のプロセッサに統合され得る。
【0103】
コントローラはモバイルホン100の神経中枢およびコマンドセンタであり得る。コントローラは、命令をフェッチし、命令を実行することを制御するために、命令オペレーションコードと、時系列信号とに基づいて、オペレーション制御信号を生成する。
【0104】
メモリはプロセッサ110内にさらに配置されてよく、命令およびデータを記憶するように構成される。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110内のメモリは、キャッシュである。メモリは、プロセッサ110によって使用されたばかりの、またはサイクリックに使用される命令またはデータを記憶し得る。プロセッサ110が命令またはデータを再び使用する必要がある場合、プロセッサは、命令またはデータをメモリから直接的に呼び出し得る。これは繰り返されるアクセスを回避し、プロセッサ110の待ち時間を短縮する。したがって、システム効率が改善される。
【0105】
いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は1つまたは複数のインターフェースを含み得る。インターフェースは、集積回路間(inter-integrated circuit,I2C)インターフェース、集積回路間音声(inter-integrated circuit sound,I2S)インターフェース、パルス符号変調(pulse code modulation、PCM)インターフェース、ユニバーサル非同期受信機/送信機(universe asynchronous receiver/transmitter,UART)インターフェース、モバイルインダストリプロセッサインターフェース(mobile industry processor interface,MIPI)、汎用入出力(general-purpose input/output,GPIO)インターフェース、加入者識別モジュール(subscriber identity module,SIM)インターフェース、および/または汎用シリアルバス(universal serial bus,USB)インターフェースなどを含み得る。
【0106】
I2Cインターフェースは、シリアルデータライン(serial data line,SDA)と、シリアルクロックライン(derail clock line,SCL)とを含む、双方向同期式シリアルバスである。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は、I2Cバスの複数のグループを含み得る。プロセッサ110は、異なるI2Cバスインターフェースを通して、タッチセンサ180K、充電器、フラッシュ、およびカメラ193などに別々に結合され得る。例えば、モバイルホン100のタッチ機能を実施するために、プロセッサ110が、I2Cバスインターフェースを通してタッチセンサ180Kと通信するように、プロセッサ110は、I2Cインターフェースを通してタッチセンサ180Kに結合され得る。
【0107】
I2Sインターフェースは、オーディオ通信を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は、I2Sバスの複数のグループを含み得る。プロセッサ110は、プロセッサ110とオーディオモジュール170との間の通信を実施するために、I2Sバスを通してオーディオモジュール170に結合され得る。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって呼に応答する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、I2Sインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。
【0108】
PCMインターフェースも、オーディオ通信を実行し、アナログ信号をサンプリング、量子化、およびコーディングするように構成され得る。いくつかの実施形態においては、オーディオモジュール170は、PCMバスインターフェースを通して無線通信モジュール160に結合され得る。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって、呼に応答する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、代替として、PCMインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。I2SインターフェースおよびPCMインターフェースは、ともにオーディオ通信を実行するように構成され得る。
【0109】
UARTインターフェースはユニバーサルシリアルデータバスであり、非同期通信を実行するように構成される。バスは双方向通信バスであり得る。バスは、送信されるデータをシリアル通信とパラレル通信との間で切り替える。いくつかの実施形態においては、UARTインターフェースは、通常、プロセッサ110を無線通信モジュール160に接続するように構成される。例えば、プロセッサ110は、ブルートゥース機能を実施するために、UARTインターフェースを通して無線通信モジュール160内のブルートゥースモジュールと通信する。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって音楽を再生する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、UARTインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。
【0110】
MIPIインターフェースは、プロセッサ110を、ディスプレイ194またはカメラ193などの周辺コンポーネントに接続するように構成され得る。MIPIインターフェースは、カメラシリアルインターフェース(camera serial interface,CSI)、またはディスプレイシリアルインターフェース(display serial interface,DSI)などを含む。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100の撮影機能を実施するために、プロセッサ110は、CSIインターフェースを通してカメラ193と通信する。プロセッサ110は、モバイルホン100の表示機能を実施するために、DSIインターフェースを通してディスプレイ194と通信する。
【0111】
GPIOインターフェースは、ソフトウェアを使用することによって構成され得る。GPIOインターフェースは、制御信号またはデータ信号として構成され得る。いくつかの実施形態においては、GPIOインターフェースは、プロセッサ110を、カメラ193、ディスプレイ194、無線通信モジュール160、オーディオモジュール170、およびセンサモジュール180などに接続するように構成され得る。GPIOインターフェースは、代替として、I2Cインターフェース、I2Sインターフェース、UARTインターフェース、またはMIPIインターフェースなどとして構成され得る。
【0112】
USBインターフェース130は、USB規格仕様に準拠したインターフェースであり、具体的には、ミニUSBインターフェース、マイクロUSBインターフェース、またはUSBタイプCインターフェースなどであり得る。USBインターフェース130は、モバイルホン100を充電するために、充電器に接続するように構成され得、またはモバイルホン100と周辺デバイスとの間でデータを送信するように構成され得、またはヘッドセットを使用することによってオーディオを再生するために、ヘッドセットに接続するように構成され得る。インターフェースは、ARデバイスなどの別の電子デバイスに接続するようにさらに構成され得る。
【0113】
本出願のこの実施形態において示された、モジュール間のインターフェース接続関係は、説明のための例にすぎず、モバイルホン100の構造に対する限定を構成しないことが理解され得る。本出願の他のいくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、代替として、上述の実施形態におけるものとは異なるインターフェース接続方式を使用し得、または複数のインターフェース接続方式の組み合わせを使用し得る。
【0114】
充電管理モジュール140は、充電器から充電入力を受け取るように構成される。充電器は無線充電器または有線充電器であり得る。有線充電が使用されるいくつかの実施形態においては、充電管理モジュール140は、充電入力を、USBインターフェース130を通して有線充電器から受け取り得る。無線充電のいくつかの実施形態においては、充電管理モジュール140は、モバイルホン100の無線充電コイルを使用することによって無線充電入力を受け取り得る。充電管理モジュール140は、バッテリ142が充電されたとき、電力管理モジュール141を使用することによって電力を電子デバイスにさらに供給し得る。
【0115】
電力管理モジュール141は、バッテリ142、充電管理モジュール140、およびプロセッサ110に接続するように構成される。電力管理モジュール141は、バッテリ142および/または充電管理モジュール140の入力を受け取り、電力を、プロセッサ110、内部メモリ121、外部メモリ、ディスプレイ194、カメラ193、および無線通信モジュール160などに供給する。電力管理モジュール141は、バッテリ容量、バッテリサイクル数、およびバッテリ健全性ステータス(漏電またはインピーダンス)などの、パラメータを監視するようにさらに構成され得る。他のいくつかの実施形態においては、電力管理モジュール141は、代替として、プロセッサ110内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、電力管理モジュール141と充電管理モジュール140は、代替として、同じデバイス内に配置され得る。
【0116】
モバイルホン100の無線通信機能は、アンテナ1、アンテナ2、モバイル通信モジュール150、無線通信モジュール160、モデムプロセッサ、およびベースバンドプロセッサなどを使用することによって実施され得る。
【0117】
アンテナ1およびアンテナ2は、電磁波信号を送信および受信するように構成される。モバイルホン100内の各アンテナは、1つまたは複数の通信周波数帯域をカバーするように構成され得る。異なるアンテナは、アンテナ利用を改善するために多重化され得る。例えば、アンテナ1は、無線ローカルエリアネットワークにおいては、ダイバーシティアンテナとして多重化され得る。他のいくつかの実施形態においては、アンテナは、チューニングスイッチと組み合わせて、使用され得る。
【0118】
モバイル通信モジュール150は、モバイルホン100に適用される、2G、3G、4G、または5Gなどを含む無線通信のための、解決策を提供し得る。モバイル通信モジュール150は、少なくとも1つのフィルタ、スイッチ、電力増幅器、および低雑音増幅器(low noise amplifier,LNA)などを含み得る。モバイル通信モジュール150は、アンテナ1を通して電磁波を受信し、受信された電磁波に対して、フィルタリングおよび増幅などの処理を実行し、処理された電磁波を、復調のために、モデムプロセッサに送信し得る。モバイル通信モジュール150は、さらに、モデムプロセッサによって変調された信号を増幅し、アンテナ1を通した放射のために、信号を電磁波に変換し得る。いくつかの実施形態においては、モバイル通信モジュール150の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内に配置され得る。いくつかの実施形態においては、モバイル通信モジュール150内の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内の少なくともいくつかのモジュールと同じデバイス内に配置され得る。
【0119】
モデムプロセッサは、変調器と、復調器とを含み得る。変調器は、送信される低周波ベースバンド信号を、中/高周波信号に変調するように構成される。復調器は、受信された電磁波信号を、低周波ベースバンド信号に復調するように構成される。その後、復調器は、復調を通して取得された低周波ベースバンド信号を、処理のために、ベースバンドプロセッサに送信する。ベースバンドプロセッサは、低周波ベースバンド信号を処理し、その後、処理された信号をアプリケーションプロセッサに送信する。アプリケーションプロセッサは、(スピーカ170A、もしくは受信機170Bなどに限定されない)オーディオデバイスを使用することによって、音声信号を出力し、または画像もしくはビデオをディスプレイ194上に表示する。いくつかの実施形態においては、モデムプロセッサは独立したコンポーネントであり得る。他のいくつかの実施形態においては、モデムプロセッサはプロセッサ110から独立していてよく、モバイル通信モジュール150または別の機能モジュールと同じデバイス内に配置される。
【0120】
無線通信モジュール160は、モバイルホン100に適用される、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network,WLAN)(例えば、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity,Wi-Fi)ネットワーク)、ブルートゥース(Bluetooth,BT)、全地球航法衛星システム(global navigation satellite system,GNSS)、周波数変調(frequency modulation,FM)、近距離無線通信(near field communication,NFC)、および赤外線(infrared,IR)技術などを含む無線通信のための、解決策を提供し得る。無線通信モジュール160は、少なくとも1つの通信処理モジュールを統合した1つまたは複数のコンポーネントであり得る。無線通信モジュール160は、アンテナ2を通して電磁波を受信し、電磁波信号に対して周波数変調およびフィルタリング処理を実行し、処理された信号をプロセッサ110に送信する。無線通信モジュール160は、さらに、送信される信号をプロセッサ110から受信し、信号に対して、周波数変調および増幅を実行し、アンテナ2を通した放射のために、信号を電磁波に変換し得る。
【0121】
いくつかの実施形態においては、モバイルホン100が無線通信技術を使用することによってネットワークおよび別のデバイスと通信することができるように、モバイルホン100のアンテナ1とモバイル通信モジュール150は結合され、モバイルホン100のアンテナ2と無線通信モジュール160は結合される。無線通信技術は、移動体通信向けグローバルシステム(global system for mobile communications,GSM)、汎用パケット無線サービス(general packet radio service,GPRS)、符号分割多元接続(code division multiple access,CDMA)、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access,WCDMA)、時分割符号分割多元接続(time-division code division multiple access,TD-SCDMA)、ロングタームエボリューション(long term evolution,LTE)、BT、GNSS、WLAN、NFC、FM、および/またはIR技術などを含み得る。GNSSは、全地球測位システム(global positioning system,GPS)、全地球航法衛星システム(global navigation satellite system,GLONASS)、北斗航法衛星システム(BeiDou navigation satellite system,BDS)、準天頂衛星システム(quasi-zenith satellite system,QZSS)、および/または静止衛星型補強システム(satellite based augmentation systems,SBAS)を含み得る。
【0122】
モバイルホン100は、GPU、ディスプレイ194、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、表示機能を実施する。GPUは、画像処理のためのマイクロプロセッサであり、ディスプレイ194およびアプリケーションプロセッサに接続される。GPUは、数学的および幾何学的計算を実行し、画像をレンダリングするように構成される。プロセッサ110は、表示情報を生成または変更するためのプログラム命令を実行する1つまたは複数のGPUを含み得る。
【0123】
ディスプレイ194は、画像およびビデオなどを表示するように構成される。ディスプレイ194は、ディスプレイパネルを含む。ディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display,LCD)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode,OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode,AMOLED)、フレキシブル発光ダイオード(flex light-emitting diode,FLED)、ミニLED、マイクロLED、マイクロOLED、または量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode,QLED)などであり得る。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、1つまたはN個のディスプレイ194を含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0124】
モバイルホン100は、ISP、カメラ193、ビデオコーデック、GPU、ディスプレイ194、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、撮影機能を実施し得る。
【0125】
ISPは、カメラ193によってフィードバックされたデータを処理するように構成される。例えば、撮影中、シャッタが押され、光がレンズを通してカメラの受光素子に送られる。光信号は、電気信号に変換される。カメラの受光素子は、電気信号を処理のためにISPに送信し、電気信号を可視画像に変換する。ISPは、画像のノイズ、明るさ、色合いに対して、アルゴリズム最適化をさらに実行し得る。ISPは、撮影シナリオの露出および色温度などのパラメータをさらに最適化し得る。いくつかの実施形態においては、ISPは、カメラ193内に配置され得る。
【0126】
カメラ193は、静止画像またはビデオをキャプチャするように構成される。対象物の光学像がレンズを通して生成され、受光素子に投影される。受光素子は、電荷結合素子(charge coupled device,CCD)または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor,CMOS)光電子トランジスタであり得る。受光素子は光信号を電気信号に変換し、その後、電気信号をデジタル画像信号に変換するために、電気信号をISPに送信する。ISPは、デジタル画像信号を処理のためにDSPに出力する。DSPは、デジタル画像信号を、RGBフォーマットまたはYUVフォーマットなどの標準的な画像信号に変換する。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は1つまたはN個のカメラ193を含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0127】
デジタル信号プロセッサは、デジタル信号を処理するように構成され、デジタル画像信号に加えて、別のデジタル信号(例えば、オーディオ信号)を処理し得る。例えば、モバイルホン100が周波数を選択したとき、デジタル信号プロセッサは周波数エネルギーに対するフーリエ変換などを実行するように構成される。
【0128】
ビデオコーデックは、デジタルビデオを圧縮または伸張するように構成される。モバイルホン100は、1つまたは複数のビデオコーデックをサポートし得る。このように、モバイルホン100は、複数のコーディングフォーマットで、例えば、ムービングピクチャエキスパートグループ(moving picture experts group,MPEG)-1、MPEG-2、MPEG-3、およびMPEG-4で、ビデオを再生または記録することができる。
【0129】
NPUは、生体神経ネットワークの構造を参考にすることによって、例えば、人間の脳のニューロン間の転送モードを参考にすることによって、入力情報を高速に処理し、さらに自己学習を連続して実行することができる、ニューラルネットワーク(neural-network,NN)コンピューティングプロセッサである。モバイルホン100の知的認知、例えば、画像認識、顔認識、声認識、テキスト理解などのアプリケーションは、NPUを使用することによって実施されることができる。
【0130】
外部メモリインターフェース120は、モバイルホン100の記憶能力を拡張するために、マイクロSDカードなどの外部メモリカードに接続するように構成され得る。外部メモリカードは、データ記憶機能を実施するために、外部メモリインターフェース120を通してプロセッサ110と通信する。例えば、音楽およびビデオなどのファイルは、外部メモリカード内に記憶される。
【0131】
内部メモリ121は、コンピュータ実行可能プログラムコードを記憶するように構成され得る。実行可能プログラムコードは命令を含む。プロセッサ110は、モバイルホン100の様々な機能アプリケーション、およびデータ処理を実行するために、内部メモリ121内に記憶された命令を動作させる。内部メモリ121は、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを含み得る。プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、および少なくとも1つの機能(例えば、サウンド再生機能、または画像再生機能)によって必要とされるアプリケーションなどを記憶し得る。データ記憶領域は、モバイルホン100の使用中に作成されたデータ(例えば、オーディオデータ、またはアドレスブック)などを記憶し得る。加えて、内部メモリ121は、高速ランダムアクセスメモリを含み得、または不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、もしくはユニバーサルフラッシュストレージ(universal flash storage,UFS)を含み得る。
【0132】
モバイルホン100は、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信機170B、マイクロホン170C、ヘッドセットジャック170D、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、音楽再生または記録などのオーディオ機能を実施し得る。
【0133】
オーディオモジュール170は、デジタルオーディオ情報を出力のためにアナログオーディオ信号に変換するように構成され、アナログオーディオ入力を、デジタルオーディオ信号に変換するようにも構成される。オーディオモジュール170は、オーディオ信号をエンコードおよびデコードするようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態においては、オーディオモジュール170は、プロセッサ110内に配置され得、またはオーディオモジュール170のいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内に配置される。
【0134】
「ホーン」とも呼ばれるスピーカ170Aは、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成される。モバイルホン100は、スピーカ170Aを通して音楽を聴き、またはハンズフリー通話に応答し得る。
【0135】
「イヤホン」とも呼ばれる受信機170Bは、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成される。モバイルホン100を使用することによって、呼が応答され、または声情報が受信されたとき、受信機170Bは声を聞くために人間の耳の近くに置かれ得る。
【0136】
「マイク」または「mic」とも呼ばれるマイクロホン170Cは、音声信号を電気信号に変換するように構成される。通話を行う、または声情報を送るとき、ユーザは、マイクロホン170Cの近くで、ユーザの口を動かすことによって音声を出して、音声信号をマイクロホン170Cに入力し得る。少なくとも1つのマイクロホン170Cがモバイルホン100内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、音声信号を収集し、さらにノイズリダクション機能を実施するために、2つのマイクロホン170Cがモバイルホン100内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、音声信号を収集し、ノイズを低減させ、さらに音源を識別し、指向性記録機能を実施するためなどに、3つ、4つ、またはそれよりも多いマイクロホン170Cが、代替として、モバイルホン100内に配置され得る。
【0137】
ヘッドセットジャック170Dは、有線ヘッドセットに接続するように構成される。ヘッドセットジャック170Dは、USBインターフェース130、または3.5mmオープンモバイル端末プラットフォーム(open mobile terminal platform,OMTP)規格インターフェース、もしくは米国セルラ通信工業会(cellular telecommunications industry association of the USA,CTIA)規格インターフェースであり得る。
【0138】
圧力センサ180Aは、圧力信号を感知するように構成され、圧力信号を電気信号に変換し得る。いくつかの実施形態においては、圧力センサ180Aはディスプレイ194上に配置され得る。抵抗型圧力センサ、誘導型圧力センサ、および静電容量型圧力センサなど、複数のタイプの圧力センサ180Aが存在する。静電容量型圧力センサは、導電性材料で作られた、少なくとも2つの平行なプレートを含み得る。力が圧力センサ180Aに加えられたとき、電極間の静電容量が変化する。モバイルホン100は、静電容量変化に基づいて、圧力強度を決定する。ディスプレイ194に対して、タッチ操作が実行されたとき、モバイルホン100は、圧力センサ180Aを使用することによって、タッチ操作の強さを検出する。モバイルホン100は、圧力センサ180Aの検出信号に基づいて、タッチ位置も計算し得る。いくつかの実施形態においては、同じタッチ位置において実行されたが、異なるタッチ操作強さを有するタッチ操作は、異なる動作命令に対応し得る。例えば、タッチ操作強さが第1の圧力しきい値未満であるタッチ操作が、メッセージアイコン上において実行されたとき、SMSメッセージを閲覧するための命令が実行される。タッチ操作強さが第1の圧力しきい値以上であるタッチ操作がメッセージアイコン上において実行されたとき、SMSメッセージを作成するための命令が実行される。
【0139】
ジャイロセンサ180Bは、モバイルホン100の運動姿勢を決定するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、ジャイロセンサ180Bは、3つの軸(すなわち、x軸、y軸、およびz軸)の周りのモバイルホン100の角速度を決定するために使用され得る。ジャイロセンサ180Bは、撮影中、画像安定化を実施するように構成され得る。例えば、シャッタが押されたとき、ジャイロセンサ180Bはモバイルホン100が小刻みに動く角度を検出し、角度に基づいた計算を通してレンズモジュールが補正する必要がある距離を取得し、画像安定化を実施するために、レンズがモバイルホン100の小刻みの動きを、逆の動きを通して打ち消すことを可能にする。ジャイロセンサ180Bは、ナビゲーションシナリオ、および動き感知ゲームシナリオにおいて、さらに使用され得る。
【0140】
気圧センサ180Cは、気圧を測定するように構成される。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、測位およびナビゲーションを支援するために、気圧センサ180Cによって測定された大気圧の値に基づいて高度を計算する。
【0141】
磁気センサ180Dは、ホール効果センサを含む。モバイルホン100は、磁気センサ180Dを使用することによってフリップカバーの開閉を検出し得る。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100が折り畳み式ホンであるとき、モバイルホン100は、磁気センサ180Dを使用することによってフリップカバーの開閉を検出し得る。さらに、フリップカバーを開いたときの自動アンロックなどの特徴は、フリップカバーの検出された開閉状態に基づいて設定される。
【0142】
加速度センサ180Eは、様々な方向(通常は3軸上)におけるモバイルホン100の加速度の大きさを検出し得る。モバイルホン100が静止しているとき、重力の値および方向が検出され得る。加速度センサ180Eは、電子デバイスの姿勢を識別するようにさらに構成され得、横向きモードと縦向きモードとの間の切り替え、または歩数計などのアプリケーションにおいて使用される。
【0143】
距離センサ180Fは距離を測定するように構成される。モバイルホン100は赤外線またはレーザを通して距離を測定し得る。いくつかの実施形態においては、撮影シナリオにおいて、モバイルホン100は、迅速な焦点合わせを実施するために、距離センサ180Fを使用することによって距離を測定し得る。
【0144】
光近接センサ180Gは、例えば、発光ダイオード(LED)と、フォトダイオードなどの光学検出器とを含み得る。発光ダイオードは、赤外線発光ダイオードであり得る。モバイルホン100は、発光ダイオードを使用することによって、赤外光を放射し得る。モバイルホン100は、フォトダイオードを使用することによって、近くの物体からの反射赤外光を検出する。十分な反射光が検出されたとき、モバイルホン100の近くに物体が存在すると決定され得る。不十分な反射光しか検出されないとき、モバイルホン100は、モバイルホン100の近くに物体が存在しないと決定し得る。モバイルホン100は、電力を節約するために、自動画面オフが実施されるように、ユーザが会話のためにモバイルホン100を耳の近くに置いたことを、光近接センサ180Gを使用することによって検出し得る。光近接センサ180Gは、画面を自動的にアンロックまたはロックするために、レザーケースモードまたはポケットモードにおいても使用され得る。
【0145】
環境光センサ180Lは、環境光輝度を感知するように構成される。モバイルホン100は、環境光の感知された輝度に基づいてディスプレイ194の輝度を適応的に調整し得る。環境光センサ180Lは、撮影中にホワイトバランスを自動的に調整するようにさらに構成され得る。環境光センサ180Lは、モバイルホン100がポケット内にあるかどうかを検出するために、光近接センサ180Gとさらに協働し得、それによって偶発的なタッチを防止する。
【0146】
指紋センサ180Hは、指紋を収集するように構成される。モバイルホン100は、指紋ベースのアンロック、アプリケーションロックアクセス、指紋ベースの撮影、および指紋ベースの通話応答などを実施するために、収集された指紋の特徴を使用し得る。
【0147】
温度センサ180Jは温度を検出するように構成される。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、温度センサ180Jによって検出された温度を使用することによって、温度処理ポリシを実行する。例えば、温度センサ180Jによって報告された温度がしきい値を超えたとき、モバイルホン100は、電力消費を低減させ、熱保護を実施するために、温度センサ180Jの近くのプロセッサの稼働を低減させる。他のいくつかの実施形態においては、温度が別のしきい値よりも低いとき、低い温度によって引き起こされるモバイルホン100の異常なシャットダウンを回避するために、モバイルホン100はバッテリ142を加熱する。他のいくつかの実施形態においては、温度がさらに別のしきい値よりも低いとき、低い温度によって引き起こされる異常なシャットダウンを回避するために、モバイルホン100はバッテリ142の出力電圧を上げる。
【0148】
タッチセンサ180Kは「タッチパネル」とも呼ばれる。タッチセンサ180Kはディスプレイ194上に配置され得、タッチセンサ180Kとディスプレイ194は「タッチスクリーン」とも呼ばれるタッチスクリーンを形成する。タッチセンサ180Kは、タッチセンサ上またはその近くで実行されたタッチ操作を検出するように構成される。タッチセンサは、タッチイベントのタイプを決定するために、検出されたタッチ操作をアプリケーションプロセッサに転送する。タッチ操作に関連する視覚的な出力は、ディスプレイ194上において提供され得る。他のいくつかの実施形態においては、タッチセンサ180Kは、代替として、モバイルホン100の表面上に配置され得、ディスプレイ194のそれとは異なる位置にある。
【0149】
骨伝導センサ180Mは、振動信号を取得し得る。いくつかの実施形態においては、骨伝導センサ180Mは、人間の声帯部の振動骨の振動信号を取得し得る。骨伝導センサ180Mは、人間の脈拍に接触し、血圧の拍動信号を受け取り得る。いくつかの実施形態においては、骨伝導センサ180Mは、代替として、骨伝導ヘッドセットを形成するために、ヘッドセット内に配置され得る。オーディオモジュール170は、声機能を実施するために、発声部の振動骨についてのものであり、骨伝導センサ180Mによって取得された振動信号に基づいた解析を通して声信号を取得し得る。アプリケーションプロセッサは、心拍検出機能を実施するために、骨伝導センサ180Mによって取得された血圧拍動信号に基づいて心拍情報を解析し得る。
【0150】
ボタン190は、電源ボタン、および音量ボタンなどを含む。ボタン190は、機械的ボタンであり得、またはタッチセンシティブボタンであり得る。モバイルホン100はボタン入力を受け取り、モバイルホン100のユーザ設定および機能制御に関連するボタン信号入力を生成し得る。
【0151】
モータ191は振動プロンプトを生成し得る。モータ191は、着呼振動プロンプト、またはタッチ振動フィードバックを提供するように構成され得る。例えば、異なるアプリケーション(例えば、写真撮影、およびオーディオ再生)に対して実行されるタッチ操作は、異なる振動フィードバック効果に対応し得る。モータ191は、ディスプレイ194の異なる領域上において実行されるタッチ操作に対する、異なる振動フィードバック効果にも対応し得る。異なるアプリケーションシナリオ(例えば、時刻リマインダ、情報受け取り、アラーム時計、およびゲーム)も、異なる振動フィードバック効果に対応し得る。タッチ振動フィードバック効果は、さらにカスタマイズされ得る。
【0152】
インジケータ192はインジケータであり得、充電ステータスおよび電力変化を示すように構成され得、またはメッセージ、不在着信、および通知などを示すように構成され得る。
【0153】
SIMカードインターフェース195は、SIMカードに接続するように構成される。SIMカードは、モバイルホン100との接触、またはモバイルホン100からの分離を実施するために、SIMカードインターフェース195に挿入され、またはSIMカードインターフェース195から引き抜かれ得る。モバイルホン100は、1つまたはN個のSIMカードインターフェースをサポートしてよく、Nは1よりも大きい正の整数である。SIMカードインターフェース195は、ナノSIMカード、マイクロSIMカード、およびSIMカードなどをサポートすることができる。複数のカードが同じSIMカードインターフェース195に同時に挿入されてよい。複数のカードは同じタイプであってよく、または異なるタイプであってよい。SIMカードインターフェース195は、異なるタイプのSIMカードと互換性があり得る。SIMカードインターフェース195は、外部メモリカードとも互換性があり得る。モバイルホン100は、通話およびデータ通信などの機能を実施するために、SIMカードを使用することによって、ネットワークと対話する。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、eSIM、すなわち、埋め込み型SIMカードを使用する。eSIMカードは、モバイルホン100に埋め込まれ得、モバイルホン100から分離されることができない。
【0154】
本出願の実施形態においては、端末デバイス(例えば、モバイルホン)は、本出願のこの実施形態におけるいくつかまたはすべてのステップを実行し得ることを理解することができる。これらのステップまたは動作は例にすぎない。本出願の実施形態においては、別の動作、または様々な動作の変形が実行されてよい。加えて、ステップは本出願の実施形態において提示された順序とは異なる順序で実行されてよく、本出願の実施形態におけるすべての動作が、必ずしも実行されるわけではない。本出願の実施形態は、別々に実施されてよく、または任意の組み合わせで実施されてよい。これは本出願においては限定されない。
【0155】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの音質を改善するために、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行され得、またはスピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行され得、またはスピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行され得、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行され得る。
【0156】
以下では、本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法について詳細に説明する。
【0157】
図2に示されように、スピーカの音質を改善するために、スピーカの入力信号に対して非線形補償が実行されるとき、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、S101からS103を含み得る。
【0158】
S101:スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する。
【0159】
第2の非線形パラメータはスピーカにおいて事前構成された非線形パラメータであり、スピーカの直流抵抗はスピーカのコイルの直流抵抗である。
【0160】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、第2の非線形パラメータは、スピーカの第1の非線形パラメータを調整することによって取得され得、第1の非線形パラメータは、(スピーカが製造され、使用されていない状態と理解されることができる)元の状態におけるスピーカの非線形パラメータである。スピーカの納入前に、スピーカの第1の非線形パラメータが最初に調整され、スピーカのパラメータが第1の非線形パラメータから第2の非線形パラメータに調整され、その後、スピーカが納入され使用される。
【0161】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータ(例えば、第1の非線形パラメータ、第2の非線形パラメータ、および第3の非線形パラメータ)は、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、およびダンピングのうちの少なくとも1つを含む。
【0162】
任意選択で、図2を参照すると、図3に示されるように、S101は、S1011およびS1012を使用することによって具体的に実施され得る。
【0163】
S1011:スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定する。
【0164】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗と、現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度とを取得するために、スピーカの出力信号、第2の非線形パラメータ、およびスピーカの線形パラメータがスピーカモデルに入力される。現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度は、入力信号における次の信号に対して信号補償を実行するために使用される。
【0165】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、スピーカモデルは従来技術におけるモデルであり得る。詳細が本出願のこの実施形態において説明されることはない。
【0166】
本出願の実施形態においては、スピーカの(ボイスコイルの温度と呼ばれることもある)コイルの温度と、スピーカのコイルの直流抵抗との間の関係は、以下の通りである。
【0167】
【数4】
【0168】
ここで、Tはスピーカのコイルの温度であり、Rはスピーカのコイルの直流抵抗であり、ηは温度上昇係数であり、R0は較正温度に対応する、コイルの直流抵抗であり、ボイスコイルの温度は、通常、摂氏25度に較正される。
【0169】
スピーカの直流抵抗が取得された後、スピーカのコイルの温度が上述の式に基づいて取得され得る。
【0170】
S1012:第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカのコイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する。
【0171】
非線形パラメータ、例えば、第2の非線形パラメータのうちの非線形パラメータKms(x)が、第3の非線形パラメータを取得するために、第2の非線形パラメータに対して補間を実行する処理を説明するための例として使用される。
【0172】
最初に、スピーカのコイルの温度が異なる温度値を有するときに存在する非線形パラメータKms(x)の特性曲線が取得される。Kms(x)の特性曲線は、スピーカの剛性係数とスピーカの変位との間の関係を反映した曲線である。例えば、摂氏10度から摂氏55度までの10個のKms(x)の特性曲線が摂氏5度の間隔で取得され、10個の特性曲線のデータが記憶される。
【0173】
第2に、目標特性曲線(目標特性曲線は、第3の非線形パラメータの特性曲線の推定結果と理解され得る)を取得するために、スピーカのコイルの温度、温度しきい値1、および温度しきい値2に基づいて非線形パラメータKms(x)の特性曲線に対して線形補間が実行される。温度しきい値2は、温度しきい値1よりも大きく、第3の非線形パラメータは、スピーカのコイルの現在の温度に対応する非線形パラメータとして理解され得る。
【0174】
例えば、スピーカのコイルの温度はTと表記され、温度しきい値1はTminと表記され、温度しきい値2はTmaxと表記される。
【0175】
T<Tminである場合、Tminに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0176】
T>Tmaxである場合、Tmaxに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0177】
min≦T≦Tmaxである場合、目標特性曲線を生成するために、スピーカのコイルの温度に基づいて、Tminに対応する特性曲線と、Tmaxに対応する特性曲線とに対して、線形補間が実行される。
【0178】
最後に、目標特性曲線に対応する多項式の各係数を取得するために、目標特性曲線に対して、多項式フィッティングが実行される。各係数は、非線形パラメータと1対1の対応にある。したがって、第3の非線形パラメータは、多項式の各係数に基づいて、決定され得る。
【0179】
例えば、非線形パラメータKms(x)については、フィッティングを通して取得される2項式は、
f(x)=a0+a1x+a22+a33+a44
であることが仮定される。
【0180】
ここで、係数a1は、非線形パラメータKms(x)の1次係数に対応し、係数a2は非線形パラメータKms(x)の2次係数に対応し、係数a2は非線形パラメータKms(x)の3次係数に対応し、係数a4は非線形パラメータKms(x)の4次係数に対応する。
【0181】
第3の非線形パラメータにおける別のタイプのパラメータ、例えば、Rm(v)も、線形補間方法と同様の方法を使用することによって取得され得る。詳細が本明細書のこの実施形態において説明されることはない。
【0182】
任意選択で、非線形パラメータの特性曲線は、表の形式のデータであってよく、または別の形式のデータもしくはファイルであってよい。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0183】
スピーカの非線形パラメータは、リアルタイムに変化し得る。例えば、非線形パラメータは、スピーカのボイスコイルの温度に伴って変化する。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形抵抗(すなわち、第3の非線形抵抗)をリアルタイムに取得するために、スピーカの現在の直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間が実行される。第3の非線形パラメータは高い精度を有する。
【0184】
スピーカの非線形パラメータは、スピーカの変位にも伴って変化し得ることが理解されるべきである。本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗に基づいて、スピーカの変位を決定するために、同様の線形補間方法が使用され得、その後、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの変位に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間が実行される。このケースにおいては、S1012と異なり、第2の非線形パラメータの特性曲線は、異なる変位に対応する特性曲線である。
【0185】
S102:補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行する。
【0186】
具体的には、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行することは、補償された第1の入力信号を取得するために、第1の入力信号、第3の非線形パラメータ、スピーカの線形パラメータ、ならびに以前の瞬間に取得された電流、変位、および速度を、信号補償モデルに入力することを含む。
【0187】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの決定された第3の非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、良好な信号補償効果が存在し、入力信号に対する非線形パラメータの影響が効果的に低減させられることができるように、第3の非線形パラメータに基づいて、第1の入力信号に対して、信号補償が実行される。
【0188】
S103:スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行する。
【0189】
本出願のこの実施形態においては、補償された第1の入力信号は第1の信号と表記され、補償された第1の入力信号のフィルタリング処理はA1からA5を含む。
【0190】
A1:第2の信号を取得するために、ウェーブトラップを使用することによって、第1の信号に対してフィルタリングを実行する。
【0191】
任意選択で、ウェーブトラップの関数式は、以下の通りであり得る。
【0192】
Z(Z)=(a1+a2-1+a3-2)/(b1+b2-1+b3-2
【0193】
ここで、a1、a2、a3、b1、b2、b3は、ウェーブトラップのフィルタリング係数である。
【0194】
1=0.5*(1+μ)、a2=-β*(1+μ)、a3=0.5*(1+μ)
1=1、b2=-β*(1+μ)、b3=μ
である。
【0195】
ここで、β=cosw0
【0196】
【数5】
【0197】
【0198】
【数6】
【0199】
である。
【0200】
ここで、f0はスピーカの共振周波数であり、fsはサンプリング周波数であり、Bwはデジタル帯域幅係数である。
【0201】
A2:第3の信号を取得するために、第1の信号と第2の信号との間の差を計算する。
【0202】
A3:第4の信号を取得するために、第3の信号をフィルタリングゲインによって乗算する。
【0203】
フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対して、フィルタリングを実行するために使用される。
【0204】
A4:第5の信号を取得するために、第1の信号と第4の信号との間の差を計算し、第5の信号をスピーカの出力信号として使用する。
【0205】
本出願のこの実施形態においては、出力信号の歪みがさらに低減させられ、スピーカの音質が効果的に改善されることができるように、スピーカの振動板についてのものであり共振周波数の近くに存在する速度を調整するために、第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。
【0206】
本出願のこの実施形態においては、入力信号に基づいて、フィルタリングゲインが生成され得る。具体的には、フィルタリングゲインを生成することはS1およびS2を含み得る。
【0207】
S1:現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値を決定する。
【0208】
第1の入力信号は、複数の信号フレームを含み、各信号フレームは複数の入力電圧を含み、複数の入力電圧のうちの最大絶対値を有する電圧が、現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値であることが理解されるべきである。
【0209】
S2:絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定する。
【0210】
本出願のこの実施形態においては、絶対電圧値の最大値はUmaxと表記され、フィルタリングゲインはαと表記され、絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定することは以下を含む。
【0211】
max<Ulowlimitであるとき、
α=αbuffer*αsmoothであり、ここで、
lowlimitは電圧制御下限であり、αbufferは以前のフレームに対応するフィルタリングゲインであり、αsmoothはフィルタリングゲインの平滑化係数であり、*は畳み込みを表し、
uplimit≦Umax≦Ulowlimitであるとき、
【0212】
【数7】
【0213】
であり、ここで、
uplimitは電圧制御上限であり、αuplimitはフィルタリングゲインの制御上限であり、αlowlimitはフィルタリングゲインの制御下限であり、または
max>Uuplimitであるとき、
α=αbuffer*αsmooth+αuplimit*(1-αsmooth)である。
【0214】
したがって、スピーカの第1の入力信号に対して実行される非線形補償が完了し、スピーカの出力信号が出力のために取得される。図4は、信号補償を通してスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図である。
【0215】
任意選択で、本出願の実施形態においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータが調整され得る。具体的には、図5に示されるように、スピーカの第1の非線形パラメータが、S201からS204をサイクリックに実行することによって調整される。
【0216】
S201:スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号を取得する。
【0217】
本出願のこの実施形態においては、入力信号について、スピーカによって出力された音響信号、またはスピーカの変位信号が収集され得る。任意選択で、入力信号は、スイープ信号またはチャープ信号であり得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0218】
スピーカの入力信号Uin(n)について、信号Uin(n)、以前の瞬間に取得された非線形パラメータPn(tn-1)、線形パラメータPi(tn-1)、ならびに以前の瞬間に取得された電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)が、出力信号に対応する音響信号または変位信号を収集するために、出力信号Uout(n)を取得するために、非線形補償モデルに入力される。
【0219】
以前の瞬間に取得された電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)は、以前の瞬間に存在した出力信号Uout(n-1)を、スピーカモデルに、フィードバックすることによって取得される。具体的には、電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)を取得するために、以前の瞬間に存在した出力信号Uout(n-1)、以前の瞬間に取得された非線形パラメータPn(tn-1)、および線形パラメータPi(tn-1)が、スピーカモデルに入力される。
【0220】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、スピーカモデルは既存のスピーカモデルであってよく、スピーカモデルが本明細書において詳細に説明されることはない。
【0221】
S202:スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから、目標の調整されるパラメータを決定する。
【0222】
具体的には、S202は、S2021からS2023を使用することによって、実施され得る。
【0223】
S2021:高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対してフーリエ変換を実行する。
【0224】
音響信号または変位信号のフーリエ変換結果は、N次高調波歪みを含み得る。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータは音響信号または変位信号のフーリエ変換結果における各次数の高調波歪みと1対1の対応にある。表1は、非線形パラメータと高調波歪みとの間の対応の例を示している。
【0225】
【表1】
【0226】
S2022:高調波歪みに基づいてスピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定する。
【0227】
本出願のこの実施形態においては、信号補償が入力信号に対して実行された後に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第1の高調波歪みと呼ばれ、補償が入力信号に対して実行される前に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第2の高調波歪みと呼ばれる。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定することは、第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定することを含み得る。第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定することは、具体的には以下のステップを含む。
【0228】
ステップ1:第2の高調波歪みにおける各次数の高調波歪みの、第1の高調波歪みにおける対応する各次数の高調波歪みに対する比を決定する。
【0229】
例えば、第1の高調波歪みは2次高調波歪みから5次高調波歪みを含み、同様に、第2の高調波歪みも2次高調波歪みから5次高調波歪みを含むことが仮定される。第2の高調波歪みにおける2次高調波歪みの、第1の高調波歪みにおける2次高調波歪みに対する比が計算され、比1として記録され、比2、比3、比4も同様に取得される。表2は、非線形パラメータと、各次数の高調波歪みと、各次数の高調波歪みの比との間の対応の例を示している。
【0230】
【表2】

【0231】
ステップ2:高調波歪みについてのものであり、事前設定されたしきい値よりも大きい、各比に対応する非線形パラメータを、候補の調整されるパラメータとして決定する。
【0232】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、事前設定されたしきい値は、実際の使用要件に基づいて決定され得、各次数の高調波歪みは、同じまたは異なる事前設定されたしきい値に対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0233】
例えば、2次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値1と表記され、3次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値2と表記され、4次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値3と表記され、5次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値4と表記されることが仮定される。2次高調波歪みの比が事前設定されたしきい値1よりも大きく、4次高調波歪みの比が事前設定されたしきい値3よりも大きいとき、BL(x)の1次係数、Kms(x)の1次係数、BL(x)の3次係数、およびKms(x)の3次係数が、候補の調整されるパラメータとして決定され得る。
【0234】
S2023:候補の調整されるパラメータから、目標の調整されるパラメータを決定する。
【0235】
本出願のこの実施形態においては、候補の調整されるパラメータが決定された後、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が取得され、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が各非線形パラメータに対応する事前設定された誤差しきい値と比較され、候補の調整されるパラメータのうちの、収束誤差が誤差しきい値よりも大きい各非線形パラメータが、目標の調整されるパラメータとして決定される。
【0236】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、事前設定された誤差しきい値は、実際の使用要件に基づいて決定され得、各非線形パラメータは、同じまたは異なる事前設定された誤差しきい値に対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0237】
例えば、ステップ2における例を参照すると、決定された候補の調整されるパラメータは、BL(x)の1次係数、Kms(x)の1次係数、BL(x)の3次係数、およびKms(x)の3次係数である。BL(x)の1次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値1と表記され、Kms(x)の1次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値2と表記され、BL(x)の3次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値3と表記され、Kms(x)の3次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値4と表記される。BL(x)の1次係数の収束誤差は、事前設定された誤差しきい値1よりも大きく、Kms(x)の3次係数の収束誤差は、事前設定された誤差しきい値4よりも大きい。したがって、BL(x)の1次係数、およびKms(x)の3次係数が目標の調整されるパラメータとして決定され、別の非線形パラメータは調整される必要はない。
【0238】
S203:調整された第1の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正する。
【0239】
本出願のこの実施形態においては、目標方向は、順方向と、逆方向とを含み得る。順方向は、非線形パラメータが増加させられる方向と定義され得、逆方向は、非線形パラメータが減少させられる方向と定義され得る。目標方向は、実際の要件に基づいて具体的に定義され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0240】
目標ステップは、非線形パラメータの調整(増加または減少)の大きさを表し、目標ステップは、順方向に対応する目標ステップと、逆方向に対応する目標ステップとを含み得る。
【0241】
任意選択で、順方向に対応する目標ステップは、逆方向に対応する目標ステップと同じであってよく、または異なっていてよい。これは、本出願のこの実施形態においては特に限定されない。例えば、非線形パラメータは、順方向において調整され、対応する目標ステップは、5%に設定され、非線形パラメータは、逆方向において調整され、対応するステップは、10%に設定される。
【0242】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、第1の非線形パラメータが複数の非線形パラメータを含むとき、異なる非線形パラメータは、同じ目標ステップ、または異なる目標ステップに対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において特に限定されない。例えば、非線形パラメータは、BL(x)と、Kms(x)と、Le(x)とを含むことが仮定される。表3は、各非線形パラメータに対応する目標ステップの例を示している。
【0243】
【表3】
【0244】
第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータが調整された後、調整された第1の非線形パラメータが取得されることが理解されるべきである。さらに、以降のサイクルにおける対応するステップのために、更新された収束誤差が使用されるように、第1の非線形パラメータの収束誤差が調整された第1の非線形パラメータに基づいて更新される。
【0245】
S204:スピーカの出力信号を取得するために、調整された第1の非線形パラメータに基づいてスピーカの入力信号に対して信号補償を実行する。
【0246】
スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行された後、S201が実行されることが理解されることができる。具体的には、出力信号について、スピーカの音響信号または変位信号が取得される。図6は、スピーカのパラメータを調整するための方法のフローブロック図である。
【0247】
調整された第1の非線形パラメータを取得するために、第1の非線形パラメータが調整される。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータの値は、調整された第1の非線形パラメータの値に更新される(言い換えると、調整前に存在した第1の非線形パラメータの値を置換するために、調整された非線形パラメータの値が使用される)。その後、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータが決定される(ここにおける第1の非線形パラメータは、更新された第1の非線形パラメータである)。具体的な処理については上述の実施形態における関連する説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0248】
結論として、S201からS204は、サイクリックに実行され、最後のサイクルにおいて取得された、調整された第1の非線形パラメータが第2の非線形パラメータとして使用される。
【0249】
任意選択で、本出願の実施形態においては、第1の非線形パラメータは、測定を通して取得される。具体的には、スピーカの第1の非線形パラメータを取得するために、S301からS305がサイクリックに実行され得る。
【0250】
S301:スピーカの予測される電圧を取得するために、入力電流、非線形パラメータ、および線形パラメータを、集中ラウドスピーカモデルに入力する。
【0251】
本出願のこの実施形態においては、入力電流は入力信号の駆動作用の下でスピーカによって発生させられた電流であり、入力信号は入力電圧である。説明を容易にするために、以下の実施形態においては、入力電圧は実際の電圧と呼ばれる。
【0252】
第1のサイクルにおいて、S301における非線形パラメータおよび線形パラメータは初期化されたパラメータであり、任意選択で、ランダムに初期化された非線形パラメータおよび線形パラメータであってよいことが理解されるべきである。後続のサイクルのS301における非線形パラメータおよび線形パラメータは、以前のサイクルにおいて取得された非線形パラメータおよび線形パラメータである。
【0253】
S302:実際の電圧と、予測される電圧とに基づいて、誤差信号を取得する。
【0254】
誤差信号は、実際の電圧と予測される電圧との間の差である。
【0255】
S303:スピーカの線形パラメータを取得するために、誤差信号と、入力電流とを、線形パラメータ識別モデルに入力する。
【0256】
S304:非相関化された誤差信号を取得するために、誤差信号を非相関化する。
【0257】
本出願のこの実施形態においては、誤差信号を非相関化することは、誤差信号から線形信号を除去することである。任意選択で、誤差信号は、従来技術における(非相関化モデルを使用することによる)非相関化方法で、非相関化され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0258】
S305:スピーカの非線形パラメータを取得するために、非相関化された誤差信号と、入力電流とを、非線形パラメータ識別モデルに入力する。
【0259】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、集中スピーカモデル、線形パラメータ識別モデル、および非線形パラメータ識別モデルは、すべて、従来技術で提供されるモデルであり得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0260】
現在のサイクルに対応する線形パラメータがS304において取得され、現在のサイクルに対応する非線形パラメータがS305において取得され、その後、予測される電圧を取得するために、次の入力電流、現在のサイクルにおいて取得された線形パラメータ、および現在のサイクルにおいて取得された非線形パラメータが集中スピーカモデルに入力されることが理解されるべきである。言い換えると、最終的な線形パラメータおよび非線形パラメータを取得するために、サイクルの事前設定された数量が到達されるまで、S301からS305が実行され続け、または事前設定された許容誤差が取得されるまで、非線形パラメータおよび線形パラメータが収束し、最終的に取得された非線形パラメータが第1の非線形パラメータとして使用される。
【0261】
非線形パラメータの収束誤差を取得するために、S301からS305が、サイクリックに実行されることが留意されるべきである。非線形パラメータの収束誤差は、非線形パラメータのうちの各パラメータに対応する収束誤差を含むことが理解されるべきである。
【0262】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法においては、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて、スピーカの第2の非線形パラメータに対して、補間が実行され得、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償が実行され、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。第3の非線形パラメータは、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することによって、取得される。非線形パラメータ(すなわち、第3の非線形パラメータ)は、スピーカの現在の作動状態に対応する非線形パラメータであり、言い換えると、リアルタイム非線形パラメータである。非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、信号補償は、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対してより効果的に実行されることができ、信号歪みをさらに低減するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。このようにして、スピーカの音質はより効果的に改善されることができる。
【0263】
図7に示されるように、スピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行される。本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、S401からS406を含み得る。
【0264】
S401:第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行する。
【0265】
例えば、スピーカについてのものであり、現在の瞬間(瞬間tn)に存在する、入力信号Uin(tn)が例として使用される。以下の実施形態においては、スピーカについてのものであり、瞬間tnに対応する、入力信号における信号の第nのフレームは、Uin(tn)に対応する信号の第nのフレームであることが留意されるべきである。
【0266】
第1の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて計算される。
【0267】
mean_ts(tn)=mean[Hux(tn-1)*Uin(tn)]
【0268】
ここで、Xmean_ts(tn)は第1の予測される変位の実効値を表し、Hux(tn-1)は第1の変位変換を実行するための数学モデルであり、スピーカの変位伝達関数と呼ばれることもあり、meanは実効値の計算を表し、*は畳み込みを表す。
【0269】
第1の予測される変位の最大値は、以下の式に基づいて計算される。
【0270】
max_ts(tn)=max[Hux(tn-1)*Uin(tn)]
【0271】
ここで、Xmax_ts(tn)は、第1の予測される変位の最大値を表し、maxは、最大値を計算を表し、*は、畳み込みを表す。
【0272】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され得、さらに、変位伝達関数が線形パラメータに基づいて更新される。
【0273】
任意選択で、変位伝達関数は以下の通りである。
【0274】
【数8】
【0275】
P(tn-1)=[BL(tn-1),Re(tn-1),Le(tn-1),Mms(tn-1),Rms(tn-1),Kms(tn-1)]
【0276】
ここで、L-1は逆ラプラス変換を表し、P(tn-1)はスピーカの線形パラメータを表す。
【0277】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位伝達関数は、代替として、別のタイプの伝達関数であってよく、上述の式において示される関数タイプに限定されない。
【0278】
S402:第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行する。
【0279】
スピーカのフィードバック信号は、フィードバック電流と、フィードバック電圧とを含む。
【0280】
例えば、スピーカについてのものであり、現在の瞬間(tn)に存在する、入力信号Uin(n)が例として使用され、第2の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて、計算される。
【0281】
【数9】
【0282】
ここで、Xmean_emf(tn)は、第2の予測される変位の実効値を表し、Um(tn-1)は、フィードバック電圧(すなわち、以前の瞬間に出力された電圧)を表し、Im(tn-1)は、フィードバック電流(すなわち、以前の瞬間(tn-1)に出力された電流)を表す。
【0283】
(スピーカの誘導起電力モデルと呼ばれることもある)第2の変位変換のための数学モデルは、以下の通りであり得る。
【0284】
【数10】
【0285】
ここで、Re(tn-1)は、直流抵抗である。
【0286】
本出願の実施形態においては、同様に、スピーカの線形パラメータP(tn-1)を取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧Um(tn-1))が線形パラメータ識別モデルに入力され得、さらに、スピーカの誘導起電力モデルが線形パラメータに基づいて更新される。
【0287】
S403:第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する。
【0288】
S403は、S4031およびS4032を使用することによって、実施され得る。
【0289】
S4031:第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定する。
【0290】
第3の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて取得され得る。
【0291】
mean_est(tn)=KalmanFilter[Xmean_ts(tn),Xmean_emf(tn)]
【0292】
ここで、Xmean_est(tn)は、第3の予測される変位の実効値を表し、KalmanFilterは、カルマンフィルタを表す。
【0293】
S4032:第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する。
【0294】
変位補正ゲインGc(tn)は、以下の通りである。
【0295】
【数11】
【0296】
S404:第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定する。
【0297】
スピーカの変位Xmax_ets(tn)は、以下の式に基づいて取得され得る。
【0298】
max_est(tn)=Gc(tn)×Xmax_ts(tn
【0299】
S405:スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定する。
【0300】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位は、Xmax_ets(tn)と表記され、事前設定された変位しきい値はXthと表記され、スピーカの信号制御ゲインは以下の通りである。
【0301】
【数12】
【0302】
S406:スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行する。
【0303】
具体的には、スピーカの出力信号は、以下の式に基づいて、取得され得る。
【0304】
out(tn)=Gp(tn)×Uin(tn
【0305】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、入力信号は最適化係数によってさらに乗算され得、係数はスピーカのハードウェアまたは作動状態に関連する係数であり得る。
【0306】
本出願のこの実施形態においては、S405およびS406を参照すると、スピーカのサウンド効果を改善し、ユーザの主観的体験を改善するために、スピーカの変位が事前設定された変位しきい値よりも大きいとき、変位が事前設定された変位しきい値を超えないように、スピーカの変位は、調整される必要がある(言い換えると、変位保護が可能にされる)ことが知られることができる。さらに、スピーカの(線形パラメータである)パラメータは、スピーカのフィードバック信号に基づいてリアルタイムに識別され得、スピーカのコンポーネントの経年劣化などの要因のせいで、変位保護が失敗するという問題を解決するために、第1の変位変換モデル、および第2の変位変換モデルは、更新される。
【0307】
S406において取得される出力信号は、デジタル信号である。本出願のこの実施形態においては、デジタル信号からアナログ信号に変換するために、デジタル-アナログ変換器が使用され得、その後、出力信号は、増幅器を使用することによって、再生のためにスピーカに送信される。
【0308】
さらに、スピーカのフィードバック信号は、フィードバック回路を使用することによって検出を通して取得され得る。フィードバック信号は、スピーカの2端における電圧信号および電流信号を含む(電圧信号および電流信号は、アナログ信号である)。その後、電圧信号および電流信号は、アナログ-デジタル変換器を使用することによってデジタル電圧およびデジタル電流に変換され、その後、デジタル電圧およびデジタル電流は、スピーカの線形パラメータ(例えば、上述の実施形態におけるP(tn-1))を取得するために、線形パラメータ識別モデルに入力される。
【0309】
図8または図9は、変位保護を通してスピーカのサウンド効果を改善するための方法のフローブロック図である。違いは以下の通りであり、図8においては、スピーカの変位を取得するために、第1の変位変換後に、変位補正ゲインが第1の予測される変位出力の最大値に適用される。例えば、Xmax_ts(tn)が取得された後、Xmax_est(tn)=Gc(tn)×Xmax_ts(tn)に基づいて、スピーカの変位が取得される。図9においては、変位補正ゲインは、第1の変位変換処理に適用される。具体的には、スピーカの変位を取得するために、変位補正ゲインが第1の変位変換モデルに直接的に適用される。例えば、Xmax_est(tn)=Gc(tn)×max[Hux(tn-1)*Uin(tn)]である。基本的に、図8に示される手順と図9に示される手順は、スピーカの変位を取得するための同じ方法に対応する。
【0310】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法によれば、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換が実行され得る。第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換が実行され得る。第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインが決定される。さらに、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位が決定される。スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインが決定される。スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御が実行される。上述の方法においては、スピーカの変位は、リアルタイムに決定されることができ、入力信号のゲインが低減させられ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化が回避され、スピーカの変位が安全上限を超えないことが保証されることができ、スピーカのサウンド効果が改善されることができるように、スピーカの決定された変位に基づいてスピーカに対して変位保護が実行される(これは、スピーカの変位に基づいて決定された信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行することを示す)。
【0311】
任意選択で、本出願の実施形態においては、スピーカのサウンド効果をさらに改善するために、変位保護方法が信号補償に適用され得る。具体的には、変位保護方法において取得された出力信号は、第1の入力信号として使用され得る。具体的には、S101の前に、S100aからS100cがさらに含まれてよい。
【0312】
S100a:スピーカの変位を決定する。
【0313】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位は、S401からS404において取得され得る。詳細については、上述の実施形態における関連する説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0314】
S100b:スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定する。
【0315】
S100c:第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行する。
【0316】
S100bおよびS100cの説明については、上述の実施形態におけるS405およびS406の具体的な説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0317】
例えば、図10は、スピーカのサウンド効果を改善するために、変位保護を信号補償に適用するための方法のフローブロック図である。上述の方法ステップは、方法のフローブロック図を参照して理解され得る。
【0318】
本発明のこの実施形態においては、スピーカ改善装置の機能モジュールは、上述の方法の例に基づいた分割を通して取得され得る。例えば、各機能モジュールは、対応する各機能に基づいた分割を通して取得され得、または2つ以上の機能は、1つの処理モジュールに統合され得る。統合されたモジュールは、ハードウェアの形態で実施されてよく、またはソフトウェア機能モジュールの形態で実施されてよい。本発明の実施形態におけるモジュールへの分割は、例であり、論理機能分割にすぎないことが留意されるべきである。実際の実装においては、別の分割方式が存在し得る。
【0319】
各機能モジュールが、対応する各機能に基づいた分割を通して取得されるとき、図11は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図11に示されるように、音質改善装置は、補間モジュール1001と、信号補償モジュール1002と、フィルタリングモジュール1003とを含み得る。補間モジュール1001は、装置が、上述の方法の実施形態における(S1011およびS1012を含む)S101を実行することをサポートするように構成され得る。信号補償モジュール1002は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS102およびS204を実行することをサポートするように構成され得る。フィルタリングモジュール1003は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS103を実行することをサポートするように構成され得る。
【0320】
任意選択で、図11に示されるように、音質改善装置は、生成モジュール1004と、パラメータ調整モジュール1005と、取得モジュール1006とをさらに含み得る。生成モジュール1004は、装置がフィルタリングゲインを生成することをサポートするように構成され得る。パラメータ調整モジュール1005は、装置が(S2021からS2023を含む)S202およびS203を実行することをサポートするように構成され得る。取得モジュール1006は、装置がS201を実行することをサポートするように構成され得る。上述の方法の実施形態におけるステップのすべての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能説明に引用され得る。詳細が本明細書において再び説明されることはない。
【0321】
任意選択で、図11に示されるように、音質改善装置は、変位決定モジュール1007と、制御ゲイン決定モジュール1008と、ゲイン制御モジュール1009とをさらに含み得る。変位決定モジュール1007は、装置がS401からS404(S403はS4031およびS4032を含む)およびS100aを実行することをサポートするように構成され得る。制御ゲイン決定モジュール1008は、装置がS405およびS100bを実行することをサポートするように構成され得る。ゲイン制御モジュール1009は、装置がS406およびS100cを実行することをサポートするように構成され得る。
【0322】
統合ユニットが使用されるとき、図12は、上述の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための装置の可能な構造の概略図である。図12に示されるように、音質改善装置は、処理モジュール2001と、通信モジュール2002とを含み得る。処理モジュール2001は、装置の動作を制御および管理するように構成され得る。例えば、処理モジュール2001は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS101からS103、S201からS204、S301からS305、およびS401からS406を実行することをサポートするように構成され得、ならびに/または本明細書において説明された技術の別の処理を実行するように構成される。通信モジュール2002は、装置と別のネットワークエンティティとの間の通信をサポートするように構成され得る。任意選択で、図12に示されるように、装置は、装置のプログラムコードおよびデータを記憶するように構成された記憶モジュール2003をさらに含み得る。
【0323】
処理モジュール2001は、プロセッサまたはコントローラ(例えば、図1のプロセッサ110)であり得、例えば、中央処理ユニット(central processing unit,CPU)、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit,ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)もしくは別のプログラマブル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。処理モジュールは、本発明の実施形態において開示された内容を参照して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実施または実行することができる。代替として、プロセッサは、コンピューティング機能を実施するための組み合わせ、例えば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。通信モジュール2002は、送受信機、送受信機回路、または通信インターフェースなど(例えば、図1におけるモバイル通信モジュール150、または無線通信モジュール160)であり得る。記憶モジュール2003は、メモリ(例えば、図1における内部メモリ121)であり得る。
【0324】
処理モジュール2001がプロセッサであり、通信モジュール2002が送受信機であり、記憶モジュール2003がメモリであるとき、プロセッサと、送受信機と、メモリは、バスを通して接続され得る。バスは、周辺コンポーネント相互接続(peripheral component interconnect,PCI)バス、または拡張業界標準アーキテクチャ(extended industry standard architecture,EISA)バスなどであり得る。バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスなどに分類され得る。
【0325】
各機能モジュールが対応する各機能に基づいた分割を通して取得されるとき、図13は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図13に示されるように、音質改善装置は、変位決定モジュール3001と、制御ゲイン決定モジュール3002と、ゲイン制御モジュール3003とを含み得る。変位決定モジュール3001は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS401からS404(S403はS4031およびS4032を含む)ならびにS100aを実行することをサポートするように構成され得る。制御ゲイン決定モジュール3002は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS405およびS100bを実行することをサポートするように構成され得る。ゲイン制御モジュール3003は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS406およびS100cを実行することをサポートするように構成され得る。
【0326】
統合ユニットが使用されるとき、図14は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図14に示されるように、音質改善装置は、処理モジュール4001と、通信モジュール4002とを含み得る。処理モジュール4001は、装置の動作を制御および管理するように構成され得る。例えば、処理モジュール4001は、装置が上述の方法の実施形態におけるS401からS406およびS100aからS100cを実行することをサポートするように構成され得、ならびに/または本明細書において説明された技術の別の処理を実行するように構成される。通信モジュール4002は、装置と別のネットワークエンティティとの間の通信をサポートするように構成され得る。任意選択で、図14に示されるように、音質改善装置は、装置のプログラムコードおよびデータを記憶するように構成された記憶モジュール4003をさらに含み得る。
【0327】
処理モジュール4001は、プロセッサまたはコントローラであり得(例えば、図1に示されたプロセッサ110であり得)、例えば、CPU、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGAもしくは別のプログラマブル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。処理モジュールは、本発明の実施形態において開示された内容を参照して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実施または実行することができる。代替として、プロセッサは、コンピューティング機能を実施するための組み合わせ、例えば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。通信モジュール4002は、送受信機、送受信機回路、または通信インターフェースなど(例えば、図1におけるモバイル通信モジュール150、または無線通信モジュール160)であり得る。記憶モジュール4003は、メモリ(例えば、図1における内部メモリ121)であり得る。
【0328】
処理モジュール4001がプロセッサであり、通信モジュール4002が送受信機であり、記憶モジュール4003がメモリであるとき、プロセッサと、送受信機と、メモリは、バスを通して接続され得る。バスは、PCIバス、またはEISAバスなどであり得る。バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスなどに分類され得る。
【0329】
上述の実施形態のすべてまたはいくつかは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって、実施され得る。実施形態を実施するために、ソフトウェアプログラムが使用されるとき、実施形態のすべてまたはいくつかは、コンピュータプログラム製品の形態で実施され得る。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータ命令がコンピュータ上にロードされて実行されたとき、本出願の実施形態による手順または機能のすべてまたはいくつかが生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または別のプログラマブル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信され得る。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者線(digital subscriber line,DSL))方式で、または無線(例えば、赤外線、電波、もしくはマイクロ波)方式で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つもしくは複数の使用可能な媒体を統合した、サーバもしくはデータセンタなどの、データ記憶デバイスであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピディスク、磁気ディスク、もしくは磁気テープ)、光媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc,DVD))、または半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(solid state drives,SSD))などであり得る。
【0330】
実装についての上述の説明は、便利で簡潔な説明を目的として、上述の機能モジュールへの分割が説明のための例として取られたことを、当業者が明確に理解することを可能にする。実際の適用においては、上述の機能は、要件に従って、異なるモジュールに割り当てられ、実施されることができ、すなわち、装置の内部構造は、上で説明された機能のすべてまたは一部を実施するために、異なる機能モジュールに分割される。上述のシステム、装置、およびユニットの詳細な作業処理については、上述の方法の実施形態における対応する処理を参照し、詳細がここで再び説明されることはない。
【0331】
本出願において提供される、いくつかの実施形態においては、開示されたシステム、装置、および方法は、他の方式で実施され得ることが理解されるべきである。例えば、説明された装置の実施形態は例にすぎない。例えば、モジュールまたはユニットへの分割は、論理機能分割にすぎず、実際の実装においては他の分割であってよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、別のシステムになるように組み合わされて、もしくは別のシステムに統合されてよく、またはいくつかの特徴は、無視され、もしくは実行されなくてよい。加えて、表示または説明された相互結合、または直接的な結合もしくは通信接続は、いくつかのインターフェースを使用することによって実施され得る。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電子的、機械的、または他の形態で実施され得る。
【0332】
別々のパーツとして説明されたユニットは、物理的に別々であってよく、またはそうでなくてよく、ユニットとして表示されたパーツは、物理的なユニットであってよく、もしくはそうでなくてよく、1つの場所に配置されてよく、または複数のネットワークユニット上に分散されてよい。ユニットのいくつかまたはすべては、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要件に基づいて選択され得る。
【0333】
加えて、本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合され得、またはユニットの各々は、物理的に単独で存在し得、または2つ以上のユニットは、1つのユニットに統合され得る。統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実施され得、またはソフトウェア機能ユニットの形態で実施され得る。
【0334】
統合ユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売または使用されるとき、統合ユニットはコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は、基本的に、または従来技術に寄与する部分、もしくは技術的解決策のすべてもしくはいくつかは、ソフトウェア製品の形態で実施され得る。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体内に記憶され、本出願の実施形態において説明された方法のステップのすべてまたはいくつかを実行するように、(パーソナルコンピュータ、サーバ、もしくはネットワークデバイスなどであり得る)コンピュータデバイス、またはプロセッサに命令するための、いくつかの命令を含む。上述の記憶媒体は、プログラムコードを記憶することができる任意の媒体、例えば、フラッシュメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、または光ディスクを含む。
【0335】
上述の説明は、本出願の特定の実装にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図していない。本出願において開示された技術的範囲内のいずれの変形または置換も、本出願の保護範囲内に包含されるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカの音質を改善するための方法であって、
前記スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて前記スピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップであって、前記第2の非線形パラメータは前記スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである、ステップと、
補償された第1の入力信号を取得するために、前記第3の非線形パラメータに基づいて前記スピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するステップと、
前記スピーカの出力信号を取得するために、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する前記ステップは、
前記スピーカの前記直流抵抗に基づいて前記スピーカのコイルの温度を決定するステップと、
前記第3の非線形パラメータを取得するために、前記コイルの前記温度に基づいて前記第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルタリングゲインを生成するステップをさらに含み、前記フィルタリングゲインは、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スピーカの変位を決定するステップと、
前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、
前記第1の入力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するステップと
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スピーカの変位を決定する前記ステップは、
第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記第2の入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、
変位補正ゲインを決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの前記変位を決定するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
変位補正ゲインを決定する前記ステップは、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するステップを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
スピーカの音質を改善するための方法であって、
第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、
第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップと、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するステップと、
前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、
前記スピーカの出力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの前記入力信号に対してゲイン制御を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する前記ステップは、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、
前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第3の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するステップと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補間モジュールと、信号補償モジュールと、フィルタリングモジュールとを備える音質改善装置であって、
前記補間モジュールは、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、前記スピーカの直流抵抗に基づいて前記スピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように構成され、前記第2の非線形パラメータは前記スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータであり、
前記信号補償モジュールは、補償された第1の入力信号を取得するために、前記第3の非線形パラメータに基づいて前記スピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するように構成され、
前記フィルタリングモジュールは、前記スピーカの出力信号を取得するために、前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するように構成される、装置。
【請求項11】
前記補間モジュールは、前記スピーカの前記直流抵抗に基づいて前記スピーカのコイルの温度を決定し、前記第3の非線形パラメータを取得するために、前記コイルの前記温度に基づいて前記第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように特に構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
生成モジュールをさらに備え、
前記生成モジュールはフィルタリングゲインを生成するように構成され、前記フィルタリングゲインは前記補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとをさらに備え、
前記変位決定モジュールは前記スピーカの変位を決定するように構成され、
前記制御ゲイン決定モジュールは、前記スピーカの前記変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、前記スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成され、
前記ゲイン制御モジュールは、前記第1の入力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、前記第2の入力信号に対して第1の変位変換を実行し、変位補正ゲインを決定し、前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するように特に構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記変位決定モジュールは、第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するようにさらに構成される、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記変位決定モジュールは、前記第1の予測される変位の前記実効値と前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて前記変位補正ゲインを決定するように特に構成される、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとを備える音質改善装置であって、
前記変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、前記第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行し、第2の予測される変位の実効値を取得するために、前記スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行し、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定し、前記第1の予測される変位の前記最大値と、前記変位補正ゲインとに基づいて、前記スピーカの変位を決定するように構成され、
前記制御ゲイン決定モジュールは、前記スピーカの変位と事前設定された変位しきい値とに基づいて前記スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成され、
前記ゲイン制御モジュールは、前記スピーカの出力信号を取得するために、前記スピーカの前記信号制御ゲインに基づいて前記スピーカの前記入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される、装置。
【請求項18】
前記変位決定モジュールは、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第2の予測される変位の前記実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定し、前記第1の予測される変位の前記実効値と、前記第3の予測される変位の前記実効値とに基づいて、前記変位補正ゲインを決定するように特に構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリとを備える音質改善装置であって、
前記メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、前記装置が作動するとき、前記プロセッサは前記メモリ内に記憶された前記コンピュータ命令を実行することにより、前記装置は請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行するか、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行する、音質改善装置。
【請求項20】
チップの製品形態で存在する音質改善装置であって、前記装置の構造はプロセッサとメモリとを備え、前記メモリは前記プロセッサに結合されるように構成され、前記メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、前記プロセッサは前記メモリ内に記憶された前記コンピュータ命令を実行するように構成されることにより、前記装置は請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行するか、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行する、音質改善装置。
【請求項21】
コンピュータ命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令がコンピュータ上で実行されるとき、前記コンピュータは請求項1から7のいずれか一項に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行すること、または請求項8または9に記載のスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
媒体に記憶されたコンピュータプログラムであって、請求項1から9のいずれかに記載の方法を実行させるように構成された、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は、メディア技術の分野に関し、詳細には、スピーカの音質を改善するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2019年9月18日に中国国家知識産権局に出願された「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SOUND QUALITY OF SPEAKER」と題する中国特許出願第201910883760.4号に基づく優先権を主張する。
【0003】
スピーカは、ポータブル端末デバイスにおいてますます広く使用されている。例えば、スピーカは、音楽もしくはビデオを再生するため、ハンズフリー通話を行うため、またはモバイルホンの着信音を再生するためなどに使用される。スピーカの音質はスピーカの性能の重要な指標であり、スピーカの音質は主観的な体験に直接的に影響する。
【0004】
いくつかの広く使用されているマイクロスピーカについては、スピーカの非線形性がより明らかになる。その結果、明らかな歪みが出力結果において生成され、スピーカの音質が劣悪になり、聴覚体験が影響を受ける。現在、信号の歪みを低減させるために、非線形補償技術がスピーカの入力信号に対して非線形補償を実行するために使用されることがある。具体的には、スピーカの非線形パラメータ(例えば、力係数、機械的剛性、インダクタンス、またはダンピング)が、関連する非線形パラメータ識別方法において取得され得、その後、スピーカの非線形パラメータに基づいて入力信号に対して非線形補償が実行される。
【0005】
しかしながら、スピーカのステータスは、変化することがあるので、上述の方法において取得された非線形パラメータは実際の非線形パラメータと異なる。その結果、スピーカに対して非線形補償を実行することの貧弱な効果が存在し、スピーカの音質が劣悪になることがある。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、スピーカのサウンド効果を効果的に改善するためのスピーカ改善方法および装置を提供する。
【0007】
上述の目的を達成するために、以下の技術的解決策が本出願の実施形態において使用される。
【0008】
第1の態様によれば、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法を提供する。方法は、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップであって、第2の非線形パラメータは、スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである、ステップと、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するステップと、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するステップとを含む。
【0009】
任意選択で、第2の非線形パラメータは、スピーカの第1の非線形パラメータを調整することによって取得され得る。
【0010】
スピーカの非線形パラメータはスピーカの非線形特性であり、スピーカのハードウェア構造(例えば、スピーカの小さいサイズおよび大きい変位などの構造的特徴)によってもたらされる固有の非線形特性である。スピーカの非線形パラメータは、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、またはダンピングなどを含む。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータ(例えば、第1の非線形パラメータ、第2の非線形パラメータ、および第3の非線形パラメータ)は、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、およびダンピングのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法によれば、第3の非線形パラメータは、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することによって取得される。非線形パラメータ(すなわち、第3の非線形パラメータ)は、スピーカの現在の作動状態に対応する非線形パラメータであり、言い換えると、リアルタイム非線形パラメータである。非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、信号補償は第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対してより効果的に実行されることができ、信号歪みをさらに低減させるために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。このようにして、スピーカの音質はより効果的に改善されることができる。
【0012】
可能な実装においては、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行するための方法は、具体的には、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定するステップと、第3の非線形パラメータを取得するために、コイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行するステップとを含み得る。
【0013】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗と、現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度とを取得するために、スピーカの出力信号、第2の非線形パラメータ、およびスピーカの線形パラメータがスピーカモデルに入力される。現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度は、入力信号における次の信号に対して信号補償を実行するために使用される。
【0014】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの(ボイスコイルの温度と呼ばれることもある)コイルの温度と、スピーカのコイルの直流抵抗との間の関係は以下の通りである。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、Tはスピーカのコイルの温度であり、Rはスピーカのコイルの直流抵抗であり、ηは、温度上昇係数であり、R0は較正温度に対応するコイルの直流抵抗であり、ボイスコイルの温度は、通常摂氏25度に較正される。
【0017】
スピーカの直流抵抗が取得された後、スピーカのコイルの温度が上述の式に基づいて取得され得る。
【0018】
本出願のこの実施形態においては、スピーカのコイルの温度が異なる温度値を有するときに存在する、非線形パラメータの特性曲線が取得され得、その後、目標特性曲線(目標特性曲線は第3の非線形パラメータの特性曲線の推定結果と理解され得る)を取得するために、スピーカのコイルの温度、温度しきい値1、および温度しきい値2に基づいて非線形パラメータの特性曲線に対して線形補間が実行される。温度しきい値2は温度しきい値1よりも大きい。
【0019】
例えば、スピーカのコイルの温度はTと表記され、温度しきい値1はTminと表記され、温度しきい値2はTmaxと表記される。
【0020】
T<Tminである場合、Tminに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0021】
T>Tmaxである場合、Tmaxに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0022】
min≦T≦Tmaxである場合、目標特性曲線を生成するために、スピーカのコイルの温度に基づいて、Tminに対応する特性曲線と、Tmaxに対応する特性曲線とに対して線形補間が実行される。
【0023】
最後に、目標特性曲線に対応する多項式の各係数を取得するために、目標特性曲線に対して多項式フィッティングが実行される。各係数は非線形パラメータと1対1の対応にある。したがって、第3の非線形パラメータは多項式の各係数に基づいて決定され得る。
【0024】
本出願のこの実施形態における可能な実装においては、補償された第1の入力信号は第1の信号として記録され、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行する処理は、第2の信号を取得するために、ウェーブトラップを使用することによって、第1の信号に対してフィルタリングを実行するステップと、第3の信号を取得するために、第1の信号と第2の信号との間の差を計算するステップと、第4の信号を取得するために、フィルタリングゲインを第3の信号によって乗算するステップと、第5の信号を取得するために、第1の信号と第4の信号との間の差を計算するステップと、スピーカの出力信号として第5の信号を使用するステップとを含む。
【0025】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、フィルタリングゲインを生成するステップをさらに含み得る。フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対して、フィルタリングを実行するために使用される。
【0026】
本出願のこの実施形態においては、フィルタリングゲインは入力信号に基づいて生成され得る。具体的には、フィルタリングゲインを生成するステップは、S1と、S2とを含み得る。
【0027】
S1:電流フレームにおける絶対電圧値の最大値を決定する。
【0028】
第1の入力信号は、複数の信号フレームを含み、各信号フレームは、複数の入力電圧を含み、複数の入力電圧のうちの最大絶対値を有する電圧が、現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値であることが理解されるべきである。
【0029】
S2:絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定する。
【0030】
本出願のこの実施形態においては、絶対電圧値の最大値は、Umaxと表記され、フィルタリングゲインはαと表記され、絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定するステップは以下を含む。
【0031】
max<Ulowlimitであるとき、
α=αbuffer*αsmoothであり、ここで、
lowlimitは、電圧制御下限であり、αbufferは以前のフレームに対応するフィルタリングゲインであり、αsmoothはフィルタリングゲインの平滑化係数であり、*は畳み込みを表し、
lowlimit ≦Umax≦U uplimit であるとき、
【0032】
【数2】
【0033】
であり、ここで、
uplimitは電圧制御上限であり、αuplimitはフィルタリングゲインの制御上限であり、αlowlimitはフィルタリングゲインの制御下限であり、または
max>Uuplimitであるとき、
α=αbuffer*αsmooth+αuplimit*(1-αsmooth)である。
【0034】
可能な実装においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータが調整され得る。
【0035】
本出願のこの実施形態においては、第1の非線形パラメータは(スピーカが製造され、使用されていない状態と理解されることができる)元の状態におけるスピーカの非線形パラメータである。スピーカの納入前に、スピーカの第1の非線形パラメータが最初に調整され、スピーカのパラメータが第1の非線形パラメータから第2の非線形パラメータに調整され、その後、スピーカが、納入され、使用される。
【0036】
可能な実装においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータを調整するための方法は、具体的には、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定するステップと、第2の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正するステップとを含み得る。
【0037】
本出願のこの実施形態においては、目標方向は順方向と逆方向とを含み得る。順方向は非線形パラメータが増加させられる方向と定義され得、逆方向は非線形パラメータが減少させられる方向と定義され得る。目標方向は、実際の要件に基づいて具体的に定義され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0038】
目標ステップは、非線形パラメータの調整(増加または減少)の大きさを表し、目標ステップは、順方向に対応する目標ステップと、逆方向に対応する目標ステップとを含み得る。
【0039】
任意選択で、順方向に対応する目標ステップは、逆方向に対応する目標ステップと同じであってよく、または異なっていてよい。これは、本出願のこの実施形態においては特に限定されない。
【0040】
可能な実装においては、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定するための方法は、高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対してフーリエ変換を実行するステップと、高調波歪みに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定するステップと、候補の調整されるパラメータから目標の調整されるパラメータを決定するステップとを含み得る。
【0041】
本出願のこの実施形態においては、入力信号に対して信号補償が実行された後に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第1の高調波歪みと呼ばれ、入力信号に対して補償が実行される前に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第2の高調波歪みと呼ばれる。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータから、候補の調整されるパラメータを決定するステップは、第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定するステップを含み得る。第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定するステップは、具体的には、第2の高調波歪みにおける各次数の高調波歪みの、第1の高調波歪みに対応する各次数の高調波歪みに対する比を決定するステップと、高調波歪みについてのものであり、事前設定されたしきい値よりも大きい、各比に対応する非線形パラメータを、候補の調整されるパラメータとして決定するステップとを含む。
【0042】
候補の調整されるパラメータが、決定された後、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が、取得され、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差は、各非線形パラメータに対応する事前設定された誤差しきい値と比較され、候補の調整されるパラメータのうちの、収束誤差が誤差しきい値よりも大きい各非線形パラメータが、目標の調整されるパラメータとして決定される。
【0043】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、スピーカの音響信号を取得するステップ、またはスピーカの変位信号を取得するステップをさらに含み得る。
【0044】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、スピーカの変位を決定するステップと、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するステップとをさらに含み得る。
【0045】
本出願のこの実施形態においては、入力信号のゲインを低減させ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化を回避し、スピーカの変位が安全上限を超えないことを保証し、スピーカのサウンド効果を改善するために、スピーカの変位を決定し、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定し、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行することによって、スピーカに対して、変位保護が実行され得る。
【0046】
さらに、スピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御が実行された後に取得された信号は、第1の入力信号として使用され、信号補償効果が改善されることができ、スピーカのサウンド効果がさらに改善されることができるように、これに基づいて信号補償が実行される。
【0047】
可能な実装においては、スピーカの変位を決定するための方法は、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、第2の入力信号に対して、第1の変位変換を実行するステップと、変位補正ゲインを決定するステップと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定するステップとを含み得る。
【0048】
本出願のこの実施形態においては、第1の変位変換が実行されるとき、スピーカの変位伝達関数が使用され、変位伝達関数はリアルタイムに取得される非線形パラメータに基づいて更新され得る。具体的には、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され、さらに、線形パラメータに基づいて変位伝達関数が更新される。
【0049】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップをさらに含み得る。
【0050】
本出願のこの実施形態においては、第2の変位変換が実行されるとき、スピーカの誘導起電力モデルが使用され、誘導起電力モデルは、リアルタイムに取得される非線形パラメータに基づいて更新され得る。具体的には、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され、さらに、線形パラメータに基づいて誘導起電力モデルが更新される。
【0051】
可能な実装においては、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップを含み得る。
【0052】
可能な実装においては、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップとを含み得る。
【0053】
本出願のこの実施形態においては、変位補正ゲインGc(tn)は、以下の通りであり得る。
【0054】
【数3】
【0055】
ここで、Xmean_est(tn)=KalmanFilter[Xmean_ts(tn),Xmean_emf(tn)]であり、Xmean_ts(tn)は第1の予測される変位の実効値を表し、Xmean_emf(tn)は第2の予測される変位の実効値を表しXmean_est(tn)は第3の予測される変位の実効値を計算することを表し、KalmanFilterはカルマンフィルタを表す。
【0056】
第2の態様によれば、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法を提供する。方法は、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行するステップと、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定するステップと、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するステップと、スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行するステップとを含み得る。
【0057】
従来技術と比較すると、上述の方法においては、スピーカの変位はリアルタイムに決定されることができ、入力信号のゲインが低減させられ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化が回避され、スピーカの変位が安全上限を超えないことが保証されることができ、スピーカのサウンド効果が改善されることができるように、決定されたスピーカの変位に基づいてスピーカに対して変位保護が実行される(これは、スピーカの変位に基づいて決定された、信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行することを示す)。
【0058】
可能な実装においては、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するための方法は、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定するステップと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するステップとを含む。
【0059】
第3の態様によれば、本出願の実施形態は、補間モジュールと、信号補償モジュールと、フィルタリングモジュールとを含む、音質改善装置を提供する。補間モジュールは、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間を実行するように構成される。第2の非線形パラメータは、スピーカにおいて事前構成された非線形パラメータである。信号補償モジュールは、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行するように構成される。フィルタリングモジュールは、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するように構成される。
【0060】
可能な実装においては、補間モジュールは、具体的には、スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定することと、第3の非線形パラメータを取得するために、コイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することとを行うように構成される。
【0061】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される音質改善装置は、生成モジュールをさらに含む。生成モジュールは、フィルタリングゲインを生成するように構成される。フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行するために使用される。
【0062】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、パラメータ調整モジュールをさらに含む。パラメータ調整モジュールは、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータを調整するように構成される。
【0063】
可能な実装においては、パラメータ調整モジュールは、具体的には、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータを決定することと、第2の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正することとを行うように構成される。
【0064】
可能な実装においては、パラメータ調整モジュールは、具体的には、高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対して、フーリエ変換を実行することと、高調波歪みに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから、候補の調整されるパラメータを決定することと、候補の調整されるパラメータから、目標の調整されるパラメータを決定することとを行うように構成される。
【0065】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、取得モジュールをさらに含み得る。取得モジュールは、スピーカの音響信号を取得するように、またはスピーカの変位信号を取得するように構成される。
【0066】
可能な実装においては、本出願のこの実施形態において提供される、音質改善装置は、変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとをさらに含む。変位決定モジュールは、スピーカの変位を決定するように構成される。制御ゲイン決定モジュールは、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成される。ゲイン制御モジュールは、第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される。
【0067】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、第2の入力信号に対して、第1の変位変換を実行することと、変位補正ゲインを決定することと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定することとを行うように構成される。
【0068】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行するようにさらに構成される。
【0069】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定するように構成される。
【0070】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定することと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することとを行うように構成される。
【0071】
第4の態様によれば、本出願の実施形態は、変位決定モジュールと、制御ゲイン決定モジュールと、ゲイン制御モジュールとを含む、音質改善装置を提供する。変位決定モジュールは、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して、第1の変位変換を実行することと、第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して、第2の変位変換を実行することと、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することと、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定することとを行うように構成される。制御ゲイン決定モジュールは、スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定するように構成される。ゲイン制御モジュールは、スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行するように構成される。
【0072】
可能な実装においては、変位決定モジュールは、具体的には、第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定することと、第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定することとを行うように構成される。
【0073】
第5の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む、音質改善装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成される。装置が動作するとき、プロセッサは、装置が第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行する。
【0074】
第6の態様によれば、本出願の実施形態は音質改善装置を提供する。装置はチップの製品形態で存在する。装置の構造は、プロセッサとメモリとを含む。メモリはプロセッサに結合されるように構成され、メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、装置が第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行するように構成される。
【0075】
第7の態様によれば、本出願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ命令を含み得、コンピュータ命令がコンピュータ上において動作するとき、音質改善装置は、第1の態様および第1の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる。
【0076】
第8の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む、音質改善装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成される。装置が動作するとき、プロセッサは、装置が第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行する。
【0077】
第9の態様によれば、本出願の実施形態は、音質改善装置を提供する。装置はチップの製品形態で存在する。装置の構造は、プロセッサとメモリとを含む。メモリはプロセッサに結合されるように構成され、メモリはコンピュータ命令を記憶するように構成され、プロセッサは、装置が第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ命令を実行するように構成される。
【0078】
第10の態様によれば、本出願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ命令を含み得、コンピュータ命令がコンピュータ上において動作するとき、音質改善装置は、第2の態様および第2の態様の可能な実装のいずれか1つによるスピーカの音質を改善するための方法を実行することを可能にされる。
【0079】
本出願の実施形態の第3の態様から第10の態様、および対応する可能な実装における技術的解決策によって達成される有益な効果については、第1の態様および第1の態様の対応する可能な実装、または第2の態様および第2の態様の対応する可能な実装の上述の技術効果を参照することが理解されるべきである。詳細がここで再び説明されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】本出願の実施形態によるモバイルホンの構造の概略図である。
図2】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図1である。
図3】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図2である。
図4】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図1である。
図5】本出願の実施形態によるスピーカの非線形パラメータを調整するための方法の概略図である。
図6】本出願の実施形態によるスピーカの非線形パラメータを調整するための方法のフローブロック図である。
図7】本出願の実施形態によるスピーカ改善方法の概略図3である。
図8】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図2である。
図9】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図3である。
図10】本出願の実施形態によるスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図4である。
図11】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図1である。
図12】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図2である。
図13】本出願の実施形態による音質改善装置の構造の概略図3である。
図14】本出願の実施形態による音質改善装置の構成の概略図4である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本明細書における「および/または」という用語は、関連付けられたオブジェクトを記述するための関連付け関係だけを記述し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つのケース、すなわち、Aだけが存在するケース、AとBの両方が存在するケース、およびBだけが存在するケースを表し得る。
【0082】
明細書および特許請求の範囲における本出願の実施形態においては、「第1の」および「第2の」などの用語は、異なるオブジェクトを区別することを意図しており、オブジェクトの特定の順序を示していない。例えば、第1の非線形パラメータ、および第2の非線形パラメータなどは、異なる非線形パラメータを区別するために使用されるが、非線形パラメータの特定の順序を記述するためには使用されない。第1の入力信号、および第2の入力信号は、異なる入力信号を区別するために使用されるが、入力信号の特定の順序を記述するためには使用されない。
【0083】
本出願の実施形態においては、「例」または「例えば」などの語は、例、例示、または説明を与えることを表すために使用される。本出願の実施形態において、「例」または「例えば」として説明されるいずれの実施形態または設計スキームも、別の実施形態または設計スキームよりも好ましい、またはより多くの利点を有するものとして説明されるべきではない。正確には、「例」および「例えば」などの表現の使用は、関連する概念の具体的な提示を与えることを意図している。
【0084】
本出願の実施形態の説明において特に断らない限り、「複数の」は2つ以上を意味する。例えば、複数の処理ユニットは2つ以上の処理ユニットを指し、複数のシステムは2つ以上のシステムを指す。
【0085】
最初に、本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法および装置におけるいくつかの基本的な知識および概念が説明および記述される。
【0086】
現在、スピーカの音質に影響する因子は、スピーカの非線形因子と、スピーカの変位(以下のスピーカの変位は、スピーカの振動板の変位である)とを含み得る。
【0087】
音質に対するスピーカの非線形因子の影響:スピーカの非線形性は、スピーカのハードウェア構造(例えば、スピーカの小さいサイズおよび大きい変位などの構造的特徴)のせいで、スピーカの出力音質が歪められる現象であり、非線形歪みと呼ばれることがある。特に、高振幅の信号がスピーカに入力されたとき、スピーカの非線形性はより明らかになり、あまりにも大きい歪みが出力信号に存在することがあり、聴覚体験に影響する。
【0088】
音質に対するスピーカの変位の影響:スピーカの振動板の変位があまりにも大きいとき、スピーカの振動板は物理的な衝突を起こすことがあり、ノイズを生じさせ、スピーカに対する機械的損傷さえも引き起こす。
【0089】
本出願の実施形態においては、スピーカの非線形パラメータがスピーカのハードウェアによって引き起こされる非線形歪みを補償して、スピーカの音質を改善するために使用され得る。加えて、スピーカの変位が、スピーカの音質を改善するために制御されることができる。
【0090】
スピーカの非線形パラメータは以下のパラメータを含み得るが、それらに限定されないことが理解されるべきである。
【0091】
力係数BL(x)は、スピーカの磁気回路システムの力係数である。
【0092】
機械的剛性Kms(x)は、スピーカのサスペンションシステムの剛性であり、Kms(x)は、1次係数、2次係数、3次係数など、異なる係数を含み得る。
【0093】
インダクタンスLe(x)は、スピーカのコイルのインダクタンスである。
【0094】
ダンピングRm(v)は、スピーカのダンピング係数であり、Rm(v)は、1次係数、2次係数、3次係数など、異なる係数を含み得る。
【0095】
本明細書においては、xはスピーカの振動板の変位であり、vはスピーカの振動板の移動速度である。
【0096】
スピーカの非線形パラメータは、スピーカの異なる作動状態において変化することがあることが留意されるべきである。例えば、スピーカのコイルが異なる温度にあるとき、Kms(x)の値は変化し得、Rm(v)の値も変化し得る。言い換えると、異なる温度においては、Kms(x)の異なる値が存在し、異なる温度においては、Rm(x)の異なる値が存在する。
【0097】
スピーカの入力信号は、M個(Mは1以上の正の整数)のデジタル信号と、(n個の点と呼ばれることもある)n個の対応する電圧値とを含む。例えば、入力信号Uin=[Uin(1),Uin(2),...,Uin(n),...,Uin(M)]である。本出願の実施形態においては、入力信号を処理することは、入力信号内のすべてのデジタル信号を順次的に処理することである。説明を簡単にするために、第nのデジタル信号が入力される瞬間はtnと表記され、瞬間tnに対応する入力信号はUin(n)またはUin(tn)と表記される。
【0098】
背景に存在する問題に基づいて、本出願の実施形態は、スピーカの音質を改善するための方法および装置を提供する。スピーカの非線形パラメータ(すなわち、以下の実施形態における第3の非線形パラメータ)が、スピーカの直流抵抗に基づいた補間方法において取得され得、非線形補償が非線形パラメータに基づいてスピーカの入力信号に対して実行され、スピーカの出力信号を取得するために、フィルタリングが、補償された入力信号に対して実行される。したがって、非線形補償がスピーカに対して実行され、スピーカの音質が改善されることができる。
【0099】
本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法および装置は、スピーカ機能を有する端末デバイス、例えば、モバイルホン、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、スマートスピーカ、またはテレビなど、スピーカを提供された電子デバイスに適用され得る。例えば、本出願の実施形態において提供される技術的解決策は、スピーカの音質を改善し、ユーザの主観的体験を改善するために、(モノラル、バイノーラル、および4チャンネルステレオ再生を含む)スピーカモードにおける音楽および映画の再生、(オペレータ通話、もしくはインターネット通話などを含む)ハンズフリー通話、(スピーカモード、およびヘッドホンモードを含む)モバイルホンの着信音、またはスピーカモードにおけるゲームのプレイなどのシナリオにおいて使用され得る。
【0100】
例えば、端末デバイスはモバイルホンである。図1は、モバイルホン100の構造の概略図である。モバイルホン100は、プロセッサ110、外部メモリインターフェース120、内部メモリ121、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus,USB)インターフェース130、充電管理モジュール140、電力管理モジュール141、バッテリ142、アンテナ1、アンテナ2、モバイル通信モジュール150、無線通信モジュール160、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信機170B、マイクロホン170C、ヘッドセットジャック170D、センサモジュール180、ボタン190、モータ191、インジケータ192、カメラ193、ディスプレイ194、および加入者識別モジュール(subscriber identification module,SIM)カードインターフェース195などを含み得る。センサモジュール180は、圧力センサ180A、ジャイロセンサ180B、気圧センサ180C、磁気センサ180D、加速度センサ180E、距離センサ180F、光近接センサ180G、指紋センサ180H、温度センサ180J、タッチセンサ180K、環境光センサ180L、および骨伝導センサ180Mなどを含み得る。
【0101】
本出願のこの実施形態において示される構造は、モバイルホン100に対する具体的な限定を構成しないことが理解され得る。本出願の他のいくつかの実施形態においては、モバイルホン100は図に示されたものよりも多いもしくは少ないコンポーネントを含んでよく、またはいくつかのコンポーネントは組み合わされてよく、またはいくつかのコンポーネントは分割されてよく、または異なるコンポーネントレイアウトが存在してよい。図に示されたコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、実施され得る。
【0102】
プロセッサ110は、1つまたは複数の処理ユニットを含み得る。例えば、プロセッサ110は、アプリケーションプロセッサ(application processor,AP)、モデムプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit,GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor,ISP)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、ベースバンドプロセッサ、および/またはニューラル-ネットワーク処理ユニット(nural-network processing unit,NPU)を含み得る。異なる処理ユニットは、独立したデバイスであり得、または1つもしくは複数のプロセッサに統合され得る。
【0103】
コントローラはモバイルホン100の神経中枢およびコマンドセンタであり得る。コントローラは、命令をフェッチし、命令を実行することを制御するために、命令オペレーションコードと、時系列信号とに基づいて、オペレーション制御信号を生成する。
【0104】
メモリはプロセッサ110内にさらに配置されてよく、命令およびデータを記憶するように構成される。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110内のメモリは、キャッシュである。メモリは、プロセッサ110によって使用されたばかりの、またはサイクリックに使用される命令またはデータを記憶し得る。プロセッサ110が命令またはデータを再び使用する必要がある場合、プロセッサは、命令またはデータをメモリから直接的に呼び出し得る。これは繰り返されるアクセスを回避し、プロセッサ110の待ち時間を短縮する。したがって、システム効率が改善される。
【0105】
いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は1つまたは複数のインターフェースを含み得る。インターフェースは、集積回路間(inter-integrated circuit,I2C)インターフェース、集積回路間音声(inter-integrated circuit sound,I2S)インターフェース、パルス符号変調(pulse code modulation、PCM)インターフェース、ユニバーサル非同期受信機/送信機(universe asynchronous receiver/transmitter,UART)インターフェース、モバイルインダストリプロセッサインターフェース(mobile industry processor interface,MIPI)、汎用入出力(general-purpose input/output,GPIO)インターフェース、加入者識別モジュール(subscriber identity module,SIM)インターフェース、および/または汎用シリアルバス(universal serial bus,USB)インターフェースなどを含み得る。
【0106】
I2Cインターフェースは、シリアルデータライン(serial data line,SDA)と、シリアルクロックライン(serial clock line,SCL)とを含む、双方向同期式シリアルバスである。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は、I2Cバスの複数のグループを含み得る。プロセッサ110は、異なるI2Cバスインターフェースを通して、タッチセンサ180K、充電器、フラッシュ、およびカメラ193などに別々に結合され得る。例えば、モバイルホン100のタッチ機能を実施するために、プロセッサ110が、I2Cバスインターフェースを通してタッチセンサ180Kと通信するように、プロセッサ110は、I2Cインターフェースを通してタッチセンサ180Kに結合され得る。
【0107】
I2Sインターフェースは、オーディオ通信を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、プロセッサ110は、I2Sバスの複数のグループを含み得る。プロセッサ110は、プロセッサ110とオーディオモジュール170との間の通信を実施するために、I2Sバスを通してオーディオモジュール170に結合され得る。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって呼に応答する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、I2Sインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。
【0108】
PCMインターフェースも、オーディオ通信を実行し、アナログ信号をサンプリング、量子化、およびコーディングするように構成され得る。いくつかの実施形態においては、オーディオモジュール170は、PCMバスインターフェースを通して無線通信モジュール160に結合され得る。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって、呼に応答する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、代替として、PCMインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。I2SインターフェースおよびPCMインターフェースは、ともにオーディオ通信を実行するように構成され得る。
【0109】
UARTインターフェースはユニバーサルシリアルデータバスであり、非同期通信を実行するように構成される。バスは双方向通信バスであり得る。バスは、送信されるデータをシリアル通信とパラレル通信との間で切り替える。いくつかの実施形態においては、UARTインターフェースは、通常、プロセッサ110を無線通信モジュール160に接続するように構成される。例えば、プロセッサ110は、ブルートゥース機能を実施するために、UARTインターフェースを通して無線通信モジュール160内のブルートゥースモジュールと通信する。いくつかの実施形態においては、ブルートゥースヘッドセットを使用することによって音楽を再生する機能を実施するために、オーディオモジュール170は、オーディオ信号を、UARTインターフェースを通して無線通信モジュール160に転送し得る。
【0110】
MIPIインターフェースは、プロセッサ110を、ディスプレイ194またはカメラ193などの周辺コンポーネントに接続するように構成され得る。MIPIインターフェースは、カメラシリアルインターフェース(camera serial interface,CSI)、またはディスプレイシリアルインターフェース(display serial interface,DSI)などを含む。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100の撮影機能を実施するために、プロセッサ110は、CSIインターフェースを通してカメラ193と通信する。プロセッサ110は、モバイルホン100の表示機能を実施するために、DSIインターフェースを通してディスプレイ194と通信する。
【0111】
GPIOインターフェースは、ソフトウェアを使用することによって構成され得る。GPIOインターフェースは、制御信号またはデータ信号として構成され得る。いくつかの実施形態においては、GPIOインターフェースは、プロセッサ110を、カメラ193、ディスプレイ194、無線通信モジュール160、オーディオモジュール170、およびセンサモジュール180などに接続するように構成され得る。GPIOインターフェースは、代替として、I2Cインターフェース、I2Sインターフェース、UARTインターフェース、またはMIPIインターフェースなどとして構成され得る。
【0112】
USBインターフェース130は、USB規格仕様に準拠したインターフェースであり、具体的には、ミニUSBインターフェース、マイクロUSBインターフェース、またはUSBタイプCインターフェースなどであり得る。USBインターフェース130は、モバイルホン100を充電するために、充電器に接続するように構成され得、またはモバイルホン100と周辺デバイスとの間でデータを送信するように構成され得、またはヘッドセットを使用することによってオーディオを再生するために、ヘッドセットに接続するように構成され得る。インターフェースは、ARデバイスなどの別の電子デバイスに接続するようにさらに構成され得る。
【0113】
本出願のこの実施形態において示された、モジュール間のインターフェース接続関係は、説明のための例にすぎず、モバイルホン100の構造に対する限定を構成しないことが理解され得る。本出願の他のいくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、代替として、上述の実施形態におけるものとは異なるインターフェース接続方式を使用し得、または複数のインターフェース接続方式の組み合わせを使用し得る。
【0114】
充電管理モジュール140は、充電器から充電入力を受け取るように構成される。充電器は無線充電器または有線充電器であり得る。有線充電が使用されるいくつかの実施形態においては、充電管理モジュール140は、充電入力を、USBインターフェース130を通して有線充電器から受け取り得る。無線充電のいくつかの実施形態においては、充電管理モジュール140は、モバイルホン100の無線充電コイルを使用することによって無線充電入力を受け取り得る。充電管理モジュール140は、バッテリ142が充電されたとき、電力管理モジュール141を使用することによって電力を電子デバイスにさらに供給し得る。
【0115】
電力管理モジュール141は、バッテリ142、充電管理モジュール140、およびプロセッサ110に接続するように構成される。電力管理モジュール141は、バッテリ142および/または充電管理モジュール140の入力を受け取り、電力を、プロセッサ110、内部メモリ121、外部メモリ、ディスプレイ194、カメラ193、および無線通信モジュール160などに供給する。電力管理モジュール141は、バッテリ容量、バッテリサイクル数、およびバッテリ健全性ステータス(漏電またはインピーダンス)などの、パラメータを監視するようにさらに構成され得る。他のいくつかの実施形態においては、電力管理モジュール141は、代替として、プロセッサ110内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、電力管理モジュール141と充電管理モジュール140は、代替として、同じデバイス内に配置され得る。
【0116】
モバイルホン100の無線通信機能は、アンテナ1、アンテナ2、モバイル通信モジュール150、無線通信モジュール160、モデムプロセッサ、およびベースバンドプロセッサなどを使用することによって実施され得る。
【0117】
アンテナ1およびアンテナ2は、電磁波信号を送信および受信するように構成される。モバイルホン100内の各アンテナは、1つまたは複数の通信周波数帯域をカバーするように構成され得る。異なるアンテナは、アンテナ利用を改善するために多重化され得る。例えば、アンテナ1は、無線ローカルエリアネットワークにおいては、ダイバーシティアンテナとして多重化され得る。他のいくつかの実施形態においては、アンテナは、チューニングスイッチと組み合わせて、使用され得る。
【0118】
モバイル通信モジュール150は、モバイルホン100に適用される、2G、3G、4G、または5Gなどを含む無線通信のための、解決策を提供し得る。モバイル通信モジュール150は、少なくとも1つのフィルタ、スイッチ、電力増幅器、および低雑音増幅器(low noise amplifier,LNA)などを含み得る。モバイル通信モジュール150は、アンテナ1を通して電磁波を受信し、受信された電磁波に対して、フィルタリングおよび増幅などの処理を実行し、処理された電磁波を、復調のために、モデムプロセッサに送信し得る。モバイル通信モジュール150は、さらに、モデムプロセッサによって変調された信号を増幅し、アンテナ1を通した放射のために、信号を電磁波に変換し得る。いくつかの実施形態においては、モバイル通信モジュール150の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内に配置され得る。いくつかの実施形態においては、モバイル通信モジュール150内の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内の少なくともいくつかのモジュールと同じデバイス内に配置され得る。
【0119】
モデムプロセッサは、変調器と、復調器とを含み得る。変調器は、送信される低周波ベースバンド信号を、中/高周波信号に変調するように構成される。復調器は、受信された電磁波信号を、低周波ベースバンド信号に復調するように構成される。その後、復調器は、復調を通して取得された低周波ベースバンド信号を、処理のために、ベースバンドプロセッサに送信する。ベースバンドプロセッサは、低周波ベースバンド信号を処理し、その後、処理された信号をアプリケーションプロセッサに送信する。アプリケーションプロセッサは、(スピーカ170A、もしくは受信機170Bなどに限定されない)オーディオデバイスを使用することによって、音声信号を出力し、または画像もしくはビデオをディスプレイ194上に表示する。いくつかの実施形態においては、モデムプロセッサは独立したコンポーネントであり得る。他のいくつかの実施形態においては、モデムプロセッサはプロセッサ110から独立していてよく、モバイル通信モジュール150または別の機能モジュールと同じデバイス内に配置される。
【0120】
無線通信モジュール160は、モバイルホン100に適用される、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network,WLAN)(例えば、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity,Wi-Fi)ネットワーク)、ブルートゥース(Bluetooth,BT)、全地球航法衛星システム(global navigation satellite system,GNSS)、周波数変調(frequency modulation,FM)、近距離無線通信(near field communication,NFC)、および赤外線(infrared,IR)技術などを含む無線通信のための、解決策を提供し得る。無線通信モジュール160は、少なくとも1つの通信処理モジュールを統合した1つまたは複数のコンポーネントであり得る。無線通信モジュール160は、アンテナ2を通して電磁波を受信し、電磁波信号に対して周波数変調およびフィルタリング処理を実行し、処理された信号をプロセッサ110に送信する。無線通信モジュール160は、さらに、送信される信号をプロセッサ110から受信し、信号に対して、周波数変調および増幅を実行し、アンテナ2を通した放射のために、信号を電磁波に変換し得る。
【0121】
いくつかの実施形態においては、モバイルホン100が無線通信技術を使用することによってネットワークおよび別のデバイスと通信することができるように、モバイルホン100のアンテナ1とモバイル通信モジュール150は結合され、モバイルホン100のアンテナ2と無線通信モジュール160は結合される。無線通信技術は、移動体通信向けグローバルシステム(global system for mobile communications,GSM)、汎用パケット無線サービス(general packet radio service,GPRS)、符号分割多元接続(code division multiple access,CDMA)、広帯域符号分割多元接続(wideband code division multiple access,WCDMA)、時分割符号分割多元接続(time-division code division multiple access,TD-CDMA)、ロングタームエボリューション(long term evolution,LTE)、BT、GNSS、WLAN、NFC、FM、および/またはIR技術などを含み得る。GNSSは、全地球測位システム(global positioning system,GPS)、全地球航法衛星システム(global orbiting navigation satellite system,GLONASS)、北斗航法衛星システム(BeiDou navigation satellite system,BDS)、準天頂衛星システム(quasi-zenith satellite system,QZSS)、および/または静止衛星型補強システム(satellite based augmentation systems,SBAS)を含み得る。
【0122】
モバイルホン100は、GPU、ディスプレイ194、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、表示機能を実施する。GPUは、画像処理のためのマイクロプロセッサであり、ディスプレイ194およびアプリケーションプロセッサに接続される。GPUは、数学的および幾何学的計算を実行し、画像をレンダリングするように構成される。プロセッサ110は、表示情報を生成または変更するためのプログラム命令を実行する1つまたは複数のGPUを含み得る。
【0123】
ディスプレイ194は、画像およびビデオなどを表示するように構成される。ディスプレイ194は、ディスプレイパネルを含む。ディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display,LCD)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode,OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode,AMOLED)、フレキシブル発光ダイオード(flexible light-emitting diode,FLED)、ミニLED、マイクロLED、マイクロOLED、または量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diode,QLED)などであり得る。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、1つまたはN個のディスプレイ194を含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0124】
モバイルホン100は、ISP、カメラ193、ビデオコーデック、GPU、ディスプレイ194、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、撮影機能を実施し得る。
【0125】
ISPは、カメラ193によってフィードバックされたデータを処理するように構成される。例えば、撮影中、シャッタが押され、光がレンズを通してカメラの受光素子に送られる。光信号は、電気信号に変換される。カメラの受光素子は、電気信号を処理のためにISPに送信し、電気信号を可視画像に変換する。ISPは、画像のノイズ、明るさ、色合いに対して、アルゴリズム最適化をさらに実行し得る。ISPは、撮影シナリオの露出および色温度などのパラメータをさらに最適化し得る。いくつかの実施形態においては、ISPは、カメラ193内に配置され得る。
【0126】
カメラ193は、静止画像またはビデオをキャプチャするように構成される。対象物の光学像がレンズを通して生成され、受光素子に投影される。受光素子は、電荷結合素子(charge coupled device,CCD)または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor,CMOS)光電子トランジスタであり得る。受光素子は光信号を電気信号に変換し、その後、電気信号をデジタル画像信号に変換するために、電気信号をISPに送信する。ISPは、デジタル画像信号を処理のためにDSPに出力する。DSPは、デジタル画像信号を、RGBフォーマットまたはYUVフォーマットなどの標準的な画像信号に変換する。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は1つまたはN個のカメラ193を含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0127】
デジタル信号プロセッサは、デジタル信号を処理するように構成され、デジタル画像信号に加えて、別のデジタル信号(例えば、オーディオ信号)を処理し得る。例えば、モバイルホン100が周波数を選択したとき、デジタル信号プロセッサは周波数エネルギーに対するフーリエ変換などを実行するように構成される。
【0128】
ビデオコーデックは、デジタルビデオを圧縮または伸張するように構成される。モバイルホン100は、1つまたは複数のビデオコーデックをサポートし得る。このように、モバイルホン100は、複数のコーディングフォーマットで、例えば、ムービングピクチャエキスパートグループ(moving picture experts group,MPEG)-1、MPEG-2、MPEG-3、およびMPEG-4で、ビデオを再生または記録することができる。
【0129】
NPUは、生体神経ネットワークの構造を参考にすることによって、例えば、人間の脳のニューロン間の転送モードを参考にすることによって、入力情報を高速に処理し、さらに自己学習を連続して実行することができる、ニューラルネットワーク(neural-network,NN)コンピューティングプロセッサである。モバイルホン100の知的認知、例えば、画像認識、顔認識、声認識、テキスト理解などのアプリケーションは、NPUを使用することによって実施されることができる。
【0130】
外部メモリインターフェース120は、モバイルホン100の記憶能力を拡張するために、マイクロSDカードなどの外部メモリカードに接続するように構成され得る。外部メモリカードは、データ記憶機能を実施するために、外部メモリインターフェース120を通してプロセッサ110と通信する。例えば、音楽およびビデオなどのファイルは、外部メモリカード内に記憶される。
【0131】
内部メモリ121は、コンピュータ実行可能プログラムコードを記憶するように構成され得る。実行可能プログラムコードは命令を含む。プロセッサ110は、モバイルホン100の様々な機能アプリケーション、およびデータ処理を実行するために、内部メモリ121内に記憶された命令を動作させる。内部メモリ121は、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを含み得る。プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、および少なくとも1つの機能(例えば、サウンド再生機能、または画像再生機能)によって必要とされるアプリケーションなどを記憶し得る。データ記憶領域は、モバイルホン100の使用中に作成されたデータ(例えば、オーディオデータ、またはアドレスブック)などを記憶し得る。加えて、内部メモリ121は、高速ランダムアクセスメモリを含み得、または不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ、もしくはユニバーサルフラッシュストレージ(universal flash storage,UFS)を含み得る。
【0132】
モバイルホン100は、オーディオモジュール170、スピーカ170A、受信機170B、マイクロホン170C、ヘッドセットジャック170D、およびアプリケーションプロセッサなどを使用することによって、音楽再生または記録などのオーディオ機能を実施し得る。
【0133】
オーディオモジュール170は、デジタルオーディオ情報を出力のためにアナログオーディオ信号に変換するように構成され、アナログオーディオ入力を、デジタルオーディオ信号に変換するようにも構成される。オーディオモジュール170は、オーディオ信号をエンコードおよびデコードするようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態においては、オーディオモジュール170は、プロセッサ110内に配置され得、またはオーディオモジュール170のいくつかの機能モジュールは、プロセッサ110内に配置される。
【0134】
「ホーン」とも呼ばれるスピーカ170Aは、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成される。モバイルホン100は、スピーカ170Aを通して音楽を聴き、またはハンズフリー通話に応答するために使用し得る。
【0135】
「イヤホン」とも呼ばれる受信機170Bは、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成される。モバイルホン100を使用することによって、呼が応答され、または声情報が受信されたとき、受信機170Bは声を聞くために人間の耳の近くに置かれ得る。
【0136】
「マイク」または「mic」とも呼ばれるマイクロホン170Cは、音声信号を電気信号に変換するように構成される。通話を行う、または声情報を送るとき、ユーザは、マイクロホン170Cの近くで、ユーザの口を動かすことによって音声を出して、音声信号をマイクロホン170Cに入力し得る。少なくとも1つのマイクロホン170Cがモバイルホン100内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、音声信号を収集し、さらにノイズリダクション機能を実施するために、2つのマイクロホン170Cがモバイルホン100内に配置され得る。他のいくつかの実施形態においては、音声信号を収集し、ノイズを低減させ、さらに音源を識別し、指向性記録機能を実施するためなどに、3つ、4つ、またはそれよりも多いマイクロホン170Cが、代替として、モバイルホン100内に配置され得る。
【0137】
ヘッドセットジャック170Dは、有線ヘッドセットに接続するように構成される。ヘッドセットジャック170Dは、USBインターフェース130、または3.5mmオープンモバイル端末プラットフォーム(open mobile terminal platform,OMTP)規格インターフェース、もしくは米国セルラ通信工業会(cellular telecommunications industry association of the USA,CTIA)規格インターフェースであり得る。
【0138】
圧力センサ180Aは、圧力信号を感知するように構成され、圧力信号を電気信号に変換し得る。いくつかの実施形態においては、圧力センサ180Aはディスプレイ194上に配置され得る。抵抗型圧力センサ、誘導型圧力センサ、および静電容量型圧力センサなど、複数のタイプの圧力センサ180Aが存在する。静電容量型圧力センサは、導電性材料で作られた、少なくとも2つの平行なプレートを含み得る。力が圧力センサ180Aに加えられたとき、電極間の静電容量が変化する。モバイルホン100は、静電容量変化に基づいて、圧力強度を決定する。ディスプレイ194に対して、タッチ操作が実行されたとき、モバイルホン100は、圧力センサ180Aを使用することによって、タッチ操作の強さを検出する。モバイルホン100は、圧力センサ180Aの検出信号に基づいて、タッチ位置も計算し得る。いくつかの実施形態においては、同じタッチ位置において実行されたが、異なるタッチ操作強さを有するタッチ操作は、異なる動作命令に対応し得る。例えば、タッチ操作強さが第1の圧力しきい値未満であるタッチ操作が、メッセージアイコン上において実行されたとき、SMSメッセージを閲覧するための命令が実行される。タッチ操作強さが第1の圧力しきい値以上であるタッチ操作がメッセージアイコン上において実行されたとき、SMSメッセージを作成するための命令が実行される。
【0139】
ジャイロセンサ180Bは、モバイルホン100の運動姿勢を決定するように構成され得る。いくつかの実施形態においては、ジャイロセンサ180Bは、3つの軸(すなわち、x軸、y軸、およびz軸)の周りのモバイルホン100の角速度を決定するために使用され得る。ジャイロセンサ180Bは、撮影中、画像安定化を実施するように構成され得る。例えば、シャッタが押されたとき、ジャイロセンサ180Bはモバイルホン100が小刻みに動く角度を検出し、角度に基づいた計算を通してレンズモジュールが補正する必要がある距離を取得し、画像安定化を実施するために、レンズがモバイルホン100の小刻みの動きを、逆の動きを通して打ち消すことを可能にする。ジャイロセンサ180Bは、ナビゲーションシナリオ、および動き感知ゲームシナリオにおいて、さらに使用され得る。
【0140】
気圧センサ180Cは、気圧を測定するように構成される。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、測位およびナビゲーションを支援するために、気圧センサ180Cによって測定された大気圧の値に基づいて高度を計算する。
【0141】
磁気センサ180Dは、ホール効果センサを含む。モバイルホン100は、磁気センサ180Dを使用することによってフリップカバーの開閉を検出し得る。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100が折り畳み式ホンであるとき、モバイルホン100は、磁気センサ180Dを使用することによってフリップカバーの開閉を検出し得る。さらに、フリップカバーを開いたときの自動アンロックなどの特徴は、フリップカバーの検出された開閉状態に基づいて設定される。
【0142】
加速度センサ180Eは、様々な方向(通常は3軸上)におけるモバイルホン100の加速度の大きさを検出し得る。モバイルホン100が静止しているとき、重力の値および方向が検出され得る。加速度センサ180Eは、電子デバイスの姿勢を識別するようにさらに構成され得、横向きモードと縦向きモードとの間の切り替え、または歩数計などのアプリケーションにおいて使用される。
【0143】
距離センサ180Fは距離を測定するように構成される。モバイルホン100は赤外線またはレーザを通して距離を測定し得る。いくつかの実施形態においては、撮影シナリオにおいて、モバイルホン100は、迅速な焦点合わせを実施するために、距離センサ180Fを使用することによって距離を測定し得る。
【0144】
光近接センサ180Gは、例えば、発光ダイオード(LED)と、フォトダイオードなどの光学検出器とを含み得る。発光ダイオードは、赤外線発光ダイオードであり得る。モバイルホン100は、発光ダイオードを使用することによって、赤外光を放射し得る。モバイルホン100は、フォトダイオードを使用することによって、近くの物体からの反射赤外光を検出する。十分な反射光が検出されたとき、モバイルホン100の近くに物体が存在すると決定され得る。不十分な反射光しか検出されないとき、モバイルホン100は、モバイルホン100の近くに物体が存在しないと決定し得る。モバイルホン100は、電力を節約するために、自動画面オフが実施されるように、ユーザが会話のためにモバイルホン100を耳の近くに置いたことを、光近接センサ180Gを使用することによって検出し得る。光近接センサ180Gは、画面を自動的にアンロックまたはロックするために、レザーケースモードまたはポケットモードにおいても使用され得る。
【0145】
環境光センサ180Lは、環境光輝度を感知するように構成される。モバイルホン100は、環境光の感知された輝度に基づいてディスプレイ194の輝度を適応的に調整し得る。環境光センサ180Lは、撮影中にホワイトバランスを自動的に調整するようにさらに構成され得る。環境光センサ180Lは、モバイルホン100がポケット内にあるかどうかを検出するために、光近接センサ180Gとさらに協働し得、それによって偶発的なタッチを防止する。
【0146】
指紋センサ180Hは、指紋を収集するように構成される。モバイルホン100は、指紋ベースのアンロック、アプリケーションロックアクセス、指紋ベースの撮影、および指紋ベースの通話応答などを実施するために、収集された指紋の特徴を使用し得る。
【0147】
温度センサ180Jは温度を検出するように構成される。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、温度センサ180Jによって検出された温度を使用することによって、温度処理ポリシを実行する。例えば、温度センサ180Jによって報告された温度がしきい値を超えたとき、モバイルホン100は、電力消費を低減させ、熱保護を実施するために、温度センサ180Jの近くのプロセッサの稼働を低減させる。他のいくつかの実施形態においては、温度が別のしきい値よりも低いとき、低い温度によって引き起こされるモバイルホン100の異常なシャットダウンを回避するために、モバイルホン100はバッテリ142を加熱する。他のいくつかの実施形態においては、温度がさらに別のしきい値よりも低いとき、低い温度によって引き起こされる異常なシャットダウンを回避するために、モバイルホン100はバッテリ142の出力電圧を上げる。
【0148】
タッチセンサ180Kは「タッチパネル」とも呼ばれる。タッチセンサ180Kはディスプレイ194上に配置され得、タッチセンサ180Kとディスプレイ194は「タッチスクリーン」とも呼ばれるタッチスクリーンを形成する。タッチセンサ180Kは、タッチセンサ上またはその近くで実行されたタッチ操作を検出するように構成される。タッチセンサは、タッチイベントのタイプを決定するために、検出されたタッチ操作をアプリケーションプロセッサに転送する。タッチ操作に関連する視覚的な出力は、ディスプレイ194上において提供され得る。他のいくつかの実施形態においては、タッチセンサ180Kは、代替として、モバイルホン100の表面上に配置され得、ディスプレイ194のそれとは異なる位置にある。
【0149】
骨伝導センサ180Mは、振動信号を取得し得る。いくつかの実施形態においては、骨伝導センサ180Mは、人間の声帯部の振動骨の振動信号を取得し得る。骨伝導センサ180Mは、人間の脈拍に接触し、血圧の拍動信号を受け取り得る。いくつかの実施形態においては、骨伝導センサ180Mは、代替として、骨伝導ヘッドセットを形成するために、ヘッドセット内に配置され得る。オーディオモジュール170は、声機能を実施するために、発声部の振動骨についてのものであり、骨伝導センサ180Mによって取得された振動信号に基づいた解析を通して声信号を取得し得る。アプリケーションプロセッサは、心拍検出機能を実施するために、骨伝導センサ180Mによって取得された血圧拍動信号に基づいて心拍情報を解析し得る。
【0150】
ボタン190は、電源ボタン、および音量ボタンなどを含む。ボタン190は、機械的ボタンであり得、またはタッチセンシティブボタンであり得る。モバイルホン100はボタン入力を受け取り、モバイルホン100のユーザ設定および機能制御に関連するボタン信号入力を生成し得る。
【0151】
モータ191は振動プロンプトを生成し得る。モータ191は、着呼振動プロンプト、またはタッチ振動フィードバックを提供するように構成され得る。例えば、異なるアプリケーション(例えば、写真撮影、およびオーディオ再生)に対して実行されるタッチ操作は、異なる振動フィードバック効果に対応し得る。モータ191は、ディスプレイ194の異なる領域上において実行されるタッチ操作に対する、異なる振動フィードバック効果にも対応し得る。異なるアプリケーションシナリオ(例えば、時刻リマインダ、情報受け取り、アラーム時計、およびゲーム)も、異なる振動フィードバック効果に対応し得る。タッチ振動フィードバック効果は、さらにカスタマイズされ得る。
【0152】
インジケータ192はインジケータであり得、充電ステータスおよび電力変化を示すように構成され得、またはメッセージ、不在着信、および通知などを示すように構成され得る。
【0153】
SIMカードインターフェース195は、SIMカードに接続するように構成される。SIMカードは、モバイルホン100との接触、またはモバイルホン100からの分離を実施するために、SIMカードインターフェース195に挿入され、またはSIMカードインターフェース195から引き抜かれ得る。モバイルホン100は、1つまたはN個のSIMカードインターフェースをサポートしてよく、Nは1よりも大きい正の整数である。SIMカードインターフェース195は、ナノSIMカード、マイクロSIMカード、およびSIMカードなどをサポートすることができる。複数のカードが同じSIMカードインターフェース195に同時に挿入されてよい。複数のカードは同じタイプであってよく、または異なるタイプであってよい。SIMカードインターフェース195は、異なるタイプのSIMカードと互換性があり得る。SIMカードインターフェース195は、外部メモリカードとも互換性があり得る。モバイルホン100は、通話およびデータ通信などの機能を実施するために、SIMカードを使用することによって、ネットワークと対話する。いくつかの実施形態においては、モバイルホン100は、eSIM、すなわち、埋め込み型SIMカードを使用する。eSIMカードは、モバイルホン100に埋め込まれ得、モバイルホン100から分離されることができない。
【0154】
本出願の実施形態においては、端末デバイス(例えば、モバイルホン)は、本出願のこの実施形態におけるいくつかまたはすべてのステップを実行し得ることを理解することができる。これらのステップまたは動作は例にすぎない。本出願の実施形態においては、別の動作、または様々な動作の変形が実行されてよい。加えて、ステップは本出願の実施形態において提示された順序とは異なる順序で実行されてよく、本出願の実施形態におけるすべての動作が、必ずしも実行されるわけではない。本出願の実施形態は、別々に実施されてよく、または任意の組み合わせで実施されてよい。これは本出願においては限定されない。
【0155】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの音質を改善するために、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行され得、またはスピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行され得、またはスピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行され得、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行され得る。
【0156】
以下では、本出願の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法について詳細に説明する。
【0157】
図2に示されように、スピーカの音質を改善するために、スピーカの入力信号に対して非線形補償が実行されるとき、本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、S101からS103を含み得る。
【0158】
S101:スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する。
【0159】
第2の非線形パラメータはスピーカにおいて事前構成された非線形パラメータであり、スピーカの直流抵抗はスピーカのコイルの直流抵抗である。
【0160】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、第2の非線形パラメータは、スピーカの第1の非線形パラメータを調整することによって取得され得、第1の非線形パラメータは、(スピーカが製造され、使用されていない状態と理解されることができる)元の状態におけるスピーカの非線形パラメータである。スピーカの納入前に、スピーカの第1の非線形パラメータが最初に調整され、スピーカのパラメータが第1の非線形パラメータから第2の非線形パラメータに調整され、その後、スピーカが納入され使用される。
【0161】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータ(例えば、第1の非線形パラメータ、第2の非線形パラメータ、および第3の非線形パラメータ)は、スピーカの力係数、機械的剛性、インダクタンス、およびダンピングのうちの少なくとも1つを含む。
【0162】
任意選択で、図2を参照すると、図3に示されるように、S101は、S1011およびS1012を使用することによって具体的に実施され得る。
【0163】
S1011:スピーカの直流抵抗に基づいてスピーカのコイルの温度を決定する。
【0164】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗と、現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度とを取得するために、スピーカの出力信号、第2の非線形パラメータ、およびスピーカの線形パラメータがスピーカモデルに入力される。現在の瞬間に存在する電流、変位、および速度は、入力信号における次の信号に対して信号補償を実行するために使用される。
【0165】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、スピーカモデルは従来技術におけるモデルであり得る。詳細が本出願のこの実施形態において説明されることはない。
【0166】
本出願の実施形態においては、スピーカの(ボイスコイルの温度と呼ばれることもある)コイルの温度と、スピーカのコイルの直流抵抗との間の関係は、以下の通りである。
【0167】
【数4】
【0168】
ここで、Tはスピーカのコイルの温度であり、Rはスピーカのコイルの直流抵抗であり、ηは温度上昇係数であり、R0は較正温度に対応する、コイルの直流抵抗であり、ボイスコイルの温度は、通常、摂氏25度に較正される。
【0169】
スピーカの直流抵抗が取得された後、スピーカのコイルの温度が上述の式に基づいて取得され得る。
【0170】
S1012:第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカのコイルの温度に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行する。
【0171】
非線形パラメータ、例えば、第2の非線形パラメータのうちの非線形パラメータKms(x)が、第3の非線形パラメータを取得するために、第2の非線形パラメータに対して補間を実行する処理を説明するための例として使用される。
【0172】
最初に、スピーカのコイルの温度が異なる温度値を有するときに存在する非線形パラメータKms(x)の特性曲線が取得される。Kms(x)の特性曲線は、スピーカの剛性係数とスピーカの変位との間の関係を反映した曲線である。例えば、摂氏10度から摂氏55度までの10個のKms(x)の特性曲線が摂氏5度の間隔で取得され、10個の特性曲線のデータが記憶される。
【0173】
第2に、目標特性曲線(目標特性曲線は、第3の非線形パラメータの特性曲線の推定結果と理解され得る)を取得するために、スピーカのコイルの温度、温度しきい値1、および温度しきい値2に基づいて非線形パラメータKms(x)の特性曲線に対して線形補間が実行される。温度しきい値2は、温度しきい値1よりも大きく、第3の非線形パラメータは、スピーカのコイルの現在の温度に対応する非線形パラメータとして理解され得る。
【0174】
例えば、スピーカのコイルの温度はTと表記され、温度しきい値1はTminと表記され、温度しきい値2はTmaxと表記される。
【0175】
T<Tminである場合、Tminに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0176】
T>Tmaxである場合、Tmaxに対応する特性曲線が目標特性曲線として使用される。
【0177】
min≦T≦Tmaxである場合、目標特性曲線を生成するために、スピーカのコイルの温度に基づいて、Tminに対応する特性曲線と、Tmaxに対応する特性曲線とに対して、線形補間が実行される。
【0178】
最後に、目標特性曲線に対応する多項式の各係数を取得するために、目標特性曲線に対して、多項式フィッティングが実行される。各係数は、非線形パラメータと1対1の対応にある。したがって、第3の非線形パラメータは、多項式の各係数に基づいて、決定され得る。
【0179】
例えば、非線形パラメータKms(x)については、フィッティングを通して取得される2項式は、
f(x)=a0+a1x+a22+a33+a44
であることが仮定される。
【0180】
ここで、係数a1は、非線形パラメータKms(x)の1次係数に対応し、係数a2は非線形パラメータKms(x)の2次係数に対応し、係数a 3 は非線形パラメータKms(x)の3次係数に対応し、係数a4は非線形パラメータKms(x)の4次係数に対応する。
【0181】
第3の非線形パラメータにおける別のタイプのパラメータ、例えば、Rm(v)も、線形補間方法と同様の方法を使用することによって取得され得る。詳細が本明細書のこの実施形態において説明されることはない。
【0182】
任意選択で、非線形パラメータの特性曲線は、表の形式のデータであってよく、または別の形式のデータもしくはファイルであってよい。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0183】
スピーカの非線形パラメータは、リアルタイムに変化し得る。例えば、非線形パラメータは、スピーカのボイスコイルの温度に伴って変化する。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形抵抗(すなわち、第3の非線形抵抗)をリアルタイムに取得するために、スピーカの現在の直流抵抗に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間が実行される。第3の非線形パラメータは高い精度を有する。
【0184】
スピーカの非線形パラメータは、スピーカの変位にも伴って変化し得ることが理解されるべきである。本出願のこの実施形態においては、スピーカの直流抵抗に基づいて、スピーカの変位を決定するために、同様の線形補間方法が使用され得、その後、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの変位に基づいてスピーカの第2の非線形パラメータに対して補間が実行される。このケースにおいては、S1012と異なり、第2の非線形パラメータの特性曲線は、異なる変位に対応する特性曲線である。
【0185】
S102:補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行する。
【0186】
具体的には、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償を実行することは、補償された第1の入力信号を取得するために、第1の入力信号、第3の非線形パラメータ、スピーカの線形パラメータ、ならびに以前の瞬間に取得された電流、変位、および速度を、信号補償モデルに入力することを含む。
【0187】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの決定された第3の非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、良好な信号補償効果が存在し、入力信号に対する非線形パラメータの影響が効果的に低減させられることができるように、第3の非線形パラメータに基づいて、第1の入力信号に対して、信号補償が実行される。
【0188】
S103:スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングを実行する。
【0189】
本出願のこの実施形態においては、補償された第1の入力信号は第1の信号と表記され、補償された第1の入力信号のフィルタリング処理はA1からA5を含む。
【0190】
A1:第2の信号を取得するために、ウェーブトラップを使用することによって、第1の信号に対してフィルタリングを実行する。
【0191】
任意選択で、ウェーブトラップの関数式は、以下の通りであり得る。
【0192】
Z(Z)=(a1+a2-1+a3-2)/(b1+b2-1+b3-2
【0193】
ここで、a1、a2、a3、b1、b2、b3は、ウェーブトラップのフィルタリング係数である。
【0194】
1=0.5*(1+μ)、a2=-β*(1+μ)、a3=0.5*(1+μ)
1=1、b2=-β*(1+μ)、b3=μ
である。
【0195】
ここで、β=cosw0
【0196】
【数5】
【0197】
【0198】
【数6】
【0199】
である。
【0200】
ここで、f0はスピーカの共振周波数であり、fsはサンプリング周波数であり、Bwはデジタル帯域幅係数である。
【0201】
A2:第3の信号を取得するために、第1の信号と第2の信号との間の差を計算する。
【0202】
A3:第4の信号を取得するために、第3の信号をフィルタリングゲインによって乗算する。
【0203】
フィルタリングゲインは、補償された第1の入力信号に対して、フィルタリングを実行するために使用される。
【0204】
A4:第5の信号を取得するために、第1の信号と第4の信号との間の差を計算し、第5の信号をスピーカの出力信号として使用する。
【0205】
本出願のこの実施形態においては、出力信号の歪みがさらに低減させられ、スピーカの音質が効果的に改善されることができるように、スピーカの振動板についてのものであり共振周波数の近くに存在する速度を調整するために、第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。
【0206】
本出願のこの実施形態においては、入力信号に基づいて、フィルタリングゲインが生成され得る。具体的には、フィルタリングゲインを生成することはS1およびS2を含み得る。
【0207】
S1:現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値を決定する。
【0208】
第1の入力信号は、複数の信号フレームを含み、各信号フレームは複数の入力電圧を含み、複数の入力電圧のうちの最大絶対値を有する電圧が、現在のフレームにおける絶対電圧値の最大値であることが理解されるべきである。
【0209】
S2:絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定する。
【0210】
本出願のこの実施形態においては、絶対電圧値の最大値はUmaxと表記され、フィルタリングゲインはαと表記され、絶対電圧値の最大値に基づいてフィルタリングゲインを決定することは以下を含む。
【0211】
max<Ulowlimitであるとき、
α=αbuffer*αsmoothであり、ここで、
lowlimitは電圧制御下限であり、αbufferは以前のフレームに対応するフィルタリングゲインであり、αsmoothはフィルタリングゲインの平滑化係数であり、*は畳み込みを表し、
lowlimit ≦Umax≦U uplimit であるとき、
【0212】
【数7】
【0213】
であり、ここで、
uplimitは電圧制御上限であり、αuplimitはフィルタリングゲインの制御上限であり、αlowlimitはフィルタリングゲインの制御下限であり、または
max>Uuplimitであるとき、
α=αbuffer*αsmooth+αuplimit*(1-αsmooth)である。
【0214】
したがって、スピーカの第1の入力信号に対して実行される非線形補償が完了し、スピーカの出力信号が出力のために取得される。図4は、信号補償を通してスピーカの音質を改善するための方法のフローブロック図である。
【0215】
任意選択で、本出願の実施形態においては、スピーカの第2の非線形パラメータを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいてスピーカの第1の非線形パラメータが調整され得る。具体的には、図5に示されるように、スピーカの第1の非線形パラメータが、S201からS204をサイクリックに実行することによって調整される。
【0216】
S201:スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号を取得する。
【0217】
本出願のこの実施形態においては、入力信号について、スピーカによって出力された音響信号、またはスピーカの変位信号が収集され得る。任意選択で、入力信号は、スイープ信号またはチャープ信号であり得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0218】
スピーカの入力信号Uin(n)について、信号Uin(n)、以前の瞬間に取得された非線形パラメータPn(tn-1)、線形パラメータPi(tn-1)、ならびに以前の瞬間に取得された電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)が、出力信号に対応する音響信号または変位信号を収集するために、出力信号Uout(n)を取得するために、非線形補償モデルに入力される。
【0219】
以前の瞬間に取得された電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)は、以前の瞬間に存在した出力信号Uout(n-1)を、スピーカモデルに、フィードバックすることによって取得される。具体的には、電流i(n-1)、変位x(n-1)、および速度v(n-1)を取得するために、以前の瞬間に存在した出力信号Uout(n-1)、以前の瞬間に取得された非線形パラメータPn(tn-1)、および線形パラメータPi(tn-1)が、スピーカモデルに入力される。
【0220】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、スピーカモデルは既存のスピーカモデルであってよく、スピーカモデルが本明細書において詳細に説明されることはない。
【0221】
S202:スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータから、目標の調整されるパラメータを決定する。
【0222】
具体的には、S202は、S2021からS2023を使用することによって、実施され得る。
【0223】
S2021:高調波歪みを取得するために、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に対してフーリエ変換を実行する。
【0224】
音響信号または変位信号のフーリエ変換結果は、N次高調波歪みを含み得る。本出願のこの実施形態においては、スピーカの非線形パラメータは音響信号または変位信号のフーリエ変換結果における各次数の高調波歪みと1対1の対応にある。表1は、非線形パラメータと高調波歪みとの間の対応の例を示している。
【0225】
【表1】
【0226】
S2022:高調波歪みに基づいてスピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定する。
【0227】
本出願のこの実施形態においては、信号補償が入力信号に対して実行された後に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第1の高調波歪みと呼ばれ、補償が入力信号に対して実行される前に収集された、音響信号または変位信号に対応する、フーリエ変換結果における高調波歪みは、第2の高調波歪みと呼ばれる。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータから候補の調整されるパラメータを決定することは、第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定することを含み得る。第1の高調波歪みと、第2の高調波歪みとに基づいて、候補の調整されるパラメータを決定することは、具体的には以下のステップを含む。
【0228】
ステップ1:第2の高調波歪みにおける各次数の高調波歪みの、第1の高調波歪みにおける対応する各次数の高調波歪みに対する比を決定する。
【0229】
例えば、第1の高調波歪みは2次高調波歪みから5次高調波歪みを含み、同様に、第2の高調波歪みも2次高調波歪みから5次高調波歪みを含むことが仮定される。第2の高調波歪みにおける2次高調波歪みの、第1の高調波歪みにおける2次高調波歪みに対する比が計算され、比1として記録され、比2、比3、比4も同様に取得される。表2は、非線形パラメータと、各次数の高調波歪みと、各次数の高調波歪みの比との間の対応の例を示している。
【0230】
【表2】

【0231】
ステップ2:高調波歪みについてのものであり、事前設定されたしきい値よりも大きい、各比に対応する非線形パラメータを、候補の調整されるパラメータとして決定する。
【0232】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、事前設定されたしきい値は、実際の使用要件に基づいて決定され得、各次数の高調波歪みは、同じまたは異なる事前設定されたしきい値に対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0233】
例えば、2次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値1と表記され、3次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値2と表記され、4次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値3と表記され、5次高調波に対応するしきい値は事前設定されたしきい値4と表記されることが仮定される。2次高調波歪みの比が事前設定されたしきい値1よりも大きく、4次高調波歪みの比が事前設定されたしきい値3よりも大きいとき、BL(x)の1次係数、Kms(x)の1次係数、BL(x)の3次係数、およびKms(x)の3次係数が、候補の調整されるパラメータとして決定され得る。
【0234】
S2023:候補の調整されるパラメータから、目標の調整されるパラメータを決定する。
【0235】
本出願のこの実施形態においては、候補の調整されるパラメータが決定された後、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が取得され、候補の調整されるパラメータのうちの各非線形パラメータの収束誤差が各非線形パラメータに対応する事前設定された誤差しきい値と比較され、候補の調整されるパラメータのうちの、収束誤差が誤差しきい値よりも大きい各非線形パラメータが、目標の調整されるパラメータとして決定される。
【0236】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、事前設定された誤差しきい値は、実際の使用要件に基づいて決定され得、各非線形パラメータは、同じまたは異なる事前設定された誤差しきい値に対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0237】
例えば、ステップ2における例を参照すると、決定された候補の調整されるパラメータは、BL(x)の1次係数、Kms(x)の1次係数、BL(x)の3次係数、およびKms(x)の3次係数である。BL(x)の1次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値1と表記され、Kms(x)の1次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値2と表記され、BL(x)の3次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値3と表記され、Kms(x)の3次係数に対応する事前設定された誤差しきい値は、事前設定された誤差しきい値4と表記される。BL(x)の1次係数の収束誤差は、事前設定された誤差しきい値1よりも大きく、Kms(x)の3次係数の収束誤差は、事前設定された誤差しきい値4よりも大きい。したがって、BL(x)の1次係数、およびKms(x)の3次係数が目標の調整されるパラメータとして決定され、別の非線形パラメータは調整される必要はない。
【0238】
S203:調整された第1の非線形パラメータを取得するために、目標方向と、目標ステップとに基づいて、スピーカの第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータを較正する。
【0239】
本出願のこの実施形態においては、目標方向は、順方向と、逆方向とを含み得る。順方向は、非線形パラメータが増加させられる方向と定義され得、逆方向は、非線形パラメータが減少させられる方向と定義され得る。目標方向は、実際の要件に基づいて具体的に定義され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0240】
目標ステップは、非線形パラメータの調整(増加または減少)の大きさを表し、目標ステップは、順方向に対応する目標ステップと、逆方向に対応する目標ステップとを含み得る。
【0241】
任意選択で、順方向に対応する目標ステップは、逆方向に対応する目標ステップと同じであってよく、または異なっていてよい。これは、本出願のこの実施形態においては特に限定されない。例えば、非線形パラメータは、順方向において調整され、対応する目標ステップは、5%に設定され、非線形パラメータは、逆方向において調整され、対応するステップは、10%に設定される。
【0242】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、第1の非線形パラメータが複数の非線形パラメータを含むとき、異なる非線形パラメータは、同じ目標ステップ、または異なる目標ステップに対応し得る。これは、本出願のこの実施形態において特に限定されない。例えば、非線形パラメータは、BL(x)と、Kms(x)と、Le(x)とを含むことが仮定される。表3は、各非線形パラメータに対応する目標ステップの例を示している。
【0243】
【表3】

【0244】
第1の非線形パラメータのうちの目標の調整されるパラメータが調整された後、調整された第1の非線形パラメータが取得されることが理解されるべきである。さらに、以降のサイクルにおける対応するステップのために、更新された収束誤差が使用されるように、第1の非線形パラメータの収束誤差が調整された第1の非線形パラメータに基づいて更新される。
【0245】
S204:スピーカの出力信号を取得するために、調整された第1の非線形パラメータに基づいてスピーカの入力信号に対して信号補償を実行する。
【0246】
スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの入力信号に対して信号補償が実行された後、S201が実行されることが理解されることができる。具体的には、出力信号について、スピーカの音響信号または変位信号が取得される。図6は、スピーカのパラメータを調整するための方法のフローブロック図である。
【0247】
調整された第1の非線形パラメータを取得するために、第1の非線形パラメータが調整される。したがって、スピーカの第1の非線形パラメータの値は、調整された第1の非線形パラメータの値に更新される(言い換えると、調整前に存在した第1の非線形パラメータの値を置換するために、調整された非線形パラメータの値が使用される)。その後、スピーカの音響信号またはスピーカの変位信号に基づいて、第1の非線形パラメータから目標の調整されるパラメータが決定される(ここにおける第1の非線形パラメータは、更新された第1の非線形パラメータである)。具体的な処理については上述の実施形態における関連する説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0248】
結論として、S201からS204は、サイクリックに実行され、最後のサイクルにおいて取得された、調整された第1の非線形パラメータが第2の非線形パラメータとして使用される。
【0249】
任意選択で、本出願の実施形態においては、第1の非線形パラメータは、測定を通して取得される。具体的には、スピーカの第1の非線形パラメータを取得するために、S301からS305がサイクリックに実行され得る。
【0250】
S301:スピーカの予測される電圧を取得するために、入力電流、非線形パラメータ、および線形パラメータを、集中ラウドスピーカモデルに入力する。
【0251】
本出願のこの実施形態においては、入力電流は入力信号の駆動作用の下でスピーカによって発生させられた電流であり、入力信号は入力電圧である。説明を容易にするために、以下の実施形態においては、入力電圧は実際の電圧と呼ばれる。
【0252】
第1のサイクルにおいて、S301における非線形パラメータおよび線形パラメータは初期化されたパラメータであり、任意選択で、ランダムに初期化された非線形パラメータおよび線形パラメータであってよいことが理解されるべきである。後続のサイクルのS301における非線形パラメータおよび線形パラメータは、以前のサイクルにおいて取得された非線形パラメータおよび線形パラメータである。
【0253】
S302:実際の電圧と、予測される電圧とに基づいて、誤差信号を取得する。
【0254】
誤差信号は、実際の電圧と予測される電圧との間の差である。
【0255】
S303:スピーカの線形パラメータを取得するために、誤差信号と、入力電流とを、線形パラメータ識別モデルに入力する。
【0256】
S304:非相関化された誤差信号を取得するために、誤差信号を非相関化する。
【0257】
本出願のこの実施形態においては、誤差信号を非相関化することは、誤差信号から線形信号を除去することである。任意選択で、誤差信号は、従来技術における(非相関化モデルを使用することによる)非相関化方法で、非相関化され得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0258】
S305:スピーカの非線形パラメータを取得するために、非相関化された誤差信号と、入力電流とを、非線形パラメータ識別モデルに入力する。
【0259】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、集中スピーカモデル、線形パラメータ識別モデル、および非線形パラメータ識別モデルは、すべて、従来技術で提供されるモデルであり得る。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0260】
現在のサイクルに対応する線形パラメータがS304において取得され、現在のサイクルに対応する非線形パラメータがS305において取得され、その後、予測される電圧を取得するために、次の入力電流、現在のサイクルにおいて取得された線形パラメータ、および現在のサイクルにおいて取得された非線形パラメータが集中スピーカモデルに入力されることが理解されるべきである。言い換えると、最終的な線形パラメータおよび非線形パラメータを取得するために、サイクルの事前設定された数量が到達されるまで、S301からS305が実行され続け、または事前設定された許容誤差が取得されるまで、非線形パラメータおよび線形パラメータが収束し、最終的に取得された非線形パラメータが第1の非線形パラメータとして使用される。
【0261】
非線形パラメータの収束誤差を取得するために、S301からS305が、サイクリックに実行されることが留意されるべきである。非線形パラメータの収束誤差は、非線形パラメータのうちの各パラメータに対応する収束誤差を含むことが理解されるべきである。
【0262】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法においては、スピーカの第3の非線形パラメータを取得するために、スピーカの直流抵抗に基づいて、スピーカの第2の非線形パラメータに対して、補間が実行され得、補償された第1の入力信号を取得するために、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対して信号補償が実行され、スピーカの出力信号を取得するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。第3の非線形パラメータは、スピーカの直流抵抗に基づいて第2の非線形パラメータに対して補間を実行することによって、取得される。非線形パラメータ(すなわち、第3の非線形パラメータ)は、スピーカの現在の作動状態に対応する非線形パラメータであり、言い換えると、リアルタイム非線形パラメータである。非線形パラメータは、高い精度を有する。したがって、信号補償は、第3の非線形パラメータに基づいてスピーカの第1の入力信号に対してより効果的に実行されることができ、信号歪みをさらに低減するために、補償された第1の入力信号に対してフィルタリングが実行される。このようにして、スピーカの音質はより効果的に改善されることができる。
【0263】
図7に示されるように、スピーカの音質を改善するために、スピーカに対して変位保護が実行される。本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法は、S401からS406を含み得る。
【0264】
S401:第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換を実行する。
【0265】
例えば、スピーカについてのものであり、現在の瞬間(瞬間tn)に存在する、入力信号Uin(tn)が例として使用される。以下の実施形態においては、スピーカについてのものであり、瞬間tnに対応する、入力信号における信号の第nのフレームは、Uin(tn)に対応する信号の第nのフレームであることが留意されるべきである。
【0266】
第1の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて計算される。
【0267】
mean_ts(tn)=mean[Hux(tn-1)*Uin(tn)]
【0268】
ここで、Xmean_ts(tn)は第1の予測される変位の実効値を表し、Hux(tn-1)は第1の変位変換を実行するための数学モデルであり、スピーカの変位伝達関数と呼ばれることもあり、meanは実効値の計算を表し、*は畳み込みを表す。
【0269】
第1の予測される変位の最大値は、以下の式に基づいて計算される。
【0270】
max_ts(tn)=max[Hux(tn-1)*Uin(tn)]
【0271】
ここで、Xmax_ts(tn)は、第1の予測される変位の最大値を表し、maxは、最大値を計算を表し、*は、畳み込みを表す。
【0272】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの線形パラメータを取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧)が線形パラメータ識別モデルに入力され得、さらに、変位伝達関数が線形パラメータに基づいて更新される。
【0273】
任意選択で、変位伝達関数は以下の通りである。
【0274】
【数8】
【0275】
P(tn-1)=[BL(tn-1),Re(tn-1),Le(tn-1),Mms(tn-1),Rms(tn-1),Kms(tn-1)]
【0276】
ここで、L-1は逆ラプラス変換を表し、P(tn-1)はスピーカの線形パラメータを表す。
【0277】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位伝達関数は、代替として、別のタイプの伝達関数であってよく、上述の式において示される関数タイプに限定されない。
【0278】
S402:第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換を実行する。
【0279】
スピーカのフィードバック信号は、フィードバック電流と、フィードバック電圧とを含む。
【0280】
例えば、スピーカについてのものであり、現在の瞬間(tn)に存在する、入力信号Uin(n)が例として使用され、第2の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて、計算される。
【0281】
【数9】
【0282】
ここで、Xmean_emf(tn)は、第2の予測される変位の実効値を表し、Um(tn-1)は、フィードバック電圧(すなわち、以前の瞬間に出力された電圧)を表し、Im(tn-1)は、フィードバック電流(すなわち、以前の瞬間(tn-1)に出力された電流)を表す。
【0283】
(スピーカの誘導起電力モデルと呼ばれることもある)第2の変位変換のための数学モデルは、以下の通りであり得る。
【0284】
【数10】
【0285】
ここで、Re(tn-1)は、直流抵抗である。
【0286】
本出願の実施形態においては、同様に、スピーカの線形パラメータP(tn-1)を取得するために、スピーカについてのものであり、以前の瞬間に存在したフィードバック信号(フィードバック電圧Um(tn-1))が線形パラメータ識別モデルに入力され得、さらに、スピーカの誘導起電力モデルが線形パラメータに基づいて更新される。
【0287】
S403:第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する。
【0288】
S403は、S4031およびS4032を使用することによって、実施され得る。
【0289】
S4031:第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、第3の予測される変位の実効値を決定する。
【0290】
第3の予測される変位の実効値は、以下の式に基づいて取得され得る。
【0291】
mean_est(tn)=KalmanFilter[Xmean_ts(tn),Xmean_emf(tn)]
【0292】
ここで、Xmean_est(tn)は、第3の予測される変位の実効値を表し、KalmanFilterは、カルマンフィルタを表す。
【0293】
S4032:第1の予測される変位の実効値と、第3の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインを決定する。
【0294】
変位補正ゲインGc(tn)は、以下の通りである。
【0295】
【数11】
【0296】
S404:第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位を決定する。
【0297】
スピーカの変位X max_est (tn)は、以下の式に基づいて取得され得る。
【0298】
max_est(tn)=Gc(tn)×Xmax_ts(tn
【0299】
S405:スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定する。
【0300】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位は、X max_est (tn)と表記され、事前設定された変位しきい値はXthと表記され、スピーカの信号制御ゲインは以下の通りである。
【0301】
【数12】
【0302】
S406:スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行する。
【0303】
具体的には、スピーカの出力信号は、以下の式に基づいて、取得され得る。
【0304】
out(tn)=Gp(tn)×Uin(tn
【0305】
任意選択で、本出願のこの実施形態においては、入力信号は最適化係数によってさらに乗算され得、係数はスピーカのハードウェアまたは作動状態に関連する係数であり得る。
【0306】
本出願のこの実施形態においては、S405およびS406を参照すると、スピーカのサウンド効果を改善し、ユーザの主観的体験を改善するために、スピーカの変位が事前設定された変位しきい値よりも大きいとき、変位が事前設定された変位しきい値を超えないように、スピーカの変位は、調整される必要がある(言い換えると、変位保護が可能にされる)ことが知られることができる。さらに、スピーカの(線形パラメータである)パラメータは、スピーカのフィードバック信号に基づいてリアルタイムに識別され得、スピーカのコンポーネントの経年劣化などの要因のせいで、変位保護が失敗するという問題を解決するために、第1の変位変換モデル、および第2の変位変換モデルは、更新される。
【0307】
S406において取得される出力信号は、デジタル信号である。本出願のこの実施形態においては、デジタル信号からアナログ信号に変換するために、デジタル-アナログ変換器が使用され得、その後、出力信号は、増幅器を使用することによって、再生のためにスピーカに送信される。
【0308】
さらに、スピーカのフィードバック信号は、フィードバック回路を使用することによって検出を通して取得され得る。フィードバック信号は、スピーカの2端における電圧信号および電流信号を含む(電圧信号および電流信号は、アナログ信号である)。その後、電圧信号および電流信号は、アナログ-デジタル変換器を使用することによってデジタル電圧およびデジタル電流に変換され、その後、デジタル電圧およびデジタル電流は、スピーカの線形パラメータ(例えば、上述の実施形態におけるP(tn-1))を取得するために、線形パラメータ識別モデルに入力される。
【0309】
図8または図9は、変位保護を通してスピーカのサウンド効果を改善するための方法のフローブロック図である。違いは以下の通りであり、図8においては、スピーカの変位を取得するために、第1の変位変換後に、変位補正ゲインが第1の予測される変位出力の最大値に適用される。例えば、Xmax_ts(tn)が取得された後、Xmax_est(tn)=Gc(tn)×Xmax_ts(tn)に基づいて、スピーカの変位が取得される。図9においては、変位補正ゲインは、第1の変位変換処理に適用される。具体的には、スピーカの変位を取得するために、変位補正ゲインが第1の変位変換モデルに直接的に適用される。例えば、Xmax_est(tn)=Gc(tn)×max[Hux(tn-1)*Uin(tn)]である。基本的に、図8に示される手順と図9に示される手順は、スピーカの変位を取得するための同じ方法に対応する。
【0310】
本出願のこの実施形態におけるスピーカの音質を改善するための方法によれば、第1の予測される変位の最大値と、第1の予測される変位の実効値とを取得するために、スピーカの入力信号に対して第1の変位変換が実行され得る。第2の予測される変位の実効値を取得するために、スピーカのフィードバック信号に対して第2の変位変換が実行され得る。第1の予測される変位の実効値と、第2の予測される変位の実効値とに基づいて、変位補正ゲインが決定される。さらに、第1の予測される変位の最大値と、変位補正ゲインとに基づいて、スピーカの変位が決定される。スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインが決定される。スピーカの出力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御が実行される。上述の方法においては、スピーカの変位は、リアルタイムに決定されることができ、入力信号のゲインが低減させられ、スピーカのスピーカ音量の突然の変化が回避され、スピーカの変位が安全上限を超えないことが保証されることができ、スピーカのサウンド効果が改善されることができるように、スピーカの決定された変位に基づいてスピーカに対して変位保護が実行される(これは、スピーカの変位に基づいて決定された信号制御ゲインに基づいてスピーカの入力信号に対してゲイン制御を実行することを示す)。
【0311】
任意選択で、本出願の実施形態においては、スピーカのサウンド効果をさらに改善するために、変位保護方法が信号補償に適用され得る。具体的には、変位保護方法において取得された出力信号は、第1の入力信号として使用され得る。具体的には、S101の前に、S100aからS100cがさらに含まれてよい。
【0312】
S100a:スピーカの変位を決定する。
【0313】
本出願のこの実施形態においては、スピーカの変位は、S401からS404において取得され得る。詳細については、上述の実施形態における関連する説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0314】
S100b:スピーカの変位と、事前設定された変位しきい値とに基づいて、スピーカの信号制御ゲインを決定する。
【0315】
S100c:第1の入力信号を取得するために、スピーカの信号制御ゲインに基づいてスピーカの第2の入力信号に対してゲイン制御を実行する。
【0316】
S100bおよびS100cの説明については、上述の実施形態におけるS405およびS406の具体的な説明を参照されたい。詳細がここで再び説明されることはない。
【0317】
例えば、図10は、スピーカのサウンド効果を改善するために、変位保護を信号補償に適用するための方法のフローブロック図である。上述の方法ステップは、方法のフローブロック図を参照して理解され得る。
【0318】
本発明のこの実施形態においては、スピーカ改善装置の機能モジュールは、上述の方法の例に基づいた分割を通して取得され得る。例えば、各機能モジュールは、対応する各機能に基づいた分割を通して取得され得、または2つ以上の機能は、1つの処理モジュールに統合され得る。統合されたモジュールは、ハードウェアの形態で実施されてよく、またはソフトウェア機能モジュールの形態で実施されてよい。本発明の実施形態におけるモジュールへの分割は、例であり、論理機能分割にすぎないことが留意されるべきである。実際の実装においては、別の分割方式が存在し得る。
【0319】
各機能モジュールが、対応する各機能に基づいた分割を通して取得されるとき、図11は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図11に示されるように、音質改善装置は、補間モジュール1001と、信号補償モジュール1002と、フィルタリングモジュール1003とを含み得る。補間モジュール1001は、装置が、上述の方法の実施形態における(S1011およびS1012を含む)S101を実行することをサポートするように構成され得る。信号補償モジュール1002は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS102およびS204を実行することをサポートするように構成され得る。フィルタリングモジュール1003は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS103を実行することをサポートするように構成され得る。
【0320】
任意選択で、図11に示されるように、音質改善装置は、生成モジュール1004と、パラメータ調整モジュール1005と、取得モジュール1006とをさらに含み得る。生成モジュール1004は、装置がフィルタリングゲインを生成することをサポートするように構成され得る。パラメータ調整モジュール1005は、装置が(S2021からS2023を含む)S202およびS203を実行することをサポートするように構成され得る。取得モジュール1006は、装置がS201を実行することをサポートするように構成され得る。上述の方法の実施形態におけるステップのすべての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能説明に引用され得る。詳細が本明細書において再び説明されることはない。
【0321】
任意選択で、図11に示されるように、音質改善装置は、変位決定モジュール1007と、制御ゲイン決定モジュール1008と、ゲイン制御モジュール1009とをさらに含み得る。変位決定モジュール1007は、装置がS401からS404(S403はS4031およびS4032を含む)およびS100aを実行することをサポートするように構成され得る。制御ゲイン決定モジュール1008は、装置がS405およびS100bを実行することをサポートするように構成され得る。ゲイン制御モジュール1009は、装置がS406およびS100cを実行することをサポートするように構成され得る。
【0322】
統合ユニットが使用されるとき、図12は、上述の実施形態におけるスピーカの音質を改善するための装置の可能な構造の概略図である。図12に示されるように、音質改善装置は、処理モジュール2001と、通信モジュール2002とを含み得る。処理モジュール2001は、装置の動作を制御および管理するように構成され得る。例えば、処理モジュール2001は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS101からS103、S201からS204、S301からS305、およびS401からS406を実行することをサポートするように構成され得、ならびに/または本明細書において説明された技術の別の処理を実行するように構成される。通信モジュール2002は、装置と別のネットワークエンティティとの間の通信をサポートするように構成され得る。任意選択で、図12に示されるように、装置は、装置のプログラムコードおよびデータを記憶するように構成された記憶モジュール2003をさらに含み得る。
【0323】
処理モジュール2001は、プロセッサまたはコントローラ(例えば、図1のプロセッサ110)であり得、例えば、中央処理ユニット(central processing unit,CPU)、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit,ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)もしくは別のプログラマブル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。処理モジュールは、本発明の実施形態において開示された内容を参照して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実施または実行することができる。代替として、プロセッサは、コンピューティング機能を実施するための組み合わせ、例えば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。通信モジュール2002は、送受信機、送受信機回路、または通信インターフェースなど(例えば、図1におけるモバイル通信モジュール150、または無線通信モジュール160)であり得る。記憶モジュール2003は、メモリ(例えば、図1における内部メモリ121)であり得る。
【0324】
処理モジュール2001がプロセッサであり、通信モジュール2002が送受信機であり、記憶モジュール2003がメモリであるとき、プロセッサと、送受信機と、メモリは、バスを通して接続され得る。バスは、周辺コンポーネント相互接続(peripheral component interconnect,PCI)バス、または拡張業界標準アーキテクチャ(extended industry standard architecture,EISA)バスなどであり得る。バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスなどに分類され得る。
【0325】
各機能モジュールが対応する各機能に基づいた分割を通して取得されるとき、図13は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図13に示されるように、音質改善装置は、変位決定モジュール3001と、制御ゲイン決定モジュール3002と、ゲイン制御モジュール3003とを含み得る。変位決定モジュール3001は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS401からS404(S403はS4031およびS4032を含む)ならびにS100aを実行することをサポートするように構成され得る。制御ゲイン決定モジュール3002は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS405およびS100bを実行することをサポートするように構成され得る。ゲイン制御モジュール3003は、装置が、上述の方法の実施形態におけるS406およびS100cを実行することをサポートするように構成され得る。
【0326】
統合ユニットが使用されるとき、図14は、上述の実施形態における音質改善装置の可能な構造の概略図である。図14に示されるように、音質改善装置は、処理モジュール4001と、通信モジュール4002とを含み得る。処理モジュール4001は、装置の動作を制御および管理するように構成され得る。例えば、処理モジュール4001は、装置が上述の方法の実施形態におけるS401からS406およびS100aからS100cを実行することをサポートするように構成され得、ならびに/または本明細書において説明された技術の別の処理を実行するように構成される。通信モジュール4002は、装置と別のネットワークエンティティとの間の通信をサポートするように構成され得る。任意選択で、図14に示されるように、音質改善装置は、装置のプログラムコードおよびデータを記憶するように構成された記憶モジュール4003をさらに含み得る。
【0327】
処理モジュール4001は、プロセッサまたはコントローラであり得(例えば、図1に示されたプロセッサ110であり得)、例えば、CPU、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGAもしくは別のプログラマブル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。処理モジュールは、本発明の実施形態において開示された内容を参照して説明された、様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を実施または実行することができる。代替として、プロセッサは、コンピューティング機能を実施するための組み合わせ、例えば、1つもしくは複数のマイクロプロセッサを含む組み合わせ、またはDSPとマイクロプロセッサの組み合わせであり得る。通信モジュール4002は、送受信機、送受信機回路、または通信インターフェースなど(例えば、図1におけるモバイル通信モジュール150、または無線通信モジュール160)であり得る。記憶モジュール4003は、メモリ(例えば、図1における内部メモリ121)であり得る。
【0328】
処理モジュール4001がプロセッサであり、通信モジュール4002が送受信機であり、記憶モジュール4003がメモリであるとき、プロセッサと、送受信機と、メモリは、バスを通して接続され得る。バスは、PCIバス、またはEISAバスなどであり得る。バスは、アドレスバス、データバス、および制御バスなどに分類され得る。
【0329】
上述の実施形態のすべてまたはいくつかは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって、実施され得る。実施形態を実施するために、ソフトウェアプログラムが使用されるとき、実施形態のすべてまたはいくつかは、コンピュータプログラム製品の形態で実施され得る。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータ命令がコンピュータ上にロードされて実行されたとき、本出願の実施形態による手順または機能のすべてまたはいくつかが生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または別のプログラマブル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信され得る。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者線(digital subscriber line,DSL))方式で、または無線(例えば、赤外線、電波、もしくはマイクロ波)方式で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、または1つもしくは複数の使用可能な媒体を統合した、サーバもしくはデータセンタなどの、データ記憶デバイスであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピディスク、磁気ディスク、もしくは磁気テープ)、光媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc,DVD))、または半導体媒体(例えば、ソリッドステートドライブ(solid state drive,SSD))などであり得る。
【0330】
実装についての上述の説明は、便利で簡潔な説明を目的として、上述の機能モジュールへの分割が説明のための例として取られたことを、当業者が明確に理解することを可能にする。実際の適用においては、上述の機能は、要件に従って、異なるモジュールに割り当てられ、実施されることができ、すなわち、装置の内部構造は、上で説明された機能のすべてまたは一部を実施するために、異なる機能モジュールに分割される。上述のシステム、装置、およびユニットの詳細な作業処理については、上述の方法の実施形態における対応する処理を参照し、詳細がここで再び説明されることはない。
【0331】
本出願において提供される、いくつかの実施形態においては、開示されたシステム、装置、および方法は、他の方式で実施され得ることが理解されるべきである。例えば、説明された装置の実施形態は例にすぎない。例えば、モジュールまたはユニットへの分割は、論理機能分割にすぎず、実際の実装においては他の分割であってよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、別のシステムになるように組み合わされて、もしくは別のシステムに統合されてよく、またはいくつかの特徴は、無視され、もしくは実行されなくてよい。加えて、表示または説明された相互結合、または直接的な結合もしくは通信接続は、いくつかのインターフェースを使用することによって実施され得る。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電子的、機械的、または他の形態で実施され得る。
【0332】
別々のパーツとして説明されたユニットは、物理的に別々であってよく、またはそうでなくてよく、ユニットとして表示されたパーツは、物理的なユニットであってよく、もしくはそうでなくてよく、1つの場所に配置されてよく、または複数のネットワークユニット上に分散されてよい。ユニットのいくつかまたはすべては、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要件に基づいて選択され得る。
【0333】
加えて、本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合され得、またはユニットの各々は、物理的に単独で存在し得、または2つ以上のユニットは、1つのユニットに統合され得る。統合されたユニットは、ハードウェアの形態で実施され得、またはソフトウェア機能ユニットの形態で実施され得る。
【0334】
統合ユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売または使用されるとき、統合ユニットはコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得る。そのような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は、基本的に、または従来技術に寄与する部分、もしくは技術的解決策のすべてもしくはいくつかは、ソフトウェア製品の形態で実施され得る。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体内に記憶され、本出願の実施形態において説明された方法のステップのすべてまたはいくつかを実行するように、(パーソナルコンピュータ、サーバ、もしくはネットワークデバイスなどであり得る)コンピュータデバイス、またはプロセッサに命令するための、いくつかの命令を含む。上述の記憶媒体は、プログラムコードを記憶することができる任意の媒体、例えば、フラッシュメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、または光ディスクを含む。
【0335】
上述の説明は、本出願の特定の実装にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図していない。本出願において開示された技術的範囲内のいずれの変形または置換も、本出願の保護範囲内に包含されるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】